説明

MSHのペプチドまたは複合ペプチド誘導体および白毛症の美容治療におけるそれらの使用

本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体、およびラセミ混合物を含むそれらの混合物の形をした、式(I)W‐DPhe‐Arg‐Z(I)に合致するペプチド、または式(II)A‐W‐DPhe‐Arg‐Z(II)に合致するその複合ペプチドに関するものであり、Aは、一般式(III)HOOC‐Rのモノカルボン酸であり、Rは、一つまたは複数の不飽和、有利には1〜6個の不飽和を備えることがある、直鎖のまたは分岐した、C1‐C24の脂肪族基を示し、Wは、式IIの化合物の場合の結合を示し、Zは、NH2、OHを示すペプチドまたは複合ペプチドに関するものである。本発明は、更には白毛症の美容治療および/または毛髪の白色化への対抗におけるこれらの化合物の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なMSHのペプチドまたは複合ペプチド誘導体および白毛症の美容治療または白髪化に対するそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
髪の色は、メラノサイトによって生成されるメラニンのケラチノサイト中の濃度によって決定される。髪のメラニン色素沈着は、毛嚢球のレベルでのメラノサイトの存在を必要とする。メラノサイトは、メラニンを合成する専門化された細胞である。ユーメラニンとフェオメラニンの二つのグループのメラニン色素が形成される。これらの色素は、毛髪幹を形成するケラチノサイトに伝達される。メラニンの合成またはメラニン形成は、チロシナーゼの作用下でメラニンに変化するチロシンに介入させる。チロシナーゼはこの一連の反応に介入する重要な酵素である。
【0003】
皺が出現するとともに、白髪化は、老化の最初の兆候の一つである。白髪の出現の原因は多様であり、遺伝的要因、老化の進行、環境、生活様式などがあると思われるが、それらの相互に与える影響はあまりよく知られていない。老化の進行を説明するために多数の仮説が発表されている。白髪の出現は、以下のように関連づけられている。
(1)毛球内のメラノサイトの数の減少
(2)毛髪幹内のメラニンの量の減少
着色の生化学的要素は常に存在するが、不活性であり、メラニンの製造および運搬は徐々に停止する。
(3)メラノソームからケラチノサイトへのメラニンの運搬の欠乏。毛嚢のレベルでのメラニンの生成は、ちょうど皮膚乳頭の上で実施される。毛髪幹を生成させるケラチノサイトへのメラニンの運搬が実施されるのはこのレベルである。
【0004】
本発明は、MSHのペプチドおよび複合ペプチド誘導体に関するものである。
MSHまたは「メラニン細胞刺激ホルモン」は、色素沈着ホルモンである。MSHは、メラニン形成の極めて重要な調整剤である(例、デルマトール(Dermatol.)1998/07/43‐150)。MSHは、メラノサイトの増殖とメラニンの合成を誘導する。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、毛球のメラノサイトのレベルでのメラニン形成を活性化させるペプチド構造の探求に基づくものである。
本出願人は、驚くべきことに6個以下のアミノ酸を含み、‐DPhe‐Arg‐配列を備える新規なペプチドおよび複合ペプチドが毛球のメラノサイトのレベルでのメラニン形成の活性化に極めて重要な作用を有することを発見した。
【0006】
欧州特許出願第669938号明細書には、少なくともHis‐Phe‐Arg配列を備えるペプチド配列が記載されている。しかし、フェニルアラニンはそのDまたはLの形で存在することがある。また、Pheが、有利にはホモPheまたはp‐フルオロPheを示すことが記載されている。さらに、実施例では、D.ホモPheだけが使用されており、また、このD.ホモPheの存在はメラニン形成の刺激とチロシナーゼの活性化に極めて重要であることが記載されている。結局、この文献は、これらのペプチドが毛球のメラノサイトのレベルでのメラニン形成の活性化作用を有し、白毛症を治療し、または毛髪の白色化と対抗できることを示唆していない。
【0007】
国際公開第03/064458号パンフレットには、式R‐V‐Ala‐His‐X‐Y‐Trp‐NH2(この式において、XはDまたはLの形のフェニルアラニン、Yはアルギニン、Aはアセチル基を示すことがある)の複合ペプチドが記載されている。
このように、ペプチドAc‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2が記載されている。
しかしながら、これらの複合ペプチドは必然的にNle‐Ala‐His配列で始まり、必然的にTrp‐NH2配列で終わる。また、XおよびYはフェニルアラニンまたはアルギニン以外のアミノ酸を示すことがある。さらに、本発明によるペプチドまたは複合ペプチドは、ペプチドAc‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2と比較して、メラニン形成に優れた作用を有する。
【0008】
米国特許第5714576号明細書には、MSHと類似の、とりわけメラニン形成を刺激することができる直鎖のフラグメントが記載されている。しかし、提示された試験は、カエルについてしか実施されていない。また、これらのフラグメントは、本発明のように最大6個ではなく、最低7個のアミノ酸を含む。さらに、この文献は、より小さなフラグメントがメラニン形成に作用することがあることを示していない。その上、この文献に記載のフラグメントがHist‐DPhe‐Arg‐Trp配列を含むとき、アミノ酸は常にTrpの後ろに存在し、これらの配列は最後のTrp‐NH2アミノ酸を含むことが全くないため、本発明のケースとは異なる。
【0009】
従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体、およびラセミ混合物を含むそれらの混合物の形をした、式(I)W‐DPhe‐Arg‐Z(I)
に合致するペプチド、または式(II)A‐W‐DPhe‐Arg‐Z(II)
に合致するその複合ペプチドに関するものであり、
これにおいてAは、
‐一般式(III)HOOC‐R(III)のモノカルボン酸、
これにおいてRは、一つまたは複数の不飽和、有利には1〜6個の不飽和を備えることがある、直鎖のまたは分岐した、場合によってはヒドロキシ基によって置換されたC1‐C24の脂肪族基を示すものであり、
‐リポ酸またはその還元した形であるジヒドロリポ酸、N‐リポイル‐リジンまたはフェニル酪酸に対応する基を示し、
Wは、His、Ala‐His、Ala‐Ala‐His、Nle‐Ala‐His、DTrp‐Ala‐His、Nle‐Trp‐His、Lys、Ala‐Lys、Nle‐Ala‐Lys、Orn、Ala‐Orn、Nle‐Ala‐Orn、Ala、Nle‐Ala‐Ala、Arg、Ala‐Arg、Nle‐Ala‐Arg、Nle‐Ala‐DTrpまたは式IIの複合ペプチドの場合の結合を示し、
Zは、NH2、OH、ORlを示し、これにおいて、Rlは直鎖のまたは分岐したC1‐C24の脂肪族基を示すものであり、TrpNH2、NapNH2,TpiNH2、TicNH2、AlaNH2、TrpOH、NapOH、TpiOH、TicOH、AlaOH、PheNH2またはPheOHを示し、
但し、Aが酢酸に対応する基を示し、WがNle‐Ala‐Hisを示し、ZがTrpNH2を示す複合ペプチドを除くものである。
【0010】
式(I)のペプチドまたは式(II)のそのペプチド誘導体内のアミノ酸は、他に明記されていなければ、D、LまたはDLの形状を有することがある。
このように、式(I)のペプチドまたは式(II)のそれらのペプチド誘導体は、一つまたは複数の不斉炭素原子を備えることがある。従って、それらはエナンチオマーまたはジアステレオ異性体の形状で存在することがある。これらのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部分をなすものである。
式(II)の複合ペプチドは、式(III)の化合物のアミドとして得られる低分子量の誘導体である。
また、式(I)のペプチドおよび式(II)の複合ペプチドは、錯体を形成する塩の形態で、亜鉛と結合することがある。
【0011】
本発明の枠内で、
‐Lysは、リジン、
‐Argは、アルギニン、
‐Trpは、トリプトファン、
‐Napは、ナフチルアラニン、
‐Tpiは、テトラヒドロノルハマン‐3カルボン酸、
‐Ticは、テトラヒドロイソキノリン‐3カルボン酸、
‐Alaは、アラニン、
‐Pheは、フェニルアラニン、
‐Nleは、ノルロイシン、
‐Hisは、ヒスチジン、および、
‐Ornは、オルニチンを
意味する。
また、上記のおよび本発明の目的となるペプチドおよび複合ペプチドは、最後の形状がNH2(言い換えれば、アミド基を示す)および最後の形状がOH(言い換えれば、カルボン酸基を示す)で得られることを明記している。
【0012】
有利には、式(III)の酸はポリ不飽和の、すなわち1〜6個の不飽和を備える脂肪酸である。さらにより好ましくは、ω‐3酸に関するものである。
これらのω‐3酸の中では、特に、α‐リノレン酸、セルボン酸、チムノドン酸およびピノレン酸を挙げることができる。セルボン酸、チムノドン酸およびピノレン酸は、また、各々、4,7,10,13,16,19‐ドコサヘキサエン酸(DHA)、5,8,11,14,17‐エイコサペンタエン酸(EPA)および5,9,12‐オクトデカトリエン酸の名称で知られている。
Aが一般式(III)のモノカルボン酸を示すとき、有利には、酢酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヒドロキシデセノインおよびデセノイン酸および特にトランス‐10‐ヒドロキシ‐Δ2‐デセノイン酸およびトランス‐オキソ‐9‐デセン‐2‐オイン酸から選択される。
有利には、式(III)の酸は、リポ酸またはその還元された形であるジヒドロリポ酸、N‐リポイル‐リジンまたはフェニル酪酸の中から選択される酸である。
【0013】
Aがリポ酸および酢酸から選択された複合ペプチドは、本発明の範囲内で特に適している。
【0014】
有利には、一般式(II)の複合ペプチドは、
Aが上記に定義されたとおりのものであり、
Wは、His、Ala‐His、Ala‐Ala‐His、DTrp‐Ala‐His、Nle‐Trp‐His、Lys、Ala‐Lys、Nle‐Ala‐Lys、Orn、Ala‐Orn、Nle‐Ala‐Orn、Ala、Nle‐Ala‐Ala、Arg、Ala‐Arg、Nle‐Ala‐Arg、Nle‐Ala‐DTrpまたは結合を示し、
また、ZはNH2、OH、ORlであり、これにおいて、Rlは直鎖のまたは分岐したC1‐C24の脂肪族基を示し、TrpNH2、NapNH2、TpiNH2、TicNH2、AlaNH2、TrpOH、NapOH、TpiOH、TicOH、AlaOH、PheNH2またはPheOHを示し、
または、WがNle‐Ala‐Hisを示し、ZがNH2、OH、ORを示し、これにおいて、Rは直鎖のまたは分岐したC1‐C24の脂肪族基を示し、NapNH2、TpiNH2、TicNH2、AlaNH2、TrpOH、NapOH、TpiOH、TicOH、AlaOH、PheNH2またはPheOHを示すものである。
【0015】
有利には、本発明によるペプチドおよび複合ペプチドは、4個以下のアミノ酸を含むものである。
【0016】
本発明の複合ペプチドとしては以下の式の複合ペプチドが挙げられる。
a‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
b‐A‐Nle‐Ala‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
c‐A‐Nle‐Ala‐Arg‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
d‐A‐Nle‐Ala‐Orn‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
e‐A‐Nle‐Ala‐DTrp‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
f‐A‐Nle‐Ala‐Ala‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
g‐A‐Ala‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
h‐A‐DTrp‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
i‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Nap‐NH2
j‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
k‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
l‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tpi‐NH2
m‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tic‐NH2
n‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
o‐A‐Nle‐Trp‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
p‐A‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
q‐A‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
r‐A‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
s‐A‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
t‐A‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
u‐A‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
v‐A‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
w‐A‐DPhe‐Arg‐NH2
これにおいて、式aの複合の場合、Aは酢酸に対応する基を示さないという条件で、Aは上記のように定義される。
【0017】
本発明の複合ペプチドとして、以下の複合ペプチドが挙げられる。
1‐Ac‐Nle‐Ala‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
2‐Ac‐Nle‐Ala‐Arg‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
3‐Ac‐Nle‐Ala‐Orn‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
4‐Ac‐Nle‐Ala‐DTrp‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
5‐Ac‐Nle‐Ala‐Ala‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
6‐Ac‐Ala‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
7‐Ac‐DTrp‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
8‐Prop‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
9‐But‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
10‐Palm‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
11‐Lip‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
12‐Pbu‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
13‐Palm‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
14‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Nap‐NH2
15‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
16‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
17‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tpi‐NH2
18‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tic‐NH2
19‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
20‐Ac‐Nle‐Trp‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
21‐Hex‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
22‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
23‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
24‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
25‐Pbu‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
26‐Lip‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
27‐Lip‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
28‐Palm‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
29‐Pbu‐Dphe‐Arg‐Trp‐NH2
30‐Lip‐Dphe‐Arg‐Trp‐NH2
31‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
32‐Pbu‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
33‐Lip‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
34‐Palm‐DPhe‐Arg‐NH2
35‐Pbu‐DPhe‐Arg‐NH2
36‐Lip‐DPhe‐Arg‐NH2
【0018】
本発明の目的である複合ペプチドは、当業者に既知のいずれかの方法によって、有利には従来の化学合成によって、または酵素合成によって得ることができる。
【0019】
ペプチドまたはそれらの複合ペプチドは、局所的な経路による美容への利用に投与されることがある。それらは、また、栄養補助食品に、すなわち、経口による栄養補給の分野で使用することができる。
本発明による複合ペプチドは、局部的な経路によって投与されるのが好ましい。
【0020】
他の様相によれば、本発明は、また、本発明によるペプチドまたは複合ペプチドを含む、美容用、皮膚病用または製剤補助用組成物、さらにまたは栄養補助食品を目的とするものである。
【0021】
美容用または皮膚病用組成物は、有利には、毛の生えた皮膚全体に塗布される。美容用または皮膚病用組成物は、例えば、ローション、トリートメントシャンプー、スプレー、ヘアリンス、クリーム、ポマード、溶液、エマルジョン、ジェル、乳液、マスク、セラムの形状をとることがある。
【0022】
局所的な美容用組成物では、本発明による複合ペプチドまたはペプチドの濃度は、10-8Mから10-3Mの範囲、好ましくは、10-7Mから10-5Mの範囲にある。
【0023】
また、本発明の他の目的は、本発明のペプチドまたは複合ペプチドを含む組成物を毛の生えた皮膚に塗布することを含み、または、本発明のペプチドまたは複合ペプチドを含む栄養補助食品の経口投与を含む毛髪の白色化に対抗するおよび/または白毛症を治療するための美容治療方法に関するものである。
【0024】
毛の生えた皮膚に局所的に塗布されるための本発明による美容用組成物は、さらに、毛の生えた皮膚の光防護を可能にするUVBフィルタを備えることがある。従って、適したUVBフィルタとしては、名称がINCIとして、以下のものを挙げることができる。
‐p‐アミノ安息香酸すなわちPABAおよびそれらのエステル
*エチルヘキシルジメチルPABA
*PEG‐25PABA
‐桂皮酸塩
*メトキシ桂皮酸エチルヘキシル
*p‐メトキシ桂皮酸イソアミル
*オクトクリレン
‐サリチル酸塩
*ホモサラート
*サリチル酸エチルヘキシル
‐ベンズイミダゾール
*フェニルベンズイミダゾールスルホン酸
‐ベンジリデンカンフル誘導体
*4‐メチルベンジリデンカンフル
*ベンジリデンカンフル
*カンフルメト硫酸ベンザルコニウム
*ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンフル
‐トリアジン
*エチルヘキシルトリアゾン
*ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン
【0025】
本発明のペプチドは、白毛症の治療でその効力を示すことができる薬理学的実験の対象となった。以下の実施例は、例として示されたものであり、限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0026】
実施例1:メラニン形成刺激テストにおける種々のペプチドの効力

テスト:第二メッセンジャーcAMPの量子化の研究

α‐MSHは、皮膚のレベルにメラノコルチンMClrの受容体1を有する。この受容体と作動薬の結合は、エフェクタ分子であるアデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPを生成する。cAMPを量子化することにより、その受容体の配位子の親和性を測定する。

手順:MClrを表す使用した細胞は、ヒトのメラノサイトである。ペプチドは、10-6〜10-11Mの濃度でテストされた。参照分子α‐MSHは、同一濃度でテストされた。

EC50は、最大刺激50%を示す配位子濃度に対応する。下記の表1に記載したEC50は、nMで表示されており、3つの実験の平均に対応している。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明によるペプチドは、α‐MSHより優れた効力を示す。
【0029】
実施例2:複合ペプチド11を含むローション
(g)
複合ペプチド11 20×10-6
95°のエタノール 60
プロピレングリコール 10
水/保存料 qsp100
【0030】
実施例3:複合ペプチド24を含むローション
(g)
複合ペプチド24 20×10-6
水 81
Keltrol(登録商標) T 0.5
(KECCO社から市販されているキサンタンガム)
テクポリマー MB‐4C 1
(Sekisui社から市販されているメタクリル酸ポリメチル)
Sepigel(登録商標)305 0.5
(ポリアクリルアミド/C13‐C14 イソパラフィン/SEPPIC社から市販されているLaureth‐7)
シリコーン油 2
ブチレングリコール 5
【0031】
白髪しかない女性に実施例2のローションを3ヶ月間、一日二回(朝と夜)塗布することによって、黒色に再色素沈着した毛髪が出現をするのを視覚で確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマーまたはジアステレオ異性体、およびラセミ混合物を含むそれらの混合物の形をした、式(I)W‐DPhe‐Arg‐Z(I)に合致するペプチド、または式(II)A‐W‐DPhe‐Arg‐Z(II)に合致するその複合ペプチドに関するものであり、
これにおいてAは、
‐一般式(III)HOOC‐R(III)のモノカルボン酸であり、これにおいてRは、一つまたは複数の不飽和、有利には1〜6個の不飽和を備えることがある、直鎖のまたは分岐した、場合によってはヒドロキシ基によって置換されたC1‐C24の脂肪族基を示すものであり、
‐リポ酸またはその還元した形であるジヒドロリポ酸、N‐リポイル‐リジンまたはフェニル酪酸に対応する基を示し、
Wは、His、Ala‐His、Ala‐Ala‐His、Nle‐Ala‐His、DTrp‐Ala‐His、Nle‐Trp‐His、Lys、Ala‐Lys、Nle‐Ala‐Lys、Orn、Ala‐Orn、Nle‐Ala‐Orn、Ala、Nle‐Ala‐Ala、Arg、Ala‐Arg、Nle‐Ala‐Arg、Nle‐Ala‐DTrpまたは式IIの化合物場合の結合を示し、
Zは、NH2、OH、ORlを示し、これにおいて、Rlは直鎖のまたは分岐したC1‐C24の脂肪族基を示すものであり、TrpNH2、NapNH2,TpiNH2、TicNH2、AlaNH2、TrpOH、NapOH、TpiOH、TicOH、AlaOH、PheNH2またはPheOHを示し、
但し、これにおいて、Aが酢酸に対応する基を示し、WがNle‐Ala‐Hisを示し、ZがTrpNH2を示すペプチド化合物を除く、
ペプチドまたは複合ペプチドの白毛症の美容治療および/または毛髪の白色化に対する使用方法。
【請求項2】
一般式(III)の酸は、α‐リノレン酸、セルボン酸、チムノドン酸またはピノレン酸から選択されるω‐3酸、または、酢酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはヒドロキシデセノインおよびデセノイン酸および特にトランス‐10‐ヒドロキシ‐Δ2‐デセノイン酸およびトランス‐オキソ‐9‐デセン‐2‐オイン酸から選択されるC1‐C24の脂肪族系酸、または、リポ酸またはその還元された形であるジヒドロリポ酸、N‐リポイル‐リジンまたはフェニル酪酸の中から選択される酸であることを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
Aは、リポ酸および酢酸に対応する基の中から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項4】
複合ペプチドは、以下の式、
a‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
b‐A‐Nle‐Ala‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
c‐A‐Nle‐Ala‐Arg‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
d‐A‐Nle‐Ala‐Orn‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
e‐A‐Nle‐Ala‐DTrp‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
f‐A‐Nle‐Ala‐Ala‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
g‐A‐Ala‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
h‐A‐DTrp‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
i‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Nap‐NH2
j‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
k‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
l‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tpi‐NH2
m‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tic‐NH2
n‐A‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
o‐A‐Nle‐Trp‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
p‐A‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
q‐A‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
r‐A‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
s‐A‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
t‐A‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
u‐A‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
v‐A‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
w‐A‐DPhe‐Arg‐NH2
のペプチド化合物から選択され、式aの複合の場合、Aは酢酸に対応する基を示さないという条件で、Aは前記のように定義されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項5】
複合ペプチドは、以下の式、
1‐Ac‐Nle‐Ala‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
2‐Ac‐Nle‐Ala‐Arg‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
3‐Ac‐Nle‐Ala‐Orn‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
4‐Ac‐Nle‐Ala‐DTrp‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
5‐Ac‐Nle‐Ala‐Ala‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
6‐Ac‐Ala‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
7‐Ac‐DTrp‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
8‐Prop‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
9‐But‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
10‐Palm‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
11‐Lip‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
12‐Pbu‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
13‐Palm‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
14‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Nap‐NH2
15‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
16‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
17‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tpi‐NH2
18‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tic‐NH2
19‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
20‐Ac‐Nle‐Trp‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
21‐Hex‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
22‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
23‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
24‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
25‐Pbu‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
26‐Lip‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
27‐Lip‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
28‐Palm‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
29‐Pbu‐Dphe‐Arg‐Trp‐NH2
30‐Lip‐Dphe‐Arg‐Trp‐NH2
31‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
32‐Pbu‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
33‐Lip‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
34‐Palm‐DPhe‐Arg‐NH2
35‐Pbu‐DPhe‐Arg‐NH2
36‐Lip‐DPhe‐Arg‐NH2
から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の使用方法。
【請求項6】
請求項1〜5に定義されたような、式(I)のペプチドまたは式(II)の複合ペプチドを含む、美容用組成物の毛の生えた皮膚への塗布を含むことを特徴とする、毛髪の白色化への対抗および/または白毛症の治療用の美容治療方法。
【請求項7】
請求項1〜5に定義されたような、式(I)のペプチドまたは式(II)の複合ペプチドを含む、栄養補助食品の経口投与を含むことを特徴とする、毛髪の白色化への対抗および/または白毛症の治療用の美容治療方法。
【請求項8】
以下の式、
1‐Ac‐Nle‐Ala‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
2‐Ac‐Nle‐Ala‐Arg‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
3‐Ac‐Nle‐Ala‐Orn‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
4‐Ac‐Nle‐Ala‐DTrp‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
5‐Ac‐Nle‐Ala‐Ala‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
6‐Ac‐Ala‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
7‐Ac‐DTrp‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
8‐Prop‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
9‐But‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
10‐Palm‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
11‐Lip‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
12‐Pbu‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
13‐Palm‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
14‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Nap‐NH2
15‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
16‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
17‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tpi‐NH2
18‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Tic‐NH2
19‐Ac‐Nle‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
20‐Ac‐Nle‐Trp‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
21‐Hex‐Ala‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
22‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
23‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Phe‐NH2
24‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐Ala‐NH2
25‐Pbu‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
26‐Lip‐His‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
27‐Lip‐Lys‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
28‐Palm‐Dphe‐Arg‐Trp‐NH2
29‐Pbu‐Dphe‐Arg‐Trp‐NH2
30‐Lip‐DPhe‐Arg‐Trp‐NH2
31‐Palm‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
32‐Pbu‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
33‐Lip‐His‐DPhe‐Arg‐NH2
34‐Palm‐DPhe‐Arg‐NH2
35‐Pbu‐DPhe‐Arg‐NH2
36‐Lip‐DPhe‐Arg‐NH2
から選択される複合ペプチド。

【公表番号】特表2008−502600(P2008−502600A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512282(P2007−512282)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001166
【国際公開番号】WO2005/116068
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506376997)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT EUROPEEN DE BIOLOGIE CELLULAIRE
【出願人】(500470482)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック(セーエヌエールエス) (25)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (CNRS)
【出願人】(504462319)ユニヴェルシテ ドゥ モンぺリエ アン (9)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE MONTPELLIER 1
【出願人】(506075252)ユニベルシテ モンペリエ ドゥー (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE MONTPELLIER II
【Fターム(参考)】