説明

LED表示用基板及びLED表示器

【課題】 表示品位の高いLED表示器を提供することを目的とする。
【解決手段】 絶縁性基材1の表面に複数個のLED用電極部をマトリックス状に配置したLED表示用基板であって、前記LED用電極部は、全体で円形状を成すリード電極で構成され、その周囲がレジスト膜8の端縁で構成される環状の壁によって囲まれることを特徴とする。また、表面に複数個のLED用電極部をマトリックス状に配置したLED表示用基板であって、マトリックス状に配置した前記LED用電極部の間に配置した電極部の略全面を黒色の膜で覆い、前記黒色の膜の端縁で構成される壁が前記LED用電極部の周囲を囲むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に直接多数個のLED部を形成したLED表示用基板及びLED表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを文字や図柄の表示に用いる場合、従来は既製のLEDを用い、これらを基板上にマトリックス状に配置して表示器を構成していた(特許文献1等)。しかしながら、既製のLEDを用いるので、その組立て作業性が悪いとともに、発光方向が不揃いになりやすく安定した表示を行うことができなかった。そこで、最近は、LED部を基板上に直接形成して上記問題点を解決した表示器が開発されている。
【特許文献1】特開平1−194479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようにLED部を直接基板上に形成する場合は、次のような解決すべき課題がある。まず、発光ダイオード素子を配置し接続するための所定形状の電極群から成るLED用電極部を基板表面に多数形成し、これらを接続するための配線も基板表面に形成しているので、LED用電極部の周囲が前記配線の存在によって凸凹になり易い。この凸凹は数十μm程度と小さいが、電極上に配置される発光ダイオード素子の大きさ(300μm角程度)に比べるとかなり大きな値であるため、発光ダイオード素子の光がこの凸凹に沿って逸散し易く、表示のための光量不足、輪郭不良を生じやすい。さらに、LED用電極部に発光ダイオード素子を覆う樹脂をモールド成形するに際して、前記凸凹に沿って樹脂が周囲に流れ出すことによって樹脂の形状が安定せず、発光方向にムラが生じやすい。さらにまた、LED部の間を覆うように基板表面に反射枠を設けた場合、隣接するLED部が上記凸凹を介して反射枠の裏側部分で連絡し、この連絡部分を介して隣のLED部の光が漏れ出すことが生じる。そしてまた、基板の裏側に駆動用の回路基板などが配置されるが、これらの回路から発生する不要電波のシールド対策が十分成されていない。そしてまた、LED用電極部の周囲の色が配線や絶縁レジストによって不揃いとなっていて、LED部の点灯輪郭が不鮮明になり易い。
【0004】
そこで本発明は、隣のLED部の光が漏れ出すことを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のLED表示用基板は、請求項1に記載のように、絶縁性基材の表面に複数個のLED用電極部をマトリックス状に配置したLED表示用基板であって、前記LED用電極部は、全体で円形状を成すリード電極で構成され、その周囲がレジスト膜の端縁で構成される環状の壁によって囲まれることを特徴とする。
【0006】
本発明のLED表示用基板は、請求項2に記載のように、表面に複数個のLED用電極部をマトリックス状に配置したLED表示用基板であって、マトリックス状に配置した前記LED用電極部の間に配置した電極部の略全面を黒色の膜で覆い、前記黒色の膜の端縁で構成される壁が前記LED用電極部の周囲を囲むことを特徴とする。
【0007】
本発明のLED表示器は、請求項3に記載のように、基板上にマトリックス状に配置したLED用電極部に取り付けられる発光ダイオード素子と、この素子に接続されたワイヤーボンディング配線と、前記ワイヤーボンディング部分を覆う透光性樹脂とを備えることによってLED部を前記基板上に直接形成したLED表示器であって、前記基板として上述したLED表示用基板を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
隣のLED部の光が漏れ出すことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。基板1は、黒く着色されたガラスエポキシ樹脂等の絶縁性基材2で構成され、その表面には、図1,2に示すように複数個のLED用電極部3を互いに独立してマトリックス状(24行24列)に配置し、その裏面には、図3に透視図を示すように前記各LED用電極部3の電気的接続配線を行う配線部を構成する銅箔製の配線パターン4を設けている。各LED用電極部3と配線パターン4の接続は、図5に示すように基材2を貫通するスルーホール5を介して基材2の内部で行われ、裏面の配線パターン4は、黒色の絶縁膜によって覆われている。
【0010】
各LED用電極部3は、所定形状の導電金属箔製の電極群、すなわち図1(b)、図2(b)に示すように、全体で円形状を成す3つの銅箔製リード電極3a,3b,3cで構成されている。各リード電極3a,3b,3cには、基材2を貫通する前記スル−ホール5が形成され、図5に示すように、スルーホール5に設けた配線用銅箔5a,5b,5cを介して裏面の配線パターン4への配線が行われる。各LED用電極部3は、このように基材2を貫通する配線用銅箔5a,5b,5cと基材2裏面の配線パターン4によってそれぞれ電気的な接続を行い、基材2表面側での接続は行っていないので、基材2表面側では互いに独立している。そして、図4,図5に示すLED部10を構成するに際し、図1(b)に点線で示すように、中央のリード電極3bには、1個〜複数個の発光ダイオード素子11が導電性接着剤を介して取り付けられ、この発光ダイオード素子11は他のリード電極3a,3cにワイヤ−ボンデイング配線によって電気的に接続される。
【0011】
基板1の表面には、図2、特に同図(b)に示すように、隣接する各LED用電極部3の間を埋めるように共通電極部6を形成している。この共通電極部6は、LED用電極部3を構成するリード電極3a,3b,3cと同じ材料である銅箔をエッチングして構成しているので、LED用電極部3と略同じ厚みを有する。共通電極部6と各LED用電極部3の間には、互いに電気的絶縁を保つための環状の絶縁領域7が銅箔をエッチングして設けられている。このように、LED用電極部3の周囲は、単一厚みの共通電極部6が環状に囲むので凸凹のない平坦面とすることができ、また、共通電極部6の縁が環状に同一高さで囲むので、LED部10を構成するに際して、透光性樹脂12をLED用電極部3に流し込んでモ−ルドする際、透光性樹脂12をより均一に成形することができる。また、共通電極部6は、LED用電極部3の間を埋めるように基板1に広範囲に形成しているので、基板1もしくは基板1に別途取り付けられる駆動基板から発生する不要電波を吸収するシールド層として有効に機能させることができる。
【0012】
共通電極部6の上には、図1に(特に同図(b)に斜線で)示すように電気的絶縁性を有する黒色レジスト膜8を共通電極部6の略全域を覆うように、略均一な厚み(共通電極部6の厚みよりも2〜3倍程度厚く設定)を有して設けている。この黒色レジスト膜8は、環状絶縁領域7を囲む共通電極部6が環状に若干露出するように、環状絶縁領域7と若干の距離を設けているが、これは、黒色レジスト膜8を設けるに際して、環状絶縁領域7に黒色レジスト膜8が入り込み、それによってLED用電極部3の周囲が凸凹になるのを防ぐ目的もある。このように、黒色レジスト膜8を設けることにより、LED用電極部3の周囲を平坦にすることができるとともに、図5に示すように共通電極部6と黒色レジスト膜8の端縁の高さ、すなわち、LED用電極部3の周囲を環状絶縁領域7を介して環状に囲む壁9として機能する部分の高さを高くして透光性樹脂の流れ出しを有効に防止するとともに、発光ダイオード素子11の光漏れ路を塞ぐことができる。また、黒色レジスト膜8を共通電極部6に設けることにより、不要反射光の吸収効果を高めることができ、LED部10を点灯した場合の色合いを鮮明にすることができる。
【0013】
そして、上記基板1の各LED用電極部3に発光ダイオード素子11を上述のように導電性接着剤によって取り付けた後、ボンデイングによって配線し、必要に応じて、例えば図4に対応するような円形の窓をマトリックス状に設けた反射枠を基板1に配置し、あるいは、このボンデイング部分を覆うように透光性樹脂12を流し込んで樹脂モ−ルド成形し、LED部10を基板1上に直接形成することによって、マトリックス状のLED部10を有するLED表示器を構成することができる。反射枠(図示せず)の配置においては、各LED用電極部3の周囲が平坦化されているので、基板1と反射枠との密着性がよく光漏れ路が形成されない。また、透光性樹脂12のモ−ルド成形に際しては、各LED用電極部3の周囲が平坦化されているので、作業性がよく、また、各LED用電極部3の周囲が、図5に示すように、共通電極部6と黒色レジスト膜8の端縁によって構成される環状の壁9によって囲まれるので、この壁9が透光性樹脂モールド時の樹脂の流れ出しを防止する堰として機能し、透光性樹脂12が硬化した時の形状を一定な形状にしてLED部10の品質を均一に揃えることができる。
【0014】
上述のように本発明によれば、隣接するLED用電極部の間を埋めるように配置した共通電極部の存在によって、LED用電極部の周囲が、平坦化され、また、一定の高さで囲まれるので、光漏れ路がなく、さらに、LEDモ−ルド用樹脂を配置して成形するに際して樹脂の安定した成形を可能とする。また、共通電極部は、不要電波を吸収するシールド層として有効に機能させることができる。
【0015】
また、LED用電極部と共通電極部とを同一厚みの導電層によって構成し、共通電極部の略全面を絶縁膜によって覆うことにより、LED用電極部の周囲が共通電極部と絶縁膜によって所定の高さで囲まれ、光漏れ路がなく、また、LED用電極部にモ−ルド用樹脂を配置する際の樹脂の流れ出しを共通電極部と絶縁膜によって抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明はドットマトリックスタイプのLED表示器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係わる基板の平面図で、(a)は全体平面図、(b)は部分拡大平面図である。
【図2】本発明の一実施例に係わる基板(絶縁膜なし)の平面図で、(a)は全体平面図、(b)は部分拡大平面図である。
【図3】本発明の一実施例に係わる基板の裏面に施した配線パターンを透視した平面図である。
【図4】本発明の一実施例に係わる表示器の平面図である。
【図5】本発明の一実施例に係わる表示器の部分断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 基板
2 基材
3 LED用電極部
6 共通電極部
7 環状絶縁領域
8 黒色レジスト膜(絶縁膜)
10 LED部
11 発光ダイオード素子
12 透光性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材の表面に複数個のLED用電極部をマトリックス状に配置したLED表示用基板であって、前記LED用電極部は、全体で円形状を成すリード電極で構成され、その周囲がレジスト膜の端縁で構成される環状の壁によって囲まれることを特徴とするLED表示用基板。
【請求項2】
表面に複数個のLED用電極部をマトリックス状に配置したLED表示用基板であって、マトリックス状に配置した前記LED用電極部の間に配置した電極部の略全面を黒色の膜で覆い、前記黒色の膜の端縁で構成される壁が前記LED用電極部の周囲を囲むことを特徴とするLED表示用基板。
【請求項3】
基板上にマトリックス状に配置したLED用電極部に取り付けられる発光ダイオード素子と、この素子に接続されたワイヤーボンディング配線と、前記ワイヤーボンディング部分を覆う透光性樹脂とを備えることによってLED部を前記基板上に直接形成したLED表示器であって、前記基板として請求項1あるいは2に記載のLED表示用基板を用いたことを特徴とするLED表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−52460(P2007−52460A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297494(P2006−297494)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【分割の表示】特願2003−176806(P2003−176806)の分割
【原出願日】平成7年3月27日(1995.3.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】