説明

表面処理粉体及びその製造方法並びにそれを含有する化粧料

【課題】撥水性、撥油性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な表面処理粉体及びこの表面処理紛体を安価かつ簡単な操作で製造すること、並びにこの表面処理粉体を配合した化粧料を提供することにある。
【解決手段】一般式(1)又は(2)のパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物によって基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体、また、前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物とそれ以外の既存の表面処理剤、好ましくはパーフルオロポリエーテルリン酸エステルによって基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体、更には上記表面処理粉体の製造方法、及びこの表面処理粉体を配合した化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水性、撥油性に優れ、且つ使用感に優れた表面処理粉体および該粉体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メーキャップ化粧料、日焼け止め化粧料、マスカラ、ネイルエナメル、口紅などの化粧料には、化粧料用粉体として様々な粉体が用いられている。汗、涙、雨、戸外でのスポーツ、海水浴などによる化粧崩れの防止、また衣服や容器などへの色移り防止など、その使用目的に合わせて、撥水性、撥油性をもたせるための表面処理に関する多くの検討がなされており、シリカコートを施した粉体を用いる方法、各種シリコーン誘導体で表面処理した粉体を用いる方法、パーフルオロ基を有する表面処理剤により表面処理をした撥水撥油性を有する粉体を用いる方法などが提案されている。
【0003】
パーフルオロアルキル基を有する表面処理剤により表面処理した粉体については、パーフルオロアルキルリン酸により処理する方法が知られている(特許文献1)。また、パーフルオロアルキルリン酸により処理した粉体は伸びが悪い、粉っぽい、皮膚への付着性に乏しいなどという理由から、他の表面処理剤と併用して処理した粉体を利用する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特定のパーフルオロアルキル基については安全性の問題があるため懸念されていることから、その代替となる紛体の表面処理剤が求められている。
【0004】
それを解決する方法の一つとして、パーフルオロポリエーテル鎖を有する表面処理剤が検討されている。パーフルオロポリエーテル鎖を有する表面処理剤で処理した粉体としては、パーフルオロポリエーテルリン酸エステルで処理された粉体及びそれを含有する化粧料(特許文献3〜4)が報告されている。パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物で処理した紛体としては、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物で処理した紛体(特許文献5)が報告されている。しかしながら、これらの表面処理剤を利用した紛体は、撥水撥油性などの面で十分のものではなく、皮膚への付着性や感触の点からも十分満足できるものではない。また、安価かつ簡単な操作で表面処理できる表面処理剤で製造した表面処理紛体も望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−112915号公報
【特許文献2】特開2009−269866号公報
【特許文献3】特開2000−128737号公報
【特許文献4】特開2000−309509号公報
【特許文献5】特開2008−214229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、撥水性、撥油性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な表面処理粉体及びこの表面処理紛体を安価かつ簡単な操作で製造すること、並びにこの表面処理粉体を配合した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、本課題に対し、鋭意研究を行った結果、一般式(1)又は一般式(2)のパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物を基材粉体の表面処理剤として利用することにより、安価かつ簡単な操作にて基材粉体を表面処理することができること、更に、この表面処理粉体は撥水性、撥油性に優れるため汗や皮脂による化粧くずれを防止できること、また、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好であることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕一般式(1)又は一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物で基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体を提供するものである。
T−Rf−CFY−L−W (1)
W−L−CFY−O−Rf−CFY−L−W (2)
(式中、Lは−CH−(OCHCH−、−CO−NR−(CH−又は−COO−(CH−を示し、RはH又はC1〜4のアルキル基、nは0〜8の整数、pは1〜8の整数である。YはF又はCFを示す。Wは−Si(R(OR(3−a)を示し、aは0〜2の整数であり、R、Rはそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。Rfは平均分子量が350〜8000のパーフルオロポリエーテル鎖であり、単位、(CFO)、(CF(CF)O)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)、(CRCFCFO)から選択され、R、Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Tは1〜2個のフッ素原子が水素原子及びハロゲン原子からなる群から選択される1種以上で置換されていてもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。)
【0009】
なお、本発明で使用するパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物において、より好ましくは、Rfが−(CFO)−(CFCFO)−であり、cが1〜25の整数、dが1〜100の整数であり(更に好ましくはcが1〜10の整数、dが1〜60の整数である)、c/dが0.5〜3であり、前記基材粉体100質量部に対して、前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物の被覆量が0.5〜40質量部である。
【0010】
また、本発明は、
〔2〕次の(A)成分及び(B)成分より被覆した表面処理粉体であって、前記基材粉体100質量部に対して、(A)と(B)の合計量が0.5〜40質量部であることを特徴とする表面処理粉体を提供するものである。
(A)前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物
(B)パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン、PEG8トリフルオロプロピルジメチコンコポリマー、反応性オルガノポリシロキサン、有機チタネート、アミノ変性シリコーン水添レシチン及び/又はその塩類、アシル化アミノ酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上の化合物
【0011】
なお、前記(A)成分と(B)成分の比率(質量比)が、10/90〜99/1が好ましく、より好ましくは40/60〜90/10である。そして、(B)成分のうち、より好ましい成分はパーフルオロポリエーテルリン酸エステルである。
【0012】
また、本発明は、
〔3〕前記表面処理粉体を製造する方法であって、製造工程において用いる溶媒が、低極性の非プロトン性溶媒であることを特徴とする表面処理粉体の製造方法を提供するものである。
【0013】
なお、低極性の非プロトン性溶媒としては、誘電率(ε)が15以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、
〔4〕前記表面処理粉体又は前記製造方法により得られる表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、撥水性、撥油性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好で、かつ、安全性の問題の懸念がない表面処理粉体を安価かつ簡単な操作で製造し、提供することができる。本発明の表面処理紛体は従来の撥水撥油性粉体とは異なり、化粧品で用いられる種々の粉体との混和性にも優れており、容易に感触に優れた高機能な化粧料を提供することができる。具体的には、汗や水などによる化粧崩れがおこりにくいメーキャップ化粧料や紫外線防御用化粧料、容器や衣服などに色移りしにくい口紅やファンデーションなどの化粧料を提供することができる。
【0016】
なお、(A)成分である前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物と、(B)成分、より好ましくは、パーフルオロポリエーテルリン酸エステルとにより処理した表面処理粉体は、(A)成分単独で処理した表面処理粉体の利点はそのままに、より優れた撥水撥油性が発揮されることから、両成分により被覆した表面処理粉体及びそれを用いた化粧料は、より好ましい効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の表面処理粉体について詳述する。
【0018】
本発明に係わるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物は、一般式(1)又は一般式(2)で表される。
T−Rf−CFY−L−W (1)
W−L−CFY−O−Rf−CFY−L−W (2)
(式中、Lは−CH−(OCHCH−、−CO−NR−(CH−又は−COO−(CH−を示し、RはH又はC1〜4のアルキル基、nは0〜8の整数、pは1〜8の整数である。YはF又はCFを示す。Wは−Si(R(OR(3−a)を示し、aは0〜2の整数であり、R、Rはそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。Rfは平均分子量が350〜8000のパーフルオロポリエーテル鎖であり、(CFO)、(CF(CF)O)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)、(CRCFCFO)から選択され、R、Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Tは1〜2個のフッ素原子が水素原子及びハロゲン原子からなる群から選択される1種以上で置換されていてもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。)
【0019】
本発明に係るパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物におけるRf(パーフルオロポリエーテル部)は、パーフルオロアルキレン又はパーフルオロアルキル基と結合しているエーテル酸素が少なくとも2以上有するパーフルオロポリエーテルの繰り返し単位から誘導されるが、Rfが−(CFO)−(CFCFO)−であり、cは1〜25の整数、dは1〜100の整数であることが好ましく、更に好ましくはcは1〜10の整数、dは1〜60の整数である。c/dは0.5〜3であることが好ましい。
【0020】
本発明に係るパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物を構成するRf(パーフルオロポリエーテル部)の分子量は350以上であり、上限は概ね8000程度であり、より好ましくは、分子量350〜5000、更に好ましくは350〜3000である。分子量が350以上であれば基材粉体に対する撥水性、撥油性の付与を十分におこなうことができ、8000程度までであれば粘度が非常に大きくなることもなく取扱い易い。
【0021】
なお、パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物を構成するRf(パーフルオロポリエーテル部)は、2種以上のパーフルオロオキシアルキレン鎖を含有するが、それぞれ同種のものが専属重合している場合に限るものではなく、ランダム重合或いはブロック重合でも構わない。
【0022】
本発明に係わるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物のWにおける、R、Rはそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
【0023】
本発明に係るパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物の性状は、パーフルオロエトキシメトキシフルオロメチル鎖の分子量に依存して常温で高粘性の液体〜固体を呈し、ヘキサン、ヘプタン、灯油、などの無極性溶媒、イソプロピルアルコールなど多くの溶媒に溶解又は分散する。
【0024】
本発明に用いられるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物は、例えば、米国特許第4094911号公報、米国特許第4818619号公報に準じた方法で合成することができる。また、市販品を用いることもでき、例えば、ソルベイソレクシス社のFluorolink S10(二官能性パーフルオロポリエーテルシランは、以下の式を有する:(CO)Si(CHHNOC−CFO(CFCFO)m(CFO)nCF−CONH(CHSi(OC が挙げられる。
【0025】
上記市販品は、前処理することなくそのまま利用することもできるし、これらの市販品を精製して不純物を取り除いたものを用いることもできる。精製方法としては、特に限定されるものではないが、例えばこれらの市販品を酸又はアルカリにて析出させて過熱処理し、次いで中和処理をおこない水洗ろ過を繰り返して乾燥、粉砕させることでこの目的を達することができる。
【0026】
また、前記基材粉体100質量部に対して、前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物の被覆量は、特に限定されるものではないが、0.5〜40質量部であること好ましく、より好ましくは1〜10質量部であり、更に好ましくは、1〜5質量部である。
【0027】
本発明に用いられるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物で処理した基材粉体が、従来用いられてきたパーフルオロポリエーテル鎖の化合物で処理した基材粉体よりも撥水撥油性、付着性及び感触において優れた効果を発揮する詳細なメカニズムについては明らかになっていないが、本発明に用いられるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物は、シラン化合物同士が縮合して、マトリックス状のフィルムを形成するため、従来用いられていたパーフルオロポリエーテル鎖の化合物よりも効率的に基材粉体表面を被覆させることができるため、それらの効果が発揮されるものと思われる。
【0028】
本発明で、パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物はで処理される基材粉体としては、従来化粧料用粉体として用いられている粉体であれば特に制限されず、例えば、次のような基材粉体が挙げられる。これらの基材粉体は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
【0029】
酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化クロム、群青、ベンガラ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、カオリン、水酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、シリカ−アルミナ粉末、ベントナイト、スメクタイトなどの無機顔料、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレン粉体、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンガム、シルクパウダー、カルナバワックス、ライスワックス、デンプン、微結晶セルロースなどの有機粉体、ローダミンB等の有機色素、赤色201号、黒色401号、黄色4号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機着色料、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母などの複合粉体、表面処理がなされている粉体などが挙げられ、形状としては、球状、板状、針状、繊維状など通常化粧料に用いられる形状、粒径であれば構わない。
【0030】
化粧料に使用可能な基材粉体への被覆量は、基材粉体の種類やその粒子径、吸油量、吸水量、比表面積により異なるが、基材粉体100質量部に対する本発明に係るパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物の処理量は0.5〜40質量部が好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.5質量部より少ないと十分な効果が得られず、多すぎると本発明表面処理剤の特性を失う。
【0031】
更に、本発明に係わる基材粉体の表面処理にあたっては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物である(A)成分とともに、本発明に係わる表面処理剤以外の既存の表面処理剤である(B)成分を同時又は連続的に基材粉体に表面処理することができる。
【0032】
(B)成分としては、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン、PEG8トリフルオロプロピルジメチコンコポリマー、パーフルオロアルキルアミン、パーフルオロオクチルアルキルリン酸DEA、パーフルオロアルキル(C4−14)エトキシジメチコン等の本発明に係わる表面処理剤以外のフッ素系化合物、反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシランなどのシリコーン化合物、有機チタネート、アミノ変性シリコーン、ポリオレフィン、レシチン及び/又はその塩、水添レシチン及び/又はその塩などのレシチン類、アシル化アミノ酸及び/又はその塩、酸性エステル油、脂肪酸及び/又はその塩類、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、コラーゲン、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石鹸などの公知の表面処理剤等が挙げられるが、特にパーフルオロポリエーテルリン酸エステルが好ましい。パーフルオロポリエーテルリン酸エステルを利用することで、(A)成分単独で処理した表面処理粉体の利点はそのままに、より優れた撥水撥油性が発揮されることから、両成分により被覆した表面処理粉体及びそれを用いた化粧料は、より好ましい効果を発揮する。
【0033】
パーフルオロポリエーテルリン酸エステルとしては、ソルベイソレクシス社のFOMBLIN HC/P2−1000(ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロエチルPEGリン酸)などを利用できる。パーフルオロポリエーテル変性アミノシランは、特開昭58−122979号公報に準じた方法で合成できる。パーフルオロオクチルトリエトキシシランは、Gelest,Inc.製のものを利用できる。炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸は、特開2004−277389号公報に準じた方法で合成できる。トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサンは、信越化学工業社のKF−5002などが利用できる。PEG8トリフルオロプロピルジメチコンは、信越化学工業社のFPD−6131などを利用できる。パーフルオロアルキルアミンとしては、旭硝子社のサーフロンS−221が利用できる。パーフルオロオクチルアルキルリン酸DEAは、デュポン社のZONYL RPなどが利用できる。パーフルオロアルキル(C4−14)エトキシジメチコンとしては、旭硝子社のFSL−630が利用できる。反応性オルガノポリシロキサンとしては、信越化学工業社のKF99(メチコン)、KF9901(ハイドロゲンジメチコン)等、KF−9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF−9909(トリエトキシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン)、KP−574((アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー)、KF―7312(トリメチルシロキシケイ酸とシクロペンタシロキサンの混合物)、KF―9001(トリメチルシロキシケイ酸のデカメチルシクロペンタシロキサン50%溶液)等を使用できる。アルキルシランとしては、ダウコーニング社のZ−6341(オクチルトリエトキシシラン)やデグサ社のF−8261(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)等を使用できる。有機チタネートとしては、味の素社のプレンアクトKR−TTS(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート)等が使用できる。アミノ変性シリコーンとしては、信越化学工業社のKF−8004(アモジメチコン)、KF−8015(アミノプロピルジメチコン)、KF−867S(アモジメチコン)等が使用できる。ポリオレフィンとしては、例えば、特開昭63−179972号公報に記載の公知の化合物や、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等を使用できる。水添レシチン及び/又はその塩類としては、例えば、日光ケミカルズ社のレシノールS−10(水素添加大豆リン脂質)、キユーピー社の卵黄レシチンPL−100P(水素添加卵黄リン脂質)等を使用できる。アシル化アミノ酸及び/又はその塩としては、日光ケミカル社のサルコシネートMN(ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム)、アラニネートLN−30(ラウロイルメチルアラニンナトリウム)、サルコシネートCN−30(ココイルサルコシンナトリウム)、サルコシネートOH(オレオイルサルコシン)等、味の素社のアミソフトHS−21(N−ステアロイル−L−グルタミン酸ニナトリウム)等、SEPPIC社のSEPILIFT DPHP(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)等を使用できる。
【0034】
(A)成分と(B)成分の比率(質量比)は、基材粉体の種類や化粧料の種類と化粧料への配合量により異なり、特に限定されるものではないが、(A)成分/(B)成分が、10/90〜99/1であることが好ましい。更に好ましくは、(A)成分/(B)成分が、40/60〜90/10である。これらの比率であれば、より(A)成分と(B)成分の両方の好ましい効果を併せ持つ表面処理粉体となるため、両成分により被覆した表面処理粉体及びそれを用いた化粧料は、より好ましい効果を発揮する。
【0035】
本発明に係る表面処理剤を使用して、基材粉体の表面処理する方法は特に制限するものではなく、公知の方法で実施できる。表面処理方法は大別すると湿式法、乾式法がある。湿式法は溶剤、もしくは水/溶剤溶液に基材粉体を分散し、ここに攪拌しながら、表面処理剤を添加し、その後、ろ過、乾燥して、表面処理粉体を得るものである。乾式法はヘンシェルミキサー、ボールミル、ジェットミル等の攪拌機や粉砕機に基材粉体と表面処理剤原体乃至少量の溶剤に溶解した表面処理剤を加えて混合後、乾燥、加熱して処理粉体を得るものである。
【0036】
本発明における表面処理方法は、表面処理剤、表面処理の順序、処理方法を制限するものではない。例えば、湿式処理の場合、次のように簡便かつ安価に処理することが可能である。
【0037】
例えば、混練機に基材粉体を投入し、混練しながら本発明に係る粉体の表面処理剤を10〜50質量%溶液を投入してよく混合し、この混合物を加熱乾燥する事ことより、目的とする表面処理粉体を得ることができる。均質に表面処理された粉体を短時間で製造するためには、上記溶液の濃度を調整したり、混練中に触媒を微量添加することが好ましい。
【0038】
なお、本発明に係る粉体の表面処理剤である(A)成分及び(B)成分は、(A)成分及び(B)成分を同時又は連続的に基材粉体に処理することができる。同時に処理する場合は、上記溶液を(A)成分及び(B)成分を含有する溶液とすればよく、連続的に処理する場合は、予め、(A)成分で処理した後に(B)成分を処理するか、(B)成分を処理した後に(A)成分を処理する。
【0039】
本発明に係る新規表面処理剤は液体で各種溶剤に溶解するため、これらに溶解させて乾式で表面処理することができる。また、好ましい溶剤としては、低極性の非プロトン性の溶媒であり、その誘電率(ε)が15以下であることが特に好ましい。そのような溶媒としては、例えば、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。なお、また、(A)成分や、パーフルオロポリエーテルリン酸エステルなどの(B)成分は何れも粘性液体であるため、粘性を下げ、短時間で、均質に表面処理できる溶媒であり、かつ、安全性が高く、安価な溶媒が好ましい。具体的にはヘキサン、ヘプタン、無臭灯油、トルエン、キシレンなど無極性溶媒がより好ましい。
【0040】
上述のようにして得られる本発明の表面処理粉体は撥水性、撥油性に優れ、且つ肌への塗布時の感触が滑らかで、肌との付着性にも優れる。
【0041】
次に本発明の化粧料について詳述する。
【0042】
本発明の化粧料は、上述の本発明の表面処理粉体を含有するもので、その剤型は任意であり、一般に従来の化粧料用粉体を含有する化粧料はすべて含まれる。それら化粧料としては、例えば、ファンデーション、白粉、ほほ紅などのフェイシャル化粧料、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、眉墨、口紅、ネイルエナメルなどといったメークアップ化粧料及び日焼け止め化粧品、乳液、ローションなどの基礎化粧料等が挙げられる。また、化粧料の他、皮膚外用剤、医薬用軟膏等にも好適に使用できる。
【0043】
本発明の表面処理粉体の配合量は、化粧料の形態に応じて変動するが、通常、0.01〜99.9質量%である。化粧料として香料等の他の成分を配合させること、また、0.1質量%未満の配合量では本発明に係る表面処理粉体による撥水性、撥油効果及び好ましい感触が十分に表われないことを考え合わせると、表面処理粉体の配合量は、好ましくは0.1〜99質量%の範囲である。なお、化粧料の種類により、例えば固形粉体化粧料には、20〜80質量%、クリーム状化粧料には5〜50質量%、乳液状化粧料には2〜30質量%、ローション類には2〜20質量%を配合するのがさらに好ましい。
【0044】
本発明の化粧料に配合できる、本発明に係わる表面処理粉体以外の成分としては、目的とする化粧料の種類に応じて、通常の化粧料に配合される成分から適宜選択して使用することができる。これらの成分としては、例えば、流動パラフィン、ワセリンなどの炭化水素、植物油脂、ロウ類、合成エステル油、シリコーン系の油相成分、フッ素系の油相成分、高級アルコール類、低級アルコール、脂肪酸類、増粘剤、紫外線吸収剤、粉体、無機・有機顔料、色材、各種界面活性剤、多価アルコール、糖、高分子化合物、生理活性成分、経皮吸収促進剤、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤、各種添加剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0045】
本発明の化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。
【0046】
本発明の化粧料用粉体を配合した化粧料は、耐水性・耐皮脂性に優れ、汗及び皮脂等による化粧崩れを防止し、且つ肌上への化粧料の塗布時の感触が滑らかで、付着性に優れ、しっとりした使用感を与えることができる。
【0047】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は「質量%」を意味する。
【実施例1】
【0048】
(湿式処理による表面処理粉体の製造)
ナスフラスコに表1に示す粉体100gと、(A)成分として二官能性パーフルオロポリエーテルシランであるFluorolink S10又は米国特許第4094911号公報に準じて製造した一官能性パーフルオロポリエーテルシラン(Cl(CFCFCFO)2〜9CFCONH(CHSi(OC)を表1の処理量になるように秤量し、表1に示す溶媒50gに溶解した。30分間混合後、混合しながら、60℃にて、3時間、溶媒を減圧、留去した。これを取り出し乾燥機にて、100℃で8時間乾燥し、乾燥後アトマイザー粉砕した。
【0049】
(乾式処理による表面処理粉体の製造)
ヘンシェルミキサーに表1に示す粉体1kgを入れ、Fluorolink S10又は米国特許第4094911号公報に準じて製造した一官能性パーフルオロポリエーテルシラン(Cl(CFCFCFO)2〜9CFCONH(CHSi(OC)のヘプタン30重量%溶液とヘンシェルミキサー内で撹拌混合した。撹拌をしながら加温し、更にヘンシェルミキサー内を減圧してヘプタンを除去した。ヘンシェルミキサーから顔料粉体を取り出し、これを取り出し乾燥機にて、100℃で8時間乾燥し、乾燥後アトマイザー粉砕した。
【0050】
(表面処理粉体の撥水性、撥油性の評価)
上記方法により得た表面処理粉体を平板な容器に入れ、100kg/cmの力で平坦な表面を作り、ここに水滴、スクワラン滴を静かに落として、接触角を測定することで、表面処理粉体の撥水性、撥油性を評価した。既存のパーフルオロポリエーテル誘導体を用いて同様の処理をおこなって得た表面処理粉体を比較品とした。
【0051】
(表面処理粉体の付着性の評価)
上腕内側部に試料を均質に擦り付け、これを刷毛ではき取った時に付着している様子を肉眼観察し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。既存のパーフルオロポリエーテル誘導体を用いて同様の処理をおこなって得た表面処理粉体を比較品とした。
【0052】
(付着性の評価)
5:良い 4:やや優れる 3:普通 2:やや悪い 1:悪い
【0053】
(表面処理粉体の感触の評価)
モニター5名を用いて、下記の評価基準にて、滑り性、伸び、付着性を評価し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5:良い 4:やや優れる 3:普通 2:やや悪い 1:悪い
【0054】
(結果)
本発明のパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物で処理した粉体は、既存のパーフルオロポリエーテル誘導体を用いて処理した粉体と比較したところ、撥水性、撥油性については、比較品より若干劣るものの、十分な撥水性及び撥油性を示したが、感触は比較品より滑らかで、伸びが良く、皮膚への付着性も良好であった。
なお、基材粉体に対する処理量は、基材粉体がタルクの場合は、3.0%程度処理すると、撥水性及び撥油性が非常に優れ、感触も良好な粉体が得られた。基材粉体がセリサイトの場合、3%以上の処理により十分な撥水性及び撥油性をもつ、優れた感触の粉体が得られた。また、処理方法を比較すると、乾式処理よりも湿式処理による製造方法の方がより良好な粉体を得られた。
【表1】

【実施例2】
【0055】
(本発明に係るパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物(A)成分と、(A)成分以外の既存の表面処理剤(B)成分を用いた場合の相乗効果)
表2に示す(A)成分を実施例1の湿式処理方法に準じてセリサイトに処理した後、定法に従って(B)成分を処理した。撥水性及び撥油性、実施例1に準じて行った。感触の評価については、モニター5名を用いて、下記の評価基準にて、滑り性、伸び、付着性を評価し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5:(A)成分単独処理粉体より良い
4:(A)成分単独処理粉体よりやや良い
3:(A)成分単独処理粉体と同程度
2:(A)成分単独処理粉体よりやや劣る
1:(A)成分単独処理粉体より劣る
【0056】
(結果)
(A)成分単独で処理するよりも、(A)成分と併せて(B)成分で処理した方が撥水性及び感触に優れる表面処理粉体を得られることが示された。なお、(B)成分として、パーフルポリエーテルリン酸を併用した場合は特に感触に優れ、より十分な撥水性をもつ表面処理粉体が得られた。
(A)成分及び(B)成分を組み合わせて基材粉体に処理することで、本発明に係る(A)成分の使用量を少なくできると同時に、むらの少ない均質な表面処理を行うことができることが示された。
【表2】

【実施例3】
【0057】
(パーフルオロポリエーテルリン酸エステルを(B)成分として用いた場合の相乗効果)
表3に示す(A)成分を実施例1の湿式処理方法に準じ処理した後、定法に従って(B)成分に処理した。(A)成分及び、(B)成分の合計の処理量を3質量部とした。撥水性及び撥油性、感触の評価については、実施例2に準じて行った。
【0058】
(結果)
実施例2と同様に、(A)成分単独で処理するよりも、(A)成分と併せて(B)成分としてパーフルポリエーテルリン酸を併用した場合、特に(A)成分と(B)成分の質量比は、40/60〜90/10において、特に感触に優れ、より十分な撥水性をもつ表面処理粉体が得られることが示された。
また、(A)成分及び(B)成分を組み合わせて基材粉体に処理することで、本発明に係る(A)成分の使用量を少なくできると同時に、むらの少ない均質な表面処理を行うことができることが示された。
【表3】

【実施例4】
【0059】
(本発明品に加えて2種の成分を併用した場合の相乗効果)
表4に示す(A)成分を実施例1の湿式処理方法に準じて処理した後、定法に従って(B1)成分(パーフルオロポリエーテルリン酸エステル)と、(B2)成分(B1)以外の既存の表面処理剤)を処理した。処理量は、(A)成分を3.0質量部、(B1)成分を0.5質量部、(B2)成分を0.5質量部とした。撥水性及び撥油性、感触の評価については、実施例2に準じて行った。
【0060】
(結果)
(B1)成分として、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル及び(B2)成分として既存の表面処理剤を用いても本発明表面処理剤単独処理と同程度乃至それ以上の撥水撥油性、優れた感触が得られた。本実験においてもパーフルオロポリエーテルリン酸エステルとの併用により、相乗的に機能の改善が認められた。
【表4】

【実施例5】
【0061】
化粧下地
【0062】
(処理粉体の製造)
表5に示す表面処理粉体を製造した。
【表5】

【0063】
(処方)
A グリセリン 5%
ステアロキシPGヒドロキシPGヒドロキシ
エチルスルフォン酸Na 2
防腐剤 適量
精製水 残部
B パーフルオロアルキル(C4−14)エトキシ
ジメチコン 13
シクロメチコン 10
ジメチコン 6
メトキシケイヒ酸オクチル 4
エタノール 3
イソステアリルグリセリン 3
表面処理粉体(本発明品5−1) 2
1,3−ブチレングリコール 2
カルボマー(4%水溶液) 2
表面処理粉体(本発明品5−2) 2
表面処理粉体(本発明品5−3) 2
表面処理粉体(本発明品5−4) 2
表面処理粉体(本発明品5−5) 2
【0064】
(調製方法)
A相を常温にてホモミキサーにて攪拌しなら、B相を加えて乳化した。
【0065】
(結果)
SPF25/PA++で、皮膚の付着性に優れ、毛穴や凹凸を目立たなくできる安定な化粧下地であった。パネルを用いて官能評価を実施したところ、感触も滑らかで化粧崩れ防止効果が高かった。
【実施例6】
【0066】
パウダーファンデーション
【0067】
(処理粉体の製造)
表6に示す表面処理粉体を製造した。
【表6】

【0068】
(処方)
表面処理粉体(本発明品6−1) 15%
表面処理粉体(本発明品6−2) 10
表面処理粉体(本発明品6−3) 10
表面処理粉体(本発明品6−4) 残部
ジメチコン 7
ミリスチン酸イソセチル 5
メトキシケイヒ酸オクチル 5
(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスポリマー 3
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 3
水添ポリイソブテン 3
ミリスチン酸亜鉛 2
【0069】
(結果)
SPF25/PA++で、皮膚の付着性に優れ、色むら、凹凸むらをしっかりカバーできるファンデーションが得られた。パネルを用いて官能評価を実施したところ、感触も滑らかで化粧崩れ防止効果が高かった。
【実施例7】
【0070】
リキッドファンデーション
【0071】
(処理粉体の製造)
表7に示す表面処理粉体を製造した。
【表7】

【0072】
(処方)
A 1,3−ブチレングリコール 5.0%
グリセリン 2.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
防腐剤 適量
精製水 残部
B シクロペンタシロキサン 20.0
表面処理粉体(本発明品7−1) 5.0
表面処理粉体(本発明品7−2) 6.0
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.0
(アクリルサンアルキル/ジメチコン)コポリマー 2.0
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.0
フィトステロールイソステアレート 1.0
着色顔料 0.9
【0073】
(調製方法)
B相をディスパーで良く混合後、均一溶液としたA相にホモミキサー攪拌しながら、加えて乳化した。
【0074】
(結果)
乳液状で紫外線防御効果を有する安定なファンデーションであった。本発明の表面処理粉体はむらが少なく均質であることから分散性に優れていた。紫外線防御能もSPF20/PA++と高い値を示した。パネルを用いて官能評価を実施したところ、皮膚の付着性に優れ、感触も滑らかで化粧崩れ防止効果が高かった。
【実施例8】
【0075】
W/O紫外線防御化粧品
【0076】
(処理粉体の製造)
表8に示す表面処理粉体を製造した。
【表8】

【0077】
(処方)
ジメチコン 10.0
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5.0
表面処理粉体(本発明品8−1) 10.0
セレシン 5.0
トリオクタン酸トリメチロールプロパン 5.0
セスキイソステアリン酸ソルビタン 4.0
カルナウバロウ 1.0
ヒアルロン酸Na 0.2
(ジメチコン/メチコン)コポリマー 6.0
表面処理粉体(本発明品8−2) 2.0
表面処理粉体(本発明品8−3) 2.0
表面処理粉体(本発明品8−4) 2.0
精製水 残部
シクロメチコン 3.0
メトキシケイヒ酸オクチル 3.0
ミネラルオイル 1.0
ジプロピレングリコール 2.0
ワセリン 1.0
【0078】
(結果)
安定なW/O型の紫外線防御化粧品が得られた。また本発明の表面処理粉体はむらが少なく均質であることから分散性に優れており、SPF30/PA+++と高い値を示した。パネルを用いて官能評価を実施したところ、皮膚の付着性に優れ、感触も滑らかであった。
【実施例9】
【0079】
紫外線防御機能を有するファンデーション
【0080】
(処理粉体の製造)
表9に示す表面処理粉体を製造した。

【表9】

【0081】
(処方)
表面処理粉体(本発明品9−1) 10
表面処理粉体(本発明品9−2) 5
表面処理粉体(本発明品9−2) 残部
メトキシケイヒ酸オクチル 6
ミネラルオイル 5
微粒子シリカ 3
フィトステリルイソステレート 3
ジメチコン 3
ナイロン粉末 3
トリエチルヘキサノイン 3
精製水 3
トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 1
着色顔料 1
【0082】
(調製方法)
上記成分をヘンシェルミキサーにて混合した。
【0083】
(結果)
肌に対する伸び、滑らかさ、付着性、オイルへの分散性に優れ、色むらのないファンデーションであった。SPF20/PA++と高い値を示した。
【実施例10】
【0084】
プロテクトエマルション
【0085】
(処理粉体の製造)
表10に示す表面処理粉体を製造した。
【表10】

【0086】
(処方)
A エタノール 15%
グリセリン 6
1,3−ブチレングリコール 3
ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na

シリコーンコポリオール 1
防腐剤 適量
精製水 残部
B メトキシケイヒ酸オクチル 5
パーフルオロアルキル(C4−14)エトキシ
ジメチコン 5
シクロメチコン 5
ジメチコン 5
イソステアリルグリセリン 2
表面処理粉体(本発明品10−1) 15
表面処理粉体(本発明品10−2) 3
C カーボマー(4%水溶液) 2.5
水酸化カリウム 0.03
【0087】
(調製方法)
A相をホモミキサーで攪拌しながら均質に混合し、予め分散しておいたB相を加えた後、パドル攪拌しながらC相を加えた。
【0088】
(結果)
紫外線防御能がSPF25/PA++で、安定性に優れる乳化物が得られた。パネルを用いて官能評価を実施したところ、感触も滑らかで化粧崩れ防止効果が高かった。
【実施例11】
【0089】
口紅
【0090】
(処理粉体の製造)
表11に示す表面処理粉体を製造した。
【表11】

【0091】
(処方)
ポリブテン 60%
リンゴ酸イソステアリル 10
トリオクタノイン 10
パルミチン酸デキストリン 3
トリイソステアリン酸ジグリセリン 3
テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル 3
(ジメチコン/メチコン)コポリマー 2
ジメチコン 2
炭酸カルシウム 1
ミリスチン酸デキストリン 1
マイカ 1
表面処理粉体(本発明品11−1) 1
表面処理粉体(本発明品11−2) 1
着色顔料 適量
香料 適量
【0092】
(調製方法)
ロールミルを使用して、定法にて調製した。
【0093】
(結果)
本発明の表面処理粉体はむらが少なく均質であることから粉体の分散性に優れており、鮮やかな色調の口紅が得られた。感触及び付着性に優れ、容器などへの色移りしにくい口紅であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)又は一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物で基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体。
T−Rf−CFY−L−W (1)
W−L−CFY−O−Rf−CFY−L−W (2)
[式中、Lは−CH−(OCHCH−、−CO−NR−(CH−又は−COO−(CH−を示し、RはH又はC1〜4のアルキル基、nは0〜8の整数、pは1〜8の整数である。YはF又はCFを示す。Wは−Si(R(OR(3−a)を示し、aは0〜2の整数であり、R、Rはそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基である。Rfは平均分子量が350〜8000のパーフルオロポリエーテル鎖であり、(CFO)、(CF(CF)O)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)、(CRCFCFO)から選択され、R、Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Tは1〜2個のフッ素原子が水素原子及びハロゲン原子からなる群から選択される1種以上で置換されていてもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項2】
前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物において、Rfが−(CFO)−(CFCFO)−であり、cが1〜25の整数、dが1〜100の整数でありc/dが0.5〜3であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理粉体。
【請求項3】
前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物において、cが1〜10の整数、dが1〜60の整数であることを特徴とする請求項2に記載の表面処理粉体。
【請求項4】
前記基材粉体100質量部に対して、前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物の被覆量が0.5〜40質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理粉体。
【請求項5】
次の(A)成分及び(B)成分より被覆した表面処理粉体であって、前記基材粉体100質量部に対して、(A)と(B)の合計量が0.5〜40質量部であることを特徴とする表面処理粉体。
(A)前記パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物
(B)パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン、PEG8トリフルオロプロピルジメチコンコポリマー、反応性オルガノポリシロキサン、有機チタネート、アミノ変性シリコーン、水添レシチン及び/又はその塩類、アシル化アミノ酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物
【請求項6】
前記(A)成分と(B)成分の比率(質量比)が、10/90〜99/1であることを特徴とする請求項5に記載の表面処理粉体。
【請求項7】
前記(A)成分と(B)成分の比率(質量比)が、40/60〜90/10であることを特徴とする請求項5又は6に記載の表面処理粉体。
【請求項8】
前記(B)成分が、パーフルオロポリエーテルリン酸エステルであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の表面処理粉体。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の表面処理粉体を製造する方法であって、製造工程において用いる溶媒が、低極性の非プロトン性溶媒であることを特徴とする表面処理粉体の製造方法。
【請求項10】
前記溶媒の誘電率(ε)が15以下であることを特徴とする表面処理粉体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項12】
請求項9又は10の製造方法により得られる表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2012−56892(P2012−56892A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202073(P2010−202073)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【Fターム(参考)】