説明

TRPV1を阻害するインダゾール誘導体およびその使用

、R、RおよびLが明細書中で定義されている式(I)の化合物は、CYP3A4に対して低い阻害活性を示すTRPV1拮抗薬である。そのような化合物を含む組成物ならびにそのような化合物および組成物を用いる状態および障害の治療方法も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TRPV1拮抗薬であり、疼痛、神経因性疼痛、異痛、炎症もしくは炎症性疾患関連の疼痛、炎症性痛覚過敏、膀胱過敏または尿失禁などの疾患もしくは障害を治療する上で有用な式(I)の化合物に関するものである。式(I)の化合物を含む医薬組成物および疼痛、神経因性疼痛、異痛、炎症もしくは炎症性疾患関連の疼痛、炎症性痛覚過敏、膀胱過敏または尿失禁を治療する方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
侵害受容器は、化学的、機械的、熱的およびプロトン(pH<6)モダリティーを含めて多種多様な侵害刺激によって活性化される一次感覚求心性(CおよびAδ線維)ニューロンである。親油性バニロイドであるカプサイシンは、一時的受容体潜在バニロイド−1(TRPV1)としてクローニングされた特定の細胞表面カプサイシン受容体を介して一次感覚線維を活性化する。カプサイシンの皮内投与は、初期の灼熱または熱感覚とそれに続く長期の無痛覚を特徴とする。TRPV1受容体活性化の鎮痛成分は、カプサイシンによって誘導される一次感覚求心性末端の脱感作によって媒介されると考えられる。従って、カプサイシンの抗侵害効果が長期間持続することから、カプサイシン類縁体が鎮痛剤として臨床に使用されるようになった。また、カプサイシン受容体拮抗物質であるカプサゼピンは、動物モデルにおいて炎症誘発性の痛覚過敏を軽減することができる。TRPV1受容体は、膀胱を刺激する感覚求心性線維上にも局在する。カプサイシンまたはレシニフェラトキシンは、膀胱に注射すると失禁症状を改善することが明らかになっている。
【0003】
TRPV1受容体は、いくつかの方式で活性化することができるので侵害刺激の「多重モード検出器」と呼ばれている。受容体チャネルは、カプサイシンおよび他のバニロイドによって活性化され、従ってリガンド作動性イオンチャネルに分類される。カプサイシンによるTRPV1受容体活性化は、競合的TRPV1受容体拮抗物質カプサゼピンによって遮断することができる。このチャネルは、やはりプロトンによって活性化することができる。弱酸性条件(pH6から7)下では、この受容体に対するカプサイシンの親和性が増加するのに対して、pH<6ではこのチャネルは直接活性化される。また、膜温度が43℃に達するとこのチャネルは開く。従って、リガンドの非存在下で熱によってこのチャネルを直接開けることができる。カプサイシン類似体カプサゼピンは、カプサイシンの競合的拮抗薬であり、カプサイシン、酸または熱に応答するこのチャネルの活性化を遮断する。
【0004】
そのチャネルは非特異的陽イオン伝導体である。細胞外ナトリウムとカルシウムの両方がこのチャネル孔を通って流入し、細胞膜脱分極を起こす。この脱分極によってニューロンの興奮性が増大し、脊髄への侵害性神経インパルスの活動電位発生および伝達が生じる。また、末梢神経末端の脱分極によって、サブスタンスP、CGRPなど(これらに限定されるものではない)炎症性ペプチドが放出され、組織の末梢感作が増強される。
【0005】
最近、2つのグループが、TRPV1受容体を持たない「ノックアウト」マウスの発生を報告している。これらマウスから得られた感覚神経(後根神経節)の電気生理学的研究によって、カプサイシン、熱および低pHを含めた侵害刺激によって惹起される応答が著しく欠如していることが判明した。これらの動物は、行動障害の明白な徴候を示さず、急性非侵害性の熱および機械的刺激に対する応答が野生型マウスと差がなかった。TRPV1(−/−)マウスは、神経損傷によって誘発される機械的痛覚または熱痛覚に対する感度も低下しなかった。しかし、TRPV1ノックアウトマウスは、皮内カプサイシンの侵害作用、高熱(50から55℃)に対して無感覚であり、カラギーナンの皮内投与後に熱性痛覚過敏を生じなかった。
【0006】
さらに、当業界で公知のように、チトクロムP450酵素は、特に肝臓などの多くの組織の滑面小胞体に局在するヘム含有膜タンパク質である。この酵素ファミリーは、非常に多様な酸化および還元反応を触媒し、化学的に多様な基質群に対して活性を有する。これらの酵素は、薬剤生体変換反応の主要な触媒であり、身体において重要な解毒の役割も果たす。CYP3Aは、最も豊富でしかも最も臨床的に重要なチトクロムP450酵素のサブファミリーである。CYP3Aサブファミリーは、3A4、3A5、3A7および3A43という4種類のヒトアイソフォームを有し、薬剤相互作用との関連が最も多いのがCYP3A4である。CYP3Aアイソフォームは、肝臓の総チトクロムP450の約50%を構成しており、消化管、腎臓および肺全体で広く発現されることから、最終的には薬剤および毒物の初回通過代謝の大半に関与して、身体からそれら物質を処理する。初回通過代謝における増減によって投与用量を通常よりかなり小さくしたり大きくしたりする効果が得られることから、この点は重要である。これら酵素が阻害されると、酵素がこの機能を果たすことができない生命を脅かす状態に至る可能性がある。150を超える薬剤が、公知のCYP3A4の基質であり、それには麻薬性鎮痛薬、ステロイド類、抗不整脈薬、三環系抗鬱薬、カルシウムチャンネル遮断薬およびマクロライド系抗生物質の多くが含まれる。
【0007】
ある種のVR1拮抗薬が、米国特許第6933311号に記載されている。しかしながら、これら化合物についてのCYP3A4との相互作用は未知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6933311号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、薬剤代謝酵素CYP3A4に対しては低い阻害活性を示すTRPV1拮抗薬を開発することが必要とされている。そのような拮抗薬は、ヒト薬剤代謝においてCYP3A4との薬剤−薬剤相互作用の危険性がかなり低いものであり、薬剤併用が関与する療法に対する制限が比較的少ない、安全な医薬として良好に働くものでなければならない。そのような化合物は、有用な医薬特性を提供しながら、チトクロムP450酵素の阻害に関連する望ましくない副作用が少ないものでもある必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記式(I)の化合物もしくはこれの製薬上許容される塩に関するものである。
【0011】
【化1】

式中、
Lは、C−Cアルキレンであり;
は、C−Cアルキルであり;
は、水素およびハロゲンからなる群から選択され;
は、アリールであり;
ただし、下記の化合物:
N−(4−クロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−tert−ブチルベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(3,4−ジクロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(2,4−ジクロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−エチルベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(2−クロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−フルオロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(2−フルオロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−[1−(4−ブロモフェニル)エチル−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−N′−{4−[(トリフルオロメチル)チオ]ベンジル}尿素
は除外される。
【0012】
本発明はさらに、単独もしくは1以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用で、式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは溶媒和物および1以上の製薬上許容される担体を含む医薬組成物に関するものである。
【0013】
処置を必要とする患者に対して、単独もしくは1以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用で治療上有効量の式(I)の化合物またはこれの製薬上許容される塩を投与する段階を有する、下記の本明細書で定義の疾患もしくは障害を治療する方法も含まれる。
【0014】
さらに本発明は、単独もしくは1以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用での、下記の本明細書で定義の疾患もしくは障害の治療のための医薬製造における、式(I)の化合物もしくはこれの製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0015】
理解すべき点として、前記の一般的説明および下記の詳細な説明のいずれも、本発明の例示を行うものであって、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明においては、式(I)の化合物が開示される。
【0017】
【化2】

式中、
、R、RおよびLは、「課題を解決するための手段」において上記で、そして「発明を実施するための形態」で下記で定義されている。好ましくは、本発明の化合物は、CYP3A4に対して低い阻害活性を示すTRPV1拮抗薬である。さらに、そのような化合物を含む組成物ならびにそのような化合物および組成物を用いる状態および障害の治療のための方法も開示されている。
【0018】
各種実施形態において、本発明はいずれかの置換基または本発明の化合物もしくは本明細書における他のいずれかの式において複数個存在する少なくとも一つの可変要素を提供する。各場合における可変要素の定義は、それの別の箇所での定義から独立のものである。さらに、置換基の組み合わせは、そのような組み合わせによって安定な化合物が得られる場合にのみ許容可能である。安定な化合物とは、反応混合物から単離可能な化合物である。
【0019】
a.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、逆の意味が具体的に記載されていない限り、下記の用語はここに示した意味を有する。
【0020】
本明細書で用いられる「アルケニル」という用語は、2〜10個の炭素原子を有し、水素2個の脱離によって形成される炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する直鎖または分枝の炭化水素を意味する。アルケニルの代表例には、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニルおよび3−デセニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書で用いられる「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に懸垂している本明細書で定義のアルキル基を意味する。アルコキシの代表例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシなどがあるが、それらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書で用いられる「アルコキシアルコキシ」という用語は、本明細書で定義のアルコキシ基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルコキシ基を意味する。アルコキシアルコキシの代表例には、メトキシメトキシ、エトキシメトキシおよび2−エトキシエトキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書で用いられる「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に懸垂している本明細書で定義のアルコキシ基を意味する。アルコキシアルキルの代表例には、tert−ブトキシメチル、2−エトキシエチル、2−メトキシエチルおよびメトキシメチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書で用いられる「アルコキシカルボニル」という用語は、本明細書で定義のカルボニル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニルの代表例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、およびtert−ブトキシカルボニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書で用いられる「アルコキシカルボニルアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルコキシカルボニル基を意味する。アルコキシカルボニルアルキルの代表例には、3−メトキシカルボニルプロピル、3−メトキシカルボニル−3,3−ジメチルプロピル、エトキシカルボニルブチル、および2−tert−ブトキシカルボニルエチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、1から10個の炭素原子、例えば1から6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、およびn−デシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書で用いられる「アルキルカルボニル」という用語は、本明細書で定義のカルボニル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルキル基を意味する。アルキルカルボニルの代表例には、アセチル、1−オキソプロピル、2,2−ジメチル−1−オキソプロピル、1−オキソブチルおよび1−オキソペンチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書で用いられる「アルキルカルボニルアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルキルカルボニル基を意味する。アルキルカルボニルアルキルの代表例には、2−オキソプロピル、3,3−ジメチル−2−オキソプロピル、3−オキソブチルおよび3−オキソペンチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書で用いられる「アルキルカルボニルオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルキルカルボニル基を意味する。アルキルカルボニルオキシの代表例には、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、およびtert−ブチルカルボニルオキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
「アルキレン」という用語は、1から10個の炭素原子の直鎖もしくは分岐の炭化水素から誘導される二価の基を意味する。アルキレンの代表例には、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CHCH(CH)CH−などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書で用いられる「アルキルスルホニル」という用語は、本明細書で定義のスルホニル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルキル基を意味する。アルキルスルホニルの代表例には、メチルスルホニルおよびエチルスルホニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書で用いられる「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアルキル基を意味する。アルキルチオの代表例には、メチルスルファニル、エチルスルファニル、tert−ブチルスルファニルおよびヘキシルスルファニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書で用いられる「アルキニル」という用語は、2から10個の炭素原子を含み、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖もしくは分岐の炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例には、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニルおよび1−ブチニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、フェニル基または環のうちの1以上がフェニル基である二環式縮合環系を意味する。二環式縮合環系の例には、単環式シクロアルキル基、単環式シクロアルケニル基もしくは別のフェニル基に縮合したフェニル基がある。アリールの代表例には、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニルおよびテトラヒドロナフチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本発明のアリール基は、フェニル基内に置換可能な原子を介して親分子部分に結合していることができる。
【0035】
本発明のアリール基は、独立にアルケニル、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、シアノアルキル、ホルミル、ホルミルアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルチオ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メチレンジオキシ、メルカプト、メルカプトアルキル、ニトロ、−NZ、(NZ)アルキル、(NZ)カルボニル、(NZ)カルボニルアルキル、(NZ)スルホニル、−NRS(O)、−S(O)ORおよび−S(O)から選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていることができ、RおよびRはそれぞれ独立に水素およびアルキルからなる群から選択される。置換アリールの代表例には、2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−イソブチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,2−ジメチル−4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸メチル、2,2−ジメチル−4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸、2−(4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)フェニルおよび4−クロロ−3−イソプロピルフェニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、−C(O)−基を意味する。
【0037】
本明細書で使用される「カルボキシ」という用語は、−COH基を意味する。
【0038】
本明細書で使用される「カルボキシアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のカルボキシ基を意味する。カルボキシアルキルの代表例には、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシ−3,3−ジメチルプロピルおよび3−カルボキシプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書で使用される「シアノ」という用語は、−CN基を意味する。
【0040】
本明細書で使用される「シアノアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のシアノ基を意味する。シアノアルキルの代表例には、シアノメチル、2−シアノエチルおよび3−シアノプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本明細書で使用される「単環式シクロアルケニル」という用語は、環に3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子および1個のヘテロ原子を含む単環式炭化水素環系を意味する。3員もしくは4員の環系は1個の二重結合を有し、5員もしくは6員の環系は1個もしくは2個の二重結合を有し、7員もしくは8員の環系は1個、2個もしくは3個の二重結合を有する。単環式環系の代表例には、シクロヘキセニルおよびシクロペンテニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書で使用される「単環式シクロアルキル」という用語は、環中に3から8個の炭素原子および0個のヘテロ原子を含む飽和単環式炭化水素環を意味する。単環式環系の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどがある。
【0043】
本明細書で使用される「ホルミル」という用語は、−C(O)H基を意味する。
【0044】
本明細書で使用される「ホルミルアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のホルミル基を意味する。ホルミルアルキルの代表例には、ホルミルメチルおよび2−ホルミルエチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本明細書で使用される「ハロ」もしくは「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−Iもしくは−Fを意味する。
【0046】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で定義のアルコキシ基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の少なくとも1個のハロゲンを意味する。ハロアルコキシの代表例には、クロロメトキシ、2−フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、2−クロロ−3−フルオロペンチルオキシおよびペンタフルオロエトキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の少なくとも1個のハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表例には、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2−クロロ−3−フルオロペンチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本明細書で使用される「ハロアルキルチオ」という用語は、本明細書で定義のアルキルチオ基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の少なくとも1個のハロゲンを意味する。ハロアルキルチオの代表例には、トリフルオロメチルチオなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本明細書で使用される「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を意味する。
【0050】
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の少なくとも1個のヒドロキシ基を意味する。ヒドロキシアルキルの代表例には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシペンチル、4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチル、および2−エチル−4−ヒドロキシヘプチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本明細書で使用される「メルカプト」という用語は、−SH基を意味する。
【0052】
本明細書で使用される「メルカプトアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のメルカプト基を意味する。メルカプトアルキルの代表例には、2−メルカプトエチルおよび3−メルカプトプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
本明細書で使用される「ニトロ」という用語は、−NO基を意味する。
【0054】
本明細書で使用される「−NZ」という用語は、窒素原子を介して親分子部分に結合した2個の基ZおよびZを意味する。ZおよびZはそれぞれ独立に、水素、アルキル、アルキルカルボニルおよびホルミルから選択される。−NZの代表例には、アミノ、メチルアミノ、アセチルアミノおよびアセチルメチルアミノなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本明細書で使用される「(NZ)アルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の−NZ基を意味する。(NZ)アルキルの代表例には、アミノメチル、2−(メチルアミノ)エチル、2−(ジメチルアミノ)エチルおよび(エチルメチルアミノ)メチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本明細書で使用される「(NZカルボニル」という用語は、本明細書で定義のカルボニル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の−NZ基を意味する。(NZ)カルボニルの代表例には、アミノカルボニル、(メチルアミノ)カルボニル、(ジメチルアミノ)カルボニルおよび(エチルメチルアミノ)カルボニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
という用語は「(NZ)カルボニルアルキル」本明細書で使用される、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の(NZ)カルボニル基を意味する。(NZ)カルボニルアルキルの代表例には、(アミノカルボニル)メチル、2−((メチルアミノ)カルボニル)エチルおよび((ジメチルアミノ)カルボニル)メチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
本明細書で使用される「(NZ)スルホニル」という用語は、本明細書で定義のスルホニル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の−NZ基を意味する。(NZ)スルホニルの代表例には、アミノスルホニル、(メチルアミノ)スルホニル、(ジメチルアミノ)スルホニルおよび(エチルメチルアミノ)スルホニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、=Oを意味する。
【0060】
本明細書で使用される「スルホニル」という用語は、−S(O)−基を意味する。
【0061】
b.化合物
本発明の化合物は、上記の一般式(I)を有する。
【0062】
式(I)の化合物における可変の基の特定の形態は下記の通りである。そのような形態は、本明細書で前記もしくは後述される他の形態、定義、特許請求の範囲または実施形態とともに用いて適切である場合に用いることができる。
【0063】
本発明の実施形態には、Rがそれぞれ「定義」において開示されているように置換されていても良いインダニル、インデニル、ナフチル、フェニルおよびテトラヒドロナフチルからなる群から選択される式(I)の化合物が含まれる。特には、Rはフェニルである。より詳細には、Rは置換フェニルである。別の実施形態は、Lが−CH−である式(I)の化合物に関するものである。別の実施形態は、Rがメチルである式(I)の化合物に関するものである。式(I)の化合物の例には、Rが水素であり;Rがメチルであり;Lが−CH−であり、Rがフェニルであるものなどがある。本発明の化合物のさらに他の例には、Rがフッ素であり;Rがメチルであり;Lが−CH−であり、Rがフェニルである式(I)の化合物などがある。Rがフェニルである場合、フェニルは本明細書において上記で記載の1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていても良いことは明らかである。特には、フェニルは、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキルおよびアルコキシカルボニルアルキルからなる群から選択される2個の置換基で置換されている。好ましくは、そのフェニル基は、アルキル(例えば、イソブチル、イソプロピル、3、3−ジメチルブチル)、ハロゲン(例:Cl)およびハロアルキル(例:トリフルオロメチル)からなる群から選択される2個の置換基で置換されている。
【0064】
本発明の化合物の例には、1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;2,2−ジメチル−4−(2−((3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸メチル;1−(2−(4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;2,2−ジメチル−4−(2−((3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸;1−[4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)ベンジル]−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;1−(2−イソブチル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;1−(2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;および1−(4−クロロ−3−イソプロピルベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本発明の別の実施形態は、単独もしくは1以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用で、治療上有効量の式(I)の化合物、特には1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素もしくはこれの製薬上許容される塩および1以上の製薬上許容される担体を含む医薬組成物である。
【0066】
c.生物データ
(i)イン・ビトロデータ−阻害能力の測定
ダルベッコの調整イーグル培地(D−MEM)(4.5mg/mLのグルコースを含有)およびウシ胎仔血清は、ハイクローン・ラボラトリーズ社(Hyclone Laboratories, Inc., Logan, Utah)から入手した。ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)(1mg/mLのグルコースおよび3.6mg/Lのピルビン酸Na含有)(フェノールレッドを含まない)、L−グルタミン、ハイグロマイシンおよびリポフェクタミン(商標名)は、ライフ・テクノロジーズ社(Life Technologies, Grand Island, NY)から入手した。硫酸G418は、カルバイオケム−ノババイオケム社(Calbiochem-Novabiochem Corp., San Diego, CA)から入手した。カプサイシン(8−メチル−N−バニリル−6−ノネンアミド)は、シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich, Co., St. Louis, MO)から入手した。フルオ(Fluo)−4AM(N−[4−[6−[(アセチルオキシ)メトキシ]−2,7−ジフルオロ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル]−2−[2−[2−[ビス[2−[(アセチルオキシ)メトキシ]−2−オキシエチル]アミノ]−5−メチルフェノキシ]エトキシ]フェニル]−N−[2−[(アセチルオキシ)メトキシ]−2−オキシエチル]−グリシン・(アセチルオキシ)メチルエステル)は、モレキュラー・プローブス(Molecular Probes, Eugene, OR)から購入した。
【0067】
ヒトTRPV1受容体のcDNAは、公開されている配列(Hayes et al., Pain 88: 205-215, 2000)と同じ開始コドンおよび終止コドンを囲むよう設計されたプライマーを用いて、クローンテク(Clonetech, Palo Alto, CA)が供給するヒト小腸ポリ(poly)A+RNAからの逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって単離した。得られたcDNA PCR産物を、pCIneo哺乳動物発現ベクター(プロメガ(Promega))にサブクローニングし、蛍光色素−ターミネーター試薬(プリズム(Prism)、パーキン−エルマー・アプライド・バイオシステムズ部門(Perkin-Elmer Applied Biosystems Division))およびパーキン−エルマー・アプライド・バイオシステムズ373型DNA配列決定装置もしくは310型遺伝子分析装置を用いて完全な配列決定を行った。hTRPV1 cDNAをコードする発現プラスミドを、リポフェクタミン(商標名)を用いて個々に1321N1ヒト星細胞腫細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、ネオマイシン耐性細胞を800μg/mLのジェネチシン(Geneticin)(ギブコ(Gibco)BRL)を含む成長培地から選択した。生存している個々のコロニーを単離し、TRPV1受容体活性についてのスクリーニングを行った。組換えホモマーTRPV1受容体を発現する細胞を、加湿5%CO雰囲気下で4mM L−グルタミン、300μg/mL G418(カルバイオケム)および10%ウシ胎仔血清を含むD−MEM中にて37℃に維持した。
【0068】
TRPV1受容体での化合物の機能活性を、Ca2+インフラックスアッセイおよび細胞内Ca2+レベル([Ca2+)の測定によって確認した。全ての化合物について、11のポイントの半対数濃度範囲にわたって調べた。化合物溶液をD−PBS中で調製し(最終濃度の4倍)、バイオメク(Biomek)2000ロボット自動化ワークステーション(Beckman-Coulter, Inc., Fullerton, CA)を用いて、96ウェルのV字底組織培養プレートで順次希釈した。TRPV1作働薬であるカプサイシンの0.2μM溶液も、D−PBS中で調製した。蛍光Ca2+キレート化色素フルオ(fluo)−4を、蛍光画像プレート読取装置(FLIPR)(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いる96ウェル方式での[Ca2+の相対レベルの指示薬として用いた。細胞を、96ウェルの黒色壁組織培養プレートで増殖させて密集状態とした。次に、アッセイに先だって、細胞に、フルオ−4AM(2μM、D−PBS中)100μL/ウェルを加えて23℃で1から2時間経過させた。細胞の洗浄を行って、細胞外フルオ−4AMを除去し(ウェル当たりD−PBS 1mLで2回)、その後、FLIPR装置の読取チャンバで細胞を平板培養した。化合物の溶液50μLを、実験操作の10秒タイムマークで細胞に加えた。次に、3分の時間遅延後、カプサイシン溶液50μLを190秒タイムマークで加えて(0.05μM最終濃度)(最終容量=200μL)、TRPV1受容体を負荷した。実験操作の時間長さは240秒であった。実験操作の間、1から5秒間隔で、蛍光読み取りを行った。相対蛍光単位でのピーク増加(基底線値を引いたもの)を、190秒タイムマークから実験操作終了時点まで計算し、0.05μMカプサイシン(対照)応答のパーセントとして表した。グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism;登録商標)(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)で4パラメータのロジスティックなヒルの式を用いてデータの曲線適合を解き、IC50値を計算した。
【0069】
本発明の化合物は、1000nMから0.1nMのIC50値を有する一時的受容体潜在バニロイド−1(TRPV1)受容体の拮抗薬であることが認められた。好ましい範囲では、被験化合物は500nMから0.1nMのIC50値を有していた。より好ましい範囲では、化合物は50nMから0.1nMのIC50値を有していた。
【0070】
(ii)イン・ビボデータ−抗侵害受容作用の測定
体重20から25gの成体雄129Jマウス400匹(Jackson laboratories, Bar Harbor, ME)について実験を実施した。マウスは、交互に12時間ずつの明−暗サイクルで22℃に維持した動物施設で飼育し、飼料および飲料水は自由に摂取させた。実験はいずれも、明サイクル中に実施した。動物は、それぞれマウス10匹の別個の群に無作為に分けた。各動物は一つの実験のみで用い、実験完了直後に屠殺した。動物の取り扱いおよび実験手順はいずれも、IACUC委員会によって承認されたものであった。
【0071】
用いた抗侵害受容試験は、コリアーらの報告(Collier, et al., Br. J. Pharmacol. Chemother. 32 (1968) 295-310)に記載の腹部収縮アッセイの変法であった。各動物に、通常の生理食塩水中0.6%酢酸0.3mLを腹腔内(i.p.)注射を行って、苦悶を誘発した。動物を、透明円筒下で別々に置いて、腹部収縮の観察および定量を行った。腹部収縮は、体幹の軽い捻れと次に後足の両側延伸を伴う腹壁に沿って尾方向に通過する軽度の収縮および伸長と定義した。酢酸注射から5から20分にわたり、腹部収縮の総数を記録した。腹腔内注射に基づいて、ED50を測定した。
【0072】
調べた本発明の化合物は、1mg/kgから500mg/kgのED50で抗侵害受容作用を有することが認められた。イン・ビトロおよびイン・ビボデータは、本発明の化合物がTRPV1受容体に拮抗し、TRPV1受容体活性によって生じるか増悪される障害の治療において有用であることを示している。
【0073】
(iii)イン・ビトロデータ−CYP3A阻害
これら化合物のヒトCYP3Aの活性に対する潜在時間依存性阻害効果を、ヒト肝臓ミクロソームでイン・ビトロにて評価した。ミダゾラムの代謝物である1′−ヒドロキシ−ミダゾラムへの変換を測定することで、CYP3A4の活性を間接的に測定した。
【0074】
代表的な実験には、リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH7.4)中のヒト肝臓ミクロソーム(0.1mg/mLタンパク質)(BD Gentest from BDbioscience, BD Biosciences, San Jose, CA)および上昇させながらの各種濃度での本発明のいずれかの化合物が含まれていた。
【0075】
1μM、3μMおよび10μMの本発明の代表的化合物を、リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH7.4)中のヒト肝臓ミクロソーム(0.1mg/mLタンパク質)と混合した。混合物を水浴で37℃にて5分間予熱し、NADPH(1mM)を加えて前インキュベーションを行った。15分間の前インキュベーション後、ミダゾラム(2μM)を加え、インキュベーションをさらに5分間続けた。インキュベーション体積の半量に等しいメタノールおよびアセトニトリルの(50/50、体積比)混合物(内部標準を含有)を加えることで反応を停止した。遠心後、上清を用いて、アッセイ条件下でのミダゾラムの代謝物である1′−ヒドロキシ−ミダゾラムへの変換の阻害のLC−MS−MS測定を行った。
【0076】
上記のCYP3A4阻害アッセイで、本発明の化合物を調べた。IC50値を、下記表1に示してある。
【0077】
【表1】

【0078】
本発明の化合物は、30μMより大きい、例えば30から50μMのIC50でCYP3A4を阻害する。
【0079】
表1におけるデータは、本発明の化合物がCYP3A4などの薬剤代謝酵素に対してほとんど効果がないことを示している。この興味深い特性によって、TRPV1拮抗薬の用量がより良好となることができ、それと同時に有用な治療効果を誘発することができて、チトクロムP450酵素の阻害には通常伴う望ましくない副作用がないか少なくともごく軽微である。
【0080】
d.化合物の使用方法
本発明の1実施形態は、処置を必要とする宿主哺乳動物でバニロイド受容体サブタイプ1(TRPV1)受容体を阻害することで改善し得る障害の治療方法を提供する。その方法は、治療上有効量の式(I)の化合物もしくはこれの製薬上許容される塩を投与する段階を有する。好ましくは、その化合物は、1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素である。
【0081】
本発明の別の実施形態は、処置を必要とする哺乳動物での疼痛を治療する方法を提供する。この方法は、治療上有効量の請求項1による式(I)の化合物もしくはこれの製薬上許容される塩を投与する段階を有する。この方法でも、その化合物は1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素である。
【0082】
本発明のさらに別の実施形態は、哺乳動物、特にはヒトでの急性脳虚血などの虚血、慢性疼痛、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、異痛、炎症性疼痛、炎症性痛覚過敏、ヘルペス後神経痛、神経障害、神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、神経損傷、関節リウマチ性疼痛、骨関節炎性疼痛、火傷、腰痛、内臓痛、癌疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛、神経炎、坐骨神経症、骨盤過敏症、骨盤痛、生理痛などの疼痛、失禁および膀胱過敏、排尿障害、腎疝痛および膀胱炎などの膀胱疾患;火傷、関節リウマチおよび骨関節炎などの炎症;卒中、卒中後疼痛および多発性硬化症などの神経変性性疾患;喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管支収縮などの肺疾患;胃食道逆流性疾患(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性大腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎およびクローン病などの消化管疾患;脳血管虚血などの虚血;癌化学療法誘発嘔吐などの嘔吐、ならびに肥満を治療する方法を提供する。例えば、本発明の化合物は、疼痛、特には神経因性疼痛の治療において有用である。この方法は、処置を必要とする患者に対して、治療上有効量の式(I)の化合物もしくはこれの製薬上許容される塩を投与する段階を有する。
【0083】
実施例で具体的に示しているものなど(それらに限定されるものではない)の本発明の化合物を用いて、文献(Nolano, M. et al., Pain 81 (1999) 135; Caterina, M.J. and Julius, D., Annu. Rev. Neurosci. 24, (2001) 487-517; Caterina, M.J. et al., Science 288 (2000) 306-313; Caterina, MJ. et al., Nature 389 (1997) 816-824)によって示されている疼痛を治療することができる。
【0084】
実施例で具体的に示しているものなど(それらに限定されるものではない)の本発明の化合物を用いて、文献(Fowler, C. Urology 55 (2000) 60)によって示されている膀胱過敏および/または尿失禁を治療することができる。
【0085】
実施例で具体的に示しているものなど(それらに限定されるものではない)の本発明の化合物を用いて、文献(Davis, J. et al., Nature 405 (2000) 183-187)によって示されている炎症性温熱性痛覚過敏を治療することができる。
【0086】
本発明の化合物は、単独でまたは1以上の他の本発明の化合物との併用で、もしくは1以上の別の医薬との併用(すなわち、同時投与)で投与することができる。例えば、式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、アスピリン、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、ジフルシナル(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル(flufenisal)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンおよびゾメピラクなど(これらに限定されるものではない)の1以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用で投与することができる。併用療法には、1以上の本発明の化合物および1以上の別の医薬を含む単一の医薬製剤の投与、ならびに本発明の化合物およびそれ自体別の医薬製剤での別の各医薬の投与などがある。例えば、式(I)の化合物および1以上の別の医薬は、錠剤もしくはカプセルなどの各有効成分を固定された比率で含む単一の経口用量組成物で一緒に患者に投与することができるか、各薬剤を別個の経口製剤で投与することができる。
【0087】
別個の製剤を用いる場合、本発明の化合物および1以上の別の製剤を、実質的に同時に(例えば、同時)または交互に時間を空けて(例えば、順次)投与することができる。
【0088】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の用量レベルを変動させて、特定の患者、組成物および投与形態に関して所望の治療応答を得る上で有効な活性化合物の量を得ることができる。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療される状態の重度ならびに治療を受ける患者の状態および病歴によって変わる。しかしながら、所望の治療効果を得るのに必要なレベルより低いレベルでの化合物用量を開始し、所望の効果が得られるまで用量を徐々に上昇させることは、当業界の技術の範囲内である。
【0089】
本発明の化合物は、1以上の製薬上許容される担体と組み合わせて対象化合物を含む医薬組成物として投与することもできる。本発明の化合物の「治療上有効量」という表現は、いずれの医学的治療にも適用可能な妥当な利益/リスク比で、障害を治療する上で十分な化合物量を意味する。しかしながら明らかな点として、本発明の化合物および/組成物の1日使用量の合計は、妥当な医学的判断の範囲内で担当医が決定するものである。特定の患者にとって具体的な治療上有効な用量レベルは、治療される障害およびその障害の重度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;用いられる具体的な化合物の投与時刻、投与経路および排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と併用もしくは同時投与される薬剤;ならびに医学界で公知の同様の要素などの多様な要素によって決まる。例えば、所望の治療効果を得るのに必要なレベルより低いレベルでの化合物用量を開始し、所望の効果が得られるまで用量を徐々に上昇させることは、当業界の技術の範囲内である。
【0090】
ヒトまたは低級動物に投与される本発明の化合物の総1日用量は、約0.10μg/kgから約10mg/kgの範囲である。より好ましい用量は、約0.10μg/kgから約1mg/kgの範囲であることができる。所望に応じて、有効1日用量を、投与に関して複数の用量に分割することができる。結果的に、単一の組成物は、1日用量を構成するような量またはそれの約数量を含むことができる。
【0091】
e.医薬組成物
本発明はさらに、本発明の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1以上の無毒性の製薬上許容される担体とともに製剤することができる本発明の化合物を含む。
【0092】
本発明の別の態様は、単独もしくは1以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用で、式(I)の化合物もしくはこれの製薬上許容される塩、および1以上の製薬上許容される担体を含む医薬組成物である。
【0093】
本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の哺乳動物に、経口投与、直腸投与、非経口投与、大槽内投与、膣投与、腹腔内投与、局所投与(例えば粉剤、軟膏もしくは滴剤による)、口腔内投与することができるか、経口もしくは鼻腔内噴霧剤として投与することができる。本明細書で使用される「非経口」という用語は、静脈、筋肉、腹腔内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与方式を指す。
【0094】
本明細書で使用される「製薬上許容される担体」という用語は、あらゆる種類の無毒性で不活性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、カプセル形成材料または製剤助剤を意味する。製薬上許容される担体として使用可能な材料の例を一部挙げると、乳糖、グルコースおよびショ糖など(これらに限定されるものではない)の糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど(これらに限定されるものではない)のデンプン類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど(これらに限定されるものではない)のセルロースおよびそれの誘導体;トラガカントガム粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ロウなど(これらに限定されるものではない)の賦形剤;落花生油、綿実油、紅花油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油など(これらに限定されるものではない)のオイル類;プロピレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど(これらに限定されるものではない)のエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど(これらに限定されるものではない)の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど(これらに限定されるものではない)の他の無毒性で適合性の潤滑剤があり、製剤者の判断に従って、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、保存剤および酸化防止剤を組成物中に存在させることもできる。
【0095】
本発明の非経口注射用の医薬組成物には、製薬上許容される無菌の水系もしくは非水系溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、ならびに使用直前に無菌注射用溶液もしくは分散液で再生する無菌粉剤などがある。好適な水系および非水系の担体、希釈剤、溶媒または媒体の例には、水、エタノール、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、植物油(オリーブ油など)、注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)およびそれらの好適な混合物などがある。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合には必要粒径の維持により、そして界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0096】
これらの組成物は、保存剤、湿展剤、乳化剤および分散剤などの補助剤も含有し得る。微生物の活動防止は、各種の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含有させることによって確保することができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましい場合もある。モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を含有させることで、注射用医薬製剤の長期吸収をもたらすことができる。
【0097】
場合によっては、薬物の作用を持続させるために、皮下または筋肉注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性が低い結晶材料もしくは非晶質材料の懸濁液を用いることで行うことができる。この時、薬物の吸収速度は、それの溶解速度によって決まり、その溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形態によって決まり得る。あるいは、薬剤を油系媒体に溶解もしくは懸濁させることで、非経口投与された製剤の遅延吸収を行う。
【0098】
注射用デポー製剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって製造される。ポリマーに対する薬物の比率および利用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)類およびポリ(無水物)などがある。デポー注射製剤は、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬物を閉じ込めることによっても調製される。
【0099】
注射用製剤は、細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用直前に無菌水その他の無菌注射用媒体に溶解もしくは分散させることができる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を配合することによって滅菌することができる。
【0100】
経口投与用の固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉剤および粒剤などがある。こうした固体製剤では、活性化合物を、少なくとも1種類の不活性な製薬上許容される賦形剤もしくは担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二ナトリウムおよび/またはa)デンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤;b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖およびアカシアなどの結合剤;c)グリセリンなどの保湿剤;d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;e)パラフィンなどの溶解遅延剤;f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿展剤;h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤;およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにこれらの混合物と混合することができる。カプセル、錠剤および丸薬の場合には、製剤は緩衝剤を含むこともできる。
【0101】
ラクトースまたは乳糖などの担体ならびに高分子量ポリエチレングリコール類を使用する軟および硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として、同様の種類の固体組成物を利用することもできる。
【0102】
コーティング剤およびシェル剤、例えば腸溶コーティング剤および医薬製剤の分野において公知である他のコーティング剤を用いて、錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および粒剤の固体製剤を製造することができる。それらは、場合により不透明化剤を含有してもよく、場合によっては遅延的に腸管のある部分のみで、またはその部分で優先的に有効成分を放出する組成のものであってもよい。使用可能な包埋組成物の例には、高分子物質およびロウ類などがあり得る。
【0103】
活性化合物は、適切な場合には、1以上の上記担体とともにマイクロカプセル化形態とすることもできる。
【0104】
経口投与用の液体製剤には、製薬上許容される乳濁剤、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤などがある。活性化合物に加えて、液体製剤は、例えば水その他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの当業界で一般に使用される不活性希釈剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。
【0105】
不活性希釈剤に加えて、前記経口組成物は、湿展剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などの補助剤も含有し得る。
【0106】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル類、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントおよびこれらの混合物を含有することができる。
【0107】
直腸または膣投与用の組成物は好ましくは、室温で固体であるが体温で液体であることで、直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ロウなどの好適な非刺激性担体もしくは担体と本発明の化合物を混合することで製造可能な坐剤である。
【0108】
本発明の化合物は、リポソームの形態で投与することもできる。当業界で公知のように、リポソームは、リン脂質その他の液体物質から誘導される。リポソームは、水系媒体に分散されている単ラメラまたは多ラメラ水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる無毒性で生理的に許容される代謝可能な脂質であればいかなるものも使用可能である。リポソーム形態の本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含有することができる。好ましい液体は、別個にまたは一緒に使用される天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン類(レシチン類)である。
【0109】
リポソームを形成するための方法は当業界で公知である(例えば、Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y. (1976), p. 33 et seq.参照)。
【0110】
本発明の化合物の局所投与用の製剤には、粉剤、噴霧剤、軟膏および吸入剤などがある。活性化合物を、滅菌条件下で製薬上許容される担体および要求され得る必要な保存剤、緩衝液もしくは推進剤と混合することができる。眼科用製剤、眼軟膏、粉剤および液剤も本発明の範囲に包含されることが想到される。
【0111】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導される製薬上許容される塩の形態で使用することができる。「製薬上許容される塩」という表現は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用する上で好適であり、妥当な利益/リスク比を有する塩を意味する。
【0112】
製薬上許容される塩は、当業界において公知である。例えば、バージ(S. M. Berge)らは、報告(J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66: 1 et seq)において製薬上許容される塩について詳細に記載している。これらの塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で製造することができるか、別段階で遊離塩基官能基を好適な有機酸と反応させることで製造することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩(palmitoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。また、塩基性窒素含有基を、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなど(これらに限定されるものではない)の低級アルキルハライド;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルのような硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなど(これらに限定されるものではない)の長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルのようなハロゲン化アリールアルキルなどの薬剤で4級化することができる。これによって、水もしくは油に溶解性もしくは分散性の製品が得られる。製薬上許容される酸付加塩を形成するのに用いることができる酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸のような無機酸、ならびに酢酸、フマル酸、マレイン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、コハク酸およびクエン酸のような有機酸などがある。
【0113】
塩基性付加塩は、カルボン酸含有部分を、製薬上許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩など(これらに限定されるものではない)の好適な塩基と、またはアンモニアまたは有機1級、2級もしくは3級アミンと反応させることによって、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で製造することができる。製薬上許容される塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩など(これらに限定されるものではない)のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミンなどの無毒性4級アンモニアおよびアミンカチオンなどがあるが、これらに限定されるものではない。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどがある。
【0114】
本明細書で用いる場合の「製薬上許容されるプロドラッグ」または「プロドラッグ」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わず、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用する上で好適であり、妥当な利益/リスク比を有し、所期の用途において有効である本発明の化合物のプロドラッグを表す。
【0115】
本発明は、合成手段によって形成されるか、プロドラッグのイン・ビボでの生体変換によって形成される式(I)の化合物を想到するものである。
【0116】
本発明の化合物は、非溶媒和物形態ならびに半水和物などの水和物形態を含む溶媒和物形態で存在することができる。概して、特に水およびエタノールなどの製薬上許容される溶媒との溶媒和物形態は、本発明に関して非溶媒和物形態と等価である。
【0117】
f.一般的合成
本発明は、合成方法もしくは代謝プロセスによって製造される場合の本発明の化合物を包含するものである。代謝プロセスによる本発明の化合物の製造には、ヒトもしくは動物の身体(イン・ビボ)で起こるものまたはイン・ビトロで起こるプロセスなどがある。
【0118】
別段の断りがない限りにおいて、基L、R、RおよびRが「課題を解決するための手段」のセクションに記載の意味を有する式(I)の化合物の合成の例を、添付の図式1から6に示してある。
【0119】
図式および実施例の説明で使用される場合に、ある種の略称は下記の意味を有する。すなわちdba:ジベンジリデンアセトン;BINAP:2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル;DIEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;Pd:パラジウム;Ph:フェニル;およびTHF:テトラヒドロフランである。
【0120】
【化3】

【0121】
のインダゾールは、図式1に示した方法に従って、式の置換フェニルから製造することができる。式の化合物を、約−55℃から約−78℃の温度でテトラヒドロフランなどの溶媒中、リチウムジイソプロピルアミドで処理し、次にDMF(または当業者には公知の他のホルミル等価物)で処理すると、式の化合物が得られる。式の化合物を、式のヒドラジン化合物の存在下に加熱すると、式の化合物が得られる。
【0122】
【化4】

【0123】
図式2で描かれているように、市販されているか図式1に示した手順に従って製造される式の化合物を用いて、式の化合物を得ることができる。従って、(a)高温でナトリウムtert−ブトキシドなど(これらに限定されるものではない)の塩基の存在下、不活性雰囲気下にトルエンなどの溶媒中、式の化合物をベンゾフェノンイミン、酢酸パラジウム(II)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンで処理し、および(b)段階(a)からの生成物を塩酸など(これらに限定されるものではない)の鉱酸で処理することで、式のアミンを得ることができる。式のアミンを、アセトニトリルなど(これらに限定されるものではない)の溶媒中にて炭酸N,N′−ジスクシニミジルで処理すると、式の化合物が得られる。
【0124】
【化5】

【0125】
図式3で描かれているように、式の化合物を式のアミンで処理すると、式(I)の化合物が得られる。この反応に用いられる代表的な条件には、アセトニトリルなどの溶媒中でのジイソプロピルエチルアミンなど(これらに限定されるものではない)の塩基の存在下もしくは非存在下に、式の化合物と式の化合物を攪拌することなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
【化6】

【0127】
あるいは、式(I)の化合物は、図式4に描いた一般的手順を用いて合成することができる。式の化合物を、テトラヒドロフランおよび水の加熱混合物中にてシアン酸カリウムおよび酢酸で処理すると、式の化合物が得られる。式の化合物を、ジオキサンなど(これらに限定されるものではない)の溶媒中、酢酸パラジウム(II)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(キサントホス)の存在下、加熱条件下で、式の化合物で処理すると、式(I)の化合物が得られる。
【0128】
【化7】

【0129】
10の化合物を、DMFなどの溶媒中、水素化ナトリウムなど(これらに限定されるものではない)の塩基で処理し、次に硫酸ジメチルもしくはヨウ化メチルを加えると、Rがメチルである式(I)の化合物が得られる。水素化ナトリウムなどの塩基を加えた後に、RX(Xはハロゲンである)などの他のアルキル化試薬で処理すると、式10の化合物を式(I)の化合物に変換することができる。
【0130】
が置換フェニルであり、LがCHである式のアミンは、図式6に記載の一般的手順を用いて製造することができる。
【0131】
【化8】

【0132】
11の化合物を、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)など(これらに限定されるものではない)のパラジウム触媒の存在下に、式12の化合物(R10は式(I)におけるフェニル部分の適宜の置換基を表す。)で処理すると、式13の化合物が得られる。同様に、式11の化合物を、加熱条件下でPddba:CHClおよび2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、ヨウ化銅およびトリエチルアミンの存在下に、式14のアセチレン含有化合物(R10aはアルキル基である。)で処理して、式15の化合物を得ることができる。式13もしくは15の化合物を、水素の存在下にラネーニッケルで処理すると、それぞれ式16の化合物および式17の化合物が得られる。
【0133】
下記の実施例は例示としてのものであり、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に限定を加えるものではない。
【実施例】
【0134】
g.実施例
(実施例1)
1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1H−インダゾール−4−イル)尿素
(実施例1A)
2−(3,3−ジメチルブタ−1−インイル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Pddba:CHCl(0.439g、0.424mmol、1.5%)、ジシクロヘキシルホスフィノ−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(0.640g、1.63mmol、6%)、およびCuI(0.155g、0.816mmol、3%)をフラスコに入れ、Nでパージを行った。トリエチルアミン(16mL)を加え、混合物を5分間攪拌してから、次に3−クロロ−4−シアノベンゾトリフルオリド(4.00mL、27.0mmol)および3,3−ジメチルブチン(4.00mmol、1.2当量)を加えた。混合物をN下に65℃で2時間加熱し、冷却して環境温度とし、酢酸エチル(約300mL)で希釈した。混合物を、約2%のNHOH水溶液(120mL)および飽和NHCl水溶液(100mL)の順で洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、濃縮し、4%ジエチルエーテル/ヘキサンを用いてSiO(約90mL)で濾過して、標題化合物を得た。H−NMR(CDCl)δ7.71−7.75(m、2H)、7.58(dd、1H)、1.37(s、9H)。
【0135】
(実施例1B)
(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン
実施例1Aの生成物を20%NH/メタノール(150mL)に溶かし、H(約0.41MPa(60psi))下にRaNi(75g)と16時間振盪した。混合物を濾過し、減圧下に溶媒留去して、標題化合物を得た。
【0136】
(実施例1C)
4−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルアミノ)−インダゾール−1−カルボン酸メチルエステル
4−アミノ−インダゾール−1−カルボン酸メチルエステル(1.9g、10mmol)および炭酸ジスクシニミジル(2.8g、11mmol)を、窒素雰囲気下に48時間にわたり、アセトニトリル(100mL)中で混合した。固体を濾過し、新鮮なアセトニトリル(10mL)で洗浄し、真空乾燥して、標題化合物を得た。
【0137】
(実施例1D)
1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1H−インダゾール−4−イル)尿素
DMF(80mL)に溶かした実施例1Bの生成物に、ジイソプロピルエチルアミン(5.6mL、32.1mmol、1.2当量)を加え、次に実施例1Cの生成物(8.82g、26.5mmol、1当量)を加えた。混合物を1時間攪拌し、酢酸エチル(600mL)で希釈し、得られた溶液をHO(250mLで1回)および飽和NHCl水溶液(250mLで1回)の順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を2:1メタノール:THF(90mL)に取り、1N NaOH(30mL)を加えた。溶液を45分間攪拌し、減圧下に濃縮して有機溶媒を除去した。残留物を酢酸エチル(600mL)で希釈し、HO(200mLで2回)、ブライン(200mLで1回)の順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。粗固体を4%エタノール/酢酸エチルを用いてSiO(80mL)で濾過し、活性炭で攪拌し、濾過し、減圧下に濃縮し、4:1ヘキサンおよびエチルエーテル(150mL)で磨砕した。固体をメタノールおよび水から再結晶し、濾過し、真空乾燥して、標題化合物を得た。H−NMR(DMSO−d)δ12.99(brs、1H)、8.79(brs、1H)、8.08(s、1H)、7.61(d、1H)、7.50−7.59(m、3H)、7.20(t、1H)、7.02(d、1H)、6.81(t、1H)、4.45(d、2H)、2.70(ddd、2H)、1.45(ddd、2H)、0.97(s、9H)。
【0138】
(実施例2)
1−(2−イソブチル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
(実施例2A)
(2−イソブチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン
2−メチルプロペニルマグネシウムブロマイドの溶液(0.5M THF中溶液、6.0mL、3.0mmol)を、ZnClの溶液(1.0Mのジエチルエーテル中溶液、3.0mL、3.0mmol)に0℃で加えた。混合物を冷却下に10分間攪拌し、冷却浴を外してからさらに30分間攪拌した。2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(0.35mL、2.4mmol)を加え、次にTHF(1mL)中にPddba・CHCl(48.5mg、0.047mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(56.3mg、0.14mmol)を含む溶液を加えた。混合物を60℃で3時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、得られた混合物を0.1N HCl水溶液(2回)およびブライン(1回)の順で洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5%ジエチルエーテル/ヘキサン)によって精製して、ニトリル0.264gを透明油状物として得て、それをそれ以上精製せずに用いた。得られた油状物を4:1メタノール:酢酸エチル(25mL)に溶かし、終夜にわたりH下に(約0.41MPa(60psi))10%Pd/CおよびRaNi(触媒量)の存在下に振盪した。混合物を濾過し、減圧下に濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離として20%から100%酢酸エチル/ジクロロメタン)によって精製して標題化合物を得た。H NMR(CDCl)δ7.43−7.52(m、2H)、7.37(brs、1H)、3.94(brs、2H)、2.57(d、2H)、1.87(m、1H)、1.49(brs、2H)、0.94(d、6H)。
【0139】
(実施例2B)
2−ブロモ−6−フルオロベンズアルデヒド
リチウムジイソプロピルアミド(2.5Nブチルリチウムのヘキサン中溶液40mLを0.1Mジイソプロピルアミン溶液11.5gに加えることで調製)のTHF中溶液に−70から−75℃の温度で、1−ブロモ−3−フルオロベンゼン(17.3g、0.1M)を5分間かけて加えた。混合物を冷却下に1時間攪拌し、その後にDMF(8mL)を10分間かけて加えた。混合物を冷却下にさらに40分間攪拌し、次に酢酸(26g)を加えた。混合物を昇温させて環境温度とし、メチルtert−ブチルエーテル200mL、水200mLおよび塩酸150mL(約4N)の混合物に移し入れた。有機層を分離し、減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。H−NMR(CDCl)δ10.36(s、1H)、7.49(dt、1H)、7.40(dt、1H)、7.15(tdd、1H)。
【0140】
(実施例2C)
4−ブロモ−1−メチル−1H−インダゾール
実施例2Bの生成物(2.0g)をDMSO(2g)に溶かし、溶液をメチルヒドラジン(98%、3.2g、7当量)に加えた。混合物を85℃で24時間加熱し、冷却して環境温度とし、水(50mL)で希釈した。溶液をCHClで抽出し(50mLで2回)、合わせた有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。
【0141】
(実施例2D)
1−メチル−1H−インダゾール−3−アミン
酢酸パラジウム(II)(82mg、2%mol)およびキサントホス(287mg、3%mol)のトルエン(10mL)中混合物を環境温度で5分間攪拌した。その溶液に、実施例2C(3.68g、17.4mmol)およびベンゾフェノンイミン(3.0g、17.4mmol)のトルエン(30mL)中溶液を加えた。混合物の排気および窒素によるパージを2回行い、環境温度で15分間攪拌し、ナトリウムtert−ブトキシド(1.9g、1.4当量)を加え、混合物の排気および窒素によるパージを行った。混合物を加熱して80から85℃として2時間経過させ、冷却して環境温度とし、水(30mL)で希釈した。水層を分離し、追加のトルエン(20mL)で抽出した。合わせた有機層を6N HCl(10mL)で1時間攪拌し、水40mLを加えて固体を溶解させた。トルエン層を廃棄し、水層を濾過して不溶物を除去した。水層を50%NaOHでpH14に調節し、濾過して、標題化合物を得た。固体をアセトニトリル(25mL)に溶かし、次に12M HClをゆっくり加えてpHを1に調節した。沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、標題化合物の塩酸塩を得た。H NMR(DMSO)δ8.03(d、1H)、7.02(dd、1H)、6.64(dt、1H)、6.14(dd、1H)、5.73(brs、2H)、3.90(s、3H)。
【0142】
(実施例2E)
1−(2−イソブチル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例2D(24mg、0.16mmol)および炭酸ジスクシニミジル(38mg、0.15mmol)のアセトニトリル(0.4mL)中混合物を、40℃で90分間攪拌した。実施例2Aおよびジイソプロピルエチルアミン(0.028mL、0.16mmol)のDMF(0.4mL)中溶液を加え、混合物を90分間攪拌した。溶液を酢酸エチルで希釈し、水(2回)およびブライン(1回)で抽出した。有機層を脱水し(NaSO)、減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。H NMR(DMSO)δ8.86(s、1H)、8.05(d、1H)、7.64(dd、1H)、7.54−7.57(m、2H)、7.48(s、1H)、7.25(t、1H)、7.14(dt、1H)、6.86(t、1H)、4.45(d、2H)、3.99(s、3H)、2.64(d、2H)、1.88(m、1H)、0.92(d、6H)。
【0143】
(実施例3)
1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
(実施例3A)
1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)尿素
実施例1B(9.0g、35mmol)、シアン酸カリウム(4.2g、52mmol)および氷酢酸(3.1mL、52mmol)のTHF(70mL)および水(7mL)中混合物を60℃で2時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液およびブラインの順で洗浄した。有機層を減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。H−NMR(DMSO−d)δ7.41(m、3H)、4.69(brs、1H)、4.45(d、2H)、4.37(brs、2H)、2.64(ddd、2H)、1.45(ddd、2H)、0.99(s、9H)。
【0144】
(実施例3B)
1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例3A(5.12g、16.9mmol)、実施例2C(3.78g、17.9mmol)、Pddba:CHCl(264mg、0.255mmol)、キサントホス(442mg、0.764mmol)、およびCsCO(8.28g、25.4mmol)のジオキサン(60mL)中混合物にNを流し、90℃で16時間攪拌した。混合物を減圧下に濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインの順で洗浄し、フラッシュクロマトグラフィー(0%から35%酢酸エチル/ジクロロメタン)によって精製して、標題化合物を得た。H−NMR(DMSO−d)δ8.82(s、1H)、8.05(s、1H)、7.64(d、1H)、7.50−7.53(m、3H)、7.20(t、1H)、7.14(d、1H)、6.81(t、1H)、4.45(d、2H)、4.00(s、3H)、2.70(ddd、2H)、1.45(ddd、2H)、0.97(s、9H)。
【0145】
(実施例4)
1−(1H−インダゾール−4−イル)−3−(2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)尿素
(実施例4A)
2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(0.67mL、4.5mmol)および[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(110mg、0.14mmol)のジオキサン15mL中溶液に、Zn(イソ−プロピル)(1N トルエン中溶液、9mmol)を加えた。混合物を18時間加熱還流し、冷却して環境温度とし、メタノールで希釈した。混合物をさらにエーテルで希釈し、1N HCl、水およびブラインの順で洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0%から10%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。H NMR(CDCl)δ7.73(d、1H)、7.63(s、1H)、7.55(d、1H)、3.45(7重線、1H)、1.36(d、6H)。
【0146】
(実施例4B)
(2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン
4−アミノ−インダゾール−1−カルボン酸メチルエステル(1.9g、10mmol)および炭酸ジスクシニミジル(2.8g、11mmol)を、アセトニトリル(100mL)中で窒素雰囲気下に48時間混合した。固体を濾過し、新鮮なアセトニトリル(10mL)で洗浄し、環境温度で真空乾燥して、標題化合物を得た。
【0147】
(実施例4C)
1−(1H−インダゾール−4−イル)−3−(2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)尿素
実施例1Cに代えて実施例4Bを用い、実施例1Dに記載の方法に従って標題化合物を得た。H−NMR(DMSO−d)δ12.99(s、1H)、8.78(s、1H)、8.07(s、1H)、7.55−7.62(m、4H)、7.20(t、1H)、7.07(d、1H)、6.81(t、1H)、4.49(d、2H)、1.26(d、6H)。
【0148】
(実施例5)
1−(2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例4C(0.468g、2.2mmol)のDMF(6mL)中溶液に、NaH(0.104g、2.6mmol)を加え、混合物を90分間攪拌した。硫酸ジメチル(MeSO、0.22mL、2.3mmol)を加え、混合物を2時間攪拌した。混合物を酢酸エチル(1200mL)で希釈し、HO(400mL)およびブライン(400mL)の順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮し、クロマトグラフィー(75%ジエチルエーテル/ヘキサンから100%ジエチルエーテル)によって精製して、標題化合物を得た。H−NMR(DMSO−d)δ8.81(s、1H)、8.04(s、1H)、7.64(d、1H)、7.60(s、1H)、7.55(m、2H)、7.25(t、1H)、7.14(d、1H)、6.81(t、1H)、4.49(d、2H)、3.99(s、3H)、3.30(m、1H)、1.25(d、6H)。
【0149】
(実施例6)
2,2−ジメチル−4−(2−((3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸メチル
(実施例6A)
4−(2−シアノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル−2−2′−ジメチルブト−3−イン酸メチル
3,3−ジメチルブチンに代えて2,2−ジメチルブト−3−イン酸メチル(J. Med. Chem., 1996, 38, 1831)を用い、実施例1Aに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。H NMR(CDCl)、7.79(s、1H)、7.77(d、1H)、7.62(d、1H)、3.81(s、3H)、1.64(s、6H)。
【0150】
(実施例6B)
4−(2−アミノメチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−2,2−ジメチルブタン酸メチル
実施例1Aに代えて実施例6Aを用い、実施例1Bに記載の手順に従って標題化合物を製造した。H NMR(CDCl)δ7.46(m、2H)、7.38(s、1H)、3.94(brs、2H)、3.71(s、3H)、2.62(5重線、2H)、1.79(5重線、2H)、1.27(s、6H)。
【0151】
(実施例6C)
2,2−ジメチル−4−(2−((3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸メチル
実施例2Aに代えて実施例6Bを用い、実施例2Eに記載の手順に従って標題化合物を製造した。H NMR(DMSO)δ8.84(s、1H)、8.05(d、1H)、7.64(d、1H)、7.56(m、3H)、7.25(t、1H)、7.15(dt、1H)、6.82(t、1H)、4.43(d、2H)、4.00(s、3H)、3.63(s、3H)、2.65(5重線、2H)、1.76(5重線、2H)、1.22(s、6H)。
【0152】
(実施例7)
1−(2−(4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例6C(1.16g、2.36mmol)のCHCl(6mL)中混合物に−78℃で、水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液(1M CHCl溶液、6.0mL、6.0mmol)を加えた。混合物を冷却下に2時間攪拌し、昇温させて環境温度とし、メタノール(4mL)および飽和ロッシェル塩水溶液(5mL)で反応停止し、1時間攪拌した。混合物を水で希釈し、10%iPrOH/CHClで抽出した。合わせた有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。H NMR(DMSO)δ8.82(s、1H)、8.05(d、1H)、7.64(d、1H)、7.52(m、3H)、7.25(t、1H)、7.14(dt、1H)、6.82(t、1H)、4.55(t、1H)、4.45(d、2H)、3.95(s、3H)、3.19(d、2H)、2.68(5重線、2H)、1.45(5重線、2H)、0.89(s、6H)。
【0153】
(実施例8)
2,2−ジメチル−4−(2−(3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸
実施例6C(2.90g、6.09mmol)および1N NaOH水溶液(12.5mL、12.5mmol)のメタノールおよびテトラヒドロフラン2:1混合物(30mL)中溶液を70℃で4時間攪拌し、冷却して環境温度とし、1N HCl(15mL)で酸性とし、水で希釈し、10%iPrOH/CHClで抽出した。合わせた有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮し、ジエチルエーテルで磨砕して、標題化合物を得た。H NMR(DMSO)δ12.26(brs、1H)、8.88(s、1H)、8.06(d、1H)、7.64(d、1H)、7.53(m、3H)、7.25(t、1H)、7.14(d、1H)、6.87(t、1H)、4.44(d、2H)、3.99(s、3H)、2.67(5重線、2H)、1.73(5重線、2H)、1.19(s、6H)。
【0154】
(実施例9)
1−(4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
(実施例9A)
3−ブロモ−4−クロロ安息香酸エチルエステル
3−ブロモ−4−クロロ安息香酸(5.0g、21mmol)の純粋エタノール150mL中溶液に、4N HCl/ジオキサン15mLを加えた。混合物を24時間加熱還流し、冷却して環境温度とし、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチルとHOとの間で分配し、分離した有機相を飽和NaHCO溶液、ブラインの順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。H NMR(DMSO−dδ)δ8.22(d、1H)、7.94(dd、1H)、7.80(d、1H)、4.33(q、2H)、1.33(t、3H);MS(DCI)m/z263(M+H)
【0155】
(実施例9B)
4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)安息香酸エチルエステル
3,3−ジメチル−1−ブチルマグネシウムクロライド(8.00mmol、0.5MTHF、Platte Valley Scientific)を、ZnCl(4.00mmol、1Mジエチルエーテル中溶液、アルドリッチ)の1,4−ジオキサン(15mL)中溶液に環境温度で滴下した。混合物を30分間攪拌し、次に3−ブロモ−4−クロロ安息香酸エチルエステル(1.05g、3.99mmol)およびPd(dppf)Cl(131mg、0.160mmol)を加えた。混合物を30分間加熱還流し、冷却して環境温度とし、ジエチルエーテルで希釈し、HOで反応停止した。混合物をセライトで濾過し、濾液をブラインで洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。5%から15%酢酸エチル/ヘキサンで溶離を行うフラッシュクロマトグラフィーによって、標題化合物を得た。H NMR(DMSO−d)δ7.89(d、1H)、7.78(dd、1H)、7.56(d、1H)、4.32(q、2H)、2.73(m、2H)、1.41(m、2H)、1.32(t、3H)、0.97(s、9H);MS(DCI)m/z286(M+NH、269(M+H)
【0156】
(実施例9C)
4−アジドメチル−1−クロロ−2−(3,3−ジメチルブチル)ベンゼン
中溶液水素化リチウムアルミニウム(3.8mmol、1M THF中溶液、アルドリッチ)を、4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)安息香酸エチルエステル(1.0g、3.8mmol)の脱水THF(10mL)中溶液に0℃で加えた。混合物を昇温させて環境温度とし、2時間攪拌し、次にNaSO・10HO(固体)を加えた。混合物をジエチルエーテルで希釈し、濾過し、減圧下に濃縮した。得られた化合物(0.86g、3.8mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.97mL、5.6mmol)をCHCl(15mL)に取り、冷却して0℃とした。メタンスルホニルクロライド(0.31mL、4.1mmol)を加え、混合物を2時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチルに取り、飽和NaHCO溶液、ブラインの順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。粗メタンスルホン酸エステルをDMF(10mL)に溶かし、次にナトリウムアジド(0.36g、5.6mmol)を加えた。混合物を加熱して65℃として1.5時間経過させ、冷却して環境温度とし、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチルに取り、HO、ブラインの順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)によって標題化合物を得た。H NMR(DMSO−d)δ7.43(d、1H)、7.34(d、1H)、7.21(dd、1H)、4.43(s、2H)、2.66(m、2H)、1.41(m、2H)、0.96(s、9H);MS(DCI)m/z224(M+H−N
【0157】
(実施例9D)
4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)ベンジルアミン
水素化リチウムアルミニウムの溶液(3.2mmol、1M THF中溶液、アルドリッチ)を、実施例9C(0.80g、3.2mmol)のTHF(15mL)中溶液に0℃で滴下した。混合物を1時間攪拌し、NaSO・10HOで反応停止し、酢酸エチルで希釈し、濾過し、減圧下に濃縮した。5%から10%メタノール/ジクロロメタンで溶離を行うフラッシュクロマトグラフィーによって標題化合物を得た。H NMR(DMSO−d)δ7.29(m、2H)、7.15(dd、1H)、3.66(s、2H)、2.62(m、2H)、1.84(bs、2H)、1.40(m、2H)、0.96(s、9H);MS(DCI)m/z243(M+NH、226(M+H)
【0158】
(実施例9E)
1−(4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)ベンジル)−3−(1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例1Bに代えて実施例9Dを用い、実施例1Dに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。H NMR(DMSO−d)δ12.98(bs、1H)、8.75(s、1H)、8.08(s、1H)、7.60(d、1H)、7.37(d、1H)、7.30(d、1H)、7.20(m、2H)、7.07(m、1H)、6.81(t、1H)、4.31(d、2H)、2.65(m、2H)、1.41(m、2H)、0.96(s、9H);MS(ESI)m/z385(M+H)
【0159】
(実施例9F)
1−[4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)ベンジル]−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例9E(320mg、0.83mmol)のDMF(8mL)中溶液に環境温度で、水素化ナトリウム(41mg、1.0mmol、60%鉱油中分散品)を1回で加えた。混合物を1.5時間攪拌し、次に硫酸ジメチル(89μL、0.93mmol)を加えた。混合物を1時間攪拌し、酢酸エチルとNaCl水溶液との間で分配した。分離した有機層を、HO、ブラインの順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。4%メタノール/ジクロロメタンで溶離を行うフラッシュクロマトグラフィーによって、標題化合物を得た。H NMR(DMSO−d)δ8.77(s、1H)、8.04(s、1H)、7.63(d、1H)、7.37(d、1H)、7.33−7.10(m、4H)、6.80(t、1H)、4.31(d、2H)、3.99(s、3H)、2.65(m、2H)、1.41(m、2H)、0.95(s、9H);MS(ESI)m/z399(M+H)
【0160】
(実施例10)
1−(4−クロロ−3−イソプロピルベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
(実施例10A)
4−クロロ−3−イソプロピル安息香酸エチルエステル
ジイソプロピル亜鉛(10.0mmol、1M トルエン中溶液、アルドリッチ)の(10mL)1,4−ジオキサン中溶液に、3−ブロモ−4−クロロ安息香酸エチルエステル(1.05g、3.99mmol)を1回で加え、次にPd(dppf)Cl(4.0mmol)を加えた。混合物を3時間加熱還流し、冷却して環境温度とし、終夜攪拌した。混合物を1N HCl水溶液で反応停止し、酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過した。分離した有機層を1N HCl水溶液、ブラインの順で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、4%酢酸エチル/ヘキサンで溶離を行うクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。H NMR(DMSO−d)δ7.92(d、1H)、7.78(dd、1H)、7.58(d、1H)、4.32(q、2H)、3.35(7重線、1H)、1.32(t、3H)、1.24(d、6H)。
【0161】
(実施例10B)
4−アジドメチル−1−クロロ−2−イソプロピルベンゼン
実施例9Bに代えて実施例10Aを用い、実施例9Cに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。H NMR(DMSO−d)δ7.44(d、1H)、7.40(d、1H)、7.22(dd、1H)、4.46(s、2H)、3.31(7重線、1H)、1.22(m、6H);MS(DCI)m/z182(M+H−N
【0162】
(実施例10C)
4−クロロ−3−イソプロピルベンジルアミン
実施例9Cに代えて実施例10Bを用い、実施例9Dに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。H NMR(DMSO−d)δ7.35(d、1H)、7.31(d、1H)、7.16(dd、1H)、3.68(s、2H)、3.29(7重線、1H)、1.83(bs、2H)、1.21(m、6H)。
【0163】
(実施例10D)
1−(4−クロロ−3−イソプロピルベンジル)−3−(1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例1Bに代えて実施例10Cを用い、実施例1Dに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。H NMR(DMSO−d)δ12.97(bs、1H)、8.82(s、1H)、8.12(s、1H)、7.61(d、1H)、7.38(m、2H)、7.20(m、2H)、7.07(d、1H)、6.90(t、1H)、4.35(d、2H)、3.31(7重線、1H)、1.22(d、6H);MS(ESI)m/z343(M+H)
【0164】
(実施例10E)
1−(4−クロロ−3−イソプロピルベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
実施例9Eに代えて実施例10Dを用い、実施例9Fに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。H NMR(DMSO−d)δ8.79(s、1H)、8.05(s、1H)、7.63(d、1H)、7.38(m、2H)、7.30−7.10(m、3H)、6.81(t、1H)、4.34(d、2H)、3.99(s、3H)、3.31(7重線、1H)、1.22(d、6H);MS(ESI)m/z356(M+H)
【0165】
上記の詳細な説明および添付の実施例は説明を目的としたものに過ぎず、専ら添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義される本発明の範囲に限定を行うものではないことは明らかである。開示の実施形態に対する各種の変更および改変は、当業者には明らかである。本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤および/または使用方法に関係するもの(これらに限定されるものではない)などのそのような変更および改変を行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物
【化9】

[式中、
Lは、C−Cアルキレンであり;
は、C−Cアルキルであり;
は、水素およびハロゲンからなる群から選択され;
は、アリールである。]
または該化合物の製薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、
ただし、下記の化合物:
N−(4−クロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−tert−ブチルベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(3,4−ジクロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(2,4−ジクロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−エチルベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(2−クロロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(4−フルオロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−(2−フルオロベンジル)−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、
N−[1−(4−ブロモフェニル)エチル−N′−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素、および
N−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−N′−{4−[(トリフルオロメチル)チオ]ベンジル}尿素
は除外される。
【請求項2】
がフェニルである請求項1の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項3】
が水素であり;
Lが−CH−であり;
がメチルであり;ならびに
がフェニルである
請求項1の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項4】
がフッ素であり;
Lが−CH−であり;
がメチルであり;ならびに
がフェニルである
請求項1の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項5】
フェニルが、独立にアルコキシカルボニルアルキル、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、カルボキシアルキル、およびヒドロキシアルキルからなる群から選択される2個の置換基で置換されている請求項3の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項6】
前記化合物がイン・ビトロで、そして好ましくはイン・ビボでCYP3A4を阻害しない請求項1の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項7】
1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;
2,2−ジメチル−4−(2−((3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸メチル;
1−(2−(4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;
2,2−ジメチル−4−(2−((3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)ウレイド)メチル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン酸;
1−[4−クロロ−3−(3,3−ジメチルブチル)ベンジル]−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;
1−(4−クロロ−3−イソプロピルベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;
1−(2−イソブチル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素;および
1−(2−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素
からなる群から選択される請求項1の化合物またはこれらの製薬上許容される塩。
【請求項8】
治療上有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
化合物が1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素もしくはこれの製薬上許容される塩、および製薬上許容される担体である請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
バニロイド受容体サブタイプ1(TRPV1)受容体を阻害することによって改善する障害を、治療を必要とする宿主哺乳動物において治療する方法であり、治療上有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、方法。
【請求項11】
化合物が1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素である請求項10の方法。
【請求項12】
治療を必要とする哺乳動物において疼痛を治療する方法であり、治療上有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、方法。
【請求項13】
化合物が1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素である請求項12の方法。
【請求項14】
急性脳虚血、疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、異痛、炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、神経障害、神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、神経損傷、関節リウマチ性疼痛、骨関節炎性疼痛、火傷、腰痛、内臓痛、癌疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛、神経炎、坐骨神経症、骨盤過敏症、骨盤痛、生理痛、膀胱疾患、排尿障害、腎疝痛、炎症、神経変性性疾患、肺疾患、消化管疾患、虚血、嘔吐または肥満を治療する方法であり、治療を必要とする患者に対して、治療上有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、前記方法。
【請求項15】
化合物が1−(2−(3,3−ジメチルブチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3−(1−メチル−1H−インダゾール−4−イル)尿素である請求項14の方法。
【請求項16】
1つ以上の非ステロイド系抗炎症薬と同時投与する段階をさらに含む請求項14の方法。
【請求項17】
非ステロイド系抗炎症薬がアセトアミノフェンおよびイブプロフェンまたはこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項16の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の式(I)の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩、1つ以上の非ステロイド系抗炎症薬および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2010−501592(P2010−501592A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525788(P2009−525788)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/076696
【国際公開番号】WO2008/024945
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】