説明

PLL回路

【課題】PLL回路のロック状態での定常位相誤差を抑制する。
【解決手段】PLL回路は,レファレンスクロックとフィードバッククロックの位相を比較し,当該位相の差を示す位相比較信号を出力する位相比較器と,位相比較信号が示す位相の差に応じた期間,第1のチャージポンプ電流と第2のチャージポンプ電流とを出力するチャージポンプ回路と,第1及び第2のチャージポンプ電流に基づく電荷を蓄積するキャパシタを有し,蓄積電荷による制御電圧を生成するループフィルタと,制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振器と,出力クロックを分周して前記フィードバッククロックを出力する分周器とを有し,さらに,ロック状態のときに,位相比較信号が示す位相の差に応じて,当該位相の差が抑制されるように,第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整するチャージポンプ調整回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,PLL回路に関する。
【背景技術】
【0002】
PLL回路は,入力されるレファレンスクロックとPLL回路の出力クロックをN分周(Nは正数)したフィードバッククロックとの位相を比較する位相比較器と,位相差に応じた電流を発生するチャージポンプ回路と,その電流を積分するループフィルタと,ループフィルタが出力する制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振回路と,その出力クロックをN分周してフィードバッククロックを生成する分周器とを有する。一般に,出力クロックは,レファレンスクロックのN倍の周波数を有する高速クロックである。
【0003】
PLL回路は,レファレンスクロックの位相と一致または整合した位相を有する出力クロックを生成し,レファレンスクロックのタイミングに整合した高周波クロックが必要な場合に広く利用される。
【0004】
PLL回路については,以下の特許文献1,2,3などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−345512号公報
【特許文献2】特開2006−333489号公報
【特許文献3】特開平10−233681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PLL回路は,理想的には,レファレンスクロックとフィードバッククロックとの位相が一致した状態で発振回路の制御電圧や出力クロックが一定になる。この状態がPLL回路のロック状態である。
【0007】
しかしながら,集積回路装置のプロセスばらつき,温度ばらつき,電源電圧ばらつきなど様々なばらつき要因により,ロック状態であってもレファレンスクロックとフィードバッククロックとの位相が定常的にずれてしまうことがある。このような位相のずれは定常位相誤差と呼ばれている。
【0008】
このような定常位相誤差が生じたままでロック状態になると,出力クロックの位相とレファレンスクロックの位相とがずれたままとなり,出力クロックのタイミングがレファレンスクロックのタイミングと整合しない。そのため,例えば出力クロックをレファレンスクロックのタイミングに整合した入力データのサンプリングクロックに使用した場合,入力データのデータレートが高速になると,誤ったタイミングでサンプリングされてしまい,誤った入力データが取り込まれることになる。
【0009】
そこで,本発明の目的は,ロック状態での定常位相誤差を抑制したPLL回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
PLL回路の第1の側面は,レファレンスクロックとフィードバッククロックの位相を比較し,当該位相の差を示す位相比較信号を出力する位相比較器と,
前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間,第1のチャージポンプ電流と第2のチャージポンプ電流とを出力するチャージポンプ回路と,
前記第1及び第2のチャージポンプ電流に基づく電荷を蓄積するキャパシタを有し,蓄積電荷による制御電圧を生成するループフィルタと,
前記制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振器と,
前記出力クロックを分周して前記フィードバッククロックを出力する分周器と,
ロック状態のときに,前記位相比較信号が示す位相の差に応じて,当該位相の差が抑制されるように,前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整するチャージポンプ調整回路とを有する。
【発明の効果】
【0011】
第1の側面によれば,ロック状態でレファレンスクロックとフィードバッククロックの位相差が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】PLL回路の構成図である。
【図2】PLL回路の理想的なロック状態の波形図である。
【図3】PLL回路の問題のあるロック状態の波形図である。
【図4】本実施の形態におけるPLL回路の構成図である。
【図5】本実施の形態例におけるPLL回路の位相比較器PFDの回路図である。
【図6】チャージポンプ回路CPの一例を示す回路図である。
【図7】チャージポンプ調整回路10の構成図である。
【図8】チャージポンプ調整回路10のチャージポンプ電流調整によるPLL回路の動作例を示すタイミングチャート図である。
【図9】本実施の形態における別のチャージポンプ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は,PLL回路の構成図である。PLL回路は,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBとの位相を比較する位相比較器PFDと,位相比較器が出力する位相比較信号UP(UPX),DN(DNX)に応じてチャージ電流IDN,IUPを生成するチャージポンプCPと,チャージポンプのチャージ電流を積分するループフィルタLFと,ループフィルタが生成する制御電圧VCNTLに応じて出力クロックOUTの周波数を制御する電圧制御発振器VCOと,出力クロックOUTの周波数をN分周してフィードバッククロックFBを生成する分周器DIVとを有する。位相比較信号UP,DNは,両クロックREF,FBの位相の差を示す信号である。また,位相比較信号DNXはDNの反転論理を,UPXはUPの反転論理をそれぞれとる。
【0014】
チャージポンプ回路CPは,位相比較信号UP,UPX,DN,DNXに応じて,正のチャージポンプ電流IDNまたは負のチャージポンプ電流IUPを生成する。これらのチャージポンプ電流は,例えば,位相比較信号が示す位相の差に対応した期間出力される。
【0015】
ループフィルタLFは,例えば,抵抗R1とキャパシタC1とからなり,正のチャージポンプ電流IDNにより電荷がキャパシタC1に蓄積され制御電圧VCNTLが上昇し,負のチャージポンプ電流IUPにより電荷がキャパシタC1から引き抜かれ制御電圧VCNTLが低下する。つまり,制御電圧VCNTLは,キャパシタC1に蓄積された電荷による電圧である。
【0016】
このPLL回路では,例えば,フィードバッククロックFBの位相がレファレンスクロックREFの位相より遅れている場合,位相比較信号UPに基づいて,チャージポンプ回路CPは負のチャージ電流IUPを出力し,ループフィルタLFのキャパシタC1から電荷を引き抜き,制御電圧VCNTLが低下する。その結果,電圧制御発振器VCOは,制御電圧VCNTLの低下に伴って出力クロックOUTの周波数を高くする。周波数の上昇により出力クロックOUTおよびフィードバッククロックFBの位相が進み,レファレンスクロックとの位相差が小さくなる。
【0017】
逆に,フィードバッククロックFBの位相がレファレンスクロックREFの位相より進んでいる場合は,上記と逆の動作になる。
【0018】
以下の説明でも,上記の関係になるように,位相比較器PFD,チャージポンプCP,電圧制御発振器VCOの回路が構成されているものとする。
【0019】
ただし,電圧制御発振器VCOの構成により、チャージ電流IUP/IDNと出力クロックOUTの周波数が上記と反対の関係になっても良い。移相比較器PFDとチャージポンプCPなどの関係も同様に上記と異なっても良い。
【0020】
図2は,PLL回路の理想的なロック状態の波形図である。図2には,レファレンスクロックREFと,フィードバッククロックFBと,出力クロックOUTとが示されている。出力クロックOUTは,レファレンスクロックREFのN倍の周波数を有する高速クロックである。
【0021】
理想的なロック状態では,図2に示されるとおり,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBの位相が一致し位相差がゼロになっている。
【0022】
図3は,PLL回路の問題のあるロック状態の波形図である。PLL回路がロック状態であるにもかかわらず,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBとの間で位相誤差D1が発生したままになっている。ロック状態であるので,出力クロックOUTやそれを分周したフィードバッククロックFBの周波数は一定状態になっている。ただし,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBとの間で定常位相誤差D1が発生し,位相比較信号UP,UNのパルス幅は異なっている。
【0023】
位相比較器PFDは,例えば,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBの位相の差を示す位相比較信号UP,DNを生成する。例えば,位相比較信号UP,DNは,両クロックの位相の差に対応したパルス幅を有する。図3の例では,位相比較器は,レファレンスクロックREFの立ち上がりエッジに応答して位相比較信号UPを立ち上げ,フィードバッククロックFBの立ち上がりエッジに応答して位相比較信号DNを立ち上げ,その後,同時に両信号UP,DNを立ち下げている。つまり,位相が進んでいるクロックに対応する位相比較信号がその位相差分だけ長いパルス幅を有する。
【0024】
そして,チャージポンプ回路CPは,位相比較信号UPがHレベルの間,電荷を引き抜く負のチャージポンプ電流IUPを生成し,位相比較信号DNがHレベルの間,電荷を注入する正のチャージポンプ電流IDNを生成する。したがって,チャージポンプ回路CPは,位相の差に対応する期間,正または負のチャージポンプ電流IDN,IUPがより長く発生し,ループフィルタLFの出力電圧VCNTLを上昇または下降させる。
【0025】
ロック状態において図3に示した定常位相誤差D1が発生している理由は,チャージポンプ回路CPのチャージポンプ電流IDN,IUPの電流値にアンバランスが発生しているからである。つまり,チャージポンプ回路のチャージポンプ電流を生成する回路の電流駆動能力のアンバランスに起因するものである。
【0026】
図4は,本実施の形態におけるPLL回路の構成図である。このPLL回路は,図1のPLL回路と同様に,位相比較器PFDと,チャージポンプ回路CPと,ループフィルタLFと,電圧制御発振器VCOと,分周器DIVとを有する。そして,PLL回路は,ロック状態において,位相比較信号UP,DN(UPX,DNXを含む)に応じてチャージポンプ回路CPの正,負のチャージポンプ電流の電流値IUP,IDNを調整するチャージポンプ調整回路10を有する。このチャージポンプ電流の調整により,両電流値のアンバランスが抑制され,ロック状態での定常位相誤差が抑制される。理想的には定常位相誤差はゼロに制御される。
【0027】
例えば,図3のようにフィードバッククロックFBの位相がレファレンスクロックREFの位相より遅れている場合は,第1の位相比較信号UPのパルス幅が第2の位相比較信号DNのパルス幅より広くなる。チャージポンプ回路CPが,これらの位相比較信号UP,DNのパルス幅の期間チャージポンプ電流IUP,IDNをそれぞれ発生しているので,ロック状態で定常位相誤差D1が発生していることは,負のチャージポンプ電流IUPの電流値が正のチャージポンプ電流IDNの電流値よりも小さいことを意味する。なぜなら,ロック状態では電圧制御発振器VCOの制御電圧VCNTLの電圧は一定であり,出力クロックOUTの周波数が一定だからである。制御電圧VCNTLの電圧が一定であるにもかかわらず,第1の位相比較信号UPのパルス幅が第2の位相比較信号DNのパルス幅より広いのは,負のチャージポンプ電流IUPの電流値が正のチャージポンプ電流IDNより小さく,負のチャージポンプ電流IUPをより長い期間出力して初めて両チャージポンプ電流による電荷量がバランスすることを意味している。
【0028】
そこで,チャージポンプ調整回路10は,ロック状態での定常位相誤差D1の方向(FB,REFのいずれの位相が進んでいるか)と大きさ(位相差)に基づき,チャージポンプ回路CP内のチャージポンプ電流IPU,IDNの電流値のアンバランスを抑制するように調整する。具体的には,チャージポンプ電流を生成する回路の電流駆動能力のアンバランスを抑制するように調整する。
【0029】
すなわち,図3の例の場合は,負のチャージポンプ電流IUPを生成する回路の電流駆動能力を増大させるか,正のチャージポンプ電流IDNを生成する回路の電流駆動能力を減少させる。その結果,ロック状態において,位相比較信号UP,DNが同じパルス幅,つまりフィードバッククロックFBとレファレンスクロックREFの位相が一致した状態にすることができる。
【0030】
図5は,本実施の形態例におけるPLL回路の位相比較器PFDの回路図である。この位相比較器PFDでは,ゲート11〜16がレファレンスクロックREFの立ち上がりエッジに応答して位相比較信号UPを立ち上げ,ゲート21〜26がフィードバッククロックFBの立ち上がりエッジに応答して位相比較信号DNを立ち上げる。また,ゲート11,12がラッチ回路31を,ゲート14,15がラッチ回路32をそれぞれ構成する。同様に,ゲート11〜16がレファレンスクロックREFの立ち上がりエッジに応答して位相比較信号UPを立ち上げ,ゲート21〜26がフィードバッククロックFBの立ち上がりエッジに応答して位相比較信号DNを立ち上げる。また,ゲート21,22がラッチ回路41を,ゲート24,25がラッチ回路42をそれぞれ構成する。
【0031】
(1)初期状態では,遅延リセット回路30によりリセット信号RST=Lレベルとなり,レファレンスクロックREFがLレベルの場合は,ラッチ回路31,32は次の状態になる。
N16=H,N12=H,UP=Lとなり,N11=Lとなり,
N15=Hとなるから,N14=Hとなる。
【0032】
同様に,リセット信号RST=Lレベルで,フィードバッククロックFBがLレベルの場合は,ラッチ回路41,42も次の状態になる。
N26=H,N22=H,DN=Lとなり,N21=Lとなり,
N25=Hとなるから,N24=Hとなる。
【0033】
(2)次に,リセットが解除されRST=Hになった後に,図3の例のように,レファレンスクロックREFが立ち上がってHレベルになると,ラッチ回路31は反転して,次のようになる。
N16=Lになり,N15=L,N11=Hになり,
N14=H,RST=Hであるから,N12=Lに切り替わり,UP=Hと立ち上がる。
【0034】
さらに,フィードバッククロックFBが立ち上がってHレベルになると,ラッチ回路41も反転して,次のようになる。
N26=Lになり,N25=L,N21=Hになり,
N24=H,RST=Hであるから,N22=Lに切り替わり,DN=Hと立ち上がる。
【0035】
(3)遅延リセット回路30は,N11,N21がともにHレベルになってから一定時間後にリセット信号RST=Lにする。これに応答して,ラッチ回路31,32は次のようになる。
N12=Hになり,UP=LとUPは立ち下がる。
さらに,N15=Hになり,N11=Hだったので,N14=Lとなり,ラッチ回路32は反転する。
【0036】
同様に,RST=Lに応答して,ラッチ回路41,42も次のようになる。
N22=Hになり,DN=LとDNも立ち下がる。
さらに,N25=Hになり,N21=Hだったので,N24=Lとなり,ラッチ回路42も反転する。
【0037】
(4)やがて,レファレンスクロックREFが立ち下がってLレベルになると,ラッチ回路31が反転し,次のようになる。
N16=Hになり,N12=Hだったので,N11=Lとなる。
さらに,N11=Lにより,N14=Hになる。
【0038】
同様に,フィードバッククロックFBが立ち下がってLレベルになると,ラッチ回路41が反転し,次のようになる。
N26=Hになり,N22=Hだったので,N21=Lとなる。
さらに,N21=Lにより,N24=Hになる。
【0039】
そして,遅延リセット回路30は,N11,N14,N21,N24のうち1つでもLレベルになるとリセット信号RSTをHにしてリセットを解除する。この状態で、またREFかFBがHレベルになれば、(2)の動作を行なう。
【0040】
図5の回路例により,位相比較器PFDがレファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBの位相を比較して,その位相差を示す位相比較信号UP,DNが図3に示されたようなパルス信号になることが理解できる。この例では,両信号のパルス幅の差が位相差に対応している。
【0041】
図6は,チャージポンプ回路CPの一例を示す回路図である。まず,チャージポンプ回路は,Pチャネルトランジスタで構成され正のチャージポンプ電流IDNを生成する第1の電流生成回路CP1と,Nチャネルトランジスタで構成され負のチャージポンプ電流IUPを生成する第2の電流生成回路CP2とを有する。
【0042】
さらに,チャージポンプ回路は,定電流源I0とPチャネルトランジスタMP1,MP2,MP5_1,5_2,5_3〜により第1のカレントミラー回路が構成され,さらに,NチャネルトランジスタMN1,MN2_1〜により第2のカレントミラー回路が構成される。第1のカレントミラー回路MP5_1,5_2,5_3〜〜と,位相比較器PFDが生成する位相比較信号DNXにより導通・非導通が制御されるPチャネルトランジスタMP4_1,4_2,4_3〜と,後述するチャージポンプ調整回路10が出力する電流調整信号PSW1,2,3〜により導通・非導通が制御されるPチャネルトランジスタMP3_1,3_2,3_3〜とからなる直列回路が,出力端子CPOUTと電源VDDとの間にそれぞれ並列に複数設けられ,第1の電流生成回路CP1が構成される。そして,電流調整信号PSW1,2,3〜のLレベルが多くなるほど,この正のチャージ電流IDNを生成する直列回路の数が多くなり,正のチャージ電流IDNの電流値が大きくなる。
【0043】
さらに,第2のカレントミラー回路MN2_1,2_2,2_3〜と,位相比較器PFDが生成する位相比較信号UPにより導通・非導通が制御されるNチャネルトランジスタMN3_1,3_2,3_3〜と,後述するチャージポンプ調整回路10が出力する電流調整信号NSW1,2,3〜により導通・非導通が制御されるNチャネルトランジスタMN4_1,4_2,4_3〜とからなる直列回路が,出力端子CPOUTとグランドGNDとの間にそれぞれ並列に複数設けられ,第2の電流生成回路CP2が構成される。そして,電流調整信号NSW1,2,3〜のHレベルが多くなるほど,この負のチャージ電流IUPを生成する直列回路の数が多くなり,負のチャージ電流IUPが大きくなる。
【0044】
図6には,Pチャネルトランジスタ側もNチャネルトランジスタ側も3つずつの直列回路しか示されていないが,例えば,同じゲート幅のカレントミラー回路を構成するトランジスタMP5_1〜,MN2_1〜を有する直流回路を8つずつ設けて,チャージポンプ電流IDN,IUPの電流値を8段階に調整できるようにされる。または,2のべき乗倍のゲート幅の関係を有するカレントミラー回路を構成するトランジスタを3つずつ設けて,電流値を8段階に調整できるようにしてもよい。
【0045】
図7は,チャージポンプ調整回路10の構成図である。チャージポンプ調整回路10は,高速クロックCLKに基づいて位相比較信号UPとDNのパルス幅を測定するパルス幅カウンタ41,42と,位相比較信号UP,DNの論理和を検出するORゲート40と,パルス幅カウンタ41,42が測定したパルス幅を比較して両パルス幅が等しくなるように電流調整信号PSW1,2,3〜,NSW1,2,3〜を生成する電流調整信号生成器44と,パルス幅カウンタ41,42と電流調整信号生成器44の動作を制御するタイミング制御部43とを有する。
【0046】
チャージポンプ調整回路10は,PLL回路がロック状態になったときの定常位相誤差D1を位相比較信号UP,DNのパルス幅の比較により検出し,それらのパルス幅が等しくなるようにチャージポンプ回路10の電流調整信号PSW,NSWを可変制御する。そのため,タイミング制御部43は,電圧制御発振器VCOの制御電圧VCNTLが一定値に収束したか否かによりPLL回路のロック状態を検出する。または,タイミング制御部43は,図示しないタイマー回路からPLL回路が動作開始からロック状態になるまでの時間が経過したことを示すロック信号LOCKによりロック状態を検出しても良い。このロック状態になるまでの時間は,PLL回路の設計段階で予め求められた時間である。
【0047】
タイミング制御部43は,上記の方法でPLL回路のロック状態を検出すると,カウンタ制御信号45によりパルス幅カウンタ41,42の動作開始を指示する。両パルス幅カウンタ41,42は,この動作開始を指示するカウンタ制御信号45に応答してリセットされ,位相比較信号UP,DNがHレベルの期間,高速クロックCLKをカウントアップする。両位相比較信号UP,DNがLレベルに下がると,ORゲート40の出力がLレベルになる。それに応答して,タイミング制御部43は,制御信号46により電流調整信号生成器44の動作開始を指示する。これに応答して,電流調整信号生成器44は,両パルス幅カウンタ41,42のカウント値を比較し,両パルス幅が等しくなるように電流調整信号PSW1,2,3〜のLレベルの数と,NSW1,2,3〜のHレベルの数を制御する。電流調整信号PSW,NSWの調整が完了すると,制御信号47により電流調整の完了がタイミング制御部43に伝えられる。
【0048】
タイミング制御部43は,電流調整信号生成器44が電流調整動作中は,カウンタ制御信号45によりパルス幅カウンタ41,42の動作を一時的に停止させる。そして,電流調整の完了に応答して,タイミング制御部43は,制御電圧VCNTLが一定値に収束してロック状態を検出するまで待機する。そして,ロック状態が検出されたら,タイミング制御部43は,再度パルス幅カウンタ41,42の動作を開始させ,上記と同じ動作の制御を行う。また,ロック状態が検出され位相比較信号UP,DNのパルス幅が等しくなると,電流調整動作は終了する。
【0049】
これにより,チャージポンプ回路の電流調整が数回行われると,位相比較信号UP,DNのパルス幅が等しくなった状態で,PLL回路がロック状態になる。位相比較信号UP,DNのパルス幅が等しくなった状態とは,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBの位相が一致した状態であり,PLL回路は理想的な定常位相誤差が抑制された,つまりゼロになったロック状態に調整されたことになる。
【0050】
図8は,チャージポンプ調整回路10のチャージポンプ電流調整によるPLL回路の動作例を示すタイミングチャート図である。この動作例では,図3に示したようにPLL回路のロック状態でレファレンスクロックREFの位相がフィードバッククロックFBよりも進んでいる状態から両クロックの位相が一致するように調整する。
【0051】
時間t1では,ロック状態にあり,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBの周波数は一致(またはN倍で一致)しており,電圧制御発振器VCOの周波数を制御する制御電圧VCNTLが一定になり,図示しないが出力クロックOUTの周波数は安定している。ただし,レファレンスクロックREFの位相がフィードバッククロックFBよりも進んでいる。また,制御電圧VCNTLを上昇させる第1のチャージポンプ電流IDNの電流調整信号PSW1〜4のうち2つがLレベル,残り2つがHレベルであり,制御電圧VCNTLを低下させる第2のチャージポンプ電流IUPの電流調整信号NSW1〜4のうち2つがHレベル,残り2つがLレベルである。なお,本実施の形態の電圧制御発振器VCOは,制御電圧VCNTLが上昇すると周波数が低くなり,制御電圧VCNTLが低下すると周波数が高くなる回路構成になっている。
【0052】
ロック状態になる時間t1のフェーズで位相比較信号UPのパルス幅がDNより長いので,電流調整信号生成器44が電流調整信号NSW3をLからHに変更する。これにより,時間t2で,第2のチャージポンプ電流IUPが増加し,制御電圧VCNTLが低下し,出力クロックOUTとフィードバッククロックFBの周波数が高くなる。その結果,時間t3では,フィードバッククロックFBの立ち上がりエッジがレファレンスクロックREFの立ち上がりエッジに追いついている。また,制御電圧VCNTLの変動によりアンロック状態になっている。
【0053】
しかし,時間t4では,逆にフィードバッククロックFBの立ち上がりエッジがレファレンスクロックREFの立ち上がりエッジを追い越して位相が進んでいる。その結果,位相比較信号UPよりDNのパルス幅が広くなって,時間t4では,制御電圧VCNTLの電圧が上昇して元の電圧に戻り,出力クロックOUTとフィードバッククロックFBの周波数も低下し時間t1での周波数に戻る。
【0054】
この周波数の低下により,時間t5では,再びロック状態に戻り,フィードバッククロックFBの立ち上がりエッジが遅くなり,レファレンスクロックREFの立ち上がりエッジと一致している。この状態では,位相比較信号UP,DNのパルス幅は同じになっている。唯一,時間t1と異なるのは,電流調整信号NSW3がLレベルからHレベルに変更されただけである。このことは,チャージポンプ回路CPのNチャネルトランジスタ側の電流駆動能力がより高く調整されたことを意味する。つまり,チャージポンプ回路CPのPチャネルトランジスタ側の電流駆動能力(IDN)とNチャネルトランジスタ側の電流駆動能力(IUP)のアンバランスが解消されたことを意味する。
【0055】
時間t1では,チャージポンプ回路CPの正のチャージポンプ電流IDNの電流値が負のチャージポンプ電流IUPより大きかったため,レファレンスクロックREFの位相がフィードバッククロックFBより進んだ状態で,また位相比較信号UPのパルス幅が位相比較信号DNより広い状態でロック状態になっていたのである。そのロック状態が,両チャージポンプ電流の電流値のアンバランスが解消されたことで,レファレンスクロックREFとフィードバッククロックFBの位相が一致し,位相比較信号UP,DNのパルス幅が一致した状態でのロック状態に調整されている。
【0056】
なお,時間t4では,制御電圧VCNTLが変動してロック外れ状態(アンロック状態)になっているので,チャージポンプ調整回路10による位相比較信号UP,DNのパルス幅の比較に基づくチャージポンプ回路の電流調整は行われない。そして,時間t5以降でロック状態が検出される。そのロック状態では,両クロックREF,FBの位相は一致しているので,チャージポンプ調整回路10による電流調整はもはや行われない。
【0057】
図8とは逆に,フィードバッククロックFBの位相がレファレンスクロックREFより進んだ状態でロック状態になっている場合は,図8と逆の論理で制御が行われ,電流調整信号PSWのLレベルの数が増加して制御電圧VCNTLが一時的に上昇し,出力クロックOUTの周波数が低くなり,定常位相誤差が抑制された後,制御電圧VCNTLが元に戻り,出力クロックOUTの周波数が元に戻る。
【0058】
以上のように,本実施の形態によれば,チャージポンプ回路CP内の第1,第2のチャージポンプ電流IDN,IUPの電流量のアンバランスを解消するように調整することで,図3に示した定常位相誤差D1が発生したロック状態を抑制することができる。そして,図6のチャージポンプ回路の例では,電流調整信号PSW,NSWにより,位相比較信号DNX,UPに応じてチャージポンプ電流を発生する直列回路の数を調整して,両チャージポンプ電流の電流値のアンバランスを抑制している。
【0059】
図9は,本実施の形態における別のチャージポンプ回路の回路図である。この例では,チャージポンプ電流IDNを生成するPチャネルトランジスタ側は,位相比較信号DNXにより導通,非導通が制御されるPチャネルトランジスタMP4と,それに接続されるトランジスタMP5とを有し,PチャネルトランジスタMP1_2,MP2_2,MP3_2〜と,MP5とでカレントミラー回路を構成する。そして,電流調整信号PSW1,2,3〜がLレベルになるとそれに対応するトランジスタMP1_1,MP2_1,MP3_1〜が導通し,定電流IPがそれらのトランジスタMP1_1,MP2_1,MP3_1〜に分流し,電流調整信号PSWのLレベルが多いほど,トランジスタMP5の電流量が小さくなる。例えば,トランジスタMP1_1,MP2_1,MP3_1〜のチャネル幅が全て等しい場合は,電流調整信号PSWのLレベルがN個の場合は,トランジスタMP5の電流量はIP/Nになる。
【0060】
同様に,チャージポンプ電流IUPを生成するNチャネルトランジスタ側は,位相比較信号UPにより導通,非導通が制御されるNチャネルトランジスタMN4と,それに接続されるトランジスタMN5とを有し,NチャネルトランジスタMN1_2,MN2_2,MN3_2〜と,MN5とでカレントミラー回路を構成する。そして,電流調整信号NSW1,2,3〜がHレベルになるとそれに対応するトランジスタMN1_1,MN2_1,MN3_1〜が導通し,定電流INがそれらのトランジスタMN1_1,MN2_1,MN3_1〜に分流し,電流調整信号NSWのHレベルが多いほど,トランジスタMN5の電流量が小さくなる。
【0061】
図9のチャージポンプ回路は,図6と逆に,電流調整信号PSWのLレベルが増えればチャージポンプ電流IDNの電流量が小さくなり,電流調整信号NSWのHレベルが増えればチャージポンプ電流IUPの電流量が小さくなる。つまり,カレントミラー回路を構成するトランジスタMP5,MN5の電流駆動能力が電流調整信号PSW,NSWのLレベルが増えるほど小さくなるように調整されている。したがって,図9のチャージポンプ回路を適用したPLL回路の場合は,チャージポンプ調整回路10による電流調整信号PSW,NSWの生成論理は,上記の論理と逆論理にする必要がある。
【0062】
すなわち,図9の例では,位相比較信号UP,DNのパルス幅が大きいほうについて,電流調整信号PSWのLレベルまたはNSWのHレベルの数を減らすように制御することが行われる。または,位相比較信号UPのパルス幅が大きい場合は,チャージポンプ電流IDNを生成する側の電流調整信号PSWのLレベルの数を増やしてIDNの電流量を増やし,位相比較信号DNのパルス幅が大きい場合は,チャージポンプ電流IUPを生成する側の電流調整信号NSWのHレベルの数を増やしてIUPの電流量を増やす制御が行われる。
【0063】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0064】
(付記1)
レファレンスクロックとフィードバッククロックの位相を比較し,当該位相の差を示す位相比較信号を出力する位相比較器と,
前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間,第1のチャージポンプ電流と第2のチャージポンプ電流とを出力するチャージポンプ回路と,
前記第1及び第2のチャージポンプ電流に基づく電荷を蓄積するキャパシタを有し,蓄積電荷による制御電圧を生成するループフィルタと,
前記制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振器と,
前記出力クロックを分周して前記フィードバッククロックを出力する分周器と,
ロック状態のときに,前記位相比較信号が示す位相の差に応じて,当該位相の差が抑制されるように,前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整するチャージポンプ調整回路とを有するPLL回路。
【0065】
(付記2)
付記1において,
前記第1または第2のチャージポンプ電流の一方は,前記ループフィルタのキャパシタを充電するチャージ電流であり,前記第1または第2のチャージポンプ電流の他方は,前記ループフィルタのキャパシタを放電するディスチャージ電流であるPLL回路。
【0066】
(付記3)
付記2において,
前記チャージポンプ回路は,前記位相比較信号が示す位相の差が正の場合は前記第1のチャージポンプ電流を前記第2のチャージポンプ電流より長い期間生成し,負の場合は前記第1のチャージポンプ電流を前記第2のチャージポンプ電流より短い期間生成し,
前記チャージポンプ調整回路は,前記ロック状態のときに,前記第1及び第2のチャージポンプ電流の電流値の差を抑制するように前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整するPLL回路。
【0067】
(付記4)
付記3において,
前記チャージポンプ調整回路は,アンロック状態のときは,前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値の調整を行わないPLL回路。
【0068】
(付記5)
付記3において,
前記チャージポンプ回路は,前記第1のチャージポンプ電流を生成する第1の電流生成回路と,前記第2のチャージポンプ回路を生成する第2の電流生成回路とを有し,
前記第1の電流生成回路は,前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第1のチャージポンプ電流を生成し,前記チャージポンプ調整回路が出力する第1の電流調整信号に応じて前記第1のチャージ電流の電流値を調整し,
前記第2の電流生成回路は,前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第2のチャージポンプ電流を生成し,前記チャージポンプ調整回路が出力する第2の電流調整信号に応じて前記第2のチャージ電流の電流値を調整するPLL回路。
【0069】
(付記6)
付記5において,
前記第1の電流生成回路は,第1の電圧と出力端子との間に並列に設けられた複数の第1の電流生成ユニットを有し,前記第1の電流調整信号に応じた数の前記第1の電流生成ユニットが前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第1のチャージポンプ電流を生成し,
前記第2の電流生成回路は,第2の電圧と出力端子との間に並列に設けられた複数の第2の電流生成ユニットを有し,前記第2の電流調整信号に応じた数の前記第2の電流生成ユニットが前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第2のチャージポンプ電流を生成するPLL回路。
【0070】
(付記7)
付記6において,
前記第1の電流生成ユニットは,前記位相比較信号に応じて導通,非導通制御される第1のトランジスタと,前記第1の電流調整信号に応じて導通,非導通制御される第2のトランジスタと,所定の電流を流す第3のトランジスタとを有し,前記第1,第2,第3のトランジスタが前記第1の電圧と出力端子との間に直列に接続され,
前記第2の電流生成ユニットは,前記位相比較信号に応じて導通,非導通制御される第4のトランジスタと,前記第2の電流調整信号に応じて導通,非導通制御される第5のトランジスタと,所定の電流を流す第6のトランジスタとを有し,前記第4,第5,第6のトランジスタが前記第2の電圧と出力端子との間に直列に接続されたPLL回路。
【0071】
(付記8)
付記5において,
前記第1の電流生成回路は,第1の電圧と出力端子との間に設けられた第1のトランジスタと第1の電流源トランジスタとを有し,前記第1の電流源トランジスタは前記第1の電流調整信号に応じた電流を生成し,前記第1のトランジスタは前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第1の電流源トランジスタの電流を前記第1のチャージポンプ電流として前記出力端子に出力し,
前記第2の電流生成回路は,第2の電圧と出力端子との間に設けられた第2のトランジスタと第2の電流源トランジスタとを有し,前記第2の電流源トランジスタは前記第2の電流調整信号に応じた電流を生成し,前記第2のトランジスタは前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第2の電流源トランジスタの電流を前記第2のチャージポンプ電流として前記出力端子に出力するPLL回路。
【0072】
(付記9)
付記8において,
前記第1の電流生成回路は,さらに,前記第1の電流源トランジスタと第1のカレントミラー回路を構成する複数の第1のカレントミラートランジスタを有し,前記第1の電流調整信号に応じた数の前記第1のカレントミラートランジスタに第1のカレントミラー電流が流れ,
前記第2の電流生成回路は,さらに,前記第2の電流源トランジスタと第2のカレントミラー回路を構成する複数の第2のカレントミラートランジスタを有し,前記第2の電流調整信号に応じた数の前記第2のカレントミラートランジスタに第2のカレントミラー電流が流れるPLL回路。
【0073】
(付記10)
レファレンスクロックとフィードバッククロックの位相を比較し当該位相の差を示す位相比較信号を出力する位相比較器と,前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間,第1のチャージポンプ電流と第2のチャージポンプ電流とを出力するチャージポンプ回路と,前記第1及び第2のチャージポンプ電流に基づく電荷を蓄積するキャパシタを有し蓄積電荷による制御電圧を生成するループフィルタと,前記制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振器と,前記出力クロックを分周して前記フィードバッククロックを出力する分周器とを有するPLL回路の調整方法において,
ロック状態のときに,前記位相比較信号が示す位相の差に応じて,当該位相の差が抑制されるように,前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整する工程を有するPLL回路の調整方法。
【符号の説明】
【0074】
REF:レファレンスクロック FB:フィードバッククロック
PFD:位相比較器 CP:チャージポンプ回路
LF:ループフィルタ VCO:電圧制御発振器
DIV:分周器 UP,DN:位相比較信号
IDN,IUP:第1,第2のチャージポンプ電流
VCNTL:制御電圧 OUT:出力クロック
PSW,NSW:第1,第2の電流調整信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レファレンスクロックとフィードバッククロックの位相を比較し,当該位相の差を示す位相比較信号を出力する位相比較器と,
前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間,第1のチャージポンプ電流と第2のチャージポンプ電流とを出力するチャージポンプ回路と,
前記第1及び第2のチャージポンプ電流に基づく電荷を蓄積するキャパシタを有し,蓄積電荷による制御電圧を生成するループフィルタと,
前記制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振器と,
前記出力クロックを分周して前記フィードバッククロックを出力する分周器と,
ロック状態のときに,前記位相比較信号が示す位相の差に応じて,当該位相の差が抑制されるように,前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整するチャージポンプ調整回路とを有するPLL回路。
【請求項2】
請求項1において,
前記第1または第2のチャージポンプ電流の一方は,前記ループフィルタのキャパシタを充電するチャージ電流であり,前記第1または第2のチャージポンプ電流の他方は,前記ループフィルタのキャパシタを放電するディスチャージ電流であるPLL回路。
【請求項3】
請求項2において,
前記チャージポンプ回路は,前記位相比較信号が示す位相の差が正の場合は前記第1のチャージポンプ電流を前記第2のチャージポンプ電流より長い期間生成し,負の場合は前記第1のチャージポンプ電流を前記第2のチャージポンプ電流より短い期間生成し,
前記チャージポンプ調整回路は,前記ロック状態のときに,前記第1及び第2のチャージポンプ電流の電流値の差を抑制するように前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整するPLL回路。
【請求項4】
請求項3において,
前記チャージポンプ回路は,前記第1のチャージポンプ電流を生成する第1の電流生成回路と,前記第2のチャージポンプ回路を生成する第2の電流生成回路とを有し,
前記第1の電流生成回路は,前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第1のチャージポンプ電流を生成し,前記チャージポンプ調整回路が出力する第1の電流調整信号に応じて前記第1のチャージ電流の電流値を調整し,
前記第2の電流生成回路は,前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間前記第2のチャージポンプ電流を生成し,前記チャージポンプ調整回路が出力する第2の電流調整信号に応じて前記第2のチャージ電流の電流値を調整するPLL回路。
【請求項5】
レファレンスクロックとフィードバッククロックの位相を比較し当該位相の差を示す位相比較信号を出力する位相比較器と,前記位相比較信号が示す位相の差に応じた期間,第1のチャージポンプ電流と第2のチャージポンプ電流とを出力するチャージポンプ回路と,前記第1及び第2のチャージポンプ電流に基づく電荷を蓄積するキャパシタを有し蓄積電荷による制御電圧を生成するループフィルタと,前記制御電圧に応じた周波数の出力クロックを生成する発振器と,前記出力クロックを分周して前記フィードバッククロックを出力する分周器とを有するPLL回路の調整方法において,
ロック状態のときに,前記位相比較信号が示す位相の差に応じて,当該位相の差が抑制されるように,前記第1または第2のチャージポンプ電流の電流値を調整する工程を有するPLL回路の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−129789(P2012−129789A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279341(P2010−279341)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】