説明

P38のイソキノリンインヒビター

【課題】p38の活性化と関連する種々の状態を処置するのに有用である、p38の新しい強力なインヒビターを提供すること。
【解決手段】本発明は、細胞増殖、細胞死および細胞外刺激に対する反応に関与する哺乳動物のプロテインキナーゼである、p38のインヒビターに関する。本発明はまた、これらのインヒビターを生成するための方法に関する。本発明はまた、本発明のインヒビターを含む薬学的組成物、および種々の障害の処置および予防においてこれらの組成物を利用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖、細胞死および細胞外刺激に対する反応に関与する哺乳動物のプロテインキナーゼである、p38のインヒビターに関する。本発明はまた、これらのインヒビターを生成するための方法に関する。本発明はまた、本発明のインヒビターを含む薬学的組成物、および種々の障害の処置および予防においてこれらの組成物を利用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、細胞外シグナルに対する種々の細胞応答に関与する。最近、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のファミリーが発見されている。このファミリーのメンバーは、リン酸化によってその基質を活性化するSer/Thrキナーゼである[非特許文献1]。MAPKは、各種のシグナル(増殖因子、サイトカイン、UV放射、およびストレス誘発剤が挙げられる)によって、そら自体が活性化される。
【0003】
1つの特に興味深いMAPKは、p38である。サイトカイン抑制抗炎症剤結合タンパク質(CSBP)およびRKとしてもまた公知であるp38は、リポ多糖類(LPS)レセプターであるCD14でトランスフェクトされ、そしてLPSで誘導されたたマウスのプレB細胞から単離された。p38は、その後単離され、そして配列決定され同様に、ヒトおよびマウスにおいて、p38をコードするcDNAが単離され配列決定されている。p38の活性化は、ストレス(例えば、リポ多糖類(LPS)処理、UV処理、アニソマイシン処理、または浸透圧ショック処理)およびサイトカイン(例えば、IL−1およびTNF)によって刺激された細胞中で観察されている。
【0004】
p38キナーぜの阻害は、IL−1およびTNF両方の生成に対する遮断を導く。IL−1およびTNFは、他の炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL−6およびIL−8)の生成を刺激し、そして急性および慢性の炎症性疾患ならびに閉経後の骨粗鬆症に関係している[非特許文献2]。
【0005】
この知見に基づいて、他のMAPKと共にp38は、炎症性刺激(例えば、白血球蓄積、マクロファージ/単球の活性化、組織吸収、熱、急性期応答および好中球増加)に対する細胞応答を媒介する役割を有することが考えられる。さらに、p38のようなMAPKは、以下に関係している:癌、トロンビン誘導性血小板凝集、免疫不全障害、自己免疫疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症および神経変性障害。p38のインヒビターはまた、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ2誘導の阻害を介する疼痛処理の領域に関係している。IL−1、IL−6、IL−8またはTNFの過剰産生と関連する他の疾患が、特許文献1に記載される。
【0006】
他者は、MAPKを特異的に阻害する薬物を開発することを既に試み始められている。例えば、特許文献2は、MAPKを阻害するピラゾール化合物、および特にp38を阻害するピラゾール化合物を記載する。しかし、インビボでのこれらのインヒビターの効力は、未だ研究中である。
【0007】
以下に記載されるインヒビターを含む他のp38インヒビターが生成されている:特許文献3特許文献4特許文献5特許文献6特許文献7特許文献8および特許文献9
【0008】
従って、p38の活性化と関連する種々の状態を処置するのに有用である、p38の新しい強力なインヒビター(p38特異的インヒビターを含む)を開発する重大な必要性がなお存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第96/21654号パンフレット
【特許文献2】国際公開第95/31451号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/27098号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/00357号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/10291号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/58502号パンフレット
【特許文献7】国際公開第99/64400号パンフレット
【特許文献8】国際公開第00/17175号パンフレット
【特許文献9】国際公開第00/17204号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】B.Steinら、Ann.Rep.Med.Chem.,31,289〜98ページ(1996)
【非特許文献2】R.B.Kimbleら、Endocrinol.,136,3054〜61(1995)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
以下の式:
【化1】


の化合物であって、
ここで、QおよびQの各々は、フェニルもしくは5〜6員の芳香族複素環式環系、または0〜4個のヘテロ原子を含む8〜14員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の二環式環系もしくは三環式環系から、独立して選択される;
を構成する環は1〜4個の置換基で置換され、各々の置換基はハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’またはCON(R’)で必要に応じて置換されるC−C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’またはCON(R’)で必要に応じて置換されるO−(C−C)−脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);N=CR’−N(R’);SOR’;またはC(O)R’から独立して選択される;
を構成する環は4個までの置換基で必要に応じて置換され、各々の置換基はハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、O−P(O)HまたはCON(R’)で必要に応じて置換されるC−C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、OP(O)HまたはCON(R’)で必要に応じて置換されるO−(C−C)−脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);R;OR;N(R;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=CR’−N(R’);R;O−CO;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはCNから独立して選択される;
各々のR’は水素;(C−C)−脂肪族;フェニルまたはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されるフェニル;またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される5〜8員の複素環式環系;から独立して選択される;
各々のRは、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)OR、−Jまたは−Kで各々必要に応じて置換される5〜8員の芳香族または非芳香族の炭素環式環系または複素環式環系;または、0〜4個のヘテロ原子を含む、8〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族の二環式環系から独立して選択され、該環系はハロ、R’、R、−C(O)R、−C(O)R’、−C(O)OR、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される;
各々のRは、−N(R’);ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される−NR’C(O)−(C−C)−脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される−NR’−(C−C)−脂肪族;−OC(O)−N(R’);(C−C)−脂肪族であって、ここで、該脂肪族鎖の飽和炭素原子2つまでが、各々必要に応じて、そして独立して−C(O)−、−C(O)NR’−、−C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で置き換えられ、該脂肪族鎖はハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される、(C−C)−脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される(C−C)−脂肪族;−J;−K;または、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される5〜6員の芳香族または非芳香族の、炭素環式環系もしくは複素環式環系から独立して選択される;
は、水素;または、ハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)S(O)(R’)、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、N(R’)C(O)R’、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N=C(NHR’)またはRで必要に応じて置換される(C−C)脂肪族から選択される;
は、ハロ、R’,−C(O)R’または−C(O)OR’で各々必要に応じて置換される、5〜8員の芳香族または非芳香族の、炭素環式環系または複素環式環系;または、0〜4個のヘテロ原子を含む、8〜10員の飽和、部分不飽和または芳香族環系から選択され、該環系は、ハロ、R’、−C(O)R’またはC(O)OR’で必要に応じて置換され:
Zは、N、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である;
Wは、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)、またはC(F)である
Jは、TまたはTで置換される(C−C)脂肪族である;
Tは、V、O(V)またはNH(V)である;
VはC(O)N=C(R)(N(R))であり、ここで、窒素上の2つのジェミナルのRは、必要に応じて窒素原子と一緒になって、4〜8員の複素環式環系を形成する;
各々のRは、水素、−R、−N(R、−OR、SR、−C(O)N(R、−S(O)N(R、−C(O)ORまたは−C(O)Rから、独立して選択され、ここで、2つの隣接したRは必要に応じて互いに結合し、そして、それらのRが個々に結合するCまたはNの各々と共に、4〜8員の炭素環式環系または複素環式環系を形成する;
は、水素;または、ハロ、−R’、−N(R’)、−OR、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)SO、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R、−N(R’)(R)、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NHR’)もしくはRで必要に応じて置換される(C−C)脂肪族である;
は、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORで各々必要に応じて置換される5〜8員の芳香族または非芳香族の炭素環式環系または複素環式環系;または、0〜4個のヘテロ原子を含む、8〜10員の飽和、部分不飽和または芳香族の二環式環系から選択され、該環系は、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)Rまたは−C(O)ORで必要に応じて置換される;
は、(C−C)−脂肪族であって、ここで、該脂肪族鎖の2つまでの飽和炭素原子は、各々必要に応じてそして独立して、−C(O)−、−C(O)NR’−、C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で置き換えられ、そして、該脂肪族鎖は、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される、(C−C)−脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される(C−C)脂肪族;または、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される5〜6員の炭素環式環系または複素環式環系から選択される;
Kは、−C(O)−Dであるか、またはDもしくは−OP(O)(OH)で置換される(C−C)脂肪族である;
Dは、
【化2】


である;
Mは、OまたはNHのいずれかである;
Gは、NH、OHまたはHから選択される;
は、H;OH;C(O)OH;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(R’)で必要に応じて置換される(C−C)脂肪族;または、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)またはSON(R’)で必要に応じて置換される5〜6員の炭素環式環系または複素環式環系である;あるいは、GおよびRは、介在炭素と一緒になって環を形成し得る、化合物。
(項目2)
項目1に記載される化合物であって、Qは、クロロ、フルオロ、ブロモ、−CH、−OCH、−OH、−CF、−OCF、−O(CHCH、NH、3,4−メチレンジオキシ、−N(CH、−NH−S(O)−フェニル、−NH−C(O)OCH−4−ピリジン、−NH−C(O)CH−モルホリン、−NH−C(O)CH−N(CH、−NH−C(O)CH−ピペラジン、−NH−C(O)CH−ピロリジン、−NH−C(O)C(O)−モルホリン、−NH−C(O)C(O)−ピペラジン、−NH−C(O)C(O)−ピロリジン、−O−C(O)CH−N(CHまたは−O−(CH−N(CHから独立して選択される、1〜3個の置換基を含むフェニルまたはピリジルから選択され、該置換基の少なくとも1つはオルト位置にある、化合物。
(項目3)
項目2に記載される化合物であって、Qは少なくとも2つの置換基を含み、いずれもオルト位置にある、化合物。
(項目4)
項目2に記載される化合物であって、Q
【化3−1】


【化3−2】


【化3−3】


【化3−4】


から選択される、化合物。
(項目5)
項目4に記載される化合物であって、Qは2−フルオロ−6−トリフルオロメチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−クロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−3−アミノフェニル、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−3,5−ジクロロ−4−ピリジル、2−クロロ−4,5メチレンジオキシフェニルまたは2−クロロ−4−(N−2−モルホリノ−アセトアミド)フェニルから選択される、化合物。
(項目6)
項目1に記載される化合物であって、Qはフェニル、ピリジルまたはナフチルから選択され、Qは3つまでの置換基を任意で含み、各々の置換基はクロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、−OCH、−OH、−NH、−CF、−OCF、−SCH、−OCH、−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHNH、−N(CH、−CH−ピロリジンおよび−CHOHから独立して選択される、化合物。
(項目7)
項目6に記載される化合物であって、Q
【化4−1】


【化4−2】


【化4−3】


、非置換型2−ピリジルまたは非置換型フェニルから選択される、化合物。
(項目8)
項目7に記載される化合物であって、Qはフェニル、2−イソプロピルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、2−エチルフェニル、3−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2−カルボメトキシフェニル、2−カルボキシフェニル、2−メチル−4−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、2−ピリジル、2−メチレンヒドロキシフェニル、4−フルオロフェニル、2−メチル−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニルまたは2−メチレンヒドロキシ−4−フルオロフェニル、1−ナフチル、3−クロロ−2−メチレンヒドロキシ、3−クロロ−2−メチル、または4−フルオロ−2−メチルから選択される、化合物。
(項目9)
項目1に記載される化合物であって、Jは、末端がアルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、アミジンまたは複素環である、0〜8個の原子鎖である、化合物。
(項目10)
項目9に記載される化合物であって、Jは
【化5】


から選択される、化合物。
(項目11)
項目1に記載される化合物であって、Kは
【化6】


から選択される、化合物。
(項目12)
項目1に記載される化合物であって、該化合物は表1〜2に示される化合物の任意の1つから選択される、化合物。
(項目13)
項目1に記載される化合物であって、該化合物は
【化7】


であり、Arは
【化8】


から選択され、YはH、Oから選択され、そしてXは
【化9】


から選択される、化合物。
(項目14)
項目1に記載される化合物であって、該化合物は
【化10】


であり、Arは
【化11】


から選択される、化合物。
(項目15)
項目1に記載される化合物であって、該化合物は
【化12】


であり、XはN(CH
【化13】


である、化合物。
(項目16)
項目1に記載される化合物であって、該化合物は
【化14】


であり、Xは、
【化15】


である、化合物。
(項目17)
項目1に記載される化合物であって、該化合物は
【化16−1】


【化16−2】


である、化合物。
(項目18)
p38を阻害するのに有効な量の、項目1〜17のいずれか1項に記載される化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的化合物。
(項目19)
炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、ウイルス性疾患、神経変性疾患、アレルギー、発作の際の再灌流/虚血、心筋虚血、腎臓虚血、心臓麻痺、脈管形成障害、臓器低酸素、脈管過形成、心肥大、トロンビン誘導性血小板凝集、またはプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ2に関連する状態の患者を処置または予防する方法であって、項目18に記載される組成物を、該患者に投与する工程を包含する方法。
(項目20)
項目19に記載される方法であって、該方法は、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギーまたは成人呼吸促進症候群から選択される炎症性疾患を処置または予防するために用いられる、方法。
(項目21)
項目19に記載される方法であって、該方法は、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬または移植片対宿主病から選択される、自己免疫性疾患の処置または予防のために用いられる、方法。
(項目22)
項目19に記載される方法であって、該方法は、変形性関節症、骨粗鬆症または多発性骨髄腫関連骨障害から選択される、破壊性骨障害の処置または予防のために用いられる。
(項目23)
項目19に記載される方法であって、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫または多発性骨髄腫から選択される、増殖性疾患の処置または予防のために用いられる方法。
(項目24)
項目19に記載される方法であって、敗血症、敗血症性ショックまたは細菌性赤痢から選択される、感染症を処置するまたは予防するために用いられる方法。
(項目25)
項目19に記載される方法であって、急性肝炎感染、HIV感染またはCMV網膜炎から選択される、ウイルス性疾患を処置するまたは予防するために用いられる方法。
(項目26)
項目19に記載される方法であって、アルツハイマー病、パーキンソン病、大脳虚血または外傷性傷害により引き起される神経変性疾患から選択される、神経変性疾患を処置または予防するために用いられる方法。
(項目27)
項目19に記載される方法であって、発作の際の再灌流もしくは心筋虚血、腎性虚血、心臓麻痺、臓器低酸素またはトロンビン誘発性血小板凝集を処置するまたは予防するために用いられる方法。
(項目28)
項目19に記載される方法であって、浮腫、熱、痛覚脱失または疼痛から選択される、プロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ2に関連する状態を処置するまたは予防するために用いられる方法。
(項目29)
項目19に記載される方法であって、前記疼痛が神経筋痛、頭痛、癌疼痛、歯痛または関節炎痛から選択される、方法。
(項目30)
項目19に記載される方法であって、固形腫瘍、眼の新生血管形成または乳児血管腫から選択される、脈管形成障害を処置するまたは予防するために用いられる方法。
(項目31)
以下の式:
【化17】


の化合物であって、
ここで、QおよびQの各々は、フェニルもしくは5〜6員の芳香族複素環式環系、または0〜4個のヘテロ原子を含む8〜14員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の二環式環系もしくは三環式環系から、独立して選択される;
を構成する環は1〜4個の置換基で置換され、各々の置換基はハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’またはCON(R’)で必要に応じて置換されるC−C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’またはCON(R’)で必要に応じて置換されるO−(C−C)−脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);N=CR’−N(R’);SOR’;またはC(O)R’から独立して選択される;
を構成する環は4個までの置換基で必要に応じて置換され、各々の置換基はハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、O−P(O)HまたはCON(R’)で必要に応じて置換されるC−C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、OP(O)HまたはCON(R’)で必要に応じて置換されるO−(C−C)−脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);R;OR;N(R;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=CR’−N(R’);R;O−CO;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはCNから独立して選択される;
各々のR’は水素;(C−C)−脂肪族;フェニルまたはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されるフェニル;またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される5〜8員の複素環式環系;から独立して選択される;
各々のRは、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)OR、−Jまたは−Kで各々必要に応じて置換される5〜8員の芳香族または非芳香族の炭素環式環系または複素環式環系;または、0〜4個のヘテロ原子を含む、8〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族の二環式環系から独立して選択され、該環系はハロ、R’、R、−C(O)R、−C(O)R’、−C(O)OR、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される;
各々のRは、−N(R’);ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される−NR’C(O)−(C−C)−脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される−NR’−(C−C)−脂肪族;−OC(O)−N(R’);(C−C)−脂肪族であって、ここで、該脂肪族鎖の飽和炭素原子2つまでが、各々必要に応じて、そして独立して−C(O)−、−C(O)NR’−、−C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で置き換えられ、該脂肪族鎖はハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで置換される、(C−C)−脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される(C−C)−脂肪族;−J;−K;または、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jまたは−Kで必要に応じて置換される5〜6員の芳香族または非芳香族の、炭素環式もしくは複素環式環から独立して選択される;
は、水素;または、ハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)S(O)R’、−N(R’)SO(R)、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R’、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N=C(NHR’)またはRで必要に応じて置換される(C−C)脂肪族から選択される;
は、ハロ、R’,−C(O)R’または−C(O)OR’で各々必要に応じて置換される、5〜8員の芳香族または非芳香族の、炭素環式または複素環式環系;または、0〜4個のヘテロ原子を含む、8〜10員の飽和、部分不飽和または芳香族環系から選択され、該環系は、ハロ、R’、−C(O)R’またはC(O)OR’で必要に応じて置換され:
Zは、N、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である;
Wは、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)、またはC(F)である
Jは、TまたはTで置換される(C−C)脂肪族である;
Tは、V、O(V)またはNH(V)である;
VはC(O)N=C(R)(N(R))であり、ここで、窒素上の2つのジェミナルのRは、必要に応じて窒素原子と一緒になって、4〜8員の複素環式環を形成する;
各々のRは、水素、−R、−N(R、−OR、SR、−C(O)N(R、−S(O)(NR、−C(O)ORまたは−C(O)Rから独立して選択され、ここで、2つの隣接したRは必要に応じて互いに結合し、そして、それらのRが個々に結合するCまたはNの各々と共に、4〜8員の炭素環式環または複素環式環を形成する;
は、水素;または、ハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)SO、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R、−N(R’)(R)、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NHR’)もしくはRで必要に応じて置換される(C−C)脂肪族である;
は、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORで各々必要に応じて置換される5〜8員の芳香族または非芳香族の炭素環式環系または複素環式環系;または、0〜4個のヘテロ原子を含む、8〜10員の飽和、部分不飽和または芳香族の二環式環系から選択され、該環系は、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)Rまたは−C(O)ORで必要に応じて置換される;
は、C−C脂肪族であって、ここで、該脂肪族鎖の2つまでの飽和炭素原子は、各々必要に応じてそして独立して、−C(O)−、−C(O)NR’−、C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で置き換えられ、そして、該脂肪族鎖は、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される、C−C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される(C−C)脂肪族;または、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される5〜6員の炭素環式環系または複素環式環系から選択される;
Kは、−C(O)−Dであるか、またはDもしくは−OP(O)(OH)で置換される(C−C)脂肪族である;
Dは、
【化18】


である;
Mは、OまたはNHのいずれかである;
Gは、NH、OHまたはHから選択される;
は、H;OH;C(O)OH;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(R’)で必要に応じて置換される(C−C)脂肪族;または、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)またはSON(R’)で必要に応じて置換される5〜6員の炭素環式環系または複素環式環系である;あるいは、GおよびRは、介在炭素と一緒になって環を形成し得る化合物である;そして
10は、R’、RまたはRである、
化合物。
(発明の要旨)
本発明は、p38の強力な阻害を示す、化合物およびその薬学的に受容可能な誘導体を提供することによって、この必要性に取り組む。これらの化合物は、単独で使用されても、他の治療薬または予防薬と併用して使用されてもよい。
【0012】
p38のインヒビターである新規なクラスの化合物を提供することが、本発明の主要な目的である。これらの化合物は、一般式:
【0013】
【化19】




を有し、ここでQおよびQの各々は、フェニルまたは5員〜6員の芳香族複素環系、または0〜4個のヘテロ原子を含む8員〜14員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の二環式環系もしくは三環式環系から独立して選択される。
【0014】
を構成する環は、1〜4個の置換基で置換され、その置換基の各々は以下から独立して選択される:ハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’もしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたC〜Cの脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’もしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたO−(C〜C)の脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);N=CR’−N(R’);SOR’;またはC(O)R’。
【0015】
を構成する環は、4個までの置換基で必要に応じて置換されその、置換基の各々は、以下から独立して選択される:ハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、O−P(O)H、もしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたC〜Cの脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、OP(O)H、もしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたO−(C〜C)脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);R;OR;N(R;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=CR’−N(R’);R;O−CO;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはCN。
【0016】
各R’は、以下から独立して選択される:水素;(C〜C)脂肪族;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換された5員〜8員の複素環式環系。
【0017】
各Rは、以下から独立して選択される:ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)OR、−Jもしくは−Kで、各々必要に応じて置換された5員〜8員の、芳香族もしくは非芳香族の、炭素環系もしくは複素環式環系;または0〜4個のへテロ原子を含む8員〜10員の、飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の、二環式環系(この系は、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)OR、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換される)。
【0018】
各Rは、以下から独立して選択される:−N(R’);ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−JもしくはKで必要に応じて置換された−NR’C(O)−(C〜C)脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−JもしくはKで必要に応じて置換された−NR’−(C〜C)脂肪族;−OC(O)−N(R’);(C〜C)脂肪族この脂肪族の鎖の2個までの飽和炭素原子は各々、−C(O)−、−C(O)NR’−、−C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で必要に応じて、そして独立して置き換えられ、そして、ここで、脂肪族の鎖は、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換される、(C〜C)脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された(C〜C)脂肪族;またはハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された5員〜6員の、芳香族もしくは非芳香族の、炭素環式環系もしくは複素環式環系。
【0019】
は、以下から選択される:水素;ハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)S(O)(R’)、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R’、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N=C(NHR’)もしくはRで必要に応じて置換された(C〜C)脂肪族。
【0020】
は、以下から選択される:ハロ、R’、−C(O)R’もしくは−C(O)OR’で各々必要に応じて置換された5員〜8員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式環系もしくは複素環式環系;または8員〜10員の飽和、部分的不飽和、もしくは0〜4個のへテロ原子、ハロ、R’、−C(O)R’もしくはC(O)OR’と必要に応じて置換される二環式環系を含む芳香族二環式環系。
【0021】
Zは、N、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である。
【0022】
Wは、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である。
【0023】
Jは、Tであるか、またはTで置換された(C〜C)脂肪族である。
【0024】
Tは、V、O(V)、またはNH(V)である。
【0025】
Vは、C(O)N=C(R)(N(R))であり、ここで窒素上の2個のジェミナルRは、必要に応じて窒素と一緒になって、4員〜8員の複素環式環を形成する。
【0026】
各Rは、以下から独立して選択される;水素、−R、−N(R、−OR、SR、−C(O)N(R、−S(O)N(R、−C(O)ORまたは−C(O)R。ここで、2個の隣接したRは、必要に応じて、互いに結合し、そしてそのRが個々に結合した各Cまたは各Nと一緒になって、4員〜8員の炭素環式環または複素環式環を形成する。
【0027】
は、以下から選択される:水素;またはハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)SO、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R、−N(R’)(R)、N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NHR’)またはRで必要に応じて置換された(C〜C)脂肪族。
【0028】
は、以下から選択される:ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORで各々必要に応じて置換された、5員〜8員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式環系もしくは複素環式環系;または0〜4個のへテロ原子を含む、8員〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族の二環式環系(この環系は、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、もしくは−C(O)ORで必要に応じて置換されている)。
【0029】
は、C〜C脂肪族、その脂肪族鎖の2個までの飽和炭素原子は、−C(O)−、−C(O)NR’−、−C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で各々必要に応じて、そして独立して置き換えられており、そして、ここで、その脂肪族鎖は、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換される;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(Rで必要に応じて置換されている(C〜C)脂肪族;またはハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、もしくはSON(Rで必要に応じて置換された、5員〜6員の炭素環式環系もしくは複素環式環系;から選択される。
【0030】
Kは、−C(O)−Dであるか、またはDもしくは−OP(O)(OH)で置換された、(C〜C)脂肪族である。
【0031】
Dは、
【0032】
【化20】


である。
【0033】
Mは、OまたはNHのいずれかである。
【0034】
Gは、NH、OH、またはHから選択される。
【0035】
は、H;OH;C(O)OH;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、もしくはSON(R’)で必要に応じて置換された、(C〜C)脂肪族;またはハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)もしくはSON(R’)で必要に応じて置換された、5員〜6員の炭素環式環系もしくは複素環式環系であるか;または介在性炭素と一緒になってGおよびRは、環を形成し得る。GがRと環を形成する場合、縮合していないGおよびR成分からの末端水素が失われることが当業者にとって明白である。例えば、環構造がGおよびRの成分(一方が−NHであり、他方がY−CH−CH−CH−CHである)を一緒に結合することによって形成され、G成分またはR成分各々における1個の末端水素(太字に示される)が失われる。従って、得られた環構造の部分は、式−NH−CH−CH−CH−CH−を有する。
【0036】
本発明の別の実施形態は、上記で同定されたインヒビターp38を生成する方法を提供することである。
【0037】
別の実施形態においては、本発明は、本発明のp38インヒビターを含む薬学的組成物を提供する。これらの組成物を、例えば以下の各種の障害を処置または予防するための方法に利用し得る:癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、ウイルス性疾患および神経変性疾患。これらの組成物はまた、細胞死および過形成を予防するための方法において有用であり、従って、発作の際の再灌流/虚血、心発作、および器官低酸素症を処置または予防するために使用され得る。組成物はまた、トロンビンで誘導された血小板凝集を予防するための方法において有用である。これらの上記される方法の各々はまた、本発明の一部分である。
【0038】
(発明の詳細な説明)
これらの化合物は、以下の一般式:
【0039】
【化21】


を有し、
ここで、QおよびQの各々は、以下から独立して選択される:フェニル、または5員〜6員の芳香族の複素環式環系、または0〜4個のヘテロ原子を含む8員〜14員の飽和、部分的に不飽和、もしくは芳香族の二環式環系もしくは三環式環系。
【0040】
を構成する環は、1〜4個の置換基で置換され、その置換基の各々は、以下から独立して選択される:ハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、もしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたC〜C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、もしくはCON(R’)で必要に応じて置換された」O−(C〜C)脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);SR’;S(O)N(R’);SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);N=CR’−N(R’);SOR’;もしくはC(O)R’。
【0041】
を構成する環は、4個までの置換基で必要に応じて置換され、その置換基の各々は以下から独立して選択される:ハロ;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、O−P(O)HもしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたC〜C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=CR’−N(R’)、R、OP(O)HもしくはCON(R’)で必要に応じて置換されたO−(C〜C)脂肪族;R’;N(R’);OCF;CF;NO;COR’;CON(R’);R;OR;N(R;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=CR’−N(R’);OR;O−CO;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはCN。
【0042】
各R’は、以下から独立して選択される:水素;(C〜C)脂肪族;フェニルまたはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基置換されるフェニル;またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換された5員〜8員の複素環式環系。
【0043】
各Rは、以下から独立して選択される:ハロ、R’、R、−C(O)R、−C(O)OR、−Jもしくは−Kで各々必要に応じて置換された、5員〜8員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式環系もしくは複素環式環系;またはハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)OR、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された、二環式環系を含む、8員〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族の、0〜4個のヘテロ原子を含む二環式環系。
【0044】
各Rは、以下から独立して選択される:−N(R’);ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された−NR’C(O)−(C〜C)脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された−NR’−(C〜C)脂肪族;−O(C(O)−N(R’);C〜C脂肪族、脂肪族のこの鎖の2個までの飽和炭素原子は、−C(O)−、−C(O)NR’−、−C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で各々必要に応じて、そして独立して置き換えられ、そして、ここで、この脂肪族の鎖は、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換される、C〜C脂肪族;ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された(C〜C)脂肪族;−J;−K;またはハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’) SON(R、−Jもしくは−Kで必要に応じて置換された5員〜6員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式環系もしくは複素環式環系。
【0045】
は、以下から選択される:水素;またはハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)S(O)(R’)、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R’、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N=C(NHR’)もしくはRで必要に応じて置換された(C〜C)脂肪族。
【0046】
は、以下から選択される:ハロ、R’、−C(O)R’もしくは−C(O)OR’で各々必要に応じて置換された5員〜8員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式環系もしくは複素環式環系;または0〜4個のヘテロ原子を含む、ハロ、R’、−C(O)R’もしくはC(O)OR’で必要に応じて置換された、8員〜10員の飽和、部分的不飽和、もしくは芳香族の二環式環系。
【0047】
Zは、N,CH,C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である。
【0048】
Wは、CH、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である。
【0049】
Jは、Tであるか、またはTで置換された(C〜C)脂肪族である。
【0050】
Tは、V、O(V)、またはNH(V)である。
【0051】
Vは、C(O)N=C(R)(N(R))であり、ここで、窒素上の2個のジェミナルRは、窒素と必要に応じて一緒になって、4員〜8員の複素環式環を形成する。
【0052】
各Rは、以下から独立して選択される:水素、−R、−N(R、−OR、−SR、−C(O)N(R、−S(O)N(R、−C(O)ORもしくは−C(O)R。ここで、2個の隣接したRは、必要に応じて、互いに結合し、それらが個々に結合している各CもしくはNと一緒になって、4員〜8員の炭素環式環もしくは複素環式環を形成する。
【0053】
は、水素;あるいは必要に応じてハロ、−R’、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)N(R’)、−S(O)N(R’)、−C(O)OR’、−N(R’)SO、−N(R’)SO、−C(O)N(R’)(R)、−N(R’)C(O)R、−N(R’)(R)、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NHR’)またはRで置換された(C−C)−脂肪族から選択される。
【0054】
は、あるいは各々必要に応じて、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORで置換された5〜8員環の芳香族系、または非芳香族の炭素環系または複素環系;あるいは、0〜4のヘテロ原子を含む8〜10員環の飽和、部分的に不飽和、または芳香族二環式の環系(この環系は、必要に応じて、ハロ、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、または−C(O)ORで置換される)から選択される。
【0055】
は、C−C脂肪族、ここでこの脂肪鎖の2個までの飽和炭素原子は、各々必要に応じて、かつ独立して、−C(O)−、−C(O)NR’−、−C(O)NR’NR’−、−CO−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’CO−、−NR’O−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−で置き換えられ、そしてここでこの脂肪鎖は、必要に応じて、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、SON(R’)、SON(Rで置換される(C−C)−脂肪族;必要に応じて、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、SON(Rで置換される(C−C)−脂肪族;あるいは必要に応じて、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、SON(R’)、またはSON(Rで置換される5〜6員環の炭素環式もしくは複素環式の環系から選択される。
【0056】
Kは、−C(O)−Dであるか、または−Dもしくは−OP(O)(OH)で置換された(C−C)−脂肪族である。
【0057】
Dは、
【0058】
【化22】


であり、
Mは、OまたはNHのいずれかであり、
Gは、NH、OH、またはHから選択され、
は、H;OH;C(O)OH;必要に応じて、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’CON(R’)、またはSON(R’)で置換された(C−C)−脂肪族;あるいは、必要に応じて、ハロ、R’、N(R’)、OR’、COR’、C(O)N(R’)、またはSON(R’)で置換された5〜6員環の炭素環式もしくは複素環式環系であるか;あるいは、GおよびRは、介在する炭素と共に環を形成し得る。Gが、Rと共に環を形成する場合、縮合されていないGおよびR構成成分由来の末端水素が失われることが、当業者に明らかである。例えば、環構造が、GおよびRの構成成分が共に結合することにより形成され、一方が−NHであり、そして他方がCH−CH−CH−CHである場合、各GまたはR構成成分上の一つの末端水素(太字で示す)が、失われる。従って、環構造の得られた部分は、式−NH−CH−CH−CH−CH−を有する。
【0059】
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、以下の定義が適用される。また、置換基または変数の組合せは、そのような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。
【0060】
本明細書中で使用される用語「脂肪族」は、完全に飽和されるか、あるいは1以上の不飽和の単位を含む、直鎖、分枝鎖または環式のC−C12炭化水素を意味する。例えば、適切な脂肪族基としては、置換されるか、あるいは置換されていない直鎖、分枝鎖または環式のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、もしくは(シクロアルキル)アルケニルのような、それらのハイブリッドが挙げられる。単独またはより大きな部分の一部として用いられる用語「アルキル」は、1〜12の炭素原子を含む直鎖および分枝鎖の両方をいう。単独またはより大きな部分の一部として用いられる用語「アルケニル」および「アルキニル」は、2〜12の炭素原子を含む直鎖および分枝鎖の両方を含む。用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」は、場合に応じて、1以上のハロゲン原子で置換され得るアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを意味する。用語「ヘテロ原子」は、N、O、またはSを意味し、そして窒素および硫黄の任意の酸化形態、ならびに任意の塩基性窒素の4級化形態(quaternized form)を含む。
【0061】
複素環式環系または複素環は、1〜4のヘテロ原子を含み、これらは、独立して、N、O、およびSから選択される。芳香族複素環または非芳香族複素環上の置換可能な窒素は、必要に応じて置換され得る。NまたはSはまた、NO、SOおよびSOのような酸化形態で存在し得る。
【0062】
当業者は、安定で化学的に実現可能な複素環中のヘテロ原子の最大数が、それが芳香族または非芳香族のいずれであっても、その環の大きさ、不飽和の程度、およびヘテロ原子の価数により決定されることを理解する。一般に、複素環は、複素環が化学的に実現可能かつ安定である限り、1〜4のヘテロ原子を有し得る。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「化学的に安定な配置」または「化学的に実現可能かつ安定な」とは、当該分野で公知の方法による製造および哺乳動物への投与を可能にするために、化合物(ocmpound)を十分に安定にする化合物構造をいう。代表的には、このような化合物は、水分または他の化学的に反応性の条件の非存在下で、40℃以下の温度で少なくとも1週間安定である。
【0064】
炭素環式芳香族環系および複素環式芳香族環系は、5〜14員環を有し、以下が限定されることなく挙げられる:フェニル、ベンジル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル、および2−アントラシル、ならびに2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピルダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニル、または3−チエニルのような複素環式芳香族環系。用語「芳香族環系」はまた、必要に応じて置換された環をいう。
【0065】
芳香族環系はまた、炭素環式芳香族環または複素式芳香族環が1以上の他の環と縮合された縮合化多環式芳香族環系を含み得る。例としては、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、イソインドリル、アクリジニル、ベンゾイソキサゾリルなどが挙げられる。芳香族環系としてはまた、1以上の炭素環式芳香族環および/またはヘテロアリール環が、シクロアルキルまたは非芳香族複素環式環に縮合された基(例えば、インダニルまたはテトラヒドロベンゾピラニル)が挙げられる。
【0066】
非芳香族複素環式環は、1以上の環炭素が、環の中で窒素、酸素または硫黄のようなヘテロ原子に置換される非芳香族炭素環式環である。この環は、5員環、6員環、7員環、または8員環であり得、そして/あるいはシクロアルキル環または芳香族環のような、別の環に縮合され得る。例として、以下が挙げられる:3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、3−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N置換ジアゾロニル、1−フタルイミジニル、ベンゾキサン、ベンゾトリアゾール−1−イル、ベンゾピロリジン、ベンゾピペラジン、ベンゾオキソラン、ベンゾチオラン、およびベンゾチアン。用語「複素環式環」はまた、飽和されても飽和されなくても、必要に応じて置換された環をいう。
【0067】
本発明の特定の化合物が互変異性形態で存在し得ることは当業者に明らかであり、化合物のこのような互変異性形態は全て、本発明の範囲内である。
【0068】
他に言及されない限り、本明細書中に示される構造はまた、この構造の全ての立体化学形態(すなわち、各不斉中心についてR配置およびS配置)を含むことが意味される。従って、本発明の化合物の単独の立体化学異性体ならびにエナンチオマーおよびジアステレオマーの混合物は、本発明の範囲内である。他に言及されない限り、本明細書中に示される構造はまた、1以上の同位体で富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意味される。例えば、重水素または三重水素による水素の置換、あるいは13Cまたは14C富化炭素による炭素置換以外の、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0069】
好ましい実施形態に従って、Qは、1〜3の置換基を含むフェニルまたはピリジルから選択され、ここでこの置換基の少なくとも1つはオルト位であり、そしてこの置換は以下から独立して選択される:クロロ、フルオロ、ブロモ、−CH、−OCH、−OH、−CF、−OCF、−O(CHCH、NH、3,4−メチレンジオキシ、−N(CH、−NH−S(O)−フェニル、−NH−C(O)O−CH−4−ピリジン、−NH−C(O)CH−モルホリン、−NH−C(O)CH−N(CH、−NH−C(O)CH−ピペラジン、−NH−C(O)CH−ピロリジン、−NH−C(O)C(O)−モルホリン、−NH−C(O)C(O)−ピペラジン、−NH−C(O)C(O)−ピロリジン、−O−C(O)CH−N(CH、または−O−(CH−N(CH
【0070】
少なくとも2の上記に示した置換基(共にオルト位にある)を含む、フェニルまたはピリジルは、さらにより好ましい。
【0071】
好ましいQのいくつかの特定の例は、
【0072】
【化23】






である。
【0073】
最も好ましくは、Qは、以下から選択される:2−フルオロ−6−トリフルオロメチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2,6−ジクロロロフェニル、2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−クロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−3−アミノフェニル、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−3,5−ジクロロ−4−ピリジル、2−クロロ−4,5メチレンジオキシフェニル、または2−クロロ−4−(N−モルホリノ−アセタミド)フェニル。
【0074】
好ましい実施形態に従って、Qは、0〜3の置換基を含むフェニル、ピリジルまたはナフチルであり、ここで各置換は、独立して以下から選択される:クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、−OCH、−OH、−NH、−CF、−OCF、−SCH、−OCH、−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHNH、−N(CH、−CH−ピロリジンおよび−CHOH。
【0075】
好ましいQのいくつかの特定の例は、以下である。
【0076】
【化24】






非置換2−ピリジルまたは非置換フェニル。
【0077】
が以下から選択される化合物は、最も好ましい:フェニル、2−イソプロピルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、2−エチルフェニル、3−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2−カルボメトキシフェニル、2−カルボキシフェニル、2−メチル−4−クロロフルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2−ピリジル、2−メチレンヒドロキシフェニル、4−フルオロフェニル、2−メチル−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル、2−メチレンヒドロキシ−4−フルオロフェニル、1−ナフチル、3−クロロ−2−メチレンヒドロキシ、3−クロロ−2−メチル、または4−フルオロ−2−メチル。
【0078】
別の好ましい実施形態に従って、Kは、エステルにおいて終結する0〜4の原子鎖である。
【0079】
別の好ましい実施形態に従って、Mは、Oである。
【0080】
好ましいKのいくつかの特定の例は、以下である。
【0081】
【化25】




最も好ましくは、Kは、以下から選択される。
【0082】
【化26】


別の好ましい実施形態において、Zは、Nであり、そしてWは、CHである。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態は、以下の表1および2に提供される。
【0084】
【表1】








特に好ましい実施形態は、以下を含み:
【0085】
【化27】


ここで、Arは、
【0086】
【化28】


Yは、HまたはOであり、そしてXは、
【0087】
【化29】


である。
【0088】
特に好ましい実施形態はまた、以下を含み:
【0089】
【化30】


ここで、Arは、
【0090】
【化31】


である。
【0091】
他の特に好ましい実施形態は、以下を含み:
【0092】
【化32】


ここで、Xは、
【0093】
【化33】


である。
【0094】
他の特に好ましい実施形態は、以下を含み:
【0095】
【化34】


ここで、Xは、N(CH
【0096】
【化35】


である。
【0097】
他の特に好ましい実施形態は、以下を含み:
【0098】
【化36】


ここで、Y=MeまたはH;そしてX=(CH、CHC(CHCH、CHN(Me)C(O)CHである。
【0099】
最も好ましい実施形態は、以下を含む。
【0100】
【化37】


別の実施形態に従って、本発明は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)のp38の上で特定されるインヒビターを製造する方法を提供する。代表的な合成スキームは、以下に示される。
【0101】
【化38】


スキーム1は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=Nであり、そしてRまたはR=Rである。スキーム1は、炭素連結(carbon−linked)RまたはR置換基を合成するために使用され得る。
【0102】
【化39】


スキーム2は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=CHであり、そしてRまたはR=Rである。スキーム2は、炭素連結RまたはR置換基を合成するために使用され得る。
【0103】
【化40】


スキーム3は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=Nであり、そしてRまたはR=ORである。スキーム3は、O−連結(O−linked)RおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0104】
【化41】


スキーム4は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=CHであり、そしてRまたはR=ORである。スキーム4は、O−連結RおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0105】
【化42】


スキーム5は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=Nであり、そしてRまたはR=C(O)N(Rである。当業者は、非対称アミン誘導体がまた使用され得ることを理解する。スキーム5は、C(O)−N−連結RおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0106】
【化43】


スキーム6は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=CHであり、そしてRまたはR=C(O)N(Rである。当業者は、非対称アミン誘導体がまた使用され得ることを理解する。スキーム6は、C(O)N−連結RおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0107】
【化44】


スキーム7は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=Nであり、そしてRまたはR=CHORまたはCHN(Rである。当業者は、非対称アミン誘導体がまた使用され得ることを理解する。スキーム7は、CH−O−連結またはCH−N−連結のRおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0108】
【化45】


スキーム8は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=CHであり、そしてRまたはR=CHORまたはCHN(Rである。当業者は、非対称アミン誘導体がまた使用され得ることを理解する。スキーム8は、−CH−O−連結または−CH−N−連結のRおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0109】
【化46】


スキーム9は、一般式(Ic)または(Id)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでZ=Nであり、そしてRまたはR=NHC(O)R、NHS(O)、またはNHCHである。スキーム9は、−NHC(O)−連結、NHS(O)−連結またはNHCH−連結のRおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0110】
【化47】


スキーム10は、スキーム11に示すように、さらに誘導体化され得る化合物を合成するために使用され得る。
【0111】
【化48】


スキーム11は、一般式(Ia)または(Ib)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでW=CHであり、そしてRまたはR=Arである。スキーム11は、アリール誘導RおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0112】
【化49】


スキーム12は、スキーム13〜15に示すように、さらに誘導体化され得る化合物を合成するために使用され得る。
【0113】
【化50】


スキーム13は、一般式(Ia)または(Ib)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでW=CHであり、そしてRまたはR=C(O)N(Rである。当業者は、非対称アミン誘導体もまた使用され得ることを理解する。スキーム13は、C(O)N−連結のRおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0114】
【化51】


スキーム14は、一般式(Ia)または(Ib)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでW=CHであり、そしてRまたはR=CHORまたはCHN(Rである。当業者は、非対称アミン誘導体がまた使用され得ることを理解する。スキーム14は、−CH−O−連結または−CH−N−連結のRおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0115】
【化52】


スキーム15は、一般式(Ia)または(Ib)を有する化合物を合成するために使用され得、ここでW=CHであり、そしてRまたはR=NHC(O)R、NHSO、またはNHCHである。スキーム15は、−NHC(O)−連結、NHSO−連結または−NHCH−連結のRおよびR置換基を合成するために使用され得る。
【0116】
以下の式の化合物を提供することが、本発明のさらなる実施形態となる:
【0117】
【化53】


ここでR10は、R’、RまたはRであり;そしてW、Z、Q、Q、R’、RおよびRは、上記に規定された通りである。これらの化合物は、とりわけ式Ia、Ib、Ic、およびIdの化合物の調製のための中間体として有用である。
【0118】
化合物IIa、IIb、およびIIcについて好ましい置換基は、Ia、Ib、Ic、およびIdについて上記に記載されているような置換基である。
【0119】
本発明の別の実施形態に従って、本発明のp38インヒビターの活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株中においてアッセイされ得る。インビトロアッセイは、活性化p38のキナーゼ活性またはATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイを含む。別のインビトロアッセイは、このインヒビターのp38と結合する能力を定量し、そしてこれは、結合の前にこのインヒビターを放射性標識し、インヒビター/p38複合体を単離し、そして結合した放射性標識の量を決定することによってか、または新しいインヒビターを、公知の放射性リガンド(radioligand)と結合したp38と共にインキュベートする競合実験を実施するかのいずれかによって測定され得る。
【0120】
本発明の化合物は、好ましくは、本明細書中に記載されるアッセイのような標準的なアッセイにおいてプロテインキナーゼ単独と比較して、p38プロテインキナーゼを少なくとも50%阻害する。好ましい実施形態において、この化合物は、p38キナーゼを少なくとも60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%、そしてなおより好ましくは90%阻害する。なおより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、プロテインキナーゼ単独と比較して、少なくとも95%p38キナーゼ活性を阻害する。
【0121】
本発明の化合物の阻害効果の細胞培養アッセイは、ネガティブコントロールで処理された細胞と比較して、インヒビターで処理された細胞において全血またはその細胞分画において産生されたTNF、IL−1、IL−6またはIL−8の量を決定し得る。これらのサイトカインのレベルは、市販のELISAの使用を通して決定され得る。
【0122】
本発明のp38インヒビターの阻害活性の決定に関して有用なインビボアッセイは、Mycobacterium butyricum誘導性アジュバント関節炎を有するラットにおける後足浮腫の抑制である。これは、J.C.Boehmら、J.Med.Chem.,39,3929〜37頁(1996)に記載され、この開示は、本明細書中に参考として援用される。本発明のp38インヒビターはまた、A.M.Badgerら、J.Pharmacol.Experimental Therapeutics,279,1453〜61頁(1996)に記載されるように、関節炎、骨吸収、内毒素ショックおよび免疫機能の動物モデルにおいてアッセイされ得る。この開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0123】
p38インヒビターまたはその薬学的な塩は、動物またはヒトへの投与のために薬学的組成物中に処方され得る。p38媒介状態を処置または予防するために有効な量のp38インヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有するこれらの薬学的組成物は、本発明の別の実施形態である。
【0124】
用語「p38媒介状態」は、本明細書中で使用される場合、p38が役割を果たすことが公知の任意の疾患または他の有害な状態を意味する。これは、IL−1、TNF、IL−6またはIL−8過剰産生によって引き起こされることが公知の状態を含む。このような状態としては、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性の骨障害、増殖性疾患、感染性疾患、神経変性疾患、アレルギー、脳卒中における再灌流/虚血、心臓発作、脈管形成性障害、臓器低酸素症、脈管の過形成、心肥大、トロンビン誘導性血小板凝集、およびプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2に関連した状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る炎症性疾患としては、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー、および成人呼吸促進症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る自己免疫疾患としては、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、または対宿主性移植片病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る破壊性の骨障害としては、骨粗鬆症、変形性関節症および多発性骨髄腫に関連した骨障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る増殖性疾患としては、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る脈管形成性障害としては、固形腫瘍、眼の血管新生、乳児性血管腫が挙げられる。
【0130】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る感染性疾患としては、敗血症、敗血症性ショック、および細菌性赤痢が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得るウイルス性疾患としては、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎を含む)、HIV感染およびCMV網膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
本発明の化合物によって処置され得るか、または予防され得る神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、大脳虚血または外傷によって引き起こされる神経変性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
「p38媒介状態」としてまた、脳卒中における虚血/再灌流、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、脈管過形成、心肥大、トロンビン誘導性血小板凝集が挙げられる。
【0134】
さらに、本発明のp38インヒビターはまた、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2(PGHS−2)(シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)とも呼ばれる)のような、誘導可能な炎症誘発性タンパク質の発現を阻害し得る。従って、本発明の化合物によって処置され得る他の「p38媒介状態」としては、浮腫、痛覚脱失、熱および疼痛(例えば、神経筋の疼痛、頭痛、癌疼痛、歯痛および関節炎痛)が挙げられる。
【0135】
本発明のp38インヒビターによって処置され得るか、または予防され得る疾患としてまた、疾患の原因であると考えられるサイトカイン(IL−1、TNF、IL−6、IL−8)によって都合よく分類され得る。
【0136】
従って、IL−1媒介疾患またはIL−1媒介状態としては、慢性関節リウマチ、変形性関節症、脳卒中、内毒素血症および/またはトキシックショック症候群、エンドトキシンによって誘発される炎症反応、炎症性腸疾患、結核、アテローム性動脈硬化症、筋肉変性、悪液質、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性の関節炎、風疹関節炎(rubella arthritis)、急性滑膜炎、糖尿病、膵β細胞疾患およびアルツハイマー病が挙げられる。
【0137】
TNF媒介疾患またはTNF媒介状態としては、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎および他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性の敗血症、トキシックショック症候群、成人呼吸促進症候群、大脳マラリア、慢性の肺の炎症性疾患、珪肺症、肺のサルコイドーシス、骨吸収疾患、再灌流障害、対宿主性移植片病、同種移植拒絶、感染による発熱および筋肉痛、感染に続く悪液質、AIDS,ARCまたは悪性腫瘍、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎または発熱(pyresis)が挙げられる。TNF媒介疾患としてまた、HIV、CMV、インフルエンザおよびヘルペスのようなウイルス感染;およびレンチウイルス感染のような獣医学のウイルス感染(ウマ感染性貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルスまたはマエディウイルスを含むが、これらに限定されない);またはレトロウイルス感染(ネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、もしくはイヌ免疫不全ウイルスを含む)が挙げられる。
【0138】
IL−8媒介疾患またはIL−8媒介状態としては、乾癬、炎症性腸疾患、喘息、心臓および腎臓の再灌流障害、成人呼吸促進症候群、血栓症および糸球体腎炎のような大量の好中球の浸潤により特徴づけられる疾患が挙げられる。
【0139】
さらに、本発明の化合物は、IL−1またはTNFによって引き起こされるかまたは悪化される状態の処置または予防のために局所に使用され得る。このような状態として、炎症性の関節、湿疹、乾癬、日焼けのような皮膚の炎症状態、結膜炎のような目の炎症状態、発熱、痛みおよび炎症に関連した他の状態が挙げられる。
【0140】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩もまた、上記の障害を処置または予防するために、組成物中に使用され得る。
【0141】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、薬学的に受容可能な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基に由来する塩が挙げられる。適切な酸の塩としては、以下が挙げられる:アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、バイサルフェート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンフォスルホネート、シクロペンタンプロピオネオート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、グリコレート、ヘミサルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨード、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレート、マロネート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オキザレート、パルモエート、ペクチネート、パースルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、タートレート、チオシアネート、トシレートおよびウンデカノエート。シュウ酸のような他の酸は、それ自体は薬学的に受容可能ではないが、本発明の化合物およびその薬学的に受容可能な酸付加塩を得る工程における中間体として有用な塩の調製において使用され得る。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の4級化(quaternization)を想定する。水可溶性産物または油可溶性産物あるいは水分散可能または油分散可能な産物は、このような4級化により得られ得る。
【0142】
これらの薬学的組成物に使用され得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水)、塩または電解質(例えば、プロタミンスルフェート、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイド状のシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0143】
本発明の組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸で、経鼻で、舌下で、経膣で、または移植レザバを介して投与され得る。本明細書中で使用される場合、用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下、肝内、病巣内、および頭蓋内への注射技術または注入技術を含む。好ましくは、この組成物は、経口、腹腔内または静脈内に投与される。
【0144】
本発明の組成物の無菌の注射可能形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術に従い、処方され得る。無菌の注射可能調製物はまた、(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液のような)毒性のない非経口的に受容可能な希釈剤または溶剤中の無菌の注射可能溶液または懸濁液であり得る。とりわけ使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶剤としては、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶剤または懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的で、刺激の少ない任意の不揮発性油(合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む)が使用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、特にポリオキシエチル化(polyoxyethylated)バージョンにおいて,オリーブ油またはヒマシ油のように、天然の薬学的に受容可能な油であるので、注射可能物の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤(これらは、乳濁液および懸濁液を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方物において一般に使用される)のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。一般に使用される他の界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤)またはバイオアベイラビリティー増強剤(これらは、薬学的に受容可能な固体投薬形態、液体投薬形態または他の投薬形態の製造において一般に使用される)もまた、処方のために使用され得る。
【0145】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口に受容可能な投薬形態(カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない)で経口投与され得る。経口用途のための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアは、ラクトースおよびコーンスターチを含む。マグネシウムステアレートのような潤沢剤もまた、代表的に添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液が経口用途のために必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望される場合、特定の甘味剤、香料または着色剤もまた添加され得る。
【0146】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。坐剤は、この薬剤を適切な非刺激性の賦形剤(室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸内で解けて薬剤を放出する)と混合することによって調製され得る。このような物質としては、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0147】
本発明の薬学的組成物はまた、特に処置の標的が、局所適用により容易に接近可能な領域または器官を含む(目、皮膚または下部の腸管の疾患を含む)場合、局所に投与され得る。適切な局所処方物は、これらの領域または器官の各々について容易に調製される。
【0148】
下部の腸管への局所適用は、直腸坐剤処方物(上記を参照のこと)または適切な浣腸処方物において達成され得る。局所経皮パッチもまた、使用され得る。
【0149】
局所適用に関して、この薬学的組成物は、1以上のキャリアに懸濁されたかまたは溶解された活性成分を含む適切な軟膏中に処方され得る。本発明の化合物の局所適用のためのキャリアとしては、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋(emulsifying wax)および水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、1以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁されたかまたは溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームに処方され得る。適切なキャリアとしては、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
目への使用について、この薬学的組成物は、等張の、pHを調整された無菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、または、好ましくは、等張の、pHを調整された無菌生理食塩水中(塩化ベンザルコニウムのような防腐剤を含んでも含まなくてもよい)の溶液として処方され得る。あるいは、目への使用について、この薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏中に処方され得る。
【0151】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻用のエアロゾルまたは吸入により投与され得る。このような組成物は、当該分野で周知の薬学的処方の技術に従って調製され、そしてベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フッ化炭素、および/あるいは他の従来の溶解剤または分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0152】
単回投与形態を製造するためにキャリア物質と組合せられ得るp38インヒビターの量は、処置される宿主、特定の投与様式に依存して変動する。好ましくは、この組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の間のインヒビターの投薬量が、この組成物を受ける患者に投与され得るように処方されるべきである。
【0153】
任意の特定の患者用の特定の投薬および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、および処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重症度を含む)に依存することがまた理解される。インヒビターの量はまた、組成物中の特定化合物に依存する。
【0154】
別の実施形態に従って、本発明はp38が媒介する状態を処置または予防するための方法を提供し、この方法は患者に対して、上記される薬学的組成物の1つを投与する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「患者」とは、動物、好ましくはヒトを意味する。
【0155】
好ましくは、この方法を、以下から選択される状態を処置、または予防するために使用する:炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、変性疾患、アレルギー、発作の際の再環流/虚血、心発作、脈管形成障害、器官低酸素症、血管過形成、心肥大、およびトロンビンで誘導される血小板凝集。
【0156】
別の実施形態に従って、本発明のインヒビターを、IL−1、IL−6、IL−8またはTNFによって媒介される疾患もしくは状態を処置もしくは予防するために使用する。このような状態は、上記される。
【0157】
処置されるか、または予防される特定のp38によって媒介される状態に依存して、この状態を処置または予防するために通常投与される、追加的薬剤を、本発明のインヒビターと一緒になって投与し得る。例えば、化学療法剤または他の抗増殖性薬剤(anti−proliferative agent)を、増殖性疾患を処置するために、本発明のp38インヒビターと組み合わせ得る。
【0158】
これらの追加的薬剤は、複数の投薬レジメンの一部分として、p38インヒビター含有組成物とは別個に投与され得る。あるいは、これらの薬剤は、単一組成物中にp38インヒビターと一緒に混合された、単一の投薬形態の部分であり得る。
【実施例】
【0159】
本明細書中で記載される本発明がより完全に理解され得るために、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示の目的のみのためであり、いずれの様式にも本発明を限定するように解釈されないことが理解される。
【0160】
(実施例1)
(昆虫細胞中のp38キナーゼのクローニング)
ヒトp38キナーゼの2種類のスプライス改変体(CSBP1およびCSBP2)は、同定されている。特定のオリゴヌクレオチドプライマーを、鋳型として、HeLa細胞のライブラリー(Stratagene)を使用して、CSBP2 cDNAのコード領域を増幅させるために使用した。ポリメラーゼ連鎖反応生成物を、pET−15bベクター(Novagen)中にクローン化した。バキュロウイルストランスファーベクター(pVL−(His)6−p38)を、プラスミドpVL1392(Pharmingen)中の相補的部位中へpET15b−(His)6−p38のXbaI−BamHIフラグメントをサブクローン化するによって構築した。
【0161】
プラスミドpVL−(His)6−p38は、発現タンパク質のDNA配列決定およびN配列末端配列決定によって確認されるp38のN末端に対して、インフレームで融合される23残基のペプチド(MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMLE、ここでLVPRGSがトロンビン切断部位を表す)からなる組換えタンパク質の合成を指向した。Spodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞(ATCC)の単層培養物を、27℃でTフラスコ中で、10%胎児ウシ血清を補充されたTNM−FH培地(Gibco BRL)中で維持した。対数期におけるSf9細胞に、Autographa califonica核多角体病ウイルス(Pharmingen)およびトランスファーベクターpVL−(His)6−p38の直鎖状ウイルスDNAをLipfectin(Invitrogen)を使用して同時にトランスフェクトした。個々の組換えバキュロウイルスのクローンを、1%の低融点アガロースを使用したプラークアッセイによって精製した。
【0162】
(実施例2)
(組換えp38キナーゼの発現および精製)
Trichoplusia ni(Tn−368)High−FiveTM細胞(Invitrogen)を、27℃でシェイカーフラスコ中のExcel−405無タンパク質培地(JRH Bioscience)における懸濁液中で増殖させた。1.5×10細胞/mlの密度の細胞を、5の感染多重度において上記される組換えバキュロウイルスを用いて感染させた。組換えp38の発現レベルを、ウサギの抗p38抗体(Santa Cruz Biotechnology)を使用してイムノブロットすることによってモニターした。細胞集団を、p38の発現レベルがその最大値に達する、感染72時間後に回収した。
【0163】
(His)がタグされたp38を発現する細胞由来の凍結細胞ペーストを、5容積の緩衝液A(pH8.0の50mM NaHPO、200mM NaCl、2mM β−メルカプトエタノール、10%グリセロールおよび0.2mM PMSF)中で解凍した。マイクロフリューダイザー(microfluidizer)中の細胞の機械的破壊後、溶解物を30分間、30,000×gで遠心分離した。上清を、予期されるp38の2〜4mgあたり1mlの樹脂の比率で、TalonTM(Clontech)金属親和性樹脂を用いて、4℃で、3〜5時間、バッチ式でインキュベートした。この樹脂を、5分間、500×gの遠心分離によって沈降させ、そして、緩衝液Aを用いて、バッチ式で穏やかに洗浄した。この樹脂を、スラリーにし、そしてカラム(約2.6×5.0cm)に注ぎ込み、そして緩衝液Aおよび5mMのイミダゾールを用いて洗浄した。
【0164】
(His)−p38を、緩衝液Aおよび100mMのイミダゾールを用いて、溶出し、引き続いて2リットルの緩衝液B(pH7.5の50mM HEPES、25mM β−グリセロリン酸、5%グリセロール、2mM DTT)に対して、4℃で、終夜、透析した。このHisタグを、p38の1mgあたり1.5単位のトロンビン(Calbiochem)での添加、および2〜3時間、20℃のインキュベーションによって、除去した。このトロンビンを、0.2mM PMSFの添加によってクエンチし、次いでサンプル全体を、2mlベンズアミジンアガロース(American International Chemical)カラム上にロードした。
【0165】
分画を介する流れを、緩衝液Bおよび0.2mMのPMSFであらかじめ平衡にした2.6×5.0cmのQ−Sepharose(Pharmacia)カラム上に、直接ロードした。p38を、緩衝液B中の0.6M NaClに対して20カラム体積の直線勾配で溶出した。この溶出タンパク質のピークを、プールし、そして緩衝液C(pH7.5の50mM HEPES、5%グリセロール、50mM NaCl、2mM DTT、0.2mM PMSF)に対して4℃で終夜、透析した。
【0166】
この透析タンパク質を、3〜4mlまでCentriprep(Amicon)中で濃縮し、そして2.6×100cmのSephacryl S−100HR(Pharmacia)のカラムに適用した。このタンパク質を、35ml/時間の流速で溶出した。主要ピークを、プールし、20mMのDTTに調節し、10〜80mg/mlまで濃縮し、そして−70℃でアリコートで凍結したか、または即時に使用した。
【0167】
(実施例3)
(p38の活性化)
p38を、緩衝液Bおよび10mM MgCl、2mM ATP、0.2mM NaVO中で、20℃で、30分間、0.5mg/mlのp38と0.005mg/mlのDD−二重変異体MKK6を組み合わせることによって活性化した。次いで、この活性化混合物を、1.0×10cmのMonoQカラム(Pharmacia)上にロードし、そして緩衝液B中の1.0M NaClに対して直線的な20カラム体積勾配で、溶出した。ADPおよびATPの後、活性化p38を溶出した。この活性化p38のピークをプールし、そして緩衝液Bおよび0.2mM NaVOに対して透析し、NaClを除去した。透析されたタンパク質を、4.0Mのストック溶液の添加によって、1.1Mリン酸カリウムに調節し、そして緩衝液D(10%グリセロール、20mM β−グリセロリン酸、2.0mM DTT)および1.1M KHPOであらかじめ平衡にした1.0×10cmのHIC(Rainin Hydropore)カラム上にロードした。このタンパク質を、緩衝液Dおよび50mM KHPOに対して20カラム体積の直線的勾配で溶出した。二重のリン酸化されたp38は、主要ピークとして溶出し、そして緩衝液Bおよび0.2mM NaVOに対する透析のためにプールした。この活性化p38を、−70℃で貯蔵した。
【0168】
(実施例4)
(p38の阻害アッセイ)
(A.EGFレセプターペプチドのリン酸化の阻害)
このアッセイは、10mM MgCl、25mM β−グリセロリン酸、10%グリセロールおよびpH7.6の100mM HEPES緩衝液の存在下で行われる。代表的なIC50測定に関して、全ての上記成分および活性化p38(5nM)を含むストック溶液を、調製する。このストック溶液を、バイアル中に等分する。DMSOまたはDMSO中のインヒビターの固定容量(反応におけるDMSOの最終濃度は、5%であった)を、各バイアルに導入し、室温で15分間、混合し、そしてインキュベートする。p38で触媒したキナーゼ反応(1)中のEGFレセプターペプチド(KRELVEPLTPSGEAPNQALLR)であるホスホリルアクセプターを、最終濃度の200μMまで、各バイアルに添加する。このキナーゼ反応を、ATP(100μM)で開始し、そしてこのバイアルを、30℃でインキュベートする。30分後、この反応を、等容量の10%のトリフルオロ酢酸(TFA)を用いてクエンチする。
【0169】
リン酸化されたペプチドを、HPLC分析によって定量化する。リン酸化されていないペプチドからのリン酸化されたペプチドの分離を、0.1%のTFAを各々含む、水およびアセトニトリルの2成分勾配を用いて逆相カラム(Deltapak,5μm,C18 100D,部分番号011795)上で達成する。IC50(50%阻害を生じるインヒビター濃度)を、インヒビター濃度に対して残りのパーセント(%)活性をプロットすることによって決定する。
【0170】
(B.ATPase活性の阻害)
このアッセイを、10mM MgCl、25mM β−グリセロリン酸、10%グリセロールおよびpH7.6の100mM HEPES緩衝液の存在下で行う。代表的なKi測定に関して、活性化されるp38反応のATPase活性におけるATPについてのKmをインヒビターの非存在下で測定し、そして2種類の濃度のインヒビターの存在下で測定する。全ての上記の成分および活性化p38(60nM)を含むストック溶液を、調製する。このストック溶液を、バイアル中に等分する。DMSOまたはDMSO中のインヒビターの固定容量(反応におけるDMSOの最終濃度は、2.5%であった)を、各バイアルに導入し、室温で15分間、混合し、そしてインキュベートする。この反応を、種々の濃度のATPを添加することによって、開始し、次いで30℃でインキュベートする。30分後、この反応を、pH8.0の、50μl EDTA(0.1M、最終濃度)を用いて、クエンチする。p38のATPase活性の生成物、ADPを、HPLC分析によって、定量化する。
【0171】
ATPからADPの分離を、以下の組成の2成分の溶媒の勾配を使用して、逆相カラム(Supelcosil、LC−18、3μm、部分番号5−8985)上で達成する:溶媒A−8mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム(Sigma Chemical Co.,目録番号T−7158)を含む0.1Mのリン酸緩衝液、溶媒B−30%メタノールを伴う溶媒A。
【0172】
Kiを、インヒビター濃度およびATP濃度関数としての速度データから決定する。
【0173】
本発明のp38インヒビターは、p38のATPase活性を阻害する。
【0174】
(C.LPSで刺激されたPBMCにおけるIL−1生成阻害、TNF生成阻害、IL−6生成阻害およびIL−8生成阻害)
インヒビターを、20mMのストックから、連続的にDMSOで希釈する。少なくとも6種類の連続的希釈液を調製する。次いで、4×インヒビターのストックを、4μlのインヒビター希釈液を1mlのRPMI1640培地/10%の胎仔ウシ血清に添加することによって調製する。4×インヒビターのストックは、以下の濃度でインヒビターを含んだ:80μM、32μM、12.8μM、5.12μM、2.048μM、0.819μM、0.328μM、0.131μM、0.052μM、0.021μMなど。4×インヒビターのストックを使用前まで、37℃であらかじめ暖める。
【0175】
新鮮なヒト血液バフィ細胞を、1500×gで、15分間、遠心分離によって(4mlの血液、およびMg2+/Ca2+を含まないチューブを充填するのに十分なDPBSを含む)Becton&DickinsonからのバキュテイナーCPT中の他の細胞から分離する。vacutainer中の勾配の上部に位置する、末梢血液の単核細胞(PBMC)を除去し、そしてRPMI1640培地/10%胎仔ウシ血清を用いて2回洗浄する。PBMCを、500×gで、10分間、遠心分離によって収集する。全細胞数を、Neubauer Cell Chamberを使用して測定し、そして細胞を、細胞培養培地(10%の胎仔ウシ血清を補充されたRPMI1640)中の4.8×10細胞/mlの濃度に調整した。
【0176】
あるいは、抗凝血剤を含む全血を、このアッセイで、直接使用する。
【0177】
100μlの細胞懸濁液、または全血を、96ウェルの細胞培養プレートの各ウェルに配置する。次いで、50μlの4×インヒビターストックをこの細胞に添加する。最終的に50μlのリポ多糖類(LPS)作業ストック溶液(細胞培養培地中の16ng/ml)を、このアッセイで、4ng/mLのLPSの最終濃度を示すまで、添加する。ビヒクルコントロールの全アッセイ量をまた、50μlの細胞培養培地を添加することによって、200μlに調整する。次いで、PBMC細胞または全血を、加湿環境中で、37℃/5%COで、終夜(12〜15時間)、インキュベートする。
【0178】
次の日、この細胞を、500×g、5分間、遠心分離の前に3〜5分間、振盪機で混合する。細胞培養の上清を回収し、そして製造者の指示書に従って、1L−1β(R&D Systems,Quantikine kits,番号DBL50)、TNF−α(BioSource,番号KHC3012)、IL−6(Endogen,番号EH2−IL6)およびIL−8(Endogen,番号EH2−IL8)のレベルについてELISAによって分析する。このELISAのデータを、IC50値を導く用量反応曲線を生み出すために使用する。
【0179】
本発明の他のp38インヒビターはまた、EGFレセプターペプチドのリン酸化を阻害し、そしてLPSで刺激されたPBMC中、または全血中で、IL−1、TNFおよびIL−6ならびにIL−8の生成を阻害する。
【0180】
(D.IL−1で刺激されたPBMC中のIL−6生成およびIL−8生成の阻害)
このアッセイを、50μlのIL−1b作業ストック溶液(細胞組織培地中の2ng/ml)を、(LPS)作業ストック溶液に作用させるの代わりにこのアッセイに添加することを除いて、上記と全く同様に正確にPBMCで行う。
【0181】
細胞組織の上清を、上記されるように回収し、そして製造者の指示書に従って、IL−6(Endogen、番号EH2−IL6)およびIL−8(Endogen、番号EH2−IL8)のレベルのためにELISAによって分析する。このELISAのデータを、IC50値を導く用量反応曲線を生成するために使用する。
【0182】
(E.PBMC中における、LPSで誘導されるプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ2(PGHS−2、またはCOX−2)誘導の阻害)
ヒト末梢単核細胞(PBMC)を、Vacutainer CPT(Becton&Dickinson)での遠心分離によって、新鮮なヒト血液バフィコートから単離する。15×10細胞を、10%胎仔ウシ血清、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、および2mMのL−グルタミンを補充されたRPMI 1640を含む6ウェル組織培養ディッシュ中に播種する。化合物を、DMSO中に、0.2μM、2.0μM、および20μMの最終濃度で添加する。次いでLPSを、4ng/mlの最終濃度で添加し、酵素発現を誘導する。最終的な培養容量は、10ml/ウェルである。
【0183】
37℃、5%のCOでの終夜のインキュベーション後、細胞を、擦り取ること、およびそれに引き続く遠心分離によって回収し、上清を除去し、そして氷冷DPBS(Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水、BioWhittaker)で2回、洗浄する。この細胞を、1μlのBenzonase(MerckからのDNAase)を含む50μlの冷溶解緩衝液(pH7.2の20mMのトリスHCl、150mMのNaCl、1%のトリトン−X−100、1%のデオキシコール酸、0.1%SDS、1mMのEDTA、2%のアプロチニン(Sigma)、10μg/mlのペプスタチン、10μg/mlのロイペプチン、2mMのPMSF、1mMのベンズアミジン、1mMのDTT)中で、10分間、氷上で溶解する。各サンプルのタンパク質濃度をBCAアッセイ(Pierce)および標準物質としてウシ血清アルブミンを使用して、測定する。次いで、各サンプルのタンパク質濃度を冷溶解緩衝液を用いて1mg/mlに調整する。100μlの溶解物に対して、等容量の2×SDS PAGEをロードする緩衝液を添加し、そしてこのサンプルを5分間、煮沸する。タンパク質(30μg/レーン)を、4〜20%のSDS PAGE勾配ゲル(Novex)上で大きさによって分画し、それに引き続き、20%メタノールを含むTowbin移動緩衝液(25mMのトリス、192mMのグリシン)中に2時間、100mAの電気泳動手段によってニトロセルロース膜上に移す。移動後、この膜を、ブロック緩衝液(0.1%のTween−20を補充されたDPBS中の5%の無脂肪ドライミルク)を用いて1時間、室温で前処理し、そしてDPBS/0.1%Tween−20で、3回、洗浄する。この膜を、ブロック緩衝液中で、1:250の希釈度のモノクローナル抗COX−2抗体(Transduction Laboratories)を用いて、4℃で、終夜、インキュベートする。DPBS/0.1%のTween−20で3回の洗浄後、この膜を、ブロック緩衝液中で1時間、室温で、1:1000の希釈度のホースラディッシュペルオキシダーゼと結合体化した、マウスIgに対するヒツジ抗血清(Amersham)と共にインキュベートする。次いで、この膜を、DPBS/0.1%のTween−20で再び3回、洗浄する。ECL検出システム(SuperSignalTM CL−HRP Substrate System、Pierce)をCOX−2発現レベルを測定するために使用する。
【0184】
本発明者らは、多くの本発明の実施形態を以上に提示している一方、本発明者らの基本的構成物は、本発明の方法を利用する他の実施形態を提供するために改変され得ることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される化合物。

【公開番号】特開2009−275054(P2009−275054A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193707(P2009−193707)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【分割の表示】特願2003−503226(P2003−503226)の分割
【原出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】