説明

PEM型燃料電池受動的水管理

水流区域入口マニホールド(33,37)が、燃料電池スタック(11)基部に配置してある。水流区域出口マニホールド(34,38)が、燃料電池スタックの頂部に配置してある。出口マニホールドと入口マニホールドは相互接続(41〜43,47,49,50)してあり、かくして多孔質水移送板を介するガス気泡漏れが機械式水ポンプ無しで自然対流による流れを引き起こす。直立管(58)内の水位の変動が、冷却剤の温度或いは流れを制御(56,60,62,63)する。別の実施形態では、水は循環させないものの、ガスと過剰な水を水出口マニホールドから排出させる。水溝(70)は、垂直とすることができる。疎水性領域(80)が気体の漏れをもたらし、水の気泡ポンプ給送を確実にしている。外部熱交換器(77)が、対流に向け水の密度差を最大化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロトン交換膜(proton exchange membrane)(PEM)型燃料電池に係り、水ポンプを一切設けず、水入口が燃料電池スタックの底部にあり、水出口が燃料電池スタックの頂部にあり、水循環の有無は問わず、多孔質水移送板を介する反応物漏れによるガス気泡を排出するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のPEM型燃料電池は、一側に反応物ガスを他側に水を有する多孔質水移送板を含む水管理システムを用いることができる。この種のシステムは一般に、低コストポンプを用いた効率的ポンプ給送に必要とされるガス分離器と併せ、水ポンプと蓄積装置とを含む。蓄積装置は、特に燃料電池により給電される電気自動車において、逼迫する空間を塞ぐものである。さらにまた、電動ポンプの寄生電力要求が燃料電池プロセスの効率全体を損なうものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらにまた、PEM型燃料電池を電池スタックが氷点下に落ちることのある環境で用いねばならないとき、除去すべき水の量がより少量であれば酌量の余地はあるが、稼働停止時に水の除去が要求される。さらにまた、凍結したポンプや導管を用いたこの種のシステムにおける始動は、不可能でないにせよ非常に難渋するものとなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的には、機械式水ポンプや水蓄積装置を必要としないPEM型燃料電池スタック、すなわちより高効率のPEM型燃料電池や、温度が燃料電池スタックを氷点下にもっていきやすい環境での使用により適したPEM型燃料電池や、寄生電力の低減されたPEM型燃料電池スタックや、改良されたPEM型燃料電池スタックが含まれる。
【0005】
本発明は、多孔質水移送板を有する燃料電池が燃料電池の始動時にほぼ即座に放出される幾分かの凍結水を有することになり、それによって蓄積装置内の水の必要性を排除し、それによってポンプに対するさらなる必要性を排除するという認識に一部基づくものである。
【0006】
本発明によれば、反応物ガス流区域と水流区域と冷却剤流区域とを有していて冷却剤が不凍液溶液であるPEM型燃料電池スタックが、機械式水ポンプや他の補助的水移動手段を用いずに達成される受動的水管理を用いる。本願明細書に使用する如く、「機械式ポンプ」は、遠心ポンプや容積式ポンプ等の業界公知の任意のポンプ或いはタービンを意味する。
【0007】
本発明の燃料電池スタックは、多孔質板を介して水流内へ漏れる反応物ガス気泡をスタックの頂部の少なくとも一つの水出口マニホールドと連通する排出口を介して逸出させることで、機械式水ポンプを用いることなく動作する。
【0008】
一つの形態の本発明によれば、酸化剤流区域に隣接する水流区域は水入口マニホールドと水出口マニホールドとを有し、それらは燃料流区域に隣接する水流区域の水入口マニホールド及び出口マニホールドとは別個としてある。
【0009】
本発明の一形態によれば、水出口マニホールドから流出する水は対流により水入口マニホールドへ戻り、水のポンプ給送は気泡ポンプ給送により高められ、すなわち水溝内を流れる流体がその中のガス気泡の存在が故により低い実効密度を有し、ただしスタック外部の水はそこからのガスの排出が故にかつその低い温度が故により高い密度を有する。
【0010】
改良は、多孔質板内の疎水性帯や疎水性スポットを用いてガス漏れを制御し、それによって多孔質板の濡れをもたらす適切な流れを確保する。
【0011】
別の改良は、循環ループ外部に熱交換器(冷却器)を用い、温度差をもたらして適切な流れを確実なものとする。この形の一実施形態では、スタック内の水位は制御装置により制御され、この制御装置が直立管内の水位の基準水位からの変動を監視し、冷却剤溝内の冷却剤の冷却程度或いは水溝内の水の流量のいずれか或いは両方を制御し、或いはシステム内の全在庫水もまた共に制御する。他の形態の本発明によれば、水がスタック全体に溜まり、全ての過剰が反応物ガス気泡と共に外部へ排出されるまで、水の外部流は存在せず、水は底部から上方へと単に満たすだけである。
【0012】
本発明の他の目的や特徴や利点は、添付図面にて図示したその例示実施形態の以下の詳細な説明に照らしてより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示す燃料電池スタックでは、全ての流体が複数通路の流れ区域を有する。具体的には、燃料電池スタック11は内部冷却剤入口マニホールド12と内部冷却剤出口マニホールド13を有する。その中の冷却剤は略S字形の溝内を各燃料電池14を通って入口マニホールド12から右方へ流れ、続いて燃料電池の中央を通って左方へ流れ、そこで右方へ冷却剤排出マニホールド13へ向け流れ、流れの方向は、図1に矢印と点線で線引きされる。図1の点線で線引きした3個の冷却剤流れ経路それぞれに、およそ18〜24条の冷却剤溝が存在しよう。
【0014】
燃料電池は、水素や炭化水素を改質して得た富水素流とすることのできる燃料反応物ガス用の入口マニホールド16を有する。各燃料電池内の燃料流区域は、マニホールド16,17間とマニホールド17,18間とに延びる多孔質アノード板の一面上に燃料流溝を備える。燃料は燃料入口マニホールド16から燃料反転マニホールド17へ向け右方へ流れ,そこで上方へ流れ、その後に燃料排出マニホールド18へ向け左方へ流れる。右方と左方の流れ溝は、燃料電池中央の水平な一点鎖線により線引きしてある。
【0015】
燃料電池11はまた、酸素でもよいが一般には空気である酸化剤反応物ガス用の酸化剤入口マニホールド21と空気反転マニホールド22と空気排出マニホールド23とを有する。各燃料電池内の酸化剤流区域は、マニホールド21,22間とマニホールド22,23間とに延びる酸化剤流溝を備える。空気は酸化剤入口マニホールド21から酸化剤反転マニホールド22へ上方へ流れ、そこでそれは左方へ流れ、続いて酸化剤排出マニホールド23へ下方へ流れ、燃料電池11中央の垂直な実線により上方及び下方への流れ通路が図1に線引きしてある。
【0016】
図2中、燃料電池スタックはまた多孔質板の酸化剤ガス流区域とは反対側の面にある水流区域用に燃料電池スタック11底部に水入口マニホールド33を有する。図2に水平の点線で線引きした各経路内に16〜18条の水流溝が存在しよう。入口マニホールド33から出口マニホールド34への酸化剤板上の水溝内の水の流れが、図2に矢印と点線で示してある。
【0017】
図3中、燃料電池スタック11はまた、燃料反応物ガス流区域を有する面とは反対側の多孔質板の面にある水流区域用の水入口マニホールド37と水出口マニホールド38を有する。水入口マニホールド37から水出口マニホールド38への燃料板上の水溝内の水の流れが、図3の矢印と水平点線により示してある。図3の点線で表わした各流れ経路内には、12〜16条の水流溝が存在しよう。
【0018】
図1〜図3の実施形態では、生成水はイオン交換膜を通り浸透(アノード側よりも高いカソード側の水の濃度に起因)によりカソードからアノードへ流れる。これは、中位の電流密度向けにここで用いる薄膜を用いて良好に機能することになる。燃料電池発電装置により給電する車両では高電流密度はごく瞬間的なものであり、この種の短い時間内ではアノードの脱水乾燥は生起しないことになる。
【0019】
本発明の一つの簡単な実施形態が、図4に示してある。そこでは、燃料側水排出マニホールド38は管路41により酸化剤側水出口マニホールド34からの管路42と、さらには管路43及び排出弁44内へと接続してある。排出弁44からは管路47が抜き出し弁48に接続してあり、管路47を燃料側水入口マニホールド37に接続する管路49と管路47を酸化剤側水入口マニホールド33に接続する管路50とが存在する。本実施形態では、燃料電池スタック11を始動したときに、燃料電池反応によって生じた生成水が溜まり始め、酸化剤板水流区域(図2)内及び燃料板水流区域(図3)内の全ての溝を満たす。充分な水が生成されると、水は排出マニホールド34,38を通って管路41,42,43内へ流出し、弁44を介して外部へ排出される。
【0020】
この過程で、酸化剤反応物ガス溝は水流溝とは反対側の多孔質板の一側にそれぞれあり、多孔質板の構造は35〜50kPa程度の気泡圧力を有するよう選択してあるため、動作差圧7〜14kPaでは多孔質板を介して反応物ガス流溝から対応する水流溝内へ一部ガスが漏れる不可避の欠陥が存在する。このことが、スタック外部の水とは対照的に、燃料電池スタック内のより高い温度の水と併せ、燃料電池スタック内の水溝内を流れる流体(ガスと水の混合物)の実効密度を、管路47,49,50内のガス気泡のない水の密度より低くする。かくして、水入口マニホールド33,37から対応する水出口マニホールド34,38への自然対流と、外部管路、特に管路47を介する下向きの流れが存在することになる。
【0021】
この過程がガス気泡をスタックから搬出させるが、これは先行技術では機械式ポンプによりスタックを通して水をポンプ給送することで達成されていた。各ガス気泡が水の自然対流循環の維持に役立つため、システムは自己回復型であり、何故なら水は最大のガス気泡流を伴って板へ自動的に流れることになるからである。ガス気泡は移動するため、平面図形上の任意のスポットでの完全脱水乾燥が極めて長続きすることはなく、これにより多孔質板の平面図形上の完全脱水乾燥(水無し)スポットを介する反応物の損失はごく一時的となり、かくして燃料電池プロセスへの影響は軽微となる。ガス気泡は、無論、排出弁44を介して流出することになる。燃料と酸化剤漏れガスの合体混合を回避すべき場合は、管路41,42は管路47へ合流する前に個別排出させることができる。しかしながら、酸化物側水入口マニホールド33を燃料側水入口マニホールド37と相互接続し、これによりカソードで生成した生成水を経路指定してアノードを加湿すべきである。
【0022】
図4の実施形態では、水溝は周囲へ排出され、かくしてほぼ大気圧にて動作するため、多孔質板を介して燃料及び酸化剤反応物ガス溝から水流溝内へ水を強制するのに必要な差圧は水素を約120kPa(17psia)と180kPa(26psia)の間に加圧することで供給しなければならない。同様に、酸化剤、一般には周囲の空気は、燃料とほぼ同一圧力に加圧する必要があり、これは弁55等の流れ絞り装置の背圧に抗して動作する送風機や圧縮機53により簡単に達成される。抜き出し弁48は、電気自動車に給電するのに用いる燃料電池スタックでは普通である燃料電池スタックの環境が氷点下に落ちることのあるどんな場合にも水溝及び導管41〜43,47,49,50からの水の抜き出しに用いることができる。
【0023】
別の実施形態では、排出弁44は水溝内の圧力を周囲圧力を上回る所定圧力に保つ背圧調整器とすることができる。燃料と酸化剤反応物ガスは、水流区域内の圧力を差圧20〜80kPa(2〜11psia)だけ上回る圧力にて反応物ガス溝へ供給すべきである。
【0024】
図5に示した本発明の他の実施形態は、適切に配置(図5の位置は概略に過ぎない)された直立管58内の水位を制御装置56を用いて検出する。直立管58内の水位が基準レベル57未満に低下すると、冷却剤流及び冷却剤温度のいずれか或いは両方を調整して電池をさらに冷却し、それによってより多量の水が回収されるようにできる。
【0025】
スタック内の水位を制御する好適な方法は、温度を制御することにある。制御装置56は弁62を動作させ、熱交換器63(例えば、燃料電池スタック11により給電する電気自動車の放熱器等)を冷却剤にどの程度迂回させるか決定することになる。水位が下がった場合、弁62を介する流れを若干減らし、それによって冷却剤流入口12から冷却剤出口マニホールド13への冷却剤流を冷却し、それによってより多量の水をスタック内に残留させるようにする。逆に、直立管58内の水位が基準レベル57を超えて増大した場合、制御装置56は弁62を若干開弁し、かくして冷却剤はスタック11内を流れる際に温度が上昇し、それによって保留される水の量をより少量にする。必要に応じ、両方の弁60,62を制御することができる。
【0026】
本発明の他の実施形態を、図6に示す。その中で、水出口マニホールド34,38は水入口マニホールド33,37への戻り管路とは接続していない。その代わり、生成水はそれが生成される際にスタックを介して上方へと溜まるようにされ、全ての過剰は弁44aを介して反応物ガス気泡と共に逸出させる。弁48は、水流区域から水を抜き出すのに用いる。本実施形態では、上方へ流れる自然な傾向が気泡を動かし続け、それによって全ての水流区域溝のどんな特定のスポットにおける脱水乾燥も防止し、それによってこの種のスポットにおける燃料或いは酸化剤の枯渇をまた防止する。この実施形態は周囲圧力の水と共に動作し、それによって酸化剤だけでなく燃料の圧力もまた前述の実施形態と同様、周囲よりもおよそ120kPa(17psia)〜180kPa(26psia)上回るようにすることが必要である。
【0027】
図6中、弁44は圧力調整弁44aとして図示してある。圧力調整弁の使用により、燃料電池スタックは周囲を上回る水圧でもって動作できるようになろう。いくつかの例には、100kPa(14.7psia)の周囲環境内で約170kPa(22.5psia)の圧力の燃料及び酸化剤反応物ガス、及び150kPa(21psia)の水圧の操作が含まれる。他の例は、周囲水圧で130kPa(19psia)の圧力の燃料及び酸化剤反応物ガスを操作している。さらに別の例は、周囲水圧で約115kPa(16.4psia)の圧力の燃料及び酸化剤反応物ガスの操作を含む。無論、本発明は様々な組み合わせの圧力で稼働することのある燃料電池発電装置が稼働する圧力とは無関係である。
【0028】
図5に示したように、制御装置は圧力検出器67に応答して弁44の設定を制御し、それによって燃料電池スタック内の水の圧力を制御することができる。圧力は、本願明細書のいずれの実施形態においても他の従前の方法と同様に制御することができる。
【0029】
図7の実施形態は、カソード多孔質板の面上の垂直水溝を示す。垂直溝は、6本の通路、すなわち図2に点線と矢印で示した一部水平な水流溝とは対照的に、燃料電池を通る水の上方への流れを亢進させている。図7中、循環を向上させるため、ガス分離器72が排出口73を介して気泡を除去し、かくしてガス分離器72の底部76から管路47aを介して水だけが熱交換器77へ向け下方へ流れるようにしてある。熱交換器77は単に垂直軸を有する導管のコイルとすることができ、或いは熱交換器77内の加熱の結果として周囲空気がそれを通って空気のポンプ給送に資するよう好ましくはその片側に横たわる公知各種の管及びフィン熱交換器とすることができる。次いで、水は管路47bを通ってから弁48へ流れ、管路50を通って水入口マニホールド33へ流れることになる。熱交換器77内での水の冷却は、全てのガスがガス分離器72によりそこから除去されるという事実により亢進される。冷却剤流溝70内よりも管路47b,50内では水がずっと低温である状態で、水の適当なポンプ給送が気泡の除去と水の循環を確かなものとし、かくして燃料電池内に殆どガス漏れをもたらさない概ねごく一時的な脱水乾燥スポットが存在するようになる。
【0030】
図8中、垂直な水溝70を有する同様の実施形態には二重点線80で示した極端に小型の疎水性帯が配設してあり、多孔質アノード板14全体を水平に横切って延び、反応物ガスと水との間の差圧に起因する水溝内へのガス漏れを亢進している。さもなくば、各水流溝内の個別スポットを疎水性とすることもできる。このことが、水溝それぞれの平均密度がガス気泡により低減され、それによってガス分離器72によりそこからガスが除去された管路47,50内の密度よりも低くなることを確実にしよう。局所的な疎水性領域を作り出すには、FEP TEFLON(登録商標)やKYNAR(登録商標)等の任意の公知防水材料を用いることができる。この材料はコロイド懸濁液や溶液内に或いは粘性インクとして適用することができる。それは、計量供給微細液滴やスクリーン印刷やインクジェット印刷や他の任意の公知手段で適用することができる。多孔質板の疎水性部分には、所望に応じて防水帯或いは個別防水領域のいずれかを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】スタックの各電池を流れる冷却剤の流れを示す燃料電池スタックの様式化端部立面図。
【図2】各燃料電池のカソード側の水の流れを示す燃料電池スタックの様式化端部立面図。
【図3】各燃料電池のアノード側の水の流れを示す燃料電池スタックの様式化端部立面図。
【図4】外部の水循環ループを含む燃料電池スタックの様式化端部立面図。
【図5】電池スタック内の水量を制御する水流或いは冷却剤流に対する制御を含む燃料電池スタックの様式化端部立面図。
【図6】周囲圧力を超える水圧をもたらす圧力調整器を含む燃料電池スタックの様式化端部立面図。
【図7】水循環ループ内に垂直水流溝と外部熱交換器を用いる代替実施形態を示す図。
【図8】外部循環ループ内で水を流す適当なガス漏れを確実にする疎水性領域を有する垂直水流溝を用いる代替実施形態を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動的水管理を有するPEM型燃料電池発電装置で、
複数の燃料電池を備えるPEM型燃料電池スタック(11)で、前記燃料電池それぞれが一側にカソードを有するとともに他側にアノードを有する膜電極アッセンブリを有し、前記カソードと前記アノードがそれぞれ一面に反応物ガス流溝と前記一面とは反対側の面に水流溝を有する多孔質流れ区域板を有する前記PEM型燃料電池スタックを備える前記発電装置であって、
前記燃料電池スタックの頂部近傍の少なくとも一つの水出口マニホールド(34,38)で、前記水流溝が前記燃料電池それぞれの底部近傍から前記少なくとも一つの水出口マニホールドへ概ね上方へ延び、それによって前記アノード側の前記水流溝内へ漏れる燃料反応物ガスにて前記アノード側の前記水溝内の水を前記少なくとも一つの水出口マニホールドの一つへ上方へ気泡ポンプ給送させ、前記カソード側の前記水流溝内へ漏れる酸化剤反応物ガスにて前記カソード側の前記水溝内の水を前記少なくとも一つの水出口マニホールドの一つへ上方へ気泡ポンプ給送させる前記少なくとも一つの水出口マニホールドと、
前記少なくとも一つの水出口マニホールドに接続(41〜43)され、前記燃料電池スタックから燃料と酸化剤ガスを排出させ、それによって前記燃料電池スタック内の水の管理を機械式ポンプを用いずに実行する少なくとも一つの排出口(44)と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記燃料電池スタックの基部に配置した少なくとも一つの水入口マニホールド(33,37)をさらに備え、前記水溝が前記少なくとも一つの水入口マニホールドから前記少なくとも一つの水出口マニホールドへ概ね上方へ延びることを特徴とする請求項1記載の発電装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの水入口マニホールドに相互接続した抜き出し弁(48)をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の発電装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの水入口マニホールドを前記少なくとも一つの水出口マニホールドに接続し、それによって前記水を自然対流により前記スタックを通して流す導管(41〜43,47,49,50)をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の発電装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの排出口はガス分離器(58)の一部を備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【請求項6】
前記導管は制御可能な弁(60)を含み、さらに、
前記燃料電池スタック内の水位に応答して前記制御可能な弁を制御し、それによって前記スタック内の水の量を制御する手段(56)を備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【請求項7】
少なくとも一部の前記燃料電池間に点在し、それぞれがその中に冷却剤流溝を有する複数の冷却剤流板と、
前記冷却剤流溝と流体連通する冷却剤流システムで、冷却剤を冷却する放熱器(63)と前記燃料電池スタック内の水位に応答して前記冷却剤流システム内の冷却剤の冷却を制御する手段(56)とを含む前記冷却剤流システムと、
をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【請求項8】
前記多孔質板のうちの少なくとも一つの上にあり、それによって前記少なくとも一つの多孔質板の前記水溝内の水/ガス混合物の適切な気泡ポンプ給送をもたらすに十分なガス漏れを確かなものとする疎水性部分(80)をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【請求項9】
前記導管内にあり、それによって該導管内の水と前記水溝内の水との間に十分な密度差をもたらし、前記水流溝内の水/ガス混合物の対流を確かなものとする熱交換器(77)をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【請求項10】
前記水出口マニホールドのうちの少なくとも一つに接続され、前記少なくとも一つの水出口マニホールドに接続された前記水溝内を流れる水/ガス混合物からガスを除去するガス分離器(58)をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【請求項11】
受動的な水管理構成を有し、(1)該システムの各燃料電池の生成水及び凝縮物の一部の除去と、(2)システム水循環ポンプを一切用いずに前記各電池内での反応物の加湿とを行なう燃料電池発電装置で、前記システムの各燃料電池が、
高分子電極膜を含む膜電極アッセンブリ(MEA)と、
前記MEAの少なくとも一つの対応側と接触し、関連する反応物ガス流区域を形成する溝を配設した前記MEAに隣接した第1の面を有するとともに、水流区域を形成する溝を配設した前記第1の面とは反対側の第2の面を有する少なくとも一つの多孔質流れ区域板と、
前記流れ区域板のうちの対応する流れ区域板の前記水流区域内の圧力を超える圧力の反応物ガスを供給する少なくとも一つの反応物ガス供給源(16,28;21,53)と、
を備える前記発電装置であって、
前記流れ区域板水溝の頂部に接続されかつ大気中へ排出(41〜44)される少なくとも一つの上側水マニホールド(34,38)で、それを通して過剰な水だけでなく前記流れ区域板のうちの対応する流れ区域板の前記水溝内に漏れた反応物ガスをもまたそれぞれ大気中へ排出して前記マニホールドから逸出させるようにした少なくとも一つの上側水マニホールド(34,38)、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項12】
前記燃料電池スタックの基部に配置した少なくとも一つの水入口マニホールド(33,37)で、前記水溝が前記少なくとも一つの水入口マニホールドから前記少なくとも一つの水出口マニホールドへ概ね上方へ延びる前記少なくとも一つの水入口マニホールドと、
前記少なくとも一つの水入口マニホールドを前記少なくとも一つの水出口マニホールドと接続し、それによって前記水を自然対流により前記スタックを通して流す導管(41〜43,47,49,50)と、
少なくとも一部の前記燃料電池間に点在し、それぞれがその中に冷却剤流溝を有する複数の冷却剤流板と、
前記冷却剤流溝と流体連通する冷却剤流システムで、冷却剤を冷却する放熱器と前記燃料電池スタック内の水位に応答して前記冷却剤流システム内の冷却剤の冷却を制御する手段(56)とを含む前記冷却剤流システムと、
をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の発電装置。
【請求項13】
前記燃料電池スタックの基部に配置した少なくとも一つの水入口マニホールド(33,37)で、前記水溝が前記少なくとも一つの水入口マニホールドから前記少なくとも一つの水出口マニホールドへ概ね上方へ延びる前記少なくとも一つの水入口マニホールドと、
前記少なくとも一つの水入口マニホールドを前記少なくとも一つの水出口マニホールドと接続し、それによって前記水を自然対流により前記スタックを通して流す導管(41〜43,47,49,50)と、
前記導管内にあり、それによって該導管内の水と前記水溝内の水との間に十分な密度差をもたらし、前記水流溝内での水/ガス混合物の対流を確実なものとする熱交換器(77)と、
をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の発電装置。
【請求項14】
前記カソード板水溝の底部に及び対応する上側水マニホールドに(42,43,47,50)接続された下側水マニホールド(33)で、燃料電池動作期間中は閉じていて、前記燃料電池の動作が凍結温度で終了したときに前記溝のうちの対応する溝からほぼ全ての水を抜き出すよう開口させることのできる抜き出し口(35)を有する下側水マニホールドと、
前記アノード板水溝の底部に及び対応する上側水マニホールドに(41〜43,47,49)に接続された下側水マニホールド(37)で、燃料電池動作期間中は閉じていて、前記燃料電池の動作が凍結温度で終了したときに前記溝のうちの対応する溝からほぼ全ての水を抜き出すよう開口させることのできる抜き出し口(48)を有する下側水マニホールドと、
をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の発電装置。
【請求項15】
前記流れ溝(70)は垂直であることを特徴とする請求項1,2,4または11に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−524961(P2007−524961A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517416(P2006−517416)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/019570
【国際公開番号】WO2004/114434
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(500477447)ユーティーシー フューエル セルズ,エルエルシー (138)
【Fターム(参考)】