説明

MCH受容体アンタゴニストとしてのインダン誘導体

式(I)[式中、A、R、R、R、R及びRは本明細書において開示されるものである]で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩が提供される。これらの化合物、及びそれらを含有する医薬組成物は、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患を処置するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニスト及びそれらの誘導体に関する。アンタゴニスト及びそれらの誘導体は、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患を処置するために有用である。
【0002】
メラニン凝集ホルモン(MCH)は、シロザケの下垂体から最初に単離された環状ペプチドである(Kawauchi, Nature 305, 321-333)。MCHの配列は、全ての硬骨魚で同一であることが示されており、それはメラニンの顆粒化を引き起こし、従って、色の変化を調節する。また、最近の報告は、MCHが硬骨類での食物摂取に役割を果たすことを示唆する。MCHはまた、ACTHの放出を阻害し、すなわち、α−MSHのアンタゴニストとして作用する。MCHは続いて、環状ノナペプチドとして哺乳類において同定された。最初のMCH受容体(後にMCHR1と称される)は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)であり、「逆薬理学」アプローチを用いて同定された。すなわち、哺乳類においてオーファンGPCR、SLC−1の天然のリガンドが、MCHであることが立証された。この決定の後に、2番目のMCH受容体(MCHR−2)が同定された。哺乳類の摂食行動におけるMCHの役割は、長年の研究対象であった(Qu, et al. (1996) Nature, 380:243-247; Rossi et al. (1997) Endocrinology 138:351-355; Shimada et al. (1998) Nature 396:670-674)。MCHは、中枢神経系(CNS)の視床下部外側野及び不確帯中で主に発現する。MCHの中枢投与は、食物摂取を刺激し、エネルギーバランスを調節することが知られている。MCHは、絶食中に視床下部外側野中でアップレギュレーションされる(Rossi et al. (1997) Endocrinology 138:351-355)。ノックアウト実験により、MCHペプチドを欠くマウスが細身であり、食欲が低下し、かつ代謝速度が上昇した状態に保たれていることが示された。MCHのmRNAレベルは正常及び肥満マウスの両方で増加している。MCHを過剰発現するトランスジェニックマウスは肥満しており、インスリン抵抗性である。MCH受容体をコードする遺伝子を欠く、遺伝子改変動物は、中程度に食欲が低下するが、肥満に抵抗性を示し、代謝速度の増加を示す(Shimada et al. (1998) Nature 396:670-674)。MCHは、MCH受容体(MCHR1又はMCHR2)への結合により、摂食行動に対するその影響を発揮し、細胞内カルシウムの動員及び、サイクリックAMPレベルの同時的な減少をもたらすと考えられている。これらの知見の一貫性は、MCHアンタゴニズムが、人における体重減少を安全に導き得ることを示唆する。これをさらに支持して、多数の研究が、げっ歯類における、MCH受容体アンタゴニストの急性投与に続く食物摂取の統計学的に有意な減少、及び/又は、低分子MCH受容体アンタゴニストの慢性投与後の統計学的に有意な体重減少を記載する(Borowsky et al.(2002)Nature Medicine 8(8):825-830; Souers et al. (2005) Bioorg. Med. Chem. Lett.15:2752-2757, Vasudevan et al. (2005) Bioorg. Med. Chem. Lett.15:4174-4179, Kym et al. (2005) J. Med. Chem. 5888-91; McBriar et al. (2005) J. Med. Chem. 48:2274); Takekawa et al. (2002) Eur. J. Pharmacol. 438(3):129-135; Kowalski et al. Eur. J. Pharmacol. (2004) 497:41-47)。これらの研究からは、食物摂取を減衰させることにおけるMCHの正確な役割は明らかではない。なぜなら、記載される低分子MCH受容体アンタゴニストは、1)MCH受容体に関し選択的でないか、又は2)選択性データが開示されていない、のいずれかであるためである。
【0003】
それにもかかわらす、低分子によるMCHR1アンタゴニズムは、今や肥満の処置のための有望な戦略として認識されている。以下は、低分子MCH受容体アンタゴニストに関する:Kato et al.,国際公開第2001/21577号;Chen et al.,国際公開第2002/089729号;Collins et al.,国際公開第2003/105850号;Souers et al.,米国特許出願公開第2005/0137243号;Hulme et al.,国際公開第2005/019167号;Tempest et al.,国際公開第2005/019240号;Barvian et al.,国際公開第2004/092181号;Barvian et al.国際公開第2005/042541号;McKittrick et al.,国際公開第2002/051809号;Sasikumar et al.国際公開第2005/034947号;Devita et al.,国際公開第2003/045313号;Gillig et al.,国際公開第2005/040257号;及びSchwink et al.,国際公開第2004/072025号。
【0004】
MCHは、過食症及び肥満以外の挙動及び疾患状態を調整することが示されてきている。MCHR1のアンタゴニストは、ヒトにおける鬱病及び不安症のモデルのげっ歯類で挙動を抑制することが示されている(Hervieu (2003) Expert Opinion on Therapeutic Targets 7(4), 495-511およびその参考文献;Georgescu et al. (2005) Journal of Neuroscience 25(11), 2933-2940; Chaki et al. (2005) Journal of Pharm. and Exptl. Therapeutics 313, 831-839)。これらのげっ歯類モデルは、強制水泳試験、発声及び各種の社会的相互作用モデルを含む。最近の研究は、認知におけるMCHR1の役割をも支持する(Adamantidis et al. (2005) European Journal of Neuroscience 21, 2837-2844)。
【0005】
食物摂取及び体重の調節におけるMCH受容体の役割に取り組むために、選択的MCH受容体アンタゴニストへの必要性が依然として存在する。体重減少に対する既存のいくつかの薬物とは異なり、選択的MCH受容体アンタゴニストは、ヒトにおける食物摂取及び体重の安全な減少の手段を提供すると考えられる。このような選択的MCH受容体アンタゴニストは、例えば、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害の処置に有用であろう。
【0006】
本発明の一実施態様において、式(I):
【0007】
【化10】


[式中、
は、非置換、又は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される基によって、1、2又は3置換されているベンズイミダゾール又はアザベンズイミダゾールであり;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、−OCHC(CHOH、−SCH、−OSOCH、(C−C)アルコキシ、−CHOH及び−CHOCHからなる群より選択され;
AはC−R又はNであり;
又はRのうちの一方は水素又はハロゲンであり、もう一方は、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH及びアザインダンからなる群より選択され;
は、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択され;
及びRは水素であるか、又は、R及びRは、RaとRbが結合している炭素原子の間に二重結合を形成させるために、−C−C−結合と置換されている]
で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0008】
本発明の別の実施態様において、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物が提供される。
【0009】
本発明のさらなる実施態様において、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、かかる処置を必要とする患者の肥満を処置するための方法が提供される。
【0010】
本発明の別の実施態様において、治療的活性物質として使用するための式で表される化合物が提供される。
【0011】
さらなる実施態様において、肥満、過食症、不安症、鬱病並びに関連する障害及び疾患を処置するための医薬の調製のための、本発明の式(I)で表される化合物の使用が提供される。
【0012】
別の実施態様において、本発明は、式(I)で表される化合物の調製方法に関する。
【0013】
本発明のさらなる実施態様において、式(I−B):
【0014】
【化11】


[式中、
は、非置換、又は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、分枝鎖状又は非分枝鎖状の(C−C)−アルキル、及びヒドロキシルによって置換されている分枝鎖状又は非分枝鎖状の(C−C)−アルキルからなる群より選択される基によって、1、2又は3置換されているベンズイミダゾール又はアザベンズイミダゾールであり;
は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の(C−C)アルキル、ヒドロキシル、−OCHC(CHOH、−SCH、−OSOCH、(C−C)アルコキシ、−CHOH又は−CHOCHであり;
は、H又はハロゲンであり;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH又はアザインダンであり;
は、置換又は非置換の、分枝鎖状又は非分枝鎖状の(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である、非置換で飽和、不飽和又は部分的に飽和されている複素環である]
で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0015】
本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を記載することを目的としており、限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。さらに、本明細書において記載されるものに類似または等価のいずれの方法、装置及び材料を、本発明の実施又は試験において使用し得るが、好ましい方法、装置及び材料については以下に記載する。
【0016】
本明細書において使用されるとき、用語「アルキル」とは、例えば、置換又は非置換であってもよい分枝鎖状又は非分枝鎖状、飽和又は不飽和(例えば、アルケニル又はアルキニル等の)ヒドロカルビル基を意味する。アルキル基は、好ましくはC〜C10アルキル、より好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはメチル、エチル、プロピル(n−プロピル又はイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチルもしくはtert−ブチル)又はペンチル(n−ペンチル及びイソペンチルを含む)、より好ましくはメチルである。したがって、本明細書において使用する時、用語「アルキル」には、アルキル(分枝鎖状又は非分枝鎖状)、アルケニル(分枝鎖状又は非分枝鎖状)及びアルキニル(分枝鎖状又は非分枝鎖状)が含まれることが理解されるであろう。
【0017】
本明細書において使用されるとき、用語「アリール」とは、例えば、置換又は非置換の炭素環式芳香族基、例えば、フェニル又はナフチル、あるいは、ピリジル、ピロリル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、キナゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル及びベンズイソチアゾリル等の1個以上、好ましくは1個のヘテロ原子を含む置換又は非置換の芳香族複素環式基を意味する。
【0018】
アルキル及びアリール基は、置換されていても、又は、置換されていなくてもよい。置換されている場合には、一般に、例えば、1〜3個の置換基が存在し、好ましくは1個の置換基が存在する。置換基としては、例えば、アルキル、アリール、アリールアルキル(例えば、置換及び非置換のフェニル、置換及び非置換のベンジル)等の炭素含有基;ハロゲン原子、及びハロゲンアルキル(例えば、トリフルオロメチル)等のハロゲン含有基;アルコール(例えば、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アリール(ヒドロキシル)アルキル)、エーテル(例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル)、アルデヒド(例えば、カルボキシアルデヒド)、ケトン(例えば、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニルアルキル)、酸(例えば、カルボキシ、カルボキシアルキル)、エステル(例えば、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルオキシアルキル)等の酸誘導体、アミド(例えば、アミノカルボニル、モノ−又はジ−アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、モノ−又はジ−アルキルアミノカルボニルアルキル、アリールアミノカルボニル)、カルバメート(例えば、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、モノ−又はジ−アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ)及び尿素(例えば、モノ−又はジ−アルキルアミノカルボニルアミノ又はアリールアミノカルボニルアミノ)等の酸素含有基;アミン(例えば、アミノ、モノ−又はジ−アルキルアミノ、アミノアルキル、モノ−又はジ−アルキルアミノアルキル)、アジド、ニトリル(例えば、シアノ、シアノアルキル)、ニトロ等の窒素含有基;チオール、チオエーテル、スルホキシド及びスルホン(例えば、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオアルキル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアルキル)等の硫黄含有基;及び1個以上、好ましくは1個のへテロ原子を含む複素環式基(例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7−アザインドリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、シノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンズオキサジニル、キノキサリニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、フタラジニル及びカルボリニル)が挙げられ得る。
【0019】
本明細書において使用されるとき、用語「アルコキシ」とは、アルキルが本明細書における上記定義の意味を有する基−O−アルキルを意味する。好ましいのは(C−C)−アルコキシ基である。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びヘキシルオキシであり、メトキシが特に好ましい。
【0020】
用語「アルコイル」とは、アルキルが本明細書における上記定義の意味を有する基−CO−アルキルを意味する。好ましいアルコイル基はアセチル基(−CO−CH)である。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「ハロゲン」とは、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素ラジカル、好ましくはフッ素、塩素又は臭素ラジカル、より好ましくはフッ素又は塩素ラジカルを意味する。
【0022】
本明細書において使用されるとき、用語「シクロアルキル」又は「(C−C)−シクロアルキル」とは、3〜6個、好ましくは3〜5個の炭素原子の1価の炭素環式ラジカルを意味する。この用語はさらに、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のラジカルにより例示され、シクロプロピルが特に好ましい。
【0023】
用語「ハロゲンアルキル」又は「ハロゲン−(C−C)−アルキル」とは、ハロゲンラジカル、好ましくはフッ素又は塩素、最も好ましくはフッ素によって一置換又は多置換されている、本明細書において先に定義したアルキル基のことをいう。低級ハロゲンアルキル基の例は、例えば、−CF、−CHF、−CHCl、−CHCF、−CH(CF、−CF−CF及び本明細書において具体的に例示されている基である。
【0024】
用語「5員又は6員の芳香族複素環」とは、硫黄、窒素及び酸素から選択される1個、2個又は3個の原子を含む5員又は6員の芳香族環のことをいう。かかる芳香族複素環の例は、フリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、テトラゾリル、ペンタゾリル及びピロリルである。特に好ましいのはチエニルである。
【0025】
及びRが結合している炭素原子の間に二重結合を形成させるために、R及びRが−C−C−結合により置換されている、式(I)で表される化合物は、式(I−C):
【0026】
【化12】


[式中、A、R、R及びRは本明細書において先に定義した通りである]
を有する化合物である。
【0027】
薬学的に許容可能な担体、賦形剤等などの「薬学的に許容可能な」とは、薬理学的に許容可能であること及び特定の化合物が投与される対象にとって実質的に毒性が無いことを意味する。
【0028】
「薬学的に許容可能な塩」とは、式Iで表される化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、且つ、適当な非毒性の有機もしくは無機酸又は有機もしくは無機塩基から形成される一般的酸付加塩又は塩基付加塩のことをいう。例示的酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸等の無機酸由来のもの、及び、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等の有機酸由来のものが挙げられる。例示的塩基付加塩としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、及び例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級水酸化アンンモニウムに由来するものが挙げられる。医薬化合物(すなわち、薬物)の塩への化学的修飾は、物理的又は化学的安定性を含む特性、例えば、化合物の吸湿性、流動性又は溶解性を改善しようと試みる場合に使用される、周知の技術である。例えば、H. Ansel et. al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed.1995)、第196ページ及び1456〜1457ページを参照されたい。
【0029】
好ましい実施態様において、本発明は、Rが、非置換、又は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される基によって1、2又は3置換されているベンズイミダゾールである、式(I)で表される化合物に関する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、式(I−A):
【0031】
【化13】


[式中、
A、R、R、R及びRは請求項1において定義した通りであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群から選択され;
は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群から選択され;
Bは、C−R又はNであり;及び、
は、水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキルからなる群から選択される]
を有する式(I)で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0032】
好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される。
【0033】
好ましくは、Rは、ハロゲン、−SOCH及び(C−C)−アルキルからなる群より選択される。
【0034】
好ましい実施態様において、BがC−Rであり、且つ、Rが水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキルからなる群より選択される、式(I)で表される化合物が提供される。
【0035】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、Rが、ハロゲン、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)アルキル、−OCHC(CHOH、−SCH、−OSOCH、(C−C)アルコキシ、−CHOH及び−CHOCHからなる群より選択される、式(I)で表される化合物に関する。
【0036】
より好ましくは、Rは水素である。
【0037】
別の好ましい実施態様において、本発明は、AがC−Rであり;R又はRのうちの一方は水素又はハロゲンであり、もう一方は、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH及びアザインダンからなる群より選択され、Rが、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキル、からなる群より選択される、式(I)で表される化合物に関する。
【0038】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、Rが水素であり、Rが、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH及びアザインダンからなる群より選択され、Rが、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキル、からなる群より選択される、式(I)で表される化合物に関する。
【0039】
より好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、及び−OCHからなる群より選択される。
【0040】
別の好ましい実施態様において、Rが−NHCO−Rであり、Rが、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される、式(I)で表される化合物が提供される。
【0041】
AがNである、本発明の式(I)で表される化合物も好ましい。
【0042】
さらには、R及びRが水素である式(I)で表される化合物が好ましい。
【0043】
本発明の式(I)で表される好ましい化合物及び薬学的に許容可能なその塩の例は以下である:
5−アゼパン−1−イル−6−(4−フルオロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−ピペリジン−1−イル−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−ピペリジン−1−イル−ピラジン−2−カルボン酸((S)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド及び6−(4−クロロ−フェニル)−5−ピペリジン−1−イル−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−ピロリジン−1−イル−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−アゼパン−1−イル−6−(4−クロロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−[メチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(ヘキシル−メチル−アミノ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−アゼチジン−1−イル−6−(4−クロロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−メトキシ−アゼチジン−1−イル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−エトキシ−アゼチジン−1−イル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(シクロプロピル−メチル−アミノ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(シクロプロピルメチル−メチル−アミノ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−フェニル−5−ピペリジン−1−イル−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−[メチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(シクロプロピルメチル−メチル−アミノ)−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(シクロプロピル−メチル−アミノ)−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(シクロプロピル−メチル−アミノ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(シクロプロピルメチル−メチル−アミノ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−[メチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(シクロプロピル−メチル−アミノ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(シクロプロピルメチル−メチル−アミノ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((S)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチルメトキシ−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−シクロペンチルメトキ−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−メトキシ−プロポキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−メチル−ブトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−メチル−ブトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−メチル−ブトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸ピペリジン−1−イルアミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(1−ヒドロキシメチル−シクロプロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸ピペリジン−1−イルアミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(1−ヒドロキシ−シクロプロピルメチル)−アミド、
5−シクロプロピルメトキシ−6−(4−フルオロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−[(R)−1−(テトラヒドロ−フラン−2−イル)メトキシ]−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(2,2−ジシクロプロピル−2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボン酸(2,2−ジシクロプロピル−2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸(1−ヒドロキシメチル−シクロプロピルメチル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−[(S)−1−(テトラヒドロ−フラン−2−イル)メトキシ]−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−ブトキシ−6−(4−クロロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−シクロプロピルメトキシ−6−(4−フルオロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−シクロプロピルメトキシ−6−(4−フルオロ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((S)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(2−メトキシ−エトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(2−メトキシ−エトキシ)−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−シクロペンチルメトキシ−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(3−メトキシ−プロポキシ)−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−[(R)−1−(テトラヒドロ−フラン−2−イル)メトキシ]−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(3−メチル−ブトキシ)−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−ブトキシ−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸(2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−[(S)−1−(テトラヒドロ−フラン−2−イル)メトキシ]−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(2−メトキシ−エトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−シクロプロピルメトキシ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(2−メトキシ−エトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−シクロプロピルメトキシ−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピリミジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピリダジン−3−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピリミジン−4−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピラジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(ピリミジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
5−(ピリミジン−2−イルメトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(ピリミジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(ピリミジン−2−イルメトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(ピリミジン−4−イルメトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
5−(ピラジン−2−イルメトキシ)−6−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピラジン−2−カルボン酸((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド、
6−(4−クロロ−フェニル)−5−(ピリミジン−2−イルメトキシ)−ピラジン−2−カルボン酸((S)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−アミド。
【0044】
特に好ましいのは、以下からなる群から選択される、式(I)で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩である:
1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール、
シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−[(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−アミド、
N−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−プロピオンアミド、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
N−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド;ジヒドロクロリド、
(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−カルボニトリル、
1−[(3R,4R)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール;ジヒドロクロリド、
1−[(3R,4R)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール、
1−[(3S,4S)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール、
1−[(3S,4S)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール;ジヒドロクロリド、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((R)−5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−クロロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((R)−5−クロロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3S,4S)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
(S)−2−{(3R,4R)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−カルボニトリル、
(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−3−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−6−フルオロ−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−3−オール。
【0045】
また、以下からなる群から選択される、式(I)で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩も好ましい:
(S)−2−{(3R,4R)−4−[6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−カルボニトリル、
N−((R)−2−{(3R,4R)−4−[6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−プロピオンアミド、
(S)−2−{(3S,4S)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−カルボニトリル、
(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−3−オール、
(S)−2−[(3R,4R)−3−メトキシ−4−(5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−カルボニトリル、
2−[1−((3R,4R)−1−インダン−2−イルメチル−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−(5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
N−((R)−2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−プロピオンアミド、
(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−カルボニトリル。
【0046】
上述のように、式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩はメラニン凝集ホルモン受容体のアンタゴニストであり、すなわち、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患の処置のために有用である。好ましくは、式(I)で表される化合物は、肥満の処置のために有用である。
【0047】
従って、本発明はまた、治療的に有効な量の上記に定義する化合物及び薬学的に許容可能な担体を含んでなる医薬組成物に関する。好ましい実施態様において、本発明は、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患の処置のための、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物を含む医薬組成物に関する。
【0048】
本発明の方法の実施において、有効量の本発明の化合物の任意の1つ又は本発明の化合物又は薬学的に許容可能なその塩又はエステルの任意のものの組み合わせは、当技術分野において公知の通常且つ許容可能な方法のいずれかを介して、単独で又は組み合わせて投与される。すなわち、この化合物又は組成物は、経口(例えば、口腔前庭)で、舌下で、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、又は皮下)で、経直腸で(例えば、坐薬又は洗浄剤によって)、経皮(例えば、皮膚電気穿孔法)で又は吸入によって(例えば、エアロゾルによって)、錠剤及び懸濁剤を含む固体、液体又は気体の剤形で投与することができる。投与は、適宜、連続的治療によって単一単位投与剤形で行うか、又は、単一用量治療で行うことができる。治療用組成物は、パモ酸等の親油性塩と共に油性乳濁液又は分散液の形態、あるいは、皮下又は筋肉内投与のための生分解性徐放性組成物の形態を取ることもできる。
【0049】
本発明の組成物の調製のために有用な薬学的担体は、固体、液体又は気体であることができ、したがって、該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、坐剤、粉剤、腸溶コーティングされた又はその他の保護された製剤(例えば、イオン交換樹脂上への結合又は脂質−タンパク質小胞中への包み込み)、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル等の形態を取ることができる。担体は、石油、動物、植物又は合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等を含む各種油から選択することができる。水、生理食塩水、デキストロース水溶液、及びグリコールが、特に(血液と等張の場合に)注射可能溶液のための好ましい液体担体である。例えば、静脈内投与のための製剤は、活性成分の無菌水溶液を含んでおり、これは、固体の活性成分を水中に溶解させて水溶液を作製し、この溶液を無菌にすることにより調製される。適当な薬学的賦形剤としては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、タルク、ゼラチン、麦芽、イネ、コムギ、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。組成物は、保存剤、安定化剤、湿潤又は乳化剤、浸透圧を調整するための塩、バッファー等の一般的な薬学的添加物質に供され得る。適当な薬学的担体及びそれらの処方は、E. W. MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。いずれにしても、かかる組成物は、受容者への適正な投与のための適正な剤形を調製するように、適当な担体と共に有効量の活性化合物を含むことになる。
【0050】
医薬調製物はまた、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧を変化させるための塩類、緩衝剤、被覆剤又は抗酸化剤を含むことができる。それらはまた、式(I)のもの以外の付加的な活性成分を含む、その他の治療的に有益な物質を含み得る。
【0051】
本発明の化合物の治療的に有効な量または投与量は、広範な範囲内で変化し得、当該技術分野で公知の方法により決定することができる。このような投与量は、投与される特定の化合物、投与経路、処置される状態ならびに処置される患者を含む、それぞれの特定の場合における個別の必要性に対して調整されるであろう。式Iで表される化合物の、治療的に有効な量は、制御される疾患、患者の年齢及び個別の状態、及び投与形態に依存して、広範な範囲内で変化し得、もちろん、それぞれの特定の場合の個別の必要性に適合されることになる。好ましくは、治療的に有効な量は、1日あたり、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、より好ましくは、1日あたり、約0.3mg/kg〜約10mg/kgである。
【0052】
毎日の投与量は、単回投与量又は分割された投与量として投与することができ、あるいは、非経口的投与のためには、持続的注入をすることができる。
【0053】
さらに、本発明は、治療的に活性な物質、特に、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患の処置のための治療的に活性な物質としての、上述の式(I)で表される化合物に関する。
【0054】
別の実施態様において、本発明は、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患の処置のための、上述の式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0055】
さらに、本発明は、肥満、過食症、不安症、鬱病及び関連する障害及び疾患の処置のための医薬の調製のための、上述の式(I)で表される化合物の使用に関する。好ましくは、本発明は、肥満の処置のための医薬の調製のための、式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0056】
本発明はまた、上述の式(I)で表される化合物の製造方法であって、以下:
a)式(II):
【化14】


[式中、B、R、R及びRは本明細書において先に定義する通りである]
で表される化合物を、式(III):
【化15】


[式中、A、R、R及びRは本明細書において先に定義する通りである]
で表されるカルボン酸とカップリングさせて、得られるアミドをボラン又はリチウムアルミニウムヒドリドを用いて還元し、所望により、得られる式(I)で表される化合物を、薬学的に許容可能なその塩へと変換する工程、又は、
b)式(II):
【化16】


[式中、B、R、R及びRは本明細書において先に定義する通りである]
で表される化合物を、式(IV):
【化17】


[式中、A、R、R及びRは本明細書において先に定義する通りであり、Xは臭素又はヨウ素である]
で表されるハロゲンメチルインダンと塩基性条件下でカップリングさせて、所望により、得られる式(I)で表される化合物を、薬学的に許容可能なその塩へと変換する工程、又は、
c)式(II):
【化18】


[式中、B、R、R及びRは本明細書において先に定義する通りである]
で表される化合物を、式(V):
【化19】


[式中、A、R、R及びRは本明細書において先に定義する通りである]
で表されるアルデヒドと、還元剤存在下でアルキル化させて、所望により、得られる式(I)で表される化合物を、薬学的に許容可能なその塩へと変換する工程、
を含んでなる、前記製造方法に関する。
【0057】
すなわち、本発明の化合物は、市販の出発物質を用いて開始し、当業者に知られた一般的な合成手法及び手順を用いて調製することができる。そのような化合物を調製するために適当な好適な反応スキームを以下に概略する。さらなる例示は、以下に詳述する具体的実施例中に見出される。
【0058】
スキーム1−カップリング方法A
【0059】
【化20】

【0060】
4−ベンズイミダゾイルピペリンは、十分に確立したカップリング方法論により、インダンカルボン酸にカップリングすることができ、得られたアミドをボラン又は水素化アルミニウムリチウムを使用して還元し、N−置換ピペリジンを得ることができる。
【0061】
スキーム2−カップリング方法B
【0062】
【化21】

【0063】
代替的には、炭酸カリウムのような塩基存在下のヨードメチル−又はブロモメチルインダンを使用して、スキーム2に示すようにベンズイミダゾリルピペリジンをN−アルキル化することができる。
【0064】
スキーム3−カップリング方法C
【0065】
【化22】

【0066】
代替的には、ベンズイミダゾリルピペリジンを、スキーム3に示すようにナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのような選択的還元剤を使用し、インダン−2−カルボキシアルデヒドで還元的にアルキル化することができる。
【0067】
1)カルボン酸でジアミンを縮合するか、2)カルボキシアルデヒドで縮合してベンズイミダゾリンを形成し、続いてOxone(登録商標)のような酸化剤を用いてin situで酸化して、対応するベンズイミダゾールを得るか、又は3)オルトギ酸で縮合する、スキーム4に示す3つのうちの1つの方法により、対応する4−フェニレンジアミニルピペリジンから、ベンズイミダゾールを調製することができる。
【0068】
スキーム4
【0069】
【化23】

【0070】
インダンカルボン酸、インダンカルボキシアルデヒド及び2−ヨードメチルインダンを、購入するか又は化学文献に記載の方法に従って調製することができる。
【0071】
好ましい中間体
4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−Bocピペリジンの調製
【0072】
【化24】

【0073】
4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−Bocピペリジンを、Henning et. al. J. Med. Chem. 1987, 30, 814-819により記載のものと同様の方法により、4−アミノBocピペリジン及び4−フルオロ−3−ニトロトルエンから合成した。以下は一例である。
【0074】
4−(4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1−ブタノール(1.5L)中の4−アミノ−1−Boc−ピペリジン(78g;390mmol)、4−フルオロ−3−ニトロトルエン(50g;354mmol)、及びiPrNEt(91.5g;708mmol)の混合物を一晩加熱還流した。溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl〜CHCl中1%CHOH)により粗残留物を精製して、4−(4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを橙色の粉末として得た(76.3g、64%)。
LRMS (M+ 1) −計算値:336.2;実測値336.2.
【0075】
4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
エタノール(150mL)中の4−(4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(9.5g、28.4mmol)の溶液に、10%Pd/C(125mg)を加え、反応混合物を、H下(50psi)、室温で1時間振とうした。次に、セライト(登録商標)パッドを通した濾過により触媒を除去し、エタノールで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して、4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.83g)を収率90%で得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:306.2;実測値:306.2.
【0076】
【表1】

【0077】
(R)−4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−(R)−ヒドロキシ−Bocピペリジン及び(S)−4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−(S)−ヒドロキシ−Bocピペリジンのラセミ混合物の調製
【0078】
【化25】

【0079】
rac-4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−(R)−ヒドロキシ−Bocピペリジン
CHCl(2000mL)中の1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(66g;795mmol)をジ−tert−ブチルジカルボナート(170g;780mmol)で処理した。ガスの発生を観察した。60分後、全ての揮発物を真空下で除去して、N−Bocテトラヒドロピリジンを軽油状物として得た。N−ブロモスクシンイミド(214g;1200mmol)を、0℃で、20分間かけて、水(600mL)及びCHCN(2400mL)中のN−Boc−ジヒドロピリジンの溶液に少量ずつ加えた。室温での4時間後、全ての揮発物を減圧下で除去し、反応混合物を水(400mL)で希釈し、ジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、油状固体を得て、それをCHOHに溶解し、KOH水溶液(1.0M;500mL、500mmol)で処理した。1時間撹拌した後、全ての揮発物を減圧下で除去し、得られた固体を水(1000mL)に懸濁させ、CHClで3回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥した。濾過し、揮発物を減圧下で除去して、粗エポキシドを油状物(157.5g;定量)として得た。
【0080】
粗エポキシド(理論量:795mmol)をエタノール(270mL)及び水(2100mL)に溶解し、NaN(73.2g;1.12mol)で処理した。得られた懸濁液を20時間撹拌し、その後それをジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を水で2回、ブラインで1回洗浄し、MgSOで乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、4−アジド−3−ヒドロキシ−Bocピペリジン及び3−アジド−4−ヒドロキシ−Bocピペリジンの4:1の混合物を得た(174.6g;93%、1,2,3,6−テトラヒドロピリジンから)。
【0081】
1−ブタノール中のラセミ体trans−4−アジド−3−ヒドロキシ−Bocピペリジン及び3−アジド−4−ヒドロキシ−Bocピペリジンの4:1の混合物(58g;252mmol)、4−フルオロ−3−ニトロトルエン(60g、387mmol)及びNaCO(85g、800mmol)を24時間加熱還流した。次に、反応混合物を冷却し、全ての揮発物を減圧下で除去した。得られた橙色のスラッジをヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥した。得られた固体をHOに懸濁させ、pHを酢酸で7に調整した。懸濁液を1時間撹拌し、生成物ラセミ体1−Boc−trans−3−メトキシ−4−(4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジンを濾過により橙色の固体として回収し、真空下で乾燥した(55.6g、63%)。
【0082】
エタノール(280mL)中のラセミ体1−Boc−trans−3−ヒドロキシ−4−(4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン(15.0g、42.6mmol)及び10%Pd炭素(1.5g、10重量%)の混合物を、Hガス1atm下で17時間撹拌した。次に、セライトを通した濾過により固体触媒を除去し、全ての揮発物を減圧下で除去して、生成物、ラセミ体1−Boc−trans−4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジンを重油状物として得た(14.1g、定量)。
LRMS (M+ 1) −計算値:322.2;実測値:322.2
【0083】
キラル分割
ラセミ体1−Boc−trans−4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジンを、キラルクロマトグラフィー((PDR Chiral Inc., Lake Park, FL)により、RR及びSS鏡像異性体に分離した。
【0084】
【化26】

【0085】
2−イソプロピル−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール
【0086】
【化27】

【0087】
イソ酪酸(15mL)中の4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(750mg、2.44mmol)の溶液を、得られた180℃の温度で、1時間、マイクロ波照射に付した。反応混合物を室温に冷却し、次にCHCl(150mL)及び飽和NaHCO溶液(200mL)で希釈した。水層をCHClで2回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(15/1 CHCl/CHOH)により精製して、4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(465mg、56%)をロウ状の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:359.5;実測値:359.5
【0088】
【化28】

【0089】
1/1 1N KOH/EtOH溶液(10mL)中の4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(465mg、1.37mmol)の溶液を80℃に一晩加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(15/1 CHCl/CHOH)により精製して、2−イソプロピル−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール(69mg、18%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:287.4;実測値:287.4
【0090】
2−エチル−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール
【0091】
【化29】

【0092】
酢酸(5mL)中の4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(800mg、2.60mmol)の溶液に、1,1,1−トリエトキシエタン(550mg、3.12mmol)を加えた。60℃で30分間加熱した後、混合物を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(15/1 CHCl/CHOH)により精製して、4−(2−エチル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(940mg、89%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:345.4;実測値:345.4
【0093】
【化30】

【0094】
1/1 1N KOH/EtOH溶液(20mL)中の4−(2−エチル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(940mg、3.08mmgol)の溶液を80℃に一晩加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(15/1 CHCl/CHOH)により精製して、2−エチル−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール(132mg、16%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:273.4;実測値:273.4
【0095】
2−シクロプロピル−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール塩酸塩
【0096】
【化31】

【0097】
3%HO/DMF(10mL)溶液中の4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2g、6.23mmol)の溶液に、オキソン(登録商標)(3.05g、4.96mmol)を加えた。混合物を1時間撹拌し、0.2N NaOH溶液(25mL)に注いだ。5分間撹拌した後、水層を酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機抽出物を水(2×50mL)、ブライン(1×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(4/1 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、4−(2−シクロプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(860mg、37%)を得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:371.5;実測値:371.5
【0098】
【化32】

【0099】
乾燥THF(10mL)中の4−(2−シクロプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(860mg、2.3mmol)の溶液に、0℃で、NaH(鉱油中60%分散体、129mg、3.22mmol)を加えた。20分間撹拌した後、ヨウ化メチル(0.2mL、3.22mmol)を加えた。15分間撹拌した後、混合物を室温にし、一晩撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水でクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(2/3 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、4−(2−シクロプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(650mg、73%)を得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:385.5;実測値:385.5.
【0100】
【化33】

【0101】
4M HCl/ジオキサン(3mL)溶液中の4−(2−シクロプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(650mg、1.69mmol)の溶液を0.5時間撹拌した。溶媒を除去して、2−シクロプロピル−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール塩酸塩を、更に精製しないで定量的収率で得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:285.4;実測値:285.4
【0102】
4−(5−メチル−2−フェニルベンズイミダゾリル)−N−Bocピペリジン
【0103】
【化34】

【0104】
小型耐圧ボトルに、DMF(5mL)中の4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、ベンズアルデヒド(92μL、0.90mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(147mg、1.48mmol)を置いた。ボトルを密閉し、100℃で2時間加熱し、次に25℃で一晩16時間撹拌した。次に、反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル(15mL)とブライン/水(1:1、15mL)に分配した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(Biotage 40S カラム、40/60 酢酸エチル/ヘキサン)により、4−(5−メチル−2−フェニル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(339mg、定量)を明紫色の泡状物として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:392.2333;実測値:392.2332
【0105】
2−(5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロパン−2−オール
【0106】
【化35】

【0107】
2−(5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロパン−2−オールを、Skolnik et. al. J. Amer. Chem. Soc, 1943, 65, 1854-1858により記載の手順に従って4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル及び2−ヒドロキシイソ酪酸から調製した。水で洗浄し、乾燥した後、オフホワイトの固体として得られた生成物の収率は78〜87%で変化した。
【表2】


HRMS (M+ 1) −計算値:274.1914;実測値:274.1914.
【0108】
ラセミ体trans−4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンジヒドロクロリド
【0109】
【化36】

【0110】
NaCNBH(5.05g;110mmol)及びNHOAc(8.25g;110mmol)を、Ar下、エタノール(100mL)中のN−Boc−3−エチルカルボキシ−4−ピペリドン(3.0g;11mmol)の溶液に加えた。混合物を2時間加熱還流し、次に室温に冷却した。セライト(登録商標)ベッドを通した濾過により固体を除去し、全ての揮発物を減圧下で除去した。得られたガム状の固体をEtOAcに懸濁させ、飽和NaCOで1回、ブラインで1回洗浄した。有機相をNaSOで乾燥した。濾過して、固体を除去し、続いて揮発物を減圧下で除去して、N−Boc−3−カルボキシエチル−4−アミノピペリジン(2.17g;72%)を油状物として得た。
【0111】
1−ブタノール(40mL)中の4−フルオロ−3−ニトロトルエン(2.63g;17mmol)、N−Boc−3−カルボキシエチル−4−アミノピペリジン(3.7g;13.55mmol)及びNaCO(27mmol)を18時間加熱還流した。次に、反応混合物を冷却し、固体を濾過により除去した。揮発物を減圧下で除去し、続いてフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中15〜25%酢酸エチル)に付して、ラセミ体trans−4−(4−メチル−2−ニトロフェニルアミノ)−3−エトキシカルボニル−4−Bocピペリジンを橙色の油状物として得た(1.23g;22%)。
【0112】
4−(4−メチル−2−ニトロフェニルアミノ)−3−エトキシカルボニル−4−Bocピペリジン(1.20g;2.94mmol)及び10%Pd/C(200mg)をエタノール(20mL)に加え、反応混合物を、水素圧力下(60psi)、1時間振とうした。反応混合物を排出し、窒素でパージした。セライト(登録商標)ベッドを通した濾過により固体を除去し、揮発物を減圧下で除去した。得られた褐色の油状物を酢酸(12mL)及びオルト酢酸トリメチル(3mL)に溶解した。反応混合物を100℃に1時間加熱した。冷却後、全ての揮発物を減圧下で除去して、ラセミ体trans−4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−カルボキシエチル−N−Bocピペリジンを得た。
【0113】
水素化アルミニウムリチウム(76mg;2mmol)を、Ar下、0℃で、THF(5mL)中の4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−カルボキシエチル−N−Bocピペリジン(310mg;0.77mmol)の撹拌溶液に加えた。1時間後、NaSO十水和物(500mg;1.55mmol)を少量ずつ注意深く加えた。反応混合物を2時間撹拌し、この間に形成された灰色の固体をセライト(登録商標)を通した濾過により除去した。揮発物を減圧下で除去し、生成物ラセミ体trans−4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチル−N−Bocピペリジンをフラッシュクロマトグラフィー(258mg;93%)により、白色の粉末として単離した。
【0114】
ラセミ体trans−4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチル−N−Bocピペリジン(250mg;0.70mmol)をジオキサン中の4M HClに60分間溶解した。次に、全ての揮発物を減圧下で除去し、得られた粘着性固体をジエチルエーテルで粉砕して、ラセミ体trans−4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンジヒドロクロリドを白色の固体として得た(231mg;定量)。
LRMS (M+ 1) −計算値:259.2;実測値:259.1
【0115】
ラセミ体trans−3−[2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ]−4−[2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1イル]−ピペリジンジヒドロクロリドの調製
【0116】
【化37】

【0117】
THF(30mL)中のラセミ体trans−3−ヒドロキシ−4−[2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1イル]−N−Boc−ピペリジン(950mg;2.75mmol)の撹拌溶液を、Ar下、0℃に冷却した。NaH(60%油状物分散体;132mg;3.3mmol)を加え、混合物を15分間撹拌し、続いてブロモ酢酸tert−ブチル(516μL;3.5mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、14時間撹拌し、その後それを飽和NHClに注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、粗生成物を得た。tert−ブチルエステルをフラッシュクロマトグラフィーにより油状物として単離した(470mg;37%)
【0118】
THF(10mL)中のtert−ブチルエステル(470mg;1.02mmol)をCHMgBr(THF中1.0M;3mL、3mmol)で処理した。反応混合物を1時間撹拌し、次に飽和NHClに注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、粗生成物を得た。trans−3−[2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ]−4−[2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1イル]−N−Boc−ピペリジンをフラッシュクロマトグラフィーにより油状物として単離した(324mg;78%)。
【0119】
ラセミ体trans−3−[2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ]−4−[2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル]−N−Boc−ピペリジン(320mg;0.77mmol)をジオキサン中の4M HClで1時間処理し、その後全ての揮発物を減圧下で除去して、生成物trans−3−[2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ]−4−[2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1イル]−ピペリジンジヒドロクロリドを得た(300mg;定量)。
LRMS (M+ 1) −計算値:317.2;実測値:317.2
【0120】
4−(5−フルオロ−2−メチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジンジヒドロクロリド
【0121】
【化38】

【0122】
1−ブタノール(100mL)中のラセミ体trans−3−ヒドロキシ−4−アミノ−Boc−ピペリジン(3.90g、18.05mmol)、2,5−ジフルオロニトロベンゼン(3.5g、22mmol)及びNaCO(3.18g;30mmol)の混合物を90℃に16時間加熱した。次に、反応混合物を冷却し、セライト(登録商標)を通した濾過により固体を除去した。反応混合物を真空下で濃縮して、生成物ラセミ体trans−4−(4−フルオロ−2−ニトロフェニルフェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−Boc−ピペリジンを橙色の固体として得た(4.56g;78%)。
【0123】
ラセミ体trans−4−(4−フルオロ−2−ニトロフェニルフェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−Boc−ピペリジン(4.5g;12.85mmol)及び10%Pd/C(500mg)を、水素圧力下(60psi)、エタノール(100mL)中で2時間振とうした。次に、セライト(登録商標)を通した濾過により触媒を除去した。全ての揮発物を減圧下で除去して、還元生成物を黄褐色の泡状物として得て、それを更に精製しないで使用した。
【0124】
生成物ジアミンを酢酸(30mL)及びオルト酢酸トリメチル(10mL)に溶解し、70℃に1時間加熱した。次に、反応混合物を室温に冷却し、全ての揮発物を除去して、褐色の泡状物を得て、それから生成物4−(5−フルオロ−2−メチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−Boc−ピペリジンをフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル)により、黄褐色の泡状固体として単離した(2.74g、61%)。
【0125】
THF(5mL)中の4−(5−フルオロ−2−メチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−Boc−ピペリジン(205mg、0.59mmol)を、Ar下、0℃に冷却した。NaH(60%油状物分散体;32mg、0.8mmol)を加え、反応混合物を15分間撹拌した。次に、ヨードメタン(0.8mmol)を加えた。室温で3時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCOに注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、粗生成物を得て、それから4−(5−フルオロ−2−メチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−Boc−ピペリジン(191mg、89%)をロウ状の固体として単離した。
【0126】
メチルエーテル(185mg、0.23mmol)をジオキサン中の4M HClに溶解し、90分間撹拌し、その後全ての揮発物を減圧下で除去した。得られたガム状の固体をジエチルエーテルで粉砕して、4−(5−フルオロ−2−メチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジンジヒドロクロリドをオフホワイトの固体として得た(76mg、定量)。
LRMS (M+ 1) −計算値:263.1;実測値:263.2
【0127】
N−{(R)−2−[4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジンジヒドロクロリド
【0128】
【化39】

【0129】
ラセミ体cis−3−アミノ−4−アミノ−N−エトキシカルボニルピペリジンを、Kim et. al. Syn. Comm. 2001, 31, 1081-89により記載の方法に従って調製した。上記に記載の方法に従って、4−フルオロ−3−ニトロトルエンでのアリール化、その後の2,5−ジメチルベンズイミダゾールへの変換を実施した。従来の方法であるMorice et. al. Tetrahedron Letters 2001, 42(37), 6499-6502により、カルバミン酸エチル保護基の除去を実施した。
【0130】
1−(5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エタノン
【0131】
【化40】

【0132】
p−ニトロフェニル2,2−ジエトキシプロピオナートを、J. L. LaMattina and David E. Muse. J. Org. Chem., 52, 3479 (1987)により記載の方法により調製した。
【0133】
4−(2−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(400mg、1.31mmol)、p−ニトロフェニル2,2−ジエトキシプロピオナート(1.00g、3.50mmol)、及びDMAP(1.00g、8.2mmol)をアセトニトリル(3mL)中で合わせ、油浴中で、80℃にて2時間加熱した。混合物を冷却し、ジエチルエーテル(100mL)で希釈し、飽和NHCl水溶液及び水でそれぞれ1回ずつ、5%水酸化ナトリウム水溶液で3回、ブラインで1回洗浄し、無水MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルパッドに吸着させ、パッドをヘキサン中の25%酢酸エチルを用いて溶離して、淡黄色の油状物の4−[2−(2,2−ジエトキシ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−フェニルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(550mg、0.81mmol、62%)を得た。4−[2−(2,2−ジエトキシ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−フェニルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(500mg、1.11mmol)を氷酢酸(5mL)に溶解し、混合物を90℃で一晩加熱した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をCHCl(50mL)と希KCO水溶液に分配した。有機層を分離し、水層をCHCl(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過した。濾液を約30mLに濃縮して、ジ−tert−ブチルジカルボナート(218mg、1mmol)及びDMAP(5mg、0.04mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、飽和NHCl水溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。混合物を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)により精製して、4−(2−アセチル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(270mg、0.756mmol、68%)をロウ状の固体として得た。
【表3】

【0134】
4−(2−アセチル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(107mg、0.30mmol)を、室温で、トリフルオロ酢酸(2mL)及びCHCl(2mL)の混合物に溶解し、1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を希KCO水溶液(20mL)とCHCl(20mL)に分配した。有機層を分離し、水層をCHCl(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、1−(5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エタノンを油状物として得て(77mg、0.30mmol、100%)、それを更に精製又は特徴付けしないで使用した。
【0135】
2,6−ジメチル−3−ピペリジン−4−イル−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン
【0136】
【化41】

【0137】
CHCl(5mL)中の5−ブロモ−2−メチル−ピリジン(1.47g、8.54mmol)の溶液を、0℃で、酢酸(13.8mL)中の30%過酸化水素(4.6mL)の冷溶液で処理した。反応混合物を50℃で18時間撹拌し、氷水(5mL)に注いだ。KCOを加えて、得られた混合物をpH=9に調整した。混合物を室温で15分間撹拌し、CHCl(10mL)で希釈した。水層をCHClで3回抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、5−ブロモ−2−メチル−ピリジンN−オキシドを白色の固体として得て(1.6g、99%)、それを更に精製しないで使用した。
【0138】
濃HSO(3.0mL)中の5−ブロモ−2−メチル−ピリジンN−オキシド(536mg、2.85mmol)の溶液を、0℃で、濃HSO(3.2mL)中の発煙HNO(2.4mL)の溶液に滴下した。反応混合物を90℃で1.5時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、氷(50g)に注いだ。混合物をCHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、5−ブロモ−2−メチル−4−ニトロ−ピリジンN−オキシドを黄色の固体として得て(520mg、78%)、それを更に精製しないで使用した。
【0139】
5−ブロモ−2−メチル−4−ニトロ−ピリジンN−オキシド(520mg、2.23mmol)を、マイクロ波管中、4−アミノ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.56g、7.80mmol)と混合した。反応混合物を、電子レンジ中、140℃にて1時間照射した。混合物をCHCl(5mL)に溶解した。フラッシュクロマトグラフィー(10/1 CHCl/CHOH)により、4−(6−メチル−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシド−3−イルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(380mg、48%)を赤色の固体として得た。
【0140】
酢酸(1mL)中の4−(6−メチル−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシド−3−イルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(40mg、0.113mmol)の溶液を鉄粉(80mg)で処理した。反応混合物を115℃で5時間撹拌し、次に無水酢酸(2mL)で処理した。得られた混合物を140℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発し、混合物を水(10mL)で希釈した。固体水酸化ナトリウムを加えて、混合物をpH=10に調整した。水性混合物をCHClで3回抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10/1 CHCl/CHOH)により、1−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]−ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−エタノン(20mg、65%)を褐色の固体として得た。
【0141】
エタノール(0.5mL)中の1−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]−ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−エタノン(20mg、0.074mmol)の溶液を濃HCl(0.5mL)で処理した。反応混合物を100℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発し、混合物を水(2mL)で希釈した。混合物をジエチルエーテルで2回洗浄し、25%NaOH水溶液を加えて水相をpH=10に調整した。水性混合物をCHCl(5×10mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、2,6−ジメチル−3−ピペリジン−4−イル−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(13mg、77%)を明黄色の固体として得て、それを更に精製しないで使用した。
【表4】

【0142】
((S)−2−ヨードメチル−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0143】
【化42】

【0144】
(S)−5−ブロモ−インダン−2−カルボン酸
5−ブロモ−1H−インデン−2−カルボン酸5.0g(21mmol)を、Parr水素化ボトル中のCHOH(200mL)及びTHF(20mL)の溶液に、撹拌しながら懸濁させ、混合物を約40〜42℃に温めた。5分以内に完全な溶解が生じた。溶液を室温に冷却し、アルゴンガスを反応溶液中で泡立てた。フラスコは隔膜及びガスの流入のためのガラスピペットを備え、排気ガスを排出させるためのニードルを備える。あまりに急速なアルゴンの導入による蒸発により、溶媒の組成を変化させないように注意した。この過程を5分間続けた。Ru(OAc)[(S)−BINAP](125mg、0.15mmol)をアルゴン下で加え、フラスコを排気し、水素を3回再充填し、52〜54psiで室温にて64時間振とうにより水素化した。水素化を停止し、反応混合物を蒸発乾固した。残留物を水(25mL)とエチルエーテル(25mL)に分配した。15%NaOH水溶液(約4mL)を加えて、撹拌混合物をpH10.8にした。水相を氷浴中で撹拌しながら2〜3℃に冷却した。濃HCl水溶液を加えてpHを1.88にした(約1.2mL)。多量の固体が得られた。混合物をエチルエーテルで3回抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSOから乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、灰白色の固体4.78gを得た。固体をCHOH(10mL)に溶解し、40℃に温め、CHOH 5mL中の(R)−α−メチルベンジルアミン(2.3g、18.98mmol)の溶液を加えた。激しく撹拌した溶液を油浴中で68℃にし、容量を5〜7mLに減少させた。エチルエーテル30mLを一度に加え、混合物を放置してゆっくりと冷却し、結晶化した。2時間後、固体を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、濾紙上で乾燥した後、白色の結晶4.75gを得た。結晶の第2の収穫物は0.98gであった。第1の収穫物をエチルエーテル(50mL)に懸濁させ、両層が清澄となるまで1N HCl(25mL)とともに撹拌した。相を分離し、水相をジエチルエーテル25mLで3回抽出した。各抽出物をブライン15mLずつで順次洗浄した。抽出物を合わせ、MgSOから乾燥し、濾過し、蒸発して、白色の固体3.1gを得た。[α]D589=+24.88(0.82%、CHOH)nmr, ms。キラルhplcは約96.5〜100% e.e.を示した。結晶の第2の収穫物を同様に処理し、得られた最初の物質と類似の特性を有する少量の酸を得た。
【0145】
((S)−5−ブロモ−インダン−2−イル)−メタノールの調製
(S)−5−ブロモ−インダン−2−カルボン酸3.05g(12.65mmol)を乾燥THF(75mL)に溶解した。混合物を、アルゴン下、撹拌しながら0〜2℃に冷却した。THF中1M BH(18.4mL;18.4mmol)をシリンジを介して急速に滴下した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次に室温に温まるにまかせて、90分間撹拌した。反応混合物を再び0℃に冷却し、水10mLで注意深く処理した。揮発物を減圧下で除去し、残留物をジエチルエーテル(100mL)とブライン(50mL)に分配した。水相をエチルエーテル100mLで抽出し、各抽出物をブラインで洗浄した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、アルコール2.85gを結晶質の白色の固体として得た。
【表5】

【0146】
((S)−2−ヒドロキシメチル−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
((S)−5−ブロモ−インダン−2−イル)−メタノール(1.45g、6.38mmol)をトルエン(12mL)に溶解し、アルゴンガスを溶液中で10分間泡立てた。撹拌混合物に、以下の順序で、tert−ブチルカルバマート(1.25g,10.67mmol)、ヨウ化銅(I)(255mg、1.33mmol)、KCO(2.46g、17.8mmol)、最後にN,N'−ジメチルエチレン−1,2−ジアミン(285μL、2.61mmol)を加えた。混合物を、アルゴン下、110℃で機械的に撹拌した。18時間後、反応物のtlcによる監視が残存出発物質を示し、以下の更なる試薬:tert−ブチルカルバマート(125mg、1.06mmol)、ヨウ化銅(I)(25mg、0.13mmol)、炭酸カリウム(250mg、1.8mmol)及びN,N'−ジメチルエチレン−1,2−ジアミン(30μL、0.27mmol)を加えた。110℃での加熱を2時間続け、その後反応混合物を冷却し、固体を濾過により除去し、濾液を蒸発し、最小量のCHClに溶解し、フラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル)により精製した。粗生成物を得て、それを1:1 ジエチルエーテル:ヘキサンから結晶化して、カルバマートを白色の結晶410mgとして得た。所望の生成物及び出発物質の混合物から構成される母液を、再び反応させるために取っておいた。
【0147】
((S)−2−ヨードメチル−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
前述の(S)−2−ヒドロキシメチル−インダン−5−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.15g、8.16mmol)をCHCl 50mLに溶解した。p−トルエンスルホニルクロリド(1.63g、8.54mmol)及びDMAP(1.1g、9.0mmol)を加え、溶液を室温で22時間撹拌した。反応混合物をCHCl 50mLで希釈し、飽和NHCl水溶液、飽和NaHCO水溶液及びブライン(各100mL)で順次洗浄した。各洗浄液を少量のCHClで抽出した。抽出物を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発した。残留物を温かいエチルエーテル(25mL)に溶解し、結晶化させた。固体を濾過し、冷エチルエーテルで洗浄し、乾燥して、ベージュ色の固体をトルエン−4−スルホン酸(S)−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−インダン−2−イルメチルエステル(2.1g、86%)として得た。1H−NMR及びMSデータはその構造と適合した。
【0148】
トルエン−4−スルホン酸(S)−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−インダン−2−イルメチルエステル(2.93g、7.02mmol)をDMF(60mL)に溶解し、加熱し、ヨウ化リチウム(4.7g、35.1mmol)と共に70℃で18時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をCHCl 100mLと共に撹拌し、固体を濾過により除去した。濾液を再び蒸発し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%エチルエーテル)により精製して、白色の固体を(S)−2−ヨードメチル−インダン−5−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.05g、78.5%)として得た。
[α]D589=+16.48(0.825%、CHOH)。
LRMS (M+ 1) −計算値:374.2;実測値:374.1.
【0149】
(R)−2−ヨードメチル−インダン−5−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステルも、キラルルテニウム触媒、Ru(OAc)[(R)−BINAP]と同じ手順を使用して調製した。
【0150】
インダン−2−カルボン酸
【0151】
【化43】

【0152】
標記化合物を、T. Tomiyama, S. Wakabayashi, and M. Yokota. J. Med. Chem., 32, 1988 (1989)の手順により調製した。
【0153】
((S)−5−シアノ−インダン−2−イル)−アルデヒド
【0154】
【化44】

【0155】
(S)−5−ブロモインダン−2−イル−メタノール(600mg、2.64mmol)をDMF(15mL)中のシアン化亜鉛(480mg、4.09mmol)と混合した。この溶液に、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(180mg、0.15mmol)を加えた。混合物を、マイクロ波中、175℃で20分間加熱した。溶媒を蒸発し、残留物を酢酸エチル及び0.1N塩酸で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発し、ヘキサン及び酢酸エチル(2:1〜1:1の比率)を使用するBiotageフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、(S)−5−シアノインダン−2−イル−メタノールを無色の油状物として得た(357mg、78%)。キラルHPLC分析はラセミ化を示さなかった。
【表6】

【0156】
上記(S)−5−シアノインダン−2−イル−メタノール(132mg、0.76mmol)をCHCl 10mLに溶解した。この溶液に、Dess-Martinペルヨージナン(334mg、0.79mmol)を0℃で加えた。溶液を0℃で1分間撹拌し、氷浴を除去した。室温で10分間撹拌した後、反応混合物をCHClで抽出し、NaHCO溶液で濃縮した。有機層を乾燥し、溶媒を蒸発した。残留物を乾燥し、次にエーテル及び石油エーテル(20mL、1.5:1の比率)の混合物を加えた。固体を濾過し、濾液を濃縮して、(S)−5−シアノインダン−2−イル−カルボキシアルデヒドを油状物(114mg、88%)として得た。キラルアルデヒドを更に精製しないで使用した。
【0157】
((S)−5−ブロモ−インダン−2−イル)−アルデヒドの調製
Dess-Martinペルヨージナン(2.70g、6.36mmol)を、0℃で、CHCl(75mL)中の(S)−5−ブロモインダン−2−イル−メタノール(1.38g、6.08mmol)の溶液に加えた。氷浴を除去し、混合物を室温で75分間撹拌した。混合物をCHCl及び濃NaHCO溶液で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発し、残留物を真空下で乾燥して、半ロウ状物質を得た。この物質をエーテル及び石油エーテル(60mL、1:1の比率)の混合物で粉砕した。沈殿物を濾過により除去し、濾液を濃縮した。油状物質をエーテル及び石油エーテル(1:1の比率、30mL)の混合物で処理した。再び、固体を濾過により除去し、濾液を濃縮して、(S)−5−ブロモインダン−2−イル−カルボキシアルデヒドを油状物として得て、それを低温の状態で保存すると徐々に凝固した(1.335g、97.6%)。
【表7】

【0158】
本発明を下記の実施例において更に記載するが、それは例証のみを意図するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0159】
実施例
実施例1
1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール
【0160】
【化45】

【0161】
マグネチックスターバー及び添加漏斗を備えるフラスコに、アルゴン雰囲気下、(S)−5−ブロモ−インダン−2−カルボン酸(383mg、1.59mmol、特許公報WO 96/23760の手順に従って取得)、EDCl(358mg、1.87mmol)、HOBT(291mg、2.16mmol)及びCHCl(3mL)を加えた。この溶液を25℃で5分間撹拌した。次に、この溶液に、CHCl(2mL)中の(3R,4R)−1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール(375mg、1.44mmol)の溶液を滴下した。次に、反応物を25℃で一晩20時間撹拌した。水(10mL)を加えて反応をクエンチし、CHClで3回抽出した。有機抽出物を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(Biotage 12Mカラム、酢酸エチル+1%NHOH中3%CHOH)により所望の生成物を得たが、それにはいくらかのHOBTが混入していた。次に、生成物泡状物をCHCl(10mL)に溶解し、飽和NaHCO溶液(10mL)で洗浄した。有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、((S)−5−ブロモ−インダン−2−イル)−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イル]−メタノン(579mg、83%)を明黄色の泡状物として得た。
【表8】

【0162】
アルゴン雰囲気下でTHF(8mL)中のLiAlH(119mg)の懸濁液を含有する丸底フラスコを氷浴中で0℃に冷却した。この懸濁液に、THF(3mL)中の((S)−5−ブロモ−インダン−2−イル)−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イル]−メタノン(119mg、0.25mmol)の溶液をシリンジを介してゆっくりと加えた。次に、それを0℃で30分間撹拌し、80℃で15分間加熱し、次に再度0℃まで冷却した。次に、水(0.11mL)、15%NaOH水溶液(0.11mL)及び水(0.33mL)を滴下して反応をクエンチした。次に、それを25℃で1時間撹拌し、次にそれをTHF(10mL)で希釈し、セライト(登録商標)で濾過して、不溶性物質を除去した。フラッシュクロマトグラフィー(Biotage 40Sカラム、酢酸エチル中5%CHOH)により、2個の化合物を含有する無色のゴム状物(108mg)を得た。次に、分取HPLC(Impaq C 18、2×10cmカラム、5/95 アセトニトリル/水+0.1%TFA〜90/10 アセトニトリル/水+0.1%TFA)によりこの物質を精製して、1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール(42mg、37%)(1M KCO溶液で洗浄し、3/2 クロロホルム/CHOHで抽出することにより遊離塩基化したカラムを溶離する第2のピーク)を白色の固体として得た。
【表9】

【0163】
実施例2
シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−[(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−アミド
【0164】
【化46】

【0165】
trans−4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンズイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−3−オール640mg(1.85mmol)を((R)−2−ヨードメチル−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル690mg(1.85mmol)及びアセトニトリル25mL中のCsCO(1.62g:4.97mmol)と合わせ、混合物を撹拌し、85℃で20時間加熱した。炭酸セシウム600mg(1.8mmol)を更に加え、加熱及び撹拌を17時間続けた。混合物を冷却し、濾過し、濾液を蒸発した。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl中1〜5%CHOH)により残留物を精製して、カップリング生成物(402mg、42%)を琥珀色の泡状物として得た。
【0166】
前述の泡状物、{(R)−2−[(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(400mg、0.77mmol)をジオキサン(4mL)に溶解し、ジオキサン中の4M無水HCl 4mLを撹拌溶液に加えた。CHOH数滴を加えて、溶液から出てきた粘着性固体を溶解した。撹拌を90分間続け、混合物を真空下で蒸発乾固した。蒸発から生じた残留物をエチルエーテルで粉砕し、得られた錆び色の固体を(3R,4R)−1−((R)−5−アミノ−インダン−2−イルメチル)−4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−3−オール−トリヒドロクロリド塩として回収した(405mg)。
【0167】
上記トリヒドロクロリド塩(125mg、0.237mmol)を撹拌しながらTHF 2mLに懸濁させ、トリエチルアミン(170μL、1.22mmol)を加えた。混合物をシクロプロパンカルボニルクロリド(27μL、0.29mmol)で処理し、撹拌を2時間続けた。混合物を濾過し、濾液を蒸発し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(CHCl中1〜5%CHOH)、生成物アミドを得た。
HRMS (M+ 1) −計算値:487.3068;実測値:487.3064
【0168】
実施例3
N−{(R)−2−[4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド
【0169】
【化47】

【0170】
cis−4−(2,5−ジメチルベンズイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンジヒドロクロリド(313mg;0.94mmol)、3−[3−ヨードプロピル]−N−Bocアニリン(361mg、1mmol)及びCsCO(1625mg;5mmol)をCHCNに加え、反応混合物を14時間加熱還流した。室温に冷却した後、反応混合物をセライト(登録商標)で濾過し、全ての揮発物を減圧下で除去して、褐色の油状物を得て、それから生成物Bocアニリンをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc中0〜10%CHOH)により、重油状物として単離した(191mg;39%)。
【0171】
生成物(191mg)をジオキサン中の4M HClに溶解し、1時間撹拌し、その後全ての揮発物を減圧下で除去して、重油状物を得て、それをCHClに懸濁させ、0.1M NaOHで洗浄した。有機相をNaCOで乾燥した。濾過し、揮発物を除去して、アニリンを重油状物として得た(86mg;59%)。
【0172】
アニリン(65mg;0.165mmol)をCHCl(1mL)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(70μL;0.4mmol)及びシクロプロパンカルボニルクロリド(18μL;0.2mmol)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。全ての揮発物を除去し、N−{(R)−2−[4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミドをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc中1〜10%CHOH)により、ロウ状の油状物として単離した(68mg;90%)。
HRMS (M+ 1) −計算値:475.3068;実測値:475.3069
【0173】
実施例4
N−{(S)−2−[4−(2−エトキシ−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド
【0174】
【化48】

【0175】
100mL丸底フラスコに、3−ニトロ−4−フルオロトルエン(1.55g、10mmol)、4−アミノ−1−N−Boc−ピペリジン(2.40g、12mmol)、粉末KCO(2.76g、20mmol)及び乾燥DMF(30mL)を加えた。混合物を85℃で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発した。残留物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、油状物の残留物を得た。4−(4−メチル−2−ニトロフェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、ヘキサン及び酢酸エチル(3/1の比率)を使用するBiotageフラッシュカラムクロマトグラフィーから固体として単離した(3.13g、94%)。
【0176】
上記固体(3.0g、8.96mmol)をTHF及びCHOH(100mL)の混合物に溶解した。次に、10%Pd炭素(0.60g)を加えた。混合物を50psiで2時間水素化した。混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、CHOHで洗浄した。濾液を蒸発乾固して、ピンク色の残留物を4−(2−アミノ−4−メチルフェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルとして得た(2.72g、100%)。
【0177】
上記ジアミン(361mg、1.18mmol)を酢酸4mL中のテトラエチルカルボナート(272mg、1.20当量)と混合した。全ての出発物質が消費されるまで、混合物を室温で4時間撹拌した。溶液を蒸発し、残留物を酢酸エチル及び濃重炭酸ナトリウム溶液で抽出した。有機層を乾燥し、溶媒を蒸発した。酢酸エチル及びヘキサン(1:2の比率)を使用するBiotageフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、得られた残留物を精製して、油状物物質を4−(2−エトキシ−5−メチルベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルとして得た(367mg、86%)。ES-MS は m/e 360 (M++ 1)を示した。
【表10】

【0178】
上記ベンズイミダゾール誘導体(367mg)をCHCl 2mLに溶解した。次にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え、溶液を室温で1時間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、残留物をCHCl、ブライン及び2N NaOH溶液で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発した後、油状残留物(217mg、0.84mmol)を4−(2−エトキシ−5−メチルベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジンとして得て、次にそれをアセトニトリル10mL中の(S)−(2−ヨードメチル−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(224mg、0.60mmol)及び炭酸セシウム(817mg、2.51mmol)と混合した。混合物を85℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発した。CHCl中5%CHOHを使用するBiotageフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、褐色を帯びた綿毛状の物質(206mg、68%)を(S)−{2−[4−(2−エトキシ−5−メチルベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルとして得た。
【0179】
上記物質(206mg、0.41mmol)をCHCl 1mLに溶解した。次に、トリフルオロ酢酸1mLを加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発した。残留物を真空下で一晩乾燥して、暗褐色の残留物をアミントリフラート塩として得た。この塩をトリエチルアミン(0.36mL、6.0当量)を含有するCHCl 5mLに溶解した。5分間撹拌した後、清澄な溶液を得た。混合物を氷浴中で冷却し、イソ酪酸クロリド(0.051mL、0.49mmol)を加えた。得られた溶液を0℃で30分間、室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残留物を酢酸エチル及び水で抽出した。有機層を濃重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発した後、CHCl中5%CHOHを使用するBiotageフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、イソブチリルアミド(100mg、52%)を得た。
【表11】

【0180】
実施例5
N−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−プロピオンアミド
【0181】
【化49】

【0182】
(3R,4R)−1−(S)−(5−アミノ−インダン−2−イルメチル)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−3−オールトリヒドロクロリド塩(95mg、0.19mmol、事前に調製)をマグネチックスターラーで攪拌しながらTHF(2mL)に懸濁させた。トリエチルアミン(130μL、0.93mmol)を加え、混合物を、プロピオニルクロリド(21μL、0.24mmol)を加えながら撹拌した。混合物をアルゴン下で2時間撹拌し、次にセライト(登録商標)パッドで濾過し、真空下で蒸発した。CHOH及びCHClの混合物で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、純粋な生成物を白色の泡状物として得た(27mg、32%)。
HRMS (M+ 1) −計算値:447.2755;実測値:447.2757
【0183】
実施例6
((R)−2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−カルバミン酸メチルエステル
【0184】
【化50】

【0185】
DMF(5mL)中の2−(5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−プロパン−2−オール塩酸塩(158mg、0.55mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(150mg、1.15mmol)を加えた。10分間撹拌した後、5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−インダン−2−カルボン酸(140mg、0.55mmol)、続いてEDCl(195mg、1.10mmol)及びHOBT(137mg、1.10mmol)を反応混合物に加えた。室温で4時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物を濾過し、真空下で濃縮して、(2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−カルボニル}−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(266mg、98%)を更に精製しないで白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:533.3;実測値:533.2.
【0186】
ジオキサン(2mL)中の(2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−カルボニル}−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(266mg、0.49mmol)の溶液に、4M HCl(2mL)を加えた。添加が完了した後、反応混合物を1時間撹拌した。溶媒混合物を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出し、抽出物をNaSOで乾燥し、濃縮して、(5−アミノ−インダン−2−イル)−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン(200mg、95%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:433.2;実測値:433.2.
【0187】
THF(10mL)中の(5−アミノ−インダン−2−イル)−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−メタノン(150mg、0.35mmol)の溶液に、THF中の1M水素化アルミニウムリチウム(0.76mL、0.76mmol)を滴下した。30分間撹拌した後、反応混合物を80℃まで加熱し、20分間撹拌した。反応混合物を、水(0.3mL)及び4M NaOH溶液(0.1mL)で0℃にてクエンチした。混合物を室温まで温め、45分間撹拌した。懸濁液をセライト(登録商標)パッドで濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−{1−[1−(5−アミノ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール(87mg、60%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:419.3;実測値:419.2
【0188】
THF(3mL)中の2−{1−[1−(5−アミノ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール(36mg、0.096mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(37mg、0.29mmol)の溶液に、クロロギ酸メチル(9mg、0.11mmol)を加えた。一晩撹拌した後、反応混合物をシリカ支持されたジアミン−3(95mg、Silicycle)でクエンチして、過剰量のクロロギ酸メチルを除去した。混合物を濾過し、真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー溶離剤により精製して、(2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−カルバミン酸メチルエステル(20mg、59%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:477.3;実測値:477.2
【0189】
実施例7
メタンスルホン酸4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−1−((R)−5−イソブチリルアミノ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−3−イルエステル
【0190】
【化51】

【0191】
CHCl中のN−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド;トリフルオロ酢酸を含む化合物(235mg;0.51mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(122mL;0.7mmol)の溶液をメタンスルホニルクロリド(47mL;0.6mmol)で処理した。反応混合物を1時間撹拌し、次に飽和NaHCOに注いだ。水相をCHClで3回抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥した。濾過し、揮発物を減圧下で除去して、褐色の固体を得て、それから生成物メシラートをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc中0〜10%CHOH)によりロウ状の固体として単離した(171mg;62%)
HRMS(M+ 1) −計算値:539.2687;実測値:539.2668
【0192】
実施例8
N−((R)−2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−プロピオンアミド
【0193】
【化52】

【0194】
THF(3mL)中の2−{1−[1−(5−アミノ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール(50mg、0.12mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(46mg、0.36mmol)の溶液に、プロピオニルクロリド(12mg、0.13mmol)を加えた。一晩撹拌した後、反応混合物をシリカ支持されたジアミン−3(119mg、Silicycle)でクエンチして、過剰量のプロピオニルクロリドを除去した。混合物を濾過し、真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N−(2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−プロピオンアミド(54mg、95%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1)−計算値:475.3;実測値:475.1
【0195】
実施例9
N−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド;トリフルオロ酢酸塩
【0196】
【化53】

【0197】
(3R,4R)−1−(S)−(5−アミノ−インダン−2−イルメチル)−4−(2,5−ジメチルベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−3−オールトリヒドロクロリド塩を撹拌しながらTHF(2mL)に懸濁させた。トリエチルアミン(155μL、1.1mmol)を加え、混合物を15分間撹拌した。イソ酪酸クロリド(28μL、0.267mmol)を加え、混合物を90分間撹拌した。反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1〜5%CHOH/EtOAc)、次に逆相分取HPLC(HO/0.1%TFAを有するCHCN)により精製して、アミド(18.3mg、12%)を得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:461.2;実測値:461.3
【0198】
実施例10
N−{(R)−2−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド;トリフルオロ酢酸を含む化合物
【0199】
【化54】

【0200】
CHCl(5mL)中の5−ブロモ−2−メチル−ピリジン(1.47g、8.54mmol)の溶液を、酢酸(13.8mL)中の30%過酸化水素水(4.6mL)の冷溶液で0℃にて処理した。次に、反応混合物を50℃で18時間撹拌し、氷水(5mL)に注いだ。KCOを加えて、得られた混合物をpH=9に調整した。混合物を室温で15分間撹拌し、CHCl(10mL)で希釈した。水層をCHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(1×20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、5−ブロモ−2−メチル−ピリジンN−オキシドを白色の固体として得て(1.6g、99%)、それを更に精製しないで使用した。
【0201】
濃硫酸(3.0mL)中の5−ブロモ−2−メチル−ピリジンN−オキシド(536mg、2.85mmol)の溶液を濃硫酸(3.2mL)中の発煙硝酸の溶液(2.4mL)に0℃で滴下した。反応混合物を90℃で1.5時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、氷(50g)に注いだ。混合物をCHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液(1×20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、5−ブロモ−2−メチル−4−ニトロ−ピリジンN−オキシドを黄色の固体として得て(520mg、78%)、それを更に精製しないで使用した。
【0202】
5−ブロモ−2−メチル−4−ニトロ−ピリジンN−オキシド(520mg、2.23mmol)をマイクロ波管中で4−アミノ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.56g、7.80mmol)と混合した。反応混合物を、電子レンジ中、140℃で1時間照射した。混合物をCHCl(5mL)に溶解した。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl中10%CHOH)により、4−(6−メチル−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシド−3−イルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(380mg、48%)を赤色の固体として得た。
【0203】
酢酸(1mL)中の4−(6−メチル−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシド−3−イルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(40mg、0.113mmol)の溶液を鉄粉(80mg)で処理した。反応混合物を115℃で5時間撹拌し、次に無水酢酸(2mL)で処理した。得られた混合物を140℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発し、混合物を水(10mL)で希釈した。固体水酸化ナトリウムを加えて、混合物をpH=10に調整した。水性混合物をCHClで3回抽出した。合わせた抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液(1×20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl中10%CHOH)により、1−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]−ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−エタノン(20mg、65%)を褐色の固体として得た。
【0204】
エタノール(0.5mL)中の1−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]−ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−エタノン(20mg、0.0735mmol)の溶液を濃HCl(0.5mL)で処理した。反応混合物を100℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発し、混合物を水(2mL)で希釈した。混合物をジエチルエーテル(2×20mL)で洗浄し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH=10に調整した。水性混合物をCHCl(5×10mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、2,6−ジメチル−3−ピペリジン−4−イル−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(13mg、77%)を明黄色の固体として得て、それを更に精製しないで使用した。
【表12】

【0205】
アセトニトリル(0.80mL)中の2,6−ジメチル−3−ピペリジン−4−イル−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(20mg、0.086mmol)の溶液を、(R)−(2−ヨードメチル−インダン−5−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(50mg、0.13mmol)及び炭酸セシウム(85mg、0.26mmol)で処理した。混合物を85℃で4時間撹拌した。混合物を濾過し、溶媒を蒸発した。フラッシュクロマトグラフィー(10/1 CHCl/CHOH)により、(R)−{2−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(22mg、54%)を明黄色の固体として得た。
【0206】
(R)−{2−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(22mg、0.046mmol)をジオキサン中の4.0M HCl(1.0mL、4mmol)で処理した。混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残留物をピリジン(1mL)に溶解した。混合物を氷浴中で冷却し、イソ酪酸クロリド(0.1mL、0.96mmol)で処理した。混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発し、粗生成物をHPLCカラムで精製して、N−{(R)−2−[4−(2,6−ジメチル−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド;トリフルオロ酢酸を含む化合物(20mg、67%)を明褐色の油状物として得た。
HRMS (M+ 1) −計算値:446.2915;実測値:446.2915.
【0207】
実施例11
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール
【0208】
【化55】

【0209】
キラルアミン(2R,3’R)−2−[1−(3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−プロパノール(1.30g,4.29mmol)をジクロロエタン100mLに室温で溶解した。次に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.86g、3.0当量)を加えた。混合物を室温で20分間撹拌して、ほぼ清澄な溶液を得た。この溶液に、ジクロロエタン7mL中の(S)−5−ブロモインダン−2−カルボキシアルデヒド(1.0g、4.44mmol)を滴下した。添加を20分間で終了した。混合物を室温で一晩撹拌し、次にCHCl及び濃重炭酸ナトリウム溶液で抽出した。水相をCHCl及び0.1N水酸化ナトリウム溶液で抽出した。合わせた有機相を最初に0.1水酸化ナトリウム溶液、次にブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を蒸発した。酢酸エチル及びヘキサン(2:1の比率)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、残留物を精製して、所望の化合物を白色の固体として得た(1.50g、69%)。
LRMS (M+ 1) −計算値:513.5;実測値:513.5
【0210】
実施例12
2−{1−[1−(6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール
【0211】
【化56】

【0212】
6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−カルバルデヒド
【0213】
【化57】

【0214】
3,4−ビス−クロロメチル−ピリジンを、Yoshiizumi et. al. Bioorganic & Medicinal Chem 2003, 11 (3), 433-450により記載の手順に従って、ピリジン−3,4−ジカルボン酸(Aldrich)から調製した。2工程後の生成物の単離収率は、油状物として76%であった。
【0215】
DMF(2mL)中のマロン酸ジエチル(140mg、0.874mmol)の溶液に、水素化リチウム(18mg、2.19mmol)を0℃で加えた。水素ガスの発生が停止した後、3,4−ビス−クロロメチル−ピリジン(154mg、0.874mmol)を加え、反応物が室温に温まるにまかせた。100℃で2時間加熱した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。濾液を真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl中30%CHOH)により残留物を精製して、5,7−ジヒドロ−[2]ピリジン−6,6−ジカルボン酸ジエチルエステル(159mg、76%)を油状物として得た。
【0216】
5,7−ジヒドロ−[2]ピリジン−6,6−ジカルボン酸ジエチルエステル(55mg、0.209mmol)、KOH(94mg、1.67mmol)、HO(1.5mL)及びエタノール(1.5mL)の混合物を24時間加熱還流した。次に、反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残留物を水で希釈し、2M HClでpHを3〜4に調整した。懸濁液を濾過し、残留物をCHOHで洗浄した。揮発物を減圧下で除去して、粗生成物5,7−ジヒドロ−[2]ピリジン−6,6−ジカルボン酸(43mg、100%)を黄色の固体として得た。
【0217】
ピリジン(2mL)中の5,7−ジヒドロ−[2]ピリジン−6,6−ジカルボン酸(40mg、0.193mmol)を2時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去して、粗生成物6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−カルボン酸(31mg、100%)を黄色の固体として得た。
【0218】
エタノール(4mL)中の6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−カルボン酸(45mg、0.276mmol)の溶液に、HSO(0.1mL)を0℃で加えた。反応物を室温に温まるにまかせ、次に3時間加熱還流した。次に、反応混合物を冷却し、全ての揮発物を減圧下で除去した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液でpH=8に調整し、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。濾過し、続いて揮発物を減圧下で除去して、6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−カルボン酸エチルエステル(45mg、76%)を油状物として得た。
【0219】
エタノール(2mL)中の6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−カルボン酸エチルエステル(40mg、0.209mmol)の溶液に、NaBH(40mg、1.04mmol)を0℃で一度に加えた。反応混合物を室温で5分間撹拌し、次に6時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、エタノールで洗浄した。揮発物を減圧下で除去した後、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中5〜10%CHOH)により精製して、(6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−イル)メタノール(20mg、64%)を油状物として得た。
【0220】
CHCl中の(6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−イル)メタノール(20mg、0.134mmol)の溶液に、Dess-Martinペルヨージナン(80mg、0.188mmol)を0℃で加えた。反応物を室温まで温まるにまかせ、1時間撹拌した。反応混合物をCHClで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物をシリカゲルパッドで濾過し、濃縮して、6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−6−カルバルデヒド(14mg、71%)を油状物として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:405.2;実測値:405.2
【0221】
実施例13
2−{6−フルオロ−1−[1−(5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール
【0222】
【化58】

【0223】
1−クロロ−5−フルオロ−4−メチル−2−ニトロ−ベンゼン(2g、10.55mmol)、4−アミノ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.32g、11.58mmol)及びiPrNEt(3.8mL)の混合物を、マイクロ波加熱により、180℃で2時間加熱した。冷却後、反応混合物をCHClで希釈し、次に濾過した。揮発物を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製して、4−(5−フルオロ−4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.68g、18%)を褐色の固体として得た。
【0224】
エタノール(20mL)中の4−(5−フルオロ−4−メチル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(680mg、1.92mmol)及び10%Pd/C(68mg)の溶液を、水素下(50psi)で4時間振とうした。反応混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、揮発物を除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中10%CHOH)により精製して、4−(2−アミノ−5−フルオロ−4−メチル−フェニルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(500mg、80%)を油状物として得た。
【0225】
ギ酸(3mL)中の4−(2−アミノ−5−フルオロ−4−メチル−フェニルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(250mg、0.309mmol)の溶液に、オルトギ酸メチル(0.5mL)を加えた。60℃で3時間加熱した後、揮発物を減圧下で除去して、粗生成物6−フルオロ−5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール(180mg、99%)を褐色の固体として得た。
【0226】
CHOH(4mL)及び酢酸(0.2mL)中の6−フルオロ−5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール(70mg、0.300mmol)及び5−フルオロインダン−2−カルバルデヒド(49mg、0.300mmol)の混合物を室温で15分間撹拌した。NaCNBH(40mg、0.635mmol)を加え、次に反応混合物を1時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をCHClで希釈した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。有機抽出物を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中5%CHOH)により精製して、6−フルオロ−1−[1−(5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール(28mg、24%)を白色の固体として得た。
【0227】
無水THF(2mL)中の6−フルオロ−1−[1−(5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール(25mg、0.065mmol)の溶液に、tert−BuLi(0.058mL、ペンタン中1.7M)を−78℃で加えた。10分間撹拌した後、無水アセトン(0.008mL)を加え、反応混合物を−78℃で40分間撹拌した。1M HCl(0.2mL)でクエンチした後、混合物を室温に温まるにまかせた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物を除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(20/1 CHCl/CHOH)により精製して、2−{6−フルオロ−1−[1−(5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール(5mg、17%)を白色の固体として得た。
LRMS (M+ 1) −計算値:440.2;実測値:440.2
【0228】
下記の表1は、インビトロ活性データ、カップリング方法及び本発明の代表的な化合物の質量を示す。インビトロ活性(結合アッセイ)は、以下の +++ = IC50<20 nM; ++ = 20 nM<IC50<200 nM; + = 200 nM<IC50<5000 Nmにより示される。
【0229】
【表13】













































【0230】
実施例127
MCHRフィルター結合アッセイ
組換えヒトMCHR1受容体を安定的に発現しているCHO−K1細胞由来の膜を用いて、競合的結合アッセイを行った。2.8μgの膜を、各種濃度の競合するリガンドの非存在下又は存在下で、0.2nMの[Phe13、[125I]Tyr19]−MCH(PerkinElmer)と共に結合バッファー(50mMのHEPES、2.5mMのCaCl、0.05mMのBSA、1mMのフェナントロリン、0.03mMのTriton X−100)中でインキュベートすることにより、結合反応(90μl、最終容量)を室温にて行った。[Phe13、[125I]Tyr19]−MCHを、非標識の競合リガンドを添加した15分後に添加し、反応物を1時間インキュベートした。前処理した96穴フィルタープレート(Millipore; MultiScreen 0.65μm GFB filter plates)上での迅速な濾過により、反応を停止した。1%のBSA及び0.1%のTween20を含有する0.5%のポリビニルピロリドン溶液を用いて、フィルタープレートを12時間、40℃にて処理し、次いで氷冷した10mMのTris、pH7.5溶液を用いて洗浄した(5×200μl)。プレートを結合バッファー(200μl)と共に室温にて5分間インキュベートした後に排液した。結合反応の停止後に、フィルターを氷冷結合バッファーにて洗浄した(4×200μl)。フィルタープレートを30分間風乾し、シンチレーションカクテル(60μl)を各ウェルに加えて、Micro-beta plate reader(Wallace/PerkinElmer)を用いてプレートに結合した放射能測定した。
【0231】
実施例128
サイクリックAMPアッセイ
ヒトMCH−R1受容体を高レベルで安定的に発現するCHO−K1細胞中で、選択した本発明の化合物の機能的アンタゴニスト活性を特徴付けた。10%のFBS、1%のPen/Strep及び500mg/mlのG418を含有するDMEM/F12培地中で細胞を培養し、75〜85%のコンフルエンスに到達するまで生育させた。
【0232】
5mlのVersene(登録商標)を用いたアッセイの18時間前に細胞を回収し、DMEM/F12培地を用いて細胞を洗浄し、次いで、フェノールレッドを含まないDMEM/F12培地、10%のFBS、1%のPen/Strep及び500mg/mlのG418を含有する透明な384穴プレートへプレーティングした(9000細胞/ウェル)。アッセイの前に、培地を0.5mMの3−イソブチル−1−メチルキサンチン、0.5mg/mlのBSA、5μMのフォルスコリン及び0.4nMのヒトMCHを含有するフェノールレッドを含まないDMEM/F12培地(50μl/ウェル)に置換した。暗所で30分間、25℃にて、各種濃度のアンタゴニスト(1.1μl、100%DMSO)の非存在下又は存在下で、細胞をインキュベートした。インキュベーション培地を廃棄し、Tropix kit(Applied Biosystems)中に提供されるアッセイ溶解バッファー(50μl/ウェル)に置換し、プレートを45分間、37℃にてインキュベートした。CHO−K1細胞中に生成される細胞内cAMPのレベルを、Tropix Kitを用いて測定した。手短に言えば、20μlの溶解液を、10μlのアルカリホスファターゼコンジュゲート及び20μlの抗−cAMP抗体と共に、予めコーティングした抗体プレート(384穴、Tropix Kit)へと移し、プレートを1時間、室温にて、震盪しながらインキュベートした。次いでプレートを洗浄バッファー(70μl)にて5回洗浄し、軽くたたいて水気を切った。CSPD/Sapphire-II RTU substrate/enhancer solution(30μl)を添加し、プレートを45分間室温にて震盪しながらインキュベートした。生じたシグナルを、ルミノメーター(VICTOR-V;1秒/ウェル)を用いて測定した。
下記の表2に、選択されたin vitro MCH−R結合データを示す:
【0233】
【表14】

【0234】
本発明は、上述の本発明における特定の実施態様に限定されないと理解されるべきである。なぜなら、特定の実施態様の変形がなされ得、それもまた添付の特許請求の範囲内に含まれ得るからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
は、非置換、又は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される基によって、1、2又は3置換されているベンズイミダゾール又はアザベンズイミダゾールであり;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、−OCHC(CHOH、−SCH、−OSOCH、(C−C)アルコキシ、−CHOH及び−CHOCHからなる群より選択され;
AはC−R又はNであり;
又はRのうちの一方は水素又はハロゲンであり、もう一方は、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH及びアザインダンからなる群より選択され;
は、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択され;
及びRは水素であるか、又は、R及びRは、RとRが結合している炭素原子の間に二重結合を形成させるために、−C−C−結合と置換されている]
で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩。
【請求項2】
は、非置換、又は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される基によって、1、2又は3置換されているベンズイミダゾールである、請求項1記載の式(I)で表される化合物。
【請求項3】
式(I−A):
【化2】


[式中、
A、R、R、R及びRは、請求項1における定義の通りであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択され;
は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、−SOCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択され;
Bは、C−R又はNであり;及び
は、水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキルからなる群より選択される]
を有する請求項1記載の式(I)で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩。
【請求項4】
が、水素、ハロゲン、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコイル、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル及びヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される、請求項3記載の式(I)で表される化合物。
【請求項5】
が、ハロゲン、−SOCH及び(C−C)−アルキルからなる群より選択される、請求項3又は4記載の式(I)で表される化合物。
【請求項6】
BがC−Rであり、Rが、水素、ハロゲン及び(C−C)−アルキルからなる群より選択される、請求項3〜5のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項7】
が、ハロゲン、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)アルキル、−OCHC(CHOH、−SCH、−OSOCH、(C−C)アルコキシ、−CHOH及び−CHOCHからなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項8】
が水素である、請求項1〜6のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項9】
AがC−Rであり;R又はRのうちの一方は水素又はハロゲンであり、もう一方は、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH及びアザインダンからなる群より選択され、Rが、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項10】
が水素であり、Rが、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH及びアザインダンからなる群より選択され、Rが、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項11】
が、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、−CN、−NH、及び−OCHからなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項12】
が−NHCO−Rであり、Rが、(C−C)−アルキル、ハロゲン−(C−C)−アルキル、ヒドロキシルによって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、S、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環、及びS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環によって置換されている(C−C)−アルキルからなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項13】
AがNである、請求項1〜12のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項14】
及びRが水素である、請求項1〜12のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物。
【請求項15】
1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール、
シクロプロパンカルボン酸{(R)−2−[(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(2−イソプロピル−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−アミド、
N−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−プロピオンアミド、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
N−{(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−イル}−イソブチルアミド;ジヒドロクロリド、
(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−カルボニトリル、
1−[(3R,4R)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール;ジヒドロクロリド、
1−[(3R,4R)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール、
1−[(3S,4S)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール、
1−[(3S,4S)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−2,5−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール;ジヒドロクロリド、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((R)−5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−クロロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((R)−5−クロロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3S,4S)−1−((R)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
(S)−2−{(3R,4R)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−カルボニトリル、
(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−3−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−6−フルオロ−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−3−オール
からなる群より選択される、請求項1記載の式(I)で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩。
【請求項16】
(S)−2−{(3R,4R)−4−[6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−カルボニトリル、
N−((R)−2−{(3R,4R)−4−[6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−プロピオンアミド、
(S)−2−{(3S,4S)−4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−カルボニトリル、
(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−3−オール、
(S)−2−[(3R,4R)−3−メトキシ−4−(5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−カルボニトリル、
2−[1−((3R,4R)−1−インダン−2−イルメチル−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル)−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−((S)−5−ブロモ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
2−{1−[(3R,4R)−1−(5−フルオロ−インダン−2−イルメチル)−3−メトキシ−ピペリジン−4−イル]−5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−プロパン−2−オール、
N−((R)−2−{4−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−メチル−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ピペリジン−1−イルメチル}−インダン−5−イル)−プロピオンアミド、
(S)−2−[(3R,4R)−4−(2,5−ジメチル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル]−インダン−5−カルボニトリル
からなる群より選択される、請求項1記載の式(I)で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩。
【請求項17】
式(I−B):
【化3】


[式中、
は、非置換、又は、ハロゲン、ヒドロキシル、−SCH、フェニル、(C−C)−シクロアルキル、酸素、(C−C)−アルコキシ、分枝鎖状又は非分枝鎖状の(C−C)−アルキル、及びヒドロキシルによって置換されている分枝鎖状又は非分枝鎖状の(C−C)−アルキルからなる群より選択される基によって、1、2又は3置換されているベンズイミダゾール又はアザベンズイミダゾールであり;
は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の(C−C)アルキル、ヒドロキシル、−OCHC(CH)OH、−SCH、−OSOCH、(C−C)アルコキシ、−CHOH又は−CHOCHであり;
は、H又はハロゲンであり;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、−CN、−NH、−NHCH、−NHCO−R、−OCH又はアザインダンであり;
は、置換又は非置換の、分枝鎖状又は非分枝鎖状の(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、又はS、N及びOからなる群より選択される1〜3個の複素環原子を有する環炭素によって結合されている5又は6員の芳香族複素環である複素環である]
で表される化合物及び薬学的に許容可能なその塩。
【請求項18】
治療的に有効な量の請求項1〜17のいずれか1項記載の式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
治療的に有効な量の請求項1記載の式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、肥満を処置するための方法。
【請求項20】
前記治療的に有効な量が、1日あたり約0.01mg/kg〜約50mg/kgである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記治療的に有効な量が、1日あたり約0.3mg/kg〜約10mg/kgである、請求項19記載の方法。
【請求項22】
治療的活性物質として使用するための、請求項1〜17のいずれか1項記載の、式(I)で表される化合物。
【請求項23】
肥満、過食症、不安症、鬱病並びに関連する障害及び疾患を処置するための医薬の調製のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の、式(I)で表される化合物の使用。
【請求項24】
請求項1記載の式(I)で表される化合物の製造方法であって、以下:
a)式(II):
【化4】


[式中、B、R、R及びRは請求項1に定義する通りである]
で表される化合物を、式(III):
【化5】


[式中、A、R、R及びRは請求項1に定義する通りである]
で表されるカルボン酸とカップリングさせて、得られるアミドをボラン又は水素化アルミニウムリチウムを用いて還元し、所望により、得られる式(I)で表される化合物を、薬学的に許容可能なその塩へと変換する工程、又は、
b)式(II):
【化6】


[式中、B、R、R及びRは請求項1に定義する通りである]
で表される化合物を、式(IV):
【化7】


[式中、A、R、R及びRは請求項1に定義する通りであり、Xは臭素又はヨウ素である]
で表されるハロゲンメチルインダンと塩基性条件下でカップリングさせて、所望により、得られる式(I)で表される化合物を、薬学的に許容可能なその塩へと変換する工程、又は、
c)式(II):
【化8】


[式中、B、R、R及びRは請求項1に定義する通りである]
で表される化合物を、式(V):
【化9】


[式中、A、R、R及びRは請求項1に定義する通りである]
で表されるアルデヒドと、還元剤存在下でアルキル化させて、所望により、得られる式(I)で表される化合物を、薬学的に許容可能なその塩へと変換する工程、
を含んでなる、前記製造方法。
【請求項25】
実質的に本明細書に記載されるような新規化合物、プロセス及び方法並びに該化合物の使用。

【公表番号】特表2009−510012(P2009−510012A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532728(P2008−532728)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066540
【国際公開番号】WO2007/039462
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】