説明

LED発光装置及びこれを用いた車両用ヘッドランプ

【課題】LED発光装置において、ワイヤをボンディングする基板の導電パターンのボンディング領域の幅を小さくして、基板のサイズを小さくする。
【解決手段】四つのLEDチップ1を、サブマウント基板11の上に、平行をなすように実装した。LEDチップ1の上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極7a,7bのうちの第一辺1a側のパッド電極7aと導電パターン13のボンディング領域との間に、ワイヤ9aを、該第一辺1aに対する直角離間方向Dに対して第一辺1aから離れる向きに15〜40度傾斜させて架設した。第二辺1b側のパッド電極7bと導電パターン13のボンディング領域との間に、ワイヤ9bを、該第二辺1bに対する直角離間方向Dに対して第二辺1bに近付く向きに15〜40度傾斜させて架設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを基板に実装してなるLED発光装置及びこれを用いた車両用ヘッドランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高光出力のための大電流を流すため、及び/又は、面積当たりの電流密度を小さくして発光効率の高い低電流領域で駆動させるため、LEDチップの大型化(一辺が500μm〜1mm)が進んでおり、このLEDチップには、広面積の発光面に均一に電流供給すべく、複数のワイヤボンディング用のパッド電極が形成される(特許文献1,2)。
【0003】
図10に示す従来例1は、四つの大型のLEDチップ101を、その実装に必要最小限の大きさのサブマウント基板111に一列配置・直列一回路に実装してなるLED発光装置110である。LEDチップ101の発光面には、一辺の両隅の二つのパッド電極102と、両パッド電極102から線状に延出して発光面上に分散するフィンガー電極(図示略)とが形成されている。サブマウント基板111は、セラミック板112とその上面に形成された五つの導電パターン113とからなる配線基板である。下四つのパターンにLEDチップ101が一つずつ載置され、チップ下面が電気的及び熱的に接合されている。また、各LEDチップ101の2つのパッド電極102,102から、図8における上隣の導電パターン113のボンディング領域にかけて、2本のワイヤ109,109が架設されボンディングされている。平面視でのパッド電極102,102からのワイヤ109,109の架設方向は、それぞれLEDチップ101の対峙する辺101a,101bに対して直角離間方向(直角に離れる方向。以下同じ。)である。このため、2本のワイヤ109,109の端をボンディングする導電パターン113のパターン幅が大きくなり、サブマウント基板111のサイズが大きくなるという問題があった。
【0004】
図11に示す従来例2は、従来例1を二列化したもの、すなわち、八つのLEDチップ101をサブマウント基板121に二列配置・直列二回路に実装してなるLED発光装置120である。ワイヤ109,109の架設方向は実施例1と同様である。LEDチップ101の二列間に、一方列の一本のワイヤ109と他方列の一本のワイヤ109とが並ぶため、チップ間隔が大きくなり、サブマウント基板121のサイズも大きくなるという問題があった。
【0005】
図12に示す従来例3は、八つのLEDチップ101を、照明器具の給電端子を接触させるための受電端子も備えたベース基板131に二列配置・直列二回路に実装してなるLED発光装置130である。ワイヤ109,109の架設方向は実施例1と同様である。導電パターン113の例えば二つのアノードパターン113aと一つのカソードコモンパターン113cとをLED発光装置130の取付辺である下辺に延出し、それぞれの延出端部を受電端子としている。取付辺の左側と中央に二つのアノードパターン133aが位置し、取付辺の右側にカソードコモンパターン133cが位置している。二回路のLEDチップ101を同時に駆動すると、カソードコモンパターン133cには各アノードパターン133aよりも多くの電流が流れるため、パターンの内部抵抗による電圧降下が大きい。よって、カソードコモンパターン133cは、各アノードパターン133aよりも幅広にして、内部抵抗を小さくすべきである。しかし、照明器具の取付ホルダが備える給電端子136は等間隔に配置され、その位置が決まっていて変えられない場合が多いため、カソードコモンパターン133cを十分に幅広にできない場合があった。すなわち、右側のカソードコモンパターン133cを幅広にしようとしても、中央の給電端子136にかかってはいけないので、限界がある。
【0006】
図13に示す従来例4は、従来例1のLED発光装置110を用いて構成した車両用ヘッドランプ140である。この車両用ヘッドランプ140では、従来例1のLED発光装置110を受電端子付きのベース基板141に上向きに実装して、LEDチップ101の発光面から光が上向きないし周囲に発せられるようにし、LED発光装置110の後方(図13において左方)にLEDチップ101の周りまで及ぶリフレクタ142を設けて、前記上向きないし周囲への光を前向きに反射するようにし、LED発光装置110の前方(図13において右方)に前照レンズ(図示略)を設けて、前記前向きの光を所定の範囲に集光するようにしている。
【0007】
また、LEDチップ101の第一辺101aに対する直角離間方向が、LEDチップ101からリフレクタ142に向かう真後ろ方向となるように、LED発光装置110を配置している。前記のとおり、第1辺101a側のパッド電極102からのワイヤ109の架設方向も、LEDチップ101の第一辺101aに対する直角離間方向である。よって、LEDチップ101からリフレクタ142に向かう後方への光路上に該ワイヤ109が平行に入ることになり、ワイヤの影が生じる。このワイヤの影により光量が低下したり、この影が外部から見えて見栄えが悪化したりする問題があった。
【0008】
なお、特許文献1には、LEDチップの発光面から上向きないし周囲に発せられる光をリフレクタにより前向きに反射させる車両用ヘッドランプが記載されているが、LEDチップのボンディング用ワイヤは照射方向である前向き方向を通過するものであり、また、発光面にパッド電極が複数ある形態、特に対角の二隅にパッド電極がある形態は開示されていない。また、特許文献3には、LEDチップの発光面の対角の二隅にパッド電極がある形態が記載され、該LEDチップを基板に斜めに実装する結果として、ボンディング用ワイヤを傾斜して架設しているが、同発明の課題はワイヤボンディング処理を円滑に行うというものであり、同本発明とは課題も構成も異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−32661号公報
【特許文献2】特開2006−245542号公報
【特許文献3】特開2000−124508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第一の目的は、LEDチップを基板に実装してなるLED発光装置において、ワイヤをボンディングする基板の導電パターンのボンディング領域の幅を小さくして、基板のサイズを小さくし、さらに、LEDチップを複数列に配置する場合には、列間のチップ間隔を小さくすることにある。
【0011】
本発明の第二の目的は、LEDチップを基板に実装してなるLED発光装置において、基板の導電パターンにおけるコモンパターンを幅広にできるようにして、電気抵抗を低減し、電圧降下を小さくすることにある。
【0012】
本発明の第三の目的は、LEDチップを基板に実装してなるLED発光装置を用い、LEDチップの発光面から上向きないし周囲に発せられる光をリフレクタで前向きに反射させる車両用ヘッドランプにおいて、LEDチップからリフレクタへ向かう光路上にワイヤが入らないようにして、ワイヤの影が生じないようにし、光量の低下と見栄えの悪化とを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、次の手段(1)〜(6)をとった。
【0014】
(1)対峙する第一辺と第二辺とが平行であるLEDチップを、対峙する第1辺と第2辺とが平行である基板の上に、第一辺と第1辺とが間隔をおいて平行をなし、第二辺と第2辺とが間隔をおいて平行をなすように実装し、
LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の第1辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の第2辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設してなるLED発光装置。
【0015】
(2)上記(1)のLED発光装置において、複数のLEDチップをそれらの第一辺が一直線上に揃う列状をなすように基板の上に実装し、複数のLEDチップが直列回路を構成するようにしたLED発光装置。
【0016】
(3)対峙する第一辺と第二辺とが平行である第一LEDチップと、対峙する第一辺と第二辺とが平行である第二LEDチップとを、対峙する第1辺と第2辺とが平行である基板の上に、第一LEDチップの第一辺と基板の第1辺とが間隔をおいて平行をなし、第一LEDチップの第二辺と第二LEDチップの第一辺とがチップ間隔をおいて平行をなし、第二LEDチップの第二辺と基板の第2辺とが間隔をおいて平行をなすように実装し、
第一LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の第1辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第一LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の前記チップ間隔における第一LEDチップ寄りの上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第二LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の前記チップ間隔における第二LEDチップ寄りの上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第二LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の第2辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第一LEDチップと第二LEDチップとで並列回路を構成するようにしたLED発光装置。
【0017】
(4)上記(3)のLED発光装置において、複数の第一LEDチップをそれらの第一辺が一直線上に揃う列状をなすように基板の上に実装し、複数の第一LEDチップが直列回路を構成するようにし、複数の第二LEDチップをそれらの第一辺が一直線上に揃う列状をなすように基板の上に実装し、複数の第二LEDチップが直列回路を構成するようにしたLED発光装置。
【0018】
(5)上記(3)又は(4)のLED発光装置において、基板の第3辺を照明器具への取付辺とし、該取付辺の中央部に、前記並列回路の一方極のコモンパターンを配置し、該取付辺の中央部を挟む両側部に、前記並列回路の他方極の2つのパターンを配置したLED発光装置。
【0019】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかのLED発光装置を上向きに配置し、LEDチップの上面から光が上向きないし周囲に発せられるようにし、
LED発光装置の後方にLEDチップの周りまで及ぶリフレクタを設けて、前記上向きないし周囲への光を前向きに反射するようにし、
LEDチップの第一辺に対する直角離間方向が、LEDチップからリフレクタに向かう真後ろ方向となるように、LED発光装置を配置することにより、第一辺側のパッド電極から架設されたワイヤが、LEDチップからリフレクタに向かう後方への光路上に入らないようにした車両用ヘッドランプ。
【0020】
以下に、上記各手段における各要素の理由、例示、好ましい態様等について説明する。
【0021】
1.LEDチップ
LEDチップは、上面の少なくとも対角の二隅に二つのパッド電極が設けられたものであればよく、その二つが共にn電極である態様、その二つが共にp電極である態様、その二つがn電極とp電極の組み合わせである態様のいずれでもよい。その二つが同一極であるときは、LEDチップの下面に他極を設けることができ、この場合、導電性の支持基板を備えることになる。
そして、導電性の支持基板を備えるチップが好ましく、その製法としてはLLO(レーザー・リフト・オフ)法によるものが好ましい。LLO法によるチップは、極薄い半導体層の上面のみが光放出面となり、側面から側方に放射される光が少ないことから、他チップよりも配向(FWHM)が狭く、かつ光度が高いため、リフレクタに光を照射しやすく光学制御しやすいからである。一方、サファイアやGaN等の透明な基板を備えるチップは、適用可能ではあるが、基板内の導光により、基板側面からも光放射されるため、配向が広くなる。
サイズは、特に限定されないが、大電流に対応すべく、及び/又は、電流密度を小さくし、発光効率の高い小電流領域で駆動させるため、一辺が500μm〜1.5mmの矩形をなす大型のものが好ましい。
発光色は、特に限定されず、赤色領域、緑色領域、青色領域、紫色領域又は紫外領域にピーク波長を有するものを例示できる。LEDチップ近傍に設けた蛍光体を励起させて蛍光とともに白色を得る場合には、青色領域、紫色領域又は紫外領域にピーク波長を有するものが好ましい(特に、上記(6)の車両用ヘッドランプの場合)。
半導体層の材料は、特に限定されないが、窒化ガリウム(GaN)系、酸化亜鉛(ZnO)系、セレン化亜鉛(ZnSe)系、炭化珪素(SiC)系等を例示できる。
発光層のタイプは、特に限定されないが、発光効率を高めるため、多重量子井戸型が好ましい。
【0022】
2.基板
基板は、特に限定されず、例えば、LEDチップの実装に必要最小限の大きさのサブマウント基板でもよいし、さらに照明器具の給電端子を接触させるための受電端子も備えたベース基板でもよい。基板の材料としては、特に限定されないが、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ホウ素等のセラミックを例示できる。
【0023】
3.ワイヤ
LEDチップの第一辺側のパッド電極からのワイヤの架設方向を、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向とし、LEDチップの第二辺側のパッド電極からのワイヤの架設方向を、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向とした理由は、次のとおりである。
上記(1)(2)のLED発光装置は、例えば上記(6)の車両用ヘッドランプのように、LEDチップ上面からの上向きないし周囲への光をリフレクタにより前向きに反射して使用することが多い。
この場合、第一辺をリフレクタ側にすると、第一辺側のパッド電極からのワイヤのうち、特に該パッド電極から立ち上がったすぐの部分が、LEDチップからリフレクタに向かって後方へ且つ斜め上方へ放射される光の光路上に位置しやすい。そこで、該ワイヤの架設方向については、直角離間方向Dに対して第一辺から離れる向きに傾斜させて、該ワイヤの該部分が該光路上に位置しないようにしたのである。この傾斜角を15〜40度としたのは、15度未満では、上記(1)〜(4)で導電パターンのボンディング領域の幅を小さくする作用効果が低くなるからであり、40度を超えると、上記(2)(4)のように複数のLEDチップを列状に実装して直列回路を構成するときに、該ワイヤが隣のLEDチップからリフレクタに向かって放射される光路上に位置するおそれが生じるからである。この傾斜角は20〜40度がより好ましい。
一方、LEDチップから前方へ放射される光は、真っ直ぐ前方へ放射される光が利用の中心となり、斜め上方へ放射される光はあまり利用されない。そして、第二辺側のパッド電極からのワイヤのうち、該パッド電極から立ち上がったすぐの部分は、真っ直ぐ前方へ放射される光の光路上に位置しにくい。そこで、該ワイヤ9bの架設方向については、直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに傾斜させて、第一辺側のパッド電極からのワイヤと第二辺側のパッド電極からのワイヤの導電パターン側の先端間が離れすぎないようにし、導電パターンを設けやすくしたのである。この傾斜角を15〜40度としたのは、15度未満では、上記(1)〜(4)で導電パターンのボンディング領域の幅を小さくする作用効果が低くなるからであり、40度を超えると、第二辺側のパッド電極からのワイヤのうちパッド電極から離れた部分が、真っ直ぐ前方へ放射される光の光路上に位置するようになるからである。この傾斜角は20〜40度がより好ましい。
【0024】
4.照明器具
本発明のLED発光装置を用いる照明器具は、特に限定されず、車両用ヘッドランプ、建物用照明ランプ、プロジェクタ用ランプ等を例示できる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1〜4に係る発明によれば、LEDチップを基板に実装してなるLED発光装置において、ワイヤをボンディングする基板の導電パターンのボンディング領域の幅を小さくして、基板のサイズを小さくし、さらに、LEDチップを複数列に配置する場合には、列間のチップ間隔を小さくすることができる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、上記請求項1又は2に係る発明による効果に加え、基板の導電パターンにおけるコモンパターンを幅広にでき、もって電気抵抗を低減し、電圧降下を小さくすることができる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、上記請求項1又は2に係る発明による効果に加え、LEDチップの発光面から上向きないし周囲に発せられる光をリフレクタで前向きに反射させる車両用ヘッドランプにおいて、LEDチップからリフレクタへ向かう光路上にワイヤが入らないようにして、ワイヤの影が生じないようにし、光量の低下と見栄えの悪化とを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1のLED発光装置の平面図である。
【図2】(a)は同LED発光装置に用いたLEDチップの斜視図、(b)は図1のIIb−IIb断面図である。
【図3】実施例2のLED発光装置の平面図である。
【図4】実施例3のLED発光装置の平面図である。
【図5】実施例4のLED発光装置の平面図である。
【図6】実施例5の車両用ヘッドランプ(実施例1のLED発光装置を使用)の要部平面図である。
【図7】同車両用ヘッドランプの側断面図である。
【図8】実施例6の車両用ヘッドランプ(実施例3のLED発光装置を使用)の要部平面図である。
【図9】同車両用ヘッドランプの側断面図である。
【図10】従来例1のLED発光装置の平面図である。
【図11】従来例2のLED発光装置の平面図である。
【図12】従来例3のLED発光装置の平面図である。
【図13】従来例4の車両用ヘッドランプ(従来例1のLED発光装置を使用)の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
対峙する第一辺と第二辺とが平行であるLEDチップを、対峙する第1辺と第2辺とが平行である基板の上に、第一辺と第1辺とが間隔をおいて平行をなし、第二辺と第2辺とが間隔をおいて平行をなすように実装し、
LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の第1辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の第2辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設することにより、
ワイヤをボンディングする基板の導電パターンのボンディング領域の幅を小さくして、基板のサイズを小さくしたLED発光装置を得る。
複数のLEDチップを列状に実装し、直列回路を構成することもできる。さらに、この列を複数列にして、並列回路を構成することもできる。
また、このLED発光装置を車両用ヘッドランプに用いて、LEDチップからリフレクタへ向かう光路上にワイヤが入らないようにして、ワイヤの影が生じないようにし、光量の低下と見栄えの悪化とを防止することもできる。
【実施例1】
【0030】
図1及び図2に示す実施例1は、四つのLEDチップ1を、その実装に必要最小限の大きさのサブマウント基板11に一列配置・直列一回路に実装してなるLED発光装置10である。
【0031】
本実施例1で用いたLEDチップ1は、平面視で一辺1mmの正方形をなすものであり、図1において左右に対峙する第一辺1aと第二辺1bとが平行である。また、LEDチップ1は、LLO(レーザー・リフト・オフ)法により形成されたものであり、図2に示すように、上から順に、n電極2、半導体層3、導電性接着層4、導電性基板5、p電極6を含む。半導体層3は、上から順に、n型クラッド層、多重量子井戸型発光層、p型クラッド層(図示略)を含むものである。半導体層3は前記正方形のほぼ全体に広がる広面積に形成されており、その発光面であるn型クラッド層の上面に均一に電流供給すべく、n電極2は、発光面である上面の対角の二隅に設けられたワイヤボンディング用の二つのパッド電極7a,7bと、両パッド電極7a,7bから線状に延出して上面に分散するフィンガー電極(図示略)とを備える。p電極6は、導電性基板5の下面全体に設けられている。なお、LEDチップ1は、上面の少なくとも対角の二隅に二つのパッド電極を備えるものであれば、上記例示のものに限定されない。例えば、上面にp電極が設けられ、反対面にn電極が設けられたものでもよいし、発光面にp電極とn電極とが設けられたものでもよい。
【0032】
サブマウント基板11は、絶縁性で高熱伝導性のセラミック板12(例えば窒化アルミニウム)とその上面に形成された導電パターン13とからなる配線基板であり、平面視で長方形をなし、図1において左右に対峙する第1辺11aと第2辺11bとが平行である。導電パターン13は、間に絶縁領域14をおいて一列に並ぶ五つのパターンであり、そのうちの図1における下四つのパターンにLEDチップ1が一つずつ載置され、各p電極6の全面が電気的及び熱的に接合されている。また、各LEDチップ1のn電極2の2つのパッド電極7a,7bから、図1における上隣の導電パターン13のボンディング領域にかけて、2本のワイヤ9a,9bが架設されボンディングされている。ワイヤ9a,9bは、例えば金ワイヤである。これにより、四つのLEDチップ1が一列状に配置されるとともに直列一回路に実装されたLED発光装置が構成されている。導電パターン13のうち、図1における一番下のパターンがアノードであり、一番上のパターンがカソードである。
【0033】
本実施例1の特徴は、次の点にある。
・四つのLEDチップ1を、サブマウント基板11の上に、各LEDチップ1の第一辺1aとサブマウント基板11の第1辺11aとが間隔をおいて平行をなし、各LEDチップ1の第二辺1bとサブマウント基板11の第2辺11bとが間隔をおいて平行をなすように実装したこと。なお、四つのLEDチップ1は、それらの第一辺1aが一直線上に揃う列状をなす。
・LEDチップ1の上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極7a,7bのうちの第一辺1a側のパッド電極7aと、サブマウント基板11の第1辺11a側の上面に設けられた導電パターン13のボンディング領域との間に、ワイヤ9aを、平面視における該パッド電極7aからの架設方向が、該第一辺1aに対する直角離間方向Dに対して第一辺1aから離れる向きに15〜40度(傾斜角θ)(図示例では20〜25度)傾斜した方向であるように架設したこと。
・二つのパッド電極7a,7bのうちの第二辺1b側のパッド電極7bと、サブマウント基板11の第2辺11b側の上面に設けられた導電パターン13のボンディング領域との間に、ワイヤ9bを、平面視における該パッド電極7bからの架設方向が、該第二辺1bに対する直角離間方向Dに対して第二辺1bに近付く向きに15〜40度(傾斜角θ)(図示例では20〜25度)傾斜した方向であるように架設したこと。
【0034】
このように、平面視でのパッド電極7a,7bからのワイヤ9a,9bの架設方向が、第一辺1a側又は第二辺1bに対する直角離間方向に対して15〜40度傾斜した方向であることにより、図10に示した従来例1よりも、ワイヤ9a,9bの端をボンディングする導電パターン13のボンディング領域の幅を小さくして、サブマウント基板11のサイズを小さくすることができる。
【実施例2】
【0035】
図3に示す実施例2は、八つのLEDチップ1を、その実装に必要最小限の大きさのサブマウント基板21に二列配置・直列二回路に実装してなるLED発光装置20である。
【0036】
本実施例2で用いたLEDチップ1は、本実施例1で用いたLEDチップ1と同じである。図3において左列の四つのLEDチップ1を第一LEDチップといい、右列の四つのLEDチップ1を第二LEDチップという。
【0037】
サブマウント基板21は、絶縁性で高熱伝導性のセラミック板22(例えば窒化アルミニウム)とその上面に配線パターン形成された導電パターン23とからなる配線基板であり、平面視で長方形をなし、図3において左右に対峙する第1辺21aと第2辺21bとが平行である。導電パターン23は、間に絶縁領域24をおいて左右に五つずつで二列に並ぶ十のパターンであり、そのうちの図3における下八つのパターンにLEDチップ1が一つずつ載置され、各p電極6の全面が電気的及び熱的に接合されている。また、各LEDチップ1のn電極2の2つのパッド電極7a,7bから、図3における上隣の導電パターン23のパターンにかけて、2本のワイヤ9a,9bが架設されボンディングされている。これにより、八つのLEDチップ1が二列状に配置されるとともに直列二回路に実装されたLED発光装置が構成されている。導電パターン23のうち、図3における一番下の二つのパターンがアノードであり、一番上の二つのパターンがカソードである。アノードの二つのパターンを結合してアノードコモンにしたり、又は、カソードの二つのパターンを結合してカソードコモンにしたりしてもよい。
【0038】
本実施例2の特徴は、次の点にある。
・四つの第一LEDチップ1と、四つの第二LEDチップ1とを、サブマウント基板21の上に、第一LEDチップ1の第一辺1aとサブマウント基板21の第1辺21aとが間隔をおいて平行をなし、第一LEDチップ1の第二辺1bと第二LEDチップ1の第一辺1aとがチップ間隔をおいて平行をなし、第二LEDチップ1の第二辺1bとサブマウント基板21の第2辺21bとが間隔をおいて平行をなすように実装したこと。なお、四つの第一LEDチップ1は、それらの第一辺1aが一直線上に揃う列状をなす。また、四つの第二LEDチップ1も、それらの第一辺1aが一直線上に揃う列状をなす。
・第一LEDチップ1の上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極7a,7bのうちの第一辺1a側のパッド電極7aと、サブマウント基板21の第1辺21a側の上面に設けられた導電パターン23のボンディング領域との間に、ワイヤ9aを、平面視における該パッド電極7aからの架設方向が、該第一辺1aに対する直角離間方向に対して第一辺1aから離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設したこと。
・第一LEDチップ1の上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極7a,7bのうちの第二辺1b側のパッド電極7bと、サブマウント基板21の前記チップ間隔における第一LEDチップ1寄りの上面に設けられた導電パターン23のボンディング領域との間に、ワイヤ9bを、平面視における該パッド電極7bからの架設方向が、該第二辺1bに対する直角離間方向に対して第二辺1bに近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設したこと。
・第二LEDチップ1の上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極7a,7bのうちの第一辺1a側のパッド電極7aと、サブマウント基板21の前記チップ間隔における第二LEDチップ1寄りの上面に設けられた導電パターン23のボンディング領域との間に、ワイヤ9aを、平面視における該パッド電極7aからの架設方向が、該第一辺1aに対する直角離間方向に対して第一辺1aから離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設したこと。
・第二LEDチップ1の上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極7a,7bのうちの第二辺1b側のパッド電極7bと、サブマウント基板21の第2辺21b側の上面に設けられた導電パターン23のボンディング領域との間に、ワイヤ9bを、平面視における該パッド電極7bからの架設方向が、該第二辺1bに対する直角離間方向に対して第二辺1bに近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設したこと。
・第一LEDチップ1と第二LEDチップ1とで並列回路を構成するようにしたこと。なお、四つの第一LEDチップ1は直列接続され、四つの第二LEDチップ1は直列接続されている。
【0039】
本実施例2も、実施例1と同様に、平面視でのパッド電極7a,7bからのワイヤ9a,9bの架設方向が、第一辺1a側又は第二辺1bに対する直角離間方向に対して15〜40度傾斜した方向であることにより、図9に示した従来例2よりも、ワイヤ9a,9bの端をボンディングする導電パターン23のボンディング領域の幅を小さくして、サブマウント基板21のサイズを小さくしたり、二列間のチップ間隔を小さくしたりすることができる。
【実施例3】
【0040】
図4に示す実施例3は、八つのLEDチップ1を、照明器具の給電端子を接触させるための受電端子も備えたベース基板31に二列配置・直列二回路に実装してなるLED発光装置30である。
【0041】
本実施例3で用いたLEDチップ1は、本実施例1で用いたLEDチップ1と同じである。
【0042】
ベース基板31は、絶縁性で高熱伝導性のセラミック板32(例えば窒化アルミニウム)とその上面に配線パターン形成された導電パターン33とを含む配線基板であり、平面視で長方形をなし、図4において左右に対峙する第1辺31aと第2辺31bとが平行である。ベース基板31の第3辺である上辺が、照明器具への取付辺となっている。導電パターン33は、間に絶縁領域34をおいて左右に四つずつで二列に並ぶ八つのパターンと、該八つのパターンの上に絶縁領域34をおいて並ぶ一つの相対的に幅広のパターンであり、該八つのパターンにLEDチップ1が一つずつ載置され、各p電極6の全面が電気的及び熱的に接合されている。図4において左列の四つのLEDチップ1を第一LEDチップといい、右列の四つのLEDチップ1を第二LEDチップという。また、各LEDチップ1のn電極2の2つのパッド電極7a,7bから、図4における上隣の導電パターン33のパターンにかけて、2本のワイヤ9a,9bが架設されボンディングされている。これにより、八つのLEDチップ1が二列状に配置されるとともに直列二回路に実装されたLED発光装置が構成されている。導電パターン33のうち、図4における一番下の二つのパターンがアノードパターン33aであり、一番上の一つの幅広のパターンがカソードコモンパターン33cである。
【0043】
本実施例3においても、ベース基板31に対するLEDチップ1の平行配置やワイヤ9a,9bの架設方向に関する特徴は、実施例2と同様であるから、受電端子付きの大きいベース基板31ではあるが、ベース基板31のサイズを極力小さくしたり、二列間のチップ間隔を極力小さくしたりすることができる。
【0044】
さらに、本実施例3の特徴は、導電パターン33のコモンパターンを広くすることができた点にある。すなわち、他のパターンよりも相対的に幅広のカソードコモンパターン33cは、幅広のまま図4における上方へ延出し、その延出端部が取付辺である上辺の中央に位置するカソード受電端子35cとなっており、これに照明器具が備える中央の給電端子36が接触する。また、左側のアノードパターン33aは、LEDチップ1の左列よりも絶縁領域34をおいた左側を上方へ延出し、その延出端部が取付辺である上辺の左側に位置するアノード受電端子35aとなっており、これに照明器具が備える左側の給電端子36が接触する。右側のアノードパターン33aは、LEDチップ1の右列よりも絶縁領域34をおいた右側を上方へ延出し、その延出端部が取付辺である上辺の右側に位置するアノード受電端子35aとなっており、これに照明器具が備える右側の給電端子36が接触する。
【0045】
従来例3で説明したように、照明器具の取付ホルダが備える給電端子36が等間隔に配置され、その位置が決まっている場合でも、本実施例3では、カソードコモンパターン33cをLED発光装置の取付辺の中央に設けることにより、カソードコモンパターン33cの幅を広くとることができるため、電気抵抗を低減して、電圧降下を小さくすることができる。また、パターン設計に余裕ができ、給電端子36付近の絶縁領域34を拡げることもできるので、回路のショートに対する安全性が高まる。
【実施例4】
【0046】
図5に示す実施例4も実施例3と同じく、八つのLEDチップ1を、照明器具の給電端子を接触させるための受電端子も備えたベース基板41に二列配置・直列二回路に実装してなるLED発光装置40であるが、アノードコモンとした点において実施例3と相違するものである。
【0047】
本実施例4で用いたLEDチップ1は、本実施例1で用いたLEDチップ1と同じである。
【0048】
ベース基板41は、絶縁性で高熱伝導性のセラミック板42(例えば窒化アルミニウム)とその上面に配線パターン形成された導電パターン43とを含む配線基板であり、平面視で長方形をなし、図5において左右に対峙する第1辺41aと第2辺41bとが平行である。ベース基板41の第3辺である下辺が、照明器具への取付辺となっている。導電パターン43は、間に絶縁領域44をおいて左右に四つずつで二列に並ぶ八つのパターンと、該八つのパターンの下に絶縁領域44をおいて並ぶ一つの相対的に幅広のパターンであり、該八つのうちの下六つのパターンにLEDチップ1が一つずつ載置され、一つの幅広のパターンにLEDチップ1が二つ載置され、各p電極6の全面が電気的及び熱的に接合されている。また、各LEDチップ1のn電極2の2つのパッド電極7a,7bから、図5における上隣の導電パターン43のパターンにかけて、2本のワイヤ9a,9bが架設されボンディングされている。これにより、八つのLEDチップ1が二列状に配置されるとともに直列二回路に実装されたLED発光装置が構成されている。導電パターン43のうち、図5における一番下の一つの幅広のパターンがアノードコモンパターン43aであり、一番上の二つのパターンがカソードパターン43cである。
【0049】
本実施例4においても、ベース基板41に対するLEDチップ1の平行配置やワイヤ9a,9bの架設方向に関する特徴は、実施例2と同様であるから、受電端子付きの大きい基板41ではあるが、基板41のサイズを極力小さくしたり、二列間のチップ間隔を極力小さくしたりすることができる。
【0050】
他のパターンよりも相対的に幅広のアノードコモンパターン43aは、その幅広のまま図5における下方へ延出し、その延出端部がの取付辺である下辺の中央に位置するアノード受電端子45aとなっており、これに照明器具が備える中央の給電端子46が接触する。また、左側のカソードパターン43cは、LEDチップ1の左列よりも絶縁領域44をおいた左側を下方へ延出し、その延出端部が取付辺である下辺の左側に位置するカソード受電端子45cとなっており、これに照明器具が備える左側の給電端子46が接触する。右側のカソードパターン43cは、LEDチップ1の右列よりも絶縁領域44をおいた右側を下方へ延出し、その延出端部が取付辺である下辺の右側に位置するカソード受電端子45cとなっており、これに照明器具が備える右側の給電端子46が接触する。
【0051】
本実施例4によっても、実施例3と同様の理由により、アノードコモンパターン43aの幅を広くとることができるため、電気抵抗を低減して、電圧降下を小さくすることができる。また、パターン設計に余裕ができ、給電端子36付近の絶縁領域44を拡げることもできるので、回路のショートに対する安全性が高まる。
【実施例5】
【0052】
図6及び図7に示す実施例5は、実施例1のLED発光装置10を用いて構成した車両用ヘッドランプ50である。
【0053】
車両用ヘッドランプ50は、実施例1のLED発光装置10を受電端子付きのベース基板52に上向きに実装してなり上向きに配設されたLEDパッケージ51と、LEDパッケージの後方(図6及び図7において左方)にLEDチップ1の周りまで及ぶ略半割放物面状のリフレクタ58と、LEDパッケージの前方(図6及び図7において右方)に設けられた前照レンズ59とを含んで構成されている。四つのLEDチップ1の中央部はリフレクタ58の焦点又はその近傍に配置されており、LEDチップ1の発光面から上向きないし周囲に発せられる光をリフレクタ58により前向きに反射し、この前向きの光を前照レンズ59により所定の範囲に集光するようにしている。
【0054】
LEDパッケージ51のベース基板52は、セラミック板53(例えば窒化アルミニウム)とその上面に配線パターン形成された導電パターン54とを含む配線基板である。導電パターン54は、LED発光装置10のサブマウント基板11を接合する中央のパターンと、LED発光装置10のカソードをワイヤボンディングで接続する右側のカソードパターンと、LED発光装置10のアノードをワイヤボンディングで接続する左側のアノードパターンとを、間に絶縁領域55をおいて有する。カソードパターンとアノードパターンにはそれぞれ給電端子56が接触する。ベース基板52上にはLEDチップ1を囲むシェル状のカバー57が設けられている。LEDチップ1の発光色が例えば青色である場合、LEDチップ1の表面に塗布される樹脂に例えば黄色蛍光体が含有され、外部へは白色光が放射されるようになっている。
【0055】
また、LEDチップ1の第一辺1aに対する直角離間方向Dが、LEDチップ1からリフレクタ58に向かう真後ろ方向となるように、LED発光装置10を配置している。そして、実施例1(図1)で説明したとおり、LEDチップ1の第一辺1a側のパッド電極7aからのワイヤ9aの架設方向は、該第一辺1aに対する直角離間方向Dに対して第一辺1aから離れる向きに15〜40度傾斜した方向である。このため、LEDチップ1からリフレクタ58に向かう後方へ(特に後方へ且つ斜め上方へ)の光路上にワイヤ9aが入らず、ワイヤの影が生じない。よって、ワイヤの影による光量の低下を防止することができ、ワイヤの影が外部から見えることもないため見栄えの悪化を防止することができる。
【実施例6】
【0056】
図8及び図9に示す実施例6は、実施例3のLED発光装置30を用いて、実施例5と同様に構成した車両用ヘッドランプ60である。
【0057】
本実施例6によっても、実施例5と同様の理由により、ワイヤの影による光量の低下を防止することができ、ワイヤの影が外部から見えることもないため見栄えの悪化を防止することができる。さらに本実施例6では、左列の四つの第一LEDチップ1と、右列の四つの第二LEDチップ1とを、リフレクタ58の焦点に対する前後方向位置が互いに異なるように配置し、第一LEDチップ1と第二LEDチップ1とを選択的に点灯させることにより、リフレクタ58による反射の仕方を変えて、ヘッドランプの照射範囲を変えることができる。
【0058】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 LEDチップ
1a 第一辺
1b 第二辺
7a パッド電極
7b パッド電極
9a ワイヤ
9b ワイヤ
10 LED発光装置
11 サブマウント基板
11a 第1辺
11b 第2辺
12 セラミック板
13 導電パターン
20 LED発光装置
21 サブマウント基板
21a 第1辺
21b 第2辺
22 セラミック板
23 導電パターン
30 LED発光装置
31 ベース基板
31a 第1辺
31b 第2辺
32 セラミック板
33 導電パターン
33a アノードパターン
33c カソードコモンパターン
40 LED発光装置
41 ベース基板
41a 第1辺
41b 第2辺
42 セラミック板
43 導電パターン
43a アノードコモンパターン
43c カソードパターン
50 車両用ヘッドランプ
58 リフレクタ
60 車両用ヘッドランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対峙する第一辺と第二辺とが平行であるLEDチップを、対峙する第1辺と第2辺とが平行である基板の上に、第一辺と第1辺とが間隔をおいて平行をなし、第二辺と第2辺とが間隔をおいて平行をなすように実装し、
LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の第1辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の第2辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設してなるLED発光装置。
【請求項2】
複数のLEDチップをそれらの第一辺が一直線上に揃う列状をなすように基板の上に実装し、複数のLEDチップが直列回路を構成するようにした請求項1記載のLED発光装置。
【請求項3】
対峙する第一辺と第二辺とが平行である第一LEDチップと、対峙する第一辺と第二辺とが平行である第二LEDチップとを、対峙する第1辺と第2辺とが平行である基板の上に、第一LEDチップの第一辺と基板の第1辺とが間隔をおいて平行をなし、第一LEDチップの第二辺と第二LEDチップの第一辺とがチップ間隔をおいて平行をなし、第二LEDチップの第二辺と基板の第2辺とが間隔をおいて平行をなすように実装し、
第一LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の第1辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第一LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の前記チップ間隔における第一LEDチップ寄りの上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第二LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第一辺側のパッド電極と、基板の前記チップ間隔における第二LEDチップ寄りの上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第一辺に対する直角離間方向に対して第一辺から離れる向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第二LEDチップの上面の対角の二隅に設けられた二つのパッド電極のうちの第二辺側のパッド電極と、基板の第2辺側の上面に設けられた導電パターンのボンディング領域との間に、ワイヤを、平面視における該パッド電極からの架設方向が、該第二辺に対する直角離間方向に対して第二辺に近付く向きに15〜40度傾斜した方向であるように架設し、
第一LEDチップと第二LEDチップとで並列回路を構成するようにしたLED発光装置。
【請求項4】
複数の第一LEDチップをそれらの第一辺が一直線上に揃う列状をなすように基板の上に実装し、複数の第一LEDチップが直列回路を構成するようにし、複数の第二LEDチップをそれらの第一辺が一直線上に揃う列状をなすように基板の上に実装し、複数の第二LEDチップが直列回路を構成するようにした請求項3記載のLED発光装置。
【請求項5】
基板の第3辺を照明器具への取付辺とし、該取付辺の中央部に、前記並列回路の一方極のコモンパターンを配置し、該取付辺の中央部を挟む両側部に、前記並列回路の他方極の2つのパターンを配置した請求項3又は4記載のLED発光装置。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5記載のLED発光装置を上向きに配置し、LEDチップの上面から光が上向きないし周囲に発せられるようにし、
LED発光装置の後方にLEDチップの周りまで及ぶリフレクタを設けて、前記上向きないし周囲への光を前向きに反射するようにし、
LEDチップの第一辺に対する直角離間方向が、LEDチップからリフレクタに向かう真後ろ方向となるように、LED発光装置を配置することにより、第一辺側のパッド電極から架設されたワイヤが、LEDチップからリフレクタに向かう後方への光路上に入らないようにした車両用ヘッドランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−216514(P2011−216514A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80254(P2010−80254)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】