説明

MCP1融合物

本発明は、場合により、リンカーによって免疫グロブリンと融合されているMCP1を含むポリペプチドを提供する。医学的障害を治療するためにポリペプチドを用いる方法も対象とする。本明細書に開示される本発明は、ケモカインリガンドの全身投与を用いて受容体を脱感作することによるケモカイン受容体の標的化が、受容体保有細胞の炎症部位への輸送、および活性化シグナル、例えば、インターフェロンγに対する曝露を阻止することとなるという驚くべき発見に起因する。本明細書において論じられる例示的実施例では、CCR2をケモカイン受容体として、MCP1をケモカインリガンドとして用いた。MCP1ケモカインの血清半減期を延長するために、免疫グロブリン定常領域(ヒンジ〜CH3領域に由来する)を用いてMCP1にタグをつけることによって、免疫グロブリン融合タンパク質を設計した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年8月12日に出願された米国仮特許出願第60/707,731号(この全体が、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、とりわけ、炎症状態の治療または予防にとって有用である融合タンパク質ならびに融合タンパク質を用いてこのような状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
単球走化性タンパク質−1(MCP1、また、HC11、MCAF、CCL2、SCYA2、GDCF−2、SMC−CF、HSMCR30、MGC9434、GDCF−2およびHC11としても知られる)は、ケモカイン受容体CCR2の高選択性、高親和性ケモカインリガンドである。CCR2保有細胞、例えば、単球および記憶T細胞を引きつけるために炎症組織によって局所的に分泌される。MCP1は、CCR2と結合すると、MCP1の勾配に向けてカルシウム流および細胞遊走を誘発する。
【0003】
関節炎、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症および繊維症をはじめとする炎症疾患におけるMCP1およびCCR2の決定的な関与について、実質的な生物学的および遺伝学的証拠がある。MCP1またはCCR2のいずれかが欠損しているマウスは実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の発生から保護されていた(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。CCR2欠損マウスはまた、コラーゲン誘発関節炎からも保護されていた(非特許文献4)。さらに、CCR2ノックアウトマウスは、アテローム斑の発生に対して耐性であった(非特許文献5)。
【非特許文献1】Huangら、2001、J.Exp.Med.193:713
【非特許文献2】Iziksonら、2000、J.Exp.Med.192:1075
【非特許文献3】MahadおよびRansohoff、2003、Semi.Immunol.15:23
【非特許文献4】Quinonesら、2004、J.Clin.Invest.113:856
【非特許文献5】CharoおよびTaubman、2004、Circ.Res.95:858
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野には、CCR2媒介性炎症を標的とする抗炎症薬に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本明細書に開示される本発明は、ケモカインリガンドの全身投与を用いて受容体を脱感作することによるケモカイン受容体の標的化が、受容体保有細胞の炎症部位への輸送、および活性化シグナル、例えば、インターフェロンγに対する曝露を阻止することとなるという驚くべき発見に起因する。本明細書において論じられる例示的実施例では、CCR2をケモカイン受容体として、MCP1をケモカインリガンドとして用いた。MCP1ケモカインの血清半減期を延長するために、免疫グロブリン定常領域(ヒンジ〜CH3領域に由来する)を用いてMCP1にタグをつけることによって、免疫グロブリン融合タンパク質を設計した。
【0006】
本発明は、本発明の実施形態において、タンパク質のインビボ半減期を延長する物質、例えば、免疫グロブリンもしくはそのフラグメントまたはPEGと融合している、ケモカインリガンド、例えば、MCP1、SDF1またはMIP1βまたはそれらのフラグメント(例えば、その成熟ポリペプチド)を提供することによって抗炎症療法の必要性およびその他の必要性に対応する。
【0007】
本発明は、(1)1種以上の半減期延長性部分と融合している1種以上のケモカインポリペプチドまたは(2)2種以上の融合ケモカインポリペプチドを含む単離ポリペプチドを提供する。本発明の一実施形態では、MCP1は、ヒトMCP1およびマウスMCP1からなる群から選択されるメンバーである。本発明の一実施形態では、一部はポリエチレングリコール(PEG)または免疫グロブリンである。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、1種以上の免疫グロブリン(例えば、配列番号8〜12のいずれか)と融合している、1種以上の成熟MCP1ポリペプチド(例えば、ヒトまたはマウス)を含む。本発明の一実施形態では、MCP1は、ヒトMCP1およびマウスMCP1からなる群から選択されるメンバーである。本発明の一実施形態では、免疫グロブリンは、ヒンジ〜CH3領域のγ1およびγ4からなる群から選択されるメンバーである。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、マウスIgG1と融合している成熟ヒトMCP1、ヒトIgG4と融合している成熟ヒトMCP1、ヒトIgG4単量体変異体と融合している成熟ヒトMCP1、ヒトIgG1と融合している成熟ヒトMCP1およびヒトIgG1単量体変異体と融合している成熟ヒトMCP1からなる群から選択されるメンバーである。本発明の一実施形態では、MCP1は、配列番号2からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、免疫グロブリンは、配列番号3〜7に示されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、MCP1は、ペプチドリンカー(例えば、GS)によって免疫グロブリンと融合している。本発明の範囲は、任意のポリペプチドおよび製薬上許容される担体を含む薬剤組成物を含む。また、1種以上のさらなる治療薬またはその薬剤組成物と関連している本明細書の任意のポリペプチドは本発明の範囲内であり、例えば、さらなる治療薬は、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチン、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デスオキシメタゾン、フルロシノロンアセトニド、フルランドレノリド、局所用ステロイド、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アロエベラ、アムシノニド、アムシノニド、アントラリン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、カルシポトリエン、プロピオン酸クロベタゾール、コールタール、死海塩、デソニド、デソニド、吉草酸ベタメタゾン、デスオキシメタゾン、酢酸ジフロラゾン、エプソム塩、フルロシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール,吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、オイル化オートミール(oilated oatmeal)、石油ゼリー、プレドニカルベート、サリチル酸、タザロテン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンとデキサメタゾンとメチルプレドニゾロンとプレドニゾロンとの混合物、アレファセプト、エタネルセプト、シクロスポリン、メトトレキサート、アシトレチン、イソトレチノイン、ヒドロキシ尿素、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン、6−チオグアニン、アナキンラ、注射用金、ペニシラミン、アザチオプリン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、経口用金、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーロチオグルコース、メサラミン、スルファサラジン、ブデソニド、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アザチオプリン、6−メルカプトプリンまたはカルシウムの食事補給、葉酸、ビタミンB12、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、エファリツマブ、アダリムマブ、インフリキシマブおよびABX−IL8からなる群から選択されるメンバーである。
【0008】
本発明は、本明細書のポリペプチドのいずれかをコードする、例えば、マウスIgGIと融合しているヒト未プロセシングMCP1、ヒトlgG4と融合しているヒト未プロセシングMCP1、ヒトIgG4単量体変異体と融合しているヒト未プロセシングMCP1、ヒトIgG1と融合しているヒト未プロセシングMCP1およびヒトIgG1単量体変異体と融合しているヒト未プロセシングMCP1からなる群から選択されるメンバーをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。本発明の一実施形態では、MCP1は、配列番号13に示されるヌクレオチド配列によってコードされる。本発明の一実施形態では、免疫グロブリンは、配列番号14〜18からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる。本発明の一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号19〜23からなる群から選択される。本発明はまた、ポリヌクレオチド(例えば、pcDNA3.1(+)hMCP1 mlgG)を含む単離ベクター(例えば、図1に示され、かつ/または配列番号24のヌクレオチド配列を含む)ならびにこのベクターを含む宿主細胞を含む。
【0009】
本発明はまた、宿主細胞を、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター(例えば、pcDNA3.1(+)hMCP1 mlgG)を用い、前記発現に適した条件下で形質転換することと、場合により、宿主細胞からポリペプチドを単離することとを含む、MCP1−Igポリペプチドを作製する方法を提供する。本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号8〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。本方法によって作製されるポリペプチドはいずれも、本発明の範囲内にある。
【0010】
本発明は、被験体においてケモカインリガンド(例えば、MCP1、SDF1もしくはMIP1β)もしくはケモカイン受容体の発現もしくは活性を低減させることによって、またはケモカイン受容体保有細胞の、炎症組織中への遊走を低減させることによって治療可能な障害を治療する方法を提供し、これは被験体において、ケモカインリガンドに対してケモカイン受容体保有細胞を脱感作することを含む。本発明の一実施形態では、障害は、炎症性の医学的障害、寄生虫感染、細菌感染、ウイルス感染、癌、心血管障害および循環障害からなる群から選択されるメンバーである。本発明の一実施形態では、ケモカイン受容体保有細胞は、ケモカインリガンドポリペプチドまたは半減期延長性部分(例えば、免疫グロブリンもしくはそのフラグメント)と融合しているケモカインリガンドポリペプチドの全身投与によって、ケモカインリガンドに対して脱感作される。本発明の一実施形態では、MCP1は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、Igは、配列番号3〜7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMCP1−Igである。
【0011】
本発明は、被験体に、MCP1−Igまたはその薬剤組成物を、場合により、さらなる治療薬または手順と関連して投与することを含む、被験体において炎症性の医学的障害を治療または予防する方法を提供する。本発明の一実施形態では、障害は、虫垂炎、消化性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、潰瘍性大腸炎、偽膜性大腸炎、急性大腸炎、虚血性大腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、セリアック病、肝炎、クローン病、腸炎、ウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体疾患、組織虚血、再潅流傷害、組織壊死、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪液質、異常高熱症、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎および尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、間質性肺炎、成人性呼吸窮迫症候群、珪性肺塵症、アルビアリティス(alvealitis)、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、じんま疹イボ、膨疹、狭窄、再狭窄、バスリティス(vasulitis)、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、神経炎、神経痛、ブドウ膜炎、関節炎および関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶および移植片対宿主病からなる群から選択されるメンバーである。本発明の一実施形態では、MCP1は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、Igは、配列番号3〜7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、MCP1−Igは、配列番号8〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。本発明の一実施形態では、被験体はヒトである。本発明の一実施形態では、さらなる治療薬または手順は、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチン、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デスオキシメタゾン、フルロシノロンアセトニド、フルランドレノリド、局所用ステロイド、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アロエベラ、アムシノニド、アムシノニド、アントラリン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、カルシポトリエン、プロピオン酸クロベタゾール、コールタール、死海塩、デソニド、デソニド、デソニド、吉草酸ベタメタゾン、デスオキシメタゾン、酢酸ジフロラゾン、エプソム塩、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール,吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、オイル化オートミール、石油ゼリー、プレドニカルベート、サリチル酸、タザロテン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンとデキサメタゾンとメチルプレドニゾロンとプレドニゾロンとの混合物、アレファセプト、エタネルセプト、シクロスポリン、メトトレキサート、アシトレチン、イソトレチノイン、ヒドロキシ尿素、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン、6−チオグアニン、アナキンラ、注射用金、ペニシラミン、アザチオプリン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、経口用金、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーロチオグルコース、メサラミン、スルファサラジン、ブデソニド、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アザチオプリン、6−メルカプトプリンまたはカルシウムの食事補給、葉酸、ビタミンB12、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、エファリツマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、ABX−IL8および光線療法からなる群から選択されるメンバーである。
【0012】
本発明は、MCP1を免疫グロブリンまたはそのフラグメントと融合させることを含む、被験体の身体におけるMCP1のインビボ半減期を増大させる方法を提供する。本発明の一実施形態では、MCP1は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。本発明の実施形態では、免疫グロブリンは、配列番号3〜7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、被験体の身体における(例えば、血漿における)MCP1のインビボ半減期を延長する、または延ばす任意の半減期延長性部分と融合しているMCP1を含むポリペプチドを提供する。
【0014】
分子生物学
本発明に従って、当技術分野における技術内の、従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術を使用できる。このような技術は文献に十分に説明されている。例えば、Sambrook、Fritsch&Maniatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York (本明細書では、「Sambrookら、1989」);DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.N. Glover編1985);Oligonucleotide Snthesis(M.J.Gait編1984);Nucleic Acid Hydridization(B.D.Hames&S.J.Higgins編(1985));Transcription And Translation(B.D.Hames&S.J.Higgins編(1984));Animal Cel Culture(R.I.Freshney編(1986));Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press、(1986));B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、Inc.(1994)参照のこと。
【0015】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」は、一本鎖の形、二本鎖の形またはその他の、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステル重合体の形あるいはその任意のリン酸エステル類似体、例えば、ホスホロチオエートおよびチオエステルを含む。
【0016】
「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」とは、核酸、例えば、DNAまたはRNA中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)であり、2個以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。
【0017】
「コード配列」または発現産物、例えば、RNA、ポリペプチド、タンパク質もしくは酵素を「コードする」配列とは、発現されると、その産物の生成をもたらすヌクレオチド配列である。
【0018】
用語「遺伝子」とは、1種以上のRNA分子、タンパク質または酵素のすべてもしくは一部を含むリボヌクレオチドまたはアミノ酸の個々の配列をコードする、またはそれに対応するDNA配列を意味し、例えば、遺伝子が発現される条件を決定するプロモーター配列などの調節DNA配列を含む場合も含まない場合もある。遺伝子は、DNAからRNAへ転写され得、これはアミノ酸配列に翻訳される場合もされない場合もある。
【0019】
「タンパク質配列」、「ペプチド配列」または「ポリペプチド配列」または「アミノ酸配列」は、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチド中の一連の2個以上のアミノ酸を含む。
【0020】
用語「単離ポリヌクレオチド」または「単離ポリペプチド」は、それぞれ、通常、細胞中に、もしくは組換えDNA発現系中に見られるその他の成分から部分的にもしくは完全に分離されている、ポリヌクレオチド(例えば、RNAもしくはDNA分子、または混合ポリマー)またはポリペプチドを含む。これらの成分としては、限定されないが、細胞膜、細胞壁、リボソーム、ポリメラーゼ、血清成分および外来ゲノム配列が挙げられる。
【0021】
単離ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本質的に相同な組成の分子であることが好ましいが、いくらかの不均一性を含み得る。
【0022】
本明細書においてDNAの「増幅」とは、DNA配列の混合物内の特定のDNA配列の濃度を高めるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を含む。PCRの説明については、Saikiら、Science(1988)239:487を参照のこと。
【0023】
用語「宿主細胞」は、細胞による物質の産生、例えば、遺伝子、DNAまたはRNA配列またはタンパク質の、細胞による発現または複製のために、選択、修飾、トランスフェクト、形質転換、増殖または使用される、または何らかの方法で操作される任意の生物の任意の細胞を含む。宿主細胞としては、細菌細胞(例えば、大腸菌(E.coli))、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293細胞、骨髄腫細胞、例えば、限定されないが、SP2/0、NS1およびNS0、マウスマクロファージJ774細胞または任意の他のマクロファージ細胞株およびヒト腸上皮Caco2細胞が挙げられる。
【0024】
ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、当技術分野で公知の方法であればいずれの方法で決定してもよい(例えば、化学的配列決定または酵素的配列決定)。DNAの「化学的配列決定」としては、MaxamおよびGilbert(1977)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA74:560)のものなどの方法が挙げられ、個々の塩基特異的反応を用いてDNAを無作為に切断する。DNAの「酵素的配列決定」としては、Sangerのもの(Sangerら(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA74:5463)などの方法が挙げられる。
【0025】
本明細書においてポリヌクレオチドは、天然調節(発現制御)配列が隣接する場合もあるし、または異種配列、例えば、プロモーター、内部リボソーム進入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’−および3’−非コーディング領域などと結合している場合もある。
【0026】
一般に、「プロモーター」または「プロモーター配列」とは、細胞においてRNAポリメラーゼと結合し(例えば、直接またはその他のプロモーターが結合しているタンパク質もしくは物質を介して)、コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。プロモーター配列は、通常、転写開始部位によって、その3’末端で結合しており、上流(5’方向)に伸びて、任意のレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含んでいる。プロモーター配列内に、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1を用いるマッピングによって都合よく規定される)ならびにRNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる場合がある。プロモーターは、他の発現制御配列、例えば、エンハンサーおよびレプレッサー配列と、または本発明のポリヌクレオチドと機能しうる形で結合している場合がある。遺伝子発現を制御するために使用できるプロモーターとしては、限定されないが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,385,839号および同5,168,062号)、SV40初期プロモーター領域(Benoistら、(1981)Nature290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリピートに含まれるプロモーター(Yamamotoら、(1980)Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、(1982)Nature296:39−42)、原核生物発現ベクター、例えば、β−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Komaroffら、(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3727−3731)またはtacプロモーター(DeBoerら、(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25)、また、Scientific American(1980)242:74−94中の「Useful proteins from recombinant bacteria」も参照のこと、ならびに酵母もしくは他の真菌由来のプロモーターエレメント、例えば、Gal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーターまたはアルカリ性ホスファターゼプロモーターが挙げられる。
【0027】
コード配列は、転写および翻訳制御配列がコード配列のRNA、好ましくは、mRNAへのRNAポリメラーゼ媒介性転写を導き、次いで、RNAスプライシングされ得(イントロンを含む場合には)、場合により、コード配列によってコードされるタンパク質に翻訳される場合に、細胞中で転写および翻訳制御配列「の制御下にある」、転写および翻訳制御配列と「機能的に関連している」または「機能しうる形で関連している」。
【0028】
用語「発現する」および「発現」とは、遺伝子、RNAまたはDNA配列中の情報が現れるようになることを可能にすることまたは引き起こすこと、例えば、対応する遺伝子の転写および翻訳に関与している細胞機能を活性化することによってタンパク質を産生することを意味する。DNA配列は、細胞内でまたは細胞によって発現され、「発現産物」、例えば、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質を形成する。また、発現産物自体が、細胞によって「発現される」といわれる場合もある。
【0029】
用語「形質転換」とは、ポリヌクレオチドの細胞への導入を意味する。導入される遺伝子または配列が「クローン」と呼ばれる場合がある。導入されるDNAまたはRNAを受け取っている宿主細胞は「形質転換」されており、「形質転換体」または「「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、例えば、宿主細胞と同属または同種の細胞をはじめどんな供給源由来のものであってもよく、異なる属または種の細胞に由来する場合もある。
【0030】
用語「ベクター」は、宿主を形質転換し、場合により、導入された配列の発現および/または複製を促進するために、それによってDNAまたはRNA配列が宿主細胞に導入される媒体(例えば、プラスミド)を含む。
【0031】
本発明に使用できるベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組み込み可能なDNA断片および宿主へのポリヌクレオチドの導入を促進できる他の媒体が挙げられる。プラスミドが、最もよく用いられるベクターの形であるが、同様の機能を果たし、当技術分野で公知であるか公知となる、すべての他の形のベクターが本明細書における使用に適している。例えば、Pouwelsら、Cloning Vectors:A Laboratory Manual、1985および付録、Elsevier、N.Y.およびRodriguezら(編)、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、1988、Buttersworth、Boston、MAを参照のこと。
【0032】
本発明は、MCP1(例えば、成熟MCP1ポリペプチド)、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、Ig)と融合している)を、(例えば、発現系において)製造する方法を含む。本発明の一実施形態では、MCP1またはその多量体もしくは融合物を、発現ベクターに挿入し、これを適した宿主細胞に導入する。次いで、宿主細胞においてタンパク質を発現させる。次いで、タンパク質を宿主細胞から単離し、さらに精製してよい。このような方法によって製造されるポリペプチドはいずれも本発明の範囲内にある。
【0033】
用語「発現系」とは、適した条件下で、ベクターによって運ばれ、宿主細胞に導入されるタンパク質または核酸を発現できる宿主細胞および適合ベクターを意味する。一般的な発現系として、大腸菌宿主細胞または哺乳類宿主細胞(例えば、CHO細胞、HEK293細胞および骨髄腫細胞)とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞とバキュロウイルスベクター、および哺乳類宿主細胞とベクターが挙げられる。
【0034】
本発明のMCP1またはその多量体もしくは融合物をコードする核酸の発現は、原核細胞または真核細胞のいずれかにおいて従来法によって実施できる。原核生物系では、大腸菌宿主細胞が最も頻繁に用いられるが、同様に、多数の他の細菌、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)およびバチルス(Bacillus)の種々の株が当技術分野では知られており、使用可能である。ポリペプチドをコードする核酸を発現するための適した宿主細胞として、原核生物および高等真核生物が挙げられる。原核生物は、グラム陰性およびグラム陽性生物、例えば、大腸菌および枯草菌(B.subtilis)の両方を含む。高等真核生物としては、動物細胞由来の確立された組織培養細胞株(例えば、CHO細胞)、非哺乳類起源、例えば、昆虫細胞およびトリと、哺乳類起源、例えば、ヒト、霊長類およびげっ歯類との両方が挙げられる。
【0035】
原核生物の宿主−ベクター系としては、多数の異なる種のためのさまざまなベクターが挙げられる。DNAを増幅するための代表的なベクターとして、pBR322または多数のその誘導体のいずれか(例えば、pUC18または19)がある。MCP1ポリペプチドを発現させるために使用できるベクターとしては、限定されないが、lacプロモーター(pUCシリーズ);trpプロモーター(pBR322−trp);lppプロモーター(pINシリーズ);λ−pPもしくはpRプロモーター(pOTS)またはハイブリッドプロモーター、例えば、ptac(pDR540)を含むものが挙げられる。RodriguezおよびDenhardt(編)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、1988、Buttersworth、Boston、205−236頁中のBrosiusら、「Expression Vectors Employing Lambda−、trp−、lac−and Ipp−derived Promoters」を参照のこと。米国特許第4,952,496号、同5,693,489号および同5,869,320号ならびにDavanloo、P.ら、(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:2035−2039;Studier、F.W.ら、(1986)J.Mol.Biol.189:113−130;Rosenberg、A.H.ら、(1987)Gene56:125−135ならびにDunn、J.J.ら、(1988)Gene68:259に開示される大腸菌/T7発現系では多数のポリペプチドが高レベルで発現され得る。
【0036】
T7発現系は、大腸菌バクテリオファージT7由来の極めて強力なプロモーターの後に注目する遺伝子(例えば、MCP1またはその多量体もしくは融合物)が挿入されている発現カセットを含むpETプラスミドを含む(Studierら、J.Mol.Biol.189(1):113−30(1986))。このプロモーターは、T7ポリメラーゼの不在下では止まっている。発現が生じるには、pETプラスミドを、典型的には、λ溶原菌(最もよく用いられる溶原菌はDE3として知られている)中の染色体上に単一コピーのT7ポリメラーゼを含む細菌株に形質転換する。T7ポリメラーゼは、Lac−UV5 lacプロモーターの制御下にある。細胞を、ラクトースを含まない培地中で増殖させると、lacレプレッサー(lacl)がlacオペレーターと結合し、lacプロモーターからの転写を妨げる。ラクトースが単独の炭素源である場合またはラクトースアナログであるイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)が培地に添加されると、ラクトース(またはIPTG)がレプレッサーと結合し、オペレーターからのその解離を誘導し、プロモーターからの転写を可能にする。培養培地へのグルコースの添加は、カタボライト抑制の機序を介してT7RNAポリメラーゼの抑制の一因となる。
【0037】
高等真核細胞の組織培養細胞もまた、本発明のMCP1またはその多量体もしくは融合物の組換え生成に使用できる。高等真核細胞の組織培養細胞株、例えば、昆虫バキュロウイルス発現系および哺乳類細胞を使用できる。このような細胞の形質転換またはトランスフェクションおよび増殖は、日常的手順となっている。有用な細胞株の例として、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HEK293細胞、骨髄腫細胞、J774細胞、Caco2細胞、乳児ラット腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、トリ細胞株およびサル(COS)細胞株が挙げられる。典型的には、このような細胞株のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAを用いる場合)、ポリアデニル化部位および転写終結部位を含む。これらのベクターはまた、通常、選択遺伝子または増幅遺伝子を含む。適した発現ベクターは、例えば、アデノウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルスまたはサイトメガロウイルスなどの供給源由来のプロモーターを保持するプラスミド、ウイルスまたはレトロウイルスであり得る。発現ベクターの例として、pCR(登録商標)3.1、pCDNA1、pCD(Okayamaら、(1985)Mol.Cell Biol.5:1136)、pMC1neoポリ−A(Thomasら、(1987)Cell 51:503)、pREP8、pSVSPORTおよびその誘導体ならびにバキュロウイルスベクター、例えば、pAC373またはpAC610が挙げられる。
【0038】
本発明の一実施形態では、MCP1−Igは、プロテインAまたはプロテインGクロマトグラフィーによって精製できる。プロテインAまたはプロテインGは、免疫グロブリンと選択的に結合する。さらに、ポリペプチドは、標準法、例えば、限定されないが、塩またはアルコール沈殿、アフィニティークロマトグラフィー、分取ディスク−ゲル電気泳動、等電点電気泳動、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLC、ゲル濾過、陽イオンおよび陰イオン交換および分配クロマトグラフィーならびに向流分配によって精製できる。このような精製法は、当技術分野では周知であり、例えば、「Guide to Protein Purification」、Methods in Enzymology、182巻、M.Deutscher編、1990、Academic Press、New Yorkに開示されている。ポリペプチドが細胞または組織供給源から単離されている場合は、アッセイ系に1種以上のタンパク質分解酵素の阻害剤、例えば、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、ペファブロックSC、ペプスタチン、ロイペプチン、キモスタチンおよびEDTAを含むことが好ましい。
【0039】
ポリペプチド中に生じる修飾(例えば、翻訳後修飾)は、それがどのように作製されるかということの1つの関数となる。例えば、クローニングされた遺伝子を宿主において発現させることによって作製したポリペプチドについては、修飾の性質および程度は、大部分は、宿主細胞の翻訳後修飾能およびポリペプチドアミノ酸配列中に存在する修飾シグナルによって決まる。例えば、よく知られているように、グリコシル化は、大腸菌などの細菌宿主では起こらないことが多い。したがって、MCP1またはその多量体もしくは融合物のグリコシル化が求められる場合には、ポリペプチドを、グリコシル化する宿主、一般には、真核細胞において発現させることができる。昆虫細胞は、哺乳類細胞のものと同様である翻訳後グリコシル化を行うことが多い。このために、昆虫細胞発現系は、天然のグリコシル化パターンを有する哺乳類タンパク質を効率的に発現するよう開発されてきた。本発明において使用できる昆虫細胞は、昆虫網の生物由来の任意の細胞であり、例えば、ここで昆虫としてヨトウガ(Spodoptera fruigiperda)(Sf9またはSf21)またはイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(High 5)がある。例えば、MCP1またはその多量体もしくは融合物を製造するために、本発明とともに使用できる昆虫発現系の例として、Bac−To−Bac(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)またはGateway(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)が挙げられる。必要に応じて、脱グリコシル化酵素を使用して、真核細胞発現系における産生の際に結合された糖質を除去できる。
【0040】
ポリペプチド、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体へのペグ化すなわちポリエチレングリコール(PEG)の付加は、従来の、当技術分野で周知の方法を用いて達成できる(例えば、米国特許第5,691,154号、同5,686,071号、同5,639,633号、同5,492,821号、同5,447,722号、同5,091,176号を参照のこと)。
【0041】
本発明は、本発明のMCP1またはその多量体もしくは融合物に対応するアミノ酸またはヌクレオチド配列の表面上の修飾またはわずかな修飾のいずれも考慮する。特に、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列保存的変異体を考慮する。ポリヌクレオチド配列の「配列保存的変異体」とは、所与のコドン中の1個以上のヌクレオチドの変化が、その位置でコードされるアミノ酸の変更をもたらさないものである。本発明のポリペプチドの機能保存的変異体もまた本発明によって考慮される。「機能保存的変異体」とは、ポリペプチドの全体的なコンホメーションおよび機能の変化を伴わずにタンパク質または酵素中の1個以上のアミノ酸残基が変化しているものであり、決して限定されないが、例えば、同様の特性を有するものでのアミノ酸の置換が挙げられる。同様の特性を有するアミノ酸は、当技術分野では周知である。例えば、交換可能である極性/親水性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、トレオニン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、交換可能である非極性/疎水性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられ、交換可能である酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、交換可能である塩基性アミノ酸としては、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンが挙げられる。
【0042】
本発明は、MCP1(例えば、成熟MCP1ポリペプチド)、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、Ig)と融合している)(例えば、配列番号1、2、8〜12のいずれか)をコードするポリヌクレオチドならびにそれらのポリヌクレオチドとハイブリダイズする核酸を含む。核酸は、低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることが好ましく、中程度のストリンジェンシー条件下がより好ましく、高ストリンジェンシー条件下が最も好ましい。核酸分子は、温度および溶液イオン強度の適当な条件下で、一本鎖の形の核酸分子が他の核酸分子とアニーリングできる場合に、別の核酸分子、例えば、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAと「ハイブリダイズ可能である」(Sambrookら、前掲参照のこと)。温度およびイオン強度の条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。典型的な低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件とは、55℃、5×SSC、0.1%SDS、0.25%ミルクおよび42℃でホルムアミド不含または42℃で30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDSである。典型的な、中程度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションを、42℃で、5×または6×SSCを用い、40%ホルムアミド中で実施する以外は低ストリンジェンシー条件と同様である。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション条件を50%ホルムアミド、5×または6×SSC中、場合により、高温(例えば、42℃より高温:57℃、59℃、60℃、62℃、63℃、65℃または68℃)で実施する以外は低ストリンジェンシー条件と同様である。通常、SSCは0.15M NaClおよび0.015M クエン酸Naである。ハイブリダイゼーションには、2種の核酸が相補配列を含むことが必要であるが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて、塩基間のミスマッチがあり得る。核酸をハイブリダイズするのに適当なストリンジェンシーは、核酸の長さおよび相補性の程度、当技術分野で周知の変数に応じて変わる。2種のヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高いほど、核酸がハイブリダイズできるストリンジェンシーは高い。長さが100個のヌクレオチドを超えるハイブリッドには、融解温度を算出するための方程式が導かれている(Sambrookら、前掲、9.50−9.51参照のこと)。より短い核酸、すなわち、オリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーションには、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さによってその特異性が決まる(Sambrookら、前掲参照のこと)。
【0043】
アルゴリズムのパラメータが、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間の最大マッチが得られるよう選択されているBLASTアルゴリズムによって比較を実施する場合に、参照MCP1(例えば、成熟MCP1ポリペプチド)、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、Ig)と融合している)配列番号13および19〜23のいずれかのヌクレオチド配列および配列番号1、2および8〜12のいずれかのアミノ酸配列と、少なくとも約70%同一である、好ましくは、少なくとも約80%同一である、より好ましくは、少なくとも約90%同一である、最も好ましくは、少なくとも約95%同一である(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)、ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含むポリペプチドも本発明に含まれる。
【0044】
アルゴリズムのパラメータが、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間の最大マッチが得られるよう選択されているBLASTアルゴリズムを用いて比較を実施する場合に、配列番号1、2および8〜12のいずれかの参照MCP1(例えば、成熟MCP1ポリペプチド)、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、Ig)と融合している)と、少なくとも約70%類似の、好ましくは、少なくとも約80%類似の、より好ましくは、少なくとも約90%類似の、最も好ましくは、少なくとも約95%類似の(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)アミノ酸配列を含むポリペプチドも、本発明に含まれる。
【0045】
配列同一性とは、比較されている2種の配列のヌクレオチドまたはアミノ酸間の正確なマッチを指す。配列類似性とは、比較されている2種のポリペプチドのアミノ酸間の正確なマッチならびに同一でないが生化学的に関連しているアミノ酸間のマッチの両方を指す。同様の特性を共有し、交換可能であり得る生化学的に関連しているアミノ酸は上記で論じられている。
【0046】
BLASTアルゴリズムに関する以下の参照文献は、参照により本明細書に組み込まれる:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.ら、(1990)J.Mol.Biol.215:403−410;Gish,W.ら、(1993)Nature Genet.3:266−272;Madden,T.Lら、(1996)Meth.Enzymol.266:131−141;Altschul,S.F.ら、(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402;Zhang,J.ら、(1997)Genome Res.7:649−656;Wootton,J.C.ら、(1993)Comput.Chem.17:149−163;Hancock,J.M.ら、(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67−70;Atlas of Protein Sequence and Structure(1978)第5巻、付録3.M.O.Dayhoff(編)、345−352頁、Natl.Biomed.Res.Found.、Washington、DC中、ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.ら、「A model of evolutionary change in proteins.」;Atlas of Protein Sequence and Structure、(1978)第5巻、付録3.」M.O.Dayhoff(編)、353−358頁、Natl.Biomed.Res.Found.、Washington、DC中、Schwartz,R.M.ら、「Matrices for detecting distant relationships.」;Altschul,S.F.、(1991)J.Mol.Biol.219:555−565;States,D.J.ら、(1991)Methods3:66−70;Henikoff,S.ら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915−10919;Altschul,S.F.ら、(1993)J.Mol.Evol.36:290−300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.ら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268;Karlin,S.ら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873−5877;Dembo,A.ら、(1994)Ann.Prob.22:2022−2039およびTheoretical and Computational Methods in Genome Research (S.Suhai編)、(1997)1−14頁、Plenum、New York中、Altschul,S.F.「Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.」。
【0047】
ケモカインリガンドおよびその融合物
本発明は、場合により、リンカーペプチド(例えば、GS)によって、1種以上の「半減期延長性部分」と融合している、1種以上の任意のケモカイン、例えば、MCP1ポリペプチドを含む任意の融合ポリペプチドを含む。本発明は、単一の連続するポリペプチド鎖に融合されている2以上のケモカインポリペプチドまたはその断片を含む任意のケモカインリガンド多量体をさらに含む。
【0048】
本発明の一実施形態では、ケモカインポリペプチドは、MCP1、SDF1(例えば、SDF1αまたはSDF1β;Genbank受託番号P48061参照のこと)またはMIP1β(Genbank受託番号NP_002975.1、AAA36656.1、AAA36752.1、AAA51576.1、AAA57256.1、AAB00790.1、AAX07292.1、CAA34291.1、CAA37722.2、CAA37723.1またはCAG46916.1を参照のこと)である。本発明の一実施形態では、ケモカインポリペプチドは、CCLまたはCXCLクラスのケモカインのメンバーのいずれか、例えば、CCL1、2、3、4、5、6、7、8、9/10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28のいずれか、またはCXCL1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16のいずれかである。例えば、本発明の一実施形態では、ケモカインは、I309、MIP1α、MIP1β、RANTES、C10、MCP2、MCP3、CCF18、エオタキシン1、MCP4、MCP5、HCC1、HCC2、NCC4、TARC、PARK、ELC、LARC、SLC、MDC、MPIF1、エオタキシン2、TECK、エオタキシン3、ALP、CTACKからなる群から選択されるメンバーのいずれかである。例えば、本発明の一実施形態では、ケモカインは、CCL23、CCL28、GROα、GROβ、GROγ、PF4、ENA78、GCP2、PBP、β−TG、CTAP−III、NAP−2、IL−8、MIG、IP10、I−TAC、SDF1、BLC、BRAK、ルンジン(lungine)、リンホタクチンまたはフラクタルカインからなる群から選択されるメンバーのいずれかである。本発明は、半減期延長性部分と融合している1種を越えるケモカイン(例えば、MCP1−SDFI−Ig)を含む融合物を含む。
【0049】
「半減期延長性部分」は、任意の部分、例えば、ポリペプチドに付加されると、被験体の身体において(例えば、被験体の血漿において)そのポリペプチドのインビボ半減期を延長する、ポリペプチド、小分子またはポリマーである。例えば、本発明の一実施形態では、半減期延長性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシPEG(mPEG)または免疫グロブリン(Ig)である。本発明の一実施形態では、PEGは5、10、12、20、30、40または50kDaの部分またはそれより大きいものであるか、または、約12000エチレングリコール単位(PEG12000)を含む。
【0050】
用語「Ig」または「免疫グロブリン」とは、任意の種に由来する、例えば、ヒト由来の、またはマウス由来の任意の免疫グロブリンならびに任意のフラグメントもしくは変異体もしくは突然変異体を含む。この用語は、任意の重鎖IgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4;IgA、例えば、IgA1またはIgA2;IgM、IgDおよびIgEを含む。本発明の一実施形態では、「Ig」または「免疫グロブリン」とは、重鎖のヒンジ〜CH3の、前記のもののいずれかに由来するポリペプチドを指す。本発明の一実施形態では、「Ig」は、免疫グロブリンの「単量体変異体」または「単量体」である。免疫グロブリンの単量体変異体は、別の免疫グロブリンとは二量化しない(例えば、配列番号5および7参照のこと)。免疫グロブリンの単量体変異体は、免疫グロブリン二量化に関与している1個以上の残基(例えば、システイン残基)を突然変異させることによって構築できる。例えば、システイン残基をセリンに突然変異させることができる。
【0051】
本発明はまた、MCP1多量体(例えば、(成熟または未プロセシングMCP1)(ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9または10またはそれ以上))を提供する。MCP1多量体は、1以上のその他のMCP1ポリペプチドまたはその成熟ポリペプチドと融合している、1以上のMCP1ポリペプチドまたはその成熟ポリペプチドを含む。
【0052】
用語「MCP1」は、任意の生物(例えば、任意の哺乳類、例えば、ヒト、チンパンジー、イヌ(例えば、受託番号P52203参照のこと)、ニワトリ、ウシ(例えば、受託番号P28291参照のこと)、ラット(例えば、受託番号XP_213425参照のこと)またはマウス)由来の任意のMCP1遺伝子またはタンパク質またはその任意の相同体もしくは断片(例えば、成熟MCP1)を含む。MCP1は、いくつかの同義語、例えば、CCL2、HC11、MCAF、MCP1、MCP1、SCYA2、GDCF−2、SMC−CF、HSMCR30、MGC9434、GDCF−2およびHC11によって記載されている。成熟MCP1ポリペプチドは、未プロセシングもしくは未成熟MCP1ポリペプチド中に存在するリーダー配列を欠く。リーダー配列は当業者によって容易に同定され得る。本発明の一実施形態では、MCP1リーダー配列は配列番号1のアミノ酸1〜23である。
【0053】
用語「MCP1−Ig」とは、任意の方法および任意の方向で、1以上の免疫グロブリンポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、ヒトIgG4またはIgG1またはヒンジからCH3領域のみを含むそのフラグメント)と融合している、1以上のMCP1ポリペプチド(例えば、ヒトまたはマウス)またはその断片を含む任意のポリペプチドを含む。
【0054】
本発明の一実施形態では、ヒトMCP1の未プロセシングポリペプチド配列は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0055】
【化1】

本発明の一実施形態では、ヒトMCP1の成熟ポリペプチド配列は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0056】
【化2】

本発明の一実施形態では、成熟MCP1は、配列番号1のアミノ酸30〜99である。本発明の一実施形態では、成熟MCP1は、ピログルタミン酸がN末端に付加されている配列番号2のアミノ酸配列を含み、本発明の別の実施形態では、成熟MCP1は、N末端グルタミン(Q)がピログルタミン酸で置換されている配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0057】
本発明の一実施形態では、マウスMCP1は、UniProtKB/Swiss−Prot受託番号P10148下に、または受託番号NP_035463もしくはIPI00108087.1下に開示されるアミノ酸配列を含む。本発明の実施形態はまた、これらのポリペプチドの成熟した、プロセシングされた形(例えば、シグナルペプチドアミノ酸1〜23が除去されている)も含む。本発明の一実施形態では、マウスMCP1は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0058】
【化3】

本発明の一実施形態では、マウス免疫グロブリン重鎖定常領域の成熟ポリペプチド配列(ヒンジ〜CH3のみ)、アイソタイプγ1は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0059】
【化4】

本発明の一実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域の成熟ポリペプチド配列(ヒンジ〜CH3のみ)、アイソタイプγ4は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0060】
【化5】

本発明の一実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域の成熟ポリペプチド配列(ヒンジ〜CH3のみ)、アイソタイプγ4単量体変異体(下線を引いたヒンジ中のCからS突然変異)は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0061】
【化6】

本発明の一実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域の成熟ポリペプチド配列(ヒンジ〜CH3のみ)、アイソタイプγ1は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0062】
【化7】

本発明の一実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域の成熟ポリペプチド配列(ヒンジ〜CH3のみ)、アイソタイプγ1単量体変異体(下線を引いたヒンジ中のCからS突然変異)
【0063】
【化8】

本発明の一実施形態では、マウスIgG1と融合している成熟ヒトMCP1のポリペプチド配列(下線を引いたリンカー)は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0064】
【化9】

本発明の一実施形態では、ヒトIgG4と融合している成熟ヒトMCP1のポリペプチド配列(下線を引いたリンカー)は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0065】
【化10】

本発明の一実施形態では、ヒトIgG4単量体変異体と融合している成熟ヒトMCP1のポリペプチド配列(下線を引いたリンカー)は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0066】
【化11】

本発明の一実施形態では、ヒトIgG1と融合している成熟ヒトMCP1のポリペプチド配列(下線を引いたリンカー)は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0067】
【化12】

本発明の一実施形態では、ヒトIgG1単量体変異体と融合しているヒトMCP1のポリペプチド配列(下線を引いたリンカー)は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0068】
【化13】

本発明の一実施形態では、ヒトMCP1コーディング領域のDNA配列は、以下のヌクレオチド配列(下線を引いた開始および停止コドン;太字フォントの成熟ポリペプチドの最初のアミノ酸のコドン)を含む:
【0069】
【化14】

本発明の一実施形態では、ヒンジ領域のアミノ末端から始まり、CH3領域のカルボキシ末端で終わる、マウス重鎖免疫グロブリン定常領域、γ1アイソタイプのDNA配列(下線を引いた停止コドン)は、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0070】
【化15】

本発明の一実施形態では、ヒンジ領域のアミノ末端から始まり、CH3領域のカルボキシ末端で終わる、ヒト重鎖免疫グロブリン定常領域、γ4アイソタイプのDNA配列(下線を引いた停止コドン)は、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0071】
【化16】

本発明の一実施形態では、ヒンジ領域のアミノ末端から始まり、CH3領域のカルボキシ末端で終わる、ヒト重鎖免疫グロブリン定常領域、γ4アイソタイプのDNA配列(下線で記されたCysからSer変更、太字フォントの停止コドン)は、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0072】
【化17】

1個以上のシステインが突然変異されている、本明細書に示される任意の免疫グロブリン単量体変異体中のセリンをコードするコドンは、セリンアミノ酸をコードする任意のコドン:例えば、AGT、AGC、TCT、TCC、TCAまたはTCGであり得る。
【0073】
本発明の一実施形態では、ヒンジ領域のアミノ末端から始まり、CH3領域のカルボキシ末端で終わる、ヒト重鎖免疫グロブリン定常領域、γ1アイソタイプのDNA配列(下線を引いた停止コドン)は、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0074】
【化18】

本発明の一実施形態では、ヒンジ領域のアミノ末端から始まり、CH3領域のカルボキシ末端で終わる、ヒト重鎖免疫グロブリン定常領域、γ1アイソタイプ、単量体変異体のDNA配列(下線を引いたCysからSer変更;太字フォントの停止コドン)は、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0075】
【化19】

本発明の一実施形態では、マウスIgG1と融合しているヒトMCP1(リーダーペプチドを含む)のcDNAは、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0076】
【化20】

本発明の一実施形態では、ヒトlgG4と融合しているヒトMCP1(リーダーペプチドを含む)のcDNAは、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0077】
【化21】

本発明の一実施形態では、ヒトlgG4単量体変異体と融合しているヒトMCP1(リーダー配列を含む)のcDNAは、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0078】
【化22】

本発明の一実施形態では、ヒトIgG1と融合しているヒトMCP1(リーダー配列を含む)のcDNAは、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0079】
【化23】

本発明の一実施形態では、ヒトIgG1単量体変異体と融合しているヒトMCP1(リーダー配列を含む)のcDNAは、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0080】
【化24】

本発明の一実施形態では、成熟ヒトMCP1およびマウスIgG、プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 mlgGを含む融合タンパク質をコードする発現プラスミドの配列(下線を引いた開始および停止コドン、太字フォントのMCP1およびmlgのリンカーのコドン)は、以下のヌクレオチド配列を含む:
【0081】
【化25】

【0082】
【化26】

【0083】
【化27】

【0084】
【化28】

本発明の融合物は、任意の回数反復された、1以上のMCP1および1以上の半減期延長性部分(例えば、免疫グロブリン)を、任意の順序で含む。融合物が、複数のMCP1を含む場合には、MCP1は同一であっても異なっていてもよい。例えば、一実施形態では、本発明の融合物は、ヒトMCP1−マウスMCP1−Igを含む。複数の免疫グロブリンポリペプチドもまた、本発明の融合物中に含まれ得る。例えば、一実施形態では、融合物は、ヒトMCP1−ヒトMCP1−IgG1−IgG1;ヒトMCP1−ヒトMCP1−IgG1−IgG4またはヒトMCP1−Ig−マウスMCP1−Ig−Ig−ヒトMCP1を含む。これらの実施形態はいずれも、用語「MCP1−Ig」下に含まれる。本発明はまた、例えば、(ヒトMCP1)−PEGまたはマウスMCP−1ヒトMCP1−PEGを含む。
【0085】
アミノ末端にMCP−1を含む融合物は、MCP1をカルボキシ末端に有する融合物とともに本発明の範囲内にあり、用語MCP−Igとはこれらの種類の融合物の両方を指す。例えば、本発明は、以下のMCP1−Ig融合物のいずれも含む:ヒトMCP1−Ig、Ig−ヒトMCP1、マウスMCP1−Ig、Ig−マウスMCP1;PEG−ヒトMCP1またはヒトMCP1−PEG。
【0086】
本発明の一実施形態では、本発明のMCP1−Ig融合物は、MCP1とIgとを連結するリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を含む。本発明の一実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸を含む。
【0087】
pcDNA3.1(+)hMCP1 mlgGに加え、以下のプラスミドも本発明の一部をなす。プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 hlgG4(下線を引いた文字列の開始および停止コドン、太字文字列のMCP−1およびmlgのリンカーのコドン):
【0088】
【化29】

【0089】
【化30】

【0090】
【化31】

プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 hlgG4単量体変異体(下線を引いた文字列の開始および停止コドン、太字文字列のMCP−1およびmlgのリンカーのコドン):
【0091】
【化32】

【0092】
【化33】

【0093】
【化34】

【0094】
【化35】

プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 hlgG1(下線を引いた文字列の開始および停止コドン、太字文字列のMCP−1およびmlgのリンカー):
【0095】
【化36】

【0096】
【化37】

【0097】
【化38】

【0098】
【化39】

プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 hlgG1単量体変異体(下線を引いた文字列の開始および停止コドン、太字文字列のMCP−1およびmlgのリンカーのコドン):
【0099】
【化40】

【0100】
【化41】

【0101】
【化42】

【0102】
【化43】

治療用組成物および治療方法
本発明は、内因性ケモカイン(例えば、MCP1)発現または関連活性(例えば、CCR2受容体結合)を低減させることによって、またはケモカイン受容体(例えば、CCR2)の発現または活性を低減させることによって、ケモカイン受容体保有細胞(例えば、CCR2保有細胞、例えば、単球、マクロファージおよび記憶Tリンパ球)の、炎症組織中への遊走を低減させることによって治療可能な任意の病状または障害または疾患を治療または予防する方法を含む。本発明の一実施形態では、炎症性疾患を、被験体へのリガンドの全身投与によって、被験体において、同族ケモカインリガンド(例えば、MCP1)の存在に対してケモカイン受容体(例えば、CCR2)保有細胞を脱感作することによって治療する。本発明の一実施形態では、ケモカインリガンドは、細胞において最大限レベルの脱感作に達するために長期間投与できる。例えば、本発明は、被験体に、治療上有効量のケモカインまたはその多量体もしくは融合物、例えば、MCP1、MCP1多量体またはそれらの融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、PEGまたはIg)と融合している)あるいはその薬剤組成物(例えば、製薬上許容される担体を含む)を、場合により、治療上有効量のさらなる治療薬と関連して投与することによって、被験体において炎症性疾患を治療または予防する方法を含む。
【0103】
本発明の薬剤組成物は、製薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製できる;例えば、Gilmanら(編)(1990)、The Pharmacological Bases of Therapeutics.第8版、Pergamon Press;A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania.;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker、New York;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosages Forms:Tablets Dekker、New YorkおよびLiebermanら(編)(1990)、Pharmaceutical Dosages Forms:Disperse Systems Dekker、New Yorkを参照のこと。
【0104】
用語「炎症性疾患」または「医学的な炎症性疾患」としては、本発明の一実施形態では、乾癬(例えば、爪乾癬、頭皮の乾癬、プラーク乾癬、膿疱性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、紅皮症または乾癬性関節炎)、強直性脊椎炎、虫垂炎、消化性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、潰瘍性大腸炎、偽膜性大腸炎、急性大腸炎、虚血性大腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、セリアック病、肝炎、クローン病(例えば、回結腸炎、回腸炎、胃十二指腸クローン病、空回腸炎またはクローン(肉芽腫性)結腸炎)、腸炎、ウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体疾患、組織虚血、再潅流傷害、組織壊死、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪液質、異常高熱症、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎および尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性繊維症、間質性肺炎、成人性呼吸窮迫症候群、珪性肺塵症、アルビアリティス、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、じんま疹イボ、膨疹、狭窄、再狭窄、バスリティス、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、神経炎、神経痛、ブドウ膜炎(例えば、前部、後部、中間部または汎)、関節炎および関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ(例えば、多関節性若年性関節リウマチまたは乾癬性関節炎)、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶または移植片対宿主病が挙げられる。
【0105】
本発明はまた、被験体に、治療上有効な量のケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、PEGまたはIg)と融合している)あるいはその薬剤組成物(例えば、製薬上許容される担体を含む)を、場合により、治療上有効な量のさらなる治療薬と関連して投与することによって、被験体において寄生虫感染、ウイルス感染または細菌感染を治療または予防する方法を含む。本発明の一実施形態では、感染症は、単純ヘルペスウイルス感染(例えば、HSV1またはHSV2)、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV;例えば、I型)感染、HIV感染、HIV神経障害、髄膜炎、肝炎(A、BまたはCなど)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、咽頭蓋炎、大腸菌O157:h7、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解性血小板減少性紫斑病、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、らい病、毒素性ショック症候群、連鎖球菌筋炎(streptococcal myositis)、ガス壊疽、結核菌、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ、ニューモシスチス・カリニ肺炎、骨盤炎症性疾患、精巣炎、エピディディミティス(epidydimitis)、レジオネラ、ライム病、インフルエンザa、エプスタイン−バーウイルス、ウイルス関連ヘマファゴシティック(hemaphagocytic)症候群、致命的な脳炎または無菌性髄膜炎が挙げられる。
【0106】
本発明はまた、被験体に、治療上有効な量のケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、PEGまたはIg)と融合している)あるいはその薬剤組成物(例えば、製薬上許容される担体を含む)を、場合により、治療上有効な量のさらなる治療薬と関連して投与することによって、被験体において癌または悪性腫瘍(例えば、乳癌、卵巣癌、胃癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、肺癌、腎臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、前立腺癌または膀胱癌)を治療または予防する方法も含む。
【0107】
本発明はまた、被験体に、治療上有効な量のケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1、MCP1多量体またはその融合物(例えば、インビボ半減期延長性部分(例えば、PEGまたはIg)と融合している)あるいはその薬剤組成物(例えば、製薬上許容される担体を含む)を、場合により、治療上有効な量のさらなる治療薬と関連して投与することによって被験体において任意の心血管障害または循環障害を治療または予防する方法も含む。本発明の一実施形態では、疾患または障害は、心臓機能不全症候群、心筋梗塞、鬱血性心不全、卒中、虚血性卒中、出血、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、糖尿病性アテリオスクレロティック(ateriosclerotic)疾患、高血圧症、動脈性高血圧症、腎血管性高血圧症、失神、ショック、心血管系の梅毒、心不全、肺性心、原発性肺高血圧症、心不整脈、心房異所性拍動、心房粗動、心房細動(持続性または発作性)、灌流後症候群、心肺バイバス炎症応答、無秩序型または多源性心房性頻脈、規則的な幅の狭いQRSの頻脈、特異的アリテミアス(arrythmias)、心室細動、ヒス束アリテミアス(arrythmias)、房室ブロック、脚ブロック、心筋虚血性障害、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、心筋症、拡張型うっ血性心筋症、拘束型心筋症、弁膜症性心疾患、心内膜炎、心膜疾患、心膜腫瘍、アオルディックアニューリズム(aordic aneuryisms)および末梢アニューリズム(aneuryisms)、大動脈解離、大動脈の炎症、腹部大動脈およびその分枝のオクルション(occulsion)および、末梢血管障害、オクルシブ(occulsive)動脈疾患、末梢のアテローム性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎、機能性末梢動脈障害、レイノー現象およびレイノー病、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、静脈疾患、静脈血栓症、静脈瘤、動静脈瘻、リンフェデルマ(lymphederma)、脂肪性浮腫、不安定狭心症、再潅流傷害、ポストポンプ症候群(post pump syndrome)または虚血−再潅流傷害である。
【0108】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその多量体もしくは融合物(例えば、MCP1−Ig)を含む薬剤組成物は、従来の製薬上許容される賦形剤および添加剤ならびに従来技術を用いて調製できる。このような製薬上許容される賦形剤および添加剤として、非毒性の適合性増量剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、保存料、抗酸化物質、滑沢剤、矯味剤、増粘剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。限定されないが、非経口(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、腫瘍内または筋肉内)および非経口でない(例えば、経口、経皮、鼻腔内、眼球内、舌下、吸入、直腸および局所)をはじめとするすべての投与形路が考慮される。
【0109】
注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前の液体中の溶液もしくは懸濁液に適した固体の形として、またはエマルションのいずれかとして、従来の形で調製できる。注射剤、溶液およびエマルションはまた、1種以上の賦形剤を含み得る。適した賦形剤として、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールがある。さらに、必要に応じて、投与される薬剤組成物はまた、微量の非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解度増強剤(solubility enhancer)およびその他のこのような薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどを含み得る。
【0110】
非経口製剤中に用いられる製薬上許容される担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化物質、局所麻酔薬、懸濁剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート化剤および他の製薬上許容される物質が挙げられる。
【0111】
水性ビヒクルの例としては、Sodium Chloride Injection、Ringers Injection、Isotonic Dextrose Injection、Sterile Water Injection、Dextroseおよび Lactated Ringers Injectionが挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物起源の硬化油、綿実油、コーンオイル、ゴマ油およびビーナッツオイルが挙げられる。通常、複数回用量容器中にパッケージングされた非経口製剤には、静菌性または静真菌性濃度の抗菌剤が添加されており、これとしては、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンズアルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムが挙げられる。等張剤としては、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。抗酸化物質としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN−80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤またはキレート化剤としては、EDTAが挙げられる。薬剤担体としてはまた、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸が挙げられる。
【0112】
非経口投与用製剤としては、注射用に準備された滅菌溶液、使用直前に溶媒と組み合わせるよう準備された滅菌乾燥可溶性製剤、例えば、凍結乾燥散剤が挙げられ、これとしては、皮下用錠剤、注射のために準備された滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わせるよう準備された滅菌乾燥不溶性製剤および滅菌エマルションが挙げられる。溶液は水性または非水性のいずれであってもよい。
【0113】
一定レベルの投与量が維持されるような持続放出システムまたは徐放システムの移植も本明細書において考慮される。手短には、この実施形態では、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体(例えば、MCP1−Ig)は固体内部のマトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート共重合体類、シリコーンゴム類、ポリジメチルシロキサン類、シリコーンカーボネート共重合体類、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、外側の高分子膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体類、エチレン/エチルアクリレート共重合体類、エチレン/ビニルアセテート共重合体類、シリコーンゴム類、ポリジメチルシロキサン類、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルを含む塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元共重合体(terpolymer)によって囲まれている架橋ポリビニルアルコールおよび架橋部分加水分解ポリビニルアセテート、および体液に不溶性であるエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体中に分散されている。有効成分は、放出速度制御工程において外側の高分子膜を通り抜けて拡散する。このような非経口組成物中に含まれる活性化合物の百分率は、その特異性ならびにケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体の活性ならびに被験体の必要性に高度に依存している。
【0114】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体の濃度は、注射が所望の薬理効果を生じさせるための有効量を提供するよう調節できる。正確な用量は、技術分野で公知のように、とりわけ、患者または動物の年齢、体重および状態に応じて変わる。
【0115】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体を含む単位用量非経口製剤は、アンプル、バイアルまたはニードルのついたシリンジ中にパッケージングされている。非経口投与用のすべての製剤は、当技術分野で公知であり、実施されているように、無菌でなくてはならない。このような製剤の形は本発明の一部をなす。
【0116】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体は、凍結乾燥散剤に製剤でき、これは溶液、エマルションおよび他の混合物として投与するために再構成できる。散剤はまた、固体またはゲルとして再構成し、製剤してもよい。
【0117】
滅菌、凍結乾燥散剤は、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体あるいはその製薬上許容される誘導体を、適した溶媒に溶解することによって調製する。溶媒は、安定性を改善する賦形剤または別の薬理成分の散剤または散剤から調製された再構成された溶液を含み得る。使用できる賦形剤としては、限定されないが、デキストロース、ソルビタル(sorbital)、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の適した薬剤が挙げられる。溶媒はまた、一実施形態では、ほぼ中性pHの、クエン酸塩、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムなどの緩衝剤または当業者に公知のその他のこのような緩衝剤を含み得る。その後の、溶液の滅菌濾過と、それに続く、当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥により、所望の製剤が提供される。一実施形態では、得られた溶液を凍結乾燥のためにバイアルに分配する。各バイアルは、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体の単回投与量または複数回投与量を含み得る。凍結乾燥された散剤は、適当な条件下で、例えば、約4℃〜室温で保存できる。
【0118】
この凍結乾燥散剤の、注射水での再構成により、非経口投与において使用するための製剤が提供される。再構成するには、滅菌水または別の適した担体に凍結乾燥散剤を加えればよい。正確な量は、選択される化合物に応じて変わる。このような量は経験的に決定することができる。
【0119】
吸入による投与は、例えば、トリオレイン酸ソルビタンまたはオレイン酸を含有するエアゾール、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは任意の他の生物学的に適合する噴射剤ガスとともに用いることによって提供することができ、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体を含む系を、それだけで、または賦形剤と関連して、散剤の形で使用することも可能である。
【0120】
一実施形態では、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体は、経口投与のための固体投与形に、一実施形態では、カプセル剤または錠剤に製剤する。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分または同様の性質の化合物、結合剤、滑沢剤、希釈剤、流動促進剤、崩壊剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、湿潤剤、催吐剤コーティングおよびフィルムコーティングを含み得る。結合剤の例としては、微晶質セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロースおよびデンプンペーストが挙げられる。滑沢剤としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、ヒカゲノカズラおよびステアリン酸が挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよび第二リン酸カルシウムが挙げられる。流動促進剤としては、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤としては、例えば、承認され認可された水溶性FDおよびC色素のいずれか、それらの混合物およびアルミナ水和物に懸濁された水不溶性FDおよびC色素が挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトールおよび人工甘味剤、例えば、サッカリンおよび任意の数の噴霧乾燥フレーバーが挙げられる。矯味剤としては、植物、例えば、果実から抽出された天然フレーバーおよび心地よい感覚を生じさせる化合物、例えば、限定されないが、ペパーミントおよびサリチル酸メチルの合成ブレンドが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリラルエーテルが挙げられる。催吐剤コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア処理セラックおよび酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。フィルムコーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
【0121】
本発明の範囲は、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体あるいはその薬剤組成物の、例えば、1種以上のさらなる治療薬と関連した投与ならびにケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体をさらなる治療薬と関連して含む組成物の投与を含む方法を含む。一実施形態では、他の治療薬は、被験体に投与されると、被験体において炎症状態を治療または予防する薬剤である。任意のこのような薬剤の投与および投与量は、典型的には、Physicians’Desk Reference 2003(Physicians’Desk Reference、第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)中の、承認された薬剤の製品情報シートに列挙されるスケジュールならびに当技術分野で周知の治療プロトコールに従う通りである。
【0122】
用語「と関連して」とは、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体およびさらなる治療薬を、同時送達のための単一組成物に製剤できること、または2種以上の組成物に別々に製剤できること(例えば、キット)を示す。さらに、各成分は、他の成分が投与されるのとは異なる時間に被験体に投与できる。例えば、各投与は、所与の期間をかけていくつかの間隔で、同時でなく(例えば、別個にまたは逐次)行ってもよい。さらに、分離している成分は、被験体に、同一経路によって投与してもよいし、異なる経路によって投与してもよい(例えば、経口、静脈内、皮下)。
【0123】
「さらなる治療薬」とは、被験体に投与されると、所望の有益な治療効果、例えば、所与の病状(例えば、炎症性疾患)と関連している症状の進行または重症度の阻止、排除または低減を引き起こす、ケモカイン、その多量体または融合物以外の任意の薬剤である。さらなる治療薬は、例えば、抗炎症薬または鎮痛剤であり得る。
【0124】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、1種以上の非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェン酸またはトルメチンが挙げられる。
【0125】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、1種以上の局所用薬剤、例えば、アントラリン、カルシポトリエン、サリチル酸、コールタール、タザロテン、局所用ステロイド(例えば、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸ハロベタソール、アムシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フロ酸モメタゾン、酢酸ジフロラゾン、ハルシノニド、フルオシノニド、酢酸ジフロラゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酢酸ジフロラゾン、デスオキシメタゾン、デスオキシメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾン、アムシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ジフロラゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、デスオキシメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルランドレノリド、フルロシノロンアセトニド、フロ酸モメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルロシノロンアセトニド、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、プレドニカルベート、デソニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、フルロシノロンアセトニド、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、デソニド、フルロシノロンアセトニド、デソニド、吉草酸ベタメタゾンまたはヒドロコルチゾンとデキサメタゾンとメチルプレドニゾロンとプレドニゾロンとの混合物)、石油ゼリー、アロエベラ、オイル化オートミール、エプソム塩または死海塩が挙げられる。
【0126】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、アレファセプト、エタネルセプト、シクロスポリン、メトトレキサート、アシトレチン、イソトレチノイン、ヒドロキシ尿素、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジンまたは6−チオグアニンのうち1種以上が挙げられる。
【0127】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、アナキンラ、注射用金、ペニシラミン、アザチオプリン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジンまたは経口用金(例えば、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウムまたはオーロチオグルコース)のうち1種以上が挙げられる。
【0128】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、メサラミン、スルファサラジン、ブデソニド、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アザチオプリン、6−メルカプトプリンまたはカルシウムの食事補給、葉酸またはビタミンB12のうち1種以上が挙げられる。
【0129】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、COX2阻害剤、例えば、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、ルミラコキシブ(Prexige(商標))またはエトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))のうち1種以上が挙げられる。
【0130】
ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与できるか、または組み合わせることができるさらなる治療薬として、1種以上の抗体、例えば、エファリツマブ(Raptiva(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))またはABX−IL8が挙げられる。
【0131】
本発明の一実施形態では、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体は、被験体に、特に、乾癬を患っている被験体に、光線療法と関連して投与される。このような実施形態では、被験体は太陽光、UVB光、PUVA(ソラーレンおよび紫外線A)、PUVA(ソラリン(psoralin)−UVA)またはレーザー光に曝露される。PUVAでは、乾癬を治療するために、ソラーレン、皮膚を光に対してより感受性にする経口用薬剤または局所用薬剤と組み合わせて紫外線A光を用いる。ある種のレーザーは、主に、乾癬の皮膚に影響を及ぼし、他方、健常な皮膚は著しくは曝露されない、高度に収束された光線を放つ。ある種のレーザー、XTRACエキシマーレーザーは、高度に収束された紫外線B光を用いる。乾癬に用いられる別の種類のレーザーとしては、パルス色素レーザーがあり、これは、UVBまたはXTRACに用いられる紫外線とは異なる黄色光のパルスを用いて、乾癬の斑点中で増殖する血液細胞の一部を破壊する。パルス色素レーザーを用いる治療は、通常、数ヶ月かかり、3週間ごとに予約する。
【0132】
投与量および投与
本発明の組成物の治療のための投与のための典型的なプロトコールは、当技術分野で周知である。本発明の薬剤組成物は、例えば、任意の非経口経路(例えば、皮下注射、筋肉注射、静脈注射)または非経口でない経路(例えば、経口、経鼻)によって投与できる。
【0133】
本発明の丸剤およびカプセル剤は、経口投与できる。注射用組成物は、当技術分野で公知の医療装置を用いて、例えば、皮下注射針を用いて注射によって投与できる。
【0134】
本発明の注射用薬剤組成物はまた、無針皮下注射用注射装置、例えば、米国特許第5,399,163号、同5,383,851号、同5,312,335号、同5,064,413号、同4,941,880号、同4,790,824号または同4,596,556号に開示される装置を用いて投与できる。
【0135】
一実施形態では、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体と関連して投与される、「さらなる治療薬」(例えば、抗炎症薬)の1日の用量は、可能であれば、Physicians’Desk Reference 2003(Physicians’Desk Reference.第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)に従って投与される。しかし、適した投与量は、例えば、投与される化合物の、またはケモカイン、その多量体または融合物(例えば、MCP−1−Ig)の有効性、副作用、年齢、体重、病状、全体的な健康および応答に応じて、治療を受けている被験体の個々の特徴を代償するために臨床医によって変更され得る。
【0136】
本発明は、被験体に、治療上有効な量のケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体を、場合により、治療上有効な量のさらなる治療薬と関連して投与することによって、被験体において、炎症状態を治療または予防する方法を提供する。用語「治療上有効な量」とは、投与者(例えば、研究者、医師または獣医師)によって求められている、組織、系、被験体または宿主の生物学的応答または医学的応答を導く治療薬または物質(例えば、MCP1−Ig)の量を意味し、これとしては、例えば、標的医学的障害またはその任意の症状の、被験体における障害の予防を含む任意の程度への、軽減、逆転、排除または進行の停止もしくは遅延が挙げられる。本発明の一実施形態では、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体(例えば、MCP1−Ig、例えば、配列番号8、9、10、11、12に示される任意のアミノ酸配列を含むポリペプチド)の治療上有効な量または投与量は、1日1回、2日毎、4日毎または5日毎または1週間に1回、約0.1mpk(体重1キログラムあたりのmg)〜約10mpk(例えば、0.25、0.5、0.75 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mpk)である。
【0137】
本発明の組成物は、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、1週間に3回、1週間に2回または1週間に1回、2週間または3、4、5、6、7または8週間に1回投与できる。さらに、本組成物は、短期間または長期間(例えば、1週間、1ヶ月、1年、5年)投与できる。
【0138】
投与計画は、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するよう調整できる。例えば、投与は、治療状況の緊急事態によって示されるように減少または増加させることができる。例えば、投与量は、薬効、疾患もしくは任意のその症状の進行もしくは持続性または患者の年齢、体重、身長、過去の病歴、現在の薬物治療および交差反応の可能性、アレルギー、感受性および副作用によって当業者(例えば、医師または獣医師)によって調整され得る。
【0139】
当技術分野において通常の技量を有する医師または獣医師は、必要な薬剤組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医師は、ケモカイン、その多量体または融合物、例えば、MCP1またはその融合物もしくは多量体あるいはその薬剤組成物の投与を、所望の治療効果を達成するために必要なものよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させてもよい。
【0140】
例えば、乾癬の進行は、医師または獣医師によって、種々の方法によってモニタリングでき、それに応じて投与計画を変更することができる。乾癬をモニタリングする方法としては、例えば、皮膚バイオプシーによる方法、または皮膚の斑点を削り取り、培養し、被験体の皮膚の状態の広がりをモニタリングすることによる方法、あるいは関節痛が存在し、持続している場合には、乾癬性関節炎を調べるためのX線による方法が挙げられる。
【0141】
例えば、関節リウマチの進行は、医師または獣医師によって、種々の方法によってモニタリングでき、それに応じて投与計画を変更することができる。関節リウマチをモニタリングする方法としては、例えば、関節X線、リウマチ因子血液検査、赤血球沈降速度(ESR)の上昇について調べること、低ヘマトクリット(貧血)または異常な血小板数について調べるための完全血球算定、C反応性タンパク質を調べるための血液検査または滑液分析が挙げられる。
【0142】
例えば、クローン病の進行は、医師または獣医師によって、種々の方法によってモニタリングでき、それに応じて投与計画を変更することができる。クローン病をモニタリングする方法としては、例えば、被験体または患者によって報告される症状の重症度をモニタリングすること、S状結腸鏡検査、大腸内視鏡検査、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影法)、内視鏡的超音波、カプセル内視鏡検査、単純X線、コントラストを有するX線、CTスキャンまたは白血球スキャンが挙げられる。
【0143】
例えば、ブドウ膜炎の進行は、医師または獣医師によって、種々の方法によってモニタリングでき、それに応じて投与計画を変更することができる。ブドウ膜炎をモニタリングする方法として、例えば、細隙灯顕微鏡および検眼鏡検査を用いて眼を調べること、視力および眼圧を測定することが挙げられる。
【0144】
例えば、潰瘍性大腸炎の進行は、医師または獣医師によって、種々の方法によってモニタリングでき、それに応じて投与計画を変更することができる。潰瘍性大腸炎をモニタリングする方法として、例えば、慣例の検査、大腸内視鏡検査、直腸または結腸生検、血液または膿についての便の検査、白血球レベルを調べるための血液検査またはX線検査が挙げられる。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は、本発明をより明確に記載するために提供するものであって、本発明の範囲を制限すると解釈されてはならない。実施例の項に開示される方法または組成物はいずれも本発明の一部をなす。
【0146】
実施例1:ヒトMCP1−マウスIg重鎖γ1(ヒンジ−CH2−CH3)融合物の設計、構築、発現および精製
構築物の設計
hMCP1−mlg(NH−ヒトMCP1−マウスIg重鎖γ1(ヒンジ−CH2−CH3)−COOH):cDNA中にBamH1部位をリンカーとして導入し、その結果、MCP1とIgH鎖との接合部に、ジペプチド、Gly−Serを挿入した。生成物は、68,993という予測分子量を有する二量体形成すると予想された。
【0147】
hMCP1−hlgG4(NH−ヒトMCP1−ヒトIgH鎖γ4(ヒンジ−CH2−CH3)−COOH):cDNA中にBamH1部位をリンカーとして導入し、その結果、MCP1とIgH鎖との接合部に、ジペプチド、Gly−Serを挿入した。生成物は、69,146という予測分子量を有する二量体形成すると予想された。
【0148】
hMCP1−hlgG4単量体変異体(NH−ヒトMCP1−ヒトIg重鎖γ4(ヒンジ−CH2−CH3)−COOH):2個のシステイン残基をセリン残基で置換して分子間ジスルフィド結合を排除した。cDNA中にBamH1部位をリンカーとして導入し、その結果、MCP1とIgH鎖との接合部に、ジペプチド、Gly−Serを挿入した。生成物は、34,543という予測分子量を有する二量体形成すると予想された。
【0149】
hMCP1−hlgG1(NH−ヒトMCP1−ヒトIgH鎖γ1(ヒンジ−CH2−CH3)−COOH):cDNA中にBamH1部位をリンカーとして導入し、その結果、MCP1とIgH鎖との接合部に、ジペプチド、Gly−Serを挿入した。生成物は、70,000という予測分子量を有する二量体形成すると予想された。
【0150】
hMCP1−hlgG1単量体変異体(NH−ヒトMCP1−ヒトIg重鎖γ1(ヒンジ−CH2−CH3)−COOH):3個のシステイン残基をセリン残基で置換して分子間ジスルフィド結合を排除した。cDNA中にBamH1部位をリンカーとして導入し、その結果、MCP1とIgH鎖との接合部に、ジペプチド、Gly−Serを挿入した。生成物は、34,955という予測分子量を有する二量体形成すると予想された。
【0151】
発現および精製。この実施例では、MCP1−Igを哺乳類細胞において発現させ、分泌させ、次いで、細胞増殖培地から単離した。単離したタンパク質をSDS−PAGE分析によって分析した。
【0152】
ヒトMCP1のcDNA(Genbank受託番号NM_002982参照のこと)およびマウスIgの定常領域に由来する部分cDNA(Genbank受託番号BC057688参照のこと)(ヒンジ、CH2およびCH3領域のコード配列を含む)を、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によってクローニングした。標準的な分子生物学の手順によって、MCP1−Ig cDNAをHind3−Not1断片として哺乳類発現ベクターpCDNA3.1(+)(Invitrogen、Carlsbad、CA)中にクローニングし、pcDNA3.1(+)hMCP1 mlgGプラスミドを作製した。
【0153】
CHO−K1(ATCC CRL−9618)細胞は5%ウシ胎児血清を補給したD−MEM/F−12培地(Invitrogen、Carlsbad、CA)中で維持した。プラスミドDNAを、Lipofectamine2000トランスフェクションキット(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用い、製造業者によって提案される以下のプロトコールによってCHO−K1細胞に導入した。トランスフェクションの48時間後、安定にトランスフェクトされた細胞の選択のために、G418(Invitrogen)を1mg/mlで培養物に加えた。G418耐性細胞は、トランスフェクションの約10〜14日後にコロニーとして現れた。次いで、これらの細胞をプールし、ウェルあたり3細胞、ウェルあたり1細胞およびウェルあたり0.3細胞という頻度での限界希釈法によって96ウェル組織培養プレート中にトランスフェクトした。単一細胞由来のクローンは、約7〜10日で現れ、マウスIgG1(Bethyl、Montgomery、TX)に対して特異的な酵素結合免疫測定法(ELISA)によってコンディショニング培地を調べた。最高の力価を示すクローンを、細胞数に対して収量を正規化することによって発現レベルについて再度調べた。リットルあたり40mgを超えて産生するクローンを、製造のために選択した(クローン52)。
【0154】
hMCP1−mlgタンパク質の製造は、血清不含条件下で実施した。クローン52細胞は、IS−CHO V基本培地(Irvine Scientific、Irvine、CA)からなるタンパク質不含培地の懸濁培養中に段階的に引き離した。タンパク質不含培地1リットル毎に8mMのグルタミン(Invitrogen、Gaithersburg、MD)、10mlの100×HT(Invitrogen)、1mlのCD−脂質(Invitrogen)、8mlの45%グルコース(Sigma、St.Louis、MO)、20mlのGSEM(Sigma)、各1mlの微量元素Aおよび微量元素B(Cellgro、Herndon、VA)を含む。製造のために、細胞を、3リットルのシェーカーフラスコにおいて、1リットルの容積中、1mlあたり0.5×10個の密度で播種した。フラスコを、7.5%COの存在下、37℃という一定温度、75rpmのスピードで振盪した。グルタミンの濃度は、1リットルあたり約300ミリグラムで維持し、グルコースの濃度は1リットルあたり1〜2グラムで維持した。細胞の生存が約20%であった約14日でコンディショニング培地を回収した。製造業者の提案したプロトコールに従って、コンディショニング培地を、2ミクロンの濾過ユニットを通して濾過し、続いて、Affi−gelプロテインAアフィニティーカラム(BioRad、Hercules、CA)を通して処理した。精製したタンパク質を、還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分析した。ゲルをSimplyBlue SafeStain(Invitrogen)によって染色した後、単一のバンドが観察され、推定される大きさは約34キロダルトンであった。生成物の純度は、99%より高いと推定された。
【0155】
実施例2:細胞遊走アッセイ
この実施例では、ヒトMCP1−mlgの存在は、THP−1ヒト単球性細胞の、組換えヒトMCP1勾配に向かって遊走する能力を妨害すると実証された。
【0156】
THP−1細胞(ATCC TIB202)は、10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、4.5g/リットルグルコース、1.5g/lの炭酸水素ナトリウム、10mMのHEPES、0.05mMのβ−メルカプトエタノールおよびペニシリン/ストレプトマイシンを補給したRPM1640中で維持した。細胞遊走アッセイは、5μmフィルター(NeuroProbe、Gathersburg、MD)を有する96ウェルChemoTxマイクロプレートを製造業者の使用説明書に従って用いて実施した。組換えヒトMCP1(rhMCPI)(R&D Systems、Minneapolis、MN)は、下部チャンバーに入れた。hMCP1−mlgまたはアイソタイプ対照IgGは上部および下部チャンバーの両方に入れた。細胞を上部ウェルに分配した。マイクロプレートを、37℃の加湿CO(5%)インキュベーター中に2時間入れ、細胞が下部チャンバー中のヒトMCP1に向かって遊走するのを可能にした。細胞遊走は、CellTiter−Glo Luminiscent Cell Viability Assay Kit(Promega、Madison、WI)により、製造業者のプロトコールに従って相対蛍光単位(RLU)として定量した。細胞遊走は、ケモカイン試薬の存在下での遊走のRLUから自発的遊走のRLUを差し引くことによって算出した。遊走の相対%は、最大数の細胞遊走を100%として用いて算出した。
【0157】
hMCP1−mlgおよびrhMCP1の近似EC50値はそれぞれ、約0.5nMおよび0.05nMであった(表1、左および中央の列)。3nMのhMCP1−mlgは、THP−1細胞の、rhMCP1の勾配に向かって遊走する能力の大幅な減少を引き起こした(表1、右の列)。
【0158】
表1.THP−1ヒト単球性細胞の遊走に対する、hMCP1−mlgおよび組換えヒトMCP1(rhMCPI)の効果
【0159】
【化44】

【化45】

実施例3:コラーゲン誘発関節炎アッセイ
雄のB10.RIIIマウス、12〜13週齢を、ウシII型コラーゲン(BCII)(Elastin Products、Owensville、MO)、Difco不完全フロイントアジュバントおよび結核菌(MBT、H37RA株、Sigma、St.Louis、MO)を用いて免疫化した。BCIIを、0.01M酢酸(0.01M酢酸25ml中、60mgのBCII)に4℃で一晩溶解した。フロイントの完全アジュバント(CFA)は、結核菌を、Difco不完全フロイントアジュバント(1mg/ml)と混合することによって調製した。次いで、1容積のBCIIと1容積のCFAとを混合して乳化した。エマルションは1200μg/mlのBCIIおよび0.5mg/mlの結核菌を含んでいた。
【0160】
マウスを、尾の基部の1部位を含む背中の5部位に皮内注射することによって免疫化した。各マウスには、0.25mlのエマルションという総容積を与え、これは300μg BCII/マウスに匹敵する。
【0161】
マウスは、免疫化の16日後の関節炎の症状および重症度についてスコア化し、各群が同数の関節炎を患うマウスを有するよう、投与のために15の群に分けた。スコアは、以下の0〜4のスケールに基づいていた:
0=正常
1=発赤
2=1以上の指の腫脹
3=足全体の腫脹
4=強直。
【0162】
スコアは、0、2、4、7&9日目に4日間取り、その後、追加免疫した。また、腫脹もノギス測定によってこれらの日に評価した。
【0163】
免疫化はまた、追加免疫した:BCIIを、0.01M酢酸(25mlの0.01M酢酸中、12.5mg BCII)に一晩溶解した。マウスを、100μgのBCII/0.2ml/マウスを用いて、免疫化の20日後に腹腔内に追加免疫した(追加免疫に基づいて0日目)。
【0164】
hMCP1−mlg(配列番号8)およびmlgG1(TC31−27F11、SP−BioPharma、Palo Alto、CA)は、リン酸緩衝生理食塩水中、2mg/mlで調製し、示された時点でマウスに腹膜内投与した。最初の投与は20という体重1キログラムあたりのミリグラム(mpl)で与えた。その後の投与は10mpkで与えた。
【0165】
抗コラーゲン抗体(IgG2a)の測定のために、終了時に血清サンプルを採取した。
【0166】
表2の平均疾患スコアによって、ならびに表3の足腫脹値によって示されるように、hMCP1−mlg処理したマウスの群では、保護効果が観察された。
【0167】
抗コラーゲンIgG2aの血漿レベルは、ELISAによって調べた。プレートを、1mlあたり50μlのELISA等級のII型ウシコラーゲン(Chondrex,Redmond、WA)を用いて、4℃で一晩コーティングした。このプレートを、PBSによって洗浄し、続いて、1%BSAを用いて4℃で一晩ブロッキングした。短時間洗浄した後、サンプルを1:10,000希釈し、1mlあたり40pgで出発した2倍の段階希釈した標準(US Biologicals、Swampscott、MA)とともにプレートに適用した。このプレートを4℃で一晩インキュベートした。洗浄した後、ウェルに100μlのペルオキシダーゼ結合抗IgG(Abeam、Cambridge、MA)(1:500希釈)を加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ウェルに100μlのTMB(Sigma)を加えた。このプレートを、490nMで読み取った。
【0168】
hMCP1−mlg処理した動物では、抗コラーゲンIgG2a抗体のレベルが、アイソタイプ対照(mlgG1)処理動物のレベルと比較して抑えられていた(表4)。
【0169】
表2.マウスにおけるコラーゲン関節炎の関節炎スコア(平均±SEM)。
【0170】
【化46】

表3.マウスにおけるコラーゲン関節炎の足の腫脹(平均±SEM)
【0171】
【化47】

表4.9日目の抗コラーゲンIgG2aの血漿レベル
【0172】
【化48】

実施例4:受容体結合アッセイ
この実施例では、hMCP1(R&D Systems)およびhMCP1−mlg(配列番号8)の、CCR2受容体と結合する能力をアッセイした。
【0173】
全長ヒトCCR2 cDNA(Genbank受託番号NM_000648)を、ヒト末梢血単核細胞から、公開された配列から導いたオリゴヌクレオチド配列を用いるRT−PCRによって作製した。また、全長マウスCCR2 cDNA(Genbank受託番号NM_009915)も、マウス脾細胞から、公開された配列から導いたオリゴヌクレオチド配列を用いるRT−PCRによって作製した。
【0174】
マウスIL−3依存性プロ−B細胞Ba/F3は、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、1mlあたり100μgのストレプトマイシンおよび1mlあたり100μgのペニシリン、50μMの2−メルカプトエタノールおよび1mlあたり2μgの組換えマウスIL−3(Biosource International、Camarillo、CA)を補給したRPMI 1640培地(Invitrogen、Gaithersburg、MD)で維持した。ヒトCCR2およびマウスCCR2を発現する組換えBa/F3細胞は、ChouらBritish J.Pharmacology137:663(2002)に記載されるプロトコールを用いるエレクトロポレーションによって、Ba/F3マウスプレ−B細胞を、pME18Sネオ−hCCR2またはmCCR2プラスミドを用いて安定にトランスフェクトすることによって樹立した。安定なトランスフェクト体は、1mg/mlのGeneticin(Invitrogen)の存在下で選択した。
【0175】
細胞膜は、Chouら、2002に先に記載されるように調製した。手短には、細胞をペレットにし、溶解緩衝液(10mM HEPES、pH7.5およびComplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN))に再懸濁し、氷上で5分間インキュベートした。細胞を、4639cell disruption bomb(Parr Instrument、Moline、IL)に移し、1500psiの窒素を用い、氷上で30分間破壊した。500gで5分間の遠心分離によって大きな細胞屑を除去した後、100,000gで30分間の遠心分離によって上清中の細胞膜をペレットにした。膜を、10%スクロースを含有する溶解緩衝液に再懸濁し、−80℃で保存した。放射標識ヒトMCP1(比活性=2200Ci/mmol)は、Perkin−Elmer(Boston、MA)から購入した。
【0176】
CCR2受容体結合アッセイでは、結合反応を以下の条件下で実施した:50mM HEPES、10mM NaCl、1mM CaCl、10mM MgCl、0.1%ウシ血清アルブミン、2μgの細胞膜および160μgのコムギ胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham、Piscataway、NJ)、30pMの放射性ヨウ化ヒトMCP1および示される濃度の競合物質。反応混合物を、室温で一定振動させながらインキュベートした。膜結合型放射標識rhMCP1は、1450Microbeta Triluxカウンター(Wallac、Gaithersburg、MD)を用いて測定した。EC50およびKi値は、GraphPad Prism 4ソフトウェア(San Diego、CA)を用いて算出した。
【0177】
hMCP1−mlgは、CCR2を含む細胞の膜との結合において放射標識rhMCP1と競合し、効力は未標識rhMCP1の5〜12分の1であった(表5)。
【0178】
表5.放射性ヨウ化rhMCP1のCCR2結合の阻害
【0179】
【化49】

実施例5:MCP1−Ig融合物の発現、精製および特性決定
この実施例では、融合物を発現させ、精製し、特性決定した。
【0180】
hMCP−1−hlg融合タンパク質の変異体。ヒトMCP1−hlg変異体タンパク質を、哺乳類細胞において発現させ、分泌させ、次いで、細胞増殖培地から単離した。精製は、hMCP−1−mlgを精製するための上記に示されるものと同様のプロトコールを用いて実施した。単離したタンパク質は、SDS−PAGEによって分析した。
【0181】
ヒト免疫グロブリン重鎖γ1アイソタイプ(Genbank受託番号019046を参照のこと)またはγ4アイソタイプ(Genbank受託番号BC025985を参照のこと)(どちらも、ヒンジ、CH2およびCH3領域のコード配列を含む)の定常領域に由来する、ヒトMCP1のcDNA(Genbank受託番号NM_002982を参照のこと)または部分cDNAを、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によってクローニングした。γ1およびγ4変異体の単量体の形を作製するために、ヒンジ領域中のシステイン残基をセリン残基で置換した。
【0182】
標準的な分子生物学の手順によって、hMCP1−hlg変異体に対応するcDNAを、Hind3−Not1断片として哺乳類発現ベクターpCDNA3.1(+)(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に個別にクローニングしてpcDNA3.1(+)hMCP1−hlgGプラスミドを作製した。
【0183】
対応するプラスミドをCHO−K1細胞中に安定にトランスフェクトすることによってhMCP−1−hlg変異体を発現させた。トランスフェクション、安定なクローンの選抜、組織培養および生成物精製のプロトコールは、hMCP−1−mlgの実施例において記載したものと同様であった。
【0184】
hMCP−1−hlg変異体の、CCR2受容体に対する結合親和性は、hMCP−1−mlgの実施例におけるのと同様、THP−1細胞の膜を用いて調べた。変異体のKi値は、hMCP−1−hlg(γ1)の二量体の形について16.8pM、hMCP−1−hlg(γ1)の単量体の形について28.8pM、hMCP−1−hlg(γ4)の二量体の形について51.9pMおよびhMCP−1−hlg(γ4)の単量体の形について90.1pMであると推定した。比較のために、同一実験におけるhMCP−1のKi値は65.7pMであると求められた。
【0185】
また、変異体の相対的な効力は、THP−1細胞を用いる走化性アッセイによって調べた。このプロトコールは、hMCP−1−mlgの実施例において記載したものと同様とした。推定EC50値は、hMCP−1−hlg(γ1)の二量体の形について50pMであり、hMCP−1−hlg(γ1)の単量体の形について90pM、hMCP−1−hlg(γ4)の二量体の形について500pMおよびhMCP−1−hlg(γ4)の単量体の形について500pMであった。比較のために、同一実験におけるhMCP−1のEC50値は、200〜400pMであると求められた。
【0186】
hMCP−1−hlg変異体の、CCR2脱感作する能力は、THP−1細胞を用い、走化性アッセイによって調べた。プロトコールは、hMCP−1−mlgの実施例において記載したものと同様である。細胞を、各変異体hMCP−1−hlgとともに30分間インキュベートし、その後、hMCP−1への遊走について試験した。1nM程度の低いIg−融合物タンパク質hMCP−1−hlg(γ1)の二量体または単量体の形のいずれかの前処理を施すと、THP−1細胞の遊走は完全に消滅させられた。細胞を二量体または単量体の形のhMCP−1−hlg(γ4)、各1nMとともにプレインキュベートすると、hMCP−1のEC50値は2〜4倍増大した。二量体または単量体の形のhMCP−1−hlg(γ4)、各10nMとともにプレインキュベーションを実施すると、hMCP−1のEC50値は30倍以上増大した。
【0187】
hMCP−1−mlgの精製。hMCP−1−mlgの大規模精製(200mg以上)(以下に示される、EAEおよび抗コラーゲン抗体誘発関節炎モデルにおいて用いた)のために、GE Healthcare(Uppsala、Sweden)製の、rProAセファロースFFまたはMabSelect樹脂を用いてProAアフィニティークロマトグラフィーを用いた。アフィニティーカラムは10mMのリン酸ナトリウム、pH7.2および125mM NaClの塩化ナトリウムからなる高塩緩衝液を用いて平衡化した。コンディショニング培地をカラムに乗せ、続いて、上記で示される同一緩衝液を用いて10総容積の洗浄を行った。次いで、サンプルを乗せたカラムを、5総容積の10mMのリン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝液、pH7.2で洗浄した。生成物溶出は、5総容積の0.1M酢酸、pH2.9を用いて実施した。溶出物を、1MのTris塩基を用いてpHを7.2にすることによって直ちに中和した。pH調整の後、プールをStericup Express GP Plus 0.22μm(Millipore、Bedford MA)を用いて濾過した。
【0188】
QセファロースHiTRAP FF(GE Healthcare)を用いる陰イオン交換クロマトグラフィーという任意選択工程を必要に応じて用い、微量の不純物を除去した。平衡緩衝液および洗浄緩衝液は、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.2および125nM NaClの塩化ナトリウムからなるものとした。生成物は素通りするものの中にあった。
【0189】
生成物を濃縮するために、10Kの再生セルロース(Millipore)を用いるAmicon Stir Cellモデル8050を用いた。
【0190】
hMCP−1−mlgの薬物動態学。hMCP−1−mlgの薬物動態学研究には、C57B6マウスを用いた。3匹の群中のマウスに、単回用量のhMCP−1−mlgを、体重キログラムあたり10ミリグラムで静脈内に、腹膜内にまたは皮下に注射した。30分〜7日の時点で血清サンプルを回収した。hMCP−1−mlgの残存レベルは、捕獲抗体として抗hMCP−1抗体(R&D Systems、Minneapolis、MN)を、また検出抗体としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG1抗体(Bethyl、Montgomery、TX)を用いる抗MCP−1を用いる酵素結合免疫測定法(ELISA)によって調べた。結果は3〜5日の血清半減期を示した。hMCP−1−mlgのレベルは、7日目で約10nMであるままであった。
【0191】
hMCP−1−mlgの、急性再発EAEに対する効果。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)誘導を、SJLマウスにおいて実施した。0日目に、マウスを、2mg/mLの完全フロイントアジュバント(CFA)中、100μg/mL PLP139−151ペプチド(HCLGKWLGHPDKF(配列番号29);Biosynthesis;Lewisville、TX)を用いて皮下に、また100ngの百日咳毒素を用いて静脈内に免疫化した。マウスは、3、5日目に、または3、5、7日目に、マウスIgG1アイソタイプ対照抗体(SP−Biopharma)またはヒトMCP−1−マウスIg(hMCP−1−mlg)融合タンパク質のいずれかの、体重1キログラムあたり10ミリグラム(mpk)を用いて処理した。次いで、マウスを、体重および疾患の臨床徴候についてモニタリングした。疾患スコアは以下の通りに記録した:1=尾をひきずっている、2=後肢の脱力、3=部分後肢麻痺、4=完全な後肢麻痺および5=瀕死。
【0192】
脊髄から単離された細胞のフローサイトメトリーによって、中枢神経系内への細胞の浸潤をモニタリングした。マウスのn=3は、各群に利用した。マウスは、ヘパリンを含有する等張緩衝液を用いて灌流し、CNSから末梢血を除去した。CNS単核単離のために脳および脊髄を採取した。金網を通して細胞を押し出し、コラゲナーゼおよびDNアーゼとともにインキュベートして単核細胞を放出させた。次いで、パーコール勾配を通じて細胞懸濁液を遠心分離した。細胞回収率をトリパンブルー細胞計数によって求め、細胞プロファイルはFACS分析によって確立した。細胞を、それぞれ、CD45、CD11b(炎症性マクロファージのため)およびCD4(活性化T細胞のため)に対する抗体と結合しているBD染色液を用いて染色した。抗体は、BD Biosciences(San Jose、CA)から購入した。染色した細胞を、cell questソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA)を用いてFacscaliberで分析した。
【0193】
表6に示される結果は、EAEモデルにおけるhMCP−1−mlgの保護効果を示した。保護は、脊髄中のマクロファージ数の減少と関連していると思われた。
【0194】
表6.hMCP−1−mlg融合タンパク質処理がEAEを阻害する
【0195】
【化50】

表7.hMCP−1−mlg融合タンパク質は、CNS内へのマクロファージ浸潤を阻害する
【0196】
【化51】

実施例6:hMCP−1−mlgの、抗コラーゲン抗体誘発関節炎に対する効果
この実施例では、hMCP−1−mlgの、抗コラーゲン抗体誘発関節炎を低減させる能力を調べた。
【0197】
800μgのChemiconのarthrogen CIA抗体(Chemicon、Temecula、CA)カクテルを、年齢をマッチさせた雄のB10RIIIマウスに静脈内に注射することによって、抗体誘発関節炎を誘発した。この誘発に先立って、アイソタイプ対照mlgG1またはhMCP−1−mlg融合タンパク質のいずれか40mpkを皮下に用いてマウスを処理した。疾患発症は2または3日で生じた。動物のスコアを毎日記録した。スコアリングシステムは用いて以下のように各肢を測定した:1=1つの腫脹関節、2=2以上の腫脹関節、3=全肢腫脹。各マウスに12という最大疾患スコアを与えることができる。得られた結果は、以下の表8に示されている。
【0198】
表8.MCP−1 Ig融合タンパク質は、抗体誘発関節炎を阻害する
【0199】
【化52】

本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態による範囲に限定されない。実際、当業者には、前記の説明から、本明細書に記載されたものに加え、本発明の種々の改変が明らかとなる。このような改変は添付の特許請求の範囲内に入る。
【0200】
特許、特許出願、刊行物、製品に関する文書およびプロトコールは本願を通じて引用されており、その開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 mlgGのマップである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1種以上の半減期延長性部分と融合している1種以上のケモカインポリペプチド、または、
(2)2種以上の融合ケモカインポリペプチド
を含む単離ポリペプチド。
【請求項2】
前記ケモカインが、ヒトMCP1およびマウスMCP1からなる群から選択される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記半減期延長性部分が、ポリエチレングリコールまたは免疫グロブリンである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
1種以上の免疫グロブリンと融合している、1種以上の成熟MCP1ポリペプチドを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記MCP1が、ヒトMCP1およびマウスMCP1からなる群から選択されるメンバーである、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記免疫グロブリンが、ヒンジ〜CH3領域のγ1およびγ4からなる群から選択されるメンバーである、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項7】
(a)マウスIgG1と融合している成熟ヒトMCP1、
(b)ヒトIgG4と融合している成熟ヒトMCP1、
(c)ヒトIgG4単量体変異体と融合している成熟ヒトMCP1、
(d)ヒトIgG1と融合している成熟ヒトMCP1、および、
(e)ヒトIgG1単量体変異体と融合している成熟ヒトMCP1
からなる群から選択されるメンバーを含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号8〜12からなる群から選択されるメンバーに示されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記MCP1が配列番号2に示されるアミノ酸を含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記免疫グロブリンが、配列番号3〜7からなる群から選択されるメンバーに示されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記MCP1が、ペプチドリンカーによって前記免疫グロブリンと融合している、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項12】
請求項1に記載のポリペプチドと製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項13】
請求項1に記載のポリペプチドを、1種以上のさらなる治療薬またはその薬剤組成物と関連して含む組成物。
【請求項14】
前記さらなる治療薬が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチン、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デスオキシメタゾン、フルロシノロンアセトニド、フルランドレノリド、局所用ステロイド、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アロエベラ、アムシノニド、アムシノニド、アントラリン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、カルシポトリエン、プロピオン酸クロベタゾール、コールタール、死海塩、デソニド、デソニド、吉草酸ベタメタゾン、デスオキシメタゾン、酢酸ジフロラゾン、エプソム塩、フルロシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、オイル化オートミール、石油ゼリー、プレドニカルベート、サリチル酸、タザロテン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンとデキサメタゾンとメチルプレドニゾロンとプレドニゾロンとの混合物、アレファセプト、エタネルセプト、シクロスポリン、メトトレキサート、アシトレチン、イソトレチノイン、ヒドロキシ尿素、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン、6−チオグアニン、アナキンラ、注射用金、ペニシラミン、アザチオプリン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、経口用金、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーロチオグルコース、メサラミン、スルファサラジン、ブデソニド、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アザチオプリン、6−メルカプトプリンまたはカルシウムの食事補給、葉酸、ビタミンB12、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、エファリツマブ、アダリムマブ、インフリキシマブおよびABX−IL8からなる群から選択されるメンバーである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記ヌクレオチド配列が、
(i)マウスIgGIと融合しているヒト未プロセシングMCP1、
(ii)ヒトlgG4と融合しているヒト未プロセシングMCP1、
(iii)ヒトIgG4単量体変異体と融合しているヒト未プロセシングMCP1、
(iv)ヒトIgG1と融合しているヒト未プロセシングMCP1、および、
(v)ヒトIgG1単量体変異体と融合しているヒト未プロセシングMCP1
からなる群から選択されるメンバーをコードする、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
前記MCP1が、配列番号13に示されるヌクレオチド配列によってコードされる、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
前記免疫グロブリンが、配列番号14〜18からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号19〜23からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項15に記載のポリヌクレオチドを含む、単離または組換えベクター。
【請求項21】
請求項20に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。
【請求項22】
本質的に図1に示されるプラスミドマップを特徴とする、単離プラスミド。
【請求項23】
配列番号24のヌクレオチド配列を含む、請求項22のプラスミド。
【請求項24】
配列番号24〜28からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む単離プラスミド。
【請求項25】
MCP1−Igポリペプチドを作製するための方法であって、宿主細胞を、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで、該発現に適した条件下で形質転換する工程と、場合により、該宿主細胞から該ポリペプチドを単離する工程とを含む、方法。
【請求項26】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号8〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドが、プラスミドpcDNA3.1(+)hMCP1 mlgGである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法によって製造される単離ポリペプチド。
【請求項29】
被験体において、ケモカインもしくはケモカイン受容体の発現もしくは活性を低減させることによって、またはケモカイン受容体保有細胞の、炎症組織中への遊走を低減させることによって治療可能な障害を治療する方法であって、該被験体において、ケモカインリガンドに対してケモカイン受容体保有細胞を脱感作する工程を含む方法。
【請求項30】
前記障害が、炎症性の医学的障害、寄生虫感染、細菌感染、ウイルス感染、癌、心血管障害、循環障害および肥満症関連インスリン抵抗性からなる群から選択されるメンバーである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ケモカインリガンドポリペプチドまたは半減期延長性部分と融合しているケモカインリガンドポリペプチドを前記被験体に全身投与することによって、前記ケモカイン受容体保有細胞を、前記ケモカインリガンドに対して脱感作する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ケモカインが、MCP1、SDF1、MIP1βまたはその成熟ポリペプチドである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記半減期延長性部分が、免疫グロブリンまたはそのフラグメントである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記MCP1が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記免疫グロブリンフラグメントが、配列番号3〜7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリペプチドが、配列番号8〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMCP1−Igである、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
被験体において、炎症性の医学的障害、肥満関連インスリン抵抗性、寄生虫感染、細菌感染、ウイルス感染、癌または心血管もしくは循環障害を治療または予防するための方法であって、該被験体に、場合により、1種以上の半減期延長性部分と融合している1種以上のMCP1ポリペプチドを含むポリペプチドまたはその薬剤組成物を、場合により、さらなる治療薬または手順と関連して投与する工程を含む、方法。
【請求項38】
前記炎症性の医学的障害が、虫垂炎、消化性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、潰瘍性大腸炎、偽膜性大腸炎、急性大腸炎、虚血性大腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、セリアック病、肝炎、クローン病、腸炎、ウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体疾患、組織虚血、再潅流傷害、組織壊死、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪液質、異常高熱症、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎および尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、線維症、嚢胞性線維症、間質性肺炎、成人性呼吸窮迫症候群、珪性肺塵症、アルビアリティス、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、じんま疹イボ、膨疹、狭窄、再狭窄、バスリティス、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症(MS)、神経炎、神経痛、ブドウ膜炎、関節炎および関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶および移植片対宿主病からなる群から選択されるメンバーである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記MCP1が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記半減期延長性部分が、ポリエチレングリコール、免疫グロブリンまたはそのフラグメントである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫グロブリンフラグメントが、配列番号3〜7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリペプチドが、配列番号8〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMCP1−Igである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記被験体がヒトである、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記さらなる治療薬または手順が、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチン、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デスオキシメタゾン、フルロシノロンアセトニド、フルランドレノリド、局所用ステロイド、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アロエベラ、アムシノニド、アムシノニド、アントラリン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、カルシポトリエン、プロピオン酸クロベタゾール、コールタール、死海塩、デソニド、デソニド、吉草酸ベタメタゾン、デスオキシメタゾン、酢酸ジフロラゾン、エプソム塩、フルロシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール,吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、オイル化オートミール、石油ゼリー、プレドニカルベート、サリチル酸、タザロテン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンとデキサメタゾンとメチルプレドニゾロンとプレドニゾロンとの混合物、アレファセプト、エタネルセプト、シクロスポリン、メトトレキサート、アシトレチン、イソトレチノイン、ヒドロキシ尿素、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン、6−チオグアニン、アナキンラ、注射用金、ペニシラミン、アザチオプリン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、経口用金、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーロチオグルコース、メサラミン、スルファサラジン、ブデソニド、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アザチオプリン、6−メルカプトプリンまたはカルシウムの食事補給、葉酸、ビタミンB12、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、エファリツマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、ABX−IL8および光線療法からなる群から選択されるメンバーである、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
被験体の身体におけるケモカインポリペプチドのインビボ半減期を増大させるための方法であって、該ポリペプチドを、免疫グロブリンもしくはそのフラグメントと、またはポリエチレングリコール(PEG)と融合する工程を含む方法。
【請求項46】
前記ケモカインポリペプチドがMCP1である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記MCP1が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記免疫グロブリンが、配列番号3〜7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項45に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−504158(P2009−504158A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526188(P2008−526188)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/031155
【国際公開番号】WO2007/021807
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】