説明

X線波面センサ

【課題】薄膜結晶についても容易に表面形状や結晶性を評価可能な技術を提供する。
【解決手段】X線波面センサは、入射されるX線を複数の光束に分割する波面分割素子と、各光束を試料の異なる領域に照射し、それぞれの反射光を干渉させて検出する計測器とを備える。例えば、X線発生装置10から入射されるX線をX線プリズム12によって波面分割し、一方の光束はそのまま試料14に当て反射光を検出器16で検出する。もう一方の光束は、X線プリズム15によって偏向して試料14に当て反射光を検出器16で検出する。検出器16に現れる干渉縞の向きや間隔から、試料結晶14の表面形状や結晶性の評価が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いて試料の表面形状及び結晶性を評価するためのX線波面センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの分野では、高速化・低消費電力化を目指して、薄膜化が進んでいる。SOI(Silicon On Insulator)は代表的なデバイス製造方法であり、イオン注入法や貼り合わせ法などによって製造されている。現在、100nm以下の薄膜の膜厚、欠陥密度を正確に測る方法が必要とされている。
【0003】
膜厚の測定には、分光エリプソメトリーやX線反射率法などが利用可能である。分光エリプソメトリーは、楕円偏光を試料に照射し、その反射光の偏光状態を解析することで膜厚等を測定する方法である。X線反射率法は、薄膜表面に浅い角度でX線を入射して全反射を起こし、入射X線強度に対する全反射X線強度の薄膜表面への入射角度依存性を測定することにより薄膜の構造パラメータを評価する方法である。
【0004】
また、結晶性の測定にはロッキングカーブ測定や逆格子マップ測定が利用可能である。試料を回転させてロッキングカーブを測定し、測定された回折角に対する回折強度分布を測定し、結晶方位のばらつきを測定することができる。
【非特許文献1】UCS半導体基盤技術研究会編、Surface Science Technology Series No.4 「SOIの科学」、サイペック株式会社、2000年4月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような測定方法は試料の膜厚が薄くなるにつれて精度良く測定を行うことが困難になる。例えば、分光エリプソメトリーでは、膜厚が薄くなるにつれて、光の短波長化が追随できなくなってきている。また、X線反射率法では、膜構造のモデル化が必要で解析が困難であるという問題がある。
【0006】
また、結晶性の測定においては、薄膜結晶は回折に寄与する層数が少ないため、図13に示すようにX線回折幅が広がってしまう。図13は薄膜結晶の厚みが5原子層と100原子層の場合の回折実験での角度幅の広がりを示す概念図である。このように、膜厚が薄いとX線回折幅が広がってしまい、その大きな角度広がりを持った回折X線の微妙な角度変化を読み取るのに適した方法がなく、格子間距離や結晶面の方位など結晶面の均一性を評価することが困難となっていた。
【0007】
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、その目的は、薄膜結晶についても容易に表面形状や結晶性を評価することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るX線波面センサはX線を用いて測定用試料の表面形状及び結晶性を評価するためのX線波面センサであって、入射されるX線を複数の光束に分割する波面分割手段と、各光束を測定用試料の異なる領域に照射し、それぞれの反射光を干渉させて検出する計測手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
このように、波面分割手段によって光路差のある複数の光束を実現し、これらを重ね合わせて干渉を起こさせる。各光束は測定用試料の異なる領域に照射されるが、試料に傾き
や歪みがなければ、干渉によって生じる干渉縞は各光路の光路差のみによって定まり、所定の方向に所定の間隔で干渉縞が現れることになる。逆に、測定用試料に傾きや歪みなどがあれば、干渉縞の向き(傾き)や間隔に変化が生じる。この際、どのような変化が生じたかによって、どのような不均一性が生じているのかを定量的に評価することもできる。したがって、一枚の干渉像のみから測定用試料の傾きや結晶性の情報を評価することができる。
【0010】
このような、複数の光束を干渉させて測定用試料の傾きや結晶性を評価するX線波面センサの具体的な構成として、いくつかの構成を採用することができる。例えば、入射されるX線を分割する波面分割手段として、X線プリズム、X線反射鏡または回折格子を採用し、入射X線を2つの光束に分割する構成を採用できる。そして、上記計測手段は、分割された2光束のX線が重なる位置に設けられX線の形状を調整する調整手段と、調整手段を通過した光束のうち一方の光束のX線を偏向する偏向手段と、受光手段とからなる構成を採用することができる。そして、調整手段を通過した一方の光束は、そのまま測定用試料に照射され、その反射光が受光手段によって測定される。また、調整手段を通過した他方の光束は、測定用試料の異なる位置に照射されてその反射光が受光手段において上記一方の光束と重なるように、上記偏向手段によって偏向される。このようにして、2光束のX線を用いた測定用試料の傾きや結晶性の評価を行える。
【0011】
また、上記の構成において、測定用試料と偏向手段の位置関係を入れ替えても良い。すなわち、計測手段は、上記調整手段と、一方の光束について測定用試料からの反射光を偏向させる偏向手段と、受光手段を含む。そして、上記偏向手段は、測定用試料の異なる領域に照射された各光束のX線が上記受光手段において重なるように、一方の光束のX線を偏向させる。このようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0012】
ここで、X線の形状を調整する調整手段として、2次元スリットを用いることが好適である。2次元スリットを用いることで、試料の不均一性がどのような方向性を持っている場合であっても、その不均一性を評価することが可能となる。
【0013】
また、X線の形状を調整する調整手段として、一次元スリットを用いても良い。この場合、スリットの長手方向と偏向手段による偏向方向とを直交させる。この場合は、試料反射面の法線方向の不均一性の内、偏向手段の偏向方向の成分の不均一性のみが評価可能となるが、得られる干渉縞が明るくなるので測定が容易になるという効果がある。
【0014】
また、本発明に係るX線波面センサの具体的構成として、上記と異なる構成を採用することもできる。例えば、波面分割手段としてダブルスリットを採用して、波面を2つに分割する。そして、計測手段は、ダブルスリットを通過した各光束に係る測定用試料からの反射光を直接受光して、干渉縞を得る。このようにしても、2光束のX線を測定用試料の異なる領域に照射し、それらの反射光を干渉させることで、測定用試料の傾きや結晶性を評価することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薄膜結晶についても容易に表面形状や結晶性を評価することが可能となる
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
〈構成〉
図1は、第1の実施形態に係るX線波面センサの概略構成を示す上面図である。X線発生装置10は、試料に照射するX線を発生するX線源である。本実施形態では、X線の平行度を高めるために、X線発生装置10として、アンジュレータ光源を利用している。なお、利用するX線の波長としては、0.6〜1.8オングストローム(エネルギーとしては7〜20keV)を利用することができる。
【0018】
2次元スリット11は、入射されるX線の平行度をさらに高めるためのものであり、1.4オングストローム(9keV)で10〜20ミクロン角のものを使用している。X線プリズム12は、2次元スリット11を通過したX線の波面を分割する。X線プリズム12は、光学アクリルなどX線吸収の小さい軽元素からなり、表面を高精度(面粗さ30nm程度)に研磨されたプリズムである。X線プリズム12は、2次元スリット11から約10m程度離れた距離に設置される。このX線プリズム12が、本発明の波面分割手段に相当する。なお、X線プリズム以外にも、X線反射鏡や回折格子を用いて波面分割を行っても良い。
【0019】
X線プリズム12によって波面分割された一方の光束はΔθの角度をもって2次元スリット13を通過する。図2に、2次元スリット13の形状を示す。2次元スリット13のスリット幅は5〜20ミクロン角程度のものを使用する。この2次元スリット13によって、試料に照射されるX線に絞りをかけ、その形状の調整を行う。なお、2次元スリット13が本発明の調整手段に相当する。
【0020】
2次元スリット13を通過した2光束のX線のうち、一方の光束に係るX線は、そのまま試料結晶14に照射されてブラッグ反射し、反射光が検出器16に入射する。また、もう一方の光束に係るX線は、2次元スリット13を通過した後、X線プリズム15によって偏向されてから試料結晶14に照射される。そして、試料結晶14でブラッグ反射した反射光は、X線プリズム15を通らない光束の反射光と重なって検出器16に入射する。したがって、検出器16において、2光束の反射光による干渉が生じる。ここで、X線プリズムが本発明の偏向手段に相当し、検出器16が受光手段に相当する。
【0021】
ここで、X線プリズム12とX線プリズム15との間隔は約50cm、X線プリズム15と検出器16との間隔は約3mとしている。また、X線プリズム12,15はいずれも偏向角100マイクロラジアン(20秒角)であり、2次元スリット13と試料結晶14の間隔を約1mとしているので、試料位置での2光束の間隔は約100ミクロンとなる。
【0022】
〈干渉縞の説明〉
[試料結晶が均一の場合]
次に、検出器16において生じる干渉縞について説明する。図3に示すように、2次元スリット13を通過した後にX線プリズム15によって偏向される光束は、仮想光源1の位置から照射されたものとみなすことができる。なお、各光束は図4に示すように、試料結晶14において反射して検出器16に入射している。したがって、図3において2次元スリット13と仮想光源1とを光源とする各光束は、図5に示すように、仮想光源2と仮想光源3とから来た光線とみなすことができる。
【0023】
このように、検出器16には2つの仮想光源2,3から来た光線が重なっているのと同様であるので、試料結晶14が均一であり反射角や位相の変化が両方の光束で均一である場合には、ヤング(Young)の干渉縞と同じ原理によって、検出器16において干渉縞が
生じる。ここで、干渉縞の方向は、仮想光源2と仮想光源3を結ぶ直線に直交する方向となる。また、X線の波長をλ、試料結晶14と検出器16の距離をL、光源間の間隔をDとして、干渉縞の間隔dはd=λL/Dと表される。
【0024】
このときの、2次元スリット13と各仮想光源1〜3を光線上流から見たときの位置関係を図6(a)に、またその時の干渉縞の様子を図6(b)に示す。
【0025】
[結晶面がAB方向に傾いている場合]
2つの光束がそれぞれ照射される試料位置において、結晶面法線が傾いている場合を考える。ここでは、一方の結晶面法線が他方と比較してAB方向に傾いている場合を考える。この場合、試料結晶14における反射光の反射方向もAB方向に傾くことになる。したがって、図5などと同様に検出器16に入射される光線を逆に辿って、試料結晶14やX線プリズム15がないとした場合の仮想的な光線を考え、その光源位置を考えると、その光源位置もAB方向に移動することが分かる。したがって、結晶面法線がAB方向に傾いている場合の各仮想光源の位置関係は図7(a)のようになる。すなわち、X線プリズム12によって波面分割された方の光束の仮想光源である仮想光源3がAB方向に移動すると考えられる。
【0026】
ここで、上述したように、検出器16において現れる干渉縞は、仮想光源2,3を結ぶ直線に直交する方向であり、干渉縞の間隔は仮想光源2,3の距離によって規定される。つまり、図7(b)に示すように、仮想光源2,3を結ぶ直線の方向は図6の場合と変化がないので干渉縞の向きは変化しないが、仮想光源2,3間の距離が変化するのでその距離に反比例して縞間隔が変化する。図7(b)では、仮想光源2,3間の距離が広がっているので、干渉縞の間隔は狭くなっている。
【0027】
[結晶面がCD方向に傾いている場合]
次に、2つの光束がそれぞれ照射される試料位置において、結晶面法線がCD方向に傾いている場合を考える。この場合、試料結晶14における反射光の反射方向もCD方向に傾くことになる。したがって、上記と同様に仮想光源の位置を考えると、その仮想光源位置もCD方向に移動することが分かる。つまり、結晶面法線がCD方向に傾いている場合に各仮想光源の位置関係は図8(a)のようになる。すなわち、X線プリズムによって波面分割された方の光束の仮想光源である仮想光源3がCD方向に移動すると考えられる。
【0028】
上述したように、検出器16において現れる干渉縞は、仮想光源2,3を結ぶ直線に直交する方向であるため、図8(b)に示すように、結晶面法線がCD方向に傾いている場合は、結晶面法線が均一である場合と比較して、干渉縞が傾くことが分かる。なお、干渉縞の間隔も、上記と同様に仮想光源2,3間の距離に応じて変化する。
【0029】
[結晶格子間隔が不均一の場合]
次に、2つの光束がそれぞれ照射される試料位置において、結晶格子の間隔が不均一である場合について考える。このように結晶格子間の間隔が不均一である場合は、ブラッグ反射角が異なる。すなわち、結晶面がCD方向に傾いている場合と同様に、仮想光源の位置がCD方向に移動することになる。
【0030】
この場合は、仮想光源の位置関係は図8(a)で示した場合と同様になり、検出器16において生じる干渉縞も図8(b)に示すように傾くことになる。
【0031】
〈本実施形態の作用/効果〉
このように本実施形態に係るX線波面センサでは、波面分割素子を用いてわずかに角度差のついた2つの光路を実現し、これらを重ねて干渉を起こさせている。観測される干渉縞は、2つの光のわずかな傾きや波面の歪みに敏感に反応して変化するため、硬X線を利用して試料結晶の傾きや結晶性の評価を行うことができる。なお、試料結晶が均一であるかを判断するだけであれば、得られる1枚の干渉縞を見るだけで判断できるので、評価が容易である。また、試料結晶が不均一の場合、得られた干渉縞を解析することで、どのよ
うな不均一が生じているのかを推定することも可能である。
【0032】
また、この方法によれば、試料結晶を走査して、広い結晶面を調べることも容易である。薄膜化がさらに進み、10nmのオーダー(20原子層相当)になり、X線回折実験での角度幅がさらに広がった場合でも、干渉効果によって2領域の不均一性を敏感に計測することができる。
【0033】
本実施形態に係る波面センサは、X線全反射鏡の表面形状評価や、半導体などの結晶試料の結晶面評価に、特に有効に用いることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
本実施形態に係るX線波面センサの概略構成を図9に示す。上記第1の実施形態では、2次元スリット13、X線プリズム15、試料結晶14の順に配置する構成を採用したが、本発明はこれに限られるものではない。本実施形態では、上記第1の実施形態において、試料結晶14とX線プリズム15の順序を入れ替える構成を採用する。
【0035】
本実施形態では、X線プリズム12によって分割された光束は、2次元スリット13を通過後、そのまま試料結晶14にあたりブラッグ反射される。そして、反射光がX線プリズム15によって偏向されて、検出器16において他方の光束と重ねて受光される。
【0036】
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
(第3の実施形態)
上記第1及び第2の実施形態においては、X線の形状を調整する調整手段として2次元スリット13を用いているが、本実施形態では2次元スリットではなく1次元スリットを採用する。本実施形態において採用する1次元スリットの構造を図10に示す。
【0038】
この場合、図1や図9において紙面に垂直な方向が長手方向となる1次元スリットを用いる。この場合も、干渉縞の生じる方向等は上記実施形態と変わりない。ただし、X線プリズム等による波面の乱れが図1や図9の紙面に沿った方向に生じるような試料に対してのみ、干渉縞の変化が現れるようになる。つまり、試料反射面の法線方向の不均一性の内、X線プリズムの偏向方向の成分の不均一性のみによって、干渉縞の変化が現れる。
【0039】
なお、本実施形態では、スリットによる入射光の絞りが少ないため、得られる干渉縞が明るくなるという利点がある。すなわち、X線発生装置10で得られるX線が暗い場合であっても、測定が可能になる。
【0040】
(第4の実施形態)
本実施形態に係るX線波面センサの概略構成を図11に示す。本実施形態においては、X線発生装置10から入射されたX線が2次元スリット11によって平行度が高められた後、ダブルスリット17によって2つの光束に波面分割される。ダブルスリット17の構造を図12に示す。ダブルスリットのスリット幅は5〜20ミクロンであり、その間隔は10〜100ミクロンとする。本実施形態では、ダブルスリット17が波面分割手段に相当する。
【0041】
ダブルスリット17を通過した各光束は、そのまま試料結晶14に照射されてブラッグ反射する。それぞれの光束に係る反射光は検出器16に重ねて受光されて、干渉縞を生じる。
【0042】
本実施形態で、2次元スリット11とダブルスリット17の間隔は約10m、ダブルス
リット17から検出器16までの間隔は約3mとしている。試料位置での2光束の間隔は約100ミクロン以下となる。
【0043】
本実施形態においても、試料結晶の傾きや格子間隔が均一である場合には、ダブルスリットのスリットが並ぶ方向(各スリットの長手方向に垂直の方向)と同じ方向に、干渉縞が生じる。また、干渉縞の縞間隔は、ダブルスリットのスリット間隔によって決定される。
【0044】
ここで、試料結晶の結晶面の傾きや、格子間間隔に不均一性がある場合には、反射光の反射角が変化し、したがって、仮想光源の位置が変化することになる。つまり、上記の実施形態と同様に、結晶面法線の傾きや、格子間間隔のばらつきにしたがって、干渉縞が傾いたり干渉縞の間隔が変化する。
【0045】
このように、ダブルスリットを用いて波面分割を行う本実施形態に係るX線波面センサにおいても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本実施形態においては2次元スリットではなく1次元スリットを採用しているため、上記第3の実施形態で説明したのと同様に、波面の乱れがダブルスリットの方向に生じるような試料についてのみ干渉縞に変化が生じ不均一性を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態に係るX線波面センサの概略構成を示す上面図である。
【図2】2次元スリットの概要を示す図である。
【図3】偏向された光束の仮想的な光源の位置を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係るX線波面センサの概略部分構成を示す側面図であり、試料における反射光の仮想的な光源の位置を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係るX線波面センサの概略部分構成を示す斜視図であり、検出器に入射されるX線の仮想的な光源の位置を示す図である。
【図6】試料の表面形状及び結晶性が均一である場合の、(a)仮想光源の位置関係と、(b)検出器に現れる干渉縞の様子を示す図である。
【図7】試料表面がAB方向に不均一である場合の、(a)仮想光源の位置関係と、(b)検出器に現れる干渉縞の様子を示す図である。
【図8】試料表面がCD方向に不均一である場合または結晶格子間隔にばらつきがある場合の、(a)仮想光源の位置関係と、(b)検出器に現れる干渉縞の様子を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係るX線波面センサの概略構成を示す上面図である。
【図10】1次元スリットの概要を示す図である。
【図11】第4の実施形態に係るX線波面センサの概略構成を示す上面図である。
【図12】ダブルスリットの概要を示す図である。
【図13】薄膜結晶の回折実験での角度幅の広がりを示す概念図であり、膜厚が100原子層(実線)と5原子層(点線)の場合の計算値を示している。なお、強度はブラッグ角に対応する主極大の強度で規格化している。
【符号の説明】
【0048】
1,2,3 仮想光源
10 X線発生装置
11 2次元スリット
12 X線プリズム
13 2次元スリット
14 試料結晶
15 X線プリズム
16 検出器
17 ダブルスリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を用いて測定用試料の表面形状及び結晶性を評価するためのX線波面センサであって、
入射されるX線を複数の光束に分割する波面分割手段と、
各光束を測定用試料の異なる領域に照射し、それぞれの反射光を干渉させて検出する計測手段と、
を備えることを特徴とするX線波面センサ。
【請求項2】
前記波面分割手段は、X線プリズム、X線反射鏡または回折格子から構成され、入射されるX線を2つの光束に分割するものであり、
前記計測手段は、分割された2光束のX線が重なる位置に設けられX線の形状を調整する調整手段と、前記調整手段を通過した一方の光束のX線を偏向して測定用試料に照射する偏向手段と、受光手段と、を含み、
前記偏向手段は、前記2光束のX線が測定用試料の異なる領域に照射され、かつ、前記受光手段において重なるように、前記一方の光束のX線を偏向させる
ことを特徴とする請求項1に記載のX線波面センサ。
【請求項3】
前記波面分割手段は、X線プリズム、X線反射鏡または回折格子から構成され、入射されるX線を2つの光束に分割するものであり、
前記計測手段は、分割された2光束のX線が重なる位置に設けられX線の形状を調整する調整手段と、一方の光束について測定用試料からの反射光を偏向させる偏向手段と、受光手段と、を含み、
前記偏向手段は、測定用試料の異なる領域に照射された各光束のX線が前記受光手段において重なるように、前記一方の光束のX線を偏向させる
ことを特徴とする請求項1に記載のX線波面センサ。
【請求項4】
前記調整手段は、2次元スリットであることを特徴とする請求項2又は3に記載のX線波面センサ。
【請求項5】
前記波面分割手段はダブルスリットであり、
前記計測手段は、ダブルスリットを通過した各光束に係る前記測定用試料からの反射光を直接受光する
ことを特徴とする請求項1に記載のX線波面センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−109374(P2009−109374A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282794(P2007−282794)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究成果に係る特許出願(平成19年度、文部科学省、「コヒーレント散乱による材料科学現象可視化基盤技術の研究開発」、産業再生法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】