説明

PC鋼材の直接埋設接続方法及び拘束力緩和機能を備える接続部構造

【課題】 PC鋼材の接続装置に対して空間形成用殻管を不要として現場での充填材注入作業の省略化を可能とし、現場作業の迅速化及び省力化並びに作業コストの低減を推進する。
【解決手段】 先行工区Aと後行工区Bのコンクリート打継部にて、一次側接続部2と二次側接続部3とを備える接続装置1を用い直接埋設方式によりPC鋼材4を接続するPC鋼材の緊張接続方法であり、後行工区BのPC鋼材4を緊張する際に接続装置1をコンクリート16の支圧による拘束力に抗し移動可能にするために、二次側接続部3の端末部に関連させて支圧緩和手段5を設ける一方、接続装置1とコンクリート16との直接の固着を回避させるために、接続装置1の外周部に外被層6を被着させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する先行工区と後行工区のコンクリート打継部にて直接埋設方式により両工区のPC鋼材相互を緊張下に接続するためのPC鋼材の直接埋設接続方法及び該方法の実施に好適に使用される拘束力緩和機能を備える接続部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポストテンション方式プレストレストコンクリート(PC)構造において、コンクリートにプレストレスを与えるために用いるPC鋼材を接続するコンクリート打継部では、先行工区Aと後行工区Bの各PC鋼材を図5に例示するような汎用の接続装置1(非特許文献1参照) を用いて接続した後、後行工区BのPC鋼材4を緊張する際に接続装置1がコンクリート16によって移動を拘束されないようにするために、図4に示すように「カプラーシース」と通称される空間形成用の殻管14を用いて、コンクリート16中に接続装置1を収める空間を形成することが行われていた。そして、後行工区BのPC鋼材4の緊張終了後、PC鋼材4と、その緊張の際に、接続装置1の場合と同様にコンクリート16に拘束されないようにするためのPC鋼材用シースの間にグラウトを充填するのに併せて、カプラーシース14で形成された空間にもグラウト材15を充填していた。
【非特許文献1】株式会社シー・シー・エル・ジャパン資料「CCLシングルストランド工法−設計施工基準−」(第15版(1996年10月))第7頁
【0003】
なお、接続装置1によるPC鋼材4、4の接続は図5を参照して次のように行われていた。すなわち、先行工区Aのコンクリート16に埋設したPC鋼材4の端部をスリーブ17に挿入してウエッジ18を嵌入させることによりPC鋼材4の端部を固定させ、コンクリート16の打継面Sに支圧板8を埋設し、この支圧板8によってスリーブ17を支持させている。この場合、スリーブ17及びウエッジ18で一次側接続部2が形成される。一方、先行工区Aに隣接する後行工区BにおいてはPC鋼材4の端部にコンプレッショングリップ20が取付けられ、このコンプレッショングリップ20がスリーブ21に嵌入されることによりPC鋼材4の端部に端末具が取付けられている。この場合、コンプレッショングリップ20及びスリーブ21で二次側接続部3が形成される。スリーブ17及び21にはそれぞれ雌ねじが形成され、外周にねじを有するプラグ19がスリーブ17及び21に螺合されることにより、両PC鋼材4が同一線上で連結されるようになっている。
【0004】
ところで、従来は図4に示すように、後行工区Bのコンクリート16を打設する際に、接続装置1全体を覆うカプラーシース14を用いて空間を形成し、後行工区Bでの緊張終了後、その空間と接続装置1との空隙にセメントグラウト等のグラウト材15を注入するようにしている。この方法は、PC鋼材4とPC鋼材用シースの間に緊張終了後にグラウト材を充填する場合でも、また、緊張終了後のグラウト材充填が不要な特徴を持つプレグラウトPC鋼材(時間の経過につれて硬化する特殊な樹脂とポリエチレンシースで被覆されたPC鋼材)を用いる場合でも、殆ど同様の施工方法が用いられるが、図4はプレグラウトPC鋼材を用いる場合を例示している。なお、プレグラウトPC鋼材を用いる場合は、後行工区Bのコンクリート16を打設する前に、カプラーシース14の中にプレグラウトPC鋼材に用いるのと同じ樹脂を充填することも行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、プレグラウトPC鋼材を用いることによって施工の省力化及び施工品質の向上が図れるようになってきているが、それでもPC鋼材の接続具の使用が必要な構造の場合、PC鋼材は現場でのグラウト充填がたとえ不要であっても、接続部分のカプラーシース14で形成されてなる空間は現場でのグラウト充填がやはり必要であり、施工の省力化及び施工品質の向上を推進する上での支障となっていることは依然変わっていないものである。
【0006】
本発明は、このような問題点の解消を図るために成されたものであり、したがって本発明の目的は、PC鋼材の接続装置に対して空間形成用殻管を不要として現場での充填材注入作業の省略化を可能とし、もって現場作業の迅速化及び省力化並びに作業コストの低減を推進し得るPC鋼材の直接埋設接続方法並びに該方法の実施に好適に使用される拘束力緩和機能を備える接続部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
【0008】
即ち、本発明は、上記の目的を達成するため以下に述べる構成としたものである。即ち、本発明における請求項1の発明は、先行工区Aと後行工区Bのコンクリート打継部にて、一次側接続部2と二次側接続部3とを備える接続装置1を用いて直接埋設方式によりPC鋼材4を接続するPC鋼材の緊張接続方法において、後行工区BのPC鋼材4を緊張する際に接続装置1をコンクリート16の支圧による拘束力に抗し移動可能にするために、二次側接続部3の端末部に関連させて支圧緩和手段5を設ける一方、接続装置1とコンクリート16との直接の固着を回避させるために、接続装置1の外周部に外被層6を被着させることを特徴とするPC鋼材の直接埋設接続方法である。
【0009】
また、本発明における請求項2の発明は、先行工区Aと後行工区Bのコンクリート打継部にて、直接埋設方式によりPC鋼材4を緊張下に接続するための一次側接続部2と二次側接続部3とを備える接続装置1に付設してなる接続部構造であって、コンクリート16に比し軟質の材料からなる圧縮可能な中実盤体7に形成され後行工区BのPC鋼材4に囲ませ二次側接続部3の端末部に取着してなる支圧緩和手段5と、接続装置1の外周部に被着してなる外被層6とを含むことを特徴とする拘束力緩和機能を備える接続部構造である。
【0010】
また、本発明における請求項3の発明は、先行工区Aと後行工区Bのコンクリート打継部にて、直接埋設方式によりPC鋼材4を緊張下に接続するための一次側接続部2と二次側接続部3とを備える接続装置1に付設される接続部構造であって、容積不変の中空盤体に形成され先行工区AのPC鋼材4に囲ませ一次側接続部2の端末部と支圧板8の間に介設される一次側容器9、圧縮による容積可変の中空盤体に形成され後行工区BのPC鋼材4に囲ませ二次側接続部3の端末部に取着される二次側容器10、接続装置1に添わせて一次側・二次側両容器9、10を連絡する配管11、二次側容器10内に充填され時間の経過により硬化する未硬化の充填材12の各部材からなる支圧緩和手段5と、接続装置1の外周部に被着してなる外被層6とを含むことを特徴とする拘束力緩和機能を備える接続部構造である。
【0011】
また、本発明における請求項4の発明は、上記請求項2又は請求項3に記載の拘束力緩和機能を備える接続部構造に関して、外被層6が合成樹脂軟質テープ等からなる防食テープ13を接続装置1の外周部に螺旋状に巻着することによって形成される構成であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明における請求項5の発明は、上記請求項2又は請求項3に記載の拘束力緩和機能を備える接続部構造に関して、外被層6が熱収縮合成樹脂チューブ等からなる軟質チューブを接続装置1の外周部に被着することによって形成される構成であることを特徴とする。
【0013】
このような本発明によれば、先行工区Aと後行工区Bのコンクリート打継部にて、直接埋設方式によりPC鋼材4を緊張下に接続するに際して、接続装置1の二次側接続部3の端末部に関連させて簡単な構造になる支圧緩和手段5を取着させ、かつ、防食テープ13を螺旋状に巻着するなどの簡易な手法によって接続装置1の外周部に外被層6を被着させるだけの簡単な作業を行えば良くて、接続装置1全体を覆わせる空間形成用殻管が省略てき、また、接続装置1の周囲の空間に現場で充填材を注入する作業が不要になる。
【0014】
さらに、本発明によれば、後行工区BのPC鋼材4を緊張させる際、支圧緩和手段5がコンクリートの接続装置1への拘束力を緩和する機能を発揮し、同時に、コンクリートの接続装置1に対する付着力を緩衝することから、充填材を不要としながらもPC鋼材4の緊張に伴う接続装置1の移動を円滑に行わせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0016】
すなわち本発明によれば、PC鋼材を接続する現場作業に当たって、中実盤体等の簡単な構造になる支圧緩和手段と防食テープ等により簡易な手法で形成される外被層とをPC鋼材用の接続装置に対して付設するだけでよいので、現場でのグラウト充填作業が不可欠であった従来の作業に比して工法が簡単でかつ短時間処理を行え、その結果、省力化及び迅速化が図れる。しかも本発明によれば、従来のカプラーシースを用いた工法と比較して何等遜色がない緊張力伝達性状を奏することが可能であって、PC鋼材施工工事に対する品質向上を推進する上にも頗る有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【0018】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る接続部構造を備える接続装置が、接続状態を示す側面図で表される。この第1の実施形態において、コンクリート構造物の先行工区Aと後行工区Bとに張設した両PC鋼材4を緊張下で接続するための接続装置1には従来から用いられている一次側接続部2と二次側接続部3とを備える周知の各種接続装置が使用可能であって、先行工区AのPC鋼材4を緊張する作業は、その接続端において一次側接続部2を用いて行われ、次に二次側接続部3を用いて後行工区BのPC鋼材4が接続される。
【0019】
接続装置1における支圧板8とは反対側の端部、すなわち二次側接続部3の端末部には、コンクリートの支圧に基づく移動拘束を緩和するための本発明を特徴付ける要素部材の一つである支圧緩和手段5が取着されている。この第1の実施形態の場合の支圧緩和手段5は、外周形状が二次側接続部3のそれと同形状又は略同形状を成す例えば合成樹脂製になる圧縮可能な中実盤体7が用いられていて、この場合、中実盤体7としては軟質ゴム、スチロール樹脂又はこれに類するコンクリートに比し十分に柔らかい材料により形成して、例えば厚さが5〜40mmの中心部にPC鋼材4が挿通される孔を持つドーナッツ盤状のものが用いられて、これを二次側接続部3の端末部に貼りつけるなどして取着させる。
【0020】
一方、接続装置1の外周部には、該接続装置1とその周囲のコンクリートとの直接の固着を回避させるための、防食テープ13で実現される外被層6が被着されている。前記外被層6としては、例えば合成樹脂製軟質テープからなる帯状の防食テープ13を半幅程度がラップするように1層又は複数層の螺旋状に巻着させることによって現場にて簡単に外被層6を設けることが可能である。
【0021】
このように構成される第1の実施形態においては、二次側接続部3を用いて後行工区BのPC鋼材4を接続するのに相前後して、中実盤体7からなる支圧緩和手段5を二次側接続部3の端末部に取着し、続いて、防食テープ13を螺旋巻着してこれにより拘束力緩和機能を備える接続部構造が形成される。
【0022】
その後、後行工区Bでのコンクリート張設が終わってから、後行工区BのPC鋼材4を緊張させることにより、PC鋼材4の直接埋設接続作業が完了する。その際、後行工区BのPC鋼材4の緊張によって、接続装置1には支圧板8から離れる方向に外力が加わるが、圧縮可能な中実盤体7が備える拘束力緩和機能と防食テープ13からなる外被層6が備える緩衝機能とが相まって、接続装置1をコンクリートに拘束されることなく所要量だけ移動させることができる。
【0023】
図2には、本発明の第2の実施形態に係る接続部構造を備える接続装置が、接続状態を示す側面図で表される。また、図3には、図2図示の支圧緩和手段5における要素部材の一次側容器9が(イ)に、同じく二次側容器10が(ロ)にそれぞれ斜視図で示される。この第2の実施形態において、前述する第1の実施形態のものに類似し、対応する部材には同一の参照符号を付して個々の説明をここでは省略する。
【0024】
この第2の実施形態に係る接続部構造において特徴とされる構成は、支圧緩和手段5が一次側容器9、二次側容器10、配管11及び少量の充填材12から形成されている点である。一次側容器9は、容積不変の中空盤体に形成され先行工区AのPC鋼材4に囲ませ一次側接続部2の端末部と支圧板8の間に介設される。二次側容器10は、圧縮による容積可変の中空盤体に形成され後行工区BのPC鋼材4に囲ませ二次側接続部3の端末部に取着される。配管11は、接続装置1に添わせて一次側・二次側両容器9、10を連絡するように設けられる。充填材12は、グラウト材に類似した時間の経過により硬化するタイプの未硬化材であって、二次側容器10内に充填される。
【0025】
一次側・二次側両容器9、10は、例えば外周形状が接続装置1のそれと同形状又は稍大きい略同形状で、中心にPC鋼材4が貫通する孔を有する円形の深皿状体に形成されていて、一次側容器9は鋼製の容積不変の構造で、支圧板8に底部側を当て合わせて被せられる。二次側容器10は鋼製の深皿状体の本体10A と厚さ10〜40mmの樹脂製又は鋼製の円盤状の蓋10B とで形成され、例えば本体10A の中に蓋10B が入り込むように係合されて圧縮による容積可変な構造となっていて、蓋10B が二次側接続部3の端末部に蓋10B が当接するように取着される。配管11は、ポリエチレン製等の可撓性細管からなり、一次側・二次側両容器9、10内の空間部を連絡するようにして接続装置1に添わせて延設される。
【0026】
このように設けられてなる本体10A 内にプレグラウトPC鋼材に用いられるのと同様の、未硬化の充填材12が充填される。一方、接続装置1の外周部には、第1の実施形態の場合と同じような防食テープ13からなる外被層6が被着されている。なお、図示を省略しているが、第1及び第2の各実施形態において、防食テープ13に替えて熱収縮合成樹脂チューブ等からなる軟質チューブを接続装置1の外周部に被着することによって外被層6を形成させるようにすることもまた好ましい態様である。
【0027】
このように構成される第2の実施形態においては、二次側接続部3を用いて後行工区BのPC鋼材4を接続するのに相前後して、上述の構成になる支圧緩和手段5を一次側接続部2及び二次側接続部3の端末部に関連させて取着し、続いて、防食テープ13を螺旋巻着してこれにより拘束力緩和機能を備える接続部構造が形成される。
【0028】
その後、後行工区Bでのコンクリート張設が終わってから、後行工区BのPC鋼材4を緊張させることにより、PC鋼材4の直接埋設接続作業が完了する。その際、後行工区BのPC鋼材4の緊張によって、接続装置1には支圧板8から離れる方向に外力が加わるが、圧縮による容積可変の二次側容器10は、内部に充填された未硬化の充填材12のうち、移動量に応じた体積分だけが、配管11を通して一次側容器9に移動する。その結果、二次側容器10が発揮する拘束力緩和機能と防食テープ13からなる外被層6が備える緩衝機能とが相まって作用することから、接続装置1をコンクリートに拘束されることなく所要量だけ移動させることができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しながら説明する。
図6には、図4に示した接続部構造を用いた比較例1のPC鋼材緊張力の遷移状況を表す線図が示され、図7には、図5に示した接続部構造を用いた比較例2のPC鋼材緊張力の遷移状況を表す線図が示される。図8には、本発明方法の実施の形態に係るPC鋼材緊張力の遷移状況を表す線図が示され、この線図は、図1に示される本発明の第1の実施形態に係る接続部構造と同構造を有する接続装置を使用して本発明の効果を確認する実験に行なうことにより得られたものである。そして、カプラーシース14を用いて接続装置全体を覆う空間を形成した図4に示す比較例1における2例(A-1、A-2)と、接続装置をコンクリートに直接埋設させて拘束力を緩和する構造を用いない図5に示す比較例2における3例(B-1、B-2、B-3)とを比較装置として挙げることによって本発明実施例(C-1、C-2)との効果の対比を行うこととした。
【0030】
比較例1(A-1、A-2)の場合は、接続端の支圧板に作用していた先行工区の定着力は、後行工区の緊張力の増加に伴って直線的に減少する状況が観察された。比較例2(B-1、B-2、B-3)の場合は、接続装置がコンクリートに拘束されて、後行工区の緊張力が増加しても、支圧板に作用していた先行工区の定着力は殆ど変化しないことが確認された。
【0031】
一方、拘束力緩和機能を備えてなる本発明実施例(C-1、C-2)の場合は、僅かに緊張力のロスは生じたものの、全体的な傾向として、カプラーシース14を用いた比較例1(A-1、A-2)の場合と略同様の緊張力伝達の性状が明らかに観察され、このことから本発明の優れた効果が証された。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る接続状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る接続状態を示す側面図である。
【図3】図2に図示する支圧緩和手段の要素部材の斜視図で、(イ)は一次側容器、(ロ)は二次側容器がそれぞれ示される。
【図4】従来のPC鋼材の直接埋設接続方法の説明図である。
【図5】従来の接続装置の取付け状態の断面を示す説明図である。
【図6】比較例1のPC鋼材緊張力の遷移状況を表す線図である。
【図7】比較例2のPC鋼材緊張力の遷移状況を表す線図である。
【図8】本発明方法の実施の形態に係るPC鋼材緊張力の遷移状況を表す線図である。
【符号の説明】
【0033】
1…接続装置 2…一次側接続部 3…二次側接続部
4…PC鋼材 5…支圧緩和手段 6…外被層
7…中実盤体 8…支圧板 9…一次側容器
10…二次側容器 11…配管 12…充填材
13…防食テープ 14…殻管 15…グラウト材
16…コンクリート A…先行工区 B…後行工区
S…打継面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行工区と後行工区のコンクリート打継部にて、一次側接続部と二次側接続部とを備える接続装置を用いて直接埋設方式によりPC鋼材を接続するPC鋼材の緊張接続方法において、後行工区のPC鋼材を緊張する際に前記接続装置をコンクリートの支圧による拘束力に抗し移動可能にするために、二次側接続部の端末部に関連させて支圧緩和手段を設ける一方、前記接続装置とコンクリートとの直接の固着を回避させるために、接続装置の外周部に外被層を被着させることを特徴とするPC鋼材の直接埋設接続方法。
【請求項2】
先行工区と後行工区のコンクリート打継部にて、直接埋設方式によりPC鋼材を緊張下に接続するための一次側接続部と二次側接続部とを備える接続装置に付設してなる接続部構造であって、コンクリートに比し軟質の材料からなる圧縮可能な中実盤体に形成され後行工区のPC鋼材に囲ませ二次側接続部の端末部に取着してなる支圧緩和手段と、接続装置の外周部に被着してなる外被層とを含むことを特徴とする拘束力緩和機能を備える接続部構造。
【請求項3】
先行工区と後行工区のコンクリート打継部にて、直接埋設方式によりPC鋼材を緊張下に接続するための一次側接続部と二次側接続部とを備える接続装置に付設される接続部構造であって、容積不変の中空盤体に形成され先行工区のPC鋼材に囲ませ一次側接続部の端末部と支圧板の間に介設される一次側容器、圧縮による容積可変の中空盤体に形成され後行工区のPC鋼材に囲ませ二次側接続部の端末部に取着される二次側容器、前記接続装置に添わせて一次側・二次側両容器を連絡する配管、二次側容器内に充填され時間の経過により硬化する未硬化の充填材の各部材からなる支圧緩和手段と、接続装置の外周部に被着してなる外被層とを含むことを特徴とする拘束力緩和機能を備える接続部構造。
【請求項4】
外被層が、合成樹脂軟質テープ等からなる防食テープを接続装置の外周部に螺旋状に巻着することによって形成される請求項2又は請求項3に記載の拘束力緩和機能を備える接続部構造。
【請求項5】
外被層が、熱収縮合成樹脂チューブ等からなる軟質チューブを接続装置の外周部に被着することによって形成される請求項2又は請求項3に記載の拘束力緩和機能を備える接続部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−46313(P2007−46313A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231174(P2005−231174)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000192626)神鋼鋼線工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】