説明

X線検査装置

【課題】経年変化等に起因して振り分け装置への物品の到達タイミングに変動が生じた場合であっても、振り分け装置が不良品を確実に振り分けることが可能なX線検査装置を得る。
【解決手段】X線検査装置1は、検出部(フォトセンサ15又はX線検出部8)が物品12を検出してから、X線検査装置1の後段の処理装置が処理動作を開始するまでの、時間間隔の設定値が記憶されたメモリ22と、実動作時において、検出部が物品12を検出してから、物品12が後段の処理装置に到達するまでの、所要時間を測定する測定部30と、測定部30による測定の結果に基づいて、メモリ22に記憶されている設定値を補正する補正部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に、従来のX線検査装置の一例が開示されている。筐体の内部に、X線源とX線ラインセンサとが配設されている。筐体には、物品を筐体内部に搬入するための搬入口と、物品を筐体外部に搬出するための搬出口とが設けられている。また、筐体の内部には、ベルトコンベアが配設されている。ベルトコンベアの両端部は、搬入口及び搬出口から筐体外部に突出している。搬入口付近及び搬出口付近の筐体内部には、X線が筐体外部に漏洩することを防止するための遮蔽カーテンが、それぞれ配設されている。遮蔽カーテンは、搬入口及び搬出口を内側から完全に覆っている。そのため、物品は、搬入口側の遮蔽カーテンを押し上げて搬入口から筐体内部に搬入され、また、搬出口側の遮蔽カーテンを押し上げて搬出口から筐体外部に搬出される。
【0003】
X線検査装置の後段(物品搬送経路の下流側)には、振り分け装置が配設されている。従来の振り分け装置の一例は、下記特許文献2に開示されている。X線検査装置による検査によって物品の異常(物品への異物の混入、又は物品の割れ欠け等)が発見されると、その物品は、振り分け装置によって通常の物品搬送経路から排除される。振り分け装置は、アームの回動動作やエアー噴射等の振り分け動作によって、良品と不良品とを振り分ける。
【0004】
【特許文献1】特開2003−247960号公報
【特許文献2】特開2004−230376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
X線検査装置によって物品の異常が検出されてから、振り分け装置が振り分け動作を開始するまでの時間間隔は、物品の種類やベルトコンベアの駆動速度等に応じて、予め所定の固定値に設定されている。また、不良品の振り分け漏れを防止するために、X線検査装置から排出された不良品が振り分け装置に到達する予定のタイミングよりも早めの時点から(つまり時間マージンを大きく設定して)、振り分け装置に振り分け動作を開始させる場合もある。
【0006】
しかし、検査後の物品を筐体外部に搬出する際、物品は遮蔽カーテンを押し上げる必要がある。従って、物品と遮蔽カーテンとの接触抵抗によって物品の搬送が妨げられる場合があり、この場合は、振り分け装置への物品の到達が遅れるため、振り分け装置によって不良品を適切に振り分けることができない可能性がある。しかも、経年変化によって遮蔽カーテンの材質が硬化等した場合は、物品と遮蔽カーテンとの接触抵抗が増大するため、振り分け装置への物品の到達はさらに遅延する。
【0007】
さらに、処理能力向上の要求によってベルトコンベアの駆動速度が上げられると、物品とベルトコンベアとの間に滑りが生じやすくなる。この滑りも、振り分け装置への物品の到達を遅延させる要因となる。また、ベルトコンベアの駆動速度が高速化されると、振り分け動作を開始させるにあたって大きな時間マージンを設定できなくなるため、振り分け装置が振り分け漏れを生じる可能性が高くなる。
【0008】
このように従来のX線検査装置によると、X線検査装置が異常を検出してから振り分け装置が振り分け動作を開始するまでの時間間隔が、予め固定値に設定されている。そのため、実際の動作において振り分け装置への物品の到達が予定のタイミングよりも遅延すると、振り分け装置が不良品の振り分け漏れを起こす事態が生じ得るという問題がある。
【0009】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、経年変化等に起因して振り分け装置への物品の到達タイミングに変動が生じた場合であっても、振り分け装置が不良品を確実に振り分けることが可能なX線検査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るX線検査装置は、検査対象である物品にX線を照射し、前記物品を透過してきたX線を検出することにより、前記物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、X線照射部と、X線検出部と、前記物品が前記X線照射部と前記X線検出部との間のX線照射領域を通過するように、前記物品を搬送する搬送部と、前記物品が搬送経路上の所定の位置に到達したことを検出する検出部と、前記検出部が前記物品を検出してから、前記X線検査装置の後段の処理装置が処理動作を開始するまでの、時間間隔の設定値が記憶された記憶部と、実動作時において、前記検出部が前記物品を検出してから、前記物品が前記後段の処理装置に到達するまでの、所要時間を測定する測定部と、前記測定部による測定の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記設定値を補正する補正部とを備えるものである。
【0011】
第2の発明に係るX線検査装置は、第1の発明に係るX線検査装置において特に、前記所定の位置は、前記X線照射領域であり、前記検出部は、前記X線検出部による検出の結果に基づいて、前記物品が前記所定の位置に到達したことを検出することを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明に係るX線検査装置は、第1の発明に係るX線検査装置において特に、物品搬入口及び物品搬出口が設けられ、前記X線照射部及び前記X線検出部が内部に配設された筐体と、前記物品搬入口付近及び前記物品搬出口付近の前記筐体の内部に配設され、X線が前記筐体の外部に漏洩することを防止するための遮蔽カーテンとをさらに備え、前記検出部は、前記物品搬入口付近の前記筐体の外部に配設されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
第1〜第3の発明に係るX線検査装置によれば、測定部は、検出部が物品を検出してから物品が後段の処理装置に到達するまでの、実際の所要時間を計測する。そして、補正部は、検出部が物品を検出してから後段の処理装置が処理動作を開始するまでの時間間隔の設定値を、測定部による測定の結果に基づいて補正する。従って、経年変化等に起因してX線検査装置から後段の処理装置への物品の到達タイミングに変動が生じた場合であっても、その変動は補正部によって適切に補正されるため、後段の処理装置は、X線検査装置から送られてくる物品に対して、目的の処理動作を確実に実行することが可能となる。
【0014】
特に第2の発明に係るX線検査装置によれば、物品が搬送経路上の所定の位置に到達したことを検出するための検出部と、物品を透過してきたX線を検出するためのX線検出部とを兼用できるため、これらの検出部が別個に配設されている場合と比較すると、部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
【0015】
特に第3の発明に係るX線検査装置によれば、検出部は、物品搬入口付近の筐体の外部、つまり、物品搬入口側の遮蔽カーテンよりも上流側に配設されている。遮蔽カーテンと物品との接触抵抗は、搬送部による物品の搬送を遅延させる要因となり得るが、第3の発明に係るX線検査装置によれば、検出部が物品搬入口側の遮蔽カーテンよりも上流側に配設されているため、物品搬出口側の遮蔽カーテンによる影響のみならず、物品搬入口側の遮蔽カーテンによる影響をも考慮して、補正部による補正を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の全体構成を模式的に示す正面図である。図1に示すように、X線検査装置1は、上部筐体2、シールドボックス3、及び下部筐体4を備えている。上部筐体2には、タッチパネル機能付きのモニタ、つまり表示・入力部5が設けられている。
【0018】
シールドボックス3は、X線が外部に漏洩することを防止する機能を有する。シールドボックス3内には、X線照射部7とX線検出部8とが配設されている。X線照射部7は、検査対象物である食品等の物品12に対してX線を照射する。X線検出部8は、X線照射部7から照射されて物品12を透過してきたX線を検出する。物品12内に異物が混入していると、その異物の混入箇所において、X線検出部8が検出するX線の強度が極端に低下する。これにより、異物の大きさや混入箇所を特定することができる。また、X線検出部8の上方に物品12が差し掛かると、物品12が存在しない場合と比較して、X線検出部8が検出するX線の強度が低下する。従って、X線の強度が低下したことにより、X線検出部8は、物品12がX線検出部8の上方(図2に示すX線照射領域100)に到達したことを検出することができる。
【0019】
また、シールドボックス3内には、ベルトコンベア6が配設されている。ベルトコンベア6は、物品12がX線照射部7とX線検出部8との間のX線照射領域100(図2参照)を通過するように、物品12を搬送する。ベルトコンベア6の上流端部(即ち物品搬入口17付近のシールドボックス3の外部)には、X線検査装置1の上流の処理装置からX線検査装置1に物品12が供給されたことを検知するためのフォトセンサ15が設けられている。つまり、フォトセンサ15は、物品12がベルトコンベア6の上流端に到達したことを検出することができる。シールドボックス3には、ベルトコンベア6の上流端近傍に物品搬入口17が、下流端近傍に物品搬出口18が、それぞれ設けられている。物品搬入口17及び物品搬出口18から外部へのX線の漏洩を防止すべく、シールドボックス3内には遮蔽カーテン13,14が配設されている。遮蔽カーテン13は物品搬入口17付近に設けられており、遮蔽カーテン14は物品搬出口18付近に設けられている。
【0020】
下部筐体4内には、X線検査装置1の動作制御やデータ処理を行うためのコンピュータ9が配設されている。
【0021】
ベルトコンベア6の上流側には、物品12を上流の処理装置からX線検査装置1に搬入するためのベルトコンベア10が設けられている。ベルトコンベア6の下流側には、検査後の物品12をX線検査装置1から搬出するためのベルトコンベア11が設けられている。図1では図示を省略しているが、ベルトコンベア11には、例えば、X線検査装置1による検査結果に基づいて良品と不良品とを振り分けるための任意の振分機構20(図4参照)が配設されている。ベルトコンベア11の上流端部には、X線検査装置1から振分機構20に物品12が供給されたことを検知するためのフォトセンサ16が設けられている。
【0022】
図2は、図1に示したシールドボックス3の内部構成を示す斜視図である。ベルトコンベア6の上方には、X線照射部7としてのX線照射器(以下「X線照射器7」とも称す)が配設されている。ベルトコンベア6の下方には、X線検出部8としてのX線ラインセンサ(以下「X線ラインセンサ8」とも称す)が配設されている。X線ラインセンサ8は、直線状に並設された複数のX線検出素子8aを備えている。複数のX線検出素子8aは、ベルトコンベア6の短辺方向、即ち、ベルトコンベア6による物品12の搬送方向に垂直な方向に沿って並設されている。図2においてX線照射領域100として示すように、X線照射器7は、X線ラインセンサ8に向かって、扇形状にX線を照射する。
【0023】
図3は、シールドボックス3のうち、物品搬出口18付近を模式的に示す斜視図である。遮蔽カーテン14には縦方向に複数の切り込みが形成されており、ベルトコンベア6上に載置された物品12は、遮蔽カーテン14の裾を押し上げながら前方に進行する。図1に示した物品搬入口17側の遮蔽カーテン13も同様に、複数の切り込みが形成されており、ベルトコンベア6上に載置された物品12は、遮蔽カーテン13の裾を押し上げながら前方に進行する。
【0024】
図4は、X線検査装置1の機能構成を示すブロック図である。コンピュータ9は、CPU21と、CPU21によって参照可能な、ROMやRAM等のメモリ22とを備えている。コンピュータ9には、X線照射器7、X線ラインセンサ8、表示・入力部5、フォトセンサ15,16、及び振分機構20が接続されている。
【0025】
図5は、図1に示したシールドボックス3の内部構成を示す正面図である。X線検査装置1による検査によって物品12に異物が混入していることが判明した場合、その不良品である物品12は、振分機構20によって、良品の物品搬送経路から振り分けられる。振分機構20は、アームの回動動作又はエアー噴射等の任意の振分動作によって、不良品を振り分ける。X線検査装置1では、振分機構20が振分動作を開始するタイミングが予め規定されて、メモリ22に登録されている。振分動作開始タイミングは、物品12の種類やユーザによって設定されたベルトコンベア6の速度等に応じて、複数の値がメモリ22に登録されている。
【0026】
具体的に、X線検査装置1では、物品12が不良品である場合、フォトセンサ15が物品12を検出した時点から所定時間経過後に、振分機構20が振分動作を開始する。図5を参照して、時間T1は、フォトセンサ15が物品12を検出した時点から、フォトセンサ16が物品12を検出した時点までの時間であり、時間T3は、フォトセンサ16が物品12を検出した時点から、振分機構20が振分動作を開始する時点までの時間である。X線検査装置1では、振分動作開始タイミングとして、「T1+T3」なる時間が、メモリ22に登録されている。ここで、時間T1は、フォトセンサ15からフォトセンサ16までの距離と、ベルトコンベア6の駆動速度とに基づいて算出された値である。
【0027】
従って、X線検査装置1は、フォトセンサ15が物品12を検出した時点(時点T0とする)を記憶しておき、物品12が不良品であることが判明した場合には、時点T0に「T1+T3」を加えた時点から振分動作が開始されるよう、振分機構20に対して制御信号を送出する。
【0028】
図6は、フォトセンサ15からフォトセンサ16までの物品12の到達時間(横軸)と、各到達時間に対応する物品12の個数(縦軸)との関係を示すグラフである。横軸の到達時間は、フォトセンサ15が物品12を検出した時点と、フォトセンサ16が物品12を検出した時点との差として、図4に示したCPU21が演算によって求めることができる。破線の特性K1は、X線検査装置1の使用期間が短い段階での実測結果であり、実線のK2は、使用期間が長い段階での実測結果である。特性K1は、時間T1Aを中心として、分散が比較的小さい正規分布を成している。X線検査装置1の使用期間が長くなると、中心時間T1Bは中心時間T1Aよりも大きくなり、正規分布の分散も大きくなっている。時間の経過に伴って中心時間T1Aが大きくなる原因の一つとしては、経年変化に起因する遮蔽カーテン13,14の材質の硬化が考えられる。つまり、遮蔽カーテン13,14の材質が硬化すると、物品12と遮蔽カーテン13,14との接触抵抗が大きくなり、物品12の進行が妨げられるため、フォトセンサ16への到達が遅れるのである。また、処理能力向上の要求によってベルトコンベア6の駆動速度が上げられると、物品12とベルトコンベア6との間に滑りが生じやすくなる。この滑りも、フォトセンサ16への物品12の到達を遅延させる要因となる。
【0029】
実際の動作において振分機構20への物品12の到達が予定のタイミング(T1+T3)よりも遅延すると、振分機構20が不良品の振り分け漏れを起こす事態が生じ得る。そこで、本実施の形態に係るX線検査装置1では、以下に述べる補正処理を定期的(例えば1ヶ月毎)に実施する。
【0030】
図7は、振分動作開始タイミングの補正処理に関連するブロック図である。測定部30、補正部31、及び制御部32は、図4に示したコンピュータ9の機能として実現される。ここでは、物品12に関する振分動作開始タイミングの初期設定値として、「T1A+T3」なる時間がメモリ22に登録されているものとする。
【0031】
測定部30は、実動作時において、フォトセンサ15が物品12を検出した時点から、物品12が振分機構20(フォトセンサ16)に到達する時点までの、所要時間を測定する。具体的に、測定部30は、物品12を検出した時点をフォトセンサ15,16からそれぞれ入力し、両時点の差を算出することにより、上記所要時間を求める。測定誤差を抑制すべく、複数個の物品12に関して同様の測定を行い、それらの平均値として所要時間を求めるのが望ましい。ここでは、求められた所要時間がT1Bであったものとする。
【0032】
補正部31は、測定部30による測定の結果に基づいて、メモリ22に記憶されている振分動作開始タイミングの設定値を補正する。具体的に、補正部31は、メモリ22に記憶されている「T1A+T3」なる設定値を、「T1B+T3」なる設定値に補正し、補正後の設定値をメモリ22に登録する。
【0033】
以後、X線検査装置1の制御部32は、フォトセンサ15が物品12を検出した時点(時点T0とする)を記憶しておき、物品12が不良品であることが判明した場合には、時点T0に「T1B+T3」を加えた時点から振分動作が開始されるよう、振分機構20に対して制御信号を送出する。
【0034】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、測定部30は、フォトセンサ15が物品12を検出してから物品12が振分機構20に到達するまでの、実際の所要時間を計測する。そして、補正部31は、フォトセンサ15が物品12を検出してから振分機構20が振分動作を開始するまでの時間間隔の設定値を、測定部30による測定の結果に基づいて補正する。従って、経年変化等に起因してX線検査装置1から振分機構20への物品12の到達タイミングに変動が生じた場合であっても、その変動は補正部31によって適切に補正されるため、振分機構20は、X線検査装置1から送られてくる物品12に対して、振分動作を確実に実行することが可能となる。
【0035】
また、フォトセンサ15は、物品搬入口17付近のシールドボックス3の外部、つまり、物品搬入口17側の遮蔽カーテン13よりも上流側に配設されている。遮蔽カーテン13と物品12との接触抵抗は、ベルトコンベア6による物品12の搬送を遅延させる要因となり得るが、フォトセンサ15が物品搬入口17側の遮蔽カーテン13よりも上流側に配設されているため、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、物品搬出口18側の遮蔽カーテン14による影響のみならず、物品搬入口17側の遮蔽カーテン13による影響をも考慮して、補正部31による補正を行うことが可能となる。
【0036】
なお、以上の説明では、X線検査装置1の後段の処理装置が振分装置(振分機構20)である場合の例について説明したが、後段の処理装置は、振分装置以外の処理装置であっても良い。例えば、後段の処理装置は、異物検査が完了済みである旨の表示を物品12に印字するための印字装置等であっても良い。この場合、メモリ22には、フォトセンサ15が物品12を検出してから印字装置が印字動作を開始するまでの時間間隔の設定値が、予め記憶されている。そして、実動作時において、測定部30は、フォトセンサ15が物品12を検出してから物品12が印字装置に到達するまでの所要時間を測定し、補正部31は、測定部30による測定の結果に基づいて、メモリ22に記憶されている設定値を補正する。
【0037】
<変形例>
以上の説明では、フォトセンサ15が物品12を検出した時点、つまり物品12がベルトコンベア6の上流端に到達した時点を起点として、振分機構20による振分動作の開始タイミングが設定される例について述べた。これに限らず、物品12がX線照射領域100(図2参照)に到達した時点を起点として、振分動作開始タイミングを設定しても良い。上記の通り、X線検出部8の上方に物品12が差し掛かると、物品12が存在しない場合と比較して、X線検出部8が検出するX線の強度が低下する。従って、X線の強度が低下したことにより、X線検出部8は、物品12がX線照射領域100に到達したことを検出することができる。この場合、メモリ22には、X線検出部8が物品12を検出してから振分機構20が振分動作を開始するまでの時間間隔の設定値(図5に示す「T2+T3」)が、予め記憶されている。そして、実動作時において、測定部30は、X線検出部8が物品12を検出してから物品12が振分機構20に到達するまでの所要時間を測定し、補正部31は、測定部30による測定の結果に基づいて、メモリ22に記憶されている設定値を補正する。
【0038】
この変形例に係るX線検査装置によれば、物品12が搬送経路上の所定の位置に到達したことを検出するための検出部と、物品12を透過してきたX線を検出するためのX線検出部8とを兼用できるため、これらの検出部が別個に配設されている場合と比較すると、部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係るX線検査装置の全体構成を模式的に示す正面図である。
【図2】図1に示したシールドボックスの内部構成を示す斜視図である。
【図3】シールドボックスのうち、物品搬出口付近を模式的に示す斜視図である。
【図4】X線検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示したシールドボックスの内部構成を示す正面図である。
【図6】フォトセンサ間の物品の到達時間と、各到達時間に対応する物品の個数との関係を示すグラフである。
【図7】振分動作開始タイミングの補正処理に関連するブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 X線検査装置
3 シールドボックス
6 ベルトコンベア
7 X線照射部
8 X線検出部
12 物品
13,14 遮蔽カーテン
15,16 フォトセンサ
17 物品搬入口
18 物品搬出口
20 振分機構
22 メモリ
30 測定部
31 補正部
100 X線照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である物品にX線を照射し、前記物品を透過してきたX線を検出することにより、前記物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、
X線照射部と、
X線検出部と、
前記物品が前記X線照射部と前記X線検出部との間のX線照射領域を通過するように、前記物品を搬送する搬送部と、
前記物品が搬送経路上の所定の位置に到達したことを検出する検出部と、
前記検出部が前記物品を検出してから、前記X線検査装置の後段の処理装置が処理動作を開始するまでの、時間間隔の設定値が記憶された記憶部と、
実動作時において、前記検出部が前記物品を検出してから、前記物品が前記後段の処理装置に到達するまでの、所要時間を測定する測定部と、
前記測定部による測定の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記設定値を補正する補正部と
を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記所定の位置は、前記X線照射領域であり、
前記検出部は、前記X線検出部による検出の結果に基づいて、前記物品が前記所定の位置に到達したことを検出する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
物品搬入口及び物品搬出口が設けられ、前記X線照射部及び前記X線検出部が内部に配設された筐体と、
前記物品搬入口付近及び前記物品搬出口付近の前記筐体の内部に配設され、X線が前記筐体の外部に漏洩することを防止するための遮蔽カーテンと
をさらに備え、
前記検出部は、前記物品搬入口付近の前記筐体の外部に配設されている、請求項1に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−180553(P2009−180553A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18052(P2008−18052)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】