説明

NPY−5アンタゴニストとしての5−アミノフェナンスリジン誘導体

本発明は、式(I)を有するNPY-5受容体アンタゴニスト、上記NPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状及び/又は障害を治療するために有用な方法、及び医薬組成物を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノフェナンスリジン、アミノフェナンスリジンNPY-5アンタゴニスト及びNPY-5受容体によって調節される疾患、症状及び/又は障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
神経ペプチドY (NPY)すなわち36個のアミノ酸ペプチド神経伝達物質は、神経伝達物質/神経ホルモンの膵臓ポリペプチドクラスの構成員である。NPYは中枢神経系に広く分布し、基本的な生理学的機能の調節において重要な役割を示す、進化において最も保存的なペプチドの一つである。今日までの研究は、摂食障害、発作、不安症、糖尿病、高血圧、癌(例えば乳癌及び膵癌)、鼻詰まり、性的機能不全、鬱血性心不全及び腸機能不全を含む多数の疾患の病理生理学においてNPYと関連している。少なくとも6 NPY受容体サブクラスが同定され、当該サブクラスの内の2つ、食物取りこみ及びエネルギー消費を調節する最も重要な受容体サブタイプと考えられているNPY-1及びNPY-5に関して、今日までクローン化されている。総説として、Balasubramaniam, A.,「Clinical potentials of neuropeptide Y family of hormones」, Am. J. of Surgery, 183,430-434 (2002)を参照されたい。
【0003】
種々の動物研究により、神経ペプチドY受容体の活性化が、消費的(consummatory)行動の刺激に関連し(Flood and Morley Peptides, 10,963-966 (1989), Leibowitz and Alexander, Peptides, 12,1251- 1260 (1991), and Stanleyら, Peptides, 13,581-587 (1992))、血管収縮に関連する(Wahlestedtら, Regul. Peptides, 13,307-318 (1986), McCauley and Wesffall J. Pharmacol. Exp. Ther. 261,863-868 (1992)及びGrundemarら, Br. J. Pharmacol. 105,45-50 (1992))ことが判明している。
【0004】
更に、Grundemarand Hakanson TiPS, May 1'994 [15巻], 153-159,には、動物において、NPYが、食物取り込みの強力な興奮剤及び高血圧の原因となる血管収縮の誘導物質であることが記載されている。彼らはまた、NPYの低レベルが食欲の喪失と関連することを指摘している。当該報告は、動物において、当該蛋白質の活性を阻害する化合物が高血圧及び食欲を低減することを明確に示している。
【0005】
従って、当該受容体サブタイプ(複数)において、NPY結合を切断することができる薬剤は、肥満症、拒食症、過食症含む多数の摂食障害; インシュリン抵抗性、糖尿病、高脂血症及び高血圧を含むがこれに限定されない肥満に関連した障害、並びにNPY活性の遮断が有効である他の治療処方において有用であろう。
【0006】
更に、前臨床及び臨床的な証拠は、NPYがその受容体と共に、鬱病及び関連する疾患を含む種々の精神障害に直接関連することを示唆している。NPY-様免疫反応性及びNPY受容体は、辺縁系の至るところで濃度を変えながら、脳の至るところで発現する。かかる脳構造は、感情処理の調節及び鬱病の原因において度々関連してきた。総説として、Redrobe, J. P.ら,「Neuropeptide Y (NPY) and Depression: From Animal Studies to the Human Condition」,Life Sciences, 71,2921-2937 (2002)を参照されたい。
【0007】
EP0759441号明細書及びU. S. 5,576,337号明細書は、いずれかの過剰NPYに関連する生理学的障害を報告している。
【0008】
国際公開第WO 99/01128号パンフレットは、肥満症及び過食症等の摂食障害並びに本質的な高血圧等の特定の心循環器疾患の治療に有用な特定のNPY-5受容体メディエーターを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
NPY-5受容体アンタゴニストは知られているが、特に、上で議論された基本的な生理学的機能の調節においてNPY受容体が果たす重要な役割という点で、NPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患の治療に有用である別のアンタゴニストが更に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記式(I):
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、R1は水素原子又は(C1-C4)アルキルであり、; R2は水素原子又は-C(O)R2a、-C(O)-(CH2)n-R2b又は-(CH2)m-R2cであり、ここでnは0、1又は2、mは0、1、2又は3、R2aは(C1-C4)アルキル又はハロ-置換(C1-C4)アルキル、かつR2b及びR2Cは-NH (C1-C4)アルキル、-N ((C1-C4)アルキル)2、ピリジニル、ヒドロキシ(C1-C4)アルキル、フェニル又はピペリジニルである; R3は(C1-C6)アルキルであり; 並びに
Xはカルボニル又はメチレンである。]
で表わされる化合物;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物に関する。
【0013】
好ましい化合物は、9-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン; 9-アミノ-5-イソプロピル-5H-フェンアンスリジン-6-オン; 9-アミノ-5-イソブチル-5H-フェナンスリジン-6-オン; N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2, 2, 2-トリフルオロ- アセトアミド; N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル- アセトアミド; 2-ジメチルアミノ-N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェンナンスリジン-9-イル)- アセトアミド; N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-yl)-3-ピペリジニル-1-イル- プロピオンアミド; 2-ジメチルアミノ-N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)- アセトアミド; N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル- アセトアミド; N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-3-ピペリジン-1-イル- ピロピオンアミド; N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-3-イル- アセトアミド; N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ヒドロキシ- イソブチルアミド; N- (5-エチル-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2, 2, 2-トリフルオロ-アセトアミド; 9- (3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン;及び 9-ベンジルアミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン;その薬学的に許容される塩あるいは当該化合物もしくは当該塩の溶媒和物又は水和物を含む。
【0014】
好ましい実施態様では、R2は-C(O)-(CH2)n-R2b;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である。R2bがピリジニルである場合、R2bは好ましくは3-ピリジニル又は4-ピリジニルである。
【0015】
別の好ましい実施態様では、R2は-(CH2)m-R2c;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である。好ましくは、R2cは、-NH (Cl-C4)アルキル又は-N ((Cl-C4)アルキル)2である。
【0016】
本発明の別の実施態様では、(1)本発明の化合物及び(2)薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、当該組成物は本発明の化合物の治療上有効量を含む。当該組成物はまた、少なくとも1種の(本明細書に記載の)別の薬剤を含んでもよい。本発明の更に別の実施態様では、本発明の化合物の治療上有効量 (又はその医薬組成物)をかかる治療を必要としている動物に投与するステップを含む、動物におけるNPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状又は障害を治療する方法を提供する。NPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状及び/又は障害は、肥満症、摂食障害(例えば拒食症及び過食症)、発作、不安症、糖尿病、高血圧、高脂質血、癌(例えば膵癌又は乳癌)、鼻詰まり、性的機能不全、鬱血性心不全、腸機能不全、又は精神障害(例えば鬱病)を含む。
【0017】
本発明の化合物は、(本明細書に記載の)他の薬剤と組み合わせて投与することができる。併用療法剤は、(a)本発明の化合物、本明細書に記載の少なくとも一つの別の薬剤及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む単一医薬組成物、あるいは(b)本発明の化合物及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む第一の組成物、及び(ii)本明細書に記載の少なくとも一つの別の薬剤及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む第二の組成物を含む2つの別個の医薬組成物として投与することができる。医薬組成物は、同時又は連続して及びいずれかの順序で投与することができる。
【0018】
本明細書で用いる「アルキル」の語は、一般式CnH2n+1の炭化水素ラジカルを言う。アルカンラジカルは直鎖又は分岐鎖である。例えば、「(C1-C6)アルキル」の語は、1〜6個の炭素原子を含む一価の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、3, 3-ジメトキシプロピル、ヘキシル、2-メチルペンチル等)を意味する。同様に、アルコキシ、アシル(例えばアルカノール)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ及びアルキルチオ基のアルキル部分(すなわちアルキル成分)は、上記定義の通りである。「ハロ-置換アルキル」は、1以上のハロゲン原子(例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、パーフルオロメチル等)で置換されたアルキル基を意味する。
【0019】
「溶媒和」の語は、式(I)で表わされる化合物(プロドラッグ及びその薬学的に許容される塩を含む)と1以上の溶媒分子との分子複合体を意味する。かかる溶媒分子は、受容体に無害であることが知られている、医薬分野で一般的に用いられるものであり、例えば水、エタノール等である。「水和物」の語は、当該水分子が水である複合体を意味する。
【0020】
「保護基」又は「Pg」の語は、特定の機能をブロック又は保護し、同時に化合物の他の官能基を反応させるために一般的に用いられる置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物のアミノ機能をブロック又は保護する、アミノ基に結合された置換基である。好適なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9- フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ機能をブロック又は保護する、ヒドロキシ基の置換基を意味する。好適な保護基は、アセチル及びシリルを含む。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ機能をブロック又は保護する、カルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ基は-CH2CH2SO2Ph、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2- (トリメチルシリル)エトキシメチル、2- (p-トルエンスルホニル)エチル、2- (p- ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチル等を含む。保護基及びその使用の一般的な説明に関しては、 T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照されたい。
【0021】
「治療上有効量」の語句は、(i)特定の疾患、症状又は障害を治療又は抑制する、(ii)特定の疾患、症状又は障害の1以上の症候を減じ、緩和し又は除く、あるいは(iii)本明細書に記載の特定の疾患、症状又は障害の1以上の症候の発現を抑制又は遅らせる、本発明の化合物の量を意味する。
【0022】
「動物」の語は、ヒト(男性又は女性)、コンパニオン・アニマル(例えば犬、猫及び馬)、食用動物、動物園動物、海洋動物、鳥及び他の類似動物種を意味する。「食用に適する動物」は牛、豚、羊及び家禽等の食用動物を言う。
【0023】
「薬学的に許容される」の語句は、物質又は組成物が、製剤を含む成分及び/又は本明細書で扱われる哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に交換可能であることを示す。
【0024】
「治療すること」、「治療する」又は「治療」の語は、防止的すなわち予防的治療と緩和的治療を包含する。
【0025】
「NPY-5受容体によって調節される」又は「NPY-5受容体の調節」の語は、NPY-5受容体の活性化又は不活性化を意味する。例えば、リガンドは、アゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト又は部分アンタゴニストとして作用する。
【0026】
本明細書に記載の「アンタゴニスト」の語は、完全アンタゴニスト及び部分アンタゴニスト、並びに逆アゴニストを含む。
【0027】
本発明の「化合物」の語(特に記さなければ)は、式(I)の化合物、そのプロドラッグ、当該化合物及び/もしくはプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び当該化合物、当該塩及び/もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物、並びに全ての立体異性体(ジアステレオマー及びエナンチオマーを含む)、互変体及び同位体標識化合物を言う。
【0028】
本発明は、NPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状及び/又は障害の治療に有用な化合物及びその医薬製剤を提供する。本発明の化合物は、特に本明細書に含まれる説明の点から、化学の分野で周知の方法の類似製法を含む合成ルートによって合成することができる。出発原料は、一般的に、Aldrich Chemicals (Milwaukee, WI)等の市販品から入手でき、又は当業者に周知の方法を用いて容易に調製することができる(例えば一般的に、補足品を含み、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, 1-19巻, Wiley, New York (1967-1999編集)、又はBeilstein Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. Springer-Verlag編集, Berlin (Beilsteinオンラインデータベースも利用可能)に記載されている)。
【0029】
説明目的のために、以下に挙げる反応スキームは、本発明の化合物及び鍵中間体を合成するための有力なルートを提供する。個々の反応ステップのより詳細な説明に関しては、以下の実施例の項を参照されたい。当業者は他の合成ルートが本発明の化合物を合成するために使用できることを理解するだろう。特定の出発原料及び試薬がスキームに挙げられ、以下で考察されているが、他の出発物質及び試薬は、種々の誘導体及び/又は反応条件を提供するために容易に置換し得る。更に、下記の方法によって調製される多くの化合物は、当業者に周知の慣用的な化学を用いて、本開示を踏まえて更に修飾することができる。
【0030】
本発明の化合物の調製において、中間体の遠隔官能性(例えば第一又は第二アミン)の保護が必要である。かかる保護の必要性は、遠隔官能性及び調製方法の条件に依拠して変動するだろう。好適なアミノ保護基(NH-Pg)は、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。かかる保護の必要性は、当業者によって容易に決めることができる。保護基及びその使用の一般的な説明に関しては、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照されたい。
【0031】
下記式(I)[式中、Xはカルボニル又はメチレンであり、R2 はアシル基(例えばR2 =-C (O) R2a 又は-C(O)-(CH2)n-R2b)]の化合物は、以下のスキームIに概説した一般的な方法を用いて調製することができる。
【0032】
【化2】

【0033】
好適に置換された2-ヨード安息香酸(1a)を出発物質として、中間体(1b)は、当業者に周知の標準的アミド生成条件を用いて調製することができる。例えば、中間体(1b)は、ほぼ室温下、非プロトン性溶媒(例えばメチレンクロリド)中、出発原料(1a)をオキサリルクロリド及び触媒としてのジメチルホルムアミドを反応させた後、0℃で非プロトン性溶媒(例えばメチレンクロリド)中、塩基(例えばトリエチルアミン及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))の存在下で好適なアミン(PhNHR3)で処理することによって得られる。中間体(1c)の生成は、通常のPd-触媒閉環反応を用いて行うことができる(Harayama, T.; Akiyama, T.; Kawano, K. Chem. Pharm. Bull., 44,1634 (1996)を参照されたい)。例えば、中間体(1b)は、沸騰アセトニトリル中で炭酸銀及びトリエチルホスフィンの存在下に、二酢酸パラジウムと反応させることにより、中間体(1c)を与える。化合物(1-A)は、中間体(1c)から、ニトロ基及びアミド基を水素化リチウムアルミニウムで還元し、中間体(1d)を得、次いで第一アミンのアシル化によって調製することができる。あるいは、化合物(1-B)は、ニトロ基の化学選択的還元により、中間体(1e)を得、次いで第一アミンのアシル化によって調製することができる。ニトロ基の選択的還元は、ほぼ室温でプロトン性又は非プロトン性溶媒(例えばエタノール又は酢酸エチル)中、パラジウムカーボンの存在下で中間体(1c)を水素添加することにより行うことができる。第一アミン基のアシル化は、標準的なアシル化方法を用いて行うことができる。例えば、中間体(1d)又は(1e)は、室温で非プロトン性溶媒(例えばメチレンクロリド)中、ピリジン存在下に好適な無水物(すなわち(R-C(O)-O-C(O)-R))で処理することができる。
【0034】
あるいは、中間体(1d)又は(1e)は、室温に非プロトン性溶媒(例えばメチレンクロリド)中、1- [3- (ジメチアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDC)及び強塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下に好適なカルボン酸(すなわちR-C02H)と反応させることができる
【0035】
R1が(C1-C4)アルキルである本発明の化合物に関して、アルキル基は、式(I-A)又は(I-B)の化合物のアルキル化によって導入することができる。例えば、化合物(I-A)又は(I-B)は、非プロトン溶媒(例えばジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば水素化ナトリウム)で脱プロトン化し、次いで好適なアルキル化剤(例えばヨウ化アルキル又は臭化アルキル)によりアルキル化し、式(I-A')及び(I-B')をそれぞれ合成することができる。
【0036】
R2が(CH2)m-R2Cである化合物の調製に関し、(CH2)m-R2C基は、アミノ中間体(1d)又は(1e)の還元的アミノ化によって導入することができる。例えば、中間体(1d)又は(1e)は、非プロトン性溶媒(例えば1, 2-ジクロロエタン又はTHF)中、酸(例えば酢酸)の存在又は非存在下、好適なアルデヒド又はケトン及び還元剤(例えばナトリウム・トリアセトキシホウ化水素)と反応させ、式(I-C)又は(I-D)の化合物をそれぞれ生成することができる。
【0037】
あるいは、本発明の化合物は、以下のスキームIIに挙げた中間体のフェナンスリジニルハライド(2b)によって調製することができる。
【0038】
【化3】

【0039】
フェナンスリジニルハライド(2b)は、ニトロ基がハロゲンによって置換されることを除いて、スキームIにおいて中間体(1c)を調製するために用いられる同一の一般的な経路に従って調製することができる。次いで、フェナンスリジニルハライド中間体(2b)は、例えばYang, Bryant H., 及びBuchwald, Stephen L.「Palladium-catalyzed amination of aryl halides and sulfonates」, Journal of Orqanometallic Chemistry, 576,125-146 (1999); 並びにHartwig, John F.「Palladium-catalyzed amination of aryl halides and related reactions」, Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis, 1,1051-1096 (2002)に記載のパラジウム-又は銅-触媒条件下、第一又は第二アミンでアミノ化され、アミノフェナンスリジノン(2d)を生成することができる。例えば、ハロフェナンスリジノン(2c)は、約80℃の温度で非プロトン性溶媒(例えば、1,2-ジメトキシエタン)中、触媒(例えばトリス (ジベンジリデンアセトン)二パラジウム)、ホスフィン(例えば、(2'-ジシクロヘキシルホスファニルビフェニル-2-イル) ジメチルアミン)及び塩基(例えば、リン酸カリウム)の存在下、アミンで処理することができる。次いで、アミノフェナンスリジノン(2d) (2aもまた本発明の化合物である)を、非プロトン性溶媒(例えば、ジエチルエーテル又はTHF)中、還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム)で還元し、フェナンスリジン(本発明の化合物)を得ることができる。
【0040】
当業者に公知の分離及び精製の通常の方法及び/又は技術を用い、本発明の化合物に加え、それに関連した様々な中間体を単離することができる。このような技術は、当業者に周知であり、並びに例えば、全ての型のクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルなどの通常の吸着材を使用するカラムクロマトグラフィー、及び薄層クロマトグラフィー)、再結晶、及び分取的(すなわち、液-液)抽出技術を含むことができる。
【0041】
本発明の化合物は、それら自身又はその医薬として許容できる塩、溶媒和物及び/もしくは水和物の形で、単離及び使用することができる。「塩」の用語は、本発明の化合物の無機塩及び有機塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終的な単離及び精製の間に、現場で調製することができるか、又は化合物、N-オキシド又はプロドラッグを、好適な有機もしくは無機の酸もしくは塩基と個別に反応させ、及びこうして形成された塩を単離することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシラート、パルミチン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフテン酸塩、メシラート、グルコペプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン塩酸などの塩などを含む。
【0042】
本発明の化合物の好ましい塩は塩酸塩である。これらの塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属を基にしたカチオンを含むことができ、更にはアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むが、これらに限定されるものではない、無毒のアンモニウム、第四級アンモニウム及びアミンカチオンを含む。例えば、Bergeらの論文(J. Pharm. Sci., 66: 1-19 (1977)を参照のこと)。
【0043】
「プロドラッグ」の用語は、in vivoにおいて変換され、式(1)の化合物又はその化合物の医薬として許容できる塩、水和物又は溶媒和物を生じる化合物を意味する。この変換は、血中での加水分解を通じてのような、様々な機構により生じることができる。プロドラッグ使用の考察は、T. Higuchi及びW. Stella、「Prodrugs as Novel Delivery Systems」、A. C. S. Symposium Series 14巻、及び「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Edward B. Roche編集、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press社、1987に提示される。
【0044】
例えば、本発明の化合物がカルボン酸官能基を有する場合、プロドラッグは、この酸基の水素原子の、(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、γ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(例えば、β-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル及びピペリジノ-、ピロリジノ-又はモルホリノ(C2-C3)アルキルなどの基との置換により形成されたエステルを含むことができる。
【0045】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合は、プロドラッグは、アルコール基の水素原子の、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシル(ここで各α-アミノアシル基は、天然のL-アミノ酸から独立して選択される)、P(O)(OH)2、P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形の水酸基の除去から得られるラジカル)などの基との置換により形成することができる。
【0046】
本発明の化合物がアミン官能基を組込んでいる場合、プロドラッグは、アミン基の水素原子の、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニル(ここでR及びR'は、各々独立して(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジルであるか、又はR-カルボニルは、天然のα-アミノアシル又はα-アミノアシル-天然のα-アミノアシルである。)、-C(OH)C(O)OY'(ここでY'は、H、(C1-C6)アルキル又はベンジルである。)、-C(OY0)Y1(ここでY0は(C1-C4)アルキルであり、及びY1は(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル又はモノ-N-もしくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキルである。)、-C(Y2)Y3(ここでY2はH又はメチルであり、及びY3はモノ-N-又はジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノである。)、モルホリノ、ピペリジン-1-イル又はピロリジン-1-イルなどの基との交換により形成することができる。
【0047】
本発明の化合物(本発明の中間体を含む)は、非対称又はキラル中心を含んでもよく;従って、これらの化合物及び中間体は、異なる立体異性体形で存在してもよい(例えば、エナンチオマー及びジアステレオ異性体)。本発明の中間体及び化合物の全ての立体異性体形に加え、ラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部を形成することが意図されている。加えて、本発明は、全ての幾何異性体及び位置異性体を包含している。例えば、本発明の中間体又は化合物が二重結合又は縮合環を含む場合は、cis-及びtrans-の両形に加え混合物が本発明の範囲に包含される。
【0048】
ジアステレオ異性体混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶のような当業者に周知の方法により、それらの物理化学的差異を基に、個々のジアステレオ異性体に分離することができる。エナンチオマーは、適当な光学活性化合物(例えば、キラル補助剤(chiral auxiliary)、例えばキラルアルコール又はMosher酸クロリド)との反応によりエナンチオマー混合物をジアステレオ異性体混合物に変換し、これらのジアステレオ異性体を分離し、及び個々のジアステレオ異性体を対応する純粋なエナンチオマーへ変換する(例えば、加水分解)ことにより、分離することができる。同じく、本発明の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換されたビアリール)であってよく、本発明の一部と考えられる。エナンチオマーは、キラルHPLCカラムの使用により分離することもできる。
【0049】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒と共に、溶媒和物に加え非溶媒和物の形で存在してもよく、本発明は溶媒和物及び非溶媒和物の両形を包含することが意図されている。
【0050】
本発明の中間体及び化合物は、様々な互変異性体形で存在してもよく、このような形は全て本発明の範囲内であることも可能である。例えば、イミダゾール部分の全ての互変異性体は本発明に含まれる。また、例えば、化合物の全てのケト-エノール体及びイミン-エナミン体も本発明に含まれる。
【0051】
本発明はまた、1以上の原子が一般的に発見される原子量又は質量数と本質的に異なる原子量又は質量数を有する原子で置換されるという事実を除いて、本明細書に挙げられた化合物と同一である、本発明の同位体標識化合物を含む。本発明の化合物に取り込むことができる同位体の例は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子、フッ素原子、ヨウ素原子及び塩素原子、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Clを含む。
【0052】
本発明の特定の同位体標識化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム(すなわち3H)及び炭素-14(すなわち14C)同位体は、それらの調製の容易さ及び検出能のために特に好ましい。更に、ジュウテリウム(すなわち2H)等の重同位体による置換は、より大きな代謝安定性を生じる特定の治療的利点をもたらし(例えば、増加したin vivo半減期又は低下した必要用量)、その結果ある種の状況においては好ましいことがある。15O、13N、11C及び18Fなどの陽電子放出同位体は、基質受容体占有を試験する陽電子放出型断層撮影(PET)試験に有用である。本発明の同位体標識化合物は一般に、同位体標識されない試薬を同位体標識された試薬に置換することにより、「スキーム」及び/又は下記「実施例」において説明されたものに類似した下記の手法により調製することができる。
【0053】
本発明は更に、本発明の化合物の治療上有効量又は本発明の化合物の治療上有効量及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物をそのような治療を必要としている動物に投与することを含む、動物におけるNPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状及び/又は障害を治療する方法を提供する。当該方法は特に、NPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状及び/又は障害を治療するために有用である。NPY-5アンタゴニストの研究は、以下の疾患、障害及び/又は症状がNPY-5受容体アンタゴニストによって調節されることを示している: 肥満症、摂食障害(例えば拒食症及び神経性大食症)、発作、不安症、糖尿病、高血圧、高脂血症、癌 (例えば乳癌及膵癌)、鼻詰まり、性的機能障害、鬱血性心不全、胃腸障害及び精神障害(例えば鬱病)。
【0054】
従って、本明細書に記載の本発明の化合物は、NPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状及び/又は障害の治療に有用である。結果として、本発明の化合物(本明細書で用いる組成物及び方法を含む)は、本明細書に記載の治療的適用のための医薬の製造に用いることができる。
【0055】
典型的製剤は、本発明の化合物、及び担体、希釈剤又は賦形剤の混合により調製される。好適な担体、希釈剤及び賦形剤は、当業者に周知であり、及び炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は水膨潤性のポリマー、親水性又は疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水などの材料を含む。使用される具体的担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的により決まるであろう。溶媒は、哺乳類に投与されるべき「一般的にいって安全かつ有効な物質」(GRAS)を基に選択される。一般に、安全な溶媒は、水のような無毒の水性溶媒及び水に可溶性又は混和性である他の無毒の溶媒である。好適な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)など、及びそれらの混合物である。これらの製剤は、薬物(すなわち本発明の化合物又はそれらの医薬組成物)の優れた提示を提供するか、又は医薬製品(すなわち医薬品)の製造を補助するために、1種又は複数種の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、遮光剤(opaquing agents)、直打用滑沢剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、香料、矯味矯臭剤及び他の公知の添加剤を含有してもよい。
【0056】
これらの製剤は、通常の溶解及び混合手法を用い調製することができる。例えば、バルク薬物(すなわち本発明の化合物又はこの化合物の安定形(例えば、シクロデキストリン誘導体又は他の公知の複合体形成物質との複合体))は、1種又は複数種の前記賦形剤の存在下で、適当な溶媒に溶解される。本発明の化合物は典型的には、薬物の容易に管理可能な用量を提供し、及び優れたかつ容易に取扱い可能な製品を患者に与えるために、医薬剤形に製剤される。
【0057】
適用のための医薬組成物(又は製剤)は、薬物の投与に使用される方法に応じた様々な方法で包装することができる。一般に、頒布用製品は、その中に適当な形状の医薬製剤が配置された(deposit)容器を備える。適当な容器は、当業者には周知であり、例えばボトル(プラスチック及びガラス)、サシェ、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダーなどの材料を含む。容器は、容器の内容物への軽率な接触を防ぐために、不正開封防止の構成部品(assemblage)を備えてもよい。加えて、この容器は、その上に容器の内容物を記載しているラベルを配置してもよい。このラベルは適当な注意書きを含んでもよい。
【0058】
その医薬組成物及び製剤を含む化合物又は本発明が、上記症状及び疾患を治療するための幅広い併用療法に用いられることも、当業者は理解するだろう。従って、本発明の化合物は、本明細書に記載の疾患/症状の治療のための他の医薬と組み合わせて使用することができる。例えば、それらは、肥満症、糖尿病、高血圧、高脂血症、鬱血性心不全、不安症、鬱病又は精神病を治療する医薬と組み合わせて用いることができる。併用療法では、
本発明の化合物及び他の薬物療法を哺乳動物(例えば、ヒト、男性又は女性、犬、ネコ、馬)に通常の方法によって投与することができる。
【0059】
任意のβ-アドレナリン作用性アゴニストは、本発明の併用局面において第二の成分として使用することができる。β-アドレナリン作動薬は、β1、β2及びβ3のサブタイプ二分類される。β-受容体のアゴニストはアデニルシクラーゼの活性化を促進する。β1受容体の活性化は、心拍数の増加を引き起こす。β2受容体の活性化は、血圧の低下を引き起こす平滑筋組織の弛緩及び骨格筋振動の兆候を誘導する。β3受容体の活性化は、動物性脂肪組織トリグリセリドをグリセロールと脂肪酸とに分解するリポリシスを刺激することが知られている。
【0060】
β3受容体の活性化はまた、代謝速度を刺激し、その結果エネルギー消費を亢進する。従って、β3受容体の活性化は脂肪量の喪失を促進する。そのため、β受容体を刺激する化合物は抗肥満薬として有用である。β受容体アゴニストである化合物は、低血糖性及び/又は抗-糖尿病活性を有する。かかる活性は、標準的アッセイに従って当業者によって容易に測定される(国際特許出願公開番号第WO 96/35671号パンフレット)。様々な化合物を記載し、以下に言及している;しかしながら、他のβ-アドレナリン作用性アゴニストは当業者に周知であろう。国際特許出願公開番号第WO 96/35671号パンフレット (本明細書に参考として組み込まれている開示)は、β-アドレナリン作用性アゴニストである置換アミノピリジン等の化合物を開示している。国際特許出願公開番号第WO 93/16189号パンフレット (本明細書に参考として組み込まれている開示)は、肥満症の治療のために摂食行動を加減する化合物を組み合わせた選択的β3受容体アゴニストの使用を開示している。
【0061】
任意の擬似甲状腺(thyromimetic)抗肥満薬は、本発明の併用局面において第二の化合物として使用することができる。これらの化合物は組織選択的甲状腺ホルモンアゴニストである。当該化合物は、食欲抑制以外のメカニズム、例えばその後に体重を減少させる末梢組織での代謝速度の刺激によって、体重減少を誘導することができる。かかる代謝効果は、標準アッセイ(例えば、間接熱量測定法による)に従って当業者によって容易に測定される。様々なこれらの化合物を記載し、以下に言及するが、その他の擬似甲状腺(thyromimetic)抗肥満薬は当業者に周知であろう。発熱効果の選択性が、例えば肥満症及び関連する症状の治療における有用な治療薬には重要な要件となることは、当業者には周知である。米国特許番号第5,401,772号明細書; 同5,567,674号明細書;及び同5,654,468号明細書、すなわち本明細書に参考として組み込まれている開示は、一連のヘテロ酢酸誘導体を開示している。
【0062】
任意の摂食行動修正化合物は、追加の医薬として用いることができる。摂食行動を修正する化合物は、食欲を減じる化合物である食欲抑制剤を含む。いくつかの種類の食欲抑制剤は当業者に知られている。種々のこれらの化合物を記載し、以下に言及しているが、他の食欲抑制剤は当業者に知られているであろう、また以下に記載している。特に好ましいモノアミン取り込み阻害剤は、本明細書に参考として組み込まれている開示である米国特許第4,929,629号明細書に開示されたようにして調製することができるシブトラミンである。より好ましいセロトニン作動薬は、本明細書に参考として組み込まれている開示である米国特許第3,198,834号明細書に開示されたようにして調製することができるフェンフルラミン及びデキシフェンフルラミンを含む。特に好ましいドーパミンアゴニストは、本明細書に参考として組み込まれている開示である米国特許第3,752,814号明細書及び同3,752,888号明細書に開示されたようにして調製することができるブロモクリプチンを含む。別の好ましい食欲抑制剤は、本明細書に参考として組み込まれている開示である米国特許第2,408,345号明細書に開示されているようにして調製することができるフェンテルミンである。
【0063】
いずれかの他のNPY受容体アンタゴニストは、本発明の併用局面で第二の成分として用いることもできる。NPY受容体アンタゴニストの用語は、NPY受容体と相互作用し、神経ペプチドY活性を当該受容体において阻害し、その結果、肥満症を含む摂食障害等の、神経ペプチドYと関連する障害の治療に有用である化合物を意味する。かかる阻害は、標準的なアッセイに従って当業者によって容易に測定される。加えて、記載した及び以下に言及する化合物はNPY受容体アンタゴニストである; しかしながら、他のNPY受容体アンタゴニスも当業者には周知であろう。国際公開第WO 99/07703号パンフレット(本明細書に参考として組み込まれている開示)は、特定の4-アミノピロール(3,2-d)ピリミジンを神経ペプチドY受容体アンタゴニストとして開示している。他のかかる化合物は、本明細書に参考として組み込まれている開示である以下のWO公報に開示されている: 国際公開第WO 96/14307号パンフレット; 同WO 96/40660号パフレット; 同WO 98/03492号パフレット; 同WO 98/03494号パフレット; 同WO 98/03493号パフレット ; 同WO 96/14307号パフレット;及び同WO 96/40660号パフレット。
【0064】
アルツハイマー疾患の治療には、本発明の併用局面ではドネピジル等の任意のコリン様作用剤を第二の化合物として用いることができる。
【0065】
不安症の治療のためには、本発明の併用局面ではベンゾジアゼピン、バリウム又はリブリウム等の任意の抗不安薬を第二の化合物として用いることができる。
【0066】
鬱病の治療のためには、デシプラミン等のいずれかの三環性抗鬱剤又はゾロフト(登録商標)及びプロザックス(登録商標)等の任意の選択的セロトニン取り込み阻害剤(SSRI's)を本発明の化合物と併用して追加の医薬として用いることができる。
【0067】
精神病の治療のためには、ハロペリドール又はクロザピン等の任意の典型的又は異型の抗精神薬を本発明の化合物と併用して追加の医薬として用いることができる。
【0068】
糖尿病関連疾患/症状の治療のためには、任意のアルドースレダクターゼ阻害剤を本発明の化合物と併用して追加の医薬として用いることができる。アルドースレダクターゼ阻害剤の用語は、酵素アルドースレダクターゼによって触媒されるグルコースからソルビトールへの生物変換を阻害する化合物を意味する。かかる変換は、標準的アッセイに従って当業者によって容易に測定される(J. Malone, Diabetes, 29: 861-864,1980,「Red Cell Sorbitol, an Indicator of Diabetic Control」)。様々なアルドースレダクターゼ阻害剤が以下に記載され、言及されている;しかしながら、その他のアルドースレダクターゼ阻害剤は当業者に周知であろう。好ましいアルドースレダクターゼ阻害剤の例はゾポルレスタットである。
【0069】
糖尿病関連疾患/症状の治療のためには、任意のホスホリラーゼ阻害剤を本発明の化合物と併用して追加の医薬として用いることができる。グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の用語は、グリコーゲンホスホリラーゼの酵素作用を低減し、抑制し又は除去する任意の物質もしくは任意の薬剤又は物質及び/薬剤のいずかの併用を意味する。グリコーゲンホスホリラーゼの現在周知の酵素作用は、グリコーゲン高分子及び無機リン酸の可逆反応という触媒によってグリコーゲンの、グルコース-1-リン酸及びもとのグリコーゲン高分子よりも短い1個のグリコシル残基であるグリコーゲン高分子(グリコーゲン分解の正方向)への分解である。かかる作用は、種々のこれらの化合物を記載している以下の文献に記載の標準的なアッセイに従って当業者に用意に測定される:本明細書に参考として組み入れられている開示である国際公開第 WO 96/39384号パンフレット及び同 WO 96/39385号パンフレット。他の好ましいグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤は上で記載されている。
【0070】
糖尿病関連疾患/症状の治療のためには、任意のソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤を本発明の化合物と併用して追加の医薬として用いることができる。ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤の用語は、ソルビトールのフルクトースへの酸化を触媒する、酵素ソルビトールデヒドロゲナーゼを阻害する化合物を意味する。かかる阻害は、(米国特許第5,728,704号明細書及び本明細書に挙げられた参考に記載されているような)標準的なアッセイに従って当業者によって容易に測定される。種々のこれらの化合物を記載し、以下に言及している;しかし、他のソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤は当業者に周知であろう。米国特許第5,728, 704号明細書(本明細書に参考として組み入れられている開示)は、ソルビトールデヒドロゲナーゼを阻害し、フルクトースレベルを低減し、及び/又は糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性細小血管症及び糖尿病黄斑症等の糖尿病合併症を抑制するために置換ピリミジンを開示している。他の公知又は商業的に販売されている抗-糖尿病性化合物は、本発明の併用療法局面の業務において第二の化合物として用いることができる。
【0071】
神経ペプチドY(NPY)及び関連するペプチド(例えば、膵臓ポリペプチド及びペプチドYY)は、中枢及び末梢神経に広く分布し、種々の組織に存在するNPY受容体を介して広汎な多数の生物活性を有する。NPY(及び関連するペプチド)は、心臓血管系、脈管構造、ホルモン分泌、及び中枢神経系、腎臓、胃腸及び肺系及び代謝に影響を与える。NPYは過食を強力に刺激し、インシュリン抵抗を誘導する。今日までの研究は、摂食障害、肥満症、発作、不安症、糖尿病、高血圧、癌(例えば、乳癌及び膵癌)、鼻詰まり、女性又は男性の性的機能不全、鬱血性心不全及び胃腸障害を含む多数の疾患の病理生理学におけるNPYに関連している。
【0072】
更に、体脂肪の減少におけるそれらの作用(リポリシス)の結果として、本発明の化合物は、脂肪のない肉の沈着を増加させ及び/又は家禽及び豚、牛、羊及び山羊等の有蹄動物を含む食用動物における脂肪率に対する赤身肉を改良するために有用である。本発明の化合物は、犬や猫等のコンパニオン・アニマル等の家庭用ペットの治療に更に用いることができる。
【0073】
本発明の化合物は、化合物を所望の組織(例えば、脳、腎臓又は胃腸組織)に優先的に送達する任意の方法によって投与することができる。それらの方法は経口経路、非経口、十二指腸内経路等を含む。一般的に、本発明の化合物は、単用量(例えば日に一回)もしくは複数用量又は持続輸注で投与される。
【0074】
一般的に、本発明の化合物は経口又は非経口(例えば静脈内、筋肉内、皮下又は脊髄内)で投与される。局所投与もまた、例えば患者が嚥下障害に罹患している場合、又は薬剤が主治医によって決められる組織もしくは器官の表面にうまく適用される時にはいつでも、指摘される。
【0075】
投与される化合物の量及び時間は、当然のことながら、治療される対象、苦痛の深刻さ、投与方式及び処方する医師の判断に依拠するだろう。従って、患者によって変動するため、以下に挙げる投薬量はガイドラインであり、医師は、医師が患者に好適と考える治療を達成するために薬物の用量を滴定する(titrate)。所望の治療の程度を考慮した場合、医師は患者の年齢、前から存在する疾患の存在、及び他の疾患の存在(例えば心循環器疾患)等の種々の因子のバランスを保つ必要がある。
【0076】
従って、例えば本発明の化合物の一つの投与形式では、経口的に投与することができる。本発明の化合物はまた、長期に渡って日形式で投与することができる。
【0077】
本発明の化合物は、使用される量が上記の処方に効果的である(すなわち治療上有効量)ように投薬される。好ましい投薬量は本発明の化合物の約0.001〜100 mg/kg/日である。特に好ましい投薬量は本発明の化合物の0.01〜50 mg/kg/日である。
【0078】
追加の薬剤が本発明の化合物と併用して投与される場合、その追加の薬剤は一般的に約0.01〜約100 mg/kg体重/日、好ましくは約0.1 mg/kg体重/日〜約10 mg/kg体重/日の範囲で投薬される。併用は単回投与で又は分離投与として投与することができる。特に、追加の薬剤が(1)シブトラミンである場合には、シブトラミンの用量は約0.01 mg/kg体重/日〜約30 mg/kg体重/日、好ましくは約0.1 mg/kg体重/日〜約1 mg/kg体重/日であり; (2)デキシフェンフルラミンである場合には、デキシフェンフルラミンの用量は約0.01 mg/kg体重/日〜約30 mg/kg体重/日、好ましくは約0.1 mg/kg体重/日〜約1 mg/kg体重/日であり; (3)ブロモクリプチンである場合には、ブロモクリプチンの用量は約0.01〜約10 mg/kg体重/日、好ましくは0.1 mg/kg体重/日〜約10 mg/kg体重/日であり; (4)フェンテルミンである場合には、フェンテルミンの用量は0.01 mg/kg体重/日〜約10 mg/kg体重/日、好ましくは約0.1 mg/kg体重/日〜約1 mg/kg体重/日である。
【0079】
本発明の実施に用いられるアルドースレダクターゼ阻害剤の効果的な量は、典型的には単回投与又は分離投与で約0.1 mg/kg/日〜100 mg/kg/日の範囲、好ましくは単回投与又は分離投与で0.1 mg/kg/日〜20 mg/kg/日である。
【0080】
本発明の別の態様では、本発明の化合物は性的機能不全の治療に有用である。性的機能不全(SD)は、男性及び女性の両方に影響を与える重要な臨床的問題である。SDの原因は器質的及び心理的なものである。SDの器質的局面は典型的には、高血圧又は糖尿病に関連した疾患等の根底にある血管疾患、処方箋を必要とする薬及び/又は鬱病等の精神疾患によって引き起こされる。精神的要因は、恐怖、行為不安症及び対人間葛藤を含む。SDは性的行為を弱め、自尊心を損ない、及び個人的関係を崩壊させ、その結果個人的苦悩を誘起する。クリニックでは、SD疾患は女性の性的機能不全(FSD)障害と男性の性的機能不全(MSD)障害に分けられている(Melman, A.及びGingell, J. C., 「The epidemiology and pathophysiology of erectile dysfunction」, J. Urology, 161,5- 11 (1999) )。FSDは性的表現に満足を見出すことの女性の困難又は不能として最もよく定義されている。男性の性的機能不全(MSD)は一般的に、男性の勃起不全(MED)としても知られている勃起不全と関連する(Benetら,「Male Erectile dysfunction assessment and treatment options」, Comp. Ther. 20, 669-673 (1994))。
【0081】
本発明の化合物は特に男性(例えば、男性勃起不全-MED)及び女性の-女性性的不全(FSD)、例えば女性の性的覚醒障害(FSAD)における性的不全の予防及び/又は治療に有益である。
【0082】
中には、男性勃起不全(MED)に罹患している人がいることは知られている。MEDは次のように定義されている:「満足な性行為のための、ペニスの勃起の達成不能及び/又は維持不能」 (インポテンスに関するNIH Consensus Development Panel, 1993)。あらゆる程度(低度、中度及び完全なインポテンス)の勃起不全(ED)の罹患率は、40歳〜70歳の男性の52%であり、70歳を超えるとその割合はより高くなる、と推定されている(Melman, A. 及びGingell, J. C., 「The epidemiology and pathophysiology of erectile dysfunction」, J. Urology, 161,5-11 (1999))。その症状は、患者とそのパートナーの生活の質に重大な負の影響を与え、その結果、時として不安を増大させ、鬱病と低自尊心をまねく緊張を引き起こす。20年前、MEDは主に心理的障害と考えられていた(Benet, A. E.ら,「Male erectile dysfunction assessment and treatment options」, Comp. Ther. 20,669-673, (1994))のに対し、現在では、患者の大多数では根底の器質性原因が存在することが知られている。その結果、正常なペニスの勃起のメカニズムの特定及びMEDの病理生理学において大きく進歩した。
【0083】
ペニスの勃起は、ペニスの海綿体平滑筋及び脈管構造の収縮と弛緩とのバランスに依拠するhaemodynamicな事象である(Lerner, S. E. ら,「A review of erectile dysfunction: new insights and more questions」, J. Urology, 149,1246-1255 (1993))。海綿体平滑筋は、本明細書では、性交平滑筋又は複数の官能海綿体とも呼ばれる。海綿体平滑筋の弛緩は、海綿体の小柱間隙(trabecular spaces)に増加した血流をもたらし、その結果、周囲の膜を拡げ、流れる血管を圧縮する。このことは勃起を起こさせる血圧の多大な上昇をもたらす(Naylor, A. M., 「Endogenous neurotransmitters mediating penile erection」, Br. J. Urology, 81, 424-431 (1998))。
【0084】
勃起の工程で起こる変化は、複雑で、しかも末梢及び中枢神経を含む高度の組織的な制御、及びエンドセリン系を必要とする(Naylor, 1998)。性交平滑筋の収縮は、シナプス後のα1アドレナリン受容体の活性化を介して、交感神経性ノルアドレナリン作用性神経感応によって調節される。MEDは、海綿体の内因性の平滑筋の正常な緊張の増大と関連する。
【0085】
しかしながら、性交平滑筋の弛緩過程は、非-アドレナリン様、非-コリン作用性(NANC)神経伝達が部分的に介在する。ペニスには、NO以外に、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)及び血管活性腸管ペプチド(VIP)等の、発見されている多数の他のNANC神経伝達が存在する。当該弛緩を仲介する原因となる主な弛緩因子は、L-アルギニンから一酸化窒素シンターゼ(NOS)によって合成される一酸化窒素(NO)である(Taub, H. C.ら, 「Relationship between contraction and relaxation in human and rabbit corpus cavernosum」, Urology, 42,698-704 (1993))。性交平滑筋緊張の低減は、NOを補助し、海綿体の弛緩を誘起すると考えられている。男性の性的覚醒では、NOは神経及び内皮細胞から放出され、平滑筋及び内皮細胞に位置する溶解性グアニレート シクラーゼ(sGC)に結合、活性化し、細胞内サイクリック グアノシン3',5'-モノホスフェート(cGMP)レベルを上昇させる。当該cGMPの上昇により、プロテインキナーゼG活性化を含むと考えられている(おそらくCa2+ポンプの活性化及びCa2+-活性化K+ チャンネルによる)未知のメカニズムを介して、細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)の低減による海綿体の弛緩をもたらす。
【0086】
女性の性的機能不全(FSD)の種類は、それらを正常な女性の性的応答の局面:欲求、覚醒及びオーガスムと対比することによって最もよく定義される(S R Leiblum, (1998), Definition and Classification of Female Sexual Disorders, Int. J. Impotence Res., 10, S104-S106を参照されたい)。欲求又は性欲は性的表現を駆動する。その発現は、興味のあるパートナーが一緒である又は他の性愛刺激に暴露されているのいずれかの場合に頻繁に性的想像を含む。覚醒は制定刺激に対する血管応答、すなわち性器の充血、増加した膣液、膣の伸張及び増大した性器の感覚/感度及び主体の興奮的応答である重要な成分を含む。オーガスムは覚醒中に頂点に達した性的緊張の弛緩である。従って、FSDは、1以上のこれらの局面のいずれか、通常、欲求、覚醒又はオーガスムにおいて女性が全く応答を示さないか、不充分であるか又は満足できない応答を示した場合に起こる。
【0087】
米国精神医学協会は女性の性的機能不全(FSD)を4種に分類している:FSAD、自発運動性性的欲求障害(HSDD)、女性のオーガスム障害(FOD)及び性的疼痛障害(例えば性交疼痛症及び膣痙) [米国精神医学協会の「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」, 第4版(DSM-IV)を参照されたい]。
【0088】
DSM-IVは以下の4種が特定されている。
【0089】
HSDD-持続的に又は再発的に不充分な(又は欠けている)性的空想及び性的行為に対する欲求。不充分又は欠如の判断は、年齢及び個人的生活の内容等の機能に影響を与える要素を考慮して医師によって行われる。
【0090】
FSAD-持続的又は再発的な性的行為、すなわち性的興奮である十分な潤滑-膨張応答の完了までの保持不能又は維持不能。
【0091】
FOD-オーガスム、それに続く正常な性的興奮の持続的又は再発的な遅れ又は欠如。女性はオーガスムを引き起こす刺激の種類又は強度において幅広い変動を示す。FODの診断は、女性のオーガスム能は、年齢、性的経験及び受ける性的刺激の妥当性に相応するよりも低度であるという医師の判断に基くべきである。
【0092】
性交疼痛症及び膣痙等の性的疼痛障害。性的疼痛症-性交に関連する再発的又は持続的な性器疼痛。膣痙-性交を妨害する膣の外側第三の筋肉組織の再発的又は持続的な非自発的痙攣。
【0093】
HSDDは、女性がセックスに対して全く又はほとんど欲求がなく、及び性的想像又は空想を全く又はほとんど有しない場合に、存在する。この種類のFSDは、自然な閉経又は外科的閉経のずれかによる低テストステロンレベルによって引き起こる。閉経前の女性(すなわち閉経前及び子宮を摘出していない女性)及び閉経後の女性における他の原因は、疾患、薬剤、倦怠感、鬱及び/又は不安を含む。関係の困難又は信仰的要素等の潜在的(意識的又は準意識的な)精神的影響を有する原因は、女性のHSDDの存在/進行に関連する。米国精神医学協会の「診断的及び統計的マニュアル(DSM)」IVは、女性の性的覚醒障害(FSAD)を以下のように定義している:「... 性行為の完了まで、性的興奮である十分な潤滑-膨張応答を保持又は維持することが持続的又は再発的に不能。この障害は、顕著な苦悩又は対人関係の困難を引き起こすにちがいない...」。
【0094】
性的興奮は、骨盤の充血、膣液及び外性器の拡張及び膨張からなる。障害は顕著な苦悩及び/又は対人関係の困難をまねく。
【0095】
FSADは、閉経前、閉経前後及び閉経後(ホルモン代替療法(HRT))の女性に影響を与える、広く蔓延している性的障害である。これは、鬱病、心疾患、糖尿病及び泌尿生殖器(UG)障害等の合併症と関連する。FSADの一次的な結果は、充血/膨張の欠如、潤滑の欠如及び性器の快感の欠如である。FSADの二次的な結果は、性欲の減退、性交中の疼痛及びオーガスムの達成困難である。近年、FSADの症状を有する患者の割合には少なくとも血管の根拠があると仮定されており(Goldsteinら, Int. J. Impot. Res., 10, S84-S90 (1998))、この見解を支持する動物データが提示されている(Parkら, Int. J. Impot. Res., 9,27-37 (1997))。
【0096】
現在その効果を試験中であるFSADを治療するための薬物候補は、主に、男性器に血液の循環を促進する勃起不全療法である。それらは、2種類の製剤、すなわち経口薬又は舌下薬(アポモルフィン(Apomorphine)、フェントラミン(Phentolamine)、5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)阻害剤、例えばシルデナフィル(Sildenafil))及び男性には経尿管的に及び女性には局所的に注射又は投与されるプロスタグランジン(PGE1)からなる。
【0097】
本発明の化合物は、正常な性的覚醒反応、すなわち膣、陰核及び陰唇の充血をもたらす増大した性器血行、を回復させるための手段を提供する点で有益である。これは、血漿濾出を介した増加した膣液、増大した膣の服従及び増大した性器感覚をもたらす。従って、本発明は正常な性的覚醒反応を回復又は可能にする方法を提供する。
【0098】
本明細書において女性器とは以下を意味する:「性器は、内部群及び外部群からなる。内部器官は骨盤内に存在し、卵巣、尿道管、子宮及び膣から成る。外部器官は尿生殖隔膜の表面であって弓形骨盤の下に存在する。それらは、恥丘、大陰唇及び小陰唇、陰核、前庭、前庭球、及びより大きな前庭腺から成る(Gray's Anatomy, C. D. Clemente, 第13版米国編集)。R. J. Levinは、「...男性及び女性の性器は通常の組織原基から発生学的に発達したものであり、男性器及び女性器の構造が互いに相同関係にあると論じられる。従って、陰核は、陰嚢のペニス相同器官であり、また小唇相同器官でもある...」(Levin, R. J., Exp. Clin. Endocrinol., 98,61-69 (1991))と教示している。
【0099】
概略すると、FSADは、性的刺激に対する不十分な性器応答によって特徴付けられる。この性器は、正常な性的覚醒を特徴付ける充血を経ない。膣壁は潤滑が乏しく、そのため性交が疼痛を伴う。オーガスムは妨げられる。覚醒障害は、閉経時又は出産後及び授乳中、並びに糖尿病及びアテローム性動脈硬化症等の血管要素を伴う疾患により、減少したエストロゲンによって引き起こされる。他の原因は、利尿薬、抗ヒスタミン薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)等の抗鬱薬又は降圧剤による治療の結果生じる。
【0100】
FODは、持続的又は再発的な困難、すなわち十分な性的刺激及び覚醒後のオーガスムの遅れ又はオーガスムの欠如であり、これは個人的苦悩の原因となる。
【0101】
(性交疼痛症及び膣痙を含む)性的疼痛障害は、挿入及び性的行為から起こる疼痛によって特徴付けられ、潤滑、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、炎症性腸疾患又は尿路障害を減じる医薬によって起こることがある。
【0102】
更なる局面によれば、本発明は更に、本明細書で詳述した本発明の化合物による治療による、男性の性的機能不全(MSD)、特に男性の勃起不全(MED)の治療方法及び/又は予防方法を提供する。
【0103】
更なる局面によれば、本発明は、本明細書で定義された本発明の化合物と、PDEの活性を阻害する1以上の化合物、特にcGMP PDE5の活性を阻害する化合物及び/又はNEPの活性を阻害する1以上の化合物との組み合わせた治療による、男性の性的機能不全(MSD)、特に男性の勃起不全(MED)の治療方法及び/又は予防方法を提供する。
【0104】
バイアグラ(Viagra)TMによる治療に十分な応答を示さない又はその応答が欠けている男性は、本発明の化合物単独による治療に基く治療法、又は本発明の化合物(複数)とシルデナフィル(sildenafil)等のcGMP PDE5iとの併用療法のいずれかの恩恵を受けることができる。軽度から中度のMEDの患者は、本発明の化合物(複数)単独療法又はNEPiとの併用療法を組み合わせた治療から恩恵を受けるだろう、また重度のMEDの患者も反応するだろう。軽度、中度及び重度のMEDは、当業者に周知の用語であり、その指針は以下に見つけられる: The Journal of Urology, 151,54-61 (1994)。
【0105】
MED患者群は、Clinical Androloay, 23 (4), p773-782及びMosby-Wolfeによって発行されたI. Eardley及びK. Sethiaの書籍の第3章、「Erectile Dysfunction-Current Investigation and Management」に詳細に記載され、次の通りである: 心因性、内分泌学的、神経性、動脈発生性(arteriogenic)、(催乳性の)薬物性性的機能不全及びcavernosal因子、特に静脈発生的(venogenic)原因に関連する性的機能不全。
【0106】
本発明に従うMED治療のための本発明の化合物と組み合わせて用いる好適なcGMP PDE5阻害剤は以下を含む: EP-A-0463756号明細書に開示されたピラゾロ [4,3-d] ピリミジン-7-オン; PCT公開番号第 WO 01/27112号パンフレットに開示されたピラゾール [4,3-d] ピリミジン-7-オン; PCT公開番号第 WO 01/27113号パンフレットに開示されたピラゾール [4,3-d] ピリミジン-7-オン; 国際公開第 W095/19978号パンフレットに開示されたパンフレットインドール-1, 4-ジオン、及びPCT公開番号第 W099/24433号パンフレットに開示されたトリアジン-4-オン。
【0107】
より好ましくは、1- [ [3- (6, 7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ- 3-プロピル-1 H-ピラゾロ [4, 3-d] イリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル] スルホニル]-4- メチルピペラジン (EP-A-0463756号明細書を参照されたい)としても知られている、5-[2-エトキシ-5-(4-メチル-1- ピペラジニルスルホニル) フェニル]-1-メチル-3-n-ピロピル-1, 6-ジヒドロ-7H-ピラゾロ [4,3-d] ピリミジン-7-オン (シルデナフィル(sildenafil));
1- {6-エトキシ-5-[3-エチル-6,7-ジヒドロ-2-(2-メトキシエチル)-7-オキソ-2H-ピラゾロ [4,3- d] ピリミジン-5-イル]-3-ピリジルスルホニル}-4-エチルピペラジン(国際公開第WO 01/27113号パンフレットの実施例8を参照されたい)としても知られている、5-[2-エトキシ-5-(4-エチルピペラジン-1-イルスルホニル)-ピリジン-3-イル]-3-エチル-2-[2-メトキシエチル]-2, 6-ジヒドロ-7H-ピラゾロ [4,3-d] ピリミジン-7-オン;
5- (5-アセチル-2-ブトキシ-3-ピリジニル)-3-エチル-2- (1-エチル-3-アゼチジニル)-2,6- ジヒドロ-7H-ピラゾロ [4,3-d] ピリミジン-7-オン (国際公開第WO 01/27112号パンフレットの実施例132を参照されたい);
(6R, 12aR)-2, 3,6, 7,12, 12a-ヘキサヒドロ-2-メチル-6-(3, 4-メチレンジオキシフェニル)-ピラジノ[2',1':6,1]ピリド[3,4-b]インドール-1,4-ジオン(IC-351, タダラフィル(tadalafil))、すなわち、PCT公開番号第 W095/19978号パンフレットに記載の実施例78及び95の化合物、及び実施例1、3、7及び8に記載の化合物;及び
1- [ [3- (3, 4- ジヒドロ-5-メチル-4-オキソ-7-プロピルイミダゾ[5, 1-f]-アズ-トリアジン-2-イル)-4- エトキシフェニル] スルホニル]-4-エチルピペラジン(すなわち、PCT公開番号第 WO 99/24433号パンフレットに記載の実施例20、19、337及び336の化合物)としても知られている、2- [2-エトキシ-5- (4-エチル-ピペラジン-1-イル-1-スルホニル)-フェニル]-5-メチル-7-プロピル- 3H-イミダゾ [5,1-f] [1,2,4] トリアジン-4-オン(バルデナフィル(vardenafil))等の化合物;並びにその薬学的に許容される塩である。
【0108】
更なる局面によれば、本発明は、本発明の化合物及びシルデナフィル(sildenafil)を含むMED治療のための組成物を提供する。
【0109】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための任意の具体的なcGMP PDE5阻害剤の好適性は、文献記載の方法を用いるその効力及び選択性の評価に続いて、標準的な薬務に従うその毒性、吸収、代謝、薬物動力学等による評価によって容易に決定することができる。
【0110】
本明細書で用いる好ましいcGMP PDE5阻害剤は、100nM未満、より好ましくは50nM未満、更に好ましくは10nM未満のIC50を有する。好ましくは、本発明に従う医薬的併用に用いるcGMP PDE5阻害剤は、酵素PDE5に選択的である。好ましくは、100より大きい、より好ましくは300より大きい、PDE3に対するPDE5の選択性を有する。より好ましくは、PDE5は、100より大きい、より好ましくは300より大きい、PDE3及びPDE4に対する選択性を有する。
【0111】
選択率は当業者によって容易に決定することができる。酵素PDE3及びPDE4のIC50値は、確立された文献方法を用いて決定することができる。S A Ballardら, Journal of Uroloay, 159,2164- 2171 (1998)を参照されたい。
【0112】
本明細書において、NEPがEC 3.4.24.11であるNEP阻害剤が好ましく、当該NEP阻害剤がEC 3.4.24.11の選択的阻害剤であることがより好ましく、選択的NEP阻害剤が100nM未満のIC50を有するEC 3.4.24.11の選択的阻害剤(例えば、オムパトリラート(ompatrilat)、キャンドキサトリル(candoxatril)、キャンドキサトリラート(candoxatrilat)、サムパトリラート(sampatrilat))であることがより好ましい。好適なNEP阻害剤化合物は、EP-A-1097719号明細書に記載されている。
【0113】
本発明に従うMED治療に用いる補助剤としての特に好ましいNEPi化合物は、PCT公開番号第 WO 02/079143号パンフレット(出願番号第 PCT/IB02/00807号、2002年3月18日に出願)に記載の化合物である。
【0114】
特に好ましくは、(S)-2-[(1-{[3-(4-クロロフェニルl) プロプル]- カルバモイル} シクロ-ペンチル) メチル]-4-メトキシブタン酸、又はPCT公開第02/079143号パンフレットの実施例22に記載の、そのナトリウム塩等の薬学的に許容される塩である。
【0115】
更なる局面によれば、本発明は、本発明の化合物及び(S)-2-[(1-{[3-(4-シクロフェニル) プロピル] カルバモイル} シクロ- ペンチル) メチル]-4メトキシブタン酸を含むMED治療のための組成物を提供する。
【0116】
本発明の更なる局面によれば、女性の性的機能不全(FSD)の治療のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0117】
本発明の別の局面によれば、女性の性的機能不全(FSD)の治療のための、本発明の化合物及び1以上の追加の活性薬剤の使用を提供する。
【0118】
好ましくは、1以上の追加の活性薬剤は、以下からなる群より選ばれる: 1) エストロゲン受容体モデュレーター及び/又はエストロゲンアゴニスト及び/又はエストロゲンアンタゴニスト; 2) テストステロン代替薬剤及び/又はテストステルノン(トストレル)及び/又はジヒドロテストステロン及び/又はデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及び/又はテストステロン・インプラント; 3) エストロゲン、エストロゲン及びメドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA) (併用として)、あるいはエストロゲン及びメチル テストステロン ホルモン代替療法剤; 4) 1以上のドーパミン作用薬; 5) 1以上の5HTアゴニスト; 6) 1以上のメラノコルチン(melanocortin)受容体アゴニストもしくはモデュレーター又はメラノコルチンエンハンサー; 7) 1以上のNEP (中性エンドペプチターゼ)阻害剤; 8) 1以上のPDE (ホスホジエステラーゼ)阻害剤; 並びに 9) 1以上のボンベシン受容体アンタゴニスト又はモデュレーター。
【0119】
好ましくは、前記FSDは女性性的覚醒障害(FSAD)である。あるいは、前記FSDは女性オーガスム障害(FOD)である。更にあるいは、前記FSDは自発運動性性的欲求障害(hypoactive sexual desire disorder) (HSDD)である。更にあるいは、前記FSDは性的疼痛障害、好ましくは性交疼痛症又は膣痙である。
【0120】
エストロゲン受容体モデュレーター及び/エストロゲンアゴニスト及び/又はエストロゲンアンタゴニストは、ラロキシフェン又はラフォキシフェン、(-)-シス-6-フェニル- 5- [4- (2-ピロリジン-1-イル-エトキシ)-フェニル]-5, 6,7, 8-テトラヒドロナフタレン-2-オール及びその薬学的に許容される塩(以下の化合物(a))を含み、その調製については国際公開第WO 96/21656号パンフレットに詳述されている。
【0121】
【化4】

【0122】
テストステロン代替療法剤の例は、デヒドロアンドロステンジオン(dehydroandrostendione)である。
【0123】
ホルモン代替療法剤の例は、プレマリン(Premarin)、セネスチン(Cenestin)、オエストロフェミナール(Oestrofeminal)、エカイン(Equin)、エストラス(Estrace)、エストロフェム(Estrofem)、エレステソロ(Elleste Solo)、エストリング(Estring)、イーストラデルム(Eastraderm TTS)、イーストラデルム マトリックス(Eastraderm Matrix)、デルメストリル(Dermestril)、プレムフェーズ(Premphase)、プレエムプロ(Preempro)、プレムパック(Prempak)、プレミクィ(Premique)、エストラテスト(Estratest)、エストラテスト(Estratest)HS及びチボロン(Tibolone)を含む。
【0124】
ドーパミン作動薬の例は、アポモルフィン、又はプラミペキソール及びロピリノール(ropirinol)(国際公開第 WO-0023056号パンフレットに記載)、L-ドーパ又はカルビドーパ(carbidopa)、PNU95666(国際公開第 WO-0040226号パンフレットに記載)等のアゴニスト選択的D2、D3又はD2/D3アゴニストを含む。
【0125】
追加のNPY(神経ペプチドY)阻害剤の追加の例は、NPY1又はNPY5阻害剤、好ましくはNPY1阻害剤を含む。好ましくは、当該NPY阻害剤(NPY Y1及びNPY Y5を含む)は、100nM未満のIC50、より好ましくは50nM未満のIC50を有する。好適なNPY及び特に好適なNPY1阻害剤化合物はEP-A-1097718号に記載されている。
【0126】
5HT2c受容体アゴニストの例は、いずれも2002年6月17日に出願されたPCT出願番号第PCT/IB02/02293号及びPCT/IB02/02261号; PCT公開番号第 WO 02/40456号パンフレット及び米国特許第6,465,467号明細書に記載のようなピラジン及びピリミジン誘導体を含む。
【0127】
メラノコルチン受容体アゴニストもしくはモデュレーター又はメラノコルチンエンハンサーの例は、メラノタン(melanotan) 11、PT-14、PT-141又は国際公開第 WO-09964002号パンフレット、同第 WO-00074679号パンフレット、同第 WO-09955679号パンフレット、同第 WO-00105401号パンフレット、同第 WO-00058361号パンフレット、同第 WO-00114879号パンフレット、同第 WO-00113112号パンフレット又は同第 WO-09954358号パンフレットに開示された化合物を含む。
【0128】
好適なNEP阻害剤は上記の通りである。
【0129】
更なる局面によれば、本発明は、本発明の化合物及び(S)-2-[(1-{[3-(4-クロロフェニル) プロピル] カルバモイル} シクロ-ペンチル) メチル]-4-メトキシブタン酸を含むFSDの治療のための組成物を提供する。
【0130】
好ましいPDE阻害剤は、PDE 2、3、4、5、7又は8阻害剤、好ましくはPDE2又はPDE5阻害剤及びより好ましくはPDE5阻害剤(本明細書の上で記載した)、最も好ましくはシルデナフィル(sildenafil)を含む。
【0131】
更なる局面によれば、本発明は、本発明の化合物及びシルデナフィルを含むFSDの治療のための組成物を提供する。
【0132】
1以上のボンベシン(bombesin)受容体アンタゴニスト又はモデュレーターの好ましい例は、PCT公開番号第 WO 02/40008号パンフレット (出願番号第 PCT/GB01/05018号、2001年11月14日に出願)及びPCT公開番号第 WO 02/40022号パンフレット (出願番号第 PCT/GB00/04380号、2000年11月17日に出願)に記載のものを含む、BB1に対するアンタゴニスト又はモデュレーターである。また好ましくはボンベシンBB2、BB3又はBB4受容体アンタゴニストである。好ましいボンベシン受容体アンタゴニストは、PCT公開番号第 WO 02/47670号パンフレット中に「補助剤」としても記載されている。
【0133】
可能性のある「追加の活性薬剤」の完全なリストがPCT公開番号第 WO 02/47670号パンフレットに見うけられ、そこには「補助剤」として記載されていることは注目すべきである。
【0134】
本発明の化合物は一般的に、少なくとも一つの本発明の化合物を薬学的に許容される担体、媒体又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物の形態で投与される。従って、本発明の化合物は、任意の通常の経口的、非経口的、直腸的又は経皮的な剤形で、単独で又は一緒に投与される。
【0135】
経口投与用の医薬組成物としては、溶剤、懸濁液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤等の形態をとることができる。クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウム等の種々の賦形剤を含む錠剤は、デンプン、好ましくはジャガイモデンプン又はタピオカデンプン及び特定の複雑な珪酸塩等の種々の崩壊剤、並びにポリビニルピロリジン、ショ糖、ゼラチン及びアカシア等の結合剤と共に使用される。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の滑沢剤は、錠剤化目的のため非常に有用なことが多い。類似の種類の固体組成物は、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤等の充填剤としても使用される;これに関連する好ましい材料はまた、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールを含む。水溶性懸濁液及び/又はエリキシル剤が経口投与に望ましい場合には、本発明の化合物は種々の甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、乳化剤及び/又は懸濁化剤、及びエタノール、プロピレングリコール、グリセリン等の希釈剤並びに種々の同種のそれらの組み合わせと併用することができる。
【0136】
非経口投与の目的用としては、溶剤、例えばゴマ油もしくはピーナッツ油又は水溶性プロピレングリコールの溶剤は、対応する水溶性塩の無菌水溶液と同様に使用することができる。かかる水溶液は必要に応じて好適に緩衝化されていてもよく、液体希釈剤は十分な生理食塩水又はグルコースによって最初に等張とされていてもよい。当該水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内注射の目的に特に好適である。これに関連して、使用される無菌水溶性媒質は全て、当業者に周知の標準的な技術によって容易に入手可能である。
【0137】
経皮的(例えば局所)投与の目的用としては、希釈殺菌水、水溶液又は部分的水溶液(一般的に約0.1%〜5%濃度)、他に上記非経口溶液に類似したものが調製される。
【0138】
他の投与方法は、イオン導入パッチ、インプラント及び吸入を含む。
【0139】
特定量の活性成分を用いる種々の医薬組成物を調製する方法は周知であり、当業者には当該開示から明らかであろう。医薬組成物を調製する方法の例に関しては、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easter, Pa., 第15版(1975)を参照されたい。
【0140】
本発明の実施態様は、下記「実施例」により例証されている。しかし、本発明の実施態様は、これらの「実施例」の具体的な詳細に制限されるものではなく、それらの他の変動が、当業者には、本開示を考慮し、公知又は明らかであることは理解されるべきである。
【実施例】
【0141】
特に記さない限りは、出発材料は、一般にAldrich Chemicals社(ミルウォーキー、WI)、Lancaster Synthesis社(ウィンダム、NH)、Acros Organics社(フェアローン、NJ)、Maybridge Chemical社(コーンウェル、英国)、Tyger Scientific社(プリンストン、NJ)及びAstraZeneca Pharmaceuticals社(ロンドン、英国)などの商業的供給業者から入手可能である。
【0142】
一般的な実験方法
NMRスペクトルは、Varian Unity(登録商標) 400又は500(Varian社、パロアルト、CAから入手)を、室温で、各々、400及び500MHz 1Hで使用した。化学シフトは、内部標準としての残留溶媒に対するppm(δ)で表した。ピークの形状は、以下を意味している:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br s、広幅一重線;v br s、非常に広幅一重線;br m、広幅多重線;2s、2個の一重線。場合によっては、代表的1H NMRピークのみが示されている。
【0143】
質量スペクトルは、正及び負の大気圧化学イオン化(APcl)スキャンモードを使用し、ダイレクトフロー分析により記録した。Gilson 215液体操作システムを装着したWaters APcl/MSモデルZMD質量分析装置を使用し、実験を行った。
【0144】
質量スペクトル分析は、クロマトグラフィー分離のためのRP-HPLC勾配法によっても得た。分子量同定は、正及び負のエレクトロスプレーイオン化(ESI)スキャンモデルにより記録した。Gilson 215液体操作システム及びHP 1100 DADを装着したWaters/Micromass ESI/MSモデルZMD又はLCZ質量分析装置を使用し、実験を行った。
【0145】
塩素及び臭素-含有イオンの強度が記された場合、予想される強度比が観察され(35Cl/37Cl-含有イオンについて約3:1及び79Br/81Br-含有イオンについて1:1)、より低い質量イオンのみがもたらされた。MSピークは、全ての例について報告されている。
【0146】
旋光度は、指定された温度でのナトリウムD線(λ=589nm)を用い、PerkinElmer(登録商標)241旋光計(PerkinElmer社、ウェルズレイ、MAより入手)により決定し、並びに[α]DTEMP、濃度(c=g/100ml)、及び溶媒のように報告した。
【0147】
カラムクロマトグラフィーは、ガラスカラム又はBiotage(登録商標)カラム(ISC社、シェルトン、CT)中での、Baker(登録商標)シリカゲル(40μm;J. T. Baker, Phillpsburg, NJ)又はSilica Gel 50 (EM Sciences社、ギブスタウン、NJ)のいずれかで、低い窒素圧力下で行った。ラジアルクロマトグラフィーは、Chromatotron(登録商標)(Harrison Research社)を用い行った。
【0148】
実施例1
9-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (1A):
【0149】
【化5】

【0150】
ステップ A. 中間体 2-ヨードシル-4-ニトロ-安息香酸 (I-1a)の調製:
2-ヨード-4-ニトロトルエン(50 g, 0.19 mol)の氷酢酸(380 ml)、無水酢酸(190 ml)及び濃硫酸(112 ml)の混合溶液を氷浴で冷却した。三酸化クロム(97 g, 0.57 mol)を30分以上かけて一部ずつ加え、その間に内温を約90℃にまで昇温させた。得られた高粘性の懸濁液を30分以上氷浴で冷却した後、氷(2 kg)を注いだ。氷が溶けたら、沈殿をろ過によって集め、メタノール(800 ml)及びエーテル(200 ml)で洗浄し、真空下で乾燥し、2-ヨードシル-4-ニトロ-安息香酸 I-1a (54.9 g, 94%)を得た。
【0151】
ステップ B. 中間体 2-ヨード-4-ニトロ安息香酸 (I-1b)の調製:
固体のヨウ化カリウム(55 g, 0.33 mol)を2-ヨードシル-4-ニトロ-安息香酸 I-1a (54.9 g, 0.18 mol)の水(250 ml)及び氷酢酸(50 ml)の懸濁液に一部ずつ加えた。更に5〜10分かけて、固体を徐々に溶液中に加えると、溶液はオフホワイト色から赤色に変化した。23℃で1時間攪拌後、ガス状二酸化硫黄を赤色が消え、青白緑色の懸濁液が形成されるまで噴霧した。固体をろ過によって集め、トルエン(3 x 250 ml)から共沸し、真空下で乾燥し、2-ヨード-4-ニトロ安息香酸 I-1b (33 g, 64%)を得た。
【0152】
ステップ C. 中間体 N-エチル-2-ヨード-4-ニトロ-N-フェニル-ベンズアミド (I-1c)の調製:
オキサリルクロリド(12 ml, 17.3 g, 0.14 mol)2-ヨード-4-ニトロ安息香酸 I-1b (20 g, 68.3 mmol)のジクロロメタン(137 ml)溶液に一滴ずつ加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(0.1 ml)をシリンジで反応混合物に加えた、反応混合物を23℃で1時間攪拌し、更に追加部分のN,N-ジメチルホルムアミド(0.1 ml)を加えた。反応混合物を更に2時間攪拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残渣をジクロロメタン(137 ml)に溶解し、DMAP (50 mg)及びトリエチルアミン(14.3 ml, 10.3 g, 0.102 mol)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、N-エチルアニリン(10.1 ml, 9.9 g, 82 mmol)を10分以上かけて加えた。反応混合物を23℃まで暖めた。室温で16間後、水(150 ml)を加え、水層を分離した。有機層を1 N HCl (2 100-ml 部分)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)で精製し、N-エチル-2-ヨード-4-ニトロ-N-フェニル-ベンズアミド I-1c (24.3 g, 93%)を得た。
【0153】
ステップ D. 中間体 5-エチル-9-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン (I-1d)の調製:
酢酸パラジウム(826 mg, 3.68 mol)を炭酸銀(10.1 g, 36.8 mmol)、トリフェニルホスフィン(1.93 g, 7.36 mmol)及びN-エチル-2-ヨード-4-ニトロ-N-フェニル-ベンズアミド(7.29 g, 18.4 mmol)のアセトニトリル(92 ml)懸濁液に加えた。反応混合物を30分間リフラックスするまで加熱し、23℃まで冷却した。混合物をセライト栓でろ過し、ろ過固体を酢酸エチル(100 ml)及びジエチルエーテル(100 ml)で洗浄した。併せたろ液を飽和塩化ナトリウム(100 ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(150 mlのジエチルエーテル次いで150 mlの酢酸エチル)で精製し、5-エチル-9-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン I-1d (2.87 g, 58%)を黄色固体として得た。
【0154】
ステップ E. 9-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (1A)の調製:
5-エチル-9-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン(5.4 g, 20 mmol)のエチルアルコール(400 ml)溶液を10% 活性炭パラジウム(500 mg)で充填した。得られた懸濁液をParr水素化装置上に置き、50 psi H2下、18時間振とうした。触媒をろ過によって除き、ろ液を真空下で濃縮し、9-アミノ-5- エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (2.5 g, 定量的)を得た。
【0155】
MS m/e 239 (M+);
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.1 (d, J = 7.5 Hz, 1 H), 8.0 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.5 (m, 2H), 7.4 (s, 1H), 7.3 (m, 1H), 6.8 (dd, J = 8. 7,2. 1 Hz, 1H), 4.3 (q, J = 6. 9 Hz, 2H), 1.2 (t, J = 7. 1 Hz, 3H)。
【0156】
下記の2種の化合物(実施例2及び3)は、好適な出発原料を用いる化合物1Aの調製のための、実施例1で用いた方法と類似の方法に従って調製した。
【0157】
実施例 2
9-アミノ-5-イソプロピル-5H-フェナンスリジン-6-オン (2A):
【0158】
【化6】

【0159】
MS m/s 283 (M++1)。
【0160】
実施例 3
9-アミノ-5-イソブチル5H-フェナンスリジン-6-オン (3A):
【0161】
【化7】

【0162】
MS m/s 267 (M++1)。
【0163】
実施例 4
N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミド (4A):
【0164】
【化8】

【0165】
N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2,2,2-トリフルオロ- アセトアミド (4A)の調製:
トリフルオロ無水酢酸 (0.034 ml, 50 mg, 0.24 mmol)を9-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン 1A (38 mg, 0.16 mmol)及びピリジン (0.039 ml, 38 mg, 0.49 mmol)のジクロロメタン(3 ml)溶液に加えた。23℃で16時間後、反応混合物を1:1 酢酸エチル/ヘキサン (10 ml)で希釈し、水(10 ml)、飽和塩化アンモニウム水溶液 (10 ml)及び飽和塩化ナトリウム水溶液 (10 ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー (50% エーテのヘキサン溶液)で精製し、N- (5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミド 4A (33 mg, 61 %)を得た。
【0166】
MS m/e 335 (M++1);
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.8 (d, J = 2.1 Hz, 1 H), 8.6 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.3 (d, J = 8. 1 Hz, 1H), 8.2 (s, 1H), 7.6 (m, 2H), 7.4 (d, J=8. 5Hz, 1H), 7.3 (t, J=7. 9Hz, 1H), 4.5 (q, J = 7. 1 Hz, 2H), 1.4 (t, J= 7.3 Hz, 3H)。
【0167】
実施例 5
N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル アセトアミド (5A)の調製:
【0168】
【化9】

【0169】
N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル-アセトアミド (5A)の調製:
1- [3- (ジメチルアミノ) プロピル]-3-エチルカルボジイミド・塩酸塩 (EDC) (962 mg, 5.03 mmol)を9-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン 1A (1.0 g, 4.2 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(850 mg, 6.3 mmol)及びトリエチルアミン (0.64 ml, 4.6 mmol)のジクロロメタン(20 ml)溶液に少しずつ加えた。得られた溶液を23℃で16時間攪拌し、酢酸エチル(50 ml)で希釈した。反応混合物を水(25 ml)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(25 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。固体残渣をメタノールで摩砕し、N- (5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル-アセトアミド 5A (509 mg, 34%)を得た。
【0170】
MS m/e 358 (M++1)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.9 (s, 1 H), 8.6 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 8.4 (d, J =8. 7Hz, 1H), 8.2 (d, J=7. 5Hz, 1H), 8.1 (s, 1H), 7. 5 (m, 1H), 7.4 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.3 (m, 2H), 7.2 (m, 1 H), 4.4 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 3.8 (s, 2H), 1.4 (t, J = 7. 1 Hz, 3 H)。
【0171】
以下の化合物は、好適な出発原料を用いる化合物5Aの調製のための、実施例5で用いた方法と類似の方法に従って調製した。
【0172】
実施例 6
2-ジメチルアミノ-N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-アセトアミド (6A)の調製:
【0173】
【化10】

【0174】
MS m/s 324 (M++1)。
【0175】
実施例 7
N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-3-ピペリジン-1-イル-プロピオンアミド (7A)の調製:
【0176】
【化11】

【0177】
MS m/s 378 (M++1)。
【0178】
実施例 8
2-ジメチルアミノ-N-(5-イソプロピル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-アセトアミド (8A)の調製:
【0179】
【化12】

【0180】
MS m/s 338 (M++1)。
【0181】
実施例 9
N-(5-イソプロピル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル-アセトアミド (9A)の調製:
【0182】
【化13】

【0183】
MS m/s 372 (M++1)。
【0184】
実施例 10
N-(5-イソプロピル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-3-ピペリジン-1-イル-プロピオンアミド (10A)の調製:
【0185】
【化14】

【0186】
MS m/s 392 (M++1)。
【0187】
実施例 11
N-(5-イソプロピル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-6-イル)-2-ピリジン-3-イル-アセトアミド (11A)の調製:
【0188】
【化15】

【0189】
MS m/s 372 (M++1)。
【0190】
実施例 12
N-(5-エチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ヒドロキシ-イソブチルアミド (12A)の調製:
【0191】
【化16】

【0192】
MS m/s 325 (M++1)。
【0193】
実施例 13
N-(5-エチル-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミド (13)の調製:
【0194】
【化17】

【0195】
ステップ A. 中間体 5-エチル-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イルアミン (I-13a)の調製:
5-エチル-9-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン I-1d (250 mg, 0.93 mmol)のTHF (1 ml)溶液を水素化リチウムアルミニウム(99 mg, 2.6 mmol)のTHF (5 ml)懸濁液に添加した。反応混合物を2時間リフラックスするまで加熱し、23℃まで冷却した。過剰の水素化物を水(パスツールピペットから5滴)、1N 水酸化ナトリウム水溶液(パスツールピペットから5滴)及び水(パスツールピペットから15滴)を注意深く連続添加することによってクエンチした。不溶物をろ過によって除き、ろ過固体を酢酸エチル(25-ml部分)で洗浄した。併せたろ液を水(10 ml)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10 ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(2% 酢酸エチルのジクロロメタン溶液)で精製し、5-エチル-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イルアミド l-13a (52 mg, 25%)を得た。
【0196】
ステップ B. N-(5-エチル-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミド (13A)の調製:
トリフルオロ無水酢酸 (0.047 ml, 70 mg, 0.33 mmol)を5-エチル-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イルアミン I-13a (50 mg, 0.22 mmol)及びピリジン(0.054 ml, 52 mg, 0.67 mmol)のジクロロメタン(4.5 ml)溶液に加えた。23℃で16時間後、反応混合物を1:1 酢酸エチル/ヘキサン(10 ml)で希釈し、水(10 ml)、飽和塩化アンモニウム水溶液(10 ml)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10 ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(50% エーテルのヘキサン溶液)で精製し、N- (5-エチル-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)- 2,2,2-トリフルオロ-アセトアミド 13A (24 mg, 34%)を得た。
【0197】
MS m/e 321 (M++1);
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.8 (d, J = 2.1 Hz, 1 H), 7.6 (dd, J = 7.7, 1.5 Hz, 1H). 7.4 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 1H), 7.2 (m, 1H), 7.1 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.8 (d, J = 7. 7 Hz, 1H), 6.7 (d, J = 8. 3 Hz, 1H), 4.2 (s, 2H), 3.4 (q, J = 7. 1 Hz, 2H), 1.2 (t, J=7. 1 Hz, 3H)。
【0198】
実施例 14
9-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (14A)の調製:
【0199】
【化18】

【0200】
ステップ A. 中間体 4-クロロ-N-エチル-2-ヨード-N-フェニル ベンズアミド (I-14a)の調製:
オキサリルクロリド (2.3 ml, 3.4 g, 26.6 mmol)を2-ヨード-4-クロロ安息香酸 (5 g, 17.7 mmol)のジクロロメタン(35 ml)溶液に一滴ずつ加えた。N,N-ジメチルホルムアミド (0.01 ml)をシリンジで反応混合物に加え、当該反応混合物を23℃で1時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(50 ml)に溶解し、DMAP (10 mg)及びトリエチルアミン(3.73 ml, 2.7 g, 26.6 mmol)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、N-エチルアニリン (2.6 ml, 2.6 g, 21.2 mmol)を加えた。反応混合物を23℃まで暖めた。この温度で1時間後、反応混合物を1:1 酢酸エチル/ヘキサン (150 ml)で希釈し、1 N HCl (250- ml 部分)及び飽和塩化ナトリウム水溶液 (50 ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー (25% 酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製し、4-クロロ-N-エチル-2-ヨード-N-フェニル-ベンズアミド I-14a (6.0 g, 88%)を得た。
【0201】
ステップ B. 中間体 9-クロロ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (I-14b)の調製:
酢酸パラジウム (466 mg, 2.07 mol)を炭酸銀 (5.7 g, 20.7 mmol)、トリフェニルホスフィン (1.08 g, 4.15 mmol)及び4-クロロ-N-エチル-2-ヨード-N-フェニル-ベンズアミド I-14a (4.0 g, 10.4 mmol)のアセトニトリル(52 ml)懸濁液に加えた。反応混合物を1時間リフラックスするまで加熱し、23℃まで冷却した。混合物をセライト栓でろ過し、ろ過固体を酢酸エチル (50 ml)及びジエチルエーテル (50 ml)で洗浄した。併せたろ液を飽和塩化ナトリウム (50 ml)で洗浄し。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1% 酢酸エチルのジクロロメタン溶液を2% 酢酸エチルのジクロロメタン溶液にグラジュエントする)で精製し、9-クロロ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン I-14b (1.68 g, 63%)を黄色固体として得た。
【0202】
ステップ C. 9-(3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (14A)の調製:
1,1-ジメチルアミノ-1,3-プロパンジアミン (0.058 ml, 0.46 mmol)を9-クロロ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン I-14b (100 mg, 0.39 mmol)、Pd2(dba)3 (2 mg, 0.002 mmol)、(3'-ジシクロヘキシルホスファニルビフェニル-2-イル) ジメチルアミン (2.5 mg, 0.005 mmol)及び二塩基性リン酸カリウム (115 mg, 0.54 mmol)の1,2-ジメトキシエタン (5 ml)懸濁液に加えた。得られた懸濁液を23℃で16時間維持した。反応混合物を真空下に濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10% 酢酸エチルのジクロロメタン溶液)で精製し。9- (3- ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン 14A (19 mg, 15%)を得た。
【0203】
MS m/e 324 (M++1);
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.3 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.2 (dd, J = 8.1, 1.2 Hz, 1H), 7.5 (td, J = 8. 7,1. 7 Hz, 1H), 7.3 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.2 (d, J = 8. 3 Hz, 1 H), 7.1 (m, 1 H), 6.7 (dd, J = 8. 7,2. 1 Hz, 1 H), 5.2 (br s, 1 H), 4.4 (q, J = 7. 1 Hz, 2H), 3.3 (t, J = 6. 6 Hz, 2H), 2.5 (t, J = 6. 6 Hz, 2H), 2.3 (s, 6H), 1.8 (t, J = 6. 6 Hz, 2H), 1.3 (t, J = 7. 1 Hz, 3 H)。
【0204】
以下の化合物は、好適な出発原料を用いて、上記化合物14Aの調製のために用いた方法と類似の方法に従って調製した。
【0205】
実施例 15
9-ベンジルアミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (15A)の調製:
【0206】
【化19】

【0207】
MS m/e 329 (M++1)。
【0208】
実施例 16 (比較例)
2-ジメチルアミノ-N-(5-メチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-8-イル)-アセトアミド (16A)の調製:
【0209】
【化20】

【0210】
ステップ A. 中間体 N-エチル-2-ブロモ-5-ニトロ-N-フェニル-ベンズアミド (I-16a)の調製:
オキサリルクロリド (1.65 ml, 2.3 g, 18.3 mmol)を2-ブロモ-5-ニトロ安息香酸 (3 g, 12.2 mmol)のジクロロメタン (12 ml)の溶液に一滴ずつ加えた。N,N-ジメチルホルムアミド (0.01 ml)をシリンジで反応混合物に加え、反応混合物を23℃で4時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(24 ml)に溶解し、DMAP (10 mg)及びトリエチルアミン (3.4 ml, 2.5 g, 24.3 mmol)を加えた。N-エチルアニリン (1.8 ml, 1.8 g, 14.6 mmol)を10分間かけて加えた。当該温度で18時間後、1:1 酢酸エチル/ヘキサン (30 ml)を加え、有機層を1N HCl (2-30 ml 部分)及び飽和塩化ナトリウム水溶液 (30 mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して精製し、N-エチル-2-ブロモ-5-ニトロ-N-フェニル-ベンズアミド (3.8 g, 60%)を得た。
【0211】
Step B. 中間体 5-エチル-8-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン (I-16b)の調製:
酢酸パラジウム (129 mg, 0.57 mmol)を炭酸銀 (1.6 g, 5.72 mmol)、1,3-ビス (ジフェニルホスフィノ) プロパン (236 mg, 0.57 mmol)、トリブチルホスフィン (0.713 ml, 579 mg, 2.86 mmol)及びN-エチル-2-ブロモ-5-ニトロ-N-フェニル-ベンズアミド (1.0 g, 2.86 mmol)のDMF (15 ml)懸濁液に加えた。反応混合物を30分間リフラックスまで加熱し、23℃まで冷却した。混合物をセライト栓でろ過し、ろ過固体を酢酸エチル (50 ml)で洗浄した。併せたろ液を飽和塩化ナトリウム(3-30 ml部分)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー (10% 酢酸エチルのジクロロメタン)で精製し、5-エチル-8-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン I-16b (111 mg, 14%)を黄色固体として得た。
【0212】
Step C. 中間体 8-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン (I-16c)の調製:
5-エチル-8-ニトロ-5H-フェナンスリジン-6-オン I-16b (100 mg, 0.37 mmol)のエチルアルコール (25 ml)の溶液を10% 活性炭パラジウム (25 mg)で充填した。得られた懸濁液をParr水素添加装置上に置き、50 psi H2下、3時間振とうした。触媒をセライトろ過によって除き、ろ液を真空下で濃縮し、8-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン I-16c (74 mg, 84%)を得た。
【0213】
Step D. 2-ジメチルアミノ-N- (5-メチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロフェナンスリジン-8-イル)-アセトアミド (16A)の調製:
1- [3- (ジメチルアミノ) プロピル]-3-エチルカルボジイミド・塩酸塩 (EDC) (63 mg, 0.33 mmol)を、8-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン I-16c (65 mg, 0.27 mmol)、N,N-ジメチルグリシン (34 mg, 0.33 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン (7 mg, 0.054 mmol)及びトリエチルアミン (0.076 ml, 0.55 mmol)のジクロロメタン (5 ml)溶液に少しずつ加えた。得られた溶液を23℃で16時間攪拌し、1:1 酢酸エチル/ヘキサン (20 ml)で希釈した。反応混合物を水(25 ml)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(25 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で回転式クロマトグラフィー (ジクロロメタンから5% メタノール/ジクロロメタンにグラジュエントする)で精製し、2-ジメチルアミノ-N- (5-メチル-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-フェナンスリジン-8-イル)-アセトアミド 16A (28 mg, 33%)を黄色油として得た。
MS m/e 324 (M++1)。
【0214】
薬理学試験
本発明における本発明の化合物の有用性は、以下に記載のプロトコールの少なくとも一つの活性によって証明することができる。例えば、患者の肥満又は体重減少もしくは食欲減退行為の誘導は、下記の一般的な前臨床試験における本発明の化合物の活性によって証明される。かかる試験はまた、本発明の化合物の活性を他の公知の化合物の活性とどのように比較するかという手段を提供する。当該比較の結果は、かかる疾患の治療のための、ヒトを含む哺乳動物における投薬量を決定するために有用である。
【0215】
NPY-5結合試験
Sf9細胞中に発現されたヒトNPY受容体における[125I] ペプチド YY (PYY)結合:
組み換えヒトNPY5受容体を発現するバキュロ・ウイルス-感染 Sf9細胞 (American Tissue Culture Collection, ACTT, Rockville, MD)を48時間後に採取した。H NPY-Y5受容体cDNAを、標準クローニング技術を用いてクローニングし(参考: Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第2版, J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis; Cold Spring Habor Laboratory Press; Cold Spring Habor, NY, 1989)、細胞をリン酸カルシウム法によってトランスフェクトした。採取の際に、細胞ペレットを溶解緩衝液(20 mM Tris-HCI, pH 7.4, 5 mM EDTA, 0.5 μg/mlロイペプチン, 2 μg/ml Aprotonin及び200 mM PMSF)に再懸濁し、Poltron (25-30秒間、3に設定)を用いてホモジナイズした。ホモジェネートを4℃下、200 x g (約1. 5 rpm)で5分間遠心し、ペレット化した。上清を新しい試験管に集め、48,000 x gで10分間遠心した。ペレットを溶解緩衝液で一度洗浄し、遠心した。最終のペレットをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁し、-80℃で分けて保存した。精製膜をPBSを用いて洗浄し、結合緩衝液 (50 mM Tris (HCl), pH 7.4, 5 mM KCl, 120 mM NaCl 2 mM Cage, 1 mM MgCl2 0. 1% 牛胎児血清(BSA))で再懸濁した。0.035 nM [125I] PYY (豚) (Dupont New Research Products, Boston MA)、10-12 M〜10-5 Mの範囲の化合物及び緩衝液を含む膜(20 μg/反応試験管)をポリプロピレン試験管に加え、最終体積0.5 mLとした。非特異的結合を1 μM NPY (ヒト) (Sigma; St. Louis, MO)の存在下で測定したところ、総結合の10%であった。室温で2時間インキュベーションした後、反応を迅速真空ろ過によって停止した。試料を予備洗浄済の GF/C Whatmanフィルター(1.0% ポリエチレンアミン)でろ過し、BSAを含まない5 mL 冷結合緩衝液で2回洗浄した。ガンマカウンターを用い、効率性85%でフィルターをカウントした。IC50値をプログラムRS/1 (SigmaPlot, Jandel)に適合した非-直線を用いて計算した。
【0216】
以下の表1に、下記実施例に例示したいくつかの化合物について観察された結合データの代表例を示す。
【0217】
【表1】

【0218】
Y5 Ca 流動アッセイ
安定なBowes黒色腫細胞株は、カルシウム蛍光アッセイを用いるY5アンタゴニストの二次スクリーニングに有用な機能性Y5受容体を発現することによって生成する。
【0219】
ヒトY5受容体であるh NPY-Y5受容体 cDNAのコード配列を標準クローニング技術を用いてクローン化し(参考: Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第2版, J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis; Cold Spring Habor Laboratory Press; Cold Spring Habor, NY, 1989)、pM2と呼ばれる新規哺乳動物発現ベクターにサブクローニングした(参考: B. S. Sachaisら, J. Biol. Chem., 1998, 266: 2319-2322)。当該発現ベクターは、Harveyマウス肉腫ウイルス・長期間反復を有し、Y5構造遺伝子の発現を駆動する。リン酸カルシウム法により、当該プラスミド・コンストラクトをヒトBowes黒色腫細胞 (HMCB; ATCC, Rockville, MDから入手)に安定にトランスフェクトした。当該細胞株は、数種類のG i-結合受容体が合理的な濃度で発現し及び機能性応答に結合している細胞株である。
【0220】
細胞を、10 % 牛胎児血清を補充した0.1 mM 非必須アミノ酸、1.0 mM ピルビン酸ナトリウム及び25 mM HEPESを有する必須培地(pH 7.3)であるイーグル培地で、37℃、5% CO2で維持した。当該宿主細胞は、Y1応答及びサイトを低レベルで示し、他のNPY-誘導応答は示さなかった。Y1アンタゴニスト BIBP3226 (Research Biochemicals International, Natick, MA)は、10 μMで内因性NPY応答を完全に遮断した。単クローナル細胞株を単離し、単クローナル細胞株はアゴニストペプチドNPYの特性を示した。NPYは、10 μM BIBP3226の存在下、10種の別個の研究においてEC509 nM〜54 nMでカルシウム流動を刺激した。
【0221】
細胞を24時間、30,000 細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。細胞を(115 mM NaCl, 0.96 mM NaH2PO4, 1 mM MgS04, 25 mM HEPES, 2 mM Cage, 5 mM KCl, 5 mM グルコース, 1 mM プロベネシド(Probenecid)から成る)緩衝生理食塩水で洗浄し、同一の緩衝生理食塩水中で得られる蛍光 Ca2+指示薬 Fluo-3 AM (10 μM, Teflabs, Austin, TX)中で1.5時間インキュベートした。細胞を1 mM カルバコール及び10 μM BIBP3226を補充した緩衝液で2回洗浄した。HMCB Y5細胞に適用されたNPYは、蛍光画像プレートリーダー (FLIPR, Molecular Devices, Sunnyvale, CA)上の蛍光値の増加によって測定される細胞内カルシウムに依存した濃度上昇を示す。当該実験に使用したNPY濃度は、各実験に先立って測定されたEC30からEC50の間の値である。試験化合物存在下でのNPYに応答した蛍光増加量を、同一プレート内の対照応答と比較し、各化合物のIC50をロジスティック方程式(Kaleidograph software, Reading PA)に対して適合するデータにより決定した。
【0222】
Sf9細胞中でGαO, Gβ1及びGγ2により同時発現したヒト NPY Y5受容体におけるPYY 3-36 誘導 GTPγ35S 結合
G-蛋白結合受容体(GPCR)によるアゴニスト誘導GTPγ35 S結合は、G-蛋白活性化の機能的測定を提供する。当該アッセイは多くのGPCR'sに広く使用され、アゴニストとアンタゴニストを識別する能力、及び所与のGPCRのアゴニストの有効性及び効力を決定する能力を提供する(Thomasら, 1995; O'Boyle and Lawler, 1995)。GTPγ35 S結合活性は、前述の方法(Wieland and Jacobs, 1994)を変更して測定した。log-期Sf9細胞(ATCC, Rockville, MD)を、(標準的クローニング技術(参考: Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第2版, J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis; Cold Spring Habor Laboratory Press; Cold Spring Habor, NY, 1989)、受容体及びG-蛋白サブユニットαoβ1.及びγ2 (BioSignal Montreal, Canadaより購入)を用いてクローン化された) NPY Y5をコードする別個のバキュロ・ウイルス株で同時インフェクトし、次いで、27℃で、4.1 mM L-Gln、3.3g/L LAH、3. 3g/L 限外濾過したイーストレート及び10% 加熱-非働化牛胎児血清を含むグレイス(Grace's)で補充したHink's TNM-FH インセクト培地中で培養した。72時間インフェクション後、細胞懸濁液の試料は、トリパンブルー色素排除による変化を解析し、残余のSf9細胞を遠心(3000rpm/10分/4℃)によって採取した。
【0223】
各ペレットを均質化緩衝液 (10 mM HEPES, 250 mM ショ糖, 0.5 、μg/ml ロイペプチン, 2 μg/ml アプロトニン(Aprotonin), 200 μm PMSF及び2.5 mM EDTA, pH 7.4)に再懸濁し、Poltron (30秒間、5に設定)を用いてホモジナイズした。
【0224】
ホモジェネートを536 x gで4℃で10分間遠心し、ペレット化した。上清を新しい試験管に集め、同一の緩衝液中で、48,000 x gで40分間、2回遠心した。各膜調製のための最終のペレットを5 mM EDTAを含むDPBSに再懸濁し、-80℃で分けて保存した。アッセイの当日に、解凍済みの膜ホモジェネートをアッセイ緩衝液 (50 mM Tris pH 7.0, 120 mM NaCl, 2 mM MgCl2, 2 mM EGTA, 0. 1% BSA, 0.1 mM バシトラシン(bacitracin), 100KIU/mL アプロトニン(Aprotonin), 5 M GDP)に再懸濁し、30 mg/反応管の濃度で反応に添加した。10-11M〜10-5Mの範囲の濃度で試験化合物を加えた後、反応を100 pM GTPγ35S 及び0.001 nM〜1.0 μgMの濃度(最終体積 0.250ml)範囲のPYY 3-36の添加によって開始した。30分間室温でインキュベーションした後、氷冷洗浄緩衝液(50 mM Tris pH 7.0, 120mM NaCl)を用いる(洗浄緩衝液である0.1 % BSAで予備洗浄した)GF/Cフルターによる真空濾過によって反応を停止した。結合GTPγSを液体シンチレーション分光分析よって測定した。非特異的結合を10 mM GTPγSによって同定した。EC50、IC50及びKiを推定するために、GTPγ35S結合試験の結果をSigmaPlot ソフトウェア(Jandel)を用いて解析した。
【0225】
In vivo法
餌及び水の摂取に与える単回投与の効果、及び絶食ラットの体重増加
対象
実験当初、体重210-300gの雄性 Sprague-Dawleyラット (Sasco, St. Louis, MO)を使用した。動物は、12:12の明暗サイクルで動物の機能を制御した、温度 (22℃±2゜)及び湿度 (40-70% RH)のステンレス鋼製吊り下げケージ中で3群に分けて飼育した。餌(Standard Rat Chow, PMI Feeds Inc., #5012)及び水を適宜与えた。
【0226】
機器
動物をNalgene 代謝ケージ (モデル # 650-0100)で飼育している間、消費データを収集した。各ケージは、透明ポリメチルペンテン(PMP)、ポリカーボネート(PC)又はステンレス鋼 (SS)製の部分組み立て品から成る。迅速かつ正確なデータ収集及び洗浄のため、全ての部品は分解できる。完全なシリンダー型プラスチック製及びSS製ケージは、SS架台部上にあり、1匹の動物を飼育する。
【0227】
動物は、円形の上側チェンバー(Upper Chamber) (PC)組み立て部品 (高さ12cm及び直径20cm)の中で飼育され、SS製床で休息する。2種の組み立て部品は上側チェンバーに結合されている。第一の組み立て部品は、底面に張り付けたPC食餌用引出しを有するSS食餌チェンバー(長さ10cm、高さ5cm及び幅5cm)から成る。食餌用引出しは2種の区画を有する:約50gの微粉状ラット餌のための容量を有する餌貯蔵区画、及び餌流出区画。動物は食餌チェンバーのSS製床にある開口から、微粉状餌に近づくことができる。食餌チェンバーの床により、当該流出区画に落下した餌には近づけない。
【0228】
第二の組み立て部品は、水筒支持体、PC水筒 (100ml容量)及び傾斜型水流出回収管を含む。水筒支持体は、流出水を任意に水流出回収管に流し込む。
【0229】
下側(Low)チェンバーは、PMP分離錐状体、PMP回収漏斗、PMP液体(尿)回収管及びPMP固体(糞)回収管から成る。当該分離錐状体は回収漏斗の上部に取り付けられ、回収漏斗は上部チェンバーの床に取り付けられる。尿は、当該分離錐状体から回収漏斗の壁に流れ、尿回収管に入る。分離錐状体はまた、糞を分離し、それを糞回収管に送る。
【0230】
食餌消費、水消費、尿排泄、糞排泄及び体重をオーハウス・ポータブル新型スケール(精度±0.1g)で測定した。
【0231】
方法
試験日の前に、動物を代謝ケージに1時間、各動物を置くことによって試験器具に慣れさせた。実験当日に、前夜から絶食させた動物の体重を計り、群を処置するために割り当てを行った。体重を利用する擬似ランダム法を用いて割り当てを行い、確実に、処置群が類似の平均体重を有するようにした。次いで、動物に媒質(通常、0.5% メチルセルロース, MC)又は試験化合物のいずれかを投与した。その際、微粉状餌で満たした食餌引出し、満杯の水筒、及び空の尿及び糞回収管を計量した。試験化合物による処置の2時間後、各動物を計量し、代謝ケージに置いた。1時間の試験後、動物を取り出し、体重を測定した。餌容器及び水容器を計量し、そのデータを記録した。
【0232】
試験化合物
試験化合物 (0.5% MCに懸濁)又は 0.5% MCを、3又は5mlのシリンジに接続した強制飼養管を用いて、10ml/kgの体積で経口投与した(経口(PO)投薬用には0.1-50 mg/kg)。いくつかの例では、試験化合物を全身性経路で投与した(例えば、i.v. 投薬用には静脈注射 0.1-20 mg/kg)。経口投薬のための試験化合物は、投薬前に少なくとも1時間攪拌及び超音波処理することによって均質懸濁液となった。
【0233】
統計的解析
食餌消費、水消費、尿排泄、糞排泄及び体重変化に関する平均及び平均の標準誤差(SEM) を計算した。群間差を試験するために、Systat (5.2.1)を用いるバリアンス片側検定を使用した。有意差をp値が0.05未満であると定義した。以下のパラメーターを定義する:体重変化は、代謝ケージに置く直前の動物の体重と1時間の試験の最後のその体重との差である。餌消費は、試験前の餌引出しの重さと1時間試験後の重さとの差である。水消費は、試験前の水筒の重さと1時間試験後の重さとの差である。
【0234】
終夜摂餌
対象
実験当初、体重210-300gの雄性 Sprague-Dawleyラット (Sasco, St. Louis, MO)を使用した。動物は、12:12の明暗サイクルで動物の機能を制御した、温度 (22℃±2゜)及び湿度 (40-70% RH)のステンレス鋼製吊り下げケージ中で3群に分けて飼育した。餌(Standard Rat Chow, PMI Feeds Inc., #5012)及び水を適宜与えた。
【0235】
機器
動物をNalgene代謝ケージ (モデル #650-0100)で飼育している間、消費及び排泄データを収集した。各ケージは、透明ポリメチルペンテン(PMP)、ポリカーボネート(PC)又はステンレス鋼 (SS)製の部分組み立て品から成る。迅速かつ正確なデータ収集及び洗浄のため、全ての部品は分解できる。完全なシリンダー型プラスチック製及びSS製ケージは、SS架台部上にあり、1匹の動物を飼育する。
【0236】
動物は、円形の上側チェンバー(PC)組み立て部品 (高さ12cm及び直径20cm)の中で飼育され、SS製床で休息する。2種の組み立て部品は上側チェンバーに結合されている。第一の組み立て部品は、底面に張り付けたPC食餌用引出しを有するSS食餌チェンバー(長さ10cm、高さ5cm及び幅5cm)から成る。食餌用引出しは2種の区画を有する:約50gの微粉状ラット餌のための容量を有する餌貯蔵区画、及び餌流出区画。動物は食餌チェンバーのSS製床にある開口から、微粉状餌に近づくことができる。食餌チェンバーの床により、当該流出区画に落下した餌には近づけない。第二の組み立て部品は、水筒支持体、PC水筒 (100ml容量)及び傾斜型水流出回収管を含む。水筒支持体は、流出水を任意に水流出回収管に流し込む。
【0237】
下側チェンバーは、PMP分離錐状体、PMP回収漏斗、PMP液体(尿)回収管及びPMP固体(糞)回収管から成る。当該分離錐状体は回収漏斗の上部に取り付けられ、回収漏斗は上側チェンバーの床に取り付けられる。尿は、当該分離錐状体から回収漏斗の壁に流れ、尿回収管に入る。分離錐状体はまた、糞を分離し、それを糞回収管に送る。
【0238】
食餌消費、水消費、尿排泄、糞排泄及び体重をオーハウス・ポータブル新型スケール(精度±0.1g)で測定した。
【0239】
方法
実験の当日、動物を計量し、群を処置するため割り当てを行った。体重を利用する擬似ランダム法を用いて割り当てを行い、確実に、処置群が類似の平均体重を有するようにした。消灯の2時間前(1830時間)に、動物に媒質(0.5% メチルセルロース, MC)又は試験化合物のいずれかを投与した。その際、微粉状餌で満たした給餌引出し、満杯の水筒、及び空の尿及び糞回収管を計量した。投薬直後に、各動物の体重を測定し、代謝ケージに置いた。動物を翌朝(0800時間)、代謝チェンバーから取り出し、体重を測定した。餌容器及び水容器及び糞及び尿回収管を計量し、そのデータを記録した。
【0240】
試験化合物
試験化合物(0.5% MCに懸濁)又は0.5% MCを、3又は5mlのシリンジに接続した強制飼養管により、10ml/kgの体積で経口(PO)投与した。試験化合物は、投薬前に少なくとも1時間、攪拌及び超音波処理することによって均一懸濁液とした。実験によっては、動物を1晩より長く試験した。当該研究では、動物に連夜投与し、初日の夜の処置と同一の処置(試験化合物又は0.5% MC)を施した。
【0241】
統計的解析
食餌消費、水消費、尿排泄、糞排泄及び体重変化に関する平均及び平均の標準誤差(SEM) を計算した。群間差を試験するために、Systat (5.2.1)を用いるバリアンス片側検定を使用した。有意差をp値が0.05未満であると定義した。
【0242】
以下のパラメーターを定義する:体重変化は、代謝ケージ(1630時間)に置く直前の動物の体重と翌朝(0800時間)のその体重との差である。餌消費は、1630時間での餌引出しの重さと0800時間での重さとの差である。水消費は、1630時間での水筒の重さと0800時間での重さとの差である。糞排泄は、1630時間での空の糞回収管の重さと0800時間での重さとの差である。尿排泄は、1630時間での空の尿回収管の重さと0800時間での重さとの差である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、R1は水素原子又は(C1-C4)アルキルであり、; R2は水素原子又は-C(O)R2a、-C(O)-(CH2)n-R2b又は-(CH2)m-R2cであり、ここでnは0、1又は2、mは0、1、2又は3、R2aは(C1-C4)アルキル又はハロ-置換(C1-C4)アルキル、かつR2b及びR2Cは-NH (C1-C4)アルキル、-N ((C1-C4)アルキル)2、ピリジニル、ヒドロキシ(C1-C4)アルキル、フェニル又はピペリジニルである; R3は(C1-C6)アルキルであり; 並びに
Xはカルボニル又はメチレンである。]
で表わされる化合物;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物。
【請求項2】
Xがカルボニル;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xがメチレン;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R2が-C(O)-(CH2)n-R2b;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項2又は3記載の化合物。
【請求項5】
R2bがピリジニル;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R2bが3-ピリジニル又は4-ピリジニル;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R2が-(CH2)m-R2c;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項2又は3記載の化合物。
【請求項8】
R2Cが-NH (Cl-C4)アルキル又は-N ((Cl-C4)アルキル)2;その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
9-アミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン;
9-アミノ-5-イソプロピル-5H-フェンアンスリジン-6-オン;
9-アミノ-5-イソブチル-5H-フェナンスリジン-6-オン;
N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2, 2, 2-トリフルオロ- アセトアミド;
N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル- アセトアミド;
2-ジメチルアミノ-N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェンナンスリジン-9-イル)- アセトアミド;
N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-3-ピペリジニル-1-イル- プロピオンアミド;
2-ジメチルアミノ-N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)- アセトアミド;
N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-4-イル- アセトアミド;
N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-3-ピペリジン-1-イル- ピロピオンアミド;
N- (5-イソプロピル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ピリジン-3-イル- アセトアミド;
N- (5-エチル-6-オキソ-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2-ヒドロキシ- イソブチルアミド;
N- (5-エチル-5, 6-ジヒドロ-フェナンスリジン-9-イル)-2, 2, 2-トリフルオロ-アセトアミド;
9- (3-ジメチルアミノ-プロピルアミノ)-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン;及び
9-ベンジルアミノ-5-エチル-5H-フェナンスリジン-6-オン;
からなる群より選ばれる請求項1記載の化合物;その薬学的に許容される塩あるいは当該化合物もしくは当該塩の溶媒和物又は水和物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物の治療上有効量をその治療を必要としている動物に投与するステップを含む、動物におけるNPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状又は障害を治療する方法。
【請求項12】
前記疾患、症状又は障害が、肥満症、摂食障害、発作、不安症、糖尿病、高血圧、高脂質血、膵癌又は乳癌、鼻詰まり、女性又は男性の性的機能不全、鬱血性心不全、腸機能不全、又は精神障害である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
動物におけるNPY-5受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状又は障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれかの化合物、その薬学的に許容される塩、当該化合物もしくは当該塩のプロドラッグ、あるいは当該化合物、当該塩もしくは当該プロドラッグの溶媒和物又は水和物の使用。

【公表番号】特表2006−511529(P2006−511529A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560068(P2004−560068)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005839
【国際公開番号】WO2004/054981
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】