説明

RAFキナーゼ阻害薬として有用なピロロ[2,3,B]ピリジン誘導体

本発明は、式(I)で表されるエチルピラゾール化合物、それを含有する組成物、ならびにその調製方法および医薬としてのその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬としての、特に神経外傷性疾患、癌、慢性神経変性症、疼痛、片頭痛および心臓肥大を治療するためのRafキナーゼ阻害薬としての新規な化合物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞においては、Raf蛋白キナーゼは、特異的な細胞外刺激が正確な細胞応答を誘導するシグナル伝達経路の重要な構成物質である。活性化された細胞表面受容体は細胞膜の内部にあるras/rap蛋白を活性化し、これが次いでRaf蛋白を活性化する。活性化されたRaf蛋白は、細胞内蛋白キナーゼMEK1およびMEK2をリン酸化して活性化する。次いで、活性化されたMEKは、p42/p44マイトジェン活性化蛋白キナーゼ(MAPK)のリン酸化および活性化を触媒する。環境変化への細胞応答に直接的または間接的に寄与する、活性化MAPKのさまざまな細胞質物質および核物質が知られている。Raf蛋白をコードする3種の別個の遺伝子が哺乳動物で特定されている。すなわち、A−Raf、B−RafおよびC−Raf(Raf−1としても知られる)ならびにmRNAの分化スプライシングで生じるイソ型変異体が知られている。
【0003】
Rafキナーゼの阻害物質は、腫瘍細胞増殖の撹乱で、したがって癌の治療で、例えば細網肉腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、および乳癌の治療で、さらには心臓停止、発作および多発梗塞性痴呆の後の脳虚血さらには頭部外傷、手術および/または分娩時から生じるような脳虚血性事象の後の脳虚血も含めた虚血性事象から生じる神経変性が関連する障害の治療および/または予防でも使用することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここに本発明者は、Rafキナーゼの阻害物質である、特にB−Rafキナーゼの阻害物質である新規なアルキルピラゾールの群を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I):
【化1】

【0006】
[式中、
は、OおよびSから選択され;
mは、0または1であり;
Bは、6員シクロアルキルまたはアリール環であり;
およびRは、H、アルコキシ、ハロアルキル、ハロ、およびフェンアルコキシから独立に選択され;
は、H、−C(O)OH、および−C(O)−O−CH−CHから選択され;
は、Hおよびハロから選択される]
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0007】
実施形態により、実施例のいずれか1つに記載されている式Iの化合物が提供される。
【0008】
もう1つの実施形態により、本発明は、活性治療用物質として使用するための式Iの化合物、その塩または溶媒和物を提供する。
【0009】
もう1つの実施形態により、本発明は、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼの不適切活性が介在する病態の治療で使用するための式Iの化合物、その塩または溶媒和物を提供する。
【0010】
もう1つの実施形態により、本発明は、式Iの化合物、その塩または溶媒和物と、1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0011】
もう1つの実施形態により、本発明は、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼの不適切活性が介在する病態の治療で使用するための医薬の製造における式Iの化合物、その塩または溶媒和物の使用を提供する。
【0012】
もう1つの実施形態により、本発明は、式Iの化合物、またはその塩もしくは溶媒和物で、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼの不適切活性が介在する、治療を必要とする哺乳動物における病態を治療する方法を提供する。
【0013】
もう1つの実施形態により、本発明は、治療を必要とする哺乳動物における感受性の新生物の治療方法を提供するが、該方法には、治療的に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することが含まれる。感受性の新生物には、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、頭部および頸部の癌、食道癌、黒色腫および腎臓癌が包含される。
【0014】
もう1つの実施形態により、本発明は、治療を必要とする哺乳動物における感受性の神経外傷性疾患の治療方法を提供するが、該方法には、治療的に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することが含まれる。感受性の神経外傷性疾患には、手術が原因で起こるような開放性もしくは穿通性の頭部外傷、または頭部部分への外傷が原因で起こるような閉鎖性の頭部外傷性障害のいずれもが包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用語「rafファミリーキナーゼ」とは、本明細書で使用する場合、上記したrafキナーゼをいい、その範囲内にはB−Rafも包含される。
【0016】
用語「アルキル」(および「アルキレン」)とは、本明細書で使用する場合、異なる原子の数を特に指定しない限り、1〜8個の炭素原子を含む直鎖もしくは分枝鎖状炭化水素鎖をいう。本明細書で使用する「アルキル」の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、イソプロピル、およびtert−ブチルが挙げられる。本明細書で使用する「アルキレン」の例としては、限定するものではないが、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびイソブチレンが挙げられる。「アルキル」には、置換されたアルキルも包含される。アルキル(およびアルキレン)基は、場合によりハロゲンまたはヒドロキシルで1回以上置換されていてもよい。つまり、用語「アルキル」には、例えば、ハロゲン化アルキルの中でもトリフルオロメチルおよびトリフルオロエチル、およびヒドロキシメチルならびに他のヒドロキシル化アルキルも包含される。
【0017】
用語「アルケニル」(および「アルケニレン」)とは、本明細書で使用する場合、異なる原子の数を特に指定しない限り、2〜8個の炭素原子と、さらに少なくとも1つから3つまでの炭素−炭素二重結合とを含む直鎖もしくは分枝鎖状炭化水素鎖をいう。本明細書で使用する「アルケニル」の例としては、限定するものではないが、エテニルおよびプロペニルが挙げられる。本明細書で使用する「アルケニレン」の例としては、限定するものではないが、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンが挙げられる。「アルケニル」(および「アルケニレン」)には、置換されたアルケニルも包含される。このアルケニル基は、場合によりハロゲンまたはヒドロキシルで1回以上置換されていてもよい。
【0018】
用語「アルキニル」とは、本明細書で使用する場合、異なる原子の数を特に指定しない限り、2〜8個の炭素原子と、さらに少なくとも1つから3つまでの炭素−炭素三重結合とを含む直鎖もしくは分枝鎖状炭化水素鎖をいう。本明細書で使用する「アルキニル」の例としては、限定するものではないが、エチニルおよびプロピニルが挙げられる。「アルキニル」には、置換されたアルキニルも包含される。このアルキニル基は、場合によりハロゲンまたはヒドロキシルで1回以上置換されていてもよい。
【0019】
用語「シクロアルキル」とは、本明細書で使用する場合、異なる原子の数を特に指定しない限り、3〜8個の炭素原子を有する飽和単環状炭素環式環をいう。「シクロアルキル」としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。「シクロアルキル」には、置換されたシクロアルキルも包含される。このシクロアルキルは、場合により、任意の置換可能炭素が、アルコキシ、ハロ、およびハロアルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
【0021】
用語「アルコキシ」とは、本明細書で使用する場合、基−O−アルキルをいい、ここでのアルキルは先に定義したとおりである。本明細書で使用する「アルコキシ」の例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、およびt−ブトキシが挙げられる。「アルコキシ」には、置換されたアルコキシも包含される。このアルコキシ基は、場合によりハロゲンで1回以上置換されていてもよい。
【0022】
用語「フェンアルコキシ[phenalkoxy]」とは、本明細書で使用する場合、基−O−アルキル−フェニルをいい、ここでのアルキルは先に定義したとおりである。本明細書で使用する「フェンアルコキシ」の例としては、限定するものではないが、フェンメトキシおよびフェンエトキシが挙げられる。
【0023】
用語「アリール」とは、異なる原子の数を特に指定しない限り、6〜10個の炭素原子を有し、且つ少なくとも1個の芳香族環を有する単環状炭素環式基および縮合二環状炭素環式基をいう。好ましいアリール基の例としては、限定するものではないが、フェニルおよびナフチルが挙げられる。本発明によれば、1つの好ましいアリール基は、フェニルである。
【0024】
本発明は、式(I):
【化2】

【0025】
[式中、
は、OおよびSから選択され;
mは、0または1であり;
Bは、6員シクロアルキルまたはアリール環であり;
およびRは、H、アルコキシ、ハロアルキル、ハロ、およびフェンアルコキシから独立に選択され;
は、H、−C(O)OH、および−C(O)−O−CH−CHから選択され;
は、Hおよびハロから選択される]
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0026】
本発明の実施形態によれば、RはOである。もう1つの実施形態によれば、RはSである。
【0027】
もう1つの実施形態によれば、RおよびRのいずれもがHである。
【0028】
もう1つの実施形態によれば、RおよびRの少なくとも一方は、アルコキシ、ハロアルキル、ハロ、およびフェンアルコキシから選択される。
【0029】
もう1つの実施形態によれば、RおよびRの少なくとも一方はハロである。
【0030】
もう1つの実施形態によれば、RおよびRの少なくとも一方はトリフルオロアルキルである。
【0031】
もう1つの実施形態によれば、RおよびRの少なくとも一方はトリフルオロメチルである。
【0032】
もう1つの実施形態によれば、RおよびRのいずれもがHである。
【0033】
もう1つの実施形態によれば、Rは−C(O)OHである。
【0034】
もう1つの実施形態によれば、Rは−C(O)−O−CH−CHである。
【0035】
もう1つの実施形態によれば、Rはハロである。
【0036】
式(II)の化合物は式Iの化合物のサブセットであることが認められる。したがって、本明細書で式(I)の化合物に関して行われる一般的な説明および記載される実施形態はすべて式(II)の化合物にも適用可能である。
【0037】
当然のことながら、本発明には、本明細書上記で定義した好ましい基のすべての組み合わせおよびサブセットも包含されることを理解すべきである。
【0038】
本発明のもう1つの実施形態によれば、本発明には、
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素;
N−(3−クロロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[3−(メチルオキシ)フェニル]尿素;
N−(2,6−ジフルオロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−{4−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}尿素;
N−シクロヘキシル−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−(フェニルメチル)尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N−(2−クロロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニルチオ尿素;
N−{3−[4−(3−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素;
N−{3−[4−(3−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素;
エチル4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート;
4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸;および
エチル4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
が包含される。
【0039】
本発明の化合物の具体的な例としては、後にある実施例に記載されているものおよびその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が挙げられる。
【0040】
当業者なら、本発明の化合物は、薬学的に許容される塩または溶媒和物の形態でも用いることができることは理解するだろう。式(I)の化合物の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される(すなわち、非有害性の)無機または有機の酸または塩基から形成される通常の塩、ならびに四級アンモニウム塩が挙げられる。代表的な塩としては以下が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ボロン酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロ塩化物、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアラサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロ臭化物、ヒドロ塩化物、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エムボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。シュウ酸塩のような、それ自体では薬学的に許容されない他の塩は、本発明の化合物を得る際に中間体として有用な塩の調製で有用であり得、これらは、本発明のさらなる態様を形成する。
【0041】
本明細書で使用する用語「溶媒和物」とは、溶質(式(I)の化合物)と溶媒とによって形成される可変化学量論量の複合体をいう。そのような溶媒は本発明の目的のためには溶質の生物学的活性を妨害しないものであり得る。適している溶媒の例としては、限定するものではないが、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられる。用いる溶媒は好ましくは薬学的に許容される溶媒である。適している薬学的に許容される溶媒の例としては、限定するものではないが、水、エタノール、および酢酸が挙げられる。最も好ましくは用いる溶媒は水である。
【0042】
式(I)の化合物のような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物を調製するための方法は、当技術分野では一般的に行われているものである。例えば、Burger's Medicinal Chemistry And Drug Discovery 5th Edition, Vol 1: Principles And Practiceを参照されたい。
【0043】
当業者には明らかなことであるように、後に記載する式(I)の化合物の調製方法では、一部の中間体は、その化合物の薬学的に許容される塩または溶媒和物の形態にあり得る。上記した用語は、式(I)の化合物を調製するための方法で用いられる任意の中間体に適用される場合、式(I)の化合物に対して上記で述べたのと同じ意味を有する。中間体の薬学的に許容される塩および溶媒和物を調製するための方法は当技術分野では知られており、式(I)の化合物のような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物を調製するための方法と同じようなものである。
【0044】
本発明の化合物は結晶質または非結晶質の形態にあり得、そして結晶質の場合は、場合により水和または溶媒和され得る。本発明には、その範囲内に、化学量論量の水和物と並んで可変量の水を含有する化合物も包含される。
【0045】
一部の式(I)の化合物は立体異性体の形態で存在し得る(例えば、それらは、1つ以上の不斉炭素原子を含み得るし、またはシス−トランス異性を呈し得る)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびそれらの混合物は本発明の範囲内に包含される。本発明には、式(I)によって表される化合物の個々の異性体が、1つ以上のキラル中心が反転されているそれらの異性体との混合物としても包含される。一部の式(I)の化合物は位置異性体の混合物として調製され得る。本発明には、位置異性体の混合物およびその個々の化合物のいずれもが包含される。同様に、式(I)の化合物は、その式で示されるもの以外の互変異性の形態で存在し得ることは理解されるところであり、これらも本発明の範囲内に包含される。
【0046】
式(I)の化合物は医薬組成物での使用が意図されているので、化合物は、それぞれ、好ましくは実質的に純粋な形態で、例えば少なくとも60%純粋で、より好適には少なくとも75%純粋で、好ましくは少なくとも85%純粋で、特には少なくとも98%純粋(%は重量に対して重量のベースである)で提供されることは容易に理解されるだろう。純粋でない化合物の調製物は、医薬組成物に用いられるより純粋な形態を調製するのに用いられ得る。
【0047】
本発明の化合物は、1つ以上のB−Rafファミリーキナーゼの阻害物質である。「B−Raf阻害物質」とは、後に記載するB−Raf阻害酵素アッセイで少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼに対して約5.5より大きいpIC50、および/または後に記載する細胞アッセイで少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼを過剰発現している少なくとも1種の細胞系に対して少なくとも約6.0μM効力のIC50を示す化合物を意味する。より好ましい実施形態では、「B−Raf阻害物質」とは、後に記載するB−Raf阻害酵素アッセイで少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼに対して約6.0より大きいpIC50、および/または後に記載する細胞アッセイで少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼを過剰発現している少なくとも1種の細胞系に対して少なくとも約1.0μM効力のIC50を示す化合物を意味する。
【0048】
本発明は、B−Rafファミリーキナーゼに対して選択的である式(I)の化合物に限定されるものでなく、むしろ、本発明は、B−Rafファミリーキナーゼ以外のキナーゼに対しても同様に活性を有していると思われる式(I)の化合物を明白に想到している。例えば、本発明のいくつかの化合物は、Aurora、EGFR、およびErb−Bキナーゼの1つ以上に対しても活性を有している。
【0049】
本発明はさらに哺乳動物(例えばヒト)における薬物療法で使用するための式(I)の化合物を提供する。特に、本発明は、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する、哺乳動物における病態、そして、有利には、1種以上のB−Rafファミリーキナーゼの不適切活性が介在する、哺乳動物における病態の治療で使用するための式(I)の化合物を提供する。1つの実施形態では、本発明は、少なくとも2種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態、そしてより好ましくは1種以上のB−Rafファミリーキナーゼの不適切活性が介在する、哺乳動物における病態の治療で使用するための式(I)の化合物を提供する。
【0050】
本明細書でいう不適切B−Rafファミリーキナーゼ活性は、特定の哺乳動物対象において期待される正常B−Rafファミリーキナーゼ活性から逸脱している任意のB−Rafキナーゼ活性である。不適切B−Rafファミリーキナーゼ活性とは、例えば、活性の異常な増加、あるいはB−Rafファミリーキナーゼ活性のタイミングおよび/または調節における異常の形態をとり得る。それゆえにそのような不適切活性は、例えば、受容体の不適切または無調節の活性化をもたらす蛋白キナーゼまたはリガンドの過剰発現または突然変異から生じ得る。さらには、望まれていないB−Rafファミリーキナーゼ活性は、癌のような異常な源に存在し得ることも理解されるところである。つまり、不適切と見做されるためにはB−Rafファミリー活性のレベルは異常でなければならないことはなく、むしろその活性は異常な源から由来するものである。
【0051】
式(I)の化合物ならびにその塩および溶媒和物は、1種以上のB−Rafファミリー蛋白キナーゼの阻害、および細胞増殖がB−Rafファミリー蛋白キナーゼ活性に依存している選択された細胞系へのその影響の結果としての抗癌および抗腫瘍活性を有していると考えられる。
【0052】
式(I)の化合物ならびにその塩および溶媒和物は、1種以上のB−Rafファミリー蛋白キナーゼの阻害、および細胞増殖がB−Rafファミリー蛋白キナーゼ活性に依存している選択された細胞系へのその影響の結果としての神経外傷性疾患治療活性を有していると考えられる。
【0053】
本発明は、感受性の新生物の治療で使用するための式(I)の化合物を提供する。本明細書で使用する「感受性の新生物」とは、B−Raf阻害物質を用いた治療に感受性である新生物をいう。1種以上のB−Rafファミリーキナーゼの不適切活性と結びつけられ、その結果B−Raf阻害物質を用いての治療に感受性である新生物は当技術分野では知られているが、原発性および転移性の腫瘍と癌のいずれもが包含される。本発明の範囲内にある感受性の新生物としては、例えば、限定するものではないが、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、頭部および頸部の癌、食道癌、黒色腫および腎臓癌が挙げられる。
【0054】
本発明は、感受性の神経外傷性疾患の治療で使用するための式(I)の化合物も提供する。本明細書で定義する神経外傷性疾患/病勢には、手術が原因で起こるような開放性もしくは穿通性の頭部外傷、または頭部部分への外傷が原因で起こるような閉鎖性の頭部外傷性障害のいずれもが包含される。この定義の中には、虚血発作(特に脳部分への)、冠状動脈バイパスの後の一過性虚血発作、および他の一過性虚血状態の後の認知低下も包含される。
【0055】
本発明は、治療を必要とする哺乳動物におけるいくつかの病態の治療方法を提供するものであるが、これらのすべてには、治療的に有効な量の式(I)の化合物を投与するステップが含まれる。本発明の化合物を用いての治療を必要とする哺乳動物は、有利には、ヒトである。1つの実施形態によれば、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態は感受性の新生物である。もう1つの実施形態によれば、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態は、神経外傷性疾患/病勢である。
【0056】
用語「治療」とは、本明細書で使用する場合、指定された病態を緩和すること、その病態の症状を解消または低減すること、その病態の進行を減速または解消すること、および前に患った対象におけるその病態の再発を予防または遅延することをいう。
【0057】
用語「治療的に有効な量」とは、本明細書で使用する場合、式(I)の化合物が投与される対象において、その細胞培養物、組織、系、哺乳動物(ヒトも包含される)の、例えば研究者または臨床医が求めている生物学的または医学的応答を引き出すのに十分である式(I)の化合物の量を意味する。この用語には、通常の生理学的機能を向上させるのに効果的な量もその範囲内に包含される。少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態を治療するための式(I)の化合物の治療的に有効な量は、その対象における病態を治療するのに十分な量である。同様に、感受性の新生物を治療するための式(I)の化合物の治療的に有効な量は、その対象における感受性の新生物を治療するのに十分な量である。本発明の1つの実施形態では、式(I)の化合物の治療的に有効な量は、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼを調節、モジュレート、結合または阻害するのに十分な量である。
【0058】
正確な式(I)の化合物の治療的に有効な量は、限定するものではないが、治療を受けている対象の年齢と体重、治療を必要としているその正確な病態とその深刻度、製剤の特質、および投与の経路を含めた多くの要因によって変わるものであり、そして最終的には担当の医師または獣医の判断によるものである。典型的には、式(I)の化合物は、治療用には、1日あたり0.1〜200mg/kg受容者(哺乳動物)体重の範囲、より一般的には1〜100mg/kg体重の範囲で与えられるものである。許容される1日あたりの投与量は、約0.1〜約2000mg/日、さらにより好ましくは約0.1〜約100mg/日であると思われる。つまり、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態について治療を受けている70kgの成人ヒトに対しては、1日あたりの実際の量は通常70〜700mgになると考えられ、またこの量は、1日あたり1回の用量で、またはより一般的には1日あたりの全体量が同じとなるような1日あたり多く(例えば2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ)の小分け用量で与えられ得る。塩もしくは溶媒和物の治療的に有効な量は、式(I)の化合物自体の治療的に有効な量の比例として決定され得る。同じような投与量が、上記で述べた他の病態の治療用にも適切であると考えられる。
【0059】
本発明は、治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)における、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態を治療するための医薬を調製するための式(I)で表される化合物の使用も提供する。本発明はさらに、哺乳動物における感受性の新生物を治療するための医薬を調製するための式(I)の化合物の使用も提供する。
【0060】
治療で使用するためには、式(I)の化合物の治療的に有効な量は、そのままの化学物質として投与することもできるが、典型的には、医薬組成物または製剤の活性成分として提供される。したがって、本発明はさらに、式(I)の化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、さらに1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤を含み得る。担体、希釈剤および/または賦形剤は、製剤中の他の成分と適合性があり、その受容者に有害でないという意味において許容されるものでなければならない。本発明のもう1つの態様によれば、式(I)の化合物を1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤と混和することが含まれる医薬製剤の調製方法も提供される。
【0061】
医薬製剤は、任意の適切な経路による投与用、例えば経口(経頬または舌下も含めて)、経直腸、経鼻、局所(経頬、舌下または経皮も含めて)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内も含めて)経路による投与用に適合化され得る。そのような製剤は、製薬の技術分野で知られるいずれの方法によっても、例えば活性成分を担体または賦形剤と一緒にすることによって調製され得る。
【0062】
経口投与用に適合化された医薬製剤は、個別の単位体、例えば、カプセルまたはタブレット;粉末または細粒;水性もしくは非水性液体中溶液または懸濁液;可食フォームまたはホィップ;あるいは水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。
【0063】
例えば、タブレットまたはカプセルの形態での経口投与には、活性医薬成分を、経口用非毒性の薬学的に許容される不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。粉末は、本化合物を好適な細かい大きさに粉砕し、同様に粉砕された薬学的に許容される担体、例えば可食炭水化物(例えば、デンプンまたはマンニトール)と一緒に混合することで調製される。矯味矯臭剤、安定化剤、分散化剤および着色剤が存在していてもよい。
【0064】
カプセルは、上記で述べた粉末混合物を調製して、ゼラチンシース成形体に充填することによって製造される。粉末混合物には、滑剤または潤滑化剤、例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムや固体状ポリエチレングリコールを、カプセル化の前に加えることができる。カプセルが摂取されたときのその医薬のアベイラビリティを良くするために、崩壊剤または可溶化剤、例えばカンテン、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを加えることもできる。
【0065】
さらに、望ましいまたは必要な場合は、この混合物には、適切なバインダー、潤滑剤、崩壊剤および着色剤を組み込むこともできる。適切なバインダーとしては、デンプン、ゼラチン、天然の糖類例えばグルコースまたはβ−ラクトース、コーンスウィートナー、天然および合成のガム例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投与形態で使用される潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、カンテン、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。タブレットは、例えば、粉末混合物を調製し、細粒化またはスラグ化し、潤滑剤と崩壊剤を加えて、タブレットにプレス加工することで製剤化される。粉末混合物は、適切に粉砕された本化合物と、上述した希釈剤つまり基剤とを、また場合によっては、バインダー例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン;溶液遅流化剤例えばパラフィン;吸収促進剤例えば四級塩;および/または吸収剤例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムとを混合することで調製される。粉末混合物は、バインダー例えばシロップ、デンプンペースト、アカディア粘液またはセルロースもしくは高分子材料の溶液を用いて湿潤化し、スクリーンを通過させることで細粒化することができる。細粒化に代わるものとして、粉末混合物は、タブレット成形機に流すことができ、結果として細粒に砕かれた不完全成形スラグが得られる。細粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクあるいは鉱油を加えることで潤滑化して、タブレット成形ダイスに付着するのを防ぐことができる。潤滑化された混合物は、次いでタブレットに圧縮成形される。本発明の化合物はまた、細粒化工程またはスラグ化工程を経ることなしに、易流動性不活性担体と組み合わせて、直接タブレットに圧縮成形することもできる。シェラックシールコーティング、砂糖または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングからなる透明または不透明保護コーティングを付けることもできる。これらのコーティングには、異なる単位投与体を区別するために、染料を加えることもできる。
【0066】
溶液剤、シロップ剤およびエリキシル剤などの経口液剤は、所与の量が所定量の本化合物を含むような投与単位形態に調製することができる。シロップ剤は、本化合物を、適切に矯味矯臭化された水性溶液に溶解することで調製することができ、エリキシル剤は、無毒のアルコール性ビヒクルを用いることで調製される。懸濁液剤は、本化合物を、無毒のビヒクル中に分散させることで製剤化することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールまたはポリオキシエチレンソルビトールエーテルのような可溶化剤または乳化剤;安定化剤;ペパーミントオイルや天然のスウィートナーまたはサッカリンもしくは他の人工スウィートナーのような矯味矯臭添加剤なども加えることができる。
【0067】
適切であれば、経口投与用の投与単位製剤は、マイクロカプセル化することもできる。この製剤は、例えばコーティングすることによって、または粒子状物質をポリマーまたはワックスなどの中に包埋することによって、放出を遅延または持続させるように調製することもできる。
【0068】
式(I)の化合物は、リポソーム送達システム、例えば小一枚膜ベシクル、大一枚膜ベシクルおよび多重膜ベシクルの形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような各種のリン脂質から形成させることができる。
【0069】
式(I)の化合物は、この化合物分子をモノクローナル抗体にカップリングさせてそれを個々の担体として用いることによっても送達することができる。本化合物は、標的可能薬物担体としての可溶性ポリマーとカップリングさせることもできる。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキサイドポリリシンを挙げることができる。さらには、本化合物は、薬物制御放出を達成するうえで有用な生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートならびにヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーにカップリングさせることができる。
【0070】
経皮投与用に適合化された医薬製剤は、長期間受用者の表皮と緊密に接触して残ることが意図された個々のパッチとして提供することができる。例えば、本活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているイオン浸透療法によって、パッチから送達させることができる。
【0071】
局所投与用に適合化された医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液剤、ローション剤、粉末剤、溶液剤、ペースト剤、ジェル剤、スプレー剤、エアロゾル剤またはオイル剤として製剤化することができる。
【0072】
眼やその他の外部組織(例えば、口、皮膚)の治療には、本製剤は、好ましくは、局所用軟膏またはクリームとして適用する。軟膏剤に製剤化するときは、本活性成分は、パラフィン系軟膏基剤か水混和性軟膏基剤と一緒に用いることができる。あるいは、本活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤でクリーム剤に製剤化することができる。
【0073】
眼への局所投与用に適合化された医薬製剤としては点眼剤が挙げられ、この場合本活性成分は、適切な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁される。
【0074】
口の中における局所投与用に適合化された医薬製剤としては、ロゼンジ剤、トローチ剤およびマウスウォッシュ剤が挙げられる。
【0075】
直腸投与用に適合化された医薬製剤は、坐薬または浣腸として提供することができる。
【0076】
担体が固体である、経鼻投与用に適合化された医薬製剤には、粒子径が例えば20〜500ミクロンの粗粉末が入っており、これは、鼻から吸い込む方式で、すなわち鼻の下近くに保持された粉末容器から鼻道の中に、急に吸い込むことによって投与される。鼻内スプレー剤または点鼻剤として投与するのに好適な、担体が液体である製剤としては、本活性成分の水性または油性溶液剤が挙げられる。
【0077】
吸入による投与用に適合化された医薬製剤としては、微細粒子のダスト剤またはミスト剤が挙げられ、これは、様々なタイプの投与量計量式加圧エアロゾル器、ネブライザー器または吹き入れ器によって発生させることができる。
【0078】
膣内投与用に適合化された医薬製剤は、膣座薬、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供することができる。
【0079】
非経口投与用に適合化された医薬製剤としては、水性、非水性の滅菌注射溶液剤(これには、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤や、製剤を対象の受容者の血液と等張にする溶質が入っていてもよい)、および水性、非水性の滅菌懸濁液剤(これには、懸濁化剤、増粘剤が入っていてもよい)が挙げられる。この製剤は、1回投与または複数回投与用の容器、例えば密封アンプルまたはバイアル、に入れて提供することができ、また使用直前に滅菌液体担体(例えば注射用の水)を加えることのみを必要とする凍結乾燥状態で貯蔵しておくこともできる。処方箋による注射用溶液剤および懸濁液剤は、滅菌の粉末剤、顆粒剤、タブレット剤から調製することができる。
【0080】
上記で詳細に述べた各成分以外にも、本製剤が、当該の製剤のタイプに関わる技術分野で慣用のその他の添加剤を含み得ることは理解すべきであり、例えば、経口投与に適したものは、矯味矯臭剤を含み得る。
【0081】
上述した治療の方法および使用では、式(I)の化合物は、単独で、1種以上の他の式(I)の化合物との組み合わせで、あるいは他の治療用薬剤との組み合わせで用いられ得る。感受性の新生物の治療方法では、他の化学療法剤、ホルモンおよび/または抗体系薬剤との組み合わせが考えられ、また外科的療法および放射線療法との組み合わせも考えられる。「化学療法」薬剤としては、限定するものではないが、抗新生物薬剤、鎮痛剤および制吐剤が挙げられる。制吐剤としては、限定するものではないが、オンダンセトロン[ondansetron]、グラニセトロン[granisetron]などのような5HT拮抗薬;メタクロプロミド[metaclopromide];デキサメタゾン[dexamethasone]およびニューロキニン−1拮抗薬が挙げられる。
【0082】
「抗新生物薬剤」には、本発明で用いる場合、細胞増殖抑制性薬剤および細胞傷害性薬剤のいずれもが包含される。本発明で有用な典型的な抗新生物薬としては、限定するものではないが、ジテルペノイド系およびビンカアルカロイド系のような抗微小管薬;白金配位錯体系;ナイトロジェンマスタード系、オキサザホスホリン系[oxazaphosphor-ines]、アルキルスルホネート系、ニトロソ尿素系、およびトリアゼン系のようなアルキル化薬;アントラサイクリン系、アクチノマイシン系およびブレオマイシン系のような抗生剤;エピポドフィルロトキシン系[epipodophyllotoxins]のようなトポイソメラーゼII阻害薬;プリンおよびピリミジン類似体および抗葉酸化合物のような代謝拮抗薬;カンプトテシン系のようなトポイソメラーゼI阻害薬;シグナル伝達経路阻害薬;非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害薬;免疫療法薬;アポトーシス促進薬;および細胞周期シグナル伝達阻害薬が挙げられる。
【0083】
式(I)の化合物と少なくとも1種のさらなる癌治療療法とは、そのような他の抗癌療法との治療的に適切な任意の組み合わせで同時的または順次的な組み合わせで用いられ得る。
【0084】
感受性の神経外傷の治療では、他の神経外傷治療との組み合わせが想到されるが、外科的療法との組み合わせも想到される。
【0085】
以下に記載する方法を用いて、式(I)の化合物は調製され得る。以下に記載するスキームのすべてにおいては、当業者には知られている一般的な原則(例えば、T. W. Green and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sonsを参照されたい)に従って必要な場合に保護基が用いられ得ることは理解されるところである。これらの基は、当業者には知られている方法を用いて化合物合成の都合のよい段階で除去され得る。各プロセスの選択ならびに反応条件およびその実行の順序は、式(I)の化合物の調製と整合性が取れたものとする。
【0086】
以下のスキーム1〜5にまとめられている各プロセスにより式(I)の化合物は都合よく調製され得る。各スキーム1〜5においては、可変部はすべて上記で定義したとおりになっている。スキーム1〜5のそれぞれにおいては、国際特許出願である国際公開第2002/088107号パンフレットに従って調製された中間体(II)が用いられている。化合物(IV)は、当業者ならOrganic Lett. 2003, 5, 5023に従って商業的に入手可能な化合物を用いて容易に調製することができる。
【0087】
スキーム1
【化3】

【0088】
スキーム1に示すように、式(Ia)の化合物(RおよびRがHであり、さらにZが
【化4】

【0089】
[ここで、R、m、B、R、およびRは本明細書中上記に定義してあるとおりである]
である式Iの化合物としてここでは示してある)は、化合物(IX)から、R−NCOまたはR−NCSを、化合物(IX)のピリジン溶液に、その化合物(IX)対化合物R−NCOまたはR−NCSのモル比が1:1〜1:1.5、好ましくは1:1.2であるようにして加えることによって調製され得る。好ましい溶媒はピリジンであるが、当業者なら、他の溶媒、例えばCHCl、CHCl、CHClCHClを用いることができることは理解するだろう。この反応混合物は、室温にて1時間撹拌する。当業者なら理解するように、さまざまな温度例えば0〜60℃、およびさまざまな時間例えば0.1〜12時間を採用することができる。式(I)の化合物は、例えば、真空中で濃縮して、質量直結LC/MSにより精製することによって得ることができる。
【0090】
スキーム1で窒素保護基として示されているトシル基は、例えば、NaOH水溶液で処理することによって、または当業者に知られている他の方法によって除去され得る。この合成スキームでは他の適切な窒素保護基も用いられ得る。例えば、スキーム1中の記載に従って調製することができる化合物(VIII)をNaOH水溶液と適切な溶媒例えばMeOH中で40℃において1時間反応させることにより化合物(IX)は得られる。
【0091】
式(VIII)の化合物は、化合物(VII)を適切な溶媒中の還元剤で室温〜250℃の間の温度で還元することによって調製することができる。例えば、化合物(VII)をスズと一緒にEtOHおよびHCl水溶液中で還流にて4時間加熱することにより化合物(VIII)は得られる。
【0092】
化合物(VII)を調製するためには、典型的には1:1のモル比であるが1:1から1:3まで変わり得るモル比にある化合物(III)と化合物(VI)とを、典型的には36:1の体積比で用いられるDMEおよび2M NaCO水溶液に、パラジウム触媒の存在下に溶解させて、昇温で加熱する。化合物(VI)に対しては2M NaCOは0.25〜10当量用いることができる。NaCOに代えて、他の塩基例えばKCO、KPO、CsCO、CsF、Ba(OH)、NaOH、NaHCOを用いることができる。DMEの代わりにまたはそれに加えて、他の溶媒系例えばDMF、ジオキサン、THF、トルエン、キシレン、MeOH、メタノール、HO、MeCN、NMPあるいはこれらの2種以上の混合物を用いることもできる。触媒は好ましくはPd(PPhを用いるが、他の触媒例えばPd(OAc)、Pd(dba)、[PdCl(アリル)]を、適切なリガンド例えばPPh、PCy、(t−Bu)POH、(t−Bu)Pと一緒に用いることもできることは理解されるところである。また、ホスフィンを含まないパラジウム例えばPd/C、さらにはポリマー結合パラジウムも用いられ得る。異なる触媒を用いることは、当業者なら分かるように、時間、温度、および/または用いる溶媒を変え得る。反応は好ましくはマイクロ波加熱を用いて120℃で60分間行う。しかしながら、他の加熱の方式例えばオイルバスまたはホットプレートも採用され得る。また、より高い反応温度は典型的により短い反応時間を必要とするものであるという一般的な理解で、60〜180℃の他の温度、および0.1〜24時間の他の時間も採用され得る。濾液は、例えば捕獲/放出式のSCXカートリッジによって精製することができる。
【0093】
化合物(VI)を調製するためには、典型的には1:2のモル比であるが1:1から1:3まで変わり得るモル比にある化合物(V)および商業的に入手可能な4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(Aldrich社から入手可能)と、さらにKOAcとを、パラジウム触媒の存在下にDMFに溶解させて昇温で加熱する。4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランに対してはKOAcは1〜10当量用いることができる。触媒は好ましくはPd(dppf)Clである。反応は好ましくは90℃で48時間行う。また、より高い反応温度は典型的により短い反応時間を必要とするものであるという一般的な理解で、60〜180℃の他の温度、および0.1〜100時間の他の時間も採用され得る。
【0094】
化合物(V)は、窒素保護基を組み込むのに有用であると当業者に知られている標準的な合成の方法によって合成することができる。例えば、化合物(IV)をトシルクロリドおよび触媒量のBuNHSOと共溶媒例えばCHClおよびNaOH水溶液中で室温にて30分間反応させることにより化合物(V)は得られる。
【0095】
化合物(III)は、適切な塩基例えばNaOH水溶液の存在下にある溶媒例えばジクロロメタン中で化合物(II)をヨウ化エチルと反応させることによって合成することができる。臭化テトラブチルアンモニウムを加えるのも好ましい。例えば、化合物(II)を、EtI、TBABと一緒に室温で1時間撹拌することにより化合物(III)は得られる。
【0096】
スキーム2
【化5】

【0097】
スキーム2に示すように、式(Ib)の化合物(Rがハロゲンであり、Zがスキーム1で述べたとおりである式Iの化合物としてここでは示されている)は、化合物(XII)から、R−NCOまたはR−NCSを化合物(XII)のピリジン溶液に、その化合物(XII)対化合物R−NCOまたはR−NCSのモル比が1:1〜1:1.5、好ましくは1:1.2であるようにして加えることによって合成され得る。好ましい溶媒はピリジンであるが、当業者なら、他の溶媒、例えばCHCl、CHCl、CHClCHClを用いることができることを理解するだろう。反応混合物は、室温で1時間撹拌する。当業者なら理解するように、さまざまな温度例えば0〜60℃、およびさまざまな時間例えば0.1〜12時間を採用することができる。真空中での濃縮および質量直結LC/MSによる精製によって化合物(I)は得ることができる。
【0098】
式(XII)の化合物は、適切な溶媒中室温〜250℃の間の温度で化合物(XI)を適切な還元剤で還元することによって調製することができる。例えば、化合物(XI)をスズと一緒にEtOHおよびHCl水溶液中で還流にて12時間加熱することにより化合物(XII)は得られる。
【0099】
化合物(XI)を調製するためには、NBSまたはNCSを、適切な溶媒例えばTHF中化合物(X)の溶液に、その化合物(X)対NBSまたはNCSのモル比が1:1〜1:1.5、好ましくは1:1.15であるようにして加える。好ましい溶媒はTHFであるが、当業者なら、他の溶媒、例えばCHCl、CHCl、CHClCHCl、CCl、ジオキサンを用いることができることを理解するだろう。反応混合物は室温で12時間撹拌する。当業者なら理解するように、さまざまな温度例えば0〜60℃、およびさまざまな時間例えば0.1〜12時間を採用することができる。化合物(XI)は、例えば、真空中での濃縮および質量直結LC/MSによる精製によって得ることができる。
【0100】
スキーム2で窒素保護基として示されているトシル基は、例えば、NaOH水溶液で処理することによって、または当業者に知られている他の方法によって除去され得る。この合成スキームでは他の適切な窒素保護基も用いられ得る。例えば、スキーム1中の記載に従って調製することができる化合物(VII)をNaOH水溶液および溶媒例えばMeOH中で室温にて12時間反応させることにより化合物(X)は得られる。
【0101】
スキーム3
【化6】

【0102】
スキーム3に示すように、化合物(Id)(RがHOOCであり、Zがスキーム1で定義したとおりである式Iの化合物としてここでは示されている)は、化合物(Ic)中のエステルからエチル基を除去するのに有用であると当業者に知られている標準的な合成の方法によって合成することができる。例えば、適切な溶媒例えばMeOH中での化合物(Ic)(RがEtOOCであり、Zがスキーム1で定義したとおりである式Iの化合物としてここでは示されている)とNaOH水溶液の反応を還流で1時間加熱することにより化合物(Id)は得られる。
【0103】
スキーム3に示すように、式(XX)の化合物は、化合物(XIX)から、R−NCOまたはR−NCSを化合物(XIX)のピリジン溶液に、その化合物(XIX)対化合物R−NCOまたはR−NCSのモル比が1:1〜1:1.5、好ましくは1:1.2であるようにして加えることによって合成され得る。好ましい溶媒はピリジンであるが、当業者なら、他の溶媒、例えばCHCl、CHCl、CHClCHClを用いることができることを理解するだろう。反応混合物は、室温で1時間撹拌する。当業者なら理解するように、さまざまな温度例えば0〜60℃、およびさまざまな時間例えば0.1〜12時間を採用することができる。
【0104】
式(XIX)の化合物は、適切な溶媒中室温〜250℃の間の温度で化合物(XVII)を適切な還元剤で還元することによって調製することができる。例えば、化合物(XVII)をスズと一緒にEtOHおよびHCl水溶液中で還流にて4時間加熱することにより化合物(XIX)は得られる。
【0105】
スキーム4
【化7】

【0106】
化合物(XVII)を調製するためには、典型的には1:1のモル比であるが1:1から1:3まで変わり得るモル比にある化合物(XIV)と化合物(XVI)とを、典型的には36:1の体積比で用いられるDMEおよび2M NaCO水溶液に、パラジウム触媒の存在下に溶解させて、昇温で加熱する。化合物(XVI)に対しては2M NaCOは0.25〜10当量用いることができる。NaCOに代えて、他の塩基例えばKCO、KPO、CsCO、CsF、Ba(OH)、NaOH、NaHCOを用いることもできる。DMEの代わりにまたはそれに加えて、他の溶媒系例えばDMF、ジオキサン、THF、トルエン、キシレン、MeOH、メタノール、HO、MeCN、NMPあるいはこれらの2種以上の混合物を用いることもできる。触媒は好ましくはPd(PPhであるが、他の触媒例えばPd(OAc)、Pd(dba)、[PdCl(アリル)]を、適切なリガンド例えばPPh、PCy、(t−Bu)POH、(t−Bu)Pと一緒に用いることもできることは理解されるところである。また、ホスフィンを含まないパラジウム例えばPd/C、さらにはポリマー結合パラジウムも用いられ得る。異なる触媒を用いることは、当業者なら分かるように、時間、温度、および/または用いる溶媒を変え得る。反応は好ましくはマイクロ波加熱を用いて120℃で30分間行う。しかしながら、他の加熱の方式例えばオイルバスまたはホットプレートも採用され得る。また、より高い反応温度は典型的により短い反応時間を必要とするものであるという一般的な理解で、60〜180℃の他の温度、および0.1〜24時間の他の時間も採用され得る。濾液は、例えば捕獲/放出によるSCXカートリッジによって精製することができる。
【0107】
化合物(XIV)を調製するためには、無水メタンスルホン酸を、適切な溶媒例えばDMF中化合物(XIII)および臭化テトラメチルアンモニウムの溶液に、その化合物(XIII)対臭化テトラメチルアンモニウムおよび無水メタンスルホン酸のモル比が1:1:1〜1:2:4、好ましくは1:1.5:2であるようにして加える。好ましい溶媒はDMFであるが、当業者なら、他の溶媒、例えばDMSOを用いることができることを理解するだろう。反応混合物は0℃〜室温で6時間静置しておく。当業者なら理解するように、さまざまな温度例えば0〜60℃、およびさまざまな時間例えば0.1〜12時間を採用することができる。
【0108】
化合物(XIII)は、国際特許出願である国際公開第2000/044753号パンフレットに従って容易に調製することができる。
【0109】
化合物(XVI)を調製するためには、典型的には1:2のモル比であるが1:1から1:3まで変わり得るモル比にある化合物(II)および商業的に入手可能な4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランと、さらにKOAcとを、パラジウム触媒の存在下にDMFに溶解させて昇温で加熱する。4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランに対してはKOAcは1〜10当量用いることができる。触媒は好ましくはPd(dppf)Clである。反応は好ましくは90℃で12時間行う。また、より高い反応温度は典型的により短い反応時間を必要とするものであるという一般的な理解で、60〜180℃の他の温度、および0.1〜100時間の他の時間も採用され得る。
【0110】
スキーム5
【化8】

【0111】
化合物(XIX)を調製するためには、スキーム5に示されているように別の手順をとることもできる。典型的には1:1のモル比であるが1:1から1:3まで変わり得るモル比にある化合物(XVIII)と化合物(XV)とを、典型的には36:1の体積比で用いられるDMEおよび2M NaCO水溶液に、パラジウム触媒の存在下に溶解させて、昇温で加熱する。化合物(XV)に対しては2M NaCOは0.25〜10当量用いることもできる。NaCOに代えて、他の塩基例えばKCO、KPO、CsCO、CsF、Ba(OH)、NaOH、NaHCOを用いることもできる。DMEの代わりにまたはそれに加えて、他の溶媒系例えばDMF、ジオキサン、THF、トルエン、キシレン、MeOH、メタノール、HO、MeCN、NMPあるいはこれらの2種以上の混合物を用いることもできる。触媒は好ましくはPd(PPhであるが、他の触媒例えばPd(OAc)、Pd(dba)、[PdCl(アリル)]を、適切なリガンド例えばPPh、PCy、(t−Bu)POH、(t−Bu)Pと一緒に用いることもできることは理解されるところである。また、ホスフィンを含まないパラジウム例えばPd/C、さらにはポリマー結合パラジウムも用いられ得る。異なる触媒を用いることは、当業者なら分かるように、時間、温度、および/または用いる溶媒を変え得る。反応は好ましくはマイクロ波加熱を用いて120℃で60分間行う。しかしながら、他の加熱の方式例えばオイルバスまたはホットプレートも採用され得る。また、より高い反応温度は典型的により短い反応時間を必要とするものであるという一般的な理解で、60〜180℃の他の温度、および0.1〜24時間の他の時間も採用され得る。濾液は、例えば捕獲/放出によるSCXカートリッジによって精製することができる。
【0112】
化合物(XV)を調製するためには、典型的には1:2のモル比であるが1:1から1:3まで変わり得るモル比にある化合物(XIV)および商業的に入手可能な4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランと、さらにKOAcとを、パラジウム触媒の存在下にDMFに溶解させて昇温で加熱する。4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランに対してはKOAcは1〜10当量用いることもできる。触媒は好ましくはPd(dppf)Clである。反応は好ましくは90℃で48時間行う。また、より高い反応温度は典型的により短い反応時間を必要とするものであるという一般的な理解で、60〜180℃の他の温度、および0.1〜100時間の他の時間も採用され得る。
【0113】
化合物(XIV)は、スキーム4に示してあるようにして得ることができる。
【0114】
化合物(XVIII)は、適切な溶媒中室温〜250℃の間の温度で化合物(III)を適切な還元剤で還元することによって調製することができる。例えば、化合物(III)をスズと一緒にEtOHおよびHCl水溶液中で還流にて4時間加熱することにより化合物(XVIII)は得られる。
【0115】
本発明は、放射能標識された式(I)の化合物、およびビオチニル化された式(I)の化合物、ならびにそれらの固相支持体結合バージョンも提供するものである。放射能標識された式(I)の化合物およびビオチニル化された式(I)の化合物は、既存の手法を用いて調製することができる。例えば、放射能標識された式(I)の化合物は、適切な触媒の存在下に式(I)の化合物をトリチウムガスと反応させて、放射能標識された式(I)の化合物を生成させることによって調製することができる。
【0116】
1つの実施形態では、式(I)の化合物は、トリチウム化されている。
【0117】
放射能標識された式(I)の化合物およびビオチニル化された式(I)の化合物は、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼを阻害する化合物を特定するためのアッセイで、少なくとも1種のB−Rafファミリーキナーゼが介在する病態の治療用化合物を特定するためのアッセイで、感受性の新生物の治療用化合物を特定するためのアッセイで有用である。したがって、本発明は、そのような化合物を特定するためのアッセイ法を提供するものであり、該方法には、放射能標識された式(I)の化合物またはビオチニル化された式(I)の化合物を標的蛋白または細胞ホモジネートに特異的に結合させるステップが含まれる。より具体的には、好適なアッセイ法としては、競合結合アッセイが挙げられるだろう。放射能標識された式(I)の化合物およびビオチニル化された式(I)の化合物は、当技術分野で慣用の方法によるアッセイで用いることができる。
【0118】
以下の実施例は説明のみを意図するものであって、いかなる意味においても、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0119】
本発明の方法、スキームおよび実施例で使用する記号および取り決めは、本明細書で使用する場合、現代の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society、Journal of Biological Chemistryで使用されているものと整合している。アミノ酸残基を表すのには、標準的な一字または三字の略記号が一般的に使用され、またアミノ酸残基は、特に断らないかぎり、L−配置にあると仮定されている。特に断らないかぎり、出発物質はすべて商業的供給者から得たものであり、さらに精製することなく用いた。具体的には、以下の略記号が、実施例中および明細書全体をとおして使用され得る:
g(グラム);
mg(ミリグラム);
L(リットル);
mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル);
psi(ポンド/平方インチ);
M(モル濃度);
mM(ミリモル濃度);
i.v.(静脈内);
Hz(ヘルツ);
MHz(メガヘルツ);
mol(モル);
mmol(ミリモル);
rt(室温);
min(分);
h(時間);
mp(融点);
TLC(薄層クロマトグラフィー);
Tr(保持時間);
RP(逆相);
MeOH(メタノール);
i−PrOH(イソプロパノール);
TEA(トリエチルアミン);
TFA(トリフルオロ酢酸);
TFAA(無水トリフルオロ酢酸);
THF(テトラヒドロフラン);
DMSO(ジメチルスルホキシド);
AcOEt(EtOAc);
DME(1,2−ジメトキシエタン);
DCM(CHCl);
DCE(ジクロロメタン);
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);
DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素);
CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);
IBCF(イソブチルCHClエート);
HOAc(酢酸);
HOSu(N−ヒドロキシスクシンイミド);
HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);
mCPBA(メタ−クロロペル安息香酸);
Boc(t−ブチルオキシカルボニル);
FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);
DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);
CBZ(ベンジルオキシカルボニル);
NBS(N−ブロモスクシンイミド);
NCS(N−クロロスクシンイミド);
Ac(アセチル);
atm(気圧);
TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);
TMS(トリメチルシリル);
TIPS(トリイソプロピルシリル);
TBS(t−ブチルジメチルシリル);
DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);
BSA(ウシ血清アルブミン);
ATP(アデノシン三リン酸);
HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ);
DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地);
HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);
BOP(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド);
TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド);
HBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート);
TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート);
HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸);
DPPA(ジフェニルホスホリルアジド);
fHNO(発煙HNO);
EDC(エチルカルボジイミド塩酸塩);
EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸);
DIEA(N,N−ジイソプロピル−N−エチルアミン);
dppf(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン);
R−NCO(イソシアネート);
R−NCS(イソチオシアネート);および
NMP(1−メチル−2−ピロリジノン)。
【0120】
エーテルと記載されているのはすべてジエチルエーテルであり;ブラインとは飽和NaCl水溶液をいう。特に断らない限り、温度はすべて℃(摂氏)で標記されている。反応は、特に断らない限り、すべて室温にある不活性雰囲気下で行う。
【0121】
H NMRスペクトルは、Varian VXR−300、Varian Unity−300、Varian Unity−400測定器、Brucker AVANCE−400、またはGeneral Electric QE−300で記録した。ケミカルシフトは、百万分の一の量(ppm、δ単位)で表されている。カップリング定数の単位は、ヘルツ(Hz)である。分裂パターンは見掛けの多重度を表し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)として示されている。
【0122】
低分解能マススペクトル(MS)は、Watersmicromass ZQ2000;2695 Alliance;2996 Photodiode Array Detectorで記録した。分取LC/MS精製では、以下の条件を用いた:
Waters FractionLynx LC/MS条件
・自動サンプラー/フラクションコレクター:2767インジェクトコレクター
・廃液コレクター:Watersフラクションコレクター2
・HPLC:2525ポンプ
・検出器:2996 Photodiode Array Detector
・MS:ZQ2000
・メイクアップポンプ:Watersリエージェントマネージャー
【0123】
精製プロトコル
・仕込み:5〜100mg
・4勾配法、サイクル時間:15min
・流量:40mL/min
・カラム:XTerra(商標)MSC18、30×150mm(10μmm)
・注入体積:1800μL
・温度:rt
【0124】
塩基性条件移動相
A−(純粋HO:3L+28%アンモニア溶液11mL)
B−100% アセトニトリル
酸性条件移動相
A−(純粋HO:3L+100%ギ酸3mL)
B−(アセトニトリル:3L+100%ギ酸3mL)
メイクアップ溶媒
20% HO+80%メタノール+10mM酢酸アンモニウム
勾配:6勾配法で精製(溶媒B割合)
【表1】

【0125】
マススペクトルは、すべて、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、化学イオン化(CI)法、およびエレクトロンインパクト(EI)法下で、または高速原子衝撃(FAB)法により取った。反応は、すべて、UV光、5%エタノール性ホスホモリブデン酸もしくはp−アニスアルデヒド溶液で可視化された、0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F−254)での薄層クロマトグラフィーにより、または質量分光分析(エレクトロスプレーまたはAP)によりモニタリングした。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)で、または自動化されたシリカゲルクロマトグラフィー(Yamazen Fast Flow Liquid Chromatography、UVを検出するとサンプルコレクションが起動する)を用いて行った。
【0126】
マイクロ波照射は、Personal Chemistry SmithsynthesizerまたはCreatorで行った。
【0127】
SCX精製:Varian Mega Bond Elut SCX;一般的手順:SCXカートリッジをMeOHでリンスし、次いで粗製の混合物を適切な溶媒例えばMeOH、DCMなどの中に溶解させてこのカートリッジに仕込んだ。そしてこの後カートリッジをメタノールおよびジクロロメタンで続けてリンスした。生成物は、2Mアンモニアメタノール溶液(一部のケースでは、DCMと混合)で溶離し、その後真空で濃縮することにより単離した。
【0128】
(一般中間体1:4−ブロモ−1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール)
【化9】

【0129】
国際公開第2002/088107号パンフレットに従って調製した4−ブロモ−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール(7.1g、24.1mmol)のジクロロメタン(570mL)溶液にNaOH水溶液(2N、114mL)を加えた。次いで、得られた混合物に激しい撹拌下でテトラブチル臭化アンモニウム(9.6g、29.8mmol)、その後ヨウ化エチル(6.8mL)を加えた。室温にて1時間撹拌した後、その有機相を取り出し、0.5N HCl水溶液(250mL)、5% NaHCO水溶液で洗浄して、MgSOで乾燥させた。真空での濃縮およびシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1で溶離)による精製により主位置異性体(5.8g)を淡黄色の固形物として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) ppm 1.55 (t, 3H, J = 7.3Hz), 4.22 (q, 2H, J = 7.3Hz), 7.54 (s, 1H), 7.59 (t, 1H, J = 8.1Hz), 8.20 (m, 1H), 8.28 (m, 1H), 8.82 (m, 1H). LC/MS: m/z 296, 298 (M+1)+。
【0130】
4−ブロモ−1−エチル−5−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾールの他の副位置異性体(0.58g)も固形物として単離した。1H NMR (400MHz, CDCl3) ppm 1.39 (t, 3H, J = 7.3Hz), 4.13 (q, 2H, J = 7.3Hz), 7.60 (s, 1H), 7.71-7.77 (m, 2H), 8.29 (m, 1H), 8.35 (m, 1H). LC/MS: m/z 296, 298 (M+1)+。
【0131】
(一般中間体2:3−(4−ブロモ−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル)アニリン)
【化10】

【0132】
4−ブロモ−1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール(500mg、1.7mmol)およびスズ(1.0g、8.4mmol)のEtOH(100mL)中懸濁液に、6N HCl水溶液(1mL)を加えた。この反応を4時間還流し、そして直接SCXカートリッジの中に仕込んだ。SCX精製の後、その残留物をシリカゲルカラムでのYamazen Fast Flow Liquid Chromatography(EtOAc:ヘキサン=1:1〜1:0)により精製して、所望の生成物を95%の収率で得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.39 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.14 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 5.16 (brs, 2H), 6.55 (ddd, 1H, J = 1.0, 1.8, 7.8 Hz), 6.95 (ddd, 1H, J = 1.0, 1.8, 7.8 Hz), 7.02 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 7.06 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 8.03 (s, 1H). MS (ESI): m/z 266, 268 (M+1)+
【0133】
(一般中間体3:1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン)
【化11】

【0134】
ステップA:4−ブロモ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化12】

【0135】
NaOH水溶液(6N、5mL)を4−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1.6g、8.1mmol)、TsCl(3.1g、2.0mmol)およびBuNHSO(82.7mg、0.3mmol)のCHCl(40mL)溶液に加えた。この混合物を室温にて30分間撹拌した後、反応を飽和NHCl水溶液でクエンチし、そしてCHClで抽出した(20mL×3回)。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させて、次いで減圧下で蒸発乾固させた。この残留物をシリカゲルカラム(EtOAc:Hex=1:4)で精製して、対応する生成物を白色の固形物(2.0g、70%)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 2.35 (s, 3H), 6.79 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.43 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.61 (d, 1H, J = 5.3 Hz), 8.00 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 8.04 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 8.25 (d, 1H, J = 5.1 Hz). MS (ESI): m/z 351, 353 (M+1)+
【0136】
ステップB:1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化13】

【0137】
不活性雰囲気下で4−ブロモ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1.9g、5.4mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(2.8g、10.9mmol)、KOAc(1.6g、16.3mmol)およびPd(dppf)Cl(0.4g、0.5mmol)のDMF(20mL)中混合物を90℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、水層がpH10になるまで1N NaOH水溶液を加えた。水層をCHClで洗浄し、慎重に1N HCl水溶液でpH4に酸性化し、そしてCHCl(20mL×3回)で抽出した。この有機層を減圧下で濃縮して、所望のボロン酸エステルを茶色の固形物(1.7g、77%)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.32 (s, 12H), 2.33 (s, 3H), 6.95 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.40 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.47 (d, 1H, J = 4.5 Hz), 7.93-7.98 (m, 3H), 8.38 (d, 1H, J = 4.5 Hz). MS (ESI): m/z 399 (M+1)+
【0138】
(一般中間体4:4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン)
【化14】

【0139】
4−ブロモ−1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール(一般中間体1、740.3mg、2.5mmol)および1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(一般中間体3、1.0g、2.5mmol)をDME(18mL)およびNaCO水溶液(2M、0.5mL)にマイクロ波バイアルの中で溶解させた。得られた溶液にPd(PPh(288.9mg、0.25mmol)を加えた。Creatorを用いたマイクロ波照射により120℃で1時間加熱した後、反応を飽和NHCl水溶液で希釈し、そしてCHCl(20mL×3回)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させて、次いで減圧下で蒸発乾固させた。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:Hex=1:4〜1:1)により精製して、対応する生成物を白色の固形物(1.1g、88%)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.49 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.36 (s, 3H), 4.28 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 6.51 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.08 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 7.43 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.55 (dd, 1H, J = 8.1, 8.1 Hz), 7.65-7.70 (m 1H), 7.84 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.98 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 8.13-8.18 (m, 2H), 8.27-8.31 (m, 2H). MS (ESI): m/z 488 (M+1)+
【0140】
(一般中間体5:3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン)
【化15】

【0141】
ステップA:4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化16】

【0142】
HCl水溶液(2N、1mL)を4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1.1g、2.2mmol)およびスズ(1.3g、11.0mmol)のEtOH(100mL)中懸濁液に加えた。この混合物を還流で4時間撹拌し、そして直接SCXカートリッジの中に仕込んだ。SCX精製の後、その残留物をシリカゲルカラム(EtOAc:ヘキサン=1:4〜1:1)でのYamazen Fast Flow Liquid Chromatographyにより精製して、所望の生成物(780mg、78%)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.45 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.35 (s, 3H), 4.21 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 5.04 (brs, 2H), 6.33-6.37 (m, 1H), 6.48 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.3, 8.1 Hz), 6.59 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 6.65 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 6.88 (dd, 1H, J = 7.8, 8.1 Hz), 7.00 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 7.43 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.83 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 8.00 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 8.16 (s, 1H), 8.21 (d, 1H, J = 5.1 Hz). MS (ESI): m/z 458 (M+1)+
【0143】
ステップB:3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン
【化17】

【0144】
4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(778mg、1.7mmol)のMeOH(50mL)溶液に6N NaOH水溶液(0.5mL)を加えた。得られた混合物を40℃で1時間撹拌した後、反応を飽和NHCl水溶液でクエンチし、そしてCHCl(20mL×3回)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させて、次いで減圧下で蒸発乾固させた。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:Hex=1:4〜1:1)により精製して、対応する生成物を白色の固形物(511.9mg)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.47 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.22 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 5.00 (brs, 2H), 6.30 (dd, 1H, J = 2.0, 3.3 Hz), 6.39-6.44 (m, 1H), 6.46 (ddd, 1H, J = 0.8, 2.3, 8.1 Hz), 6.72 (dd, 1H, J = 2.0, 2.0 Hz), 6.79 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 6.88 (dd, 1H, J = 7.8, 8.1 Hz), 7.38 (dd, 1H, J = 2.0, 3.3 Hz), 8.06 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.12 (s, 1H), 11.57 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 304 (M+1)+
【0145】
(一般中間体6:3−[4−(3−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン)
【化18】

【0146】
ステップA:4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化19】

【0147】
4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(一般中間体4、350mg、0.7mmol)のDMF(2mL)、CHCl(30mL)、およびMeOH(30mL)の混合物中溶液に、6N NaOH水溶液(3mL)を加えた。室温で一晩撹拌した後、反応を真空で蒸発乾固させた。得られた残留物を飽和NHCl水溶液で希釈し、そしてCHCl(20mL×3回)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そしてその後減圧下で蒸発乾固させて対応する化合物(212.8mg、89%)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.51 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.31 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 6.15 (dd, 1H, J = 2.0, 3.5 Hz), 6.88 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.38-7.41 (m, 1H), 7.56 (dd, 1H, J = 8.1, 8.1 Hz), 7.72-7.76 (m, 1H), 8.12 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.5, 8.1 Hz), 8.15 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.22-8.24 (m, 1H), 8.25 (s, 1H), 11.70 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 334 (M+1)+
【0148】
ステップB:3−ブロモ−4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化20】

【0149】
NBS(26.4mg、0.15mmol)を4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(45mg、0.13mmol)のTHF(5mL)溶液に加えた。室温で一晩撹拌した後、反応を水でクエンチし、そしてCHCl(20mL×3回)で抽出した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そしてその後減圧下で蒸発乾固させて、対応する化合物を得た。これは次のステップでさらに精製することなく用いた。
【0150】
ステップC:3−[4−(3−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン
【化21】

【0151】
ステップBで得られた残留物およびスズ(77.1mg、0.65mmol)のEtOH(10mL)中懸濁液に、6N HCl水溶液(1mL)を加えた。一晩還流した後、反応混合物を直接SCXカートリッジの中に仕込んだ。SCX精製の後、その残留物をCHClおよびMeOHで再結晶させて、対応する化合物を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.45 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.21 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 4.94 (brs, 2H), 6.25-6.28 (m, 1H), 6.37 (ddd, 1H, J = 0.8, 2.0, 7.8 Hz), 6.74 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 6.81 (dd, 1H, J = 2.0, 2.0 Hz), 6.85 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.62 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.85 (s, 1H), 8.19 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 12.10 (d, 1H, J = 2.0 Hz). MS (ESI): m/z 382, 384 (M+1)+
【0152】
(一般中間体7:3−[4−(3−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン)
【化22】

【0153】
一般中間体6と同じような手順を用い、NBSをNCSで置き換えることで、標題中間体を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.45 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.21 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 4.95 (brs, 2H), 6.27-6.30 (m, 1H), 6.38 (ddd, 1H, J = 8.1, 2.5, 1.0 Hz), 6.76 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 6.79 (dd, 1H, J = 1.9, 1.9 Hz), 6.83 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.58 (d, 1H, J = 1.9 Hz), 7.87 (s, 1H), 8.18 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 12.00 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 338 (M+1)+
【0154】
(一般中間体8:エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート)
【化23】

【0155】
ステップA:エチル4−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化24】

【0156】
国際公開第2000/044753号パンフレットに従って調製したエチル1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート7−オキシド(1.0g、5.0mmol)をテトラメチル臭化アンモニウム(1.2g、7.5mmol)のDMF(50mL)中懸濁液に加えた。得られた混合物を0℃まで冷却し、無水メタンスルホン酸(1.7g、10mmol)を少しずつ加えた。室温まで温め、もう6時間撹拌した後、反応混合物を水(100mL)の中に注ぎ入れた。50%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、得られた溶液をAcOEtで抽出し、その後その有機層をブラインおよび水で洗浄した。真空で濃縮して残留物を得、これをSCX精製して、所望の化合物を淡黄色の固形物(1.0g、77%)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.35 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 4.36 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 7.05 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.28 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 12.95 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 269, 271 (M+1)+
【0157】
ステップB:エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化25】

【0158】
不活性雰囲気下でエチル4−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート(1.0g、3.9mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(2.1g、7.8mmol)、KOAc(1.2g、11.7mmol)およびPd(dppf)Cl(0.3g、0.4mmol)のDMF(20mL)中混合物を90℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、反応をNHCl水溶液でクエンチした。得られた混合物をAcOEtで抽出した。この有機層をブライン、水で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空で濃縮することで残留物を得、これをYAMAZEN Fast Flow Liquid Chromatography(シリカゲル、EtOAc:ヘキサン=1:1)で精製して、所望の生成物を白色の固形物(0.8g、68%)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.33-1.37 (m, 15H), 4.37 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.40 (d, 1H, J = 4.5 Hz), 8.44 (d, 1H, J = 4.3 Hz), 12.55 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 315 (M-1)-, 317 (M+1)+
【0159】
(一般中間体9:1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール)
【化26】

【0160】
不活性雰囲気下で4−ブロモ−1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール(2.5g、8.6mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(4.3g、17.1mmol)、KOAc(2.5g、25.7mmol)およびPd(dppf)Cl(0.6g、0.9mmol)のDMF(150mL)中混合物を90℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、水層がpH10になるまで1N NaOH水溶液を加えた。この水層をCHClで洗浄し、1N HCl水溶液で慎重にpH4に酸性化し、そしてCHCl(20mL×3回)で抽出した。この有機層をNaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮して所望のボロン酸エステルを茶色の固形物として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.30 (s, 12H), 1.42 (t, J = 7.20 Hz, 3H), 4.22 (q, J = 7.33 Hz, 2H), 7.68 (dd, J = 7.8, 7.8 Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 8.18 (ddd, J = 1.0, 2.4, 7.8 Hz, 1H), 8.33 (ddd, J = 1.0, 1.5, 7.8 Hz, 1H), 8.94 (dd, J = 1.5, 2.4 Hz, 2H). MS (ESI): m/z 344 (M+1)+
【0161】
(一般中間体10:エチル4−[3−(3−アミノフェニル)−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート)
【化27】

【0162】
手順1
【化28】

【0163】
3−(4−ブロモ−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル)アニリン(一般中間体2、470mg、1.8mmol)およびエチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート(一般中間体8、559mg、1.8mmol)をDME(18mL)およびNaCO水溶液(2m、0.5mL)に溶解させた。得られた溶液およびPd(PPh(204.5mg、0.18mmol)をマイクロ波バイアルに加えた。キャッピングの後、混合物をCreatorを用いて120℃で60分間加熱した。沈殿物を濾過により取り出し、CHClでリンスした。SCX精製の後、残留物をシリカゲルカラムでのYamazen Fast Flow Liquid Chromatography(EtOAc:ヘキサン=1:1〜1:0)により精製して、所望の生成物(113.7mg、17%)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.32 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.48 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.25 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 4.32 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 5.04 (brs, 2H), 6.39-6.43 (m, 1H), 6.48 (ddd, 1H, J = 1.0, 1.8, 7.8 Hz), 6.70 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.90 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.04 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 8.24-8.26 (m, 2H), 12.46 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 376 (M+1)+
【0164】
手順2
【化29】

【0165】
ステップA:エチル4−[1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化30】

【0166】
エチル4−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート(一般中間体8中のステップA、134.6mg、0.5mmol)および1−エチル−3−(3−ニトロフェニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(一般中間体9、171.5mg、0.5mmol)をDME(4mL)およびNaCO水溶液(2m、0.5mL)に溶解させた。得られた溶液およびPd(PPh(34.7mg、0.03mmol)をマイクロ波バイアルに加えた。キャッピングの後、混合物をCreatorを用いて120℃で30分間加熱した。SCX精製により残留物を得、これはさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
【0167】
ステップB:エチル4−[3−(3−アミノフェニル)−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化31】

【0168】
上記混合物およびスズ(296.8mg、2.5mmol)のEtOH(30mL)中懸濁液に6N HCl水溶液(1mL)を加えた。4時間還流した後、混合物をSCX精製した。この残留物をシリカゲルカラムでのYamazen Fast Flow Liquid Chromatography(EtOAc:ヘキサン=1:1〜1:0)により精製して、所望の生成物(32.1mg、17%)を得た。
【0169】
(実施例1:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素)
【化32】

【化33】

【0170】
フェニルイソシアネート(7.1mg、0.06mmol)を3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン(一般中間体5、15mg、0.05mmol)のピリジン(1mL)溶液に加えて、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去した後、その残留物をLC/MSにより精製して、標題の化合物を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.50 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 4.27 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.27 (dd, 1H, J = 2.0, 3.5 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.89 (ddd, 1H, J = 1.1, 1.3, 7.6 Hz), 6.95 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.23-7.31 (m, 2H), 7.38-7.51 (m, 5H), 8.10 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 11.62 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 423 (M+1)+
【0171】
(実施例2:N−(3−クロロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素)
【化34】

【0172】
実施例1と同様の手順を用い、3−クロロフェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.50 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 4.27 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.26 (dd, 1H, J = 2.0, 3.5 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.89-6.93 (m, 1H), 7.01 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.0, 8.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0 Hz), 7.23 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.0, 8.0 Hz), 7.28 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0 Hz), 7.39 (dd, 1H, J = 2.0, 3.5 Hz), 7.46 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.0, 8.0 Hz), 7.51 (dd, 1H, J = 2.0, 2.0 Hz), 7.68 (dd, 1H, J = 2.0, 2.0 Hz), 8.10 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 11.62 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 457 (M+1)+
【0173】
(実施例3:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素)
【化35】

【0174】
実施例1と同様の手順を用い、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.50 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.27 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 6.25 (dd, 1H, J = 1.8, 3.5 Hz), 6.82 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.94 (ddd, 1H, J = 1.1, 1.3, 7.3 Hz), 7.19 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0 Hz), 7.35-7.41 (m, 2H), 7.45-7.52 (m, 3H), 8.10 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.19 (s, 1H), 8.59 (dd, 1H, J = 2.3, 7.3 Hz), 8.81 (s, 1H), 9.15 (s, 1H), 11.63 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 509 (M+1)+
【0175】
(実施例4:N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素)
【化36】

【0176】
実施例1と同様の手順を用い、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.50 (t, 1H, J = 7.3 Hz), 4.27 (q, 1H, J = 7.3 Hz), 6.26 (dd, 1H, J = 1.8, 3.3 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 6.92 (ddd, 1H, J = 1.3, 1.3, 7.8 Hz), 7.17 (d, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.39 (dd, 1H, J = 2.5, 3.3 Hz), 7.46 (ddd, 1H, J = 1.3, 1.8, 7.8 Hz), 7.53 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 7.59-7.61 (m, 2H), 8.07-8.09 (m, 1H), 8.10 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.85 (s, 1H), 9.08 (s, 1H), 11.62 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 525 (M+1)+
【0177】
(実施例5:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[3−(メチルオキシ)フェニル]尿素)
【化37】

【0178】
実施例1と同様の手順を用い、3−メトキシフェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.49 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 3.72 (s, 3H), 4.26 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.26 (dd, 1H, J = 1.8, 3.5 Hz), 6.54 (ddd, 1H, J = 0.8, 2.3, 8.1 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.86-6.92 (m, 2H), 7.12-7.19 (m, 3H), 7.39 (dd, 1H, J = 2.8, 3.5 Hz), 7.45 (ddd, 1H, J = 0.8, 2.5, 8.1 Hz), 7.49 (dd, 1H, J = 1.8,1.8 Hz), 8.09 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 11.62 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 453 (M+1)+
【0179】
(実施例6:N−(2,6−ジフルオロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素)
【化38】

【0180】
実施例1と同様の手順を用い、2,6−ジフルオロフェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.48 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.25 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 6.26 (dd, 1H, J = 1.8, 3.5 Hz), 6.80 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.85 (ddd, 1H, J = 0.8, 1.8, 8.1 Hz), 7.09-7.18 (m, 3H), 7.26-7.34 (m, 1H), 7.39 (dd, 1H, J = 2.8, 3.5 Hz), 7.45 (ddd, 1H, J = 0.8, 2.0, 8.1 Hz), 7.55 (d, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 8.02 (s, 1H), 8.09 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.17 (s, 1H), 8.94 (s, 1H), 11.61 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 459 (M+1)+
【0181】
(実施例7:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−{4−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}尿素)
【化39】

【0182】
実施例1と同様の手順を用い、4−ベンジルオキシフェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.49 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.26 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 5.05 (s, 2H), 6.27 (dd, 1H, J = 2.0, 3.5 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.87 (ddd, 1H, J = 1.3, 1.5, 7.8 Hz), 6.93 (d, 1H, J = 9.1 Hz), 7.14 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.28-7.50 (m, 10H), 8.09 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 11.62 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 529 (M+1)+
【0183】
(実施例8:N−シクロヘキシル−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素)
【化40】

【0184】
実施例1と同様の手順を用い、イソシアナトシクロヘキサンでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.07-1.21 (m, 3H), 1.22-1.32 (m, 2H), 1.45-1.56 (m, 4H), 1.57-1.68 (m, 2H), 1.72-1.82 (m, 2H), 3.36-3.47 (m, 1H), 4.25 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 5.96 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 6.26 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.78 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 6.78-6.82 (m, 1H), 7.08 (dd, 1H, J = 7.8, 8.8 Hz), 7.37-7.42 (m, 3H), 8.08 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.16 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 11.61 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 429 (M+1)+
【0185】
(実施例9:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−(フェニルメチル)尿素)
【化41】

【0186】
実施例1と同様の手順を用い、ベンジルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.48 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.21-4.29 (m, 4H), 6.26 (dd, 1H, J = 2.0, 3.5 Hz), 6.53 (dd, 1H, J = 6.1, 6.1 Hz), 6.76-6.82 (m, 2H), 7.09 (dd, 1H, J = 7.8, 8.1 Hz), 7.20-7.35 (m, 5H), 7.39 (dd, 1H, J = 2.5, 3.3 Hz), 7.42 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.0, 8.1 Hz), 7.47 (t, 1H, J = 1.8, 2.0 Hz), 8.08 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.16 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 11.61 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 437 (M+1)+
【0187】
(実施例10:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素)
【化42】

【0188】
実施例1と同様の手順を用い、4−トリフルオロフェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.49 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.26 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 6.26 (dd, 1H, J = 2.0, 3.3 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.90-6.95 (m, 1H), 7.18 (dd, 1H, J = 7.8, 8.0 Hz), 7.39 (dd, 1H, J = 2.5, 3.3 Hz), 7.47 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.0, 8.1 Hz), 7.51-7.54 (m, 1H), 7.59-7.65 (m, 4H), 8.09 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 11.62 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 491 (M+1)+
【0189】
(実施例11:N−(2−クロロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素)
【化43】

【0190】
実施例1と同様の手順を用い、2−クロロフェニルイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.49 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 4.26 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.27 (dd, 1H, J = 1.5 3.3 Hz), 6.82 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.89-6.92 (m, 1H), 7.02 (ddd, 1H, J = 1.5, 7.6, 8.1 Hz), 7.15-7.22 (m, 1H), 7.29 (ddd, 1H, J = 1.5, 7.6, 8.6 Hz), 7.40 (dd, 1H, J = 2.3, 3.3 Hz), 7.44 (dd, 1H, J = 1.5, 8.1 Hz), 7.48-7.53 (m, 2H), 8.10 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.14 (dd, 1H, J = 1.5, 8.1 Hz), 8.18 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 9.39 (s, 1H), 11.63 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 457 (M+1)+
【0191】
(実施例12:N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニルチオ尿素)
【化44】

【0192】
実施例1と同様の手順を用い、フェニルチオイソシアネートでフェニルイソシアネートを置き換えて、標題の化合物を調製した。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.49 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 4.25 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.28 (d, 1H, J = 3.3 Hz), 6.82 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.03-7.08 (m, 1H), 7.09-7.15 (m, 1H), 7.21 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.28-7.36 (m, 2H), 7.37-7.44 (m, 3H), 7.49 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.3, 8.1 Hz), 7.55 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 8.08 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.18 (s, 1H), 9.74 (s, 1H), 9.76 (s, 1H), 11.63 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 439 (M+1)+
【0193】
(実施例13:N−{3−[4−(3−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素)
【化45】

【0194】
フェニルイソシアネート(6.6mg、0.06mmol)を3−[4−(3−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン(一般中間体7、17.0mg、0.05mmol)のピリジン(1mL)溶液に加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去した後、その残留物をLC/MSにより精製して、標題の化合物を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.48 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 4.26 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.75-6.80 (m, 1H), 6.89 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 7.08 (dd, 1H, J = 7.8, 8.1 Hz), 7.49-7.55 (m, 2H), 7.55-7.61 (m, 2H), 7.64-7.70 (m, 1H), 7.90-7.98 (m, 3H), 8.07 (dd, 1H, J = 1.8, 1.8 Hz), 8.22 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 10.23 (s, 1H), 12.04 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 457 (M+1)+
【0195】
(実施例14:N−{3−[4−(3−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素)
【化46】

【0196】
フェニルイソシアネート(6.6mg、0.06mmol)を3−[4−(3−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]アニリン(一般中間体6、20.0mg、0.05mmol)のピリジン(1mL)溶液に加え、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去した後、その残留物をLC/MSにより精製して、標題の化合物を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.48 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 4.26 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 6.75 (ddd, 1H, J = 1.0, 1.5, 8.1 Hz), 6.91 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.06 (dd, 1H, J = 7.8, 8.1 Hz), 7.48-7.55 (m, 2H), 7.55-7.61 (m, 1H), 7.61-7.68 (m, 2H), 7.90-7.97 (m, 3H), 8.09 (dd, 1H, J = 1.9, 1.9 Hz), 8.22 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 10.24 (s, 1H), 12.09 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 501, 503 (M+1)+
【0197】
(実施例15:エチル4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート)
【化47】

【0198】
4−トリフルオロフェニルイソシアネート(9.3mg、0.05mmol)をエチル4−[3−(3−アミノフェニル)−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート(一般中間体10、15.0mg、0.04mmol)のピリジン(1mL)溶液に加えて、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去した後、その残留物をLC/MSにより精製して、標題の化合物を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.31 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.50 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.25-4.35 (m, 4H), 6.88 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 6.91-6.95 (m, 1H), 7.00 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.20 (dd, 1H, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.46 (ddd, 1H, J = 1.0, 2.0 7.8 Hz), 7.54 (dd, 1H, J = 1.8, 2.0 Hz), 7.60-7.64 (m, 4H), 8.28 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.31 (s, 1H), 8.82 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 12.50 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 563 (M+1)+
【0199】
(実施例16:4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸)
【化48】

【0200】
4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート(10.0mg、0.02mmol)のMeOH(1mL)溶液に、6N NaOH水溶液(0.1mL)を加えた。この混合物を還流で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去した後、その残留物をLC/MSにより精製して、標題の化合物を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) ppm 1.50 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 4.28 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 6.56 (s, 1H), 6.76 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.06-7.12 (m, 1H), 7.16-7.25 (m, 2H), 7.53-7.60 (m, 2H), 7.74-7.82 (m, 3H), 8.16 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 8.22 (s, 1H), 10.58 (brs, 1H), 11.07 (brs, 1H). MS (ESI): m/z 535 (M+1)+
【0201】
本発明の化合物を、B−Rafファミリー蛋白チロシンキナーゼ阻害活性について、酵素アッセイおよび細胞増殖アッセイで試験した。
【0202】
A.酵素アッセイ:
本発明の化合物を、B−Rafに対する蛍光アニソトロピー結合アッセイで試験した。概しては、試験化合物が存在(>10×K)する場合と存在しない場合とで、酵素へのリガンドの結合を反映する観測されたアニソトロピーに有意な差がある条件下で、酵素、蛍光リガンド、および試験化合物を平衡に至らしめた。アッセイ条件は、酵素濃度が≧1×Kであり、リガンド濃度がこの酵素濃度よりも低くなるように設定した。
【0203】
試験化合物をDMSOに連続希釈して、0.1μLを低容量黒色384ウェルプレートに加えた。最終アッセイ組成が50mM HEPES(pH7.3)、10mM MgCl、1mM CHAPS、1mM DTT、1nM蛍光リガンド、2nMコンピテントB−Raf(コンピテンシーは、蛍光リガンドに結合することができる酵素の割合として決定される)、および0.169nM〜10μM試験化合物である酵素/リガンドミックスの10μLを加えることでアッセイを開始した。2時間インキュベートした後、蛍光アニソトロピーを、励起が485nMで、発光が530nMのLJL Acquestで読み取った。これらの実験にはバキュロウイルスで発現させた組み換え型His−タグB−Raf(残基462〜770)を用いた。
【0204】
用量応答についてのデータは、式100×((U−C1)/(C2−C1))[式中、Uは未知の値であり、C1は1%DMSOに対して得られた平均の対照値であり、C2は既知の阻害物質についての平均の対照値である]を用いて正規化した後、%阻害対化合物濃度としてプロットした。式y=A+((B−A)/(1+(10/10))[式中、Aはy最小値であり、Bはy最大値であり、Cはlog(XC50)であり、Dは傾きである]でカーブフィッティングを行った。それぞれの化合物についての結果はpIC50値(上記式中の−C)として記録した。
【0205】
定義:K=阻害物質結合についての解離定数
=蛍光リガンド結合についての解離定数
【0206】
蛍光リガンドは、以下に示す化合物である。
【化49】

【0207】
実施例の各化合物を上述したアッセイで試験し、それぞれに対して、6.0より大きいB−Rafに対するpIC50の測定値を得た。
【0208】
B.細胞アッセイ:
B−Raf介在MEK1のリン酸化を細胞アッセイで測定した。B−RafおよびFLAG−タグMEK1(B−raf基質)のための発現構築物を3T3細胞に共トランスフェクションし、哺乳動物発現誘発用GeneSwitch(商標)装置(Invitrogen社)を用いて遺伝子発現を誘発した。B−RafおよびMEK1の発現の誘発4時間後、細胞を試験化合物に2時間曝露した。この後細胞を溶解して、次いで抗ホスホMEK1/2(Cell Signaling Technlogoies社)を用いて免疫アッセイを行って、MEK1リン酸化のパーセント阻害を検出した。MEK1リン酸化の50%を阻害した試験化合物の濃度(IC50)を、非線型回帰(Levenberg−Marquardt)および式y=1+((b−a)/(1+(10x/10c)d)[式中cはIC50に等しい]を用いて内挿した。結果は以下のとおりである。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、OおよびSから選択され;
mは、0または1であり;
Bは、6員シクロアルキルまたはアリール環であり;
およびRは、H、アルコキシ、ハロアルキル、ハロ、およびフェンアルコキシから独立に選択され;
は、H、−C(O)OH、および−C(O)−O−CH−CHから選択され;
は、Hおよびハロから選択される]
で表される化合物ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物。
【請求項2】
が、Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、Sである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびRの少なくとも一方が、アルコキシ、ハロアルキル、ハロ、およびフェンアルコキシから選択される、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項5】
およびRの少なくとも一方が、トリフルオロアルキルである、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項6】
およびRの少なくとも一方が、トリフルオロメチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
およびRの少なくとも一方が、ハロである、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項8】
およびRのいずれもが、Hである、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項9】
およびRのいずれもが、Hである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
が、−C(O)OHである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
が、−C(O)−O−CH−CHである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
が、ハロである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
以下:
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素;
N−(3−クロロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[3−(メチルオキシ)フェニル]尿素;
N−(2,6−ジフルオロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−{4−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}尿素;
N−シクロヘキシル−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−(フェニルメチル)尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N−(2−クロロフェニル)−N’−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}尿素;
N−{3−[1−エチル−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニルチオ尿素;
N−{3−[4−(3−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素;
N−{3−[4−(3−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル]フェニル}−N’−フェニル尿素;
エチル4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート;
4−(1−エチル−3−{3−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸
から選択される化合物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項15】
薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含んでなる請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
化学療法剤をさらに含んでなる請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のB−rafファミリーキナーゼが介在する、治療を必要とする哺乳動物における病態の治療方法であって、該方法が、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の治療的に有効な量を哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
【請求項18】
治療を必要とする哺乳動物における感受性の新生物の治療方法であって、該方法が、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物の治療的に有効な量を哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
【請求項19】
治療を必要とする哺乳動物における感受性の神経外傷の治療方法であって、該方法が、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の治療的に有効な量を哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
【請求項20】
前記感受性の新生物が、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、頭部および頸部の癌、食道癌、黒色腫、および腎臓癌から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記感受性の神経外傷が、手術が原因で起こるような開放性もしくは穿通性の頭部外傷、または頭部部分への外傷、虚血発作、冠状動脈バイパスの後の一過性虚血発作、および他の一過性虚血状態の後の認知低下が原因で起こるような閉鎖性の頭部外傷性障害から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種のB−rafファミリーキナーゼが介在する、哺乳動物における病態の治療で使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
少なくとも1種のB−rafファミリーキナーゼに感受性の、哺乳動物における新生物の治療で使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
少なくとも1種のB−rafファミリーキナーゼに感受性の、哺乳動物における神経外傷性疾患の治療で使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
少なくとも1種のB−rafファミリーキナーゼが介在する、哺乳動物における病態を治療するための医薬を調製するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項26】
哺乳動物における感受性の新生物を治療するための医薬を調製するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項27】
哺乳動物における感受性の神経外傷性疾患を治療するための医薬を調製するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項28】
哺乳動物における感受性の新生物または神経外傷性疾患の治療で使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物を含んでなる医薬組成物。

【公表番号】特表2009−525350(P2009−525350A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553472(P2008−553472)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/061351
【国際公開番号】WO2007/090141
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】