説明

N−アシルアミノ酸誘導体を含有する皮膚外用剤

【課題】N−アシルアミノ酸誘導体の安定性を向上させその有効性を発揮させる剤型の提供。
【解決手段】1)オクトクリレンと、2)N−アシルアミノ酸誘導体とを皮膚外用剤に含有させる。前記N−アシルアミノ酸誘導体は、N−アシルアミノ酸のエステル、N−アシル(ポリアミノ酸)及びN−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体から選択されるものであることが好ましく、前記N−アシルアミノ酸のエステルとしては、N−アシルグルタミン酸のジエステルが好ましく、前記N−アシル(ポリアミノ酸)としてはビス(N−アシルグルタミン酸)リジンが好ましく、前記N−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体としては、N−(メタ)アクリロイルリジンのポリマー乃至はコポリマーが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料などに好適な皮膚外用剤に関し、更に詳細には、N−アシルアミノ酸誘導体を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ酸は生体の重要な構成成分であり、そのアミノ酸の一部を改変した誘導体には、様々な薬理作用が存することが知られている。特に、アミノ酸のN位の水素原子をアシル基で置換した誘導体は、親水性のアミノ基に親油性の基が側鎖として備わるために、若干の界面活性作用を有するとともに、その生理活性は維持されることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。しかしながら、これらの化合物は何れも活性の高い窒素原子を分子内に有しているため、水の存在する系に於いて、過酷な条件が科された場合、例えば、50℃を越す高温下で長時間保管されるなどの条件、或いは、高照射量の光照射を受ける条件下で長期間保管されるなどの条件では、時として、特異臭を生じるような場合が存した。通常、温度や熱に対する安定性の向上は、抗酸化剤の添加、キレート剤の添加が第一選択肢となり、次いで光の場合には紫外線吸収剤の添加が第二選択肢となる。しかしながら、前記N−アシルアミノ酸誘導体の場合には、抗酸化剤やキレート剤の添加は効を奏しにくく、これ故、最終製品における異臭の発生などのトラブルを引き起こす場合が存した。この様なトラブルの発生は、N−アシルアミノ酸誘導体の皮膚外用での使用を制限する要因ともなり、その有効性を遺憾なく発揮することの阻害要因ともなっている。
【0003】
一方、オクトクリレンなどのシアノジフェニルプロペン酸エステル類も、化粧料に於いて、ジベンゾイルメタンと同様に紫外線吸収剤として使用可能であることは既に知られている(例えば、特許文献5を参照)。しかしながら、1)オクトクリレンと、2)N−アシルアミノ酸誘導体とを含有する構成の皮膚外用剤は全く知られていないし、この様な構成を採用することにより、N−アシルアミノ酸誘導体の安定性を著しく向上せしめ、N−アシルアミノ酸誘導体の有効性を遺憾なく発揮できる剤形を提供できることも全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−325076号公報
【特許文献2】特開2005−289873号公報
【特許文献3】特開2004−339241号公報
【特許文献4】WO00/32560
【特許文献5】特開2004−182732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、N−アシルアミノ酸誘導体の安定性を著しく向上せしめ、N−アシルアミノ酸誘導体の有効性を遺憾なく発揮できる剤形を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、N−アシルアミノ酸誘導体の安定性を著しく向上せしめ、N−アシルアミノ酸誘導体の有効性を遺憾なく発揮できる剤形を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)オクトクリレンと、2)N−アシルアミノ酸誘導体とを含有する皮膚外用剤がその様な特性を備えていることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>1)オクトクリレンと、2)N−アシルアミノ酸誘導体とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<2>前記N−アシルアミノ酸誘導体は、N−アシルアミノ酸のエステル、N−アシル(ポリアミノ酸)及びN−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体から選択されるものであることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>前記N−アシルアミノ酸のエステルは、N−アシルグルタミン酸のジエステルであることを特徴とする、<2>に記載の皮膚外用剤。
<4>前記N−アシル(ポリアミノ酸)はビス(N−アシルグルタミン酸)リジンであることを特徴とする、<2>に記載の皮膚外用剤。
<5>前記N−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体は、N−(メタ)アクリロイルリジンのポリマー乃至はコポリマーであることを特徴とする、<2>に記載の皮膚外用剤。
<6>水性担体溶液剤形乃至は乳化剤形であることを特徴とする、<1>〜<5>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、N−アシルアミノ酸誘導体の安定性を著しく向上せしめ、N−アシルアミノ酸誘導体の有効性を遺憾なく発揮できる剤形を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるオクトクリレン
本発明の皮膚外用剤は、オクトクリレンを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤では、かかる成分は、後記N−アシルアミノ酸誘導体が、過酷な条件、例えば、高照度の光照射を受けた際に、或いは、高温下で長時間保存された場合には、これらの成分が変化して、異臭を生じる現象を抑制する効果を発揮する。異臭の原因となる物質そのものは微量であっても、容易に検知できることから、シビアーなコントロールが要求される。オクトクリレンにおいては、この様なコントロールが可能となる。この様な過酷条件下、例えば、高照度の光照射条件下や高温での長期間の保存条件下におけるN−アシルアミノ酸誘導体の変化に対しては、ベンゾフェノン誘導体、p−メトキシ桂皮酸エステル類及びベンゾイルメタン誘導体等のオクトクリレンと構造の系統を異にする紫外線吸収剤の添加は効を奏しにくい。従って、本発明の化粧料では、オキシベンゾン、スリソベンゾン等のベンゾフェノン類、p−メトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシルなどのp−メトキシ桂皮酸エステル類、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンなどのベンゾイルメタン類等のオクトクリレンと構造の系統を異にする紫外線吸収剤は実質的に含有しないことが好ましい。本発明の爪用の化粧料におけるオクトクリレンの好ましい含有量は、0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜2質量%である。オクトクリレンの含有量が少なすぎると前記効果を発揮しない場合が存し、多すぎても効果が頭打ちになり、系の安定性を損なう場合も存する。
【0009】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるN−アシルアミノ酸誘導体
本発明の皮膚外用剤は、N−アシルアミノ酸誘導体を含有することを特徴とする。N−アシルアミノ酸誘導体に於いては、その生理活性の発現はアミノ酸に由来し、アシル基はアミノ基の安定化とともに、アミノ酸の生理活性に付加的な活性、例えば、経皮吸収性の向上などを付与する。誘導体としては、エステル類や高分子基体などが例示できる。具体的には、N−アシルアミノ酸のエステル、N−アシル(ポリアミノ酸)及びN−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体の3種類が例示できる。ここで、アシル基としては、炭素数2〜30の直鎖、分岐乃至は環状構造を有する脂肪族炭化水素基にカルボニル基が結合した形のものが好ましく例示できる。具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基又、エステルとしては、炭素数8〜30の直鎖、分岐乃至は環状構造を有する脂肪族炭化水素基が好ましく例示できる。又、アシルアミノ酸を構成するアミノ酸としては、グルタミン、アスパラギン、サルコシンなどの中性アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸が好ましく例示できる。
【0010】
N−アシルアミノ酸のエステルとしては、例えば、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等が好適に例示でき、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)が特に好適に例示できる。これらの成分はアミノ酸を塩基の存在下酸クロリドで処理し、N−アシルアミノ酸と為し、これと対応するアルコールを塩基の存在下縮合することにより得ることが出来が、既に、化粧料用の原料として市販されているものも存し、この様な市販品を購入して利用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、味の素株式会社より販売されている「エルデュウPS203」(N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルデシル))、「エルデュウCL−301」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル))、「エルデュウCL−202」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル))、「エルデュウPS−304」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル))などが例示でき、中でも、「エルデュウPS203」が特に好ましい。同様にアミノ酸がグルタミンであれば、N−ラウロイルグルタミンコレステリル、N−ラウロイルグルタミンフィトステリル等が好適に例示できる。
【0011】
N−アシル(ポリアミノ酸)としては、アミノ酸単位が2〜5個のオリゴペプチドが好ましく、この場合に於いて、該オリゴペプチドの構成アミノ酸は、唯一種のホモオリゴペプチドでも良いし、二種以上のヘテロオリゴペプチドでも良い。この様なN−アシルアミノ酸のオリゴペプチドは、例えば、N−アシル塩基性アミノ酸をDCC等のペプチド生成試薬を用いて重合することにより、ホモオリゴペプチドが得られるし、N−アシル酸性アミノ酸やN−アシル中性アミノ酸と、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸とをDCC等の触媒存在下縮合することにより、ヘテロオリゴペプチドが製造できる。この様なN−アシルオリゴペプチドには、既に、市販されているものが存し、この様な市販品を購入し利用することが出来る。この様な市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズから販売されている「ペリセア(登録商標)L−30」(ビス(N−ラウロイルグルタミン酸)リジン)が好ましく例示できる。
【0012】
N−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体としては、N−アクリロイルグリシン、N−メタアクリロイルグリシン、N−アクリロイルリジン、N−メタアクリロイルリジンなどを構成モノマーとする、ポリマー乃至はコポリマーが好適に例示できる。かかるモノマーは、アミノ酸とアクリル酸乃至はメタアクリル酸とを、DCC等を触媒として、重合させることにより製造することが出来る。コポリマーについては、これらから選ばれる2種以上を重合したものであっても良いし、かかるモノマーと、通常コポリマーで使用されている(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルエーテル等が好ましく例示できる。かかる重合は、常法に従って行うことが出来、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどを触媒とし、溶液重合或いは乳化重合などを行うことにより製造できる。この様なポリマー、コポリマーには既に市販されているものも存し、この様なものを購入し、利用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、岐阜シェラック株式会社製の「PMリジン」(ポリメタクリロイルリジン)等が好適に例示できる。
【0013】
前記N−アシルアミノ酸誘導体はそのまま含有させることも出来るし、酸や塩基を加えて、塩と為して含有させることも出来る。又、これらは唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分は、かかる成分が有する生理活性効果を発現できる量を含有することが好ましく、具体的には、大凡、化粧料全量に対して、これらの成分の全量が、0.01〜10質量%になるように含有させることが好ましく、0.05〜5質量%になるように含有させることがより好ましい。
【0014】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、皮膚の外用で使用される製剤であることを特徴とする。皮膚外用剤としては、例えば、皮膚外用医薬、化粧料、皮膚外用雑貨等が好ましく例示できる。製剤としても、これらの分野で使用されている製剤であれば特段の限定無く適用でき、例えば、水系溶液剤形、水中油乃至は油中水乳化剤形、オイルゲル剤形、非水ゲル剤形、水系ゲル剤形、粉体分散剤形、固形粉末剤形等が好適に例示できる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分、任意成分を常法に従って処理することにより製造できる。斯くして得られた本発明の皮膚外用剤は、有用成分であるN−アシルアミノ酸誘導体の作用を維持しつつ、過酷条件下でも安定である特性を有する。
以下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加える。
【実施例1】
【0017】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料1(乳液)を作成した。即ち、イ、ロ、ハの成分をそれぞれ80℃に加熱し、攪拌下イに徐々にロを加えて乳化し、乳化粒子をホモミキサーで整えた後、ハを加えて中和し、攪拌冷却して化粧料1を得た。同様に操作して、オクトクリレンをオキシベンゾンに置換した比較例1、「エルデュウPS203」を水に置換した比較例2、オクトクリレンをオキシベンゾンに、且つ、「エルデュウPS203」を水に置換した比較例3も製造した。
【0018】
【表1】

【0019】
<評価1>
化粧料1、比較例1〜3について、高温保存条件下での安定性を調べた。即ち、60℃の条件下で7日間保存し、20℃に恒量にした後、コニカミノルタ色彩色差計CR400で光遮蔽下20℃保存品との色差(ΔE)を調べた。併せて、異臭の有無も専門パネラー(調香師;1名)に判定してもらった。結果を表2に示す。これより、本発明の化粧料は過酷条件でも極めて安定であることがわかる。
【0020】
【表2】

【0021】
<評価2>
評価1の過酷条件を40Wの蛍光灯下30cmで、10000ルックスの条件に変え、同様に安定性を確認した。結果を表3に示す。同様の結果が得られた。
【0022】
【表3】

【実施例2】
【0023】
実施例1と同様に、下記処方に従って化粧料2(乳液)を作成し、評価1の手技で評価したところ、色差(ΔE)は0.31±0.24で異臭は存しなかった。
【0024】
【表4】

【実施例3】
【0025】
実施例1と同様に、下記処方に従って化粧料3(乳液)を作成し、評価1の手技で評価したところ、色差(ΔE)は0.18±0.12で異臭は存しなかった。
【0026】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)オクトクリレンと、2)N−アシルアミノ酸誘導体とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記N−アシルアミノ酸誘導体は、N−アシルアミノ酸のエステル、N−アシル(ポリアミノ酸)及びN−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体から選択されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記N−アシルアミノ酸のエステルは、N−アシルグルタミン酸のジエステルであることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記N−アシル(ポリアミノ酸)はビス(N−アシルグルタミン酸)リジンであることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記N−(メタ)アクリロイルアミノ酸の重合体は、N−(メタ)アクリロイルリジンのポリマー乃至はコポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
水性担体溶液剤形乃至は乳化剤形であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1稿に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−179599(P2009−179599A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20027(P2008−20027)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】