説明

PDEIVインヒビターの調製のために有用なキノリン5−カルボキサミドの合成

本出願は、ホスホジエステラーゼIV(「PDE IV」)インヒビターとして有用な特定の置換されたキノリン5−カルボキサミドを合成するための新規のプロセスを開示している。1つの実施形態において、本出願は、式(I)の化合物を製造するための方法を開示する。より具体的には、式Iの化合物を製造するための本発明のプロセスは、いくつかの利点(例えば、反応温度の減少、経済的な初期物質、より高い収率および純度)を有する。本発明は、キノリン部分の2位にトリフルオロメチル基を保有し、8位に置換基を有するキノリン化合物を調製するための方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本出願は、ホスホジエステラーゼIV(「PDE IV」)インヒビターとして有用な特定の置換されたキノリン5−カルボキサミドを合成するための新規のプロセスを開示している。本出願は、2003年9月15日に出願された米国仮特許出願番号第60/503,108号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
PDE IVは、好酸球、 好中球、T−リンパ球、マクロファージおよび内皮細胞を含む全ての主要な炎症性細胞に存在する。PDE IVの阻害は、炎症性細胞活性化のダウンレギュレーションを引き起こし、気管および気管支における平滑筋細胞を弛緩する。一方で、心筋層に存在するPDE IIIの阻害は、心筋収縮能力および心筋収縮速度の両方の増加を引き起こす。非選択性のPDEインヒビターは、PDE IIIおよびPDE IVの両方を阻害し、その結果として、所望の抗喘息性の効果および望ましくない心臓血管刺激の両方を生じる。PDEアイソザイムの間のこの周知の差異を用いることにより、PDEインヒビターに関する多くの副作用をともなわずに、抗炎症および気管支拡張が併存する機会があることは、明らかである。
【0003】
米国特許第5,804,588号は、PDE IVインヒビターとしてのいくつかのキノリン5−カルボキサミドを開示している。米国特許第5,804,588号中に開示された化合物は、式I:
【0004】
【化13】

を有する。
【0005】
式Iの化合物のN−オキシドは、式II
【0006】
【化14】

の化合物であり、それは、米国特許第6,410,559号に開示されている。その’559特許は、式IIの化合物およびアナログを合成するためのプロセスをさらに開示している。
【0007】
さらに、M.Billahら、Bioorg.& Medicinal Chem.、(2002)、12、1621〜1623は、式Iの化合物ならびにそのN−オキシドである式IIの化合物を開示している。
【0008】
M.Billahら、Bioorg.& Medicinal Chem.、(2002)、12、1617〜1619は、式Iおよび式IIの化合物を合成するためのプロセスを記載している。式III:
【0009】
【化15】

の化合物を介する合成は、いくつかの退屈な工程を含み、そして、高価な出発物質の使用およびパラジウム触媒の使用を必要とする。パラジウム触媒の除去は、当業者に公知であるように、概して困難である。
【0010】
M.Marullら、Eur.J.Org.Chem、(2003)、1576〜1588、ならびにF.CottetおよびM.Marullら、Eur.J.Org.Chem、(2003)、1559〜1568においても注目され、それぞれトリフルオロメチル置換キノリンカルボン酸についての特定のキノリンの合成および推奨できる経路を記載している。
【0011】
キノリンカルボキサミド構造に基づいたPDE IVインヒビターを製造する新しく、経済的な方法についての必要性がある。本発明は、キノリン部分の2位にトリフルオロメチル基を保有し、8位に置換基を有するキノリン化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本出願は、式IV:
【0013】
【化16】

のキノリン5−カルボキサミド化合物を製造するプロセスを開示しており、
ここで、Aは、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−CF、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、上記のプロセスは、以下:
(1)式VIの化合物と式Vの化合物を反応させて、式VIIの化合物を得る工程であり:
【0014】
【化17】

ここで、
Aは、上記に定義され;
Mは、−C(O)OH、または−C(O)OHに化学的に変換可能な基であり;
Zは、ハロゲン、−OR、−NRおよび−SRからなる群から選択され、そして
、R、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、それらは、各々、H、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、ここで、上記のアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1〜4個のW部分で独立して置換され得、ここで、Wは、アルキル、ハロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
(2)式VIIの化合物を式VIII
【0015】
【化18】

の化合物に環化させる工程;
(3)Mが−C(O)OHでない場合、式VIIIの化合物を式IX:
【0016】
【化19】

の化合物に変換させる工程(Mが始めからC(O)OHである場合、工程(3)は、式VIIIおよび式IXの化合物が、その場合に同じになるため、適用されない)および
(4)式IXの化合物を式Xの化合物と反応させて、式IVの化合物を得る工程:
【0017】
【化20】

を包含するプロセス。
【0018】
上記の基のMについての用語「化学的に変換可能」とは、当業者に公知の合成プロセスによって、−C(O)OHに化学的に変換可能である部分をいう(これは工程93)において実施される)。そのような文脈におけるMについての「化学的に変換可能」な基の非限定的な例としては、−Br、−Cl、−I、−CN、−C(O)OR、−C(O)NRおよび−C(O)SRが挙げられ、ここで、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択され、そしてR、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、それらは、各々、H、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、ここで、上記のアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルの各々は、置換され得ないか、または必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1〜4個のW部分で独立して置換され得、ここでWは、アルキル、ハロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。Mはまた、上記のような−C(O)OHであってもよい。
【0019】
式Iの化合物を製造するための本発明のプロセスは、いくつかの利点(例えば、反応温度の減少、経済的な初期物質、より高い収率および純度)を有する。
【0020】
(発明の説明)
1つの実施形態において、本発明は、式IVの化合物を調製するためのプロセスを開示する。
【0021】
上記および本明細書全体で使用される場合、以下の用語は、他に記載されない限り、以下の意味を有すると理解される。
【0022】
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0023】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0024】
「アルキル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい脂肪族炭化水素基を意味し、それは、その鎖中に約1個〜約20個の炭素原子を含む。好ましいアルキル基は、その鎖中に約1個〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、その鎖中に約1個〜約6個の炭素原子を含む。分枝とは、1つ以上の低級アルキル基(例えばメチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖状のアルキル鎖に結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい、鎖中に約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシ、−C(O)O−アルキルおよび−S(アルキル)からなる群から独立して選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0025】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、それは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、その鎖中に約2個〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基は、その鎖中に約2個〜約12個の炭素原子を有し;そして、より好ましくは、その鎖中に約2個〜約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直鎖状のアルケニル鎖に結合することを意味する。「低級アルケニル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖中の約2個〜約6個の炭素原子を意味する。用語「置換アルケニル」とは、アルケニル基が、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群から独立して選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0026】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、それは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、その鎖中に約2個〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルキニル基は、その鎖中に約2個〜約12個の炭素原子を有し;そして、より好ましくは、その鎖中に約2個〜約4個の炭素原子を有する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直鎖のアルキニル鎖に結合することを意味する。「低級アルキニル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖中の約2個〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデシニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、各置換基は、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択される。
【0027】
「アルキレン」とは、上記に定義されるアルキル基からの水素原子の除去によって得られる二官能性基を意味する。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。
【0028】
「アリール」(時々省略して「ar」)とは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を含む芳香族単環構造または芳香族多環構造を意味する。アリール基は、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の「環構造置換基」で置換され得、本明細書中に定義される。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0029】
「ヘテロアリール」とは、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む芳香族単環構造または芳香族多環構造を意味し、ここで、その環原子の1つ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄の単独あるいは組み合わせ)である。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の「環構造置換基」によって置換され得、本明細書中に定義される。その元となるヘテロアリールの名前の前の接頭語アザ、オキサまたはチアとは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル(benzimidazolyl)、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル(thienopyridyl)、キナゾリニル、チエノピリミジル(thienopyrimidyl)、ピロロピリジル(pyrrolopyridyl)、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル(benzoazaindolyl)、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0030】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル−基を意味し、そのアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0031】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール−基を意味し、そのアルキルおよびアリールは、上記の通りである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例としては、o−トリル、p−トリルおよびキシリルが挙げられる。親部分への結合は、アリールを介してである。
【0032】
「シクロアルキル」とは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む非芳香族単環式構造または非芳香族多環式構造を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の「環構造置換基」で置換され得、それは上記に定義される通りである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0033】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基を意味する。好ましくは、フルオロ、クロロまたはブロモであり、より好ましくは、フルオロおよびクロロである。
【0034】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素および臭素である。
【0035】
「ハロアルキル」とは、上記に定義されるようなアルキルを意味し、ここで、アルキル上の1つ以上の水素原子は、上記に定義されるハロ基によって置換される。
【0036】
「環構造置換基」とは、芳香族環構造または非芳香族環構造に結合される置換基を意味し、それは、例えば、環構造上の利用可能な水素を置換する。環構造置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から独立して選択される。「環構造置換基」とはまた、3〜7個の環原子の環状の環を意味し、その1個〜2個がヘテロ原子であり得、2個の環の水素原子をアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環またはヘテロシクレニル環に同時に置換することによって、上記のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環またはヘテロシクレニル環に結合する環を意味する。非限定的な例として:
【0037】
【化21】

などが挙げられる。
【0038】
「ヘテロシクリル」(またはヘテロシクロアルキル)とは、約3個〜約10個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む非芳香族飽和単環構造または非芳香族多環構造を意味し、その環構造の1つ以上の原子は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄の単独あるいは組み合わせ)である。隣接する酸素原子および/または硫黄原子は、環構造に存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5個〜約6個の環原子を含む。元のヘテロシクリルの名前の前の接頭語アザ、オキサまたはチアとは、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、それぞれ、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の「環構造置換基」によって置換され得、本明細書中に定義される。ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS、S−ジオキシドに酸化され得る。適切な多環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0039】
「アリールシクロアルキル」とは、シクロアルキル部分からの水素原子の除去によって本明細書中に定義されるような縮合アリールおよび縮合シクロアルキルから誘導される基を意味する。好ましいアリールシクロアルキルは、アリールが、約5個〜約6個の環原子からなるフェニルおよびシクロアルキルであるアリールシクロアルキルである。アリールシクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の環構造置換基によって置換され得、ここで、「環構造置換基」は、上記に定義される通りである。適切なアリールシクロアルキルの非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、などが挙げられる。親部部への結合は、非芳香族炭素原子を介してである。
【0040】
「シクロアルキルアリール」とは、アリール部分からの水素原子の除去によって本明細書中に定義されるような縮合アリールシクロアルキルから誘導される基を意味する。適切なシクロアルキルアリールの非限定的な例としては、親部分への結合が芳香族炭素原子を介してであることを除いて、アリールシクロアルキル基について本明細書中に定義されるものである。
【0041】
「ヘテロアリールシクロアルキル」とは、シクロアルキル部分からの水素原子の除去によって本明細書中に定義されるような縮合ヘテロアリールおよび縮合シクロアルキルから誘導される基を意味する。好ましいヘテロアリールシクロアルキルは、そのヘテロアリールが、約5個〜約6個の環原子からなり、シクロアルキルが、約5個〜約6個の環原子からなるものである。ヘテロアリールの前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子としてそれぞれ存在することを意味する。ヘテロアリールシクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の環構造置換基によって置換され得、ここで、「環構造置換基」は、上記に定義される通りである。ヘテロアリールシクロアルキルのヘテロアリール部分の窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールシクロアルキルの非限定的な例としては、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンズオキサゾリル、1H−4−オキサ−1,5−ジアザナフタレン−2−オニル、1,3−ジヒドロイミジゾール−[4,5]−ピリジン−2−オニル、などが挙げられる。親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介してである。
【0042】
「シクロアルキルヘテロアリール」とは、ヘテロアリール部分からの水素原子の除去によって本明細書中に定義されるような縮合ヘテロアリールシクロアルキルから誘導される基を意味する。適切なシクロアルキルヘテロアリールの非限定的な例としては、親部分への結合が芳香族炭素原子を介してであることを除いて、ヘテロアリールシクロアルキルについて本明細書中に定義される通りである。
【0043】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、そのヘテロアリールおよびアルキルは、上記に定義される通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0044】
「ヒドロキシアルキル」とは、HO−アルキル−基を意味し、そのアルキルは、上記に定義される通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0045】
「アシル」とは、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基、またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、その種々の基は、上記に定義される通りである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0046】
「アロイル」とは、アリール−C(O)−基を意味し、そのアリール基は、上記に定義される通りである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0047】
「ヘテロアロイル」とは、ヘテロアリール−C(O)−基を意味し、そのヘテロアリール基は、上記に定義される通りである。適切な基の非限定的な例としては、ニコチノイルおよびピロール−2−イルカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0048】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、そのアルキル基は、上記に定義される通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0049】
「アリールオキシ」とは、アリール−O−基を意味し、そのアリール基は、上記に定義される通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0050】
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル−O−基を意味し、そのアラルキル基は、上記に定義される通りである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシまたは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0051】
「アルキルアミノ」とは、−NH基または−NH基を意味し、その窒素上の水素原子の1つ以上は、上記に定義されるようなアルキル基によって置換される。
【0052】
「アリールアミノ」とは、−NH基または−NH基を意味し、その窒素上の水素原子の1つ以上は、上記に定義されるようなアリール基によって置換される。
【0053】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0054】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0055】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0056】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルであるものである。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0057】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S−(O)基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0058】
用語「必要に応じて置換される」とは、利用可能な1つの位置または複数の位置における特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0059】
化合物における部分の数(例えば、置換基、基または環)に関して、他に記載されない限り、語句「1つ以上」および「少なくとも」とは、化学的に許容される限り多数の部分であり得、そしてそのような部分の最大数の決定は、当業者に周知であることを意味する。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」とは、特定の量における特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量における特定の成分の組み合わせから直接的または間接的に生じる任意の生成物、を包含することが意図される。
【0061】
「溶媒和物」とは、1つ以上の溶媒分子を有する本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合は、様々な程度の水素結合を含むイオン結合および共有結合を含む。特定の場合において、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が、結晶固体の結晶格子に組み込まれる場合、分離され得る。「溶媒和物」は、液相および分離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は溶媒分子がHOである、溶媒和物である。
【0062】
結合としての波線
【0063】
【化22】

は、一般に、可能な異性体(例えば、(R)−立体化学および(S)−立体化学を含む)の混合またはどちらか一方を示す。例えば、
【0064】
【化23】

環構造、例えば:
【0065】
【化24】

に引かれている直線は、示した線(結合)が、任意の置換可能な環の炭素原子に結合され得ることを示す。
【0066】
当業者に周知のように、他に記載がなければ、結合の末端に示される部分のない特定の原子から引かれた結合は、その結合を介してメチル基がその原子に結合することを示す。例えば:
【0067】
【化25】

本明細書中の本文、スキーム、実施例、構造式、およびいずれかの表における不満足な原子価を有する任意の炭素またはヘテロ原子は、原子価を満足させるための水素原子または原子を有するとされることもまた留意すべきである。
【0068】
1つの実施形態において、本発明は、式IVの化合物を調製するためのプロセスを開示する。本発明のプロセスは、概略的に以下のスキーム1:
【0069】
【化26】

に記載され、ここで、A、M、およびZは、上記に定義される。
【0070】
トリフレート化アミンを環化することによる式XI:
【0071】
【化27】

の化合物の合成は、M.Schlosserら、Tetrahedron Letters、(1997)、38、8523〜8526およびH.KellerらTetrahedron、(1996)13、4637〜4644に記載されている。
【0072】
本出願の本発明のプロセスにおいてアウトラインをまとめた種々の反応工程は、さらに必要に応じて、反応を促進するために1つ以上の適切な溶媒を含んでもよい。種々の工程についての好ましい試薬および反応条件は、実施例の節に詳細に記載され、以下に詳細をまとめている。
【0073】
(工程1:)
工程1において、式VIの化合物を、式Vの化合物と反応させて、式VIIの化合物を得る。式VIの化合物は、市販されているか、あるいはそれは、工程1の反応の前、または工程1の反応の間にインサイチュで調製され得る。説明のための例において、式VIの化合物は、1,1,1−トリフルオロ−4−エトキシブタ−3−エン−2オンであり、それは、例えば、無水トリフルオロ酢酸およびエチルビニルエーテルを反応させることによって調製され得る。1,1,1−トリフルオロ−4−エトキシブタ−3−エン−2オンは、以下のように式Vのアミンと反応され得る。そのアミンを適切な溶媒中で溶解、分散させるか、またはそうでなければ、適切に懸濁させ、そして、式VIのエノンをそれに加える。その反応混合物を、約−20℃〜その溶媒のおよその還流温度にわたる範囲の温度で、約30分〜その反応が完了するまでの間撹拌し、式VIIの化合物を得る。適切な溶媒の非限定的な例としては、アルコール、炭化水素、エーテル、ケトン、エステルおよびそれらの混合物が挙げられる。炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、キシレン、トルエンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。アルコール溶媒の非限定的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、アルコール溶媒、より好ましくは、メチルアルコールまたはエチルアルコールが挙げられる。式VIの化合物を、概して、式Vの化合物に対して約0.2モル当量〜約1.2モル当量、好ましくは約0.8モル当量〜約1.2モル当量、およびより好ましくは約1モル当量〜約1.2モル当量、使用し得る。その溶媒を、概して、式Vの化合物に対して約1〜20体積当量、好ましくは約2〜15体積当量、およびより好ましくは約2〜5体積当量において使用し得る。式VIIの生成物を、当業者に周知の手順によって単離し得る。
【0074】
式VIIの化合物は、式Vの化合物から代替のプロセスによってもまた、調製され得る。従って、工程1における式VIの化合物は、以下の式A
【0075】
【化28】

の化合物で置換され得、ここで、Xは、Cl、−NR、−OP(O)Cl、−OSOおよび−OP(O)(ORからなる群から選択され、そしてここで、R、R、RおよびRは、上記に定義される通りである。
【0076】
この代替のプロセスによって、以下の式B:
【0077】
【化29】

の化合物が得られ得る。
【0078】
式Bの化合物を、以下の工程2において記載した条件下で環化し得、式VIIIの化合物を得る。
【0079】
(工程2:)
式VIIの化合物を、以下の説明のための手順において環化して、式VIIIの化合物を生成し得る:適切な溶媒中の式VIIの化合物の溶液(または懸濁液または適切な分散)に適切な脱水剤を添加する。適切な溶媒の非限定的な例としては、エーテル、炭化水素、ニトリル、エステル、塩素化溶媒およびそれらの混合物が挙げられる。炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、キシレン、トルエンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。ニトリル溶媒の非限定的な例としては、プロピオニトリル、アセトニトリルなど、またはそれらの混合物が挙げられる。エステル溶媒の非限定的な例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。塩素化溶媒の非限定的な例としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。エーテル溶媒の非限定的な例としては、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライムなど、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、アセトニトリルおよび酢酸エチル、より好ましくはアセトニトリルが挙げられる。脱水剤の非限定的な例としては、POCl、PCl、無水トリフルオロ酢酸(「TfO」)、MsO(無水メタンスルホン酸)、PClおよびPが挙げられる。TfOを使用するイミンの環化は、I.Baraznenokら、Eur.J.Org.Chem.、(1999)、937〜941によって記載されている。好ましい脱水剤としては、POCl、TfOおよびMsO、より好ましくはPOClが挙げられる。次いで、その溶液を、およそ室温〜その溶媒のおよその還流温度にわたる範囲、好ましくは約60℃〜およその還流温度にわたる範囲、より好ましくは、およその還流温度で、30分間またはその反応が完了するまでの間、攪拌する。好ましい実施形態において、式VIの化合物を、その反応混合物に添加して、その反応混合物をさらに12時間、還流する。その反応を、当業者に周知の手順によって処理して、式IVの化合物を得ることができる。POClを、式VIIの化合物に対して、少なくとも約0.2モル当量、好ましくは少なくとも0.8モル当量、およびより好ましくは約1.0〜約1.2モル当量、使用し得る。
【0080】
代替として、反応工程1および反応工程2を、以下のように組み合わせ得る:
式VIの化合物(ここで、Zは今回、−NHRである)を脱水剤で処理し得、続いて、式Vの化合物を添加して、式VIIIの化合物を得る工程:
【0081】
【化30】


【0082】
(工程3:)
式VIIIの化合物の混合物(ここで、Mは、室温での適切な溶媒中のC(O)OHである)に、適切な塩基の水溶液を添加する(Mが、Br、Cl、I、CN、C(O)NRまたはC(O)SRであり(かつ−C(O)OHでない)ならば、式VIIIの化合物を、当業者に周知の方法によって式IXの化合物に変換するか、または代替として、式VIIIの化合物(ここで、Mは、−C(O)OHに変換可能な官能基(例えば、Br、Cl、I、CN、C(O)NR、またはC(O)SR)である)を最初に、適切なプロセスによって、式VIIIの化合物(ここで、Mは、−C(O)OR)に変換し、次いで、その化合物を上記に定義されるように反応させ得る)。適切な溶媒の非限定的な例としては、エーテル、アルコール、ニトリルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。エーテル溶媒の非限定的な例としては、THF、tert−ブチルメチルエーテル(「TBME」)、ジエチルエーテル、ジグライムなど、およびそれらの混合物が挙げられる。ニトリル溶媒の非限定的な例としては、プロピオニトリル、アセトニトリルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。アルコール溶媒の非限定的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、エーテル溶媒、より好ましくはTHFが挙げられる。適切な塩基の非限定的な例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウム、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい塩基としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムが挙げられる。その反応混合物を、約2時間またはその反応が完了するまでの間、およそ室温〜およその還流温度にわたる範囲、好ましくは約60℃〜およその還流温度にわたる範囲、より好ましくはおよその還流温度で、攪拌する。次いで、その溶液を有機酸または無機酸(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、トリフルオロ酢酸(TFAA)、HSO、HCl、HPO、クエン酸、塩化メシル、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩、アルキルスルホン酸など、またはそれらの混合物で酸性化して、式IXの化合物を得る。好ましい酸は、HClである。その塩基を、概して、式VIIIの化合物に対して、少なくとも約0.2モル当量から、好ましくは少なくとも約0.8モル当量、およびより好ましくは約1.0〜約1.2モル当量、使用し得る。
【0083】
(工程4:)
適切な溶媒中の工程3からの式IXの化合物を、酸塩化物(例えば、SOClまたは塩化オキサリル、好ましくはSOCl)と混合して、対応する酸塩化物を形成させる。適切な溶媒の非限定的な例としては、アセトニトリル、塩化メチレン、プロピオニトリル、DMF、N−メチル−ピロリジノン(NMP)、THFなど、またはそれらの混合物、挙げられ、好ましくはアセトニトリルである。その反応混合物を、約30分間〜約6時間にわたる時間、好ましくは約45分〜約2時間にわたる時間、より好ましくは約1時間、およそ室温〜およその還流温度、好ましくは約30℃〜約60℃、より好ましくは約40℃〜約45℃にて実施する。
【0084】
別に、式Xの化合物(市販されているか、または(例えば、実施例の節において)別個に上記のように調製される)および適切な塩基を、約1時間またはその反応が完了するまでの間、およそ室温〜約60℃にて適切な溶媒中で混合する。適切な溶媒の非限定的な例としては、ニトリル、炭化水素、塩素化炭化水素、アミド、エーテルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。溶媒の例としては、アセトニトリル、塩化メチレン、プロピオニトリル、DMF、NMP、THFなど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒は、アセトニトリル、DMF、またはそれらの混合物である。適切な塩基の非限定的な例としては、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムが挙げられ、より好ましくは水酸化リチウムである。その結果として生じる混合物に、上記に記載される溶液または式IXの化合物の酸塩化物を含む混合物を添加する。次いで、その反応混合物を、約30分またはその反応が完了するまでの間、攪拌して、式IVの化合物を得る。その反応を、約10℃〜約80℃、好ましくは約15℃〜約60℃、およびより好ましくは約20℃〜約40℃で行う。式Xの化合物を、概して、式IXの化合物に対して、少なくとも約1.0モル当量、好ましくは少なくとも約1.5モル当量、およびより好ましくは約1.8モル当量〜約2.2モル当量、使用し得る。
【0085】
その生成物(式IVの化合物)を、約−10℃〜約40℃で、酢酸、HCl、HSOなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される適切な酸を用いるその反応混合物の酸性化によって単離する。好ましい酸は、HClである。
【0086】
本明細書中で記載される反応スキームにおける種々の工程の生成物を、当業者に周知の従来の技術(例えば、濾過、再結晶、溶媒抽出、蒸留、沈殿、昇華など)によって、単離および精製し得る。その生成物を、当業者に周知の従来の方法(例えば、薄層クロマトグラフィー、NMR、HPLC、融点、質量スペクトル分析、元素分析など)によって、純度について解析および/または調べることができる。
【0087】
以下の非限定的な実施例を、本発明をさらに説明するために提供する。反応では、式中のAがメチルであり、Mがメトキシカルボニルであると記載されている;しかし、そのような記載は説明の目的のためのみであり、いかなる点においても限定するものでないことは、当業者に明らかである。本開示の物質、方法の両方および反応条件についての多くの改変、変更および代替、が行われ得る。全てのそのような改変、変更および代替は、本発明の精神および範囲内であると意図される。
【実施例】
【0088】
他の記載がない限り、以下の実施例において以下の略語は以下に記載される意味を有する:
Hz=ヘルツ
MHz=メガヘルツ
mL=ミリリットル
NMR=核磁気共鳴分光法
DME=ジメチルエーテル
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDCl=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド
EtOAc=酢酸エチル
THF=テトラヒドロフラン。
【0089】
以下の実施例における化合物は、種々の式における化合物を反映し、ここで、Aはメチルであり、Mはメトキシカルボニルである。
【0090】
(実施例1:式VIIの化合物の調製)
【0091】
【化31】

エノン(式VI)の調製
500mLのCHCl中のエチルビニルエーテル(199mL)の溶液に、ピリジン(180mL)を添加した。次いで、250mLのCHCl中の無水トリフルオロ酢酸(438g)の溶液を、0℃で添加した。30分間、室温で攪拌した後、その溶液を200mLのHOに注いだ。その層を分離して、その水層を200mLのCHClで再び抽出した。その有機層を混合し、HOで洗浄して、MgSO上で乾燥した。次いで、溶媒の除去によって、未精製のエノンVIである、1,1,1−トリフルオロ−4−エトキシブタ−3−エン−2−オン(292g)を得、それを、さらに精製することなく次の工程において使用した。
【0092】
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.42(t,J=7.0Hz,3H),4.12(q,J=7.0Hz,2H),5.86(d,J=12.4Hz,1H),7.92(d,J=12.4Hz,1H)。
【0093】
(式VIIの化合物の調製)
1L MeOH中のメチル−3−アミノ−4−メトキシベンゾアート(Indofine Chemical Company,Inc.,Somerset,New Jerseyから入手可能である式IIの化合物)、(315g,1.74モル)の溶液に、未精製のエノンVI(350g、約2.09モル)を添加した。その反応物を、30分間、室温で攪拌した。1時間、0℃まで冷却した後、その固体を減圧下で濾過し、乾燥させて、黄色の固体として所望の式VIIの化合物であるメチル4−メトキシ−3−{[(E)−4−トリフルオロメチル−3−オキソ−1−ブテニル]アミノ}ベンゾアート(500g、収率95%)を得た。
【0094】
H NMR(400MHz,CDCl)δ3.94(s,3H),4.04(s,3H),5.74(d,J=8.0Hz,1H),7.00(d,J=8.8Hz,1H),7.79(dd,J=13.2,8.0Hz,1H),7.87(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),7.92(d,J=2.0Hz,1H),11.01(br,1H)。
【0095】
(実施例2.式VIIIの化合物の調製)
Z=エトキシである場合の環化:
【0096】
【化32】

50℃で6LのCHCN中のメチル4−メトキシ−3−{[(E)−4−トリフルオロメチル−3−オキソ−1−ブテニル]アミノ}ベンゾアート(式VIIのエステル、760g、2.5モル)の溶液に、POCl(282mL、3.0モル)を添加した。次いで、その溶液を7時間、加熱して、還流した。次いで、エノン(i)(213g、1.25モル)を添加した。さらに12時間還流した後、その溶媒を除去した。次いで、その残留物を、5LのEtOAcおよび700mLのHO中で溶解した。その結果として得た溶液を、6LのHO中のKCO(1200g)の溶液中に注いだ。室温で20分間、攪拌した後、その層を分離した。その有機層から溶媒を除去して、続いて、2LのMeOH中で攪拌し、所望の化合物VIIIであるメチル8−メトキシ−2−トリフルオロメチル−5−キノリンカルボキシラート(420g、収率59%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.01(s,3H),4.18(s,3H),7.13(d,J=8.4Hz,1H),7.90(d,J=8.8Hz,1H),8.46(d,J=8.4Hz,1H),9.74(d,J=8.8Hz,1H)。
【0097】
13C NMR(100MHz,CDCl)δ52.50,56.99,107.58,117.72,117.98,121.82(q),129.67,135.08,137.33,139.32,146.96(q)。
【0098】
表1は、工程2に記載される手順と実質的に同様の手順を使用して種々の溶媒中で行った反応からの、式VIIIの化合物についての最適化されていない収率を列挙する。
【0099】
【表1】

Z=NHRである場合の環化:
【0100】
【化33】

上記の環化はまた、以下に示すような脱水剤(例えば、POCl)の存在下でエナミド(VI、Z=RNH)でアミンを処理することによって達成され得る。この環化の非限定的な例を、表2に示す。
【0101】
【表2】

(実施例3.式IXの化合物の調製)
【0102】
【化34】

室温で4LのTHF中のキノリンVIII(600g、2.1モル)の混合物に、3LのHO中のLiOH一水和物(180g、4.3モル)の溶液を添加した。7時間、室温で攪拌した後、その溶媒のTHFを除去した。EtOAc(12L)、続いて、濃塩酸(330mL)を添加した。その層を分離した。その有機層をMgSO上で乾燥した。溶媒の除去によって、所望の酸IXである8−メトキシ−2−トリフルオロメチル−5−キノリンカルボン酸(560g、収率98%)を得た。
【0103】
H NMR(400MHz,DMSO) 4.09(s,3H),7.39(d,J=8.4Hz,1H),8.11(d,J=9.0Hz,1H),8.45(d,J=8.4Hz,1H),9.71(d,J=9.0Hz,1H),13.25(br,1H)。
【0104】
(実施例4.式Xの化合物の調製)
【0105】
【化35】

80mLの3:1アセトニトリル/メタノール中の無水フタル酸(22.7g、2.5eq)およびウレアハイドロジェンペルオキシド(17.3g、3.0eq)の混合物を、全ての固体が溶解するまで35℃〜40℃で加熱した。室温まで冷却した後、固体の4−アミノ−3,5−ジクロロピリジン(10g、61ミリモル、Aldrich Chemical Company,Milwaukee,Wisconsinから入手可能である)を、少しずつ添加した。その反応温度を、添加の間に20℃〜25℃に維持した。この混合物を18時間、室温で攪拌し、150mLの冷却した亜硫酸ナトリウム水溶液(10.4g NaSO、1.4eq)でクエンチした。その結果生じたスラリーを濾過して、水で洗浄した。N−オキシドの湿ったフタル酸塩を、20mLの水で再びスラリーにして、水溶性のKCOで遊離塩基にした。室温で6時間、攪拌した後、そのスラリーを濾過して、水で洗浄した。湿ったケークを、75℃で風乾した。その残りの水を、2時間還流しているメタノール中の乾いたケークを、再びスラリーにすることによって除去した。それを、10℃〜20℃で濾過して、メタノールで洗浄した。そのケークを、メタノール含有量が0.1未満になるまで、75℃で真空乾燥した。その生成物である、4アミノ−3,5−ジクロロピリジン−N−オキシド(式Xの化合物)を得た(9.5g、純度98%、収率85%)。
H NMR(400MHz,DMSO)δ6.62(s,2H),8.25(s,2H)。
【0106】
(実施例5.式IIの化合物の調製)
【0107】
【化36】

(式IXの化合物の酸塩化物の調製)
上記の酸(IX、20g、74ミリモル)を、100mL乾燥アセトニトリル中でスラリーにした。塩化チオニル(9.2g、1.05eq)を、一部分中に40℃〜50℃で添加した。この混合物を、1時間、40℃〜45℃で加熱し、その溶液を以下のカップリング工程において直接使用した。
【0108】
(カップリング反応)
N−オキシド(式Xの化合物)(26.4g、2eq)および無水水酸化リチウム粉末(17.7g、10eq)を、400mLのDMF中で混合した。その混合物を、1時間、室温で攪拌して、クリーム状のスラリーを得た。上記の温かい酸塩化物溶液(40℃〜45℃)の形態を、20℃〜45℃のバッチ温度を維持している間に、1時間以上添加した。1時間、室温で攪拌した後、その混合物を、冷却した希釈HCl溶液中に注ぐことによってクエンチした。pHを、0.5〜1.5であるように調整した。その結果生じるスラリーを、1時間室温で攪拌して、濾過した。そのケークを水で洗浄して、一定の重量になるまで55℃〜60℃で風乾した。式IIの遊離塩基の固体を水和物(28.9g、純度96%、収率87%)として得た。
【0109】
H NMR(400MHz,DMSO)δ3.97(s,3H),7.34(d,J=8.4Hz,1H),7.98(d,J=8.8Hz,1H),8.05(d,J=8.4Hz,1H),8.62(s,2H),9.00(d,J=8.8Hz,1H),10.70(brs,1H)。
【0110】
(酢酸複合体による式IIの化合物の任意の精製)
上記のカップリング反応で得た固体を以下:
【0111】
【化37】

のように精製した。
【0112】
(式IIの化合物の酢酸複合体の調製)
上記の未精製の生成物(150g)を、100℃で9:1の酢酸/水混合物(3L)中に溶解した。その溶液を、2時間以上室温まで冷却して、濾過した。そのケークを、9:1の酢酸/水混合物(600mL)で洗浄して、エアドラフトオーブン中で55℃で乾燥した。式IIの化合物の酢酸複合体を、オフホワイトの固体(141.5g、収率76%)として得た。
【0113】
H NMR(400MHz,DMSO)δ1.91(s,3H),4.11(s,3H),7.49(d,J=8.3Hz,1H),8.13(d,J=9.0Hz,1H),8.20(d,J=8.2Hz,1H),8.77(s,2H),9.14(d,J=8.8Hz,1H),10.78(brs,1H),11.97(brs,1H)。
【0114】
(式IIの化合物の調製)
式II(27g)の化合物の酢酸複合体を、540mLイソプロパノール中の0.3gの微粉にした式2種のシード(Form 2 seeds)(社内で調製した)と混合した。そのスラリーを、1時間、還流にて加熱した。それを1時間以上、20℃〜25℃まで冷却した。さらに30分間、室温で攪拌した後、それを、濾過してイソプロパノールで洗浄した。そのケークを、一定の重量(23.3g、回収率98%)になるまで55℃〜60℃で真空乾燥した。そのNMRデータを上記に示した。
【0115】
種々の改変が本明細書中で開示される実施形態および実施例について行われ得ることが、理解される。従って、上記の説明は、限定的として解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の例示にすぎない。当業者は、本出願に添付した特許請求の範囲およびその精神内において種々の改変を起想する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IV:
【化1】

の化合物を製造する方法であって、該方法が、以下:
(1)式VIの化合物と式Vの化合物を反応させて、式VIIの化合物を得る工程であって:
【化2】

ここで、Aは、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−CF、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
Mは、Br、Cl、I、−CN、−C(O)OR、−C(O)NR、および−C(O)SRからなる群から選択され;
Zは、ハロゲン、−OR、−NRおよび−SRからなる群から選択され;
Rは、H、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択され;そして
、R、R、R、R、R、およびRは、同じであっても異なっていてもよく、それらの各々は、H、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、ここで、該アルキル、該アリール、該アラルキル、該ヘテロアリール、該シクロアルキルおよび該へテロシクリルは、各々置換され得ないか、または同じであっても異なっていてもよい1〜4個の独立して選択されるW部分で置換され得、ここで、Wは、アルキル、ハロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
(2)式VIIの化合物を環化させて、式VIII:
【化3】

の化合物を得る工程;
(3)式VIIIの化合物を変換させて、式IX:
【化4】

の化合物を得る工程;および
(4)式Xの化合物と式IXの化合物を反応させて、式IVの化合物を得る工程:
【化5】

を包含する方法。
【請求項2】
Mがメトキシカルボニルであり、Aがメチルであり、そしてZがエトキシである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程1が、約−20℃〜アルコール溶媒のおよその還流温度にて、該アルコール溶媒中で、前記反応が完了するまでの約30分間行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程2における環化させる工程が、前記反応が完了するまでの約30分間、およそ室温〜溶媒のおよその還流温度にて、溶媒中でPOCl、PCl、TfO、MsO、PClおよびPからなる群から選択される脱水剤を式VIIの化合物に添加すること、を包含する請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記脱水剤がPOClである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記溶媒が、エーテル、炭化水素、ニトリル、エステル、塩素化溶媒およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒がアセトニトリルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程3が、式VIIIの化合物を、約2時間または前記反応が完了するまでの間、およそ室温〜およその還流温度にて、エーテル、アルコール、ニトリルなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなど、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される塩基で処理して、式IXの化合物を得ること、を包含する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基が水酸化リチウムであり、そして前記溶媒がテトラヒドロフランである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程4が、最初に前記式IXの化合物をその酸塩化物へと変換し、続いて該酸塩化物を、約30分間〜前記反応の完了までのおよその間、約10℃〜約80℃にて、溶媒中の塩基の存在下で前記式Xの化合物と反応させ、続いて酸性化によって、式IVの化合物を得ること、を包含する請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記酸塩化物が、式IXの化合物をSOClまたは塩化オキサリルと反応させることによって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸塩化物がSOClである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基が、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記塩基が水酸化リチウムである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、ニトリル、炭化水素、塩素化炭化水素、アミド、エーテルなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が、アセトニトリル、DMFまたはそれらの混合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記酸が、酢酸、HCl、HSO、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記酸がHClである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式:
【化6】

の化合物を調製するための方法であって、該方法が以下:
(1)式Vの化合物を、約30分〜反応が完了するまでの間、約−20℃〜溶媒のおよその還流温度にて、アルコール溶媒中で式VIの化合物と反応させて、式VIIの化合物を得る工程
【化7】


(2)約30分間〜反応が完了するまでの間、およそ室温〜溶媒のおよその還流温度にて、POCl、PCl、TfO、MgO、PClおよびPからなる群から選択される脱水剤を用いて溶媒中で式VIIの化合物を処理することによって、該式VIIの化合物を環化させて、式VIII
【化8】

の化合物を得る工程:
(3)約2時間〜反応が完了するまでの間、およそ室温〜およその還流温度にて、エーテル、アルコール、ニトリルなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される塩基で式VIIIの化合物を処理することによって、式VIIIの化合物を加水分解させて、式IX
【化9】

の化合物を得る工程;および
(4)該式IXの化合物を式Xの化合物と反応させて、式IIの化合物を得る工程であって、該反応が、最初に式IXの化合物をその酸塩化物へ変換し、続いて、該酸塩化物を、約30分〜反応がおよそ完了するまでの間、約10℃〜約80℃にて、溶媒中の塩基の存在下で式Xの化合物と反応させ、続いて、酸性化によって式IIの化合物を得ることを包含する工程:
【化10】

を包含する、方法。
【請求項20】
式:
【化11】

の化合物。
【請求項21】
式:
【化12】

の化合物。

【公表番号】特表2007−505834(P2007−505834A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526359(P2006−526359)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/029773
【国際公開番号】WO2005/028471
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】