説明

p38キナーゼ阻害剤組成物及びその使用方法

HIVに感染したと同定された人を治療する方法が開示される。HIVに暴露された疑いのある人を治療する方法が開示される。開示されたいくつかの方法は、FasL発現を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を人に投与する工程を含む。開示されたいくつかの方法は、HIV複製を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を人に投与する工程を含む。開示されたいくつかの方法は、T細胞活性化を阻害することなしに、HIV複製を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を人に投与する工程を含む。開示されたいくつかの方法は、p38阻害剤と組み合わせて一つ又はそれより多い抗−HIV化合物を人に投与する工程を含む。FasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害する化合物を同定する方法が開示される。p38経路を阻害する化合物を同定する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗HIV組成物としてp38キナーゼ阻害剤を含む組成物及びHIV感染を治療及び予防するためのそのような組成物の使用に関する。
【0002】
発明の背景
ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)は、AIDSに必須の感染因子であり、現在、世界の主要な健康の問題の一つである。合衆国のみにおいて、毎年40,000を超える新たなHIV感染がある。世界的には、確立された市場経済を有する国で現在120万を超える感染を有するが、開発途上国においては、450万に近い感染が見積もられ、2000万人を超える人がすでにAIDSで死んでいる。HIVに関してワクチンを開発するための最近の努力は、顕著な欲求不満に遭遇してきた。広範囲に中和する抗体の応答を誘導できる免疫原(immunogen)はまだない。多大なエネルギーがHIVの非ヒト霊長類モデルにおいて防御を誘導する細胞性の方法(cellular methods)の開発に注がれてきた。しかしながら、非ヒト霊長類研究におけるウイルスの逃亡(escape)及び予測されないハプロタイプに基づく防御性応答の問題が、ワクチンのデザインに対するチャレンジを提供する。少なくとも数年間はワクチンが市販されないであろうから、この制御不可能な感染のためのさらに新規な治療剤に関する多大な要求が存在するようである。
【0003】
従って、HIV感染を治療するための新規な戦略の開発は、高い優先事項である。現在54を超えるドラッグがHIV及びAIDS関連の病気(ailments)を治療することに関してFDAの認可を有する。しかしながら、歴史的には、HIV遺伝子を標的とする経口により送達可能な化合物の大部分が、ウイルスのpol遺伝子複合体内の2つの酵素を標的とする。融合阻害剤の開発における最近の進歩は、なおその上にエンベロープ遺伝子産物を含むためにHIV標的物を広げてきた。これらの薬剤の何れかの長期の使用に関連した顕著な毒性が関心事である。さらなる関心事は、激しく(heavily)治療された人でさえ基本的なHIVウイルス感染をクリアーすること及びウイルスの複製を妨害することができないらしいことである。即ち、時がたてば(over time)大部分の治療された人がさらなる治療を必要とすると信じられている。理論上は、ウイルスにより利用される宿主の細胞経路を標的とする新たな治療法を開発することは、ウイルスのさらに重要且つ貴重な障害を負わせることができた。特定の利益は、そのような宿主の経路がHIVの現在標的とされていない病原性遺伝子産物を干渉したか否かである。
【0004】
ヒト免疫不全ウイルスタイプ1のゲノムは、2つの構造遺伝子セグメント(gag及びenv)とレトロウイルスファミリーの蛋白質分解メンバーに類似の酵素遺伝子複合体polを含む。HIV−1は、ウイルスのライフサイクルにおいて種々の役割を有し且つウイルスの病原性において関係する多数の制御遺伝子及びアクセサリー遺伝子もコードする。この点に関して、制御不可能な(disregulated)アポトーシスは、ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)の感染の間に重度のCD4リンパ球減少症(lymphopenia)を導く主要な病理的事象であると考えられる。アポトーシスは、細胞がそれ自身の死において活性な当事者であるような正常な生理条件下で起こる細胞死の状態である。細胞が受けるアポトーシスは、特徴的な形態的及び生化学的特徴を示す。HIVに誘導されたアポトーシスは、Fas/FasLアポトーシス経路を含むのと含まない両方が報告された。CD95(APO−1/Fas)は様々な組織上で発現されるTNF受容体スーパーファミリーのメンバーであるが、TNFファミリーのタイプII膜貫通蛋白質である、そのリガンド(CD95L)の発現は、少数の細胞タイプ、例えば、T細胞、マクロファージ及び精巣の細胞に、より限定される。FasLは休止細胞には存在しないが、活性化されたT細胞はCD95/CD95L経路を用いてアポトーシスを経る。厳密には、どのHIV遺伝子が如何にしてFas/FasL経路を通してアポトーシスを活性化するかが調査の重要な話題である。ウイルス遺伝子産物、vpr,nef,tat及びenvの全てが、HIV感染の幾つかのモデルシステムにおいて、多様な程度(varying extent)にアポトーシスを推進すると報告されており、そしてこれらの遺伝子産物の4つ全てが傍観者の細胞致死において変化する程度に関係した(implicated)。env遺伝子産物はウイルスの侵入及び親和性(tropism)に重要であるが、tat,vpr及びnef遺伝子産物の全ては、ウイルスの複製に直接関係性を有するとも暗示された。tatは高いレベルのウイルスの転写に絶対的に必要であるが、NefはSIVモデルシステムにおいて高いウイルス負荷及びウイルスの病原性の誘導に決定的であることが示された。
【0005】
HIV感染を治療するためのさらなるドラッグ及び方法に関する要求が残されている。
【0006】
発明の概要
本発明は、HIVに感染したと同定された人を治療する方法に関する。当該方法は、FasL発現を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を上記の人に投与する工程を含む。
【0007】
本発明は、さらに、HIVに暴露された疑いの有る人を治療する方法に関する。当該方法は、FasL発現を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を上記の人に投与する工程を含む。
【0008】
本発明は、さらに、HIVに感染したと同定された人を治療する方法に関する。当該方法は、T細胞の活性化を阻害することなく、HIV複製を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を上記の人に投与する工程を含む。
【0009】
本発明は、さらに、HIVに暴露された疑いのある人を治療する方法に関する。当該方法は、T細胞の活性化を阻害することなく、HIV複製を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を上記の人に投与する工程を含む。
【0010】
本発明は、FasL発現をHIV感染細胞において阻害する方法を提供し、細胞内でFasL発現を阻害するのに十分な量のp38阻害剤をHIV感染細胞に送達する工程を含む。
【0011】
本発明は、HIV感染細胞内でHIVの複製を阻害する方法を提供し、HIVの複製を阻害するのに十分でT細胞活性化を阻害しない量のp38阻害剤をHIV感染細胞に送達する工程を含む。
【0012】
本発明は、さらに、FasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害する化合物を同定する方法に関する。当該方法は、細胞内でFasL発現をアップ制御するNef発現細胞を試験化合物に接触させる工程を含む試験アッセイを実施することを含む。FasL発現のレベルを測定し、そして試験化合物不在下でのレベルと比較する。
【0013】
本発明は、さらに、抗−HIV活性を有する化合物を同定する方法に関する。当該方法は、細胞内でFasL発現をアップ制御するNef発現細胞を試験化合物に接触させる工程を含む試験アッセイを実施することを含む。FasL発現のレベルを測定し、そして試験化合物不在下でのレベルと比較する。
【0014】
本発明は、さらに、p38経路を阻害する化合物を同定する方法に関する。当該方法は、細胞内でFasL発現をアップ制御するNef発現細胞を試験化合物に接触させる工程を含む試験アッセイを実施することを含む。FasL発現のレベルを測定し、そして試験化合物不在下でのレベルと比較する。
【0015】
本発明は、さらに、JNK経路を阻害する化合物を同定する方法に関する。当該方法は、細胞内でFasL発現をアップ制御するNef発現細胞を試験化合物に接触させる工程を含む試験アッセイを実施することを含む。FasL発現のレベルを測定し、そして試験化合物不在下でのレベルと比較する。
【0016】
好ましい態様の説明
定義
本明細書において使用される用語「HIV感染細胞においてFasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害するのに有効な量」及び「HIV感染細胞においてFasL発現を阻害するのに有効な量」は、FasLをほとんど発現しない人のHIV感染T細胞をもたらす人に投与されたp38阻害剤の量を意味する。そのような量を決定するためには、p38阻害剤化合物による処理の前及び後の処理に続いて、HIV感染T細胞上に存在するFasLの量を計数できる。FasL発現は、患者から採取された血液サンプルを用いて、フローサイトメトリーを含む幾多の日常的方法論により定量することができる。FasL発現のダウン変調は、感染又はそれによる兆候の重度の軽減に寄与する。
【0017】
本明細書において使用される用語「HIVの複製を阻害するのに有効な量」は、低下したレベルのHIV複製をもたらす人に投与されたp38阻害剤の量であって、即ち、その人において検出可能なウイルスの量の低下をもたらし、即ち、ウイルス力価又はウイルス負荷の低下をもたらす。HIV複製を阻害するのに有効な量を決定するためには、その人のウイルス負荷を、p38阻害剤化合物による処理の前及び後の処理に続いて、決定することができる。HIV複製のレベルは、幾多の日常的な方法論により定量することができ、例えば:p38阻害剤の投与の前と後のサンプル中のウイルス粒子の実数を定量すること、p38阻害剤の投与の前と後のサンプル中に存在するHIV抗原、例えばp24のレベルを定量すること、及びp38阻害剤の投与の前と後のサンプル中の逆転写酵素又はHIVプロテアーゼの活性のレベルを定量することを含む。HIV複製の阻害は、感染又はそれによる兆候の重度の軽減に寄与する。
【0018】
本明細書において使用される用語「T細胞の活性化の阻害なし」は、T細胞が活性化される能力の低下の不在を意味する。従って、用語「T細胞の活性化の阻害なしにHIV複製を阻害するのに有効な量」は、p38阻害の量又はHIV複製を阻害するがT細胞活性化は阻害しない量を意味する。T細胞の活性化の阻害の不在を決定するためには、T細胞が患者において活性化されるようになる能力を、p38阻害剤の投与の前と後に決定する。標準及び日常的な方法を用いることにより、T細胞の活性化、例えば、SEBスーパー抗原と接触させたPBMCによるIL−2生産のレベルを決定してよい。T細胞活性化の阻害の不在は、免疫が損なわれた(immunocompromised)かもしれない患者に、彼らの免疫システムを阻害しない利点を提供し、そして即ち、HIV感染及びARC及びAIDSの患者が特に感受性であり得る日和見感染(opportunistic infections)のようなあらゆる他の感染因子に良好に抵抗させ得るようにする利点を提供する。
【0019】
注釈されるとおり、FasL発現のレベル、HIV複製のレベル及びT細胞活性化のレベルを、よく知られた技術を用いて日常的に決定することができる。幾つかの技術は、本明細書又はWadsworth SA,et al.1999 Pharmacol Exp Ther.291(2):680−687に開示されており、引用により本明細書に編入される。一般に、FasL発現又はHIV複製の阻害に関する閾値は、処理されたp38阻害剤が、未処理よりも少なくとも10%低く、好ましくは未処理よりも少なくとも25%低い。一般に、T細胞の阻害の不在に関する閾値は、処理されたp38阻害剤におけるT細胞活性化が、未処理におけるT細胞活性化のそれの10%以内、好ましくは、未処理におけるT細胞活性化のそれの20%以内である。
【0020】
p38 MAPキナーゼとしても知られるp38キナーゼ(本明細書においては2つの用語が交換可能に使用される)は、ストレスに対する応答において通常は活性化されるキナーゼである。
【0021】
本明細書において使用される用語「p38阻害剤」、「p38キナーゼ阻害剤」、及び「p38 MAPキナーゼ阻害剤」は、交換可能に使用されて、p38 MAPキナーゼ活性を阻害できる化合物を意味する。当該化合物は、小分子、大分子、ペプチド、オリゴヌクレオチド、等であり得る。化合物がp38キナーゼ阻害剤であるか否かの決定は、当業者の範囲内である。化合物がp38キナーゼ阻害剤であるか否かを如何にして決定するかの一例は、p38キナーゼ蛋白質を単離することである。当該蛋白質は、p38キナーゼが天然において発現される細胞か又はそれがオリゴヌクレオチドのトランスフェクションにより又はp38 MAPキナーゼ蛋白質の発現を指示するウイルスの感染により過剰発現される細胞から単離することができる。さらに、p38は組換え発現させることもできる。当該蛋白質を単離する際、当業者は、有力なp38キナーゼ阻害剤の存在又は不在下でキナーゼの活性を測定することができる。申し立てられた(alleged)阻害剤の存在下の方が、不在下よりもキナーゼ活性が低ければ、その阻害剤はp38キナーゼ阻害剤である。
【0022】
本明細書において使用される用語「HIVに暴露された疑いのある人(individual)」は、HIV陽性であると診断されなかったが、最近のハイリスクアクティビティー又は彼らをHIVと接触した状態にした可能性があるアクティビティーのため、HIVに暴露し得た可能性がある人を意味する。例えば、HIVに暴露された疑いのある人は、HIVを含むサンプル又はHIVに感染した人の何れかに接触した針に刺された人を意味する。サンプルの例は、限定ではないが、患者からの血液、血清、からだの分泌物等の実験室又は研究用の一つ又は複数のサンプルを含む。HIVに暴露された疑いのあるその他の人は、未知の質の血液により輸血を受けた人である。輸血された血液は試験されなかったかもしれないか、又は血液がHIVを含まないことを示す結果が信用できないか又は疑わしい。幾つかの態様において、HIVに感染した疑いのある人は、性交、未防御の性交にてHIVに感染した他人又は動物に噛まれた人、静脈内ドラッグの使用者等を含む。HIVに感染した疑いのある人の別の例は、限定ではないが、彼らが予防治療の必要があると信じる人である。幾つかの態様において、HIVに感染した疑いのある人は、臓器移植、組織移植、皮膚グラフト等を他人から受けた人である。臓器、組織、皮膚等が起源とする人はHIVの存在及び/又は不在に関して試験されなかったかもしれず、あるいは、試験結果の信頼性が疑問かもしれない。
【0023】
p38阻害剤の活性及びHIV感染による用途
HIV Nefは、アポトーシスを誘導することによる、感染したT細胞の長期間の生存に関して及び非感染T細胞の破壊を提供するために、宿主細胞のシグナルトランスダクション蛋白質に相互作用するウイルス蛋白質である。Nefは、Fasリガンド(FasL)の発現をアップ制御する。FasLを発現する感染T細胞が非感染T細胞に接触したとき、FasLは非感染細胞上でFasと相互作用して、それらがアポトーシスを受けるように誘導する。非感染T細胞内でのアポトーシスの誘導は、HIV感染をクリアーするのに利用可能なT細胞の特異的減少並びにHIV感染患者におけるT細胞の一般的減少をもたらし、AIDSを導き、AIDSに特徴的である。
【0024】
p38阻害剤はFasL発現を阻害可能であること、特にFasL発現がNef−媒介性アップ制御によると信じられることが、発見された。従って、p38阻害剤は、HIVに感染した人を治療する方法並びにHIVに暴露されたか又はHIVに暴露された疑いのある人を治療する方法において使用することができる。
【0025】
T細胞の活性化を阻害することなしにHIV感染細胞においてHIVの複製をp38阻害剤が阻害することも発見された。即ち、T細胞活性化を阻害しないp38阻害剤は、HIV複製を阻害するのに使用できる。従って、T細胞活性化を阻害しないp38阻害剤は、HIVに感染した人を治療する方法並びにHIVに暴露されたか又はHIVに暴露された疑いのある人を治療する方法において使用することができる。
【0026】
幾つかの態様において、HIVに感染した細胞においてFasL発現を阻害するための方法が提供される。当該方法は、FasLの発現を阻害するのに十分な量のp38を感染細胞に送達する工程を含む。幾つかの態様において、HIVに感染した細胞においてHIVの複製を阻害する方法が提供される。当該方法は、HIVの複製を阻害するのに十分な量のp38を感染細胞に送達する工程を含む。
【0027】
本発明は、さらに、抗−HIV活性に関して化合物をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を有する細胞内のFasL発現に対するそれらの効果を決定するために化合物を試験することを提供する。
【0028】
本発明は、さらに、p38経路の阻害活性に関して化合物をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を有する細胞内のFasL発現に対するそれらの効果を決定するために化合物を試験することを提供する。そのような化合物は、p38阻害活性に関してp38に対して後に直接試験されるかもしれない、候補のp38経路阻害剤である。
【0029】
JNK阻害剤活性及びHIV感染による用途
本発明は、さらに、JNK経路阻害活性に関して化合物をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を有する細胞内のFasL発現に対するそれらの効果を決定するために化合物を試験することを提供する。そのような化合物は、JNK阻害活性に関してp38に対して後に直接試験されるかもしれない、候補のJNK経路阻害剤である。そのような化合物は、HIVに暴露されたか又はHIVに暴露された疑いのある人を治療する方法において有用かもしれない。
【0030】
p38阻害剤
当業界には多数のp38阻害剤の例がある。米国特許番号5,965,583,6,040,320,6,147,096,6,214,830,6,469,174,6,521,655は、引用により本明細書に各々編入され、p38阻害剤である化合物を開示する。米国特許番号6,410,540,6,476,031,及び6,448,257も、引用により本明細書に各々編入され、p38阻害剤である化合物を開示する。同様に、米国特許番号6,410,540,6,479,507及び6,509,361は、引用により本明細書に各々編入され、p38阻害剤であると主張される化合物を開示する。米国公表出願番号20020198214及び20020132843は、引用により本明細書に各々編入され、p38阻害剤であると主張される化合物を開示する。
【0031】
幾つかの態様において、p38阻害剤は、米国特許番号6,521,655の実施例4に開示された化合物:4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシブチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジル)イミダゾール、(4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−1−(3−フェニル−プロピル)−5−ピリジン−4−イル−1H−イミダゾール−2−イル]−ブト−3−イン−1−オール及び4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−3−ブチン−1−オールとも呼ばれる)であり、上記特許においてはCpd.4と命名され、本明細書においてはCpd4と呼ぶ。p38阻害剤の別の例はSB203580であり、それは4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである。これらの化合物の構造を図8に示す。
【0032】
HIVに感染した人のp38阻害剤による治療
発明の幾つかの態様は、HIVに感染したと同定された人を治療するためのp38阻害剤の使用を含む。
【0033】
本発明の態様は、HIVに感染したと診断された人を治療するのに特に有用である。幾つかの態様において、HIVに感染した人を治療する方法は、HIVに感染したと同定された人に、HIVに感染したT細胞中でFasLの発現を阻害するのに有効な量のp38阻害剤を投与する工程を含む。FasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害することにより、p38阻害剤は相するに違いない。FasL発現を阻害することにより、HIV感染T細胞はFasLをほとんど有さなく、そしてそれにより、僅かな非感染T細胞においてしかアポトーシスを誘導しない。非感染T細胞におけるアポトーシスのこの誘導は、HIV感染細胞の認識、攻撃及び排除に関与するT細胞を含むT細胞のより高い係数をもたらす。幾つかの態様において、p38阻害剤は、1mMより低い濃度において、インビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.1mMより低い濃度において、インビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.05mMより低い濃度において、インビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.01mMより低い濃度において、インビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、HIV複製を阻害するのに有効な量にて送達される。幾つかの態様において、p38阻害剤は、1mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによればHIV複製を50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.1mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによればHIV複製を50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.05mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによればHIV複製を50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.01mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによればHIV複製を50%阻害するのに有効である。幾つかの態様において、p38阻害剤は、T細胞の活性化を阻害しない量にて送達される。幾つかの態様において、p38阻害剤は、1mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによれば50%のT細胞においてT細胞の活性化を10%を超えて阻害しない。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.1mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによれば50%のT細胞においてT細胞の活性化を10%を超えて阻害しない。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.05mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによれば50%のT細胞においてT細胞の活性化を10%を超えて阻害しない。幾つかの態様において、p38阻害剤は、0.01mMより低い濃度において、インビトロアッセイにおいて計算されたところによれば50%のT細胞においてT細胞の活性化を10%を超えて阻害しない。
【0034】
いくつかの態様によれば、本発明は、HIVに感染した人を治療する方法を提供し、FasL発現を阻害するのに有効なp38キナーゼ阻害剤を含む薬学組成物の量を投与する工程を含む。幾つかの態様において、投与されるp38キナーゼ阻害剤の量は、T細胞の活性化を阻害することなくHIVの複製を阻害するのに有効である。幾つかの態様において、本発明は、HIVに感染されたと同定された人を治療する方法を提供し、FasL発現及びHIV複製を阻害するのに有効な量にてp38キナーゼ阻害剤を投与する工程を含む。幾つかの態様において、本発明は、HIVに感染されたと同定された人を治療する方法を提供し、T細胞活性化を阻害することなしに、FasL発現及びHIV複製を阻害するのに有効な量にてp38キナーゼ阻害剤を投与する工程を含む。
【0035】
HIVを有する患者の有効な治療は、感染の重度又はそこからの兆候における低下を導く。T細胞数の安定化又は増加は、数人の患者のための治療の有効性を測定するのに使用してよい一つの基準である。使用してよい別の基準は、ウイルス力価の安定化又は低下又は排除である。HIVに暴露されたか又は彼らがHIVに暴露された疑いのある以前は未感染であった人の有効な治療は、感染のあらゆる指標の不在、例えば、ウイルス抗原の不在又は検出可能なウイルスの不在のはずである。
【0036】
幾つかの態様において、HIVに感染した人を治療する方法は、HIVに感染していると同定された人に、HIVの治療に使用してよい一つ又はそれより多い追加の治療剤をp38阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む。HIVを治療するのに使用することができる「追加の治療剤」の例は、限定ではないが、融合阻害剤(即ち、エンフビルチド(enfuvirtide))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs,即ち、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIs,即ち、アバカビル、アバカビル、ラミブジン、及びジドブジンの組み合わせ、ジダノシン、ラミブジン、ラミブジンとジドブジンの組み合わせ、スタブジン、テノフォビルDF、ザルシタビン、ジドブジン)、プロテアーゼ阻害剤(即ち、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビルとニトナビルの組み合わせ、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、インビラーゼ)、等々を含む。本明細書に記載されていない他の追加の治療剤も、p38キナーゼ阻害剤と同時投与することができる。治療剤の同時投与は、順々又は同時のいずれかにて、連続して起こり得る。或いは、p38阻害剤を含む一つ又はそれより多い治療剤を組み合わせてか又は共同して(conjunction)投与する他のあらゆる養生法である。
【0037】
HIVに感染した人の同定
本発明は、HIVに感染したと人を同定するための如何なる手段にも限定されない。HIVに感染した人を同定するための多数のよく知られた方法が存在する。ひとたび同定されたら、p38阻害剤は、HIVに完成したT細胞中のFasLの発現及び/又はHIV複製を阻害するのに有効な量にてHIVに感染した人に投与される。幾つかの態様において、当該方法は、だが一方に(while in other)、以前に診断されたかもしれず、且つHIV感染を有すると同定された人として知られる人を同定する工程を含む。
【0038】
HIVに暴露された人のp38阻害剤による治療
本発明は、HIVに暴露された疑いのある人を治療する方法も提供する。HIV陽性であると診断されなかった多くの人は、HIVに暴露された可能性があり得たが、HIVに暴露されたか又はHIVに感染したか否かが不明確である可能性がある状況に置かれた。HIVに暴露された疑いのある人を治療するためには、その人に上記のとおりにHIV感染者の治療においてp38阻害剤を投与する。HIVに暴露された疑いのある人の治療は、上記のとおりに追加の治療剤の投与を含んでよい。予後治療のコースは、HIV感染の指標のために定期的に監視することと共同して実施してよい。
【0039】
薬学組成物及び投与の経路
薬学組成物は、当業者により、投与の選択された様式に依存して選択された組成物により製剤化してよい。適切な薬学上の担体は、この分野の標準の参照テキストであるレミントンのファマシューティカルサイエンセズ、A.Osolのもっとも最近の版に記載されている。
【0040】
薬学組成物を投与することは、当業者に知られている様々な方法の何れかを用いて行うか又は実施することができる。全身性(systemic)製剤は、注射による投与のためにデザインされたものを含み、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内(intrasthecal)又は腹腔内の注射、並びに、経皮、経粘、経口又は肺動脈投与のためにデザインされたものを含む。
【0041】
注射のためには、発明の化合物を、水性溶液、好ましくは、生理学上適合可能なバッファー、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理学上の塩溶液中で製剤化してよい。当該溶液は、製剤化剤、例えば、懸濁液、安定化剤及び/又は分散剤を含んでよい。注射可能物(injectables)は、滅菌されており、発熱物質フリーである。当該化合物は、適切な媒質、例えば発熱物質フリーの滅菌水により使用前に戻す(constitution)ための粉末形態であってよい。経粘膜投与のためには、バリヤーに浸透するのに適した浸透剤(penetrants)を製剤に用いる。そのような浸透剤は、一般に当業界において知られている。
【0042】
非経口投与のためには、p38阻害剤を、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョンとして製剤化するか、又は薬学上受容可能な経静脈媒質と共に凍結乾燥粉末にすることができる。そのような媒質の例は、水、栄養溶液、リンゲル溶液、デキストロース溶液、5%ヒト血清アルブミン、リンゲルデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸化されたリンゲルと固定されたオイル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油又はゴマ(sesame)油である。リポソーム非水性媒質、例えば、固定されたオイルを使用してもよい。媒質又は凍結乾燥された粉末は、等張性を維持する付加物(例えば、塩化ナトリウム、マニトール)及び化学安定性を維持する付加物(例えば、バッファー及び保存剤)を含んでよい。製剤は、普通に使用される技術により安定化される。非経口投薬量形態は、水又は別の滅菌担体を用いて調製してよい。例えば、注射による投与に適した非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を0.9%の塩化ナトリウム溶液に溶解することにより調製する。或いは、溶液を凍結乾燥し、次に、投与直前に適切な溶剤により戻す(reconstituted)ことができる。
【0043】
薬学上受容可能な担体は、当業者に知られており、限定ではないが、0.01−0.1M、そして好ましくは0.05Mのリン酸バッファー又は0.8%の塩溶液を含む。静脈内担体は、流体及び栄養性補給物(replenishers)、電解質補給物、例えば、リンゲルデキストロース等に基づくものを含む。さらに、そのような薬学上受容可能な担体は、水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンであり得る。非水性溶剤の例は、プロピレングリコールポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブ油、及び注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルである。水性の担体は、水、エタノール、アルコール性/水性溶液、グリセロール、エマルジョン又は懸濁液を含み、塩溶液及び緩衝化された培地を含む。
【0044】
薬学組成物は、慣用の薬学賦形剤及び化合物化(compounding)技術を用いて調製することができる。経口投薬形態は、治療される患者による経口摂取(ingestion)のための、エリキシル、シロップ、タブレット、ピル、糖衣錠、カプセル、流体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等であってよい。典型的な固形担体は、不活性物質、例えば、ラクトース、スターチ、グルコース、セルロース調製物、例えば、トウモロコシスターチ、コムギスターチ、コメスターチ、ポテトスターチ、ゼラチン、トラガカンゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピレンメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP);顆粒化剤(granulating agents);結合剤、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マニトール等であってよい。カプセルの形態の組成物は日常的な封入手法を用いて調製することができる。例えば、活性成分を含む沈殿物は、標準の担体を用いて調製して、次に、堅いゼラチンカプセルに満たすことができ;或いは、分散液又は懸濁液は、あらゆる適切な薬学上の担体、例えば、水性ゴム、セルロース、シリケート又はオイルを用いて調製することができ、そして次に分散液又は懸濁液を柔らかいゼラチンカプセルに満たす。典型的な流体経口賦形剤は、エタノール、グリセロールグリセリン、非水性溶剤、例えば、懸濁液、保存剤、芳香剤、発色剤等を伴うポリエチレングリコール、オイル、又は水を含む。全ての賦形剤は、必要により、崩壊剤、希釈剤、潤滑剤等と、投薬形態を調製する当業者に知られている慣用の技術を用いて、混合してよい。所望ならば、崩壊剤、例えば、架橋結合されたポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを加えてよい。所望ならば、固形投薬形態は、標準の技術を用いて、糖コートされるか又は腸溶コートされてよい。経口流体調製物、例えば、懸濁、エリキシル及び溶液のためには、適切な担体、賦形剤又は希釈剤は、水、グリコール、オイル、アルコール等を含む。さらに、芳香剤、保存剤、発色剤等を加えてよい。
【0045】
口内(buccal)投与のためには、上記化合物は、慣用の様式において製剤化された、タブレット、薬用ドロップ(lozenges)、等の形態であってよい。上記化合物は、直腸内又は膣内組成物、例えば、座薬又は浣腸剤にて製剤化してもよい。典型的な座薬製剤は、結合剤及び/又は潤滑剤、例えば、ポリマー性グリコール、グリセリド、ゼラチン又はココアバター又は他の低融点の植物性又は合成のワックス又は脂肪を含む。吸入(inhalation)による投与のためには、発明による用途のための化合物は、加圧されたパック又は噴霧機からのエアロゾルスプレーの形態にて、適切な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素又は他の適切なガスの使用と共に、便利に送達される。加圧されたエアロゾルの場合、測量された量を送達するためのバルブを用意することにより、投薬ユニットを決定してよい。吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)における使用のための例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジを製剤化してよく、上記化合物と適切な粉末基剤、例えば、ラクトース又はスターチの粉末混合物を含む。
【0046】
製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)によるか又は筋肉内注射により投与することができる貯蔵物(depot)調製物であってもよい。そのような態様においては、上記組成物を、適切なポリマー性又は疎水性材料(例えば、受容可能なオイル中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂によるか、又は節約性の(sparingly)溶解性の誘導体、例えば、節約性の溶解性の塩として製剤化してよい。
【0047】
或いは、他の薬剤送達系を用いてよい。リポソームとエマルジョンは、使用してよい送達媒質のよく知られた例である。特定の有機溶剤、例えば、ジメチルスルフォキシドも用いてよいが、通常は多大な毒性を犠牲にする。さらに、上記化合物は、徐放系、例えば、治療剤を含む固形ポリマーの半透性マトリックスを用いて送達してよい。様々な徐放性材料が確立されており、当業者にはよく知られている。それらの化学的性質に依存して、徐放カプセルは、数週から100日にわたり上記化合物を放出する。治療剤の化学的性質と生物学上の安定性に依存して、蛋白質の安定化のための付加的な戦略を用いてよい。
【0048】
発明において使用される化合物は、丸薬注射(bolus injection)又は連続注入による経静脈投与のために製剤化してもよく、ユニット投薬形態、例えば、アンプル、バイアル、少量注入又は予め充填されたシリンジにて、又は追加された保存剤を伴う複数投薬量コンテナ内に存在させてよい。
【0049】
保存剤及び他の付加物も存在させることができ、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガス等を含む。全ての担体は必要に応じて、分解剤(disintegrant)、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤等と共に、当業界で知られている慣用の技術を用いて混合することができる。
【0050】
投薬及び治療養生法
本発明によれば、HIVに感染していると同定された人を治療する方法は、そのような人に、HIVに感染した細胞内でのFasL発現を阻害するのに十分な量にp38阻害剤を送達させることにより、実施される。そうすることにより、感染した細胞は、それらが接触するほとんどの未感染細胞においてアポトーシスを誘導せず、それによりT細胞の数が増加するか、又は遅い速度で低下する。即ち、FasL発現を阻害する投薬量にてのp38阻害剤の投与を含まない治療に比較して、患者の生存が延長されるか、及び/又は生活の質が改善される。本発明は、HIV感染細胞においてFasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害する方法を提供し、p38阻害剤を、そのような細胞に、FasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害するのに有効な量にて送達する工程を含む。
【0051】
HIV複製
上に記載された薬学組成物は、人の体内の薬剤作用部位に活性薬剤を到達させることができるあらゆる手段により投与してよい。投与される投薬量は、薬力学特性;その投与の様式と経路;レシピエントの年齢、健康状態、及び体重;兆候の性質と程度;併用される治療の種類;及び治療の頻度のような因子に依存して変更される。
【0052】
投与される化合物の量は、治療される被験者、被験者の体重、苦痛の重度、投与の様式及び処方する医師の判定に依存することになる。幾つかの態様において、投薬量の範囲は、平均的(70kg)のヒトに関して、約1から3000mg、特に約10から1000mg又は約25から500mgの活性成分であり、幾つかの態様においては1日あたり1回から4回である。一般に、発明において使用される個々の化合物の活性は変更される。
【0053】
投薬の量及び間隔は、治療効果を維持するのに十分な、化合物の血漿レベルを提供するように個別に調節してよい。通常、活性成分の投薬量は、体重のキログラムあたり約1マイクログラムから100ミリグラムであり得る。幾つかの態様において、投薬量は、体重のキログラムあたり、0.05mgから約200mgである。別の態様において、有効な投薬量は、約0.5mgから約50mgを送達するのに十分な投薬量である。通常、1日あたりキログラムあたり、1日に1から6回の分割された投薬にて又は徐放形態にて、0.01から50ミリグラム、幾つかの態様においては0.1から20ミリグラムが、所望の結果を得るのに有効である。幾つかの態様において、注射による投与のための患者投薬量は、約0.1から5mg/kg/日、好ましくは、約0.5から1mg/kg/日である。治療上有効な血清レベルは、各日に副数投薬量を投与することにより達成される。延長された期間の治療が、有効な治療のために必要であると認識される。
【0054】
幾つかの態様において、経路は経口投与によるか又は静脈内注入によってよい。経口投薬量は、通常、1日あたり約0.05から100mg/kgの範囲である。発明において使用される幾つかの化合物は、1日あたり、約0.05から50mg/kgの範囲であるが、その他は1日あたり、約0.05から約20mg/kgの範囲である。注入投薬量は、約1.0から1.0.times.10マイクログラム/kg/分の阻害剤の範囲であり得て、数分から数日の範囲の期間にわたり薬学上の担体と混合される。
【0055】
ドラッグ送達方法
本発明は、さらに、抗−HIV活性のための化合物をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は、FasL発現をNef媒介性アップ制御されて有する細胞内のFasL発現に対するそれらの効果を決定するための試験化合物を提供する。FasL発現は、化合物を同定するためのマーカーとして使用することができる。幾つかの態様によれば、そのような化合物を同定する方法は、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にてNefを発現する細胞を試験化合物に接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む試験アッセイを実施することを含む。試験アッセイにおけるFasL発現のレベルを、試験化合物の不在下で起こるFasL発現のレベルと比較する。幾つかの態様においては、上記方法は、さらに、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にてNefを発現する細胞を、FasL発現を変調する物質を何ら含まないサンプルに接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む陰性対照アッセイを含む。陰性アッセイデータは、試験アッセイデータとの比較においての参照点として使用してよい。幾つかの態様において、上記方法は、さらに、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にてNefを発現する細胞を、Nef媒介性FasL発現を阻害することが知られている化合物に接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む陽性対照アッセイを含む。陽性アッセイデータは、試験アッセイデータとの比較においての参照点として使用してよい。上記方法は、HIVに感染した細胞又はNefを発現するように操作された細胞を用いて実施することができる。そのようなアッセイにおいて有用な細胞は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を経る(undergo)。FasL発現を測定するための方法のために使用され得るアッセイは、当業者によく知られており、日常的な実験しか必要としない。当業者によく知られているアッセイの例は、ELISA、サンドイッチアッセイ、フローサイトメトリー、免疫沈殿、PCR等を含む。
【0056】
幾つかの態様において、そのようなアッセイを実施するためのキットを提供してよい。キットは、a)1)適切な細胞中でのトランスフェクションのためにNefをコードする発現ベクター及び任意に、使用することができる細胞を含むコンテナ又は2)Nefを発現する形質転換された細胞又は3)1)及び2)の両方;及びb)アッセイを実施するための指示書を含む。当該キットは、さらに、FasL発現の検出において有用な試薬を含んでよい。当該キットは、さらに、陽性及び陰性データの写真、例及び/又は描写を含んでよい。
【0057】
発明の特定の側面によれば、p38キナーゼ及び/又はJNKシグナリング経路のNef−媒介性活性化を阻害する化合物を同定する方法が提供される。p38経路の活性化のレベルを測定する方法は、限定ではないが、p38又はJNKの下流の分子の、p38又はJNKのリン酸化のレベルを測定することを含み、限定ではないが、p38又はJNKの上流の分子の、有糸分裂促進物質(mitogen)活性化された蛋白質キナーゼ活性化蛋白質キナーゼ−2(MAPKAPK−2,MK2)、熱ショック蛋白質70(HSP−70)、ATF−2,又はc−jun、例えばMKK3,MKK4,MKK6又はその他を含む。
【0058】
本発明は、p38及びp38経路の阻害に関する化合物をスクリーニングする方法をさらに提供する。当該方法は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を有する細胞内でのFasLに対するそれらの効果を測定するための試験化合物を提供する。FasL発現は、化合物を同定するためのマーカーとして使用することができる。幾つかの態様によれば、そのような化合物を同定する方法は、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にて、Nefを発現する細胞を、試験化合物と接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む試験アッセイを実施することを含む。試験アッセイにおけるFasL発現のレベルを、試験化合物の不在下で起こるFasL発現のレベルと比較する。幾つかの態様において、当該方法は、さらに、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にて、Nefを発現する細胞を、FasL発現を変調させる如何なる物質をも含まないサンプルと接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む陰性対照アッセイを含む。陰性対照データを、試験アッセイデータとの比較における参照点として使用してよい。幾つかの態様において、上記方法は、さらに、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にて、Nefを発現する細胞を、p38阻害剤と接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む陽性対照アッセイを含む。陽性対照データを、試験アッセイデータとの比較における参照点として使用してよい。当該方法は、HIVに感染した細胞又はNefを発現するように操作された細胞を用いて実施することができる。そのようなアッセイにおいて有用な細胞は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を経る。FasL発現を測定するための方法のために使用できるアッセイは、当業者によく知られており、そして日常的な実験しか必要としない。当業者によく知られているアッセイの例は、ELISA、サンドイッチアッセイ、フローサイトメトリー、免疫沈殿、PCR等を含む。方法は、さらに、p38上での化合物の活性をさらに試験する工程を含む。
【0059】
幾つかの態様において、そのようなアッセイを実施するためのキットを提供してよい。キットは、a)1)適切な細胞中でのトランスフェクションのためにNefをコードする発現ベクター及び任意に、使用することができる細胞を含むコンテナ又は2)Nefを発現する形質転換された細胞又は3)1)及び2)の両方;及びb)アッセイを実施するための指示書を含む。当該キットは、さらに、FasL発現の検出において有用な試薬を含んでよい。キットは、任意に、p38を含むコンテナを含んでよい。当該キットは、さらに、陽性及び陰性データの写真、例及び/又は描写を含んでよい。さらに、キットは、p38活性に対するそれらの効果に関して試験化合物をさらに試験するための成分を含んでよい。
【0060】
本発明は、さらに、JNK及びJNK経路の阻害に関して化合物をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を有する細胞における、FasL発現に対するそれらの効果を測定するための試験化合物を提供する。FasL発現は、化合物を同定するためのマーカーとして使用することができる。幾つかの態様によれば、そのような化合物を同定する方法は、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にて、Nefを発現する細胞を、試験化合物と接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む試験アッセイを実施することを含む。試験アッセイにおけるFasL発現のレベルを、試験化合物の不在下で起こるFasL発現のレベルと比較する。幾つかの態様において、当該方法は、さらに、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にて、Nefを発現する細胞を、FasL発現を変調させる如何なる物質をも含まないサンプルと接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む陰性対照アッセイを含む。陰性対照データを、試験アッセイデータとの比較における参照点として使用してよい。幾つかの態様において、上記方法は、さらに、FasLの発現をアップ制御するのに十分な量にて、Nefを発現する細胞を、JNK阻害剤と接触させ、そしてFasL発現のレベルを測定する工程を含む陽性対照アッセイを含む。陽性対照データを、試験アッセイデータとの比較における参照点として使用してよい。当該方法は、HIVに感染した細胞又はNefを発現するように操作された細胞を用いて実施することができる。そのようなアッセイにおいて有用な細胞は、FasL発現のNef媒介性アップ制御を経る。FasL発現を測定するための方法のために使用できるアッセイは、当業者によく知られており、そして日常的な実験しか必要としない。当業者によく知られているアッセイの例は、ELISA、サンドイッチアッセイ、フローサイトメトリー、免疫沈殿、PCR等を含む。方法は、さらに、JNK上での化合物の活性をさらに試験する工程を含む。
【0061】
幾つかの態様において、そのようなアッセイを実施するためのキットを提供してよい。キットは、a)1)適切な細胞中でのトランスフェクションのためにNefをコードする発現ベクター及び任意に、使用することができる細胞を含むコンテナ又は2)Nefを発現する形質転換された細胞又は3)1)及び2)の両方;及びb)アッセイを実施するための指示書を含む。当該キットは、さらに、FasL発現の検出において有用な試薬を含んでよい。キットは、任意に、JNKを含むコンテナを含んでよい。当該キットは、さらに、陽性及び陰性データの写真、例及び/又は描写を含んでよい。さらに、キットは、JNK活性に対するそれらの効果に関して試験化合物をさらに試験するための成分を含んでよい。
【0062】
実施例
実施例1
新規なp38阻害剤がインビトロにおいてHIV−1の複製を徐々に衰えさせる(undermine)ことが観察された。複数の細胞表現型上での発散性(divergent)ウイルス単離物は、全て、p38封鎖(blockade)による阻害に対して感受性であった。発明は、HIVの病原性に対するp38封鎖の防御効果に関する。当該p38封鎖は、標的の細胞のHIV媒介性アポトーシスを、大いに阻害することができる。このアポトーシスの事象は、HIV感染によるFasLのアップ制御と調和した。分析が証明したことは、p38封鎖がFasLアップ制御を妨害できたことであった。HIVの個々の遺伝子産物の効果の分析は、Nefがこのアップ制御に関して独特に必須であったこと、及びCpd4がp38にリンクした転写因子活性化に依存していると観察されたNef推進性FasL活性化を妨害できたことであった。さらに、Cpd4は傍観者の細胞のNef推進性アポトーシスを妨害できた。HIV−1のNef推進性病原性、p38 MAPK経路と、宿主細胞アポトーシスの間には、リンクがある。HIV−1によるこの経路の利用(exploitation)を妨害することは、HIVドラッグの開発に関して、有望な重要性の容易に接近可能な新規なエリアを代表する。
【0063】
材料と方法
MAPK阻害剤(p38阻害剤)
p38阻害剤Cpd4又はSB203580は、以前に記載された。両化合物は、1μMの濃度においてp38 MAPキナーゼを阻害する。当該化合物をジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解し、そして希釈することにより、示されたとおりに、100μM又は1μMの最終濃度にした。対照として、等量のDMSOを実験対照細胞に加えた。
【0064】
細胞
ヒトCD4T細胞系ジュルカット、又は単球系U937は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ロックビル、MD)から得た。細胞は10% FBS,2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG,及び100μg/mlストレプトマイシンを追加したRPMI1640中で継代し、37℃及び5%COにて維持し、そしてそれらがマイコプラズマ陰性であったことを証明すると日常的に立証された。ヒトPBMCsは、健康なHIV血清陰性ドナーから、Ficoll−Hypaque分離(ファルマシアバイオテックAB、スエーデン)により単離した。健康な成人からの末梢血単核細胞(PBMCs)は、ヒト組換えインターロイキン−2(hrIL−2;R&Dシステム、MN)5U/mlの添加前に、2日間、5μg/mlのフィトヘマグルチニン(PHA,シグマ)と共に、インキュベートした。
【0065】
単球由来のマクロファージ(MDM)は、健康なドナーから得たPBMCsから調製し、そして37℃においてポリスチレンT−75フラスコ中で4−10日間、37℃にてインキュベートした。インキュベーションの後に、細胞をRPMI 1640により3回洗浄することにより、非接着細胞を除去した。接着細胞をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)により剥がし、そして相して単離された単球細胞集団の精製度が>98%であったことを、CD14に関するFACS染色により測定した。CD14陽性細胞を6ウエルプレート中で1x10細胞/mlにて、10%ヒト血清を付加したPRMI培地中でインキュベートした。
【0066】
NefによりパッケージされたHIV−1ビリオンの構築と生成
Nefを含む構築物を、示されたコドンにてオーバーラップ伸張PCRを用いて生成し、そしてpCDNA3.1ベクター(インビトロジェン、CA)中にクローン化した。HIV−1プロウイルス感染性ベクターpNL4−3をNIH AIDSリサーチ及びレファレンスリージェントプログラムを通して得た。このベクターは、Nef領域内で5’フレームシフト変異によるNef欠損にした(He,J.,Choe,et al,J.Virol.69,6705−6711(1995)、引用により本明細書に編入される)。
【0067】
感染性ウイルスストックを調製するため、HIV−1プロウイルスDNA(pNL4−3 Wt及びpNL4−3及びNefデルタ)を、Muthumani,K.,et al,Journal of Biol.Chem.277:37820−37831(2002)に記載されるとおりに生成させた。ウイルス力価を、連続希釈されたウイルス上清を用いて、ヒトT細胞系ジュルカットの感染により測定した。典型的には、ウイルス力価は5−10x10感染ユニット(ifu)/mlの範囲を有した。p24gag抗原は捕捉ELISA(コウルター、FL)により測定した。ウイルスストックは、感染によるウイルス含有量に関して標準化し、そして力価及びストックをそれらの使用前まで−80℃においてアリコートにて10%FBSの存在下で保存した。
【0068】
HIV−1ウイルス及び感染
これらの研究においてアッセイされたウイルスは、CCR5 & CxCR4受容体の両方を用いるpNL4−3(二重トロピック)ウイルス及びCCR5 & CxCR4受容体の両方を用いる89.6(二重トロピック)ウイルスを含んだ。さらに、クレード特異的ウイルスを研究し、そしてこれらは、NIH AIDSリサーチ及びレファレンスリージェントプログラムを通して得た。感染研究に関しては、ヒトPBMCsを正常の血清陰性ドナーから単離して、100TCID50/10細胞/mlの濃度にてHIV−1ウイルスと標的化細胞をインキュベートすることにより、感染を達成した。培養上清を、6,12及び24時間の間隔で回収し、そして培地に放出されたp24抗原を、ELISA(コウルター、FL)により、製造者の指示書に従い測定することにより、ウイルスの生産をアッセイした。幾つかのデータは平均±SEMとして表す。パーセント変化として表されたデータに関して、基底ライン(培地のみ)値を、説明文に記載されたとおりに、各実験条件の値から差し引いた。
【0069】
アポトーシス及びカスパーゼの研究
FACS分析を実施することにより、アポトーシスを経た細胞を同定した。各試験群からの等しい数の細胞を分析のために回収した。実験細胞中のアポトーシスを、PharMingen(CA)からのアネキシン−Vアッセイキットを用いて分析した。データは、CELL Questプログラム(ベクトンディッキンソン、CA)により分析した。カスパーゼ3活性は、カスパーゼ−3/CPP32発色プロテアーゼアッセイキットを用いて、製造者の指示書に従い(MBL,ナゴヤ、日本)、測定した。
【0070】
フローサイトメトリーによるCD95Lの分析
単細胞懸濁液を、0.2%ウシ血清アルブミン及び0.1% NaNを含むPBS(pH7.2)中で洗浄した。細胞をPE標識された□−CD95L抗体(NOK−1,0.05μg/ml,BD Pharmingen,CA,USA)抗体と共に60分間4℃においてインキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、そして2%パラホルムアルデヒドにより固定して、200μlのPBSに再度懸濁して、FACS(FL2ヒストグラム)分析(ベクトンディッキンソン、CA)に供した。データは、CELL Questプログラム(ベクトンディッキンソン、CA)により分析した。
【0071】
イムノブロット分析
実験細胞を、氷冷PBSにより洗浄し、そして細胞を蛋白質溶解バッファー(20mM Tris(pH7.4),150mM NaCl,1mM EDTA,1mM EGTA,1% triton,2.5mM ピロリン酸ナトリウム、1mM □−グリセロールホスフェート、1mM NaVp、1μM/ml ロイペプチン及び1mM フェニルメチルスルフォニルフルオリド)中で溶解した。簡単な音波処理の後に、溶解物を10,000rpmにおける遠心分離により透明にし、そして蛋白質含有量をブラッドフォード法(Bio−Rad,CA)により測定した。各抽出物を、NE−PER核及び細胞質抽出試薬(ピアス、USA)を用いて調製し、そして核抽出物の蛋白質濃度をBCA−200蛋白質アッセイキット(ピアス、CA)により製造者の指示書に従い測定した。
【0072】
ウエスタンブロット分析に関しては、レーンあたり50μgの蛋白質をアクリルアミドゲル上に負荷し、そして12% SDS−PAGEにより分離し、そしてPVDF転写膜にブロットした。イムノブロットを一次抗体(c−Jun,Phospho−p38 MAPキナーゼ(Thr180/Tyr182);セルシグナリング、MA,USA)を用いて実施し、そしてアマシャムECLシステムを用いて二次HRP−コンジュゲートされた抗−ウサギIgGにより検出した。さらに、1xウエスタン再プローブバッファーを用いて膜を徹底的に洗浄し、そして培養においてアクチン発現を認識して細胞を遺伝子発現のための陽性対照として及び内部標準として機能させる抗−アクチン(Calbiochem,CA)抗体を用いて再度免疫ブロットした。
【0073】
HIV−1特異的CD8T細胞アポトーシス
ヒトPBMC’sを上記のとおりに健康なHIV血清陰性ドナーから単離した。CD4T細胞の枯渇に関して、磁気ビーズ(Dynal,CA)を用いた陰性免疫選択によりPBMCから精製されたCD8T細胞を単離した。単離されたCD8T細胞の精製度はフローにより>99%の純度であると決定された。MDMを新たに単離されたPBMCから上記のとおりに精製した。MDM細胞は、6ウエルプレート中で0.5x10細胞/ml/ウエルにて10mg/ml M−CSF(R&Dシステムズ、MN)RPMI 1640/10%ヒト血清中で培養した。5日目に、MDMにHIV−1ウイルス89.6を100TCID50/0.5x10細胞/ml/ウエルにて感染させた。別の実験群は、以下:偽を処理された群I(未処理);ラテックスビーズのみを処理された群II;20μg/mlの中和抗−FasLモノクローナル抗体(ZB4,MBL,日本)を処理された群III;ラテックスビーズと1μMのp38阻害剤を処理された群IVであった。5日目に、0.5x10ポリスチレンラテックスビーズ(IDC Spheres,OR)を、群II,III及びIVに2時間37℃において加え、そしてCOインキュベーター中でインキュベートした。0.5x10自己精製されたCD8T細胞を加える前に、抗−FasLモノクローナル抗体を90分間加えた。インキュベーションの14時間後に、細胞を回収し、そして抗CD8(クローンRPA−T8;BDファーミンゲン,CA)及び/又はCD14(クローンM5E2;BDファーミンゲン,CA)を含むMab’sで染色し、そしてさらに、アネキシンV−FITC(BDファーミンゲン、CA)により対比染色した(counter stained)。上記分析をゲート化されたCD8T−細胞(R1)に実施し、そして、アポトーシスをさらに分析するために、全ての実験サンプルにおいて、CD8/アネキシンンV陽性細胞(R2集団)に関して、CD8陽性細胞を分析した。
【0074】
NF−κB及びAP−1リポーターアッセイ
ジュルカット細胞(1x10)を60mmの培養皿(Falcon)上に植えて、当該細胞を次の日に、NF−κB又はAP−1依存性リポータープラスミド(10μg)、pNef(10μg)により、Cpd4(1M)と共に又は無しで、電気トランスフェクト(electrotransfected)した。24時間後に、トランスフェクトされた細胞を製造者の指示書に従い、リポーター溶解バッファーを用いて溶解した(Roche,USA)。ルシフェラーゼ活性をLUMAT LB9501(Berthold,USA)により測定した。β−Galレベルを用いて、化学発光β−Galリポーター遺伝子アッセイキット(Roche,USA)によりトランスフェクション効率に関して標準化した。
【0075】
統計分析
実験の全ては、少なくとも3回実施した。結果は平均±SEとして表す。統計上の比較は、ANOZA、次にアンペアドツーテイルドスチューデンツt試験により行った。Ps<0.05を有意と考える。
【0076】
結果
HIV−1誘導されたアポトーシスはp38 MAPK/JNK阻害剤によりブロックされる
HIV−1誘導されたアポトーシスにおけるp38 MAPK/JNK阻害剤の役割を決定するために、等しい数のヒトPBMCsに、偽(対照)、89.6又はpNL4−3ウイルスを感染させた。さらに、感染させた細胞を、1μM SB203580又はCpd4又は対照とインキュベートした。各群に関して感染から4日後に細胞を回収し、そしてアネキシンV−FITCにより染色することにより分析した。図1A及び図1Bに示すとおり、HIV−1感染は、何れかのウイルス単離物による標的細胞のアポトーシスを促進させた。SB203580は、ウイルスにより推進されるアポトーシスをこの濃度において50%を超えて阻害した。Cpd4は、何れかのウイルス単離物により推進されるアポトーシスを阻害する点ではさらに有力であり、80%を超える阻害レベルに達する(パネルiii及びパネルiv)。これらの結果は、HIV−1により誘導されたアポトーシスが、一部には、p38カスケードをブロックすることにより阻害可能なp38 MAPK活性化及びリン酸化を通して媒介されるのかもしれないことを示唆する。この活性が宿主シグナリング経路を標的化するウイルスにより媒介されることから、それは、保存されたウイルス機能であるかもしれない。従って、我々は、4つのサブタイプの発散性のウイルス単離物によるアポトーシスの誘導を分析した。4つの主要な(primary)サブタイプ発散性ウイルス全てが、強くて明確に検出可能なレベルの標的細胞アポトーシスをこの感染系において誘導した。観察されたアポトーシスが少なくとも一部はp38経路により媒介されることを確認するために、我々は、両阻害剤がこのウイルス誘導性事象をブロックする能力を試験した。結果は、図1A及び図1Bにおいて観察されたのと類似であり、両化合物SB203580とCpd4はアポトーシスを阻害できた。再び、高い抗p38活性を有するCpd4は、再びこの阻害において最も有力であったことから、再び、アポトーシス誘導におけるp38 MAPK経路のための直接の役割を支持する(図1C)。
【0077】
これらの観察をさらに確認するために、アポトーシス誘導の後期下流活性化、カスパーゼ3活性を試験した。カスパーゼ3は、TNF受容体推進性のカスパーゼ8アポトーシス経路並びにミトコンドリア推進性のカスパーゼ9媒介経路の両方の下流にあるから、死刑執行(executioner)カスパーゼとも呼ばれる。カスパーゼ3は、アポトーシスの全ての最後のステージの作用を開始するのに必須である。カスパーゼ3は、89.6又はpNL4−3ウイルスの何れかの感染により活性化された(図1D)。この活性は、AB203580によりほぼ50%阻害され、Cpd4による80%に近い。これらのデータは、アネキシンV染色系を用いて得られたデータにきっちりと符合する。
【0078】
FasL発現はHIV−1感染により増加される
Fas(CD95)は、一定の抗体によるか、又はエフェクターT細胞及びNK及び樹状細胞上で発現され得るそのリガンドとの相互作用によるその架橋結合の後にアポトーシスを誘発することが示された細胞受容体である。以前の研究が示したことは、HIV感染細胞がFasL発現をアップ制御して、HIV陽性の個体からのFasL感受性T細胞のアポトーシスを選択的に誘導することである。HIV感染細胞上でのFasLのアップ制御は複数の機構を通して生じると報告されたが、しかしながら、最近、この活性化はNef抗原にリンクされた。しかしながら、この制御に関与する経路は未知である。観察されたアポトーシスの誘導に基づき(図1C)、p38経路のFasL推進性アポトーシスへの関連を試験した。HIV感染によるFasLの誘導の確認を最初に調べた。FasLの強い誘導が、T細胞系並びにPBMC’sの両方において、感染の48時間後に観察された(図2A)。データが示したことは、p38 MAPKとSAP/JNKカスケードがHIV−1誘導性のアポトーシスに関与しているかもしれないということであった。よって、p38阻害剤がFasLのHIV推進性アップ制御を一部にブロックするように機能するかもしれないことが論証された(reasoned)。偽又は89.6又はpNL4−3−1を感染させたPBMC’s又はジュルカット細胞を1μmのCpd4で処理して、FasL発現をフローサイトメトリー分析により測定した。p38封鎖によるFasL誘導の強い阻害が観察された(図2B及び図2C)。この阻害は、何れの細胞表現型においても且つ研究された何れのウイルスによっても、生じた。これらデータが支持することは、観察されたアポトーシスがp38経路のウイルス活性化により一部は推進されることである。この活性化は、HIV感染された細胞上でFasLの発現を推進するのに、たぶん重要である。
【0079】
HIV−1 Nef及びCD95Lアポトーシス
HIV−1は、7つの制御遺伝子をコードする。これらのうち、nef遺伝子産物は高度に保存されている。Nefは、動物モデル系においてAIDSの発症に必須であったことが示されたとおり、実質上のウイルスの毒性因子(virulence factor)であるらしい。さらに、Nefは、ヒト感染において重要であり、そのうえに病原性である。Nefは、宿主細胞内に2つの直接の標的と1つの間接の標的を有することが確認された。特定すれば、プラズマ膜におけるNefのCD4との対合は、CD4T細胞上でのこの受容体の表面変調に一部必須である。さらに、そして同じ機構によりもしかしたら、Nefは、そのうえ、MHCクラスI抗原の発現をダウン変調する。このダウン変調の効果は、ウイルス逃避免疫サーベイランスを助けると考えられる。この最近の研究に対して重要なことは、Nefが感染細胞上でのFasLのアップ制御にも関与するという最近の報告である。このアップ制御は、エフェクターT細胞を誘発して、排除されるFasL発現細胞に接触するようになり、さらに、ウイルスの免疫逃避を助長させる。しかしながら、p38経路はいくつかの免疫関連遺伝子の活性化に重要であるから、Nefが直接p38経路を活性化することによりFasL発現を推進するかもしれないという可能性を探索した。従って、全てが宿主細胞のアポトーシスの現象に関係している4つのHIV遺伝子産物、tat,vpr,env及びnefを研究することにより、これらの個々の遺伝子の何れかがFasL発現を推進できるかを測定した。4つの構築物を個別にジュルカット細胞にトランスフェクトさせ、そしてFasL発現のレベルを対照プラスミドと比較した。
【0080】
図3Aに示されるとおり、Nefは、研究された遺伝子のFasL発現の最も有力な誘導因子であった。Tat,Vpr及びEnvは全て低レベルのFasL発現しか誘導しなかったが、Nefによるトランスフェクションは、高いレベルのFasL発現誘導を特異的に誘導した。これらの結果は、HIV感染の間のFasL発現を推進することにおけるNefの唯一の役割を支持する。
【0081】
Nefがp38経路を通してFasL発現を推進したか否かを次に直接試験した。ジュルカット細胞にpNef構築物をトランスフェクトし、そしてCpd4で処理するか又はせず(図3B)、そしてFasL発現を測定した。化合物の不在下では、高いレベルのFasL発現がNefトランスフェクションにより誘導された。この結果は、FasL誘導とNef発現の間の関係性を示す最近の研究を確証させる。しかしながら、NefとCpd4の存在下では、FasLのNef推進性誘導の強力な阻害が観察された。このデータは、Nefがp38経路を使用することによりFasL発現を活性化することを強く示唆する。
【0082】
HIV−1のNef蛋白質はCD95/CD95L経路の機能性アップ制御を通してアポトーシスを感作する
上記の研究は、Nefの機能、及び単離された遺伝子産物としてのp38経路とのその相互作用を確認した。ウイルス感染のコンテクストにおけるこの研究の確認を次に探索した。従って、Nef発現が欠損した一連のウイルスを構築した。そのようなベクターは、感染の間のNef効果の試験を可能にさせる。ウイルスは、材料と方法のセクションに記載されるとおりに、フレームシフト変異をNefのORFに導入することにより構築した(図4A)。Nef欠失を確認するため、プロウイルス構築物を一時的に293T細胞、ヒト腎臓推進性細胞系に感染させ、そしてトランスフェクトされた細胞からのNef蛋白質の発現及び/又は欠失を、抗−HIV−1 Nef抗体を用いた免疫ブロッティングにより分析した(図4B)。ウイルスを含む特定の欠失のみが、予測されたとおりに、Nefの発現を失った。次に、ウイルス粒子を293T細胞への構築物のトランスフェクションにより生成させ、そしてp24生産をELISAにより決定した。濃縮と標準化に次いで、上清を用いて初期標的細胞に感染させ、そしてウイルスのp24gag発現を、抗p24gag抗体により細胞を染色することによりFACS分析により検出し(データは示さず)、そしてpNL4−3Wt及びpNL4−3デルタNefビリオンによるp24の生産もELISAにより定量した(図4C)。全ての場合において、同じレベルのウイルス感染が観察された。
【0083】
FasL発現はHIV−1 Nefにより感染細胞中で増加される
HIV−1感染PBMC’s培養液中でのFasLの観察されたアップ制御は、個々の細胞のHIV感染の直接の結果であり得たか、又はそれはHIV感染細胞似より生産されたサイトカイン及び/又は可溶性ウイルス蛋白質の間接の結果で有り得た。Zauliらによる最近の結果(Blood 93(3):1000−10(1999),引用により本明細書に編入される)は、HIV−1のNef蛋白質がT細胞の分化とシグナリングを変え、そして最適なウイルス複製に必要であることを報告した。上で構築されたウイルスを用いたNef陽性又は陰性の偽ウイルス感染アッセイを用いることにより、FasL発現に対する、ウイルスから生まれた(borne)Nefの効果を分析した。PBMC’sのウイルス感染の後で、サイトプラズム内のp24gag及びFasLのフローサイトメトリーを、感染の4日後に測定した。図5に示すとおり、FasL発現をアップ制御したHIV−1のNef陽性ウイルス感染細胞において、直接の相関が観察された。二重の(dual)陽性細胞のパーセンテージを右上の四分円の各群に描写した。p24を呈した感染細胞の約1/2が4日目にFasL陽性であった。FasL陽性細胞は、Nef含有ウイルス内においてのみ存在する細胞の唯一の分離集団を構成した。p24とFasL発現の間の直接の関係は、統計上高度に有意であった(p<0.01)。おもしろいことに、培養液の1μM濃度におけるCpd4の処理により、Nef媒介性FasL発現が完全に頓挫した。
【0084】
HIV特異的CD8T細胞はp38阻害剤によりブロックされたアポトーシスを誘導した
Fas/FasL相互作用により誘導されたアポトーシスは、末梢T−リンパ球止血及びリンパ球媒介性細胞障害性におけるその関与を通して免疫系において鍵となる役割を担う。生理学的Fas/FasL相互作用の制御障害(dysregulation)は、増強されたレベルのFas−媒介性アポトーシスにより特徴付けされる免疫疾患状態をもたらし得る。FasLは、HIV感染されたマクロファージ、おそらくはT細胞上でアップ制御されて、CD8エフェクターT細胞のFas媒介性アポトーシスを誘導することができると仮定された。感受性エフェクターTリンパ球の、免疫細胞を発現するFasLとの遭遇は、アポトーシスによりその死を誘発できた。蓄積する証拠は、抗原提示細胞、例えば、マクロファージが、おそらくはこの機構により、活性化されたエフェクターT細胞の排除において鍵となる役割を担うかもしれないことを示す。従って、HIV感染により誘導されたマクロファージ媒介性HIV−特異的CD8T細胞の可能性及びそのp38経路へのリンクを調査した。FasLはマクロファージにより細胞内に保存されるし、感染したマクロファージが食作用によるか又は人工的にそれらの活性化により刺激されたときに表面上で発現されるか又は可溶性FasLとして放出されるから、初期マクロファージをラテックスビーズにより刺激することにより、HIVウイルスによる感染後にそれらの活性化を誘導した。
【0085】
図6Aに示すとおり、100TCID50における89.6の培養液への感染の4日後に、CD14集団をCD8リンパ球集団から容易に識別することができる。さらに、アポトーシスのマーカーとしてアネキシンVを用いたCD8T細胞集団上のさらなるゲート化は、高いレベルのアポトーシスがこのときに傍観者CD8T細胞集団内に起こることを明確に示す。p38経路に対する観察されたアポトーシスの間のリンクを調査した。再び、マクロファージを感染させ、そして再びCD8T細胞集団上でゲート化した。図6Bに示すとおり、たとえ活性化された場合でも、未感染のマクロファージは、試験された如何なる実験条件下でもCD8T細胞集団のアポトーシスほとんど誘導しない。対照的に、ラテックスビーズで刺激されたHIV感染マクロファージは、アポトーシスを有力に推進し、この培養液中でほぼ50%のCD8T細胞を殺傷した。このアポトーシスがFas/FasL経路により媒介されるか否かを決定するために、我々は、中和性抗FasLモノクローナル抗体を上記細胞培養液に加えることにより、アポトーシスをブロックすることを試みた。FasLの添加は、観察されたアポトーシスのほとんどをブロックできた。観察された傍観者CD8T細胞アポトーシスに対してp38阻害剤が衝撃を与える能力を試験した。p38封鎖は、傍観者アポトーシスを阻害することにおいてFasL抗体とほぼ同じく有効であったが、いくつかの違いが観察された。この違いは、他のアクセサリー遺伝子が非p38媒介性機構によるように、FasL発現により誘導される傍観者アポトーシスにおいて役割を担い得る事を示唆する以前の報告に一致する。一緒にすると、これらの発見は、HIV感染マクロファージがHIV感染の間にCD8T細胞のCD95/Fas媒介性アポトーシスを誘導できることを、明確に示す。これらの傍観者CD8T細胞の殺傷は、p38封鎖によりほぼ完全に阻害され得ることから、傍観者殺傷プロセスにおけるNefの優占度(dominance)を示す。
【0086】
Cpd4はAP−1のHIV−1 Nef媒介性転写を抑圧する
AP−1は免疫活性化における重要な転写因子である。それは、抗原提示細胞並びにT細胞においてサイトカイン生産において役割を担うことにより免疫拡大に中心的な役割を担う。その発見後、AP−1活性は多くの刺激により誘導されることがわかったが、成長因子、サイトカイン、T細胞活性化、神経伝達物質、及びUV照射を含む。いくつかの機構が、AP−1活性の誘導に関与し、そしてAP−1成分の豊富さを増加させるもの、及びそれらの活性を刺激するものに分類してよい。真核細胞は、有糸分裂活性化蛋白質キナーゼ(MAPK)の活性化により、外部ストレス及び炎症性の因子に応答することから、結局は転写の変化をもたらす。ほとんどの場合、p38は、それらのリン酸化を通してMAPキナーゼキナーゼ(MKK)3及び6により活性化される。MAPKにより活性化された転写は、NF−κB及びAP−1によるFasLの転写活性化を推進するのに必須である。よって、これらの経路を通してFasL転写を誘導するためのNefの役割の調査を行った。最初に、pNefを、NF−κB及びAP−1活性化に特異的なリポーターベクターを含むジュルカット細胞にエレクトロフォレートした。図7A及び7Bに示すとおり、Nefは有効にこれらの転写因子の両方を活性化した。両群のp38阻害剤Cpd4による処理は、有効にこの作用をブロックした。しかしながら、前駆体キナーゼMEKK1はp38/JNK及びIKK活性化の両方を有効に誘導することが示された。
【0087】
HIV−1 Nefはp38及びJNKのリン酸化を誘導した
MEKK1を誘導することにおけるNefの役割は決定されないままであった。次に、Nefをジュルカット細胞に送達し、そしてそれらをp38 MAPK阻害剤Cpd4により処理するか又はしなかった。p38 MAPKとJNKのHIV−1 Nef誘導性リン酸化状態を調査するため、二通りにリン酸化された状態のこれらの蛋白質を認識するリン酸特異的抗体を用いた。細胞のNef処理は、p38の上記基底レベルのリン酸化において強い増加を誘導した(図7C)。対照的に、1μM投薬量において薬剤への15分の暴露の後にCpd4の存在下で、Nef処理された細胞におけるp38のリン酸化に、検出可能な増加はなかった。平行のブロットを走らせ、そして全レベルのp38を検出した抗体により釣り上げた。Cpd4への暴露はp38の全レベルを変更せず、等しい蛋白質負荷も確認した。当該データは、Nefがp38 MAPのリン酸化を誘導できることを支持し、それがこの経路の直接の活性化因子であることを示唆する。
【0088】
さらなる研究により、Nefがそのうえc−Junのリン酸化を刺激できたか否かを調査した。内生c−Jun蛋白質のリン酸化−状態非依存性レベルを特異的に認識する抗体を用いて、実験を実施した。Nefへの15分の暴露は、投薬量依存性様式にて細胞の核抽出物における強くリン酸化されたc−Junをもたらした。対照的に、ごく低いレベルの非リン酸化c−Junしか非刺激対照には観察されなかった。2つのバックグラウンドバンドが、1μMのCpd4による細胞の処理後にNef処理された群において観察された。これらのバンドは、おそらく、リン酸c−Jun(高いバンド)及び非リン酸化形態(低いバンド)に相当し、この抗体により検出されることが知られている。Cpd4標的化細胞中のc−JunのNef媒介性リン酸化のブロッキングは、観察されたJNKのレベルがc−Junへのシグナルのトランスダクションをもたらす(図7D)。Cpd4処理には、AP−1エンハンサー結合転写活性化因子のメンバーであるc−Junのリン酸化された状態の減少が伴った。
【0089】
考察
HIV−1感染の特質は、典型的にCD4T細胞の破壊とインビボ細胞免疫応答の抑圧を含む。皮肉にも、最近の証拠は、ビレマ(virema)の有効な免疫応答及び調節は、潜在的な細胞応答の生成に重く依存することを示唆する。事実、ウイルス特異的CTLsは、重要なことに、急性なフェーズの感染の調節のせいであり、そしてウイルス負荷が制御され得る機構を象徴する。さらに、SIV感染モデルに関する研究も、ウイルス血症(viremia)とウイルス負荷がCD8T細胞を通して有効に制御できたことを示した。これらの発見によると、HIVがT細胞の枯渇を誘導するように実行する実際の機構に関して幾つか矛盾する報告が存在した。例えば、2つの異なる機構が、HIV感染の間のT細胞の排除に関して提案された。これら2つは、共に、免疫機能を破壊することにおいて、直接感染としての個々の何れかよりも顕著に有力であると予測され、殺傷はCD4T細胞に限定されるが、一方、傍観者の殺傷はCD8エフェクターT細胞を含むと考えられ、当該集団細胞は免疫排除に直接的に必須である。間接の細胞殺傷は、FasLのアップ制御を含むことにより、エフェクターCTLsがCD4T細胞及びマクロファージを運ぶウイルスにアプローチするため、それらのアポトーシスを誘導すると提案された。よって、この作用は、免疫認識を逃れることにおいてHIVのための顕著な利点を表す。
【0090】
最近、これらのHIV感染細胞がCTL誘導性殺傷に耐性であること、及びこの作用がHIV−1のアクセサリー遺伝子nefの発現に依存性であったことが報告された。幾つかの機構がこれらのNef媒介性作用に関して予備的に提案された。この作用は、ASK−1媒介性JNKシグナリングの阻害を含むか又はPI−3−キナーゼ及びPAKによるBadの間接リン酸化を通るかもしれない。例えば、Xuら(J Exp Med.189(9):1489−96(1999)引用により本明細書に編入される)による最近の報告は、NefがTCRのε鎖に結合し、そしてこの相互作用がFasL発現の誘導に重要であったことを報告する。この研究においては、FasL発現の誘導がアミノ酸73−82内に位置するプロリンリッチドメイン(PxxP)ドメインに依存しており、プロテインチロシンキナーゼのSH3ドメインに相互作用することが知られている。よって、ε鎖を通したNefによるT−細胞活性化誘導は、PxxPドメインを必要とするらしい。さらに、このドメインは、NefによるFasL転写にも必須であったため、下流のシグナリングを、傍観者T−細胞アポトーシスの必須の制御因子としてNefを通してPxxPドメインにより誘導させる。従って、証拠は、Nefも、p21関連キナーゼファミリー(PAK)のメンバーであってVavを通して小GTPase CDC42及びRac1により活性化されるNef−関連キナーゼ(NAK)と共に沈殿することを示す。さらに、Pak1と2はこの活性化に関係した。しかし、FasL転写の活性化はCD3ε鎖により媒介されるTCR−CD3複合体を通して機能すると信じられる。これらの研究はどれも、CD8エフェクターT細胞の非T細胞誘導性アポトーシスにおけるNefの役割を明らかにしていない。APC誘導性傍観者アポトーシスにおいては、Nefが関係したが、上記の何れかのどの役割がこれらの細胞中のシグナリングにおいて活動するかは、現在未知である。さらに、これらのアポトーシス作用を誘導するようにNefが表す本質的な転写シグナルは、未知のままである。そのような機構の解明は重要らしいということは明らかである。全体として、CTL誘導性の死に対してそれ自身防御しながら、傍観者細胞のアポトーシスを誘導することによりNefを通してHIVが一部には免疫からの逃避を伝えるという結論は、HIVの病原性を理解する上できわめて重要であるらしい。
【0091】
本明細書に示した結果は、HIV媒介性T細胞活性化とFasL転写の必須の下流における連鎖が、有糸分裂因子活性化プロテインキナーゼp38/JNK経路を通ることを示す。従って、HIVに感染したPBMCsの、p38 MAPKの選択的阻害剤による処理は、ウイルス誘導性アポトーシスを厳格に停止させるか又は排除した(図1A及び図1B)。この作用はクレード特異的ではなく、p38封鎖は、複数のウイルスサブタイプにより誘導される細胞死を有効に減じた(図1C)。一致して、ジュルカットt細胞とPBMCsの両者に対する有力なp38阻害剤(Cpd4)による処理は、FasLの表面発現を厳格に抑圧したことから、HIVはp38 MAPK経路を通してFasL媒介性傍観者アポトーシスを指揮することを示す。
【0092】
Xuらによる以前の研究は、HIV媒介性FasL誘導がNef誘導性機能の直接の結果であることを示唆する。我々の結果がこの以前の研究を補強するのは、pVpr,pTat及びpEnvに比較して、有意なFasL発現がpNefをトランスフェクトされたジュルカット細胞の間においてのみ観察されたからである(図3A)。より重要なことは、これらの細胞内でのp38 MAPKのCpd4による阻害がNef誘導性FasL発現を徹底的に抑圧したことである。さらに、ウイルス感染されたPBMCsのp38 MAPKがFasLを発現し続けなかったため、この作用はウイルス感染環境(setting)に拡大された。よって、p38 MAPKは、ウイルス感染環境においてFasL媒介性の傍観者アポトーシスを誘導するようにNefが標的とする、必須のシグナルを表す。
【0093】
FasLのNef誘導は、傍観者細胞アポトーシスにおいて役割を担うことが示唆された。p38 MAPK阻害が傍観者殺傷を阻害する能力を分析した。以前の研究は、マクロファージのHIV感染がFasL発現を誘導して、CD4T細胞の有意な傍観者殺傷を推進することを示す。さらに、マクロファージも、HIV特異的CD8T細胞の傍観者殺傷を誘導するようにFasLアップ制御を推進する。FasL経路によるCD8T細胞の破壊は、細胞媒介性応答に対する重要なダンパーであるらしく、最終的に免疫排除を制限し得た。よって、p38阻害がFasL発現を変調し、よってマクロファージとCD8T細胞の間の傍観者殺傷を変調させる能力も調査した。HIV感染したマクロファージと自己CD8T細胞とのCpd4の存在及び不在における同時培養は、p38 MAPKの阻害がCD8T細胞の傍観者アポトーシスを有効にブロックしたことを明らかにした。さらに、この作用は、未感染細胞と混合したときに、HIV−1感染患者からのPBMCsの間でも観察された。よって、HIV−1のFasL媒介性傍観者アポトーシスは、複数の環境においてp38/JNK阻害により有効にブロックされる。
【0094】
以前の仕事は、複数の因子がNFAT,c−Myc,NF−κB、及びAP−1を含むFasL発現を制御するかもしれないことを示唆する。従って、Nef誘導性FasL発現のコンテクストにおけるこれらの因子の必須依存性は、はっきりしない。この作用の生化学機構を詳細に研究するため、我々は、ルシフェラーゼ転写を推進するためにAP−1又はNF−κB結合部位を有するリポーターベクターで細胞を感染させた。これらの研究において、Nefは、AP−1とNF−κBの両方の転写活性化を誘導することにおいて有効であった。より重要なことに、p38 MAPK阻害剤は、両転写因子の転写を有効に停止させた。さらに、当該阻害剤は、p38のリン酸化媒介性活性化を低下させることにおいて等しく有効であったため、c−Junのリン酸化の有意な減少をもたらす。よって、当該阻害剤によるp38の妨害は、一部には低下したリン酸化により、両シグナルを減少させる。より注目すべきことは、FasL誘導を媒介するためのNF−κB及びAP−1の依存性に関する以前の発見に基づくと、p38の妨害は、その下流の転写蛋白質を抑圧し、そしてFasL発現の抑圧を導くらしい。
【0095】
FasL誘導された傍観者アポトーシスは、CTLsによる宿主枯渇を回避するための、HIVにより用いられる必須の免疫回避性の機動作戦である。今まで、このプロセスを媒介するシグナリング機構は明らかにされないままである。本明細書の結果は、p38 MAPKシグナリングがAP−1の転写活性化に必須であり、ウイルス環境内でNefによるFasL誘導を推進することを示す。p38 MAPKのNef活性化を媒介するキナーゼ類は発見されていないが、にもかかわらず、この経路はHIV媒介性T細胞枯渇に対する治療上の開発のためのウイルス標的物を表す。これらの治療剤がウイルス依存性の宿主細胞経路を見かけ上は標的とするため、HIVはこの中心的な宿主経路を回避する試みにおいて顕著な制限を呈する見込みが無くもない。この経路のさらなる研究は、HIV病原性に衝撃を与え得る新規な治療剤又は抗ウイルス併用療法剤の開発のための重要性を有する。
文献(引用により各々編入される)
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
【表6】

【0102】
【表7】

【0103】
実施例2
幾つかの態様において、上記化合物は、米国特許第5,965,583号に記載された構造(式1):
【0104】
【化1】

【0105】
を有するか又はその薬学上受容可能な塩であり、
式中、
は、フェニル、置換されたフェニル(置換基はC1−5アルキル、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、及びニトリルからなる群から選択される)、又はヘテロアリールが5又は6の環状原子を含むヘテロアリールであり;
は、フェニル、置換されたフェニル(置換基はC1−5アルキル、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、及びニトリルからなる群から選択される)、ヘテロアリールが5又は6の環状原子を含むヘテロアリールであり、そして任意にC1−4アルキル置換されており;
は、水素、SEM,C1−5アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールC1−5アルキルオキシカルボニル、アリールC1−5アルキル、置換されたアリールC1−5アルキル(アリール置換基は、C1−5アルキル、C1−5アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−5アルキルアミノ、及びジC1−5アルキルアミノからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから別個に選択される)、フタルイミドC1−5アルキル、アミノC1−5アルキル、ジアミノC1−5アルキル、サクシニミドC1−5アルキル、C1−5アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C1−5アルキルカルボニルC1−5アルキル、アリールオキシカルボニルC1−5アルキル、ヘテロアリールC1−5アルキルであって、ヘテロアリールは5又は6の環状原子を含み;
は、−−(A)−−(CH−Xであり、式中、Aはビニレン、エチニレン又は
【0106】
【化2】

【0107】
であり、式中、Rは、水素、C1−5アルキル、フェニル及びフェニルC1−5アルキルからなる群から選択され;
qは、0−9であり;
Xは、水素、ヒドロキシ、ビニル、置換されたビニル(一つ又はそれより多い置換基は、フッ素、臭素、塩素及びヨウ素からなる群から選択される)、エチニル、置換されたエチニル(置換基は、フッ素、臭素、塩素及びヨウ素からなる群の一つ又はそれより多くから選択される)、C1−5−アルキル、置換されたC1−5アルキル(アルキル置換基は、一つ又はそれより多いC1−5アルコキシトリハロアルキル、フタルイミド及びアミノからなる群から選択される)、C3−7シクロアルキル、C1−5アルコキシ、置換されたC1−5アルコキシ(アルキル置換基は、フタルイミド及びアミノからなる群から選択される)、フタルイミドオキシ、フェノキシ、置換されたフェノキシ(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、フェニル、置換されたフェニル(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、アリールC1−5アルキル、置換されたアリールC1−5アルキル(アリール置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、アリールオキシC1−5アルキルアミノ、C1−5アルキルアミノ、ジC1−5アルキルアミノ、ニトリル、オキシム、ベンキシルオキシイミノ、C1−5アルコキシイミノ、フタルイミド、サクシニミド、C1−5アルキルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ、置換されたフェニルカルボニオキシ(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、フェニルC1−5アルキルカルボニルオキシ、(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、アミノカルボニルオキシ、C1−5アルキルアミノカルボニルオキシ、ジC1−5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1−5アルコキシカルボニルオキシ、置換されたC1−5アルコキシカルボニルオキシ(アルキル置換基は、メチル、エチル、イソプロピル及びヘキシルからなる群から選択される)、フェノキシカルボニルオキシ、置換されたフェノキシカルボニルオキシ(フェニル置換基は、C1−5アルキル、C1−5アルコキシ、及びハロゲンからなる群から選択される)、C1−5アルキルチオ、置換されたC1−5アルキルチオ(アルキル置換基は、ヒドロキシ及びフタルイミドからなる群から選択される)、C1−5アルキルスルフォニル、フェニルスルフォニル、置換されたフェニルスルフォニル(フェニル置換基は、臭素、フッ素、塩素、C1−5アルコキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される)からなる群から選択され;但し、
もし、Aが
【0108】
【化3】

【0109】
ならば、
qは0であり、そしてXはHであり、そしてRはSEMでなくてよい;
及びその薬学上受容可能な塩である。
【0110】
特定の化合物は、
4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシブチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(3−ヒドロキシプロピン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−ヒドロキシペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、及び4−(4−フルオロフェニル)−2−(6−ヒドロキシヘキシン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシブチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−シアノペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ジメチルアミノブチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−(フェニルカルボニルオキシ)ブチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルカルボニルオキシ)ブチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(3−シクロペンチルプロピン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、及び4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−(ブチルスルフォニル)ペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(オクチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−ブチルチオペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−フェニルペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−クロロペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−ヒドロキシペンチン−1−イル)−1−(3−フタルイミドールプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(ペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、及び4−(4−フルオロフェニル)−2−(5−N−サクシニミドペンチン−1−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)イミダゾール、及びそれらの薬学上受容可能な塩を含む。
【0111】
実施例3
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,040,320号に記載された構造(構造2):
【0112】
【化4】

【0113】
を有するか、
又はその薬学上受容可能な塩であり、
式中、
は、フェニル、ヘテロアリールであって、但し、ヘテロアリールは5又は6の環状原子を含むか、又は置換されたフェニルであり、
但し、置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル及びニトリルからなる群の一つ又はメンバーから別個に選択され;
は、フェニル、ヘテロアリールであってヘテロアリールは5又は6の環状原子を含むヘテロアリール、置換されたヘテロアリールであって置換基は別個にC1−5アルキル及びハロゲンからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから選択される置換されたヘテロアリール、又は置換されたフェニルであって、置換基はC1−5アルキル、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、及びニトリルからなる群の一つ又はメンバーから別個に選択される置換されたフェニルであり;
は、水素、SEM,C1−5アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールC1−5アルキルオキシカルボニル、アリールC1−5アルキル、フタルイミド1−5アルキル、アミノC1−5アルキル、ジアミノC1−5アルキル、サクシニミドC1−5アルキル、C1−5アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C1−5アルキルカルボニルC1−5アルキル、アリールオキシカルボニルC1−5アルキル、ヘテロアリールC1−5アルキルであって、ヘテロアリールは5又は6の環状原子を含むか、又は置換されたアリールC1−5アルキルであって、アリール置換基は、C1−5アルキル、C1−5アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−5アルキルアミノ、及びジC1−5アルキルアミノからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから別個に選択される;
は、−−(A)−−(CH−Xであり、式中、
Aは硫黄又はカルボニルであり;
nは0又は1であり;
qは0−9であり;
Xは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ビニル、エチニル、C1−5アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−5アルコキシ、フェノキシ、フェニル、アリールC1−5アルキル、アミノ、C1−5アルキルアミノ、ニトリル、フタルイミド、アミド、フェニルカルボニル、C1−5アルキルカルボニル、フェニルアミノカルボニル、アリールC1−5アルキルカルボニル、C1−5アルキルチオ、C1−5アルキルスルフォニル、フェニルスルフォニル、置換されたスルフォナミドであってスルフォニル置換基はC1−5アルキル、フェニル、アラC1−5アルキル、チエニル、フラニル、及びナフチルからなる群から選択され;置換されたビニルであって置換基はフッ素、臭素、塩素及びヨウ素からなる群の一つ又はメンバーから別個に選択され、置換されたエチニルであって置換基はフッ素、臭素、塩素及びヨウ素からなる群の一つ又はメンバーから別個に選択され、置換されたC1−5アルキルであって置換基は一つ又はそれより多いC1−5アルコキシ、トリハロアルキル、フタルイミド及びアミノからなる群から選択され、置換されたフェニルであってフェニル置換基はC1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから別個に選択され、置換されたフェノキシであってフェニル置換基はC1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから別個に選択され、置換されたC1−5アルコキシであってアルキル置換基はフタルイミド及びアミノからなる群から選択され、置換されたアリールC1−5アルキルであってアルキル置換基はヒドロキシルであり、置換されたアリールC1−5アルキルであってフェニル置換基はC1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから別個に選択され、置換されたアミドであってカルボニル置換基はC1−5アルキル、フェニル、アラC1−5アルキル、チエニル、フラニル、及びナフチルからなる群から選択され、置換されたフェニルカルボニルあってフェニル置換基はC1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群の一つ又はメンバーから別個に選択され、置換されたC1−5アルキルチオであってアルキル置換基はヒドロキシ及びフタルイミドからなる群から選択され、置換されたC1−5アルキルスルフォニルであってアルキル置換基はヒドロキシ及びフタルイミドからなる群から選択され、置換されたフェニルスルフォニルであってフェニル置換基は、臭素、フッ素、塩素、C1−5アルコキシ及びトリフルオロメチルからなる群から別個に選択され、但し:
もし、Aが硫黄であり、そしてXが水素、C1−5アルキルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、アリールC1−5アルキルアミノカルボニル、C1−5アルキルスルフォニル又はフェニルスルフォニル以外ならば、qは1に等しいか又は1より大きくなくてはならず;
もし、Aが硫黄であり、そしてqが1ならば、XはC1−2アルキルであり得ず;
もし、Aがカルボニルであり、そしてqが0ならば、Xはビニル、エチニル、C1−5アルキルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、アリールC1−5アルキルアミノカルボニル、C1−5アルキルスルフォニル又はフェニルスルフォニルではあり得ず;
もし、Aがカルボニルで、qが0で、そしてXがHならば、RはSEMではなく;
もし、nが0であり、そしてqが0ならば、Xは水素ではあり得ない;
及びその薬学上受容可能な塩である。
【0114】
化合物は、5(4)−(4−フルオロフェニル)−2−(3−(ナフス−1−イルアミド)プロプ−1−イル)チオ−4(5)−(4−ピリジル)−イミダゾール;及び5(4)−(4−フルオロフェニル)−2−(3−(フェニルスルフォナミド)プロプ−1−イル)チオ−4(5)−(4−ピリジル)−イミダゾールである。
【0115】
実施例4
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,147,096号に記載された構造(構造3):
【0116】
【化5】

【0117】
を有するか、
又はその薬学上受容可能な塩であり、
式中、
(a)R,R及びRは、(i)水素、(ii)C1−5アルキル、(iii)C1−5アルキルアミノ、(iv)ジC1−5アルキルアミノ、(v)一つ又はそれより多い水素、ハロゲン、C1−5アルキル、及びトリハロC1−5アルキルにより置換されたフェニル、及び(vi)一つ又はそれより多い水素、ハロゲン、C1−5アルキル、及びトリハロC1−5アルキルにより置換されたフェニルC1−5アルキルからなる群から別個に選択され;
(b)環1及び2は、各々別個に、水素、ハロゲン、C1−5アルキル、及びトリハロC1−5アルキルからなる群から選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されており;
(c)A及びBは、別個に窒素又は炭素であって、A及びBの少なくとも一方は窒素であり;
(d)D及びEは窒素であり、但し、(i)非アリール炭素とD又はEの何れかの間には二重結合が存在し、(ii)非アリール炭素とDの間に二重結合が存在するなら、Rは不在であり、そして(iii)非アリール炭素とEの間に二重結合が存在するなら、Rは不在であり;そして
(e)上記化合物は、1,6−ジヒドロ−7−(4−ピリジル)−8−(4−フルオロフェニル)−2−フェニルメチル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾールでも、3,6−ジヒドロ−8−(4−フルオロフェニル)−3−(3−フェニルプロピル)−7−(4−ピリジル)−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾールでもない。
【0118】
いくつかの態様において、上記化合物は、(i)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−フェニル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;(ii)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−ブチル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;(iii)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−(2−フェニルエチル)−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;(iv)1,6−ジヒドロ−7−(4−ピリジル)−8−(4−フルオロフェニル)−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;及び(v)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−フェニルメチル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾールからなる群から選択される。
【0119】
実施例5
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,214,830号に記載された構造(構造4):
【0120】
【化6】

【0121】
を有するか、
又はそのステレオアイソマー、溶媒和物、又は薬学上受容可能な塩であり、及び薬学上受容可能な担体、希釈剤又は賦形剤であり、
式中、
は、フェニル、置換されたフェニル(置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、及びニトリルからなる群から選択され)、又はヘテロアリールであってヘテロアリールは5又は6の環状原子を含み;
は、フェニル、置換されたフェニル(置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、及びニトリルからなる群から選択され)、ヘテロアリールであってヘテロアリールは5又は6の環状原子を含み、そして任意にC1−4アルキル置換されており;
は、水素、SEM,C1−5アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールC1−5アルキルオキシカルボニル、アリールC1−5アルキル、置換されたアリールC1−5アルキル(アリール置換基は、C1−5アルキル、C1−5アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−5アルキルアミノ、及びジC1−5アルキルアミノからなる群の一つ又はそれより多いメンバーから別個に選択される)、フタルイミドC1−5アルキル、アミノC1−5アルキル、ジアミノC1−5アルキル、サクシニミドC1−5アルキル、C1−5アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C1−5アルキルカルボニルC1−5アルキル、アリールカルボニルC1−5アルキル、ヘテロアリールC1−5アルキルであって、但し、ヘテロアリールは5又は6の環状原子を含み;
は、−−(A)−−(CH−Xであり、式中、
Aはビニレン、エチニレン又は
【0122】
【化7】

【0123】
であり、式中、
は、水素、C1−5アルキル、フェニル及びフェニルC1−5アルキルからなる群から選択され;
qは、0−9であり;
Xは、水素、ヒドロキシ、ビニル、置換されたビニル(一つ又はそれより多い置換基は、フッ素、臭素、塩素及びヨウ素からなる群から選択される)、エチニル、置換されたエチニル(置換基は、フッ素、臭素、塩素及びヨウ素からなる群の一つ又はそれより多くから選択される)、C1−5アルキル、置換されたC1−5アルキル(アルキル置換基は、一つ又はそれより多いC1−5アルコキシトリハロアルキル、フタルイミド及びアミノからなる群から選択される)、C3−7シクロアルキル、C1−5アルコキシ、置換されたC1−5アルコキシ(アルキル置換基は、フタルイミド及びアミノからなる群から選択される)、フタルイミドオキシ、フェノキシ、置換されたフェノキシ(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、フェニル、置換されたフェニル(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、アリールC1−5アルキル、置換されたアリールC1−5アルキル(アリール置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、アリールオキシC1−5アルキルアミノ、C1−5アルキルアミノ、ジC1−5アルキルアミノ、ニトリル、オキシム、ベンキシルオキシイミノ、C1−5アルキルオキシ、フタルイミド、サクシニミド、C1−5アルキルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ、置換されたフェニルカルボニオキシ(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、フェニルC1−5アルキルカルボニルオキシ、(フェニル置換基は、C1−5アルキル、ハロゲン及びC1−5アルコキシからなる群から選択される)、アミノカルボニルオキシ、C1−5アルキルアミノカルボニルオキシ、ジC1−5アルキルアミノカルボニルオキシ、C1−5アルコキシカルボニルオキシ、置換されたC1−5アルコキシカルボニルオキシ(アルキル置換基は、メチル、エチル、イソプロピル及びヘキシルからなる群から選択される)、フェノキシカルボニルオキシ、置換されたフェノキシカルボニルオキシ(フェニル置換基は、C1−5アルキル、C1−5アルコキシ、及びハロゲンからなる群から選択される)、C1−5アルキルチオ、置換されたC1−5アルキルチオ(アルキル置換基は、ヒドロキシ及びフタルイミドからなる群から選択される)、C1−5アルキルスルフォニル、フェニルスルフォニル、置換されたフェニルスルフォニル(フェニル置換基は、臭素、フッ素、塩素、C1−5アルコキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される)からなる群から選択され;但し、
もし、Aが
【0124】
【化8】

【0125】
ならば、
qは0であり、そしてXはHであり、そしてR3はSEMでなくてよく;
及びその薬学上受容可能な塩である。
【0126】
実施例6
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,469,174号に記載された構造(構造5):
【0127】
【化9】

【0128】
を有するか、
又はその薬学上受容可能な塩であり、
式中、
(a)R,R及びRは、(i)水素、(ii)C1−5アルキル、(iii)C1−5アルキルアミノ、(iv)ジC1−5アルキルアミノ、(v)水素、ハロゲン、C1−5アルキル、及びトリハロC1−5アルキルの一つ又はそれより多くにより置換されたフェニル、及び(vi)水素、ハロゲン、C1−5アルキル、及びトリハロC1−5アルキルの一つ又はそれより多くにより置換されたフェニルC1−5アルキルからなる群から別個に選択され;
(b)環1及び2は、各々別個に、水素、ハロゲン、C1−5アルキル、及びトリハロC1−5アルキルからなる群から選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されており;
(c)A及びBは、別個に窒素又は炭素であって、A及びBの少なくとも一方は窒素であり;
(d)D及びEは窒素であり、但し、(i)非アリール炭素とD又はEの何れかの間には二重結合が存在し、(ii)非アリール炭素とDの間に二重結合が存在するなら、Rは不在であり、そして(iii)非アリール炭素とEの間に二重結合が存在するなら、Rは不在であり;そして
(e)上記化合物は、1,6−ジヒドロ−7−(4−ピリジル)−8−(4−フルオロフェニル)−2−フェニルメチル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾールでも、3,6−ジヒドロ−8−(4−フルオロフェニル)−3−(3−フェニルプロピル)−7−(4−ピリジル)−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾールでもない。
【0129】
いくつかの態様において、上記化合物は、(i)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−フェニル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;(ii)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−ブチル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;(iii)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−(2−フェニルエチル)−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;(iv)1,6−ジヒドロ−7−(4−ピリジル)−8−(4−フルオロフェニル)−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾール;及び(v)1,6−ジヒドロ−7−(4−フルオロフェニル)−8−(4−ピリジル)−2−フェニルメチル−ピロロ[3,2−e]ベンズイミダゾールからなる群から選択される。
【0130】
実施例7
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,410,540号に記載された構造(構造6):
【0131】
【化10】

【0132】
を有するか、
及びその薬学上受容可能な塩であるか、又はその薬学上受容可能な組成物であり、
式中、
Zは、Nであるか又はCRであり、Rは非干渉置換基であり、
とXの各々は、リンカーであり、
ArとArは、同一か又は異なり、そして任意に置換されたC−C20ヒドロカルビル残基を表し、但し、Ar及びArの少なくとも一つは、任意に置換されたアリール基であって、但し、XがCH又はその等量式(isostere)であり、XがCO又はその等量式であり、そしてArが任意に置換されたフェニルであるとき、Arは任意に置換されたインドリル、ベンジルイミダゾリル又はベンゾトリアゾリル置換基以外であり、そして任意に置換されたフェニルは任意に置換されたインドリル、ベンジルイミダゾリル又はベンゾトリアゾリルではなく、
Yは非干渉置換基であるが、式中、nは0−4の整数であり、そして
式中、mは0−4の整数であり、そしてlは0−3の整数である。
【0133】
いくつかの化合物は、1−(2−メトキシ−4−ヒドロキシベンゾイル)−4−ベンジルピペリジン;1−(2−メトキシ−4−メトキシベンゾイル)−4−ベンジルピペリジン;1−(2−メトキシ−4−ベンジルオキシベンゾイル)−4−ベンジルピペリジン;及び1−(2−メトキシ−4−メトキシベンゾイル)−4−(4−フルオロベンジル)ピペリジンを含む。
【0134】
実施例8
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,476,031号に記載された構造(構造7):
【0135】
【化11】

【0136】
を有するか、
及びその薬学上受容可能な塩であるか、又はその薬学上受容可能な組成物であり、
式中、
は、非干渉置換基であり;
各Zは、CR又はNであるが、式中、環A中の2つを超えないZ位がNであり、そして環A中の2つの隣接したZ位がNではあり得ず;
各Rは、別個に非干渉置換基であり;
Lはリンカーであり;
nは0又は1であり;そして
Arは、1−3の非干渉置換基により任意に置換された、環状脂肪族、環状ヘテロ脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族モイエティの残基である。
【0137】
いくつかの化合物は、2−フェニル−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−ブロモフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−クロロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−メチルフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(3−メトキシアニール(methoxyaniyl))−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2,6−ジブロフォニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2,6−ジフルオムロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン;2−(4−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6−ニトロキナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6−アミノキナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピクスジルアミノ)−7−アミノキナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6−(3−メトキシベンジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6−(4メトキシベンジルアミノ)−キナゾリン;2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6(2−イソブチルアミノ)−キナゾリン;及び2−(2−フルオロフェニル)−4−(4−ピリジルアミノ)−6(4メトキシメルカプトベンジルアミノ)−キナゾリンからなる群から選択される。
【0138】
実施例9
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,448,257号に記載された構造(構造8):
【0139】
【化12】

【0140】
(式中、破線は任意の結合を表す)、好ましくは式:
【0141】
【化13】

【0142】
を有するか、
及びその薬学上受容可能な塩であり、式中、
は、融合した脂肪族5−7員環を形成するO,S,又はNヘテロ原子を任意に含むアルキルブリッジであり、そしてハロ、OR,SR,NR,RCO,COOR,CONR2,OOCR,又はNROCRの一つ又はそれより多くにより任意に置換されている(式中、RはH又はアルキル(1−6C)である)か、又は一つ又はそれより多いCN又は=Oにより任意に置換されているか、又は一つ又はそれより多い、任意に1−2ヘテロ原子を含む脂肪族又は芳香族5−又は6−員環により任意に置換されており;
は、
【0143】
【化14】

【0144】
であり、
式中、
は、CO又はその等量式であり;
mは、0又は1であり;
Yは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたアリールアルキルであるか又は2つのYが一緒になってアルキレン(2−3C)ブリッジを形成してよく;
nは、0−4であり;
は、CH又はNであり;
は、CH又はCHRであり、式中、RはH又はアルキル(1−6C)又はその等量式であり;そして
Arはハロ、ニトロ、アルキル(1−6C)、アルケニル(1−6C)、アルキニル(1−6C)、CN又はCF3により、又はRCO,COOR,CONR,NR,OR,SR,OOCR又はNROCR(式中、RはH又はアルキル(1−6C)である)により、又はフェニルにより任意に置換されたXに直接カップリングした一つ又は二つのフェニルモイエティからなり、それ自身は前記の置換基により任意に置換されており;
はHであるか、又はアルキル(1−6C)又は当該アルキルの各アリール又はO,S又はNであるヘテロ原子を一つ又はそれより多く任意に含むアリールであり、そしてハロ、OR,SR,NR,RCO,COOR,CONR,OOCR,又はNROCRの一つ又はそれより多くにより任意に置換されている(式中、RはH又はアルキル(1−6C)である)か、又は一つ又はそれより多いCN又は=Oにより任意に置換されているか、又は一つ又はそれより多い、任意に1−2ヘテロ原子を含む脂肪族又は芳香族5−又は6−員環により任意に置換されており;
は、H,ハロ、NO,アルキル(1−6C)、アルケニル(1−6C)、アルキニル(1−6C)、CN,OR,SR,NR,RCO,COOR,CONR,OOCR,又はNROCRであり、式中、RはH又はアルキル(1−6C)である。
【0145】
実施例10
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,479,507号に記載された構造(構造9):
【0146】
【化15】

【0147】
を有し、
式中、
は、ヘテロアリールであり;
−−−−−−は、BとCRの間又はQとCRの間の何れかの結合を表すが、
(i)−−−−−−がQと−−CR−−の間であるとき:
Bは、窒素であり;
は、アリールであり;そして
Qは、−−CR−−であり、式中:
Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、アシル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルカルボニル、ニトロ、シアノ、アミノ、モノ置換されたアミノ、ジ置換されたアミノ、アシルアミノ、スルフォニルアミノ、−−OR(式中、Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルアルキルである)−COOR(式中、Rは水素又はアルキルである)又は−−CONR’R”(式中、R’及びR”は別個に水素、アルキル又はヘテロアルキルを表す)であり;そして
(ii)−−−−−−がBと−−CR1−−の間であるとき:
Bは、炭素であり;
は、アリール又はヘテロアリールであり;そして
Qは、−−NR4−−,−−O−−,又はS−−であり、式中:
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルカルボニル、−−OR(式中、Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルアルキルである)、−SOR”(式中、R”は、アルキル、アミノ、モノ置換されたアミノ又はジ置換されたアミノである)、−−CONR’R”(式中、R’及びR”は別個に水素、アルキル又はヘテロアルキルを表す),−(アルキレン)−Z又は(アルキレン)−CO−(アルキレン)−Zであり、式中、
Zは、シアノ;−−COOR(式中、Rは水素又はアルキルである);−−CONR(式中、Rは水素又はアルキルであり、Rはアルコキシ又は−(アルキレン)−COORであるか、又はRとRが一緒になってそれらが結合する窒素原子と共にヘテロ複素環を形成する);
−−C(=NR10)(NR1112)であって、式中、R10,R11及びR12は、別個に水素又はアルキルを表すか、又はR10とR11が一緒になって−−(CH−−であるが、式中、nは2又は3であり、そしてR12は水素又はアルキルであるか;又は
−−COR13であって、式中、R13はアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;そして
【0148】
【化16】

【0149】
が、式(S),(T),(U),(V)又は(W)により表される群であり、
【0150】
【化17】

【0151】
式中、
は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ置換されたアミノ、ジ置換されたアミノ、−−COOR14,−(アルキレン)−COOR14(式中、R14は、水素又はアルキルである),−−CONR1516(式中、R15とR16は、別個に水素又はアルキルを表すか、又はR15とR16が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共にヘテロ複素環を形成する),−−S(O)nR17(式中、nは0から2の整数であり、そしてR17はアルキル、アミノ、モノ置換されたアミノ又はジ置換されたアミノである),−−R18(式中、R18は水素、アルキル、ヘテロアルキル又はヘテロシクリルアルキルである),−−NRC(O)R”[式中、Rは、水素、アルキル又は:ヒドロキシルアルキルであり、そしてR”は水素、アルキル、シクロアルキル又は−(アルキレン)−Xであり、式中、Xはヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリルであるか又は
−−S(O)nR’であり(式中、nは0から2であり、そしてR’はアルキルである)],−−NRSOR”であり[式中、Rは、水素又はアルキルであり、そしてR”はアルキル又は−(アルキレン)−Xであり、式中、Xはヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は −−S(O)nR’であり(式中、nは0から2であり、そしてR’はアルキルである)];そして、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオ、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、シアノ、チオ、ニトロ、アミノ、モノ置換されたアミノ、ジ置換されたアミノ、アシルアミノ、スルフォニルアミノ、−−OR19(式中、R19は水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリルアルキルである)、−−COOR20(式中、R20は水素又はアルキルである),−−CONR2122(式中、R21とR22は別個に水素、アルキル又はヘテロアルキルであるか、又はR21とR22が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共にヘテロ複素環を形成する)、
−−S(O)nR23(式中、nは0から2の整数であり、そしてR23はアルキル、ヘテロアルキル、アミノ、モノ置換されたアミノ、ジ置換されたアミノである),−(アルキレン)−Z”又は−(アルキレン)−CO−(アルキレン)−Z”であり、式中、
Z”はシアノ;
−−COOR24(式中、R24は、水素又はアルキルである);
−−CONR2526(式中、R25及びR26は、別個に水素又はアルキルであるか、又はR25とR26が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共にヘテロ複素環を形成する);
−−C(=NR27)(NR2829)(式中、R27,R28及びR29は、別個に水素又はアルキルであるか、又はR27とR28が一緒になって−−(CH)n−−(式中、nは2又は3であり、そして、R29は水素又はアルキルである))又は;
−−COR30(式中、R30は、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキル);及び、それらの薬学上受容可能な塩、プロドラッグ、個々のアイソマー、及びアイソマーの混合物であり、但し、RとRが共に、アミノ、モノ置換されたアミノ又はジ置換されたアミノの何れかではない。
【0152】
或いは、
【0153】
【化18】

【0154】
式中、
及びZの一方が窒素であり、他方は−−CR−−(式中、Rは、水素、アルキル、又はアルコキシである)であるか;又は、ZとZが共に窒素であるが、
(a)Z又はZが水素であり、そして他方が−−CR−−であるとき:
(i)Yがハロのとき、−−Q−−Rは−−NH−−C(R)=CH(R)又は−−N=C(CH)(R)であり;
(ii)Yが−−C(R)=C(R)OX(式中、Xはp−CHSO−−,CHSO−−,又はCFSOである)のとき、−−Q−−Rはニトロ又はアミノであり;そして
(iii)Yが−−C(O)Rのとき、−−Q−−Rは−−NHC(O)R,−−OCHCOR,又は−−SCHであり、
式中、
Rは、アルキルであり;
は、ヘテロアリールであり;そして
は、アリール又はヘテロアリールであり;そして
(b)ZとZが共に窒素であるとき:
Yはハロであり、そして−−Q−−Rが−−NH−−C(R)=CH(R)(式中、R及びRは上で定義されたとおりである)であり;そして
は水素、アルキル、ハロ、又はアルコキシである。
【0155】
或いは、
【0156】
【化19】

【0157】
式中、
は、窒素であり、そしてZは−−CR−−(式中、Rは水素、アルキル又はアルコキシである)であるか;又はZは窒素であり、そしてZは−−CH−−であり;
(a)Yが水素のとき、−−Q−−Rは−−NH−−H=C(R)CH(R)であり;そして
(b)Yが−−C(O)Rのとき、−−Q−−Rは−−OCHCOR又は−−SCH(式中、
Rはアルキルであり;
はヘテロアリールであり;そして
はアリール又はヘテロアリールであり;そして
は水素、アルキル、ハロ又はアルコキシである)
である。
【0158】
治療上有効な量の化合物又は薬学上受容可能な塩及び薬学上受容可能な賦形剤を含む薬学組成物も含まれる。
【0159】
実施例11
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許第6,509,361号に記載された構造(構造10):
【0160】
【化20】

【0161】
を有し、
式中、
Aは、=N−−又は=CH−−であり;
Arは、ハロゲン、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ニトロ、シアノ、パーフルオロヒドロカルビル、トリフルオロメチルヒドロカルビル、パーフルオロヒドロカルビルオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ヒドロキシカルボニル、アリールオキシ、アリールチオ、スルフォニル又はスルフォキシドからなる群から選択される一つ又はそれより多い置換基により任意に置換されたアリール基であり、但し、硫黄上の置換基はヒドロカルビル、スルフォニルアミドであり、
但し、スルフォナミド窒素原子上の置換基は、ヒドリド又はヒドロカルビル、アリールアミノ、アリールヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシカルボニル−ヒドロカルビル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシカルボニル−ヒドロカルビル、ヘテロシクロチオ、ヘテロシクロアミノ、シクロヒドロカルビルオキシ、シクロヒドロカルビルチオ、ヘテロアリールヒドロカルビルキシ、ヘテロアリールヒドロカルビルチオ、ヘテロアリールヒドロカルビルアミノ、アリールヒドロカルビルオキシ、アリールヒドロカルビルチオ、アリールヒドロカルビルアミノ、複素環(heterocyclic)、ヘテロアリール、ヒドロキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビロイル、アリールカルボニル、アリールヒドロカルビロイル、ヒドロカルボイルオキシ(hydrocarboyloxy)、アリールヒドロカルボイルオキシ、ヒドロキシヒドロカルビル、ヒドロキシヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビル、ヒドロカルビルヒドロキシカルボニルヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、シクロヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルカルボニルアミノ、アリールヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルスルフォニルアミノ、アリールスルフォニルアミノ、アリールヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルスルフォニルアミノ、シクロヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルスルフォニルアミノ、N−モノ置換されたか又はN,N−ジ置換されたアミノヒドロカルビル基であり、
但し、アミノヒドロカルビル窒素原子上の置換基は、ヒドロカルビル、アリール、アリールヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アリールヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、及びヒドロカルボイルからなる群から選択されるか、又は、アミノヒドロカルビル窒素及びそれらに結合した2つの置換基が5−又は8−員環複素環又はヘテロアリール環基、アミノ、及びN−モノ置換されたか又はN,N−ジ置換されたアミノ基を形成し、
但し、アミノ窒素上の置換基は、ヒドリド、ヒドロカルビル、アリール、アリールヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アリールヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルボイル、アリールスルフォニル、及びヒドロカルビルスルフォニルからなる群から選択されるか、又はアミノ窒素及びそれらに結合した2つの置換基が5−又は8−員環複素環又はヘテロアリール環基を形成し;
Zは、ヒドリド、ヒドロカルビル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アジド、ヒドロカルビルスルフォニル、カルボニルオキシヒドロカルビル、カルボニルアミド、及び−−X−−Y
(式中、
−−Xは、−−O,−−S又は−−NOであり;
−−Yは、ヒドリド、ヒドロカルビル又はヒドロキシヒドロカルビルである)
からなる群から選択され;
Qは、ヒドリド、ヒドロカルビル、ヒドロキシルヒドロカルビルアリール,2−,3−,又は4−ピリジルヒドロカルビル、又はアリールヒドロカルビルであり;
は、アジド、ヒドリド、ヒドロカルビル、アミド、ヒドロカルビルアミノ、ハロヒドロカルビル、パーハロヒドロカルビル、及びハロゲン、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ニトロ、シアノ、パーフルオロヒドロカルビル、トリフルオロメチルヒドロカルビル、ヒドロキシ、メルカプト、ヒドロキシカルボニル、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、アリールヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシカルボニルヒドロカルビル、ヘテロシクロチオ、ヘテロシクロアミノ、シクロヒドロカルビルオキシ、シクロヒドロカルビルチオ、シクロヒドロカルビルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルオキシ、ヘテロアリールヒドロカルビルチオ、ヘテロアリールヒドロカルビルアミノ、アリールヒドロカルビルオキシ、アリールヒドロカルビルチオ、アリールヒドロカルビルアミノ、複素環(heterocyclic)、ヘテロアリール、ヒドロキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、アルコキシカルボニルアルコキシ、ヒドロカルビロイル、アリールカルボニル、アリールヒドロカルビロイル、ヒドロカルボイルオキシ(hydrocarboyloxy)、アリールヒドロカルボイルオキシ、ヒドロキシヒドロカルビル、ヒドロキシヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシ−カルボニルヒドロカルビル、ヒドロカルビルヒドロキシカルボニル−ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルチオ、アミノ、ヒドロカルビルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、シクロヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルカルボニルアミノ、アリールヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルスルフォニルアミノ、アリールスルフォニルアミノ、アリールヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルスルフォニルアミノ、シクロヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルスルフォニルアミノ及びN−モノ置換されたか又はN,N−ジ置換されたアミノヒドロカルビル基からなる群から選択される一つ又はそれより多い置換基により任意に置換されたアリール置換基からなる群から選択され、
但し、アミノ−ヒドロカルビル窒素原子上の置換基は、ヒドロカルビル、アリール、アリールヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アリールヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、及びヒドロカルボイルからなる群から選択されるか、又はアミノヒドロカルビル窒素及びそれらに結合した2つの置換基が5−又は8−員環複素環又はヘテロアリール環基を形成し;そして
は、アジド、ヒドリド、ヒドロカルビル、アミド、ハロヒドロカルビル、パーハロヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、N−ピペラジニルカルボニル、アミノカルボニル、ピペラジニル、及びハロゲン、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ニトロ、シアノ、パーフルオロヒドロカルビル、トリフルオロメチルヒドロカルビル、ヒドロキシ、メルカプト、ヒドロキシカルボニル、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、アリールヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシカルボニルヒドロカルビル、ヘテロシクロチオ、ヘテロシクロアミノ、シクロヒドロカルビルオキシ、シクロヒドロカルビルチオ、シクロヒドロカルビルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルオキシ、ヘテロアリールヒドロカルビルチオ、ヘテロアリールヒドロカルビルアミノ、アリールヒドロカルビルオキシ、アリールヒドロカルビルチオ、アリールヒドロカルビルアミノ、複素環(heterocyclic)、ヘテロアリール、ヒドロキシカルボニル−ヒドロカルビルオキシ、アルコキシカルボニルアルコキシ、ヒドロカルビロイル、アリールカルボニル、アリールヒドロカルビロイル、ヒドロカルボイルオキシ(hydrocarboyloxy)、アリールヒドロカルボイルオキシ、ヒドロキシヒドロカルビル、ヒドロキシヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル−ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビル、ヒドロカルビルヒドロキシカルボニル−ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニルヒドロカルビルチオ、アミノ、ヒドロカルビルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、シクロヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルカルボニルアミノ、アリールヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルスルフォニルアミノ、アリールスルフォニルアミノ、アリールヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、ヘテロアリールヒドロカルビルスルフォニルアミノ、シクロヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヘテロシクロヒドロカルビルスルフォニルアミノ及びN−モノ置換されたか又はN,N−ジ置換されたアミノヒドロカルビル基からなる群から選択される一つ又はそれより多い置換基により任意に置換されたアリール基からなる群から選択され、
但し、アミノヒドロカルビル窒素原子上の置換基は、ヒドロカルビル、アリール、アリールヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アリールヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、及びヒドロカルボイルからなる群から選択されるか、又はアミノヒドロカルビル窒素及びそれらに結合した2つの置換基が5−又は8−員環複素環又はヘテロアリール環基を形成し;そして
但し、Aが、=CH−−であり、そしてZはヒドリド、ヒドロカルビル、ハロゲン、又はヒドロカルボイルであるとき;
1)Arは、ヒドリド、ハロゲン、ヒドロカルビル、パーフルオロヒドロカルビルオキシ、ニトロ、パーフルオロヒドロカルビル、アミノ、アミノスルフォニル、ハロヒドロカルビルオキシヒドロカルビル、ヒドロキシ、ヒドロカルビルスルフォニルアミノ、ヒドロカルビルスルフォニル、アセチルアミノ、カルボニルヒドロカルビルアミノ、パーフルオロヒドロカルビルスルフォニル、ヒドロカルビルアミノ、カルボニルモノ置換されたアミノ、カルボニル、ヒドロカルビルチオ、ヒドロキシヒドロカルビル、アリールヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルオキシアリールヒドロカルビル、ハロヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシヒドロカルビルからなる群から選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されたアリール基であるか;又は
2)Rは、ヒドリド、ヒドロカルビル、アリール、ハロアリール、シアノアリール、ヒドロキシアリール、ヒドロカルビルアリール、シアノ、パーフルオロヒドロカルビル、ヒドロキシヒドロカルビル、アリールヒドロカルビル、カルボキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルボイルヒドロカルビル、アミノカルボニル、アリールヒドロカルビル−ヒドロカルボイル−ヒドロカルビルモノ置換されたアミノカルボニル、ヒドロカルビル−ヒドロカルボイル−ヒドロカルビルモノ置換されたアミノカルボニル、ヒドロカルビル−ヒドロカルビルヒドロカルボイル−ヒドロカルビルモノ置換されたアミノカルボニル、ヒドロカルビル−ヒドロキシ−ジ置換されたアミノカルボニルヒドロカルビル、又は窒素原子で置換された6員環ヘテロアリール基以外であるか;又は
3)Rは、ヒドリド、カルボキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ハロゲン又はアリール以外である。
【0162】
実施例12
いくつかの態様において、上記化合物は、米国特許出願第20020198214号に記載された構造(構造11):
【0163】
【化21】

【0164】
及びその薬学上受容可能な塩、又はその薬学組成物を有し、
式中、
Arは、0−5非干渉置換基により置換されたアリール基であり、但し、2つの隣接する非干渉置換基が融合された芳香族又は非芳香族環を形成することができ;
及びLはリンカーであり;
各Rは、別個に非干渉置換基であり;
は、CR又はNであり、式中、Rは水素又は非干渉置換基であり;mは0−4であり;
n及びpの各々は、0−2の整数であり、但し、nとpの合計は0−3であり;
Arは、実質上二次元であるか、単環式であるか、又は多環式芳香族モイエティであり、一つ又はそれより多い任意の環状ヘテロ原子を有し、上記モイエティは任意に一つ又はそれより多い非干渉置換基により置換されており、その2つ又はそれより多くが融合環を形成してよく;
Zは、−−W−−COXYであり、式中、YはCOR又はその等量式であり;Rは非干渉置換基であり、WとXの各々は2−6オングストロームのスペーサーであり、そしてiとjの各々は別個に0又は1であり;
但し、Lに結合したArの原子をLに結合したArの原子に対して分離する上記化合物中の共有結合の最小数が少なくとも6であり、但し、上記結合の各々は1.2から2.0オングストロームの結合長であり;及び/又は、Lに結合したArの原子とLに結合したArの原子の間の空間の距離が4.5−24オングストロームであり;
但し、Ar−−Zにより表される化合物の一部はなく、
但し、一重又は二重結合を表し;nは0−3であり;一つのZはCA又はCRAであり、そして他方がCR,CR,NR又はNであり;Aは−−W−−COXYであり、式中、YはCOR又はその等量式であり、WとXの各々は2−6オングストロームのスペーサーであり、そしてiとjの各々は別個に0又は1であり;ZはNR又はOであり;そして各Rは別個イン水素又は非干渉置換基である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1A−Dは、HIV−1がヒトPBMCsにおいてアポトーシスを誘導すること、及びそのようなアポトーシスがp38 MAPキナーゼ阻害剤により阻害されることを示すデータを示す。アネキシンV−FITC染色された細胞のFACS分析を、HIV−1 89.6(図1A)又は示されとおりに異なるクレード(clade)特異的初期ウイルス単離物を有するpNL4−3(図1B又は1C)の何れかに感染した細胞上で行った。細胞を、未感染の偽(uninfected mock)、HIV−1ウイルスを感染、ウイルスを感染、そして1μMのSB203580で処理するか、又はウイルスを感染させ、そして1μMのCpd4阻害剤で処理した。細胞を、材料と方法に記載されるとおりに、感染及び特異的阻害剤の処理の4日後に回収し、そして次にアネキシンV−FITCで染色した。パネルに示すナンバーはパーセントアネキシンV陽性を示す。p38阻害剤によるアポトーシスの顕著な阻害が現れる。図1Dは、p38 MAPキナーゼブロックカスパーゼ3活性の選択的阻害剤を示すデータを示す。細胞溶解物を感染細胞から調製した。各細胞溶解物からの100μgの蛋白質を、材料と方法に記載されるとおりに、発色プロテアーゼアッセイに使用した。各カラムは、3つの個別の実験における3つのサンプルからの結果の平均標準偏差を表す。グループを、偽(未感染)、ウイルス感染、ウイルス感染+Cpd4及びウイルス感染+SB203580で試験した。
【図2】図2A−2Cは、HIV感染がFasL発現をアップ制御すること、及びFasL発現がp38阻害剤により阻害されることを示す。図2Aは、偽又はHIV感染細胞(89.6又はpNL4−3ウイルス)又はPBMCs及び又はジュルカットT細胞におけるFasL発現のフローサイトメトリーからのデータを示す。図2Bは、1μMのCpd4存在下での偽感染又はHIV感染ジュルカット細胞におけるFasL発現のデータを示す。図2Cは、1μMのCpd4存在下での偽感染又はHIV感染PBMCsにおけるFasL発現のデータを示す。細胞を感染2日後に回収し、そして抗−FasL抗体(NOK−1)PEにより染色した。データは、研究された3人の異なるドナーによる3つの異なる実験の代表である。
【図3】図3A及び3Bは、個々のHIV−1遺伝子によるFasL発現の誘導の比較からのデータを示す。ジュルカットT細胞について、20μgのpCDNA 3.1(偽)、pCDNA−Env,pCDNA−Tat,pCDNA−Vpr又はpCDNA−Nefプラスミドによりエレクトロポレーションを行った。トランスフェクションの48時間後に、FasL発現の表面レベルを、FasL特異的抗体(NOK−1)による染色の後に、フローサイトメトリーにより測定した。図3Bは、FasLのNef誘導がCpd4により高度に抑圧されることを示す。満たされたヒストグラムはFasL発現レベルを表し、そして点線はIgGアイソタイプ対照を表す。
【図4】図4A−4Cは、Nef構築物、発現及び効果に関するデータを示す。図4Aは、HIV−1 pNL4−3プロウイルスの発現構築物の模式的表示を示す。pNL4−3 wt又はpNL4−3フレームシフト(5’Nef)。図4Bは、プロウイルス構築物のNef発現分析からのデータを示す。HIV−1プロウイルス構築物pNL4−3 wt又はpNL4−3 Nef(−)をトランスフェクトされた細胞から、又はNefをコードするプラスミドpCNefをトランスフェクトされた細胞から又は野生型89.6ウイルスを感染させた細胞からの細胞溶解物を、12%のSDS−PAGEにより分離し、そして次にニトロセルロースフィルター上に転写した。溶解物HIV Nef特異的を抗結成により釣り上げた。図4Cは、pNL4−3 Wt又はpNL4−3/デルタNefの培養上清中のp24レベルを測定することにより感染後のウイルス生産を測定したデータを示す。示されたデータは、感染96時間後の測定値を反映する。
【図5】図5は、ヒトPBMCs中のNef陽性ウイルスによるFasLの誘導を研究する実験からのデータを示す。細胞(1x10細胞)にpNL4−3 Wt又はpNL4−3デルタNefビリオンを感染させ、そして次に感染細胞を示されたとおりに1μMのCpd4化合物で処理した。感染及び処理の2日後に、等しい数の細胞(1x10)をp24発現に関して研究し、そしてp24gag−FITC又はCD95L−APCのそれらの発現をプロットした。これらの実験は3回繰り返され、そして類似の結果が得られた。FasLのNef陽性ウイルス誘導は、Cpd4により1μMの濃度において完全に阻害される。
【図6】図6A及び6Bは、本明細書中及び以下の様々な実験からのデータを示す。図6Aは、CD14マクロファージがナイーブな患者から調製されて、刺激されて、そして次に89.6ウイルス(100 TCID50/1x10細胞/ml)を感染させ、洗浄し、そして3日間インキュベートし、そして次に自己CD8T細胞と混合された実験からのデータを示す。12時間後に、細胞をアネキシンVにより染色し、そしてCD8集団中のアポトーシス誘導を研究した(パネルiv)。フローサイトメトリーにより検出されたとおり、CD8T細胞のアポトーシスが誘導された。図6Bは、未感染(i)及びHIV感染(ii)自己マクロファージを図6Aにおけるように調製し、そしてポリスチレンラテックスビーズにより刺激し、そして中和性抗−FasL抗体の存在下で精製された未感染CD8T細胞か又は1μMのCpd4とインキュベートして一晩インキュベートされた実験からのデータを示す。材料と方法に記載されるとおりに、細胞を次に回収し、そしてアネキシンVに関して染色した。各四角形の値はアネキシンV発現を%にて表す。実験を2回繰り返したところ、類似の結果を得た。
【図7】図7A−7Dは、Nef及びNef+Cpd4による効果を比較するデータを示す。HIV Nefは、Cpd4により阻害され得る転写因子を活性化する。ジュルカットT細胞に、AP−1(図7A)又はNF−κB(図7B)依存性リポータープラスミド(1μg)及びNefプラスミド(1μg)をトランスフェクトし、そして示されるとおりに、Cpd4(1μM)により処理したか又はしなかった。細胞を24時間後に回収し、そしてルシフェラーゼ活性に関してアッセイした。結果を、対照のトランスフェクトされたβ−galレベルに対して標準化した。実験を3回実施したが、類似の結果であった。Nef活性化の生化学を図7Cに示す。細胞を上記のとおりに処理し、そして次にp38活性化に関して分析した。全蛋白質を材料と方法に記載されるとおりに抽出し、そして蛋白質定量のために上旬化された12%SDS−PAGEゲル上で解析した。ゲル調製の後に、ゲルをフィルターに移し、そして抗p38又はホスホp38抗体を用いて免疫ブロットした。Nefはp38のリン酸化及び活性化を誘導し、そしてこの活性化はp38阻害剤によりブロックされ得る。同様に処理された細胞の核抽出物をc−Jun活性化に関して分析した。p38経路によるように、Nefはc−Junの強い活性化を誘導し、Cpd4によりブロックされ得る(図7D)。
【図8】図8は、Cpd4及びSB203580の構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIVに感染したと同定された人を治療する方法であって、FasL発現を阻害するのに有効な量のp38阻害剤をその人に投与する工程を含む方法。
【請求項2】
p38阻害剤がHIVの複製を阻害するのに有効な量にて投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
T細胞の活性化を阻害することなしにHIVの複製を阻害するのに有効な量にてp38阻害剤が投与される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
p38阻害剤が、1mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項1乃至3の何れか1項記載の方法。
【請求項5】
p38阻害剤が、0.1mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項1乃至4の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
p38阻害剤が、0.05mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項1乃至5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
p38阻害剤が、0.01mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項1乃至6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
p38阻害剤が、4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである、請求項1乃至7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
p38阻害剤と共に、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項1乃至8の何れか1項記載の方法。
【請求項10】
p38阻害剤と共に、融合阻害剤(即ち、エンフビルチド(enfuvirtide))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs,即ち、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIs,即ち、アバカビル、アバカビル、ラミブジン、及びジドブジンの組み合わせ、ジダノシン、ラミブジン、ラミブジンとジドブジンの組み合わせ、スタブジン、テノフォビルDF、ザルシタビン、ジドブジン)、プロテアーゼ阻害剤(即ち、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビルとニトナビルの組み合わせ、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、インビラーゼ)からなる群から選択される、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項1乃至9の何れか1項記載の方法。
【請求項11】
HIV感染細胞内のFasL発現を阻害する方法であって、当該細胞においてFasL発現を阻害するのに十分な量のp38阻害剤をHIV感染細胞に送達する工程を含む、方法。
【請求項12】
p38阻害剤がHIV複製を阻害するのに十分な量にて送達される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
p38阻害剤がT細胞活性化を阻害しないp38阻害剤である、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
p38阻害剤が、4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである、請求項11乃至13の何れか1項記載の方法。
【請求項15】
HIVに暴露された疑いのある人を治療する方法であって、FasL発現を阻害するのに有効な量のp38阻害剤をその人に投与する工程を含む方法。
【請求項16】
p38阻害剤がHIVの複製を阻害するのに有効な量にて投与される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
T細胞の活性化を阻害することなしにHIVの複製を阻害するのに有効な量にてp38阻害剤が投与される、請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
p38阻害剤が、1mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項15乃至17の何れか1項記載の方法。
【請求項19】
p38阻害剤が、0.1mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項15乃至18の何れか1項記載の方法。
【請求項20】
p38阻害剤が、0.05mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項15乃至19の何れか1項記載の方法。
【請求項21】
p38阻害剤が、0.01mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項15乃至20の何れか1項記載の方法。
【請求項22】
p38阻害剤が、4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである、請求項15乃至21の何れか1項記載の方法。
【請求項23】
p38阻害剤と共に、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項15乃至22の何れか1項記載の方法。
【請求項24】
p38阻害剤と共に、融合阻害剤(即ち、エンフビルチド(enfuvirtide))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs,即ち、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIs,即ち、アバカビル、アバカビル、ラミブジン、及びジドブジンの組み合わせ、ジダノシン、ラミブジン、ラミブジンとジドブジンの組み合わせ、スタブジン、テノフォビルDF、ザルシタビン、ジドブジン)、プロテアーゼ阻害剤(即ち、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビルとニトナビルの組み合わせ、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、インビラーゼ)からなる群から選択される、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項15乃至23の何れか1項記載の方法。
【請求項25】
FasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害する化合物を同定する方法であて、
a)Nefを発現する細胞を試験化合物に接触させるが、但し、Nefが当該試験化合物の不在下で上記細胞内でFasL発現をアップ制御し;
b)FasL発現のレベルを測定し;そして
c)当該レベルを、試験化合物不在下での上記細胞内でのFasL発現のレベルと比較し、試験化合物存在下でのFasL発現の減少がFasL発現のNef媒介性アップ制御を示唆する
工程を含む試験アッセイを実施することを含む方法。
【請求項26】
陰性対照アッセイをさらに含む請求項25記載の方法であって、当該陰性対照アッセイは、工程:
a)Nefを発現する細胞を、FasL発現のNefアップ制御に作用する如何なる物質も含まない組成物に接触させるが、但し、Nefを発現する上記細胞内でのFasL発現は、Nefの発現前の当該細胞内のFasL発現よりも低く;
b)FasL発現のレベルを測定し;そして
c)上記陰性対照アッセイにおけるFasL発現のレベルを、上記試験アッセイにおけるFasL発現のレベルに対して比較するが、
但し、試験アッセイに対しての、陰性対照アッセイにおけるFasL発現の高いレベルが、上記試験化合物がFasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害することを示唆する、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
陽性対照アッセイをさらに含む請求項25又は26記載の方法であって、当該陽性対照アッセイは、工程:
a)Nefを発現する細胞を、FasL発現のNefアップ制御を阻害することが知られている化合物に接触させるが、但し、Nefを発現する上記細胞内でのFasL発現は、Nefの発現前の当該細胞内のFasL発現よりも低く;
b)FasL発現のレベルを測定し;そして
c)上記陽性対照アッセイにおけるFasL発現のレベルを、上記試験アッセイにおけるFasL発現のレベルに対して比較するが、
但し、試験アッセイにおけるFasL発現のレベルが陽性対照アッセイにおけるFasL発現のレベルと同等であることが、上記試験化合物がFasL発現のNef媒介性アップ制御を阻害することを示唆する、
請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
HIVに感染したと同定された人を治療する方法であって、T細胞活性化を阻害することなしに、HIV複製を阻害するのに有効な量のp38阻害剤をその人に投与する工程を含む方法。
【請求項29】
p38阻害剤が、1mMより低い濃度において、HIV複製を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてHIV複製を少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項28項記載の方法。
【請求項30】
p38阻害剤が、0.1mMより低い濃度において、HIV複製を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてHIV複製を少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項28又は29項記載の方法。
【請求項31】
p38阻害剤が、0.05mMより低い濃度において、HIV複製を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてHIV複製を少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項28乃至30の何れか1項記載の方法。
【請求項32】
p38阻害剤が、0.0mMより低い濃度において、HIV複製を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてHIV複製を少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項28乃至31の何れか1項記載の方法。
【請求項33】
p38阻害剤が、4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである、請求項28乃至32の何れか1項記載の方法。
【請求項34】
p38阻害剤と共に、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項28乃至33の何れか1項記載の方法。
【請求項35】
p38阻害剤と共に、融合阻害剤(即ち、エンフビルチド(enfuvirtide))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs,即ち、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIs,即ち、アバカビル、アバカビル、ラミブジン、及びジドブジンの組み合わせ、ジダノシン、ラミブジン、ラミブジンとジドブジンの組み合わせ、スタブジン、テノフォビルDF、ザルシタビン、ジドブジン)、プロテアーゼ阻害剤(即ち、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビルとニトナビルの組み合わせ、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、インビラーゼ)からなる群から選択される、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項28乃至34の何れか1項記載の方法。
【請求項36】
HIV感染細胞においてHIVの複製を阻害する方法であって、HIV複製を阻害するのに十分な量のp38阻害剤を上記HIV感染細胞に送達する工程を含み、但し、p38阻害剤はT細胞活性化を阻害しないp38阻害剤である、方法。
【請求項37】
p38阻害剤が、4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
HIVに暴露された疑いのある人を治療する方法であって、T細胞の活性化を阻害することなしにHIVの複製を阻害するのに有効な量にてp38阻害剤を投与する工程を含む、方法。
【請求項39】
p38阻害剤が、1mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項38項記載の方法。
【請求項40】
p38阻害剤が、0.1mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項38又は39記載の方法。
【請求項41】
p38阻害剤が、0.05mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項38乃至40の何れか1項記載の方法。
【請求項42】
p38阻害剤が、0.01mMより低い濃度において、FasL発現を測定するためのインビトロアッセイにて50%より多い細胞においてFasL発現レベルを少なくとも50%阻害するのに有効である、請求項38乃至41の何れか1項記載の方法。
【請求項43】
p38阻害剤が、4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ピリジンである、請求項38乃至42の何れか1項記載の方法。
【請求項44】
p38阻害剤と共に、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項38乃至43の何れか1項記載の方法。
【請求項45】
p38阻害剤と共に、融合阻害剤(即ち、エンフビルチド(enfuvirtide))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs,即ち、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIs,即ち、アバカビル、アバカビル、ラミブジン、及びジドブジンの組み合わせ、ジダノシン、ラミブジン、ラミブジンとジドブジンの組み合わせ、スタブジン、テノフォビルDF、ザルシタビン、ジドブジン)、プロテアーゼ阻害剤(即ち、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビルとニトナビルの組み合わせ、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、インビラーゼ)からなる群から選択される、一つ又はそれより多い他の抗−HIV化合物を人に投与する工程をさらに含む、請求項38乃至44の何れか1項記載の方法。
【請求項46】
p38経路を阻害する化合物をスクリーニングする方法であって、
a)Nefを発現する細胞を試験化合物に接触させるが、但し、Nefが当該試験化合物の不在下で上記細胞内でFasL発現をアップ制御し;
b)FasL発現のレベルを測定し;そして
c)当該レベルを、試験化合物不在下での上記細胞内でのFasL発現のレベルと比較するが、
但し、試験化合物存在下でのFasL発現の減少がp38経路の阻害を示唆する
工程を含む試験アッセイを実施することを含む方法。
【請求項47】
化合物がp38活性を阻害するか否かを決定するために、FasL発現の阻害剤として同定された化合物をp38阻害アッセイにおいてさらにスクリーニングする、請求項46記載の方法。
【請求項48】
陰性対照アッセイをさらに含む請求項46又は47記載の方法であって、当該陰性対照アッセイは、工程:
a)Nefを発現する細胞を、FasL発現のNefアップ制御に作用する如何なる物質も含まない組成物に接触させるが、但し、Nefを発現する上記細胞内でのFasL発現は、Nefの発現前の当該細胞内のFasL発現よりも低く;
b)FasL発現のレベルを測定し;そして
c)上記陰性対照アッセイにおけるFasL発現のレベルを、上記試験アッセイにおけるFasL発現のレベルに対して比較するが、
但し、試験アッセイに対しての、陰性対照アッセイにおけるFasL発現の高いレベルが、上記試験化合物がp38経路を阻害することを示唆する、
請求項46又は47記載の方法。
【請求項49】
陽性対照アッセイをさらに含む請求項46乃至48の何れか1項記載の方法であって、当該陽性対照アッセイは、工程:
a)Nefを発現する細胞を、FasL発現のNefアップ制御を阻害することが知られている化合物に接触させるが、但し、Nefを発現する上記細胞内でのFasL発現は、Nefの発現前の当該細胞内のFasL発現よりも低く;
b)FasL発現のレベルを測定し;そして
c)上記陽性対照アッセイにおけるFasL発現のレベルを、上記試験アッセイにおけるFasL発現のレベルに対して比較するが、
但し、試験アッセイにおけるFasL発現のレベルが陽性対照アッセイにおけるFasL発現のレベルと同等であることが、上記試験化合物がp38経路を阻害することを示唆する、
請求項46乃至48の何れか1項記載の方法。
【請求項50】
異なる試験アッセイを上記化合物で実施することによりp38阻害活性を決定する工程をさらに含む、請求項46乃至49の何れか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−527197(P2006−527197A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515187(P2006−515187)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017696
【国際公開番号】WO2005/000405
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】