説明

PLL回路およびディスク再生装置

【課題】 再生信号波形に符号間干渉が生じても円滑に位相差を検出できるPLL回路およびそれを用いたディスク再生装置を提供する。
【解決手段】 データ補間回路104にて生成されたリサンプルデータは、イコライザ107によって、再生RF信号の高域周波数成分、すなわち、短マーク(たとえば、2T〜3T)に対応する周波数成分を強調する処理が施された後、位相比較器108に入力される。かかる高域強調処理により、短マーク期間における波形変動が強調され、スライスレベルに対するゼロクロス状態が改善される。よって、位相比較器108は、ゼロクロス検出に基づく位相ずれを円滑に検出でき、その結果、VCO110における周波数調整の円滑化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLL(Phase Locked Loop)回路およびディスク再生装置に関し、特に、高密度ディスクに対してデータ再生を行う場合等、再生信号波形に符号間干渉が生じる場合に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
PLL回路においては、適正サンプリングタイミングに対するデータサンプリングタイミングの位相差をもとに、データサンプリングタイミングの周期ないし周波数等を調整する処理が行われる。ここで、位相差は、再生信号波形のエッジ位置をもとに検出される。より詳細には、スライスレベルに対する再生信号波形のゼロクロス位置をエッジとして検出し、このエッジをもとに設定される正規のサンプルタイミングと、PLL回路にて生成されたサンプリングタイミングの間の位相ずれを求めることにより検出される。
【0003】
これに対し、記録メディアの分野では、データ容量の引き上げニーズを受けてメディアの高密度化が図られている。ところが、メディアの高密度化が進むと、それに応じて記録マークが短マーク化するため、再生信号波形に符号間干渉が生じてしまう。このため、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ等の高密度ディスクドライブでは、符号間干渉を積極的に利用した復号化処理(ビタビ復号化処理等)が用いられている。
【0004】
しかし、このように符号間干渉が生じると、再生信号波形のエッジ検出精度が劣化するため、PLL回路における位相差検出精度が劣化するとの問題が生じる。たとえば、図7に示す例では、短マークの連続期間に対応する期間Aの波形変動が小さいため、この期間におけるエッジ検出を円滑に行い得ない惧れがある。また、符号間干渉によってゼロクロスが生じない期間もあり(期間B)、その結果、エッジ検出を行い得ない期間が散在することが起こり得る。この場合、エッジ検出頻度の減少に伴って位相差の検出頻度も減少するため、その分、PLLの精度が劣化するとの問題が生じる。
【特許文献1】特開2004−234738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、再生信号波形に符号間干渉が生じても円滑に位相差を検出できるPLL回路およびそれを用いたディスク再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、再生信号に対するデータサンプリングタイミングの位相ずれを補償するPLL回路において、適正タイミングに対するデータサンプリングタイミングの位相差を検出する位相差検出部と、前記位相差検出部にて検出された位相差をもとに前記データサンプリングタイミングを調整するサンプリングタイミング調整部と、前記位相差検出部よりも前段に配されるとともに前記位相差の検出において参照される信号波形の高域周波数成分を強調する高域強調部とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、PLL回路によって生成されるサンプリングタイミングにて再生信号からデータを取得するディスク再生装置において、前記PLL回路は、適正タイミングに対するデータサンプリングタイミングの位相差を検出する位相差検出部と、前記位相差検出部にて検出された位相差をもとに前記データサンプリングタイミングを調整するサンプリングタイミング調整部と、前記位相差検出部よりも前段に配されるとともに前記位相差の検出において参照される信号波形の高域周波数成分を強調する高域強調部とを具備することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のディスク再生装置において、前記再生信号をサンプリングしてデジタルデータを生成するADコンバータを備え、該ADコンバータは、前記PLL回路によって生成されたサンプリングタイミングにて前記再生信号をサンプリングすることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載のディスク再生装置において、前記PLL回路によって生成されるサンプリングタイミングよりも高周波の非同期クロックにて前記再生信号をサンプリングしてデジタルデータを生成するADコンバータと、前記ADコンバータによって生成されたデジタルデータをもとに前記PLLによって生成されたサンプリングタイミングにおける前記再生信号のサンプル値を取得するリサンプルデータ取得回路とを具備することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2ないし4の何れかに記載のディスク再生装置において、前記再生信号波形に対し波形等化処理を施す波形等化器と、該波形等化器によって波形等化処理が施された再生信号波形から2値化データを生成する2値化データ生成回路を備え、前記PLL回路の高域強調部は、前記波形等化器と前記2値化データ生成回路を含む信号系に対し分岐するようにして配されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のディスク再生装置において、前記PLL回路の高域強調部は、前記波形等化器に対して並列に接続されていることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明に係るPLL回路は、以下の実施の形態では、イコライザ107、位相比較器108、LPF109およびデジタルVCO110からなる回路(図1および図6)、あるいは、イコライザ107、位相比較器108、LPF109およびデジタルVCO120からなる回路(図4)、あるいは、イコライザ107、位相比較器108、LPF109、DAC121およびアナログVCO122からなる回路(図5)にて具体化されている。
【0013】
また、本発明における「データサンプリングタイミング」は、図1および図6の実施形態においては「リサンプルタイミング」が対応しており、図4および図5の実施形態においてはPLLクロックによって既定されるADC103のサンプリングタイミングが対応している。
【0014】
また、本発明における「サンプリングタイミング調整部」は、図1および図6の実施形態においてはLPF109とデジタルVCO110にて具体化されており、図4の実施形態ではLPF109とデジタルVCO120にて具体化されており、図5の実施形態ではLPF109、DAC121およびアナログVCO122にて具体化されている。
【0015】
また、本発明における「高域強調部」は、以下の実施形態においてはイコライザ107にて具体化されており、本発明における「波形等化器」および「2値化データ生成回路」は、以下の実施形態においてはイコライザ105およびビタビデコーダ106にて具体化されている。
【0016】
また、請求項3における「ADコンバータ」は、図4および図5の実施形態におけるADC103にて具体化されており、請求項4における「ADコンバータ」および「リサンプルデータ取得回路」は、図1および図6の実施形態におけるADC103およびデータ補間回路104にて具体化されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、位相差の検出において参照される信号波形の高域周波数成分を強調することにより、当該信号波形の短マーク対応期間の波形変動を大きくすることができ、もって、当該信号波形に符号間干渉が生じても、当該信号波形のエッジ検出を円滑に行うことができる。したがって、本発明によれば、信号波形に符号間干渉が生じても、エッジ検出に基づく位相差検出を適正に行うことができ、PLLの精度を向上させることができる。
【0018】
また、請求項5または6に記載のように、波形等化器と2値化データ生成回路を含む信号系に対し分岐するようにして高域強調部を配するようにすれば、高域強調部による高域強調の影響がこの信号系に及ぶことを回避することができ、よって、再生データの劣化を抑制することができる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの例示であって、本発明ないし各構成要件の意義は、以下の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0021】
図1に、実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示す。本実施の形態は、DVD(Digital Versatile Disc)や次世代DVD等の高密度光ディスクに対して記録/再生を行う光ディスク装置に本発明を適用したものである。なお、図1には、再生系のみを図示し記録系については図示省略している。また、フォーカスサーボ回路やトラッキングサーボ回路等のサーボ系も図示省略している。
【0022】
図1に示す如く、本実施の形態に係る光ディスク装置は、光ピックアップ101と、増幅回路102と、ADC(Analog-Digital Converter)103と、データ補間回路104と、イコライザ105と、ビタビデコーダ106と、イコライザ107と、位相比較器108と、LPF(ループフィルタ)109と、デジタルVCO(Voltage Controlled Oscillator)110を備えている。
【0023】
光ピックアップ101は、ディスクにレーザ光を照射してデータの書き込みを行うとともに、ディスクからの反射光を受光してデータの読み取りを行う。増幅回路102は、光ピックアップ101から供給される再生RF信号を増幅してADC103に出力する。ADC103は、デジタルVCO110にて生成されるリサンプルクロックよりも高周波の非同期クロック(以下、システムクロックという)に応じたサンプリングタイミングにて再生RF信号をサンプリングし、サンプル値をデジタルデータに変換してデータ補間回路104に出力する。
【0024】
データ補間回路104は、ADC103から入力されるデジタルデータと、デジタルVCO110から入力されるリサンプルクロックおよびリサンプル位相情報を用いて、データ補間タイミング(以下、リサンプルタイミングという)におけるデータ値(リサンプルデータ)を算出し、算出したリサンプルデータをイコライザ105とイコライザ107に出力する。すなわち、図2示す如く、リサンプルクロックの立ち上がりタイミングからリサンプル位相情報に応じた位相だけずれたリサンプルタイミング(同図●印のタイミング)における補間値を、このリサンプルタイミングを挟む前後のADデータ(ADC103から入力されるデジタルデータ)をもとに算出し、これをリサンプルタイミングにおけるリサンプルデータとしてイコライザ105に出力する。
【0025】
イコライザ105は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータに対して波形等化処理を施してビタビデコーダ106に出力する。ビタビデコーダ106は、イコライザ105から供給されたデジタルデータにビタビ復号処理を施して1、0の2値化データを生成出力する。
【0026】
イコライザ107は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータに対し、再生RF信号波形の高域周波数成分が強調される処理を施して位相比較器108に出力する。なお、高域強調の具体的方法については、追って、図3を参照して説明する。
【0027】
位相比較器108は、イコライザ107から供給されるリサンプルデータをもとに再生RF信号波形のエッジ、すなわち、図2に示す再生RF信号波形とスライスレベルの交点位置を判別し、このエッジをもとに設定される正規のリサンプルタイミングとデジタルVCO110にて生成されたリサンプルタイミングの間の位相差を検出する。そして、この位相差に応じたデジタルデータ(位相差データ)をLPF109に出力する。
【0028】
LPF109は、位相差データの高周波成分を遮断して直流化し、これをデジタルVCO110に出力する。デジタルVCO110は、LPF109から供給された位相差データに応じて位相差を補償するようリサンプルクロックの周期を調整し、調整後のリサンプルクロックとそのリサンプル位相情報をデータ補間回路104に出力する。
【0029】
図3に、イコライザ107にて再生RF信号波形の高域周波数成分を強調したときの信号波形を示す。同図には、比較例として、図7にて示した再生RF信号の信号波形を重ねて示してある。
【0030】
図中、*印のプロット値は、再生RF信号波形に対するリサンプルタイミング時の振幅値(8ビットレンジ)を示し、○印のプロット値は、高域周波数成分を強調した信号波形に対するリサンプルタイミング時の振幅値を示している。同図の横軸は、測定後の経過時間(×15.4nsec)である。
【0031】
なお、この信号波形は、次世代DVDを対象としたものであって、再生RF信号波形の周波数成分のうち、高域周波数成分として2Tのマーク長に対応する周波数成分を強調したものである。具体的には、高域強調用のイコライザ107として、各タップのゲインが[-0.5 2.0 -0.5]に設定された3タップのトランスバーサルフィルタが用いられている。すなわち、リサンプルタイミングTnにおけるリサンプルデータの値をDnとすると、この値Dnに対する高域強調後のデータDn’は、この値Dnと、その前後のリサンプルタイミングTn-1およびTn+1におけるリサンプルデータの値Dn-1およびDn+1から、
n’=(-0.5×Dn-1)+(2×Dn)+(-0.5×Dn+1
として求められる。この構成では、2Tのマーク長に対応する周波数成分の信号波形が6dB(2倍)だけ持ち上げられる。なお、高域強調用のイコライザ107として5タップ以上のトランスバーサルフィルタを用いることも可能である。この場合、各タップのゲインを2Tのマーク長に対応する周波数成分の信号波形を効果的に持ち上げることができるものに適宜設定する必要がある。
【0032】
同図に示す如く、本測定例によれば、高域周波数成分を強調することにより、短マークの連続期間に対応する信号期間(たとえば、図中の期間A)の波形変動を大きくすることができ、これにより、この期間におけるエッジ検出を円滑に行い得るようになることが分かる。
【0033】
また、符号間干渉によってゼロクロスが生じない信号期間(たとえば、図中の期間B)についても、ゼロクロスが生じるようになり、その結果、エッジ検出を行い得ない期間が散在するとの現象を抑制することができる。よって、エッジ検出頻度の減少に伴って生じるPLL精度の劣化の問題を解消することができる。
【0034】
なお、DVD等の高密度光ディスクでは、全マーク長の出現頻度に対する短マークの出現頻度はかなり高いものとなっている。たとえば、次世代DVDの場合、2T、3Tのマーク長の出現頻度は、全マーク長の出現頻度の60〜70%程度の割合を占める。よって、この周波数成分を強調するだけでも、ゼロクロスが生じない信号期間の出現頻度をかなり抑制することができ、その結果、PLL精度の劣化を効果的に抑制することができるようになる。
【0035】
なお、図3の測定例では、2Tのマーク長に対応する周波数成分を強調するようにしたが、このように2T、3Tの信号マーク長の出現頻度が全マーク長の出現頻度の60〜70%程度であることからすると、さらに3Tのマーク長に対応する周波数成分をも強調するようにした方が、PLL精度の劣化をより効果的に抑制することができる。この場合には、高域強調用のイコライザ107として5タップ以上のトランスバーサルフィルタを用い、各タップのゲインを2T、3Tのマーク長に対応する周波数成分の信号波形を効果的に持ち上げることができるものに適宜設定する必要がある。
【0036】
なお、高域周波数成分のみならず低域周波数成分をも強調するようにした場合には、イコライザ107は単なるアンプの機能に近くなるため、例えば、図3における信号期間Bをゼロクロスさせることができなくなる。この場合、信号期間Bにおけるリサンプルデータの値は、イコライザ107を通すことによって、ゼロレベルからさらに離れることとなる。したがって、イコライザ107は、上記のように短マークに対応する周波数成分のみを強調するようにする必要がある。この場合、どのマーク長に対応する周波数成分までを強調するかは、上記のように、マーク長の出現頻度を考慮して適宜設定すれば良い。次世代DVDの場合には、上記のように、2Tから3Tまでのマーク長に対応する周波数成分を強調するものとすれば、PLL精度を十分に満足できるものとすることができる。
【0037】
以上、本実施の形態によれば、再生RF信号波形の高域周波数成分を強調することにより、当該信号波形の短マーク対応期間の波形変動を大きくすることができ、もって、当該信号波形に符号間干渉が生じても、当該信号波形のエッジ検出を円滑に行うことができる。したがって、本実施の形態によれば、信号波形に符号間干渉が生じても、エッジ検出に基づく位相差検出を適正に行うことができ、PLLの精度を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、高域強調用のイコライザ107を波形等化用のイコライザ105に並列に接続したため、高域強調用のイコライザ107による高域強調の影響が、波形等化用のイコライザ105およびビタビデコーダ106によって生成処理されるリサンプリングデータに及ぶことを回避することができ、よって、再生データの劣化を抑制することができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
【0040】
たとえば、上記実施の形態では、ADC103にてサンプリングされたデータに対しデータ補間回路104にて補間処理を行ってリサンプリングタイミングにおけるデータを取得するようにしたが、図4に示すように、デジタルVCO120にて生成されるPLLクロックをADC103のサンプリングクロックとして用い、ADC103にてサンプリングしたデジタルデータ(ADデータ)をそのままイコライザ105に入力して復号化処理を行うようにすることもできる。
【0041】
この構成において、イコライザ107は、ADC103から供給されるADデータに対し、上記と同様、再生RF信号波形の高域周波数成分が強調される処理を施して位相比較器108に出力する。位相比較器108は、イコライザ107から供給されるADデータをもとに再生RF信号波形のエッジを判別し、このエッジとPLLクロックの間の位相差を検出する。そして、この位相差に応じたデジタルデータ(位相差データ)をLPF109に出力する。
【0042】
LPF109は、位相差データの高周波成分を遮断して直流化し、これをデジタルVCO120に出力する。デジタルVCO120は、LPF109から供給された位相差データに応じて位相差を補償するようPLLクロックの発振周波数を調整し、調整後のPLLクロックをADC103に出力する。
【0043】
なお、この構成において、デジタルVCO120をアナログVCOに変更することも可能である。この場合には、図5に示すように、位相差データは、DAC(Digital-Analog Converter)121によってアナログ信号(電圧値)に変換された後、アナログVCO122に入力される。アナログVCO122は、DAC121から供給されたアナログ信号(電圧値)を制御信号として、PLLクロックの発振周波数を変化させる。
【0044】
なお、上記実施の形態では、高域強調用のイコライザ107を波形等化用のイコライザ105に並列に接続するようにしたが、これに代えて、たとえば図6に示すように、高域強調用のイコライザ107を波形等化用のイコライザ105に直列に接続することもできる。この場合、波形等化用のイコライザ105には、ビタビ復号化処理に適した波形等化処理を行う機能の他、高域強調用のイコライザ107によって加えられた高域強調を打ち消して信号波形を元の再生RF信号波形に戻す機能がさらに付加されているのが望ましい。
【0045】
ただし、この場合には、波形等化用のイコライザ105の設計をそれに応じて適宜調整する必要があり、また、高域強調を掛けすぎると波形等化用のイコライザ105にて信号波形を元の再生RF信号波形に精度よく復元できないとの危惧が生じる。その一方、これを避けるために高域強調の度合を小さくすると、上記図3にて示した効果、すなわち、短マーク期間における波形変動の強調効果や、ゼロクロスの出現頻度を高めることができるとの効果を満足に発揮させることができなくなる。よって、高域強調用のイコライザ107は、上記実施の形態に示す如く、波形等化用のイコライザ105に並列に接続するのが好ましい。こうすると、再生データに対する悪影響を回避しながら、高域強調の掛け具合を所望のものに適宜調整することができる。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、DVDや次世代DVD等の高密度光ディスクに対して記録/再生を行う光ディスク装置に本発明を適用した例を示したが、CD(Compact Disc)やCD−R(Recordable)、RW(ReWritable)等の他の光ディスクに対して記録/再生を行う光ディスク装置、あるいは、光磁気ディスク装置や磁気ディスク装置等、他のドライブ装置に本発明を適用することも可能である。但し、本発明の課題および効果として上記に示したとおり、本発明は、符号間干渉が生じるディスクを扱うドライブ装置に適用して効果を発揮するものである。
【0047】
この他、上記ではリサンプルタイミングの位相差をもとにVCOの周波数を調整するようにしたが、リサンプルタイミングの位相差のみならず周波数ずれをさらに検出し、位相差と周波数ずれの両方を加味しながらVCOの周波数を調整するようにしても良い。
【0048】
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示す図
【図2】実施の形態に係るリサンプルデータの生成方法を説明する図
【図3】実施の形態に係る高域周波数強調時の測定例を示す図
【図4】他の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示す図
【図5】他の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示す図
【図6】他の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示す図
【図7】本発明の課題を説明する図
【符号の説明】
【0050】
103 ADC(Analog-Digital Converter)
104 データ補間回路
105 イコライザ(波形等化用)
106 ビタビデコーダ
107 イコライザ(高域強調用)
108 位相比較器
109 LPF
109 加算器
110 デジタルVCO
120 デジタルVCO
121 DAC(Digital-Analog Converter)
122 アナログVCO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適正タイミングに対するデータサンプリングタイミングの位相差を検出する位相差検出部と、
前記位相差検出部にて検出された位相差をもとに前記データサンプリングタイミングを調整するサンプリングタイミング調整部と、
前記位相差検出部よりも前段に配されるとともに前記位相差の検出において参照される信号波形の高域周波数成分を強調する高域強調部とを有する、
ことを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
PLL回路によって生成されるサンプリングタイミングにて再生信号からデータを取得するディスク再生装置において、前記PLL回路は;
適正タイミングに対するデータサンプリングタイミングの位相差を検出する位相差検出部と、
前記位相差検出部にて検出された位相差をもとに前記データサンプリングタイミングを調整するサンプリングタイミング調整部と、
前記位相差検出部よりも前段に配されるとともに前記位相差の検出において参照される信号波形の高域周波数成分を強調する高域強調部とを具備する、
ことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記再生信号をサンプリングしてデジタルデータを生成するADコンバータを備え、該ADコンバータは、前記PLL回路によって生成されたサンプリングタイミングにて前記再生信号をサンプリングする、
ことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記PLL回路によって生成されるサンプリングタイミングよりも高周波の非同期クロックにて前記再生信号をサンプリングしてデジタルデータを生成するADコンバータと、
前記ADコンバータによって生成されたデジタルデータをもとに前記PLLによって生成されたサンプリングタイミングにおける前記再生信号のサンプル値を取得するリサンプルデータ取得回路とを具備する、
ことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れかにおいて、
前記再生信号波形に対し波形等化処理を施す波形等化器と、
該波形等化器によって波形等化処理が施された再生信号波形から2値化データを生成する2値化データ生成回路を備え、
前記PLL回路の高域強調部は、前記波形等化器と前記2値化データ生成回路を含む信号系に対し分岐するようにして配されている、
ことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記PLL回路の高域強調部は、前記波形等化器に対して並列に接続されている、
ことを特徴とするディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−216175(P2006−216175A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29284(P2005−29284)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】