説明

RDS復調回路

【課題】RDSデータの受信間隔を短くすることなく、RDS局のサーチ時間を低減する。
【解決手段】RDS受信確認部15aは、アークタンジェント型検波器10から出力されたFM復調信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較結果に基づいて、RDSデータの受信の確認を行い、RDS受信確認通知部15cは、RDSデコード部15bにてデコードされるRDSデータをマイクロコンピュータ16に通知する前に、RDSデータを受信できるかどうかの確認結果をマイクロコンピュータ16に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRDS(ラジオデータシステム)復調回路に関し、特に、1つのチューナーを共用しながらFMラジオ放送の番組とRDSデータとを時分割的に受信するFM受信機に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
FMラジオ放送の受信品質を向上させるために、FM受信機にRDSを搭載したものがある。このRDSで取得できるRDSデータには、同一の番組が放送されている周波数の情報などが含まれている。そして、このRDSデータをFM受信機にて受信し、同一の番組が放送されている周波数のうち電界強度が最も強い周波数に切り替えることで、FM受信機が車載用として利用される場合においても、受信品質を一定レベル以上に保つことができる。
【0003】
ここで、1つのチューナーを共用しながらFMラジオ放送の番組とRDSデータとを受信する場合、RDSデータを受信できるかを確認するためにRDS局をサーチする際に、一定期間だけ選曲周波数が変更される。そして、RDSの規格上、RDSデータが取得されるまでに200msec前後の時間が必要となり、その間にFMラジオ放送の番組を聴いている視聴者に異音が感じられないようにするために、RDS局をサーチしている間は音声ミュートを行うなどの対策が講じられている。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、RDSロック検出信号をラッチするラッチ回路をPLL回路とRDSロック検出部との間に設け、ラッチされたローレベルのRDSロック検出信号と初期同期識別信号との論理積を用いてPLL回路を制御することで、PLL回路が初期同期モードに頻繁に切り替わることを防止し、RDSロック検出信号を安定化させる方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、従来のRDS復調回路では、RDS局が存在しない場合においても、RDSデータの取得にかかる時間だけRDS局のサーチが継続されるため、RDS局のサーチ時間が長くなり、聴感上の違和感が大きいという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−181478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、RDSデータの受信間隔を短くすることなく、RDS局のサーチ時間を低減することが可能なRDS復調回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様によれば、ベースバンドにダウンコンバートされた受信信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較結果に基づいて、RDSデータを受信できるかどうかの確認を行うRDS受信確認部と、前記受信信号のレベル変化点に基づいてRDSデータをデコードするRDSデコード部と、前記RDSデコード部にてデコードされるRDSデータを通知する前に、前記RDSデータを受信できるかどうかの確認結果を通知するRDS受信確認通知部とを備えることを特徴とするRDS復調回路を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、RDSデータの受信間隔を短くすることなく、RDS局のサーチ時間を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るRDS復調回路について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るRDS復調回路が適用されるFM受信機の概略構成を示すブロック図である。
図1において、FM受信機には、空間を伝播する電波を受信する受信アンテナ1、受信アンテナ1にて受信されたFM受信信号S0を増幅する無線周波増幅器2、FMラジオ放送の選曲を行うための局部発振信号LOを生成する局部発振器3、無線周波増幅器2にて増幅されたFM受信信号S0に局部発振信号LOを乗算することでFM受信信号S0をダウンコンバートするミキサ4、ミキサ4にてダウンコンバートされたFM受信信号S0を増幅する中間周波増幅器5、中間周波増幅器5にて増幅されたFM受信信号S0をデジタル値に変換するA/Dコンバータ6、互いに直交する局部発振信号LI、LQを生成する局部発振器7、A/Dコンバータ6にてデジタル化されたFM受信信号S0に局部発振信号LI、LQを乗算することで、FM受信信号S0を互いに直交する同相成分Iおよび直交成分Qに変換するミキサ8、ミキサ8の出力から不要な高域成分を除去するフィルタ9が設けられている。
【0012】
また、FM受信機には、フィルタ9を通過した同相成分Iと直交成分Qとの比に対してアークタンジェント値θ=tan−1(Q/I)を算出し、そのアークタンジェント値θの微分値Δθ=dθ/dtをFM復調信号として出力するアークタンジェント型検波器10、アークタンジェント型検波器10の出力から不要なノイズを除去するフィルタ11、フィルタ11を通過したFM復調信号をアナログ値に変換するD/Aコンバータ12、D/Aコンバータ12にてアナログ化されたFM復調信号を増幅するパワーアンプ13、パワーアンプ13にて増幅されたFM復調信号にて駆動されることで、音声を出力するスピーカ14が設けられている。
【0013】
さらに、FM受信機には、RDS局から送信されたRDSデータを復調するRDS復調回路15、RDSデータに基づいて放送周波数ごとの番組が登録された番組リスト19を作成し、FM受信信号S0の電界強度に基づいてFMラジオ放送の選曲周波数の切り替え指示を行うマイクロコンピュータ16、フィルタ9からの出力に基づいてFM受信信号S0の電界強度を検出する電界強度検出器18が設けられている。
【0014】
ここで、図1の番組リスト19には、FMラジオ放送の番組A、B、C、D、・・・の放送周波数f1、f2、・・・が登録されるとともに、各放送周波数f1、f2、・・・における電界強度E1、E2、・・・を付記することができる。
【0015】
また、RDS復調回路15には、RDS受信確認部15a、RDSデコード部15bおよびRDS受信確認通知部15cが設けられている。ここで、RDS受信確認部15aは、アークタンジェント型検波器10から出力されたFM復調信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較結果に基づいて、RDSデータを受信できるかどうかの確認を行うことができる。RDSデコード部15bは、アークタンジェント型検波器10から出力されたFM復調信号のレベル変化点に基づいてRDSデータをデコードすることができる。RDS受信確認通知部15cは、RDSデコード部15bにてデコードされるRDSデータをマイクロコンピュータ16に通知する前に、RDSデータを受信できるかどうかの確認結果をマイクロコンピュータ16に通知することができる。
【0016】
また、マイクロコンピュータ16には、RDS復調回路15によるRDS局のサーチのタイプアップを検出するタイマ17が設けられるとともに、タイマ17がタイムアップするまでにRDSデータを受信できるという確認が取れない場合、RDS局のサーチを切り上げるサーチ復帰処理部16aが設けられている。
なお、受信アンテナ1にて受信されるFM受信信号S0は、FMラジオ放送される音声信号とRDS局から送信されるRDSデータにて周波数変調され、FMラジオ放送される音声信号にはRDSデータが重畳されている。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る音声信号とRDSデータのスペクトル分布を示す図である。
図2において、FMラジオ放送される音声信号Saは、0kHzと38kHzをそれぞれ中心として分布している。そして、RDSデータSrは、音声帯域に影響を及ぼさないようにするために、57kHzの副搬送波の近傍に低レベルで分布している。
【0018】
そして、図1において、図2の音声信号SaおよびRDSデータSrにてFM変調されたFM変調信号は受信アンテナ1にて受信され、FM受信信号S0が無線周波増幅器2にて増幅された後、ミキサ4に送られる。そして、ミキサ4において、無線周波増幅器2から送られたFM受信信号S0に局部発振信号LOが乗算されることでFM受信信号S0がダウンコンバートされた後、中間周波増幅器5にて増幅され、A/Dコンバータ6にてA/D変換された後、ミキサ8に送られる。
【0019】
そして、ミキサ8において、A/D変換されたFM受信信号S0に局部発振信号LI、LQが乗算されることでFM受信信号S0が同相成分Iおよび直交成分Qに変換された後、フィルタ9にて不要な高域成分が除去され、アークタンジェント型検波器10に送られる。そして、アークタンジェント型検波器10において、フィルタ9を通過した同相成分Iと直交成分Qとの比に対してアークタンジェント値θが算出され、そのアークタンジェント値θの微分値ΔθがFM復調信号としてフィルタ11およびRDS復調回路15に出力される。
【0020】
そして、フィルタ11にてFM復調信号から不要なノイズが除去された後、D/Aコンバータ12にてD/A変換され、パワーアンプ13にて増幅された後、スピーカ14に入力されることで、音声が出力される。
【0021】
一方、アークタンジェント型検波器10にてFM復調されたFM復調信号がRDS復調回路15に入力されると、RDS受信確認部15aにおいて、アークタンジェント型検波器10から出力されたFM復調信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相が比較されるとともに、RDSデコード部15bにおいて、FM復調信号からRDSデータがデコードされる。
【0022】
そして、アークタンジェント型検波器10から出力されたFM復調信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の同期がとれると、RDSデータを受信できるという確認通知がマイクロコンピュータ16に送られた後に、RDS復調回路15にて復調されたRDSデータがマイクロコンピュータ16に送られる。
そして、RDSデータがマイクロコンピュータ16に送られると、FMラジオ放送の番組A、B、C、D、・・・の放送周波数f1、f2、・・・が登録された番組リスト19が作成され、マイクロコンピュータ16に保持される。
【0023】
また、フィルタ9を通過した同相成分Iと直交成分Qは電界強度検出器18に送られる。そして、電界強度検出器18において、フィルタ9を通過した同相成分Iと直交成分QからFM受信信号S0の電界強度が検出され、マイクロコンピュータ16に送られる。そして、FM受信信号S0の電界強度がマイクロコンピュータ16に送られると、各放送周波数f1、f2、・・・における電界強度E1、E2、・・・が番組リスト19に付記される。
【0024】
そして、マイクロコンピュータ16は、局部発振器3の局発周波数を制御することで選曲周波数を切り替え、FMラジオ放送の番組の受信とRDS局のサーチとを時分割的に交互に行うことで、1本の受信アンテナ1にてFMラジオ放送の番組とRDSデータと受信させる。
【0025】
そして、例えば、FMラジオ放送の放送周波数f1の番組Aを受信している途中に、放送周波数f1の電界強度E1が弱くなった場合、マイクロコンピュータ16は、同一の番組Aにおいて放送周波数f1とは異なる放送周波数f2が番組リスト19に登録されているかどうか調べる。そして、放送周波数f2でも同一の番組Aが放送されていることを検知すると、その放送周波数f2の電界強度E2を調べる。そして、放送周波数f2の電界強度E2が放送周波数f1の電界強度E1よりも大きい場合、マイクロコンピュータ16は、FMラジオ放送の選曲周波数を放送周波数f2に切り替えることで、現在受信している番組Aの受信品質を一定レベル以上に保つことができる。
【0026】
ここで、マイクロコンピュータ16は、RDS局のサーチを行うために、選曲周波数に切り替えた場合、タイマ17を起動する。そして、RDS復調回路15からRDSデータを受信できるという確認通知を受け取った場合、タイマ17のカウント動作をクリアする。
【0027】
一方、マイクロコンピュータ16は、RDS復調回路15からRDSデータを受信できるという確認通知を受け取ることなく、RDS局のサーチの途中でタイマ17がタイムアップした場合、サーチ復帰処理部16aは、RDS局のサーチを途中で切り上げ、RDS局をサーチするための選曲周波数からFMラジオ放送の番組を受信するための選曲周波数に切り替える。なお、タイマ17がタイムアップするまでのタイムアップ時間Tpは、RDS局がある時に、アークタンジェント型検波器10から出力されたFM復調信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の同期がとられるまでにかかるロックイン時間Tkよりも長くなるようにした上で、タイムアップ時間Tpは、ロックイン時間Tkになるべく近づくように設定することが好ましい。
【0028】
これにより、RDS局がない場合には、RDS局のサーチを長時間継続することなく、FMラジオ放送で現在聴いている番組を受信することが可能となる。このため、RDSデータの受信間隔を短くすることなく、RDS局のサーチ時間を低減することが可能となり、RDS局のサーチの効率性を劣化させることなく、聴感上の違和感を低減することが可能となる。
【0029】
図3は、図1のRDS復調回路の概略構成を示すブロック図である。
図3において、図1のRDS復調回路15には、アークタンジェント型検波器10にてFM復調されたFM復調信号S1から図2のRDSデータSrの帯域成分を抽出するバンドパスフィルタ21、バンドパスフィルタ21にて抽出された信号に対してRDS規格に基づいた同期をとるPLL回路22、PLL回路22にて同期がとられた信号を基準値と比較することで2値化信号S2を生成するコンパレータ23、2値化信号S2のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較を行うPLL回路24、PLL回路24からの出力に基づいて、RDSデータを取り出すための基準となるタイミングを与えるクロックS3を抽出するクロック抽出回路25、2値化信号S2の差分デコード処理を行うことで、RDSデータを取り出す差分デコード回路26、PLL回路24による位相の比較結果に基づいて、2値化信号S2の位相がRDSの基準クロックにロックしたかを検出するロック検出回路44、ロック検出回路44からロック検出信号S7が出力されない場合、差分デコード回路26にて取り出されたRDSデータの通過を阻止するゲート回路27、ゲート回路27を通過したRDSデータをRDSグループに含まれるブロックごとに区分けするブロック同期回路28、ブロック同期回路28にて区分けされたブロックごとにエラー訂正を行うエラー訂正回路29、有効なブロックごとのRDSデータが得られたことをマイクロコンピュータ16に通知する同期フラグ生成回路30が設けられている。
【0030】
図4は、図3のPLL回路24および同期フラグ生成回路30の概略構成を示すブロック図である。
図4において、図3のPLL回路24には、RDSの基準クロックの周波数(=1.1875kHz)を中心周波数とした発振信号を発生する数値制御発振器41、数値制御発振器41から出力された発振信号の位相と、コンパレータ23から出力された2値化信号S2の位相とを比較する位相比較器42、位相比較器42から出力された信号の高域成分を減衰させることで、位相比較器42から出力された信号の位相補償を行うループフィルタ43が設けられている。なお、ループフィルタ43は、PLL回路24の制御ゲインを調整することができ、ロック検出回路44から出力されたロック検出信号S7に基づいて、PLL回路24の制御ゲインを切り替えることができる。
【0031】
また、同期フラグ生成回路30には、ロック検出回路44から出力されたロック検出信号S7のエッジを検出するエッジ検出回路45、ブロック同期回路28から出力された同期確立信号S4またはエッジ検出回路45から出力されたエッジ検出信号S8を検出した場合、一定期間だけ出力をローレベルに変化させることで、同期フラグS6を生成するワンショットマルチバイブレータ46が設けられている。
【0032】
そして、図3および図4において、図1のアークタンジェント型検波器10にてFM復調されたFM復調信号S0がRDS復調回路15に入力されると、RDSデータの帯域成分がバンドパスフィルタ21にて抽出された後、PLL回路22に出力される。そして、PLL回路22において、RDS規格に基づいた同期がとられた後、コンパレータ23において、基準値と比較されることで2値化され、PLL回路24および差分デコード回路26に出力される。
【0033】
そして、PLL回路24に2値化信号S2が入力されると、図4の位相比較器42において、2値化信号S2の位相が、数値制御発振器41から出力された発振信号の位相と比較され、その比較結果が、ロック検出回路44に入力されるとともに、ループフィルタ43にて位相補償された後、数値制御発振器41に入力される。そして、位相比較器42からの比較結果が数値制御発振器41に入力されると、2値化信号S2との位相差が0に近づくように発振信号の発振周波数が制御され、位相比較器42およびクロック抽出回路25に出力される。
【0034】
そして、数値制御発振器41にて生成された発振信号がクロック抽出回路25に入力されると、RDSデータを取り出すための基準となるタイミングを与えるクロックS3が抽出され、ブロック同期回路28に出力される。ここで、PLL回路24の後段にクロック抽出回路25を配置することにより、クロックS3の抽出ミスの影響がPLL回路24に波及されるのを防止することができ、PLL回路24のロック時間を短縮することができる。
【0035】
一方、コンパレータ23にて生成された2値化信号S2が差分デコード回路26に入力されると、差分デコード回路26において、2値化信号S2の差分デコード処理が行われることで、RDSデータが取り出され、ゲート回路27に出力される。
また、位相比較器42からの比較結果がロック検出回路44に入力されると、ロック検出回路44において、2値化信号S2の位相がRDSの基準クロックにロックしたかが検出される。そして、2値化信号S2の位相がRDSの基準クロックにロックしたことが検出された場合、ロック検出信号S7がゲート回路27、ループフィルタ43およびエッジ検出回路45に出力される。
【0036】
そして、ロック検出信号S7がループフィルタ43に入力されると、ループフィルタ43において、ロック検出信号S7が入力されない場合に比べて、PLL回路24の制御ゲインが低く設定される。ここで、ロック検出信号S7が入力された時にPLL回路24の制御ゲインを低く設定することで、PLL回路24のジッタ低減することが可能となるとともに、ロック検出信号S7が入力されない時にPLL回路24の制御ゲインを高く設定することで、ロックイン時間Tkを短くすることができる。
【0037】
一方、ロック検出信号S7がゲート回路27に入力されると、差分デコード回路26にて取り出されたRDSデータがゲート回路27を介してブロック同期回路28に送られる。そして、差分デコード回路26にて取り出されたRDSデータがブロック同期回路28に送られると、クロック抽出回路25にて抽出されたクロックS3に従ってRDSデータがRDSに固有のブロックごとに区分けされ、エラー訂正回路29にてエラー訂正されたに後、RDSデータS5として図1のマイクロコンピュータ16に出力されるとともに、RDSデータS5を取得できる状態になると、同期確立信号S4がワンショットマルチバイブレータ46に出力される。
【0038】
ここで、ゲート回路27を設けることにより、ロック検出信号S7が出力されない場合には、差分デコード回路26にて取り出されたRDSデータがエラー訂正回路29に入力されるのを防止することができ、未定義のランダムデータに対してRDSデータであると誤判定されるのを防止することが可能となることから、RDSデータの復調精度を向上させることができる。
【0039】
また、ロック検出信号S7がエッジ検出回路45に入力されると、エッジ検出回路45において、ロック検出信号S7のエッジが検出され、エッジ検出信号S8がワンショットマルチバイブレータ46に出力される。
そして、ワンショットマルチバイブレータ46において、ブロック同期回路28から出力された同期確立信号S4またはエッジ検出回路45から出力されたエッジ検出信号S8が検出されると、一定期間だけ出力がローレベルに変化されることで、同期フラグS6が生成され、図1のマイクロコンピュータ16に出力される。
【0040】
図5−1は、本発明の一実施形態に係るRDS信号が検出された時の図3のRDS復調回路の各部の信号の状態を示すタイミングチャートである。
図5−1において、図1のマイクロコンピュータ16によって、RDS局をサーチするための選曲周波数から、FMラジオ放送の番組を聴くための選曲周波数に切り替えられると、図3のPLL回路24はアンロックに移行し、ロック検出回路44からロック検出信号S7が出力されなくなる。
【0041】
そして、時刻t1において、FMラジオ放送の番組を聴くための選曲周波数から、RDS局をサーチするための選曲周波数に切り替えられると、図1のタイマ17が起動されるとともに、RDSデータの帯域成分の2値化信号S2がPLL回路24に入力される。そして、RDSデータの帯域成分の2値化信号S2がPLL回路24に入力されると、時刻t2において、PLL回路24がアンロックからロックに移行し、ロック検出信号S7がロック検出回路44からエッジ検出回路45に出力される。
【0042】
そして、ロック検出信号S7がエッジ検出回路45に出力されると、エッジ検出信号S8がエッジ検出回路45からワンショットマルチバイブレータ46に出力され、エッジ検出信号S8がワンショットマルチバイブレータ46に出力されると、同期フラグS6がワンショットマルチバイブレータ46から図1のマイクロコンピュータ16に出力される。
【0043】
そして、マイクロコンピュータ16は、タイマ17を起動した後に、ワンショットマルチバイブレータ46から同期フラグS6を受け取ると、タイマ17のカウント動作をクリアし、RDS局をサーチするための選曲周波数をそのまま維持することで、RDS局のサーチを継続させる。そして、RDS局のサーチが継続されると、RDSデータS5を取得できる状態になり、同期確立信号S4がブロック同期回路28からワンショットマルチバイブレータ46に出力される。
【0044】
そして、同期確立信号S4がワンショットマルチバイブレータ46に出力されると、同期フラグS6がワンショットマルチバイブレータ46から図1のマイクロコンピュータ16に出力され、RDSデータS5の取得が促される。
時刻t3、t4についても時刻t1、t2と同様の処理が行われ、FMラジオ放送の受信とRDS局のサーチとが時分割的に交互に繰り返される。
【0045】
図5−2は、本発明の一実施形態に係るRDS信号が検出されない時の図3のRDS復調回路の各部の信号の状態を示すタイミングチャートである。
図5−2の時刻t11において、FMラジオ放送の番組を聴くための選曲周波数から、RDS局をサーチするための選曲周波数に切り替えられると、図1のタイマ17が起動される。ここで、RDS局がない場合には、RDSデータの帯域成分の2値化信号S2がPLL回路24に入力されないため、PLL回路24がアンロックのままタイマ17のカウント動作が進行する。そして、時刻t12において、タイマ17がカウントアップすると、図1のマイクロコンピュータ16は、RDS局のサーチを途中で切り上げ、RDS局をサーチするための選曲周波数からFMラジオ放送の番組を聴くための選曲周波数に切り替えることで、FMラジオ放送の番組の受信状態に移行させる。
【0046】
時刻t13、t14についても時刻t11、t12と同様の処理が行われ、RDS局がない場合には、RDS局のサーチが途中で切り上げられながら、FMラジオ放送の番組の受信とRDS局のサーチとが時分割的に交互に繰り返される。
【0047】
これにより、RDSデータの伝達前に、RDS局の有無を知らせる情報を伝達することができ、RDS局がない場合のRDS局のサーチ動作からの戻り時間を短縮することができる。
また、RDS局の有無の判断にロック検出信号S7を用いることで、RDS局の有無を判断するために余分な処理が追加されるのを防止することができ、RDS復調回路の回路構成の大規模化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るRDS復調回路が適用されるFM受信機の概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施形態に係る音声信号とRDSデータのスペクトル分布を示す図。
【図3】図1のRDS復調回路の概略構成を示すブロック図。
【図4】図3のPLL回路24および同期フラグ生成回路30の概略構成を示すブロック図。
【図5−1】本発明の一実施形態に係るRDS信号が検出された時の図3のRDS復調回路の各部の信号の状態を示すタイミングチャート。
【図5−2】本発明の一実施形態に係るRDS信号が検出されない時の図3のRDS復調回路の各部の信号の状態を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0049】
1 受信アンテナ、2 無線周波増幅器、3、7 局部発振器、4、8 ミキサ、5 中間周波増幅器、6 A/Dコンバータ、9、11 フィルタ、10 アークタンジェント型検波器、12 D/Aコンバータ、13 パワーアンプ、14 スピーカ、15 RDS復調回路、15a RDS受信確認部、15b RDSデコード部、15c RDS受信確認通知部、16 マイクロコンピュータ、16a サーチ復帰処理部、17 タイマ、18 電界強度検出器、19 番組リスト、21 バンドパスフィルタ、22、24 PLL回路、23 コンパレータ、25 クロック抽出回路、26 差分デコード回路、27 ゲート回路、28 ブロック同期回路、29 エラー訂正回路、30 同期フラグ生成回路、41 数値制御発振器、42 位相比較器、43 ループフィルタ、44 ロック検出回路、45 エッジ検出回路、46 ワンショットマルチバイブレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースバンドにダウンコンバートされた受信信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較結果に基づいて、RDSデータを受信できるかどうかの確認を行うRDS受信確認部と、
前記受信信号のレベル変化点に基づいてRDSデータをデコードするRDSデコード部と、
前記RDSデコード部にてデコードされるRDSデータを通知する前に、前記RDSデータを受信できるかどうかの確認結果を通知するRDS受信確認通知部とを備えることを特徴とするRDS復調回路。
【請求項2】
前記受信信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較を行うPLL回路と、
前記PLL回路からの出力に基づいて、前記RDSデータを取り出すための基準となるタイミングを与えるクロックを抽出するクロック抽出回路とを備えることを特徴とする請求項1に記載のRDS復調回路。
【請求項3】
前記RDS受信確認部は、前記PLL回路による前記受信信号のレベル変化点とRDSの基準クロックとの位相の比較結果に基づいて、前記受信信号の位相が前記基準クロックにロックしたかどうかを検出するロック検出回路を備え、
前記ロック検出回路にてロックが検出された場合、前記RDSデータを受信できると判断することを特徴とする請求項1または2に記載のRDS復調回路。
【請求項4】
前記ロック検出回路は、前記RDSデータを受信できるかどうかの判断結果に基づいて、前記PLL回路の制御ゲインを切り替えることを特徴とする請求項3に記載のRDS復調回路。
【請求項5】
前記RDSデータを受信できるという確認がとれない場合、前記RDSデコード部にてデコードされたRDSデータの通知を阻止するゲート回路を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のRDS復調回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【公開番号】特開2010−41180(P2010−41180A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199454(P2008−199454)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】