説明

NAFLDの治療における使用のためのDPP−IV阻害剤

本発明は、ある特定のDPP−4阻害剤が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防に特に好適であるという所見に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療および/または予防するためのある特定のDPP−4阻害剤、ならびにNAFLDおよび/またはそれに関連もしくは付随する疾患の治療および/または予防におけるこれらのDPP−4阻害剤の使用に関する。本発明はまた、NAFLDを治療および/または予防するためのある特定のDPP−4阻害剤と他の活性物質との組合せ、ならびにNAFLDを治療および/または予防するためのこれらのDPP−4阻害剤と他の活性物質との組合せの使用に関する。本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を含み、1種または複数の他の活性物質を含んでもよい、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための医薬組成物もまた企図される。
【背景技術】
【0002】
代謝決定因子に関連し、アルコールに起因しない脂肪肝疾患(NAFLD、非アルコール性脂肪肝疾患)の範囲は、単純な肝脂肪変性から、炎症性脂肪性肝炎(NASH、非アルコール性脂肪性肝炎)、さらに肝線維症および肝硬変、ならびにいくつかの場合においては肝細胞癌にまで至る。NASHは、NAFLDの最も重度な形態であり、最近のデータは、NASHおよびNAFLDの有病率が17〜33%(米国内)の範囲であることを示している。したがって、NASHおよびNAFLDは、先進工業国における慢性肝疾患の臨床的に重要な型として浮上してきている(McCullough 2006)。NAFLDおよびNASHの基礎となる病態生理学的機序は、現在、第1および第2のヒット理論による説明が試みられている。第1の事象として、肝臓外(例えば遊離脂肪酸流入の増加、インスリン抵抗性、空腹時、低レベルのアディポネクチン)または肝臓内(例えば、VLDL分泌能力の低下、β酸化の減少)の変調により、肝脂肪変性が発生する。第1のヒットは肝脂肪変性をもたらし、炎症事象の第2のヒットの素因となりそれを誘発する。これに関連して、反応性酸素種(ROS)レベルの増加およびTNF−aのような炎症性サイトカインレベルの上昇が、炎症を促進するものとして議論されている。NASHおよびNAFLDの発症にとって重大な役割は、肥満および糖尿病の個人におけるインスリン抵抗性に一致する。したがって、現在の治療は、TZD(チアゾリジンジオン)またはメトホルミンのようなインスリン感受性改善薬を用いた画期的なインスリン抵抗対策に重点を置いている。ロシグリタゾン(Neuschwander 2003)のピオグリタゾン(Promat 2004)およびメトホルミン(Zhou 2001)を使用した臨床上の試験的研究から、いくつかの有望な結果が得られている。しかしながら、TZD治療は、著しい体重増加および脂肪再分布に関連する。さらに、TZDは、体液貯留をもたらし、鬱血性心不全の患者には適応されない。TZDによる長期治療は、さらに、骨折のリスクの増加に関連する。NASHおよびNAFLDに対する他の治療的アプローチは幾分保守的であり、食事療法および運動および体重コントロールを含む。さらに、NAFLD、特にNASHはまた、特に長期にわたる内皮機能不全のリスクおよび心血管系リスクの増加に関連する。したがって、NAFLDおよびNASHの治療のための新規で有効な医薬の高い必要性および高い需要が、未だに満たされていない。Annals of Hepatology(2007)における最近の発表において、Balabanらは、NASH患者におけるDPP−4発現の役割および脂肪肝の組織病理学的グレードに関連した免疫染色のDPP−4強度に注目しており、この適応症におけるDPP−4阻害剤の使用についての追加的な証拠を提供している。
【0003】
CD26としても知られる酵素DPP−4は、N−末端においてプロリンまたはアラニン残基を有するいくつかのタンパク質のN−末端からのジペプチドの切断をもたらすことが知られているセリンプロテアーゼである。この特性により、DPP−4阻害剤は、ペプチドGLP−1を含む生物活性ペプチドの血漿中レベルに干渉し、糖尿病の治療のための有望な薬剤と考えられている。
【0004】
例えば、DPP−4阻害剤およびその使用は、国際公開第2002/068420号、国際公開第2004/018467号、国際公開第2004/018468号、国際公開第2004/018469号、国際公開第2004/041820号、国際公開第2004/046148号、国際公開第2005/051950号、国際公開第2005/082906号、国際公開第2005/063750号、国際公開第2005/085246号、国際公開第2006/027204号、国際公開第2006/029769号もしくは国際公開第2007/014886号;または国際公開第2004/050658号、国際公開第2004/111051号、国際公開第2005/058901号もしくは国際公開第2005/097798号;または国際公開第2006/068163号、国際公開第2007/071738号もしくは国際公開第2008/017670号;または国際公開第2007/128721号もしくは国際公開第2007/128761号に開示されている。
【0005】
さらなるDPP−4阻害剤として、以下の化合物を挙げることができる:
以下の構造式Aを有するシタグリプチン(MK−0431)は、(3R)−3−アミノ−1−[3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−5H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン−1−オン、別名(2R)−4−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]−1−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン−2−アミンである。
【化1】

【0006】
一実施形態において、シタグリプチンは、そのリン酸二水素塩、すなわちシタグリプチンリン酸塩の形態である。さらなる実施形態において、シタグリプチンリン酸塩は、結晶性無水物または一水和物の形態である。この実施形態のクラスは、シタグリプチンリン酸塩一水和物を指す。シタグリプチン遊離塩基およびその薬学的に許容される塩は、米国特許第6,699,871号および国際公開第03/004498号の実施例7に開示されている。結晶性シタグリプチンリン酸塩一水和物は、国際公開第2005/003135号および国際公開第2007/050485号に開示されている。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
シタグリプチンの錠剤は、Januvia(登録商標)の商品名で市販されている。シタグリプチン/メトホルミンの組合せの錠剤は、Janumet(登録商標)の商品名で市販されている。
【0007】
以下の構造式Bを有するビルダグリプチン(LAF−237)は、(2S)−{[(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)アミノ]アセチル}ピロリジン−2−カルボニトリル、別名(S)−1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジンである。
【化2】

【0008】
ビルダグリプチンは、米国特許第6,166,063号および国際公開第00/34241号の実施例1に具体的に開示されている。ビルダグリプチンの具体的な塩が、国際公開第2007/019255号に開示されている。ビルダグリプチンの結晶形態およびビルダグリプチン錠剤が、国際公開第2006/078593号に開示されている。ビルダグリプチンは、国際公開第00/34241号または国際公開第2005/067976号に記載のように製剤化することができる。放出調節ビルダグリプチン製剤が、国際公開第2006/135723号に記載されている。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0009】
ビルダグリプチンの錠剤は、Galvus(登録商標)の商品名で市販されている。ビルダグリプチン/メトホルミンの組合せの錠剤は、Eucreas(登録商標)の商品名で市販されている。
【0010】
以下の構造式Cを有するサクサグリプチン(BMS−477118)は、(1S,3S,5S)−2−{(2S)−2−アミノ−2−(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)アセチル}−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル、別名(S)−3−ヒドロキシアダマンチルグリシン−L−cis−4,5−メタノプロリンニトリルである。
【化3】

【0011】
サクサグリプチンは、米国特許第6,395,767号および国際公開第01/68603号の実施例60に具体的に開示されている。一実施形態において、サクサグリプチンは、国際公開第2004/052850号に開示されているように、そのHCl塩またはその一安息香酸塩の形態である。さらなる実施形態において、サクサグリプチンは、遊離塩基の形態である。さらなる実施形態において、サクサグリプチンは、国際公開第2004/052850号に開示されているように、遊離塩基の一水和物の形態である。サクサグリプチンのHCl塩および遊離塩基の結晶形態が、国際公開第2008/131149号に開示されている。また、サクサグリプチンを調製するための方法が、国際公開第2005/106011号および国際公開第2005/115982号に開示されている。サクサグリプチンは、国際公開第2005/117841号に記載のように錠剤として製剤化することができる。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0012】
以下の構造式Eを有するアログリプチン(SYR−322)は、2−({6−[(3R)−3−アミノピペリジン−1−イル]−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}メチル)ベンゾニトリルである。
【化4】

【0013】
アログリプチンは、米国特許出願公開第2005/261271号、EP1586571および国際公開第2005/095381号に具体的に開示されている。一実施形態において、アログリプチンは、それぞれ国際公開第2007/035629号に開示されているように、その安息香酸塩、その塩酸塩またはそのトシル酸塩の形態である。この実施形態のクラスは、アログリプチン安息香酸塩を指す。アログリプチン安息香酸塩の多形体が、国際公開第2007/035372号に開示されている。アログリプチンを調製するための方法が、国際公開第2007/112368号、および特に国際公開第2007/035629号に開示されている。アログリプチン(すなわちその安息香酸塩)は、国際公開第2007/033266号に記載のように錠剤として製剤化し、投与することができる。アログリプチンのメトホルミンまたはピオグリタゾンとの製剤化が、それぞれ国際公開第2008/093882号または国際公開第2009/011451号に記載されている。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0014】
(2S)−1−{[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エチルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリルもしくはその薬学的に許容される塩、好ましくはメシル酸塩、または(2S)−1−{[1,1,−ジメチル−3−(4−ピリジン−3−イル−イミダゾール−1−イル)−プロピルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリルもしくはその薬学的に許容される塩。
これらの化合物およびその調製のための方法は、国際公開第03/037327号に開示されている。前者の化合物のメシル酸塩およびその結晶多形体が、国際公開第2006/100181号に開示されている。後者の化合物のフマル酸塩およびその結晶多形体が、国際公開第2007/071576号に開示されている。これらの化合物は、国際公開第2007/017423号に記載のように医薬組成物として製剤化することができる。したがって、例えばこれらの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0015】
(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチル−ピロリジン−2−オンまたはその薬学的に許容される塩:
【化5】

この化合物およびその調製のための方法は、国際公開第2005/000848号に開示されている。また、この化合物(具体的にはその二塩酸塩)を調製するための方法が、国際公開第2008/031749号、国際公開第2008/031750号および国際公開第2008/055814号に開示されている。この化合物は、国際公開第2007/017423号に記載のように医薬組成物として製剤化することができる。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0016】
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノンまたはその薬学的に許容される塩。
この化合物およびその調製のための方法は、国際公開第2005/116014号および米国特許第7291618号に開示されている。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0017】
(1((3S,4S)−4−アミノ−1−(4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピロリジン−3−イル)−5,5−ジフルオロピペリジン−2−オンまたはその薬学的に許容される塩:
【化6】

この化合物およびその調製のための方法は、国際公開第2007/148185号および米国特許出願公開第20070299076号に開示されている。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0018】
(2S,4S)−1−{2−[(3S,1R)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンチルアミノ]−アセチル}−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリルまたはその薬学的に許容される塩:
【化7】

この化合物およびその調製のための方法は、国際公開第2006/040625号および国際公開第2008/001195号に開示されている。具体的に請求される塩には、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩が含まれる。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0019】
(R)−2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩:
【化8】

【0020】
この化合物ならびにその調製および使用のための方法は、国際公開第2005/095381号、米国特許出願公開第2007060530号、国際公開第2007/033350号、国際公開第2007/035629号、国際公開第2007/074884号、国際公開第2007/112368号および国際公開第2008/033851号に開示されている。具体的に請求される塩には、コハク酸塩(国際公開第2008/067465号)、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、(R)−マンデル酸塩および塩酸塩が含まれる。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
【0021】
5−{(S)−2−[2−((S)−2−シアノ−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチルアミノ]−プロピル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2,8−ジカルボン酸ビス−ジメチルアミドまたはその薬学的に許容される塩:
【化9】

この化合物およびその調製のための方法は、国際公開第2006/116157号および米国特許出願公開第2006/270701号に開示されている。したがって、例えばこの化合物またはその塩を製造、製剤化、または使用する方法に関する詳細は、これらの文献を参照されたい。
いかなる疑念をも回避するために、上で引用された上記文献のそれぞれの開示は、参照によりその全内容が本明細書に具体的に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ここで、驚くべきことに、本発明の範囲内において、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤が、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/もしくは肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)ならびに/またはそれに関連する疾患(例えば、糖尿病、インスリン非感受性、肝臓グルコース過剰産生および/もしくは代謝症候群等)もしくはそれに付随する疾患(例えば、心臓血管疾患および/もしくはアテローム性動脈硬化もしくは他の(心臓)代謝障害等)の治療ならびに/または予防(その予防、緩徐化、遅延、および/またはその進行の反転もしくは発生の低減もしくは開始の遅延を含む)、ひいては肝硬変(不可逆的な肝臓の進行性の瘢痕化)および/もしくは肝細胞癌の予防に特に好適とする、驚異的で特に有利な特性を有することが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
加えて、本発明はさらに、インスリン感受性の改善における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、肝臓におけるグルコース産生の低下における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、インスリン抵抗性および/またはインスリン抵抗症候群の治療および/または予防における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、代謝症候群の治療および/または予防における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
【0024】
本発明はさらに、例えばNAFLD/NASH、(中心性)肥満、糖尿病、異常脂質血症、高血圧および/またはアテローム性(心臓)血管疾患もしくは損傷等の代謝症候群に関連した特徴のうちの1つまたは複数の治療および/または予防における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、(例えばTZDおよび/またはメトホルミンを使用した)NAFLD/NASHの既存の治療に関連した副作用のリスクの予防および/または低減における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
さらに、本発明は、例えばNAFLD/NASHの治療中の内皮機能不全および/または心臓血管疾患のリスクの低減のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤をさらに提供する。
【0025】
また、本発明は、体重の低減または体重の増加の予防または体重の低減の促進または体脂肪分布に対するプラスの作用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、肥満、特に重度または極度の肥満(例えばクラスIIまたはIII)、例えばBMI≧35kg/m2またはさらに≧40kg/m2(または日本人患者の場合≧30kg/m2)、特に腹部肥満および/または内臓型肥満の治療および/または予防における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、特にNAFLD/NASHに罹患した、またはそのリスクを有する患者、例えば、NAFLD、代謝症候群、インスリン抵抗性、IGT、IFG、体重過多、肥満(例えばBMI≧25〜30kg/m2、ウエスト周り>88(女性)〜102(男性)cm、および/またはウエスト:ヒップ比>0.85(女性)〜0.9(男性)、特に内臓型肥満および/または腹部肥満)、異常脂質血症(高脂血症、特に高トリグリセリド血症(例えば血液トリグリセリドレベル≧150mg/dL)および/または低HDL血症(例えば血液HDLコレステロールレベル<40(男性)〜50(女性)mg/dL)を含む)、糖尿病(特に2型糖尿病)、高血圧(例えば≧130/≧85mmHg)、高血糖症、高インスリン血症、高尿酸血症、重度の睡眠時無呼吸、多嚢胞性卵巣症候群、ならびに慢性C型肝炎感染症から選択される1種または複数の障害を有する、特に45歳を超える高齢患者を含む患者における、NAFLD/NASHおよび/またはそれに関連もしくは付随する疾患もしくは障害の治療および/または予防(その発症もしくは進行のリスクの低減を含む)のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
【0026】
本発明はさらに、NAFLD/NASHを有する患者における代謝障害または疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)の治療および/または予防(その発症もしくは進行のリスクの低減を含む)のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
【0027】
さらに、本発明の別の態様によれば、特にNAFLDを有する患者における、以下の目的:
−代謝障害または疾患、例えば1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖症、体重過多、肥満、異常脂質血症、高脂血症、高コレステロール血症、高血圧、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、骨粗しょう症、慢性全身性炎症、網膜症、神経障害、腎症および/または代謝症候群の予防、その進行の緩徐化、遅延または治療;
−血糖コントロールの改善ならびに/または空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコースおよび/もしくはグリコシル化血色素HbA1cの低減;
−耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性および/または代謝症候群から2型糖尿病までの予防、緩徐化、遅延またはその進行の反転;
−糖尿病の合併症、例えば微小血管および大血管疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、心臓血管もしくは脳血管疾患、組織虚血、糖尿病性足病変もしくは潰瘍、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定狭心症、安定狭心症、末梢動脈閉塞疾患、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄、および/または脳卒中の予防、そのリスクの低減、その進行の緩徐化、その遅延または治療;
−体重の低減または体重の増加の予防または体重の低減の促進;
−膵臓β細胞の変性および/もしくは膵臓β細胞の機能性の低下の予防、緩徐化、遅延もしくは治療、ならびに/または膵臓β細胞の機能性の改善および/もしくは回復、ならびに/または膵臓インスリン分泌の機能性の刺激および/もしくは回復;
−従来の(経口)抗高脂血症薬に関連した副作用のリスクの低減;ならびに/または
−インスリン感受性の維持および/もしくは改善、ならびに/または高インスリン血症および/もしくはインスリン抵抗性の治療もしくは予防
のうちの1つまたは複数のための薬物の製造のための、1種または複数の他の活性物質、例えば本明細書に記載の物質のいずれか等と組み合わせてもよい、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤の使用が提供される。
【0028】
加えて、本発明はさらに、線維症、例えば肝臓、肺、皮膚、心臓または腎臓の線維症等の治療および/または予防における使用のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を提供する。
本発明はさらに、上述または後述される疾患、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防用医薬組成物の製造のための、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤の使用を提供する。
本発明はさらに、上述の疾患、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のためのキットオブパーツを含む、固定された、または固定されていない組合せを提供し、前記組合せは、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を含み、また1種または複数の他の活性物質、例えば本明細書に記載の物質のうちのいずれか、特にメトホルミンまたはピオグリタゾンまたはARB(例えばテルミサルタン等)を含んでもよい。
【0029】
本発明はさらに、上記の疾患、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防用の医薬組成物の製造のための、1種または複数の他の活性物質、例えば本明細書に記載の物質のうちのいずれか、特にメトホルミンまたはピオグリタゾンまたはARB(例えばテルミサルタン等)と組み合わせた、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤の使用を提供する。
本発明はさらに、上述の疾患、特に非アルコール性脂肪肝疾患(特に糖尿病性NAFLD)の治療および/または予防における使用のための医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を含み、また、例えば活性成分の別個の、連続的、同時、併用、または時間的に交互の使用のため等の、1種または複数の他の活性物質、例えば本明細書に記載の物質のうちのいずれか、特にメトホルミンまたはピオグリタゾンまたはARB(例えばテルミサルタン等)を含んでもよい。
【0030】
本発明はさらに、上述の疾患、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を唯一の活性成分として含み、または、1種または複数の他の活性物質、例えば本明細書に記載の物質のうちのいずれか、特にメトホルミンまたはピオグリタゾンまたはARB(例えばテルミサルタン等)と共に含んでもよく、また1種または複数の薬学的に許容される担体および/もしくは希釈剤と共に含んでもよい。
本発明はさらに、上記の疾患のうちのいずれか、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を治療および/または予防する方法を提供し、前記方法は、それを必要とする対象(特に人間の患者)に、単独でもよく、または例えば有効量の1種、2種もしくはそれ以上の他の活性物質、例えば本明細書に記載の物質のいずれか、特にメトホルミンもしくはピオグリタゾンもしくはARB(例えばテルミサルタン等)と別個に、連続的に、同時に、併用して、もしくは時間的に交互に組み合わせてもよい、有効量の本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】食事誘導肥満マウスで得られた結果を示す図である。
【図2】食事誘導肥満マウスで得られた結果を示す図である。
【図3】BI1356の体重に対する効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の一実施形態において、本発明の意味の範囲内の非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、これらに限定されないが、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む。
本発明の特別な実施形態において、本発明の意味の範囲内の非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を指す。
本発明の一実施形態において、本発明の治療は、患者の1つまたは複数の組織病理学的特徴、例えば門脈炎症、脂肪肝、気球状変性、および/または小葉炎症における改善を提供する。
本発明の意味の範囲内のDPP−4阻害剤は、これらに限定されないが、上述および後述のDPP−4阻害剤のいずれか、好ましくは経口活性DPP−4阻害剤を含む。
【0033】
第1の実施形態(実施形態A)において、本発明に関連したDPP−4阻害剤は、
式(I)
【化10】

【0034】
または式(II)
【化11】

または式(III)
【化12】

【0035】
または式(IV)
【化13】

(式中、R1は、([1,5]ナフチリジン−2−イル)メチル、(キナゾリン−2−イル)メチル、(キノキサリン−6−イル)メチル、(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル、2−シアノ−ベンジル、(3−シアノ−キノリン−2−イル)メチル、(3−シアノ−ピリジン−2−イル)メチル、(4−メチル−ピリミジン−2−イル)メチル、もしくは(4,6−ジメチル−ピリミジン−2−イル)メチルを示し、R2は、3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル、(2−アミノ−2−メチル−プロピル)−メチルアミノもしくは(2−(S)−アミノ−プロピル)−メチルアミノを示す)
またはその薬学的に許容される塩の任意のDPP−4阻害剤である。
【0036】
第2の実施形態(実施形態B)において、本発明に関連したDPP−4阻害剤は、
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、
(2S)−1−{[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エチルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリル、
(2S)−1−{[1,1,−ジメチル−3−(4−ピリジン−3−イル−イミダゾール−1−イル)−プロピルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリル、
(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチル−ピロリジン−2−オン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノン、
(1((3S,4S)−4−アミノ−1−(4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピロリジン−3−イル)−5,5−ジフルオロピペリジン−2−オン、
(2S,4S)−1−{2−[(3S,1R)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンチルアミノ]−アセチル}−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル、
(R)−2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル、および
5−{(S)−2−[2−((S)−2−シアノ−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチルアミノ]−プロピル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2,8−ジカルボン酸ビス−ジメチルアミド、
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択されるDPP−4阻害剤である。
【0037】
第1の実施形態(実施形態A)に関して、好ましいDPP−4阻害剤は、以下の化合物およびその薬学的に許容される塩のいずれかまたはすべてである:
・ 1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2004/018468号、実施例2(142)を比較されたい):
【化14】

【0038】
・ 1−[([1,5]ナフチリジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2004/018468号、実施例2(252)を比較されたい):
【化15】

【0039】
・ 1−[(キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2004/018468号、実施例2(80)を比較されたい):
【化16】

【0040】
・ 2−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−(ブト−2−イニル(yinyl))−5−(4−メチル−キナゾリン−2−イルメチル)−3,5−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−d]ピリダジン−4−オン(国際公開第2004/050658号、実施例136を比較されたい):
【化17】

【0041】
・ 1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン(butyin)−1−イル)−8−[(2−アミノ−2−メチル−プロピル)−メチルアミノ]−キサンチン(国際公開第2006/029769号、実施例2(1)を比較されたい):
【化18】

【0042】
・ 1−[(3−シアノ−キノリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2005/085246号、実施例1(30)を比較されたい):
【化19】

【0043】
・ 1−(2−シアノ−ベンジル)−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2005/085246号、実施例1(39)を比較されたい):
【化20】

【0044】
・ 1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−[(S)−(2−アミノ−プロピル)−メチルアミノ]−キサンチン(国際公開第2006/029769号、実施例2(4)を比較されたい):
【化21】

【0045】
・ 1−[(3−シアノ−ピリジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2005/085246号、実施例1(52)を比較されたい):
【化22】

【0046】
・ 1−[(4−メチル−ピリミジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2005/085246号、実施例1(81)を比較されたい):
【化23】

・ 1−[(4,6−ジメチル−ピリミジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2005/085246号、実施例1(82)を比較されたい):
【化24】

【0047】
・ 1−[(キノキサリン−6−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(国際公開第2005/085246号、実施例1(83)を比較されたい):
【化25】

【0048】
これらのDPP−4阻害剤は、並外れた効力および長期間持続する効果と、有利な薬理学的特性、受容体選択性および有利な副作用プロファイルとを組み合わせる、または、他の薬学的活性物質と組み合わせると予想外の治療上の利点もしくは改善をもたらすため、構造的に同等のDPP−4阻害剤から区別される。それらの調製は、前述の出版物に開示されている。
本発明の実施形態Aの上述のDPP−4阻害剤のうち、より好ましいDPP−4阻害剤は、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、特にその遊離塩基(BI1356としても知られる)である。
【0049】
第2の実施形態(実施形態B)に関して、好ましいDPP−4阻害剤は、サクサグリプチンおよびアログリプチン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
別段に指定されない限り、本発明によれば、上述および後述の活性化合物(DPP−4阻害剤を含む)の定義には、その薬学的に許容される塩ならびにその水和物、溶媒和物および多形体も含まれることを理解されたい。その塩、水和物および多形体について、本明細書において参照されているものを特に参照されたい。
【0050】
実施形態Aについて、本発明の実施形態AによるDPP−4阻害剤の合成方法は、当業者に知られている。有利には、本発明の実施形態AによるDPP−4阻害剤は、文献に記載の合成方法を用いて調製することができる。したがって、例えば、式(I)のプリン誘導体は、その開示が本明細書に組み込まれる国際公開第2002/068420号、国際公開第2004/018468号、国際公開第2005/085246号、国際公開第2006/029769号または国際公開第2006/048427号に記載のように得ることができる。式(II)のプリン誘導体は、例えば、その開示が本明細書に組み込まれる国際公開第2004/050658号または国際公開第2005/110999号に記載のように得ることができる。式(III)および(IV)のプリン誘導体は、例えば、その開示が本明細書に組み込まれる国際公開第2006/068163号、国際公開第2007/071738号または国際公開第2008/017670号に記載のように得ることができる。具体的に上述されているそれらのDPP−4阻害剤の調製は、それに関連して挙げられている文献に開示されている。特定のDPP−4阻害剤の多形結晶性修飾物および製剤が、その開示の全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2007/128721号および国際公開第2007/128724号にそれぞれ開示されている。特定のDPP−4阻害剤のメトホルミンまたは他の組合せパートナーとの製剤が、その開示の全体が本明細書に組み込まれるPCT/EP2009053978に記載されている。BI1356/メトホルミンの二成分の組合せの典型的な用量強度は、2.5/500mg、2.5/850mgおよび2.5/1000mgであり、これらはそれぞれ、1日1回または2回、特に1日2回経口投与することができる。
【0051】
実施形態Bについて、実施形態BのDPP−4阻害剤の合成方法は、科学文献および/または公開された特許文献に、特に本明細書で引用されている文献に記載されている。
温血脊椎動物、特に人間における医薬的用途において、本発明の化合物は、通常、0.001〜100mg/体重kg、好ましくは0.1〜15mg/体重kgの用量で、それぞれの場合において1日1〜4回使用される。この目的のために、他の活性物質と組み合わせてもよい化合物は、1種または複数の不活性な従来の担体および/または希釈剤とともに、例えばトウモロコシデンプン、乳糖、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、もしくは固い脂肪等の脂肪性物質、またはこれらの好適な混合物とともに、素錠剤もしくは被覆錠剤、カプセル剤、粉剤、懸濁剤または坐剤等の従来のガレヌス製剤に組み込むことができる。
【0052】
したがって、本明細書で定義されるDPP−4阻害剤を含む本発明による医薬組成物は、当技術分野において説明されるような薬学的に許容される製剤用賦形剤を使用して、当業者により調製される。そのような賦形剤の例には、これらに限定されないが、希釈剤、結合剤、担体、充填剤、滑剤、流動促進剤、結晶化遅延剤、崩壊剤、安定剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤および乳化剤が含まれる。
実施形態Aによる化合物に好適な希釈剤の例には、セルロース粉末、リン酸水素カルシウム、エリスリトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、アルファ化デンプンまたはキシリトールが含まれる。
実施形態Aによる化合物に好適な滑剤の例には、タルク、ポリエチレングリコール、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、水添ヒマシ油またはステアリン酸マグネシウムが含まれる。
【0053】
実施形態Aによる化合物に好適な結合剤の例には、コポビドン(ビニルピロリドンと他のビニル誘導体との共重合物)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アルファ化デンプンまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)が含まれる。
実施形態Aによる化合物に好適な崩壊剤の例には、トウモロコシデンプンまたはクロスポビドンが含まれる。
【0054】
本発明の実施形態AによるDPP−4阻害剤の医薬製剤の好適な調製方法は、
・ 好適な錠剤化用賦形剤との粉末混合物としての活性物質の直接錠剤化、
・ 好適な賦形剤を用いた造粒と、それに続く好適な賦形剤との混合と、それに続く錠剤化およびフィルム被覆、または
・ 粉末混合物もしくは顆粒のカプセルへの封入
である。
好適な造粒方法は、
・ インテンシブミキサー内での湿式造粒、その後の流動層乾燥、
・ ワンポット造粒、
・ 流動層造粒、または
・ 好適な賦形剤を用いた乾式造粒(例えばローラー圧密による)と、それに続く錠剤化もしくはカプセルへの封入
である。
【0055】
本発明のDPP−4阻害剤の剤形、製剤化および投与に関する詳細は、科学文献および/または公開された特許文献を、特に本明細書で引用されている文献を参照されたい。
第1の実施形態(実施形態A)について、本明細書において実施形態Aに記載のDPP−4阻害剤の典型的に必要とされる用量は、静脈内投与される場合、0.1mg〜10mg、好ましくは0.25mg〜5mgであり、経口投与される場合、0.5mg〜100mg、好ましくは2.5mg〜50mgまたは0.5mg〜10mg、より好ましくは2.5mg〜10mgまたは1mg〜5mgであり、いずれの場合も1日1〜4回である。したがって、例えば、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチンの用量は、経口投与される場合、患者1人当たり、1日当たり5mg〜50mg、20mg〜50mg、0.5mg〜10mg、または2.5mg〜10mgまたは1mg〜5mgであってもよい。
【0056】
本明細書において実施形態Aに記載のDPP−4阻害剤を含む医薬組成物で調製された剤形は、0.1〜100mgの用量範囲で活性成分を含有する。したがって、例えば、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチンの具体的な用量強度は、0.5mg、1mg、2.5mg、5mgおよび10mgである。
治療および/または予防における使用に必要な本発明の化合物の量は、例えば治療および/または予防されている疾患または状態の性質および段階によって変動し得ることが理解されるであろう。
【0057】
第2の実施形態(実施形態B)について、例えば体重約70kgの人間等の哺乳動物に投与される、本明細書において実施形態Bに記載のDPP−4阻害剤の用量は、一般的には、1人当たり、1日当たり約0.5mg〜約350mg、例えば約10mg〜約250mg、好ましくは20〜200mg、より好ましくは20〜100mgの活性部分であり、または、1人当たり、1日当たり約0.5mg〜約20mg、好ましくは2.5〜10mgであり、好ましくは、例えば同じサイズであってもよい1回〜4回の単回投与に分けられる。単回投与強度は、例えば、10mg、25mg、40mg、50mg、75mg、100mg、150mgおよび200mgのDPP−4阻害剤活性部分を含む。
【0058】
DPP−4阻害剤シタグリプチンの用量強度は、通常、25mgから200mgの間の活性部分である。シタグリプチンの推奨される用量は、活性部分(遊離塩基無水物)に対して計算して、1日1回100mgである。シタグリプチン遊離塩基無水物(活性部分)の単位用量強度は、25mg、50mg、75mg、100mg、150mgおよび200mgである。シタグリプチンの具体的な単位用量強度(例えば錠剤当たり)は、25mg、50mgおよび100mgである。医薬組成物中、シタグリプチン遊離塩基無水物と当量、すなわちそれぞれ32.13mg、64.25mg、96.38mg、128.5mg、192.75mg、および257mgのシタグリプチンリン酸塩一水和物が使用される。腎不全の患者には、25mgおよび50mgのシタグリプチンの調節された用量が使用される。シタグリプチン/メトホルミンの二成分の組合せの典型的な用量強度は、50/500mgおよび50/1000mgであり、これらはそれぞれ、1日1回または2回、特に1日2回経口投与することができる。
【0059】
DPP−4阻害剤ビルダグリプチンの用量範囲は、通常、1日10mgから150mgの間、特に、1日25mgから150mg、25mgから100mgまたは25mgから50mgまたは50mgから100mgの間である。1日の経口用量の具体例は、25mg、30mg、35mg、45mg、50mg、55mg、60mg、80mg、100mgまたは150mgである。さらに具体的な態様において、ビルダグリプチンの1日投与量は、25mgから150mgの間、または50mgから100mgの間であってもよい。別のより具体的な態様において、ビルダグリプチンの1日投与量は、50mgまたは100mgであってもよい。活性成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1回または2回行われてもよい。具体的な用量強度は、50mgまたは100mgのビルダグリプチンである。ビルダリプチン/メトホルミンの二成分の組合せの典型的な用量強度は、50/850mgおよび50/1000mgであり、これらはそれぞれ、1日1回または2回、特に1日2回経口投与することができる。
【0060】
アログリプチンは、アログリプチン5mg/日から250mg/日の間の1日用量で患者に投与してもよく、10mgから200mgの間で投与してもよく、10mgから150mgの間で投与してもよく、また10mgから100mgの間で投与してもよい(それぞれの場合において、アログリプチンの遊離塩基形態の分子量を基準とする)。したがって、使用可能な具体的用量には、これらに限定されないが、1日当たりアログリプチン10mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mgおよび100mgが含まれる。アログリプチンは、その遊離塩基形態で、または薬学的に許容される塩として投与することができる。
【0061】
サクサグリプチンは、2.5mg/日から100mg/日の間の1日用量で患者に投与してもよく、2.5mgから50mgの間の1日用量で患者に投与してもよい。使用可能な具体的用量には、これらに限定されないが、1日当たりサクサグリプチン2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mgおよび100mgが含まれる。サクサグリプチン/メトホルミンの二成分の組合せの典型的な用量強度は、2.5/500mgおよび2.5/1000mgであり、これらはそれぞれ、1日1回または2回、特に1日2回経口投与することができる。
本発明のDPP−4阻害剤の特別な実施形態は、低用量レベルで、例えば患者1人当たり、1日当たりの経口投薬レベル<100mgまたは<70mg、好ましくは患者1人当たり、1日当たり<50mg、より好ましくは<30mgまたは<20mg、さらにより好ましくは1mg〜10mg、具体的には1mg〜5mg(より具体的には5mg)で治療上有効である、経口投与DPP−4阻害剤であり、必要な場合は、同じサイズであってもよい1回〜4回の単回投与、具体的には1回または2回の単回投与に分けられ、優先的には経口で1日1回または2回(より優先的には1日1回)投与され、有利には、1日のうち任意の時間に、食物とともに、または食物なしで投与される。したがって、例えば、1日経口量5mgのBI1356を、1日1回の投薬計画で(すなわち1日1回5mgのBI1356)、または1日2回の投薬計画で(すなわち1日2回2.5mgのBI1356)、1日のうち任意の時間に、食物とともに、または食物なしで与えることができる。
【0062】
本発明の意味の範囲内において重視される特に好ましいDPP−4阻害剤は、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン(BI1356としても知られる)である。BI1356は、高い効力、24時間の作用期間、および広い治療領域を示す。2型糖尿病に罹患した人において、BI1356は、プラセボのような安全性および耐容性を示す。約≧5mgの低用量では、BI1356は、全24時間のDPP−4阻害期間を有する真の1日1回経口薬として作用する。治療上の経口投薬レベルでは、BI1356は主に肝臓から排泄され、またごく僅かに(投与された経口用量の約<7%)腎臓から排泄される。BI1356は、主として胆汁を介して変化せずに排泄される。腎臓から排出されるBI1356の部分は、用量を増加させても経時的にごく僅かしか増加しないため、おそらく患者の腎機能に基づきBI1356の用量を変更する必要はないだろう。BI1356の腎臓以外の排出は、その低蓄積能および広い安全域と併せて、腎不全および糖尿病性腎症の高い有病率を有する糖尿病患者集団において極めて有益となり得る。
【0063】
異なる代謝機能障害が併発することが多いため、しばしば複数の異なる活性成分を互いに組み合わせることが指示される。したがって、診断された機能障害に依存して、DPP−4阻害剤をそれぞれの障害に対し慣例的な活性物質、例えば、他の抗糖尿病物質、特に、血液中の血糖レベルまたは脂質レベルを低下させる、血液中のHDLレベルを上昇させる、血圧を低下させる、またはアテローム性動脈硬化もしくは肥満の治療に適用される活性物質の中から選択される1種または複数の活性物質と組み合わせると、改善された治療成果を得ることができる。さらに、本発明の意味の範囲内において、追加的に、DPP−4阻害剤を1種または複数の酸化防止剤および/または抗炎症薬と組み合わせてもよい。またさらに、本発明の意味の範囲内において、追加的に、DPP−4阻害剤を1種または複数の血管内皮保護剤と組み合わせてもよい。
【0064】
上述したDPP−4阻害剤はまた、その単剤治療における使用の他に、他の活性物質と併用してもよく、それによって改善された治療結果を得ることができる。そのような併用治療は、物質の自由な組合せとして、または固定された組合せの形態、例えば錠剤もしくはカプセルとして行うことができる。これに必要な組合せパートナーの医薬製剤は、医薬組成物として商業的に得ることができるか、または当業者により従来の方法を用いて製剤化することができる。医薬組成物として商業的に得ることができる活性物質は、従来技術の多くの場所に、例えば毎年公開される薬物のリスト、製薬産業連合の「Rote Liste(登録商標)」、または、「Physicians’ Desk Reference」として知られる処方薬に関する製造者の情報の年刊編集物に記載されている。
【0065】
抗糖尿病組合せパートナーの例は、メトホルミン;グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリドおよびグリクラジド等のスルホニル尿素;ナテグリニド;レパグリニド;ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン等のチアゾリジンジオン;メタグリダセン(metaglidases)等のPPARγ修飾物質;GI262570等のPPARγ作動薬;PPARγ拮抗薬;テサグリタザル、ムラグリタザルおよびKRP297等のPPARγ/α修飾物質;PPARγ/α/δ修飾物質;AICAR等のAMPK活性化剤;アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC1およびACC2)阻害剤;ジアシルグリセロール−アセチルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤;SMT3受容体作動薬およびGPR119等の膵臓β細胞GCRP作動薬;11β−HSD阻害剤;FGF19作動薬または類似体;アカルボース、ボグリボースおよびミグリトール等のαグルコシダーゼ遮断薬;α2拮抗薬;ヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリングルシリン(insulin glusilin)、r−DNAインスリンアスパルト、NPHインスリン、インスリンデテミール、インスリン亜鉛懸濁液およびインスリングラルギン等のインスリンおよびインスリン類似体;胃抑制ペプチド(GIP);プラムリンチド;アミリンまたはExendin−4等のGLP−1およびGLP−1類似体、例えばエクセナチド、エクセナチドLAR、リラグルチド、タスポグルチドまたはアルビグルチド等;KGT−1251等のSGLT2阻害剤;タンパク質チロシンホスファターゼの阻害剤;グルコース−6−ホスファターゼの阻害剤;フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ修飾物質;グリコーゲンホスホリラーゼ修飾物質;グルカゴン受容体拮抗薬;ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤;ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDK)阻害剤;PDGF受容体キナーゼ等のチロシンキナーゼの阻害剤(50mg〜600mg)(EP−A−564409、国際公開第98/35958号、米国特許第5093330号、国際公開第2004/005281号、および国際公開第2006/041976号を参照);グルコキナーゼ活性化剤を含むグルコキナーゼ/調節タンパク質修飾物質;グリコーゲン合成酵素キナーゼ阻害剤;SH2ドメイン含有イノシトール5−ホスファターゼ2型(SHIP2)の阻害剤;高用量サリチレート等のIKK阻害剤;JNK1阻害剤;タンパク質キナーゼC−θ阻害剤;リトベグロン、YM178、ソラベグロン、タリベグロン、N−5984、GRC−1087、ラファベグロン、FMP825等のβ3作動薬;AS3201、ゼナレスタット、フィダレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、NZ−314、CP−744809、およびCT−112等のアルドース還元酵素阻害剤;SGLT−1またはSGLT−2阻害剤;KV1.3チャンネル阻害剤;GPR40修飾物質;SCD−1阻害剤;CCR−2拮抗薬;ドーパミン受容体作動薬(メシル酸ブロモクリプチン/Cycloset);ならびに他のDPP IV阻害剤である。
【0066】
抗糖尿病組合せパートナーの好ましい例はメトホルミンであり、これは通常、様々な投薬計画を用いて、1日当たり約250mg〜3000mg、具体的には500mg〜2000mgから2500mgまでの様々な用量、例えば、通常約100mg〜500mgもしくは200mg〜850mg(1日1〜3回)、または1日1回もしくは2回約300mg〜1000mgの用量で与えられ、あるいは、1日1回もしくは2回約100mg〜1000mgもしくは好ましくは500mg〜1000mg、または1日1回約500mg〜2000mgの用量の遅延放出メトホルミンが与えられる。具体的な用量強度は、250mg、500mg、625mg、750mg、850mgおよび1000mgの塩酸メトホルミンであってもよい。
【0067】
別の好ましい例は、通常1日1回約1〜10mg、15mg、30mg、または45mgの用量のピオグリタゾンである。
ロシグリタゾンは、通常、1日1回(または2回に分割)4〜8mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は2mg、4mgおよび8mgである)。
【0068】
グリベンクラミド(グリブリド)は、通常、1日1回(または2回に分割)2.5〜5mgから20mgの用量で与えられ(典型的な用量強度は1.25mg、2.5mgおよび5mgである)、または、微粉化されたグリベンクラミドが1日1回(または2回に分割)0.75〜3mgから12mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は1.5mg、3mg、4.5mgおよび6mgである)。
【0069】
グリピジドは、通常、1日1回(2回に分割して最大40mg)2.5mgから10〜20mgの用量で与えられ(典型的な用量強度は5mgおよび10mgである)、または、徐放性グリピジドが1日1回5〜10mg(最大20mg)の用量で与えられる(典型的な用量強度は2.5mg、5mgおよび10mgである)。
【0070】
グリメピリドは、通常、1日1回1〜2mgから4mg(最大8mg)の用量で与えられる(典型的な用量強度は1mg、2mgおよび4mgである)。
グリベンクラミド/メトホルミンの二成分の組合せは、通常、1日1回1.25/250〜1日2回10/1000mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は1.25/250mg、2.5/500mgおよび5/500mgである)。グリピジド/メトホルミンの二成分の組合せは、通常、1日2回2.5/250〜10/1000mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は2.5/250mg、2.5/500mgおよび5/500mgである)。グリメピリド/メトホルミンの二成分の組合せは、通常、1日2回1/250〜4/1000mgの用量で与えられる。
【0071】
ロシグリタゾン/グリメピリドの二成分の組合せは、通常、1日1回または2回4/1〜1日2回4/2mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は4/1mg、4/2mg、4/4mg、8/2mgおよび8/4mgである)。ピオグリタゾン/グリメピリドの二成分の組合せは、通常、1日1回30/2〜30/4mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は30/4mgおよび45/4mgである)。ロシグリタゾン/メトホルミンの二成分の組合せは、通常、1日2回1/500〜4/1000mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は1/500mg、2/500mg、4/500mg、2/1000mgおよび4/1,000mgである)。ピオグリタゾン/メトホルミンの二成分の組合せは、通常、1日1回または2回15/500〜1日3回15/850mgの用量で与えられる(典型的な用量強度は15/500mgおよび15/850mgである)。
【0072】
非スルホニル尿素インスリン分泌促進剤ナテグリニドは、通常、食事とともに60〜120mgの用量で与えられ(最大360mg/日、典型的な用量強度は60mgおよび120mgである);レパグリニドは、通常、食事とともに0.5〜4mgの用量で与えられる(最大16mg/日、典型的な用量強度は0.5mg、1mgおよび2mgである)。レパグリニド/メトホルミンの二成分の組合せは、1/500mgおよび2/850mgの用量強度で使用可能である。
アカルボースは、通常、食事とともに25〜100mgの用量で与えられる(最大300mg/日、典型的な用量強度は25mg、50mgおよび100mgである)。ミグリトールは、通常、食事とともに25〜100mgの用量で与えられる(最大300mg/日、典型的な用量強度は25mg、50mgおよび100mgである)。
【0073】
血液中の脂質レベルを低下させる組合せパートナーの例は、シンバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチンおよびロスバスタチン等のHMG−CoA還元酵素阻害剤;ベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、エトフィブラートおよびエトフィルリンクロフィブラート等のフィブラート;アシピモックス等のニコチン酸およびその誘導体;PPARα作動薬;PPARδ作動薬;アバシミベ等のアシルコエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT;EC2.3.1.26)の阻害剤;エゼチミブ等のコレステロール吸収阻害剤;コレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラム等の胆汁酸に結合する物質;胆汁酸輸送阻害剤;D4F、リバースD4F、LXR調節活性物質およびFXR調節活性物質等のHDL調節活性物質;トルセトラピブ、JTT−705/ダルセトラピブ、アナセトラピブまたは国際公開第2007/005572号の化合物12等のCETP阻害剤;LDL受容体修飾物質;ならびにApoB100アンチセンスRNAである。
パートナー薬アトロバスタチンの用量は、通常、1日1回1mg〜40mg、または10mg〜80mgである。
【0074】
血圧を低下させる組合せパートナーの例は、アテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロールおよびカルベジロール等のβ遮断薬;ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン(chlortalidon)、キシパミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エプレレノン、アミロライドおよびトリアムテレン等の利尿薬;アムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミルおよびジルチアゼム等のカルシウムチャンネル遮断薬;ラミプリル、リシノプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリル、エナラプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、フォシノプリルおよびトランドラプリル等のACE阻害剤;ならびにテルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタンおよびエプロサルタン等のアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)である。
パートナー薬テルミサルタンの用量は、通常、1日20mg〜320mg、または40mg〜160mgである。
【0075】
血液中のHDLレベルを増加させる組合せパートナーの例は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤;血管内皮リパーゼの阻害剤;ABC1の調節因子;LXRα拮抗薬;LXRβ作動薬;PPARδ作動薬;LXRα/β調節因子、ならびにアポリポタンパク質A−Iの発現および/または血漿濃度を増加させる物質である。
肥満の治療のための組合せパートナーの例は、シブトラミン;テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット);アリザイム;デクスフェンフルラミン;アクソキン;CB1拮抗薬リモナバント(rimonobant)等のカンナビノイド受容体1拮抗薬;MCH−1受容体拮抗薬;MC4受容体作動薬;NPY5およびNPY2拮抗薬;SB−418790およびAD−9677等のβ3−AR作動薬;APD356等の5HT2c受容体作動薬;ミオスタチン阻害剤;Acrp30およびアディポネクチン;ステロイルCoAデサチュラーゼ(SCD1)阻害剤;脂肪酸合成酵素(FAS)阻害剤;CCK受容体作動薬;Ghrelin受容体修飾物質;Pyy3−36;オレキシン受容体拮抗薬;ならびにテソフェンシンである。
【0076】
アテローム性動脈硬化の治療のための組合せパートナーの例は、ホスホリパーゼA2阻害剤;PDGF受容体キナーゼ等のチロシンキナーゼの阻害剤(50mg〜600mg)(EP−A−564409、国際公開第98/35958号、米国特許第5093330号、国際公開第2004/005281号、および国際公開第2006/041976号を参照);oxLDL抗体およびoxLDLワクチン;apoA−1 Milano;ASA;ならびにVCAM−1阻害剤である。
酸化防止剤組合せパートナーの例は、セレン、ベタイン、ビタミンC、ビタミンEおよびベータカロテンである。
【0077】
抗炎症組合せパートナーの例はペントキシフィリンであり;抗炎症組合せパートナーの別の例は、例えばテトミラスト、ロフルミラスト、または3−[7−エチル−2−(メトキシメチル)−4−(5−メチル−3−ピリジニル)ピロロ[1,2−b]ピリダジン−3−イル]プロパン酸(または米国特許第7153854号、国際公開第2004/063197号、米国特許第7459451号および/もしくは国際公開第2006/004188号に開示されている他の種)等のPDE−4阻害剤である。
抗炎症パートナー薬のさらなる例は、例えば(3S)−5−フルオロ−3−({[(5R)−5−イソプロピル−3−(1−イソキノリニル)−4,5−ジヒドロ−5−イソオキサゾリル]カルボニル}アミノ−4−オキソペンタン酸(または国際公開第2005/021516号および/もしくは国際公開第2006/090997号に開示されている他の種)等のカスパーゼ阻害剤である。
【0078】
血管内皮保護剤の例は、例えばシルデナフィル、バルデナフィルまたはタダラフィル等のPDE−5阻害剤であり;血管内皮保護剤の別の例は、酸化窒素供与体である。
さらに、本発明の意味の範囲内において、追加的に、DPP−4阻害剤は、1種または複数のCCK−2またはガストリン作動薬、例えばプロトンポンプ阻害剤(胃H+/K+−ATPaseの可逆的および不可逆的阻害剤を含む)等、例えばオメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾールまたはランソプラゾールと組み合わせてもよい。
本発明の意味の範囲内において重視される特に好ましいDPP−4阻害剤は、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン遊離塩基(BI1356としても知られる)である。
【0079】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態により範囲が限定されるものではない。本明細書に記載のものに加え、本開示から、本発明の様々な修正が当業者には明らかとなり得る。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
本明細書において引用されるすべての特許出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。
以下の例から、本発明のさらなる実施形態、特徴および利点が明らかとなり得る。以下の例は、本発明の原理を制限することなくさらに例示的に示し、かつ/または本発明の理解を補助する役割を果たすが、限定として解釈されない。
【0080】
[例]
齧歯類における肝脂肪変性の実験モデル
動物および特別食
a)開始時6〜7週齢の雌db/dbマウス[C57BLKS/Bom−db/db;Charles−River社、Germany]を、DPP−4阻害剤で8週間処置する。動物を、5〜6匹のマウスの群で、餌および水道水に自由にアクセスできる状態でMakrolon(登録商標)ケージ内に維持する。部屋を次のように維持する:明暗リズム[午前6時〜午後6時に点灯]、室温22±2℃、相対湿度50±10%。DPP−4阻害剤を0.5%[w/v]ナトロゾルに懸濁させる。5ml/kgの量の強制投与によるDPP−4阻害剤の3mg/kg/日の連日単回経口投与を行う。対照動物には0.5%[w/v]ナトロゾルを同じく5ml/kgの量で与える。処置期間の最後[処置開始から8週間後]に、動物を解剖して肝生検試料を採取する。
b)開始時8〜10週齢の雄ZDFラット(ZDF/Crl−leprfa)を、3mg/kg/日の用量でDPP−4阻害剤で35日間毎日処置する。適用量は3ml/kgナトロゾルである。動物(n=8〜10)を単一のケージ内に収容する。部屋を次のように維持する:明暗リズム[午前6時〜午後6時に点灯]、室温22±2℃、相対湿度50±10%。
【0081】
c)食事誘導性脂肪症:雄C57BL/6マウス[C57BL/6NC、Charles River社、Germanyから供給]に、9週齢時に開始して、高脂肪食[D12492、脂肪60%kcal、5.24kcal/g、Research diets社製、New Brunswick、USA]を給餌する。動物には適宜餌および水を与える。動物を制御された条件下および明暗リズム[午前6時〜午後6時に点灯]に維持する。処置を開始する前に、動物に7週間高脂肪食を与える。その後、動物をDPP−4阻害剤で処置する(0.1〜10mg/kg/日経口、0.5%ナトロゾルまたはビヒクル中に懸濁、1日1回6週間)。一晩絶食後、動物を屠殺し、さらなる分析のために肝臓を摘出する。
d)MCD誘導性脂肪症:雄C57BL/6マウス[C57BL/6NC、Charles River社、Germanyから供給]に、実験期間にわたり通常食またはMCD(低メチオニンおよび低コリン食)(Research Diets社製、New Brunswick、USA)および水道水を適宜与える。まず、1週間の隔離および馴化期間の間、すべてのマウスに通常食を給餌する。次いで、9週齢時に、隔離および馴化期間の終わりに異常所見を示さないマウスを無作為に群(マウス8〜10匹/群)に分け、次のように5週間処置する:群1(通常)、通常食およびビヒクル(0.5%[w/v]ナトロゾル)を給餌;群2(MCD対照)、MCD食およびビヒクルを給餌;群3、MCD食およびDPP−4阻害剤(3mg/kg/日)を給餌。実験期間の最後に、マウスの尾静脈から血液試料を採取し、肝臓を採取した。剖検および組織学の項のように、炎症および線維症の組織学的分析を行う。
【0082】
肝臓トリグリセリド含量の検出
肝葉を溶解緩衝液(0.5%ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル(Sigma社製、P2393)、0.01M NaPi、1mM EDTA、pH7.4)中で均質化することにより、肝臓トリグリセリド測定用試料を得る。肝組織は、事前に同じ緩衝液中で95℃で10分間加熱する。最初の均質化の後、MP Biotech(FastPrep−24)機器およびオレンジキャップを使用して試料をさらに処理する(2×45秒)。次いで試料を3000rpmで2分間遠心分離する。上清をさらなる分析のために回収する。Sigma血清トリグリセリドキット(Sigma社製、TR0100)を使用して、トリグリセリド含量を測定する。
【0083】
剖検および組織学
適宜給餌した動物に対し剖検を行う。動物を3%イソフルラン/酸素[Isoba(登録商標)、バッチJ10417、Essex Pharma GmbH製、81737、Germany]で麻酔する。後の顕微鏡検査のために肝臓を摘出し4%パラホルムアルデヒド(paraformaldhyd)溶液中で固定する。光学顕微鏡により、肝リピドーシスを盲検的および半定量的に評価する。コード化されたスライド上で盲検的にスライドを検査し、以下のスキームに従いすべてのパラメータ(例えば脂肪症、炎症)を半定量的に評点する(重症度指数)。
スコア1=変化なし
スコア2=僅かな変化(罹患した肝組織<5%)
スコア3=軽度の変化(罹患した肝組織5〜15%)
スコア4=中程度の変化(罹患した肝組織15〜25%)
スコア5=重度の変化(罹患した肝組織>25%)
【0084】
NMR分光法を用いた肝脂肪変性の判定
NMR分光法による肝臓脂質含量のインビボ測定のために、食事誘導性脂肪症のC57BL/6マウスを、N2O:O2(70:30、v:v)ガス混合物中2%イソフルランの連続吸入により麻酔する。NMR測定は、BGA12勾配コイルシステムを備えたBruker BioSpec47/40スキャナ(Bruker BioSpin社製、Ettlingen、Germany)で行う。ボリュームコイルを励起に使用し、表面コイルを信号受信に使用する。解剖学的方位について、TR 135ms、TE 3.5ms、視野45×45mm2、マトリックス1282、スライス厚1.75mmのパラメータで、勾配エコーパルスシーケンスを使用して水平および軸方向MR像を含む試験的スキャンを得る。試験的スキャンに従い、対象ボクセル(VOI、3×3×3mm3)を肝臓の左腹側部に置く。TR 1050ms、TE 20ms、平均数32、デジタル分解能1024データ点のパラメータで、PRESSシーケンス(点分解分光)を使用してVOIにおける肝臓脂質をNMR分光法で測定する。市販のソフトウェアパッケージ、S.W.ProvencherによるLCModelを使用して、データを分析する。
上記動物モデルc)(食事誘導肥満マウス)では、BI1356について以下の結果が得られる。
DIOマウス、2カ月の高脂肪食(肝脂肪、処置後29日目/対照):図1
DIOマウス、4カ月の高脂肪食(肝脂肪、処置後21日目/対照):図2
本発明のDPP−4阻害剤の脂肪肝疾患に対する効果は、本明細書に記載のモデルにおいてテストすることができ、かつ/または上述および後述の方法により試験および検出することができる。様々な形態の線維症に対する効果は、以下の検出法に従い試験することができる:
【0085】
線維症の検出のための方法
RT−PCRによる特定のmRNAの定量的測定
急速冷凍組織約50mgの溶解緩衝液中での破壊および均質化の後、全RNAをRNeasy Mini−kit(Qiagen社製、Germany)を使用して単離する。I型コラーゲン、TGF−β1、プロコラーゲンα1(I)、TIMP−1(マトリックスメタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤)、メタロプロテアーゼ1、2、3、8、9、13(MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−13)、PDGF−β受容体およびα−平滑筋細胞アクチンの転写産物をTQ−PCRで分析し、GAPDH mRNAに対して正規化する。
【0086】
コラーゲンのシリウスレッド染色
ホルマリン固定パラフィン包埋組織からの5μm厚の切片を調製し、シリウスレッド(0.1%(w/v)シリウスレッドF3B(BDH Chemicals社製、UK)を含有する蒸留水中の飽和ピクリン酸)で染色して肝線維症を可視化する。一連の実験からのすべての試料を同時に染色し、盲検的に評価する。
【0087】
剖検および組織学
適宜給餌した動物に対し剖検を行う。動物を3%イソフルラン/酸素[Isoba(登録商標)、バッチJ10417、Essex Pharma GmbH製、81737、Germany]で麻酔する。後の顕微鏡検査のために臓器(肝臓、腎臓、肺等)を摘出し、4%パラホルムアルデヒド(paraformaldhyd)溶液中で固定する。光学顕微鏡により、線維症を盲検的および半定量的に評価する。コード化されたスライド上で盲検的にスライドを検査し、以下のスキームに従いすべてのパラメータを半定量的に評点する(重症度指数)1
スコア0=線維症なし
スコア1=一部の門脈管が膨張
スコア2=ほとんどの門脈管が膨張
スコア3=ほとんどの門脈管が膨張、+/−結合
スコア4=顕著な架橋(P−PおよびP−C結合)
スコア5=顕著な架橋、時折の結節(不完全な肝硬変)
スコア6=おそらくまたは確実に肝硬変
1)Ishakら、J Hepatol 22:696、1995
【0088】
磁気共鳴弾性率計測法を用いた線維症の判定
線維症は、組織の硬さおよび粘性の増加に関連する。生体組織の粘弾性は、組織を通る低周波機械的せん断波の伝播を測定することにより、磁気共鳴弾性率計測法(MRE)で評価することができる。せん断波の伝播は、非侵襲的磁気共鳴画像法(MRI)により可視化され、そこから組織の機械的特性のパラメータを導出することができる。前臨床試験では、MREは、線維症の既知の段階間を区別することができ、またその方法の結果は生検の判断基準の結果に対応することが示されている2
2)Salamehら、J.Magn.Reson.Imaging 26:956、2007
体重に対する効果:図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための、第1の実施形態(実施形態A)において、
式(I)
【化1】

または式(II)
【化2】

または式(III)
【化3】

または式(IV)
【化4】

(式中、R1は、([1,5]ナフチリジン−2−イル)メチル、(キナゾリン−2−イル)メチル、(キノキサリン−6−イル)メチル、(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル、2−シアノ−ベンジル、(3−シアノ−キノリン−2−イル)メチル、(3−シアノ−ピリジン−2−イル)メチル、(4−メチル−ピリミジン−2−イル)メチル、もしくは(4,6−ジメチル−ピリミジン−2−イル)メチルを示し、R2は、3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル、(2−アミノ−2−メチル−プロピル)−メチルアミノもしくは(2−(S)−アミノ−プロピル)−メチルアミノを示す)
またはその薬学的に許容される塩のDPP−4阻害剤;
あるいは、第2の実施形態(実施形態B)において、
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、
(2S)−1−{[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エチルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリル、
(2S)−1−{[1,1,−ジメチル−3−(4−ピリジン−3−イル−イミダゾール−1−イル)−プロピルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリル、
(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチル−ピロリジン−2−オン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノン、
(1((3S,4S)−4−アミノ−1−(4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピロリジン−3−イル)−5,5−ジフルオロピペリジン−2−オン、
(2S,4S)−1−{2−[(3S,1R)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンチルアミノ]−アセチル}−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル、
(R)−2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル、および
5−{(S)−2−[2−((S)−2−シアノ−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチルアミノ]−プロピル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2,8−ジカルボン酸ビス−ジメチルアミド、
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択されるDPP−4阻害剤。
【請求項2】
1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
1−[([1,5]ナフチリジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
1−[(キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
2−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−(ブト−2−イニル)−5−(4−メチル−キナゾリン−2−イルメチル)−3,5−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−d]ピリダジン−4−オン、
1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−[(2−アミノ−2−メチル−プロピル)−メチルアミノ]−キサンチン、
1−[(3−シアノ−キノリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
1−(2−シアノ−ベンジル)−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−[(S)−(2−アミノ−プロピル)−メチルアミノ]−キサンチン、
1−[(3−シアノ−ピリジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
1−[(4−メチル−ピリミジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
1−[(4,6−ジメチル−ピリミジン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、および
1−[(キノキサリン−6−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−((R)−3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチン、
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための請求項1に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項3】
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、
(2S)−1−{[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エチルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリル、
(2S)−1−{[1,1,−ジメチル−3−(4−ピリジン−3−イル−イミダゾール−1−イル)−プロピルアミノ]−アセチル}−ピロリジン−2−カルボニトリル、
(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチル−ピロリジン−2−オン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノン、
(1((3S,4S)−4−アミノ−1−(4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピロリジン−3−イル)−5,5−ジフルオロピペリジン−2−オン、
(2S,4S)−1−{2−[(3S,1R)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンチルアミノ]−アセチル}−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル、および
(R)−2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル、
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための請求項1に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項4】
1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチンである、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための請求項1に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項5】
前記非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝線維症からなる群から選択される、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項6】
肝脂肪変性の治療および/または予防における使用のための請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項7】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療および/または予防における使用のための請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項8】
肝線維症の治療および/または予防における使用のための請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤を含む、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための医薬組成物。
【請求項10】
メトホルミンをさらに含む、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ピオグリタゾンをさらに含む、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防における使用のための請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(特に糖尿病性NAFLD)の治療および/または予防用医薬組成物の製造のための、請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤の使用。
【請求項13】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、特に糖尿病に関連したNAFLD/NASHの治療および/または予防用医薬組成物の製造のための、請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤の使用。
【請求項14】
医薬組成物が、例えば活性成分の別個の、連続的、同時、併用、または時間的に交互の使用のため等の、血糖レベルの低下に使用される活性物質、血液中の脂質レベルの低下に使用される活性物質、血液中のHDLレベルの上昇に使用される活性物質、血圧の低下に使用される活性物質、アテローム性動脈硬化の治療に使用される活性物質、肥満の治療に使用される活性物質、酸化防止剤、および抗炎症薬を含む抗糖尿病物質からなる群から選択される1種または複数の他の活性物質をさらに含む、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
血糖レベルの低下に使用される活性物質、血液中の脂質レベルの低下に使用される活性物質、血液中のHDLレベルの上昇に使用される活性物質、血圧の低下に使用される活性物質、アテローム性動脈硬化の治療に使用される活性物質、肥満の治療に使用される活性物質、酸化防止剤、および抗炎症薬を含む抗糖尿病物質からなる群から選択される1種または複数の他の活性物質と組み合わせた、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防用医薬組成物の製造のための、請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤の使用。
【請求項16】
前記他の活性物質が、メトホルミンを含むビグアニド、ピオグリタゾンを含むチアゾリジノン、アトルバスタチンを含むスタチン、およびテルミサルタンを含むARBからなる群から選択される、請求項14または15に記載の使用。
【請求項17】
肝脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防のための説明の他に、血糖レベルの低下に使用される活性物質、血液中の脂質レベルの低下に使用される活性物質、血液中のHDLレベルの上昇に使用される活性物質、血圧の低下に使用される活性物質、アテローム性動脈硬化の治療に使用される活性物質、肥満の治療に使用される活性物質、酸化防止剤、抗炎症薬、および血管内皮保護剤を含む抗糖尿病物質からなる群から選択される1種、2種またはそれ以上の他の活性物質と組み合わせてもよい、請求項1から4のいずれか1項に記載のDPP−4阻害剤を含む医薬組成物を含有する、医薬パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−521003(P2011−521003A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511033(P2011−511033)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056722
【国際公開番号】WO2009/147125
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】