説明

α−オレフィンオリゴマーの製造方法

【課題】α−オレフィンの多量体の製造工程を短縮し、所望のα−オレフィンオリゴマーを効率良く製造する方法を提供する。
【解決手段】(a)メタロセン錯体および活性化剤の存在下、α−オレフィンをオリゴマー化する第一オリゴマー化工程と,(b)前記(a)で得られたオリゴマーを含む反応液に、一般式:RX(但し、RはHまたは炭化水素基,Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化合物を添加して、該オリゴマーをさらにオリゴマー化する第二オリゴマー化工程を有するα−オレフィンオリゴマーの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα−オレフィンオリゴマーの新規な製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、熱媒油,潤滑油ベースオイル,トラクションオイル,化粧用基材,あるいはそれらの中間体などとして有用なα−オレフィンオリゴマーを効率よく製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
α−オレフィンオリゴマーは、例えば熱媒油,潤滑油ベースオイル,トラクションオイル,化粧用基材,あるいはそれらの中間体などとして有用であることが知られている。
従来、オレフィンオリゴマーの製造方法としては、BF3とアルコールまたはエーテルの組み合わせや、AlCl3とハロゲン化アルキルの組み合わせなどのフリーデルクラフツ触媒、或いは固体酸触媒が良く知られている。しかし、これらの触媒により製造したオリゴマーは組成が広く、多くの骨格異性体を含んでいる。そのため所望の粘度のオリゴマーの得率が低いという問題があった。
この問題を解決するため、得られるオリゴマーの組成が狭く、骨格異性体を殆ど含まない方法として、例えば(1)シクロペンタジエニル基を含有する遷移金属化合物とアルミノキサンとからなる触媒の存在下にα−オレフィンを反応させる方法(例えば、特許文献1、2参照)、(2)遷移金属化合物及びカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物を含有する触媒の存在下にα−オレフィンを反応させる方法(例えば、特許文献3参照)、(3)遷移金属化合物とメチルアルミノキサンとからなる触媒の存在下に環状炭化水素基を有する高級オレフィンを反応させる方法(例えば、特許文献4参照)などが開示されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも2量化を目的としたものであって、2量体以上の選択率が低く、かつ触媒活性も不充分であるなどの欠点を有している。
【0003】
2量体以上のα−オレフィンオリゴマーを製造する方法としては、α−オレフィンの二量体をさらに二量化する方法(例えば、特許文献5参照)および、第一工程でα−オレフィンを多量化し,第二工程で少なくとも未反応のα−オレフィンを除いたフラクションをさらに多量化する方法(例えば、特許文献6参照)が知られている。
しかし、これらの方法では、いずれも第一工程で得られたα−オレフィンオリゴマーを、第二工程でさらに多量化する前に,α−オレフィンオリゴマーを単離する工程を含んでいる。このα−オレフィンオリゴマーを単離する工程では、メタロセン触媒を用いてα−オレフィンをオリゴマー化した反応液は,酸またはアルカリ水による触媒の脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を経て精製され,ビニリデン化合物の単体または混合物として単離される。その後,このビニリデン化合物にフリーデルクラフツ触媒を作用させることによってオリゴマー化し,再び脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を経て,所望の粘度を持った化合物が得られる。従って、従来の方法で2量体以上のα−オレフィンオリゴマーを製造する場合には、このような脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を再度行うことになり、工程が煩雑であり、α−オレフィンの多量体を効率的に製造することが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−51340号公報
【特許文献2】米国特許第5,087,788号明細書
【特許文献3】特開平5−39229号公報
【特許文献4】特開平4−66542号公報
【特許文献5】米国特許第3,576,898号明細書
【特許文献6】特表2003−510382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記観点からなされたもので、α−オレフィンの多量体の製造工程を短縮し、所望のα−オレフィンオリゴマーを効率良く製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、第一工程でメタロセン触媒を用いてα−オレフィンをオリゴマー化した反応液に、ハロゲン化合物を添加して、さらにオリゴマー化を行うようにすれば、上記のような煩雑なα−オレフィンオリゴマーを単離する工程を経ることなしに、所望のα−オレフィンオリゴマーを効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
即ち本発明は、以下のα−オレフィンオリゴマーの製造方法を提供するものである。
1.(a)メタロセン錯体および活性化剤の存在下、α−オレフィンをオリゴマー化する第一オリゴマー化工程と,(b)前記(a)で得られたオリゴマーを含む反応液に、一般式:RX(但し、RはHまたは炭化水素基,Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化合物を添加して、該オリゴマーをさらにオリゴマー化する第二オリゴマー化工程を有することを特徴とするα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
2.(a)工程において、さらに有機アルミニウム化合物の存在下でオリゴマー化を行う上記1のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
3.(a)工程において、メタロセン錯体がジルコノセン化合物であり,活性化剤がアルミノキサンおよび/またはハロゲン化アルミノキサンである上記1又は2のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
4.(b)工程において、RXで表されるハロゲン化合物が、2級および/または3級のハロゲン化アルキルである上記1〜3のいずれかのα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
5.(b)工程において、RXで表されるハロゲン化合物が、塩酸ガスまたは塩酸水溶液である上記1〜3のいずれかのα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
6.(b)工程において製造されるα−オレフィンオリゴマーが、主としてα−オレフィンの四量体である上記1〜5のいずれかのα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本方法によれば,第一オリゴマー化工程でα−オレフィンをオリゴマー化した反応液に含まれるメタロセン触媒を、第二オリゴマー化工程におけるフリーデルクラフツ触媒の成分として活用し,第一オリゴマー化工程のメタロセン触媒を用いてα−オレフィンをオリゴマー化した反応液は,酸またはアルカリ水による触媒の脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を経ずに、第二工程のオリゴマー化を行い、所望の多量体を得ることが出来るため,オリゴマーの製造工程が短縮され,α−オレフィンオリゴマー製造装置が簡略化されて収率良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における(a)第一オリゴマー化工程は、(A)メタロセン錯体および(B)活性化剤と、必要に応じて(C)有機アルミニウム化合物の組み合わせからなるメタロセン触媒の存在下、α−オレフィンのオリゴマー化が行われる。
当該(a)工程の第一オリゴマー化工程に係るメタロセン触媒の各成分としては、下記の化合物を好ましく用いることができる。
【0010】
(A)メタロセン錯体
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、各種のものが挙げられるが、周期律表第4族の遷移金属化合物を好ましく挙げることができる。
周期律表第4族遷移金属化合物としては、一般式(1)
a(C55-a-b1b)(C55-a-c2c)M1XY ・・・(1)
〔式中、Qは二つの共役五員環配位子(C55-a-b1b)及び(C55-a-c2c)を架橋する結合性基を示す。R1及びR2は、それぞれ炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示し、複数あるときは、互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。aは0、1又は2である。b及びcは、a=0のときはそれぞれ0〜5の整数、a=1のときはそれぞれ0〜4の整数、a=2のときはそれぞれ0〜3の整数を示す。M1は周期律表第4族の遷移金属を示す。また、X及びYは、それぞれ共有結合性又はイオン結合性の配位子を表し、X及びYは、それぞれ互いに結合してもよい。〕
で表される化合物を挙げることができる。
【0011】
Qの具体例としては、
(1)メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基などの炭素数1〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基又はその側鎖低級アルキル若しくはフェニル置換体、
(2)シリレン基、ジメチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基などのシリレン基、オリゴシリレン基又はその側鎖低級アルキル若しくはフェニル置換体、
(3)(CH32Ge基、(C652Ge基、(CH3)P基、(C65)P基、(C49)N基、(C65)N基、(CH3)B基、(C49)B基、(C65)B基、(C65)Al基、(CH3O)Al基などのゲルマニウム、リン、窒素、硼素又はアルミニウムを含む炭化水素基〔低級アルキル基、フェニル基、ヒドロカルビルオキシ基(好ましくは低級アルコキシ基)など〕などが挙げられる。
これらの中で、アルキレン基及びシリレン基が好ましい。
【0012】
また、(C55-a-b1b)及び(C55-a-c2c)は、共役五員環配位子であり、R1及びR2は、それぞれ炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又は硼素含有炭化水素基を示し、aは0、1又は2である。
b及びcは、a=0のときはそれぞれ0〜5の整数、a=1のときはそれぞれ0〜4の整数、a=2のときはそれぞれ0〜3の整数を示す。
ここで、炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に炭素数1〜12のものが好ましい。
炭化水素基は、一価の基として、共役五員環基であるシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、又、複数個存在する場合には、その2個が互いに結合してシクロペンタジエニル基の一部と共に環構造を形成していてもよい。
即ち、共役五員環配位子の代表例としては、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基及びフルオレニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、炭素数1〜12のものが好ましく挙げられる。
珪素含有炭化水素基としては、例えば、−Si(R3)(R4)(R5)(式中、R3、R4及びR5は炭素数1〜24の炭化水素基を示す。)などが挙げられ、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基及び硼素含有炭化水素基としては、それぞれ−P(R6)(R7)、−N(R6)(R7)及び−B(R6)(R7)(式中、R6及びR7は炭素数1〜18の炭化水素基を示す。)などが挙げられる。
1及びR2がそれぞれ複数ある場合には、複数のR1及び複数のR2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
また、一般式(1)で表される化合物において、共役五員環配位子(C55-a-b1b)及び(C55-a-c2c)は同一でも異なっていてもよい。
【0013】
1は、周期律表第4族の遷移金属元素を示し、具体例としては、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムを挙げることができるが、これらの中でジルコニウムが最も好ましい。
X及びYは、それぞれ共有結合性又はイオン結合性の配位子であり、具体的には、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基(例えば、ジフェニルホスフィン基など)又は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の珪素含有炭化水素基(例えば、トリメチルシリル基など)、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基あるいはハロゲン含有ホウ素化合物(例えば、B(C65)4、BF4など)を示す。
これらの中で、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基及びアルコキシ基が好ましい。
X及びYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0014】
上記一般式(1)で表される化合物の具体例として、例えば、以下の(a)〜(f)に記載の化合物を挙げることができる。
(a)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス[ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,3−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,3−トリメチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(9−メチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(9−メチルオクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロロヒドリド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)メトキシジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジネオペンチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドロジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウム、(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどの架橋する結合基を有さず共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
【0015】
(b)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、1,3−プロピレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、1,4−ブチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、rac−メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、rac−1,3−プロピレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−1,3−プロピレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−1,4−ブチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−1,4−ブチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−エチレンビス(2,3−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、meso−エチレンビス(2,3−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’− tert−ブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2,5−ジエチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどのアルキレン基で架橋した共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
【0016】
(c)ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、テトラメチルジシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどのシリレン基架橋共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
(d)ジメチルゲルミレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチルアルミレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルアルミレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルホスフィレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチルボレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルアミレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどのゲルマニウム、アルミニウム、硼素、リン又は窒素を含む炭化水素基で架橋された共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
(e)(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−エチレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−シクロヘキシリデン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどの配位子同士が二重架橋された共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
(f)更には、上記(a)〜(e)に記載の化合物において、これらの化合物の塩素原子を臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、メチル基、フェニル基などに置き換えたもの、又、上記化合物の中心金属のジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えたものを挙げることができる。
本発明においては、これらのメタロセン錯体の中、遷移金属がジルコニウムであるジルコノセン化合物、例えばビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが好適に用いられる。
【0017】
(B)活性化剤
活性化剤として用いられる(B)活性化剤としては、アルミノキサン、ハロゲン化アルミノキサンおよびボレート化合物が挙げられる。
アルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン,エチルアルミノキサン,ブチルアルミノキサン,イソブチルアルミノキサンなどが挙げられる。
ハロゲン化アルミノキサンとしては、ジエチルアルミニウムクロリドで変性したメチルアルミノキサン,n−ブチルクロリドで変性したメチルアルミノキサンなどが挙げられる。
ボレート化合物としては、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート,トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートなどが挙げられる。
本発明においては、これらの活性化剤の中、アルミノキサンおよびハロゲン化アルミノキサンが好適に用いられ、メチルアルミノキサンおよびジエチルアルミニウムクロリドで変性したメチルアルミノキサンが特に好適に用いられる。
これらの活性化剤は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。該触媒における上記(A)メタロセン錯体と(B)活性化剤との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:1〜1:10000の範囲が望ましい。
【0018】
当該(a)第一オリゴマー化工程における触媒は、前記の(A)成分及び(B)成分を主成分として含有するものであってもよいし、また、(A)成分、(B)成分及び(C)有機アルミニウム化合物を主成分として含有するものであってもよい。
ここで、(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(2)
8 r AlQ13-r ・・・(2)
〔式中、R8 は炭素数1〜10のアルキル基、Q1は水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、rは1〜3の整数である。〕で示される化合物が用いられる。
【0019】
前記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は、一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。前記(A)触媒成分と(C)触媒成分との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:5〜1:2000、さらに好ましくは1:10ないし1:1000の範囲が望ましい。
該(C)触媒成分を用いることにより、遷移金属当たりの活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になるとともに、オリゴマー中に多量に残存し、好ましくない。
【0020】
当該(a)第一オリゴマー化工程において、(A)メタロセン錯体および(B)活性化剤を用いて触媒を調製する場合、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で接触操作を行うことが好ましい。
また、(A)メタロセン錯体、(B)活性化剤および(C)有機アルミニウム化合物を用いて触媒を調製する場合、(B)活性化剤と(C)有機アルミニウム化合物を事前に接触させてもよいが、α−オレフィンの存在下、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を接触することによっても充分高活性な触媒が得られる。
上記触媒成分は、予め、触媒調製槽において調製したものを使用してもよいし、第一オリゴマー化工程において調製したものを反応に使用してもよい。
反応器内において触媒の調製を行う場合は、第一オリゴマー化工程の反応温度以下で調製することが好ましく、例えば、−30〜200℃、好ましくは0〜150℃の範囲で調製するのがよい。
【0021】
本発明に用いるα−オレフィンには、特に制限はないが、好ましいα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、4−フェニル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、6−フェニル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドリアコンテン、1−テトラコンテン、ビニルシクロヘキサンなどを挙げることができる。これらの中、ブテン,ペンテン,ヘキセン,オクテン,デセン,ドデセン,テトラデセン,ヘキサデセン,オクタデセン,エイコセンが好適に用いられる。これらのα−オレフィンは一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
第一オリゴマー化工程において、反応方法には制限はなく、溶媒の不存在下で行なってもよく、溶媒中で行ってもよく、いずれの方法を用いてもよい。
反応条件に関し、反応温度は通常−100〜250℃、特に−50〜100℃とすることが好ましい。また、α−オレフィンに対する触媒の使用割合は、α−オレフィン/(A)メタロセン錯体(モル比)が、通常1000〜106、好ましくは2000〜105である。
反応時間は、通常10分〜48時間である。
【0023】
反応溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物などが挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組合せてもよい。また、α−オレフィンなどの原料を溶媒として用いてもよい。
【0024】
従来のα−オレフィンオリゴマーの製造方法では、第二オリゴマー化工程の前に、酸またはアルカリ水による触媒の脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を有するが、本発明においては、これらの工程を経ずに、第一オリゴマー化工程でα−オレフィンをオリゴマー化した反応液に含まれるメタロセン触媒を、第二オリゴマー化工程におけるフリーデルクラフツ触媒の成分として活用し,第一オリゴマー化工程のメタロセン触媒を用いてα−オレフィンをオリゴマー化した反応液に、ハロゲン化合物を添加して、第一工程で得られたα−オレフィンのオリゴマーを、さらに第二工程のオリゴマー化を行い、所望の多量体を得ることができる。
【0025】
すなわち、本発明のα−オレフィンオリゴマーの製造方法は、
(a)メタロセン錯体および活性化剤の存在下、α−オレフィンをオリゴマー化する第一オリゴマー化工程と,
(b)前記(a)工程で得られたオリゴマーを含む反応液に、
一般式:RX(但し、RはHまたは炭化水素基,Xはハロゲン原子を示す。)
で表される(D)ハロゲン化合物を添加して、該オリゴマーをさらにオリゴマー化する第二オリゴマー化工程を有することを特徴とするものである。
【0026】
上記(b)で用いられるRXで表される(D)ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、メチルクロリド、エチルクロリド、プロピルクロリド、ブチルクロリド、ペンチルクロリド、オクチルクロリド、フェニルクロリド、ベンジルクロリド、ナフチルクロリド、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、メチルブロミド、エチルブロミド、プロピルブロミド、ブチルブロミド、ペンチルブロミド、オクチルブロミド、フェニルブロミド、ベンジルブロミド、ナフチルブロミド、メチレンブロミド、ブロモホルム、四臭化炭素、メチルアイオダイド、エチルアイオダイド、プロピルアイオダイド、ブチルアイオダイド、ペンチルアイオダイド、オクチルアイオダイド、フェニルアイオダイド、ベンジルアイオダイド、ナフチルアイオダイド、メチレンアイオダイド、ヨードホルム、四沃化炭素などが挙げられる。これらの化合物を一種用いてもよく,二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのハロゲン化合物の中、塩化水素および2級または3級のハロゲン化アルキルが好適に用いられ、塩化水素およびtert−ブチルクロリド,イソプロピルクロリドが特に好適に用いられる。
塩化水素としては、塩酸ガスまたは塩酸水溶液(HCl含量が30重量%以上の塩酸水)が好適に用いられる。
【0027】
第二オリゴマー化工程における(B)活性化剤と(D)ハロゲン化合物、または(B)活性化剤および(C)有機アルミニウム化合物と(D)ハロゲン化合物の配合割合は、(B)成分/(D)成分、または〔(B)成分+(C)成分〕/(D)成分〔モル比〕が、通常1/0.5〜1/200、好ましくは1/1〜1/50である。(A)成分/(D)成分〔モル比〕を1/0.5〜1/200とすることにより、オリゴマーの塩素化物の過剰な生成を抑制することができる。
第二オリゴマー化工程における反応条件は第一オリゴマー化工程に準じて行われ、目的とするα−オレフィンオリゴマーの特性に応じて反応条件を調整することができる。第二オリゴマー化工程で製造されたα−オレフィンオリゴマーは、公知の方法により、酸またはアルカリ水による触媒の脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を経て分離、精製を行うことができる。
本発明においては、第一オリゴマー化工程の後の脱灰工程,中和工程,洗浄工程,蒸留工程を有しないので、目的とする重合度を有するα−オレフィンオリゴマーを効率的に低コストで製造することができる。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例における収率は原料の1−デセンに対する収率である。
【0029】
実施例1
(工程a)窒素置換した内容積500mLのガラス製容器に,1−デセン200mLをとり,これにアルミニウム原子換算で3.18mol/Lに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液0.63mL,13質量%に調製したジエチルアルミニウムクロリドのトルエン溶液0.43mLを加えた。次いで0.0355mol/Lに調製したビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.6mlを加え,50℃の油浴に浸して5時間反応させた。1.0mLを注射器で抜き取り,5質量%塩酸で反応を停止し,触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,原料1−デセンの転化率は95.5%,二量体の収率は85.2%,三量体の収率は4.3%,四量体の収率は0.5%であった。
(工程b)上記反応液を50℃の油浴に浸したまま,35質量%塩酸1.0mLを添加し,1時間反応させた。5質量%塩酸で反応を停止し,触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,原料1−デセンの転化率は97.1%,二量体の収率は15.3%,三量体の収率は7.4%,四量体の収率は59.7%,五量体の収率は4.7%,六量体の収率は3.4%,七量体の収率は0.4%,八量体の収率は0.5%であった。
【0030】
実施例2
(工程a)窒素置換した内容積500mLのガラス製容器に,1−デセン200mLをとり,これにアルミニウム原子換算で3.18mol/Lに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液0.63mL,13質量%に調製したジエチルアルミニウムクロリドのトルエン溶液0.43mLを加えた。次いで0.0355mol/Lに調製したビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.6mlを加え,室温で12時間反応させた。1.0mLを注射器で抜き取り,5質量%塩酸で反応を停止し,触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,原料1−デセンの転化率は98.7%,二量体の収率は86.5%,三量体の収率は4.3%,四量体の収率は1.2%であった。
(工程b)上記反応液を50℃の油浴に浸し,濃硫酸5mLに0.40mLの35質量%塩酸を滴下して発生させた塩酸ガスを、窒素を流しながらボールフィルターを用いて反応液に導入した。1時間後,5質量%塩酸で反応を停止し、触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果、原料1−デセンの転化率は99.7%、二量体の収率は15.3%、三量体の収率は6.2%、四量体の収率は63.5%、五量体の収率は4.3%、六量体の収率は3.4%、七量体の収率は0.5%、八量体の収率は0.5%であった。
【0031】
実施例3
(工程a)窒素置換した内容積500mLのガラス製容器に,1−デセン200mLをとり,これにアルミニウム原子換算で3.18mol/Lに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液0.63mL,13質量%に調製したジエチルアルミニウムクロリドのトルエン溶液0.43mLを加えた。次いで0.0355mol/Lに調製したビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.6mlを加え,室温で12時間反応させた。1.0mLを注射器で抜き取り,5質量%塩酸で反応を停止し,触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,原料1−デセンの転化率は97.4%,二量体の収率は83.0%,三量体の収率は3.9%,四量体の収率は0.4%であった。
(工程b)上記反応液を50℃の油浴に浸し,tert−ブチルクロリド0.088mLを反応液に添加した。1時間後,5質量%塩酸で反応を停止し,触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,原料1−デセンの転化率は99.7%,二量体の収率は6.3%,三量体の収率は6.8%,四量体の収率は68.8%,五量体の収率は5.6%,六量体の収率は5.1%,七量体の収率は0.7%,八量体の収率は0.6%であった。
【0032】
比較例1
(工程a)反応規模を2倍にした以外は実施例1の(工程a)と同一の方法で1−デセンをオリゴマー化した反応液を得た。これを5モル/Lの5質量%塩酸100mL,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mL,イオン交換水100mLで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,原料1−デセンの転化率は97.5%,二量体の収率は81.3%,三量体の収率は4.2%,四量体の収率は0.5%であった。この溶液を減圧下で蒸留し,得られた純度99質量%の二量体を(工程b)の反応に用いた。
(工程b)窒素置換した容量500mLの三ツ口フラスコに(工程a)で得られた二量体を200mLとり,ジエチルアルミニウムクロリドの13質量%トルエン溶液を0.43mL加えた。この混合液を50℃の油浴に浸し,0.4mLの35質量%塩化水素水を5.0mLの濃硫酸に滴下して発生させた塩化水素ガスを,窒素気流下で濃硫酸を通して乾燥させ,ボールフィルターを用いて反応液中に導入した。1時間後,5質量%塩酸で反応を停止し,触媒成分を分解,除去して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果,二量体をさらに二量化した成分の収率は81.6%,三量化した成分の収率は9.0%,四量化した成分の収率は1.2%であった。
すなわち,洗浄および蒸留単離操作による損失を考慮しなければ,1−デセンから出発した四量体の最終的な収率は69.9%であった。
【0033】
以上の各実施例および比較例の工程aおよび工程bにおける収率を第1表に示す。なお、比較例1において高い四量体の最終的な収率が得られているが、工程aにおける反応生成物から二量体を分離するために、脱灰処理,中和処理、洗浄処理および減圧蒸留が行われ、工程bにおいて工程aと同量の新たな触媒を用いており、そのために多くの費用を要する。本発明によれば目的とする四量体を簡略された工程で有利に製造することができる。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メタロセン錯体および活性化剤の存在下、α−オレフィンをオリゴマー化する第一オリゴマー化工程と,(b)前記(a)で得られたオリゴマーを含む反応液に、一般式:RX(但し、RはHまたは炭化水素基,Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化合物を添加して、該オリゴマーをさらにオリゴマー化する第二オリゴマー化工程を有することを特徴とするα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
【請求項2】
(a)工程において、さらに有機アルミニウム化合物の存在下でオリゴマー化を行う請求項1に記載のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
【請求項3】
(a)工程において、メタロセン錯体がジルコノセン化合物であり,活性化剤がアルミノキサンおよび/またはハロゲン化アルミノキサンである請求項1又は2に記載のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
【請求項4】
(b)工程において、RXで表されるハロゲン化合物が、2級および/または3級のハロゲン化アルキルである請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
【請求項5】
(b)工程において、RXで表されるハロゲン化合物が、塩酸ガスまたは塩酸水溶液である請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。
【請求項6】
(b)工程において製造されるα−オレフィンオリゴマーが、主としてα−オレフィンの四量体である請求項1〜5のいずれかに記載のα−オレフィンオリゴマーの製造方法。

【公開番号】特開2007−131564(P2007−131564A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325263(P2005−325263)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】