説明

X線撮影装置

【課題】 X線照射における患者への被爆量を必要最小限に抑え、かつ良好なX線撮影画像を得ることのできるX線撮影装置を提供すること。
【解決手段】
X線検出素子42から出力される出力信号を取得し、X線検出素子42に照射されるX線の累積照射量を積算する積算器15と、累積照射量と所定の設定照射量とを比較する照射量判定器16とを備え、X線検出素子42から出力される出力信号が、積算器15および照射量判定器16を含む第一の経路と、撮像制御器12を含む第二の経路とに分岐され、第一の経路へ出力された当該出力信号に基づいて、照射量判定器16がX線照射の開始および停止を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科等における医療用のX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野(例えば、歯科)において、患部を撮影する方法には、口腔内に挿入するX線センサとして、主に銀塩フィルムを用いた撮影方式が用いられてきた。しかし、銀の消費抑制および環境保護、また患者の被爆量軽減という目的から、近年ではデジタル方式が普及しつつある。デジタル方式では、口腔内に挿入するX線センサとして、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)、IP(Imaging Plate)等のセンサを用いる。
【0003】
X線撮影の際、術者は撮影の対象または被験者の体格等に応じ、X線発生器のX線管電圧および電流を設定する。術者によって設定されたX線管電圧および電流により、所定の照射時間、X線が照射される。当該設定は、術者の経験に基づくものであるため、露出過不足によるモニタ上のX線画像の黒化度が術者によって一定せず、画質が撮影ごとに変動し診断に必要な画像が得られない場合があった。
【0004】
そこで、不要X線照射を低減または除去し、かつ、鮮明度・解像度の良好なX線画像を得るため、X線照射量を検出するためのX線検出素子を撮像ユニット内に設け、当該X線照射量とあらかじめ良好な画像を得るために設定された設定照射量とを比較することにより、X線照射装置の照射時間を制御する手段も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
以下に、従来のX線撮影装置について、図面を用いて説明する。図3は、従来のX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【0006】
図3に示すように、従来のX線撮影装置は、本体装置110、表示器120、X線照射器130、撮像ユニット140から構成されている。本体装置110は、積算器111、比較器112、撮像制御器113、および照射制御器114を備えている。
【0007】
撮像ユニット140は、半導体撮像素子141およびX線検出素子142を備えている。半導体撮像素子141は、照射されるX線を垂直に受光することができるよう、X線入射方向に対して垂直に平面状に配置される。X線検出素子142は、半導体撮像素子141の周囲(近傍)に少なくとも1つ配置される。
【0008】
積算器111は、撮像ユニット140のX線検出素子142から取得する出力信号からX線強度を求め、当該X線強度を積算する。比較器112は、積算器111によって積算された累積照射量を取得する。比較器112は、累積照射量とX線画像の解析に適した設定照射量とを比較する。比較器112は、比較結果を撮像制御器113へ出力する。
【0009】
撮像制御器113は、比較器112から取得した比較結果に基づいて、半導体撮像素子141へ撮像開始信号または撮像終了信号を出力することにより、画像処理および画像表示を制御する。さらに、撮像制御器113は、当該比較結果に基づいて、照射制御器114へX線照射開始信号またはX線照射停止信号を出力することにより、X線照射の開始および終了を制御する。
【0010】
以上のように構成された従来のX線撮影装置では、CCD等の感度の高いX線検出素子を用いているため、撮影開始から終了までにかかる時間(X線の照射時間)は、例えば、0.1秒程度の極めて短時間である。
【特許文献1】特開平5−130990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来のX線撮影装置では、X線検出素子142から出力される出力信号は、積算器111および比較器112を通り、一旦、画像処理および画像表示の制御とX線照射の開始および終了の制御とを行う撮像制御器113へ出力されていた。そのため、比較器112が、累積照射量が設定照射量に達したことを判断した場合でも、従来のX線撮影装置は、一旦撮像制御器113を介して、X線照射停止信号をX線照射器130へ出力するため、X線照射が停止するまでに遅延が生じるという課題を有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、X線検出素子によって出力される出力信号に基づいて、X線照射の開始および停止をより短時間で決定し、当該決定に基づいてX線照射器を制御することで必要以上のX線が照射されないX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明にかかるX線撮影装置は、X線を照射するX線照射部と、前記X線照射部から照射されるX線に基づいて、画像処理および画像表示を制御する撮像制御部とを備えるX線撮影装置であって、前記X線照射部によって照射されるX線を検出するX線検出素子と、前記X線検出素子から出力される出力信号を取得し、前記X線検出素子に照射されるX線の累積照射量を積算する積算部と、累積照射量と所定の設定照射量とを比較する比較部とを備え、前記X線検出素子から出力される出力信号が、前記積算部および前記比較部を含む第一の経路と、前記撮像制御部を含む第二の経路とに分岐され、前記第一の経路へ出力された当該出力信号に基づいて、前記比較部がX線照射の開始および停止を決定することを特徴とする。
【0014】
本発明にかかるX線撮影装置によれば、X線検出素子がX線を検出し、当該X線に基づく出力信号を出力する。当該出力信号は、積算部および比較部を含む第一の経路と、撮像制御部を含む第二の経路に分岐して出力される。これにより、第一の経路へ出力された出力信号に基づいて、積算部はX線の累積照射量を積算し、比較部は当該累積照射量と設定照射量とを比較し、X線照射の開始および停止を決定することができる。そのため、比較部は、撮像制御部を介することがないため、より短い時間でX線照射開始および停止を決定することができる。なお、設定照射量とは、任意で設定される最適なX線画像を得るためのX線量である。
【0015】
本発明にかかるX線撮影装置において、前記X線照射部のX線照射の開始および停止を制御する出力制御部をさらに備え、前記比較部が、前記積算部による累積照射量と設定照射量とを所定の単位時間ごとに比較した結果に基づいて、前記出力制御部が前記X線照射部によるX線の照射を停止させることが好ましい。これにより、X線の照射不足による画像品質の低下、および照射過多による患者の被爆量増大を防ぐことができる。単位時間とは、比較部が累積照射量と設定照射量との比較を行う一定の時間を示し、例えば、0.01秒等の任意の時間である。
【0016】
本発明にかかるX線撮影装置において、前記X線照射部のX線照射の開始および停止を制御する出力制御部と、X線の照射開始からの時間を測定する時間測定部とをさらに備え、前記比較部が、前記積算部による累積照射量が設定照射量に達すると判断したときと、前記時間測定部による測定時間が所定の照射設定時間に達したときの、いずれか早い時点で、前記出力制御部が前記X線照射部によるX線の照射を停止させることが好ましい。これにより、出力制御部は、術者によって入力される照射設定時間を、比較部による比較結果より優先させることができる。また、術者によって、誤って長すぎる時間が設定された場合でも、出力制御部は、比較部による比較結果に基づいて制御されるため、必要以上のX線の照射量が患者に照射されることはない。照射設定時間とは、術者等によって入力されるX線照射時間である。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるX線撮影装置によれば、X線検出素子によって出力される出力信号に基づいて、X線照射の開始および停止をより短時間で決定することができるため、当該決定に基づいてX線照射器を制御すれば、X線の照射不足による画像品質の低下、および照射過多による患者の被爆量増大を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明にかかるX線撮影装置について、図面を用いて詳しく説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態にかかるX線撮影装置について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、第1の実施の形態にかかるX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態にかかるX線撮影装置は、本体装置10、表示器20、X線照射器30、撮像ユニット40から構成されている。本体装置10は、照射制御器11(出力制御部)、撮像制御器12、比較器13、照射検出器14、積算器15(積算部)、および照射量判定器16(比較部)を備えている。また、撮像ユニット40は、半導体撮像素子41およびX線検出素子42を備えている。
【0021】
本体装置10は、映像用ケーブル(図示せず)を介して表示器20と接続されている。また、本体装置10は、ケーブル(図示せず)を介して撮像ユニット40と接続されており、さらに別のケーブル(図示せず)を介してX線照射器30とも接続されている。
【0022】
また、本体装置10は、X線照射器30を制御する第一の経路と、X線検出素子42から画像データを取得し表示器20へ表示する第二の経路とを含んでいる。第一の経路は、積算器15、照射量判定器16、および照射制御器11を含む。第二の経路は、比較器13、照射検出器14、および撮像制御器12を含む。従って、第一の経路に含まれる照射制御器11から出力される出力信号が、X線照射器30へ出力されることにより、X線照射器30は、撮像制御器12を介さずに、X線の照射開始および照射停止を制御される。
【0023】
撮像ユニット40は、前述のとおり、半導体撮像素子41およびX線検出素子42を含み、他に蛍光体(図示せず)、光ファイバ(図示せず)等によって構成される。半導体撮像素子41は、被写体を介して照射されるX線を垂直に受光することができるよう、X線入射方向に対して垂直に平面状に配置される。また、X線検出素子42は、半導体撮像素子41に照射されるX線量と略同量のX線量を受光することができるよう、半導体撮像素子41の周囲(近傍)に少なくとも1つ配置される。
【0024】
なお、図1には、X線検出素子42が半導体撮像素子41の長手方向に平行して配置されるものとして図示したが、この一例に限定されない。例えば、X線検出素子42は、半導体撮像素子41のX線入射面の背面に配置されてもよいし、半導体撮像素子41の周囲を囲って配置されてもよい。
【0025】
次に、本実施の形態にかかるX線撮影装置のそれぞれの動作について説明する。
【0026】
X線照射器30は、被写体等にX線を照射する。X線は、電磁波の一種で、紫外線とガンマ線との間、約10-3〜10-12mの範囲の波長を持つ。X線は、物質透過性および感光性等を特徴とし、物質透過性の強いX線を硬X線、物質透過性の弱いX線を軟X線という。X線照射器30は、照射制御器11によって、X線の照射開始および終了が制御される。
【0027】
半導体撮像素子41は、CCD等の半導体素子(フォトダイオード)である。半導体撮像素子41は、X線照射器30から照射されたX線を検出する。半導体撮像素子41によって検出されたX線は、画像信号に変換され蓄積される。半導体撮像素子41によって蓄積された画像信号は、撮像制御器12へ出力される。
【0028】
X線検出素子42は、半導体撮像素子41と同様に、半導体素子等によって構成される。X線検出素子42は、X線照射器30から照射されたX線を検出する。検出されたX線は、X線検出素子42によって、X線強度に比例したX線出力信号に変換される。X線検出素子42は、当該X線出力信号を比較器13および積算器15へ出力する。
【0029】
積算器15は、ハードウェアによる積算器を用いる。ソフトウェアによる積算処理が、CPU(Central Processing Unit)の処理速度の影響を受けるのに対し、ハードウェアによる積算器は、CPUの処理速度の影響を受けないため、より高速に積算することができる。積算器15は、X線検出素子42から取得するX線出力信号(周期:1MHz近傍)からX線強度を求め、当該X線強度を経時的(例えば、0.01秒ごと等)に積算する。積算器15によって積算され求められた累積照射量は、照射量判定器16へ出力される。
【0030】
照射量判定器16は、ハードウェアによる照射量判定器を用いる。ソフトウェアによる判定処理が、CPUの処理速度の影響を受けるのに対し、ハードウェアによる照射量判定器は、CPUの影響を受けないため、より高速に累積照射量の判定を行うことができる。照射量判定器16は、積算器15から取得する累積照射量が、あらかじめ設定される所定の設定照射量に達したか否かを、任意の時間(例えば、0.01秒等)ごとに判定する。設定照射量は、例えば、半導体撮像素子41の飽和電荷量の1/2に相当するX線検出素子42の出力信号積算量に設定される。照射量判定器16は、積算器15から取得する累積照射量が設定照射量に達した際、照射制御器11へX線照射停止信号を出力する。
【0031】
また、比較器13は、X線検出素子42からX線出力信号を取得する。比較器13は、当該X線出力信号とあらかじめ設定される設定X線出力とを比較する。設定X線出力は、例えば、X線検出素子42の最大出力信号の1/100の値に設定される。比較器13は、X線検出素子42から取得するX線出力信号が当該設定X線出力に達した際、照射検知信号を照射検出器14へ出力する。照射検出器14は、比較器13から照射検知信号を取得し、撮像制御器12へ撮像開始信号または撮像終了信号を出力することにより、X線照射の開始および停止のタイミング、すなわち、撮像の開始および停止のタイミングを指示する。
【0032】
撮像制御器12は、照射検出器14から出力される撮像開始信号または撮像終了信号によって、撮像開始および撮像終了を判断し、半導体撮像素子41へ画像蓄積開始信号または画像蓄積終了信号を出力する。撮像制御器12は、半導体撮像素子41から画像出力を取得し、当該画像出力を変換することにより、画像データを表示器20へ出力する。
【0033】
表示器20は、一例として、図1に示すように、ノート型パーソナルコンピュータまたはワークステーション等を用いる。なお、表示器20はこの一例に限定されず、撮像制御器12から出力される画像データを表示できればよい。
【0034】
以上のように構成された本実施の形態にかかるX線撮影装置の動作について説明する。ここでは、本実施の形態にかかるX線撮影装置を歯科において使用する例を用いて説明する。なお、本発明にかかるX線撮影装置は、歯科のみにおいて使用することを目的とするものではない。
【0035】
まず、X線の照射を開始する前に、X線照射器30および撮像ユニット40は、患者の口腔内へ挿入され、X線照射器30から照射されるX線が被写体(例えば、歯等)を透過して撮像ユニット40へ入射するよう、被写体を間に挟んで対向して配置される。
【0036】
次に、術者は被写体の観測を開始するために、スイッチ(図示せず)をオン状態にする。X線が、X線照射器30から被写体および撮像ユニット40へ向けて照射される。
【0037】
撮像ユニット40の半導体撮像素子41およびX線検出素子42が、X線を検出する。X線検出素子42は、X線強度に比例したX線出力信号を比較器13および積算器15へ出力する。
【0038】
X線検出素子42から出力されるX線出力信号を取得した比較器13は、当該X線出力信号とあらかじめ設定される設定X線出力とを比較する。X線出力信号が当該設定X線出力以上になった際、比較器13は、照射検出器14へ照射検知信号を出力する。
【0039】
例えば、X線検出素子42から出力されるX線出力信号が0.02Vであり、設定X線出力が0.05Vである場合、X線検出素子42によって検出されたX線強度が撮像を開始する上で、十分な強さではないと判断されるため、比較器13は、照射検出器14へ照射検知信号を出力しない。一方、X線検出素子42から出力されるX線出力信号が、例えば、0.06Vである場合は、X線検出素子42によって検出されたX線強度は撮像を開始する上で、十分な強さであると判断できるため、比較器13は、照射検出器14へ照射検知信号を出力する。
【0040】
そして、照射検出器14が比較器13から照射検知信号を取得すると、照射検出器14は撮像制御器12へ撮像開始信号を出力する。撮像開始信号を取得した撮像制御器12は、画像蓄積開始信号を撮像ユニット40の半導体撮像素子41へ出力する。半導体撮像素子41は、前記画像蓄積開始信号を受け取ると、X線照射器30から照射されるX線の蓄積を開始する。
【0041】
一方、X線検出素子42から出力されるX線出力信号を取得した積算器15は、X線出力信号からX線強度を取得し、一例として、0.01秒ごとに積算し、累積照射量を求める。積算器15で積算された累積照射量は、照射量判定器16へ出力される。
【0042】
そして、照射量判定器16は、累積照射量とあらかじめ設定された設定照射量とを、任意の単位時間(例えば、0.01秒)ごとに比較する。累積照射量が設定照射量に達した時点で、照射量判定器16は、照射制御器11に照射停止信号を出力する。
【0043】
例えば、最適なX線画像を得ることができる設定照射量が電圧換算値で3V程度であるとした場合、照射量判定器16は、累積照射量が電圧換算値で3V以上に達した際、X線照射器30のX線照射を停止するため、照射停止信号を照射制御器11へ出力する。照射制御器11へ照射停止信号が出力されると、照射制御器11はX線照射器30を制御し、X線照射を停止する。
【0044】
次に、X線照射器30がX線の照射を停止すると、撮像ユニット40のX線検出素子42は、X線が照射されなくなったことを検知する。X線検出素子42は、X線照射停止を示すX線出力信号を比較器13および積算器15へ出力する。
【0045】
X線検出素子42から出力されるX線出力信号を取得した比較器13は、当該X線出力信号から、X線照射が停止したことを判断し、照射検出器14へ出力する照射検知信号を、オフ状態にして出力する。
【0046】
照射検出器14が、照射検知信号がオフ状態になったことを検知すると、照射検出器14は撮像制御器12へ撮像終了信号を出力する。撮像終了信号を取得した撮像制御器12は、画像蓄積終了信号を撮像ユニット40の半導体撮像素子41へ出力する。半導体撮像素子41は、X線照射器30から照射されるX線の蓄積を終了する。
【0047】
撮像制御器12は、半導体撮像素子41から、蓄積されたX線による画像出力を取得する。撮像制御器12は、増幅器(図示せず)を用いて当該画像出力を増幅し、デジタル変換した画像データを表示器20へ出力する。表示器20は、撮像制御器12から取得した画像データを表示する。
【0048】
以上のように、本実施の形態にかかるX線撮影装置によれば、X線検出素子42によって出力されるX線出力信号が、X線照射器30を制御する第一の経路と、画像データを制御する第二の経路とに分岐される。第一の経路は、積算器15および照射量判定器16を含むため、照射停止信号は、比較器13および照射判定器14を含む第二の経路を通らずに、第一の経路を通ってX線照射器30へ出力されることができる。これにより、照射量判定器16が、積算器15によって積算された累積照射量が設定照射量に達したことを、より短時間で判断することができる。そのため、照射制御器11が、照射量判定器16の判定結果によって、X線照射器30を制御しX線の照射を停止すれば、X線の照射不足による画像品質の低下、および必要以上のX線が照射され照射過多による患者の被爆量増大を防ぐことができる。
【0049】
また、照射量判定器16がハードウェアによって構成されるため、ソフトウェアによって実現する判定処理と比較し、照射量判定器16は、積算器15によって積算された累積照射量が、設定照射量に達したことを、より短時間で判断することができる。
【0050】
なお、本実施の形態にかかるX線撮影装置では、積算器、比較器、および照射検出器がハードウェアによる構成であるとして説明したが、この一例に限定されない。積算器、比較器、および照射検出器はソフトウェアで実現するものでもよく、積算器はX線検出素子から出力されるX線出力信号を積算することができ、比較器はX線出力信号と設定X線出力とを比較でき、照射検出器は比較結果から撮像制御器へ撮像開始信号および撮像終了信号を出力することができればよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態にかかるX線撮影装置について、図面を用いて説明する。
【0051】
図2は、第2の実施の形態にかかるX線撮影装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態において、図1を用いて説明した第1の実施の形態にかかるX線撮影装置と同様の機能を実現する構成については、図2においても同様の番号を付番し、説明を省略する。
【0052】
図2に示すように、本実施の形態にかかるX線撮影装置は、タイマ17を備える点において、第1の実施の形態と異なっている。
【0053】
タイマ17は、X線照射開始からの時間を測定するタイマである。また、タイマ17は、照射制御器11に接続され、X線照射開始からの時間が、術者によって設定されたX線設定時間を超えたとき、照射制御器11へX線照射停止信号を出力する。すなわち、本実施の形態にかかるX線撮影装置において、X線照射開始信号およびX線照射停止信号は、照射量検出器16およびタイマ17から照射制御器11へ出力される。
【0054】
次に、本実施の形態にかかるX線撮影装置の動作について説明する。なお、本実施の形態にかかるX線撮影装置の動作は、X線の照射開始時およびX線の照射停止時における動作を除き、同様であるため、同様の動作に関しては説明を省略する。
【0055】
まず、術者は、所望のX線設定時間を入力部(図示せず)から設定する。タイマ17は、X線照射開始と同時にX線照射時間の測定を開始する。
【0056】
そして、X線照射開始からのX線照射時間が、術者によって設定されたX線設定時間に達した場合、タイマ17は、照射制御器11へX線照射停止信号を出力する。照射制御器11は、X線照射器30を制御し、X線の照射を停止する。
【0057】
一方、X線照射開始からのX線照射時間が設定されたX線設定時間に達する前に、照射量判定器16が、積算器15による累積照射量が設定照射量に達したことを判定した場合、照射量判定器16は、照射制御器11へX線照射停止信号を出力する。照射制御器11は、X線照射器30を制御し、X線の照射を停止する。
【0058】
以上のように、本実施の形態にかかるX線撮影装置によれば、X線照射開始からのX線照射時間がX線設定時間に達するまでにかかる時間と、累積照射量が設定照射量に達するまでにかかる時間とのうち、いずれか短い時間において、X線の照射が停止される。そのため、X線が、患者に対して過度に照射されることがない。さらに、術者の好みに合わせたX線撮影を行うことができる。
【0059】
なお、上記各実施の形態において、半導体撮像素子およびX線検出素子が、撮像ユニット内に備えられていると記載したが、この一例に限らず、半導体撮像素子とX線検出素子とは、それぞれ別々に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかるX線撮影装置は、X線検出素子によって出力される出力信号に基づいて、X線照射の開始および停止をより短時間で決定することができるため、当該決定に基づいてX線照射器を制御すれば、X線の照射不足による画像品質の低下、および照射過多による患者の被爆量増大を防ぐことができるため、医療用のX線撮影装置において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかるX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図3】従来のX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
10 本体装置
11 照射制御器
12 撮像制御器
13 比較器
14 照射検出器
15 積算器
16 照射量判定器
20 表示器
30 X線照射器
40 撮像ユニット
41 半導体撮像素子
42 X線検出素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線照射部と、前記X線照射部から照射されるX線に基づいて、画像処理および画像表示を制御する撮像制御部とを備えるX線撮影装置であって、
前記X線照射部によって照射されるX線を検出するX線検出素子と、
前記X線検出素子から出力される出力信号を取得し、前記X線検出素子に照射されるX線の累積照射量を積算する積算部と、
累積照射量と所定の設定照射量とを比較する比較部とを備え、
前記X線検出素子から出力される出力信号が、前記積算部および前記比較部を含む第一の経路と、前記撮像制御部を含む第二の経路とに分岐され、前記第一の経路へ出力された当該出力信号に基づいて、前記比較部がX線照射の開始および停止を決定することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
前記X線照射部のX線照射の開始および停止を制御する出力制御部をさらに備え、
前記比較部が、前記積算部による累積照射量と設定照射量とを所定の単位時間ごとに比較した結果に基づいて、前記出力制御部が前記X線照射部によるX線の照射を停止させる、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記X線照射部のX線照射の開始および停止を制御する出力制御部と、
X線の照射開始からの時間を測定する時間測定部とをさらに備え、
前記比較部が、前記積算部による累積照射量が設定照射量に達すると判断したときと、前記時間測定部による測定時間が所定の照射設定時間に達したときの、いずれか早い時点で、前記出力制御部が前記X線照射部によるX線の照射を停止させる、請求項1に記載のX線撮影装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−141729(P2006−141729A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336528(P2004−336528)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】