説明

NOx浄化装置の制御方法及び装置

【課題】内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置において、排気通路に設けられるNOx、NH3、温度センサ等の異常を検知するとともに、センサの異常時においても還元剤供給量を適正化してNOx浄化装置の性能維持を図ることを目的とする。
【解決手段】NOx触媒11の下流側に配設されたNOxセンサ21と、NOxセンサ21からの信号に基づいてNOx触媒11によるNOx浄化性能を算出する第1のNOx浄化性能算出手段33と、内燃機関からのNOx排出量を基にNOx触媒11のNOx浄化性能を算出する第2のNOx浄化性能算出手段37と、第1と第2のNOx浄化性能算出とを比較してNOxセンサ21の異常を判定する判定手段39を備えて、異常と判定したときに、第2のNOx浄化性能算出手段37により算出した浄化性能に基づいて還元剤の供給量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガス中のNOxを浄化するNOx浄化装置の制御方法および装置に関し、特に、排気系に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置の制御方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガスには、環境汚染を及ぼすおそれのあるNOx(NOやNO等の窒素酸化物)が含まれている。NOxを還元して排気ガスを浄化するために用いられる排気浄化装置として、尿素水溶液等のアンモニア由来の液体還元剤を用いた排気浄化装置が知られている。
【0003】
この排気浄化装置は、尿素水溶液等を還元触媒の上流側で排気通路内に噴射し、尿素が加水分解することによって生成されるアンモニアを還元触媒に吸着させ、還元触媒に流入してくるNOxを、アンモニアによって窒素や水等に分解して放出するものである。
【0004】
還元剤の要求噴射量は、内燃機関から排出されるNOx流量や、還元触媒の温度、還元触媒に吸着されているアンモニアの吸着量等を含む複数のパラメータ値に基づいて演算で求められる。
さらに高効率なNOx浄化性能を得るために、演算噴射量に加えてNOxおよびアンモニアに感応するセンサを用いて還元剤の実噴射量を補正することも行われている。
【0005】
また、特開2010−133354号公報(特許文献1)には、還元剤の噴射量の適正化を図るために、還元触媒の下流側にNOx及びアンモニアに感応する特定ガス濃度センサを設け、これらセンサによって検出されたセンサ値を所定の閾値と比較して還元剤の実噴射量の異常を判定して、異常が生じたときには、噴射量演算部での噴射量演算パラメータ値を補正するものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−133354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高効率なNOx浄化性能を得るために、演算噴射量に加えてNOxおよびアンモニアに感応するセンサを用いて還元剤の実噴射量を補正するものや、前記特許文献1に示されるような、NOx及びアンモニアに感応する特定ガス濃度センサによって検出されたセンサ値を基に還元剤の実噴射量の異常を判定して、噴射量演算部での噴射量演算パラメータ値を補正するものにおいては、NOxやアンモニアに感応するセンサ自体が正常に作動していることが前提であり、これらセンサ自体に異常がある場合には所望の作用効果は得られ難い。
【0008】
また、還元触媒の前後流側、または後流側に設置したNOxセンサ、NHセンサ、温度センサ等により還元剤の噴射量を決定する場合においては、センサの誤作動、信号にノイズ等が加わった場合には、還元剤噴射量を過大に設定することもあり、この場合には、次のような問題が生じる。
(1)還元剤からNHを生成する以外の副反応が生じ、還元剤噴射ノズル周辺に還元剤の分解によって固形析出物を形成し配管を閉塞するおそれがある。
(2)還元触媒も同様に閉塞や、上流側で形成された固形析出物の飛来による触媒の破損のおそれがある。
(3)還元剤を無駄に消費するばかりでなく多量のNHを還元触媒の後流に排出してしまう、所謂アンモニアスリップ量が増大するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明はこれら問題に鑑みてなされたもので、内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置において、排気通路に設けられるNOxセンサ、NHセンサ温度センサ等の異常を検知するとともに、センサの異常時においても還元剤供給量を適正化してNOx浄化装置の性能維持を図ることができるNOx浄化装置の制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、第1発明は、内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置の制御装置において、
排気通路の前記還元触媒の下流側に配設されたNOxセンサと、該NOxセンサからの信号に基づいて前記還元触媒によるNOx浄化性能を算出する第1のNOx浄化性能算出手段と、排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に前記還元触媒における触媒温度およびアンモニア吸着量を導出して還元触媒のNOx浄化性能を算出する第2のNOx浄化性能算出手段と、前記第1のNOx浄化性能算出手段と前記第2のNOx浄化性能算出手段とを比較して前記NOxセンサが異常であるか否かを判定する判定手段を備え、該判定手段によって異常であると判定したとき、前記第2のNOx浄化性能算出手段によって算出した浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出する還元剤供給量制御手段を備えたこと特徴とする。
【0011】
かかる第1発明によれば、還元触媒の下流側に設置されたNOxセンサの異常を、NOxセンサを用いずに排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基にマップまたは演算式を用いて算出された還元触媒の浄化能力と、NOxセンサ信号に基づいて算出された還元触媒の浄化能力とを比較して判定する。例えば、これらの浄化能力の偏差または対比値が所定値より大きい場合にはNOxセンサが異常と判定する。
【0012】
そして、異常と判定したときには、第2のNOx浄化性能算出手段、つまり排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に算出された還元触媒のNOx浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出するので、NOxセンサの誤作動によって、過剰な還元剤噴霧を抑制することができる。その結果、還元剤噴射ノズル周辺に還元剤の分解による固形析出物の生成を抑制でき、また、配管の閉塞や、上流側で形成された固形析出物の飛来による触媒の破損の防止、さらに、無駄な還元剤の噴霧の防止とともに還元触媒後流への排出を抑制できる。
【0013】
また、第1発明において好ましくは、前記還元剤供給量制御手段は、前記第2のNOx浄化性能算出手段によって算出した浄化性能から算出される前記排気ガス還元剤量に安全係数である補正係数を乗算するとよい。
【0014】
このように、内燃機関から排出されるNOx排出量および排ガス温度を基に算出された還元触媒のNOx浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出した場合には、過剰噴霧にならないように、安全係数としての補正係数(0.5〜1未満の係数)を乗算して、過剰噴霧の抑制を確実にしている。
【0015】
また、第1発明において好ましくは、排ガス還元剤の濃度を検出する還元剤濃度センサを備え、還元剤濃度の設定値と前記還元剤濃度センサの検出値とを比較して排ガス還元剤濃度が適正であるときに前記判定手段による判定を実行するとよい。
【0016】
還元剤タンクに設置した還元剤濃度センサにより、還元剤濃度を検知して、還元剤タンクに貯留した還元剤が還元剤としての規格濃度から大きく外れた濃度でないときに、NOxセンサの異常の判定を行うことで、NOxセンサの異常判定の精度を向上できる。
【0017】
また、第1発明において好ましくは、前記還元触媒の温度を推定するために前記還元触媒の少なくとも上流側または下流側の一方に設置された温度センサによって検出された排ガス温度に基づいて算出された還元触媒温度と、前記温度センサ以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて推定される還元触媒の温度とを比較して前記温度センサが異常か否かを判定する温度センサ異常判定手段を備えるとよい。
【0018】
還元触媒の温度を推定するための温度センサの異常を判定することで、内燃機関からのNOx排出量等のデータを基に還元触媒における触媒温度およびアンモニア吸着量を導出して還元触媒のNOx浄化性能を算出する第2のNOx浄化性能算出手段の精度を高めることができ、その結果、NOxセンサの異常判定の精度を高めることができる。
【0019】
また、前記温度センサ異常判定手段によって温度センサが異常であると判定したときに、前記温度センサ以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて還元触媒の温度を推定することによって、温度センサの異常時においても排ガス還元剤の適切な制御がなされて過剰な供給を抑制できる。
【0020】
次に、第2発明は、NOx浄化装置の制御方法に係る発明であり、内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置の制御方法において、排気通路の前記還元触媒の下流側に配設されたNOxセンサからの信号に基づいて前記還元触媒によるNOx浄化性能を算出し、排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に前記還元触媒における触媒温度およびアンモニア吸着量を導出して還元触媒のNOx浄化性能を算出し、前記NOxセンサから算出したNOx浄化性能と、前記内燃機関からのNOx排出量を基に算出したNOx浄化性能とを比較して前記NOxセンサが異常であるか否かを判定し、異常と判定したときに前記内燃機関からのNOx排出量を基に算出したNOx浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出することを特徴とする。
【0021】
かかる第2発明によれば、第1発明と同様に、還元触媒の下流側に設置されたNOxセンサの異常を、NOxセンサを用いずに排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基にマップまたは演算式を用いて算出された還元触媒の浄化能力と、NOxセンサ信号に基づいて算出された還元触媒の浄化能力とを比較して判定する。例えば、これらの浄化能力の偏差または対比値が所定値より大きい場合にはNOxセンサが異常と判定する。
【0022】
そして、異常と判定したときには、第2のNOx浄化性能算出手段、つまり排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に算出された還元触媒のNOx浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出するので、NOxセンサの誤作動による過剰な還元剤噴霧を抑制することができる。その結果、還元剤噴射ノズル周辺に還元剤の分解による固形析出物の生成を抑制でき、また、配管の閉塞や、上流側で形成された固形析出物の飛来による触媒の破損の防止、さらに、無駄な還元剤の噴霧の防止とともに還元触媒後流への排出を抑制できる。
【0023】
また、第2発明のおいて好ましくは、排ガス還元剤の濃度を検出する還元剤濃度センサからの検出値と、予め設定された排ガス還元剤の濃度とを比較して排ガス還元剤濃度が適正であるときに前記前記NOxセンサが異常であるか否かの判定を実行するとよい。
【0024】
このように、還元剤タンクに設置した還元剤濃度センサにより、還元剤濃度を検知して、還元剤タンクに貯留した還元剤が還元剤としての規格濃度から大きく外れた濃度でないときに、NOxセンサの異常の判定を行うことで、NOxセンサの異常判定の精度を向上できる。
【0025】
また、第2発明において好ましくは、前記還元触媒の少なくとも上流側または下流側の一方に設けられた温度センサによって検出された排ガス温度に基づいて算出された還元触媒の温度と、前記温度センサ以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて推定される還元触媒の温度とを比較して前記温度センサが異常か否かを判定するとよい。
【0026】
還元触媒の温度を推定するための温度センサの異常を判定することで、内燃機関からのNOx排出量を基に還元触媒における触媒温度およびアンモニア吸着量を導出して還元触媒のNOx浄化性能を算出する第2のNOx浄化性能算出手段の精度を高めることができ、その結果、NOxセンサの異常判定の精度を高めることができる。
【0027】
また、第2発明において好ましくは、前記NOxセンサが異常であると判定したときに、前記排気ガス還元剤の供給を停止するとよい。
このように、NOxセンサが異常時には、還元剤の供給を停止することで、還元剤の無駄な消費や、還元触媒の下流側への多量のアンモニアの排出を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0028】
第1発明によれば、還元触媒の下流側に設置されたNOxセンサの異常を、NOxセンサを用いずに排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基にマップまたは演算式を用いて算出された還元触媒の浄化能力と、NOxセンサ信号に基づいて算出された還元触媒の浄化能力とを比較して判定する。
そして、異常と判定したときには、第2のNOx浄化性能算出手段、つまり排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に算出された還元触媒のNOx浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出するので、NOxセンサの誤作動によって、過剰な還元剤噴霧を抑制することができる。
その結果、排気通路に設けられるNOx、温度センサ等の異常を検知するとともに、センサの異常時においても還元剤供給量を適正化してNOx浄化装置の性能維持を図ることができる。
【0029】
また、第2発明によれば、前記第1発明と同様に、排気通路に設けられるNOx、温度センサ等の異常を検知するとともに、センサの異常時においても還元剤供給量を適正化してNOx浄化装置の性能維持を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の全体構成図である。
【図2】NOx浄化装置の制御装置の構成ブロック図である。
【図3−1】第1実施形態の制御装置の制御フローチャートである。
【図3−2】図3−1の続きのフローチャートである。
【図4】第2実施形態の制御装置の制御フローチャートである。
【図5】第3実施形態の制御装置の制御フローチャートである。
【図6】NOx浄化装置に用いられるNOx触媒のアンモニア吸着量とNOx浄化率との関係を示す特性線図である。
【図7】NOx浄化装置に用いられるNOx触媒の触媒温度とNOx浄化率との関係を示す特性線図である。
【図8】NOx浄化装置に用いられるNOx触媒の触媒温度とアンモニア吸着量との関係を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0032】
図1を参照して、本発明に係るNOx浄化装置の全体構成について説明する。
図示しない車両に搭載されたディーゼルエンジン1の排気通路3には、排気上流側から、酸化触媒(以下DOCと略す)5と、排ガス中に含まれるパティキュレートマター(粒子状物質、PMと略す)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(以下DPFと略す)7と、尿素SCRシステム9とが設けられている。
尿素SCRシステム9は、還元触媒のNOx触媒11と、NOx触媒11の上流側に還元剤である尿素水を排気通路3内に噴射する噴霧ノズル12を有する尿素水噴射手段(還元剤噴射手段)13と、尿素水噴射手段13へ尿素水を供給する尿素水タンク15によって構成されている。
【0033】
このように排気通路3には、エンジン1から排出された排ガスを、DOC5で排ガス中の燃料を酸化させて、排ガス温度を上昇させ、DPF7に通して、該DPF7に堆積されたPMを加熱された排ガスによって燃焼させ、尿素SCRシステム9によって、排ガス中の窒素酸化物の脱硝を行うように構成された排ガス後処理装置が備えられている。
【0034】
尿素SCRシステム9は、尿素水噴射手段13によって排気通路3内に尿素水を噴霧するが、この噴霧された尿素水は、排気通路3内の熱および水分によって、式(1)のように熱分解及び加水分解をして、NHを放出する。
(NH)2CO+HO→2NH+CO (1)
その後、生成された、アンモニアは、排ガスとともに排気通路3内を流れて、NOx触媒11に到達する。なお、尿素水の一部は、アンモニアにならずに、尿素水のままNOx触媒11に到達する。そのため、NOx触媒11内でも式(1)の反応により、尿素水からアンモニアが生成される。NOx触媒11に到達したアンモニアは、排ガス中に含まれる窒素酸化物が反応して、窒素酸化物から酸素を取り除き、窒素に還元する。具体的には、以下の式(2)〜(4)に示す反応により窒素酸化物が還元されてNを生成する。
4NH+4NO+O→4N+6HO (2)
2NH+NO+NO→2N+3HO (3)
8NH+6NO→7N+12HO (4)
【0035】
以上のように構成されたNOx浄化装置における制御装置20について説明する。
制御装置20には、NOx触媒11の下流側に設置されたNOxセンサ21からの信号、NOx触媒11の下流側に配置された下流側温度センサ25からの信号、尿素水の噴霧ノズル12の上流側で、且つDPF7の下流側の位置に配置された上流側温度センサ27からの信号、さらに、DPF7の入口側に配置されたDPF入口温度センサ29からの信号、DOCの入口側に配置されたDOC入口温度センサ31からの信号が入力されている。
更に、エンジン1から運転状態に関するエンジン回転数、エンジン負荷、燃料噴射量等の信号が入力されている。
【0036】
(第1実施形態)
制御装置20の第1実施形態を、図2の構成ブロック図および図3−1、図3−2のフローチャートを参照して説明する。
図2に示すように、NOxセンサ21からの信号に基づいてNOx浄化性能を算出する第1のNOx浄化性能算出手段33と、エンジン運転状態算出手段35によってNOx排出量、排ガス温度を算出し、それに基づいてNOx浄化性能を算出する第2のNOx浄化性能算出手段37とを備えている。
また、第1のNOx浄化性能算出手段33と第2のNOx浄化性能算出手段37とからのそれぞれの算出結果を比較して、NOxセンサ21が異常か否かを判定する判定手段39を備えている。
【0037】
さらに、判定手段39の結果に基づいて、第1のNOx浄化性能算出手段33からの算出結果を用いるか、第2のNOx浄化性能算出手段37からの算出結果を用いるかを制御して尿素水噴射手段13へ信尿素水供給量を制御する還元剤供給量制御手段43を備えている。具体的には、判定手段39によって異常であると判定されたときには、第2のNOx浄化性能算出手段37によって算出した浄化性能に基づいて排気ガス還元剤の供給量を算出した結果を尿素水噴射手段13に出力する。
【0038】
また、第2のNOx浄化性能算出手段37へは、NOx触媒11の下流側温度センサ25および上流側温度センサ27からの信号が入力されて、この上流側温度センサ27と下流側温度センサ25の異常を判定する温度センサ異常判定手段45が接続されている。また、判定手段39には、尿素水タンク15に注入されている尿素水の濃度を検出する尿素水濃度センサ(還元剤濃度センサ)47からの信号が入力されて、尿素水の濃度を判定している。
これらの、上流側温度センサ27および下流側温度センサ25からの信号処理については第3実施形態で、尿素水濃度センサ47からの信号処理については第2実施形態で後述する。
【0039】
次に、図3−1、図3−2のフローチャートを参照して、第1実施形態のNOxセンサ21の異常判定および異常時の対応の制御を説明する。
まず、ステップS1で、エンジン運転状態を入力する。エンジン回転数(Ne)、エンジン負荷(Le)、燃料噴射量(Qf)等の信号をそれぞれ取り込む。
【0040】
ステップS2では、それらエンジン運転状態の情報を基に、データマップを用いてエンジン1から排出される排ガス温度(TEX)、エンジン1から排出されるNOx排出流量(NOx触媒の入口NOx流量)(FNOxIN)を算出する。NOx触媒の上流に酸化触媒(DOC)やディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等がある場合には、エンジン排出NOx量に対して、DOCやDPFでのNOx反応を考慮したNOx排出量をFNOxINとしても良い。
【0041】
ステップS3では、ステップS2で求めたエンジン1から排出される排ガス温度(TEX)を基にNOx触媒11の触媒温度(Tcat)を推定する。
推定にはエンジン1の出口からNOx触媒11までの排気通路3の長さ、放熱等の要素を考慮した相関式を用いて算出する。考慮する要素としては、排気通路3での放熱量による温度低下、DOC5での熱容量による応答遅れ、DOC5での未燃燃料(CO、HC)の酸化反応による温度上昇、DPF7での熱容量による応答遅れ、DPF7での未燃燃料(CO、HC)の酸化反応による温度上昇、さらに、NOx触媒11での熱容量による応答遅れが考えられる。
【0042】
また、ステップS3では、NH吸着量(Zcat)を算出する。このNH吸着量は、図8に示すような触媒温度とアンモニア吸着量との予め設定された関係マップ(関係式)を用いて算出する。
図6に示すように、アンモニア吸着量が多いほど、NOx浄化率が高く、しかも図7のように、触媒温度が高いほど高浄化率を確保できる。このため、アンモニア吸着量を高く制御することが好ましいが、NOx触媒に吸着できるアンモニア吸着量には限界がある。 一定の温度、排ガス流量、排ガス濃度等の条件にて長時間運転した場合には、アンモニア吸着量は限界まで到達するが、運転状態に変化をともなう場合には触媒上でのアンモニア吸着反応及び脱着反応速度から触媒でのNH吸着量が推定される。
【0043】
ステップS4では、目標触媒NOx浄化性能(ηtg)を設定する。この目標触媒NOx浄化性能(ηtg)は、ある運転状態点で得たいと考える浄化性能である。すなわち、ある運転状態点で最大NH吸着量、触媒温度、触媒量、排ガス流量、還元剤供給量から決まる触媒の目標最大NOx浄化性能を設定するものである。
図8のようなNH吸着量特性マップや、ステップS3で推定した触媒温度(Tcat)等に基づいて目標触媒NOx浄化性能(ηtg)を求めて、目標触媒NOx浄化性能(ηtg)を設定する。
【0044】
ステップS5では、入口NH供給流量(FNH3IN)を設定する。ステップS4で設定した目標触媒NOx浄化性能(ηtg)から、該目標触媒NOx浄化性能(ηtg)に応じた入口NH供給流量(FNH3IN)を算出して設定する。なお、NHの供給量が決まれば、式(1)の反応式により尿素水供給量も決まる。
【0045】
ステップS6では、推定触媒NOx浄化性能(ηa)を算出する。この推定触媒NOx浄化性能(ηa)は、その運転状態での触媒のNOx浄化性能を推定するものである。ステップS5で求めた入口NH供給流量(FNH3IN)、ステップS3で求めたその運転状態における触媒温度(Tcat)、およびNH吸着量(Zcat)より、その運転状態での触媒NOx浄化性能を推定する。
【0046】
ステップS7では、ステップS6で算出した推定触媒NOx浄化性能(ηa)を用いて、NOx触媒11の出口側の出口NOx濃度(CNOxout)、および出口NH濃度(CNH3out)をそれぞれ算出する。
【0047】
ステップS8では、ステップS5で設定したアンモニア量になるように還元剤の噴霧を実行する。
ステップS9では、NOx触媒11の下流側に設置されたNOxセンサ21からの信号を基に、出口NOx濃度(SNOxout)を算出する。
【0048】
ステップ10では、ステップS9のNOxセンサ21からの信号に基づくNOx濃度から、触媒NOx浄化性能(ηb)を算出する。
そして、ステップS11で、ステップS4で設定した目標触媒NOx浄化性能(ηtg)とステップS10で算出した触媒NOx浄化性能(ηb)とを比較し、実測値の浄化性能が、目標値の浄化性能より小さい時には、NOとなりステップS15に進んでアンモニア流量の増量補正を行う。
【0049】
また、実測値の浄化性能が、目標値の浄化性能より大きい時には、YesとなりステップS12に進んで、ステップS7においてエンジンの運転状態のデータより算出した出口NOx濃度(CNOxout)と、ステップS9においてNOxセンサ21からの信号で算出した出口NOx濃度(SNOxout)とを比較して、濃度比のSNOxout/CNOxoutが、所定の閾値α未満か否かが判定される。
なお、濃度比でなく濃度偏差の絶対値|CNOxout−SNOxout|が所定閾値α'未満か否かとして判定してもよい。
【0050】
ステップS12でYesの場合、すなわち閾値α未満の場合には、NOxセンサ21は正常と判定して、ステップS13でアンモニア流量の減量補正を行う。
ステップS14では、再度、ステップS4で設定した目標触媒NOx浄化性能(ηtg)とステップS10で算出した触媒NOx浄化性能(ηb)とが等しくなったかを判定して、等しくなった場合には終了し、等しくない場合には、ステップS11にリターンして同様の手順を繰り返す。
【0051】
また、ステップS12でNOの場合、すなわち閾値α以上の場合には、ステップS16でNOxセンサ21が異常であると判定し、ステップS17で、入口NH供給流量(FNH3IN)を、エンジン運転状態から算出したNOx排出流量(FNOxIN)に基づいて算出した目標触媒NOx浄化性能(ηtg)に対してアンモニア流量設定を行い、さらに、安全係数である補正係数βを乗算する。
このように、安全係数としての補正係数β(0.5〜1未満の係数)を乗算して、過剰噴霧の抑制を確実にしている。
【0052】
また、ステップS16でNOxセンサ21が異常であると判定した場合に、前記のようにアンモニア流量設定値を減少させて尿素水噴霧を抑制するのではなく、尿素水噴霧自体を停止するようにしてもよい。このように、NOxセンサ21が異常時には、尿素水の供給を停止することで、尿素水の無駄な消費や、NOx触媒の下流側への多量のアンモニアの排出を確実に防止できる。
【0053】
なお、ステップS12の判定における閾値αは、一定値であっても、また変化させてもよく、例えば、エンジン回転数とトルクとから算出されるNOx排出量(NOx触媒の入口NOx流量)(FNOxIN)に応じてαを変化させて、NOx排出量の増大(エンジン回転数と負荷の増大)に応じて閾値αを大きくしてもよい。
エンジンからのNOx排出量の増大にともなって、NOx触媒出口のNOx排出量も増大することがあるため、αを変化させ推定精度を向上させることで有害物質であるNOxを極力排出しないようにする。
また、NOx排出量の増大にともなって、NOx触媒出口のNOx排出量も増大することがあるため、過渡的な運転状態でNOxセンサの検出がエンジン回転数とトルクから算出されるNOx排出量より大きくなるような場合に、ステップS12でNOと判定してステップS16でNOxセンサの異常と誤判定してしまうことを防止して判定精度を向上する。
【0054】
以上の第1実施形態によれば、NOx触媒11の下流側に設置されたNOxセンサ21の異常を、NOxセンサ21を用いずに内燃機関からのNOx排出量や排ガス温度を基にマップまたは演算式を用いて算出されたNOx触媒11の浄化能力である出口NOx濃度(CNOxout)と、NOxセンサ21からの信号に基づいて算出されたNOx触媒11の浄化能力である出口NOx濃度(SNOxout)とを比較して判定することによって、具体的には、対比値のSNOxout/CNOxoutが、所定の閾値α未満か否かによって判定されるので、NOxセンサ21の異常を確実に判定できる。
【0055】
その結果、NOxセンサ21誤作動による過剰な還元剤噴霧を抑制することができる。そして、還元剤噴射ノズル周辺に還元剤の分解による固形析出物の生成を抑制でき、また、配管の閉塞や、上流側で形成された固形析出物の飛来による触媒の破損の防止、さらに、無駄な還元剤の噴霧の防止とともに還元触媒後流への排出を抑制できる。
【0056】
なお、ステップS12において判定したエンジン運転状態に基づく触媒浄化性能から算出した出口NOx濃度(CNOxout)とNOxセンサ21からの信号に基づく出口NOx濃度(SNOxout)との比較に代えて、エンジン運転状態に基づく触媒浄化性能から算出した出口NH濃度とアンモニアセンサからの信号に基づいてアンモニアセンサの異常判定も可能である。
【0057】
(第2実施形態)
次に、制御装置20の第2実施形態を、図2の構成ブロック図および図4のフローチャートを参照して説明する。
第2実施形態は、図2において尿素水濃度センサ47を設けて、尿素水濃度を検出し、尿素水濃度の設定値と尿素水濃度センサ47の検出値とを比較し、例えば、偏差または濃度比が所定値より小さいときには、尿素水濃度が適正であると判定して、判定手段39での判定を実行する。図4において、第1実施形態に対してPの部分が追加されている。その他の構成で第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図4において、ステップS12の判定において、NOの場合、すなわち閾値α以上の場合には、ステップS16でNOxセンサ21が異常であると判定されるが、その判定の前に、ステップS21で、還元剤である尿素水の濃度が規定の濃度にあるかを判定する。すなわち、還元剤設定濃度Uaと還元剤実測濃度Ubとの偏差の絶対値が閾値δ以下か否かを判定する。または偏差でなく比率を算出して判定してもよい。
【0059】
ステップS21で閾値δ以上の場合には、ステップS22に進んで、システム異常を出力して、警報または警報ランプを発する。さらに警報を発すると共に尿素水供給を停止し、エンジンを停止するようにしてもよい。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第2実施形態によれば、尿素水タンク15に設置した尿素水濃度センサ47により、尿素水濃度を検知して、尿素水タンク15に貯留した還元剤である尿素水が規格の濃度から外れた濃度でないときに、NOxセンサ21の異常判定を実行するので、第1実施形態でのNOxセンサ21の異常判定の精度を向上できる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、制御装置20の第3実施形態を、図2の構成ブロック図および図5のフローチャートを参照して説明する。
第3実施形態は、図2において、NOx触媒11の上下流側に設置された上流側温度センサ27および下流側温度センサ25が設けられ、これらの信号を基にNOx触媒11の温度が推定されている。そして、これら温度センサからの信号を基に、温度センサに異常かあるかを判定する。この判定は温度センサ異常判定手段45で行われ、その結果が第2のNOx浄化性能算出手段37に入力される。
なお、図5において、第1実施形態に対してR1、R2の部分が追加されている。その他の構成で第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
図5より、ステップS31で、触媒入口ガス温度(TIN)および触媒出口ガス温度(TOUT)の少なくとも一方の温度を、それぞれ上流側温度センサ27、下流側温度センサ25によって検出する。
そして、ステップS32では、ステップS31で検出した触媒入口ガス温度(TIN)および触媒出口ガス温度(TOUT)の少なくとも一方の温度によって、触媒温度(Tcat)を算出する。この算出に際しては、所定の関係式または予め試験によって求められた触媒温度と触媒入口ガス温度(TIN)および触媒出口ガス温度(TOUT)との相関関係によって算出される。その後、ステップS3ではそのステップS32で算出された触媒温度を用いて以降の算出が進む。
【0062】
ステップS3〜S10までは、第1実施形態と同様である。
第3実施形態においては、ステップS33で、上流側温度センサ27および下流側温度センサ25以外の温度センサ、例えば、DPF7の入口側に配置したDPF入口温度センサ29からの信号(TDPF)、DOC5の入口側に配置したDOC入口温度センサ31からの信号が入力(TDOC)、さらに、エンジン運転状態の情報を基に、データマップに用いてエンジン1から排出される排ガス温度(TEX)を用いて触媒温度(T'cat)を、それぞれ必要とする関係式を用いて算出する。この関係式は、例えば、排気通路3の長さ、放熱量等を考慮して設定される所定の関係式から算出する。
【0063】
次に、ステップS34では、ステップS32で求めた触媒温度(Tcat)と、ステップS33で求めた触媒温度(T'cat)との偏差を基に該偏差が所定の閾値γ未満か否かを判定する。
Yesの場合には、図3−2の[1]へ進み、NOの場合には、該偏差が所定の閾値γ以上であるので上流側温度センサ27および下流側温度センサ25はセンサ異常と判定する。
そして、ステップS36で、ステップS33で求めた触媒温度(T'cat)をステップS32の触媒温度Tcatとして、[3]に戻る。
【0064】
以上の第3実施形態によれば、NOx触媒11の温度を推定するためのNOx触媒11の上流側温度センサ27および下流側温度センサ25の異常を判定することで、第2のNOx浄化性能算出手段37の判断精度を高めることができる。すなわち、図5のステップS3における触媒温度の算出精度および信頼性を高めることができ、結果としてNOxセンサ21の異常判定の精度を高めることができる。
【0065】
また、上流側温度センサ27及び下流側温度センサ25が異常であると判定した時には、当該上流側温度センサ27および下流側温度センサ25以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて推定されたNOx触媒の温度を触媒温度とすることによって、上流側温度センサ27及び下流側温度センサ25の異常時においても、制御装置20によって制御される尿素水の過剰な供給を抑制できる。
【0066】
なお、第1実施形態に対して第2実施形態と第3時施形態をそれぞれ組み合わせて実施してもよいことは勿論であり、それぞれの実施形態で説明した作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置において、排気通路に設けられるNOx、NH3、温度センサ等の異常を検知するとともに、センサの異常時においても還元剤供給量を適正化してNOx浄化装置の性能維持を図ることができるNOx浄化装置の制御方法及び装置への利用に適している。
【符号の説明】
【0068】
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
3 排気通路
5 DOC(酸化触媒)
7 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)
9 尿素SCRシステム
11 NOx触媒(還元触媒)
13 尿素水噴射手段(還元剤噴射手段)
15 尿素水タンク
20 NOx浄化装置の制御装置
21 NOxセンサ
25 下流側温度センサ
27 上流側温度センサ
29 DPF入口温度センサ
31 DOC入口温度センサ
33 第1のNOx浄化性能算出手段
35 エンジン運転状態算出手段
37 第2のNOx浄化性能算出手段
39 判定手段
43 還元剤供給量制御手段
45 温度センサ異常判定手段
47 尿素水濃度センサ(還元剤濃度センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置の制御装置において、
排気通路の前記還元触媒の下流側に配設されたNOxセンサと、
該NOxセンサからの信号に基づいて前記還元触媒によるNOx浄化性能を算出する第1のNOx浄化性能算出手段と、
排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に前記還元触媒における触媒温度およびアンモニア吸着量を導出して還元触媒のNOx浄化性能を算出する第2のNOx浄化性能算出手段と、
前記第1のNOx浄化性能算出手段と前記第2のNOx浄化性能算出手段とを比較して前記NOxセンサが異常であるか否かを判定する判定手段を備え、
該判定手段によって異常であると判定したとき、前記第2のNOx浄化性能算出手段によって算出した浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出する還元剤供給量制御手段を備えたこと特徴とするNOx浄化装置の制御装置。
【請求項2】
前記還元剤供給量制御手段は、前記第2のNOx浄化性能算出手段によって算出した浄化性能から算出される前記排気ガス還元剤量に安全係数である補正係数を乗算することを特徴とする請求項1記載のNOx浄化装置の制御装置。
【請求項3】
排ガス還元剤の濃度を検出する還元剤濃度センサを備え、還元剤濃度の設定値と前記還元剤濃度センサの検出値とを比較して排ガス還元剤濃度が適正であるときに前記判定手段による判定を実行することを特徴とする請求項1記載のNOx浄化装置の制御装置。
【請求項4】
前記還元触媒の温度を推定するために前記還元触媒の少なくとも上流側または下流側の一方に設置された温度センサによって検出された排ガス温度に基づいて算出された還元触媒温度と、前記温度センサ以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて推定される還元触媒の温度とを比較して前記温度センサが異常か否かを判定する温度センサ異常判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のNOx浄化装置の制御装置。
【請求項5】
前記温度センサ異常判定手段によって温度センサが異常であると判定したときに、前記温度センサ以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて還元触媒の温度を推定することを特徴とする請求項4記載のNOx浄化装置の制御装置。
【請求項6】
内燃機関の排気通路に設けられた還元触媒の上流側に排気ガス還元剤の供給装置を備えたNOx浄化装置の制御方法において、
排気通路の前記還元触媒の下流側に配設されたNOxセンサからの信号に基づいて前記還元触媒によるNOx浄化性能を算出し、
排ガス温度および内燃機関からのNOx排出量を基に前記還元触媒における触媒温度およびアンモニア吸着量を導出して還元触媒のNOx浄化性能を算出し、
前記NOxセンサから算出したNOx浄化性能と、前記内燃機関からのNOx排出量を基に算出したNOx浄化性能とを比較して前記NOxセンサが異常であるか否かを判定し、
異常と判定したときに前記内燃機関からのNOx排出量を基に算出したNOx浄化性能に基づいて前記排気ガス還元剤の供給量を算出すること特徴とするNOx浄化装置の制御方法。
【請求項7】
排ガス還元剤の濃度を検出する還元剤濃度センサからの検出値と、予め設定された排ガス還元剤の濃度とを比較して排ガス還元剤濃度が適正であるときに前記NOxセンサが異常であるか否かの判定を実行することを特徴とする請求項6記載のNOx浄化装置の制御方法。
【請求項8】
前記還元触媒の少なくとも上流側または下流側の一方に設けられた温度センサによって検出された排ガス温度に基づいて算出された還元触媒の温度と、前記温度センサ以外の他の排ガス温度センサによって検出された排ガス温度または内燃機関の運転状態から算出した排ガス温度に基づいて推定される還元触媒の温度とを比較して前記温度センサが異常か否かを判定することを特徴とする請求項6記載のNOx浄化装置の制御方法。
【請求項9】
前記NOxセンサが異常であると判定したときに、前記排気ガス還元剤の供給を停止することを特徴とする請求項6記載のNOx浄化装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−107536(P2012−107536A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255415(P2010−255415)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】