説明

KCNQ2/3モジュレータとしての置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン

本発明は、置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン、その製造方法、その化合物を含有する医薬及び医薬を製造するための上記化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン、その製造方法、前記化合物を含有する医薬及び医薬を製造するための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
痛み、特に神経障害性痛の治療は、医学において極めて重要である。有効な痛み治療に関して世界的規模の需要が存在する。慢性痛の状態及び非慢性痛の状態を患者本位でかつ目的通りに治療を行うための切迫した需要(これは患者にとって成果がありかつ満足される痛みの治療であると解釈される)は、多数の学問的研究にも現れていて、この学問的研究は最近では適用される鎮痛剤の分野並びに痛覚に対する基礎研究の分野に関して現れている。
【0003】
慢性痛の病体生理学的特徴は、ニューロンの過剰興奮性にある。このニューロンの興奮性は、Kチャンネルの親和性により決定的に影響を受ける、それというのもこの親和性が細胞の静止膜電位及びそれと共に興奮性閾値を決定的に決定しているためである。分子のサブタイプKCNQ2/3(Kv7.2/7.3)のへテロマーKチャンネルは、中枢(海馬、扁桃体)の及び末梢(背根神経節)の神経系の多様な領域のニューロンにおいて発現されかつその興奮性を調節する。KCNQ2/3Kチャンネルの活性化は細胞膜の過分極を引き起こし、それに伴い前記ニューロンの電気的興奮性の低下が生じる。KCNQ2/3を発現する前記背根神経節のニューロンは、末梢から脊髄中への侵害受容性の興奮の伝達に関与する(Passmore et al.著, J Neurosci. 2003; 23(18):7227-36)。
【0004】
それに対して、KCNQ2/3アゴニストのレチガビン(Retigabine)について、前臨床的神経障害性痛モデル及び炎症性痛モデルの場合の鎮痛についての有効性を検出することができた(Blackburn-Munro及びJensen著, Eur J Pharmacol. 2003; 460(2-3):109-16; Dost et al.著, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2004; 369(4): 382-390)。
【0005】
このKCNQ2/3Kチャンネルは、痛みを治療するための、特に慢性痛、神経障害性痛、炎症性痛及び筋肉性痛(Nielsen et al.著, Eur J Pharmacol. 2004; 487(1-3): 93-103)、殊に神経障害性痛及び炎症性痛からなる群から選択される痛みの適当な手掛かりになる。
【0006】
さらに、KCNQ2/3Kチャンネルは、多数の他の疾患、例えば偏頭痛(米国特許第2002/0128277号明細書)、認識疾患(Gribkoff著, Expert Opin Ther Targets 2003; 7(6): 737-748)、不安状態(Korsgaard et al.著, J Pharmacol Exp Ther. 2005, 14(1): 282-92)、てんかん(Wickenden et al.著, Expert Opin Ther Pat 2004, 14(4): 457-469; Gribkoff著, Expert Opin Ther Targets 2008, 12(5): 565-81; Miceli et al.著, Curr Opin Pharmacol 2008, 8(1): 65-74)、尿失禁(Streng et al.著, J Urol 2004;172: 2054-2058)、依存症(Hansen et al.著, Eur J Pharmacol 2007, 570(1-3): 77-88)、躁病/双極性障害(Dencker et al.著, Epilepsy Behav 2008, 12(1): 49-53)、失調症に関連する運動障害(Richter et al.著, Br J Pharmacol 2006, 149(6): 747-53)の治療のための適当な対象である。
【0007】
この先行技術から、KCNQ2/3Kチャンネルに親和性を有する置換されたテトラヒドロピロロピラジンは公知である(国際公開第2008/046582号)。
【0008】
KCNQ2/3自体への親和性の観点だけでなく同等の又は改善された特性(効力、有効性)を有する他の化合物の必要性が生じる。
【0009】
よって、これらの化合物の代謝安定性、水性媒体中での溶解度又は透過性が改善することが有利であることができる。これらのファクターは、経口による生物学的利用能に有利に作用するか、又はPK/PD(薬物動態学/薬力学)プロフィールを変更し、これが、例えば良好な作用期間を生じることができる。
【0010】
医薬の吸収及び排泄に関与する輸送分子との相互作用が弱いか又は相互作用が存在しないことも、改善された生物学的利用能及び場合により低い医薬相互作用に関する示唆である。さらに、医薬の分解及び排泄に関与する酵素との相互作用はできる限り低いことも好ましい、それというのもこの試験結果は、同様に、場合により医薬相互作用が低いか又はほとんどないことが期待されることを示唆しているためである。
【0011】
更に、この化合物がKCNQファミリーの他のレセプターに対して、例えばKCNQ1、KCNQ3/5又はKCNQ4に対して高い選択性(特異性)を有する場合に、有利であることができる。高い選択性は、副作用プロフィールに関して有利な影響を及ぼす可能性がある。例えばKCNQ1と(も)結合する化合物は、心臓の副作用の高い危険性を伴い、従ってKCNQ1に対して高い選択性が好ましい可能性があることは公知である。高い選択性はしかしながら他のレセプターに対しても有利であることができる。hERGイオンチャンネル又はL型カルシウムイオンチャンネル(フェニルアルキルアミン結合箇所、ベンゾチアゼピン結合箇所、ジヒドロピリジン結合箇所)に対して低い親和性が有利である、それというのもこれらのレセプターは心臓の副作用の発生との関連づけられているためである。全体として、他の内在性タンパク質(つまり、例えばレセプター又は酵素)との結合に関する改善された選択性は、副作用プロフィールの改善を生じさせ、それにより改善された許容性を生じさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/046582号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Passmore et al.著, J Neurosci. 2003; 23(18):7227-36
【非特許文献2】Blackburn-Munro及びJensen著, Eur J Pharmacol. 2003; 460(2-3):109-16
【非特許文献3】Dost et al.著, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2004; 369(4): 382-390)
【非特許文献4】Nielsen et al.著, Eur J Pharmacol. 2004; 487(1-3): 93-103
【非特許文献5】Gribkoff著, Expert Opin Ther Targets 2003; 7(6): 737-748
【非特許文献6】Korsgaard et al.著, J Pharmacol Exp Ther. 2005, 14(1): 282-92
【非特許文献7】Wickenden et al.著, Expert Opin Ther Pat 2004, 14(4): 457-469
【非特許文献8】Gribkoff著, Expert Opin Ther Targets 2008, 12(5): 565-81
【非特許文献9】Miceli et al.著, Curr Opin Pharmacol 2008, 8(1): 65-74
【非特許文献10】Streng et al.著, J Urol 2004;172: 2054-2058
【非特許文献11】Hansen et al.著, Eur J Pharmacol 2007, 570(1-3): 77-88
【非特許文献12】Dencker et al.著, Epilepsy Behav 2008, 12(1): 49-53
【非特許文献13】Richter et al.著, Br J Pharmacol 2006, 149(6): 747-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の課題は、先行技術の化合物と比べて利点を有する新規化合物を提供することにあった。この化合物は、特に医薬中での、好ましくは少なくとも部分的にKCNQ2/3Kチャンネルにより引き起こされる障害又は疾患の治療のための医薬中での薬理有効物質として適しているのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題は、特許請求の範囲の対象によって解決される。
【0016】
意外にも、後記する一般式(1)の置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリンは、痛みの治療のために適していることが見出された。さらに意外にも、後記する一般式(1)の置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリンは、KCNQ2/3Kチャンネルに対して際立った親和性も有し、従って、少なくとも部分的にKCNQ2/3Kチャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のために適していることが見出された。この場合、置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリンは、KCNQ2/3Kチャンネルのモジュレータ、つまりアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する。
【0017】
本発明の対象は、その遊離化合物又は生理学的に許容し得る酸又は塩基の塩の形の、一般式(1)
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、
mは、0又は1を表し、及び
nは、0〜4の整数を表し、
、R、R、R、R、R6a、R6bは、それぞれ相互に無関係に、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C10−アルキル、O−C〜C10−アルキル、O−C(=O)−C〜C10−アルキル、S−C〜C10−アルキル、NH(C〜C10−アルキル)、N(C〜C10−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C10−アルキル、N(C(=O)−C〜C10−アルキル)又はC(=O)−C〜C10−アルキル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;C〜C−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;を表し、
Yは、0又はNRを表し、
この場合、Rは、H又は飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されているC〜C−アルキルを表し、
は、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル、これは飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;アリール又はヘテロアリール、これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている、を表し;
但し、Rがヘテロシクリルを表す場合には、このヘテロシクリルの包括的一般構造への結合は、このヘテロシクリルの1つの炭素原子を介して行うことができ、有利にヘテロシクリルの包括的一般構造への結合はヘテロシクリルの1つの炭素原子を介して行われるものとし;及び
但し、Rがアリール又はヘテロアリールを表す場合には、nとmとの合計は1以上であるものとし;
は、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;アリール又はヘテロアリール、これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;又はC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール、これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている、この場合、アルキル−又はヘテロアリール鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる、からなる群から選択され、
その際、「置換されたアルキル」、「置換されたヘテロアルキル」、「置換されたヘテロシクリル」及び「置換されたシクロアルキル」は、それぞれ相互に無関係に、1つ又は複数の水素原子のF;Cl;Br;I;CN;CF;=O;=NH;=C(NH;NO;R;C(=O)H;C(=O)R;COH;C(=O)OR;CONH;C(=O)NHR;C(=O)N(R;OH;OR;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−C(=O)−R;O−C(=O)−O−R;O−(C=O)−NH−R;O−C(=O)−N(R;O−S(=O)−R;O−S(=O)OH;O−S(=O)OR;O−S(=O)NH;O−S(=O)NHR;O−S(=O)N(R;NH;NH−R;N(R;NH−C(=O)−R;NH−C(=O)−O−R;NH−C(=O)−NH;NH−C(=O)−NH−R;NH−C(=O)−N(R;NR−C(=O)−R;NR−C(=O)−O−R;NR−C(=O)−NH;NR−C(=O)−NH−R;NR−C(=O)−N(R;NH−S(=O)OH;NH−S(=O);NH−S(=O)OR;NH−S(=O)NH;NH−S(=O)NHR;NH−S(=O)N(R;NR−S(=O)OH;NR−S(=O);NR−S(=O)OR;NR−S(=O)NH;NR−S(=O)NHR;NR−S(=O)N(R;SH;SR;S(=O)R;S(=O);S(=O)H;S(=O)OH;S(=O)OR;S(=O)NH;S(=O)NHR;S(=O)N(R;による置換を表し;
その際、「置換されたアリール」及び「置換されたヘテロアリール」は、それぞれ相互に無関係に、1つ又は複数の水素原子のF;Cl;Br;I;NO;CF;CN;R;C(=O)H;C(=O)R;COH;C(=O)OR;CONH;C(=O)NHR;C(=O)N(R;OH;OR;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−C(=O)−R;O−C(=O)−O−R;O−(C=O)−NH−R;O−C(=O)−N(R;O−S(=O)−R;O−S(=O)OH;O−S(=O)OR;O−S(=O)NH;O−S(=O)NHR;O−S(=O)N(R;NH;NH−R;N(R;NH−C(=O)−R;NH−C(=O)−O−R;NH−C(=O)−NH;NH−C(=O)−NH−R;NH−C(=O)−N(R;NR−C(=O)−R;NR−C(=O)−O−R;NR−C(=O)−NH;NR−C(=O)−NH−R;NR−C(=O)−N(R;NH−S(=O)OH;NH−S(=O);NH−S(=O)OR;NH−S(=O)NH;NH−S(=O)NHR;NH−S(=O)N(R;NR−S(=O)OH;NR−S(=O);NR−S(=O)OR;NR−S(=O)NH;NR−S(=O)NHR;NR−S(=O)N(R;SH;SR;S(=O)R;S(=O);S(=O)OH;S(=O)OR;S(=O)NH;S(=O)NHR;S(=O)N(R;による置換を表し;及び
は、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;C〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;アリール又はヘテロアリール、これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている;C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている、この場合、アルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であるか、モノ又はポリ置換されていてもよく;又はC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール、これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている、この場合、このアルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であるか、モノ又はポリ置換されていてもよい;を表す]
で表わされるの置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリンである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「アルキル」又は「C〜C10−アルキル」、「C〜C−アルキル」、「C〜C−アルキル」及び「C〜C10−アルキル」の表現は、本発明の範囲内で、1〜10個又は1〜8個又は1〜4個又は2〜10個のC原子を有する非環式の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を含み、この炭化水素基は分枝又は非分枝並びに非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよく、つまり、C〜C10−アルカニル、C〜C10−アルケニル及びC〜C10−アルキニル又はC〜C−アルカニル、C〜C−アルケニル及びC〜C−アルキニル又はC〜C−アルカニル、C〜C−アルケニル及びC〜C−アルキニル又はC〜C10−アルカニル、C〜C10−アルケニル及びC〜C10−アルキニルを含む。この場合、アルケニルは少なくとも1つのC−C二重結合を有し、アルキニルは少なくとも1つのC−C三重結合を有する。有利に、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、エテニル(ビニル)、エチニル、プロペニル(−CHCH=CH、−CH=CH−CH、−C(=CH)−CH)、プロピニル(−CH−C≡CH、−C≡C−CH)、ブテニル、ブチニル、ペンテニル、ペンチニル、ヘキセニル及びヘキシニル、ヘプテニル、へプチニル、オクテニル、オクチニル、ノネニル、ノニニル、デセニル及びデシニルを有する群から選択されるアルキルである。
【0021】
「ヘテロアルキル」又は「C〜C10−ヘテロアルキル」、「C〜C−ヘテロアルキル」及び「C〜C−ヘテロアルキル」の表現は、本発明の範囲内で、2〜10個のC原子を有する非環式の脂肪族の、飽和又は不飽和の炭化水素基、つまりC〜C10−ヘテロアルカニル、C〜C10−ヘテロアルケニル及びC〜C10−ヘテロアルキニル、2〜8個のC原子を有する炭化水素、つまりC〜C−ヘテロアルカニル、C〜C−ヘテロアルケニル及びC〜C−ヘテロアルキニル又は2〜4個のC原子を有する炭化水素基、つまりC〜C−ヘテロアルカニル、C〜C−ヘテロアルケニル及びC〜C−ヘテロアルキニルを含み、これらはそれぞれ分枝又は非分枝で、並びに非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよく、その中で少なくとも1つ、場合により2又は3個の炭素原子は、O、S、S(=O)、S(=O)、N、NH、及びN(C〜C−アルキル)、有利にN(CH)からなる群からそれぞれ相互に無関係に選択されたヘテロ原子又はヘテロ原子基により置き換えられていて、その際、C〜C10−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを包括的一般構造と結合しているC〜C10−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキルの始端の炭素原子は、ヘテロ原子又はヘテロ原子基によって置き換えることはできず、かつ相互に隣接する炭素原子は同時にヘテロ原子又はヘテロ原子基によって置き換えられることはできない。場合により、ヘテロ原子基NH及びヘテロアルキルのN(C〜C−アルキル)はモノ又はポリ置換されていてもよい。C〜C10−ヘテロアルケニル、C〜C−ヘテロアルケニル及びC〜C−ヘテロアルケニルは少なくとも1個のC−C−二重結合又はC−N−二重結合を有し、かつC〜C10−ヘテロアルキニル、C〜C−ヘテロアルキニル及びC〜C−ヘテロアルキニルは少なくとも1個のC−C−三重結合を有する。有利に、ヘテロアルキルは、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH−CH、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH、−CH=CH−O−CH、−CH=CH−O−CH−CH、=CH−O−CH、=CH−O−CH−CH、=CH−CH−O−CH−CH、=CH−CH−O−CH、−CH−NH−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−NH−CH−CH、−CH−CH−NH−CH−CH−NH−CH、−CH=CH−NH−CH、−CH=CH−NH−CH−CH、−CH=CH−N(CH)−CH−CH、=CH−NH−CH、=CH−NH−CH−CH、=CH−CH−NH−CH−CH、=CH−CH−NH−CH、−CH−N(CH)−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−CH−N(CH)−CH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH−CH−N(CH)−CH、CH−CH−NH−CH−CH−O−CH、CH−CH−O−CH−CH−NH−CH、CH−CH−N(CH)−CH−CH−O−CH、CH2−CH−O−CH−CH−N(CH)−CH、CH−NH−CH−O−CH、CH−O−CH−NH−CH、CH−N(CH)−CH−O−CH、CH−O−CH−N(CH)−CH、−CH=CH−N(CH)−CH、=CH−N(CH)−CH、=CH−N(CH)−CH−CH、=CH−CH−N(CH)−CH−CH、=CH−CH−N(CH)−CH、−CH−CH=N(CH)及び−CH=N(CH)を有する群から選択される。
【0022】
「シクロアルキル」又は「C〜C10−シクロアルキル」の表現は、本発明の目的のために、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を有する環式脂肪族炭化水素を意味し、この場合、前記炭化水素は飽和又は不飽和(しかしながら芳香族ではない)、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。このシクロアルキルのそれぞれの包括的一般構造への結合は、このシクロアルキル基のそれぞれ任意でかつ可能な環原子を介して行うことができる。このシクロアルキル基は、他の飽和、(部分的に)不飽和の、又は(複素)環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族の環系と縮合されていてもよく、つまり、この環系は非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよいシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールと縮合されていてもよい。このシクロアルキル基は、例えばアダマンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル又はビシクロ[2.2.2]オクチルの場合のように、さらに1箇所もしくは数箇所架橋されていてもよい。有利に、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル
【0023】
【化2】

【0024】
シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルを含む群から選択される。
【0025】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロアルキル」の概念は、3〜10個の、つまり3、4、5、6、7、8、9又は10個の環原子を有する脂肪族の飽和又は不飽和の(しかしながら芳香族ではない)シクロアルキルを含み、この場合、少なくとも1つ、場合により2つ又は3つの炭素原子は、O、S、N、NH及びN(C〜C−アルキル)、有利にN(CH)からなる群からそれぞれ相互に無関係に選択されるヘテロ原子又はヘテロ原子基により置き換えられていて、この場合、この環原子は非置換であるか、又はモノ又はポリ置換されていてもよい。このヘテロシクリルの包括的一般構造への結合は、このヘテロアリール基のそれぞれ任意でかつ可能な環原子を介して行うことができる。このヘテロシクリル基は、他の飽和、(部分的に)不飽和の、又は(複素)環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族の環系で、つまりシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールで縮合されていてもよく、これらは非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。有利に、ヘテロシクリル基は、アゼチジニル、アジリジニル、アゼパニル、アゾカニル、ジアゼパニル、ジチオラニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロピロリル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジヒドロインデニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリニル、ジヒドロイソインドリル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリジニル、ピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロ−ピリドインドリル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロカルボリニル、テトラヒドロイソオキサゾロ−ピリジニル、チアゾリジニル及びチオモルホリニルを有する群からなる。
【0026】
「アリール」の概念は、本発明の範囲内で、14個までの環原子を有する芳香族炭化水素、特にフェニル及びナフチルを意味する。それぞれのアリール基は、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されて存在していてもよく、その際、複数のアリール置換基は同じ又は異なることができ、かつそれぞれ前記アリールの任意でかつ可能な箇所にあることができる。このアリールの包括的一般構造への結合は、このアリール基のそれぞれ任意でかつ可能な環原子を介して行うことができる。このアリール基は、他の飽和、(部分的に)不飽和の、又は(複素)環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族の環系で縮合されていてもよく、つまり、この環系は非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよいシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールで縮合されていてもよい。有利な縮合されたアリール基は、ベンゾジオキソラニル及びベンゾジオキサニルである。有利に、アリールは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを有する群から選択され、これらは、それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。特に有利なアリールは、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されたフェニルである。
【0027】
「ヘテロアリール」の概念は、少なくとも1個、場合により2、3、4又は5個のヘテロ原子を含有する5又は6員の環式の芳香族基を表し、この場合、このヘテロ原子は、S、N及びOの群からそれぞれ相互に無関係に選択され、かつこのヘテロアリール基は非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよく;ヘテロアリールの置換の場合には、この複数の置換基は同じ又は異なることができ、かつこのヘテロアリールのそれぞれ任意でかつ可能な箇所に存在することができる。この包括的一般構造への結合は、このヘテロアリール基のそれぞれ任意でかつ可能な環原子を介して行うことができる。このヘテロアリールは、14個までの環原子を有する二環式又は多環式の系の部分であることもでき、その際、この環系は、他の不飽和、(部分的に)飽和、(複素)環式又は芳香族又はヘテロ芳香族の環によって、つまりシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールによって形成されていてもよく、この環はまた非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。このヘテロアリール基は、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、フリル(フラニル)、イミダゾリル、イミダゾチアゾリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリル、イソキノリニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、インドリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フタラジニル、ピラゾリル、ピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピロリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、プリニル、フェナジニル、チエニル(チオフェニル)、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル又はトリアジニルを有する群から選択されているのが有利である。特に、フリル、ピリジル及びチエニルが有利である。
【0028】
「C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルを介して架橋されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル」の表現は、本発明の範囲内で、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキル及びアリール又はヘテロアリール又はヘテロシクリル又はシクロアルキルは上記の定義された意味を有し、これらのアリール基又はヘテロアリール基又はヘテロシクリル基又はシクロアルキル基は、C〜C−アルキル基又はC〜C−アルキル基を介して、それぞれ包括的一般構造と結合されていることを意味する。前記アルキル鎖は、全ての場合に、飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝の、非置換であるかモノ又はポリ置換されていてもよい。有利に、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルは、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−CH−CH−CH−、−CH(CH)−CH−、−CH(CHCH)−、−CH−(CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−、−CH(CH)−CH(CH)−、−CH(CHCH)−CH−、−C(CH−CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−CH−(CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH(CH)−CH−、−C(CH−CH−CH−、−CH−C(CH−CH−、−CH(CHCH)−CH−CH−、−CH−CH(CHCH)−CH−、−C(CH−CH(CH)−、−CH(CHCH)−CH(CH)−、−C(CH)(CHCH)−CH−、−CH(CHCHCH)−CH−、−C(CHCHCH)−CH−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−、−CH−(CH−CH−、−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C(CH)=CH−、−CH=CH−CH−CH−、−CH−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−、−C(CH)=CH−CH−、−CH=C(CH)−CH−、−C(CH)=C(CH)−、−C(CHCH)=CH−、−CH=CH−CH−CH−CH−、−CH−CH=CH−CH−CH−、−CH=CH=CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−CH=CH−、−C≡C−、−C≡C−CH−、−C≡C−CH−CH−、−C≡C−CH(CH)−、−CH−C≡C−CH−、−C≡C−C≡C−、−C≡C−C(CH−、−C≡C−CH−CH−CH−、−CH−C≡C−CH−CH−、−C≡C−C≡C−CH−及び−C≡C−CH−C≡C−を含む群から選択される。
【0029】
「C〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル」の表現及び「C〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル」の表現は、本発明の範囲内で、C〜C−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキル及びアリール又はヘテロアリール又はヘテロシクリル又はシクロアルキルは上記の定義された意味を有し、かつ前記アリール基、又はヘテロアリール基、又はヘテロシクリル基又はシクロアルキル基はC〜C−ヘテロアルキル基又はC〜C−ヘテロアルキル基を介して、それぞれ包括的一般構造に結合していることを意味する。前記ヘテロアルキル鎖は、全ての場合に、飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。C〜C−ヘテロアルキル基又はC〜C−ヘテロアルキル基の末端の炭素原子が、ヘテロ原子又はヘテロ原子基に置き換えられている場合には、ヘテロアリール又はヘテロシクリルのC〜C−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキルのヘテロ原子又はヘテロ原子基への結合は、常にこのヘテロアリール又はヘテロシクリルの炭素原子を介して行われる。この末端の炭素原子とは、それぞれの鎖の中で、包括的一般構造から最も遠く離れている、C〜C−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキルの中の炭素原子であると解釈され、C〜C−ヘテロアルキルの末端の炭素原子が例えばN(CH)基により置き換えられている場合、これはC〜C−ヘテロアルキルの中で、包括的一般構造から最も遠く離れていて、アリール基又はヘテロアリール基又はヘテロシクリル基又はシクロアルキル基と結合している。有利に、C〜C−ヘテロアルキル又はC〜C−ヘテロアルキルは、−CH−NH−、−CH−N(CH)−、−CH−O−、−CH−CH−NH−、−CH−CH−N(CH)−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−N(CH)−、−CH−CH−CH−O−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−、−CH=CH−O−CH−、−CH=CH−O−CH−CH−、=CH−O−CH−、=CH−O−CH−CH−、=CH−CH−O−CH−CH−、=CH−CH−O−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−CH−、−CH−CH−NH−CH−CH−NH−CH、−CH=CH−NH−CH−、−CH=CH−NH−CH−CH−、−CH=CH−N(CH)−CH−CH−、=CH−NH−CH−、=CH−NH−CH−CH−、=CH−CH−NH−CH−CH−、=CH−CH−NH−CH−、−CH−N(CH)−CH−、−CH−CH−N(CH)−CH−、−CH−CH−N(CH)−CH−CH−、−CH−CH−N(CH)−CH−CH−N(CH)−CH−、−CH−CH−NH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−NH−CH−、−CH−CH−N(CH)−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−N(CH)−CH−、−CH−NH−CH−O−CH−、−CH−O−CH−NH−CH−、−CH−N(CH)−CH−O−CH−、−CH−O−CH−N(CH)−CH−、−CH=CH−N(CH)−CH−、=CH−N(CH)−CH−、=CH−N(CH)−CH−CH−、=CH−CH−N(CH)−CH−CH−、=CH−CH−N(CH)−CH−、−CH−S−、−CH−CH−S−、−CH−CH−CH−S−、−CH−CH−CH−CH−S−、−CH−S(=O)−、−CH−CH−S(=O)−、−CH−CH−CH−S(=O)−及び−CH−CH−CH−CH−S(=O)−を有する群から選択される。
【0030】
「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロシクリル」及び「シクロアルキル」との関連で、「モノ又はポリ置換されている」の概念は、本発明の範囲内で、1つ又は複数の水素原子が、F;Cl;Br;I;CN;CF;=O;=NH;=C(NH;NO;R;C(=O)H;C(=O)R;COH;C(=O)OR;CONH;C(=O)NHR;C(=O)N(R;OH;OR;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−C(=O)−R;O−C(=O)−O−R;O−(C=O)−NH−R;O−C(=O)−N(R;O−S(=O)−R;O−S(=O)OH;O−S(=O)OR;O−S(=O)NH;O−S(=O)NHR;O−S(=O)N(R;NH;NH−R;N(R;NH−C(=O)−R;NH−C(=O)−O−R;NH−C(=O)−NH;NH−C(=O)−NH−R;NH−C(=O)−N(R;NR−C(=O)−R;NR−C(=O)−O−R;NR−C(=O)−NH;NR−C(=O)−NH−R;NR−C(=O)−N(R;NH−S(=O)OH;NH−S(=O);NH−S(=O)OR;NH−S(=O)NH;NH−S(=O)NHR;NH−S(=O)N(R;NR−S(=O)OH;NR−S(=O);NR−S(=O)OR;NR−S(=O)NH;NR−S(=O)NHR;NR−S(=O)N(R;SH;SR;S(=O)R;S(=O);S(=O)OH;S(=O)OR;S(=O)NH;S(=O)NHR;S(=O)N(Rからなる群から選択される置換基によりそれぞれ相互に無関係にモノ又はポリ置換、例えばジ、トリ又はテトラ置換であると解釈され、この場合、ポリ置換された基とは、異なる原子又は同じ原子が複数箇所、例えばジ、トリ又はテトラ置換されている、例えばCF又はCHCFのように同じC原子にトリ置換されているか、又はCH(OH)−CH=CHClの場合のように異なる箇所で置換されている。置換基は、場合によりさらにそれ自体がモノ又はポリ置換されていてもよい。この多重置換は、同じ又は異なる置換基で行われていてもよい。
【0031】
有利な「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロシクリル」及び「シクロアルキル」置換基は、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;=O;=NH;R;C(=O)(R又はH);C(=O)O(R又はH);C(=O)N(R又はH);OH;OR;O−C(=O)−R;O−(C〜C−アルキル)−OH;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−(C〜C−アルキル)−O−C〜C−アルキル;OCF;N(R又はH);N(R又はH)−C(=O)−R;N(R又はH)−C(=O)−N(R又はH);SH;SCF;SR;S(=O);S(=O)O(R又はH)及びS(=O)−N(R又はH)からなる群から選択される。
【0032】
特に有利に「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロシクリル」及び「シクロアルキル」置換基は、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;=O;C〜C−アルキル;アリール;ヘテロアリール;C〜C10−シクロアルキル;ヘテロシクリル;C〜C−アルキルを介して架橋されたアリール、ヘテロアリール、C〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル;CHO;C(=O)C〜C−アルキル;C(=O)アリール;C(=O)ヘテロアリール;COH;C(=O)O−C〜C−アルキル;C(=O)O−アリール;C(=O)O−ヘテロアリール;CONH;C(=O)NH−C〜C−アルキル;C(=O)N(C〜C−アルキル);C(=O)NH−アリール;C(=O)N(アリール);C(=O)NH−ヘテロアリール;C(=O)N(ヘテロアリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(アリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(ヘテロアリール);C(=O)N(ヘテロアリール)(アリール);OH;O−C〜C−アルキル;OCF;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−(C〜C−アルキル)−OH;O−(C〜C−アルキル)−O−C〜C−アルキル;O−ベンジル;O−アリール;O−ヘテロアリール;O−C(=O)C〜C−アルキル;O−C(=O)アリール;O−C(=O)ヘテロアリール;NH;NH−C〜C−アルキル;N(C〜C−アルキル);NH−C(=O)C〜C−アルキル;NH−C(=O)−アリール;NH−C(=O)−ヘテロアリール;SH;S−C〜C−アルキル;SCF;S−ベンジル;S−アリール;S−ヘテロアリール;S(=O)〜C−アルキル;S(=O)アリール;S(=O)ヘテロアリール;S(=O)OH;S(=O)O−C〜C−アルキル;S(=O)O−アリール;S(=O)O−ヘテロアリール;S(=O)−NH−C〜C−アルキル;S(=O)−NH−アリール;及びS(=O)−NH−C〜C−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0033】
「アリール」及び「ヘテロアリール」との関連で、本発明の範囲内で、「モノ又はポリ置換された」とは、上記の環系の1つの原子又は場合により異なる原子の1つ又は複数の水素原子の1箇所若しくは複数箇所、例えば2箇所、3箇所又は4箇所が、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;R;C(=O)H;C(=O)R;COH;C(=O)OR;CONH;C(=O)NHR;C(=O)N(R;OH;OR;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−C(=O)−R;O−C(=O)−O−R;O−(C=O)−NH−R;O−C(=O)−N(R;O−S(=O)−R;O−S(=O)OH;O−S(=O)OR;O−S(=O)NH;O−S(=O)NHR;O−S(=O)N(R;NH;NH−R;N(R;NH−C(=O)−R;NH−C(=O)−O−R;NH−C(=O)−NH;NH−C(=O)−NH−R;NH−C(=O)−N(R;NR−C(=O)−R;NR−C(=O)−O−R;NR−C(=O)−NH;NR−C(=O)−NH−R;NR−C(=O)−N(R;NH−S(=O)OH;NH−S(=O);NH−S(=O)OR;NH−S(=O)NH;NH−S(=O)NHR;NH−S(=O)N(R;NR−S(=O)OH;NR−S(=O);NR−S(=O)OR;NR−S(=O)NH;NR−S(=O)NHR;NR−S(=O)N(R;SH;SR;S(=O)R;S(=O);S(=O)OH;S(=O)OR;S(=O)NH;S(=O)NHR;S(=O)N(Rからなる群から選択される置換基によりそれぞれ相互に無関係に置換されていることと解釈され;その際、この置換基は、場合によりそれ自体、さらにモノ又はポリ置換されていてもよい。この多重置換は、同じ置換基又は異なる置換基で行われる。
【0034】
有利な「アリール」及び「ヘテロアリール」置換基は、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;R;C(=O)(R又はH);C(=O)O(R又はH);C(=O)N(R又はH);OH;OR;O−C(=O)−R;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−(C〜C−アルキル)−O−C〜C−アルキル;OCF;N(R又はH);N(R又はH)−C(=O)−R;N(R又はH)−C(=O)−N(R又はH);SH;SCF;SR;S(=O);S(=O)O(R又はH);S(=O)−N(R又はH)である。
【0035】
特に有利に「アリール」及び「ヘテロアリール」置換基は、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;C〜C−アルキル;アリール;ヘテロアリール;C〜C10−シクロアルキル;ヘテロシクリル;C〜C−アルキルにより架橋されたアリール、ヘテロアリール、C〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル;CHO;C(=O)C〜C−アルキル;C(=O)アリール;C(=O)ヘテロアリール;COH;C(=O)O−C〜C−アルキル;C(=O)O−アリール;C(=O)O−ヘテロアリール;CONH;C(=O)NH−C〜C−アルキル;C(=O)N(C〜C−アルキル);C(=O)NH−アリール;C(=O)N(アリール);C(=O)NH−ヘテロアリール;C(=O)N(ヘテロアリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(アリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(ヘテロアリール);C(=O)N(ヘテロアリール)(アリール);OH;O−C〜C−アルキル;OCF;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−(C〜C−アルキル)−OH;O−(C〜C−アルキル)−O−C〜C−アルキル;O−ベンジル;O−アリール;O−ヘテロアリール;O−C(=O)C〜C−アルキル;O−C(=O)アリール;O−C(=O)ヘテロアリール;NH;NH−C〜C−アルキル;N(C〜C−アルキル);NH−C(=O)C〜C−アルキル;NH−C(=O)−アリール;NH−C(=O)−ヘテロアリール;SH;S−C〜C−アルキル;SCF;S−ベンジル;S−アリール;S−ヘテロアリール;S(=O)〜C−アルキル;S(=O)アリール;S(=O)ヘテロアリール;S(=O)OH;S(=O)O−C〜C−アルキル;S(=O)O−アリール;S(=O)O−ヘテロアリール;S(=O)−NH−C〜C−アルキル;S(=O)−NH−アリール;S(=O)−NH−C〜C−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0036】
本発明による化合物は、置換基により、例えばR、R及びR(第1世代の置換基)により定義され、前記置換基はそれ自体場合により置換されている(第2世代の置換基)。定義に応じて、この置換基の置換基はそれ自体新たに置換されていてもよい(第3世代の置換基)。例えばR=R、その際、R=アリール(第1世代の置換基)である場合、このアリールはそれ自体、例えばNHRにより置換されていてもよく、その際、R=C〜C10−アルキル(第2世代の置換基)である。このことから、官能基アリール−NHC〜C10−アルキルが生じる。C〜C10−アルキルは、次いでそれ自体新たに、例えばCl(第3世代の置換基)により置換されていてもよい。このことから、次いで全体として官能基アリール−NHC〜C10−アルキル−Clが生じる。
【0037】
有利な実施態様の場合に、この第3世代の置換基は新たに置換されることはできず、つまり、第4世代の置換基は存在しない。
【0038】
他の有利な実施態様の場合に、この第2世代の置換基は新たに置換されることはできず、つまり、第3世代の置換基は存在しない。換言すると、この実施態様の場合に、例えば一般式(1)の場合に、R〜Rの官能基は、それぞれ場合により置換されていてもよく、それぞれの置換基はそれ自体新たに置換されることができない。
【0039】
いくつかの場合に、本発明による化合物は、アリール基又はヘテロアリール基を表す又は有する置換基により定義されていて、これらの基はそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されているか、又はこれらの基が結合する1つ又は複数の環原子としての炭素原子又はヘテロ原子と一緒になって環、例えばアリール又はヘテロアリールを形成し、これらは非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている。このアリール基又はヘテロアリール基も、こうして形成された芳香族環系も、場合によりそれぞれ飽和又は不飽和のC〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリルで、つまりC〜C10−シクロアルキル、例えばシクロペンチル又はヘテロシクリル、例えばモルホリニルと縮合されていてもよく、その際、この縮合されたC〜C10−シクロアルキル基又はヘテロシクリル基はそれ自体それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。
【0040】
いくつかの場合に、本発明による化合物は、C〜C10−シクロアルキル基又はヘテロシクリル基を表す又は有する置換基により定義されていて、これらの基はそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されているか、又はこれらの基が結合する1つ又は複数の環原子としての炭素原子又はヘテロ原子と一緒になって環、例えばC〜C10−シクロアルキル又はヘテロアリールを形成し、これらは非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている。このC〜C10−シクロアルキル基又はヘテロシクリル基並びに形成された脂肪族環系は、場合によりアリール又はヘテロアリールと縮合されていてもよく、つまりアリール、例えばフェニル又はヘテロアリール、例えばピリジルと縮合されていてもよく、その際、こうして縮合されたアリール基又はヘテロアリール基は、それ自体非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。有利に、こうして作成された環系はアリールと、特に有利にフェニルと縮合されていてもよい。この置換基R及びR10は、例えばこれらが結合している窒素原子と一緒になってピペリジニルを形成する場合、このピペリジニル環はフェニルと縮合してテトラヒドロイソキノリニルになっていてもよい。
【0041】
本発明の範囲内で、式中に使用された
【0042】
【化3】

【0043】
の記号は、それぞれ包括的一般構造との相応する基の結合を表す。
【0044】
生理学的に許容される酸と形成される塩の概念とは、本発明の範囲内で、それぞれの有効物質と、生理学的に、特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する際に許容される無機酸若しくは有機酸との塩であると解釈される。特に、塩酸塩が有利である。生理学的に許容される塩の例は次のものである:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、サッカリン酸、モノメチルセバシン酸、5−オキソ−プロリン、ヘキサン−1−スルホン酸、ニコチン酸、2−、3−又は4−アミノ安息香酸、2,4,6−トリメチル−安息香酸、α-リポ酸、アセチルグリシン、馬尿酸、リン酸及び/又はアスパラギン酸。特に、クエン酸及び塩酸が有利である。
【0045】
カチオン又は塩基との生理学的に許容し得る塩は、アニオンとしてのそれぞれの化合物と、生理学的に、特にヒト及び/又は哺乳類に適用する場合に許容性である少なくとも1種の、有利に無機のカチオンとの塩である。特に有利なのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、並びにアンモニウム塩、特に(一)又は(二)ナトリウム塩、(一)又は(二)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩である。
【0046】
本発明の有利な実施態様の場合に、mは0を表す。
【0047】
本発明の同様に有利な実施態様の場合に、nは1、2又は3を表す。
【0048】
他の有利な実施態様の場合に、置換基R、R、R、R及びRは、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);あるいはC〜C−シクロアルキル又はヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)からなる群からそれぞれ相互に無関係に選択される。
【0049】
有利に、R、R、R、R及びRは、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群からそれぞれ相互に無関係に選択され、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている;あるいはC〜C−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)を意味する。
【0050】
特に有利に、R、R、R及びR4は、それぞれ相互に無関係に、H;F;Cl;CN;OCF;SCF;CF;CH又はOCHを意味し;
及びRは、H、F、Cl、OCF、SCF、C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、特にH、C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、さらに特に有利にH、CH、OCHを意味する。
【0051】
有利に、R6a及びR6bは、それぞれ相互に無関係にH;F;Cl;Br;I;メチル;エチル;n−プロピル;iso−プロピル;n−ブチル;sec−ブチル;tert−ブチル;OH;O−メチル又はO−エチル、特に有利にH、CH又はOCHを表す。
【0052】
は、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);あるいはC〜C−シクロアルキル又はC〜C−ヘテロシクリル(これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);あるいはアリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;NO;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)を意味する。
【0053】
特に有利に、Rは、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換である);C〜C−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル(これらは飽和又は不飽和で、非置換である);あるいはフェニル、フリル、チエニル又はピリジル(これらはそれぞれ非置換であるか又はF、Cl、Br、I、CN;CF、OCF、SCF、CH及びOCHからなる群からそれぞれ相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)を表す。
【0054】
本発明の有利な実施態様の場合には、mは0を表し、nは1、2又は3を表し、Rは、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されたアリール又はヘテロアリールを表す。
【0055】
本発明の特に有利な実施態様の場合には、mは0を表し、nは1を表し、Rは、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されたアリール又はヘテロアリールを表す。
【0056】
本発明のさらに特に有利な実施態様の場合には、mは0を表し、nは1を表し、Rは、フェニル、チエニル又はピリジルを表し、これらはそれぞれ非置換であるか又はF、Cl、Br、I、CN、CF、OCF、SCF、CH及びOCHからなる群から相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている。
【0057】
本発明の他の有利な実施態様の場合には、mは0を表し、nは1又は2を表し、Rは、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);あるいはC〜C10−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル)これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)を表す。
【0058】
本発明の他の有利な実施態様の場合には、mは0を表し、nは1又は2を表し、Rは、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);あるいはC〜C−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル(これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)を表す。
【0059】
本発明の他の有利な実施態様の場合に、mは0を表し、nは1又は2を表し、Rは、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、F、Cl、OCH及びCFからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);あるいはC〜C−シクロアルキル又はC〜C−ヘテロシクリル(これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、F、Cl、OCH及びCFからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)を表す。
【0060】
有利に、Rは、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されていて、その際、上記アルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる);又はC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されていて、その際、上記アルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる)を表す。
【0061】
特に有利に、Rは、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、=O、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、=O、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択されている1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル(これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、=O、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されていて、その際、上記のアルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる);あるいはC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、NH、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されていて、その際、上記のアルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる)からなる群から選択される。
【0062】
さらに特に有利に、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチル−シクロプロピル、メチル−シクロブチル、メチル−シクロペンチル、メチル−シクロヘキシル、エチル−シクロプロピル、エチル−シクロブチル、エチル−シクロペンチル、エチル−シクロヘキシル(これらはそれぞれ非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OCF、SCF、CF、及びOC〜C−アルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);又はフェニル、ベンジル又はフェネチル(これらはそれぞれ非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル、OC〜C−アルキル及びCNからなる群から選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)からなる群から選択される。
【0063】
次の群からなる化合物又はその生理学的に許容し得る塩が特に有利である:
1 2−シクロヘキシル−N−(2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン−3−イル)アセトアミド;
2 N−(2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
4 N−(2−(ペンチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
6 N−(2−(2−(フェニルチオ)エチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
7 N−(2−(エチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
9 N−(2−(エチルチオ)キノリン−3−イル)−3,3−ジメチルブタンアミド;
11 N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−3,3−ジメチルブチルアミド
12 3−シクロペンチル−N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−プロピオンアミド
14 2−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)−N−(2−エチルスルファニル−キノリン−3−イル)アセトアミド
15 3−シクロペンチル−N−(2−エチルスルファニル−キノリン−3−イル)−プロピオンアミド
16 2−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)−N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−アセトアミド
17 3−シクロペンチル−N−[2−エチルスルファニル−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−プロピオンアミド
18 N−[2−エチルスルファニル−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−2−チオフェン−2−イル−アセトアミド
本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びにそれぞれ相応する酸、塩基、塩及び溶媒和物は、医薬中の製剤学的有効物質として適している。
【0064】
従って、本発明の他の主題は、一般式(1)(式中、基R〜Rは上記の意味を有する)の少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種又は数種の製剤学的に許容された助剤を含有する医薬である。
【0065】
本発明による医薬は、少なくとも1種の本発明による化合物の他に、場合により適当な添加剤及び/又は助剤、並びに担持剤、充填剤、溶剤、希釈剤、着色剤及び/又は結合剤を含有し、かつ液状の医薬剤形として注射溶液、滴剤又は液剤の形態に、半固体の医薬剤形として顆粒剤、錠剤、ペレット、パッチ、カプセル、プラスター/スプレープラスター又はエアゾールの形態に加工することができる。この助剤等の選択並びにその使用されるべき量は従って、前記医薬が、経口、経口的、腸管外、静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、点鼻、バッカル、直腸又は局所、例えば皮膚、粘膜又は目に対して適用されるかどうかに依存する。経口適用のために、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、滴剤、液剤及びシロップ剤の形態の調製物が適しており、腸管外、局所及び吸入適用のために、溶液、懸濁液、容易に再構築可能な乾燥調製物並びにスプレー剤が適している。場合により皮膚浸透を促進する薬剤の添加下で、デポー剤、溶解した形態又はプラスターの形態の本発明による化合物は、適当な経皮適用調製物である。経口又は経皮適用することができる調製剤形は、それぞれ本発明による化合物を遅延放出することができる。本発明による化合物は、腸管外の長時間デポー剤形、例えばインプラント又はインプラントされたポンプの形でも適用することができる。原則として、本発明による医薬に、当業者に公知の他の有効物質が添加されていてもよい。
【0066】
この本発明による医薬は、KCNQ2/3−チャンネルに影響を及ぼすために適しており、かつアゴニスト作用又はアンタゴニスト作用、特にアゴニスト作用により優れている。
【0067】
有利に、本発明による医薬は、少なくとも部分的にKCNQ2/3−チャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のために適している。
【0068】
有利に、本発明による医薬は、痛み、有利に急性痛、慢性痛、神経障害性痛、筋肉性痛及び炎症性痛からなる群から選択される痛み;てんかん、尿失禁、不安状態、依存症、躁病、双極性障害、偏頭痛、認識疾患、失調症を関連する運動異常症及び/又は尿失禁からなる群から選択される1種又は数種の疾患の治療のために適している。
【0069】
特に有利に、本発明による医薬は、痛み、特に有利に慢性痛、神経障害性痛、炎症性痛及び筋肉性痛の治療のために適している。
【0070】
さらに、本発明による医薬は、特に有利にてんかんの治療のために適している。
【0071】
本発明の他の主題は、少なくとも部分的にKCNQ2/3−チャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のための医薬を製造するための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種又は数種の製剤学的に許容された助剤の使用である。
【0072】
痛み、有利に急性痛、慢性痛、神経障害性痛、筋肉性痛及び炎症性痛から選択される痛み;てんかん、尿失禁、不安状態、依存症、躁病、双極性障害、偏頭痛、認識障害、失調と関連する運動障害及び/又は尿失禁を治療するための医薬を製造するための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種若しくは数種の製剤学的に許容された助剤の使用が有利である。
【0073】
特に、痛みの治療のための、更に特に慢性痛、神経障害性痛、炎症性痛及び筋肉性痛の治療のための医薬を製造するための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種若しくは数種の製剤学的に許容された助剤の使用が有利である。
【0074】
さらに特に、てんかんの治療のための医薬の製造のための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並び場合により1種又は数種の製剤学的に許容された助剤の使用が有利である。
【0075】
本発明の他の主題は、少なくとも部分的にKCNQ2/3−チャンネルにより媒介される障害又は疾患を治療するための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種又は数種の製剤学的に許容された助剤である。
【0076】
本発明の他の主題は、痛み、有利に急性痛、慢性痛、神経障害性痛、筋肉性痛及び炎症性痛から選択される痛み;てんかん、尿失禁、不安状態、依存症、躁病、双極性障害、偏頭痛、認識障害、失調と関連する運動障害及び/又は尿失禁を治療するための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種若しくは数種の製剤学的に許容された助剤である。
【0077】
特に、痛みの治療のための、更に特に慢性痛、神経障害性痛、炎症性痛及び筋肉性痛の治療のための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並びに場合により1種若しくは数種の製剤学的に許容された助剤が有利である。
【0078】
特に、てんかんを治療するための、少なくとも1種の本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン並び場合により1種若しくは数種の製剤学的に許容された助剤も有利である。
【0079】
痛みに対するこの作用は、例えばベネットモデル若しくはチュングモデルで示すことができる(Bennett, G.J.及びXie, Y.K., A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man, Pain 1988, 33(1), 87-107; Kim, S.H.及びChung, J.M., An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat, Pain 1992, 50(3), 355-363)。てんかんに対するこの有効性は、例えばDBA/2マウスモデル(De Sarro et al.著, Naunyn-Schmiedeberg’s Arch. Pharmacol. 2001, 363, 330-336)において確認することができる。
【0080】
有利に、本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリンは、最高で10μM又は最高で5μM、特に最高で3μM又は最高で2μM、さらに有利に最高で1.5μM又は最高で1μM、最も有利に最高で0.8μM又は最高で0.4μM、殊に最高で0.3μM又は最高で0.2μMのEC50値を有する。EC50値の測定方法は、当業者に公知である。有利に、このEC50値の測定は、蛍光分析により行われ、特に有利に「薬理学的試験」に記載されたように行われる。
【0081】
本発明の他の主題は、本発明による置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリンの製造方法である。
【0082】
次に記載する反応において使用される薬品及び反応成分は市場で入手することができるか、又はそれぞれ当業者に公知の通常の方法により製造することができる。
【0083】
一般的な製造方法
スキーム1:
【0084】
【化4】

【0085】
段階w01において、2−ハロゲン−キノリンS−I(この場合、Xは、有利にF又は塩素を表す)を、当業者に公知の方法を用いて、例えばチオール、例えば3−メルカプトプロパン酸エチルエステルを用いた置換により、まず相応するチオエーテルに変換し、このチオエーテルを引き続き、場合により酸又は塩基の存在で分解して、チオールS−IIにすることができる。
【0086】
段階w02、w05及びw09において、化合物S−I、S−II及びS−Vのニトロ基を、当業者に周知の還元法を用いて、例えば酸性溶液中で金属の存在で、又は接触水素化により、相応するアミンS−III、S−VI及びS−IXに変換することができる。
【0087】
段階w07、w10、w13及びw14において、アミンS−III、S−VI、S−VIII及びS−IXは、相応するアミドS−VII、S−IX、S−XI及びS−XIIに変換することができる。これは、例えば、それぞれ酸塩化物R−C(=O)−Clを用いた反応により、当業者に周知の方法を用いて、場合により塩基の存在で、又は酸R−C(=O)−OHを用いた反応により、適当なカップリング試薬、例えばHATU又はCDIの存在で、場合により塩基の添加下で達成することができる。
【0088】
段階w04及びw15において、チオールS−II及びS−Xは相応するチオエーテルS−V及びS−XIIに、当業者に周知の方法を用いて変換することができる。この場合、チオールS−II及びS−Xは、例えば、それぞれアルキルハロゲン化物R−Halの使用により、場合により塩基の存在でアルキル化することができる。
【0089】
段階w03、w08及びw12において、チオエーテルS−V、S−VIII及びS−XIIは、2−ハロゲン−キノリンS−I、S−IV及びS−VII(この場合、Xはそれぞれハロゲン、有利にフッ素又は塩素を表す)から出発して、当業者に周知の方法を用いて、例えばそれぞれ相応するチオールR−SHを用いたアルキル化によりipso置換で、場合により塩基の存在により、生成することができる。
【0090】
段階w06及びw11において、第1級アミンS−III、S−IXを、当業者に公知の方法を用いて、例えば相応するアルデヒド又はケトンを用いた還元アミノ化を用いて、適切な還元剤の添加下で、化合物S−IV及びS−VIIIに変換することができる。
【0091】
段階w16において、アミドS−XIIは、当業者に公知の方法を用いて、適切なアルキル化剤の使用下で、場合により塩基の存在下で、N−アルキル化して、化合物S−XIにすることができる。
【0092】
これらの反応段階を実施するための当業者に周知の方法は、有機化学の基本図書、例えばJ. March著, Advanced Organic Chemistry, Wiley & Sons, 6th edition, 2007; F. A. Carey, R. J. Sundberg著, Advanced Organic Chemistry, Parts A and B, Springer, 5th edition, 2007); 共同著者, Compendium of Organic Synthetic Methods, Wiley & Sonsから推知することができる。さらに、他の方法並びに文献参照は、周知のデータベース、例えばElsevier社(Amsterdam, NL)のReaxys(登録商標)データベース又はAmerican Chemical SocietyのSciFinder(登録商標)データベース(Washington, US)によることができる。
【実施例】
【0093】
実施例合成の記載
省略記号
AcOH 酢酸
aq. 水性
ブライン 飽和NaCl水溶液
BuLi n−ブチルリチウム
d 日
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EE 酢酸エチル
ges. 飽和
h 時間
konz. 濃縮された
Lsg. 溶液
m/z 質量対電荷の比率
M モル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
MS 質量スペクトル分析
N/A 使用不可能
NEt トリエチルアミン
RG レチガビン
RT 室温 23±7℃
SC シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー
THF テトラヒドロフラン
vv 体積比率
詳細には記載されていない全ての出発材料は、市場で入手可能(提供元は、例えばMDL社(San Ramon, US)のSymyx(登録商標)Available Chemicalsデータベースでサーチすることができる)であるか、又はこの合成は専門文献に既に正確に記載されている(実験的手法は例えばElsevier社(Amsterdam, NL)のReaxys(登録商標)データベースでサーチすることができる)か、又は当業者に公知の方法により製造することができる。
【0094】
カラムクロマトグラフィー(SC)のための固定相として、シリカゲル60(0.040〜0.063mm)を使用した。
【0095】
全ての中間生成物及び実施例化合物の分析的特性決定は、H−NMR−分光分析を用いて行った。さらに、全ての実施例化合物及び選択された中間生成物について、質量分析調査(MS、[M+H]についてm/zの表示)を実施した。
【0096】
中間生成物の合成
中間生成物VA01の合成:2−(フェニルスルホニル)エタンチオール
a)S−2−(フェニルスルホニル)エチルエタンチオラートの合成
(2−クロロエチルスルホニル)ベンゼン10.0g(48.9mmol)のベンゼン(180ml)中の溶液に、NEt(3.6ml、25.8mmol)及びチオ酢酸3.5ml(49.0mmol)を添加し、引き続き80℃で3時間加熱した。その後、EEで希釈し、水及びブラインで洗浄した。この有機相を、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物として、S−2−(フェニルスルホニル)−エチルエタンチオラート11.6g(47.5mmol、97%)が得られ、これを付加的に精製することなしにさらに反応させた。
【0097】
b)2−(フェニルスルホニル)エタンチオールの合成
S−2−(フェニルスルホニル)−エチルエタンチオラート11.6g(47.5mmol)の10%メタノール性塩酸中の溶液を、80℃で24時間加熱した。引き続き、真空中で濃縮した。この残留物をEEに収容し、水及びブラインで洗浄した。この有機相を、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物として、2−(フェニルスルホニル)エタンチオール9.0g(44.5mmol、94%)が得られ、これを精製することなしにさらに反応させた。
【0098】
中間生成物VB01の合成:3−ニトロ−2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン
2−クロロ−3−ニトロキノリン1.21g(5.8mmol)のTHF(30ml)中の溶液に、連続して中間生成物VA01 1.76g(8.7mmol)及びカリウム−tert−ブチラート0.98g(8.7mmol)を添加し、室温で16時間撹拌した。その後、この反応溶液をEEで希釈し、水及びブラインで洗浄した。この有機相を、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。晶析(DCM/ヘキサン)により、3−ニトロ−2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン539mg(1.4mmol、25%)が得られた。
【0099】
中間生成物VC01の合成:2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン−3−アミン
中間生成物VB01 700mg(1.87mmol)のMeOH(10ml)中の溶液に、鉄粉290mg(5.2mmol)を添加し、0℃で冷却した。引き続き、濃塩酸3.7mlを滴加し、この場合、温度を0〜5℃に保持した。その後で、70℃で3時間加熱し、この反応溶液を室温に冷却した後にケイソウ土で濾過した。この濾液を真空中で濃縮し、NaHCO水溶液で塩基性に調節した。その後で、EEで抽出し、この有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。SC(EE/ヘキサン4:1)により、2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン−3−アミン341mg(0.99mmol、53%)が得られた。
【0100】
中間生成物VC05の合成:2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミン
a)2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−カルボン酸の合成
DIPEA1.9ml(11mmol)のTHF(77ml)中の溶液に、−78℃でBuLi(ヘキサン中で1M)11mlを滴加した。−78℃で30分間撹拌した後、2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン2.31g(10mmol)のTHF(30ml)中の溶液を添加し、−78℃でさらに30分間撹拌した。その後で、この反応溶液を、細かく砕いた固体のCOに注いだ。室温に温めた後にこのTHFの大部分を真空中で除去した。次いで、1M NaOH水溶液を添加し、この相を分離した。この水相を、10%塩酸で酸性化し、EEで抽出した。この有機相を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物として、2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−カルボン酸2.12g(7.7mmol、71%)が得られ、これを付加的に精製することなしにさらに反応させた。
【0101】
b)2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミンの合成
2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−カルボン酸1.4g(5mmol)のベンゼン(500ml)中の溶液に、室温でジフェニルホスホリルアジド20.6g(75mmol)を添加し、引き続き90℃で5時間加熱した。次いで、真空中で濃縮し、この残留物をTHF(80ml)で収容した。この溶液に4N LiOH水溶液(30ml)を添加し、室温で1時間撹拌した。引き続き、水で希釈し、EEで抽出した。この有機相を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この残留物のSC(ヘキサン/EE9:1)により、2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミン310mg(1.3mmol、26%)が得られた。
【0102】
中間生成物VC06の合成:2−(エチルチオ)−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミン
a)2−(2−クロロ−4−メチルキノリン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオンの合成
N−(2−アセチルフェニル)−2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−アセトアミド2.7g(6.9mmol)のDMF(27ml)中の溶液に、KCO 1.4g(10.4mmol)を添加し、60℃で16時間加熱した。室温に冷却した後に2N塩酸でpH2〜3に調節した。この生じた沈殿物を吸引濾過し、真空中で70℃で乾燥した。この残留物にPOCl 9ml(97mmol)を添加した。この溶液を、100℃で2時間加熱し、引き続き室温でさらに16時間撹拌した。その後でトルエンを添加し、真空中で濃縮した。この工程を繰り返し、その際、残留物として2−(2−クロロ−4−メチルキノリン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン2.13g(5.5mmol、79%)が得られ、これを付加的に精製することなしにさらに反応させた。
【0103】
b)2−(2−(エチルチオ)−4−メチルキノリン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオンの合成
2−(2−クロロ−4−メチルキノリン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン2.1g(5.1mmol)のDMF(36ml)中の溶液に、続けてKCO 2.1g(15.4mmol)及びエタンチオール760μl(10.3mmol)を添加した。引き続き、60℃で16時間加熱した。その後で、新たにKCO 2.1g(15.4mmol)及びエタンチオール760μl(10.3mmol)を添加し、これをもう一度50℃で16時間加熱した。室温に冷却した後に水で希釈し、EEで2回抽出した。この合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物として、2−(2−(エチルチオ)−4−メチルキノリン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン1.7g(4.0mmol、78%)が得られ、これを付加的に精製することなしにさらに反応させた。
【0104】
c)2−(エチルチオ)−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミンの合成
2−(2−(エチルチオ)−4−メチルキノリン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン1.67g(4.0mmol)及びヒドラジンヒドラート0.5g(8.0mmol)のEtOH(60ml)中の溶液を70℃で4時間加熱し、引き続き室温で16時間撹拌した。その後で、この反応溶液をEE(2×50ml)で抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この残留物のSC(ヘキサン/EE3:1)により、2−(エチルチオ)−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミン656mg(2.3mmol、57%)が得られた。
【0105】
他の中間生成物の合成
他の中間生成物の合成は、既に記載された方法により行った。表1中に、どの化合物がどの方法によって製造されたかが記載されている。当業者には、この場合、どの出発物質及び試薬がそれぞれ使用されたかは明らかである。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例化合物の合成
実施例化合物3の合成:3−シクロヘキシル−N−(2−(2−(フェニルスルホニル)−エチルチオ)キノリン−3−イル)プロパンアミド
中間生成物VC01 250mg(0.73mmol)のDCM(4ml)中の溶液に、DIPEA255μl(2.6mmol)を添加し、0℃に冷却した。引き続き、3−シクロヘキシル−プロパン酸クロリド128mg(0.73mmol)を添加した。その後に、この反応溶液を室温で16時間撹拌し、引き続き、DCMで希釈し、飽和NaCO水溶液及びブラインで洗浄した。この有機相を、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。SC(EE/ヘキサン4:1)により、3−シクロヘキシル−N−(2−(2−(フェニルスルホニル)−エチルチオ)キノリン−3−イル)プロパンアミド162mg(0.34mmol、46%)が得られた。MS:m/z 483.2[M+H]
【0108】
実施例化合物10の合成:N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)−キノリン−3−イル]−2−チオフェン−2−イル−アセトアミド
a)N−(2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミドの合成
2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−アミン(VC05)493mg(2mmol)のDCM(14ml)中の溶液に、0℃で、続けてDIPEA373μl(4mmol)及び2−(チオフェン−2−イル)アセチルクロリド385mg(2.4mmol)を添加した。室温で16時間撹拌した後にDCMで希釈した。次いで、水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この残留物のSC(ヘキサン/EE19:1)により、N−(2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド321mg(0.87mmol、44%)が得られた。
【0109】
b)N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)−キノリン−3−イル]−2−チオフェン−2−イル−アセトアミドの合成
N−(2−クロロ−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド300mg(0.81mmol)%)のDMF(6ml)中の溶液に、KCO 331mg(2.4mmol)及びエタンチオール40mg(1.6mmol)を添加し、60℃で16時間加熱した。その後、水で希釈し、EEで抽出した。この有機相を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この残留物のSC(ヘキサン/EE9:1)により、N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)−キノリン−3−イル]−2−チオフェン−2−イル−アセトアミド242mg(0.6mmol、74%)が得られた。MS:m/z 397.1[M+H]
【0110】
実施例化合物13の合成:2−シクロヘキシル−N−(2−エチルスルファニル−キノリン−3−イル)−アセトアミド
2−シクロヘキシル酢酸427mg(3mmol)のDCM(45ml)中の懸濁液に、0℃で塩化オキサリル760mg(6mmol)及び触媒量のDMF(100μl)を添加した。室温で4h撹拌した後に、真空中で濃縮した。この残留物をジオキサン(30ml)で収容し、NaHCO 670mg(8mmol)を添加した。室温で5分間撹拌した後に、2−(エチルチオ)キノリン−3−アミン(VC04)408mg(2mmol)を添加した。室温で16時間撹拌した後に、この反応溶液をEEで希釈し、飽和NaHCO水溶液及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この残留物のSC(ヘキサン/EE19:1)により、2−シクロヘキシル−N−(2−エチルスルファニル−キノリン−3−イル)−アセトアミド397mg(1.0mmol、51%)が得られた。MS:m/z 329.2[M+H]
【0111】
他の実施例化合物の合成
他の実施例化合物の合成は、既に記載された方法により行った。表2中に、どの化合物がどの方法により製造されたかが記載されている。当業者には、この場合、どの出発物質及び試薬がそれぞれ使用されたかは明らかである。
【0112】
【表2】

【0113】

【0114】
薬理学的試験
「膜電位感受性色素(voltage sensitive dyes)」の使用下での蛍光アッセイ
ヒトKCNQ2/3チャンネルを発現するCHO−K1−細胞を、細胞培養フラスコ(例えば80cmのTCフラスコ、Nunc)中で、10%FCS(PAN Biotech,例えば3302-P270521)を含むDMEM−ハイ−グルコース(Sigma Aldrich, D7777)又は別のMEMアルファ媒体(MEM Alpha Medium)(1×、液状、Invitrogen、#22571)、10%牛胎児血清(FCS)(Invitrogen、#10270-106、熱により不活性化)及び必要な選択抗生物質と共に、37℃、5%CO及び95%空気湿度で接着性に培養した。
【0115】
測定のために播種する前に、前記細胞をCa2+/Mg2+なしの1×DPBS緩衝液(例えば、Invitrogen、#14190-094)で洗浄し、Accutase(PAA Laboratories、#L11-007)を用いて培養容器の底部から剥離させた(37℃で15分間Accutaseと一緒にインキュベーション)。次に存在する細胞数の決定を、CASYTM細胞カウンター(モデルTCC、Schaerfe System)を用いて実施し、引き続き密度最適化に応じて個々のセルラインに対して20000〜30000細胞/ウェル/前記培養基100μlを、タイプCorningTMCellBINDTMの96ウェル−測定プレート(Flat Clear Bottom Black Polystyrene Microplates, #3340)上に播種した。その後に、室温で通気なし又は空気湿度の調節なしで1時間のインキュベーションを行い、37℃、5%CO及び95%空気湿度での24時間のインキュベーションを続けた。
【0116】
膜電位アッセイキット(RedTM Bulk format part R8123 for FLIPR, MDS Analytical TechnologiesTM)からの電位感受性蛍光染料を、膜電位アッセイキットのレッドコンポーネントA(Membrane Potential Assay Kit Red Component A)の容器の内容物を細胞外緩衝液(ES緩衝液、120mM NaCl、1mM KCl、10mM HEPES、2mM CaCl、2mM MgCl、10mM グルコース;pH7.4)200ml中に溶かすことにより準備した。培養基を除去した後に、前記細胞をES緩衝液200μlで洗浄し、引き続き上記の染料溶液100μlで覆い、室温で45分間光遮断下でインキュベーションした。
【0117】
この蛍光測定を、BMG Labtech FLUOstarTM装置、BMG Labtech NOVOstarTM装置又はBMG Labtech POLARstarTM装置を用いて実施した(525nmエクシケーション、560nmエミッション、ボトムリードモード(Bottom Read mode))。染料−インキュベーションの後に、試験すべき物質50μlを所望の濃度で、又は対照の目的でES緩衝液50μlを測定プレートの別々のキャビティ中に添加し、室温で30分間光遮断下でインキュベートした。引き続き、5分間染料の蛍光強度を測定し、規定された一定の時点で、それぞれのウェルの蛍光値Fを決定した。それに基づいて、それぞれのウェル中に100mM KCl溶液(最終濃度92mM)15μlの添加を行った。前記の蛍光の変化を、引き続き、全ての適切な測定値が得られるまで(特に5〜30分間)測定した。KCl適用後の規定された時点で、この場合に蛍光ピークの時点が生じる蛍光値Fを測定する。
【0118】
算出のために、前記蛍光強度Fを蛍光強度Fと比較し、そこから目標化合物のカリウムチャンネルに関するアゴニスト活性を決定した。FとFとはこのために次のように比較した:
【0119】
【数1】

【0120】
物質がアゴニスト活性を有しているかどうかを決定するために、例えば、
【0121】
【数2】

【0122】
を、対照細胞の
【0123】
【数3】

【0124】
と比較することができる。
【0125】
【数4】

【0126】
は、前記反応バッチに、試験すべき物質の代わりに、緩衝剤溶液だけを添加し、蛍光強度の値F1Kを決定し、カリウムイオンを前記したのと同様に添加し、蛍光強度の値F2Kを測定することにより算出した。次いで、F2KとF1Kとを次のように差し引き計算した:
【0127】
【数5】

【0128】
【数6】

【0129】

【0130】
【数7】

【0131】
よりも大きい場合に、物質がカリウムチャンネルに関するアゴニスト活性を有する:
【0132】
【数8】

【0133】
【数9】

【0134】

【0135】
【数10】

【0136】
との比較とは無関係に、目標化合物の用量の増加と共に
【0137】
【数11】

【0138】
の増加が観察できる場合には、前記目標化合物のアゴニスト活性に関しても推論される。
【0139】
EC50値の計算は、「Prism v4.0」(GraphPad SoftwareTM)のソフトウェアを用いて実施した。
【0140】
ホルマリン試験 マウス
このホルマリン試験(Dubuisson, D.及び Dennis, S.G.著、1977、Pain, 4, 161 - 174)は、急性痛並びに慢性痛のためのモデルである。後ろ脚の背側への1回のホルマリン注射により、自由に運動可能な試験動物において、2相性の侵害受容反応を誘導し、この侵害受容反応は明らかに相互に異なる3種の行動パターンの観察により捉えられる。この反応は2相性である:フェーズ1=即時反応(10分までの時間;脚振り、脚なめ)、フェーズ2=後期反応(休止フェーズの後;同様に脚振り、脚なめ、60分までの時間)。この第1フェーズは、高い脊髄性の侵害受容性インプットによる末梢ノシセンサーの直接的刺激を反映する(急性痛フェーズ);この第2フェーズは脊髄性及び末梢性の過敏化を反映する(慢性痛フェーズ)。本願明細書に紹介された試験で、慢性痛コンポーネント(フェーズ2)を評価した。
【0141】
ホルマリンは、20μlの容量で、かつ1%の濃度でそれぞれの動物の右の後ろ脚の背側に皮下適用する。この特異的な運動変化、例えば後ろ脚を持ち上げる、後ろ脚を振る又はなめる(スコア3、Dubuisson & Dennis, 1977)を、ホルマリン注射後の21〜24分の観察期間内で観察しかつ記録する。物質投与後の動物(物質投与あたりn=10)のこの運動は、付形剤を投与した対照群(n=10)と比較した。
【0142】
痛み挙動の数値化に基づき、ホルマリン試験における物質作用を対照に対する変化率として百分率で測定する。ED50(ED50=平均有効用量)の計算は、Litchfield及びWilcoxonの方法(Litchfield, J.T., Wilcoxon, J.J.著, 1949, J. Pharmacol. Exp. Ther. 96, 99 - 113)による回帰分析を用いて行った。ホルマリン注射の前に化合物の投与を行った時点は、静脈内適用の場合5分であり、経口投与の場合30分であった。
【0143】
薬理学的データ
表3中で、上述に記載された薬理学的モデルからの結果がまとめられている。
【0144】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その遊離化合物又は生理学的に許容し得る酸又は塩基の塩の形で、一般式(1)
【化1】

[式中、
mは、0又は1を表し、及び
nは、0〜4の整数を表し、
、R、R、R、R、R6a、R6bは、それぞれ相互に無関係に、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C10−アルキル、O−C〜C10−アルキル、O−C(=O)−C〜C10−アルキル、S−C〜C10−アルキル、NH(C〜C10−アルキル)、N(C〜C10−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C10−アルキル、N(C(=O)−C〜C10−アルキル)又はC(=O)−C〜C10−アルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);を表し、
Yは、0又はNRを表し、
この場合、Rは、H又は飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されているC〜C−アルキルを表し、
は、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル(これは飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)を表し;
但し、Rがヘテロシクリルを表す場合に、このヘテロシクリルと包括的般構造との結合は、ヘテロシクリルの1つの炭素原子を介して行うことができるものとし、かつ
但し、Rがアリール又はヘテロアリールを表す場合には、nとmとの合計は1以上であるものとし;
は、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)なる群から選択され、この場合、アルキル−又はヘテロアリール鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができ、
その際、「置換されたアルキル」、「置換されたヘテロアルキル」、「置換されたヘテロシクリル」及び「置換されたシクロアルキル」は、それぞれ相互に無関係に、1つ又は複数の水素原子のF;Cl;Br;I;CN;CF;=O;=NH;=C(NH;NO;R;C(=O)H;C(=O)R;COH;C(=O)OR;CONH;C(=O)NHR;C(=O)N(R;OH;OR;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−C(=O)−R;O−C(=O)−O−R;O−(C=O)−NH−R;O−C(=O)−N(R;O−S(=O)−R;O−S(=O)OH;O−S(=O)OR;O−S(=O)NH;O−S(=O)NHR;O−S(=O)N(R;NH;NH−R;N(R;NH−C(=O)−R;NH−C(=O)−O−R;NH−C(=O)−NH;NH−C(=O)−NH−R;NH−C(=O)−N(R;NR−C(=O)−R;NR−C(=O)−O−R;NR−C(=O)−NH;NR−C(=O)−NH−R;NR−C(=O)−N(R;NH−S(=O)OH;NH−S(=O);NH−S(=O)OR;NH−S(=O)NH;NH−S(=O)NHR;NH−S(=O)N(R;NR−S(=O)OH;NR−S(=O);NR−S(=O)OR;NR−S(=O)NH;NR−S(=O)NHR;NR−S(=O)N(R;SH;SR;S(=O)R;S(=O);S(=O)H;S(=O)OH;S(=O)OR;S(=O)NH;S(=O)NHR;S(=O)N(R;による置換を表し;
その際、「置換されたアリール」及び「置換されたヘテロアリール」は、それぞれ相互に無関係に、1つ又は複数の水素原子のF;Cl;Br;I;NO;CF;CN;R;C(=O)H;C(=O)R;COH;C(=O)OR;CONH;C(=O)NHR;C(=O)N(R;OH;OR;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−C(=O)−R;O−C(=O)−O−R;O−(C=O)−NH−R;O−C(=O)−N(R;O−S(=O)−R;O−S(=O)OH;O−S(=O)OR;O−S(=O)NH;O−S(=O)NHR;O−S(=O)N(R;NH;NH−R;N(R;NH−C(=O)−R;NH−C(=O)−O−R;NH−C(=O)−NH;NH−C(=O)−NH−R;NH−C(=O)−N(R;NR−C(=O)−R;NR−C(=O)−O−R;NR−C(=O)−NH;NR−C(=O)−NH−R;NR−C(=O)−N(R;NH−S(=O)OH;NH−S(=O);NH−S(=O)OR;NH−S(=O)NH;NH−S(=O)NHR;NH−S(=O)N(R;NR−S(=O)OH;NR−S(=O);NR−S(=O)OR;NR−S(=O)NH;NR−S(=O)NHR;NR−S(=O)N(R;SH;SR;S(=O)R;S(=O);S(=O)OH;S(=O)OR;S(=O)NH;S(=O)NHR;S(=O)N(R;による置換を表し;及び
は、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和、非置換であるか又はモノ又はポリ置換され、この場合、アルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であるか、モノ又はポリ置換されていてもよい);又はC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換され、この場合、このアルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であるか、モノ又はポリ置換されていてもよい)を表す]
で表わされる置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン。
【請求項2】
がヘテロシクリルを表す場合に、このヘテロシクリルと包括的般構造との結合は、ヘテロシクリルの1つの炭素原子を介して行われる、請求項1に記載のメルカプトキノリン。
【請求項3】
「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロシクリル」又は「シクロアルキル」置換基の場合に、これらの置換基は、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;=O;C〜C−アルキル;アリール;ヘテロアリール;C〜C10−シクロアルキル;ヘテロシクリル;C〜C−アルキルを介して架橋されたアリール、ヘテロアリール、C〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル;CHO;C(=O)C〜C−アルキル;C(=O)アリール;C(=O)ヘテロアリール;COH;C(=O)O−C〜C−アルキル;C(=O)O−アリール;C(=O)O−ヘテロアリール;CONH;C(=O)NH−C〜C−アルキル;C(=O)N(C〜C−アルキル);C(=O)NH−アリール;C(=O)N(アリール);C(=O)NH−ヘテロアリール;C(=O)N(ヘテロアリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(アリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(ヘテロアリール);C(=O)N(ヘテロアリール)(アリール);OH;O−C〜C−アルキル;OCF;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−(C〜C−アルキル)−OH;O−(C〜C−アルキル)−O−C〜C−アルキル;O−ベンジル;O−アリール;O−ヘテロアリール;O−C(=O)C〜C−アルキル;O−C(=O)アリール;O−C(=O)ヘテロアリール;NH;NH−C〜C−アルキル;N(C〜C−アルキル);NH−C(=O)C〜C−アルキル;NH−C(=O)−アリール;NH−C(=O)−ヘテロアリール;SH;S−C〜C−アルキル;SCF;S−ベンジル;S−アリール;S−ヘテロアリール;S(=O)〜C−アルキル;S(=O)アリール;S(=O)ヘテロアリール;S(=O)OH;S(=O)O−C〜C−アルキル;S(=O)O−アリール;S(=O)O−ヘテロアリール;S(=O)−NH−C〜C−アルキル;S(=O)−NH−アリール;及びS(=O)−NH−C〜C−ヘテロアリールからなる群から選択され、及び
「アリール」又は「ヘテロアリール」置換基の場合に、これらの置換基は、F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;C〜C−アルキル;アリール;ヘテロアリール;C〜C10−シクロアルキル;ヘテロシクリル;C〜C−アルキルにより架橋されたアリール、ヘテロアリール、C〜C10−シクロアルキル又はヘテロシクリル;CHO;C(=O)C〜C−アルキル;C(=O)アリール;C(=O)ヘテロアリール;COH;C(=O)O−C〜C−アルキル;C(=O)O−アリール;C(=O)O−ヘテロアリール;CONH;C(=O)NH−C〜C−アルキル;C(=O)N(C〜C−アルキル);C(=O)NH−アリール;C(=O)N(アリール);C(=O)NH−ヘテロアリール;C(=O)N(ヘテロアリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(アリール);C(=O)N(C〜C−アルキル)(ヘテロアリール);C(=O)N(ヘテロアリール)(アリール);OH;O−C〜C−アルキル;OCF;−O−(C〜C−アルキル)−O−;O−(C〜C−アルキル)−OH;O−(C〜C−アルキル)−O−C〜C−アルキル;O−ベンジル;O−アリール;O−ヘテロアリール;O−C(=O)C〜C−アルキル;O−C(=O)アリール;O−C(=O)ヘテロアリール;NH;NH−C〜C−アルキル;N(C〜C−アルキル);NH−C(=O)C〜C−アルキル;NH−C(=O)−アリール;NH−C(=O)−ヘテロアリール;SH;S−C〜C−アルキル;SCF;S−ベンジル;S−アリール;S−ヘテロアリール;S(=O)〜C−アルキル;S(=O)アリール;S(=O)ヘテロアリール;S(=O)OH;S(=O)O−C〜C−アルキル;S(=O)O−アリール;S(=O)O−ヘテロアリール;S(=O)−NH−C〜C−アルキル;S(=O)−NH−アリール;S(=O)−NH−C〜C−ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のメルカプトキノリン。
【請求項3】
、R、R、R及びRの場合に、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群からそれぞれ相互に無関係に選択され、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている;C〜C−シクロアルキル又は−ヘテロシクリル、これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている、請求項1から2のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項4】
、R、R及びRは、それぞれ相互に無関係に、H;F;Cl;CN;OCF;SCF;CF;CH又はOCHを表し、及び
は、H、F、Cl、OCF、SCF、C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキルを表す、請求項1から3のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項5】
6a及びR6bは、それぞれ相互に無関係にH;F;Cl;Br;I;メチル;エチル;n−プロピル;iso−プロピル;n−ブチル;sec−ブチル;tert−ブチル;OH;O−メチル又はO−エチルを表す、請求項1から4のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項6】
は、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換である);C〜C−シクロアルキル又はC〜C−ヘテロシクリル(これらは飽和又は不飽和で、非置換である);フェニル、フリル、チエニル又はピリジル(これらはそれぞれ非置換であるか又はF、Cl、Br、I、CN;CF、OCF、SCF、CH及びOCHからなる群からそれぞれ相互に無関係に選択された1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている)を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項7】
mは0を表し、nは1を表し、Rは、それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されたアリール又はヘテロアリールを表す、請求項1から5のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項8】
mは0を表し、nは1又は2を表し、Rは、C〜C10−アルキル又はC〜C10−ヘテロアルキル(これらは飽和又は不飽和で;分枝又は非分枝で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項9】
は、C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、分枝又は非分枝で、非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、=O、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);C〜C10−シクロアルキル又はC〜C10−ヘテロシクリル(これらはそれぞれ飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、=O、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;NO;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、H;F;Cl;Br;I;CF;CN;OH;OCF;SH;SCF;NH;C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル、O−C(=O)−C〜C−アルキル、S−C〜C−アルキル、NH(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル)、NH−C(=O)−C〜C−アルキル、N(C(=O)−C〜C−アルキル)又はC(=O)−C〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されている);C〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたC〜C10−シクロアルキル(これらは飽和又は不飽和で、非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、=O、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換されていて、その際、上記のアルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる);又はC〜C−アルキル又はC〜C−ヘテロアルキルを介して架橋されたアリール又はヘテロアリール(これらはそれぞれ非置換であるか又は、F、Cl、Br、I、OH、NH、OCF、SCF、CF、C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルからなる群から相互に無関係に選択される1つ又は複数の置換基でモノ又はポリ置換され、その際、そのアルキル鎖又はヘテロアルキル鎖は、それぞれ分枝又は非分枝で、飽和又は不飽和で、非置換であることができる)からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のメルカプトキノリン。
【請求項10】
次の群
1 2−シクロヘキシル−N−(2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン−3−イル)アセトアミド;
2 N−(2−(2−(フェニルスルホニル)エチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
4 N−(2−(ペンチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
6 N−(2−(2−(フェニルチオ)エチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
7 N−(2−(エチルチオ)キノリン−3−イル)−2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド;
9 N−(2−(エチルチオ)キノリン−3−イル)−3,3−ジメチルブタンアミド;
11 N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−3,3−ジメチルブチルアミド
12 3−シクロペンチル−N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−プロピオンアミド
14 2−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)−N−(2−エチルスルファニル−キノリン−3−イル)アセトアミド
15 3−シクロペンチル−N−(2−エチルスルファニル−キノリン−3−イル)−プロピオンアミド
16 2−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)−N−[2−エチルスルファニル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−アセトアミド
17 3−シクロペンチル−N−[2−エチルスルファニル−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−プロピオンアミド
18 N−[2−エチルスルファニル−4−メチル−7−(トリフルオロメチル)キノリン−3−イル]−2−チオフェン−2−イル−アセトアミド
から選択される、請求項1に記載のメルカプトキノリン又はその生理学的に許容し得る塩。
【請求項11】
個々の立体異性体又はその混合物、遊離化合物及び/又はその生理学的に許容性の塩の形態での請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の3−アミノ−2−メルカプトキノリン、並びに場合により適当な添加剤及び/又は助剤及び/又は場合により他の有効物質を含有する医薬。
【請求項12】
痛み、てんかん、尿失禁、不安状態、依存症、躁病、双極性障害、偏頭痛、認識障害、失調と関連する運動障害及び/又は尿失禁の治療のための医薬を製造するための、個々の立体異性体又はその混合物、遊離化合物及び/又はその生理学的に許容し得る塩の形態での請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の3−アミノ−2−メルカプトキノリンの使用。
【請求項13】
痛み、てんかん、尿失禁、不安状態、依存症、躁病、双極性障害、偏頭痛、認識障害、失調と関連する運動障害及び/又は尿失禁の治療のための、個々の立体異性体又はその混合物、遊離化合物及び/又はその生理学的に許容し得る塩の形態での請求項1から10のいずれか一項に記載の置換された3−アミノ−2−メルカプトキノリン。

【公表番号】特表2012−521966(P2012−521966A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553339(P2011−553339)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001449
【国際公開番号】WO2010/102779
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】