説明

誘電材料およびそれを用いたトランスデューサ

【課題】所望の比誘電率および電気抵抗を有する誘電材料及び、発生力の大きなトランスデューサを提供する。
【解決手段】誘電材料100は、海相101中に島相102が分散されてなる海島構造を有する。島相102は、エラストマーを含み比誘電率が15以上の高誘電材料からなり、海相101は、エラストマーを含み該高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなる。この誘電材料からなる誘電膜を、少なくとも一対の電極間に介装して、トランスデューサを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、センサ等のトランスデューサに好適な誘電材料、およびそれを用いたトランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスデューサには、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等がある。柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサを構成するためには、誘電体エラストマー等の高分子材料が有用である。
【0003】
例えば、誘電体エラストマーからなる誘電膜の厚さ方向両面に、一対の電極を配置して、アクチュエータを構成することができる。この種のアクチュエータでは、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電膜は厚さ方向から圧縮され、誘電膜の厚さは薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に伸長する。一方、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電膜に対する厚さ方向からの圧縮力が小さくなり、誘電膜の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に収縮する。このように、アクチュエータは、誘電膜を伸長、収縮させることによって、駆動対象部材を駆動させる。
【0004】
アクチュエータから取り出される力および変位量を大きくするという観点から、誘電膜は、以下の特性を有することが望ましい。すなわち、電圧印加時に、誘電膜の内部に多くの電荷を蓄えられるように比誘電率が大きいこと、高電界に耐えられるように耐絶縁破壊性に優れること、繰り返し伸縮可能なように柔軟性が高いこと、等である。したがって、誘電膜の材料としては、耐絶縁破壊性に優れるシリコーンゴムや、比誘電率が大きいニトリルゴム、アクリルゴム等が用いられることが多い(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−506858号公報
【特許文献2】特表2001−524278号公報
【特許文献3】特開平6−141570号公報
【特許文献4】特開2009−77618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、シリコーンゴムは、シロキサン結合を骨格とする。このため、電気抵抗が大きい。よって、シリコーンゴムからなる誘電膜は、大きな電圧を印加しても絶縁破壊しにくい。しかしながら、シリコーンゴムの極性は小さい。つまり、比誘電率が小さい。このため、シリコーンゴムからなる誘電膜を用いてアクチュエータを構成した場合には、印加電圧に対する静電引力が小さい。よって、実用的な電圧により、所望の力および変位量を得ることができない。
【0007】
一方、ニトリルゴムやアクリルゴムの比誘電率は、シリコーンゴムの比誘電率よりも大きい。このため、誘電膜の材料にニトリルゴム等を用いると、印加電圧に対する静電引力が、シリコーンゴムを用いた場合と比較して大きくなる。しかしながら、ニトリルゴム等の電気抵抗は、シリコーンゴムと比較して小さい。このため、誘電膜が絶縁破壊しやすい。したがって、印加電圧を大きくすることができず、充分な力および変位量を得ることができない。このように、一つの材料により、誘電膜の高比誘電率化と高電気抵抗化とを両立させることは難しい。
【0008】
例えば、上記特許文献3、4には、誘電層に多孔体を用いたアクチュエータが、開示されている。特許文献3の多孔体には、電界の作用により分極する粒子が分散されている。また、特許文献4の多孔体の孔内には、種々の誘電体を充填することができる。これらのアクチュエータにおいては、多孔体を用いることで、誘電層の柔軟性を向上させている。しかし、多孔体に分散されている粒子や、充填されている誘電体により、比誘電率を調整しているに過ぎない。すなわち、いずれのアクチュエータにおいても、発生力と耐絶縁破壊性とを両立させることは難しい。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、所望の比誘電率および電気抵抗を有する誘電材料を提供することを課題とする。また、そのような誘電膜を用いて、発生力の大きなトランスデューサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の誘電材料は、海相中に島相が分散されてなる海島構造を有し、前記島相は、エラストマーを含み比誘電率が15以上の高誘電材料からなり、前記海相は、エラストマーを含み該高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の誘電材料によると、海島構造を採用することにより、一つのエラストマー材料において、高比誘電率化と高電気抵抗化とを両立させることができる。図1に、本発明の誘電材料の断面模式図を示す。なお、図1は、海島構造を説明するための模式図である。よって、図1は、海相と島相との配合割合、島相の配置、形状、数等を含めて、本発明の誘電材料を何ら限定するものではない。
【0012】
図1に示すように、誘電材料100は、海相101と島相102とを有している。島相102は、海相101中に、略孤立した状態で分散している。海相101は、島相102(高誘電材料)よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなる。これにより、誘電材料100の電気抵抗を、大きくすることができる。また、島相102は、比誘電率が15以上の高誘電材料からなる。これにより、誘電材料100の比誘電率を、大きくすることができる。このように、本発明によると、比誘電率が大きく、かつ電気抵抗も大きい誘電材料を、実現することができる。
【0013】
本発明の誘電材料から製造された誘電膜を用いて、トランスデューサを構成した場合には、電圧印加により、誘電膜の内部に多くの電荷を蓄えることができる。よって、静電引力が、大きくなる。これにより、印加電圧が比較的小さくても、大きな力を発生させることができる。また、誘電膜の耐絶縁破壊性は高い。したがって、より大きな電圧を印加することができ、発生力をより増加させることができる。
【0014】
(2)また、本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電材料からなる誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備えることを特徴とする。
【0015】
トランスデューサは、ある種類のエネルギーを他の種類のエネルギーに変換する装置である。トランスデューサには、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ等や、音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が含まれる。上述したように、本発明の誘電材料は、所望の比誘電率と電気抵抗を有する。このため、本発明の誘電材料を誘電膜として用いると、電圧の印加により、誘電膜の内部に多くの電荷を蓄えることができる。加えて、誘電膜は絶縁破壊しにくい。したがって、本発明のトランスデューサによると、大きな発生力を得ることができる。また、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の誘電材料の断面模式図である。
【図2】本発明のトランスデューサの一実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)はオフ状態、(b)はオン状態を示す。
【図3】本発明のトランスデューサの一実施形態である静電容量型センサの上面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】本発明のトランスデューサの一実施形態である発電素子の断面模式図であって、(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。
【図6】測定装置に取り付けられたアクチュエータの表側正面図である。
【図7】図6のVII−VII方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の誘電材料およびトランスデューサの実施形態について説明する。なお、本発明の誘電材料およびトランスデューサは、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0018】
<誘電材料>
上述したように、本発明の誘電材料は、エラストマーを含み比誘電率が15以上の高誘電材料からなる島相が、エラストマーを含み該高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなる海相中に、分散されてなる。
【0019】
(1)高抵抗材料
海相の高抵抗材料は、後述する高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する。誘電材料の電気抵抗を大きくするという観点から、高抵抗材料の体積抵抗率は、1011Ωcm以上であることが望ましい。また、高抵抗材料は、エラストマーのみでもよく、エラストマーに他の絶縁材料を混合したものでもよい。
【0020】
エラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、イソプレンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体等が好適である。また、エポキシ化天然ゴム、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(XH−NBR)等のように、官能基を導入するなどして変性したエラストマーを用いてもよい。また、後述する高誘電材料にイオン導電剤を配合する場合には、島相から海相へイオン導電剤が移動するのを抑制するという観点から、イオン導電剤と相溶性の悪いEPDM、シリコーンゴム、イソプレンゴム、天然ゴムを採用することが望ましい。エラストマーとしては、一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0021】
エラストマーに混合する絶縁材料としては、無機フィラーが好適である。無機フィラーとしては、エラストマーと反応可能な官能基を有するものが望ましい。例えば、無機フィラーに表面処理を施して、官能基を導入したり、官能基の数を増加させることができる。こうすることにより、無機フィラーとエラストマーとの反応性が向上する。官能基としては、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、無水マレイン酸基等が挙げられる。
【0022】
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、タルク等が挙げられる。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。なかでも、官能基の数が多く、比較的安価であるという理由から、シリカを用いることが望ましい。
【0023】
エラストマーに無機フィラーを混合する場合には、エラストマーについても、無機フィラーと反応可能な官能基を有するものを用いることが望ましい。官能基としては、上記無機フィラーの場合と同様に、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、無水マレイン酸基等が挙げられる。例えば、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム等のように、官能基を導入するなどして変性したエラストマーが好適である。
【0024】
無機フィラーの配合割合は、エラストマーの体積抵抗率等を考慮して、決定すればよい。例えば、エラストマーの100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下とすることが望ましい。5質量部未満であると、電気抵抗を大きくする効果が小さい。反対に、50質量部を超えると、誘電材料が硬くなり、柔軟性が損なわれるおそれがある。
【0025】
(2)高誘電材料
島相の高誘電材料の比誘電率は、15以上である。高誘電材料は、エラストマーのみでもよく、比誘電率や電気抵抗を増加させるための他の成分を、エラストマーに混合したものでもよい。
【0026】
エラストマーとしては、例えば、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、カルボキシル基変性ニトリルゴム(X−NBR)、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(XH−NBR)等が好適である。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。また、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムを用いる場合には、比誘電率を大きくするという観点から、アクリロニトリル含有量(結合AN量)が33質量%以上のものが望ましい。結合AN量は、ゴムの全体質量を100質量%とした場合のアクリロニトリルの質量割合である。
【0027】
比誘電率を大きくするための成分としては、例えば、イオン導電剤が挙げられる。イオン導電剤は、室温で固体でも液体(イオン性液体)でもよい。イオン導電剤の配合量は、エラストマーの100質量部に対して、0.155mmol以上3mmol以下であることが望ましい。
【0028】
イオン導電剤のカチオンとしては、例えば、第四級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、第四級ホスホニウムイオン等が挙げられる。また、アニオンとしては、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、過塩素酸イオン(ClO)、BF、PF、CFSO、(CFSO等が挙げられる。イオン導電剤としては、これらのカチオンとアニオンとを任意に組み合わせてなる化合物を採用すればよい。また、イオン導電剤の一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0029】
誘電材料の電気抵抗の低下を抑制するという観点から、イオン導電剤としては、室温で固体の化合物を用いることが望ましい。例えば、第四級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、および第四級ホスホニウムイオンから選ばれるカチオンと、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、および過塩素酸イオンから選ばれるアニオンと、を組み合わせてなる化合物が挙げられる。なかでも、潮解性が低く、取扱いやすいという理由から、第四級アンモニウム塩が好適である。
【0030】
また、イオン導電剤を配合する場合には、イオン導電剤を固定化して誘電材料の電気抵抗の変化を抑制するという観点から、イオン吸着能に優れる活性炭、シリカ等を併用してもよい。
【0031】
また、電気抵抗を増加させるための成分としては、上記(1)の高抵抗材料の場合と同様に、無機フィラーが好適である。無機フィラーについては、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。なお、高誘電材料についても、無機フィラーを混合する場合には、無機フィラーと反応可能な官能基を有するエラストマーを用いることが望ましい。
【0032】
<誘電材料の製造方法>
本発明の誘電材料は、例えば、次のように製造することができる。まず、高抵抗材料としてのエラストマー等の原料と、高誘電材料としてのエラストマー等の原料と、必要に応じて配合される添加剤と、をロールや混練機により混練りして、エラストマー組成物を調製する。次に、調製したエラストマー組成物を、金型に充填して、所定の条件下でプレス成形する。あるいは、調製したエラストマー組成物を、所定の条件下で押出成形する。
【0033】
添加剤としては、架橋剤、加硫促進剤、加工助剤、可塑剤、老化防止剤、補強剤、着色剤等が挙げられる。例えば、可塑剤を配合することにより、本発明の誘電材料の柔軟性を向上させることができる。つまり、本発明の誘電材料は、伸縮しやすくなる。したがって、トランスデューサを構成した場合に、より大きな力を得ることができる。配合する可塑剤としては、誘電材料の電気抵抗を低下させにくいという観点から、絶縁性が高く、揮発しにくいものが望ましい。例えば、トリクレジルホスフェート、トリス2エチルヘキシルトリメリテート、塩化パラフィン等が好適である。また、架橋方法は、エラストマーの種類に応じて、適宜決定すればよい。例えば、硫黄架橋、過酸化物架橋、イソシアネート架橋、電子線(EV)架橋、紫外線(UV)架橋等が挙げられる。
【0034】
本発明の誘電材料を製造する場合には、高抵抗材料のエラストマーと高誘電材料のエラストマーとの配合割合、高抵抗材料と高誘電材料との混練時における粘度バランス等を、考慮することが望ましい。高抵抗材料からなる海相と、高誘電材料からなる島相と、を形成するためには、高抵抗材料のエラストマーと高誘電材料のエラストマーとを、質量比で、55:45〜90:10の範囲で配合することが望ましい。また、高抵抗材料と高誘電材料との混練温度を、50〜60℃とすることが望ましい。
【0035】
また、無機フィラーは、自身が有する官能基と反応可能な官能基を有するエラストマー中に取り込まれる。したがって、高抵抗材料、高誘電材料の各々のエラストマーの種類に応じて、海相または島相に、無機フィラーを選択的に含有させることができる。また、イオン導電剤は、極性を有するエラストマー中に取り込まれる。したがって、高誘電材料のエラストマーに、極性を有するものを使用することにより、高誘電材料(島相)中に、イオン導電剤を選択的に含有させることができる。
【0036】
<トランスデューサ>
本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電材料からなる誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備える。本発明の誘電材料の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。なお、本発明のトランスデューサを構成する誘電膜についても、本発明の誘電材料における好適な態様を採用することが望ましい。
【0037】
また、本発明の誘電材料は、プレス成形、押出成形等により、薄板状、チューブ状等に容易に成形することができる。したがって、トランスデューサの用途等に応じて、誘電膜の形状を、適宜決定すればよい。また、誘電膜の厚さについても、トランスデューサの用途等に応じて、適宜決定すればよい。例えば、アクチュエータを構成する場合には、小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点から、誘電膜の厚さは薄い方が望ましい。この場合、耐絶縁破壊性等をも考慮して、誘電膜の厚さを、1μm以上1000μm(1mm)以下とすることが望ましい。より好適な範囲は、5μm以上200μm以下である。
【0038】
本発明のトランスデューサにおいて、電極の材質は、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料や金属からなる導電材に、バインダーとしてオイルやエラストマーを混合した導電性ペーストまたは導電性塗料を塗布した電極、あるいは炭素材料や金属等をメッシュ状に編んだ電極等を使用することができる。電極は、誘電膜の伸縮に応じて伸縮可能であることが望ましい。電極が、誘電膜と共に伸縮すると、誘電膜の変形が電極によって妨げられにくい。このため、本発明のトランスデューサを、アクチュエータ等として使用した場合に、所望の力および変位量を得やすくなる。
【0039】
また、イオン導電剤を電極に配合してもよい。例えば、イオン導電剤を配合した上記導電性ペーストを、架橋前の誘電膜に塗布し、電極と誘電膜とを一体的に架橋する。こうすることにより、電極中のイオン導電剤が誘電膜に移行する。その結果、電圧印加時に、誘電膜の内部に多くの電荷が蓄えられる。これにより、発生力を増加させることができる。
【0040】
また、本発明のトランスデューサを、複数の誘電膜と電極とを交互に積層させた積層構造とすると、より大きな力を発生させることができる。したがって、積層構造を採用した場合には、例えば、アクチュエータの出力を大きくすることができる。これにより、駆動対象部材をより大きな力で駆動させることができる。
【0041】
[第一実施形態]
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータに具現化した実施形態を説明する。図2に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。
【0042】
図2に示すように、アクチュエータ1は、誘電膜10と、電極11a、11bと、配線12a、12bと、を備えている。誘電膜10は、本発明の誘電材料からなる。電極11aは、誘電膜10の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極11bは、誘電膜10の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極11a、11bは、各々、配線12a、12bを介して電源13に接続されている。
【0043】
オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極11a、11b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜10の厚さは薄くなり、その分だけ、図2(b)中白抜き矢印で示すように、電極11a、11b面に対して平行方向に伸長する。これにより、アクチュエータ1は、図2中、上下方向および左右方向の駆動力を出力する。
【0044】
本実施形態のアクチュエータ1によると、誘電膜10の比誘電率は大きい。このため、誘電膜10の内部に、多くの電荷を蓄えることができる。したがって、印加電圧が比較的小さくても、発生する力が大きい。また、誘電膜10の電気抵抗は大きい。つまり、誘電膜10の耐絶縁破壊性は高い。したがって、より大きな電圧を印加することができる。その結果、発生力を増加させることができる。また、誘電膜10が破壊されにくいため、アクチュエータ1は、耐久性に優れる。なお、誘電膜10を面延在方向に延伸した状態で配置すると、誘電膜10の絶縁破壊強度が大きくなる。よって、より大きな電圧を印加することができるため、発生力がより増加する。
【0045】
[第二実施形態]
本発明のトランスデューサの第二例として、静電容量型センサに具現化した実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図3に、静電容量型センサの上面図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。
【0046】
図3、図4に示すように、静電容量型センサ2は、誘電膜20と、一対の電極21a、21bと、配線22a、22bと、カバーフィルム23a、23bと、を備えている。
【0047】
誘電膜20は、左右方向に延びる帯状を呈している。誘電膜20は、本発明の誘電材料からなる。
【0048】
電極21aは、長方形状を呈している。電極21aは、誘電膜20の上面に、三つ配置されている。同様に、電極21bは、長方形状を呈している。電極21bは、誘電膜20を挟んで電極21aと対向するように、誘電膜20の下面に三つ配置されている。すなわち、誘電膜20を挟んで、電極21a、21bが三対配置されている。
【0049】
配線22aは、誘電膜20の上面に、配置されている。配線22aは、誘電膜20の上面に形成された電極21aの一つ一つに、それぞれ接続されている。配線22aにより、電極21aとコネクタ24とが結線されている。同様に、配線22bは、誘電膜20の下面に、配置されている。配線22bは、誘電膜20の下面に形成された電極21bの一つ一つに、それぞれ接続されている(図3中、点線で示す)。配線22bにより、電極21bとコネクタ(図略)とが結線されている。
【0050】
カバーフィルム23aは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム23aは、誘電膜20、電極21a、配線22aの上面を覆っている。同様に、カバーフィルム23bは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム23bは、誘電膜20、電極21b、配線22bの下面を覆っている。
【0051】
次に、静電容量型センサ2の動きについて説明する。静電容量型センサ2の静電容量(キャパシタンス)は、次式(I)により求めることができる。
C=εεS/d・・・(I)
[C:静電容量、ε:真空中の誘電率、ε:誘電膜の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
例えば、静電容量型センサ2が上方から押圧されると、誘電膜20、電極21a、カバーフィルム23aは一体となって、下方に湾曲する。圧縮により、誘電膜20の厚さ(電極間距離)は小さくなる。その結果、電極21a、21b間の静電容量は、大きくなる。この静電容量の変化により、圧縮による変形が検出される。
【0052】
次に、本実施形態の静電容量型センサ2の作用効果について説明する。本実施形態の静電容量型センサ2によると、誘電膜20の比誘電率は大きい。このため、変形に対する静電容量の変化が大きい。つまり、変形に対する応答感度が高い。また、誘電膜20の電気抵抗は大きい。つまり、誘電膜20の耐絶縁破壊性は高い。したがって、静電容量型センサ2は、耐久性に優れる。
【0053】
なお、本実施形態の静電容量型センサ2には、誘電膜20を狭んで対向する電極21a、21bが、三対形成されている。しかし、電極の数、大きさ、配置等は、用途に応じて、適宜決定すればよい。
【0054】
[第三実施形態]
本発明のトランスデューサの第三例として、発電素子の実施形態を説明する。図5に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。
【0055】
図5に示すように、発電素子3は、誘電膜30と、電極31a、31bと、配線32a〜32cと、を備えている。誘電膜30は、本発明の誘電材料からなる。
【0056】
電極31aは、誘電膜30の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極31bは、誘電膜30の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極31aには、配線32a、32bが接続されている。すなわち、電極31aは、配線32aを介して、外部負荷(図略)に接続されている。また、電極31aは、配線32bを介して、電源(図略)に接続されている。電極31bは、配線32cにより接地されている。
【0057】
図5(a)に示すように、発電素子3を圧縮し、誘電膜30を電極31a、31b面に対して平行方向に伸長すると、誘電膜30の膜厚は薄くなり、電極31a、31b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、図5(b)に示すように、誘電膜30の弾性復元力により誘電膜30は収縮し、膜厚が厚くなる。その際、蓄えられた電荷が配線32aを通して放出される。
【0058】
本実施形態の発電素子3によると、誘電膜30の比誘電率は大きい。このため、誘電膜30の内部に、多くの電荷を蓄えることができる。したがって、発電効率が向上する。また、誘電膜30の電気抵抗は大きい。つまり、誘電膜30の耐絶縁破壊性は高い。したがって、発電素子3は、耐久性に優れる。
【実施例】
【0059】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0060】
<誘電材料の製造>
下記の表1に示す原料から、実施例および比較例の各誘電材料を製造した。実施例については、二種類のエラストマーを使用した。比較例については、一種類のエラストマーを使用した。
【0061】
[実施例1]
まず、水素化ニトリルゴム(日本ゼオン(株)製「Zetpol(登録商標)0020」、結合AN量=49.2質量%)と、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)と、加硫助剤の酸化亜鉛二種(三井金属(株)製)と、加硫促進剤のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(三新化学工業(株)製「サンセラー(登録商標)CZ−G」)と、硫黄(鶴見化学工業(株)製「サルファックスT−10」)と、を50〜60℃下で、ロール練り機にて混練りした。次に、得られたゴム組成物を、金型に配置して、約160℃で約20分間プレス架橋した。続いて、金型から取り出された架橋物をオーブン内に配置して、160〜180℃で約2時間、二次架橋した。このようにして、厚さ約200μmの薄膜状の誘電材料を得た。
【0062】
[実施例2]
さらに、無機フィラーとしてシリカ(日本アエロジル(株)製乾式シリカ「Aerosil(登録商標)380」)を配合した点以外は、上記実施例1と同様にして、誘電材料を製造した。
【0063】
[実施例3]
シリカの配合量を変更した点以外は、上記実施例2と同様にして、誘電材料を製造した。
【0064】
[実施例4]
水素化ニトリルゴムに替えて、EPDMを使用して誘電材料を製造した。まず、EPDM(住友化学(株)製「エスプレン(登録商標)505」)と、可塑剤(パラフィン系プロセスオイル)と、を混練したマスターバッチを作製した。次に、マスターバッチと、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(同上)と、を素練りした。さらに、シリカ(同上)、可塑剤(トリクレジルホスフェート)、加硫助剤の酸化亜鉛二種(同上)、加硫促進剤のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(同上)、および硫黄(同上)を加えて、50〜60℃下で、ロール練り機にて混練りした。その後、得られたゴム組成物を、金型に配置して、約160℃で約20分間プレス架橋した。続いて、金型から取り出された架橋物をオーブン内に配置して、160〜180℃で約2時間、二次架橋した。このようにして、厚さ約200μmの薄膜状の誘電材料を得た。
【0065】
[比較例1]
エラストマーとして、水素化ニトリルゴムのみを使用した点以外は、上記実施例1と同様にして、誘電材料を製造した。
【0066】
[比較例2]
エラストマーとして、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴムのみを使用した点以外は、上記実施例1と同様にして、誘電材料を製造した。
【0067】
[比較例3]
エラストマーとして、EPDMのみを使用し、可塑剤を一種類(パラフィン系プロセスオイル)にした点以外は、上記実施例4と同様にして、誘電材料を製造した。
【0068】
表1に、使用した原料の種類および配合量を示す。
【表1】

【0069】
実施例および比較例の誘電材料について、引張特性、体積抵抗率、比誘電率、およびアクチュエータ特性を評価した。以下、各々の評価方法および評価結果について説明する。
【0070】
<評価方法>
[引張特性]
JIS K 6251(2004)に準じた引張試験を行い、25%引張応力(M25)、引張強さ(TS)、および切断時伸び(E)を算出した。また、得られた応力−伸び曲線の初期の勾配から、ヤング率を算出した。引張試験には、ダンベル状5号形の試験片を使用した。
【0071】
[体積抵抗率]
JIS K6271(2008)に準じて、体積抵抗率を測定した。測定は、直流電圧1000Vを印加して行った。
【0072】
[比誘電率]
誘電材料をサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置して、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)、および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して、比誘電率を測定した(周波数100Hz)。
【0073】
[アクチュエータ特性]
実施例および比較例の各誘電材料を用いてアクチュエータを作製し、アクチュエータの発生力等を測定した。まず、実施例および比較例の各誘電材料から、縦50mm、横25mm、厚さ約200μmの矩形板状の誘電膜を作製した。そして、誘電膜の表裏両面に、アクリルゴムにカーボンブラックが混合されてなる電極を貼着して、アクチュエータを作製した。図6に、測定装置に取り付けられたアクチュエータの表側正面図を示す。図7に、図6のVII−VII方向断面図を示す。
【0074】
図6、図7に示すように、アクチュエータ5の上端は、測定装置における上側チャック52により把持されている。アクチュエータ5の下端は、下側チャック53により把持されている。アクチュエータ5は、予め上下方向に延伸された状態で、上側チャック52と下側チャック53との間に、取り付けられている(延伸率25%)。上側チャック52の上方には、ロードセル(図略)が配置されている。
【0075】
アクチュエータ5は、誘電膜50と一対の電極51a、51bとからなる。電極51a、51bは、誘電膜50を挟んで表裏方向に対向するよう配置されている。電極51a、51bは、自然状態で、各々、縦40mm、横25mm、厚さ約10μmの矩形板状を呈している。電極51a、51bは、上下方向に10mmずれた状態で配置されている。つまり、電極51a、51bは、誘電膜50を介して、縦30mm、横25mmの範囲で重なっている。電極51aの下端には、配線(図略)が接続されている。同様に、電極51bの上端には、配線(図略)が接続されている。電極51a、51bは、各々の配線を介して、電源(図略)に接続されている。
【0076】
電極51a、51b間に電圧を印加すると、電極51a、51b間に静電引力が生じて、誘電膜50を圧縮する。これにより、誘電膜50の厚さは薄くなり、延伸方向(上下方向)に伸長する。誘電膜50の伸長により、上下方向の延伸力は減少する。電圧を印加した時に減少した延伸力を、ロードセルにより測定して、発生力とした。発生力の測定は、印加する電圧を段階的に増加させて、誘電膜50が破壊されるまで行った。そして、誘電膜50が破壊される寸前における発生力を、最大発生力とした。また、その時の電圧値を誘電膜50の膜厚で除した値を、絶縁破壊強度とした。
【0077】
<評価結果>
評価結果を、上記表1にまとめて示す。表1中、アクチュエータ特性における発生力としては、電界強度40V/μm、60V/μmの二種類の直流電圧を印加させた時の測定値を示す。また、実施例の誘電材料については、モルフォロジー観察を行い、海島構造を確認した。モルフォロジー観察は、走査型プローブ顕微鏡((株)島津製作所製「SPM−9500J3」)を用いて行った。誘電材料における海相、島相の各成分を、上記表1に併せて示す。
【0078】
表1に示すように、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(XH−NBR)と水素化ニトリルゴム(H−NBR)とを、60:40の質量比で配合した実施例1の誘電材料については、XH−NBRにより海相が、H−NBRにより島相が形成されていた。同様の質量比からなる実施例2、3の誘電材料については、XH−NBRおよびシリカにより海相が、H−NBRにより島相が形成されていた。このように、シリカの−OH基とXH−NBRの−COOH基との反応により、シリカは、海相(XH−NBR)側に選択的に取り込まれていた。また、EPDMとXH−NBRとを、60:40の質量比で配合した実施例4の誘電材料については、EPDMにより海相が、XH−NBRおよびシリカにより島相が形成されていた。実施例4の誘電材料においては、シリカは、島相(XH−NBR)側に選択的に取り込まれていた。
【0079】
実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1において、比誘電率は若干小さくなったものの、体積抵抗率は大きくなった。また、比較例2と比較すると、比誘電率および体積抵抗率のいずれも大きくなった。その結果、実施例1については、絶縁破壊強度が大きくなり、最大発生力も大きくなった。
【0080】
実施例2、3は、海相にシリカが含有されている。したがって、実施例1と比較して、体積抵抗率が大きくなった。その結果、絶縁破壊強度が大きくなった。これにより、最大発生力が大幅に増加し、40V/μm、60V/μmという実用的な電界強度においても、大きな力が得られた。また、引張強さも大きくなった。
【0081】
実施例4は、海相がEPDMからなる。このため、体積抵抗率は大きい。また、比較例3と比較して、誘電率が大きくなった。その分、絶縁破壊強度は小さくなったが、実用的な電界強度における発生力は増加した。
【0082】
以上より、本発明の誘電材料によると、発生力の大きなトランスデューサを構成できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の誘電膜は、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン、ノイズキャンセラ等のトランスデューサに広く用いることができる。なかでも、産業、医療、福祉ロボット用の人工筋肉、電子部品冷却用や医療用等の小型ポンプ、および医療用器具等に用いられる柔軟なアクチュエータに好適である。
【符号の説明】
【0084】
1:アクチュエータ 10:誘電膜 11a、11b:電極 12a、12b:配線
13:電源
2:静電容量型センサ(トランスデューサ) 20:誘電膜 21a、21b:電極
22a、22b:配線 23a、23b:カバーフィルム 24:コネクタ
3:発電素子(トランスデューサ) 30:誘電膜 31a、31b:電極
32a〜32c:配線
5:アクチュエータ 50:誘電膜 51a、51b:電極 52:上側チャック
53:下側チャック
100:誘電材料 101:海相 102:島相

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海相中に島相が分散されてなる海島構造を有し、
前記島相は、エラストマーを含み比誘電率が15以上の高誘電材料からなり、
前記海相は、エラストマーを含み該高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなることを特徴とする誘電材料。
【請求項2】
前記高抵抗材料を構成する前記エラストマーは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、イソプレンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体から選ばれる一種以上である請求項1に記載の誘電材料。
【請求項3】
前記高抵抗材料は、前記エラストマーに加えて、さらに無機フィラーを含み、
該エラストマーは、該無機フィラーと反応可能な官能基を有する請求項1または請求項2に記載の誘電材料。
【請求項4】
前記無機フィラーは、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、タルクから選ばれる一種以上である請求項3に記載の誘電材料。
【請求項5】
前記高誘電材料を構成する前記エラストマーは、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の誘電材料。
【請求項6】
前記高誘電材料は、前記エラストマーに加えて、さらにイオン導電剤を含む請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の誘電材料。
【請求項7】
前記イオン導電剤は、第四級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、および第四級ホスホニウムイオンから選ばれるカチオンと、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、および過塩素酸イオンから選ばれるアニオンと、を有する化合物である請求項6に記載の誘電材料。
【請求項8】
前記イオン導電剤の配合量は、前記エラストマーの100質量部に対して、0.155mmol以上3mmol以下である請求項6または請求項7に記載の誘電膜。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の誘電材料からなる誘電膜と、
該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、
を備えることを特徴とするトランスデューサ。
【請求項10】
複数の前記電極間に印加された電圧に応じて、前記誘電膜が伸縮するアクチュエータである請求項9に記載のトランスデューサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−201993(P2011−201993A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69584(P2010−69584)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】