説明

SLP受容体調節活性を有するフタラジンおよびイソキノリン誘導体

本発明は、遊離形または塩形の式(I)〔式中、全ての可変基は明細書に定義されている。〕の新規ヘテロ環式化合物、その製造方法、その医薬としての使用およびそれを含む医薬に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のヘテロ環式化合物、その製造方法、その医薬としての使用およびそれを含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
(該当項目なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より具体的には、本発明は、遊離形または塩形の次式:
【化1】

〔式中、
R1およびR5は、いずれの場合も同一の意味を有し、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、Cl、Br、またはCF3であり、
R2およびR4は、いずれの場合も同一の意味を有し、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、F、Cl、Br、またはCF3であり、
R3は、水素、C1-C4-アルコキシ、F、Cl、CF3、または一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル基[該アルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
R6は、水素、一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル、C2-C4-アルケニルまたはC3-C7-シクロアルキル基[該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール基[該ヘテロアリール基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、ヘテロアリール部分上で一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル基[該ヘテロアリール部分上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいフェニル基[該フェニル基上の任意の置換基は、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]または一置換もしくは二置換されていてもよい非芳香族ヘテロシクリル基[該ヘテロシクリル基上の任意の置換基は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC1-C4-アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
R7は、水素、一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル、C2-C4-アルケニルまたはC3-C7-シクロアルキル基[該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール基[該ヘテロアリール基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、ヘテロアリール部分で一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル基[該ヘテロアリール部分上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいフェニル基[該フェニル基上の任意の置換基は、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、または一置換もしくは二置換されていてもよい非芳香族ヘテロシクリル基[該ヘテロシクリル基上の任意の置換基は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC1-C4-アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
R8は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、F、またはClであり、および
Xは、CHまたはNである。〕
の化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例えば、式Iの化合物に存在し得る1個もしくは複数個の不斉炭素原子のために、対応する式Iの化合物が、純粋な光学活性形態または光学異性体の混合物の形態、例えばラセミ混合物の形態で存在し得る。このような全ての純粋な光学異性体およびその混合物は、ラセミ混合物を含めて、本発明の一部である。
【0005】
式Iの化合物は、遊離形または塩形、例えば、酸付加塩形の塩基性化合物または塩基との塩の形態の酸性化合物で存在し得る。このような全ての遊離化合物および塩は、本発明の一部である。
【0006】
式Iの化合物は、互変異性型で存在し得る。このような全ての互変異性体は、本発明の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素を意味する。
【0008】
ヘテロアリールは、芳香族の5員環または6員環(ここで1個、2個または3個の環原子が、O、NおよびSから独立して選択されるヘテロ原子である。)であり、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジルまたはピリジルである。その環は、フェニル環で縮環され得、例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはキノリルであり得る。
【0009】
非芳香族ヘテロシクリルは、非芳香族の5員環または6員環(ここで1個、2個または3個の環原子が、O、NおよびSから独立して選択されるヘテロ原子である。)であり、例えば、ピロリニル、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ピペリジル、ピペラジニルまたはモルホリニルである。
【0010】
1個以上の炭素原子を有する任意の非環式炭素含有基または部分は、直鎖または分岐である。
【0011】
別途定義しない限り、炭素含有基、部分または分子は、1個ないし8個、好ましくは1個ないし6個、さらに好ましくは1個ないし4個、最も好ましくは1個または2個の炭素原子を含有する。
【0012】
好ましい実施例において、本発明は、遊離形または塩形の式Iの化合物に関する:
式中、
(1)R1およびR5は、いずれの場合も同一の意味を有し、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、Cl、Br、またはCF3であり、
好ましくは、C1-C6-アルキルであり、
好ましくは、エチルまたは、好ましくは、メチルであり、
【0013】
(2)R2およびR4は、いずれの場合も同一の意味を有し、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、F、Cl、Br、またはCF3であり、
好ましくは、水素であり、
【0014】
(3)R3は、水素、C1-C4-アルコキシ、F、Cl、CF3、または一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル基[該アルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
好ましくは、水素、F、Cl、またはC1-C8-アルキルであり、
好ましくは、水素、F、Cl、またはC1-C4-アルキルであり、
好ましくは、水素、F、Cl、またはメチルであり、
【0015】
(4)R6は、水素、一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル、C2-C4-アルケニルまたはC3-C7-シクロアルキル基[該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール基[該ヘテロアリール基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、ヘテロアリール部分上で一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル基[該ヘテロアリール部分上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいフェニル基[該フェニル基上の任意の置換基は、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]または一置換もしくは二置換されていてもよい非芳香族ヘテロシクリル基[該ヘテロシクリル基上の任意の置換基は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC1-C4-アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
好ましくは、水素、または一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル基[該アルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
好ましくは、水素、C1-C8-アルキル、またはモノ-またはジ-ヒドロキシ-C1-C8-アルキルであり、
好ましくは、水素、C1-C8-アルキル、またはモノ-ヒドロキシ-C1-C4-アルキルであり、
【0016】
(5)R7は、水素、一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル、C2-C4-アルケニルまたはC3-C7-シクロアルキル基[該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール基[該ヘテロアリール基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、ヘテロアリール部分で一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル基[該ヘテロアリール部分上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいフェニル基[該フェニル基上の任意の置換基は、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、または一置換もしくは二置換されていてもよい非芳香族ヘテロシクリル基[該ヘテロシクリル基上の任意の置換基は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC1-C4-アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
好ましくは、水素であり、
【0017】
(6)R8は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、F、またはClであり、
好ましくは、水素であり、
【0018】
(7)Xは、CHまたはNであり、
好ましくは、Nである。
【0019】
好ましい実施態様(1)ないし(7)は、好ましくは、独立的、集合的または任意の組合せまたは下位の組合せである。
【0020】
特に好ましい実施態様において、本発明は、後記実施例で言及した、遊離形または塩形の式Iの化合物の1種もしくは複数種に関する。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、遊離形または塩形の式Iの化合物の製造方法であって、
【0022】
a)式中、XがNである式Iの化合物の製造について、遊離形または塩形の次式:
【化2】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、式Iについて定義した通りであり、およびL1は、脱離基である。〕
の化合物と、遊離塩基形または酸付加塩形の次式:
【化3】

の化合物との反応、または
【0023】
b)遊離形または塩形の次式:
【化4】

〔式中、R6、R7、R8およびXは、式Iについて定義した通りであり、およびL2は、脱離基である。〕
の化合物と、遊離形または塩形の次式:
【化5】

〔式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、式Iについて定義した通りである。〕
の化合物との反応、または
【0024】
c)式中、XがCHであり、R6が式(R6a)(R6b)(H)C(Ia)の基であり、および式Iaの基が、上記基R6から選択され、R6を有する環内炭素原子に、少なくとも1個の水素原子を有する炭素原子を介して結合している式Iの化合物の製造について、遊離形または塩形の次式:
【化6】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R7およびR8は、式Iについて定義した通りであり、R6aおよびR6bは式Iaで定義した通りであり、およびL3は、脱離基である。〕
の化合物の分子内環化
を含み、
【0025】
いずれの場合も所望により、結果として生じる化合物の還元、酸化またはその他の官能化、および/または所望により存在する任意の保護基の開裂、そのように得られ得る遊離形または塩形の式Iの化合物の回収をその後に行う、方法に関する。
【0026】
脱離基L1、L2またはL3は、例えば、ハロゲン(F、ClまたはBrなど)、ヒドロキシまたはC1-C8-アルコキシ(メトキシなど)である。
【0027】
反応は、例えば実施例に記載されるように、常套方法にしたがって行うことができる。
【0028】
反応混合物の後処理およびかくして得られる化合物の精製は、既知の方法にしたがって行うことができる。
【0029】
塩は、遊離化合物から既知の方法で製造することができ、そしてその逆も行うことができる。
【0030】
式Iの化合物は、例えば実施例に記載されるように、常套方法で製造することもでき、これは、本発明のさらなる局面である。
【0031】
式II、III、IV、VおよびVIの出発物質は既知であるか、または、例えば実施例に記載されるように、既知の化合物から出発して、常套方法により製造することができる。
【0032】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物(以下、「本発明の薬剤」と呼ぶことがある。)は、インビトロでまたはインビボで試験したとき価値のある薬理学的特性を示し、従って医薬に有用である。
【0033】
例えば、本発明の薬剤は、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体の調節因子である。S1Pは、造血細胞により分泌され、そして活性化された血小板に貯蔵され、そこから放出される生体活性のスフィンゴ脂質代謝生成物である。S1Pは、とりわけ血小板凝集を、また細胞の増殖、形態、分化、走化性、生存、遊走および運動性を調節するために、Gタンパク質結合受容体(S1P受容体)のファミリーに対する作動薬として作用する。それぞれ、S1P1受容体、S1P2受容体、S1P3受容体、S1P4受容体およびS1P5受容体の5種のS1P受容体サブタイプが識別されている。S1P1受容体は、例えばT細胞輸送を調節し、そしてS1P1受容体およびS1P3受容体のリガンド誘導活性化により、例えば、血管新生および走化性が促進される。S1P2受容体の活性化作用により、例えば、神経突起縮退が促進され、また走化性が抑制される。S1P4受容体は、造血細胞および組織に局在化される。S1P5受容体は、主な神経細胞受容体であり、例えば乏突起膠細胞およびその前駆体で発現し、リンパ系組織およびNK細胞で一部発現し、そして例えば、腫瘍細胞のDNA合成、増殖および遊走、および炎症した器官へのNK細胞の動員に関与する。S1Pは、血管の成長および分化を刺激するが、例えば心拍数および血圧の低下などの心血管系への影響も示す。これは、その治療の有用性を制限し、そして5種全てのS1P受容体サブタイプに対するその強力な作動薬活性に関連すると報告されている。したがって、例えば、治療の不利な点が少ないS1P受容体のさらなる調節因子が必要とされている。驚くべきことに、本発明の薬剤は、例えば、1つまたは複数のS1P受容体サブタイプに対して、1つまたは複数のその他のS1P受容体サブタイプに対するよりも、好ましい作用薬選択性を有する、改善されたS1P受容体の調節因子として、有効な効力を有する。例えば、本発明の薬剤は、1つのS1P受容体サブタイプについての選択的な強力な作動薬でもあり得るが、その一方、例えば、拮抗的、逆作動薬的、非調節的または単に弱い作動薬的な特性によるその他のS1P受容体サブタイプに対する調節性を有する。したがって、本発明の薬剤は、S1P受容体の調節が役割を果たす、病気、疾患または障害の処置または予防に有用である。
【0034】
本発明の薬剤のS1P受容体調節性は、例えば、以下に記載する試験で評価することができる。
【0035】
試験1:35S-GTPγS結合アッセイ
本発明の薬剤のS1P受容体調節特性は、ヒトの受容体サブタイプS1P1、S1P2、S1P3、S1P4およびS1P5に対してそれぞれ試験される。機能的受容体の活性化を、該当するS1P受容体サブタイプを安定して発現する形質移入した異質組織細胞から製造した膜タンパク質への化合物誘発性の35S-GTPγS結合を定量化することにより評価する。CHO細胞(CHO-K1、チャイニーズハムスター、ATCC no. CCL 61)を使用する[RH7777細胞(モーリス肝癌ラット、ATCC no. CRL 1601)を使用してもよい]。膜タンパク質は、野生型細胞から、および適切なS1P受容体サブタイプを発現する異なる細胞クローンから製造される。使用するアッセイ技術は、SPA(シンチレーション近接アッセイ)である。試験化合物のDMSO溶液を、50 mM HEPES、100 mM NaCl、10 mM MgCl2、10 μM GDP、0.1%無脂肪BSAおよび0.2 nM 35S-GTPγS(1200 Ci/mmol)(pH 7.4)の存在下で、連続的に希釈し、S1P受容体サブタイプ発現膜タンパク質(1ないし20 μg/well)を固定化したSPA-ビーズ(Amersham-Pharmacia)に加える。96ウェルのマイクロタイタープレート内で、室温で120分間培養した後、未結合の35S-GTPγSを遠心分離により分離する。膜に結合された35S-GTPγSにより引き起こされたSPAビーズの発光を、TOPcountプレートリーダー(Packard)を用いて定量化する。S1P受容体調節を評価するために、化合物の存在下での結合をリガンドの不存在下での結合で割り、100を掛けたものとして、ベースラインと比較した刺激(単位%)を計算する。非線形回帰曲線フィッティングプログラムを使用して用量反応曲線をプロットし、EC50を最大刺激の50%を与えるのに必要な化合物の濃度と定義する。好ましくは、この試験における本発明の薬剤のEC50値は、10'000 nM以下である。S1P受容体サブタイプに対する化合物の選択性は、異なるS1P受容体サブタイプの各々について、異なる膜タンパク質の各々を用いて、化合物の存在下で、35S-GTPγS結合のレベルを測定することで決定する。
【0036】
試験1で見出された結果は、例えば、実施例4に記載した本発明の薬剤については、受容体サブタイプS1P1に対して2'063 nM(58%効力)、S1P2およびS1P3に対して>10'000 nM、S1P4に対して929 nM(74%効力)およびS1P5に対して117 nM(80%効力)であり、そして実施例8に記載した本発明の薬剤については、受容体サブタイプS1P1に対して1'262 nM(73%効力)、S1P2、S1P3およびS1P4に対して>10'000 nMおよびS1P5に対して27 nM(81%効力)である。
【0037】
試験2:FLIPRアッセイ
所望のS1P受容体サブタイプを発現するCHO(CHO-K1、チャイニーズハムスター、ATCC no. CCL 61)またはRH7777(モーリス肝癌ラット、ATCC no. CRL 1601)細胞を、黒色Costarプレート(96または384ウェル、それぞれ50'000または12'500細胞)に入れ、培養培地[CHO細胞:RPMI 1640培地(Gibco、Invitrogen Corporation)、10% FBS(熱失活、Gibco)、50 μg/mlゲンタマイシン(50 mg/ml、Gibco)または10'000単位/mlペニシリンおよび10 mg/mlストレプトマイシン、RH7777細胞:DMEM(Gibco)、10% FBS(熱失活、Gibco)、50 μg/mlゲンタマイシン(50 mg/ml、Gibco)]中、CO2インキュベーター内で37℃で20ないし24時間培養する。RH7777細胞の場合、プレートをポリ-D-Lysで被覆する。培養培地を取り除いた後、細胞を、2 μM Fluo4AM(分子プローブ、no. F-1241、DMSO中1 mg/mlストック)および5 mMプロベニシドを含むHBSS培地中で、37℃で1時間培養し、HBSS緩衝液および2.5 mMプロベニシドで濯ぎ、そして同一の培地(96ウェルプレートでは75 μl、384ウェルプレートでは50 μl)を重ねる。プレートをFLIPRに移動させる。40秒間ベースラインを測定した後、HBSS内の試験化合物を加え、2秒間隔で3ないし5分間、蛍光を測定する。高品質の信号を得るために、S1P受容体サブタイプを発現したCHO細胞は、試験化合物を追加する前に、10 μM ATPで20ないし30分間予備培養する。また、細胞は50 ng/ml百日咳毒素(Sigma、no. P2980)で5時間、予備処理することもできる。小胞体からの放出の遮断薬である2-アミノエトキシジフェニルホウ酸塩(Calbiochem、no.100065)(50または150 μM)を、測定の20ないし40分前に直接細胞培地に加える。例えば、Origin 7 RS2ソフトウェアパッケージ(Origin LabCorporation)で提供されているような非線形回帰曲線フィッティングプログラムを用いて、EC50の計算を行う。
【0038】
試験3:多発性硬化症モデル
多発性硬化症モデルとして、げっ歯類の実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル、例えば、慢性進行性EAEのSJL/Jマウスモデルなどを使用することができる。第0日目に、メスのSJL/Jマウスを、完全フロイントアジュバントで乳化した500 μgのウシのミエリン塩基性タンパク質(MBP)を含む200 μlの接種材料を脇腹皮下注射により免疫化する。第9日目に、マウスを第二のMBP注射および百日咳毒素200 ngからなる追加的な静脈内アジュバント注射により追加免疫する。最終的な百日咳菌注射を第11日目に行う。MBP免疫化したほとんどのマウスで、第21日目までにEAEの重度の発作が示される。この後に第25日目くらいから始まる回復段階が続くが、この期間中マウスには引き続き約20日間症状がない。第45日目ないし第47日目までに、およそ50%のマウスが、疾患の進行段階に入る。試験化合物を用いた処置を、疾患が完全に確立された第21日目に開始し、第70日目まで続行する。組み換え体マウスインターフェロンベータ(Calbiochem/Biosciences)を、生理食塩水に溶かし、腹腔内注射により週3回与える。試験化合物を、胃管栄養法により週5回投与する。ビヒクル対照群のマウスを、MBP免疫化し、水で処置する。各実験群は、10匹のマウスからなり、臨床的なEAE症状について0ないし3のスケールを用いて毎日検査する。疾患の発生およびEAE発症日についても記録する。処置開始後に発生した疾患関連の死亡率を、最大スコア3を用いて記録する。このモデルでは、試験化合物が約1ないし約100 mg/kgの用量で投与されるとき、有益な効果が見られる。
【0039】
そのS1P受容体調節活性のために、本発明の薬剤は、例えばS1P受容体の調節が役割を果たす種々の精神医学的、精神病的、神経系、自己免疫性、免疫調節性または炎症性の病気、障害または疾患の処置または予防において、移植において、例えば急性または慢性の移植片拒絶を阻害するために、または癌または腫瘍、例えば神経膠腫、リンパ腫または白血病の処置のための化学療法の一部として、有用である。
【0040】
上記精神医学的、精神病性または神経学系の病気、障害または疾患には、例えば、不安障害(広場恐怖症を伴うか、もしくは伴わないパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、動物またはその他の特定の恐怖症(社会恐怖症を含む)、社会不安障害、不安神経症、強迫性障害、ストレス障害(外傷後または急性のストレス障害を含む)、または全身性もしくは物質誘発性の不安障害など)、神経症、発作、てんかん(特に部分発作、二次的全身性の発作または全身性の発作に進展する単純型、複合型または部分発作[欠神発作(定型または非定型)、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作、強直・間代てんかん発作または無緊張発作])、痙攣、偏頭痛、情動障害(うつ病性または双極性の障害(例えば、単発性または再発性の大うつ病性障害、大うつ病、気分変調性障害、胸腺機能不全、うつ病性障害NOS、双極性I型または双極性II型躁病または気分循環性障害)を含む)、精神障害(精神分裂症を含む)、脳虚血により発生する神経変性、急性、神経系の外傷性または慢性の退行性/脱髄性の過程(パーキンソン病、ダウン症候群、老人性痴呆症、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、視神経脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、アレルギー性脳脊髄炎、マルキアファーヴァ・ビニャミ病、進行性多巣性白質脳症、感染後脳炎、橋中心髄鞘崩壊、副腎白質萎縮症、クラッベ病、異染性白質ジストロフィ、アレキサンダー病、カナバン病、コケイン症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、フルラー症候群、ロウ症候群、脊髄損傷、横断性脊髄炎、ギラン-バレー症候群、フェニルケトン尿症、レフスム病、シャルコー・マリー・ツース病、ゴーシェ病、多発性硬化症、脆弱X染色体症候群または限局性脱髄疾患など)、注意欠如(例えば、注意欠如多動性障害)、トゥレット症候群、言語障害(吃音を含む)、概日周期の障害(例えば、時差ボケまたは交代勤務の影響で苦しむ対象)、苦痛または痛覚、かゆみ、嘔吐(急性、遅延性または予測性嘔吐(化学療法または放射線により誘発された嘔吐など)、動揺病、または術後の吐き気または嘔吐など)、摂食障害(拒食症または神経性過食症を含む)、月経前症候群、筋肉の痙攣または痙縮(例えば、下半身不随患者で)、聴力障害(例えば、耳鳴または年齢関連性聴覚障害)、尿失禁、または物質に関連した障害(薬物乱用または依存症(アルコールなどの物質)、禁断障害を含む)などが含まれる。本発明の薬剤は、例えば、認知症(アルツハイマー病など)を患う対象における、認識力の向上、あるいは麻酔または軽度の処置(胃内視鏡検査を含む内視鏡検査など)の前の前投薬としても有用であり得る。
【0041】
上記自己免疫性、免疫調節性または炎症性の病気、障害または疾患には、例えば、サルコイドーシス、繊維性肺疾患、特発性間質性肺炎、閉塞性気道疾患(例えば、喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性喘息、難治性喘息、遅発型喘息、気道の反応亢進、気管支炎、気管支喘息または小児喘息を含む)、アレルギー性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ネフローゼ症候群、狼蒼、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、I型糖尿病およびそれに関連する合併症、II型成人発症糖尿病、ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群、ステロイド依存性ネフローゼ、ステロイド抵抗性ネフローゼ、掌蹠膿疱症、糸球体腎炎、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎またはその他の湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管性浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、にきび、円形脱毛症、好酸球性筋膜炎、アテローム性動脈硬化症、結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィ、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、重度の眼内炎症、粘膜または血管の炎症(ロイコトリエンB4媒介性疾患など)、胃潰瘍、虚血性疾患または血栓症による血管障害、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、壊死性腸炎、腎疾患(間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群または糖尿病性腎症など)、神経疾患(多発性筋炎、メニエール病および神経根障害から選択されるもの)、膠原病、強皮症、ヴェグナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、慢性自己免疫性肝疾患(例えば、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変または硬化性胆管炎)、部分的肝臓切除、急性肝壊死(例えば、毒素、ウイルス性肝炎、ショックまたは無酸素、B型肝炎、非A型/非B型肝炎および肝硬変に起因するもの)、劇症肝炎、膿疱性乾癬、ベーチェット病、活動性慢性肝炎、エヴァンス症候群、花粉症、特発性上皮小体機能低下症、アジソン病、自己免疫性萎縮性胃炎、ルポイド肝炎、尿細管間質性腎炎、膜性腎症またはリウマチ熱などが含まれる。
【0042】
上記の適応症について、適切な投薬量は、例えば、用いる化合物、宿主、投与方法および病気、障害または疾患の性質および重症度、または所望の効果によって異なる。一般には、動物において満足のいく結果は、約0.1ないし約100 mg/kg、好ましくは約1ないし約50 mg/kg動物体重の1日の投与量で得られることが示されている。大型の哺乳類、例えばヒトでは、指示される1日の投与量は、例えば1日当たり4回まで分割した用量で、または持続放出の形態で都合よく投与される、本発明の薬剤約0.5ないし約2000 mg、好ましくは約2ないし約200 mgである。
【0043】
本発明の薬剤は、任意の常套経路で、特に、例えば錠剤またはカプセルの形態で経腸的、好ましくは経口的に、または例えば注射用の溶液または懸濁液の形態で非経腸的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、または鼻腔用スプレーまたは坐薬の形態で局所的に投与できる。
【0044】
上記にしたがって、さらなる局面において、本発明は、例えばS1P受容体の調節が役割を果たす、病気、疾患または障害の処置または予防用医薬として使用するための、本発明の薬剤に関する。
【0045】
さらなる局面において、本発明は、例えばS1P受容体の調節が役割を果たす、病気、疾患または障害の処置または予防用医薬における有効成分としての、本発明の薬剤の使用に関する。
【0046】
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1つの薬学的担体または希釈剤と共に、有効成分として本発明の薬剤を含む医薬組成物に関する。このような組成物は、常套方法で、例えばその成分を混合することによって、製造することができる。単位投与形態は、例えば、約0.1ないし約1000 mg、好ましくは約1ないし約500 mgの本発明の薬剤を含有する。
【0047】
本発明の薬剤は、薬学的に有効な単独の有効成分として、または少なくとも1つのその他の有効成分との組合せとして、例えば、上記のS1P受容体の調節が役割を果たす精神医学的、精神病的、神経系、自己免疫性、免疫調節性または炎症性の病気、障害または疾患の処置または予防において、移植において、例えば急性または慢性の移植片拒絶を阻害するために、または癌または腫瘍、例えば神経膠腫、リンパ腫または白血病の処置のための化学療法の一部として、投与することができる。このような医薬の組合せは、単位投与形態とすることができ、そのため、各単位投薬形態は、所定量の少なくとも2つの有効成分を少なくとも1つの薬学的担体または希釈剤と混合して含む。あるいは、該組合せは、少なくとも2つの有効成分を別個に含むパッケージの形態、例えば2つの有効成分の同時または別々の投与用に適合させたパックまたはディスペンサーデバイスとすることができ、ここで、これらの有効成分は、別々に準備される。さらなる局面において、本発明は、このような医薬の組合せに関する。
【0048】
例えば、本発明の薬剤は、カルシニュリン阻害剤、例えばシクロスポリン、アスコマイシンまたはその免疫抑制薬類似体または誘導体(例えばシクロスポリンA、ISA-Tx247、FK-506、ABT-281またはASM-981)、mTOR阻害剤(例えばラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、CCI779、ABT578またはラパログ(例えばAP23464、AP23573、AP23675、AP23841、TAFA-93、バイオリムス7またはバイオリムス9)、副腎皮質ステロイド、シクロホスファミド、アザチオプレン、メトトレキセート、S1P受容体調節因子(例えばFTY720またはその類似体、レフルノミドまたはその類似体、ミゾリビン、ミコフェノール酸または塩(例えばそのナトリウム塩)、ミコフェノラートモフェチル、15-デオキシスペルグアリンまたはその類似体、PKC阻害剤(例えばWO-02/38561またはWO-03/82859に開示されたもの)、免疫抑制性モノクローナル抗体(例えば白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD11a/CD18、CD25、CD27、CD40、CD45、CD58、CD137、CD150(SLAM)、B7、ICOS、OX40、4-1BBまたはそのリガンド(例えばCD154)に対するもの)、またはその他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも1つの部分を有する組み換え結合分子またはその突然変異体、例えば非CTLA4タンパク質配列に結合したもの、例えばCTLA4Ig(ATCC 68629)、またはその突然変異体、例えばLEA29Y、または別の接着分子阻害剤、例えば単クローン性抗体または低分子量阻害剤、例えばLFA-1拮抗薬、セレクチン拮抗薬またはVLA-4拮抗薬と組み合わせて使用できる。
【0049】
さらなる局面において、本発明は、S1P受容体の調節が役割を果たす病気、疾患または障害の処置または予防用の医薬の製造のための、本発明の薬剤の使用に関する。
【0050】
さらなる局面において、本発明は、処置を必要とする対象におけるS1P受容体の調節が役割を果たす病気、疾患または障害を処置または予防する方法であって、このような対象に、治療的に有効な量の本発明の薬剤を投与することを含む、方法に関する。
【0051】
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0052】
略語
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
実施例1:4-メチル-8-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-2H-フタラジン-1-オン
a)2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸
ジイソプロピルアミン(5.45 mL、38.4 mmol)をTHF(15 mL)に溶かした溶液に、0℃でn-ブチルリチウム(ヘキサン中24 mL、1.6M)を加えた。混合物を0℃で15分間撹拌した後、-78℃に冷却した。この温度で2,4,6-トリメチルアニリン(3.77 mL、26.85 mmol)を加えた。10分間撹拌した後、2-ブロモ-6-フルオロ-安息香酸(2.8 g、12.78 mmol)をTHF(10 mL)に溶かしたものを-78℃で加えた。反応混合物を室温になるようにし、終夜撹拌し、濃縮させ、10 %HCl水溶液でpH 1まで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空内で蒸発させた。残基をヘキサンで粉砕し、固体を濾過して除き、真空内で乾燥させると、2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸が褐色がかった固体として得られた。
ESI-MS:334.3 [M + H]+、rt = 6.01分。
【0055】
b)2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸メチルエステル
トリメチルシリルジアゾメタン(26.0 mL、52 mmol)を、2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸(22.0 g、43.4 mmol)をメタノール(25 mL)およびTHF(83 mL)に溶かした溶液に0℃で滴下して加えた。混合物を25℃で18時間撹拌した。次に、酢酸(3.9 mL)を加え、混合物を酢酸エチルで希釈し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液および生理食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させて蒸発させた。残留物を溶離剤としてヘキサンないしヘキサン/酢酸エチル8:2を使用してフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸メチルエステルが黄色の油として得られた。
ESI-MS:348.1 [M + H]+、rt = 6.81分。
【0056】
c)2-アセチル-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸メチルエステル
2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸メチルエステル(14.0 g、40.2 mmol)、トリブチル(1-エトキシビニル)スズ(20.4 mL、60.4 mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(2.3 g、2.0 mmol)を、オーブン乾燥したフラスコに入れたジオキサン(190 mL)に加えた。フラスコをセプタムで閉じ、混合物を85℃で終夜撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸塩および生理食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ蒸発させた。残留物をTHF(200 mL)に溶かした。1N HCl(60 mL)を加えた後、混合物を18時間撹拌した。溶媒を真空内で除去し、また粗生成物を溶離剤としてヘキサンないしヘキサン/酢酸エチル8:2を使用してフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、黄色の残留物が得られた。酢酸エチルを加えた。黄色の固体を濾過して除き、乾燥させて、2-アセチル-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸メチルエステルがオレンジ色のオイルとして得られた。
ESI-MS:312.2 [M + H]+、rt = 6.31分。
【0057】
d)4-メチル-8-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-2H-フタラジン-1-オン
ヒドラジン一水和物(1.87 mL、38.5 mmol)を、2-アセチル-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸メチルエステル(6.0 g、19.3 mmol)をエタノール(110 mL)に溶かした溶液に加えた。混合物を95℃で18時間撹拌した後、室温まで冷ました。沈殿した固体を濾過して除き、乾燥させ、EtOHから再結晶化すると、4-メチル-8-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-2H-フタラジン-1-オンが、ベージュの固体として得られた。
ESI-MS:294.2 [M + H]+、rt = 5.92分。
【0058】
実施例2:4-メチル-8-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-2H-イソキノリン-1-オン
a)N-アリル-2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-ベンズアミド
2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-安息香酸(0.30 g、0.90 mol)をDMF(9 mL)に溶かした。HATU(0.614 g、1.61 mmol)を加え、褐色の混合物を室温で3日間撹拌した。次に、アリルアミン(0.69 mL、9 mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。酢酸エチルおよび2N NaOHを加えた。有機層を分離し、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させて、濃縮した。残留物を溶離剤としてヘキサンないしヘキサン/酢酸エチル6:4を使用してフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、オレンジ色の粗生成物が得られた。ヘキサンを加え、沈殿物を濾過して除き、ヘキサンで洗浄し、乾燥させると、N-アリル-2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-ベンズアミドが白色の固体として得られた。
ESI-MS:373.3 [M + H]+、rt = 6.16分。
【0059】
b)4-メチル-8-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-2H-イソキノリン-1-オン
N-アリル-2-ブロモ-6-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-ベンズアミド(0.074 g、0.20 mmol)、Pd(OAc)2(0.0023 g、0.01 mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.0057 g、0.02 mmol)およびN,N-ジシクロヘキシルメチルアミン(0.17 mL、0.85 mmol)を乾燥したフラスコに入れた。ジメチルアセトアミド(2 mL)を加え、黄色の混合物を窒素下80℃で終夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を、溶離剤としてヘキサンないしヘキサン/酢酸エチル6:4を使用してフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、黄色の粗生成物が得られた。ヘキサンを加え、沈殿物を濾過して除き、ヘキサンで洗浄し、乾燥させると、4-メチル-8-(2,4,6-トリメチル-フェニルアミノ)-2H-イソキノリン-1-オンが白色の固体として得られた。
ESI-MS:293.3 [M + H]+、rt = 6.41分。
【0060】
実施例3:8-(2,6-ジメチル-フェニルアミノ)-2H-イソキノリン-1-オン
2,6-ジメチルアニリン(681 μL、5.18 mmol)、8-ブロモ-2H-イソキノリン-1-オン(0.20 g、0.89 mmol)、K2CO3(0.136 g、0.98 mmol)およびCu(0.68 mg、0.01 mmol)の混合物を、135℃で18時間撹拌し、2N HClでpH 0に酸性化し、室温に冷却しながら15分間撹拌した。固体を濾過して除き、0.5N HClで洗浄し、乾燥させて、褐色の粗生成物が得られ、これを溶離剤としてDCMないしDCM/メタノール90:10を使用してフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、8-(2,6-ジメチル-フェニルアミノ)-2H-イソキノリン-1-オンがオフホワイト色の固体として得られた。
ESI-MS:265.3 [M + H]+、rt = 5.78分。
【0061】
実施例4ないし10:
実施例4ないし10の化合物は、上記の方法と類似した方法で製造できる。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の式:
【化1】

〔式中、
R1およびR5は、いずれの場合も同一の意味を有し、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、Cl、Br、またはCF3であり、
R2およびR4は、いずれの場合も同一の意味を有し、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、F、Cl、Br、またはCF3であり、
R3は、水素、C1-C4-アルコキシ、F、Cl、CF3、または一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル基[該アルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
R6は、水素、一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル、C2-C4-アルケニルまたはC3-C7-シクロアルキル基[該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール基[該ヘテロアリール基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、ヘテロアリール部分上で一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル基[該ヘテロアリール部分上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいフェニル基[該フェニル基上の任意の置換基は、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]または一置換もしくは二置換されていてもよい非芳香族ヘテロシクリル基[該ヘテロシクリル基上の任意の置換基は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC1-C4-アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
R7は、水素、一置換もしくは二置換されていてもよいC1-C8-アルキル、C2-C4-アルケニルまたはC3-C7-シクロアルキル基[該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール基[該ヘテロアリール基上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、ヘテロアリール部分で一置換もしくは二置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル基[該ヘテロアリール部分上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、一置換もしくは二置換されていてもよいフェニル基[該フェニル基上の任意の置換基は、シアノ、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、HO-C(=O)-、C1-C4-アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、C1-C4-アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキルおよびC1-C4-アルコキシカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]、または一置換もしくは二置換されていてもよい非芳香族ヘテロシクリル基[該ヘテロシクリル基上の任意の置換基は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、アミノ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノ-C1-C4-アルキル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ部分に同一もしくは異なる2個のC1-C4-アルキル部分を有するジ-(C1-C4-アルキル)アミノ-C1-C4-アルキル、ピロリジル-C1-C4-アルキル、ピペリジル-C1-C4-アルキル、モルホリニル-C1-C4-アルキル、ホルミル、C1-C4-アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C1-C4-アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC1-C4-アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される。]であり、
R8は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、F、またはClであり、および
Xは、CHまたはNである。〕
の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の遊離形または塩形の式Iの化合物の製造方法であって、
a)式中、XがNである式Iの化合物の製造について、遊離形または塩形の次式:
【化2】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、式Iについて定義した通りであり、およびL1は、脱離基である。〕
の化合物と、遊離塩基形または酸付加塩形の次式:
【化3】

の化合物との反応、または
b)遊離形または塩形の次式:
【化4】

〔式中、R6、R7、R8およびXは、式Iについて定義した通りであり、およびL2は、脱離基である。〕
の化合物と、遊離形または塩形の次式:
【化5】

〔式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、式Iについて定義した通りである。〕
の化合物との反応、または
c)式中、XがCHであり、R6が式(R6a)(R6b)(H)C(Ia)の基であり、および式Iaの基が、上記基R6から選択され、R6を有する環内炭素原子に、少なくとも1個の水素原子を有する炭素原子を介して結合している式Iの化合物の製造について、遊離形または塩形の次式:
【化6】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R7およびR8は、式Iについて定義した通りであり、R6aおよびR6bは式Iaで定義した通りであり、およびL3は、脱離基である。〕
の化合物の分子内環化
を含み、いずれの場合も所望により、結果として生じる化合物の還元、酸化またはその他の官能化、および/または所望により存在する任意の保護基の開裂、そのように得られ得る遊離形または塩形の式Iの化合物の回収をその後に行う、方法。
【請求項3】
S1P受容体の調節が役割を果たす病気、疾患または障害を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療的に有効な量の請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を投与することを含む、方法。
【請求項4】
薬学的担体または希釈剤と共に、有効成分として請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項5】
医薬としての使用のための、請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物。
【請求項6】
S1P受容体の調節が役割を果たす病気、疾患または障害の処置または予防のための、請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物。
【請求項7】
同時投与または逐次投与のための、治療的に有効な量の、請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物と第二の薬剤との組合せ。
【請求項8】
S1P受容体の調節が役割を果たす病気、疾患または障害の処置または予防用の医薬を製造するための、請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物の使用。
【請求項9】
医薬の有効成分としての、請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物の使用。
【請求項10】
S1P受容体の調節が役割を果たす病気、疾患または障害の処置または予防のための、請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2010−525016(P2010−525016A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504651(P2010−504651)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054797
【国際公開番号】WO2008/129029
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】