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LEDデバイス
説明

LEDデバイス

【課題】光取出し効率が高く、光が一方向に放出されるため、照明用途として明るい光を得ることができ、また、封止材や内部の金属部材の劣化や変色等の問題がなく、信頼性、耐久性に優れ、しかも、デバイス組立て時の封止材層のダメージの問題や、封止材表面のベタツキの問題もなく、更には製造も容易なLEDデバイスを提供する。
【解決手段】凹型パッケージ1、凹型パッケージ1の凹部2内に収納されたLED素子3、及び凹型パッケージ1内に充填された蛍光体4及び封止材5を有し、凹型パッケージ1の凹部2の開口部がシリカ膜20で被覆されているLEDデバイス10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)デバイスに関するものであり、詳しくは、光取出し効率が高く、また信頼性、耐久性に優れると共に、製造も容易なLEDデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力化、環境への影響性及び長寿命などの観点から、各種光源や照明の代替として発光ダイオード(LED)が利用されつつある。
【0003】
従来、LEDデバイスとして、凹型パッケージ、該凹型パッケージの凹部内に収納されたLED素子、及び該凹型パッケージ内に充填された封止材を有するLEDデバイスが知られている。しかし、このLEDデバイスは、デバイスの組立て時に、LED素子を封止する封止材層がダメージを受けたり、封止材表面のベタツキにより、製造ラインでパッケージがくっついたり、パッケージに汚れが付着するという問題があった。また、LEDデバイス中の銀ワイヤーなどの金属部材の酸化劣化、変色、封止材である樹脂の透湿による加水分解劣化、封止材である樹脂の硫黄吸着による変色などの問題もあった。
【0004】
また、LEDデバイスでは、一般にLED素子から出た光を、蛍光体を有する封止材層で拡散させ、波長変換された光を取り出している。その際、封止材層の屈折率の影響により、光取出し側から出射しようとする光のうち、層界面に臨界角以上で出射しようとする光は、全反射して封止材層内に閉じ込められてしまい、外部に取り出すことができない。よって、光取出し効率の向上は大きな課題となっている。
【0005】
特許文献1には、外部からの水分や酸素等の素子劣化因子が素子内部に入るのを抑制するために、光散乱層と同程度の屈折率を有する保護層を設けることが示されている。しかし、特許文献1では、第1の散乱部、第2の散乱部、保護層と多層に積層しており、積層工程が増える点において工業化が困難である。
【0006】
特許文献2には、発光素子の全面を均一な厚さのハイブリット材料からなる連続膜で被覆して、光学特性、耐変色性、耐候性を安定させることが示されている。しかし、発光素子の全面をハイブリット材料膜で被覆する工程は、非常に複雑な工程であり、製造が難しい。また、特許文献2に記載される被覆タイプでは、光が多方向に放出されてしまい、所望の一方向に高い光束密度の明るい光を取り出すことが要求される照明用途では、明るさが不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−97873号公報
【特許文献2】特開2007−96148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、光取出し効率が高く、光が一方向に放出されるため、照明用途として明るい光を得ることができ、また、封止材や内部の金属部材の劣化や変色等の問題がなく、信頼性、耐久性に優れ、しかも、デバイス組立て時の封止材層のダメージの問題や、封止材表面のベタツキの問題もなく、更には製造も容易なLEDデバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、凹型パッケージの凹部内にLED素子を配設して蛍光体と共に封止材で封止したLEDデバイスにおいて、凹型パッケージの凹部の開口部にシリカ膜を設けることによって、上記課題を解決することができることを見出した。
【0010】
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0011】
[1] 凹型パッケージ、該凹型パッケージの凹部内に収納されたLED素子、及び該凹型パッケージ内に充填された蛍光体及び封止材を有するLEDデバイスであって、該凹型パッケージの前記凹部の開口部がシリカ膜で被覆されていることを特徴とするLEDデバイス。
【0012】
[2] 前記シリカ膜は、空隙率が25%以上の多孔性膜であり、該シリカ膜の屈折率が前記封止材の屈折率より低いことを特徴とする[1]に記載のLEDデバイス。
【0013】
[3] 前記シリカ膜の最頻空隙径が0.5〜10nmであることを特徴とする[2]に記載のLEDデバイス。
【0014】
[4] 前記シリカ膜の膜厚が60〜160nmであることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のLEDデバイス。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、凹型パッケージの凹部の開口部、即ち、封止材層の上に、シリカよりなる被覆膜を設けることにより、以下のような優れた作用効果で、光取出し効率が高く、また光が一方向に放出されるため、照明用途として明るい光を得ることができ、封止材や内部の金属部材の劣化や変色等の問題がなく、信頼性、耐久性に優れ、しかも、デバイス組立て時の封止材層のダメージの問題や、封止材表面のベタツキの問題もなく、更には製造も容易なLEDデバイスが提供される。
【0016】
(1) 凹型パッケージの封止材層の上にシリカ膜を設けることにより、デバイスの組立て時に生じる問題を回避することができる。例えば、LED素子を封止する封止材層がデバイスの組立て時にダメージを受けることを防ぐことができ、また、封止材のベタツキにより、製造ラインでデバイスがくっついたり、デバイスに汚れが付着したりすることを防ぐことができる。
(2) 表面にシリカ膜の無機材料被覆層が存在することで、銀ワイヤーなどの金属部材の酸化劣化や変色、封止材である樹脂の透湿による加水分解劣化、樹脂の硫黄吸着による変色などを防ぐことができる。
(3) シリカは、LED素子から出る光や熱によって分解されず、劣化しにくい。また、ガスや不純物の発生がないため、素子を汚染させることがない。このため、シリカ膜の形成により、LED素子としての性能を損なうことはない。
(4) シリカは屈折率が低いため、光の出射界面にシリカ膜を設けることにより、凹型パッケージ内部で光を反射させずに、効率よく光を取り出すことができる。
(5) シリカ膜が凹型パッケージの開口部に設けられることにより、光が封止材層内で全反射せず、凹型パッケージの開口部から一方向に放出されるため、照明用途においてより明るい光を得ることができる。
(6) シリカ膜は、一般的な塗布手法にて低温での製膜が可能であり、製造プロセスに容易に組み込むことができる。
(7) シリカ膜は、単層で低屈折率を実現することができ、積層工程も不要であり、工業化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のLEDデバイスの実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明のLEDデバイスの実施の形態の他の例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して本発明のLEDデバイスの実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
図1,2は本発明のLEDデバイスの実施の形態を示す模式的な断面図である。
【0020】
図1のLEDデバイス10は、LED素子を収容する凹部を形成するためのカップ部1aと、これを支持する基板部1bが一体成形されたパッケージ一体型のLEDデバイスであり、カップ部1aと基板部1bからなる凹型パッケージ1と、この凹型パッケージ1の凹部2内に収納されたLED素子3と、凹部2内に充填された蛍光体(赤色蛍光体4A、青色蛍光体4B、緑色蛍光体4C)4及び封止材5とを有する。LED素子3は凹部2の底部にダイボンド材6により接着されている。また、LED素子3の上面の電極3A,3Bと、リード7A,7Bとは導電性ワイヤー8A,8Bによって導通され、電力が供給される構造とされている。
凹型パッケージ1の凹部2に充填された蛍光体4を含む封止材5により形成される封止材層の上面5Aは、凹型パッケージ1の上面1Aと面一となっており、この凹型パッケージ1の上面1Aと封止材層の上面5Aとを覆うようにシリカ膜20が設けられている。
【0021】
図2に示すLEDデバイス10Aは、LED素子を収容する凹部を形成するためのカップとこれを支持する基板とが別体とされたLEDデバイスであり、凹型パッケージ9が、カップ9aと基板9bとで構成されている点が図1のLEDデバイス10とは異なり、その他は同様の構成とされている。図2において、図1と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
このLEDデバイス10Aにあっても、凹型パッケージ9の凹部2に充填された蛍光体4を含む封止材5により形成される封止材層の上面5Aは、凹型パッケージ9の上面9Aと面一となっており、この凹型パッケージ9の上面9Aと封止材層の上面5Aとを覆うようにシリカ膜20が設けられている。
【0022】
なお、以下において、凹型パッケージの凹部にLED素子が配設され、蛍光体及び封止材が充填された状態のもの(図1,2において、シリカ膜20を製膜する前の状態のもの)を「封入パッケージ」と称す場合がある。
【0023】
本発明のLEDデバイスは、後述の凹型パッケージにLED素子を配設、導通し、更に蛍光体及び封止材をパッケージの凹部に充填して封入パッケージを作製し、この封入パッケージの封止材層及びパッケージ上面に、後述の製膜方法でシリカ膜を製膜することにより作製することができる。また、市販の封入パッケージの封止材層及びパッケージ上面に、後述の製膜方法でシリカ膜を製膜して本発明のLEDデバイスとすることもできる。
【0024】
[シリカ膜]
まず、本発明のLEDデバイスに形成されるシリカ膜(以下、「本発明のシリカ膜」と称す場合がある。)について説明する。
【0025】
本発明のシリカ膜は、酸化ケイ素(SiO)組成を主体とするものであることが好ましい。
なお、このシリカ膜には、例えばゾル−ゲル法によるシリカ合成において有機シラン類を共重合するなどの方法でシリカ組成の一部にケイ素原子−炭素原子結合が存在してSiO組成(但し、xは0を超え2未満の正数である)となるものも含まれる。
【0026】
<空隙率>
本発明のシリカ膜は、空隙率が25%以上の多孔性膜であって、かつ屈折率が封止材の屈折率より低いことが好ましい。
シリカ膜の空隙率が25%以上であることで、シリカ膜の屈折率を下げることができる。
シリカ膜の屈折率が封止材の屈折率より低いことによって、封止材層内で拡散した光がシリカ膜/封止材層の界面で反射しにくくなり、屈折光として透過しやすくなる。よって、光取出し効率が向上することになる。
【0027】
ここで、シリカ膜の空隙率とは、シリカ膜中の「シリカ粒子間の隙間」が占める割合であり、以下の方法で測定することができる。
【0028】
<空隙率の測定方法>
基材上にシリカ膜を形成したサンプルについて、分光エリプソメータによりシリカ膜の屈折率nを測定し、シリカ膜を構成するシリカの屈折率をn、空気の屈折率をn、シリカ膜の空隙率をX(%)とした場合、以下の(i)式が成り立つため、以下の(ii)式よりシリカ膜の空隙率Xを求めることができる。
×(100−X)+n×X=n×100 (i)
X=(100n−100n)/(n−n) (ii)
例えば、シリカの屈折率n=1.47、空気の屈折率n=1.00であるので、
1.47×(100−X)+1.00×X=n
であり、
X=(147−100n)/0.47
で求められる。
【0029】
シリカ膜の空隙率は特に30%以上、とりわけ35%以上であることが、屈折率を下げて光取出し効率を高める上で好ましいが、空隙率が過度に高いと、シリカ膜の機械的強度が不足し、シリカ膜が壊れ易くなり、また、シリカ膜の下地(封止材層又は凹型パッケージの上面)との密着性が悪くなるため、55%以下、特に50%以下であることが好ましい。
【0030】
シリカ膜の屈折率を下げるには、シリカ膜中の空気の含有率を上げるとよく、その方法としては、上述の空隙率を上げる方法の他、シリカ膜中のシリカ(即ち、シリカ膜形成のためのシリカ)として、一部もしくはすべてに中空シリカ(粒子内部に空洞をもつもの)を用いてもよい。
シリカ粒子については、TEM観察することで、粒子径、粒子の壁の厚さを計測することができ、空洞を有することを確認できる。中空シリカの市販品としては、日揮触媒化成社の中空シリカを用いることができる。
【0031】
<最頻空隙径>
本発明のシリカ膜が上記のような多孔性シリカ膜である場合、その最頻空隙径は0.5〜10nmであることが好ましい。最頻空隙径が大きすぎると、シリカ膜の機械的強度が弱くなり、製造途中で膜が脱落する恐れがある。最頻空隙径が小さすぎると、シリカ膜の空隙率を上げることが困難になり、屈折率を下げることができない。
【0032】
なお、本発明におけるシリカ膜の最頻空隙径は、シリカ膜のサンプルを用いて、BET窒素吸着等温線を測定して求めることができる。BET窒素吸着等温線は、例えばカンタクローム社製AS−1により測定することができる。
シリカ膜のサンプルは、本発明のLEDデバイスから剥離して得てもよいし、シリカ膜形成用塗布液を、本発明のシリカ膜形成時と同等の条件でテフロンやシリコーン樹脂或いはガラス等の基材に塗布、乾燥して得てもよい。
【0033】
<膜厚>
本発明のシリカ膜の膜厚は、60〜160nmであることが好ましい。
本発明のシリカ膜の膜厚が厚すぎると、最小反射率が高波長側にずれ、可視光領域の低波長側において効率よく光を取り出すことができない場合がある。逆に、膜厚が薄すぎると、最小反射率が低波長側にずれ、可視光領域の高波長側において効率よく光を取り出すことができない場合がある。
本発明のシリカ膜の膜厚は80〜120nmであることがより好ましい。
【0034】
なお、シリカ膜の膜厚は、例えば、SEM写真、エリプソメーターから解析したり、触針式段差・表面粗さ・微細形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製:P−15)を用い、測定条件はスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度10μm/秒で測定することができる。
【0035】
<製膜方法>
本発明のシリカ膜の製膜方法は特に制限されないが、本発明で好適な空隙率を有する多孔性シリカ膜(以下、「本発明の多孔性シリカ膜」と称す場合がある。)を効率よく、高い生産性で製膜することができる方法の例を以下に詳述する。
【0036】
(多孔性シリカ膜の製膜方法)
本発明の多孔性シリカ膜は、以下の工程により形成される。
(イ)多孔性シリカ膜形成用の原料液を調製する工程
(ロ)原料液から多孔性シリカ膜を形成する工程
(ハ)多孔性シリカ膜を乾燥する工程
以下、各工程について説明する。
【0037】
(イ)多孔性シリカ膜形成用の原料液を調製する工程;
多孔性シリカ膜形成用の原料液は、アルコキシシラン類を主体とするものであり、加水分解反応及び脱水縮合反応により高分子量化を起こすことができる原料化合物を含む含水有機溶液である。
【0038】
本発明の多孔性シリカ膜形成用の原料液である含水有機溶液は、アルコキシシラン類、有機溶媒、水、及び、必要に応じて加えられる触媒を含有している。
【0039】
アルコキシシラン類としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン等のテトラアルコキシシラン類、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリル)ベンゼン等の有機残基が2つ以上のトリアルコキシシリル基を結合したもの、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシランなどのケイ素原子に置換するアルキル基が反応性官能基を有するものが挙げられ、更にこれらの部分加水分解物やオリゴマーであってもよい。
【0040】
これらの中でも特に好ましいのが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン若しくはテトラエトキシシランのオリゴマーである。特に、テトラメトキシシランのオリゴマーは、反応性とゲル化の制御性から最も好ましく用いられる。
【0041】
さらに、前記アルコキシシラン類には、ケイ素原子上に2〜3個の水素、アルキル基又はアリール基を持つモノアルコキシシラン類を混合することも可能である。モノアルコキシシラン類を混合することにより、得られる多孔性シリカ膜を疎水化して耐水性を向上させることができる。モノアルコキシシラン類としては、例えば、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン等が挙げられる。モノアルコキシシラン類の混合量は、全アルコキシシラン類の70モル%以下となるようにすることが望ましい。その混合量が70モル%を超えると、理想的なゲル化が起こらない場合がある。
【0042】
また、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等のフッ化アルキル基やフッ化アリール基を有するアルコキシシラン類を併用すると、優れた耐水性、耐湿性、耐汚染性等が得られる場合がある。
【0043】
この原料液に於けるオリゴマーの形状としては特に制限はないが、例えば、線形、架橋、カゴ型分子(シルセスキオキサンなど)などが挙げられる。塗布時の反応性制御という点では線形を主成分としたものが好ましい。
なお、上記した原料液を塗布する際には、すでにある程度の高分子量化(つまり縮合がある程度進んだ状態)が達成されていることが必要であり、その高分子量化の程度としては、見た目に不溶物ができない程度の高分子量化が達成されていることが好ましい。その理由としては、塗布前の原料液中に目視可能な不溶物が存在していると、膜構造が不均一になり、不溶物を起点にクラックが入り、機械的強度を低下させてしまう恐れがあるからである。
【0044】
有機溶媒は、原料液を構成するアルコキシシラン類、水やその他有機化合物を混和させる能力を持つものが好ましく用いられる。使用可能な有機溶媒としては、炭素数1〜4の一価アルコール、炭素数1〜4の二価アルコール、グリセリンやペンタエリスリトールなどの多価アルコール等のアルコール類;ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等、前記アルコール類のエーテル又はエステル化物;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジンなどのアミド類;γ−ブチロラクトンのようなラクトン類;テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジンなどのウレア類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの有機溶媒を、単独又は混合物として用いてもよい。
【0045】
本発明の多孔性シリカ膜を適度な安定構造とするには揮発性の高い有機溶媒が好ましく、中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトンが更に好ましく、メタノール又はエタノールが最も好ましい。
【0046】
本発明の多孔性シリカ膜を形成するために、上述した有機溶媒に加えて、高沸点の親水性有機化合物を含有するとよい。高沸点の親水性有機化合物とは、水酸基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、カルボキシル基、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合等の親水性官能基を分子構造中に有する有機化合物のことである。この親水性有機化合物には、これらの親水性官能基のうち、複数個を分子構造中に有していてもよい。ここでいう沸点とは、760mmHgの圧力下での沸点である。沸点は80℃以上が好ましく、沸点が80℃に満たない親水性有機化合物を用いた場合には、多孔性シリカ膜の空隙率が極端に減少することがある。沸点が80℃以上の親水性有機化合物としては、炭素数3〜8のアルコール類、炭素数2〜6の多価アルコール類、フェノール類を好ましく挙げることができる。より好ましい親水性有機化合物としては、炭素数3〜8のアルコール類、炭素数2〜8のジオール類、炭素数3〜8のトリオール類、炭素数4〜8のテトラオール類が挙げられる。更に好ましい親水性有機化合物としては、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、シクロペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の炭素数4〜7のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の炭素数2〜4のジオール類、グリセロールやトリスヒドロキシメチルエタン等の炭素数3〜6のトリオール類、エリスリトールやペンタエリストール等の炭素数4〜5のテトラオール類が挙げられる。この親水性有機化合物において、炭素数が多過ぎると、親水性が低下しすぎる場合があり、加水分解反応前のアルコキシシラン類の分散性を不安定化することがある。
【0047】
触媒は、必要に応じて配合される。触媒としては、上述したアルコキシシラン類の加水分解及び脱水縮合反応を促進させる物質を挙げることができる。具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸類;アンモニア、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ピリジンなどの塩基類;アルミニウムのアセチルアセトン錯体などのルイス酸類;などが挙げられる。
【0048】
触媒として用いる金属キレート化合物の金属種としては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン等が挙げられる。具体的な金属キレート化合物としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0049】
アルミニウム錯体としては、ジ−エトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることができる。
【0050】
チタン錯体としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等を挙げることができる。
【0051】
また、これらの触媒以外に、弱アルカリ性の化合物、例えばアンモニアなどの塩基性の触媒を使用してもよい。この際には、シリカ濃度調整、有機溶媒種等を適宜調整することが好ましい。また、含水有機溶液を調整する際には、溶液中の触媒濃度を急激に増加させないことが好ましい。具体例としては、アルコキシシラン類と有機溶媒の一部を混合し、次いでこれに水を混合し、最後に残余の有機溶媒、及び塩基を混合するという順序にて混合する方法が挙げられる。
【0052】
触媒の添加量は原料の反応速度によって、調整することが好ましい。加水分解反応と脱水縮合反応を同時に進行させてもよく、その際はpH3〜7に調整することが好ましく、さらにはpH4〜6になるよう調整することが好ましい。また、酸性条件下で加水分解反応を優位に、アルカリ条件下で脱水縮合反応を優位に進行させてもよい。加水分解反応はpH8以下になるよう調整することが好ましく、さらに好ましくはpH5以下になるように調整する。脱水縮合反応はpH6以上になるよう調整することが好ましく、さらに好ましくはpH9以上になるように調整する。
【0053】
本発明の多孔性シリカ膜形成用の原料液は、上述した原料を配合して形成される。
アルコキシシラン類の配合割合は、原料液全体に対して、1〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましい。アルコキシシラン類の配合割合が60重量%を超える場合には、原料液の安定性を保つことが難しく、成膜時に多孔性シリカ膜が割れることがある。一方、アルコキシシラン類の配合割合が1重量%未満の場合は、加水分解反応及び脱水縮合反応が極端に遅くなることや、成膜性の悪化(膜ムラ)が生じることがある。
【0054】
水は、アルコキシシラン類の加水分解に必要であり、塗布液の安定性、多孔性シリカ膜の造膜性の観点から重要である。よって、加水分解に必要な水の量をアルコキシ基の量に対するモル比で規定すると、アルコキシシラン中のアルコキシ基1モルに対して0.1〜1.6モル倍量、中でも0.3〜1.2モル倍量、特に0.5〜0.7モル倍量であることが好ましい。塗布液中の水の量はこれに限るものでなく、塗布液の安定性、造膜性の調整のため、加水分解反応後に上限50モル倍量、好ましくは上限40モル倍量で添加してもよい。
【0055】
水の添加はアルコキシシラン類を有機溶媒に溶解させた後であればいつでもよいが、望ましくはアルコキシシラン類、触媒及びその他の添加物を十分、溶媒に分散させた後、水を添加する。加水分解反応は、水を添加することによって引き起こされるが、水は液体のまま、アルコール水溶液として、又は、水蒸気として加えることができ、特に限定されない。また、水の添加を急激に行うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解反応と脱水縮合反応とが速く起こりすぎ、沈殿が生じることがある。そのため、そのような沈殿が起こらないように、水の添加に十分な時間をかけること、アルコール溶媒を共存させて水を均一に添加する状態にすること、水を低温で添加して添加時の反応を抑制すること、等の手段を単独で又は組み合わせて用いることが好ましい。
【0056】
用いる水の純度は、イオン交換、蒸留、いずれか一方又は両方の処理をしたものを用いればよい。より純度の高い多孔性シリカ膜が必要とされる場合には、蒸留水をさらにイオン交換した超純水を用いるのが望ましく、この際には例えば0.01〜0.5μmの孔径を有するフィルターを通した水を用いればよい。
【0057】
含水有機溶液に沸点80℃以上の親水性有機化合物を用いる際には、沸点80℃以上の親水性有機化合物の含有量が、有機溶媒と沸点80℃以上の親水性有機化合物の合計含有量に対して、特定量以下であることが重要である。この合計含有量に対する、沸点80℃以上の親水性有機化合物の含有量は90重量%以下であり、好ましくは85重量%以下である。
【0058】
沸点80℃以上の親水性有機化合物の配合割合が少なすぎると、塗布直後に膜構造が固定化される場合がある。一方、沸点80℃以上の親水性有機化合物の配合割合が多すぎると、塗布直後の膜が安定構造とならない、乾燥時の温度・時間などプロセス上の制約が生じ、製造効率に影響を与えることがある。
【0059】
原料液の調製における雰囲気温度や、混合順序は任意であるが、原料液中での均一な構造形成を得るため、水は最後に混合するのが好ましい。また、原料液中でのアルコキシシラン類の極端な加水分解や脱水縮合反応を抑えるため、原料液の調整は0〜60℃、中でも15〜40℃、特に15〜30℃の温度範囲において、常湿条件下で行うことが好ましい。
調液時においては、原料液の攪拌操作は任意であるが、混合毎にスターラーにより攪拌を行うのがより好ましい。
【0060】
さらに原料液調整後、アルコキシシラン類の加水分解、脱水縮合反応を進行させるため、溶液の熟成をすることが好ましい。この熟成期間中においては、生成するアルコキシシラン類の加水分解縮合物が、原料液内においてより均一に分散した状態であることが好ましいので、液を攪拌することが好ましい。
【0061】
熟成期間中の温度は任意であり、一般的には室温、若しくは連続的又は断続的に加熱してもよい。中でも、アルコキシシラン類の加水分解縮合物による均一な3次元ネットワーク構造を形成させるために、加熱熟成が好ましい。具体的な温度は使用する有機溶媒の沸点以下であれば、特に制限はなく、加圧下の条件で使用する有機溶媒の沸点以上で加熱熟成することも可能である。加熱熟成の時間は加える温度によって適宜調整するが、15時間以下が好ましく、5時間以下がさらに好ましい。
【0062】
(ロ)原料液から多孔性シリカ膜を形成する工程;
多孔性シリカ膜は、上記で調製した原料液を封入パッケージ表面に直接塗布して形成される。
原料液はそのまま用いてもよく、塗布手法によっては、原料液の調製に使用した有機溶媒によって希釈されたものであってもよい。希釈する場合は、原料液を通常5重量倍以下、好ましくは2重量倍以下に希釈する。
【0063】
原料液の封入パッケージ表面への直接塗布方法としては、スピンコート、スプレーコートなど一般的なコーターや、スタンプにより塗布する方法が挙げられる。このうち、特に、リード線などに塗布する原料液が付着することを防ぐことができるため、スタンプによる塗布が好ましい。
【0064】
また、塗布中の雰囲気は、空気中又は窒素やアルゴン等の不活性気体中でもよく、温度は通常0〜60℃、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜40℃であり、雰囲気の相対湿度は通常5〜90%、好ましくは10〜80%、更に好ましくは15〜70%である。
【0065】
(ハ)多孔性シリカ膜を乾燥する工程;
乾燥工程は、多孔性シリカ膜に残存する揮発成分を除去する目的及び/又はアルコキシシラン類の加水分解縮合反応を最大限に進める目的で行われる。乾燥温度は、20〜200℃、好ましくは30〜120℃、更に好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、1分〜50時間、好ましくは3分〜30時間、更に好ましくは5分〜15時間である。
【0066】
乾燥方式は、送風乾燥、減圧乾燥等の公知の方式で行うことができ、それらを組み合わせてもよい。送風乾燥の後は、揮発成分の十分な除去を目的とした減圧乾燥を追加することもできる。
【0067】
なお、本発明の多孔性シリカ膜は、上述のように、原料液を封入パッケージに直接塗布して製膜する他、原料液をPETフィルム等に塗布して熱処理して乾燥してPETフィルム等の上に製膜したものを封入パッケージに転写することにより形成することもできる。
【0068】
<その他の処理>
本発明のシリカ膜には、封止材との密着性を上げるために、組成にシリコーンを添加しても構わない。従って、前述の原料液にシリコーンを配合してシリカ膜の製膜を行ってもよい。このシリコーンとしては、特に変性シリコーンオイルが好ましく、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型の有機基を導入した変性シリコーンオイルが好ましい。ここで、有機基としてはアミノ変性、エポキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、フェノール変性、シラノール変性、ジオール変性、メタクリル変性、アルコキシ変性したものを用いることができる。
このようなシリコーンの添加量としては、シリカ膜(固形分)中において0.5〜5重量%が好ましい。
【0069】
また、上述のようにして製膜された多孔性シリカ膜をシリル化剤で処理することで、より機能性に優れた表面にする事ができる。即ち、シリル化剤で処理することにより、多孔性シリカ膜に疎水性が付与され、アルカリ水などの不純物により空孔が汚染されるのを防ぐことができる。シリル化剤としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロソラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルクロロジシラン、トリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリエチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾールなどのシラザン類、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等のフッ化アルキル基やフッ化アリール基を有するアルコキシシラン類などが挙げられる。シリル化は、シリル化剤を多孔性シリカ膜に塗布したり、多孔性シリカ膜をシリル化剤の蒸気中に曝したりすることにより行うことができる。
【0070】
[凹型パッケージ]
パッケージとは、LEDデバイスにおいて発光素子を積載する部材をさし、本発明に係るパッケージは、LED素子を設けると共に蛍光体と封止材を充填するための凹部が形成された凹型パッケージである。
【0071】
凹型パッケージの構成材料としては、通常、有機材料、無機材料などが挙げられる。
【0072】
有機材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ナイロン系樹脂、ポリフタルアミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、などの有機樹脂、及びこれらの樹脂とガラスフィラーや無機粉末を混合し、耐熱性や機械的強度を向上させ、熱膨張率を低減した強化プラスチックなどが挙げられる。
【0073】
無機材料としては、ガラス材料の他、SiN、SiC、SiO、AlN、Alなどのセラミックス材料;鉄、銅、真鍮、アルミニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム等の金属材料或いはこれらの合金が挙げられる。
【0074】
発熱・発光量の多いパワーデバイスにおいては、変色などの劣化を起こしやすい有機材料より、耐熱・耐光耐久性に優れた無機材料が好適である。
【0075】
パッケージの形状は凹部型であればよく、他に制限はなく、公知のパッケージを用いることができる。具体的な形状としては、図1に示すようにカップ部と基板部とが一体型のものや、図2に示すようにこれらが別体のもの、LED素子の直下の部分に銅やアルミニウムなどからなるヒートシンクを設けたもの、凹部の反射面(内壁面)を銀等の反射膜で被覆したものなどを挙げることができる。
なお、図2に示すようなカップ/基板別体型のものにおいて、カップの構成材料と基板の構成材料とは、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0076】
[LED素子]
本発明に用いられるLED素子としては、具体的にGaN系化合物半導体、ZnSe系化合物半導体、ZnO系化合物半導体を挙げることができる。中でもGaN系化合物半導体を使用することが好ましい。なぜなら、GaN系化合物半導体は、この領域の光を発するSiC系化合物半導体に比べ、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、同じ電流負荷に対し、通常GaN系素子はSiC系素子の100倍以上の発光強度を有する。GaN系素子においては、InGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
なお、上記において、x+yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系素子において、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパントなしのものが発光特性を調節する上で好ましい。
【0077】
[蛍光体]
蛍光体としては、上述のLED素子の発する光に直接的または間接的に励起され、異なる波長の光を発する物質であれば特に制限はなく、無機系蛍光体であっても有機系蛍光体であっても用いることができる。例えば、以下に例示するような青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体の1種または2種以上を用いることができる。所望の発光色を得られるよう、用いる蛍光体の種類や含有量を適宜調整することが好ましい。
【0078】
<青色蛍光体>
青色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常420nm以上、中でも430nm以上、更には440nm以上、また、通常490nm以下、中でも480nm以下、更には470nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)SiO:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Sr)MgSi:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO(Cl,F):Eu、BaMgSi:Euがより好ましい。
【0079】
<緑色蛍光体>
緑色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常500nm以上、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、Y(Al,Ga)12:Ce、CaSc:Ce、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、β型サイアロン、(Ba,Sr)Si12:N:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
【0080】
<黄色蛍光体>
黄色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常530nm以上、中でも540nm以上、更には550nm以上、また、通常620nm以下、中でも600nm以下、更には580nm以下の範囲にあるものが好適である。
黄色蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y,Gd)Al12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr)Si:Eu、(La,Y,Gd,Lu)(Si,Ge)11:Ceが好ましい。
【0081】
<橙色ないし赤色蛍光体>
橙色ないし赤色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常570nm以上、中でも580nm以上、更には585nm以上、また、通常780nm以下、中でも700nm以下、更には680nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、KSiF:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)S:Eu、KSiF:Mnがより好ましい。
また、橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Ceが好ましい。
【0082】
[封止材]
封止材はLED素子を凹型パッケージの凹部内に封止するために用いられ、LEDデバイスに必要な耐熱性や耐光性、耐久性等の条件を満たす透明材料であればよく、特に制限はないが、本発明において、封止材は、前述のような蛍光体を分散させた蛍光体含有組成物として、予め内部にLED素子を配設して導電性ワイヤーを取り付けた凹型パッケージの凹部に充填されるものであることから、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なうことがなく、また、所望の使用条件下において液状の性質を示し、蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じない材料の範囲において、任意の無機系材料及び/又は有機系材料を使用することができる。
【0083】
封止材としての無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
【0084】
有機系材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0085】
これらの中で特に照明など大出力のLEDデバイスに適用される場合には、耐熱性や耐光性等の確保を目的として珪素含有化合物を使用することが好ましい。
【0086】
珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、例えば、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、ハンドリングの容易さ等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
【0087】
上記シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば下記一般式(i)で表される化合物及び/又はそれらの混合物が挙げられる。
(RSiO1/2(RSiO2/2
(RSiO3/2(SiO4/2 …(i)
【0088】
一般式(i)において、R〜Rは、それぞれ独立に、有機官能基、水酸基、及び水素原子からなる群から選択されるものを表す。なお、R〜Rは、同じであってもよく、異なってもよい。
また、上記一般式(i)において、M、D、T及びQは、それぞれ0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。
【0089】
該シリコーン系材料は、液状のものを用い、前述の蛍光体をこの液状のシリコーン系材料に分散させた蛍光体含有組成物を調製し、この蛍光体含有組成物を凹型パッケージの凹部に充填して封止した後、熱や光によって硬化させて用いることができる。
【0090】
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド加硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン樹脂)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン樹脂)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
【0091】
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
【0092】
一方、縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。
具体的には、下記一般式(ii)及び/又は(iii)で表される化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。なお、これらの化合物及び/又はそのオリゴマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0093】
m+m−n …(ii)
(一般式(ii)中、Gは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは、加水分解性基を表し、Yは、1価の有機基を表し、mは、Gの価数を表す1以上の整数を表し、nは、X基の数を表す1以上の整数を表す。但し、m≧nである。)
【0094】
(Gs+s−t …(iii)
(一般式(iii)中、Gは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは、加水分解性基を表し、Yは、1価の有機基を表し、Yは、u価の有機基を表し、sは、Gの価数を表す1以上の整数を表し、tは、1以上、s−1以下の整数を表し、uは、2以上の整数を表す。)
【0095】
また、縮合型シリコーン系材料には、硬化触媒を含有させても良い。この硬化触媒としては、例えば、金属キレート化合物などを好適なものとして用いることができる。金属キレート化合物は、Ti、Ta、Zrのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものが更に好ましい。なお、硬化触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0096】
このような縮合型シリコーン系材料としては、例えば特願2006−47274号〜47277号明細書(例えば特開2007−112973号〜112975号公報、特開2007−19459号公報)及び特願2006−176468号明細書に記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
【0097】
上述の封止材としてのシリコーン系材料等の無機系材料及び/又は有機系材料に、前述の蛍光体を分散させてなる蛍光体含有組成物中の蛍光体及び封止材の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、封止材については、蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。また、蛍光体については、蛍光体含有組成物全体に対して通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは25重量%以下である。封止材の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、LEDデバイスとして所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で封止材及び蛍光体を用いることが望ましい。一方、封止材が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
【0098】
封止材は、蛍光体含有組成物において、主にバインダーとしての役割を有する。封止材は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、耐熱性や耐光性等を目的として珪素含有化合物を使用する場合は、当該珪素含有化合物の耐久性を損なわない程度に、エポキシ樹脂など他の熱硬化性樹脂を含有してもよい。この場合、他の熱硬化性樹脂の含有量は、バインダーである封止材全量に対して通常25重量%以下、好ましくは10重量%以下とすることが望ましい。
【0099】
なお、上記の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び封止材以外に、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分としては、例えば、色調補正用の色素、酸化防止剤、燐系加工安定剤等の加工・酸化及び熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤及びシランカップリング剤等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【実施例】
【0100】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0101】
[実施例1]
<多孔性シリカ膜形成LEDデバイスの作製>
メチルトリメトキシシラン0.85g、ジメチルジメトキシシラン0.15g、及びテトラメトキシシラン縮合物(メチルシリケート 7量体)1.00gをエタノール2.00g中で常温にて攪拌した。この溶液に0.1mol/L塩酸0.30gと水1.00gを添加して酸性(pH2)下で常温にて攪拌し、加水分解させた。このエタノール中での攪拌〜酸性下での攪拌は合計で30分行った。その後、60℃の恒温槽で30分攪拌することで、熟成させた。さらに常温にて攪拌しながら、エタノール3.00g、水15.00g、0.25mol/L水酸化ナトリウム水溶液4.00g、及びエタノール7.00gを、この順番で添加し、塩基性(pH11)下で脱水縮合させた。その後、60℃の恒温槽で60分攪拌することで熟成させ、多孔性シリカ膜形成用原料液を得た。
この原料液を目的となる膜を得るためにエタノールで2重量倍に希釈してシリカ塗布液とした。
【0102】
上記シリカ塗布液2μLを、封入パッケージであるLEDデバイス(Osram Power TOPLEDデバイス)の表面に載せ、スピンコーター(1000rpm、30秒)で塗布した。その後、120℃で10分熱処理を行い、膜厚100nmの多孔性シリカ膜を製膜した。
【0103】
<多孔性シリカ膜/ガラス基板サンプルの作製>
上記シリカ塗布液を用いて、ガラス基板上に、上記の多孔性シリカ膜形成LEDデバイス作製時と同様の条件で、スピンコーターで塗布した後熱処理を行って、膜厚100nmの多孔性シリカ膜を製膜した。
【0104】
<多孔性シリカ膜の最頻空隙径の測定>
テフロンシャーレに10cm×20cmのベンコット(旭化成せんい(株)製)を2つ折りにして入れる。ベンコットの上に上記シリカ塗布液を10g染み込ませ、室温にて真空乾燥30分、その後120℃にて加熱乾燥30分、さらに90℃にて真空乾燥3時間を行った。シャーレから回収した固形分100mgを用い、カンタクローム社製AS−1にてBET窒素吸着等温線を測定し、最頻空隙径を求めた。その結果、最頻空隙径は4.2nmであった。
【0105】
<多孔性シリカ膜の空隙率の測定>
上記の多孔性シリカ膜/ガラス基板サンプルについて、分光エリプソメータにより多孔性シリカ膜の屈折率nを測定し(n=1.28)、前述の式(i),(ii)より空隙率Xを算出したところ(n=1.00,n=1.47)、多孔性シリカ膜の空隙率は40%であった。
【0106】
<光取出し効率の評価>
オーシャンオプティクス社製分光器「USB2000」(積算波長範囲:380〜780nm、受光方式:38.1mmφの積分球)を用いて、多孔性シリカ膜形成LEDデバイスについて全光束の測定を行った。積分球点灯15秒後の全光束を測定したところ、1.5343lmであった。
【0107】
[比較例1]
LEDパッケージ(Osram Power TOPLEDパッケージ)について、多孔性シリカ膜を形成せずに、実施例1におけると同様に積分球を用いて全光束測定を行った。積分球点灯15秒後の全光束を測定したところ、1.5238lmであった。
【0108】
以上の結果から、シリカ膜を形成することにより光束が上がり、光取出し効率が向上することが確認された。
【0109】
なお、上記実施例1において、多孔性シリカ膜を形成したLEDデバイスに使用されている封止材の屈折率が確認されていないため、多孔性シリカ膜の屈折率と封入材の屈折率との関係は明らかにされていないが、通常LEDデバイスに使用されている封止材の屈折率は1.53程度であるため、多孔性シリカ膜の屈折率(n=1.28)の方が封止材の屈折率よりも低いと考えられる。
【符号の説明】
【0110】
1,9 凹型パッケージ
1a カップ部
1b 基板部
2 凹部
3 LED素子
3A,3B 電極
4 蛍光体
5 封止材
6 ダイボンド材
7A,7B リード
8A,8B 導電性ワイヤー
9a カップ
9b 基板
10,10A LEDデバイス
20 シリカ膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹型パッケージ、該凹型パッケージの凹部内に収納されたLED素子、及び該凹型パッケージ内に充填された蛍光体及び封止材を有するLEDデバイスであって、該凹型パッケージの前記凹部の開口部がシリカ膜で被覆されていることを特徴とするLEDデバイス。
【請求項2】
前記シリカ膜は、空隙率が25%以上の多孔性膜であり、該シリカ膜の屈折率が前記封止材の屈折率より低いことを特徴とする請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項3】
前記シリカ膜の最頻空隙径が0.5〜10nmであることを特徴とする請求項2に記載のLEDデバイス。
【請求項4】
前記シリカ膜の膜厚が60〜160nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のLEDデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−4901(P2013−4901A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137396(P2011−137396)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000230652)日本化成株式会社 (85)
【Fターム(参考)】