説明

In2O3−ZnO系スパッタリングターゲット及び酸化物導電膜

【課題】従来よりも抵抗値の低いIn−ZnO系酸化物導電膜を形成することができるスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】インジウム元素(In)、亜鉛元素(Zn)及び下記のA群から選択される少なくとも1つの元素(A)を含有し、In、Zn及びAの金属元素の組成(原子比)がInZn(1-x)で表わされる酸化物からなり、x及びyが下記式(1)及び(2)を満たすスパッタリングターゲット。
A群:Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Ga、B、Si、Ge、ランタノイド
0.68≦ x ≦0.95 (1)
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物導電膜作製用のスパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置は、表示性能に優れ、かつ消費電力が少ないことから、携帯電話やパーソナルコンピュータ、テレビジョンなどの表示機器に広く用いられている。そして、これら表示機器は、いずれの機器においても表示素子を透明導電膜により挟み込んだサンドイッチ構造を有している。
【0003】
また、薄膜太陽電池やHIT構造の結晶シリコン太陽電池は、光電変換効率が高いため、クリーンエネルギーとして注目され、急激に市場が拡大している。これらの太陽電池はいずれも光を取り込みかつ電力を取り出すために透明導電膜を光電変換層の上部に積層させた構造を有している。
【0004】
これら表示機器や太陽電池に使用される透明導電膜の1つとして、In−ZnO酸化物(以下、IZOと略称する場合がある。)膜がある。
IZO膜を形成するためのスパッタリングターゲットに関して、例えば、特許文献1には、一般式In(ZnO)(m=2〜7)で表される六方晶層状化合物を含み、かつInとZnの原子比[In/(In+Zn)]が0.2〜0.9である酸化物の焼結体からなり、体積抵抗率が10−2Ωcm以下であるターゲットが記載されている。また、本文献には、2〜7at%の正3価以上の金属酸化物(Al,Ga,Zr,Ti,Si)を添加した膜について開示されている。しかしながら、得られる膜の比抵抗が9×10−4Ωcm以上と高かった。これは、添加した正3価以上の金属元素が高抵抗化ドーパントとして機能した結果と推測される。
【0005】
また、非特許文献1には、IZO膜のキャリア密度と移動度の記載がある。該文献に示されているように、成膜時におけるガス中の酸素分圧を制御することで、キャリア密度と移動度を制御する方法は知られている。該文献において、キャリア密度が5×1020cm−3以下では高い移動度(μ≧35cm/Vs)を維持している。しかしながら、6×1020cm−3付近までキャリア密度を増加させると、移動度は急激に減少している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−71860号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of Physics: Conference Series 150 (2009)022076
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来よりも移動度及びキャリア密度が高く、その結果として抵抗値の低いIn−ZnO系酸化物導電膜を形成することができるスパッタリングターゲットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、In−ZnO系酸化物に、特定の元素を含む化合物を所定量添加することにより、得られる酸化物膜の移動度及びキャリア密度がともに高くなることを見出した。
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲット等が提供される。
1.インジウム元素(In)、亜鉛元素(Zn)及び下記のA群から選択される少なくとも1つの元素(A)を含有し、In、Zn及びAの金属元素の組成(原子比)がInZn(1-x)で表わされる酸化物からなり、
x及びyが下記式(1)及び(2)を満たすスパッタリングターゲット。
A群:Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Ga、B、Si、Ge、ランタノイド
0.68≦ x ≦0.95 (1)
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)
2.インジウム元素(In)、亜鉛元素(Zn)及び下記のA群から選択される少なくとも1つの元素(A)を含有し、In、Zn及びAの金属元素の組成(原子比)がInZn(1-x)で表わされる酸化物からなり、
各元素の原子比が下記式(1)及び(2)を満たす酸化物導電膜。
A群:Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Ga、B、Si、Ge、ランタノイド
0.68≦ x ≦0.95 (1)
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)
3.上記1に記載のスパッタリングターゲットを用いて作製した、2に記載の酸化物導電膜。
4.上記2又は3に記載の酸化物導電膜を含む表示装置。
5.上記2又は3に記載の酸化物導電膜を含む太陽電池。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、In−ZnO系導電膜において、移動度及びキャリア密度をともに高くできる。その結果、従来と比べて抵抗値が低い導電膜が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のスパッタリングターゲットは、インジウム元素(In)、亜鉛元素(Zn)及び下記のA群から選択される少なくとも1つの元素(A)を含有する酸化物からなり、該酸化物の金属元素の組成(原子比)がInZn(1-x)で表わされる。そして、x及びyが下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
A群:Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Ga、B、Si、Ge、ランタノイド
0.68≦ x ≦0.95 (1)
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)
【0012】
本発明では、元素Aを上記(2)に示す量(InとZnの合計1モルに対して、0.0001〜0.0045モル)だけ添加することにより、得られる酸化物膜の移動度及びキャリア密度を大幅に増加でき、その結果、得られる膜の抵抗値を低下できる。
本発明のA群の元素は、薄膜中の余分な酸素を引き抜く効果があり、余剰酸素が電子を消失させるのを防止するため、発生したキャリア電子の消失を防ぐことができる。
尚、スパッタリングターゲットに元素Aを2種以上添加する場合、式(2)のyが示す原子比は、添加した元素Aの原子比の合計を意味する。
【0013】
上記の元素Aうち、正3価の金属元素が好ましく、特に、Alが好ましい。
【0014】
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、ターゲット中のIn元素の量は、In元素及びZn元素の合計1モル中、0.68〜0.95モルである。即ち、上記金属元素の組成[InZn(1-X)]において、xは下記式(1)の関係を満たす。
0.68≦ x ≦0.95 (1)
【0015】
式(1)において、xの値が0.68よりも小さいと、スパッタリングターゲットを用いて製膜した透明導電膜の比抵抗が高くなることがある。一方、xの値が0.95を超えると、スパッタリングターゲットを用いて製膜した透明導電膜が結晶化して、比抵抗が高くなる場合がある。
xの値は、好ましくは0.75〜0.92であり、さらに好ましくは、0.81〜0.90である。
【0016】
また、本発明のスパッタリングターゲットでは、上記金属元素の組成[InZn(1-X)]において、yは下記式(2)の関係を満たす。
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)
【0017】
式(2)において、yの値が上記範囲より小さいと、スパッタリングターゲットを用いて製膜した透明導電膜のキャリア密度と移動度は従来のIn−ZnO系膜と同じくキャリア密度が5×1020cm−3を超えたところで移動度が急激に減少する。また、yの値が上記範囲より大きいと、スパッタリングターゲットを用いて製膜した透明導電膜のキャリア密度、移動度ともに減少し、高抵抗膜となる。
yの値の下限は、好ましくは0.0003であり、さらに好ましくは、0.0005である。
また、上限は、好ましくは0.002であり、さらに好ましくは、0.001である。
【0018】
本発明では、本発明の効果を損ねない範囲において、上述したIn、Zn及び元素A以外の他の金属元素を含有していてもよい。しかしながら、本発明においては、スパッタリングターゲットに含有される金属元素は、実質的にIn,Zn及びAのみであってもよい。本発明において「実質的」とは、スパッタリングターゲットとしての効果が上記In、Zn及びAに起因すること、又はスパッタリングターゲットの金属元素の95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)がIn、Zn及びAであることを意味する。上記のように、本発明のスパッタリングターゲットに含有される金属元素は、実質的にIn,Zn及びAからなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
尚、スパッタリングターゲットの原子組成は、誘導プラズマ発光分析装置(ICP−AES)により測定できる。
【0019】
本発明のスパッタリングターゲットは、例えば、原料の酸化インジウム、酸化亜鉛及び元素Aの化合物を混合する工程、原料混合物を成型する工程、成型物を焼結する工程、及び焼結体をアニーリングする工程を経て製造することができる。
【0020】
原料の酸化インジウム、酸化亜鉛及び元素Aの化合物は、高純度のものを用いるのが望ましく、例えば、4N(0.9999)以上であることが好ましい。
元素Aの化合物としては、酸化物等が挙げられる。
【0021】
上記原料の平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜5μmであり、特に好ましくは0.1〜5μmである。平均粒径が0.01μm未満であると凝集しやすくなり、また10μmを超えるものでは混合性が不十分になり、緻密な組織の焼結体が得られなくなることがある。
【0022】
原料の混合は、ボールミルやジェットミル、ロールミル等の通常の混合機により行うことができる。
【0023】
このようにして得られた混合物は、直ちに成型してもよいが、その成型前に仮焼処理をしてもよい。仮焼処理条件は、仮焼温度が800〜1,200℃、好ましくは900〜1,200℃、さらに好ましくは1,000〜1,200℃であり、焼成時間が1〜100時間、好ましくは2〜50時間、さらに好ましくは3〜30時間である。仮焼処理により、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる六方晶層状化合物の形成が促進される。この仮焼処理は1回でも良いし、2回以上繰返し行ってもよい。
【0024】
さらに、仮焼処理済の粉末を造粒処理してもよい。これにより、その後の成型工程での流動性や充填性が改善される。造粒処理はスプレードライヤーなどを用いて行うことができる。そして、この造粒処理時には、これら金属酸化物粉末の水溶液やアルコール溶液を用い、かつバインダーとしてポリビニルアルコールなどを用いる方法によるのが好ましい。この造粒処理によって形成される造粒物の粒径は、1〜100μm、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜100μmとなるようにするのが好ましい。
【0025】
原料粉末又は造粒物を、成型工程において金型プレス成型、鋳込み成型、射出成型などの方法により成型する。スパッタリングターゲットとして、その焼結密度の高い焼結体を得る場合には、この成型工程において金型プレス成型などにより予備成型した後に、冷間静水圧プレス成型などの方法によりさらに圧密化する方法によるのが好ましい。
また、円筒型のターゲットを製造する場合は、ゴム型等の型に原料粉末又は造粒物を充填し、中心に円筒状の芯柱を差込み、冷間静水圧プレス成型等の方法で成型する方法等が用いられる。
成型工程においては、各種の成形助剤が用いられるが、ポリビニルアルコールや、メチルセルロース、ポリワックス、オレイン酸などが好適に用いられる。
成型圧力は1MPa〜10GPa、好ましくは10MPa〜10GPaである。また、成型時間は、10分間〜10時間とすればよい。さらに、この成型体の形状については、スパッタリングによって製膜する透明導電膜の寸法に見合う寸法とするのが、焼結後の整形による仕上げが容易になるので好ましい。
【0026】
得られた成型体の焼結工程においては、常圧焼結やホットプレス焼結、熱間静水圧プレス焼結などの通常行われている焼結方法によることができる。ここでの焼結条件は、焼結温度が1200〜1600℃、好ましくは1250〜1550℃、さらに好ましくは1300〜1500℃である。この焼結温度が1200℃未満の温度では、得られる焼結体中に酸化インジウムと酸化亜鉛からなる六方晶層状化合物が充分に生成しないことがあり、また、この焼結温度が1600℃を超える温度では、酸化亜鉛の昇華等により、得られる焼結体中の金属酸化物の組成が変動することがある。
【0027】
焼結時間は、焼結温度によって異なるが、1〜50時間、好ましくは2〜30時間、より好ましくは3〜20時間である。焼結時の雰囲気は、大気雰囲気であってもよいし、酸素導入雰囲気であってもよい。
【0028】
得られた焼結体は、焼結炉やホットプレス還元炉などの炉中において、アニーリング処理してもよい。アニーリング工程において、アニーリング温度は200〜1000℃、好ましくは300〜1000℃、より好ましくは400〜1000℃、アニーリング時間1〜50時間、好ましくは2〜30時間、より好ましくは3〜20時間の条件が適宜選定される。このような条件下にアニーリング処理を行うことにより、焼結体の体積抵抗率を低減することができる。アニーリング処理は、真空中で行ってもよいし、水素ガスやメタンガス、一酸化炭素ガスなどの還元性ガス雰囲気あるいはアルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気において行ってもよい。
【0029】
得られた焼結体よりスパッタリングターゲットを形成するには、焼結体をスパッタリング装置への装着に適した形状に切削加工し、これに装着用治具を取付ければよい。
また、円筒型ターゲットの場合は、ロータリー研削機を用いて、円筒ターゲットの外周部と内周部を円筒研削し、この内側に、円柱状の装着用治具を取り付ければよい。
【0030】
続いて、本発明の酸化物導電膜について説明する。
本発明の酸化物導電膜は上述した式(1)及び(2)を満たす。各元素の含有率については、上述した本発明のスパッタリングターゲットと同様である。
本発明の酸化物導電膜は、例えば、発明のスパッタリングターゲットを使用して基板上に成膜することにより得られる。
【0031】
表示機器用途の場合、基板としては、透明性の基板を用いるのが好ましく、ガラス基板や、透明性の高い合成樹脂製のフィルム、シートを用いることができる。
また、太陽電池用途の場合、上記透明性の基板以外に、ステンレス等の金属フォイル基板が用いられることがある。
スパッタリングターゲットを用いて成膜するにあたっては、マグネトロンスパッタリング装置が好適に用いられる。スパッタリングにより成膜する際の条件としては、ターゲットの表面積や導電膜の膜厚によりプラズマの出力は変動するが、通常、このプラズマ出力を、ターゲットの表面積1cmあたり0.3〜10Wの範囲とし、成膜時間を5〜120分間とする。
【0032】
酸化物導電膜の膜厚は、表示装置及び太陽電池の種類によって異なるが、通常、10nm〜1000nm、好ましくは15nm〜300nm、特に好ましくは20nm〜100nmである。
【0033】
このようにして得られる酸化物導電膜は、キャリア密度が6×1020cm−3以上、特に7×1020cm−3の領域で移動度が35cm/Vs以上となる。その結果、通常のIn−ZnO系膜のキャリア密度より高い領域において大幅に低抵抗な膜となる。また、透明性も高い。
また、キャリア密度が高いため、従来のIn−ZnO系膜に比べ、屈折率が低減し、その結果、透明性も高い。
従って、本発明の酸化物導電膜は各種表示装置や太陽電池の透明電極として好適に使用できる。
【実施例】
【0034】
実施例1
平均粒径2μmの酸化インジウム粉末と、同粒度の酸化亜鉛及び酸化アルミニウム粉末を原料として使用し、金属元素の組成[InZn(1−x)Al]のx及びyが下記式(1)及び(2)となるように秤量した。
x=0.83 (1)
y=0.0001 (2)
秤量した原料粉末にバインダーを加え、均一に混合、及び造粒した。
次に、この原料混合造粒粉を金型に均一に充填し、コールドプレス機にて加圧成型した。このようにして得た成形体を、焼結炉により、1420℃で8時間焼結した。さらに、このようにして得られた焼結体の表面を平面研削板で研削し、側辺をダイヤモンドカッターで切断し、スパッタリングターゲットを作製した。
スパッタリングターゲットのサイズは4インチΦである。
【0035】
得られたターゲットを使用して、DCマグネトロンスパッタリングによって薄膜を形成した。成膜条件は、放電出力を100Wとし、アルゴン−酸素ガスを用い、スパッタ時の全圧は0.4Pa、酸素分圧は1%とした。得られた膜の膜厚は100nmであった。
この薄膜について、Van Der Pauw法にてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は6.09×1020cm−3、移動度は31.4cm/Vsであった。
【0036】
実施例2
x及びyが下記式(1)及び(2)となるように混合した他は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲット作製し、成膜した。
x=0.83 (1)
y=0.0005 (2)
成膜した薄膜について、実施例1と同様にしてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は6.86×1020cm−3、移動度は30.3cm/Vsであった。
【0037】
実施例3
x及びyが下記式(1)及び(2)となるように混合した他は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲット作製し、成膜した。
x=0.83 (1)
y=0.001 (2)
成膜した薄膜について、実施例1と同様にしてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は7.39×1020cm−3、移動度は27.3cm/Vsであった。
【0038】
実施例4
x及びyが下記式(1)及び(2)となるように混合した他は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲット作製し、成膜した。
x=0.83 (1)
y=0.002 (2)
成膜した薄膜について、実施例1と同様にしてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は7.63×1020cm−3、移動度は25.3cm/Vsであった。
【0039】
実施例5
x及びyが下記式(1)及び(2)となるように混合した他は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲット作製し、成膜した。
x=0.83 (1)
y=0.004 (2)
成膜した薄膜について、実施例1と同様にしてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は6.61×1020cm−3、移動度は29.1cm/Vsであった。
【0040】
比較例1
x及びyが下記式(1)及び(2)となるように混合した他は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲット作製し、成膜した。
x=0.83 (1)
y=0.000 (2)
成膜した薄膜について、実施例1と同様にしてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は4.71×1020cm−3、移動度は32.1cm/Vsであった。
【0041】
比較例2
x及びyが下記式(1)及び(2)となるように混合した他は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲット作製し、成膜した。
x=0.83 (1)
y=0.005 (2)
成膜した薄膜について、実施例1と同様にしてキャリア密度と移動度を測定したところ、キャリア密度は4.64×1020cm−3、移動度は31.1cm/Vsであった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のスパッタリングターゲットは、透明導電膜の形成用に好適である。また、本発明の酸化物導電膜は各種表示装置及び太陽電池の透明電極等として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジウム元素(In)、亜鉛元素(Zn)及び下記のA群から選択される少なくとも1つの元素(A)を含有し、In、Zn及びAの金属元素の組成(原子比)がInZn(1-x)で表わされる酸化物からなり、
x及びyが下記式(1)及び(2)を満たすスパッタリングターゲット。
A群:Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Ga、B、Si、Ge、ランタノイド
0.68≦ x ≦0.95 (1)
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)
【請求項2】
インジウム元素(In)、亜鉛元素(Zn)及び下記のA群から選択される少なくとも1つの元素(A)を含有し、In、Zn及びAの金属元素の組成(原子比)がInZn(1-x)で表わされる酸化物からなり、
各元素の原子比が下記式(1)及び(2)を満たす酸化物導電膜。
A群:Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Ga、B、Si、Ge、ランタノイド
0.68≦ x ≦0.95 (1)
0.0001≦ y ≦0.0045 (2)
【請求項3】
請求項1に記載のスパッタリングターゲットを用いて作製した、請求項2に記載の酸化物導電膜。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の酸化物導電膜を含む表示装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の酸化物導電膜を含む太陽電池。

【公開番号】特開2013−1919(P2013−1919A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131697(P2011−131697)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】