説明

RNAを調節するための置換テトラサイクリン化合物の使用方法

【課題】RNAの調節により処置可能な疾患(DTMR)に有用な新規なテトラサイクリン化合物を提供する。
【解決手段】次の一般式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2002年8月24日付けで出願された米国特許仮出願第60/421,248号(その全体が参照として本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
RNA分子はDNAから転写される。RNA分子は、DNA分子と比べて相対的に短い。タンパク質分子の合成を導くRNA転写産物は、メッセンジャーRNA(mRNA)分子と呼ばれ、その一方で、他のRNA転写産物は、トランスファーRNA(tRNA)として機能するかまたはリボソームRNA(rRNA)もしくはさらに小さいリボ核タンパク質粒子を形成する。
【0003】
DNAの特定領域から作り出されるRNAの量は、遺伝子のコード配列に近いDNA上の特定部位に結合する遺伝子調節タンパク質により制御される。常に任意の細胞で、いくつかの遺伝子はRNAを非常に大量に作り出すのに使用されるが、一方で、その他の遺伝子は全く転写されない。活性な遺伝子の場合、各細胞世代で何千ものRNA転写産物が同じDNA部分から作り出され得る。各mRNA分子は、ポリペプチド鎖の何千ものコピーに翻訳され得るので、DNAの小さな領域に含まれる情報が、特定タンパク質の何百万ものコピーの合成を導くことができる。
【0004】
真核生物の場合、一次RNA転写産物が合成され、この転写産物には、イントロンとエクソンの双方が含まれる。RNAスプライシングにより、イントロン配列が切り取られて、イントロンの両側のエクソン配列が連結される。
【0005】
タンパク質へのmRNAの翻訳は、トランスファーRNA(tRNA)として知られる、それぞれ長さが約80ヌクレオチドの、一連の小さなRNA分子に依存する。tRNA分子は、折り畳まれた三次元立体構造を有しており、この構造は、二本鎖のDNAヘリックスをつなぎ合わせるものに似た、非共有的な塩基対合性の相互作用により部分的につなぎ合わされている。しかしながら、一本鎖のtRNA分子の場合、相補的な塩基対は、同じ鎖にあるヌクレオチド残基との間で形成され、この結果、tRNA分子は独特の方法で折りたたまれる。
【0006】
tRNAを介して遺伝情報がmRNAからタンパク質に伝達されるコドンの認識過程は、DNAからDNAへのおよびDNAからRNAへの遺伝情報の伝達を媒介する同じタイプの塩基対相互作用に依存する。mRNA上へのtRNA分子の搬送要求の機構には、リボソームが必要とされる。各リボソームは、大きなタンパク質合成マシンであり、mRNA分子にコードされる遺伝暗号を解読するため、tRNA分子はそれら自身をそのマシン上に位置付ける。リボソームは最初に、読み枠を確定するmRNA上の特定の開始部位を見つけ出して、タンパク質のアミノ末端を決定する。次に、リボソームは、mRNA分子に沿って移動する際に、ポリペプチド鎖の伸長中の末端にアミノ酸を付加するためにtRNA分子を用いて、1度に1コドンづつ、ヌクレオチド配列をアミノ酸配列に翻訳する。リボソームがメッセージの末端に到達すると、リボソームおよび新たに作り出された、タンパク質のカルボキシル末端の双方がmRNA分子の3'末端から細胞質に放出される。
【0007】
ほとんどのtRNAは、最初により大きな前駆体RNAとして合成されるが、RNA分子はこれらの前駆体を認識して、これらを特定部位で切断するRNA-タンパク質複合体で主要な触媒的役割を果たすことが示されている。触媒的RNA配列は同様に、多くの植物ウイロイドの生活環で重要な役割を果たす。最も注目すべきは、現在ではリボソームは、RNAに基づく触媒作用により主に機能すると思われており、リボソームタンパク質が、リボソーム集団の半分以上を構成するリボソームRNA(rRNA)の補助的な役割を果たしている。例えば大きなrRNAはそれ自体、ペプチジルトランスフェラーゼ活性を有し、新たなペプチド結合の形成を触媒する。
【0008】
RNAの調節のための組成物および方法の開発は、数多くの細胞過程を調節する際におよび疾患の処置に非常に有益であると思われる。
【発明の概要】
【0009】
一つの態様において、本発明は少なくとも部分的には、RNAを調節するための方法に関する。この方法には、RNAの調節が起こるように、RNA分子または細胞成分を置換テトラサイクリンと接触させる段階が含まれる。
【0010】
さらに他の態様において、本発明には、RNAの調節によりまたは第二の薬剤(DTMR)との併用でのRNAの調節により処置可能な疾患に対して被験体を処置するための方法が含まれる。この方法には、DTMRが処置されるように、有効量のテトラサイクリン化合物を、またはテトラサイクリン化合物と第二の薬剤とを組み合わせて被験体に投与する段階が含まれる。さらなる態様において、有効量は、被験体のRNAのスプライシング、またはタンパク質の結合、メッセージの移行、半減期、翻訳を調節するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】LPS刺激マウスマクロファージにおけるiNOSのmRNA、タンパク質、および亜硝酸塩の量の変化を描く棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
I. RNAの調節方法
一つの態様において、本発明は少なくとも部分的には、RNAを調節するための方法に関する。この方法には、RNAの調節が起こるように、RNA分子または細胞成分をテトラサイクリンと接触させる段階が含まれる。ある種の態様において、RNA分子は被験体の内部に位置する。
【0013】
「調節」という用語には、特定のRNA分子のレベル、量、機能、構造、および/または活性を増加させること、減少させること、または別の方法で変化させることが含まれる。
【0014】
「RNAを調節する」または「RNAの調節」という用語には、本発明の置換テトラサイクリン化合物により調節できるRNAの全ての機能、構造、量、および/または活性の調節が含まれる。RNAの調節には、例えば転写、翻訳、移行、触媒作用、二次構造、スプライシング、安定性などの調節が含まれる。この用語には、RNAの半減期の調節も含まれる。RNAは、生物、細胞、細胞内空間、核および/またはその他の細胞区画の内部で調節されることができる。
【0015】
一つの態様において、特定のRNA分子を調節することができる、例えば特定のタイプのRNA(例えばmRNAまたはrRNA)および/または特定のタンパク質を指定するmRNAを調節することができるが、その一方で、他のmRNA分子は影響を受けない。他の態様において、本発明により、一般のRNA分子、例えばいくつかの異なるタイプのRNAを調節することができる、および/または異なるタンパク質を指定する複数のmRNA分子を調節することができる。
【0016】
RNAの調節は、直接的に、例えばRNAそのものの調節により、例えばRNAとテトラサイクリンとの結合により(例えばその二次構造を変化させるような)または間接的に、例えば細胞の成分、例えばRNAが相互作用するタンパク質と分子との結合により起こすことができる。例えばテトラサイクリン化合物は、RNA分子の合成に必要な特定のタンパク質と、またはRNA分子が相互作用するタンパク質分子(例えばリボソームタンパク質)と相互作用することができ、これにより、RNAそのものに直接的に結合することなくRNAを調節することができる。
【0017】
本発明の方法を利用して調節できるRNA分子の例には、以下に限定されることはないが、hnRNA、mRNA、tRNA、リボソームRNA、核RNA、snRNA、および小さなRNAアプタマーが含まれる。
【0018】
RNAは、例えば原核細胞、真核細胞由来のRNAとしてもよく、またはウイルスRNAとしてもよい。
【0019】
「細胞成分」という用語には、細胞(インビボのおよびインビトロの)、細胞小器官(例えばリボソーム、核、ミトコンドリア、葉緑体など)、細胞質などが含まれる。さらなる態様において、細胞は被験体の内部に位置する。他の態様において、細胞はインビトロに存在する。他の態様において、細胞成分にはRNAが含まれる。さらなる態様において、細胞成分は、RNAの調節によりまたは第二の薬剤(DTMR)との併用でのRNAの調節により処置可能な特定の疾患と関連する(例えば特定の疾患を有する被験体に由来するまたは存在する)細胞である。例えばDTMRが腫瘍である場合、細胞成分は腫瘍細胞とすることができる。
【0020】
RNAの調節は、種々の異なる機構を介して起こり得る。典型的な機構は、以下に記載されている。
【0021】
一つの態様において、RNAはテトラサイクリン分子との直接的相互作用により調節される(例えばBerens. 2001. Tetracyclines in Biology, Chemistry and Medicine ed. By M. Nelson, W. Hillen and R.A. Greenwald, pp 177-196)。本明細書において「RNAの調節」からは、細菌細胞の30Sリボソームサブユニットとテトラサイクリン分子との相互作用が除外されることが好ましい。他の好ましい態様において、16S RNAならびにタンパク質S4、S7、S9、およびS17との結合は、「RNAの調節」という用語から選択的に除外される。
【0022】
一つの態様において、RNAは、RNAの転写を変化させることにより調節される。例えばテトラサイクリン化合物は、mRNAの転写を阻害するかまたは減少させることができる。他の態様において、テトラサイクリン化合物は、転写を阻害することができる。
【0023】
転写のレベルは、当技術分野において知られている技術を利用して、テトラサイクリン化合物の存在下および非存在下で測定することができる。特定遺伝子の転写を測定することができる、またはゲノム規模での転写(多くの遺伝子の転写)を検出することができる。例えば一つの態様において、転写レベルは新生鎖run-on解析を行うことにより検出することができる。この技術は、当技術分野において周知であり、P32標識ヌクレオチドの使用が必要とされる;、転写レベルが高い遺伝子を強度により検出することができる。他の例として、レポーター遺伝子(例えば容易に検出できるルシフェラーゼ)の転写を、関心対象の遺伝子に操作可能に結び付けることができる。光の検出により、関心対象の遺伝子の転写が示されるものと思われる。転写を測定するための他の典型的な方法には、ノーザンブロットおよびインサイチュー・ハイブリダイゼーションが含まれる。二つ以上の遺伝子の転写レベルの検出は、例えばマイクロアレイ(例えばcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドアレイ)またはPCRにより行うことができる。
【0024】
一つの態様において、RNAは、RNA翻訳を変化させることにより調節される。例えばテトラサイクリン化合物は、mRNAの翻訳を阻害するかまたは減少させることができる。一つの態様において、テトラサイクリン化合物は、RNA翻訳の開始を阻害することによりRNA翻訳を阻害することができる。他の態様において、テトラサイクリン化合物は、翻訳の終結点を変化させることにより翻訳を阻害することができる。例えば一つの態様において、テトラサイクリン化合物は、リボソームに終止コドンをスキップさせて、翻訳を継続させることができる。
【0025】
一つの態様において、mRNAから翻訳される特定のタンパク質のレベルは、標準的な技術を利用して測定することができる。例えばタンパク質が酵素であるならば、インビトロまたはインサイチュー解析による酵素活性を測定することができる。インビトロ解析には、大量のタンパク質抽出物の活性、または酵素を他のタンパク質から部分的に分離する電気泳動後の活性を含めることができる。他の例として、インビトロまたはインサイチュー解析は、免疫化学的方法を利用して、すなわち、タンパク質に特異的な標識抗体を利用して、行うことができる。抗体の定量化/可視化を行うことができる。ウエスタンブロット法を電気泳動後に行うことができ、細胞の抽出物もしくは成分を直接的に、例えばELISA法もしくは免疫沈降法により、測定することができる。タンパク質が十分に豊富である場合、1Dまたは2D電気泳動後に(タンパク質をこの方法により他のタンパク質から十分に分離することができるならば)タンパク質を直接的に可視化することもできる。
【0026】
一つの態様において、特定のタンパク質を指定するmRNAのレベルを測定することができる。他の態様において、総mRNAのレベルを測定することができる。そのような測定は、本明細書に記述される技術または当技術分野において知られる他の技術を利用して行うことができる。
【0027】
他の態様において、細胞成分とテトラサイクリン化合物とを接触させることにより、RNAの半減期を調節する。例えば一つの態様において、mRNAの半減期が増加する。一つの態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、リボソームとRNAとの結合を増加させ、その結果RNAの安定性を増大させる(Wei and Bechhofer. 2002. J. of Bacteriology 184: 889)。他の態様において、mRNAの半減期が減少する。さらなる態様において、テトラサイクリン化合物は、テトラサイクリンではないか、またはそれ以外にはWei and Bechhofer. 2002. J. of Bacteriology 184:889に記述される。
【0028】
例えば一つの態様において、本発明のテトラサイクリン分子は、特定のmRNA分子の分解を増加させる。例えばiNOS (Amin et al. 1997. FEBS Letters 410:259)のようなタンパク質を指定するmRNAの半減期を測定することができる。さらなる態様において、テトラサイクリン化合物は、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、またはAmin et al. 1997. FEBS Letters 410:259に記述されるテトラサイクリン化合物ではない。
【0029】
一つの態様において、RNAの半減期は、当技術分野において知られるインビトロ核run-on転写アッセイを利用して測定することができる。核を細胞から単離して、新生RNAポリメラーゼIIが野生型遺伝子の伸長は継続させるが、転写は開始させない条件の下で、放射性前駆物質とインビトロでインキュベートすることができる。特定の転写産物において取り込まれた総放射活性の画分を測定することができ、および分解速度定数をもたらすことができる。他の態様において、動態解析を行うことができる。例えば放射性前駆物質を供与することができ、長時間にわたり、特定のmRNAにおける放射活性(特異活性)の量を未標識のクローン化DNAとのハイブリダイゼーションにより測定することができる。この方法を利用して、mRNAの濃度を長時間にわたり追跡することができる。
【0030】
他の態様において、パルス・チェイス実験(放射性前駆物質を細胞の中から外に追跡する)を行うことにより独立してKdを測定することができ、その後、パルスを通じて生成されたmRNA分子の放射活性の低下を追跡する。さらに他の例として、合成および/または分解速度を転写レポーターにより推測することができる。
【0031】
他の態様において、RNAの移行を調節することにより、RNAを調節することができる。例えば一つの態様において、テトラサイクリン分子は、細胞核へのまたは細胞核からのRNA分子の移行を阻害することができる。
【0032】
核へのRNAの移行は、例えば二つまたはそれ以上の蛍光標識種を同時に検出する核移行アッセイにより測定することができる。例えば細胞核は、Hoechst 33342のような、DNAに特異的な周知のフルオロフォアで標識することができる。RNAは、例えばRNAに特異的な蛍光標識抗体で直接的にまたは間接的に標識することができる。第二の蛍光標識種(すなわちU.S. Patent No. 6,400,487(この内容は参照として本明細書に組み入れられる)に記述されているRNA)に対して相関的なまたは反相関的な形で分布する、第一の蛍光標識種(すなわち核)の量を決定することにより、核にまたは核から移行するRNAの量を決定することができる。
【0033】
RNAの調節には、スプライシングによる特定のRNA分子のプロセッシングの調節も含まれる。テトラサイクリン化合物は、スプライシングを統率する機構に影響を及ぼすことにより、RNAの各部分の配置、または包含、または排除に影響を及ぼすことができる。例えばmRNAの場合、テトラサイクリン化合物は、例えば特定のエクソンの包含を促進させる、または特定のエクソンの排除を促進させる、または特定のエクソンの大きさが、例えばエクソンの5'もしくは3'末端での配列の包含により変化するようにさせることができる。テトラサイクリン化合物は、例えば中途での停止コドンを含むエクソンの包含または排除を促進させることができる。テトラサイクリン化合物は、例えば潜在スプライス部位を活性化すること、もしくはコンセンサススプライス部位を不活化(サイレンンシング)すること、もしくはエクソンのあるいはイントロンのスプライシングエンハンサー(ESEまたはISE)を不活化することにより、またはエクソンのあるいはイントロンのスプライシングサイレンサー(ESSまたはISS)を不活化すること、もしくはRNAとのサイレンシング機構の成分の結合を変化させることにより、またはサイレンシング機構の成分間の分子間相互作用に影響を及ぼすことにより、スプライシングを調節することができる。RNAスプライシングの例は、Stoss et al. (2000), Gene Ther. Mol. Biol. 5:9-30; Liu et al. (1994) J. Euk. Microbiol. 41:31; Hertweck et al., 2002. Eur. J. Biochem 269:175に論じられている。
【0034】
他の態様において、特定のタンパク質を指定するスプライシングされたmRNAの量を測定することができる。他の態様において、例えばβグロビン・スプライシングアッセイ(Hertweck et al. 2002. Eur. J. Biochem. 269:175)のような標準的なアッセイを利用して、RNAのスプライシングに対するテトラサイクリン化合物の効果を測定することができる。一つの態様において、特定の形態のRNA(例えば特定のエクソンを含むmRNA分子)を細胞で測定することができる。さらなる態様において、テトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、またはHertweck et al. 2002. Eur. J Biochem. 269:175もしくはLiu et al. 1994. J. Euk. Microbiol. 41(1):31に記述される他のテトラサイクリン化合物ではない。
【0035】
当技術分野において知られる技術を利用して、さまざまにスプライシングされた形のmRNAを検出することができる。例えば一つの態様において、検出する産物を特異的に増幅するプライマーセットを用いてPCRを行うことができる(例えばLim and Hertel. 2001 J. Biol. Chem 276:45476を参照されたい)。他の態様において、レポーター細胞株を利用して、RNAスプライシングの変化を検出する。例えば654 EGFPレポーター細胞株(この細胞株は、ヒトβ-グロビンの第2イントロンのヌクレオチド654でCからTへの変異を含む(例えばSazani et al. 2001. Nucleic Acids Research 29:3965を参照されたい))のような細胞株。RNAスプライシングを調節する薬剤でこれらの細胞を処理することにより、EGFPの適切なスプライシングおよび翻訳が回復され、それにより、そのような薬剤の同定を目的とした迅速かつ正の読み出しを得ることができる。
【0036】
他の態様において、RNA分子とタンパク質との相互作用を変化させることにより、RNAを調節する。RNAと相互作用するタンパク質の例には、hnRNPタンパク質、snRNPタンパク質、リボソームタンパク質、エンドヌクレアーゼ、および他の酵素が含まれる。置換テトラサイクリン化合物は、RNAと特定のタンパク質との相互作用を促進させるかまたは阻害することができる。ある種の態様において、他の核酸分子とRNAとの相互作用をテトラサイクリン化合物の相互作用により調節することもできる。
【0037】
一つまたは複数のタンパク質とRNA分子との結合を調節するテトラサイクリン化合物の能力を決定することもできる。試験化合物の結合能の決定は、例えばタンパク質とRNAとの結合を複合体中の標識分子の検出により決定できるよう、RNA分子またはタンパク質に放射性同位体または酵素標識を結合させることにより、達成することができる。例えばRNAまたはタンパク質を125I、35S、14C、または3Hで、直接的にまたは間接的に、標識することができ、放射性同位体を放射性放出の直接計測によりまたはシンチレーション計測により検出することができる。あるいは、化合物を、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識することができ、酵素標識は、適当な基質の生成物への変換の決定により検出することができる。あるいは、RNAが相互作用するタンパク質が酵素である場合、これは標識しなくとも検出することができる。
【0038】
一つの態様において、テトラサイクリン化合物の存在下でのタンパク質標的分子とRNAとの結合の量は、テトラサイクリン化合物の非存在下での標的分子とRNAとの結合の量よりも多くなる。そのような場合には、テトラサイクリン化合物は、RNAの結合を促進させる化合物と同定される。他の態様において、テトラサイクリン化合物の存在下での標的分子とRNAとの結合の量が、テトラサイクリン化合物の非存在下での標的分子とRNAとの結合の量よりも少なくなる。そのような場合には、テトラサイクリン化合物は、タンパク質とのRNAの結合を阻害する化合物と同定される。
【0039】
本発明の上記のアッセイ法の一つよりも多くの態様において、RNAまたは標的タンパク質分子を固定化して、例えば分子の一方または双方の非複合体型からの複合体型の分離を容易とする、またはアッセイの自動化に適応させることが望ましいかもしれない。試験化合物の存在および非存在下でのRNA分子とテトラサイクリン化合物との結合、またはタンパク質分子とRNA分子との相互作用は、反応物質を含有するのに適した任意の容器中で達成することができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、および微量遠心管が含まれる。一つの態様において、タンパク質の一方または双方をマトリクスに結合可能とするドメインを付加する、融合タンパク質を供与することができる。
【0040】
一つの態様において、細胞で一つまたは複数のタンパク質の量または活性に対するテトラサイクリン化合物の効果を測定することにより、RNA調節を細胞で測定することができる。タンパク質は、被験体において特定の疾患と関係がある、すなわち、治療的に関係があるタンパク質であることが好ましい。
【0041】
他の局面において、本発明は、RNAの調節によりまたは第二の薬剤との併用でのRNAの調節により処置可能な疾患に対して被験体を処置するための方法に関する。この方法には、DTMRが処置されるように、有効量の置換テトラサイクリン化合物または有効量の置換テトラサイクリン化合物および第二の薬剤(例えば化学療法剤)を被験体に投与する段階が含まれる。
【0042】
「RNAの調節により処置可能な疾患」または「DTMR」という用語には、ウイルス性疾患、神経変性疾患、ならびに所望とされるよりも低いまたは高いRNAの機能、構造、量および/またはRNAの他の活性に対して引き起こされるかまたは関連する他の疾患であって、本明細書に記述される化合物により処置可能なそれらの疾患が含まれる。DTMRの例には、ウイルス性疾患(例えばレトロウイルス性疾患(例えばHIVなど))、ヒトライノウイルスのRNAおよびタンパク質により引き起こされる疾患、VEEウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、イースタンX病(eastern X disease)、西ナイルウイルス、桃の細菌性斑点、ラクダ痘ウイルス、ジャガイモ葉巻病ウイルス、がんこな病気および柑橘類実生の感染による斑入り、大腸菌ファージMS2に感染した大腸菌(Escherichia coli)におけるウイルスタンパク質の合成、イエローウイルス、柑橘グリーニング病、わい化病、植物のヨーロピアンイエロー(European yellow of plant)、封入体結膜炎ウイルス、髄膜肺実質炎(meningopneumonitis)ウイルス、トラコーマ・ウイルス、ブタのペストウイルス、オルニトーシス・ウイルス、インフルエンザ・ウイルス、狂犬病ウイルス、有蹄動物のウイルス性流産、肺炎、ならびにガンが含まれる。
【0043】
他の典型的なDTMRには、スプライシングにより引き起こされる、またはスプライシングと関連する疾患が含まれる。例えばmRNAプロセッシング前の欠陥と関連する疾患のなかには、遺伝子の調節要素の変異による機能の喪失から生じるものもある。そのような変異の例は、Krawczak et al. (1992) Hum. Genet, 90:41-54; およびNakai et al. (1994) Gene 14:171-177に記述されている。他のDTMRには、トランス作用因子の変化によって起こった疾患が含まれる。スプライシングと関連するDTMRの例には、Philips et al. (2000), Cell. Mol. Life Sci., 57:235-249に記述されるもの、ならびにFTDP-17(パーキンソニズムを呈する前頭側頭型痴呆)およびβ-サラセミアが含まれる。
【0044】
スプライシングと関連するある種のDTMRには、スプライス部位を破壊するかまたは通常使用されるエクソンの近傍に新しい潜在部位を生じる点突然変異により生み出されるものが含まれる。そのようなDTMRの例には、嚢胞性線維症(Friedman et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:36193-36199)、筋ジストロフィー(Wilton et al. (1999) Neuromuscul. Disord. 9:330-338)、および好酸性の疾患(Karras et al., (2000) Mol. Pharamcol. 58:380-387)が含まれる。
【0045】
他のDTMRには、ガンの形成および進行の間にスプライシングパターンを変化させ得るガンが含まれる。そのようなガンの例には、以下に限定されることはないが、白血病、結腸/直腸ガン、骨髄性白血病、乳ガン、胃ガン、急性白血病、多発性骨髄腫、骨髄性細胞白血病、肺ガン、前立腺ガンなどが含まれる。スプライシングと関連したさらなるDTMRは、Stoss et al., (2000), Gene Ther. Mol. Biol. 5:9-30に論じられている。
【0046】
DTMRの他の例は、テトラサイクリン化合物を用いたガン細胞の処理により、結果的にRNAの調節がもたらされるガンであり、この場合、RNAの調節により、第二の薬剤、例えば化学療法剤に対する細胞の感受性が増加する。そのようなDTMRは、テトラサイクリン化合物と化学療法剤の組み合わせを利用して処置することができる。典型的なガンには、テトラサイクリン化合物が細胞により発現されるBCLの形態を調節するものが含まれる。
【0047】
他のDTMRには、特定のリボザイムが異常な量で存在する疾患が含まれる。例としては、乳ガン、C型肝炎ウイルス(HCV)、肝硬変、および肝細胞ガンが挙げられる。
【0048】
さらなる態様において、ガンを処置するためのテトラサイクリン化合物には、例えばU.S. Patent No. 6,100,248; 5,843,925; 5,837,696; 5,668,122; WO 98/31224; US 20020045603; WO 99/49871; WO 01/87823; WO 00/28983; U.S. 5,574,026 (これらはその全体が参照として本明細書に組み入れられる)に記述されるテトラサイクリン化合物が含まれない。
【0049】
他のDTMRには、以下に限定されることはないが、喘息、関節炎、貧血症、アルツハイマー病、ハンチントン病、大動脈瘤、糖尿病、虚血、高脂血症、および肥満が含まれる。
【0050】
一つの態様において、DTMRが大動脈瘤である場合、テトラサイクリン化合物はドキシサイクリンではない。他の態様において、DTMRがハンチントン病である場合、テトラサイクリン化合物はミノサイクリンではない。他の態様において、DTMRが脳虚血症である場合、テトラサイクリン化合物はテトラサイクリンではない。他の態様において、DTMRが喘息である場合、テトラサイクリン化合物はミノサイクリンまたはドキシサイクリンではない。
【0051】
他の態様において、本発明のDTMRには、大動脈瘤、ハンチントン病、喘息または脳虚血症が含まれない。
【0052】
処置に関して「被験体」という用語には、ヒトならびにRNAを有する他の生物およびウイルス、例えば植物、動物(例えば哺乳動物、例えばネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、齧歯類、ウサギ、リス、クマ、霊長類(例えばチンパンジーおよびゴリラ))が含まれる。
【0053】
テトラサイクリン化合物の「有効量」という用語は、被験体において、DTMRを処置するもしくは予防するのに、またはRNAを調節するのに必要なまたは十分な量である。有効量は、被験体の大きさや体重、特定のDTMR、または特定のテトラサイクリン化合物のような要因に依存して変化する可能性がある。例えばテトラサイクリン化合物の選択は、「有効量」の構成要素に影響を及ぼす可能性がある。当業者であれば、必要以上に実験をすることなく、上記の要因を調べて、テトラサイクリン化合物の有効量に関する決定を行うことができるものと思われる。
【0054】
投与法は、有効量の構成要素に影響を及ぼす可能性がある。テトラサイクリン化合物は、処置可能な疾患の発症の前または後に被験体に投与することができる。さらに、いくつかに分割した用量、ならびに互い違いの用量を毎日もしくは順次投与することができ、または用量を継続的に注入する、経口的に投与する、吸入により投与することができ、もしくは大量瞬時投与とすることができる。さらに、テトラサイクリン化合物の用量は、治療的または予防的状況の要件に応じて、比例的に増やすかまたは減らすことができる。
【0055】
「処置」という用語には、治療的および/または予防的な処置が含まれる。処置には、DTMRと関連するまたはDTMRにより引き起こされる少なくとも一つの症状の縮減または軽減が含まれる。例えば処置は、疾患の一つもしくはいくつかの症状の縮減またはDTMRの完全な根絶とすることができる。
【0056】
他の態様において、本発明は、DTMRを処置するためのテトラサイクリン化合物を同定するための方法であって、細胞成分をテトラサイクリン化合物と接触させる段階と、テトラサイクリン化合物がRNAを調節する能力を測定する段階とを含み、それにより、単独でまたは第二の薬剤と組み合わせて、DTMRを処置するためのテトラサイクリン化合物を同定する方法に関する。
【0057】
一つの態様において、RNA翻訳を調節する化合物の能力を測定する。他の態様において、RNAの半減期を調節する化合物の能力を測定する。他の態様において、RNAの移行を調節する化合物の能力を測定する。他の態様において、タンパク質とRNAとの相互作用を調節する化合物の能力を測定する。他の態様において、RNAスプライシングの調節を測定する。RNAの調節は、本明細書に記述される方法または当技術分野において認識される他の方法のいずれかを利用して検出することができる。
【0058】
II. 置換テトラサイクリン化合物
一つの態様において、テトラサイクリン化合物は、置換テトラサイクリン化合物である。
【0059】
「テトラサイクリン化合物」という用語は、置換されたテトラサイクリン化合物およびテトラサイクリンと同様の環構造を有する化合物を含み、例えばミノサイクリン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン、ケロカルジン(chelocardin)、ロリテトラサイクリン、リメサイクリン、アピサイクリン;クロモサイクリン、ガメサイクリン(guamecycline)、メグルサイクリン(meglucycline)、メフィルサイクリン(mepylcycline)、ペニメピサイクリン(penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、エタモサイクリン(etamocycline)、ペニモサイクリン(penimocycline)、その他を含む。また、同様の4環構造を含むその他の誘導体および類似体が含まれる(Rogalski, “Chemical Modification of Tetracyclines,”を参照されたい、この全ての内容は、参照として本明細書に組み入れるものとする)。表1は、テトラサイクリンおよびいくつかの既知のその他のテトラサイクリン誘導体を表す。
【0060】
【表1】

【0061】
本発明の方法を使用して修飾してもよいその他のテトラサイクリン化合物は、6-デメチル-6-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノ-ピラゾール;7-クロロ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;12α-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;5-ヒドロキシ-6α-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-デジメチルアミノ-12α-デオキシ無水テトラサイクリン;7-ジメチルアミノ-6-デメチル-6-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノニトリル;4-オキソ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン4,6-ヘミケタール;4-オキソ-11a Cl-4-デジメチルアミノテトラサイクリン-4,6-ヘミケタール;5a,6-無水-4-ヒドラゾン-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシイミノ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシイミノ-4-デジメチルアミノ 5a,6-無水テトラサイクリン;4-アミノ-4デジメチルアミノ-5a,6-無水テトラサイクリン;4-メチルアミノ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドラゾノ-11a-クロロ-6-デオキシ-6-デメチル-6-メチレン-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリン四級アンモニウム化合物;無水テトラサイクリンベタイン;4-ヒドロキシ-6-メチルプレテトラミド(pretetramides);4-ケトテトラサイクリン;5-ケトテトラサイクリン;5a,1laデヒドロテトラサイクリン;11a Cl-6,12ヘミケタールテトラサイクリン;11a Cl-6-メチレンテトラサイクリン;6,13ジオールテトラサイクリン;6-ベンジルチオメチレンテトラサイクリン;7,11a-ジクロロ-6-フルオロ-メチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-フルオロ(α)-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-フルオロ(β)-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-αアセトキシ-6-デメチルテトラサイクリン;6-βアセトキシ-6-デメチルテトラサイクリン;7,13-エピチオテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;ピラゾロテトラサイクリン;テトラサイクリンの11aハロゲン;テトラサイクリンの12aホルミルおよびその他のエステル;テトラサイクリンの5,12aエステル;テトラサイクリンの10,12a-ジエステル;イソテトラサイクリン;12-a-デオキシ無水テトラサイクリン;6-デメチル-12a-デオキシ-7-クロロ無水テトラサイクリン;B-ノルテトラサイクリン;7-メトキシ-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-デメチル-6-デオキシ-5a-エピテトラサイクリン;8-ヒドロキシ-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;モナルデン(monardene);クロモサイクリン;5aメチル-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-オキサテトラサイクリン、および6チアテトラサイクリンを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、テトラサイクリン化合物という用語は7-クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、またはテトラサイクリンを含まない。
【0062】
「テトラサイクリン化合物」という用語には、下記に定義されるような、および本明細書に記述されるような置換テトラサイクリン化合物が含まれる。テトラサイクリン化合物は、抗菌性のまたは抗感染性の活性を有していてもまたは有していなくてもよい。本発明のある種の態様において、テトラサイクリン化合物は、抗感染性の、抗炎症性の、および/または抗菌性の活性を有する。本発明の他の態様において、テトラサイクリン化合物は顕著な抗感染性の、抗炎症性の、または抗菌性の治療活性を有さない。
【0063】
置換テトラサイクリン化合物の例には、U.S. Patent No. 6,165,999; 5,834,450; 5,886,175; 5,567,697; 5,567,692; 5,530,557; 5,512,553; 5,430,162(これらのそれぞれは、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)に記述されている化合物が含まれる。置換テトラサイクリン化合物の他の例には、例えば

に記述されているものが含まれる。置換テトラサイクリン化合物の他の例は

に記述されている。これらの上記の出願および特許のそれぞれは、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。さらに本発明は、本明細書に記述される各化合物、各化合物の使用方法、および各化合物を含有する薬学的組成物に関する。
【0064】
「置換テトラサイクリン化合物」という用語には、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12aもしくは13位に、または本発明の置換テトラサイクリン化合物がその意図する機能を果たすこと、例えばRNAを調節することまたはDTMRを処置することを可能とする他の任意の位置に、一つまたは複数のさらなる置換基を有するテトラサイクリン化合物が含まれる。ある種の態様において、置換テトラサイクリン化合物は7-置換サンサイクリン化合物、9-置換ミノサイクリン化合物、または7,9-サンサイクリン化合物である。ある種の態様において、「置換テトラサイクリン化合物」という用語には、7位に塩素、水素またはジメチルアミノ置換基を有するテトラサイクリン化合物は含まれない。他の態様において、「置換テトラサイクリン化合物」という用語には、9位の置換基として水素を有する化合物は含まれない。他の態様において、置換テトラサイクリンという用語には、5-ヒドロキシテトラサイクリン、7-クロロテトラサイクリン、6-デメチル-7-クロロテトラサイクリン、無水クロロテトラサイクリン、4-エピ-無水クロロテトラサイクリン、またはβ-ケロカルジン(chelocardin)は含まれない。
【0065】
「置換テトラサイクリン化合物」という用語には同様に、式(I)の置換テトラサイクリン化合物が含まれる:

式中、
R2、R2'、R4'、およびR4”はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素芳香族またはプロドラッグ部分であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12は、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換カルボニル、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'はそれぞれ独立して、水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0〜3NR7CC(=W')WR7aであり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0〜3NR8CC(=E')ER8aであり;
R9は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0〜3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、およびR8fはそれぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素芳香族またはプロドラッグ部分であり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Eは、CR8d R8e、S、NR8bまたはOであり;
E'は、O、NR8f、またはSであり;
Wは、CR7d R7e、S、NR7bまたはOであり
W'は、O、NR7f、またはSであり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、C=CR13Y、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
Y'およびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり、ならびにその薬学的に許容される塩、エステル、およびエナンチオマーである。
【0066】
さらなる態様において、式(I)の置換テトラサイクリン化合物には、R2、R2'、R8、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素であり、XがCR6R6'であり、およびR4がNR4'R4”であり、その際にR4'およびR4”がそれぞれメチルである化合物が含まれる。さらに、R9は水素であってもよい。
【0067】
一つの態様において、R7は置換または非置換アリール、例えばフェニルまたはヘテロアリールである。さらなる態様において、R7は、置換テトラサイクリン化合物がその意図する機能を果たすこと、例えばDTMRを処置することまたはRNAを調節することを可能とする一つまたは複数の置換基で置換される。そのような置換基の例には、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、または複素環部分が含まれる。
【0068】
他の態様において、R7は置換または非置換アルケニルである。アルケニルR7基の置換基の例には、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、または複素環部分が含まれる。
【0069】
他の態様において、R7は置換または非置換ヘテロアリールであり、R9はアルキルである。
【0070】
他のさらなる態様において、置換テトラサイクリン化合物は置換ミノサイクリン化合物である(例えばR7はジアルキルアミノである)。さらなる態様において、R9はアルキルアミノである。他の態様において、R9は-NR9cC(=Z')ZR9aであり、式中R9cは水素であり、Z'は窒素または酸素であり、ZはNHであり、およびR9aはアリールまたはアラルキルである。
【0071】
テトラサイクリン化合物の例には、下記式:

ならびにその薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグが含まれる。置換テトラサイクリン化合物の他の例は、下記の表2に示される。
【0072】
【表2】






























































【0073】
ある種の態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌に対する抗菌性の活性を有する。ある種の態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌に対する抗菌性の活性を有していない。その他の態様において、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌の場合、約2 μg/mlを超える、約3 μg/mlを超える、約4 μg/mlを超える、約5 μg/mlを超える、約6 μg/mlを超える、約8 μg/mlを超える、約9 μg/mlを超える、約10 μg/mlを超える、約11 μg/mlを超える、約12 μg/mlを超える、約13 μg/mlを超える、約14 μg/mlを超える、約15 μg/mlを超える、約16 μg/mlを超える、約17 μg/mlを超える、約18 μg/mlを超える、約19 μg/mlを超える、約20 μg/mlを超える、約25 μg/mlを超える、約30 μg/mlを超える、約40 μg/mlを超える、または約50 μg/mlを超えるMICを有する化合物は、抗菌性の活性を有していないものと見なされる。
【0074】
その他の態様において、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌の場合、約50 μg/ml未満の、約40 μg/ml未満の、約30 μg/ml未満の、約25 μg/ml未満の、約20 μg/ml未満の、約15 μg/ml未満の、約14 μg/ml未満の、約13 μg/ml未満の、約12 μg/ml未満の、約11 μg/ml未満の、約10 μg/ml未満の、約9 μg/ml未満の、約8 μg/ml未満の、約6 μg/ml未満の、約5 μg/ml未満の、約4 μg/ml未満の、約3 μg/ml未満の、約2 μg/ml未満の、約1 μg/ml未満の、または約0.5 μg/ml未満のMICを有する化合物は、抗菌性の活性を有しているものと見なされる。
【0075】
一つの態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、抗生物質性の、抗細菌性の、もしくは抗菌性の活性を保持していてもよく、その化合物は抗生物質性の、抗細菌性の、もしくは抗菌性の活性が低下していてもよく、または、その化合物は抗生物質性の、抗細菌性の、もしくは抗菌性の活性が皆無かそれに近くてもよい。ある態様において、置換テトラサイクリン化合物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12aおよび/または13位で置換される。ある種の態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、7および/または9置換、例えば7および/または9-置換テトラサイクリン化合物(例えばR7および/またはR9がどちらも水素ではない化合物)である。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、7および/または9置換サンサイクリン化合物である。本発明の方法で使用できるテトラサイクリン化合物の他の例には、本明細書で別途記述されるかまたは参照として組み入れられるものが含まれる。
【0076】
本発明の置換テトラサイクリン化合物は、実施例1に記述される方法を利用して、以下のスキームで、および/または当技術分野において認識されている技術を利用することにより合成することができる。本明細書に記述される全ての新規の置換テトラサイクリン化合物は、化合物として本発明のなかに含まれる。
【0077】

9-および7-置換されたテトラサイクリンは、スキーム1に示した方法によって合成することができる。スキーム1に示すように、9-および7-置換されたテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物(たとえば、ドキシサイクリン、1A)を硫酸および硝酸ナトリウムで処理することによって合成することができる。生じる生成物は、7-ニトロおよび9-ニトロ異性体の混合物である(それぞれ、1Bおよび1C)。7-ニトロ(1B)および9-ニトロ(1C)誘導体を水素ガスおよび白金触媒を使用する水素付加によって処理して、アミン1Dおよび1Eを得る。異性体は、従来法によってこの時に分離される。7-または9-置換されたアルケニル誘導体を合成するために、7-または9-アミノテトラサイクリン化合物(それぞれ、1Eおよび1F)をHONOで処理して、ジアゾニウム塩を得る(1Gおよび1H)。塩(1Gおよび1H)を適切な反応試薬で処理して、所望の化合物を得る(たとえば、スキーム1では、7-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1H)および9-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1I))。
【0078】

スキーム2に示すように、R7がカルバメートまたはウレア誘導体である本発明のテトラサイクリン化合物は、以下のプロトコールを用いて合成することができる。サンサイクリン(2A)を酸性条件でNaNO2によって処置して、7-ニトロサンサイクリン(2B)を位置異性体の混合物として形成する。次に、7-ニトロサンサイクリン(2B)をH2ガスおよび白金触媒によって処置して、7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)を形成する。ウレア誘導体(2E)を形成するために、イソシアネート(2D)を7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)と反応させる。カルバメート(2G)を形成するために、適当な酸塩化物エステル(2F)を2Cと反応させる。
【0079】

スキーム3に示すように、R7が複素環(例えば、チアゾール)置換アミノ基である本発明のテトラサイクリン化合物は、上記のプロトコールを用いて合成することができる。7-アミノサンサイクリン(3A)をFmoc-イソチオシアネート(3B)と反応させて、保護されたチオウレア(3C)を生じる。次に、保護されたチオウレア(3C)を脱保護して活性なサンサイクリンチオウレア(3D)化合物を生じる。サンサイクリンチオウレア(3D)をα-ハロケトン(3E)と反応させて、チアゾール置換7-アミノサンサイクリン(7F)を生じる。
【0080】

7-アルキニルサンサイクリン(4A)および7-アルケニルサンサイクリン(4B)のような7-アルケニルテトラサイクリン化合物に水素を添加して、アルキル7-置換テトラサイクリン化合物(例えば、7-アルキルサンサイクリン、4C)を形成することができる。スキーム4は、飽和メタノールおよび塩酸水溶液中で、パラジウム/炭素触媒を用いて加圧下で7位の二重または三重結合の選択的水素添加を行うと、産物が得られることを示している。
【0081】

スキーム5において、7-位のアリール誘導体を合成する一般的な合成スキームを示す。ホウ素酸アリールとヨードサンサイクリン化合物とのスズキカップリングを示す。ヨードサンサイクリン化合物(5B)は、サンサイクリン(5A)を少なくとも1等量のN-ヨードスクシニミド(NIS)によって酸性条件で処置することによって、サンサイクリンから合成することができる。反応を停止させて、得られた7-ヨードサンサイクリン(5B)を当技術分野で既知の標準的な技術を用いて精製することができる。アリール誘導体を形成するために7-ヨードサンサイクリン(5B)を塩基性水溶液(例えば、Na2CO3)および適当なホウ酸(5C)によって不活性大気中で処置する。反応をパラジウム触媒(例えば、Pd(OAc)2)によって触媒する。産物(5D)は、当技術分野で既知の方法(HPLCのような)によって精製することができる。その他の7-アリール、アルケニル、およびアルキニルテトラサイクリン化合物も、類似のプロトコールを用いて合成することができる。
【0082】
本発明の7-置換テトラサイクリン化合物はまた、スティルのクロスカップリングを用いて合成することができる。スティルのクロスカップリングは、適当な錫試薬(例えばR-SnBu3)およびハロゲン化テトラサイクリン化合物(例えば、7-ヨードサンサイクリン)を用いて行うことができる。錫試薬とヨードサンサイクリン化合物は、パラジウム触媒(例えば、Pd(PPh3)2Cl2またはPd(AsPh3)2Cl2)および選択的にさらなる銅塩、例えばCuIによって処置することができる。得られた化合物は、当技術分野で既知の方法を用いて精製することができる。
【0083】

本発明の化合物は、ヘックタイプのクロスカップリング反応を用いても合成することができる。スキーム6に示すように、ヘックタイプのクロスカップリングは、ハロゲン化テトラサイクリン化合物(例えば、7-ヨードサンサイクリン、6A)と適当なパラジウムまたは他の遷移金属触媒(例えば、Pd(OAc)2およびCuI)を適当な溶媒(例えば、脱気したアセトニトリル)に懸濁することによって行うことができる。次に、基質、反応性アルケン(6B)、またはアルキン(6D)およびトリエチルアミンを加えて、混合物を数時間加熱してから室温に冷却する。次に、得られた7-置換アルケニル(6C)または7-置換アルキニル(6E)テトラサイクリン化合物は当技術分野で既知の技術を用いて精製することができる。
【0084】

7-(2'-クロロ-アルケニル)-テトラサイクリン化合物を調製するために、適切な7-(アルキニル)-サンサイクリン(7A)を飽和したメタノールおよび塩酸に溶解し、撹拌する。次いで、溶媒を除去して、生成物(7B)を得る。
【0085】

スキーム8に図示したように、9-置換された化合物(8A)を強酸(たとえば、HF、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸)に溶解することによって9-置換されたテトラサイクリン化合物の5-エステルを形成し、適切なカルボン酸を添加して、対応するエステル(8B)を得ることができる。
【0086】

スキーム9に示すように、メタサイクリン(9A)は、Pd(Oac)2のようなパラジウム触媒の存在下でフェニルボロン酸と反応させて、13位がアリール置換されたメタサイクリン化合物を形成させることができる。次いで、生じた化合物は、分取HPLCのような当技術分野において周知の技術により精製して、特徴付けることができる。
【0087】
下記のスキーム10に示すように、7および9アミノメチルテトラサイクリンは、ヒドロキシメチル-カルバミン酸ベンジルエステルのような試薬を使用して合成してもよい。生じたアミノメチルテトラサイクリン化合物は、さらに誘導体化してもよい。

【0088】
「アルキル」という用語には、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、t-ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族が含まれる。アルキルという用語にはさらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、または燐原子をさらに含みうるアルキル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキルはその骨格に炭素原子20個またはそれ未満を有し(例えば、直鎖の場合C1-C20、分岐鎖の場合C3-C20)、より好ましくは4個またはそれ未満を有する場合がある。シクロアルキルは、その環構造に炭素原子3〜8個を有し、より好ましくは環構造に炭素5または6個を有する。用語C1-C6には、炭素原子1〜6個を含むアルキル基が含まれる。
【0089】
さらに、アルキルという用語には、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような置換基には、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。シクロアルキルはさらに、例えば上記の置換基によって置換することができる。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分は、アリールによって置換したアルキルである(例えば、フェニルメチル(ベンジル))。「アルキル」という用語にはまた、天然および非天然のアミノ酸の側鎖が含まれる。
【0090】
「アリール」という用語には、ヘテロ原子0〜4個を含んでもよい5-および6-員環の単環式芳香族基を含む基、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン等が含まれる。さらに、「アリール」という用語には、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフスリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンが含まれる。環構造にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」「複素環」、または「ヘテロアリール」、または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香環は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって一つまたは複数の環の位置で置換することができる。アリール基は、多環(例えばテトラリン)を形成するために、芳香族でない脂環式または複素環に融合または架橋することができる。
【0091】
「アルケニル」という用語には、上記のアルキルと長さおよび可能性がある置換が類似であるが、少なくとも一つの二重結合を含む不飽和脂環式基が含まれる。
【0092】
例えば、「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、分岐鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル、またはアルケニル置換シクロアルケニル基およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。アルケニルという用語には、さらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、または燐原子を含むアルケニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルケニル基は、その骨格に炭素原子20個またはそれ未満を有する(例えば、直鎖の場合C2-C20、分岐鎖の場合C3-C20)。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造に炭素原子3〜8個を有してもよく、より好ましくは環構造に炭素5または6個を有する。C2-C20という用語には、炭素原子2〜20個を含むアルケニル基が含まれる。
【0093】
さらに、アルケニルという用語には、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素原子上の水素の代わりに置換基を有するアルケニル部分を意味する。そのような置換基は例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分となりうる。
【0094】
「アルキニル」という用語には、長さおよび可能性がある置換が上記のアルキルと類似であるが、少なくとも一つの三重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。
【0095】
例えば、「アルキニル」という用語には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、分岐鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。アルキニルという用語にはさらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、または燐原子を含むアルキニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキニル基は、その骨格に炭素原子20個またはそれ未満を有する(例えば、直鎖の場合C2-C20、分岐鎖の場合C3-C20)。C2-C6という用語には、炭素原子2〜6個を含むアルキニル基が含まれる。
【0096】
さらに、アルキニルという用語には、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキニル基を意味する。そのような置換基には、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。
【0097】
炭素数が明記されていなければ、本明細書において用いる「低級アルキル」は、先に定義したアルキル基であるがその骨格構造に炭素原子1〜5個を有する基を意味する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば炭素原子2〜5個の鎖長を有する。
【0098】
「アシル」という用語には、アシルラジカル(CH3CO-)またはカルボニル基を含む化合物および部分が含まれる。「置換アシル」という用語には、一つまたは複数の水素原子がアルキル基、アルケニル、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されているアシル基が含まれる。
【0099】
「アシルアミノ」という用語には、アシル部分がアミノ基に結合している部分が含まれる。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基が含まれる。
【0100】
「アルコキシ」という用語には、酸素原子に共有結合した置換および非置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル基が含まれる。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が含まれる。置換アルコキシ基の例として、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。アルコキシ基は、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分のような基によって置換することができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例として、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等が含まれる。
【0101】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」という用語には、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、または硫黄原子をさらに含む、上記のアルキル基が含まれる。
【0102】
「アミド」または「アミノカルボキシ」という用語には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含む化合物または部分が含まれる。この用語には、カルボニル基に結合したアミノ基に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基が含まれる。これには、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボキシ基が含まれる。「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」、および「アリールアミノカルボキシ」という用語には、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分がそれぞれ窒素原子に結合することでカルボニル基の炭素と結合している部分が含まれる。
【0103】
「アミン」または「アミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも一つの炭素またはヘテロ原子に共有結合している化合物が含まれる。「アルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも一つのさらなるアルキル基に結合している基および化合物が含まれる。「ジアルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも二つのさらなるアルキル基に結合している基が含まれる。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」という用語には、窒素原子がそれぞれ、少なくとも一つまたは二つのアリール基に結合している基が含まれる。「アルキルアリールアミノ」「アルキルアミノアリール」、または「アリールアミノアルキル」という用語には、少なくとも一つのアルキル基および少なくとも一つのアリール基に結合しているアミノ基が含まれる。「アルカミノアルキル」という用語は、アルキル基にも結合している窒素原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。
【0104】
「アロイル」という用語には、カルボニル基に結合したアリールまたはヘテロ芳香族部分を有する化合物および部分が含まれる。アロイル基の例として、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等が含まれる。
【0105】
「カルボニル」または「カルボキシ」という用語には、二重結合によって酸素原子に結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。例えば、カルボニル部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノ等によって置換してもよい。カルボニルを含む部分の例として、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等が含まれる。
【0106】
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合した炭素またはヘテロ原子を含む化合物および部分が含まれる。「エステル」という用語には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル等のようなアルコキシカルボニル基が含まれる。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は上記の定義の通りである。
【0107】
「エーテル」という用語は、2つの異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合した酸素を含有する化合物または部分を含む。例えばこの用語は、「アルコキシアルキル」を含む。アルコキシアルキルとは、酸素原子に共有結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基であって、その酸素原子が他のアルキル基に共有結合したものを指す。
【0108】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等が含まれる。「過ハロゲン化」という用語は一般的に、全ての水素がハロゲン原子に置換されている部分を意味する。
【0109】
「ヘテロ原子」という用語には、炭素または水素以外の如何なる元素の原子も含まれる。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄、および燐である。
【0110】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、-OHまたは-O-Xを有し、このときXが対イオンである基が含まれる。
【0111】
「ポリシクリル」または「多環式ラジカル」という用語は、二つまたはそれ以上の炭素が二つの隣接する環と共通している、例えば環が「融合環」である二つまたはそれ以上の環状環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を意味する。非隣接原子に結合している環は「架橋」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換することができる。
【0112】
「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」という用語には、二重結合によって硫黄原子に結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。
【0113】
「チオエーテル」という用語には、異なる二つの炭素またはヘテロ原子に結合した硫黄原子を含む化合物および部分が含まれる。チオエーテルの例として、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、およびアルクチオアルキニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合した硫黄原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を有する化合物が含まれる。同様に、「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基がアルキニル基に共有結合した硫黄原子に結合している化合物または部分を意味する。
【0114】
「オキシミル」という用語は、オキシム基を含有する部分を含む。
【0115】
「二量体部分」という用語は、二級テトラサイクリンの4環構造を含有する部分を含む。二量体部分は、原子1〜30個の鎖を介して置換テトラサイクリンに結合されてもよい。この鎖は、一重、二重、および三重結合を介して共に共有結合された原子から成ってもよい。二量体部分のテトラサイクリン環構造は、さらに置換されても、または置換されなくてもよい。これは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12a、および/または13位で結合されてもよい。
【0116】
「プロドラッグ部分」という用語には、インビボでヒドロキシル基に代謝されうる部分およびインビボで都合よくエステル化されたままである部分が含まれる。一般的に、プロドラッグ部分は、インビボでエステラーゼまたは他の代謝によってヒドロキシル基または他の都合のよい基に代謝される。プロドラッグおよびその使用例は当業者に周知である(例えば、バージ(Berge)ら、(1977)、「薬学的な塩(Pharmaceutical Salts)」、J. Pharm. Sci. 66:1〜19)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製のあいだにインサイチューで、またはその遊離の酸の形の精製化合物またはヒドロキシルを適したエステル化剤と個々に反応させることによって調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸による処置によってエステルに変換することができる。プロドラッグ部分の例として、置換および非置換の分岐または非分岐低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ-低級アルキル-アミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換(例えば、メチル、ハロ、またはメトキシ置換基による)アリールおよびアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ-低級アルキルアミド、およびヒドロキシアミドが含まれる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。インビボでその他の機構によって活性型に変換されるプロドラッグも含まれる。
【0117】
本発明の方法および組成において用いられる置換されたテトラサイクリン化合物のいくつかの構造には、不斉炭素原子が含まれる。したがって、キラル原子に由来する異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)が本発明の範囲に含まれる。そのような異性体は、古典的な分離技術および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋に得ることができる。さらに、本出願において考察した構造、他の化合物および部分には同様に、その全ての互変異性体が含まれる。
【0118】
この方法は、テトラサイクリン化合物を第二の薬剤、例えばDTMRの処置を増強でき、RNAの調節を増強できる薬剤と組み合わせて投与することをさらに含んでもよく、または第二の薬剤は、別のDTMRもしくはRNA調節と関係のない別の病状を処置するために選択されてもよい。
【0119】
第二の薬剤「と組み合わせて(との併用での)」という用語には、第二の薬剤とのテトラサイクリン化合物の同時投与、最初にテトラサイクリン化合物続いて第二の薬剤の投与、および最初に第二の薬剤、続いてテトラサイクリン化合物の投与が含まれる。第二の薬剤は、DTMRの症状を処置する、予防する、または軽減することが当技術分野において知られている、任意の薬剤とすることができる。さらに第二の薬剤は、テトラサイクリン化合物の投与と組み合わせて投与する場合、患者に有益な任意の薬剤とすることができる。第二の薬剤の例には、神経保護剤および化学療法剤が含まれる。
【0120】
「化学療法剤」という用語には、細胞もしくは組織の増殖が望ましくない、そのような細胞もしくは組織の増殖を阻害するか、またはそうでなければ、そのような増殖の結果生じる少なくとも一つの症状を処置する化学試薬が含まれる。化学療法剤は、当技術分野においてよく知られており(例えばGilman A.G., et al., The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Sec 12: 1202-1263 (1990)を参照されたい)、腫瘍性疾患を処置するために通常使用される。化学療法剤の例には:ブレオマイシン、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシン、エダトレキサート、エトポシド、フィナステリド(プロスカー(Proscar))、フルタミド(Eulexin)、ゲミシタビン(Gemzar)、酢酸ゴセレリン(Zoladex)、グラニセトロン(Kytril)、イリノテカン(Campto/Camptosar)、オンダンセトロン(Zofran)、パクリタキセル(Taxol)、ペガスパルガーゼ(Oncaspar)、塩酸ピロカルピン(Salagen)、ポルフィマーナトリウム(Photofrin)、インターロイキン-2(Proleukin)、リタキシマブ(Rituxan)、トポテカン(Hycamtin)、トラスツズマブ(Herceptin)、トレチノイン(Retin-A)、トリアピン(Triapine)、ビンクリスチン、および酒石酸ビノレルビン(Navelbine)が含まれる。
【0121】
化学療法剤の他の例には、アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えばメクロルエタミン(HN2)、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、クロラムブシルなど); エチレンイミン、メチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミン、チオテパなど);アルキルスルホネート(例えばブスルファンなど)、ニトロソウレア(例えばカルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)など)、トリアゼン(例えばデカルバジン(Decarbazine)(DTIC; ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド))、アルキル化剤(例えばcis-ジアミンジクロロプラチナII(CDDP))などが含まれる。
【0122】
化学療法剤の他の例には、代謝拮抗剤、例えば葉酸類似体(例えばメトトレキセート(アメトプテリン)); ピリミジン類似体(例えばフルオロウラシル('5-フルオロウラシル; 5-FU); フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン); FUdr; シタラビン(シオシン(cyosine)アラビノシド)など); プリン類似体(例えばメルカプトプリン(6-メルカプトプリン; 6-MP); チオグアニン(6-チオグアニン; TG); およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))などが含まれる。
【0123】
化学療法剤の他の例には同様に、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン(VLB)およびビンクリスチン); トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエトポシド、テニポシド、カンプトテシン、トポテカン、9-アミノ-カンポトテシン(campotothecin)、CPT-11など); 抗生物質(例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、アドリアマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン(マイトマイシンC)、タキソール、タキソテールなど); 酵素(例えばL-アスパラギナーゼ); および生物反応修飾物質(例えばインターフェロン; インターロイキン2など)が含まれる。他の化学療法剤には、cis-ジアミンジクロロプラチナII(CDDP); カルボプラチン; アントラセンジオン(例えばミトキサントロン); ヒドロキシウレア; プロカルバジン(N-メチルヒドラジン); および副腎皮質抑制剤(例えばミトタン、アミノグルテチミドなど)が含まれる。
【0124】
他の化学療法剤には、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン); プロゲスチン(例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン; 酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロールなど); エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロール; エテニルエストラジオールなど); 抗エストロゲン(例えばタモキシフェンなど); アンドロゲン(例えばテストステロンプロピオン酸、フルオキシメステロンなど); 抗アンドロゲン(例えばフルタミド); およびゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えばロイプロリド)が含まれる。
【0125】
III. DTMRの処置のための薬学的組成物
本発明は同様に、少なくとも部分的には、DTMRの処置のための薬学的組成物に関する。薬学的組成物には、薬学的に許容される担体と組み合わせが本発明のテトラサイクリン化合物が含まれる。組成物には、DTMRの処置のための第二の薬剤がさらに含まれてもよい。
【0126】
「薬学的組成物」という用語には、哺乳動物、例えばヒトへの投与に適した製剤が含まれる。本発明の化合物は、薬剤として哺乳動物、例えばヒトに投与される場合、それ自体でまたは例えば0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する薬学的組成物として与えることができる。
【0127】
「薬学的に許容される担体」という用語は、当技術分野において認識され、哺乳動物に本発明の化合物を投与するのに適した薬学的に許容される物質、組成物または媒体を含む。担体には、体の一器官もしくは部分から、体の別の器官または部分への被検薬剤の運搬または輸送に関与する液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤またはカプセル化剤が含まれる。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合するという意味で、および患者に有害ではないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として機能できる物質のいくつかの例には: 糖、例えば乳糖、ブドウ糖、およびショ糖; 澱粉、例えばトウモロコシ澱粉およびジャガイモ澱粉; セルロースおよびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース; 粉末トラガカント; 麦芽;ゼラチン; タルク; 賦形剤、例えばカカオ脂および坐薬ろう; 油、例えばラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油; グリコール、例えばプロピレングリコール; 多価アルコール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール; エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル; 寒天; 緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム; アルギン酸; 発熱性物質を伴わない水; 等張性生理食塩水; リンガー液; エチルアルコール; リン酸緩衝液; ならびに薬学的製剤に使用される他の非毒性の適合物質が含まれる。
【0128】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、香料添加剤および芳香剤、防腐剤および抗酸化剤が同様に、組成物に存在していてもよい。
【0129】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムおよび同様のもの; 油溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、および同様のもの; ならびに金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸、および同様のものが含まれる。
【0130】
本発明の製剤には、経口投与、経鼻投与、局所投与、経皮投与、口腔投与、舌下投与、直腸投与、経膣投与、経肺投与および/または非経口投与に適したものが含まれる。製剤は、単位剤形として好都合に供与されてもよく、薬学の分野においてよく知られる任意の方法により調製されてもよい。担体物質と組み合わせて単一剤形をもたらすことができる活性成分の量は、一般に、治療効果をもたらす化合物の量であるものと思われる。一般に、100パーセント以外では、この量は活性成分の、約1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントに及ぶものと思われる。
【0131】
これらの製剤または組成物の調製方法には、本発明の化合物を担体および、任意で、一つまたは複数の副成分と結合させる段階が含まれる。一般に、製剤は、本発明の化合物を液体担体、もしくは微粉化した固体担体、またはその双方と均一におよび密に結合させ、次いで、必要に応じて生成物を成形することにより調製される。
【0132】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(味付の母剤、通常ショ糖およびアカシアまたはトラガカントを使用)、粉剤、顆粒剤の形態として、または水性液体もしくは非水性液体の溶剤もしくは懸濁剤として、または水中油型もしくは油中水型乳濁剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、または香錠(不活性母剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアを使用)として、および/またはうがい薬および同様のものとして、それぞれが所定量の本発明の化合物を活性成分として含有してもよい。本発明の化合物は同様に、巨丸剤、舐剤、またはペースト剤として投与してもよい。
【0133】
経口投与(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉剤、顆粒剤および同様のもの)用の本発明の固体剤形の場合、活性成分は、一つまたは複数の薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれかと混合される: 充填剤または増量剤、例えば澱粉、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/またはケイ酸; 例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアのような結合剤; 湿潤剤、例えばグリセロール; 崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム; 溶液緩染剤、例えばパラフィン; 吸収促進剤、例えば第4アンモニウム化合物; 例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤; 吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土; 滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物; ならびに着色剤。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、薬学的組成物には同様に、緩衝剤が含まれていてもよい。同様のタイプの固体組成物は、乳糖(lactose)または乳糖(milk sugar)、ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質および硬質充填のゼラチンカプセル内の充填剤として使用することもできる。
【0134】
錠剤は圧縮または成形により、任意で一つまたは複数の副成分とともに作製することができる。圧縮錠は、結合剤(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば澱粉グリコール酸ナトリウムまたは架橋結合されたカルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を用いて調製することができる。成形錠は、不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することにより作製することができる。
【0135】
糖衣丸、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤のような、本発明の薬学的組成物の錠剤および他の固体剤形は、任意で、刻み目を入れられても、または腸溶コーティングおよび薬学的製剤化の技術分野においてよく知られる他のコーティングのような、コーティングおよびシェルとともに調製されてもよい。それらは、その内部の活性成分の持続放出または制御放出を供与するため、例えば所望の放出特性を与えるように種々の割合で混ざったヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフィアを用いて製剤化することもできる。それらは、例えば細菌保持フィルタを通じた濾過により、または使用直前に、滅菌水もしくは他の無菌の注射可能な媒体に溶解できる無菌の固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことにより滅菌されてもよい。これらの組成物には、任意で不透明化(opacifying)剤が含まれてもよい。これらの組成物は、胃腸管のある部分に、任意に、遅延性の方法で、活性成分を単独で、または選択的に放出する組成物としてもよい。使用できる包埋用組成物の例には、高分子物質およびろうが含まれる。活性成分は、適切な場合、一つまたは複数の上述の賦形剤とともに、マイクロカプセル化した形態にすることもできる。
【0136】
本発明の化合物の経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。液体剤形には、活性成分に加えて、例えば水または他の溶媒のような、当技術分野において通常使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物のような、可溶化剤および乳化剤が含まれてもよい。
【0137】
不活性希釈剤の他に、経口組成物には、補助剤、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香料添加剤、着色剤、芳香剤および防腐剤が含まれてもよい。
【0138】
懸濁剤には、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物のような、懸濁化剤が含まれてもよい。
【0139】
直腸投与または経膣投与用の本発明の薬学的組成物の製剤は、坐薬として供与することができ、これは、本発明の一つまたは複数の化合物を、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬ろうまたはサリチル酸塩を含む一つまたは複数の適当な刺激性のない賦形剤または担体と混合することにより調製することができ、およびこれは、室温では固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸または膣腔で溶解して活性化合物を放出するものと思われる。
【0140】
経膣投与に適した本発明の製剤には、当技術分野において適当であることが知られているような担体を含む、腟坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤も含まれる。
【0141】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の剤形には、粉剤、スプレー、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶剤、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性化合物は、無菌の条件下で、薬学的に許容される担体と、および必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤、または噴射剤と混合されてもよい。
【0142】
軟膏剤、ペースト、クリーム、およびゲルには、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ろう、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および亜鉛酸化物、またはその混合物のような賦形剤が含まれてもよい。
【0143】
粉剤およびスプレーには、本発明の化合物に加えて、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤が含まれてもよい。スプレーには、クロロフルオロハイドロカーボンおよび揮発性の非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパンのような、通例の噴射剤がさらに含まれてもよい。スプレーは、機械的、電気的な方法により、または当技術分野において知られる他の方法により送達することもできる。
【0144】
経皮的パッチには、身体への本発明の化合物の制御放出の供与というさらなる効果がある。そのような剤形は、適当な培地に化合物を溶解するか、または分散させることにより作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を通しての化合物の流入を増大させることもできる。そのような流入の速度は、速度制御膜を供与することにより、または活性化合物を高分子のマトリクスもしくはゲルに分散させることにより制御することができる。
【0145】
眼科用製剤、眼用の軟膏剤、粉剤、溶剤および同様のものはまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0146】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物には、一つまたは複数の薬学的に許容される無菌の等張性の水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または使用直前に、無菌の注射可能な溶液もしくは分散液に再構成できる無菌の粉剤と組み合わせて、一つまたは複数の本発明の化合物が含まれ、これらには、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、対象とする受容者の血液と製剤を等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤が含まれてもよい。
【0147】
本発明の薬学的組成物に使用できる適当な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、多価アルコール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および同様のもの)、およびその適当な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適当な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング材の使用により、分散液の場合には、必要とされる粒径を維持することにより、および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0148】
これらの組成物には、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤が含まれてもよい。微生物の作用の阻止は、種々の抗菌剤、抗寄生虫剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸、および同様のものを含有させることで確実とすることができる。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム、および同様のものを組成物に含有させることも望ましいかもしれない。さらに、注射可能な製剤の持続性吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような、吸収を遅延させる薬剤を含有させることによりもたらすことができる。
【0149】
場合よっては、薬剤の効果を持続させるため、皮下または筋内注射からの薬剤の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶性が低い結晶性のまたは無形性の物質の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。次に、薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、その溶解速度が、今度は結晶の大きさおよび結晶の形状に依存するかもしれない。あるいは、非経口投与剤形の遅延性吸収は、薬剤を油媒体に溶解させるかまたは懸濁させることにより達成することができる。組成物は、当業者に周知の方法により、その排除が遅延されるように製剤化されてもよい。
【0150】
注射可能な徐放性剤形は、主題化合物のマイクロカプセルマトリクスをポリ乳酸-ポリグリコリドのような生体分解性高分子中に形成することにより作製される。高分子に対する薬剤の比率、および使用される特定の高分子の性質に応じて、薬剤放出の速度を制御することができる。他の生体分解性高分子の例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。注射可能な徐放性製剤は同様に、薬剤を生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに取り込むことにより調製される。
【0151】
本発明の製剤は、経口的に、非経口的に、局所的に、または直腸に投与されてもよい。勿論、それらは各投与経路に適した形態で投与される。例えばそれらは、錠剤またはカプセル形態で、注射、吸入、洗眼薬、軟膏剤、坐薬など(注射、注入または吸入による投与; 水薬または軟膏剤による局所投与; および坐薬による直腸投与)により投与される。経口投与または吸入による投与が好ましい。
【0152】
本明細書では、「非経口投与」および「非経口的に投与される」という用語は、経腸投与および局所投与以外の、通常は注射による、投与方法を意味し、静脈内の、筋肉内の、動脈内の、くも膜下腔内の、嚢内の、眼窩内の、心臓内の、皮内の、腹腔内の、経気管の、皮下の、表皮下の、関節内の、被膜下の、くも膜下の、脊髄内の、および胸骨内の注射および注入を含むが、これらに限定されることはない。
【0153】
本明細書では、「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、および「末梢に投与される」という用語は、中枢神経系に直接にではなく患者の系に入り、従って、代謝および他の同様のプロセスにさらされるような、化合物、薬剤、または他の物質の投与、例えば皮下投与を意味する。
【0154】
これらの化合物は、例えばスプレーによるように、経口的に、経鼻的に、粉剤、軟膏剤または液滴によるように、経直腸的に、経膣的に、経口的に、大槽内におよび局所的になど、口腔におよび舌下になど、いずれかの適当な投与経路により治療を目的にヒトおよび他の動物に投与されてもよい。投与のための他の方法には、経吸入が含まれる。
【0155】
本発明のテトラサイクリン化合物は同様に、ステントを介して被験体に投与されてもよい。化合物は、ステントを介して投与されてもよく、またはステントに含浸されてもよい。
【0156】
選択される投与経路とは無関係に、適当な水和物の形で使用できる本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に周知の従来法により薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0157】
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の用量は、特定の患者、組成物、および投与方法に対し、患者にとって有毒とはならない、所望の治療反応を達成するのに有効な活性成分量を得るために変化させてもよい。
【0158】
選択される用量は、使用される本発明の特定の化合物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄速度、処置期間、使用される特定の化合物と併用される他の薬剤、化合物および/または物質、年齢、性別、体重、症状、処置される患者の全般的健康および以前の既往歴を含む種々の要因、および医学の分野においてよく知られる同様の要因に依存するものと思われる。
【0159】
当技術分野における通常の技術を有する医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定して、処方することができる。例えば医師または獣医は、薬学的組成物に使用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低い量で開始して、所望の効果が達成されるまで用量を段階的に増やすことができるものと思われる。
【0160】
一般に、本発明の化合物の適当な日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最も低い用量となる化合物の量であると思われる。そのような有効な用量は、一般に、上述の要因に依存するものと思われる。一般に、患者に対する本発明の化合物の静脈内および皮下の用量は、1日当たり約0.0001〜約100 mg/kg体重、より好ましくは、1日当たり約0.01〜約50 mg/kg、およびさらにより好ましくは、1日当たり約1.0〜約100 mg/kgの範囲であると思われる。
【0161】
必要に応じて、活性化合物の有効な日用量は、1日を通じて適当な間隔で投与される2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上の回数の亜用量として、任意で、単位剤形で投与されてもよい。
【0162】
本発明の化合物を単独で投与することもできるが、化合物を薬学的組成物として投与することが好ましい。化合物または薬学的組成物は、他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0163】
上記したように、本化合物のある種の態様は、アミノまたはアルキルアミノのような塩基性官能基を含んでいてもよく、従って、薬学的に許容される酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。「薬学的に許容される塩」という用語は、当技術分野において認識され、本発明の化合物の比較的非毒性の、無機および有機の酸付加塩を含む。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで、または本発明の精製した化合物をその遊離塩基の形で適当な有機酸もしくは無機酸と個別に反応させて、そのようにして形成された塩を単離することにより調製することができる。典型的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリル硫酸塩などが含まれる(例えばBerge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Farm. SCI. 66:1-19を参照されたい)。
【0164】
その他の場合には、本発明の化合物は一つまたは複数の酸性官能基を含んでいてもよく、従って、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの例において「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機および有機の塩基付加塩を含む。これらの塩は同様に、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで、または精製した化合物をその遊離酸の形で、水酸化物、薬学的に許容される金属カチオンの炭酸塩もしくは重炭酸塩のような適当な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機第1級、第2級、もしくは第3級アミンと個別に反応させることにより調製することができる。典型的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩などが含まれる。塩基付加塩の形成に有用である典型的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンおよび同様のものが含まれる。
【0165】
「薬学的に許容されるエステル」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性のエステル化された生成物を指す。これらのエステルは、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで、または精製した化合物をその遊離酸の形でもしくはヒドロキシルで、適当なエステル化剤と個別に反応させることにより調製することができる。カルボン酸は、触媒の存在下、アルコール処理によりエステルに変換することができる。ヒドロキシルは、アルカノイルハライドのようなエステル化剤を用いた処理により、エステルに変換することができる。その用語には同様に、生理条件下で溶媒和できる低級の炭化水素基、例えばアルキルエステル、メチル、エチル、およびプロピルエステルが含まれる(例えば前掲のBerge et al.,を参照されたい)。
【0166】
本発明は同様に、少なくとも部分的には、本発明のテトラサイクリン化合物およびDTMRを処置するのにその化合物を使用するための使用説明書を含む、包装された構成品に関する。
【0167】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、それはさらなる限定と解釈されるべきではない。本出願の全体にわたって引用した全ての参考文献、係属中の特許出願、および公開された特許の内容は、参照として本明細書に明示的に組み入れられる。
【実施例】
【0168】
本発明の例示
本発明の化合物は、当業者の範囲内で下記の技法に改変を加えて下記に示すように作製してもよい。
【0169】
実施例1:7-置換テトラサイクリンの合成
7-ヨードサンサイクリン
サンサイクリン1gを、0℃に冷却した(氷中で)TFA(トリフルオロ酢酸)25 mlに溶解した。1.2等量のN-ヨードスクシニミド(NIS)を反応混合物に加えて、40分間反応させた。反応を氷浴から取り出して、室温でさらに5時間反応させた。次に混合物をHPLCおよびTLCによって分析して、NISを段階的に加えて反応を終了させた。反応が終了した後、TFAを真空下で除去してMeOH3mlを加えて残査を溶解した。メタノール溶液を、激しく攪拌しているジエチルエーテル溶液に徐々に加えると、緑がかった茶色の沈殿物が形成された。サンサイクリンの7-ヨウ化異性体は、7-ヨウ化産物を活性炭によって処理することによって精製し、セライトの中を濾過して、溶媒を真空で除去すると7-異性体化合物が収率75%で純粋な黄色の固体として得られた。
MS(M+H)(ギ酸溶媒)541.3

【0170】
7-フェニルサンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン150 mg(0.28 mM)、Pd(OAc)2、およびMeOH 10 mlを攪拌棒を入れたフラスコに加えて、この系をアルゴンを用いて3回脱気した。Na2CO3(87 mg、0.8 mM)を水に溶解して、脱気したアルゴンをシリンジを通して、同様に脱気したフェニルホウ酸(68 mg、0.55 mM)のMeOH溶液と共に加える。反応をHPLCによって2時間追跡して室温に冷却した。溶液を濾過して、乾燥させると粗混合物が得られた。固体をジメチルホルムアミドに溶解して、C18逆相シリカを用いて分離用HPLC系に注入した。36〜38分の分画を単離して、溶媒を真空で除去すると産物プラス塩が得られた。塩を50:25:25の水、ブタノール、酢酸エチルに抽出することによって除去して真空で乾燥させた。この固体をMeOHに溶解して、HClガス中で泡立てることによってHCl塩を作製した。溶媒を除去すると、産物が42%の収率で黄色の固体として得られた。
Rt 21.6分:MS(M+H、ギ酸溶媒):491.3

【0171】
7-(4'-クロロフェニル)サンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン500 mg(0.91 mM)、Pd(OAc)2 21 mg、およびMeOH 20 mLを、撹拌棒の入ったフラスコに加えて、アルゴンにより系を3回脱気した。水に溶解してアルゴンで脱気したNa2CO3 (293 mg、2.8 mM)を注射器で添加し、同様に脱気した4-Cl-フェニルボロン酸(289 mg、1.85 mM)のMeOH溶液と共に添加した。反応に続いて45分間HPLCを行い、室温に冷却した。溶液を濾過して乾燥し、粗混合物を生成させた。固体をジメチルホルムアミドに溶解して、C18逆相シリカを用いた分取HPLC系に注入した。39分における分画を単離し、溶媒を真空中で除去して、生成物プラス塩を得た。塩を50:25:25の水、ブタノール、酢酸エチルに抽出することにより除去し、真空中で乾燥させた。この固体をMeOHに溶解して、HClガス中に通気することによりHCl塩を調製した。溶媒を除去し、黄色の固体として産物を収率57%で得た。
Rt 20.3分: MS (M+H、ギ酸溶媒): 525.7

【0172】
7-(4'-フルオロフェニル)サンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン200 mg(0.3 mM)、Pd(OAc)2、およびMeOH 10 mlを攪拌棒を入れたフラスコに加えて、この系をアルゴンを用いて3回脱気した。Na2CO3(104 mg、1.1 mM)を水に溶解して、脱気したアルゴンをシリンジを通して、同様に脱気した4-F-フェニルホウ酸(104 mg、0.7 mM)のMeOH溶液と共に加える。反応をHPLCによって20分間追跡して室温に冷却した。溶液を濾過して、乾燥させると粗混合物が得られた。固体をジメチルホルムアミドに溶解して、C18逆相シリカを用いて分離用HPLC系に注入した。19〜20分の分画を単離して、溶媒を真空で除去すると産物プラス塩が得られた。塩を50:25:25の水、ブタノール、酢酸エチルに抽出することによって除去して真空で乾燥させた。この固体をMeOHに溶解して、HClガス中で泡立てることによってHCl塩を作製した。溶媒を除去すると、産物が47%の収率で黄色の固体として得られた。
Rt 19.5分:MS(M+H、ギ酸溶媒):509.4

【0173】
7-(4'-ヨード-1',3'-カルボエトキシ-1',3'-ブタジエン)サンサイクリン
7-I-サンサイクリン(1gm、1.86mmol)を、25mLのアセトニトリルに溶解し、脱気して、窒素(3回)でパージした。この懸濁液Pd(OAc)2に(20mg、.089mmol)、CuI(10mg、.053mmol)、(o-トリル)3P(56mg、.183mmol)を添加し、窒素でパージした。プロピオル酸エチル(1mL)およびトリエチルアミン(1mL)を懸濁液に添加した。これは、Et3Nの添加によって茶色の溶液に変化した。次いで、反応混合物を70℃で2時間加熱した。反応の進行は、HPLCによってモニタリングした。次いで、これを室温に冷却し、セライトを通してろ過した。溶媒の蒸発によって褐色の固体を得て、次いで、これを調製用HPLCで精製して、黄色の固体を得た。
【0174】
7-(2'-クロロエテニル)-サンサイクリン
0.65g(1mmol)の7-ヨードサンサイクリン溶液/懸濁液に、0.05gのテトラキストリフェニルホスフィナートパラデート、0.012gのパラジウムアセテート、0.05gのヨウ化銅(I)の10mLのアセトニトリル溶液、2mLのトリエチルアミン、および0.5gのトリメチルシリルアセチレンを室温で添加した。反応を2時間進行させた後、セライトベッドを通してろ過し、濃縮した。粗生成物を調製用のHPLCによって精製した。収集した画分を濃縮し、残渣を約1mLのメタノールおよび2mLのHCl飽和メタノールに吸収させた。生成物をエーテルで沈殿させた。固形物をろ過して取り除き、減圧下で乾燥した。NMR分光学およびLC-MSでは、化合物が7-(2-クロロエテニル)サンサイクリンであることを示した。
【0175】
7-(4'-アミノフェニル)サンサイクリン
200mgの7-(4-ニトロフェニル)サンサイクリンの50mLのメタノール溶液に、木炭触媒上で10mgの10%パラジウムを添加した。反応混合物を40psi水素圧力下で2時間振盪し、次いでろ過し、続いて濃縮した。残渣を調製用のHPLCによってさらに精製した。35mgがHCl塩として単離され、構造は、MNRおよびLC-MSによって7-(4-アミノフェニル)サンサイクリンであることが証明された。
【0176】
7-(NN-ジメチルプロピニル)-サンサイクリン

25mLのアセトニトリルに取り入れた7-I-サンサイクリン(1gm、1.86mmol)を脱気し、窒素(3回)でパージした。この懸濁液Pd(OAc)2に(20mg、.089mmol)、CuI(10mg、.053mmol)、(o-トリル)3P(56mg、0.183mmol)を添加して、数分間窒素でパージした。NN-ジメチルプロピン(308mg、3.72mmol)およびトリエチルアミン(1mL)を懸濁液に添加した。これは、Et3Nの付加によって茶色の溶液に変化した。次いで、反応混合物を70℃で3時間加熱した。反応の進行は、HPLCによってモニタリングした。次いで、これを室温に冷却し、セライトを通してろ過した。溶媒の蒸発により、褐色の固体を得て、次いでこれを調製用HPLCで精製して、黄色の固体を得た。この化合物の構造を1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0177】
7-(2'-クロロ-3-ヒドロキシプロペニル)-サンサイクリン

7-(アルキニル)-サンサイクリン(100mg)を20mlの飽和MeOH/HClに取り込んで、20分間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させて黄色の粉末を得た。この化合物の構造を1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0178】
7-(3'-メトキシフェニルエチル)-サンサイクリン

7-(3'-メトキシフェニルエチニル)-サンサイクリン(1mmol)をMeOH/HClの飽和溶液に取り込んだ。この溶液に10%のPd/Cを添加し、50psiで12時間の水素付加に供した。次いで、これをセライトを通してろ過した。溶媒を蒸発させて、黄色の粉末を得た。最後に、これをMeOH/ジエチルエーテルから沈殿させた。この化合物の構造は、1H NMR、HPCL、およびMSを使用して特徴づけた。
【0179】
(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-サンサイクリン

NN-ジメチルグリシン(1.2mmol)をDMF(5mL)に溶解し、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、1.2mmol)を添加した。次いで、溶液を室温で5分間撹拌した。この溶液に、7-アミノサンサイクリン(1mmol)を添加し、続いてジイソプロピルエチルアミン(DIEA、1.2mmol)を添加した。次いで、反応液を室温で2時間撹拌した。溶媒(DMF)を減圧によって除去した。粗材料を5mLのMeOHに溶解し、オートバイアル(autovials)を使用してろ過し、調製用HPLCを使用して精製した。生成物の構造は、1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0180】
7-(N-メチルスルホンアミドプロパルギルアミン)サンサイクリン

清潔な乾いた2首の丸底フラスコにおいて、7-ヨードサンサイクリンモノトリフルオロ酢酸塩(1g;1.53mmol)、パラジウムIIアセテート(17.2mg;0.076mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(176.8mg;0.153mmol)、および銅(I)ヨウ化物(49mg;0.228mmol)の混合物に、試薬等級のアセトニトリルを15ml添加した。反応は、N-メチルスルホンアミドプロパルギルアミン(一部分を固形物として)の添加の前に、アルゴンガスをゆっくりと流してパージし、5分間混合した。スルホンアミドは、当該技術分野において既知の方法によって調製した(J. Med. Chem 31(3) 1988; 577-82)。これは、1ミリリットルのトリエチルアミン(1ml;0.726mg;7.175mmol)を伴い、外界温度で約1.0時間、アルゴン雰囲気下で反応液を撹拌した。反応混合物を珪藻土パッドを通して吸入ろ過し、アセトニトリルで洗浄した。濾液を真空下で乾燥状態に減らし、残渣は、pHを約2にあわせるために、トリフルオロ酢酸のアセトニトリル希薄溶液で処理した。残渣をトリフルオロ酢酸のアセトニトリル希釈溶液で処理し、沈降を形成させて、これを吸引ろ過を介して除去した。粗濾液を、固相としてDVBを有する逆相HPLC;並びに1:1メタノール/アセトニトリルの1%のトリフルオロ酢酸および1%のトリフルオロ酢酸水溶液の勾配を利用して精製した。適切な画分を減圧下で乾燥状態に減らし、固形物を収集した。生成物を1H NMR、質量スペクトログラム、および逆相LCを介して特徴づけた。
【0181】
7-(2'-メトキシ-5'-ホルミルフェニル)サンサイクリン

7-ヨード-サンサイクリン(1g、1.53mmol)、Pd(OAc)2(34mg、0.153mmol)、およびメタノール(50mL)を、凝縮器およびアルゴンラインを備えた250mLの2首の丸底フラスコにおいて混合した。次いで、溶液をアルゴン(15分)でパージし、一方で油浴において約70℃に加熱した。炭酸ナトリウム(482mg、4.58mmol)を水(3〜5mL)に溶解し、反応フラスコに添加した。次いで、フラスコをアルゴンで5分間パージした。2-メトキシ-5-ホルミルフェニルボロン酸(333mg、1.83mmol)をメタノール(5mL)に溶解し、反応フラスコに添加した。次いで、フラスコを10分間アルゴンで再びパージした。反応をモニタリングし、3時間以内に完了させた。フラスコの内容物をろ紙を通してろ過し、残りの溶媒を除いた。塩化水素酸性塩を作製するために、残渣をメタノール(飽和HCl)に溶解してHCl塩を作製した。次いで、溶液をろ過して溶媒を除いた。次いで、生成物を1H NMR、LC-MSによって特徴づけた。
【0182】
7-(2'-メトキシ-5'-N,N'-ジメチルアミノメチルフェニル)サンサイクリン

7-(2'-メトキシ-5'-ホルミルフェニル)サンサイクリン(1g、1.82mmol)、ジメチルアミンHCl(297mg、3.64mmol)、トリエチルアミン(506μL、3.64mmol)、および1,2-DCE(7mL)を40mLのバイアルにおいて混合した。内容物を数分以内の振盪または攪拌によって溶解した。次いで、ナトリウムトリアセトキシホウ化水素(772mg、3.64mmol)を固形物として添加した。反応は、HPLCおよびLC-MSによってモニタリングし、3時間以内に完了させた。反応をメタノール(20mL)によって停止させ、その後溶媒を除いた。残渣を3mLのDMFに再融解し、C-18カラムで分離した。調製カラムからの画分を真空中で乾燥減少させて、メタノール(飽和HCl)に内容物を溶解することによってHCl塩を作製した。溶媒を減少し、黄色の粉末を形成した。1H NMR、LC-MS、HPLCによって特徴づけた。
【0183】
7-フラニルサンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン(1.3mg)およびPd(OAc)2を100mLのメタノールに取り込み、70℃で5分間アルゴンでパージした。この溶液に、炭酸ナトリウム(44mg)水溶液(事前にアルゴンでパージしたもの)を添加した。黄色の沈降物を得て、混合物をさらに10分間加熱した。次いで、3-フラニルボロン酸(333mg、DMF溶液、アルゴンでパージしたもの)を添加し、混合物をさらに2時間70℃で加熱した。反応は、MPLC/MSによってモニタリングした。反応が完了した時点で、混合物をセライトを通してろ過し、溶媒を除去して粗材料を得た。粗材料をエーテル(200ml)でこれを沈殿させることによって精製した。黄色の沈降物をろ過し、調製用HPLCを使用して精製した。メタノール/HClに材料を溶解すること、および乾燥状態に蒸発することによって、塩酸塩を作製した。生じる固形物の同一性は、HPLC、MS、およびNMRを使用して確認した。
【0184】
4S-(4α, 12aα)-4-ジメチルアミノ-7-エチニル-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-1,11-ジオキソ-1,4-,4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボキサミド
7-ヨードサンサイクリン6A 300 mgをアセトニトリル20 mLに溶解して、トリエチルアミン2.0 mL、Pd(PPh3)4 50.0 mg、CuI 50 mg、Pd(OAc)2 12.5 mgを加え、その後、トリメチルシリルアセチレン0.5 mLを加えた。反応液を室温で4時間撹拌し、ジビニル-ベンゼンカートリッジ(25 g)に通して濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物280 mg(LC/MSにより監視)を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、室温で4時間撹拌しながらK2CO3 250 mgを加えることによりTMS基を除去し、化合物6Eを得た(スキーム11)。混合液をジビニルベンゼンカートリッジに通して濾過した。溶媒を真空中で除去して、HPLCによる収率60%で7-エチニルサンサイクリン6Eを得た(スキーム11)。
【0185】
7-アセチルサンサイクリンおよびサンサイクリンの7-カルボニルアルキル誘導体の合成のための一般法
7-エチニルサンサイクリン6E(スキーム11、300 mg)または7-エチニルサンサイクリンのエチニル置換誘導体を水 0.1 mL、H2SO4 2 mLに、任意でHgSO4(170 mg)とともに溶解して、室温で一晩撹拌する。水層をブタノール、CH2Cl2または等価物に抽出し、溶媒を除去して、粗化合物11A(スキーム11)を得る。7-アセチルサンサイクリン(11A、スキーム11)をC18逆相HPLCによりまたは当技術分野における他の方法により単離して、良好な収率で精製化合物を得る。M+H=457.4。
【0186】
オキシムまたはO-アルキルオキシムへのサンサイクリンの7-アセチルまたは7-カルボニルアルキル誘導体の変換
サンサイクリンの7-アセチルまたは7-カルボニルアルキル誘導体11A 1グラム(スキーム11, 2 mmol)およびヒドロキシルアミンHClをメタノールまたはエタノールに溶解して、2時間以上、室温で撹拌する。化合物を分取C18-HPLCによりまたは当技術分野における他の方法によりシンおよびアンチ異性体として適切に単離して、良好な収率でサンサイクリンの7-オキシムカルボニルアルキル誘導体または7-O-置換オキシムカルボニル誘導体を得る。7-アセチル-オキシム(スキーム11, 11B); M+H=473.5。11C 7-アセチル-オキシム-O-メチルエーテル; M+H=487.5。シンまたはアンチ異性体はどちらも、HPLC溶媒量の分画化により得られる。
【0187】
7-カルボニル-α-アミノ誘導体へのサンサイクリンの7-アセチルまたは7-カルボニルアルキル誘導体の変換および一般法
サンサイクリンの7-アセチルまたは7-カルボニルアルキル誘導体11A 1グラム(スキーム11, 2 mmol)を臭素(4 mmol)または通常のハロゲン化剤(NBS、NCSまたは等価物、2〜4 mmol)と反応させ、粗固体としてα-ハロゲン化誘導体11D(Br, Cl)を生成する。この化合物を抽出または当技術分野における他の方法により単離し、求核アミン(2〜4 mmol)または他の求核試薬(CまたはOに基づく)と反応させて、7-アセチルのα-アミノ誘導体11Eまたはサンサイクリンの他の7-カルボニルアルキル誘導体を得てもよい。

【0188】
実施例2: 9-置換ミノサイクリンの調製
9-ヨードミノサイクリンの調製
200mlの97%メタンスルホン酸に、外界温度で部分的に、[30g;56.56mM]のミノサイクリン-ビス-塩酸塩をゆっくりと添加した。次いで、暗い黄褐色の溶液を外界温度で撹拌し、一方で[38g;169.7mM]のN-ヨードスクシンイミドを、6等分を3.0時間にわたって添加した。反応は、解析LCを経てモニタリングし、出発原料の消失を確認した。
【0189】
[17.88g;1134.1mM]のチオ硫酸ナトリウムを含む2Lの氷冷水で、迅速に攪拌しながら、ゆっくりと反応を停止させた。この停止では、外界温度で約30分間撹拌した。次いで、水層を6×200mlのエチルアセテートで抽出した後、水相を300mlのn-ブタノールを含む[259.8g;3.08M]の炭酸水素ナトリウムに注いだ。相を分離して、水溶を4×250mlのn-ブタノールで抽出した。有機画分を混合して、3×250mlの水で、および250mlの飽和ブラインで一回洗浄した。生じる有機相を減圧下で乾燥状態に減少させた。残渣をメタノール(〜600ml)に懸濁し、溶液が生じるまでこの混合物中でHCl無水物の気体を泡立てた。この溶液を減圧下で乾燥状態に減少させた。濾液を減圧下で乾燥状態に減少した。生じる物質を300mlのメチルt-ブチルエーテルで粉砕し、ろ過によって単離した。この物質を300mlのメタノールに再融解し、0.5gの木炭で処理し、ろ過して、濾液を減圧下で乾燥状態に減少した。物質を再びメチルt-ブチルエーテル下で粉末にし、吸引ろ過を経て単離して、さらにエーテル、および最後にヘキサンによって洗浄した。物質を減圧乾燥して、22.6gの明るい黄色の褐色の粉末を得た。
【0190】
9-アルキニルミノサイクリン化合物の調製のための一般的な手順
1mmolの9-ヨードミノサイクリン、50mgのテトラキストリフェニルホスフィノパラデート、12mgのパラジウムアセテート、32mgのヨウ化銅(I)を10mlのアセトニトリルに溶解/懸濁する。2〜5mlのトリエチルアミンおよび3〜5mmolアルキニル誘導体を添加する。反応混合物を外界温度〜70℃の間で激しく撹拌する。反応時間は、2〜24時間である。反応が完了した時点で、暗い懸濁液をセライトベッドを通してろ過し、濃縮する。粗生成物を調製用HPLCによって精製する。混合した画分を濃縮し、〜1mlのメタノールに取り込む。〜3mlのHCl飽和メタノールを添加し、生成物をエーテルで沈殿させる。
【0191】
9-アリールミノサイクリン化合物調製のための一般的な手順
0.15mmolの9-ヨードミノサイクリン、PdOAc(3.2mg)、229μl 2M Na2CO3、および2当量のボロン酸フェニルを10mlメタノールに溶解/懸濁した。反応フラスコをアルゴンでパージし、最低4時間、またはHPLCモニタリングで出発材料が消費されたことおよび/または生成物が出現したことを示すまで、反応を行う。懸濁液をセライトを通してろ過し、ジビニルベンゼンまたはCIE逆相カラムの調製用HPLCによる精製に供した。
【0192】
9-(4-トリフルオロメトキシフェニルウレイド)-メチルミノサイクリン

150mg(0.25mmol)の9-メチルアミノミノサイクリントリヒドロクロリドおよび67mL(0.50mmol)のトリエチルアミンを25℃で3mLのジメチルホルムアミドに添加した。攪拌しながら、75mL(0.50mmol)の4-トリフルオロメトキシフェニルイソシアネートを添加して、生じる反応混合物を25℃で2時間撹拌した。反応は、解析HPLCによってモニタリングした(4.6×50mmの逆相ルーナC18カラム、5分間の直線濃度勾配1〜100% B緩衝液、A緩衝液は0.1%トリフルオロ酢酸の水溶液であり、B緩衝液は0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液であった)。完了したら、反応を1mLの水によって停止させ、pHを濃HClで約2.0にあわせた。溶液をろ過して、化合物を調製用HPLCによって精製した。生成物の収率は、64mg(37%の収率)であった。生成物の純度は、LCMS(M+l = 690)によって95%決定された。
【0193】
9-(4'カルボキシフェニルフェニル)ミノサイクリン

乾いた清潔な反応容器に、9-ヨードミノサイクリン[500mg;0.762mmol]ビスHCl塩、パラジウム(II)アセテート[17.2mg;0.076mmol]を、10mlの試薬等級のメタノールと共に置いた。溶液は、攪拌しながら、約5分間アルゴンガス流で直ちにパージした。反応容器を還流させて、これに、2Mの炭酸カリウム溶液[1.91ml;3.81mmol]、続くp-カルボキシフェニルボロン酸[238.3mg;1.53mmol]の5mlの試薬DMF溶液を、注射器を経て経時的に添加した。これらの溶液は両方とも、あらかじめアルゴンガスで約5分間脱気した。反応液を45分間加熱し、進行を逆相HPLCを経てモニタリングした。反応液を珪藻土パッドを通して吸引ろ過し、DMFでパッドを洗浄した。濾液を減圧下で油に減少させ、残渣をt-ブチルメチルエーテルで処理した。粗物質を水および1.0%のトリフルオロ酢酸を含むメタノール/アセトニトリルの勾配を利用するDVBの逆相HPLCを経て精製した。質量スペクトルによって生成物を確認した:検出M+1 578.58;構造は、1H NMRで実証した。
【0194】
実施例3: テトラサイクリンを用いたマウスマクロファージmRNAの調製
材料および方法
2種のマウスマクロファージ細胞株: J774.2 (Peter Lambert, Aston University, UKからの贈与)、およびRAW 264.7 (ATCC品目番号TIB-71)を使用した。細胞を、ほぼコンフルエントの培養フラスコから収集して、10%ウシ胎児血清を添加した3 mlのダルベッコ改変必須培地の体積中に細胞5×106個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播いた。2時間後、細胞を以下の条件に暴露した:
1) 対照 (2つの別々の場合のJ774細胞、およびRAW 264.7細胞)
2) 50 μg/ml ミノサイクリン (2つの別々の場合のJ774細胞、およびRAW 264.7細胞)
3) 100 ng/ml LPS (2つの別々の場合のJ774細胞、およびRAW 264.7細胞)
4) 50 μg/ml ミノサイクリン + 100 ng/ml LPS (2つの別々の場合のJ774細胞、およびRAW 264.7細胞)
5) 50 μg/ml化合物A + 100 ng/ml LPS (J774細胞のみ)
6) 50 μg/ml化合物B + 100 ng/ml LPS (J774細胞のみ)
【0195】
テトラサイクリン化合物は、播種から1.5時間後、LPSの添加の30分前に加えた。プレートを湿潤インキュベーター中、5% CO2、37℃でインキュベートした。
【0196】
試料の処理、ハイブリダイゼーション、およびスキャニング
実験条件下でのインキュベーションから24時間後、培地をウェルから除去し、QIAGEN RNeasy(登録商標) Miniカラムを用いて各試料から総RNAを精製した。次いで、総RNA試料に対して行った操作は、The Affymetrix(登録商標) GeneChip(登録商標) Expression Analysis技術マニュアルの第2セクション、第1章、表題「Eukaryotic Target Preparation」に概略されている通りとした。手短に言えば、T7プロモーターを含むオリゴdTプライマーを用い、RNAを二本鎖cDNAに逆転写した。次いで、この産物をフェノール:クロロホルム:イソアミル抽出およびエタノール沈殿により精製し、その後、インビトロ翻訳反応に使用して、ビオチン標識アンチセンスcRNAを合成した(Xho I消化によりpBluescriptプラスミドから切り出したAffymetrixの対照の枯草菌(B. subtilis)遺伝子をこの段階で添加して、正しい翻訳およびビオチンの取り込みに対する対照とした)。次いで、QIAGEN RNeasy(登録商標) Miniカラムを用いて、cRNAを清浄化し、得られたcRNA溶液を金属による加水分解により断片化した。
【0197】
試料は、AffymetrixマウスゲノムチップU74AV2を用いたハイブリダイゼーションに向けて、Affymetrix(登録商標) GeneChip(登録商標) Expression Analysis技術マニュアルの第2セクション、第3および4章、表題「Eukaryotic Target Hybridization and Eukaryotic Arrays: Washing, Staining and Scanning」の使用法に従って調製した。手短に言えば、断片化したcRNA 15 μgをAffymetrixハイブリダイゼーション対照、ニシン精子DNA、BSA、およびハイブリダイゼーション用濃縮緩衝液と混合して、5分間煮沸し、5分間14000×gで遠心して沈殿のない溶液を得て、16時間、アレイとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、「Washing and Staining Procedure 2 :Antibody Amplification for Eukaryotic Targets」と題する、Affymetrixの洗浄および染色手順を使った。
【0198】
データ解析
I. ミノサイクリンにより上方制御または下方制御されるmRNAの探索
J774.2およびRAW264.7細胞の双方に対し、2つのリスト、つまりミノサイクリンにより少なくとも2倍に増加したmRNAのリスト、およびミノサイクリンにより少なくとも2倍に減少したmRNAのリストを作製した。増加したmRNAの場合、mRNAは統計上、ミノサイクリンを含んだ試料中に「存在」(Affymetrix microarray suiteソフトウェアにより決定された「存在」)しているに違いなかった。減少したmRNAの場合、mRNAは統計上、ミノサイクリンを含んでいない試料中に「存在」しているに違いなかった。
【0199】
3つの実験条件により、増加したmRNAの3つのリスト、および減少したmRNAの3つのリストが得られた。3つのリストの全てに共通のmRNAは、下記の表2に集計されている。
【0200】
II. LPSで刺激した試料においてミノサイクリンにより上方制御されるまたは下方制御されるmRNAの探索
LPSにより刺激したJ774.2およびRAW264.7細胞の双方に対し、2つのリスト、つまりミノサイクリンにより少なくとも2倍に増加したmRNAのリスト、およびミノサイクリンにより少なくとも2倍に減少したmRNAのリストを作製した。増加したmRNAの場合、mRNAは統計上、ミノサイクリンを含んだ試料中に「存在」(Affymetrix microarray suiteソフトウェアにより決定された「存在」)しているに違いなかった。減少したmRNAの場合、mRNAは統計上、ミノサイクリンを含んでいない試料中に「存在」しているに違いなかった。
【0201】
3つの実験条件により、増加したmRNAの3つのリスト、および減少したmRNAの3つのリストが得られた。3つのリストの全てに共通のmRNAは、下記の表2に集計されている。
【0202】
III. LPSで同様に刺激した試料において化合物AおよびBにより上方制御されるまたは下方制御されるmRNAの探索
LPSにより刺激したJ774.2細胞に対し、2つのリスト、つまり化合物Aおよび/またはBにより少なくとも2倍に増加したmRNAのリスト、ならびに化合物Aおよび/またはBにより少なくとも2倍に減少したmRNAのリストを作製した。増加したmRNAの場合、mRNAは統計上、化合物Aおよび/またはBを含んだ試料中に「存在」(Affymetrix microarray suiteソフトウェアにより決定された「存在」)しているに違いなかった。減少したmRNAの場合、mRNAは統計上、化合物Aおよび/またはBを含んでいない試料中に「存在」しているに違いなかった。化合物AおよびBの構造は、下記の表3に示されている。
【0203】
化合物AおよびBの双方により上方制御されるmRNAが見出された、ならびに双方の化合物により下方制御されるmRNAが見出された。結果は、下記の表3に集計されている。
【0204】
【表3】

【0205】
実施例4: ミノサイクリンによる誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)の調節
材料および方法
マウスマクロファージJ774.2細胞を上記のように6ウェルプレートに播いて、ミノサイクリン単独に、または上記のようにLPSと組み合わせて暴露した(未処理のおよびLPS単独の条件を対照として使用した)。iNOS mRNAの調節を表すデータは、上記の、Affymetrixデータから抽出した。
【0206】
亜硝酸塩の量は、Greiss反応を利用して、試料の上清で測定した。手短に言えば、ひとつの上清100 μlをスルファニルアミド溶液(1%スルファニルアミドの5% H2PO4溶液)と暗所で10分間インキュベートした。次いで、NED (0.1% N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩の水溶液) 50 μlを加えて、試料を暗所でさらに10分間インキュベートした。試料は、Wallac Victor Vプレートリーダーで535 nmにて測定した。
【0207】
タンパク質の量は、ウェスタン解析により測定した。細胞は、10 mM Tris HCl、pH 7.4、1 mM EDTA、0.5% SDS、タンパク質分解酵素阻害剤およびDNAseに溶解した。iNOSタンパク質を検出するために使用した抗体は、Transduction laboratoriesの抗iNOS抗体とした。実験の結果は、図1に示されている。
【0208】
実施例5: 哺乳動物細胞傷害試験
COS-1およびCHO-K1細胞の懸濁液を調製し、黒壁96ウェル細胞培養用処理済みマイクロタイタープレートに播いて(細胞株により決定される密度で)、5% CO2および約95%の湿度中にて37℃で一晩インキュベートした。その翌日、薬剤の連続希釈液を無菌の条件下で調製して、細胞プレートに移し入れた。細胞/薬剤のプレートを上記の条件下で24時間インキュベートした。インキュベーション時間の後、培地/薬剤を吸引して、レサズリン(PBS w/CaおよびMg中に0.042 mg/ml) 50 μlを加えた。次いで、プレートを上記の条件下で2時間、その後、暗所中にて室温でさらに30分間インキュベートした。蛍光測定値を取った(励起535 nm、発光590 nm)。次いで、IC50(50%の増殖阻害を引き起こす薬剤濃度)を計算した。非置換型のミノサイクリンおよびドキシサイクリン双方の細胞傷害性は、25 μg/mlよりも高くなることが分かった。試験した各化合物は、許容される細胞傷害性を有することが分かった。
【0209】
実施例6: インビトロ抗細菌活性試験
以下の試験を利用して、グラム陽性細菌(ブドウ球菌(S. aureus) RN450)およびグラム陰性細菌(大腸菌(E. coli) ML308225)に対するテトラサイクリン化合物の効果を決定した。各化合物2 mgをDMSO 100 μlに溶解した。次いで、この溶液にカチオン調整ミュラー・ヒントン培養液(CAMHB)を添加し、これにより、結果的に化合物の終濃度を200 μg/mlとした。テトラサイクリン化合物の溶液を容量50 μLに希釈し、試験化合物の濃度を0.098 μg/mlとした。吸光度(OD)の測定は、試験菌株の対数期の新鮮培養液から行った。希釈を行い、細胞の最終密度1×106 CFU/mlを得た。OD=1で、異なる属に対する細胞密度は、およそ以下のようになった:

【0210】
細胞懸濁液50 μlをマイクロタイタープレートの各ウェルに添加した。細胞の最終密度は、およそ5×105 CFU/mlとなった。これらのプレートを外気インキュベーター中にて35℃でおよそ18時間インキュベートした。プレートは、マイクロプレートリーダーで測定し、必要に応じて視覚的に検査した。MICは、増殖を阻害するテトラサイクリン化合物の最低濃度と定義された。
【0211】
等価物
当業者であれば、本明細書に記述した特定の態様および方法に対する多くの等価物を認識する、または日常的な実験だけを利用して確認することができるであろう。そのような等価物は、添付の特許請求の範囲に包含されるように意図される。
【0212】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願、および参考文献は、参照として本明細書に明示的に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DTMRに対して被験体を処置するための、以下の段階を含む方法:
該DTMRが処置されるように、有効量のテトラサイクリン化合物を該被験体に投与する段階。
【請求項2】
有効量が、被験体のRNAの翻訳を調節するのに有効である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有効量が、被験体のRNAの半減期を調節するのに有効である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
有効量が、メッセージの移行に影響を及ぼすのに有効である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
有効量が、被験体RNAとタンパク質との結合を調節するのに有効である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
有効量が、被験体RNAのスプライシングを調節するのに有効である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
被験体が植物またはウイルスである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
被験体が動物である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物がヒトである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つのタンパク質の量が被験体において調節される、請求項7記載の方法。
【請求項11】
テトラサイクリン化合物が置換テトラサイクリン化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
RNAを調節するための、以下の段階を含む方法:
RNAの調節が起こるように、RNAまたは細胞成分と置換テトラサイクリンとを接触させる段階。
【請求項13】
RNAの調節にRNA翻訳の調節が含まれる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
置換テトラサイクリン化合物がRNA翻訳を阻害する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
置換テトラサイクリン化合物が翻訳の開始を阻害することによりRNA翻訳を阻害する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
置換テトラサイクリン化合物が翻訳の終結点を変化させることによりRNA翻訳を調節する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
RNAの調節にRNAの半減期の調節が含まれる、請求項12記載の方法。
【請求項18】
置換テトラサイクリン化合物がRNAの半減期を増加させる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
置換テトラサイクリン化合物がRNAの半減期を減少させる、請求項17記載の方法。
【請求項20】
RNAの調節にRNAの移行の調節が含まれる、請求項12記載の方法。
【請求項21】
RNAの調節にタンパク質とRNAとの相互作用の調節が含まれる、請求項12記載の方法。
【請求項22】
置換テトラサイクリン化合物が、RNAとタンパク質との間の相互作用を促進させる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
置換テトラサイクリン化合物が、RNAとタンパク質との間の相互作用を減少させる、請求項21記載の方法。
【請求項24】
タンパク質が、hnRNPタンパク質、snRNPタンパク質、リボソームタンパク質、およびエンドヌクレアーゼからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項25】
タンパク質が翻訳と関連する、請求項21記載の方法。
【請求項26】
RNAの調節にRNAスプライシングの調節が含まれる、請求項12記載の方法。
【請求項27】
置換テトラサイクリン化合物がRNAスプライシングを促進させる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
置換テトラサイクリン化合物がRNAスプライシングを阻害する、請求項26記載の方法。
【請求項29】
細胞成分が被験体の細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項30】
RNAがmRNAである、請求項12記載の方法。
【請求項31】
RNAがtRNAである、請求項12記載の方法。
【請求項32】
RNAがリボソームRNAである、請求項12記載の方法。
【請求項33】
RNAが核RNAである、請求項12記載の方法。
【請求項34】
RNAがsnRNAである、請求項12記載の方法。
【請求項35】
細胞成分にRNAが含まれる、請求項12記載の方法。
【請求項36】
置換テトラサイクリン化合物が下記式(I)のものである、請求項1記載の方法:

式中、
R2、R2'、R4'、およびR4”はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12は、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換カルボニル、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'はそれぞれ独立して、水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0〜3NR7CC(=W')WR7aであり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0〜3NR8CC(=E')ER8aであり;
R9は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0〜3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R8f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、およびR8fはそれぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素芳香族またはプロドラッグ部分であり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Eは、CR8d R8e、S、NR8b、またはOであり;
E'は、O、NR8f、またはSであり;
Wは、CR7d R7e、S、NR7bまたはOであり
W'は、O、NR7f、またはSであり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、C=CR13Y、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
Y'およびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり、ならびにその薬学的に許容される塩、エステル、およびエナンチオマーである。
【請求項37】
R2、R2'、R8、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素であり、XがCR6R6'であり、およびR4がNR4'R4”であり、式中R4'およびR4”がそれぞれメチルである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
R9が水素である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
R7が置換または非置換アリールである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
R7が置換または非置換フェニルである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
R7が一つまたは複数の置換基で置換される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
置換基がそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、または複素環部分である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
R7が置換または非置換アルケニルである、請求項38記載の方法。
【請求項44】
R7が置換または非置換ヘテロアリールであり、R9がアルキルである、請求項37記載の方法。
【請求項45】
R7がジアルキルアミノである、請求項36記載の方法。
【請求項46】
R9がアルキルアミノである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
R9が-NR9cC(=Z')ZR9aであり、式中R9cは水素であり、Z'は窒素または酸素であり、ZはNHであり、R9aはアリールまたはアラルキルである、請求項45記載の方法。
【請求項48】
DTMRを処置するためのテトラサイクリン化合物を同定するための方法であって、細胞成分とテトラサイクリン化合物とを接触させる段階と、テトラサイクリン化合物がRNAを調節する能力を測定する段階とを含み、それにより、DTMRを処置するためのテトラサイクリン化合物を同定する方法。
【請求項49】
RNA翻訳が測定される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
RNAの半減期が測定される、請求項48記載の方法。
【請求項51】
RNAの移行が測定される、請求項48記載の方法。
【請求項52】
タンパク質とRNAとの相互作用が測定される、請求項48記載の方法。
【請求項53】
RNAスプライシングの調節が測定される、請求項48記載の方法。
【請求項54】
テトラサイクリン化合物が、表2のテトラサイクリン化合物である、請求項1または48記載の方法。
【請求項55】
テトラサイクリン化合物およびDTMRを処置するのに該テトラサイクリン化合物を使用するための使用説明書を含む、包装された構成物。
【請求項56】
構成物が薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項55記載の包装された構成物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−6418(P2011−6418A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152602(P2010−152602)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【分割の表示】特願2004−547164(P2004−547164)の分割
【原出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】