説明

TNIK阻害剤およびその使用

本発明は、TNIK阻害剤、医薬組成物、TNIK阻害剤による癌患者の治療方法に関する。また本発明は、新規アミノチアゾール誘導体に関する。TNIK阻害剤は、下記式(I)によって示され、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、夫々独立して水素原子または置換基を表す。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Traf2/Nck相互作用キナーゼ(TNIK)阻害剤により癌患者を治療するための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、TNIK阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関し、癌患者の治療に対して(特に大腸癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、前立腺癌または乳癌などの固形癌患者に対して)TNIK阻害剤を投与する方法に関する。
また、本発明は新規なアミノチアゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
Wntタンパク質は、細胞の運命、増殖、移動および極性の決定などの様々な細胞過程を制御するシグナル伝達経路を活性化する、分泌性糖タンパク質の大きなファミリーである。Wntタンパク質はいくつかの経路を介してシグナルを伝達することができ、最もよく特徴が明らかにされているのはβ−カテニンを介する標準経路(Wnt/β−カテニンシグナリング)である。Wnt/β−カテニンシグナリングの脱調節は、大腸癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、乳癌およびその他の多くのヒトの癌においてしばしば見出される。
【0003】
TNIKは、c−JunのN末端キナーゼ経路を活性化し、細胞骨格を調節する、STE20ファミリーのキナーゼのうちの1つとして公知である。最近、TNIKは、2つの大腸癌細胞株のDLD1およびHCT−116において、抗TCF4抗体により共通して免疫沈降される70のタンパク質のうちの1つとして同定された(非特許文献1)。
【0004】
下記は、本発明であるTNIK阻害剤により癌患者を治療するための組成物および方法の有用性の評価方法についての参照記述である。これらの参照記述はすでに仮出願に記載されているが、仮出願の出願前に本発明者により出願され、仮出願後に公開されたWO2009/104413(特許文献1)にも記載されている。本発明の有用性のための下記評価方法の詳細については、本発明の実施例のあとの参照方法に記載されている。
【0005】
(本発明の有用性の評価方法についての参照記述)
大腸癌の80%以上は大腸腺腫様ポリポーシス(APC)遺伝子の変異を示し、残りの2分の1はCTNNB1遺伝子における変異を示し、結果としてβ−カテニンの蓄積およびWntシグナリングの構成的活性化を生じる。β−カテニンは、T細胞因子(TCF)/リンパ球エンハンサー因子(LEF)ファミリーDNA結合タンパク質との複合体の形成によって、およびそれらの標的遺伝子のトランス活性化によって、その腫瘍形成活性を発揮する。TCF4は、大腸癌細胞において共通して発現され、大腸の発癌性に関わる、TCF/LEFファミリーのメンバーである。我々は、以前に、2つの大腸癌細胞株(DLD1およびHCT−116)において、抗TCF4抗体および抗β−カテニン抗体により共通して免疫沈降される70のタンパク質のうちの1つとしてTNIKを同定した(非特許文献1)。DLD1はAPC遺伝子における短縮型変異および他方の対立遺伝子の消失を有しており、HCT−116はCTNNB1遺伝子中にミスセンス変異を有している。TNIKは抗TCF4抗体または抗β−カテニン抗体による免疫沈降物中に検出されるが、対照のIgGによる免疫沈降物中には検出されない。反対に、β−カテニンタンパク質およびTCF4タンパク質は抗TNIKの抗体により免疫沈降され、TCF4タンパク質、β−カテニンタンパク質およびTNIKタンパク質が大腸癌細胞において複合体を形成することを示す。2−ハイブリッド分析により、TNIKは、キナーゼドメインを含む1〜289位のアミノ酸を介してTCF4と相互作用することが明らかにされた。TCF4の100〜216位のアミノ酸がTNIKとの相互作用のために必要であった。
【0006】
TCF4タンパク質はTNIK(WT、野生型)によってリン酸化されるが、キナーゼドメインのATP結合ポケット中の保存されたリジン54残基の置換(K54R)を有するTNIKの触媒的不活性変異体によってはリン酸化されない。タンデム質量分析(MS/MS)により、TCF4のセリン154残基がTNIK(WT)によってリン酸化されることが明らかになった。これと一致して、アラニンによるセリン154残基の置換(S154A)は、TNIKによるTCF4のリン酸化を消失させた。TCF4は、TNIK(WT)によるDLD1細胞のトランスフェクションに際してリン酸化されるが、TNIK(K54R)によるトランスフェクションではリン酸化されない。
【0007】
TNIKの自己リン酸化は、TNIKの核移行およびTCF4との相互作用のために必要であると思われる。DLD1細胞およびHCT−116細胞を、TNIK(WT)または触媒的不活性TNIK(K54R)によりトランスフェクションし、イムノブロットおよび免疫蛍光顕微鏡によって分析した。我々は、TNIK(WT)が自身のセリン764残基のリン酸化(TNIKpS764)を誘導することを明らかにした(抗TNIKpS764により)。リン酸化されたTNIKは核の中へと取り込まれるが、K54R置換はTNIKのリン酸化および核移行を有意に阻害し、TCF4と相互作用するTNIKの量を減少させた。内在性TNIKタンパク質は線維状細胞骨格に沿って分布したが、リン酸化されたTNIK(TNIKpS764)は主として核において検出され、TCF4と共局在した。TNIKpS764は大腸癌細胞において検出されるが、形質転換していないHEK293細胞においては検出されなかった。
【0008】
TNIKの発現および局在を、大腸癌の臨床検査標本において検討した。TNIKタンパク質の全体的な発現レベルは癌と正常粘膜との間で有意に異ならなかったが、隣接する正常な腸上皮細胞と比較して、癌細胞におけるリン酸化されたTNIK(pS764)の発現は増加した。核のTNIKpS764は、大腸癌の浸潤先進部において最も多く検出され、β−カテニンは核および細胞質において蓄積した。
次に、我々は、β−カテニンおよびTCF4複合体の転写活性に対するTNIKの効果を調べた。HEK293細胞およびHeLa細胞は、野生型のAPC遺伝子およびCTNNB1遺伝子を有する。N末端グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)リン酸化部位の欠失によって安定化させたβ−カテニン(β−カテニンΔN134)によるこれらの細胞の一過性トランスフェクションは、モックトランスフェクションと比較して、標準TCF/LEFのレポーター(TOP−FLASH)のルシフェラーゼ活性を増加させたが、変異レポーター(FOP−FLASH)のルシフェラーゼ活性を増加させなかった。血球凝集素(HA)を標識化した野生型TNIK(WT)によるコトランスフェクションは、β−カテニンに誘発される転写活性、ならびにHEK293細胞およびHeLa細胞によるコロニー形成をさらに促進したが、TNIK(K54R)によるコトランスフェクションでは促進しなかった。TNIKは、β−カテニンΔN134の非存在下において、転写活性またはコロニー形成に有意には影響することはなく、TNIKの効果がWntシグナリングの活性化に依存することがわかる。TNIKによるDLD1細胞およびHCT−116細胞の一過性トランスフェクションもまた、それらのTCF/LEFの転写活性およびコロニー形成を促進したが、TNIK(K54R)による一過性トランスフェクションは促進しなかった。
【0009】
これとは反対に、TNIKに対する短鎖干渉RNA(siRNA)(コンストラクト12および13)によるTNIKのノックダウンは、HEK293細胞およびHeLa細胞のβ−カテニンΔN134に誘発されるTCF/LEFの転写活性を消失させた。TNIKに対する短鎖ヘアピンRNA(shRNA)(コンストラクトT1、T2およびT3)によるTNIKのノックダウンは、β−カテニンΔN134に誘発されたコロニー形成を消失させたが、β−カテニンΔN134によりコトランスフェクションされなかったHEK293細胞およびHeLa細胞の増殖には有意に影響しなかった。TNIKのノックダウンは、DLD1細胞およびHCT−116細胞のTCF/LEFの転写活性および増殖を抑制した。体軸インヒビター(axis inhibitor)−2(AXIN2)、c−myc(MYC)、c−jun(JUN)およびマトリリシン(MMP7)などの、β−カテニンとTCF/LEFの複合体の既知の標的遺伝子の発現は、サイクリンD1(CCND1)を除いて、TNIKに対するsiRNAの一過性トランスフェクションによって有意に減少した。
【0010】
我々は、次にヒト大腸癌細胞の増殖に対するTNIKの効果をインビボで検討した(図2)。HCT−116細胞を免疫不全マウスの横腹に移植した。接種の1週間後に、アテロコラーゲンと混合したTNIKに対するsiRNA(12または13)(Takeshita, F.et al. Efficient delivery of small interfering RNA to bone-metastatic tumors by using atelocollagen in vivo. Proc Natl Acad Sci USA 102, 12177(2005))を、腫瘍(大きさでは224.5±8.9mm)の中へ直接注入した。siRNA注入の3日後に、いくつかの腫瘍を切り取り、TNIKのmRNAのサイレンシングをリアルタイムPCRによって確認した(図2b)。異種移植片の体積をsiRNA注入後の18日間モニタリングした(図2a)。我々は、TNIKに対するsiRNA(12または13)の単回投与後に腫瘍がほとんど完全に退縮することを明らかにした。図2c及び2dは、代表的なマウスおよび切除した腫瘍の外観を示す。TNIKに対するsiRNA(12または13)により処理した腫瘍は、処理なしの腫瘍(No treat)、アテロコラーゲンのみにより処理した腫瘍(Atelo only)、または対照RNA(XまたはIX)により処理した腫瘍よりも有意に小さかった(図2d)。我々は、他の2つの大腸癌細胞株(DLD1およびWiDr)において、TNIKに対するsiRNAの単回投与後に、定着腫瘍が同様に退縮することを観察した(図3および4)。
【0011】
最後に、WntシグナリングにおけるTNIKの機能的関与をツメガエル属(Xenopus)胚において検討した。ユニジーン(Unigene)アフリカツメガエル(Xenopus laevis)データベース中に、ヒトTNIKに相同な登録(仮想タンパク質LOC443633と命名された)があった。キナーゼドメイン(25〜289位のアミノ酸)は、ヒトとツメガエル属との間で高度に保存(98.9%)されていた。ツメガエル属TNIK(XTNIK)は母性発現され、発現はオタマジャクシのステージ全体にわたって維持された。腹側帯域におけるWntシグナリングの異所的活性化は、体軸重複を誘導することが公知である。XTNIK(WT)mRNAとの共注入は、Xβ−カテニンに誘導された二次体軸形成を促進したが、触媒的不活性XTNIK(K54R)は完全に二次体軸形成を阻害した。XTNIK(WT)またはXTNIK(K54R)のみ(Xβ−カテニンなし)を注入した胚は、正常に発生した。アニマルキャップ分析において、Xβ−カテニンの注入は、Wntシグナリングの公知の標的遺伝子のシアモア(Siamois)およびXnr3の発現を誘導した。XTNIK(WT)との共注入は、これらの遺伝子の発現を促進するが、XTNIK(K54R)はそれらの発現を停止させる。
【0012】
8細胞ステージ胚の背側割球の中へのXTNIK(K54R)mRNAの注入は、ステージ10での原腸陥入の開始を阻害した。XTNIK(WT)を背側に注入した胚は、シアモアおよびXnr3の発現の著しい増加を示したが、XTNIK(K54R)はそれらの発現を減少させた。8細胞ステージで背側割球の中へのXTNIK(K54R)mRNAの注入を受けた胚は、有意な体軸欠損(Wntシグナリングの背側での阻害に起因する典型的な表現型である、頭部および体軸構造の完全な消失)を生じた。
【0013】
XTNIKに対するアンチセンスモルホリノオリゴヌクレオチド(MOs)(MO1およびMO3)は、8細胞ステージ胚の腹側帯域の中へ共注入した場合に、Xβ−カテニンによって誘導される二次体軸形成を遮断した。この遮断状態は、HA標識化XTNIKORF(オープンリーディングフレーム)のmRNA[MO1およびMO3によって標的とされる5’UTR(5’−非翻訳領域)を欠く]の共注入によって解除された。どちらのXTNIK−MOを背側に注入した胚も、ステージ10で原腸陥入を開始せず有意に縮小した頭部および体軸構造を有する異常なオタマジャクシへと発生した。XTNIK−MOsによって引き起こされた欠損は、XTNIKORFの共注入によって補完された。ヌクレオチドミスマッチを有する対照MOs(5mis−Control−1および5mis−Control−3)を注入した胚は、TNIK−MO1およびTNIK−MO3で観察された効果を示さなかった。XTNIK−MOsによるシアモアおよびXnr3の発現の減少は、XTNIKORFの共注入によって回復した。
【0014】
プロテインキナーゼの合成されたATP競合物は、腫瘍学の実務上、具体化して成功している。
【0015】
例えば、イマチニブ(慢性骨髄性白血病(CML)のBcr−Abl融合キナーゼを遮断する)は、現在CMLのための第一選択薬である。表皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤である、ゲフィチニブおよびエルロチニブは、非小細胞肺癌の治療で用いられている。Wntシグナリングは大腸の発癌を押し進める主な力である。TNIKは大腸癌において活性化され、大腸癌細胞の増殖は、TNIKの発現およびキナーゼ活性に高度に依存した。我々の結果は、TNIKを標的とする薬物の開発が実現可能であることを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO2009/104413
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Shitashige M, et al., Gastroenterology 2008年,134:1961−71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明者等は、TNIKがWnt シグナリング経路 における必須のプロティンキナーゼであり、がん、特に固形腫瘍, 例えば、膵臓癌、非小細胞肺癌、前立腺癌または乳癌、なかでも大腸がんの増殖と深くかかわっており、TNIKの作用を阻害することで、がん、特に固形腫瘍なかでも大腸がんの増殖を抑制することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者等は、当該知見に基づいて、TNIK阻害作用を有する化合物のスクリーニングを行い、下記一般式
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、夫々独立して水素原子または置換基を表す。)で示されるアミノチアゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が、TNIK阻害作用を有することを見出し、当該アミノチアゾール誘導体が、がん細胞の増殖を抑制することを確かめて本発明を完成させた。
【0022】
下記に図の説明をするが、図2〜4は本発明の有用性の評価方法についての参考図である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は化合物1による大腸癌細胞のβ−カテニン/TCF4仲介性転写の阻害を示している。
【図2】(参考図)TNIKに対するsiRNAによる大腸癌増殖の阻害。a:HCT−116細胞を、BALB/c nu/nuヌードマウスへと皮下接種した。発達した腫瘍は処理しないか、またはアテロコラーゲンのみ、対照RNA(XまたはIX)もしくはTNIKに対するsiRNA(12または13)により処理した。示されるように、腫瘍の体積(1つのグループあたりn=8)をモニタリングした。#:P<0.001(マン−ホイットニーU検定)バー:標準誤差N.S.:有意でない。b:siRNAを注入した腫瘍におけるTNIKのmRNA発現(1つのグループあたりn=3)。c、d:siRNAの注入18日後のマウスおよび切除した腫瘍の代表的な外観。カラムは、切除した腫瘍の平均重量を示す(1つのグループあたりn=8)。$:P<0.005(マン−ホイットニーU検定)バー:標準誤差。
【図3】(参考図)TNIKに対するsiRNAによる大腸腫瘍の増殖阻害および退縮DLD1細胞を、0日目にBALB/c nu/nuヌードマウスの横腹に接種した。発達した腫瘍(DLD1、64.0±1.9mm)を処理しないか、またはアテロコラーゲンのみ、対照RNA(XまたはIX)もしくはTNIKに対するsiRNA(12または13)により7日目に処理した。a:7、9、13、16、19、22および25日目に測定した腫瘍体積(1つのグループあたりn=8)。*:P<0.0001(マン−ホイットニーU検定)バー:標準誤差N.S.:有意でない。b:siRNA注入の3日後にリアルタイムPCRによって決定された腫瘍(1つのグループあたりn=3)におけるTNIKのmRNA発現。c、d:25日目(siRNAの注入の18日後)のマウス(c)および切除した腫瘍(d)の代表的な外観および切除した腫瘍の重量(1つのグループあたりn=8)(d)。$:P<0.005(マン−ホイットニーU検定)バー:標準誤差。
【図4】(参考図)TNIKに対するsiRNAによる大腸腫瘍の増殖阻害および退縮DLD1細胞に替えて、WiDr細胞を用いた場合の(発達した腫瘍 WiDr、95.9±1.6mm)、図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
アミノチアゾール誘導体(I)における置換基としては夫々以下の置換基をあげることができる。
【0025】
R1及びR2の置換基としては、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のカルバモイル基、置換もしくは非置換のチオカルバモイル基、置換もしくは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換の複素環、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環があげられる。
【0026】
R3及びR4の置換基としては、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のカルバモイル基、置換もしくは非置換のチオカルバモイル基、置換もしくは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換の複素環、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環があげられる。
【0027】
R5及びR6の置換基としては、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の複素環、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環があげられる。
【0028】
アミノチアゾール誘導体(I)またはその薬学的に許容される塩の具体的な化合物としては、以下の化合物またはその薬学的に許容される塩があげられる。
【0029】
5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
5−(3−メチルベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
5−(2−フルオロベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
5−(4−メトキシベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
5−(3−メトキシベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(フェニルアミノ)−5−(2−(チオフェン−2−イル)アセトアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
5−(3−メチルブタンアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
5−(2−シクロペンチルアセトアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(2−フルオロベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(4−アセトアミドベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(2−クロロベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(3−ブロモベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(2,6−ジフルオロベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(3,4−ジメトキシベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(チオフェン−2−カルボキサミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(p−トルイジノ)−5−(2−エチルブタンアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
2−(エチルアミノ)−5−(8−メチル−2−フェニルキノリン−4−カルボキサミド)チアゾール−4−カルボキサミド
【0030】
本発明のチアゾール誘導体(I)またはその薬学的に許容される塩は、何れも公知化合物であり、TimTec 社(Delaware, USA)やAurora Fine Chemicals 社(California, USA)等から入手することも可能である。また、チアゾール誘導体(I)またはその薬学的に許容される塩は、以下に例示する方法によっても製造することができる。
【0031】
なお、以下に示す製造法において、所望の置換基が実施方法の条件下で変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で通常用いられる方法、例えば、官能基の保護、脱保護(T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis3rd Edition, John Wiley & Sons, Inc.,1999参照)等の周知慣用の手段を付すことにより容易に製造することができる。
【0032】
また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を適宜変えることもできる。
【0033】
化合物(I)は、例えば製法1に示す製造法により得ることができる。
【0034】
【化2】

【0035】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記に同じ。)
【0036】
製法1の原料である化合物(II)および(III)は市販品(例えばAcros Organics 社製品,URL:http://www.acros.com/)として、または公知の方法もしくはそれに準じた方法により得ることができる。
【0037】
化合物(IV)は、例えば、文献(J. Chem. Soc. 1949, 3001 参照)などに記載の方法に準じて製造することができる。
【0038】
すなわち、化合物(II)および化合物(III)を酢酸エチルなどの不活性有機溶媒中、反応させることによって化合物(IV)を得ることができる。
【0039】
化合物(I)は、化合物(IV)から必要に応じて前記のとおり官能基の保護、脱保護を繰り返しながら、有機合成化学で通常用いられるアシル化の条件、あるいはアルキル化の条件に付すことによって得ることができる。
【0040】
また、必要により、有機合成化学で通常用いられる方法により以下に例示する薬学的に許容される塩を得ることができる。
【0041】
薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸をともなう塩、またはマレイン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸をともなう塩を含む。
【0042】
更なる本発明の目的は、下記一般式(I’)により表される新規なアミノチアゾール誘導体を提供することにある。
【0043】
【化3】

【0044】
(式中、R1’、R2’は、夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換または非置換のアルキル基、C2−C4アルケニル基、C2−C4アルキニル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、置換または非置換のアルコキシカルボニルアミノ基を表わし、R3’、R4’は、夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換のアシルアミノ基、置換または非置換のアルキルスルホンアミド基、ニトロ基を表わす。またY1、Y2及びY3は、夫々独立して窒素原子または炭素原子を表わす。)またはそれらの薬学的に許容される塩。
【0045】
本発明に用いられる置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、置換または非置換のC1−C8のアルキル基、C2−C4アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、C2−C4アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル)、置換または非置換のC1−C8アルコキシ基、置換または非置換のC1−C4のアシルアミノ基、C1−C2のアルキルスルホンアミド基があげられる。置換または非置換のアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ基、2−モルホリノエチルアミノ基、4−モルホリノ基、2−(ピロリジン−1−イル)エチルアミノ基、(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル基、2−メトキシエチルアミノ基、2−アミノエチルアミノ基、4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル基、2−(ピペリジン−1−イル)エチルアミノ基、2−(ピリジン−4−イル)エチルアミノ基、または、2−(メチルチオ)エチルアミノ基などがあげられる。置換または非置換のC1−C8アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、ベンジルオキシ基、2−モルホリノエトキシ基、2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ基、または、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ基などがあげられる。置換または非置換のアシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド基、2−ヒドロキシアセトアミド基、2−(ジメチルアミノ)アセトアミド基、2−モルホリノアセトアミド基、2−(ピロリジン−1−イル)アセトアミド基、2−(ピペリジン−1−イル)アセトアミド基、または、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセトアミド基があげられる。置換または非置換のアルコキシカルボニルアミノ基としては、例えば、置換または非置換のC1−C8アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、tert‐ブトキシカルボニルアミノ基)があげられる。
【0046】
以下に一般的な反応スキームを用いて、本発明のアミノチアゾール誘導体の合成方法を説明する。本発明の化合物(I’)は、スキーム1−6に従って製造でき、実施例に示されているように、一般的な合成方法と、市販で入手可能な出発原料あるいは市販で入手可能な前駆物質から公知の方法で合成可能な出発原料,又は当業者によって認識される様々なバリエーションから製造することができる。
【0047】
これらのスキームではしばしば正確な構造を示していることがあるが、有機化学で通常用いられる保護、脱保護によって反応性の官能基を保護することによって式(I’)で示される化合物の誘導体を広く合成することが可能である。例えば、水酸基などは望まない副反応を避けるために、当該分子の他の部分の化学反応の間は一般的にエーテルやエステルに変換する必要がある。これらの水酸基の保護基は容易に取り除くことができ、保護されていない水酸基を得ることが出来る。アミノ基やカルボキシル基なども副反応を避けるために同様に保護される。典型的な保護基と、保護、脱保護の方法はT. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition, John Wiley and Sons, New York, (1999)に十分に記載されている。
【0048】
以下のスキーム中で示される各可変部位は本発明の化合物で記述される全ての官能基を参照するものである。式(I)の化合物の互変異性体および溶媒和物(例えば、水和物)なども本発明に含まれる。
【0049】
本発明中のいかなる式のいかなる化合物も以下の反応スキームで示される方法や実施例で示される方法に従い、適切な出発物質を選び類似の方法で製造することができる。すなわち、本発明中で開示、例示するどの式のどの化合物も、以下に記載する方法と類似の方法に従い、適当な出発物質と適当な試薬を用い、望ましい置換を行うことにより得ることができる。
【0050】
式(I’)の化合物は、概してスキーム1に示されるように5−アミノチアゾール中間体(II’)と置換基を有する塩化ベンゾイル(III’-a)からアミド生成反応によって製造することができる。
【0051】
【化4】

【0052】
式中、R1’, R2’, R3’, R4’, Y1,Y2およびY3は、それぞれ式(I’)と同義である。
【0053】
置換基を有する安息香酸(III’-b)を用い、一般的なアミドカップリング反応条件、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)およびジイソプロピルエチルアミンやトリエチルアミンのような塩基などの条件下、同様のアミドカップリング反応を行うことで、式(I’)の化合物を製造することもできる。
【0054】
別の方法として、式(I’)の化合物は、スキーム2に示すように、エステル中間体(IV’)のアンモニアによる直接的アミノリシスでも製造することができる。
【0055】
【化5】

【0056】
式中、R1’, R2’, R3’, R4’, Y1, Y2, およびY3は、それぞれ式(I’)と同義である。
【0057】
アミノリシス反応は、THFやジオキサンのような溶媒存在下、濃アンモニア水あるいはアンモニアのメタノール溶液と処理することによって行なえる。反応は、封管中、80−150℃に加熱しながら1−24時間撹拌することによって得られるが、好ましくはマイクロウェーブ合成機を用いた、80℃で150分間のマイクロウェーブ照射により合成することができる。
【0058】
スキーム1のアミドカップリング反応の原料となる式(II’)で表される化合物は、Cookらの方法(J. Chem. Soc. 1949, 3001)と同様な反応を用いることにより製造することができる。例えば、式(II’)で表される化合物は下記に示すスキーム3に従い製造できる。
【0059】
【化6】

【0060】
式中、R1’, R2’, Y1, Y2, およびY3は、それぞれ式(I’)と同義である。
【0061】
すなわち、チオイソシアネート(V’)とアミノシアノアセトアミドの混合物を適当な溶媒中、好ましくは酢酸エチルを用いて撹拌し、0.5−2時間加熱還流することで式(II’)で表される化合物を得ることができる。
【0062】
チオイソシアネート(V’)は市販で入手可能か、対応するアミンをチオホスゲンで処理するような有機合成でよく知られている方法で製造することができる。
置換基を有するアミノチアゾール(IV’)はスキーム4に示すように、アニリンもしくはアミノヘテロ芳香族化合物(VII’)と2−ハロゲノチアゾール化合物(VI’)のパラジウム触媒反応によって製造することができる。
【0063】
【化7】

【0064】
式中、R1’, R2’, R3’, R4’, Y1, Y2, およびY3は、それぞれ式(I’)と同義であり、XはCl, Br, あるいはIから選択されるハロゲンを表す。
【0065】
これらのBuckwald/Hartwigタイプ反応は当業者によく知られており、例えばトルエン、THF、あるいはジオキサンなど不活性な溶媒中、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)などのパラジウム触媒と、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの塩基、および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(XANTPHOS)などの配位子を用い、合成できる。同様なパラジウムカップリング反応として、対応するハロゲノ芳香族/ヘテロ芳香族化合物と対応する2−アミノチアゾール誘導体を用いても、同じ望むアミノチアゾール中間体(IV’)を製造することができる。
【0066】
式(VI’)で表される化合物は下記のスキーム5によって、製造することができる。
【0067】
【化8】

【0068】
式中、R3’およびR4’は、それぞれ式(I’)と同義であり、XはCl, Br, あるいはIから選択されるハロゲンを表す。
【0069】
すなわち式(VI’)で表される化合物は5−アミノチアゾール中間体(VIII’)と置換基を有する塩化ベンゾイル(III’−a)からアミド生成反応によって製造することができる。置換基を有する安息香酸(III’−b)を用い、一般的なアミドカップリング反応条件、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)およびジイソプロピルエチルアミンやトリエチルアミンのような塩基などの条件下、同様のアミドカップリング反応を行うことにより製造することができる。
【0070】
式(VIII’)で表される化合物は、下記スキーム6に示すように5−アミノチアゾール−4−カルボン酸エチルエステルから製造することができる。
【0071】
【化9】

【0072】
式中、XはCl, Br, あるいはIから選択されるハロゲンを表す。
【0073】
5−アミノチアゾール−4−カルボン酸エチルエステルは、Golankiewiczらの方法に従って製造することができる (Tetrahedron, 41 (24), 5989-5994 (1985))。すなわち、市販のエチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセテートを飽和重曹水中でジチオン酸ナトリウムと処理することによって得られるエチル2−アミノ−2−シアノアセテートを、酢酸ギ酸無水物で処理することで対応するホルムアミド体が生成する。こうして得られる2−シアノ−2−ホルムアミド酢酸エチルをLawesson試薬で処理、続いてNCSやNBSなどのハロゲン化試薬と処理することで、望む化合物を得ることができる。
【0074】
本発明は、以下にあげる実施例でさらに詳細に記述される。これらの実施例は一例である。上記記述およびこの実施例から、当業者は、本発明の本質的特質を理解でき、その精神および範囲から逸脱することなく本発明を様々な用途および条件に適応させるために、様々な改変や修飾を行なうことが可能である。つまり、本発明は以下に挙げる実施例に限定されるものではなく付属の特許請求の範囲によって定義される。
式(I’)で示される化合物として、具体的な化合物を表1−1〜表1−22に示す。
【0075】
【表1−1】

【0076】
【表1−2】

【0077】
【表1−3】

【0078】
【表1−4】

【0079】
【表1−5】

【0080】
【表1−6】

【0081】
【表1−7】

【0082】
【表1−8】

【0083】
【表1−9】

【0084】
【表1−10】

【0085】
【表1−11】

【0086】
【表1−12】

【0087】
【表1−13】

【0088】
【表1−14】

【0089】
【表1−15】

【0090】
【表1−16】

【0091】
【表1−17】

【0092】
【表1−18】

【0093】
【表1−19】

【0094】
【表1−20】

【0095】
【表1−21】

【0096】
【表1−22】

【0097】
アミノチアゾール誘導体(I)およびアミノチアゾール誘導体(I’)はTNIK抑制効果を示し(試験例1)、所望されない活性を示さない(試験例2)。アミノチアゾール誘導体は、抗腫瘍活性(試験例3)および低毒性を示す。
【0098】
アミノチアゾール誘導体は、経口投与または点滴注入などの非経口投与のための従来の薬学製剤の形態で、例えば抗腫瘍剤として用いることができる。
【0099】
経口投与のための製剤は、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなどの固形剤、およびシロップなどの液体製剤を含む。これらの製剤は従来の方法によって調製することができる。固形剤は、ラクトース、コーンスターチなどのデンプン、微結晶性セルロースなどの結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどのような従来の薬学的担体を用いることによって調製することができる。カプセルは、このように調製した顆粒または粉末をカプセルに包むことによって調製することができる。シロップは、ショ糖、カルボキシメチルセルロースなどを含む水溶液中で、アミノチアゾール誘導体を溶解または懸濁することによって調製できる。
【0100】
非経口投与のための製剤は、点滴注入などの注入物を含む。注入製剤もまた従来の方法によって調製することができ、等張化剤(例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マンノース)、安定化剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アルブミン)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、p−ヒドロキシ安息香酸メチル)中に任意で組み入れることができる。
【0101】
アミノチアゾール誘導体は、腫瘍(特に大腸癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、前立腺癌または乳癌などの固形腫瘍)の治療のために効果的である。
【0102】
アミノチアゾール誘導体の用量は、疾患の重症度、患者の年齢および体重、投薬形態などに従って変化させることができるが、通常は成人において1日あたり1mg〜1,000mgの範囲であり、それは経口経路または非経口経路によって、1回、または2回もしくは3回に分割して投与できる。
【実施例】
【0103】
[試験例]
試験例1
【0104】
組換えヒトTNIK(N末端セグメント)の調製:
ヒトTNIK(NM_015028.1)のキナーゼドメインを含むN末端セグメント(TNIK_N、残基1〜314)をコードするcDNAを、以下のプライマーを用いて、PCRによってヒト組織(バイオチェイン(Biochain)社)から合成したcDNA混合物から増幅した:
【0105】
5’−AATTTCAGGGCGCCATGGCGAGCGACTCCCCGGCTCGAAG−3’([配列番号1]フォワードプライマー、下線を引いたヌクレオチドはEheI部位の位置を示す);
5’−ATTCGAAAGCGGCCGCTCATCCTCGCTTCTTCTTTGTTCTAT−3’([配列番号2]リバースプライマー、下線を引いたヌクレオチドはNotI部位の位置を示す)。
【0106】
プロテアーゼ切断部位およびグルタチオンS−トランスフェラーゼ精製タグ(GSTタグ)を含むバキュロウイルス転写ベクターpFastBac_GSTbの中へ、このcDNAをサブクローン化した。このプラスミドを精製し、pFastBac_GSTb−TNIK_Nの挿入をDNA塩基配列決定によって確認した。次に、大腸菌(E.coli)DH10Bacコンピテント細胞をプラスミドにより形質転換してバック・ツー・バック(Bac−to−Bac)(商標)バキュロウイルス発現系(インビトロジェン社)のための指示に従って、組換えバクミドを調製した。Sf9細胞を、SF−900II無血清培地(インビトロジェン社)中で、セルフェクチン(Cellfectin)試薬(インビトロジェン社)を用いて、pFastBac_GSTb−TNIK_Nを含む組換えバクミドによりトランスフェクションした。ウイルス上清をトランスフェクションの72時間後に培地から回収した。ウイルスは、Tフラスコまたはローラーボトル中で、10%FCSおよび抗生−抗真菌試薬(インビトロジェン社)を追加したグレース昆虫培地(インビトロジェン社)中で、27℃で72時間、活発に増殖中のSf9細胞またはSf21細胞を感染させることによって、3回増幅した。
【0107】
増幅されたTNIK_Nウイルスの力価は、バックパック(BacPAK)(商標)バキュロウイルス迅速力価キット(Baculovirus Rapid Titer kit)(クロンテック(Clontech)社)を用いることによって、2.36x10pfu/mlと推定した。
【0108】
グレース昆虫培地中で対数増殖期にあるSf21細胞(2×10細胞/ml)に、3.0MOIで組換えバキュロウイルスを感染させ、27℃で72時間ローラーボトル(1ボトルあたり250mlの培地)中でインキュベートし、その後に細胞を遠心分離によって回収し、細胞沈殿を冷PBSにより洗浄し、精製まで−80℃に保った。以下の精製手順は4℃で行なった。凍結細胞を氷上で解凍し、1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド、2μg/mlロイペプチン、2μg/mlアプロチニン、1mM NaF、100μMオルトバナジウム酸ナトリウムおよび1μMカンタリジンを追加した、溶解バッファー(50mMトリス−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1%ノニデットP−40、5mM DTT、0.5mM EDTA、0.5mM EGTA)中で超音波処理によって溶解した。懸濁した溶解物を、20分間9000gで遠心分離によって清澄にし、上清をグルタチオンセファロースビーズ(GEヘルスケア社)と共に1時間インキュベートした。ビーズをバッファーH(50mMトリス−HCl(pH7.5)、1M NaCl、1mM DTT、0.5mM EDTA、0.5mM EGTAおよび0.05%Brij35)中で懸濁し、エコノ−パックカラム(Econo−pack column)(バイオラッド(BIO−RAD)社)中で、バッファーH、続いてバッファーL(50mMトリス−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1mM DTT、0.5mM EDTA、0.5mM EGTA、0.05%Brij35)により洗浄した。結合したTNIK_Nは、溶出緩衝液(50mMトリス−HCl(pH8.0)、150mM NaCl、1mM DTT、10%グリセロール、0.5mM EDTA、0.5mM EGTAおよび5mM還元型グルタチオン)により溶出した。溶出した画分を回収し、ブラッドフォード試薬(バイオラッド社)によってタンパク質濃度を決定した。TNIK_N画分をプールし、保存バッファー(50mMトリス−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1mM DTT、10%グリセロール、0.05%Brij35)により平衡化した10DGカラム(バイオラッド社)を用いて脱塩した。精製したTNIK_Nを、4〜20%のポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動、およびボイジャー(Voyager)−DE RP MALDI/TOF(アプライド・バイオシステムズ社)上のマトリックス支援レーザー脱離イオン化反射型飛行時間(MALDI−TOF)質量分析によって特性を評価した。TNIK_Nを分子量およびMASCOTペプチド質量フィンガープリントによって確認した。
【0109】
キナーゼ分析:
キナーゼ分析は384ウェルプレート(グライナー(Greiner)社)を用いて20μlの体積で行った。反応混合物は、化合物または賦形剤(1%DMSO)、0.08ng/μl TNIK_N、1μM FITC標識基質ペプチドのFITC−x−Lys−Tyr−Lys−Thr−Leu−Arg−Gln([配列番号3]x:ε−アミノカプロン酸)、20mMヘペス(pH7.5)、0.01%トリトンX−100、5mM MgCl、25μM ATPおよび2mM DTTからなる。ブランクとしては、TNIK_Nを賦形剤(1%DMSO)の反応混合物から除外した。キナーゼ反応は室温で1時間行ない、60μlの終結バッファー(127mMヘペス(pH7.5)、26.7mM EDTA、0.01%トリトンX−100、1%DMSOおよび0.13%コーティング試薬3(キャリパー・ライフサイエンス(Caliper Life Sciences)社))を添加することによって停止させた。非リン酸化FITC標識基質ペプチドおよびリン酸化FITC標識基質ペプチドの量は、モビリティシフトマイクロフルイディックテクノロジー(Mobility Shift Micro−Fluidic Technology)(キャリパーLC3000システム、キャリパー・ライフサイエンス社)によって検出した。
【0110】
TNIK_Nのキナーゼ活性はP/(P+S)として定義された(P:リン酸化FITC標識基質ペプチドのピーク高;S:FITC標識基質ペプチドのピーク高)。
化合物の阻害は以下のように計算した;
阻害(%)=(1−(A−C)/(B−C))×100
A:化合物ウェルの平均のP/(P+S);
B:賦形剤ウェルの平均のP/(P+S);
C:ブランクのウェルの平均のP/(P+S)
【0111】
キナーゼに対する化合物のIC50値を対数濃度阻害曲線の回帰分析から計算した。
結果:
試験結果を表2−1〜表2−4中に示す。
【0112】
【表2−1】

【0113】
【表2−2】

【0114】
【表2−3】

【0115】
【表2−4】

【0116】
試験例2
選択性プロファイリングテスト:
20のチロシンキナーゼおよび30のセリン/スレオニンキナーゼに対する化合物1の抑制効果を、クイックスカウト(QuickScout)(商標)TKおよびSTKスクリーニングパネル(カルナ・バイオサイエンス(Carna Biosciences)社、神戸、日本)を用いて調べた。化合物1のIC50値を表3中に示す。この結果は、化合物1が他の50のキナーゼよりも強力に(IC50;9nM)TNIK_Nを阻害することを明らかにした。

化合物1の選択性プロファイリング
【0117】
【表3】

【0118】
試験例3
TCF/リンパ球エンハンサー因子(LEF)レポーター遺伝子分析:
ヒト大腸癌細胞株のDLD−1およびHCT−116を、ヒューマンサイエンス研究資源バンクおよび米国培養菌保存施設からそれぞれ入手した。pCIneo−HAベクター(プロメガ社)の中へ挿入した全長ヒトTNIKは、ケンイチ・カリヤ(Kenichi Kariya)博士(琉球大学)から快く贈られた。DLD1細胞およびHCT−116細胞を、標準TCF/LEFルシフェラーゼレポーター(TOP−FLASH)または変異体TCF/LEFルシフェラーゼレポーター(FOP−FLASH)、phRL−TK(プロメガ社)(内部標準)、およびpCIneo−HA−TNIKまたはpCIneo−HA(対照プラスミド)により三回コトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後に、化合物1または賦形剤を、0.078125μM、0.15625μM、0.3125μMおよび0.625μMの最終濃度で細胞に加えた。続く24時間後に、レポーター活性を、デュアル−ルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(プロメガ社)を用いることによって、取扱説明書に従って分析した。テスト結果を図1中に示す。結果を各サンプルのウミシイタケ属の値に対して正規化した。レポーター分析結果は、三回の分析の平均および標準偏差を表わす。化合物1は、濃度依存的様式でDLD1およびHCT−116においてβ−カテニン/TCF4仲介性転写を阻害した。
【0119】
[実施例]
以下の実施例は、例を挙げたのみであり、本発明の範囲を限定するものではない。
以下の説明で使用される略語、記号の意味は次の通りである。
【0120】
CDCl3: クロロホルム-d
D2O: 重水
DCM: ジクロロメタン
DMA: ジメチルアセトアミド
DMF: ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
EtOH: エタノール
EtOAc: 酢酸エチル
HCl: 塩酸
K2CO3: 炭酸カリウム
MeOH: メタノール
MgSO4: 硫酸マグネシウム
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム
Na2SO4: 硫酸ナトリウム
NH4Cl: 塩化アンモニウム
NH3: アンモニア
N2: 窒素
POCl3: オキシ塩化リン
THF: テトラヒドロフラン
TFA: トリフルオロ酢酸
Xantphos: 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
EDC: 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HOBT: 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
min.: 分
h or hr(s): 時間
RT or rt: 室温
sat.: 飽和
aq.: 水溶液
TLC: 薄層クロマトグラフィー
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
Prep HPLC: 分取HPLC
LC/MS: 高速液体クロマトグラフ質量分析計
MS: 質量分析計
NMR: 核磁気共鳴
【0121】
実施例1−3、5−16、20、26、34、36、46、52、54、61−63、65、66、81、121
【0122】
下記表4−1〜表4−5に示す各実施例は、適当な出発物質を用いて下記実施例4の方法に従い合成した。
【0123】
【表4−1】

【0124】
【表4−2】

【0125】
【表4−3】

【0126】
【表4−4】

【0127】
【表4−5】

【0128】
実施例4
5−(4−アセタミドベンズアミド)−2−(4−フルオロフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
(a)5−アミノ−2−(4−フルオロフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0129】
【化10】

【0130】
2−アミノ−2−シアノアセタミド(0.25 g, 2.5 mmol)の酢酸エチル懸濁液(7 mL)に4−フルオロフェニルイソチオシアネート(0.386 g, 2.5 mmol)を加え、混合溶液を30分間還流した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、2%メタノール−DCM溶液で溶出して0.4 g の標記化合物を得た(収率52%)。
【0131】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 6.65 (s, 2H), 6.89 (br, 2H), 7.04 (t, 2H J = 8.7 Hz), 7.6-7.7 (m, 2H), 9.56 (s, 1H). LCMS m/z [M+H]+253.0.
【0132】
(b)5−(4−アセタミドベンズアミド)−2−(4−フルオロフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0133】
【化11】

【0134】
4−アセタミド安息香酸(0.106 g, 0.59 mmol)および触媒量のDMFの乾燥THF溶液(5 mL)に塩化オキザリル(0.06 mL, 0.79 mmol)を0 ℃で加え、混合溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を留去したのち、窒素気流下、残存する塩化オキザリルをトルエンとの共沸により取り除いた。得られた酸塩化物をピリジン(5 mL)に溶解し、0 ℃に冷却した。この溶液に5−アミノ−2−(4−フルオロフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(0.1 g, 0.39 mmol)のピリジン溶液(5 mL)を0 ℃で加え、混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を留去後、残渣を1M塩酸に懸濁させ、析出した固体を濾取した。固体を水(10 mL)およびエーテル (20 mL)で洗浄し、乾燥させた。粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、3%メタノール−DCM溶液で溶出して38 mgの標記化合物を得た(収率10%)。
【0135】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.09 (s, 3H), 7.01 (t, 2H, J = 8.7 Hz), 7.7-7.9 (m, 8H), 10.09 (s, 1H), 10.32 (s, 1H), 12.5 (s, 1H). LCMS m/z [M+H]+414.4.
【0136】
実施例17
5−(4−アセタミドベンズアミド)−2−(4−ハイドロキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0137】
【化12】

【0138】
5−(4−アセタミドベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(100 mg, 0.23 mmol)の1,2−ジクロロエタン溶液(10 mL)にBBr3 (587.5 mg, 2.35 mmol)を窒素気流下、0 ℃で加え、混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物に1M塩酸(5ml)を加えて反応を終了させ、有機層を分離、濃縮した。得られた固体を回収し、ヘキサン、エーテルで順に洗浄し、乾燥させて70 mgの標記化合物を得た(収率72%)。
【0139】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.09 (s, 3H), 6.71 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.51 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.58 (br, 1H), 7.7-7.9 (m, 5H), 9.71 (s, 1H), 10.33 (s, 1H), 12.49 (s, 1H). LCMS m/z [M+H]+412.1.
【0140】
実施例18
tert−ブチル−4−[5−(4−アセタミドベンズアミド)−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ]フェニルカーバメート
【0141】
【化13】

【0142】
(a)tert−ブチル−4−イソチオシアナートフェニルカーバメート
【0143】
【化14】

【0144】
tert−ブチル−4−アミノフェニルカーバメート(0.5 g, 2.4 mmol)およびトリエチルアミン(0.98 mL, 7.2 mmol)のTHF溶液(45 mL)にチオホスゲン(0.2 mL, 2.64 mmol)を0 ℃で滴下し、その後混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止し、エーテルで抽出した(2 x 30 mL)。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して0.5 gの標記化合物(収率83%)を得た。本化合物は更なる精製はせず、そのまま次の反応に用いた。
【0145】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.50 (s, 9H), 6.50 (s, 1H), 7.14 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.34 (d, 2H, J = 8.4 Hz). LCMS m/z [M+H]+251.2.
【0146】
(b) tert-ブチル−4−(5−アミノ−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ)フェニルカーバメート
【0147】
【化15】

【0148】
2−アミノ−2−シアノアセタミド(0.178 g, 1.8 mmol)の酢酸エチル懸濁液(10 mL)にtert−ブチル−4−イソチオシアナートフェニルカーバメート(0.5 g, 2.0 mmol)を加え、混合溶液を30分間還流した。溶媒を留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、2%メタノール−DCM溶液で溶出して0.4 g の標記化合物を得た(収率57%)。
【0149】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.46 (s, 9H), 6.62 (s, 2H), 6.88 (s, 2H), 7.3-7.4 (m, 2H), 7.46 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 9.12 (s, 1H), 9.39 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 350.3.
【0150】
(c) tert-ブチル−4−[5−(4−アセトアミドベンズアミド)−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ]フェニルカーバメート
【0151】
【化16】

【0152】
4−アセタミド安息香酸(0.256 g, 1.43 mmol)および触媒量のTHFの乾燥THF溶液(15 mL)に塩化オキザリル(0.25 mL, 2.86 mmol)を0 ℃で加え、混合溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を留去したのち、窒素気流下、残存する塩化オキザリルをトルエンとの共沸により取り除いた。得られた酸塩化物をピリジン(10 mL)に溶解し、0 ℃に冷却した。この溶液にtert-ブチル−4−(5−アミノ−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ)フェニルカーバメート(0.4 g, 1.14 mmol)のピリジン溶液(5 mL)を0 ℃で加え、混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を留去後、残渣を1M塩酸に懸濁させ、析出した固体を濾取した。固体を水(10 mL)およびエーテル (20 mL)で洗浄し、乾燥させた。粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、2−5%メタノール−DCM溶液で溶出して125 mgの標記化合物を得た(収率21%)。
【0153】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.47 (s, 9H), 2.09 (s, 3H), 7.3-7.4 (m, 2H), 7.62 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.72 (s, 1H), 7.8-7.9 (m, 5H), 9.20 (br, 1H), 9.92 (s, 1H), 10.33 (s, 1H), 12.54 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] +511.3.
【0154】
実施例68−69、71、73、76、82、92、95−98、100、102、104
下記表5−1〜表5−2に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例18の方法に従い合成した。
【0155】
【表5−1】

【0156】
【表5−2】

【0157】
実施例19
5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(4−アミノフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0158】
【化17】

【0159】
tert-ブチル−4−[5−(4−アセトアミドベンズアミド)−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ]フェニルカーバメート(0.10 g, 19 mmol)を、アルゴン気流下、0 ℃で4M塩酸−1,4−ジオキサン(10 mL)に溶解し、混合物を0 ℃で3時間撹拌した。溶媒を留去後、残留する酸をトルエンとの共沸上流で取り除いた。得られた固体を乾燥させて78 mgの標記化合物を得た (収率98%)。
【0160】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.07 (s, 3H), 7.29 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.7-7.9 (m, 8H), 9.93 (br, 2H), 10.36 (s, 1H), 10.38 (s, 1H), 12.56 (s, 1H). LCMS m/z [M+H]+411.1.
【0161】
実施例21
5−(4−フルオロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0162】
【化18】

【0163】
(a)5−アミノ−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0164】
【化19】

【0165】
4−メトキシフェニルイソチオシアナート (1.91 g, 11.53 mmol)および2−アミノ−2−シアノアセタミド(1.20 g, 12.11 mmol)の酢酸エチル懸濁液(16 mL)を80 ℃ で50分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し析出した固体を濾別した。濾液を濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、2−5%メタノール−クロロホルム溶液で溶出して2.63 g の標記化合物を得た(収率86%)。
【0166】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.70 (s, 3H), 6.61 (s, 2H), 6.7-7.0 (m, 4H), 7.51 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 9.34 (s, 1H).
【0167】
(b)5−(4−フルオロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0168】
【化20】

【0169】
5−アミノ−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(920 mg, 3.48 mmol)のピリジン溶液(15 mL)に、0℃で4−フルオロベンゾイルクロリド(0.411 mL, 3.48 mmol)を加え、混合物を室温まで戻し、その後室温で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機層を水(x2)、飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた固体を回収し、50%ヘキサン−酢酸エチル溶液で洗浄して、1.04gの標記化合物を得た(収率77%)。
【0170】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.73 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.46 (t, 2H, J = 8.8 Hz), 7.6-7.75 (m, 3H), 7.84 (br, 1H), 7.96 (dd, 2H, J = 8.8, 5.2 Hz), 9.89 (s, 1H), 12.58 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 386.9.
【0171】
実施例59、105、112、115
下記表6に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例21の方法に従い合成した。
【0172】
【表6】

【0173】
実施例22
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド]チアゾール−4−カルボキサミド
【0174】
【化21】

【0175】
5−(4−フルオロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(50 mg, 0.13 mmol)および1−メチルピペラジン (0.072 mL, 0.65 mmol)のN−メチルピロリドン溶液 (0.6 mL)をマイクロウェーブ反応装置で40分間処理した(CEM corp, 180℃)。反応混合物を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、0−12%メタノール−クロロホルム溶液で溶出して38 mgの標記化合物を得た(収率63%)。
【0176】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.23 (s, 3H), 2.3-2.7 (m, 4H), 3.2-3.5 (m, 4H), 3.72 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.08 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.58 (br, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.73 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.76 (br, 1H), 9.82 (s, 1H), 12.39 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 467.0.
【0177】
実施例23−24、27−32、43、49、55−56、72、74−75、77−78、84、86−89、106、111、113
下記表7−1〜表7−6に示される化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例22の方法に従い合成した。
【0178】
【表7−1】

【0179】
【表7−2】

【0180】
【表7−3】

【0181】
【表7−4】

【0182】
【表7−5】

【0183】
【表7−6】

【0184】
実施例25
5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(4−アセトアミドフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0185】
【化22】

【0186】
5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(4−アミノフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(50 mg, 0.12 mmol)のピリジン溶液(2 mL)に、窒素気流下、0 ℃で塩化アセチル(14.4 mg, 0.182 mmol)を加え、その後、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して得られた残渣を1M塩酸に懸濁させた。析出した固体を濾取し、ヘキサン、メタノールで順に洗浄後、乾燥して52 mgの標記化合物を得た(収率76%)。
【0187】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.01 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 7.51 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.73 (s, 1H), 7.8-7.9 (m, 5H), 9.81 (s, 1H), 9.98 (s, 1H), 10.34 (s, 1H), 12.54 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 453.4.
【0188】
実施例33
5−(4−アミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0189】
【化23】

【0190】
(a)2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−(4−ニトロベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
【0191】
【化24】

【0192】
4−ニトロベンゾイル クロライド(0.7 g, 3.78 mmol)のピリジン溶液(6 mL) に5−アミノ−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド (1 g, 3.7 mmol) のピリジン溶液 (6 mL)を0 ℃で加え、混合物を12時間室温で攪拌した。溶媒を留去して得られた残渣を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M 塩酸 (2 x 100 mL)、水 (2 x 50 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2x50mL)、水 (50 mL) 次いで食塩水(50 mL)で順次洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して標記化合物0.41 g (収率27%) を得た。得られた化合物を更なる精製をすることなく次の工程に使用した。
【0193】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.70 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.70 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 8.13 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 8.43 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 9.93 (s, 1H), 12.76 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 414.2.
【0194】
(b)5−(4−アミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0195】
【化25】

【0196】
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−(4−ニトロベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド(0.1g, 0.24 mmol)のTHF-EtOH溶液(1:1, 30 mL)に塩化すず(II)2水和物(0.27 g, 1.2 mmol)を室温で加え、その後混合物を5時間還流した。反応混合物を濃縮して得られた残渣を酢酸エチルで希釈した。この溶液に、1M水酸化ナトリウム水溶液を溶液が塩基性(pH = 8−9)になるまで加えた。有機層を分離し、さらに水層を酢酸エチルで抽出した(2 x 50 mL)。得られた有機層を合わせ、セライト濾過した。濾液を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた固体を回収し、ヘキサンで洗浄し、39 mgの標記化合物を得た(収率42%)。
【0197】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.72 (s, 3H), 6.03 (s, 2H), 6.65 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 6.87 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.53 (s, 1H), 7.58 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.54 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.70 (s, 1H), 9.78 (s, 1H), 12.25 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 384.0.
【0198】
実施例35
5−(4−ヒドロキシベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0199】
【化26】

【0200】
(a)4−[4−カルバモイル−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−5−イルカルバモイル]フェニルアセテート
【0201】
【化27】

【0202】
4−アセトキシ安息香酸(350 mg, 1.97 mmol) のジクロロメタン懸濁溶液(36 mL)に、塩化オキザリル(0.696 mL, 7.95 mmol)および触媒量のDMFを0 ℃で加え、混合溶液を室温で5時間撹拌した。溶媒を留去したのち、窒素気流下、残存する塩化オキザリルをトルエンとの共沸により取り除いた。得られた酸塩化物を、5−アミノ−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(350 mg, 1.32 mmol)のピリジン溶液(10 mL)に0 ℃で加え、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に氷水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で2回洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を50%酢酸エチル−ジエチルエーテル溶液に懸濁させて得られた固体を濾取し、50%酢酸エチル−ジエチルエーテル溶液で洗浄して、382mgの標記化合物を得た(収率68%)。
【0203】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.32 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 6.89 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.39 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.84 (br, 1H), 7.94 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 9.90 (s, 1H), 12.59 (s, 1H).
【0204】
(b) 5−(4−ヒドロキシベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0205】
【化28】

【0206】
4−[4−カルバモイル−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−5−イルカルバモイル]フェニルアセテート(350 mg, 0.821 mmol)の乾燥メタノール溶液(45 mL)に炭酸カリウム(113 mg, 0.821 mmol)を加え、混合物を50℃で20分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水で希釈した。この溶液に2M塩酸(0.5 mL)を加えて酸性にした。生じた固体を濾取し、水で洗浄して250mgの標記化合物を得た(収率79%)。
【0207】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.72 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.60 (br, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.7-7.8 (m, 3H), 9.84 (s, 1H), 10.40 (br, 1H), 12.42 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 384.8.
【0208】
実施例37
5−[4−(2−ヒドロキシアセトアミド)ベンズアミド]−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0209】
【化29】

【0210】
5−(4−アミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(0.05g, 0.13 mmol)とトリエチルアミン(0.018 mL)のTHF溶液(10 mL)にアセトキシアセチルクロリド (0.016 mL, 0.16 mmol)を0 ℃で滴下し、その後混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した(3 x 20 mL)。得られた有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた固体をメタノール(5 mL)に溶解し、炭酸カリウム(30 mg, 0.22 mmol)および触媒量の水を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、2%メタノール−DCM溶液で溶出して7 mgの標記化合物を得た(収率9%)。
【0211】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.72 (s, 3H), 4.04 (d, 2H, J = 5.8 Hz), 5.7-5.8 (m, 1H), 6.88 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.80 (s, 1H), 7.85 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.94 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 9.86 (s, 1H), 10.07 (s, 1H), 12.51 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 442.3.
【0212】
実施例38
5−{4−[2−(ジメチルアミノ)アセトアミド]ベンズアミド}−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0213】
【化30】

【0214】
(a) 5−[4−(2−ブロモアセトアミド)ベンズアミド]−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0215】
【化31】

【0216】
5−(4−アミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(0.3 g, 0.78 mmol)とトリエチルアミン(0.213 mL, 1.56 mmol)のTHF溶液(30 mL)にブロモアセチルクロリド (135 mg, 0.86 mmol)を0 ℃で滴下し、その後混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた固体をメタノールで洗浄後、乾燥させて0.3 gの標記化合物を得た(収率75%)。
【0217】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.72 (s, 3H), 4.09 (s, 2H), 6.88 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.8-7.9 (m, 5H), 9.86 (s, 1H), 10.75 (s, 1H), 12.52 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 506.2.
【0218】
(b) 5−{4−[2−(ジメチルアミノ)アセトアミド]ベンズアミド}−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0219】
【化32】

【0220】
ジメチルアミン(11% メタノール溶液, 0.07 mL, 0.138 mmol)のTHF溶液(10 mL)に炭酸水素ナトリウム (11.5 mg, 0.138 mmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。5−[4−(2−ブロモアセトアミド)ベンズアミド]−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(70 mg, 0.138 mmol)のTHF溶液をこの溶液に0 ℃でゆっくり加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去して得られた残渣に水(10 mL)を加えた。析出した固体を濾取して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、60%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して15 mgの標記化合物を得た(収率23%)。
【0221】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.28 (s, 6H), 3.12 (s, 2H), 3.72 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.80 (s, 1H), 7.83 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.90 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 9.86 (s, 1H), 10.11 (s, 1H), 12.51 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 469.3.
【0222】
実施例39−42
下記表8に示す各化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例38の方法に従い合成した。
【0223】
【表8】

【0224】
実施例44
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]ベンズアミド}チアゾール−4−カルボキサミド
【0225】
【化33】

【0226】
5−アミノ−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(50 mg, 0.189 mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン (27 mg, 0.208 mmol)のDMA溶液(2 mL)に4−クロロメチルベンゾイルクロリド(39 mg, 0.208 mmol)を0℃で加え、混合物を室温で撹拌した。2時間後、1−メチルピペラジン(95 mg, 0.946 mmol)を混合物に加え、さらに室温で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機層を水で2回洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、0−12%メタノール−クロロホルム溶液で溶出して34 mgの標記化合物を得た(収率37%)。
【0227】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.17 (s, 3H), 2.2-2.6 (m, 8H), 3.55 (s, 2H), 3.73 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.53 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.83 (br, 1H), 7.85 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 9.88 (s, 1H), 12.56 (s, 1H), LCMS m/z [M+H] + 481.4.
【0228】
実施例99、101、107、109、110
下記表9に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例44の方法に従い合成した。
【0229】
【表9】

【0230】
実施例45
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−{4−[2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアミド}チアゾール−4−カルボキサミド
【0231】
【化34】

【0232】
5−(4−ヒドロキシベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(50 mg, 013 mmol)および炭酸カリウム(47 mg, 0.34 mmol)のDMF溶液(2 mL)に2−クロロエチルピロリジン塩酸塩(29 mg, 0.17 mmol)を室温で加え、その後混合物を80℃で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で2回洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、0−12%メタノール−クロロホルム溶液で溶出して16 mgの標記化合物を得た(収率26%)。
【0233】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.5-1.8 (m, 4H), 2.3-2.6 (m, 4H), 2.7-3.0 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 4.18 (t, 2H, J = 5.6 Hz), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.17 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.63 (br, 1H), 7.66 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.80 (br, 1H), 7.84 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 9.86 (s, 1H), 12.49 (s, 1H), LCMS m/z [M+H] + 482.4.
【0234】
実施例58、60、122
下記表10に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例45の方法に従い合成した。
【0235】
【表10】

【0236】
実施例47
5−(4−メトキシベンズアミド)−2−(ピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0237】
【化35】

【0238】
(a)エチル5−アミノ−2−ブロモチアゾール−4−カルボキシレート
【0239】
【化36】

【0240】
N−ブロモスクシンイミド(0.54 g, 3.03 mmol)を、Golankiewiczらの方法(Tetrahedron, 41 (24), 5989-5994 (1985))により製造した5−アミノチアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(0.44 g, 2.53 mmol)のアセトニトリル溶液(10 mL)に加え、混合物を30分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(50 mL)で希釈し、5% 炭酸カリウム水溶液 (25 mL)、続いて飽和食塩水 (25mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、15%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して0.37 gの標記化合物を得た(収率58%)。
【0241】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.38 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 4.37 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 6.02 (s, 2H). LCMS m/z [M+H] + 253.1.
【0242】
(b)エチル2−ブロモ−5−(4−メトキシベンズアミド)チアゾール−4−カルボキシレート
【0243】
【化37】

【0244】
p−アニソイルクロリド(1.87 g, 11 mmol)のピリジン溶液(30 mL)にエチル5−アミノ−2−ブロモチアゾール−4−カルボキシレート(1.5 g, 5.5 mmol)のピリジン溶液(52 mL)を0 ℃で10分間かけて滴下し、その後混合物を室温で72時間撹拌した。反応混合物を1M塩酸で希釈し、酢酸エチルで抽出した(4 x 200 mL)。得られた有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、10%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して1.35gの標記化合物を得た(収率58%)。
【0245】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.45 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 3.89 (s, 3H), 4.48 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 7.02 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.96 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 11.72 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 385.2.
【0246】
(c)エチル5−(4−メトキシベンズアミド)−2−(ピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキシレート
【0247】
【化38】

【0248】
エチル2−ブロモ−5−(4−メトキシベンズアミド)チアゾール−4−カルボキシレート(0.2 g, 0.519 mmol)の1,4−ジオキサン溶液(18 mL)にアルゴン気流下、Xantphos (0.060 g, 0.1 mmol)およびPd2 (dba)3 (0.047g, 0.05 mmol)を加えた。さらに炭酸セシウム(0.337g, 1.03 mmol)および4−アミノピリジン(0.048 g, 0.519 mmol)を加え、混合物を5時間還流した。反応混合物をセライト濾過し、そのセライトを酢酸エチルで洗浄した(3 x 5 mL)。濾液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、40%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して54 mgの標記化合物を得た(収率26%)。
【0249】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.38 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 3.87 (s, 3H), 4.42 (q, 2H, J = 7.0 Hz), 7.17 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.58 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 7.92 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 8.39 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 10.60 (s, 1H), 11.39 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 399.1.
【0250】
(d)5−(4−メトキシベンズアミド)−2−(ピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0251】
【化39】

【0252】
エチル5−(4−メトキシベンズアミド)−2−(ピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキシレート(0.05 g, 0.12 mmol)のTHF溶液(3 mL)に7Mアンモニア−メタノール溶液(7mL)を加え、封管中80 ℃で5時間加熱した。溶媒を留去して得られた固体を集め、エーテルで洗浄後、乾燥して、21 mgの標記化合物を得た(収率45%)。
【0253】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.86 (s, 3H), 7.16 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.6-7.8 (m, 2H), 7.8-8.0 (m, 4H), 8.3-8.4 (m, 2H), 10.50 (s, 1H), 12.58 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 370.4.
【0254】
実施例50、51、57
表11に示す各化合物は、適当な出発物質を用いて実施例47の方法に従い合成した。
【0255】
【表11】

【0256】
実施例48
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−{4−[N−(メチルスルホニル)メチルスルホンアミド]ベンズアミド}チアゾール−4−カルボキサミド
【0257】
【化40】

【0258】
5−(4−アミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(0.150 g, 0.3916 mmol)とトリエチルアミン(0.2 mL, 1.56 mmol)のTHF溶液(10 mL)に塩化メタンスルホニル(0.09 mL, 1.174 mmol)を0℃で滴下し、その後混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。水を油状残渣に加えて析出した固体を濾取して、100 mgの標記化合物を得た(収率47%)。
【0259】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.59 (s, 6H), 3.72 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.78 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.86 (br, 1H), 7.97 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 9.91 (s, 1H), 12.63 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 540.4.
【0260】
実施例53
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−[4−(メチルスルホンアミド)ベンズアミド]チアゾール−4−カルボキサミド
【0261】
【化41】

【0262】
5−(4−アミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(0.06 g, 0.156 mmol)のTHF溶液(10 mL)に新たに蒸留した塩化メタンスルホニル(0.02 mL, 0.313 mmol)を0℃で滴下し、続いてトリエチルアミン(0.06 mL, 0.468 mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。反応を完結させるため、さらに0.5モル当量の塩化メタンスルホニルおよび1当量のトリエチルアミンを混合物に加え、一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、50%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して11.5 mgの標記化合物を得た(収率15%)。
【0263】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 33.12 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 6.87 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.36 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.64 (br, 2H), 7.65 (d, 4H, J = 9.0 Hz), 7.82 (br, 1H), 7.85 (t, 2H, J = 8.6 Hz), 9.88 (s, 1H), 12.50 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 462.2.
【0264】
実施例64
5−(3−アミノ−4−メチルベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0265】
【化42】

【0266】
2−(4−メトキシフェニルアミノ)−5−(4−メチル−3−ニトロベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド(0.2 g, 0.47 mmol)のTHF-MeOH溶液(1:1, 100 mL)に10%パラジウム/炭素(0.02 g)を室温で加え、その混合物を水素ガス雰囲気化で12時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、0.165 g (収率89%)の標記化合物を得た。
【0267】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.12 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 5.25 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.88 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.95 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.17 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.75 (s, 1H), 9.83 (s, 1H), 12.34 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 398.2.
【0268】
実施例85、90、93、108
下記表12に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例64の方法に従い合成した。
【0269】
【表12】

【0270】
実施例67
5−(4−メトキシベンズアミド)−2−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0271】
【化43】

【0272】
(a)1−(2−メトキシエトキシ)−4−ニトロベンゼン
【0273】
【化44】

【0274】
1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(2.00 g, 14.18 mmol)、2−メトキシエタノール(1.28 g, 16.84 mmol)および水酸化カリウム(1.37 g, 21.07 mmol)のDMSO溶液(30 mL)を60℃で20時間加熱した。反応混合物を水(50 mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(3×100 mL)。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、10%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して、0.37 g(収率13%)の標記化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.31 (s, 3H), 3.69 (t, 2H, J = 4.4 Hz), 4.25 (t, 2H, J = 4.1 Hz), 7.16 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 8.20 (d, 2H, J = 9.0 Hz). LCMS m/z [M+H] + 198.4.
【0275】
(b)4−(2−メトキシエトキシ)ベンゼンアミン
【0276】
【化45】

【0277】
1−(2−メトキシエトキシ)−4−ニトロベンゼン(0.37 g, 1.88 mmol)のTHF-MeOH溶液(1:1, 60 mL)に10%パラジウム/炭素(0.04 g)を室温で加え、その混合物を水素ガス雰囲気化で3時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、0.31 g (収率99%)の標記化合物を得た。
【0278】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.28 (s, 3H), 3.57 (t, 2H, J = 4.7 Hz), 3.91 (t, 2H, J = 4.1 Hz), 4.58 (s, 2H), 6.49 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 6.63 (d, 2H, J = 8.4 Hz). LCMS m/z [M+H] + 168.4.
【0279】
(c)1−イソチオシアネート−4−(2−メトキシエトキシ)ベンゼン
【0280】
【化46】

【0281】
4−(2−メトキシエトキシ)ベンゼンアミン(0.31 g, 1.85 mmol)のDCM溶液(40 mL)にチオカルボニルジイミダゾール(0.39 g, 2.2 mmol)を0℃で加え、2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、10%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して、0.37 g(収率96%)の標記化合物を得た。
【0282】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.29 (s, 3H), 3.64 (q, 2H, J = 3.0 Hz), 4.11 (q, 2H, J = 4.4 Hz), 6.99 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.38 (d, 2H, J = 9.0 Hz). LCMS m/z [M+H] + 210.4.
【0283】
(d)5−アミノ−2−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0284】
【化47】

【0285】
1−イソチオシアネート−4−(2−メトキシエトキシ)ベンゼン(0.37 g, 1.78 mmol)及び2−アミノ−2−シアノアセトアミド(0.18 g, 1.78 mmol)の酢酸エチル溶液(15 mL)を1時間還流した。反応混合物を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、10%MeOH−DCM溶液で溶出して、0.2 g(収率36%)の標記化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.4 (s, 3H), 3.6-3.7 (m, 2H), 4.0-4.1 (m, 2H), 6.60 (br, 1H), 6.75-6.90 (m, 4H), 7.49 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 9.33 (s, 1H).
【0286】
(e)5−(4−メトキシベンズアミド)−2−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0287】
【化48】

【0288】
p−メトキシベンゾイルクロリド(0.074 g, 0.44 mmol)のピリジン溶液(5 mL)に、5−アミノ−2−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド(0.15 g, 0.49 mmol)のピリジン溶液(3 mL)を0℃で加え、混合物を室温まで上昇させ、室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で順に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して、0.026 g(収率12%)の標記化合物を得た。
【0289】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.27 (s, 3H), 3.6-3.7 (m, 2H), 3.86 (s, 3H), 4.0-4.1 (m, 2H), 6.88 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.15 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.79 (s, 1H), 7.85 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 9.86 (s, 1H), 12.49 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 443.4.
【0290】
実施例70
2−(6−アミノピリジン−3−イルアミノ)−5−(4−メトキシベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
【0291】
【化49】

【0292】
(a) tert-ブチル 5−イソチオシアネートピリジン−2−イルカルバメート
【0293】
【化50】

【0294】
撹拌しているtert-ブチル 5−アミノピリジン−2−イルカルバメート(0.35 g, 1.67 mmol)のTHF溶液(20 mL)に、0℃でトリエチルアミン(0.70 mL, 5.02 mmol)とチオホスゲン(0.13 mL, 1.67 mmol)をゆっくり加え、その混合物を室温で40分間撹拌した。反応混合物に氷水を加えて反応を停止し、ジエチルエーテル(70 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。残留固体を集め、n−ヘキサンで洗浄して、261 mg(収率62%)の標記化合物を得た。
【0295】
1 H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.53 (s, 9H), 7.4-7.55 (m, 2H), 7.97 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.17 (d, 1H, J = 2.4 Hz).
【0296】
(b) tert-ブチル 5−(5−アミノ−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ)ピリジン−2−イルカルバメート
【0297】
【化51】

【0298】
tert-ブチル 5−イソチオシアネートピリジン−2−イルカルバメート (261 mg, 1.04 mmol)および2−アミノ−2−シアノアセトアミド(103 mg, 1.04 mmol)の酢酸エチル溶液(14 mL)を45分間還流した。反応混合物を室温まで冷却したのち、析出した沈殿をろ別し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、0%〜9%MeOH−CHCl3溶液で溶出して、219 mg(収率60%)の標記化合物を得た。
【0299】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.47 (s, 9H), 6.68 (s, 2H), 6.8-7.0 (m, 2H), 7.68 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.23 (dd, 1H, J = 8.8, 2.8 Hz), 8.28 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 9.44 (s, 1H), 9.62 (s, 1H).
【0300】
(c) tert-ブチル 5−[5−(4−メトキシベンズアミド)−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ]ピリジン−2−イルカルバメート
【0301】
【化52】

【0302】
tert-ブチル 5−(5−アミノ−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ)ピリジン−2−イルカルバメート(219 mg, 0.626 mmol)のピリジン溶液(3 mL)に、4−メトキシベンゾイルクロリド(0.089 mL, 0.657 mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で1晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた固体を集め、酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄して、219 mg(収率72%)の標記化合物を得た。
【0303】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.47 (s, 9H), 3.86 (s, 3H), 7.16 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.75-7.85 (m, 2H), 7.87 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 8.35-8.5 (m, 2H), 9.52 (s, 1H), 10.13 (s, 1H), 12.56 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 485.0.
【0304】
(d)2−(6−アミノピリジン−3−イルアミノ)−5−(4−メトキシベンズアミド)チアゾール−4−カルボキサミド
【0305】
【化53】

【0306】
tert-ブチル 5−[5−(4−メトキシベンズアミド)−4−カルバモイルチアゾール−2−イルアミノ]ピリジン−2−イルカルバメート(100 mg, 0.206 mmol)の1,4−ジオキサン懸濁溶液(5 mL)に4M塩酸−ジオキサン(5 mL)を0℃で加えたのち、室温で1晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。油状残留物に酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウムを加えて析出した固体をろ取した。得られた固体を酢酸エチル及び水で洗浄し、50 mg(収率63%)標記化合物を得た。
【0307】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.86 (s, 3H), 5.62 (s, 2H), 6.46 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.15 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.58 (br, 1H), 7.76 (br, 1H), 7.85 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.92 (dd, 1H, J = 8.8, 2.8 Hz), 8.10 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 9.59 (s, 1H), 12.48 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 385.4.
【0308】
実施例79
表13に示す実施例79は、適当な出発物質を用いて上記実施例70の方法に従い合成した。
【0309】
【表13】

【0310】
実施例80
5−(3−アミノ−4−メトキシベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0311】
【化54】

【0312】
(a)5−(4−メトキシ−3−ニトロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0313】
【化55】

【0314】
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸(112 mg, 0.569 mmol)のDCM懸濁溶液(15 mL)にオキザリルクロリド(0.199 mL, 2.27 mmol)及び触媒量のDMFを0℃で加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を留去したのち、窒素気流下、残存する塩化オキザリルをトルエンとの共沸により取り除いた。得られた酸塩化物を5−アミノ−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(100 mg, 0.378 mmol)のピリジン溶液(2 mL)に0℃で加え、混合物を室温で1晩撹拌した。反応混合物に氷水を加えて反応を停止させ、酢酸エチルで希釈した。析出した固体を濾取し、50%酢酸エチル−ジエチルエーテル溶液で洗浄して、98 mg(収率58%)の標記化合物を得た。
【0315】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.73 (s, 3H), 4.04 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.61 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.68 (br, 1H), 7.86 (br, 1H), 8.13 (dd, 1H, J = 8.8, 2.4 Hz), 8.37 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 9.91 (s, 1H), 12.64 (s, 1H).
【0316】
(b) 5−(3−アミノ−4−メトキシベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0317】
【化56】

【0318】
5−(4−メトキシ−3−ニトロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(50 mg, 0.113 mmol)のエーテル水溶液(12.5 mL, 4:1)にFe (63 mg, 1.13 mmol)およびNH4Cl (3.0 mg, 0.056 mmol)を加え、混合物を1時間還流した。室温まで冷却後、不溶物をセライト濾過し、エタノール及び酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して得られた固体を酢酸エチルで洗浄して、25 mg(収率54%)の標記化合物を得た。
【0319】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.73 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 5.12 (s, 2H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.10 (dd, 1H, J = 8.4, 2.0 Hz), 7.21 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.57 (br, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.74 (br, 1H), 9.83 (s, 1H), 12.31 (s, 1H). LCMS m/z [M+H]+ 414.0.
【0320】
実施例83
5−(3−アミノ−4−フルオロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0321】
【化57】

【0322】
5−(4−フルオロ−3−ニトロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(50 mg, 0.116 mmol)のエタノール−水溶液(10:2.5 mL)にFe (65 mg, 1.16 mmol)およびNH4Cl (3.1 mg, 0.058 mmol)を加え、混合物を1時間還流した。室温まで冷却後、不溶物をセライト濾過し、エタノール及び酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して得られた固体を回収し、酢酸エチルで洗浄して、10 mg(収率21%)の標記化合物を得た。
【0323】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ (ppm) 3.73 (s, 3H), 5.59 (s, 2H), 6.88 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.95-7.1 (m, 1H), 7.20 (dd, 1H, J = 10.8, 8.8 Hz), 7.34 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 7.61 (br, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.78 (br, 1H), 9.84 (s, 1H), 12.39 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 401.9.
【0324】
実施例114、116
下記表14に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例83の方法に従い合成した。
【0325】
【表14】

【0326】
実施例91
表15に示す実施例91は、適当な出発物質を用いて下記実施例94の方法に従い合成した。
【0327】
【表15】

【0328】
実施例94
5−(4−メトキシベンズアミド)−2−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0329】
【化58】

【0330】
(a)1−ニトロ−4−(2−プロピニルオキシ)ベンゼン
【0331】
【化59】

【0332】
4−ニトロフェノール(2.00 g, 14.28 mmol)、プロパギルブロミド(1.33 mL, 15.10 mmol)、0.8M水酸化ナトリウム水溶液(18mL)及びn−テトラブチルアンモニウムブロミド(0.46 g, 1.44 mmol)のトルエン溶液(8 mL)を60℃で24時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体をろ取した。固体をジオキサンに溶解した溶液に水を加えた。生じた固体をろ取し、水で洗浄して、1.75 g(収率68%)の標記化合物を得た。
【0333】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 2.58 (s, 1H), 4.79 (d, 2H, J = 1.4 Hz), 7.05 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 8.22 (d, 2H, J = 9.2 Hz).
【0334】
(b)4−(2−プロピニルオキシ)ベンゼンアミン
【0335】
【化60】

【0336】
1−ニトロ−4−(2−プロピニルオキシ)ベンゼン(1.0 g, 5.6 mmol)のメタノール溶液(25 mL)に10%パラジウム/炭素(0.1 g)を室温で加え、混合物を水素ガス雰囲気化で16時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、0.65 g (収率78%)の標記化合物を得た。
【0337】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 2.50 (s, 1H), 4.59 (s, 2H), 6.48 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 8.62 (d, 2H, J = 9.5 Hz).
【0338】
(c)1−イソチアシアネート−4−(2−プロピニルオキシ)ベンゼン
【0339】
【化61】

【0340】
4−(2−プロピニルオキシ)ベンゼンアミン(0.45 g, 3.06 mmol)及びトリエチルアミン(0.6 mL, 6.13 mmol)のDCM溶液(25 mL)にチオホスゲン(0.28 mL, 3.67 mmol)を0℃で滴下し、その後混合物を室温で90分間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止し、DCMで抽出した(2 x 100 mL)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して0.51 gの標記化合物(収率88%)を得た。
【0341】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 2.52 (s, 1H), 4.68 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 6.92 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.17 (d, 2H, J = 8.6 Hz).
【0342】
(d)5−アミノ−2−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0343】
【化62】

【0344】
1−イソチアシアネート−4−(2−プロピニルオキシ)ベンゼン(0.51 g, 2.73 mmol)および2−アミノ−2−シアノアセタミド(0.27 g, 2.73 mmol)の酢酸エチル溶液(15
mL)を3時間還流した。反応混合物を濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、5%メタノール−DCM溶液で溶出して0.2 g(収率36%)の標記化合物を得た。
【0345】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.53 (s, 1H), 3.6-3.7 (m, 2H), 4.0-4.1 (m, 2H), 6.60 (br, 1H), 6.75-6.90 (m, 4H), 7.49 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 9.33 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 289.0.
【0346】
(e)5−(4−メトキシベンズアミド)−2−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0347】
【化63】

【0348】
p−アニソイルクロライド(0.179 g, 1.05 mmol)のピリジン溶液(5 mL)に、0℃で5−アミノ−2−[4−(2−プロピニルオキシ)フェニルアミノ]チアゾール−4−カルボキサミド(0.2 g, 0.70 mmol)のピリジン溶液(5 mL)を加え、混合物を0℃で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮して得られた残渣を1M塩酸(10 mL)に溶解し、析出した固体をろ取した。固体を酢酸エチル(10 mL)、メタノール(10 mL)で洗浄し、乾燥して、0.2 g(収率68%)の標記化合物を得た。
【0349】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.55 (s, 1H), 3.85 (s, 3H), 4.74 (s, 2H), 6.93 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.15 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.6-7.7 (m, 3H), 7.79 (s, 1H), 7.85 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 9.91 (s, 1H), 12.51 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 423.0.
【0350】
実施例103
5−(3,4−ジアミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0351】
【化64】

【0352】
(a)5−(4−アミノ−3−ニトロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0353】
【化65】

【0354】
5−(4−フルオロ−3−ニトロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(35 mg, 0.081 mmol)及び28%アンモニア水(0.7 mL)のDMA溶液(0.3 mL)をマイクロウェーブ反応装置で30分間処理した(Biotage社製、60℃)。反応混合物を水で希釈して得られた固体を回収し、水で洗浄して、30 mg(収率86%)標記化合物を得た。
【0355】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.73 (s, 3H), 6.88 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.16 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.5-7.7 (m, 3H), 7.75-7.9 (m, 2H), 8.02 (br, 2H), 8.55 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 9.86 (s, 1H), 12.55 (s, 1H).
【0356】
(b)5−(3,4−ジアミノベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0357】
【化66】

【0358】
5−(4−アミノ−3−ニトロベンズアミド)−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(30 mg, 0.070 mmol)のエタノール−水溶液(10-2.5 mL)にFe(39 mg, 0.70 mmol)およびNH4Cl(1.9 mg, 0.035 mmol)を加え、混合物を3時間還流した。室温まで冷却後、不溶物をセライト濾過し、エタノール及び酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して得られた固体を回収し、酢酸エチル及び水で洗浄して、15 mg(収率52%)の標記化合物を得た。
【0359】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) δ 3.72 (s, 3H), 5.35 (br, 2H), 6.61 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.88 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.01 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.51 (br, 1H), 7.64 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.68 (br, 1H), 9.76 (s, 1H), 12.16 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 398.9.
【0360】
実施例117−119、123−126、129
下記表16−1〜表16−2に示す化合物は、適当な出発物質を用いて上記実施例103の方法に従い合成した。
【0361】
【表16−1】

【0362】
【表16−2】

【0363】
実施例120
5−[3−アミノ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアミド]−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0364】
【化67】

【0365】
(a)5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ニトロベンズアミド]−2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]チアゾール−4−カルボキサミド
【0366】
【化68】

【0367】
5−(4−フルオロ−3−ニトロベンズアミド)−2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]チアゾール−4−カルボキサミド(0.1 g, 0.23 mmol)、エチレングリコール(0.04 mL, 0.69 mmol)及び炭酸カリウム(0.32 g, 2.3 mmol)のNMP溶液(2 mL)をマイクロウェーブ反応装置で45分間処理した(120℃)。反応混合物を水(5 mL)で希釈して得られた固体を回収し、エーテル(20 mL)及び酢酸エチル(20 mL)で順に洗浄して、0.038 g(収率35%)標記化合物を得た。
【0368】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.65-3.8 (m, 5H), 4.2-4.4 (m, 2H), 6.88 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.55-7.75 (m, 4H), 7.88 (br, 1H), 8.08 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 8.35 (s, 1H), 9.92 (s, 1H), 12.63 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 474.2.
【0369】
(b)5−[3−アミノ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアミド]−2−(4−メトキシフェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0370】
【化69】

【0371】
5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ニトロベンズアミド]−2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]チアゾール−4−カルボキサミド(0.09 g, 0.19 mmol)のTHF-MeOH溶液(1:1, 30 mL)に10%パラジウム/炭素(0.01 g)を室温で加え、その混合物を水素ガス雰囲気化で12時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、0.005 g (収率6%)の標記化合物を得た。
【0372】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.7-3.9 (m, 5H), 3.9-4.1 (m, 2H), 6.88 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 6.95 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.0-7.1 (m, 2H), 7.15 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.28 (br, 1H), 7.59 (br, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.76 (br, 1H), 9.85 (s, 1H), 12.32 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 444.4.
【0373】
実施例128
表17に示す実施例128は、適当な出発物質を用いて上記実施例120の方法に従い合成した。
【0374】
【表17】

【0375】
実施例127
5−[3−アミノ−4−(2−メトキシエトキシ)ベンズアミド]−2−(2−フルオロピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0376】
【化70】

【0377】
(a)4−(2−メトキシエトキシ)−3−ニトロ安息香酸
【0378】
【化71】

【0379】
2−メトキシエタノール(0.95 g, 12.5 mmol)のDMF溶液(3 mL)を、NaH(0.64 g, 60%)のDMF懸濁液(3 mL)に0℃でゆっくり加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、この混合物に4−フルオロ−3−ニトロ安息香酸(1 g, 5.4 mmol)のDMF溶液(4 mL)を0℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。反応混合物に冷1M塩酸を加えて反応を終了させ、酢酸エチル(3x100 mL)で抽出した。合わせた有機層を水、飽和食塩水で順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、30%酢酸エチル−ヘキサン溶液で溶出して、1 g(収率76%)の標記化合物を得た。
【0380】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.31 (s, 3H), 3.65-3.75 (m, 2H), 4.3-4.45 (m, 2H), 7.48 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.15 (dd, 1H, J = 8.8, 1.8 Hz), 8.33 (d, 1H, J = 1.9 Hz), 13.26 (br, 1H). LCMS m/z [M+H] + 242.2.
【0381】
(b)5−[4−(2−メトキシエトキシ)−3−ニトロベンズアミド]−2−(2−フルオロピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0382】
【化72】

【0383】
4−(2−メトキシエトキシ)−3−ニトロ安息香酸(0.2 g, 0.82 mmol)及び触媒量のDMFの無水DCM溶液(15 mL)に塩化オキザリル(1 mL)を0℃で加え、混合溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を留去したのち、窒素気流下、残存する塩化オキザリルをトルエンとの共沸により取り除いた。得られた酸塩化物をピリジン(15 mL)に溶解し、0 ℃に冷却した。この溶液に5−アミノ−2−[(2−フルオロピリジン−4−イル)アミノ]チアゾール−4−カルボキサミド(0.17 g, 0.066 mmol)のピリジン溶液(10 mL)を0℃で加え、混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を留去後、氷水を残渣に加え、析出した固体を濾取した。固体をメタノールで洗浄して35 mg(収率9%)の標記化合物を得た。
【0384】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.2-3.4 (m, 3H), 3.65-3.8 (m, 2H), 4.35-4.5 (m, 2H), 7.44 (br, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.62 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.90 (br, 1H), 8.00 (d, 1H, J = 5.6 Hz), 8.06 (br, 1H), 8.11 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 8.37 (s, 1H), 10.84 (s, 1H), 12.76 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 477.0.
【0385】
(c)5−[3−アミノ−4−(2−メトキシエトキシ)ベンズアミド]−2−(2−フルオロピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド
【0386】
【化73】

【0387】
5−[4−(2−メトキシエトキシ)−3−ニトロベンズアミド]−2−(2−フルオロピリジン−4−イルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(0.03 g, 0.063 mmol)のTHF-MeOH溶液(1:1, 40 mL)に10%パラジウム/炭素(0.01 g)を室温で加え、その混合物を水素ガス雰囲気化で12時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、0.01 g (収率36%)の標記化合物を得た。
【0388】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 3.34 (s, 3H), 3.7-3.8 (m, 2H), 4.25-4.35 (m, 2H), 7.28 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.47 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 7.5-7.6 (m, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.85 (br, 1H), 7.99 (d, 1H, J = 5.7 Hz), 8.03 (br, 1H), 11.03 (s, 1H), 12.61 (s, 1H). LCMS m/z [M+H] + 447.5.
【0389】
実施例130
錠剤の調製:
各々100mgの5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(化合物1)を含む錠剤は、以下の手順によって得る。
【0390】
【表18】

【0391】
手順:
化合物1、コーンスターチおよび微結晶性セルロースを混合し、混合物を、50重量部の水中に溶解したヒドロキシプロピルセルロースに加え、続いて十分に混練する。混練した混合物は、粒状にするためにふるいにかけ、乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、次に各々が250mgの錠剤になるように圧縮する。
【0392】
実施例131
顆粒剤の調製:
5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(化合物1)を含む顆粒剤を、以下の手順によって得る。
【0393】
【表19】

【0394】
手順:
化合物1、ラクトースおよびコーンスターチを混合し、混合物は、120重量部の水中に溶解したヒドロキシプロピルセルロースに加え、続いて十分に混練する。混練した混合物を粒状にするために20メッシュのふるいにかけ、乾燥し、次に大きさを調整して500mgの顆粒あたり200mgの化合物1を含む顆粒剤を得た。
【0395】
実施例132
カプセル剤の調製:
各々が100mgの5−(4−アセトアミドベンズアミド)−2−(フェニルアミノ)チアゾール−4−カルボキサミド(化合物1)を含むカプセルを、以下の手順によって得る。
【0396】
【表20】

【0397】
手順:
化合物1、ラクトース、コーンスターチおよびステアリン酸マグネシウムを十分に混合し、200mgの粉末混合物の各々をカプセル化してカプセル剤を得る。
【0398】
以下は、背景技術に記載された、本発明の有用性の評価方法についての参照記述の詳細である。
参照方法
方法の要約
免疫沈降、イムノブロット、免疫蛍光顕微鏡、免疫組織化学、質量分析、2−ハイブリッド分析、ルシフェラーゼレポーター分析、コロニー形成、リアルタイムRT−PCR、体軸形成分析およびアニマルキャップ分析の方法論の詳細は、「詳細な方法」において記載されている。この研究で用いられる抗体は商業的に入手可能である。マウスおよびツメガエル属の実験は、国立がんセンター研究所(National Cancer Center Research Institute)(東京、日本)の、日本の法律によって規定された倫理的要件をすべて満たすガイドラインに従って実行した。信頼できる結果を得るために必要な最少数のマウスを用い、安楽死させた。患者は、研究目的のための材料の収集および使用に権限を与える明文化されたインフォームドコンセントを受けた。実験的プロトコールは、施設内の倫理および組換え安全委員会によって検閲および承認された。
【0399】
詳細な方法
【0400】
細胞株:
ヒト胎児腎臓細胞株HEK293およびヒト大腸癌細胞株DLD1は、ヒューマンサイエンス研究資源バンク(Health Science Research Resources Bank)(大阪、日本)から得た。ヒト子宮頸癌細胞株HeLaは理研細胞バンク(Riken Cell Bank)(筑波、日本)から得た。ヒト大腸癌細胞株のHCT−116およびWiDrは米国培養菌保存施設(American Type Culture Collection)(ロックヴィル、メリーランド)から購入した。
【0401】
免疫沈降:
以前に記述されたように、全細胞溶解物を調製した。溶解物を表示された抗体または関連の対照IgGと共に4℃で一晩インキュベートし、ダイナビーズ(Dynabeads)プロテインG(ダイナル・バイオテク(Dynal Biotech)社、オスロ、ノルウェー)により沈殿させた。
【0402】
イムノブロット分析:
タンパク質サンプルをSDS−PAGEによって分画し、イモビロンPメンブレン(ミリポア(Millipore)社、ビレリカ、マサチューセッツ)上にブロットした。一晩4℃での一次抗体を用いたインキュベーション後に、ブロットを、関連のホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート抗マウスまたは抗ウサギIgG抗体、およびECLウェスタンブロッティング検出試薬(GEヘルスケア(GE Healthcare)社、ジャイルズ、イギリス)により、検出した。ブロットの強度は、LAS−3000スキャナーおよびサイエンス・ラボ(Science Lab)2003ソフトウェア(富士フィルム(Fuji Film)社、東京、日本)を用いて定量した。
【0403】
質量分析(MS):
SDS−PAGEゲルにおけるタンパク質バンドをクマシーブルー染色によって可視化し、以前に記述されたように修飾トリプシン(プロメガ(Promega)社)を用いて消化した。トリプシンペプチドを濃縮し、500−μm i.d.×1mm HiQ sil C18−3トラッピングカラム(KYAテクノロジーズ(KYA Technologies)社、東京、日本)により脱塩した。次にペプチドを150−μm i.d.×5cm C18W−3分離カラム(KYA)を用いて、0〜80%のアセトニトリル勾配(1時間、200nL/分)により分画し、ナノスプレーイオン源(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社、フォスターシティー、カリフォルニア)を装備したQ−スターパルサー−i(Q−Star Pulsar−i)質量分析計により分析した。タンパク同定の信頼性は、ProIDソフトウェア(アプライド・バイオシステムズ社)を用いて、信頼値を計算することによって推定した。
【0404】
プラスミド:
ヒトTNIK(Traf2−およびNck相互作用キナーゼ)発現コンストラクト[pCIneoHA−TNIKおよびその変異体(K54R)]は、M.ウミカワ(Umikawa)博士およびK.カリヤ(Kariya)博士(琉球大学、西原町、日本)によって快く提供された。TNIKタンパク質の異なる部分をコードするcDNA配列を、pBind(プロメガ社、マディソン、ウイスコンシン)中へサブクローン化した。ヒトTCF4(T細胞因子−4)(スプライシング型E)およびNH2末端の134のアミノ酸配列を欠くβ−カテニンcDNAを、pFLAG−CMV4(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich)社、セントルイス、ミズーリ)中へサブクローン化した。全長ヒトTCF4のcDNAおよびその短縮型をpAct(プロメガ)中へサブクローン化した。TCF4S154Aと称されたTCF4の変異型は、セリン(S)154残基をアラニン(A)に変化させるために、オリゴGGCCCCATCACCGGCACACATTGTCTCTA([配列番号4])およびGGGGCATCCTTGAGGGCTTGTCTACTCTG([配列番号5])により、クィックチェンジ(QuikChange)変異誘発キット(ストラタジーン(Stratagene)社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア)を用いて構築された。全長ヒトTCF4のcDNAおよびTCF4S154AのcDNAを、pEU−E01−MCS(セルフリー・サイエンス(CellFree Science)社、松山、日本)中へサブクローン化した。
【0405】
マンマリアン2−ハイブリッド分析:
TNIKタンパク質とTCF4タンパク質との間の物理的相互作用は、チェックメイトマンマリアン2−ハイブリッドシステム(CheckMate Mammalian Two−hybrid system)(プロメガ社)を用いて、供給業者によって提供される指示に従って評価した。HEK293細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000試薬(インビトロジェン(Invitrogen)社、カールスバード、カリフォルニア)を用いて、pBind、pActおよびpG5luc(プロメガ社)プラスミドにより三回コトランスフェクションした。
【0406】
核タンパク質抽出:
核タンパク質は、NE−PER核および細胞質抽出試薬(Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagents)(ピアース(Pierce)社、ロックフォード、イリノイ)を用いて抽出した。
【0407】
組換えタンパク質産生:
グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質は、ENDEXTコムギ麦芽発現キット(ENDEXT Wheat Germ Expression Kit)(セルフリー・サイエンス社、松山、日本)を用いて合成した。HA(血球凝集素)標識化組換えTNIKタンパク質は、ウサギ網状赤血球溶解物(TnT T7クイックカップル転写/翻訳システム(Quick Coupled Transcription/Translation System))(プロメガ社、マディソン、ウイスコンシン)を用いて合成した。
【0408】
免疫蛍光細胞化学:
カバーグラス(旭テクノグラス(Asahi Technoglass)社、東京、日本)上に培養した細胞を、室温で10分間4%パラホルムアルデヒドにより固定し、0.2%トリトンX−100により透過性にした。10%正常ブタ血清(ベクター・ラボラトリーズ(Vector Laboratories)社、バーリンゲーム、カリフォルニア)によるブロッキング後に、細胞を一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートし、続いてアレクサフルオル(Alexa fluor)−594抗マウス抗体およびアレクサフルオル−488抗ウサギ抗体(インビトロジェン社)と共にインキュベートした。標本は、レーザー走査顕微鏡(LSM5 PASCAL;カール・ツァイス(Carl Zeiss)社、イェーナ、ドイツ)により検査した。
【0409】
RNA干渉:
2本鎖低分子干渉RNA(siRNAs)、TNIK−J−004542−12(センス:[配列番号6]5’−CGACAUACCCAGACUGAUAUU−3’;アンチセンス:[配列番号7]5’−PUAUCAGUCUGGGUAUGUCGUU−3’)およびTNIK−J−004542−13(センス:[配列番号8]5’−GACCGAAGCUCUUGGUUACUU−3’;アンチセンス:[配列番号9]5’−PGUAACCAAGAGCUUCGGUCUU−3’)は、ダーマコン(Dharmacon)社(シカゴ、イリノイ)によって合成およびアニールされた。2つの対照RNA(XおよびIX)をダーマコン社から購入した。
次の段落で示される「T」の文字は、「U」を意味する。便宜上、RNA配列中の「U」の変わりに、「T」が用いられることがある。
ヒトTNIK(T1、[配列番号10]ACACACTGGTTTCCATGTAAT;T2、[配列番号11]AGAGAAGGAACCTTGATGATT;T3、[配列番号12]AGAAAGATTTCGGTGGTAAAT)および陰性対照(C、[配列番号13]GGAATCTCATTCGATGCATAC)のための、ショアサイレンシング(SureSilencing)短鎖ヘアピン(sh)RNAプラスミドを、スーパー・アレイ・バイオサイエンス(SuperArray Bioscience)社(フレデリック、メリーランド)から購入した。
【0410】
ルシフェラーゼレポーター分析:
1対のルシフェラーゼレポーターコンストラクト(TOP−FLASHおよびFOP−FLASH(アップステート(Upstate)社、シャーロッツヴィル、バージニア))を、TCF/LEF(リンパ球エンハンサー因子)の転写活性の評価のために用いた。細胞を、ルシフェラーゼレポーターのうちの1つおよびphRL−TK(プロメガ社)により三回一過性トランスフェクションを行なった。ルシフェラーゼ活性を、内部対照としてウミシイタケルシフェラーゼ活性を用いて、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Dual−luciferase Reporter Assay system)(プロメガ社)により測定した。
【0411】
コロニー形成分析:
トランスフェクションの24時間後に、750、400、300および1000μg/mlのG418(ジェネティシン、インビトロジェン社)を、HEK293細胞、HeLa細胞、DLD1細胞およびHCT−116細胞の培養培地にそれぞれ加えた。細胞は8日間の選択後にギムザ液(和光純薬社(Wako)、大阪、日本)により染色した。
【0412】
リアルタイムRT−PCR:
全RNAをRNイージーミニキット(RNeasy Mini Kit)(キアゲン(Qiagen)社、バレンシア、カリフォルニア)により調製した。DNase I処理したRNAはランダムプライミングし、スーパースクリプトII(SuperScript II)逆転写酵素(インビトロジェン社)を用いて逆転写した。タックマン(TaqMan)ユニバーサルPCRマスターミックス、ならびにあらかじめデザインしたタックマン遺伝子発現プローブおよびプライマーセットは、アプライド・バイオシステムズ社から購入した。レポーター蛍光の増加として測定された増幅データーは、プリズム(PRISM)7000配列検出システム(アプライド・バイオシステムズ社)を用いて収集した。内部対照[ヒトについてはβ−アクチン(ACTB)またはツメガエル属についてはオルニチンデカルボキシラーゼ(odc)]と比較したmRNA発現レベルを、比較閾値サイクル(C)方法によって計算した。
【0413】
マウス実験:
0.1mlのPBS中に懸濁した5×10のHCT116細胞、DLD1細胞またはWiDr細胞を、5週令メスBALB/c nu/nuヌードマウス(SLC社、東京、日本)の横腹へ皮下接種した。1週間後に、発達した腫瘍を、アテロコラーゲン(アテロジーン(AteloGene);高研(KOKEN)社、東京、日本)と共にsiRNAにより処理した(Takeshita, F. et al. Efficient delivery of small interfering RNA to bone-metastatic tumors by using atelocollagen in vivo. Proc Natl Acad Sci U S A 102, 12177 (2005))。siRNAの最終濃度は30μMであり、アテロコラーゲンの最終濃度は0.5%であった。0.2mlの体積のsiRNA溶液を、各腫瘍へ直接注入した。腫瘍体積は、V=A×Bπ/6(式中、AおよびBは最大および最小の寸法を表わす)として決定されたBergers, G. et al. Effects of angiogenesis inhibitors on multistage carcinogenesis in mice. Science 284, 808 (1999))。
【0414】
免疫組織化学:
50症例の散発性結腸直腸癌を、国立がんセンター病院(National Cancer Center Hospital)(東京、日本)の病理アーカイブパネルから選択した。免疫ペルオキシダーゼ染色を、以前に記述されたようなアビジンビオチン複合体法を用いて実行した。
【0415】
ツメガエル属の実験:
アフリカツメガエル胚の調製ならびに顕微注入は以前に記述された。卵をインビトロで受精させ、1%チオグリコール酸ナトリウム溶液により脱ゼリーした。胚はニュークープ(Niewkoop)およびファーバー(Faber)に従ってステージングした。キャッピングしたmRNAは、インビトロの転写(mMESSAGE mMACHINEキット;アンビオン(Ambion)社、オースティン、テキサス)によって合成した。5%フィコールを含むスタインバーグ氏液中で注入を実行した。
pCS2−FLAG−ツメガエル属β−カテニン(Xβ−カテニン)はS.ソコール(Sokol)博士(マウントサイナイ医科大学(Mount Sinai School of Medicine)、ニューヨーク、ニューヨーク州)によって快く提供され、pCS2−nβ−GalはD.ターナー(Turner)博士、R.ルップ(Rupp)博士およびJ.リー(Lee)博士(フレッドハッチンソンガン研究センター(Fred Hutchinson Cancer Research Center)、シアトル、ワシントン)によって快く提供された。pCS2+−MycおよびpCS2+−HAは、M.タイラ(Taira)博士(東京大学(University of Tokyo)、東京、日本)によって快く提供された。
LOC443633(XTNIK)のオープンリーディングフレーム(ORF)および5’−非翻訳領域(5’UTR)(アンチセンスモルホリノオリゴヌクレオチド(MO)のXTNIK−MO1またはXTNIK−MO3によって認識される)を、アフリカツメガエルイメージ(IMAGE)cDNAクローンMXL1736−98358477(オープン・バイオシステムズ(Open Biosystems)社、ハンツヴィル、アラバマ)からPCR増幅し、pCS2+−Mycの中へサブクローン化した(pCS−XTNIK−WT−Myc)。リジン(K)54残基をアルギニン(R)へ変化させるために、pCS−XTNIK−WT−Mycの変異型(pCS−XTNIK−K54R−Myc)を、[配列番号14]オリゴのAGGGTCATGGATGTCACAGGGGATGおよび[配列番号15]AATAGCTGCAAGCTGTCCGGTTTTAACによる変異誘発によって構築した。
XTNIKのORF配列(XTNIK−MO1またはXTNIK−MO3によって認識されない)を、オリゴの[配列番号16]ATGGCcAGtGAtTCtCCGGCTCGTAGCCTGGATGA(小文字は修飾を示す)および[配列番号17]ATCGATGGGATCCTGCAAAAAGAACAAによる変異誘発によって構築した(pCS2−XTNIKORF−HA)。
【0416】
アンチセンスモルホリノオリゴヌクレオチド(MOs):
ツメガエル属TNIKについてのアンチセンスMO(XTNIK−MO1およびXTNIK−MO3)、および対応する対照MO[XTNIK−MO1およびXTNIK−MO3の配列内に5つのヌクレオチド置換を保有する(5mis−Controls−1および5mis−Controls−3)]は、ジーン・ツールズ(Gene Tools)社(フィロマス、オレゴン)から得た。データベース検索により、アフリカツメガエルにおいて、XTNIK−MO1およびXTNIK−MO3の相補物に対する有意な相同配列が存在しないことが確認された。この研究において用いられるMOの配列は、XTNIK−MO1([配列番号18];5’−GGGAGTCGCTCGCCATGTTTCCTTT−3’)、XTNIK−MO3([配列番号19];5’−CCCCGTTCTTTCCACCTTGCGGCTG−3’)および5mis−Control−1([配列番号20];5’−GGCAGTGGCTCCCCATCTTTCGTTT−3’)および5mis−Control−3([配列番号21];5’−CCGCGTTGTTTCGACCTTCCGCCTG−3’)であった。
【0417】
略語
5’UTR、5’−非翻訳領域;AC、アニマルキャップ;APC、大腸腺腫様ポリポーシス;Atelo、アテロコラーゲン;β−Cat、β−カテニン;CML、慢性骨髄性白血病;CNH、シトロン相同性;Cont、対照;GSK3β、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β;GST、グルタチオンS−トランスフェラーゼ;HA、血球凝集素;IP、免疫沈降;LEF、リンパ球エンハンサー因子;MO(s)、モルホリノオリゴヌクレオチド;N.D.、検出されない;n−βgal、核のβ−ガラクトシダーゼ;NLS、核移行シグナル;N.S.、有意でない;ORF、オープンリーディングフレーム;pSer、フォスフォセリン;RT、逆転写;shRNA、短鎖ヘアピンRNA;siRNA、低分子干渉RNA;TCF(4)、T細胞因子(−4);TNIK、Traf2−およびNck相互作用キナーゼ;WT、野生型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として下記一般式(I)
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して水素原子または置換基を表わす)によって表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、TNIK阻害剤。
【請求項2】
有効成分として請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含有する医薬組成物。
【請求項3】
前記治療目的が癌である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
有効成分として請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、TNIK阻害剤による癌患者の治療のための方法。
【請求項5】
前記癌が固形癌である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が大腸癌である、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が膵臓癌である、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が非小細胞肺癌である、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記癌が前立腺癌である、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記癌が乳癌である、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記TNIK阻害剤が経口的に投与される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記TNIK阻害剤が静脈内に投与される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
下記一般式(I’)
【化2】


(式中、R1’、R2’は、夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換または非置換のアルキル基、C2−C4アルケニル基、C2−C4アルキニル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、置換または非置換のアルコキシカルボニルアミノ基を表わし、R3’、R4’は、夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換のアシルアミノ基、置換または非置換のアルキルスルホンアミド基、ニトロ基を表わす。またY1、Y2及びY3は、夫々独立して窒素原子または炭素原子を表わす。)によって表される化合物またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項14】
前記R1’、R2’は、夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、置換または非置換のアルコキシカルボニルアミノ基を表わし、R3’、R4’は、夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換のアシルアミノ基、置換または非置換のアルキルスルホンアミド基を表わし、またY1、Y2及びY3は、夫々独立して窒素原子または炭素原子を表わす、請求項13に記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−510459(P2012−510459A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538071(P2011−538071)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007597
【国際公開番号】WO2010/064111
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(510097747)独立行政法人国立がん研究センター (35)
【出願人】(503286424)カルナバイオサイエンス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】