説明

PER3VNTR遺伝子型に基づく睡眠パラメータ及び睡眠誘導化合物に対する応答の予測

本発明は、個体の睡眠パラメータ(例えば、睡眠効率(SE)、持続的睡眠までの待ち時間(LPS)、入眠後覚醒時間(WASO)、全睡眠時間(TST))の予測、並びに個体のPER3タンデム反復数(VNTR)遺伝子型に基づく、睡眠誘導化合物に対するこのような個体の応答の予測に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
約5000万人のアメリカ人が慢性睡眠障害に罹患しており、さらに2000万〜3000万人が間欠性の睡眠障害に罹患している。不眠症は最も一般的な睡眠障害であり、アメリカ人集団の約10〜17%が罹患している。不眠症は、症状(医学、精神医学、概日性又は睡眠の障害に対して二次的)及び症候群(他の状態に帰することができない原発性不眠症)の両方である。慢性不眠症の25%が原発性不眠症に起因すると見積もられる。
【0002】
不眠症は、眠りに落ちる又は眠っていることが困難であり、体力が回復しない睡眠及び日中の機能障害を生じることを特徴とする。睡眠が困難であることは不眠症の症状の1つであるが、日中の症状には、眠気、集中力の低下、記憶障害、易怒性及び不安が含まれる。
【0003】
症状の持続時間に基づき、不眠症は、一過性又は長期/慢性と特徴付けできる。一過性不眠症とは、一晩〜1週間持続する睡眠の障害をいう。一過性不眠症は、ストレス、環境騒音、薬物療法の副作用、及び時差ボケに起因する睡眠/覚醒スケジュールの変化を含む多数の感情的及び環境的要因から生じ得る。慢性不眠症では、症状は、1ヶ月又はそれ以上まで、1週間に少なくとも3回存在する。未治療のままにすると、一過性不眠症は慢性不眠症に進行する可能性がある。
【0004】
ベンゾジアゼピンは、多くの形態の不眠症の治療に首尾よく使用されてきたが、副作用(例えば、残効性の日中の鎮静作用、反跳性不眠、健忘、易怒性及び依存性)が一般的である。非ベンゾジアゼピン薬剤が、不眠症の治療においてより頻繁で一般的な選択になってきている。これらの薬物は、ベンゾジアゼピンω−受容体に対して選択的に作用するか(ゾルディペム(Zoldipem)、アンビエン(Ambien)(登録商標);ザレプロン、ソナタ(Sonata)(登録商標);ゾピクロン、イモバン(Imovane)(登録商標))、又はベンゾジアゼピン受容体の近くに位置する又はアロステリックにカップリングされた結合ドメインでγ−アミノ酪酸−(GABA)受容体複合体と相互作用する(エスゾピクロン、ルネスタ(Lunesta)(登録商標))。不眠症の治療に使用される別の薬物ラメルテオン(ロゼレム(Rozerem)(登録商標))は、メラトニン受容体MT1R及びMT2Rの両方を標的化する。
【0005】
メラトニン(夜間に松果体が産生するホルモン)は、睡眠/覚醒サイクルの同調において主要な役割を果たす。メラトニンの産生は、視交差上核(SCN)と呼ばれる、視床下部中に位置する構造によって調節される。メラトニンは、2つの高親和性受容体MT1R及びMT2Rに結合することによって、体中の種々の標的組織及び標的細胞に影響を与える。高密度のメラトニン受容体発現の主な部位の1つは、SCN自体である。従って、複雑な内部経路及び外部の合図に対する継続的な曝露を介して、人間は、日中の覚醒状態及び夜間の眠気への強い傾向を維持する。時間生物学的効果に加えて、メラトニンは睡眠促進効果を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、個体の睡眠パラメータを予測する方法を提供し、この方法は、PER3タンデム反復数(VNTR)座位における個体の遺伝子型を決定するステップと、個体のPER3 VNTR遺伝子型が5/5である場合に、前記個体の睡眠パラメータが、PER3 VNTR遺伝子型が4/4又は4/5である個体よりもよりよい睡眠を示すことを予測するステップとを含む。
【0007】
本発明の別の態様は、睡眠障害又は別の障害の症状としての不眠症に罹患している患者を治療する方法を提供し、この方法は、PER3タンデム反復数(VNTR)座位における患者の遺伝子型を決定するステップと、患者のPER3 VNTR遺伝子型に基づいて患者を治療するステップとを含む。
【0008】
本発明の別の態様は、睡眠研究に含める個体を選択する方法を提供し、この方法は、PER3 VNTR座位の個体の遺伝子型を決定するステップと、個体のPER3 VNTR遺伝子型が5/5である場合に、個体が、5/5以外のPER3 VNTR遺伝子型を有する個体よりも、睡眠増強組成物又は睡眠誘導組成物に対する応答性が低いであろうと結論付けるステップとを含む。
【0009】
本発明のなお別の態様は、睡眠誘導化合物に対する有効な応答と関連する遺伝子型を有する患者における、睡眠障害、又は別の障害と関連する不眠症の1つ又は複数の症状の治療における使用のための、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】一晩全部の間の、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド投与後の5/5及び非5/5(即ち、4/4又は4/5)のPER3 VNTR遺伝子型を有する個体の応答を示す図である。
【図1b】夜の最初の3分の1の間の、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド投与後の5/5及び非5/5(即ち、4/4又は4/5)のPER3 VNTR遺伝子型を有する個体の応答を示す図である。
【図1c】夜の2番目の3分の1の間の、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド投与後の5/5及び非5/5(即ち、4/4又は4/5)のPER3 VNTR遺伝子型を有する個体の応答を示す図である。
【図1d】夜の3番目の3分の1の間の、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド投与後の5/5及び非5/5(即ち、4/4又は4/5)のPER3 VNTR遺伝子型を有する個体の応答を示す図である。
【図2】PER3 VNTRが5/5の個体及び非5/5の個体の持続的睡眠までの待ち時間(LPS)及び入眠後覚醒時間(WASO)応答を分で示す図である。
【図3】PER3 VNTRが5/5の個体及び非5/5の個体の睡眠効率(SE)応答を示す図である。
【図4】プラセボと比較した%応答で、PER3 VNTRが5/5の個体及び非5/5の個体のLPS応答及びWASO応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド(VEC−162)は、MT1R及びMT2Rメラトニン受容体の特異的で強力なアゴニストであり、原発性不眠症及び概日リズム睡眠障害(CRSD)の治療に関して現在臨床開発中である。(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、完全に示されるものとして参照により本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,856,529号明細書中に開示されている。(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの構造は、以下に示される。
【化1】

【0012】
(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、即時放出形態で典型的に投与されるが、制御放出形態が本発明の範囲内に含まれる。この薬物は、単独でも、別の活性医薬成分と併用しても送達できる。
【0013】
投与経路は通常経口であるが、他の投与経路(例えば、非経口、静脈内、筋内、頬側、ロゼンジ剤、経皮、経粘膜など)が使用できる。国際公開第2003037337号パンフレット又は国際公開第2004006886号パンフレットに開示されるようなデポー形態を含む、制御放出形態(例えば、持続性、拍動性又は遅延性)も使用できる。
【0014】
他のメラトニンアゴニストも本発明の実施において使用でき、例えば、N−[1−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル]−N−エチルウレア]、ラメルテオン((S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ−[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド)、LY156735((R)−N−(2−(6−クロロ−5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)プロピル)アセトアミド)、アゴメラチン(N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル)アセトアミド)、2−フェニルメラトニン、8−M−PDOT、2−ヨードメラトニン、6−クロロメラトニン、TAK−375、CGP52608、GR196429、S20242、S−23478、S24268、S25150、GW−290569、ルジンドール(Luzindole)、GR135531、メラトニンリサーチ化合物(Melatonin Research Compound)A、メラトニンアゴニスト(Melatonin Agonist)A、メラトニンアナログ(Melatonin Analogue)B、メラトニンアゴニストC、メラトニンアゴニストE、メラトニンアゴニストG、メラトニンアゴニストH、メラトニンアゴニストI、メラトニンアナログ(Melatonin Analog)J、メラトニンアナログK、メラトニンアナログL、AH−001、GG−012、エノール−3−IPA、ML−23、SL−18.1616、IP−100−9、睡眠誘導ペプチド(Sleep Inducing Peptide)A、AH−017、AH−002、BDD−40001、PD6735、テアニン及びIP−101が含まれる。これらの化合物の多くは、参照により本明細書中に組み込まれる、2007年5月21日出願の国際特許出願第PCT/US07/69366号明細書中に記載されている。本発明は、上記化合物の代謝産物又はプロドラッグ、並びに上記化合物の任意の水和物、抱合体、塩、エステル、異性体、多形又はアナログの使用を含む。
【0015】
(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの代謝産物には、例えば、参照により本明細書中に組み込まれる、Vachharajaniら、J.Pharmaceutical Sci.、92(4):760−772による「Preclinical Pharmacokinetics and Metabolism of BMS−214778,a Novel Melatonin Receptor Agonist」に記載されたものが含まれる。これらの代謝産物には、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの、ヒドロキシル化、脱水素化、グルクロニド及びジオール誘導体が含まれる。
【0016】
組成物は、好ましくは経口単位剤形で製剤化され、各投薬量は、約5〜約100mgの(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドを含む。用語「単位剤形」とは、ヒト被験体のための単位投薬量として適切な物理的に別個な単位をいい、各単位は、必要とされる医薬的担体と関連して、治療期間の過程にわたって所望の予防効果又は治療効果を生じるように計算された、所定の量の活性物質を含む。従って、例えば睡眠障害に罹患している成人患者は、1〜4個の錠剤を処方され得、各錠剤は、約10mg/日〜約100mg/日の合計1日用量のために、約5mg〜約100mgの(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドを含む。
【0017】
用語「約」は、一般に、プラスマイナス10%の範囲を意味するが、但し、全部で1桁の値又は小数値に関しては、この範囲は、言及された最後の桁のプラスマイナス1以内である。従って、「約100」には90〜110が含まれ、「約5」には4〜6が含まれ、「約1.5」には1.4〜1.6が含まれる。いかなる場合も、用語「約」は、無意味な値(例えば、100%を超える又は0未満の値)を含み得る。
【0018】
いくつかの遺伝子が、概日時計の調節に関与するとされており、睡眠障害及び他の医学的状態におけるそれらの関与は、ますます認識されている。PER3遺伝子は、視交差上核において概日性パターンで発現されるPeriodファミリーの遺伝子のメンバーである。PER3遺伝子中のいくつかの多型が記載されており、これには、4つの反復又は5つの反復の2つの対立遺伝子を有するタンデム反復数(VNTR)が含まれる。このVNTRは、日内優先及び睡眠相後退症候群(DSPS)と関連するとされてきた。最近、この多型が睡眠構造及び覚醒成績を予測することも実証されている。
【0019】
この多型の影響を、種々の睡眠パラメータ(持続的睡眠までの待ち時間、入眠後覚醒時間、睡眠効率)に関して調査し、これらのパラメータを、一過性不眠症を模倣する臨床プロトコルにおいて、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで治療された健康な被験体又はプラセボで治療された健康な被験体において、睡眠ポリグラフィによって客観的に評価した。以下にさらに詳細に説明するとおり、PER3 VNTR多型は、誘導された一過性不眠症プロトコルによって個体がいかに影響を受けるか、及び(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド治療に対する個体の応答に対して、顕著な影響を有することが見出された。
【0020】
一過性不眠症は、慣れない環境中で睡眠することによって、睡眠の開始及び睡眠の維持が正常に睡眠する成人において破壊される「第1夜効果」の結果として、実験室設定において誘導できる。一過性不眠症のこのモデルは、正常に睡眠する成人のいくつかの研究において検証されている。不眠症は、複数の時間帯を超えて移動する(時差ボケ)などの他の要因によっても促進できる。この状態は、より早い就寝時刻を強制することによって(位相前進)、睡眠実験室において再現できる。本明細書中に報告される研究は、第1夜効果及び5時間の位相前進成分の両方を使用して、一過性不眠症が誘導される可能性を増加させた。多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照平行試験を実施して、一過性不眠症が誘導された健康な男性及び女性の被験体において、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの単回経口用量(20mg、50mg及び100mg)及び対応するプラセボの有効性及び安全性を調査した。以前の研究により、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、単回用量で300mgまで、複数回用量(28日まで)で150mgまで、健康なボランティアによって充分耐容されることが示されている。持続的睡眠までの待ち時間(LPS)、入眠後覚醒時間(WASO)及び睡眠効率(SE)を、睡眠ポリグラフィを使用して客観的に評価した。
【0021】
この臨床試験に参加した被験体のうち70%より多くが、任意選択のPG研究に同意した。彼らのうち、288人を、PER3 VNTR多型について遺伝子型決定した。
【0022】
以下のプライマーを使用する標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、PER3 VNTR多型を検出した:
フォワード(配列番号1):5’−CAAAATTTTATGACACTACCAGAATGGCTGAC−3’、
リバース(配列番号1):5’−AACCTTGTACTTCCACATCAGTGCCTGG−3’。
【0023】
増幅後、5μLのPCR産物を、5μLの2×ゲルローディング色素と混合し、4%のアガロースゲル上で泳動し、遺伝子型を、581bpのバンド(4/4ホモ接合体)、635bpのバンド(5/5ホモ接合体)又は両方のバンド(4/5ヘテロ接合体)のいずれかの出現に基づいてコールした。
【0024】
ほとんどの他の集団で報告されたように、PER3対立遺伝子は、研究集団全体において最も一般的であった(約69%)。PER34/4、PER34/5及びPER35/5の遺伝子型の頻度は、それぞれ49%、40%及び11%であった。PER3対立遺伝子は、それぞれ15%及び10%のPER35/5遺伝子型頻度で、白人(29%)中よりも、黒人及びアフリカ系アメリカ人の被験体(36%)中でより高頻度であった。
【0025】
PER35/5遺伝子型を有する個体は、PER34/4又はPER34/5遺伝子型を有する個体よりも、誘導された一過性不眠症プロトコルにあまり影響されないことが見出された(図1a)。より具体的には、プラセボを受けたPER35/5遺伝子型を有する個体は、PER34/4又はPER34/5遺伝子型を有する個体についての66.4%と比較して、77.6%の全体的睡眠効率を有した。この差異は、夜の最初の3分の1及び2番目の3分の1において特に顕著であり、PER35/5についてそれぞれ77.2%及び72.4%であったのに対し、他の遺伝子型についてそれぞれ58.8%及び60.5%であった(図1b〜図1c)。プラセボ治療した被験体において見られた全体的睡眠効率における遺伝子型の差異は、LPS及びWASOの両方における差異を反映した。平均LPS及び平均WASOは、プラセボ治療したPER35/5遺伝子型を有する被験体についてそれぞれ29分及び99分であったのに対し、異なる遺伝子型を有する個体についてそれぞれ53分及び132分であった(図2)。
【0026】
(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、LPS、WASO及び睡眠効率の改善において有効であった。(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで治療した、PER34/4及びPER34/5を有する個体(一過性不眠症プロトコルにより、より大きく影響されると予測される)は実際、この治療からより大きい利益を得た。彼らは、PER35/5遺伝子型を有する被験体についての9.5%低い睡眠効率と比較して、プラセボ治療した被験体よりも、12%高い睡眠効率を経験した(図3)。この遺伝子型の影響は、PER34/4及びPER34/5遺伝子型についてプラセボよりもそれぞれ29%及び22.8%高い睡眠効率であったのに対し、PER35/5遺伝子型についてそれぞれ7.2%及び3.4%低い睡眠効率で、夜の最初の3分の1及び2番目の3分の1において特に顕著であった(図3)。夜の3番目の部分においては改善は見られなかった(図1d)。しかし、PER34/4又はPER34/5遺伝子型を保有する、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで治療した個体の睡眠効率は、PER35/5遺伝子型を有する個体よりもなお良かった(図3)。
【0027】
PER3遺伝子型の影響は、LPS及びWASOの測定値においても見られた。PER34/4及びPER34/5の個体は、PER35/5遺伝子型を有する個体についての8分だけ(27%)短いLPS及び32分(32.7%)長いWASOと比較して、プラセボで治療した場合よりも、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで治療した場合に、30分(56%)短いLPS時間及び21分(16%)小さいWASOを有した(図4)。
【0028】
PER3 VNTRにおける個体の遺伝子型は、任意のいくつかの方法によって決定することができる。例えば、この遺伝子型は、上記のように、DNA配列を直接分析することによって決定することができる。或いは、この遺伝子型は、当業者が認識するように、RNA転写物(例えば、mRNA)又は遺伝子発現産物(例えば、タンパク質)を分析することによって決定することができる。遺伝子型決定は、好ましくはex vivoで実施される。
【0029】
有効量は、例えば、患者、治療される障害又は症状の重篤度、及び投与経路に依存して、量的に変動し得る。このような用量は、慣用的な研究によって決定できる。一般に、全身投与(例えば、経口投与)のために、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの用量は、1つ又は複数の単位剤形で、約10mg/日〜約100mg/日の範囲となるであろう。
【0030】
実際に投与される(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの量を含む投薬プロトコルは、関連する状況(例えば、治療すべき状態、選択された投与経路、個々の患者の年齢、体重及び応答、並びに患者の症状の重篤度が含まれる)を考慮して、医師により決定されるであろうことが、理解されよう。患者は当然、可能性のある有害事象についてモニタリングされるべきである。
【0031】
粒子サイズも、選択される用量に影響を与えるであろう。より大きい粒子サイズ(即ち、D50が、約100μmよりも大きい(例えば、約100μm〜約200μm)場合)では、高いほうの限界(即ち、約100mgまで)の経口用量が有効であり、一方、より小さい粒子サイズ(即ち、D50が約100μm未満(例えば、約20μm〜約50μm))では、より低い用量(即ち、約100mg未満)が有用である(例えば、約10mg〜約80mg及び約20mg〜約50mg)。(上記を裏付ける粒子サイズの測定は、マルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer)を使用してレーザー回折で行った。D50(D10、D90、D100)値は、粒子の50重量%(10重量%、90重量%、100重量%)が示された直径又はそれ以下であることを意味する。)本発明の一実施形態において、上記用量は、即時放出形態(即ち、非制御放出製剤)で投与される。
【0032】
所望の場合、用量は、任意選択で、指針として以下を使用して、体のサイズを考慮して調整できる:より大きい粒子についての有用な量は、約1.5mg/kgまでである;より小さい粒子についての有用な量は、約1.5mg/kg未満(例えば、約0.1mg/kg〜約1.2mg/kg及び約0.3mg/kg〜約0.7mg/kg)の用量を含む。
【0033】
治療は、患者の概日リズムが正常に回復するまで、即ち、患者の正常な日常機能が睡眠障害によって阻害されなくなるまで、又は患者が正常に睡眠するようになるまで、継続される。治療は、再発の可能性を少なくするために、これらのエンドポイントが達成された後もしばらくの間継続できる。治療的使用又は予防的使用のために、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、標準的な従来の技術を使用して、その(又はある)必須活性成分として、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドを、固体又は液体の医薬的に許容可能な担体、並びに任意選択で医薬的に許容可能なアジュバント及び賦形剤と関連して含む医薬組成物として、通常は投与されるであろう。(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの医薬的に許容可能な塩も同様に使用できる。
【0034】
(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、95%のエタノール、メタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、イソプロパノール、ポリエチレングリコール(PEG−300及びPEG−400)中に非常に可溶性又は自由に溶解でき、水中では僅かに可溶性なだけである。水中の(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの飽和溶液の自然のpHは8.5であり、その水溶解度は、pHによって事実上影響を受けない。
【0035】
本発明の実施に有用な医薬組成物には、経口、非経口(皮下、筋内、皮内及び静脈内が含まれる)、経皮、気管支又は経鼻投与に適した剤形が含まれる。従って、固体担体が使用される場合、製剤を錠剤化にし、散剤若しくはペレットの形態で硬ゼラチンカプセルに入れ、又はトローチ剤又はロゼンジ剤の形態にすることができる。固体担体は、例えば結合剤、充填剤、錠剤化滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの、従来の賦形剤を含み得る。錠剤は、所望の場合、従来の技術によりフィルムコーティングしてもよい。液体担体が使用される場合、製剤は、シロップ剤、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、注射用の無菌ビヒクル、水性又は非水性の液体懸濁物の形態であってもよく、或いは使用前の水又は他の適切なビヒクルでの再構成のための乾燥製品であってもよい。液体製剤は、懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、非水性ビヒクル(食用油が含まれる)、防腐剤、並びに香味剤及び/又は着色剤などの、従来の添加剤を含み得る。非経口投与のために、ビヒクルは通常、少なくとも大部分は無菌水を含むであろうが、生理食塩水、グルコース溶液などを使用してもよい。注射可能な懸濁物もまた使用され得、この場合、従来の懸濁剤が使用され得る。従来の防腐剤、緩衝剤などもまた、非経口剤形に添加され得る。(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド化合物の、経口投薬製剤での投与が特に有用である。医薬組成物は、適切な量の(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドを含む所望の製剤に適した従来の技術によって製剤化され得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、第17版、1985を参照のこと。
【0036】
本発明で使用するための医薬組成物の製造において、活性成分(複数可)は、通常、担体と混合されるか、又は担体で希釈されるか、又はカプセル、サシェ剤、紙若しくは他の容器の形態であり得る担体内に封入されるかであろう。担体が希釈剤として機能する場合、この担体は、その活性成分のためのビヒクル、賦形剤又は媒体として機能する固体、半固体又は液体の材料であり得る。従って、この組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁物、エマルジョン、溶液、シロップ剤、エアロゾル(固体として又は液体媒体中)、例えば活性化合物を10重量%まで含む軟膏、軟及び硬ゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射溶液並びに無菌包装散剤の形態にできる。
【0037】
適切な担体及び希釈剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム並びに鉱油が含まれる。製剤は、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、保存剤、甘味剤又は香味剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、患者への投与後に、活性成分の迅速な放出、持続性の放出(徐放)又は遅延した放出を提供するように、製剤化することができる。
【0038】
典型的な単位剤形は、無水ラクトース、結晶セルロース、二酸化ケイ素コロイド、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムに加えて、20mg、50mg又は100mgの(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドを含む、サイズ0又はサイズ1のカプセルにできるであろう。湿気及び日光から保護しての15℃〜20℃での保存が推奨される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、投与される(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドのD50は、約100μm未満(例えば、約20μm〜約50μm又は約30μm〜40μm)である。
【0040】
(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、制御放出形態(例えば、遅延放出、持続性の放出(徐放)又はパルス放出)で製剤化することもできる。(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドは、他の薬物治療(抗うつ剤薬物治療又は他の感情障害を治療するための他の薬物治療が含まれるが、これらに限定されない)と併用して投与することもできる。従って、例えば、本発明は、他のメラトニン作動性アゴニスト又は他の睡眠誘導剤と併用した(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドの投与を包含する。
【0041】
本発明のさらなる態様は、睡眠障害又は別の障害の症状としての不眠症を有する患者に対する治療戦略を決定するためのキットである。このようなキットは、例えば、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドでの治療に対する患者の応答を予測すること、及びこのような予後に基づいて、より低い又はより高い用量の(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで患者を治療すること、他の治療と併用して(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで患者を治療すること、又は全体として異なる治療を選択することにおいて有用である。
【0042】
本発明のキットは、特に本明細書中に記載される遺伝子座中に存在する対立遺伝子を同定するための、物理的要素(例えば、プローブ)(限定ではなく、特異的プライマー、標識化核酸プローブ、抗体、タンパク質捕捉剤(複数可)、試薬(複数可)、指示シート(複数可)及び本発明の実施に有用な他の要素が含まれる)の組合せである。
【0043】
本発明のキットは、本明細書中の別の箇所に記載したような、PER3 VNTR座位における患者の遺伝子型を検出するために限定された少なくとも1つの試薬を備えてもよい。検出は、例えばヒトの染色体DNAの関連する部分を直接配列決定することによって直接的であり得、又は、例えばメッセンジャーRNA転写物を配列決定すること若しくは遺伝子発現産物(即ち、ポリペプチド)を配列決定することによって間接的であり得る。従って、試薬は例えば、ポリヌクレオチド、又はポリヌクレオチドのアレイ、又は抗体若しくは抗体のパネルであってもよい。
【0044】
このキットはまた、1つ又は複数の遺伝子特異的遺伝子型決定プライマー組成物を備えてもよい。このプライマー組成物は、少なくとも1つの遺伝子特異的遺伝子型決定ポリヌクレオチドを含むことができる。この組成物は、対立遺伝子特異的プライマー対の2つ以上のセットを含むことができる。2つの対立遺伝子特異的遺伝子型決定オリゴヌクレオチドは、別個の容器中に包装してもよい。いくつかの実施形態において、変性プライマーセットが、増幅のために提供される。
【0045】
別の実施形態において、このキットは任意選択で、遺伝子発現産物を検出及び識別するための等電点電気泳動法のための指示書を備えてもよい。
【0046】
抗体ベースのキットは、例えば、所与の対立遺伝子の遺伝子発現産物に特異的な、固体支持体に結合された抗体と、遺伝子発現産物に結合し、検出可能な基にコンジュゲートした第二の抗体とを備えることができる。
【0047】
このキットはまた、緩衝剤、ハイブリダイゼーション緩衝液及びタンパク質安定化剤又は核酸安定化剤(例えば、多糖類など)などの試薬も備え得る。例えばPCRによるDNA又はRNAの増幅を必要とするアッセイを実施する場合、このキットは、ポリメラーゼ又は反応緩衝液も備え得る。このキットは、任意の適切な様式で包装してもよく、典型的には、試験を実施するため又は結果を解釈するための印刷された指示シートと共に、単一の容器中に全ての要素を備える。
【0048】
本発明の種々の態様の上記説明は、例示及び説明の目的で提示されている。上記説明は、網羅的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも意図せず、改変及び変形が可能である。このような改変及び変形が、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0049】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書中に組み込まれる、同時係属中の2007年9月13日に出願された米国特許仮出願第60/972,196号明細書の利益を主張する。
【0050】
(配列表)
4KBを占め、2008年9月11日に作成した表題「VAND−0058−PCT_Seq_IDs.txt」の電子ファイル中に含まれる配列表は、本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の睡眠パラメータを予測する方法であって、
PER3タンデム反復数(VNTR)座位における個体の遺伝子型を決定するステップと、
個体のPER3 VNTR遺伝子型が5/5である場合に、前記個体の睡眠パラメータが、PER3 VNTR遺伝子型が4/4又は4/5である個体よりもよりよい睡眠を示すことを予測するステップと
を含む方法。
【請求項2】
睡眠パラメータが、睡眠効率(SE)、全睡眠時間(TST)、持続的睡眠までの待ち時間(LPS)及び入眠後覚醒時間(WASO)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
個体の遺伝子型がex vivoで決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
個体が睡眠障害に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
睡眠障害が、不眠症又は別の障害の症状としての不眠症である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
不眠症が、慢性不眠症及び一過性不眠症からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
個体のPER3 VNTR遺伝子型が5/5である場合に、前記個体が、PER3 VNTR遺伝子型が4/4又は4/5である個体よりも、睡眠誘導化合物に対する応答性が低いであろうと予測するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
睡眠誘導化合物がメラトニンアゴニストを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
メラトニンアゴニストが(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
睡眠障害又は別の障害の症状としての不眠症に罹患している患者を治療する方法であって、
PER3タンデム反復数(VNTR)座位における患者の遺伝子型を決定するステップと、
患者のPER3 VNTR遺伝子型に基づいて患者を治療するステップと
を含む方法。
【請求項11】
治療するステップが、有効量の睡眠誘導化合物を患者に投与するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
有効量が、睡眠効率(SE)、全睡眠時間(TST)、持続的睡眠までの待ち時間(LPS)及び入眠後覚醒時間(WASO)からなる群より選択される患者の少なくとも1つの睡眠パラメータを改善するのに充分である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
睡眠誘導化合物がメラトニンアゴニストである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
メラトニンアゴニストが(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有効量が患者のPER3 VNTR遺伝子型に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
有効量が約10mg/日〜約300mg/日である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
有効量が約10mg/日〜約100mg/日である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有効量が約20mg/日〜約50mg/日である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有効量が、PER3 VNTR遺伝子型が4/4又は4/5である患者よりも、PER3 VNTR遺伝子型が5/5である患者に対してより高い量である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
患者のPER3 VNTR遺伝子型が5/5である場合に、患者を治療するステップが、患者を(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミドで治療しないことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
不眠症が、慢性不眠症及び一過性不眠症からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
睡眠研究に含める個体を選択する方法であって、
PER3 VNTR座位の個体の遺伝子型を決定するステップと、
個体のPER3 VNTR遺伝子型が5/5である場合に、個体が、5/5以外のPER3 VNTR遺伝子型を有する個体よりも、睡眠増強組成物又は睡眠誘導組成物に対する応答性が低いであろうと結論付けるステップと
を含む方法。
【請求項23】
睡眠研究が、持続的睡眠までの待ち時間(LPS)、入眠後覚醒時間(WASO)、全睡眠時間(TST)及び睡眠効率(SE)からなる群より選択される少なくとも1つの指標を評価する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
睡眠誘導化合物に対する有効な応答と関連する遺伝子型を有する患者における、睡眠障害、又は別の障害と関連する不眠症の1つ又は複数の症状の治療における使用のための、(1R−トランス)−N−[[2−(2,3−ジヒドロ−4−ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロパンアミド。
【請求項25】
睡眠障害が、慢性不眠症及び一過性不眠症からなる群より選択される、請求項24に記載の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−538654(P2010−538654A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525021(P2010−525021)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/076147
【国際公開番号】WO2009/036257
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507021702)ヴァンダ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】