説明

p−38MAPキナーゼインヒビターとしての6−アルコキシ−ピリド−ピリミジン類

本発明は、式(I)[式中、R1は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又は−CH2−アルケニルであり、X1は、O、NH、N(アルキル)、S又は−C(=O)であり、Zは、N又はCHであり;そしてR2及びR3は、本明細書と同義である]の化合物、これらを含む薬剤組成物、及びこれらの使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリドピリミジン類及びその誘導体に関する。詳細には、本発明は、2,6−二置換7−オキソ−ピリド[2,3−d]ピリミジン類、これを含む製剤、及びこれを使用する方法を提供する。
【0002】
マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼは、二重リン酸化によりその基質を活性化するプロリン指向セリン/トレオニンキナーゼのファミリーである。このキナーゼは、栄養及び浸透圧ストレス、UV光、増殖因子、エンドトキシン、及び炎症性サイトカイン類を含む、色々なシグナルにより活性化される。MAPキナーゼの1つの群は、種々のアイソホーム(例えば、p38α、p39β、p38γ及びp38δ)を含むp38キナーゼ群である。p38キナーゼは、転写因子並びに他のキナーゼのリン酸化及び活性化を担当しており、そして物理及び化学ストレス、前炎症性サイトカイン類並びに細菌性リポ多糖により活性化される。
【0003】
更に重要なことに、p38リン酸化の産物は、TNF及びIL−1を含む炎症性サイトカイン類、並びにシクロオキシゲナーゼ−2の産生に介在することが証明されている。これらのサイトカインのそれぞれは、多数の病状及び症状に関係している。例えば、TNF−αは、活性化単球及びマクロファージにより主として産生されるサイトカインである。その過剰な又は無秩序な産生は、慢性関節リウマチの病理発生において原因となる役割を果たすことで関係している。更に最近になって、TNF産生の阻害が、炎症、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び喘息の治療に広く応用できることが証明されている。
【0004】
TNFはまた、HIV、インフルエンザウイルス、及びヘルペスウイルス[特に、1型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、2型単純ヘルペスウイルス(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus)(VZV)、エプスタインバーウイルス、6型ヒトヘルペスウイルス(HHV−6)、7型ヒトヘルペスウイルス(HHV−7)、8型ヒトヘルペスウイルス(HHV−8)、仮性狂犬病及び鼻気管炎ウイルスを含む]のような、ウイルス感染症にも関係している。
【0005】
同様に、IL−1は、活性化単球及びマクロファージにより産生され、そして慢性関節リウマチ、発熱及び骨吸収の減少を含む多くの病態生理学的応答において役割を果たしている。
【0006】
更に、p38の関与は、卒中、アルツハイマー病、変形性関節症、肺外傷、敗血症ショック、血管形成、皮膚炎、乾癬、及びアトピー性皮膚炎に関わっている。J. Exp. Opin. Ther. Patents, (2000), Vol. 10(1)。
【0007】
p38キナーゼの阻害によるこれらのサイトカインの阻害は、これらの病状の多くを制御し、緩和し、そして軽減することに役立つ。
【0008】
ある種の6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン類、−7−イミン類及び−7−チオン類は、タンパク質チロシンキナーゼが介在する細胞増殖のインヒビターとしてWO 96/34867に開示されている。他の6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジン類及びナフチリジン類もまた、チロシンキナーゼのインヒビターとしてWO 96/15128に開示されている。6−アルキル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン類は、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしてWO 98/33798に開示されている。ある種の4−アミノ−ピリドピリミジン類は、ジヒドロ葉酸レダクターゼのインヒビターとしてEP 0,278,686に開示されている。p38キナーゼのインヒビターである化合物は、以下の特許及び特許出願:米国特許第6,316,464号、米国特許第6,451,804号、米国特許第6,506,749号、米国特許第6,518,276 B2号、米国出願第09/693,364号(WO 01/29042)、及び米国出願第10/073,845号(WO 02/64594)に開示されている。
【0009】
本発明の1つの態様は、(i)式(I):
【0010】
【化5】

【0011】
[式中、
Zは、N又はCHであり;
1は、O、S、C(=O)、又はNR4(ここで、R4は、水素又はアルキルである)であり;
1は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又は−CH2−アルケニルであり;
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シアノアルキル、アルキレン−C(O)−R21(ここで、R21は、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル、又はNR22−Y−R23(ここで、Yは、−C(O)、−C(O)O−、−C(O)NR24、S(O)2又はS(O)2NR25であり;R22、R24及びR25は、独立に水素又はアルキルであり;そしてR23は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル又は場合により置換されているフェニルである)であり;そして
3は、アルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、シアノアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、又は−ヘテロシクロアミノ−SO2−R12(ここで、R12は、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルである)である]で表される化合物、及びその薬剤学的に許容しうる塩、水和物又はプロドラッグを提供する。
【0012】
更に具体的には、本発明は以下を提供する:
(ii)R1が、−CH2−アルケニルの代わりにアルケニレンであり、そしてR3も、加えるにHである場合を除く、(i)に定義される式(I)の化合物、又はその薬剤学的に許容しうる塩、水和物若しくはプロドラッグ;あるいは
(iii)Zが、Nであり、X1が、Oであり、R1が、アルキルであり、R2が、H又はアルキルであり、そしてR3が、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである、化合物(i)又は(ii);
(iv)ヘテロアルキルが、アルコキシアルキルであり、そしてヘテロシクリルが、1個の環原子がCでなくO又はNのいずれかである、6個の環原子の飽和の非芳香環基(場合によりNでアルキル−SO2−又はアルコキシカルボニルにより置換されている)である(iii)の化合物;あるいは
(v)X1が、−O−である、(i)又は(ii)の化合物;あるいは
(vi)R1が、アルキル又はシクロアルキルである、(i)、(ii)又は(v)の化合物;あるいは
(vii)R3が、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルである、(i)、(ii)、(v)、又は(vi)の化合物;あるいは
(viii)R3が、シクロアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである、(i)、(ii)、(v)又は(vi)〜(vii)の化合物;あるいは
(ix)R3が、場合により置換されているヘテロシクリルである、(i)、(ii)、(v)又は(vi)〜(viii)の化合物;あるいは
(x)R3が、ヒドロキシアルキル又はアルコキシアルキルである、(i)、(ii)、(v)又は(vi)〜(ix)の化合物;あるいは
(xi)R2が、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル又はヘテロアルキルである、(i)、(ii)、(v)又は(vi)〜(x)の化合物;あるいは
(xii)R2が、アルキル又はヒドロキシアルキルである、(i)、(ii)、(v)又は(vi)〜(xi)の化合物;あるいは
(xiii)式(I″):
【0013】
【化6】

【0014】
[式中、
1は、アルキルであり;
2は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル及びヘテロアルキルから選択され;そして
3は、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである]で示される、(i)又は(ii)の化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩;あるいは
(xiv)R3が、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルから選択される、(xiii)の化合物;あるいは
(xv)R1が、エチルであり;
2が、メチルであり;そして
3が、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルから選択される、(xiv)の化合物;あるいは
(xvi)下記式:
【0015】
【化7】

【0016】
[式中、
Xは、−O−、−C(=O)−、−N(R12a)−、又は−CH(R12b)−であり;
12aは、水素、C1-4アルキル、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;
12bは、水素、C1-4アルキル、−OR15、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;
14は、C1-4アルキル、オキソ(=O)、−OR15、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;そして
15は、存在ごとに他のR15からは互いに独立に、水素及びC1-4アルキルから選択され;
qは、0又は1であり;そして
rは、0、1又は2である]で示される、(xiii)の化合物;あるいは
(xvii)Xが、−N(R12a)−であり、そしてR12aが、−S(O)2(C1-4アルキル)である、(xvi)の化合物。
【0017】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物と、薬剤学的に許容しうるその担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、薬剤処方を提供する。
【0018】
式(I)の化合物及び上述のその塩は、プロテインキナーゼのインヒビターであり、そしてインビボでp38に対する有効活性を示す。これらはまた、サイクリン依存性キナーゼやチロシンキナーゼに比較すると、p38キナーゼに対して選択的である。したがって本発明の化合物は、TNFやIL−1のような前炎症性サイトカイン類が介在する疾患の処置に使用することができる。よって、本発明の別の態様は、p38介在疾患又は症状を処置するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物をこのような処置を必要とする患者に投与する方法を提供する。
【0019】
特に断りない限り、本明細書及び請求の範囲において使用される以下の用語は、後述の意味を有する:
【0020】
1又は本明細書に具体的に例示されるもの。
【0021】
「アシル」は、−C(O)R基[ここで、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキルである(ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、及びフェニルアルキルは、本明細書に定義される)]を意味する。代表例は、特に限定されないが、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0022】
「アシルアミノ」は、−NR′C(O)R基[ここで、R′は、水素又はアルキルであり、そしてRは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキルである(ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、及びフェニルアルキルは、本明細書に定義される)]を意味する。代表例は、特に限定されないが、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0023】
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含む、2〜6個の炭素原子の直鎖の一価炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の分岐の一価炭化水素基、例えば、エテニル、プロペニルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0024】
よって、本明細書において−CH2−R基[ここで、Rは、本明細書に定義されるアルケニル基である]について言及されるとき、これは、特に限定されないが、(−CH2−CH=CH2)、(−CH2−CH=CH−CH3)など又は本明細書に具体的に例示されるもののような基を含む。
【0025】
「アルコキシ」は、−OR基[ここで、Rは、本明細書に定義されるアルキルである]、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0026】
「アルキル」は、1〜8個の炭素原子の直鎖の飽和一価炭化水素基又は3〜8個の炭素原子の分岐の飽和一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。好ましくは、アルキル基は、1〜6個の炭素原子の直鎖アルキル又は3〜6個の炭素原子の分岐アルキルであり、更に好ましくは1〜4個の炭素原子の直鎖アルキル又は3若しくは4個の炭素原子の分岐アルキルである。
【0027】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖の飽和二価炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の分岐の飽和二価炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0028】
「アルキルチオ」は、−SR基[ここで、Rは、上記と同義のアルキルである]、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0029】
「アリール」は、場合により、好ましくはアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−SO2NR′R″(ここで、R′及びR″は、独立に水素又はアルキルである)、Y−C(O)−R(ここで、Yは、存在しないか、又はアルキレン基であり、そしてRは、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)、ヘテロアルキル、ヘテロアルキルオキシ、ヘテロアルキルアミノ、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、ヘテロアルキルスルホニルアミノ、スルホンアミド、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ヘテロシクリル及び/又はヘテロシクリルアルキルよりなる群から選択される1個以上の置換基、好ましくは1個、2個、又は3個の置換基により独立に置換されている、一価の単環式又は二環式芳香族炭化水素基を意味する。更に具体的には、アリールという用語は、特に限定されないが、フェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、及びその誘導体又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0030】
「アリールオキシ」は、−OR基[ここで、Rは、本明細書に定義されるアリールである]、例えば、フェノキシ又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0031】
「アリールオキシカルボニル」は、R−C(=O)−基[ここで、Rは、アリールオキシである]、例えば、フェノキシカルボニル又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0032】
「シクロアルキル」とは、3〜7個の環炭素の飽和一価環状炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、4−メチル−シクロヘキシルなど又は本明細書に具体的に例示されるものをいう。
【0033】
「シクロアルキルアルキル」は、−Rab基[ここで、Raは、アルキレン基であり、そしてRbは、本明細書に定義されるシクロアルキル基である]、例えば、シクロヘキシルメチルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0034】
「置換シクロアルキル」は、1個、2個又は3個(好ましくは1個)の環水素原子が、シアノ又は−Y−C(O)R(ここで、Yは、存在しないか、又はアルキレン基であり、そしてRは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は場合により置換されているフェニルである)により独立に置換されている、本明細書に定義されるシクロアルキル基又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。「ジアルキルアミノ」は、−NRR′基[ここで、R及びR′は、独立に本明細書に定義されるアルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキル基を表す]を意味する。代表例は、特に限定されないが、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ(1−メチルエチル)アミノ、(メチル)(ヒドロキシメチル)アミノ、(シクロヘキシル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシル)(エチル)アミノ、(シクロヘキシル)(プロピル)アミノ、(シクロヘキシルメチル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシルメチル)(エチル)アミノなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0035】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード、好ましくはフルオロ及びクロロを意味する。
【0036】
「ハロアルキル」は、1個以上の同じか又は異なるハロ原子により置換されているアルキル、例えば、−CH2Cl、−CF3、−CH2CF3、−CH2CCl3など又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0037】
「ヘテロアルキル」は、1個、2個又は3個の水素原子が、−ORa、−N(O)mbc(ここで、mは、0又は1である)、及び−S(O)nd(ここで、nは、0〜2の整数である)よりなる群[ここで、Raは、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;Rb及びRcは、相互に独立に、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノ−若しくはジ−アルキルアミノスルホニル、アミノアルキル、モノ−若しくはジ−アルキルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルスルホニル又はアルコキシアルキルスルホニルであるが、mが1であるとき、Rb及びRcは、両方ともアルキル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキルから独立に選択され;そしてnが0であるとき、Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又は場合により置換されているフェニルであり、そしてnが1又は2であるとき、Rdは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、場合により置換されているフェニル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである]から独立に選択される置換基により、ヘテロアルキル基の結合点が炭素原子を介するという了解の下で置換されている、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。好ましくはヘテロアルキルは、−ORa(Raは、アルキルである)により置換されている同義のアルキルである。代表例は、特に限定されないが、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0038】
「ヘテロアルキルカルボニル」は、Ra−C(=O)−基[ここで、Raは、ヘテロアルキル基である]を意味する。代表例は、アセチルオキシメチルカルボニル、アミノメチルカルボニル、4−アセチルオキシ−2,2−ジメチル−ブタン−2−オイル、2−アミノ−4−メチル−ペンタン−2−オイルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0039】
「ヘテロアルキルオキシ」は、Ra−O−基[ここで、Raは、ヘテロアルキル基である]を意味する。代表例は、(Me−C(=O)−O−CH2−O−など又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0040】
「ヘテロアルキルオキシカルボニル」は、Ra−C(=O)基[ここで、Raは、ヘテロアルキルオキシ基である]を意味する。代表例は、1−アセチルオキシ−メトキシカルボニル(Me−C(=O)−O−CH2−O−C(=O)−)など又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0041】
「ヘテロアリール」は、このヘテロアリール基の結合点が、芳香環上にあるという了解の下で、N、O、又はSから選択される1個、2個、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の一価の単環式又は二環式基を意味する。このヘテロアリール環は、場合により、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ニトロ又はシアノから選択される、1個以上の置換基、好ましくは1個又は2個の置換基により独立に置換されている。更に具体的には、ヘテロアリールという用語は、特に限定されないが、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、テトラヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル又はベンゾチエニル、イミダゾ[1,2−a]−ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、及びこれらの誘導体又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0042】
「ヘテロアラルキル」は、−Rab基[ここで、Raは、アルキレン基であり、そしてRbは、本明細書に定義されるヘテロアリール基である]、例えば、ピリジン−3−イルメチル、イミダゾリルエチル、ピリジニルエチル、3−(ベンゾフラン−2−イル)プロピルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0043】
「ヘテロアルキル置換シクロアルキル」は、このヘテロアルキル基が、炭素−炭素結合を介してシクロアルキル基に結合しているという了解の下で、このシクロアルキル基中の1個、2個又は3個の水素原子が、ヘテロアルキル基で置換されている、本明細書に定義されるシクロアルキル基を意味する。代表例は、特に限定されないが、1−ヒドロキシメチルシクロペンチル、2−ヒドロキシメチルシクロヘキシルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0044】
「ヘテロ置換シクロアルキル」は、このシクロアルキル基中の1個、2個又は3個の水素原子が、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、オキソ(C=O)、イミノ、ヒドロキシイミノ(=NOH)、NR′SO2d(ここで、R′は、水素又はアルキルであり、そしてRdは、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)、−X−Y−C(O)R(ここで、Xは、O又はNR′であり、Yは、アルキレンであるか又は存在せず、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は場合により置換されているフェニルであり、そしてR′は、H又はアルキルである)、又は−S(O)nR(ここで、nは、0〜2の整数であって、nが0であるとき、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、場合により置換されているフェニル又はチエニルであり、そしてnが1又は2であるとき、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、場合により置換されているフェニル、チエニル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)よりなる群から独立に選択される置換基により置換されている、本明細書に定義されるシクロアルキル基を意味する。代表例は、特に限定されないが、2−、3−、若しくは4−ヒドロキシシクロヘキシル、2−、3−、若しくは4−アミノシクロヘキシル、2−、3−、若しくは4−メタンスルホンアミド−シクロヘキシルなど、好ましくは4−ヒドロキシシクロヘキシル、3,5−ジヒドロキシ−シクロヘキシル、2−アミノシクロヘキシル又は4−メタンスルホンアミド−シクロヘキシルあるいは本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0045】
「ヘテロ置換シクロアルキル−アルキル」は、Rab−基[ここで、Raは、ヘテロ置換シクロアルキル基であり、そしてRbは、アルキレン基である]又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0046】
「ヘテロシクロアミノ」は、1個の環原子がNであり、そして残りの環原子がCである、4〜8個の環原子の飽和一価環状基を意味する。代表例は、ピペリジン及びピロリジン又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0047】
「ヘテロシクリル」は、1個又は2個、好ましくは1個の環原子が、N、O、又はS(O)n(ここで、nは、0〜2の整数である)、好ましくはN又はOから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が、Cである(ここで、1個又は2個のC原子は、場合によりカルボニル基により置換されていてもよい)、3〜8個、好ましくは6個の環原子の飽和又は不飽和の非芳香環式基を意味する。このヘテロシクリル環は、場合により、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、シアノアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルキル、−(X)n−C(O)R(ここで、Xは、O又はNR′であり、nは、0又は1であり、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ(nが0であるとき)、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は場合により置換されているフェニルであり、そしてR′は、H又はアルキルである)、−アルキレン−C(O)Ra(ここで、Raは、アルキル、OR又はNR′R″であり、そしてRは、水素、アルキル又はハロアルキルであり、そしてR′及びR″は、独立に水素又はアルキルである)、又はS(O)nR(ここで、nは、0〜2の整数であって、nが0であるとき、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり、そしてnが1又は2であるとき、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はヘテロアルキルである)、好ましくはアルキルスルホキシ又はアルコキシカルボニルから選択される、1個、2個、又は3個、好ましくは1個の置換基で独立に置換されていてもよい。更に具体的には、ヘテロシクリルという用語は、特に限定されないが、テトラヒドロピラニル、ピペリジノ、N−メチルピペリジン−3−イル、2−オキソ−ピペリジニル、ピペラジノ、N−メチルピロリジン−3−イル、3−ピロリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、4−(1,1−ジオキソ−テトラヒドロ−2H−チオピラニル)、ピロリニル、イミダゾリニル、N−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル、及びこれらの誘導体又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0048】
「ヘテロシクリルアルキル」は、−Rab基[ここで、Raは、アルキレン基であり、そしてRbは、上記と同義のヘテロシクリル基である]、例えば、テトラヒドロピラン−2−イルメチル、2−若しくは3−ピペリジニルメチル、3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)プロピルなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0049】
「ヒドロキシアルキル」は、同じ炭素原子が2個以上のヒドロキシ基と結合していないことを前提として、1個以上、好ましくは1個、2個又は3個のヒドロキシ基により置換されている、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。代表例は、特に限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、1,5−ジヒドロキシ−ペンタ−3−イル及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピル、好ましくは2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル及び1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルを含む。したがって、本明細書において使用されるとき、「ヒドロキシアルキル」という用語は、ヘテロアルキル基の部分集合又は本明細書に具体的に例示されるものを定義するために使用される。
【0050】
「脱離基」は、従来から合成有機化学において結びついていた意味、即ち、求核試薬により置換することができる原子又は基であり、そしてハロ(クロロ、ブロモ、及びヨードなど)、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば、2,4−ジニトロフェノキシ)、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノなど又は本明細書に具体的に例示されるものを含む。
【0051】
「モノアルキルアミノ」は、−NHR基[ここで、Rは、上記と同義のアルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキル基である]、例えば、メチルアミノ、(1−メチルエチル)アミノ、ヒドロキシメチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、シクロヘキシルメチルアミノ、シクロヘキシルエチルアミノなど又は本明細書に具体的に例示されるものを意味する。
【0052】
「場合により置換されているフェニル」は、場合により、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、及びアシル又は本明細書に具体的に例示されるものよりなる群から選択される、1個以上の置換基、好ましくは1個又は2個の置換基により独立に置換されているフェニル環を意味する。
【0053】
「薬剤学的に許容しうる賦形剤」は、一般に安全で非毒性、かつ生物学的にも他の意味でも有害でない、薬剤組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、そして獣医学的使用並びにヒトの薬剤としての使用に許容しうる賦形剤を含む。本明細書及び請求の範囲において使用される「薬剤学的に許容しうる賦形剤」とは、1種及び2種以上のこのような賦形剤の両者を含む。
【0054】
化合物の「薬剤学的に許容しうる塩」は、薬剤学的に許容しうるものであり、かつ親化合物の望まれる薬理学的活性を持つ塩を意味する。このような塩は、以下を含む:(1)酸付加塩であって、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)と形成される塩;又は有機酸(酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)と形成される塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオン)により置換されるか;又は有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなど)と配位結合を形成するときに形成される塩。
【0055】
「プロ−ドラッグ」及び「プロドラッグ」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、そしてこのようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与されると、式(I)の活性親薬物をインビボで放出する、任意の化合物のことをいう。式(I)の化合物のプロドラッグは、式(I)の化合物中に存在する1個以上の官能基を、その修飾がインビボで切断されて親化合物を放出するように修飾することにより調製される。プロドラッグは、式(I)の化合物中のヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシ又はカルボニル基が、インビボで切断されて、それぞれ遊離のヒドロキシル、アミノ、又はスルフヒドリル基が再生する任意の基に結合されている、式(I)の化合物を含む。プロドラッグの例は、特に限定されないが、式(I)の化合物中の、ヒドロキシ官能基のエステル類(例えば、酢酸、ジアルキルアミノ酢酸類、ギ酸類、リン酸類、硫酸類、及び安息香酸誘導体)及びカルバミン酸エステル類(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル類(例えば、エチルエステル類、モルホリノエタノールエステル類)、アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基及びエナミノン類、ケトン及びアルデヒド官能基のオキシム類、アセタール類、ケタール類及びエノールエステル類などを含む(Bundegaard, H. 「プロドラッグのデザイン(Design of Prodrugs)」 p1-92, Elesevier, New York-Oxford (1985)を参照のこと)。
【0056】
「保護基」とは、分子中の反応性基に結合すると、その反応性をマスキングするか、減少させるか又は妨げる、原子の群をいう。保護基の例は、T.W. GreenとP.G. Futs, 「有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」(Wiley, 第2版 1991)及びHarrisonとHarrisonら, 「有機合成法の概論(Compendium of Synthetic Organic Methods)」, 1-8巻(John Wiley and Sons, 1971-1996)に見い出すことができる。代表的アミノ保護基は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などを含む。代表的ヒドロキシ保護基は、ヒドロキシ基が、アシル化されているか、あるいはベンジル、及びトリチルエーテル類並びにアルキルエーテル類、テトラヒドロピラニルエーテル類、トリアルキルシリルエーテル類及びアリルエーテル類のようにアルキル化されているものを含む。
【0057】
疾患の「処置する(treating)」又は「治療(treatment)」は、以下を含む:(1)疾患を予防すること、即ち、疾患に曝露されているか、又は疾患の素因があるが、まだ疾患の症候に直面していないか、又は症候を示していない哺乳動物において、疾患の臨床症候を発現させないこと;(2)疾患を阻害すること、即ち、疾患又はその臨床症候の進展を止めるか、又は縮小すること;あるいは(3)疾患を緩和すること、即ち、疾患又はその臨床症候を緩解させること。
【0058】
「処置有効量」は、疾患の処置のために哺乳動物に投与されるとき、このような疾患の処置を達成するのに充分な、化合物の量を意味する。「処置有効量」は、化合物、疾患及びその重篤度並びに処置される哺乳動物の年齢、体重などによって変化する。
【0059】
本発明の1つの態様は、式(I):
【0060】
【化8】

【0061】
[式中、R1、R2、Z及びX1は、上記と同義である]で示される化合物を提供する。
【0062】
好ましくは、Zは、Nである。
【0063】
好ましくは、X1は、O、S又はC=O、更に好ましくはOである。
【0064】
好ましくは、R1は、アルキルである。更に好ましくは、R1は、エチルである。
【0065】
好ましくは、R2は、アルキル、アリール、シクロアルキル又はヘテロアルキル、更に好ましくはメチル又はヒドロキシアルキルである。
【0066】
好ましくはR3は、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルである。更に好ましくは、R3は、シクロアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである。R3が、ヘテロアルキルであるとき、ヘテロアルキルR3基の特に好ましい例は、ヒドロキシアルキル及び/又はアルコキシアルキル、例えば、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、及び3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピルである。ヘテロシクリルR3の特に好ましい例は、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルを含む。本発明の別の態様では、本発明の好ましい化合物は、R3が、4−ヒドロキシシクロヘキシル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、シクロペンチル、(S)−(2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル)プロピル、2,2−ジエトキシエチル、2,2−ジメトキシエチル、3−ヒドロキシピリジン−2−イル、(S)−(1−ヒドロキシメチル−2−メチル)プロピル、4−(2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル、ベンジル、フェニル、ブチル、ドデシル、2−ヒドロキシエチル、3−メチルブチル、2−メチルプロピル、(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル)エチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、ヘキシル、ピリジン−2−イル、2−モルホリノエチル、2−(ピペリジン−1−イル)エチル、シクロヘキシルメチル、1−(ヒドロキシメチル)ブチル、4−フルオロフェニル、シクロプロピルメチル、2−メトキシエチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、イソプロピル、メチル、3−フリルメチル、1−オキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、1−フェニルプロピル、フェネチル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル、4−ヒドロキシブチル、3−モルホリノプロピル、3−(2−ピロリジノン−1−イル)プロピル、2−アセトアミドエチル、2−(ピリジン−2−イル)エチル、ペンチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、2−(ピロリジン−1−イル)エチル、3−(ピロリジン−1−イル)プロピル、エチル、5−メチルピリジン−2−イル、プロピル、メチル、シクロプロピル、(1−ヒドロキシメチル−3−メチルチオ)プロピル、(1−ヒドロキシメチル)シクロペンチル、1,1−ジメチルプロピル、3−エトキシ−3−オキソ−プロピル、3−メトキシプロピル、シクロブチル、1−(オキソ−エトキシメチル)ピペリジン−4−イル、4−メトキシシクロヘキシル、3,5−ジヒドロキシ−シクロヘキシル、2−シクロヘキシルエチル、(2−メチルチアゾール−5−イル)メチル、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イルメチル、4−フェニルブチル、2−(4−アミノフェニル)エチル、ピリジン−3−イル、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及び(1−ヒドロキシメチル)ブチルから選択される、上記式(I)の化合物である。
【0067】
別の群の好ましい化合物は、式(I″):
【0068】
【化9】

【0069】
[式中、
1は、アルキル、更に好ましくはエチルであり;R2は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル及びヘテロアルキル(更に好ましくはメチル又はヒドロキシアルキル)から選択され;そしてR3は、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである]を有する化合物である。更に好ましいのは、R1及びR2が、直前に列挙された基から選択され、そしてR3が、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルから選択される、直前に定義された式(I″)の化合物である。更に別の好ましいものは、R1が、エチルであり、R2が、メチルであり、そしてR3が、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルである化合物である。
【0070】
好ましい化合物の更に別の群は、下記式:
【0071】
【化10】

【0072】
[式中、R1及びR2は、上記と同義であり、Xは、−O−、−C(=O)−、−N(R12a)−、又は−CH(R12b)−であり;R12aは、水素、C1-4アルキル、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;R12bは、水素、C1-4アルキル、−OR15、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;R14は、C1-4アルキル、オキソ(=O)、−OR15、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;R15は、存在ごとに他のR15からは互いに独立に、水素及びC1-4アルキルから選択され;qは、0又は1であり;そしてrは、0、1又は2である]を有する化合物である。
【0073】
この好ましい化合物の群の中で、更に好ましいものは、Xが、−N(R12a)−であり、そしてR12aが、−S(O)2(C1-4アルキル)である、化合物である。
【0074】
本発明の化合物は、非溶媒和型、並びに水和型を含む溶媒和型で存在することができる。一般に、水和型を含む溶媒和型は、非溶媒和型と同等であり、本発明の範囲に包含されるものである。上述の化合物に加えて、本発明の化合物は、全ての互変異性型を含む。更に、本発明はまた、これらの化合物の全ての薬剤学的に許容しうる塩を、化合物のプロドラッグ型、及び純粋なキラル型であろうとラセミ混合物であろうと又は他の型の混合物であろうと全ての立体異性体と同様に含む。
【0075】
式(I)の化合物は、更に薬剤学的に許容しうる酸付加塩を形成することができる。これらの全ての型は、本発明の範囲内である。
【0076】
式(I)の化合物の薬剤学的に許容しうる酸付加塩は、無機酸(塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など)から誘導される塩;並びに有機酸(脂肪族モノ−及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸など)から誘導される塩を含む。よってこのような塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などを含む。また意図されるものは、アルギン酸などのようなアミノ酸及びグルコン酸、ガラクツロン酸の塩である(例えば、Berge S.M.ら, "Pharmaceutical Salts," J. of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照のこと)。
【0077】
塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基型を充分量の所望の酸と接触させて従来法で塩を生成することにより調製することができる。遊離塩基型は、塩型を塩基と接触させ、遊離塩基を従来法で単離することにより再生することができる。遊離塩基型は、極性溶媒中での溶解度のようなある種の物性においてそれぞれの塩型と幾分異なるが、他の点で塩は、本発明の目的に対してそれぞれの遊離塩基と同等である。
【0078】
本明細書における本発明の形式は、目下好ましい実施態様を構成するが、多くの他のものが可能である。本明細書では、本発明の全ての可能な同等な形式や派生したものに言及することはない。本明細書において使用される用語は、限定ではなく単に説明を目的としており、そして本発明の本質又は範囲を逸することなく種々の変更を加えうると理解される。
【0079】
参照を簡略にするために本明細書の調製の方法及び実施例では、以下の略語が使用される:
EtOH=エタノール
MeOH=メタノール
DCE=ジクロロエタン
DCM=ジクロロメタン
EtOAc=酢酸エチル
Sat’d=飽和
THF=テトラヒドロフラン
MP又はMp=融点
【0080】
本発明の化合物は、種々の方法により調製することができる。本発明の1つの態様において、ZがNである、式(I′)の化合物の調製方法は、以下のスキーム1及び4に示される。R2がアミノ基である、式(I)の化合物の製造方法は、スキーム2に示される。ZがCHである、式(I″)の化合物の製造方法は、スキーム3及び3Aに示される。
【0081】
当然のことながら、スキームはしばしば厳密な構造を示すが、本発明の方法は、有機化学の技術に標準的な方法による反応性官能基の保護及び脱保護への適切な考慮を前提として、式(I)の類似化合物に広く適用される。例えば、望ましくない副反応を防止するために、ヒドロキシ基は、分子中の他の部位での化学反応中、時にエーテル又はエステルに変換する必要がある。次にヒドロキシ保護基を脱離することにより、遊離ヒドロキシ基が得られる。同様に、アミノ基及びカルボン酸基は、誘導体化することにより望ましくない副反応から保護することができる。典型的な保護基、並びにこれらを結合及び切断する方法は、T.W. GreeneとP.G.M. Wuts, 「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」, 第3版, John Wiley & Sons, New York, 1999、及びHarrisonとHarrisonら, 「有機合成法の概論(Compendium of Synthetic Organic Methods)」, 1-8巻(John Wiley and Sons, 1971-1996)による、上で取り込まれた参考文献に充分に記載されている。
【0082】
【化11】

【0083】
第1級アミン(R2−NH2)での式(Ia)の化合物の処理により、式(Ib)の化合物が得られる。この反応は、好都合には反応条件下で不活性な溶媒、好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素(特にDCM)、場合によりハロゲン化されている芳香族炭化水素、又は開鎖若しくは環状エーテル(THFなど)、ホルムアミド又は低級アルカノール中で行われる。適切には、本反応は、約−20℃〜約120℃で行われる。
【0084】
式(Ib)の化合物の還元により、式(Ic)のアルコールが得られる。この還元は、典型的には水素化アルミニウムリチウムを用いて当業者には周知の方法で(例えば、この還元の条件下で不活性な溶媒、好ましくは開鎖又は環状エーテル(特にTHF)中で、約−20℃〜約70℃で、好ましくは約0℃〜約室温で)行われる。
【0085】
式(Ic)のアルコールの酸化により、式(Id)のカルボキサルデヒドが得られる。この酸化は、典型的には二酸化マンガンにより行われるが、他の多くの方法も利用することができる(例えば、「高等有機化学(ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY)」, 第4版, March, John Wiley & Sons, New York (1992)を参照のこと)。使用される酸化剤に応じて、本反応は、好都合には特定の酸化条件下で不活性な溶媒、好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素(特にDCM)、又は場合によりハロゲン化されている芳香族炭化水素中で行われる。適切には、この酸化は、約0℃〜約60℃で行われる。
【0086】
式(Id)のカルボキサルデヒドとエステル:R1−X1CH2−CO2R′(ここで、R′は、アルキル基であり、そしてR1及びX1は、上記と同義である)との塩基の存在下での反応により、式(Ie)の化合物が得られる。炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸リチウム、及び炭酸ナトリウムなど);重炭酸塩(重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、及び重炭酸ナトリウムなど);カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムヘキサメチルジシラザン、LDA、水素化ナトリウム、又は第2級及び第3級アミン類のようなアミン類;並びに1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジンのような樹脂結合アミン類を含む、任意の相対的に非求核性の塩基を使用することができる。好都合には、本反応は、相対的に極性であるが反応条件下で不活性な溶媒、好ましくはアミド(ジメチルホルムアミド、N−置換ピロリジノン、特に1−メチル−2−ピロリジノンなど)中で、そして約25℃〜約150℃の温度で行われる。
【0087】
酸化剤、例えば、3−クロロ過安息香酸(即ち、MCPBA)又はオキソン(Oxone)(登録商標)のような過酸での(Ie)の酸化により、スルホン(If)が得られるが、これは種々の標的化合物に変換することができる。典型的には、(Ie)の酸化は、この酸化の条件下で不活性な溶媒中で行われる。例えば、MCPBAが酸化剤として使用されるとき、溶媒は、好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素、特にクロロホルムである。オキソン(登録商標)が酸化剤として使用されるとき、溶媒は、好ましくはMeOH、水性エタノール又は水性THFである。反応温度は、使用される溶媒に依存する。有機溶媒では、反応温度は、一般に約−20℃〜約50℃、好ましくは0℃〜約室温である。水が溶媒として使用されるとき、反応温度は、一般に約0℃〜約50℃、好ましくは約0℃〜約室温である。あるいは、この酸化は、レニウム/過酸化物に基づく試薬での接触条件下で行うことができる("Oxidation of Sulfoxides by Hydrogen Peroxide, Catalyzed by Methyltrioxorhenium(VII)", Lahti, David W.; Espenson, James H, Inorg. Chem. (2000) 39(10) pp.2164-2167;"Rhenium oxo complexes in catalytic oxidations", Catal. Today (2000) 55(4), pp317-363及び"A Simple and Efficient Method for the Preparation of Pyridine N-Oxides", Coperet, Christophe; Adolfsson, Hans; Khuong, Tinh-Alfredo V.; Yudin, Andrei K.; Sharpless, K. Barry, J. Org. Chem. (1998) 63(5), pp1740-1741を参照のこと)。
【0088】
化合物(If)とアミン(R3−NH2)とを反応させることにより、式(I′)の化合物が得られる。この反応は、溶媒の存在下で、又は非存在下で行うことができる。好都合には、この反応は、約0℃〜約200℃、更に好ましくは約室温〜約150℃の温度で行われる。あるいは、ある場合にはスルホン(If)を使用するよりも、スルフィド(Ie)又は対応するスルホキシドを直接アミン(R3−NH2)と反応させて、式(I′)の化合物を得ることができる。
【0089】
したがって、本発明は、一般式(Ie)、(If)又は対応するスルホキシドをアミン(R3−NH2)で処理し、そして場合により生じた生成物をR2−L(ここで、R2は、アルキルであり、そしてLは、脱離基である)と反応させることによる、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。
【0090】
【化12】

【0091】
2が、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はNR22−Y−R23である、式(I)の化合物は、スキーム2に示されるように、対応する2−アルキルチオ−8−アミノ−[2,3−d]ピリドピリミジン−7(8H)−オン((IV)、Z=N)、又は7−アルキルチオ−1−アミノ−1,6−ナフチリジン−2−オン((IV)、Z=CH)から、O−ジフェニルホスフィニルヒドロキシルアミンでのアミノ化(例えば、調製にはColvin, E.W.; Kirby, G.W.; Wilson, A.C. Tetrahedron Lett. (1982), 23, 3835及びKlottzer, W.; Stadlwieser, J.; Raneburger, J. Org. Synth. (1986), 64, p96-103を参照のこと)により、スキーム2に示されるように調製することができる。次に生じたアミンは、種々の異なる方法で置換することができる。段階的な還元的アルキル化(置換アルデヒドを用いる)を介してモノ又はジ−アルキル化が可能である。あるいは、このアミンをハロゲン化アシル、ハロギ酸塩又はハロ炭酸塩でアシル化してもよい。アミンはまた、ハロゲン化スルホニルでスルホニル化することができる。最後に、スキーム1の化合物(Ie)について前述されたように、アミン:R3NH2によるスルフィド(又は対応するスルホキシド若しくはスルホン)の置換により、式(I)の化合物(ZがCHであり、そしてR2=NAである、式(I)の化合物)が得られる。
【0092】
【化13】

【0093】
2,4−ジクロロピリジン−5−カルボン酸エチルをアミン:R2NH2で処理することにより、エステル(3g)が得られる。この反応は、好都合にはこの反応条件下で不活性な溶媒、好ましくはアセトニトリル、場合によりハロゲン化されている芳香族炭化水素、又は開鎖若しくは環状エーテル(THFなど)、ホルムアミド又は低級アルカノール中で行われる。適切には、この反応は、約−20℃〜約120℃で行われる。
【0094】
式(3g)の化合物の還元により、アルコールが得られる。この還元は、典型的には水素化アルミニウムリチウムを用いて、当業者には周知の方法で(例えば、この還元の条件下で不活性な溶媒、好ましくは開鎖又は環状エーテル、特にTHF中で、約−20℃〜約70℃で、好ましくは約0℃〜約室温で)行われる。
【0095】
このアルコールの酸化により、式(3h)のカルボキサルデヒドが得られる。この酸化は、典型的には二酸化マンガンにより行われるが、他の多くの方法も利用することができる(例えば、「高等有機化学(ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY)」, 第4版, March, John Wiley & Sons, New York (1992)を参照のこと)。使用される酸化剤に応じて、本反応は、好都合にはその特定の酸化条件下で不活性な溶媒、好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素(特にDCM)、又は場合によりハロゲン化されている芳香族炭化水素中で行われる。適切には、この酸化は、約0℃〜約60℃で行われる。
【0096】
式(3h)のカルボキサルデヒドとエステル:R1−X1CH2−CO2R′(ここで、R′は、アルキル基であり、そしてR1及びX1は、上に定義されるものである)との塩基の存在下での反応により、式(3i)の化合物が得られる。炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸リチウム、及び炭酸ナトリウムなど);重炭酸塩(重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、及び重炭酸ナトリウムなど);カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムヘキサメチルジシラザン、LDA、水素化ナトリウム、又は第2級及び第3級アミン類のようなアミン類;並びに1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジンのような樹脂結合アミン類を含む、任意の相対的に非求核性の塩基を使用することができる。好都合には、本反応は、相対的に極性であるが反応条件下で不活性な溶媒、好ましくはアミド(ジメチルホルムアミド、N−置換ピロリジノン、特に1−メチル−2−ピロリジノンなど)中で、そして約25℃〜約150℃の温度で行われる。
【0097】
スキーム1の化合物(Ie)について前述されたように、アミン:R3NH2による塩化物の置換(好ましくは溶媒なしで150〜160℃で)により、式(I″)の化合物(ZがCHである、式(I)の化合物)が得られる。
【0098】
【化14】

【0099】
4−アミノ−3,6−ジブロモピリジン(Den Hertogら, Rec. Trav. Chim. Pays-Bas, 64, 85-100 (1945))をナトリウムメチルチオラートで処理することにより、4−アミノ−3−ブロモ−6−メチルチオ−ピリジンが得られる(工程a、Windscheif, P; Voegtle, F.; Synthesis, 87092 (1994)を参照のこと)。このメチルチオピリジンを、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム)の下にヘック(Heck)反応で、塩基(例えば、酢酸カリウム又はトリブチルアミン)の存在下で、ビニルエステル(3a)とカップリングすることにより、式(3b)の化合物が得られる(Dong, Y.; Busacca, C.A. J. Org. Chem., 62, 6464-65 (1997)を参照のこと)。塩基性条件下の閉環により、式(3c)の1,6−ナフチリドンが得られる。
【0100】
ハロゲン化アルキル(又は任意の他のアルキル化剤:R3−X(ここで、Xは、脱離基である))による(3c)のアルキル化により、式(3d)の1−アルキル化ナフチリドンが得られる。(3d)の酸化、及びスキーム1の化合物(Ie)について前述されたようなアミン:R3NH2によるスルホンの置換により、式(I″)の化合物(ZがCHである、式(I)の化合物)が得られる。代替経路は、スキーム3Aに示される。
【0101】
【化15】

【0102】
式(4d)の化合物は、エトキシ酢酸エチルと、適切な溶媒(トルエンなど)中、カリウムt−ブトキシドを加えて反応させることにより、式(4h)の化合物を得ることができる。化合物(4h)は、オキシダント又は過酸(クロロ過安息香酸など)とのDCMのような溶媒中での反応により、対応するスルホニル化合物(4i)に変換することができる。化合物(4i)は、所望のアミン:R3−NH2とのDCEのような溶媒中での反応により、式(I″)の化合物に変換することができる。
【0103】
当業者であれば、上記スキームへのある種の修飾が予期されるものであり、本発明の範囲内であることは理解しよう。例えば、ある工程には、個々の反応条件に適合しない官能基のための保護基の使用を伴うこともある。
【0104】
これらのプロセスもまた、本発明の目的である。
【0105】
式(I)の化合物及び酸との式(I)の塩基性化合物の薬剤学的に許容しうる塩は、例えば、製剤の形で、医薬として使用することができる。この製剤は、経腸的に、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で経口的に、例えば、鼻内スプレーの剤形で鼻内に、あるいは坐剤の剤形で直腸内に投与することができる。しかし、これらはまた、例えば、注射液の剤形で非経口的に投与してもよい。
【0106】
式(I)の化合物及びこれらの前述の薬剤学的に許容しうる塩は、製剤の製造のために薬剤学的に不活性な有機又は無機担体と共に加工することができる。例えば、乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤に適した担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどであるが、活性成分の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合には通常は担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適した担体は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖などである。坐剤に適した担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0107】
この製剤はまた、保存料、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧の変化用の塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。これらはまた、式(I)の化合物及びこれらの前述の薬剤学的に許容しうる塩以外の治療上有用な物質を含むことができる。
【0108】
式(I)の化合物、又は式(I)の塩基性化合物の酸との薬剤学的に許容しうる塩を、適合性の製剤担体材料と共に含む医薬もまた、本発明の目的であり、1つ以上のこれらの化合物又は塩と、所望であれば、1つ以上の他の治療上有用な物質とを、適合性の製剤担体と共にガレヌス製剤の投与剤形にすることを特徴とする、このような医薬の製造方法も同様である。
【0109】
前述のように、式(I)の化合物及びこれらの前述の薬剤学的に許容しうる塩は、本発明により治療活性物質として、特に抗炎症剤として、又は移植手術後の移植片拒絶の予防のために使用することができる。用量は、広い限界内で変化させることができ、当然ながらそれぞれ個々の症例における個別の要求に適合させられる。一般に、成人への投与の場合、好都合な1日用量は、約0.1mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg〜約5mg/kgであろう。1日用量は、単回用量として、又は分割用量として投与することができ、そして更に、前述の用量上限は、必要と認められれば超えてもかまわない。
【0110】
最後に、特に炎症性疾患、免疫性疾患、腫瘍学的疾患、気管支肺疾患、皮膚疾患及び心血管疾患の治療又は予防における、喘息、中枢神経系疾患又は糖尿病合併症の治療における、あるいは移植手術後の移植片拒絶の予防のための、医薬の製造のための式(I)の化合物及びこれらの前述の薬剤学的に許容しうる塩の使用もまた、本発明の目的である。
【0111】
式(I)の化合物は、特に限定されないが、ヒト、又は他の哺乳動物の任意の疾患又は病状であって、このような哺乳動物による過剰な又は無秩序なTNF又はp38キナーゼの産生によって増悪するか、又は引き起こされるものの処置に有用であろう。したがって、本発明は、サイトカインの妨害に有効量の式(I)の化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩若しくは互変異性体を投与することを特徴とする、サイトカイン介在疾患を処置する方法を提供する。
【0112】
式(I)の化合物は、特に限定されないが、対象における炎症の処置に、及び発熱の処置用の解熱薬としての使用に有用であろう。本発明の化合物は、特に限定されないが、慢性関節リウマチ、脊椎関節症(例えば、強直性脊椎炎)、痛風性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、及び他の関節炎症状を含む関節炎を処置するために有用であろう。このような化合物は、成人呼吸窮迫症候群、肺サイコイドーシス、喘息、珪肺、及び慢性肺炎症性疾患を含む、肺疾患又は肺炎症の処置に有用であろう。本化合物はまた、敗血症、敗血症ショック、グラム陰性菌敗血、マラリア、髄膜炎、感染症又は悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連症候群)、肺炎、及びヘルペスウイルスを含む、ウイルス性及び細菌性感染症の処置に有用である。本化合物はまた、骨粗鬆症のような骨吸収疾患、内毒素性ショック、毒素性ショック症候群、再灌流障害、自己免疫疾患(移植片対宿主反応及び同種移植拒絶反応を含む)、心血管疾患(アテローム動脈硬化、血栓症、鬱血性心不全、及び心性再灌流障害を含む)、腎性再灌流障害、肝臓病及び腎炎、並びに感染症による筋肉痛の処置に有用である。
【0113】
本化合物はまた、アルツハイマー病、インフルエンザ、多発性硬化症、癌、糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚関連症状(乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、ケロイド形成、及び瘢痕組織形成など)の処置に有用である。更に、本発明の化合物は、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群及び潰瘍性大腸炎のような、胃腸症状を処置するのに有用である。本化合物はまた、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、羞明のような、眼科疾患、並びに眼組織への急性傷害の処置に有用である。本化合物はまた、新生組織形成を含む血管形成;転移;眼科症状(角膜移植片拒絶、眼内新血管形成、傷害又は感染症後の新血管形成を含む網膜新血管形成、糖尿病網膜症、水晶体後線維増殖症及び血管新生緑内障など);胃潰瘍のような潰瘍性疾患;病的であるが悪性でない症状(幼児性血管腫を含む血管腫、鼻咽頭の線維性血管腫及び骨の無血管性壊死など);糖尿病性腎症及び心筋症;並びに子宮内膜症のような女性生殖器系の疾患を処置するのに使用することができる。本化合物は更に、シクロオキシゲナーゼ−2の産生を妨げるために使用することができる。
【0114】
好ましくは、本発明の化合物は、慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、クローン病、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、乾癬、成人呼吸窮迫症候群、喘息又は慢性閉塞性肺疾患、あるいはアルツハイマー病又は腫瘍学的疾患の処置に有用である。
【0115】
ヒトの処置に有用である上に、これらの化合物はまた、哺乳動物、齧歯類などを含む、ペット、珍しい動物及び家畜の獣医学的処置にも有用である。更に好ましい動物は、ウマ、イヌ及びネコを含む。
【0116】
本化合物はまた、部分的又は完全に他の従来の抗炎症薬の代わりに、ステロイド類、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター、NSAID、DMARDS、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼインヒビター、LTB4アンタゴニスト及びLTA4ヒドロラーゼインヒビターなどとの共同療法にも使用することができる。
【0117】
本明細書において使用されるとき、「TNF介在疾患」という用語は、TNF自体の制御により、又はTNFが別のモノカイン(特に限定されないが、IL−1、IL−6又はIL−8など)を放出させることにより、TNFがある役割を果たす、任意かつ全ての疾患及び病状のことをいう。よって、例えば、IL−1が主要な成分であり、かつその産生又は作用が、TNFに応じて増悪又は分泌される病状は、TNFが介在する疾患と考えられよう。
【0118】
本明細書において使用されるとき、「p38介在疾患」という用語は、p38自体の制御により、又はp38が別の因子(特に限定されないが、IL−1、IL−6又はIL−8など)を放出させることにより、p38がある役割を果たす、任意かつ全ての疾患及び病状のことをいう。よって、例えば、IL−1が主要な成分であり、かつその産生又は作用が、p38に応じて増悪又は分泌される病状は、p38が介在する疾患と考えられよう。
【0119】
TNF−βは、TNF−α(カケクチンとしても知られている)と近い構造相同性を持つため、そしてそれぞれが、同様の生物学的応答を誘導して、同じ細胞受容体に結合するため、TNF−αとTNF−β両方の合成は、本発明の化合物により阻害され、よって本明細書では、特に断りない限りこれらを集合的に「TNF」と呼ぶ。
【0120】
実施例
特に断りない限り、融点(即ち、Mpt.)を含む全ての温度は、摂氏度(℃)で表す。
【0121】
調製1
4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキサルデヒド
【0122】
【化16】

【0123】
工程A:4−メチルアミノ−2−メチル−チオピリミジン−5−カルボン酸エチルの調製
【0124】
【化17】

【0125】
DCM 250mL中の4−クロロ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボン酸エチル(アルドリッチ(Aldrich)、20g、86mmol)の溶液に0℃でEtOH中のメチルアミンの溶液(33%、35mL、281mmol)をゆっくり加えた。30分間撹拌後、水(150mL)を加え、相を分離した。有機相を乾燥(MgSO4)して濾過した。減圧下で濾液から溶媒を留去することにより、4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボン酸エチル19gを白色の固体として得た。
【0126】
工程B:4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−メタノールの調製
【0127】
【化18】

【0128】
水素化アルミニウムリチウム(8.2g、215mmol)を無水THF(300mL)中で5℃で撹拌し、無水THF(450mL)中の4−メチルアミノ−2−メチルチオ−ピリミジン−5−カルボン酸エチル(46g、215mmol)の溶液を滴下して処理した。この反応混合物を15分間撹拌し、次に水(18mL)を滴下により慎重に加えた。この反応液を30分間撹拌し、次に水酸化ナトリウムの水溶液(15%、8.5mL)を滴下により加え、続いて水(25.5mL)を加えた。生じた懸濁液を室温で17時間撹拌し、次に濾過した。フィルター残渣をTHF(2×、100mL)で洗浄して、合わせた濾液と洗浄液から減圧下で溶媒を留去した。残渣をEtOAc/ヘキサン(1/2)(200mL)に懸濁して、固体を濾過して、乾燥することにより、4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−メタノール32.7gを黄色の固体として得た。
【0129】
工程C:4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキサルデヒドの調製
【0130】
【化19】

【0131】
4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−メタノール(20g、108mmol)とDCM 1Lを撹拌しながら合わせて、二酸化マンガン(87g、1mol)で処理した。生じた懸濁液を24時間撹拌し、次にセライトで濾過した。フィルター残渣をDCM(100mL)で洗浄して、合わせた濾液と洗浄液から減圧下で溶媒を留去することにより、4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキサルデヒド15.8gを白色の固体として得た。
【0132】
調製2
4−(シクロプロピルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサルデヒド
【0133】
【化20】

【0134】
4−シクロプロピルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキサルデヒドは、4−クロロ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボン酸エチル(アルドリッチ化学(Aldrich Chemical Co.))とシクロプロピルアミン(アルドリッチ化学)から出発して、実施例1(工程A〜C)に記述されたように調製した。
【0135】
調製3
4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサルデヒド
【0136】
【化21】

【0137】
4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒドは、4−クロロ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボン酸エチル(アルドリッチ化学)と4−フルオロアニリン(アルドリッチ化学)から出発して、実施例1(工程A〜C)に記述されたように調製した。
【0138】
調製4
4−(エチルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサルデヒド
【0139】
【化22】

【0140】
工程A:4−エチルアミノ−2−メチル−チオピリミジン−5−カルボン酸エチルの調製
【0141】
【化23】

【0142】
THF 250ml中の4−クロロ−2−メチルチオ−5−ピリミジンカルボン酸エチル25g(107mmol)の溶液に、トリエチルアミン47ml(337mmol)及び70%エチルアミン溶液43ml(668mmol)を加えた。この混合物を室温で4時間撹拌して、蒸発乾固した。この物質をEtOAc/水の混合物に溶解し、10% NaHCO3溶液で2回洗浄し、乾燥(MgSO4)して、蒸発乾固することにより、上記標題生成物を固体として得た。収量24.1g。
【0143】
工程B:4−エチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−メタノールの調製
【0144】
【化24】

【0145】
THF(250ml)中の4−エチルアミノ−2−メチルチオ−ピリミジンカルボン酸エチル(24.1g、100mmol)の溶液を氷浴中で0℃まで冷却した。この溶液に、水素化アルミニウムリチウム(4.3g、113mmol)を1時間かけて少量ずつ慎重に加えた。添加が終了して1時間後、水をゆっくり加え(4.3ml)、次にここに、NaOHの溶液(4.3ml、15%)を、次いで更に水13mlを加え、次にこの混合物を1時間撹拌した。生じた懸濁液を濾過して、フィルター残渣をTHF 100mlで2回洗浄した。減圧下でこの溶液から溶媒を留去した。残渣をEt2O 150mlと一緒に撹拌し、濾過して乾燥した。収量19.1g。
【0146】
工程C:4−エチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキサルデヒドの調製
【0147】
【化25】

【0148】
DCM 1000ml中の4−エチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−メタノール(19.1g、96mmol)の溶液に、二酸化マンガン87gを加えた。生じた懸濁液を20時間撹拌し、セライトで濾過した。残渣をDCM 100mlで2回洗浄して、合わせた濾液と洗浄液から減圧下で溶媒を留去することにより、生成物を固体として得た。収量12.8g。
【0149】
調製5
4−アミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルバルデヒド
【0150】
【化26】

【0151】
工程A:3,3−ジエトキシ−2−ホルミルプロピオニトリルカリウム塩(P-5A)の調製
【0152】
【化27】

【0153】
無水THF(1.1L)中の3,3−ジエトキシプロパン−ニトリル(283.80g、1.98mol)及びギ酸メチル(148.80g、2.48mol)の撹拌溶液に10℃でTHF中の1.0Mカリウムtert−ブトキシド(2.2L、2.2mol)を加えた。45分の添加の間中、温度を10℃〜15℃の範囲に維持した。添加後、生じたスラリーを周囲温度で2時間撹拌した。次にヘキサン(400mL)を加え、更に20分間撹拌を続けた。このスラリーを濾過して、ケーキを1/1のヘキサン/THFで洗浄して、真空オーブン中で60℃で一晩乾燥することにより、上記化合物(P-5A)302.5グラム(73.0%)を淡黄褐色の粉末として得た。1H−NMR(CD3OD)は、目的の構造に一致した。
【0154】
工程B:4−アミノ−2−スルファニルピリミジン−5−カルバルデヒド(P-5B)の調製
【0155】
【化28】

【0156】
EtOH(90mL)中のチオ尿素(92.8g、1.22mol)のスラリーを加熱還流して激しく撹拌した。このスラリーに、還流条件を維持しながら、25%ナトリウムメトキシド/MeOH(85.5mL、0.37mol)及びEtOH(285mL)中の3,3−ジエトキシ−2−ホルミルプロピオニトリルカリウム塩(P-5A)(222.20g、1.06mol)の懸濁液を5等分にして10分間かけて加えた(あるいは、後者のスラリーは、50℃に加熱することにより、添加用の均質な溶液にしてもよい)。追加のEtOH(150mL)を加えることにより、撹拌を促進させた。この粘性のスラリーは、添加により明黄色になったが、更に1時間還流下で保持した。次にこの混合物を冷却して、ロータリーエバポレーターでほぼ乾固するまで蒸発させた。残渣を水(940mL)に溶解した。30%酢酸(280mL)の添加により粗生成物を溶液から沈殿させて、中口径フリット焼結ガラスロートを用いる濾過により単離した。このケーキを水(800mL)で洗浄した。熱水(1L)中で30分間の粉砕により精製し、続いて冷却及び濾過することにより、真空オーブン中で60℃で一晩乾燥後に、生成物118.9グラム(72.3%)を明黄色の固体として得た(この後の調製により、この粉砕は不必要であることが証明されている)。HPLCによると98.67%の純度が得られた。1H−NMR(DMSO−d6)は、上記目的構造(P-5B)に一致した。
【0157】
工程C:4−アミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルバルデヒドの調製
【0158】
【化29】

【0159】
アセトン(1.5L)中の4−アミノ−2−スルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒド(P-5B)(100.00g、644.4mmol)及び325メッシュ炭酸カリウム(178.10g、1.29mmol)の溶液に、穏やかに冷却しながらヨードメタン(128.10g、902.2mmol)を20分間かけて滴下により加えた。この混合物を周囲温度で週末にかけて撹拌した。TLCにより工程Bからの残留生成物(P-5B)が判明したため、更にヨードメタンのアリコートを加えて(8mL)、一晩撹拌を続けた。再度TLCにより工程Bからの少量の生成物(P-5B)の残留が判明したため、更にヨードメタンを加えて(8mL)、更に24時間撹拌を続けた。HPLCによると95.9%のS−アルキル化生成物及び3.7%の化合物(P-5B)が得られた。この反応混合物をロータリーエバポレーターでほぼ乾固するまでストリッピングした。水(1L)を残渣に加え、濾過により生成物を回収して水(200mL)で洗浄した。この生成物を真空オーブン中で60℃で一晩乾燥した。収量は、103.37グラム(94.8%)であった。HPLCによると95.8%の調製5及び4.2%の化合物(P-5B)が得られた。
【0160】
調製6
4−アミノ−2−n−ブチルチオピリミジン−5−カルバルデヒド
【0161】
【化30】

【0162】
4−アミノ−2−(n−ブチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒドは、工程Cのヨードメタン(アルドリッチ化学)をヨードブタン(アルドリッチ化学)に置換して、調製5(工程A〜C)に記述されたように調製した。
【0163】
実施例1
6−エトキシ−2−[3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)−プロピルアミノ]−8,8a−ジヒドロ−4aH−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
【0164】
【化31】

【0165】
工程A:2−ブチルスルファニル−6−エトキシ−8,8a−ジヒドロ−4aH−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
【0166】
【化32】

【0167】
4−アミノ−2−ブチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−ピリミジン−5−カルバルデヒド(3g、14.2mmol、スケールアップにより供給)及びエトキシ酢酸エチル(2.34g、2.4ml、17.75mmol)を、トルエン80ml中で窒素下0°〜5℃で撹拌した。カリウムt−ブトキシド(1.75g、15.6mmol)を徐々に加えた。この混合物を周囲温度になるまで撹拌し、次いで48時間65℃になるまで続けた。更にトルエン20mlとエトキシ酢酸エチル2.4mlを加え、反応液を週末にかけて65℃に維持した。反応混合物を真空で濃縮して、EtOAcで粉砕することにより、残留出発アルデヒドを除去した。残留固体は、更にクロロホルムで粉砕することにより、更に不純物を除去した。MS/HPLCとNMRにより判定した純度が80%を超える2−ブチルスルファニル−6−エトキシ−8,8a−ジヒドロ−4aH−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1A)3.66gを回収した。
【0168】
工程B:2−(ブタン−1−スルホニル)−6−エトキシ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
【0169】
【化33】

【0170】
DCM 40mlに懸濁した化合物(1A)(3g、10.7mmol)の溶液を氷浴中で0°〜5℃に冷却して、メタ−クロロ過安息香酸(5.5g、32.3mmol)を徐々に加えた。この混合物を、周囲温度になるまで一晩撹拌させておき、次に真空で濃縮した。残渣をEtOAcで粉砕して、CH2Cl2:MeOH:アセトン(96:2:2)で溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−(ブタン−1−スルホニル)−6−エトキシ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(3B)1gを得た。
【0171】
工程C:6−エトキシ−2−[3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)−プロピルアミノ]−8,8a−ジヒドロ−4aH−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
DCE 1ml中の化合物(3B)(50mg、0.16mmol)及び3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)−プロピルアミン(140mg、0.96mmol)の溶液を85℃に72時間加熱した。この反応混合物を、CH2Cl2から最後のCH2Cl2:MeOH:アセトンの溶媒混合物(94:3:3)までの勾配溶媒によりスペルコ(Supelco)(登録商標)2g/12mlシリカカラムのクロマトグラフィーに直接付した。更に2回のクロマトグラフィーを要して、6−エトキシ−2−[3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)−プロピルアミノ]−8,8a−ジヒドロ−4aH−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(実施例1)24mgを、MS/HPLCにより判定した純度86%で得た。M++337。
【0172】
実施例2
6−メトキシ−8−メチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
【0173】
【化34】

【0174】
工程A:
【0175】
【化35】

【0176】
4−メチルアミノ−2−メチルチオ−5−ピリミジンカルボキサルデヒド(2g、10.9mmol)、メトキシ酢酸メチル(1.6mL、16.4mmol)、炭酸カリウム(2.26g、16.4mmol)、及びNMP(40mL)を120℃で66時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(300mL)中に注ぎ入れ、そしてEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮した。残渣を、20〜50%アセトン/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物(2A)502mgを得た。
【0177】
工程B:
【0178】
【化36】

【0179】
化合物(2A)(450mg、1.90mmol)、72% mCPBA(1.36g、5.69mmol)、及び塩化メチレン(100ml)の混合物を室温で3時間撹拌した。重亜硫酸ナトリウムの水溶液(10%、100ml)を反応混合物に加えて、室温で1時間撹拌し、次にEtOAc(200ml)で抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水、及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮した。残渣を0〜3% MeOH/DCMで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、上記標題化合物(2B)235mgを得た。
【0180】
工程C:実施例2
化合物(2B)(50mg、0.186mmol)、4−アミノテトラヒドロピラン(38mg、0.371mmol)、及びNMP(1ml)の混合物を80℃で66時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却して、フラッシュクロマトグラフィー(1〜5% MeOH/DCM)により精製して、(4a)47mgを得た。この遊離塩基をMeOHに溶解し、1N HCl/Et2O 1当量で処理して、真空で濃縮することにより、上記標題の実施例2を塩酸塩として得た(44mg)。
【0181】
実施例3
6−エトキシ−8−メチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
【0182】
【化37】

【0183】
工程A:
【0184】
【化38】

【0185】
4−メチルアミノ−2−メチルチオ−5−ピリミジンカルボキサルデヒド(3g、16.4mmol)、エトキシ酢酸エチル(3.3mL、24.6mmol)、炭酸カリウム(3.4g、24.6mmol)、及びNMP(50mL)を120℃で18時間撹拌した。反応温度を66時間80℃まで低下させ、次いで2回目のエトキシ酢酸エチルと炭酸カリウムとの上記量での添加後、18時間120℃に戻した。この反応混合物を水(300mL)中に注ぎ入れ、室温で1時間撹拌した。沈殿物を濾過により回収し、水及びヘキサンで洗浄して、真空で乾燥することにより、化合物(3A)2.14gを得た。
【0186】
工程B:
【0187】
【化39】

【0188】
化合物(3A)(2g、7.96mmol)、72% mCPBA(5.7g、23.9mmol)、及び塩化メチレン(100ml)の混合物を室温で1時間撹拌した。重亜硫酸ナトリウムの水溶液(10%、100ml)を反応混合物に加えて、室温で15分間撹拌し、次にEtOAc(200ml)で抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水、及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮することにより、化合物(3B)1.45gを得た。
【0189】
工程C:実施例3
(3B)(100mg、0.353mmol)、4−アミノ−1−ピペリジンカルボン酸エチル(0.12ml、0.706mmol)、及びNMP(3ml)の混合物を120℃で18時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却して、水とEtOAcとに分液した。有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮した。残渣をMeOH及びDCMに溶解し、1N HCl/Et2O(0.35mL)で処理して、真空で濃縮した。生じた固体をエチルエーテルで洗浄して、真空で乾燥することにより、実施例3の塩酸塩56mgを得た。
【0190】
実施例4
6−エトキシ−8−メチル−2−(ピペリジン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
【0191】
【化40】

【0192】
工程A:6−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−8−メチル−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンの調製
【0193】
【化41】

【0194】
1−メチル−2−ピロリジノン50mL中の4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキサルデヒド(調製1)(4.8g、26.2mmol)及び2,6−ジフルオロフェノキシ酢酸メチル(2,6−ジフルオロフェノールを用いて調製4と同様に調製、5.9g、32mmol)の混合物に、炭酸カリウム(6.0g、43.5mmol)を加えた。この反応混合物を120℃に加熱して、12時間後、追加のフェノキシ酢酸エステル(2×、2.0g、10.8mmol)及び炭酸カリウム(2.0g、15mmol)を加えた。120℃で6時間撹拌後、反応液を室温まで冷却して、水(70mL)を加えた。この溶液を30分間撹拌して濾過した。生じた固体を水(2×)、EtOAc、及びエーテルで洗浄した。次にこの固体を乾燥することにより、上記標題のスルフィド(質量分析 M+1=336、MP=247〜250.7℃)7.0gを得た。
【0195】
工程B:6−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−8−メチル−2−(メチルスルホニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンの調製
【0196】
【化42】

【0197】
化合物(4A)(7.0g、20.8mmol)を塩化メチレン50mLに溶解して、3−クロロ過安息香酸(77%、11.5g、51.5mmol)を加えた。この混合物を室温で16時間撹拌し、濾過し、次に亜硫酸ナトリウム水溶液(2×、75mL)で洗浄し、続いて飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3×、75mL)で洗浄した。次にこの有機溶液を乾燥(食塩水、Na2SO4)して溶媒を留去した。生じた固体をエーテルと共に1時間撹拌して、濾過することにより、上記標題のスルホン(4B)(質量分析 M+1=368、MP=215.2〜216.4℃)5.5gを得た。
【0198】
工程C:4−{[6−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸エチルの調製
【0199】
【化43】

【0200】
1−メチル−2−ピロリジノン5mL中の化合物(4B)(1.0g、2.7mmol)及び4−アミノ−1−ピペリジンカルボン酸エチル(0.93ml、5.4mmol)の混合物を100℃で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。この反応スラリーを蒸留水20mlに加えて、黄色の沈殿物を真空濾過により回収し、続いて真空で乾燥することにより、化合物(4C)1.28gを得た。この生成物約80mgをMeOH(1〜2mL)に溶解し、次にエーテル中の塩酸(1M)で処理した。有機層から溶媒を留去し、続いてエーテル(1〜2mL)を加えることにより固体を得た。この固体を濾過により単離して乾燥することにより、化合物(4C)66mgを塩酸塩(MP=197〜204℃)として得た。
【0201】
工程D:6−エトキシ−8−メチル−2−{[(1−メタンスルホニル)ピペリジニル−4−イル]アミノ}ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(実施例4)
EtOH 20mL中の工程Cからの4−{[6−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸エチル(1.2g、2.52mmol)及び水酸化カリウム(2.83g、50.4mmol)の混合物を48時間還流し、次に減圧下で反応溶媒を留去した。残渣を水100mLにとり、氷浴中で冷やし、次いで濃HClの滴下により酸性にした。この酸性水溶液を次にDCM(2×)で抽出した。この水溶液を次に氷浴中で冷却して、水酸化ナトリウムで再アルカリ化した。次いでこのアルカリ溶液をDCM(2×)で抽出した。このアルカリ性水溶液からの有機抽出液を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して真空で乾燥することにより、粗生成物92mgを得た。
【0202】
あるいは、実施例4は、実施例3の遊離塩基(上述のように調製、358mg、0.954mmol)、水酸化カリウム(1.07g、19.1mmol)、及びEtOH(10mL)の混合物から、これを5日間還流して調製した。この反応混合物を真空で濃縮した。残渣を水に溶解し、2N HClで酸性にして、DCMで抽出した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液で水層をアルカリ性にして、DCM(2×100mL)で再抽出した。アルカリ性溶液からの合わせた有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮することにより、実施例4 24mgを得た。少量の実施例4(3mg)をMeOHに溶解し、1N HCl/Et2O 1当量で処理して、真空で濃縮することにより、実施例4の塩酸塩4mgを得た。
【0203】
実施例5
6−エトキシ−8−メチル−2−{[(1−メタンスルホニル)ピペリジニル−4−イル]アミノ}ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン
【0204】
【化44】

【0205】
実施例4からの粗ピペリジン生成物(0.92g、0.237mmol)を、炭酸ナトリウム(0.050g、0.475mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.022mL、0.285mmol)と一緒にDCM 5mLにとって、室温で17時間撹拌した。更にメタンスルホニルクロリド(0.040mL)及び炭酸ナトリウム(50mg)のアリコートを加えて、反応液を室温で24時間撹拌した。メタンスルホニルクロリド(0.080mL)及び炭酸ナトリウム(150mg)の最後のアリコートを加えて、反応液を室温で48時間撹拌した。全出発物質が消費されたら、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮して油状物を得た。この反応混合物は、カラムクロマトグラフィー(SiO2、CH2Cl2/MeOH、0.5/99.5から3/97の勾配)により精製した。カラム画分を合わせて、減圧下で濃縮することにより、目的生成物(25mg)を得た。この生成物をEtOAc(1〜2mL)に溶解し、次にエーテル中の塩酸(1M、1当量)で処理した。エーテルで濯ぐことにより固体を単離し、濾過して、真空で乾燥することにより、実施例5 19mgを塩酸塩(MP=219.56〜221.2℃)として得た。
【0206】
実施例4(21mg、0.069mmol)、炭酸ナトリウム(15mg、0.138mmol)、メタンスルホニルクロリド(0.06mL)、及びDCM(10ml)の混合物を室温で18時間撹拌した。この反応混合物を水(100mL)中に注ぎ入れ、DCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥して、真空で濃縮した。乾燥残渣をMeOHに溶解し、1N HCl/Et2Oで処理して、真空で濃縮した。生じた固体をEt2Oで洗浄して、真空で乾燥することにより、実施例5 15mgを塩酸塩として得た。
【0207】
実施例6
本実施例は、本発明の化合物を評価するのに有用な、p38(MAP)キナーゼのインビトロアッセイを説明する。
【0208】
本発明の化合物のインビトロのp−38MAPキナーゼ阻害活性は、Ahnら, J. Biol. Chem., 266: 4220-4227 (1991)に報告された方法を少々修飾して利用して、p−38キナーゼによる、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)へのγ−33P−ATP由来のγ−リン酸の転移を測定することにより求めた。
【0209】
組換えp38MAPキナーゼのリン酸化型は、大腸菌(E. coli)でSEK−1及びMEKKと同時発現させ(Khokhlatchevら, J. Biol. Chem. 272: 11057-11062 (1997)を参照のこと)、次にニッケルカラムを用いる親和性クロマトグラフィーにより精製した。
【0210】
リン酸化p38MAPキナーゼは、キナーゼ緩衝液(20mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、pH7.2、25mM β−グリセロールリン酸、5mMエチレングリコール−ビス(ベータ−アミノエチルエーテル)−N,N,N′,N′−四酢酸、1mMオルト−バナジン酸ナトリウム、1mMジチオトレイトール、40mM塩化マグネシウム)に希釈した。DMSOに溶解した試験化合物又はDMSO単独(対照)を加えて、この試料を30℃で10分間インキュベートした。キナーゼ反応は、MBPとγ−33P−ATPを含む基質カクテルの添加により開始した。30℃で更に20分間インキュベート後、0.75%リン酸を加えることにより反応を停止させた。次にリン酸化MBPを、ホスホセルロース膜(ミリポア(Millipore)、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を用いて残留γ−33P−ATPから分離して、シンチレーションカウンター(パッカード(Packard)、メリデン、コネチカット州)を用いて定量した。
【0211】
IC50値は、450nm吸光度の最大半減に対応する試験化合物の濃度として定義した。
【0212】
【表1】

【0213】
実施例7
本実施例は、THP1細胞においてLPS誘導TNF−α産生の阻害を評価するためのインビトロアッセイを説明する。
【0214】
TNF−α放出を阻害する本発明の化合物の能力は、Blifeldら, Transplantation, 51: 498-503 (1991)に報告された方法を少々修飾して利用することで求めた。
【0215】
(a)TNF生合成の誘導:
THP−1細胞を培地[15%ウシ胎仔血清、0.02mM 2−メルカプトエタノールを含むRPMI(ギブコBRL(Gibco-BRL)、ゲーサーズバーグ、メリーランド州)]に2.5×106細胞/mLの濃度で懸濁し、次に96ウェルプレートに蒔いた(各ウェルに0.2mLアリコート)。試験化合物は、DMSOに溶解し、次に最終DMSO濃度が5%になるように培地で希釈した。25μLアリコートの試験溶液又はDMSOを含む培地単独(対照)を各ウェルに加えた。細胞は、37℃で30分間インキュベートした。LPS(シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州)を最終濃度0.5μg/mlでウェルに加え、細胞を更に2時間インキュベートした。インキュベート時間終了時に、培養上清を回収して、存在するTNF−αの量を、後述のとおりELISAアッセイを用いて求めた。
【0216】
(b)ELISAアッセイ:
存在するヒトTNF−αの量は、Reimund, J.M.ら, GUT. Vol.39(5), 684-689 (1996)に報告された2種の抗TNF−α抗体(2TNF−H12及び2TNF−H34)を用いる、特異的捕捉ELISAアッセイにより求めた。
【0217】
ポリスチレンの96ウェルプレートを、PBS中の抗体2TNF−H12(10μg/mL)50μl/ウェルでコーティングして、加湿チャンバー中で4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで洗浄し、次にPBS中の5%脱脂粉乳で室温で1時間ブロックして、PBS中の0.1% BSA(ウシ血清アルブミン)で洗浄した。
【0218】
TNF標準液は、ヒト組換えTNF−α(R&Dシステムズ、ミネアポリス、ミネソタ州)のストック溶液から調製した。このアッセイにおける標準液の濃度は、10ng/mLから開始して、続けて6個の半対数連続希釈液とした。
【0219】
25μLアリコートの上記培養上清又はTNF標準液又は培地単独(対照)を、25μLアリコートのビオチン化モノクローナル抗体2TNF−H34(0.1% BSAを含むPBS中2μg/mL)と混合して、次に各ウェルに加えた。試料は、穏やかに振盪しながら室温で2時間インキュベートし、次にPBS中の0.1% BSAで3回洗浄した。0.416μg/mLのペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン及びPBS中の0.1% BSAを含む、ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン(ザイメド(Zymed)、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州)溶液50μlを各ウェルに加えた。試料を室温で更に1時間インキュベートし、次にPBS中の0.1% BSAで4回洗浄した。50μLのO−フェニレンジアミン溶液(0.2Mクエン酸緩衝液(pH4.5)中の1μg/mL O−フェニレン−ジアミン及び0.03%過酸化水素)を各ウェルに加え、試料を室温で30分間暗所でインキュベートした。試料と標準の光学密度を、それぞれ450nmと650nmで読みとった。TNF−αレベルは、使用した濃度に対する450nmの光学密度に関するグラフから求めた。
【0220】
IC50値は、450nm吸光度の最大半減に対応する試験化合物の濃度として定義した。
【0221】
実施例8
本実施例は、マウス(又はラット)におけるLPS誘導TNF−α産生の阻害を評価するためのインビボアッセイを説明する。
【0222】
インビボでTNF−α放出を阻害する本発明の化合物の能力は、Zanettiら, J. Immunol., 148: 1890 (1992)及びSekutら, J. Lab. Clin. Med., 124: 813 (1994)に報告された方法を少々修飾して利用することで求めた。
【0223】
体重18〜21グラムのメスのBALB/cマウス(チャールズ・リバー(Charles River)、ホリスター、カリフォルニア州)を1週間順化させた。それぞれマウス8匹を含む群に、試験化合物(0.9%塩化ナトリウム、0.5%カルボキシメチル−セルロースナトリウム、0.4%ポリソルベート80、0.9%ベンジルアルコールを含む水性ビヒクル(CMCビヒクル)に懸濁又は溶解したもの)、あるいはビヒクル単独(対照群)のいずれかを経口投与した。30分後、マウスに、LPS(シグマ、セントルイス、ミズーリ州)20μgを腹腔内注射した。1.5時間後、マウスをCO2吸入により殺処分して、心臓穿刺により血液を採取した。血液は、15,600×gで5分間の遠心分離により清澄化して、血清を清浄なチューブに移して、−20℃で凍結しておき、製造業者のプロトコールにしたがうELISAアッセイ(バイオソース・インターナショナル(Biosource International)、カマリロ、カリフォルニア州)により、TNF−αに関して分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
Zは、N又はCHであり;
1は、O、NR4(ここで、R4は、水素又はアルキルである)、S又はC=Oであり;
1は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又は−CH2−アルケニルであり;
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シアノアルキル、アルキレン−C(O)−R21(ここで、R21は、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである)、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル、又はNR22−Y−R23(ここで、Yは、−C(O)、−C(O)O−、−C(O)NR24、S(O)2又はS(O)2NR25であり;R22、R24及びR25は、独立に水素又はアルキルであり;そしてR23は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル又は場合により置換されているフェニルである)であり;そして
3は、アルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、シアノアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、又は−ヘテロシクロアミノ−SO2−R12(ここで、R12は、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルである)である]で示される化合物、又はその薬剤学的に許容しうる塩、水和物若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
1が、−CH2−アルケニルの代わりにアルケニレンであり、そしてR3も、加えるにHである場合を除く、請求項1記載の式(I)の化合物、又はその薬剤学的に許容しうる塩、水和物若しくはプロドラッグ。
【請求項3】
Zが、Nであり、X1が、Oであり、R1が、アルキルであり、R2が、H又はアルキルであり、そしてR3が、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
ヘテロアルキルが、アルコキシアルキルであり、そしてヘテロシクリルが、1個の環原子がCでなくO又はNのいずれかである、6個の環原子の飽和の非芳香環基(場合によりNでアルキル−SO2−又はアルコキシカルボニル−により置換されている)である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
1が、−O−である、請求項1又は2のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
1が、アルキル又はシクロアルキルである、請求項1、2又は5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
3が、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルである、請求項1、2、5又は6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
3が、シクロアルキル、ヘテロアルキル置換シクロアルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである、請求項1、2、5又は6〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
3が、場合により置換されているヘテロシクリルである、請求項1、2、5又は6〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
3が、ヒドロキシアルキル又はアルコキシアルキルである、請求項1、2、5又は6〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
2が、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル又はヘテロアルキルである、請求項1、2、5又は6〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
2が、アルキル又はヒドロキシアルキルである、請求項1、2、5又は6〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
式(I″):
【化2】


[式中、
1は、アルキルであり;
2は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル及びヘテロアルキルから選択され;そして
3は、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルである]で示される、請求項1又は2記載の化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項14】
3が、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルから選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
1が、エチルであり;
2が、メチルであり;そして
3が、(1−ヒドロキシ−2−メチル)−プロパ−2−イル、1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(R)−2−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル、(S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタン−1−イル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル、3−メトキシ−1−(2−メトキシ−エチル)プロピル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル、1−(カルボキシエチル)ピペリジン−4−イル、1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、及びモルホリニルから選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
下記式:
【化3】


[式中、
Xは、−O−、−C(=O)−、−N(R12a)−、又は−CH(R12b)−であり;
12aは、水素、C1-4アルキル、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;
12bは、水素、C1-4アルキル、−OR15、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;
14は、C1-4アルキル、オキソ(=O)、−OR15、−C(=O)R15、−C(O)215、及び−S(O)2(C1-4アルキル)から選択され;そして
15は、存在ごとに他のR15からは互いに独立に、水素及びC1-4アルキルから選択され;
qは、0又は1であり;そして
rは、0、1又は2である]で示される、請求項13記載の化合物。
【請求項17】
Xが、−N(R12a)−であり、そしてR12aが、−S(O)2(C1-4アルキル)である、請求項16記載の化合物、又はその異性体、プロドラッグ、若しくは薬剤学的に許容しうる塩。
【請求項18】
治療活性物質としての、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造方法であって、一般式(Ie):
【化4】


[式中、R1、X1、R2及びR3は、請求項1と同義であり、そしてRは、アルキルである]で示される化合物又はその対応するスルホキシドをR3−NH2で処理すること、及び生じた生成物を場合によりR2−L(ここで、R2は、アルキルであり、そしてLは、脱離基である)と反応させることを特徴とする方法。
【請求項20】
薬剤学的に許容しうる賦形剤と請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物とを含む、薬剤組成物。
【請求項21】
p38介在疾患の処置用医薬の製造のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項22】
該p38介在疾患が、慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、クローン病、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、乾癬、成人呼吸窮迫症候群、喘息、又は慢性閉塞性肺疾患である、請求項21記載の使用。
【請求項23】
該p38介在疾患が、アルツハイマー病である、請求項21記載の使用。

【公表番号】特表2006−507236(P2006−507236A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526812(P2004−526812)
【出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008357
【国際公開番号】WO2004/014907
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】