説明

RFIDリーダライタ装置及びRFIDリーダライタシステム

【課題】 無変調搬送波の位相状態によらず、キャリアキャンセラを用いて回り込み信号をキャンセルすることができるRFIDリーダライタ装置を提供する。
【解決手段】 振幅補正値ΔAと位相補正値Δφとを0°、180°の位相状態毎に保持し、無変調搬送波の位相状態を0°か180°か予測して、予測した位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とでキャンセル信号を補正して回り込み信号に加える。このため、無変調搬送波の位相状態により振幅、位相が異なってくる回り込み信号を、無変調搬送波の位相状態により誤差の異なるキャリアキャンセラ40で十分に抑圧することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDと無線通信して読み出し書き込みを行うRFIDリーダライタ装置、及び、RFIDリーダライタシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、IDや情報のデータを登録するRFIDと、RFIDを認識・制御するRFIDリーダライタ装置とから構成される。電池を内蔵しないRFIDタグ(パッシブタグ)は、内蔵アンテナとICチップとを供える。RFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに対して変調信号(コマンド)を送信し、その後、RFIDタグは応答を返す。RFIDタグが応答する際、RFIDリーダライタ装置は、無変調信号を送信してRFIDタグに給電すると同時に、RFIDタグは、無変調信号を反射/終端(オンオフ)制御してデータ変調を行い、RFIDリーダライタ装置へデータを送る。
【0003】
RFIDタグが送信する変調信号のスペクトルはRFIDリーダライタ装置が送信する無変調信号の周囲に広がり、RFIDリーダライタ装置の受信部は、RFIDタグからの変調信号と、RFIDリーダライタ装置の送信部から無変調信号とを同時に受信することになる。RFIDリーダライタ装置の送信部から無変調信号の受信部への回り込みをキャンセルするために、キャリアキャンセラが用いられることがある。
【0004】
キャリアキャンセラは、一般的に、送信部から取り出した無変調信号の振幅、位相を直交変調器で調整して回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を生成し、該キャンセル信号を加えることで回り込み信号をキャンセルする。特許文献1には、キャンセル信号を用いる無線タグ通信装置が開示されている。特許文献2には、RFIDリーダ用応答回り込みキャンセラが開示されている。
【特許文献1】特開2006−217427号公報
【特許文献2】2005年 電子情報通信学会通信ソサイエティ大会“UHF帯RFIDリーダ用適用回り込みキャンセラ”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、RFIDで利用される送信変調PR−ASK(Phase-Reverse ASK)において、RFIDリーダライタ装置から受信時に送出される無変調搬送波の位相状態は0°と180°とがある。ところが、送信部やキャリアキャンセラは、位相状態0°と、位相状態180°とで微少な誤差があり、この微少誤差によって、位相状態0°と位相状態180°とにおいて、キャリア再生精度を別のものにしてしまう。遠距離のRFIDとの通信を可能にするために送信出力を高めると同時にRFIDタグからの微弱な信号を受信できるようキャリアキャンセラに求められる抑圧効果が40dB、50dBともなると、この微少誤差が問題となり、回り込み信号を要求されるレベルでキャンセルすることができなくなっていた。即ち、従来技術においては、送信部の位相状態0°、位相状態180°での微少誤差、キャリアキャンセラでの例えば位相状態0°、位相状態180°での帯域制限時に発生するDCオフセット等により、キャリアキャンセラで必要とされる抑圧効果が得られないことがあった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無変調搬送波の位相状態によらず、キャリアキャンセラを用いて回り込み信号をキャンセルすることができるRFIDリーダライタ装置及びRFIDリーダライタシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、送信時に、RFIDに向けてアンテナ34から所定の送信信号を送信し、受信時に、電力供給用の無変調搬送波をアンテナ34を介して前記RFIDへ供給し、該RFIDから前記送信信号に応じて返信される返信信号をアンテナ34を介して受信機52により受信することで該RFIDとの間で通信を行うRFIDリーダライタ装置10であって、
受信時に送信する電力供給用の無変調搬送波の前記受信機への回り込みを、回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を加えることでキャンセルするキャリアキャンセラ40と、
前記キャンセル信号の振幅を補正する振幅補正手段48と、
前記キャンセル信号の位相を補正する位相補正手段46と、
振幅補正値と位相補正値とを前記無変調搬送波の位相状態毎に保持し、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力する補正値保持手段12と、
前記電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測する位相予測手段20と、を備え、
前記補正値保持手段12が、前記位相予測手段20により予測された位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値ΔAと位相補正値Δφとを、前記振幅補正手段48と前記位相補正手段46とにそれぞれ出力することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
キャリアキャンセラで、回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を該回り込み信号に加えることでキャンセルする際にも、変調器24やキャリアキャンセラ40で生じる振幅誤差、位相誤差により、電力供給用の無変調搬送波の位相状態によって、回り込み信号を好適にキャンセルできるキャンセル信号の振幅、位相が異なっている。このため、無変調搬送波の位相状態に関わらず同一の振幅補正値と位相補正値で補正したキャンセル信号を用いては、回り込み信号を十分に抑圧することができない。
【0009】
このため、請求項1のRFIDリーダライタ装置及び請求項4のRFIDリーダライタシステムでは、振幅補正値と位相補正値とを位相状態毎に保持し、無変調搬送波の位相状態を予測して、予測した位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とでキャンセル信号を補正して回り込み信号に加える。このため、無変調搬送波の位相状態により振幅、位相が異なってくる回り込み信号を、無変調搬送波の位相状態により誤差の異なるキャリアキャンセラで十分に抑圧することができる。
【0010】
請求項2のRFIDリーダライタ装置では、送信信号をカウントして最終ビットの位相を求め電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測するため、無変調搬送波の位相状態を正確に求めることができる。
【0011】
請求項3のRFIDリーダライタ装置では、振幅補正値と位相補正値とを0°及び180°の位相状態毎に保持し、無変調搬送波の位相状態を予測して、予測した0°又は180°の位相状態に基づき、当該0°又は180°の位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とでキャンセル信号を補正して回り込み信号に加える。このため、無変調搬送波の0°、180°の位相状態により振幅、位相が異なってくる回り込み信号を十分に抑圧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施形態のRFIDリーダライタ装置は、PR−ASK(Phase-Reverse ASK)変調の信号を送信する。このため、実施形態のRFIDリーダライタ装置の構成の説明に先立ち、実施形態でのPR−ASKの変調方式について図6の波形図を参照して説明する。図6(A)は、PR−ASKのベースバンドでの010ビットの波形を示している。0ビットに対して、1ビットでは、立ち上がり(ハイレベル)時間が倍になり、立ち下がり(ローレベル)時間は同じになっている。図6(B)は、PR−ASKの変調波形を示している。図6(C)は、PR−ASKで変調されたRFの波形を示している。ここで、PR−ASKでは、ビット毎、ここでは、010の各ビット毎に位相反転し、最初の0ビットで位相φで、次の1ビットで位相−φで、次の0ビットで位相φに戻っている。実施形態では、位相φを位相状態0°、位相−φを位相状態180°とする。図6(D)は、検出されたPR−ASK波形を示している。
【0013】
図2は、実施形態のRFIDリーダライタ装置での送信区間でのビット構成を示す説明図である。
RFIDリーダライタ装置10は、RFIDタグへの信号の送信を行う送信区間において、プリアンブル、フレームシンク、送信コマンド、CRCを構成する図6(A)を参照して上述した0、1ビットからなるデータ(ビット)で変調した変調信号(コマンド)をRFIDタグに対して送信し、その後のRFIDタグ側が応答する受信区間において、RFIDリーダライタ装置10は、無変調信号を送信してRFIDタグに給電する。
【0014】
図3は、実施形態のRFIDリーダライタ装置で、図2に示すビット構成がPR−ASKで変調されたRFの波形を示している。送信区間においては、図2中のプリアンブル、フレームシンク、送信コマンド、CRCを構成する0、1ビットによる変調信号が送信され、受信区間(次無変調区間)では、送信区間での変調信号の最終の位相(上述した位相φ[位相状態0°]、位相−φ[位相状態180°]の何れか)が継続され無変調搬送波として出力されることになる。
【0015】
実施形態に係るRFIDリーダライタ装置10及び該RFIDリーダライタ装置を用いるRFIDリーダライタシステムの構成について図1を参照して説明する。
図1は、実施形態のRFIDリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。上述したようにRFIDリーダライタ装置10は、RFIDタグへの信号の送信を行う送信区間において、RFIDタグに対して変調信号(コマンド)を送信し、その後の受信区間において、RFIDタグは応答を返す。RFIDタグが応答する際、RFIDリーダライタ装置10は、無変調信号を送信してRFIDタグに給電すると同時に、RFIDタグは、無変調信号を反射/終端(オンオフ)制御してデータ変調を行い、RFIDリーダライタ装置10へデータを送る。
【0016】
上述したRFIDタグへの信号の送信を行う送信区間において、CPU12は、RFIDへの送信コマンドを出力する。フレーマ14は、送信コマンドに基づき、図2中に示すプリアンブル、フレームシンク、送信コマンド、CRC(巡回冗長検査)のフレームを生成する。帯域制限16は、デジタルフィルタから成り、帯域を制限することで帯域の広がるのを防ぐ。D/Aコンバータ18は、帯域制限16から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換することで、PR−ASKベースバンド信号を生成する。帯域制限22は、アナログフィルタから成り、PR−ASKベースバンド信号の帯域を制御する。変調器24は、局部発振器54からの発振信号でPR−ASKベースバンド信号を変調して図3に示す送信区間のRF信号にする。分配器26は、カプラから成り、変調された信号を可変減衰器28側とキャリアキャンセラ40とに分配する。可変減衰器28は、RFIDリーダライタ装置からRFIDまでの距離に応じて送信出力を可変させるもので、遠距離のRFIDに対しては減衰量を下げて高い送信信号を出力させ、近距離のRFIDに対しては減衰量を上げて低い送信信号を出力させる。電力増幅器30は、送信信号の出力を増幅する。送信信号は、サーキュレータから成るアンテナ共用器32を介しアンテナ34から送信される。
【0017】
上述したRFIDタグからの信号の受信を行う受信区間において、変調器24は、局部発振器54からの発振信号で、図3に示す受信区間の無変調搬送波を生成する。分配器26は、無変調搬送波を可変減衰器28側へ出力すると共に、該無変調搬送波を基準信号としてキャリアキャンセラ40に分配する。出力された無変調搬送波は、可変減衰器28で減衰された後、電力増幅器30で増幅され、アンテナ共用器32を介しアンテナ34から送信される。
【0018】
一方、アンテナ34を介して受信された受信信号は、アンテナ共用器32を介して、キャリアキャンセラ40及び受信機52側の加算器50に印加される。キャリアキャンセラ40の復調器42は、i直交q復調器からなり、アンテナ共用器32から供給された受信信号と共に、分配器26から分配された無変調搬送波(基準信号)を直交検波することにより振幅と位相情報に直す。帯域制限44は、RF信号をベースバンド信号に落とし、DC分を取り出し、RFIDからの応答分を打ち消す。変調器49は、ベースバンドまで落とされた受信信号を変調してRF信号を生成する。位相補正器(位相補正手段)46は、RF信号の位相を補正する。振幅補正器(振幅補正手段)48は、位相補正されたRF信号の振幅を補正する。即ち、キャリアキャンセラ40は、分配器26から分配された無変調搬送波、及び、受信信号の振幅、位相を復調器(直交変調器)42で調整して回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を生成し、該キャンセル信号を受信機52側の加算器50へ加えることで、受信信号に回り込んだ回り込み信号をキャンセルする。回り込み信号のキャンセルされた受信信号が加算器50から受信機へ出力され、受信データとしてCPU12へ送られる。
【0019】
ここで、上述したように、無変調搬送波の位相状態は0°と180°とがあるが、変調器24、分配器26、可変減衰器28、電力増幅器30から成る送信部、及び、キャリアキャンセラ40は、位相状態0°と、位相状態180°とでそれぞれ微少な誤差があり、この微少誤差によって、位相状態0°と位相状態180°とにおいて、キャンセル信号の生成精度が異なってくる。
【0020】
このため、実施形態のRFIDリーダライタ装置10では、図4に示すようにCPU12内の図示参照しないROM内のマップに、位相状態0°の時の位相補正値Δφ(φa)と振幅補正値ΔA(Aa)と、位相状態180°の時の位相補正値Δφ(φb)と振幅補正値ΔA(Ab)とをそれぞれ保持する。そして、無変調搬送波の位相状態(位相状態0°又は位相状態180°)を予測して、予測した位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とでキャンセル信号を補正して回り込み信号に加える。なお、位相状態0°の時の位相補正値Δφ(φa)及び振幅補正値ΔA(Aa)、位相状態180°の時の位相補正値Δφ(φb)及び振幅補正値ΔA(Ab)は、各RFIDリーダライタ装置の出荷調整時に測定された値の補正値がROM内のマップに書き込まれる。
【0021】
無変調搬送波の位相状態(位相状態0°又は位相状態180°)の予測は、図2、図3、図6を参照して上述したように、受信区間(次無変調区間)では、送信区間での変調信号の最終の位相(上述した位相φ[位相状態0°]、位相−φ[位相状態180°]の何れか)が継続され無変調搬送波として出力されるため、送信区間での変調信号の最終の位相を、送信区間(フレームシンク、送信コマンド、CRC)のデータのビット数をカウントし、奇数か偶数かにより最終位相を決定する。即ち、奇数の時には、前の受信区間の位相が継続され、偶数の時には、前回の受信区間と異なる位相となる。
【0022】
上述した送信区間での変調信号の最終の位相を求め補正値を決定する処理について、当該処理を示す図5のフローチャート、及び、図1のブロック図を参照して説明する。
前回の受信区間での無変調位相(無変調搬送波)の位相をθ(位相φ[位相状態0°]、位相−φ[位相状態180°]の何れか)とする(S12)。図1を参照して上述したようにCPU12は送信コマンドを生成する(S14)。そして、フレーマ14は、送信フレームを作成する送信フレーム処理を行う(S16)。次に、次受信区間開始位相予測20により次受信区間開始位相の予想を行う。先ず、送信フレームにプリアンブルが有るか否かを判断する(S18)。プリアンブルが有る場合には(S18:Yes)、送信フレームのコマンド数は奇数に設定され、次変調区間(受信区間)位相は変わらないため、θ’=θとする(S22)。一方、プリアンブルが無い場合には(S18:No)、送信フレームの送信コマンドの数(フレームシンク、送信コマンド及びCRCのビット数)は偶数か否かを判断する(S20)。奇数である時には(S20:No)、上述したS22と同様に次変調区間(受信区間)位相は変わらないため、θ’=θとする(S26)。他方、偶数である時には(S20:Yes)、次変調区間(受信区間)位相が変わるため、θ’=θ+180°とする(S24)。即ち、θが位相状態0°の時には180°に、位相状態180°の時には0°にする。そして、CPU12は、θ’の位相により、図4を参照して上述したROMテーブルから、キャリアキャンセラ調整値を設定する(S28)。具体的には、θ’が0°の時は、位相補正値φaを位相補正器46に設定し、振幅補正値Aaを振幅補正器48に設定する。θ’が180°の時は、位相補正値φbを位相補正器46に設定し、振幅補正値Abを振幅補正器48に設定する。その後、CPU12は、無変調位相θをθ’で置き換え(S30)、処理を終了する。
【0023】
実施形態のRFIDリーダライタ装置10及びRFIDリーダライタシステムでは、振幅補正値ΔAと位相補正値Δφとを0°、180°の位相状態毎に保持し、無変調搬送波の位相状態を0°か180°か予測して、予測した位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とでキャンセル信号を補正して回り込み信号に加える。このため、無変調搬送波の位相状態により振幅、位相が異なってくる回り込み信号を、無変調搬送波の位相状態により誤差の異なるキャリアキャンセラ40で十分に抑圧することができる。
【0024】
実施形態のRFIDリーダライタ装置10では、送信信号をカウントして最終ビットの位相を求め電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測するため、無変調搬送波の位相状態を正確に求めることができる。
【0025】
実施形態のRFIDリーダライタ装置では、振幅補正値と位相補正値とを0°及び180°の位相状態毎に保持し、無変調搬送波の位相状態を予測して、予測した0°又は180°の位相状態に基づき、当該0°又は180°の位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とでキャンセル信号を補正して回り込み信号に加える。このため、無変調搬送波の0°、180°の位相状態により振幅、位相が異なってくる回り込み信号を十分に抑圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1実施形態に係るRFIDリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るRFIDリーダライタ装置での信号のビット構成を示す説明図である。
【図3】実施形態のRFIDリーダライタ装置で、図2に示すビット構成がPR−ASKで変調されたRFの波形を示す波形図である。
【図4】ROMのマップに保持される位相状態0°の時の位相補正値Δφ(φa)と振幅補正値ΔA(Aa)と、位相状態180°の時の位相補正値Δφ(φb)と振幅補正値ΔA(Ab)とを示す説明図である。
【図5】送信区間での変調信号の最終の位相を求め補正値を決定する処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、PR−ASKのベースバンドでの010ビットの波形を示している。図6(B)は、PR−ASKの変調波形を示している。図6(C)は、PR−ASKで変調されたRFの波形を示している。図6(D)は、検出されたPR−ASK波形を示している。
【符号の説明】
【0027】
10 RFIDリーダライタ装置
12 CPU(補正値保持手段)
20 次受信区間開始位相予測(位相予測手段)
24 変調器(送信機)
30 電力増幅器(送信機)
34 アンテナ
40 キャリアキャンセラ
46 位相補正器(位相補正手段)
48 振幅補正器(振幅補正手段)
52 受信機
Δφ 位相補正値
ΔA 振幅補正値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信時に、RFIDに向けてアンテナから所定の送信信号を送信し、受信時に、電力供給用の無変調搬送波をアンテナを介して前記RFIDへ供給し、該RFIDから前記送信信号に応じて返信される返信信号をアンテナを介して受信機により受信することで該RFIDとの間で通信を行うRFIDリーダライタ装置であって、
受信時に送信する電力供給用の無変調搬送波の前記受信機への回り込みを、回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を加えることでキャンセルするキャリアキャンセラと、
前記キャンセル信号の振幅を補正する振幅補正手段と、
前記キャンセル信号の位相を補正する位相補正手段と、
振幅補正値と位相補正値とを前記無変調搬送波の位相状態毎に保持し、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力する補正値保持手段と、
前記電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測する位相予測手段と、を備え、
前記補正値保持手段が、前記位相予測手段により予測された位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とを、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力することを特徴とするRFIDリーダライタ装置。
【請求項2】
前記電力供給用の無変調搬送波の位相は、前記送信信号の最終ビットの位相が継続され、
前記位相予測手段は、前記送信信号をカウントして最終ビットの位相を求め前記電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測することを特徴とする請求項1のRFIDリーダライタ装置。
【請求項3】
前記送信信号はPR−ASK(Phase-Reverse ASK)変調であり、
前記無変調搬送波の位相状態は、0°及び180°であることを特徴とする請求項1又は請求項2のRFIDリーダライタ装置。
【請求項4】
送信時に、RFIDに向けてアンテナから所定の送信信号を送信し、受信時に、電力供給用の無変調搬送波をアンテナを介して前記RFIDへ供給し、該RFIDから前記送信信号に応じて返信される返信信号をアンテナを介して受信機により受信することで該RFIDとの間で通信を行うRFIDリーダライタシステムであって、
受信時に送信する電力供給用の無変調搬送波の前記受信機への回り込みを、回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を加えることでキャンセルするキャリアキャンセラと、
前記キャンセル信号の振幅を補正する振幅補正手段と、
前記キャンセル信号の位相を補正する位相補正手段と、
振幅補正値と位相補正値とを前記無変調搬送波の位相状態毎に保持し、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力する補正値保持手段と、
前記電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測する位相予測手段と、を備え、
前記補正値保持手段が、前記位相予測手段により予測された位相状態に基づき、当該位相状態により生じる振幅補正値と位相補正値とを、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力することを特徴とするRFIDリーダライタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−124328(P2010−124328A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297087(P2008−297087)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】