説明

ON01910.Naは薬剤耐性腫瘍において化学療法剤活性を増強する

本発明は、ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性である癌を有している対象を同定すること;有糸分裂攪乱物質/ポロ様キナーゼ(Plk)経路阻害剤を対象に投与すること;及び癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察すこと:を含有してなる、ヌクレオチド類縁体耐性腫瘍が進展している癌を包含している、ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性がある癌を治療する組成物及び方法を含有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
広範囲抗癌化学療法剤は高い頻度で、細胞分裂を妨害して或いは細胞を比較的早く分裂させるアポトーシスを阻害して、細胞増殖を阻害することによって作用する。細胞増殖を阻害する1つの戦略は、クラドリビン(cladribine)、クロフェラビン(cloferabine)、フルダラビン(fludarabine)、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン(capecitabine)、シタラビン(cytarabine)、デシタビン(decitabine)、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン(sapacitabine)、及びゲムシタビン(gemicitabine)のようなヌクレオチド類縁化学療法剤を使用することである。この化合物は構造的に類似していて一般に少なくともDNA複製を妨害する。ヌクレオチド類縁化学療法剤は、白血病及びリンパ腫のような血液悪性腫瘍、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群を含む多種の癌を治療するために用いられているか、或いは治療研究下にある。
【0002】
化学療法剤による治療はしばしば、多くのメカニズムによって、1つ又はそれ以上の化学療法剤に対する耐性の発現をもたらす。例えば、癌におけるゲムシタビン耐性は深刻な問題である。ゲムシタビンが、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、乳癌、及び卵巣癌で承認され、少なくとも肝臓癌及び食道癌の治療のために研究されていて、リンパ腫及びその他の癌の治療に実験的に使用されているので、大多数の癌患者は何れかの時点で結局はゲムシタビン治療を受けることになる。薬剤が承認されている症例の3分の1に効果があっても、大部分は応答せず、応答する患者でさえも最終的に耐性を生じる。
【0003】
ゲムシタビン耐性は、膵臓癌において、これに対して他に実績のある化学療法が無いので、特に問題がある。多くのタイプの癌の治療における進歩にもかかわらず、膵臓癌は低い長期生存率を有して治療が難しいままである。2004年には、米国におけるこの疾患の推定発症数は31,680人であり、予定死亡数31,270人である。新薬開発の1つの制約は、適当な前臨床モデルを欠くことである。
【0004】
概して、膵臓外分泌腺の癌患者の約5%が癌発見後5年間生存すると考えられている。局所性(local)疾患の患者についてさえ、5年相対生存率は約20%である。局所(regional)疾患を有する患者については、5年相対生存率が約8%である。転移があると、5年相対生存率は2%である。ゲムシタビンが膵臓癌患者の治療について承認されているとはいえ、約75%〜90%の患者はこの治療からごく僅かな恩恵にしかあずかっていない。第1選択肢のゲムシタビン治療に失敗した後に、進行膵臓癌患者に、証拠に基づく治療勧告を何も与えることができない。
【0005】
ここ数年にわたって、かなりの数の臨床試験において、膵臓癌における新薬の効果を単独で又はゲムシタビンと併用して検討している。これらの検討の結果は殆どが否定的であった。第2相試験における活性データにもかかわらず、今まで行われてきた検討においては、薬剤単独又は併用戦略は何れもゲムシタビン単独より優れていなかった。このことは、従来の薬剤ばかりではなく、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)及びファルネシル基転換酵素阻害剤(FTI)のような標的薬剤にもあてはまる。
【0006】
ゲムシタビン治療に失敗した膵臓癌患者の適切な治療を確認するために検討が行われたが、結果は雑多になっている。ある検討では、治療は、ドセタキセル(docetaxel)65mg/m及びイリノテカン(irinotecan)160mg/mで構成され、両者を21日毎に投与した。過度の毒性によって、検討を終了する前に14人の患者が登録された。最もよく見られたグレード3/4毒性は、好中球減少/白血球減少、悪心嘔吐、及び下痢を含んでいた。完全に半分の患者は1治療サイクルのみを受け、平均治療不履行期間は36日であった。他覚的反応は観察されなかったが、3人の患者は少なくとも6治療サイクルの間症状が安定していた。全コホートに対する全体的生存日数は134日で、6ヶ月の生存率は36%であった。別の検討において、ゲムシタビン耐性膵臓癌の患者をS−1とシスプラチン(CDDP)で治療して、応答率及び毒性が確認された。登録患者17人のうち5人(29.4%)が部分的応答に達し、2人(11.8%)の病状が安定していた。治療による毒性は許容できるものであった。平均生存日数は10ヶ月(幅、20ヶ月)で、6ヶ月及び12ヶ月の患者生存率は、それぞれ63.7%及び31.9%であった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性がある癌を有する対象の癌を治療する薬剤としての、有糸分裂攪乱物質/ポロ様キナーゼ(Plk)経路阻害剤の使用方法を提供する。このような対象は、それらの癌が最初はヌクレオチド類縁化学療法剤での治療に感受性があったが、その後にヌクレオチド化学療法剤に対する耐性の発現(すなわち、耐性腫瘍を発生)によって化学療法に失敗した対象を含んでいる。
使用方法は、ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性があって、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤による治療に感受性がある癌種を有していると確認された対象へ投与するための薬剤として、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を製造することを含んでいる。
ある態様では、対象はヌクレオチド類縁化学療法剤に対する耐性を有しているか或いは耐性が発現している。
方法は更に、癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察することを含み、ここで薬剤は癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化をもたらす。
ある態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤をヌクレオチド類縁化学療法剤と併用投与する。
ある態様では、使用方法はヌクレオチド類縁化学療法剤耐性を逆転させることを含んでいる。
【0008】
一態様では、本発明は、以前にヌクレオチド類縁化学療法剤を単独で投与されている癌を有する、患者の癌を治療するための薬剤を製造するための、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の使用方法を提供し、そこでは薬剤はヌクレオチド類縁化学療法剤との併用投与のために製造され、そして対象はヌクレオチド類縁化学療法剤と有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の併用治療に感受性がある。
方法は更に、少なくとも1つの癌の徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察することを含んでいる。
ある態様では、方法はヌクレオチド類縁化学療法剤耐性の発現を阻害することを含んでいる。
【0009】
ある態様では、本発明は、ヌクレオチド類縁化学療法剤を用いる癌の治療に感受性がある対象の癌を治療するための薬剤を製造するための、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の使用方法を提供する。
方法は、ヌクレオチド類縁化学療法剤を含有している薬剤を投与する前に、随意に有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の投与と連続して、投与するための有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を含有している薬剤の製造、及び少なくとも1つの癌の徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察することを含んでいる。
ある態様では、薬剤の使用方法は、対象のヌクレオチド類縁化学療法剤耐性を阻害することを含んでいる。
【0010】
ある態様では、本発明は、併用投与した化合物の効果が化合物を単独で投与したときの相加的効果よりも大きくなるような、化合物の相乗効果を引き起こすための、ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の併用投与を含んでいる。
ある態様では、本発明は、ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を含有している、癌治療のための薬剤として用いるための相乗作用のある組成物の製造を含んでいる。
【0011】
ある態様では、本発明は、ヌクレオチド類縁化学療法剤及び/又は有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤での治療に感受性がある癌を有している対象への、ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の投与計画を含んでいる。
ある実施態様では、投与計画は、ヌクレオチド類縁化学療法剤単独投与、それに続くヌクレオチド類縁化学療法剤との有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の併用投与を含んでいる。
ある実施態様では、投与計画は、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の投与、それに続くヌクレオチド類縁化学療法剤との有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の併用投与を含んでいる。
ある実施態様では、何れかの薬剤単独の前投与が無くてもよい、ヌクレオチド類縁化学療法剤とのPlk阻害剤の併用投与を含んでいる。
ある態様では、本発明は、更なる化学療法剤及び/又は薬剤の投与を更に含んでいてもよい。
ある態様では、本発明は、2つの薬剤の併用投与の後に化学療法剤又は有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤単独の投与を更に含んでいてもよい。
【0012】
ある態様では、本発明は、薬剤による治療に感受性がある患者のヌクレオチド類縁化学療法剤耐性癌の治療のためのヌクレオチド類縁化学療法剤と併用投与する有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を含有している薬剤の製造を含んでいる。
【0013】
ある態様では、本発明は、薬剤による治療に感受性がある患者の癌におけるヌクレオチド類縁化学療法剤耐性の発現を阻止するための、ヌクレオチド類縁化学療法剤と併用投与する有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を含有している薬剤の製造を含んでいる。
【0014】
ある態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害薬剤による治療に以前から感受性である患者の癌におけるヌクレオチド類縁化学療法剤耐性を逆転させるために使用する、ヌクレオチド類縁化学療法剤と併用投与する有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を含有している薬剤の製造を含んでいる。
【0015】
ある実施態様では、本発明は、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤とヌクレオチド類縁化学療法剤を含有する混合剤である、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤とヌクレオチド類縁化学療法剤の併用投与のための薬剤を含んでいる。
ある実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤とヌクレオチド類縁化学療法剤との併用投与のための薬剤は、ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤のそれぞれの、両薬剤の対象への投与を可能に或いは促進する剤形への製造を包含している。
本発明の実施態様では、癌はヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性がある癌である。
本発明の実施態様では、癌は、白血病及びリンパ腫のような血液性悪性腫瘍、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群である。
【0016】
多くの実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤はPlk1阻害剤である。多くの実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤はON−01910−Na又はそれらの誘導体である。本発明の多くの実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤はON−01910−Naである。多くの実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤は核酸治療剤である。多くの実施態様では、核酸治療剤はPlk1、特にヒトPlk1を標的にしている。多くの実施態様では、核酸治療剤はsiRNA化合物である。
【0017】
本発明の多くの実施態様では、ヌクレオチド類縁化学療法剤は、クラドリビン、クロフェラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンである。多くの実施態様では、ヌクレオチド類縁化学療法剤はゲムシタビンである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1A及びBは、小分子Plk1阻害剤である、(A)siRNA Plk1阻害剤及び(B)ON−01910−Naの存在下又は非存在下でゲムシタビンによる処置に応答する6種のゲムシタビン耐性細胞株の生育阻害を示すグラフである。
【図2】図2A及びBは、ゲムシタビン感受性及び耐性腫瘍を有するマウスでのインビボ実験の結果を示す。(A)は3つのインビボ実験の腫瘍生育プロットを示す。腫瘍を有するマウスを、賦形剤、ゲムシタビン、ON−01910−Na及び両薬剤の併用(総量で)で処置した4群に割り振った。(B)はAの棒グラフである。エラーバーは標準偏差を示す。
【図3】図3A及びBは、(A)ON01910及び(B)ヌクレオチド類縁化学療法剤、クラドリビン、クロフェラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン(Ara−C)、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、少なくとも一部分が、ゲムシタビン感受性腫瘍がPlk1の発現を減少した、及びゲムシタビン耐性腫瘍はON−01910−Na及びヒトPlk1を対象とするsiRNA化合物を包含する有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤による治療に感受性があるという知見に基づいている。
また、ゲムシタビン耐性腫瘍におけるPlk1の阻害は、以前から耐性である腫瘍に対するゲムシタビン耐性に効果がある。ゲムシタビン耐性腫瘍のPlk1阻害剤による破壊に対する感受性は、インビトロにおけるゲムシタビン耐性膵臓癌細胞株、エクソビボにおけるヒトゲムシタビン耐性膵臓癌、及びマウス異種移植モデル(すなわち、インビボ)を用いて確認された。
【0020】
ON−01910−Naは、G2/M細胞周期移行を混乱させて、それらのアポトーシスをもたらす紡錘体異常を特徴とする腫瘍細胞の有糸分裂停止を誘導する小分子化合物である。この効果は少なくとも部分的に、Plk1阻害剤としての活性に関連している。本明細書で明らかにされているように、ON−01910はゲムシタビン耐性膵臓癌のインビトロ及びインビボのモデルに対して活性を有していた。
【0021】
用語「治療した」、「治療する」又は「治療」は、治療されている状態、疾患又は病気に関連している或いはこれが引き起こす少なくとも1つの症状の消失又は軽減を含んでいる。例えば、治療は疾患の1つ又は幾つかの症状の軽減、又は疾患の完全な撲滅であってよい。治療は、以下の表に示されているようなCR、PR、又はSDの他覚的な応答を含んでいてもよい。
【0022】
治療に対する固形癌の応答を、例えば世界保健機関(WHO)の基準を用いて、或いは固形癌の効果判定基準(RECIST)一次元測定ガイドラインを用いて、特性化することができる。
基準を以下の表に掲載する。
【0023】
表1
WHO RECIST

測定可能性 測定可能、二次元 測定可能、一次元
従来法 ≧ 20mm;
スパイラルCT ≧ 1mm;
標的vs非標的病変

測定不能/評価可能 測定不能

他覚的応答
完全奏功(CR) 全ての公知病変の消失; 全ての公知病変の消失;
4週間後に確定 4週間後に確定

部分奏功(PR) 少なくとも50%減少; 少なくとも30%減少;
4週間後に確定 4週間後に確定

安定疾患(SD) PRにもPD基準にも PRにもPD基準にも
合致しない 合致しない

進行疾患(PD) 25%増大; 20%増大;
CR、PR、又はSDではない CR、PR、又はSDではない
病変増大前に記録 病変増大前に記録
又は新病変発現 又は新病変発現

【0024】
参照により本明細書に組み込まれている、Park et al., Measuring respnse in solid tumors: Comparison of RECIST and WHO response criteria. Jpn. J. Clin. Oncolo. 33:533-537,2003 も参照されたい。RECISTの一次元測定評価は、全ての標的病変の最大直径のみの測定を含んでいる。
【0025】
用語「薬剤耐性腫瘍」及び「薬剤耐性癌」等は、薬剤の存在下で又は投与によって、進行疾患(PD)基準を満たす腫瘍又は癌であると理解される。培養において、耐性細胞は、薬剤の存在下で生育を続ける細胞であると理解される。生育比は、培養中の未処理コントロール細胞に対して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%である。薬剤耐性は、単一の、特定薬剤に対する耐性、又は多剤耐性遺伝子(MDR)を発現する腫瘍でよく見られるような多数の薬剤に対する耐性であってよい。
【0026】
「薬剤による治療に感受性がある腫瘍」又は「薬剤による治療に感受性がある癌」等は、薬剤の存在下で又は投与によって、CR、PR、又はSDの基準を満たす腫瘍又は癌であると理解される。細胞培養において、感受性のある細胞は、薬剤での処置に応答して、生育/分裂を止めるか或いは死滅する細胞である。治療に感受性がある癌は、治療感受性がある癌の一種、例えば、ヌクレオチド類縁化学療法剤での治療について承認されている癌の一種、或いは検討において癌の治療について利益がもたらされた癌の一種であるとも理解できる。例えば、ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性がある癌のタイプは、これに限定されないが、白血病及びリンパ腫のような血液性悪性腫瘍、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群を包含する。
薬剤による治療に感受性がある癌は、高い頻度で薬剤による治療に応答して、薬剤に耐性の癌になり得る。
【0027】
用語「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、及びトランスジェニック非ヒト動物を包含するように意図されている。
ある実施態様では、対象はヒト、例えば癌に罹っている、罹る危険性がある、罹る潜在的可能性があるヒトである。ヒト対象を患者と称することができる。
【0028】
用語「癌」は、無秩序又は無制御の細胞生育によって特徴付けられる悪性腫瘍、例えば、細胞腫、肉腫、白血病、及びリンパ腫を包含する。癌は固形癌及び非固形癌を包含する。癌は膵臓を含む、何れの臓器の癌も包含する。
用語「癌」は、原発性悪性腫瘍、例えば、その細胞が原発腫瘍の部位以外の対象の体内の部位へ移行していない癌、及び二次性悪性腫瘍、例えば、腫瘍細胞の原発腫瘍の部位とは異なる第二の部位への転移、移行によって生じる癌を包含する。
【0029】
本明細書で用いられる化合物の「治療有効量」という用語は、本明細書に記載されているように対象に投与されたときに、CR、PR、又はSDをもたらすのに必要な或いは十分な化合物の量である。当然のことながら、互いに併用して使用するためのヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤のそれぞれの治療有効量は、単独で用いた場合に有効にするのに十分でなくてよい。治療効果を有する化合物を薬剤又は医薬品と称することができる。
【0030】
語句「相乗的な併用」は、薬剤の併用投与の治療効果が、単一薬剤(併用)に期待される相加効果より大きい治療薬の併用を包含する。例えば、ゲムシタビン耐性である(すなわち、ゲムシタビンによる治療がCR、PR、又はSDを誘導できない、すなわち効果がない)細胞又は腫瘍において、ゲムシタビン及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の併用投与が、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の単独投与よりも大きな治療効果を有している。
【0031】
用語「併用投与」は、2つの薬剤が対象内に同時に存在する、及び/又は活性を有するように、癌のような単一の病気又は疾患を治療するために、対象に2つ又はそれ以上の薬剤を投与することであると本明細書では理解される。併用投与は、同時に投与する薬剤の混合剤の製造、混合及び/又は連続投与を促進する特定の担体中又は特定の濃度での薬剤の製造又は製剤化の両方を包含する。薬剤を、同じバイアル又はボトルに一緒に;或いは単一の容器(例えば、1つのボックス)内にある異なったボトル又はバイアル中に包装することができる。一緒に投与するために薬剤を特別に製剤化する必要はない。当然のことながら、異なる薬剤は異なる薬物動態及び薬力学的特性を有しているので、投与スケジュールを実質的に変えることができる。従って同時投与が必須なわけではない。ヌクレオチド類縁化学療法剤と有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤の併用投与は、その他の化学療法剤又はその他の薬剤の投与を排除しない。併用投与の投与計画の例は以下に提供されている。
【0032】
語句「薬学的に許容される担体」は、当該技術分野で認識されているものであって、本明細書に記載されている方法で用いられる化合物を対象、例えば哺乳動物に投与するのに適している、薬学的に許容される物質、組成物、又は賦形剤を包含する。担体は、対象薬剤をある臓器又は体の部分から別の臓器又は体の別の部分へ運搬或いは移送するのに関与する、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入剤を包含する。それぞれの担体は、製剤の別の成分と適合性があり、そして患者に有害ではないという意味で、「許容されて」いなければならない。薬学的に許容される担体の機能を果たす物質の幾つかの例は、乳糖、ブドウ糖及び蔗糖のような糖類;コーンスターチ及びジャガイモ澱粉のような澱粉類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースのようなセルロース及びその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び坐薬用ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油及び大豆油のような油類;プロピレングリコールのようなグリコール類;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール類;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル類;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;及び医薬製剤で用いられるその他の非毒性適合性物質を包含する。
【0033】
本発明の化合物
本発明の好ましい組成物及び方法は、Plk1阻害剤ON−01910−Na((E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−3−(カルボキシメチルアミノ)−4−メトキシベンジルスルホン(図3A))、及びジェムザール(Gemzar(登録商標))としても知られている、ゲムシタビン(4−アミノ−1−[3,3,−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2−オン(図3B))の使用を包含している。
【0034】
本明細書で用いられている用語「有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤」等は、Plk(例えば、Plk1、Plk2、Plk3、又はPlk4)のキナーゼ活性又は細胞中のPlkの活性を、例えばPlkの発現を減少させて阻害するか、又はPlkの活性を直接、若しくはPlk(特にPlk1)シグナル伝達経路の成分を阻害することにより阻害し;そして有糸分裂攪乱物質としての活性を有する何れの組成物も包含する。
好ましい実施態様では、阻害剤は、非Plkキナーゼの活性と比べてPlkの活性を選択的に阻害する。Plk阻害剤が、非Plkキナーゼの阻害と比較したPlkキナーゼの阻害において、2倍、5倍、10倍、又は20倍大きい活性を有していることが好ましい。Plk阻害剤は、1つ又はそれ以上のPlkアイソフォームに対して特異的であってよい。また、Plk阻害剤の活性は、阻害剤の存在下及び非存在下においてPlkのキナーゼ活性を比較することによって測定することができる。Plk阻害剤は、Plkキナーゼ活性を、非処理コントロールと比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%阻害する。
【0035】
Plk阻害剤は、細胞中のPlk活性を、細胞におけるPlkの発現を阻害することによって、例えば、Plk標的アンチセンス、又は適切な種のPlk(例えば、ヒトPlk1は、2008年4月6日に更新した、第3版の、GenBank No NM_005030である;ヒトPlk2は、2008年2月10日に更新した、第2版の、GenBank No. NM_006622である;ヒトPlk3は、2008年2月11日に更新した、第2版の、GenBank No.NM_004073である;ヒトPlk4は、2006年10月17日に更新した、第1版の、GenBank No.Y13115である;全てのGenBank number は参照により本明細書に組み込まれている)を標的とするsiRNA剤を用いて、阻害することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNA化合物を設計、合成、試験及び投与する方法は当該技術分野において公知である。例えば、米国特許公開第20050107328号公報及び同第20070265438号公報を参照されたい。これらは両方、参照により本明細書に組み込まれている。
【0036】
Plkの発現を減少又は阻害する化合物で処理した規定量の細胞又は細胞抽出物中のPlk1の活性を、同じ規定量の非処理細胞又は細胞抽出物と比較する。阻害は、本明細書、又は例えば、PCT公開第WO03/072062号公報(参照により本明細書に組み込まれている)に開示されているような、何れかの標準的なキナーゼアッセイを用いて測定することができる。本発明の有糸分裂攪乱物質及びPlk阻害剤も、顕微鏡、蛍光活性化細胞分類、又はその他の方法で容易に観察できるように、有糸分裂を攪乱する。
【0037】
有糸分裂攪乱物質は、例えば、中心体分布の攪乱、細胞質分裂の低下、異常な染色体数、及び細胞周期チェックポイントにおける不可逆的ブロックによって、正常な有糸分裂の達成を阻止する。本発明の方法で用いる有糸分裂攪乱物質は、非処理コントロールと比較して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれ異常の細胞において、有糸分裂の達成を阻止する。
【0038】
本発明の多くの実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤は小分子である。本明細書で用いられる用語「小分子」は、比較的低分子量(例えば、約7500未満、約5000未満、約1000未満の分子量、又は約500未満の分子量)を有していて、タンパク質、ポリペプチド、又は核酸ではない、天然の或いは人工的に生成された(例えば、化学合成によって)、有機化合物を示す。一般に小分子は、約1500g/モル未満の分子量を有している。また、小分子は通常、複数の炭素−炭素結合を有している。ある実施態様では、小分子はペプチド(アミド)結合を含有することに限られない。別の実施態様では、小分子はオリゴマーではない。典型的な小分子化合物は、これに限定されないが、ペプチド類似物、有機小分子(例えば、Cane et al. 1998, Science 282:63; 参照により本明細書に組み込まれている)、及び天然物の抽出物ライブラリーを包含する。別の実施態様では、化合物は小分子の有機非ペプチド化合物である。更なる実施態様では、小分子は生合成のものではない。例えば、小分子はそれ自体が転写又は複製の産物ではないことが好ましい。
【0039】
本発明の多数の実施態様では、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤は核酸治療薬である。本明細書で用いられる用語「核酸治療薬」等は、ヌクレオチドを含有していて標的遺伝子に対して望ましい効果を有している、核酸からなる何れかの化合物を示す。核酸治療薬は、一本鎖、二本鎖又は複数鎖であってよく、改変若しくは非改変ヌクレオチド又は非ヌクレオチド又は多数の混合物、及びこれらの組み合わせであってよい。本開示の核酸治療薬の例は、これに限定されないが、アンチセンス核酸、dsRNA、siRNA、及び酵素核酸化合物を包含する。
【0040】
Plk1阻害剤は、Plk1の活性を阻害する、好ましくはPlk1の活性を特異的に阻害する、ON−01910−Naの多数の誘導体の何れかを包含することができる。例えば、Plk1阻害剤は、式(I)の何れかの化合物であると理解される「ON−01910−Na及びその誘導体」、又はそのような化合物の塩を包含する。
【0041】
【化1】

【0042】
式中のXは、以下の(i)及び(ii)よりなる群から選ばれる。
【0043】
【化2】

【0044】
は、以下の(i)、(ii)及び(iii)よりなる群から選ばれる。
【0045】
【化3】

【0046】
ここにおいて、Xは1個又はそれ以上の化学保護基で保護されていてもよい。
gは0であるか又は次の通りである。
それぞれのMは、−(C−C)アルキレン−、−(CH−V−(CH−、−(CH−W−(CH−、及び−Z−よりなる群から独立して選ばれる2価の連結基である。
それぞれのyは、0及び1よりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのVは、アリーレン、ヘテロアリーレン、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−C(=O)(C−C)ペルフルオロアルキレン−、−C(=O)NR−、−C(=S)NR−及び−SONR−よりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのWは、−NR−、−O−及び−S−よりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのaは、0、1、2及び3よりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのbは、0、1、2及び3よりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのdは、1、2及び3よりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのeは、0、1、2及び3よりなる群から独立して選ばれる。
−Z−は、
【0047】
【化4】

【0048】
である。
ここにおいて、-Z-の絶対立体化学はD又はL或いはDとLとの混合物である。
それぞれのRは、−H、−(C−C)アルキル、−(CH3−NH−C(NH)(=NH)、−CHC(=O)NH、−CHCOOH、−CHSH、−(CHC(=O)NH、−(CHCOOH、−CH−(2-イミダゾリル)、−CH(CH)−CH−CH、−CHCH(CH、−(CH-NH、−(CH2−S−CH、フェニル、−CH−フェニル、−CH−OH、−CH(OH)−CH、−CH−(3−インドリル)、−CH−(4−ヒドロキシフェニル)−CH(CH及び−CH−CHよりなる群から独立して選ばれ、そしてRとRが結合して5、6、又は7員の複素環を形成している化合物を包含する。
【0049】
それぞれのRは、−H、非置換アリール、置換アリール、置換複素環、非置換複素環、−CO、−(C=O)NR、 −CR、−C(=NH)−NR、−(C−C)ペルフルオロアルキル、CFCl、−P(=O)(OR、−OP(=O)(OR、及び1000未満の分子量を有する1価のペプチジル残基よりなる群から独立して選ばれる。但し、yが0及びRがCO5の場合は、Rは−Hではない。
【0050】
それぞれのRは、−H、−(C−C)アルキル、及びアリール(C−C)アルキルよりなる群から独立して選ばれる。ここで、−Rと−(M)−Rは、任意に共有結合して5、6、又は7員の置換又は非置換複素環を形成してもよい。
それぞれのRは、独立して−(C−C)アルキルから選ばれる。
それぞれのRは、−H、及び−(C−C)アルキルよりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのRは、−H、−(C−C)アルキル及び−(C−C)アシルよりなる群から独立して選ばれる。
【0051】
それぞれのRは、−H、−(C−C)アルキル、−CO、−C(=O)R、OR、−OC(=O)(CHCO、−SR、グアニジン、−NR、−NR、−N(CHCHOR、フェニル、置換フェニル、複素環、置換複素環及びハロゲンよりなる群から独立して選ばれる。
それぞれのRは、−R、ハロゲン、−NR、及び2個の窒素原子を含有する複素環よりなる群から独立して選ばれる。そして
Qは、−H、−(C−C)アルコキシ、ハロゲン、−(C−C)アルキル及び−NRよりなる群から選ばれる。
【0052】
ここにおいて、R、R、R、R及びRを含有している或いはこれに含まれる置換アリール及び置換複素環基についての置換基は、ハロゲン、−(C−C)アルキル、−NO、−C-=N、−CO,−C(=O)O(C−C)アルキル、-OR、−(C−C)アルキレン−OH、ホスホナート、−NR、−NHC(=O)(C−C)アルキル、スルファミル、−OC(=O)(C−C)アルキル、−O(C−C)アルキレン−N((C−C)アルキル)及び−CFよりなる群から独立して選ばれる。
【0053】
但し、
(1)Rが分子量1000未満の1価ペプチジル残基であり、Vが−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)−又は−SO−であり、そしてbが0である場合は、
当該ペプチジル残基は、ペプチジル残基のアミノ末端を介して、又は側鎖アミノ基を介してMと結合して、それぞれアミド、チオアミド、スルフィンアミド又はスルホンアミドを形成する。
【0054】
(2)Rが分子量1000未満の1価ペプチジル残基であり、Vが−C(=O)NR−又は−SONR−であり、そしてbが0である場合は、
当該ペプチジル残基は、ペプチジル残基のカルボキシ末端を介して、又は側鎖カルボキシル基を介してMと結合して、それぞれイミド又はスルホンアミドを形成する。及び
【0055】
(3)Rが分子量1000未満の1価ペプチジル残基であり、Wが−NR−、−S−又は−O−であり、そしてaが0である場合は、
当該ペプチジル残基は、ペプチジル残基のカルボキシ末端を介して、又は側鎖カルボキシル基を介してMと結合して、それぞれカルボキサミド、カルボチオ酸エステル又はカルボン酸エステルを形成する。
その他のON01910−Na誘導体、合成法、及び化合物の活性はPCT公開第WO03/072062号公報中で見出すことができる。
【0056】
本明細書で用いられる「ヌクレオチド類縁化学療法剤」は、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、及びチオグアニンのようなプリン類縁体;又はカペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンのようなピリミジン類縁体である。このような化合物は、図3に示されているように構造的に類似し、通常糖基に結合している窒素を有していて、少なくともDNA合成を攪乱することによって作用する。このような化合物は当該技術分野において公知である。
【0057】
用量及び製剤
本発明の化合物は、局所に、経腸的に、又は非経口的に投与することができる。局所投与は、例えば、これに限定されないが、皮膚上、浣腸、点耳、鼻腔内、及び膣内投与を包含する。経腸投与は、例えば、口による(経口で)、経胃栄養チューブ、経十二指腸栄養チューブ、又は胃瘻増設術的に、及び坐薬又は浣腸形態での経直腸投与である。非経口投与は、これに限定されないが、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内点滴(骨髄内へ)、皮内、髄内、及び腹腔内を包含する。
【0058】
好ましい実施態様では、本発明の化合物は静脈内に投与される。
【0059】
本発明の方法で用いられる化合物は、このような投与のための、当該技術分野で知られている薬学的に許容される剤形の何れかを用いて経口投与することができる。化合物は、乾燥粉末、顆粒、錠剤或いはカプセルのような固体剤形、又はシロップ或いは水性懸濁液のような液体剤形で供給することができる。化合物は単独で投与することができるが、通常は医薬担体と共に投与される。剤形に関する有益な論文は Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing である。
【0060】
本発明の方法で用いられる化合物は、錠剤、カプセル(これらは、それぞれ持続放出又は徐放型製剤を包含する)、丸剤、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁液、シロップ、及び乳剤のような経口用剤形で投与することができる。同様に、これらは、静脈内(注射又は点滴)、腹腔内、皮下、又は筋肉内用の形態でも投与することができ、用いられる全ての剤形は当業者に公知である。
【0061】
本発明の方法で用いられる化合物は、ヒト又は哺乳動物のような宿主の体内に、化合物の作用部位で、化合物の接触を生じさせる、何れかの手段で投与することができる。これらは、単独で、或いは選択され投与経路及び標準的な製薬プラクティスに基づいて選択された医薬担体と共に投与することができる。
【0062】
本発明で確認された化合物についての投与計画は、勿論、公知の因子、例えば、特定薬剤の薬力学的特性及びその投与の方法及び経路;受容者の種、年齢、性別、健康状態、医学的状態、及び体重;症状の特質及び程度;並行治療の種類;治療の頻度、投与経路;患者の腎臓及び膵臓の機能;及び望まれる効果によって変わるだろう。通常の知識を有する医師又は獣医師は、対象に投与する化合物の有効量を容易に決定することができる。
【0063】
本発明の方法で用いられる化合物は、適切な鼻腔内賦形剤の局所使用によって鼻腔内形態で、又は当業者に周知の経皮吸収パッチのそれらの形態を用いて経皮経路で投与することができる。
【0064】
本発明の方法では、本明細書に記載されている化合物は、意図する投与形態、すなわち、経口用錠剤、カプセル、エリキシル、シロップなどに関して、そして従来の製薬プラクティスに従って、適切に選択された適切な製薬用希釈剤、賦形剤、又は担体(本明細書では担体物質と総称する)と混合して投与することができる。
【0065】
例えば、錠剤又はカプセルの形態で経口投与するために、活性薬物成分を、乳糖、澱粉、蔗糖、ブドウ糖、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、第2リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等のような経口用の、非毒性の、薬学的に許容される、不活性担体と組合わせることができ;液体形態で経口投与するために、活性薬物成分を、エタノール、グリセロール、水等のような経口用の、非毒性の、薬学的に許容される、不活性な何れかの担体と組合わせることができる。さらに望ましい場合或いは必要な時に、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、及び着色剤も混合剤に組み入れることができる。適切な結合剤は、澱粉、ゼラチン、ブドウ糖又はβ−ラクトースのような天然の糖類、トウモロコシ甘味剤、アカシアゴム、トラガカント又はアルギン酸ナトリウムのような天然及び合成のゴム類、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス類等を包含する。これらの剤形で用いられる滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を包含する。崩壊剤は、これに限定されないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等を包含する。
【0066】
本発明の方法で用いられる化合物は、小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクル、及び多層ベシクルのような、リポソーム送達システムの形態で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンのような、多種のリン脂質から形成することができる。
【0067】
本発明の方法で用いられる化合物は、標的化可能薬物担体としての可溶性ポリマーに結合させることもできる。このようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換したポリエチレンオキシドポリリジンを包含できる。更に、本発明で確認された化合物を、薬物の制御放出を達成させるために有用な生物分解性ポリマーの類、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロピラン類、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロック共重合体、と結合させることができる。
【0068】
ゼラチンカプセルは、活性成分と、乳糖、澱粉、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等のような、粉末化担体を含有することができる。同様の希釈剤を圧縮錠を製造するために用いることができる。錠剤とカプセルの両方を、数時間をかけて薬物の連続放出をもたらすように持続放出製剤として製造することができる。圧縮錠は、不快な味を隠して錠剤を大気から保護するために、糖衣又はフィルムを掛けるか、或いは腸管内で選択的に崩壊するように腸溶性コーティングすることができる。経口投与のための液体剤形は、患者の容認を増すために、着色剤及び着香剤を含有することができる。一般に、水、適切なオイル、食塩水、水性デキストロース(ブドウ糖)及び関連する糖溶液、及びプロピレングリコール又はポリエチレングリコールのようなグリコール類が、非経口溶液の適切な担体である。
【0069】
非経口投与のための溶液は、活性成分の水溶性塩、適切な安定化剤、そして必要により、緩衝物質を含有することが好ましい。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸のような抗酸化剤の単独又は組み合わせの何れかが適切な安定化剤である。クエン酸及びその塩、並びにEDTAナトリウムも用いられる。更に、非経口用溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル又はエチルパラベン、及びクロロブタノールのような、防腐剤を含有することができる。静脈内に投与される化合物は、多くの場合生理食塩水中で送達される。
【0070】
適切な医薬担体は、この技術分野で標準的な参考文献である、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company に記載されている。適切な担体による製剤化は当業者の能力の範囲内である。
【0071】
ヌクレオチド類縁化学療法剤の投与
ヌクレオチド類縁化学療法剤の投与計画は当該技術分野で公知であって、治療する癌の重症度及びタイプによって変化する。化学療法計画の幾つかの例を以下の表に挙げている。記載されている全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0072】
表2

化学療法剤 疾患 参考文献
投与計画

クラドリビン 無痛性非ホジキンリンパ腫 Blum et al., Cancer
107:2817-2825. 2006
0.14mg/kg/day×5日 4週毎×6

無痛性リンパ増殖性疾患及び Robak et al., Cancer
マントル細胞リンパ腫 107:1542-1550. 2006

1.リツキサマブ 375mg/m2 1日目、
クラドリビン 0.12mg/kg/day、
2-6日目 4週毎

2.リツキサマブ 375mg/m2 1日目、
クラドリビン 0.12mg/kg/day、
2-4日目 及び
シクロホスファミド 250mg/m2
2-4日目 4週毎

クロファラビン 慢性リンパ性白血病 Ghandi et al.,
Cancer Therapy
3-4mg/m2/day, 1-5日目 4週毎 12:4011-4017

15mg/m2/day, 1-5日目 4週毎

フルダラビン 慢性リンパ性白血病 Rai et al., NEJM
343:1750-1757, 2000.
25mg/m2/day, 1-5日目 4週毎

25mg/m2/day, 1-5日目 4週毎
+20mg/m2 クロラムブシル 4週毎

メルカプトプリン 急性リンパ芽球性白血病 Bostrom et al.,
Blood 101:
経口−37mg/m2/day, 0-70日目* 3809-3817, 2003.

静注−1000mg/m2/day, 0, 7, 14, 21,
28, 35, 42, 49, 56, 63, 及び70日目*

ペントスタチン 慢性リンパ性白血病 Kay et al., Blood.
109:405-411, 2007.
2mg/m2 ペントスタチン
600mg/m2 シクロホスファミド
375mg/m2 リツキサマブ
21日毎 6サイクル

チオグアニン 悪性神経膠腫 Levin et al.,
Neuro-oncology,
30mg/m2 経口 チオグアニン 109:405-411, 2007.
12回投与の間、6時間毎(0-66時目);
50mg/m2 経口 プロカルバジン
4回投与の間、6時間毎(60-78時目);
400mg/m2 経口 ジブロモダルシトール
1回投与(60時目);
110mg/m2 経口 ロムスチン
1回投与(72時目);
1.4mg/m2 静注 ビンクリスチン
14及び28日目 6-7週毎×6

カペシタビン 直腸癌 Hospers et al.,
Ann. Surg. Oncol.
100mg/m2 経口 カペシタビン 14:2773-2779,
2回/日, 1-14及び25-38日目
+ オキサリプラチンの用量を漸増して

シタラビン 骨髄性白血病 von Lilienfeld-Toal
et al., Hemtolog
100mg/m2 シタラビン持続注入 1-5日目 92:1719-1720
及び 5mg/m2 イダルビシン持続注入 1-5日目

デシタビン メラノーマ又は腎細胞癌 Gollob et al.,
Clin. Can. Res.
0.1-0.3mg/kg/dose 皮下注、 12:4619-4627
1-5及び8-12日目、
高用量のIL−2と共に3-4及び6-8週目
任意に、12週毎に更に2サイクル

フルオロウラシル 胃癌 Kim et al.,
Jpn. J. Clin. Oncol.
150mg/m2 イリノテカン 1日目 及び 37:744-749
20mg/m2 IdL V、次いで400mg/m2 (急速注入)、
及び 600mg/m2 (22時間連続注入)
5−FU 1及び2日目 14日毎

フロクスウリジン 転移性大腸癌 Xu et al.,
Ann. Surg.
胃十二指腸動脈注入 245:583-590
500mg FUDR
50mg オキサリプラチン
2.5mg デキサメタゾン

サパシタビン 前立腺癌、乳癌、肺癌を含む固形癌 Dalaunoit et al.,
Invest New Drugs,
1.5,12,20,25,30,50,67,90,120, 24:327-333, 2006.
160及び220mg/m2/day 経口、
最大耐性用量 160mg/m2/day

メルカプトプリンはビンクリスチン、メトトレキサート、及びプレドニゾン又はデキサメタゾンと併用投与した。
【0073】
ゲムシタビン投与
ゲムシタビンを単一で用いて、又は他の薬剤と併用して、多種の癌を治療するための数多くのゲムシタビン投与計画が確立されている。例えば、単一薬剤として又は他の化学療法剤と併用して、10mg/m/week〜1200mg/m/weekの用量範囲が胆道癌の治療研究で用いられた。1サイクル当たり投与の頻度及び回数を変化させた(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Pastorelli et al., Ann. Oncol. 17:V153-157, 2006 を参照されたい)。800mg/m/week〜1000mg/m/weekの用量範囲がステージIIIB若しくはIVの非小細胞肺癌の治療研究で用いられた(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Rocha Lima et al., Ann. Oncol. 15:410-418, 2004 を参照されたい)。尿路上皮の進行性移行性細胞癌、再発性ホジキンリンパ腫、膵臓癌、及び腎臓癌の治療研究において、同様な用量が投与された。
【0074】
公開されている投与計画の例を以下の表に示している。
【0075】
表3
進行性胆道癌における単独薬剤投与(Pastorelli et al., 2006.から部分的に複写した)

著 者 ゲムシタビン投与スケジュール

Metzger et al. 1000mg/m2/wk×7 次に1×/wk×3, 4週毎
Valencak et al, 1200mg/m2 days 1, 8,及び15、4週毎
Dobrilla-Dintinjana et al. 1000mg/m2/wk×7
Kubika et al., 10mg/m2/wk×7 次に 1×/wk × 3, 4週毎
Arroyo et al., 1000mg/m2 days 1,8,及び15, 4週毎
Gebbia et al., 1000mg/m2 days 1,8,及び15, 4週毎
Penz et al., 2200mg/m2 days 1, 2週毎

【0076】
表4
非小細胞肺癌におけるドキセタキセル(Dox)とゲムシタビン(gem)の併用療 法(Rocha Lima et al., 2004. から部分的に複写した)

研 究 計 画

Dox 8日目 - gem 1及び8日目

Rebattu et al. Dox 85mg/m2 8日目 + gem 1000mg/m2 1及び8日目, 3週毎
Amenedo et al. Dox 85mg/m2 8日目 + gem 1000mg/m2 1及び8日目, 3週毎
Lizon et al. Dox 75mg/m2 8日目 + gem 1000mg/m2 1及び8日目, 3週毎
Georgoulias et al. Dox 100mg/m2 8日目 + gem 900mg/m2 1及び8日目, 3週毎 + G-CSF 150μg/m2 9-15日目 3週毎

Dox 1日目 - gem 1及び10又は15日目

Hejma et al. Dox 80mg/m2 1日目 + gem 1000mg/m2 1及び10日目
+ G-CSF 5μg/m2 2-8日目 3週毎
Vewntriglia et al. Dox 75mg/m2 1日目 + gem 1000mg/m2 1及び15日目, 3週毎

毎週又は隔週投与計画

Popa et al. Dox 40mg/m2 1及び8日目 + gem 1000mg/m2 1及び8日目, 3週毎
Manendez ert al. Dox 36mg/m2 1,8及び15日目 + gem 1000mg/m2 1,8及び15日目,
4週毎
McKey et al. Dox 30mg/m2 1,8及び15日目 + gem 800mg/m2 1,8及び15日目,
4週毎
Syrigos et al. Dox 80mg/m2 1日目 + gem 1000mg/m2 1日目 15日毎
Neubauer et al. Dox 36mg/m2 1, 8, 15, 22, 29及び36日目
+ gem 900mg/m2 1, 8, 22 及び29日目, 8週毎

【0077】
本発明の方法では、ゲムシタビンを約500mg/m/week〜約1500mg/m/week、好ましくは約700mg/m/week〜約1300mg/m/week、好ましくは約800mg/m/week〜約1200mg/m/weekの用量で投与することができる。より高い用量比及びより低い用量比も可能である。この用量を1週間当たりの単回用量として投与してもよく、或いは複数の用量に分割してもよい。投与の速度(用量が投与される時間)を変えることができる。投与の頻度はサイクル当たり1、2、3回、又はそれ以上であってよい。サイクルは、1、2、3、4、5、6、7、8週間又はそれ以上であってよい。サイクルの回数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれ以上、或いは所望の治療結果に到達するまで、又は副作用によって投与が制限されるまででもよい。
【0078】
ON01910投与
ON01910−Naは、異なった用量及び投与スケジュールを用いて臨床試験において検討されている。ある検討では、用量範囲が160〜8740mg/weekであって、1週間当たり2用量に分割して、4週間おきに、連続3週間投与された。(4週間毎に、連続3週間、週に2回、2時間点滴。検討された用量範囲は80mg〜4370mgであった。更に試験するために推奨されるこのスケジュール当たりの用量は、3120mgである。)体表面積を約1.8mと仮定すると、この用量は約90mg/m/week〜約4850mg/m/weekである。
【0079】
別の検討では、ON01910−Naが週1回の連続スケジュールに沿って24時間点滴として投与された。用量範囲は250mg/m/week〜2750mg/m/weekであった。
【0080】
別の検討では、ON01910−Naが2週間おきに72時間点滴として投与された。用量範囲は50mg/m/day〜400mg/m/day(すなわち、75mg/m/week〜600mg/m/week)であった。
【0081】
ON01910−Naの安全性プロフィールは、ラットとイヌを用いる2つの標準的な毒性動物試験で確認された。ラットでは、300及び600mg/mの単回投与では毒性を引き起こさず、1200mg/mはほんの少しの毒性(肛門性器の汚れ)を有していた。用量を3000mg/mに増量すると11匹のうち9匹の動物が死亡した。7日の反復投与(1200mg/m)において、投与期間中に13匹のうち2匹のラットが死亡した。12匹の雄性ラット及び12匹の雌性ラットからなる群を用いる、28日の反復投与では、180mg/m及び450mg/mの固定1日用量が耐性であった。4週間にわたって週2回投与する900mg/mの用量にもよい耐性があった。
イヌでは、2000及び4000mg/mの急性投与は、投与中に別の不快な徴候(もがき、啼鳴)と共に、胃腸への影響(下痢、鼓腸)を生じた。7日の静脈内反復投与で、1日当たり1000mg/mはイヌによく耐性であった。28日の反復投与で、1日当たり200及び500mg/mの静脈投与に、3匹の雄性及び3匹の雌性ビーグル犬よりなる群で28日にわたってよい耐性であった。1000mg/mで始めた高用量群は、8日後に毒性の徴候を何も示さなかった。用量漸増式検討に基づき、この用量スケジュールに対して毒性をもたらさない最高用量が、28日間で約1500〜2000mg/mであると試算された。4週間にわたって1週間当たり1000mg/mで2回処置した、6匹のイヌからなる別の群は、臨床的な問題も無く、この化合物に耐性であった。これらの毒性の検討において、有意な骨髄毒性、神経障害、又は心臓毒性の徴候は無かった。結果を以下の表に要約してある。(参照により本明細書に組み込まれている、Gumlreddy et al., Cancer Cell, 7:275-286, 2005. から複写している。)
【0082】
表5

種 投与スケジュール MTDmg/m2 STD/LD10mg/m2 HNSTDmg/m2
急速静注
ラット 単回投与 >1200 <3000 −−
(死亡なし) (9/11死亡)
ラット 7日反復投与 1200 −−
(2/13死亡)
ラット 2×/wk、 <2100 −−
4wks (5/9死亡)
ラット 28日反復投与 450 <900n −−
(1/36死亡) (11/36死亡)
ラット 2×/wk、 900 −−
4wks (1/24死亡)
イヌ 単回投与 >4000 2000

イヌ 7日反復投与 >1000 >1000

イヌ 2×/wk、 >1000
4wks
イヌ 28日反復投与 >1000 2500 1500−
2000

MTD、最大耐性用量; STD、高毒性用量;LD10、動物10%の致死用量;
HNSTD、最高無毒性用量。
【0083】
本発明の方法では、ON01910−Na及びそれらの誘導体は、約50mg/m/week〜約5000mg/m/week、又は約90mg/m/week〜4850mg/m/weekの用量で投与できる。より高い及びより低い用量比も可能である。この用量を、1週間当たりの単回用量で投与してもよく、或いは複数回投与に分割することができる。投与の速度(この用量を投与する時間)は変えることができる。投与の頻度を1サイクル当たり1、2、3回、又はそれ以上とすることができる。サイクルは1、2、3、4、5、6、7、8週間又はそれ以上とすることができる。サイクル数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10サイクル又はそれ以上、或いは所望の治療結果に到達するまで、又は副作用によって投与が制限されるまででもよい。
【0084】
上記の Rocha Lima 由来の表に示されているように、単剤として或いは併用化学療法計画としてのゲムシタビンの投与に対するスケジュール及び投与量は類似している。上記の表に又はゲムシタビンの投与についての当該技術分野において提供されている投与計画の何れも、ON01910−Na又はそれらの誘導体について上で述べられている投与計画と組み合わせることができる。当然のことながら、医師又は腫瘍学の当業者は該当する特定個人に対して投与計画を変えることができ、そして別の投与計画が可能である。
【0085】
当然のことながら、化学療法剤の投与によって一般に生じる望ましくない副作用(例えば、好中球減少、感染、悪心)に従って、投与の特定の用量及びタイミングを化学療法剤とともに修正することができる。
【0086】
本明細書で示されている範囲は、範囲内の全ての値についての省略した表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50を含む群からの、何れかの数、数の組み合わせ、又は下位の範囲を包含していると理解される。
【0087】
特段の記述があり又は文脈から明瞭である場合を除き、本明細書で用いらられている用語「又は」は包括的なものと理解される。
【0088】
特段の記述があり又は文脈から明瞭である場合を除き、本明細書で用いられている用語「a」、「an」、及び「the」は単数又は複数であると理解される。
【0089】
本明細書における可変基の何れかの定義において化学基の列挙の記載は、単一基の何れか又は列挙された基の組み合わせの何れかとしての可変基の定義を含んでいる。本発明の可変基又は態様についての実施態様の記述は、単一の実施態様の何れか、又はその他の何れかの実施態様若しくはそれらの部分との組み合わせとしての実施態様を含んでいる。
【0090】
本明細書に参照される全ての参考文献、特許、特許出願、及び優先権出願の出願日時点の受入番号は、参照により明確に組み込まれている。
【0091】
本発明を以下の実施例によって更に説明する。これを限定しているものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0092】
材料及び方法
インビトロ増殖アッセイ
ゲムシタビン耐性ヒト膵臓癌細胞株813、1005、MP2(ATCCから市販されている)及びE3JD13、XPa3、及びXPa4(JHU (Johns Hopkins University)で腫瘍の低継代から得られる)を、10%のウシ胎仔血清及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを加えたRPMI−1640中の標準培養条件下で生育させた。
【0093】
Plk1 siRNA及びトランスフェクション試薬(Dharmacon RNA technologies, Lafayette, CO)は、500μLの生育培地中のそれぞれのウェルに30,000細胞を加えて37℃で1晩培養した24ウェルの細胞培養プレート中で最適化した。それぞれのプレートは、抗生物質なしの培地のみのウェル、毒性をチェックするための抗生物質なしの培地を含めた最終容量に対して0.2%、0.4%及び0.6%のトランスフェクション試薬(TR)となるウェル、及び変化するTR量に抗生物質なしの培地中の濃度が100nM及び200nMのsiRNAを加えたウェルを含んでいた。24時間及び48時間にわたって条件を試験した。RLT緩衝剤(Qiagen Valencia, CA)を用いて細胞を採取した。6個の細胞株全てにおけるPlk1阻害のためのsiRNA条件を最適化すると、TR、siRNAの最適濃度及び時間は、それぞれぞれ0.4%、200nM及び48時間であった。
【0094】
全てのRNAを、細胞ペレット(及び腫瘍)から、RNeasy(登録商標)ミニキット(Quiagen, Valencia, CA)を用いて抽出した。cDNAを、iScript cDNA合成キット(Bio-Rad, Hercules, CA)を用い、製造会社の使用説明書に従って合成した。Plk1及びユビキチンC(UBC,ハウスキーピング遺伝子として用いた)mRNAの相対定量を、ABI Taqmanプローブ(Foster City, CA)を用いるiCycler iQリアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad)を用いて実施した。実験を2回繰り返して、サンプルを4通りに作成した。
【0095】
ゲムシタビン、ON01910−Na及び両者の組み合わせに対するインビトロ薬物感受性(全てを72時間1μM濃度にて)を、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT;Sigma, St Lois, MO)によって評価した。siRNAを追跡する、MTTに基づく有効性の検討のために、細胞を96ウェルのプレートに播種し、上記の条件で48時間トランスフェクトし、次いで賦形剤又はゲムシタビンの何れかに1μMの濃度で72時間曝露した。それぞれの実験を、それぞれの薬物濃度に対して6通り行い、少なくとも3回独立して実施した。
【0096】
膵臓癌に直接由来する異種移植片
切除した膵臓腺癌は、IRBが承認しているプロトコルに従って残存膵臓癌腫瘍から多数の腫瘍細胞を得るための方法として、ジョンズ・ホプキンス・医学研究所において日常的にヌードマウスに移植されている。簡潔に言えば、ウィップル摘出試料から得た腫瘍試料を抗生物質含有培地中で、2〜3mmのピースに分割した。非壊死組織のピースを選択して、Matrigelに浸漬した。イソフルオランで麻酔して、Harlan (Harlan Laboratories, Washington, DC) から購入した5〜6週齢の雌性無胸腺(nu/nu)マウスに腫瘍を移植した。
【0097】
腫瘍担持マウスを4群(1群あたりn=8〜10腫瘍)に分けた。マウスを、ゲムシタビン100mg/kg、2回/週、4週間;若しくはON−01910Na250mg/kg/day、4週間;又はこれらの組み合わせで処置した。実験の経過中、4日おきに、測径器を用いて腫瘍サイズ測定した。
【0098】
28日目に、動物を安楽死させて、標準的プロトコルを用いるRT−PCRによるPlk1発現分析のために、腫瘍を取り出した。Plk1発現レベルを薬物非処理コントロールにおける発現と比較して表した。
【0099】
薬物
ゲムシタビン(Eli Lilly, Indianapolis, IN)を生理食塩水に溶解した。薬物を新たに調製して、0.2mL/20g体重の注射容量で用いた。
【0100】
ON−01910−Naを生理食塩水に溶解した。薬物を新たに調製して、0.2mL/20g体重の注射容量で用いた。
【0101】
相対腫瘍生育阻害
相対腫瘍生育阻害(TGI)を、TGI=(Ti−T0/Ci−C0)として算出した。ここでTi及びCiは、それぞれ、28日目の処置群及びコントロール群の腫瘍サイズを示し;T0及びC0は1日目の処置群及びコントロール群の腫瘍サイズを示す。実験を28日で終了した。異種移植片が、RECIST評価基準に従って、TGI≦−30%及びTGI>−30%である場合、それぞれに、ゲムシタビンに感受性がある及び耐性があると定義した。
【0102】
実施例1
膵臓癌細胞株におけるゲムシタビン耐性に打ち勝つPlk1の阻害
6種のゲムシタビン耐性細胞株を培養物中で生育して、ゲムシタビン単独、Plk1を標的とするsiRNA、又は両者の組合わせで24時間処理した。細胞を培地中で更に3日間生育した。コントロールと比較した細胞生育のパーセントを測定した。
【0103】
同様に、同じ細胞株を、ゲムシタビン単独、Plk1単独、又はそれらの組み合わせの存在下で、3日間生育した。コントロールと比較した細胞生育のパーセントを測定した。
【0104】
非処理コントロールと比較すると、6種の細胞株のうち3種においてPlk1 siRNAにより(図1A)、6種の細胞株のうち2種においてON−01910−Naにより(図1B)、生育が阻害された。ゲムシタビンと組み合わせたPlk1阻害剤による処理が殆どの細胞株において生育を強く阻害した。ON−01910−Na及びゲムシタビンの組み合わせが、少なくとも、3種の細胞株、1005、XPa3、及びXPa4における細胞生育阻害において有意な相加又は相乗効果を有していた。これらのデータは、Plk1阻害剤がゲムシタビン耐性細胞を殺すという点で有効であり得、そしてPlk1阻害剤がゲムシタビン耐性細胞をゲムシタビンにより破壊されることに対して感受性にすることを明らかにしている。
【0105】
実施例2
インビボでの膵臓癌におけるゲムシタビン耐性に打ち勝つPlk1の阻害
膵臓腫瘍を上に詳述したようにマウスに移植した。マウスを、ゲムシタビン単独、ON−01910−Na単独、又はこれらの組み合わせで、示されるように処理した。腫瘍サイズを4日間隔で測定した。
【0106】
3種の膵臓腫瘍が、それぞれのゲムシタビン及びON−01910−Naに対して異なった感受性プロファイルを明らかにした(図2A)。腫瘍41は、処理内容を問わず、ゲムシタビンとON−01910−Naでの処理に対してともに、実質的に腫瘍の生育なしに、感受性があった。腫瘍JH03は、ゲムシタビン単独に対して感受性があったが、ON−01910−Naに対してはなかった。しかしながら、ゲムシタビン及びON−01910−Naの組み合わせは、28日目の実験の終わりまでにゲムシタビン単独よりもより有効であった。腫瘍28は、ゲムシタビンに耐性でON−01910−Naに感受性であった。とりわけ、ゲムシタビン及びON−01910−Naの組み合わせは、何れの単独の化合物よりも有意に有効であった。
【0107】
28日目に、腫瘍を採取して、Plk1発現について分析した(図2B(C))。示されるように、ゲムシタビンに曝露した後のPlk1の発現が最も低かったJH03腫瘍が、ゲムシタビンによる処理に対して最も感受性があった。
【0108】
これらのデータは、ON−01910−Naがゲムシタビン耐性膵臓腫瘍にゲムシタビン感受性を誘導できることを明らかにしている。
【0109】
実施例3
ヌクレオチド類縁化学療法剤での処理に感受性がある癌を有する対象の治療
対象は、ゲムシタビンによる治療に感受性がある進行性胆道癌であると診断されている。手術が行われて全身腫瘍組織量が減少している。転移癌及び原発部位に残っている癌を縮小及び治療するために化学療法を開始する。対象にゲムシタビンを4週間おきに、1、8、及び15日目に、2サイクル、1000mg/mにて投与する。第3サイクルに開始して、ON−01910−Naを1週間に1度の連続スケジュールで24時間点滴として併用投与する(4週サイクルの1、8、15、及び23日目に)ON01910の容量は1000mg/m/weekである。薬剤を化学療法投与計画の残りのサイクルについて併用投与する。対象を病気の進行又は退行について観察する。
【0110】
実施例4
Plk1を標的にするsiRNAの併用投与によるゲムシタビン耐性の発現の阻害
対象は膵臓癌であると診断されている。Plk1を標的とするsiRNA化合物を、ゲムシタビン化学療法のそれぞれのサイクルの間の第1回投与と同時(すなわち、各4週サイクルの第1日目)に対象に投与する。siRNA治療剤は、ゲムシタビンの投与と比較すると相対的に低頻度投与を可能にする長時間効果がある化合物である。ゲムシタビン化学療法をサイクルの所望回数まで続ける。対象を病気の進行又は退行について観察する。
【0111】
実施例5
ON01910を用いる、ヌクレオチド類縁化学療法剤に対する耐性の発現の阻害
対象はリンパ性白血病であると診断されていて、癌は最大12サイクルにわたる毎28日の5日間の25mg/m/dayの用量でのフルダラビン静脈内投与による治療に感受性がある。フルダラビンの第1回投与の1週間前に、ON01910を100mg/m/dayの用量にて72時間点滴で(総用量300mg/m)投与する。同じ用量のON01910を、フルダラビン化学療法の期間を通して、1週間毎に連続投与する。対象を病気の進行又は退行について観察する。
【0112】
参照による組み込み
本願を通して引用されている、全ての引用文献、特許、係属中の特許出願及び公開された特許は、参照により本明細書に明確に組み込まれている。
【0113】
均等物
当業者は、本明細書に記載されている発明の具体的な実施態様に対する多くの均等物を認識できるか、或いは通常の実験により確認することができる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性がある癌を治療するための薬剤を製造するための、有糸分裂攪乱物質/ポロ様キナーゼ(Plk)経路阻害剤の使用。
【請求項2】
対象がヌクレオチド類縁化学療法剤に耐性の腫瘍を有しているとして選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
対象がゲムシタビンに耐性の癌を有しているとして選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
対象が、癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化について観察される、請求項1〜3の何れか一項に記載の使用。
【請求項5】
薬剤が、ヌクレオチド類縁化学療法剤を更に含有してなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の使用。
【請求項6】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が、Plk1阻害剤を含有してなる、請求項1〜5の何れか一項に記載の使用。
【請求項7】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が、ON01910又はそれらの誘導体を含有してなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の使用。
【請求項8】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が、ON01910を含有してなる、請求項1〜7の何れか一項に記載の使用。
【請求項9】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が、核酸治療剤を含有してなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の使用。
【請求項10】
核酸治療剤が、Plk1を標的とするsiRNAを含有してなる、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
ヌクレオチド類縁化学療法剤が、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンよりなる群から選ばれる、請求項1〜10の何れか一項に記載の使用。
【請求項12】
ヌクレオチド類縁化学療法剤がゲムシタビンである、請求項1〜11の何れか一項に記載の使用。
【請求項13】
癌が、白血病、リンパ腫、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群よりなる群から選ばれる、請求項1〜12の何れか一項に記載の使用。
【請求項14】
癌が、膵臓癌を含有してなる、請求項1〜13の何れか一項に記載の使用。
【請求項15】
薬剤が、ON01910−Na又はそれらの誘導体を約50mg/m/week〜約5000mg/m/weekの用量で投与するために製剤化されている、請求項1〜8又は11〜14の何れか一項に記載の使用。
【請求項16】
薬剤が、ゲムシタビンを約500mg/m/week〜約1500mg/m/weekの用量で投与するために製剤化されている、請求項1〜15の何れか一項に記載の使用。
【請求項17】
ヌクレオチド類縁化学療法剤に耐性の癌を有している対象を同定すること;
有糸分裂攪乱物質/ポロ様キナーゼ(Plk)経路阻害剤を対象に投与すること;及び
癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察すこと:
を含有してなる、ヌクレオチド類縁化学療法剤に耐性の癌を治療する方法。
【請求項18】
対象にヌクレオチド類縁化学療法剤を投与することを更に含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ヌクレオチド類縁化学療法剤が、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンよりなる群から選ばれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ヌクレオチド類縁化学療法剤がゲムシタビンを含有してなる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がPlk1阻害剤を含有してなる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910又はそれらの誘導体を含有してなる、請求項5に記載の方法。
【請求項23】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910を含有してなる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が核酸治療剤を含有してなる、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
核酸治療剤がPlK1を標的にしている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
核酸治療剤がPlK1を標的にしているsiRNAを含有してなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
癌が、白血病及びリンパ腫、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群よりなる群から選ばれる、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
癌が膵臓癌である、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
ON01910−Na又はそれらの誘導体を約50mg/m/week〜約5000mg/m/weekの用量で投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
ゲムシタビンを約500mg/m/week〜約1500mg/m/weekの用量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
癌を有する対象を同定すること;
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に投与すること;及び
癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察すること:
を含有してなる、癌を有する対象におけるヌクレオチド類縁化学療法剤耐性の発現を阻止する方法。
【請求項32】
対象にヌクレオチド類縁化学療法剤を投与することを更に含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ヌクレオチド類縁化学療法剤が、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンよりなる群から選ばれる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ヌクレオチド類縁化学療法剤がゲムシタビンを含有してなる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がPlk1阻害剤を含有してなる、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910又はそれらの誘導体を含有してなる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910を含有してなる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が核酸治療剤を含有してなる、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
核酸治療剤がPlk1を標的にしている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
核酸治療剤が、Plk1を標的とするsiRNAを含有してなる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
癌が、白血病及びリンパ腫、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群よりなる群から選ばれる、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
癌が膵臓癌である、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
ON01910−Na又はそれらの誘導体を約50mg/m/week〜約5000mg/m/weekの用量で投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
ゲムシタビンを約500mg/m/week〜約1500mg/m/weekの用量で投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
ヌクレオチド類縁化学療法剤による治療に感受性がある癌を有する対象を同定すること;
ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に併用投与すること;及び
癌の少なくとも1つの徴候又は症状の減少又は安定化について対象を観察すること:
を含有してなる、癌を治療する方法。
【請求項46】
ヌクレオチド類縁化学療法剤が、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンよりなる群から選ばれる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ヌクレオチド類縁化学療法剤がゲムシタビンを含有してなる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がPlk1阻害剤を含有してなる、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910又はそれらの誘導体を含有してなる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910を含有してなる、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が核酸治療剤を含有してなる、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
核酸治療剤がPlk1を標的にしている、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
核酸治療剤がPlk1を標的とするsiRNAを含有してなる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
癌が、白血病及びリンパ腫、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、膀胱癌、肝臓癌、前立腺癌、胃癌、腎臓癌、メラノーマ、神経膠腫、食道癌、子宮頸癌、及び骨髄異形成症候群よりなる群から選ばれる、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
癌が膵臓癌である、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
ON01910−Na又はそれらの誘導体を約50mg/m/week〜約5000mg/m/weekの用量で投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
ゲムシタビンを約500mg/m/week〜約1500mg/m/weekの用量で投与する、請求項45に記載の方法。
【請求項58】
ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を併用投与する前に、ヌクレオチド類縁化学療法剤を対象に単独投与することを更に含有してなる、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に併用投与する前に、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に単独投与するこを更に含有してなる、請求項45に記載の方法。
【請求項60】
ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に併用投与した後、ヌクレオチド類縁化学療法剤を単独投与することを更に含有してなる、請求項45に記載の方法。
【請求項61】
ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に併用投与する前に、有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を対象に単独投与するこを更に含有してなる、請求項45に記載の方法。
【請求項62】
ヌクレオチド類縁化学療法剤及び有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤を含有してなる、医薬組成物。
【請求項63】
ヌクレオチド類縁化学療法剤が、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、サパシタビン、及びゲムシタビンよりなる群から選ばれる、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
ヌクレオチド類縁化学療法剤がゲムシタビンを含有してなる、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がPlk1阻害剤を含有してなる、請求項62に記載の組成物。
【請求項66】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910又はそれらの誘導体を含有してなる、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤がON01910を含有してなる、請求項65に記載の組成物。
【請求項68】
有糸分裂攪乱物質/Plk経路阻害剤が核酸治療剤を含有してなる、請求項62に記載の組成物。
【請求項69】
核酸治療剤がPlk1を標的としている、請求項67に記載の組成物。
【請求項70】
核酸治療剤がPlk1を標的とするsiRNAを含有してなる、請求項69に記載の組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−518153(P2011−518153A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504974(P2011−504974)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/005104
【国際公開番号】WO2009/128805
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(505045908)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ (21)
【Fターム(参考)】