説明

γ−セクレターゼ阻害剤としての架橋n−アリールスルホニルピペリジン

1実施態様では、本発明は、式(I)のγ−セクレアーゼ阻害剤を開示しており、ここで、種々の部分は、本明細書中で記述されている。また、式Iの化合物または式(I)の化合物を含有する組成物を使用してアルツハイマー病を治療する方法が開示されている。1局面では、本発明は、γ−セクレアーゼの阻害剤としての新規化合物、このような化合物を調製する方法、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する組成物、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する医薬品処方を調製する方法、このような化合物または医薬組成物を使用してγ−セクレアーゼに関連した1種またはそれ以上の疾患を治療、予防、阻止または改善する方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2003年5月13日に出願された米国仮特許出願第60/470,146号から優先権を主張している。
【0002】
(発明の背景)
WO 00/50391(これは、2000年8月13日に公開された)は、アルツハイマー病およびアミロイドタンパク質の堆積に関連した他の疾患を治療し予防するのに有用なスルホンアミド部分を有する化合物を開示している。
【0003】
神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)の治療または予防における現在の関心を考慮して、当該技術分野に好ましい寄与には、このような治療または予防で使用する化合物がある。本発明は、このような寄与を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
1局面では、本発明は、γ−セクレアーゼの阻害剤としての新規化合物、このような化合物を調製する方法、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する組成物、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する医薬品処方を調製する方法、このような化合物または医薬組成物を使用してγ−セクレアーゼに関連した1種またはそれ以上の疾患を治療、予防、阻止または改善する方法を提供する。
【0005】
1局面では、本願は、化合物、および/または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を開示しており、該化合物は、式Iで示された一般構造を有する:
【0006】
【化17】

ここで:
Arは、アリールまたはヘテロアリールである;
Xは、O、NHまたはNRである;
mは、0、1、2または3であるが、但し、m=0のとき、二重結合は、存在せず、m>0のとき、二重結合は、存在し得るか存在し得ず、または三重結合は、存在し得るか存在し得ない;
nは、0、1、2または3である;
は、1個〜3個の置換基であり、該置換基は、以下からなる群から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、−CF、−OCF、−NR、−CN、−NO、−NH、−アルキレン−NR、−アルキレン−O−アルキル、−C(O)O−アルキル、−C(O)NR、−N(R)C(O)アルキル、−N(R)C(O)シクロアルキル、−N(R)C(O)アリール、−N(R)C(O)ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−アルキル、−N(R)C(O)NR、−N(R)S(O)アルキル、−OH、−O−アルキルおよび−O−シクロアルキル;
は、水素、−アルキル、−シクロアルキル、−アルキレン−シクロアルキル、−シクロアルキル、−NR、−アルキレン−NR、−アルキレン−O−アルキル、−O−アルキル、−ヘテロアリールまたは−アリールである;
は、1個〜6個の置換基であり、該置換基は、同一または異なり得、各々は、別個に、水素、ハロゲン、−アルキル、−シクロアルキル、−OH、−OCF、−CF、−O−アルキル、−O−シクロアルキルまたは−NRから選択される;
は、水素、−アルキル、−シクロアルキル、−アリールまたは−ヘテロアリールである;または
およびRは、一緒に結合して、3〜6員環を形成できる;
は、−NR、−N(R)−アルキレン−NR、−アルキル、−シクロアルキル、−アリール、−ヘテロアリール、−シクロアルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−シクロアルキレン−アリール、−シクロアルキレン−ヘテロアリール、−ヘテロシクロアルキル−アリールまたは−ヘテロシクロアルキル−ヘテロアリールである;または
は、以下からなる群から選択される:
【0007】
【化18】

およびRは、同一または異なり得、各々は、以下からなる群から選択される:水素、−アリール、ヘテロアリール、−アルキル、−シクロアルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、
【0008】
【化19】

rは、0、1、2、3または4である;
sは、0、1、2または3である;
は、水素、−OH、アルキル、−C(O)NR、−C(O)O−アルキルまたはアリールであり、ここで、該アルキル部分は、非置換であり得るか、または1個〜4個の水酸基で置換され得、該アリール基は、非置換であり得るか、または少なくとも1個の置換基で置換され得、該置換基は、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、−CF、−OCF、−NR、−CN、−NO、−NH、−アルキレン−NR、−アルキレン−O−アルキル、−C(O)O−アルキル、−C(O)NR、−N(R)C(O)アルキル、−N(R)C(O)シクロアルキル、−N(R)C(O)アリール、−N(R)C(O)ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−アルキル、−N(R)C(O)NR、−N(R)S(O)アルキル、−OH、−O−アルキルおよび−O−シクロアルキルからなる群から選択される;
は、以下からなる群から選択される:水素、アルキル、−シクロアルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキル−シクロアルキル、−C(O)O−アルキル、−アルキレン−O−アルキレン−OH、−アリールおよび−ヘテロアリールであって、ここで、各該アルキルおよびシクロアルキル部分は、別個に、置換または非置換であり得、もし、置換されているなら、1個〜4個の水酸基または少なくとも1個の−NR基で置換されている;
各R10は、別個に、水素またはアルキルから選択され、ここで、該アルキル基は、置換または非置換であり得、もし、置換されているなら、R10は、1個〜4個の水酸基で置換されている;
各R11およびR12は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、−アルキル、−シクロアルキル、−OH、−OCF、−CF、−O−アルキル、−O−シクロアルキル、−NRまたはアリールから選択される;または
11およびR12は、それらが式Iにおいて結合していると見える環炭素原子と一緒になって、シクロアルキル環を形成し、ここで、それにより形成された該シクロアルキル環は、非置換であり得るか、またはアルキル、アルコキシ、アリールまたはハロゲンで置換できる;
pは、0、1、2、3または4である;そして
qは、0、1または2である。
【0009】
特に明記しない限り、上記定義のうち、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキレンおよびヘテロシクロアルキル部分(これらはまた、ヘトロシクリルと呼ばれている)は、非置換であり得るか、または各々は、必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の適当な基(これらは、同一または異なり得、別個に、選択される)で置換できる。置換基としてのこのような適当な基の非限定的な例は、以下の詳細な説明の項にある定義で提供されている。上記部分におけるこのような非置換だけでなく別個で任意の置換の可能性は、本発明の範囲内である。
【0010】
本発明はまた、式Iの1種またはそれ以上の化合物の治療有効量と1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な担体とを含有する医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、γ−セクレアーゼを阻害する方法を提供し、該方法は、そのような阻害を必要とする患者に、式Iの1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0012】
本発明はまた、1種またはそれ以上の神経変性疾患を治療する方法を提供し、該方法は、そのような治療を必要とする患者に、式Iの1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0013】
本発明はまた、神経組織(例えば、脳)またはその周りのアミロイドタンパク質(例えば、β−アミロイドタンパク質)を阻害する方法を提供し、該方法は、そのような治療を必要とする患者に、式Iの1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0014】
本発明はまた、アルツハイマー病を治療する方法を提供し、該方法は、治療を必要とする患者に、式Iの1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
1実施態様では、本願は、化合物、該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を開示しており、該化合物は、式Iで示される一般構造を有する。
【0016】
好ましい実施態様では、Arは、アリールである。
【0017】
他の好ましい実施態様では、Xは、Oである。
【0018】
他の好ましい実施態様では、mは、0または1である。
【0019】
他の好ましい実施態様では、nは、1または2である。
【0020】
他の好ましい実施態様では、Rは、ハロゲンである。
【0021】
他の好ましい実施態様では、Rは、水素である。
【0022】
他の好ましい実施態様では、Rは、水素である。
【0023】
他の好ましい実施態様では、Rは、水素またはCHである。
【0024】
他の好ましい実施態様では、Rは、以下である:−NR、−NR−アルキレン−NR
【0025】
【化20】

さらに他の好ましい実施態様では、Arは、フェニルである。
【0026】
さらに他の好ましい実施態様では、Rは、4−ハロ、さらに好ましくは、4−クロロである。
【0027】
さらに他の好ましい実施態様では、Rは、以下である:
【0028】
【化21】

さらに他の好ましい実施態様では、式Iで表わされる構造内の二環式の環内に、1個の二重結合が存在している。
【0029】
さらに他の好ましい実施態様では、m=1であり、そしてn=2である。
【0030】
さらに他の好ましい実施態様では、m=1であり、そしてn=1である。
【0031】
さらに他の好ましい実施態様では、m=0であり、そしてn=1である。
【0032】
さらに他の好ましい実施態様では、Rは、以下である:
【0033】
【化22】

さらに他の好ましい実施態様では、R11およびR12は、両方共に、Hである。
【0034】
さらに他の好ましい実施態様では、Arは、アリールである;
X=Oである;
は、ハロである;
は、Hである;
は、Hである;
は、Hである;そして
は、以下である:
【0035】
【化23】

さらに好ましい実施態様では、mは、1であり、二重結合または三重結合が存在しており、そしてR11およびR12は、それらが式Iにおいて結合していると見える環炭素原子と一緒になって、シクロプロピルアルキル環を形成する。
【0036】
本発明の一部の好ましい化合物には、以下が挙げられる:
【0037】
【化24】

【0038】
【化25】

【0039】
【化26】

【0040】
【化27】

特に明記しない限り、以下の定義は、本明細書および請求の範囲の全体にわたって使用される。これらの定義は、用語が単独で使用されているか他の用語と併用されているかとは無関係に、適用される。例えば、「アルキル」との定義はまた、「アルキル」だけでなく、「ヘテロアリールアルキル」、「−N(R)C(O)O−アルキル」などの「アルキル」部分にも適用される。
【0041】
上でおよび本開示全体を通じて使用される以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有することが理解できるはずである:
「患者」としては、ヒトと他の哺乳動物との両方が挙げられる。
【0042】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0043】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であり得、そして鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキル鎖に結合したものを意味する。「低級アルキル」とは、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であっても良い。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0044】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;そしてより好ましくは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、この鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。用語「置換アルケニル」とは、アルケニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、およびアルコキシからなる群より選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0045】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;そしてより好ましくは、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、この鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデシニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0046】
「アルキレン」とは、上で定義されたアルキル基からの1つの水素原子の除去によって得られる、二官能性基を意味する。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。
【0047】
「アリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。このアリール基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これらの置換基は、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。適当なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。「アリール」は、時には、本明細書中にて、「ar」の略語で呼ばれる。
【0048】
「ヘテロアリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約5個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含有し、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含有する。この「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。このヘテロアリール根本名称の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子が存在していることを意味している。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化できる。適当なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0049】
「アラルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適当なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフテニルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。
【0050】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキルは、先に記述したとおりである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含有する。適当なアルキルアリール基の非限定的な例には、o−トリル、p−トリルおよびキシリルが挙げられる。その親部分への結合は、アリールを介している。
【0051】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含む。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアルキルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、上で定義したとおりである。適当な一環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適当な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。「cy」との略語は、シクロヘキシルを表わす。
【0052】
「ハロ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがさらに好ましい。
【0053】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素および塩素がさらに好ましい。
【0054】
「ハロアルキル」とは、アルキル基上の1個またはそれ以上のハロゲン原子をハロ基(これは、上で定義した)で置き換えたアルキル(これは、上で定義した)を意味する。
【0055】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得、各々は、別個に、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、各々は、別個に、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択される。「環系置換基」はまた、3個〜7個の環原子を有する環状環を意味し、そのうちの1個〜2個は、ヘテロ原子であり得、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはヘテロサイクレニル上の2個の環水素原子を同時に置換することにより、該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはヘテロサイクレニルに結合される。非限定的な例には、以下が挙げられる:
【0056】
【化28】

「シクロアルケニル」とは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、これは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む。好ましいシクロアルケニル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」(これらは、同一または異なり得、上で定義されている)で置換できる。適当な単環式シクロアルケニルの非限定的な例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニレニルである。
【0057】
「ヘテロシクレニル」とは、非芳香族の単環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の環原子(好ましくは、約5個〜約10個の環原子)を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ原子)単独またはその組合せであり、そして少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含有する。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は、約5個〜約6個の環原子を有する。そのヘテロシクレニル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語とは、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。このヘテロシクレニルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環系置換基で置換でき、ここで、「環系置換基」は、上で定義したとおりである。このヘテロシクレニルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適当な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例には、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適当なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例には、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適当な多環式オキサヘテロシクレニル基の非限定的な例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]へプテニルである。適当な単環式チアヘテロシクレニル環の非限定的な例には、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0058】
「ヘテロシクリル」(またはヘテロシクロアルキル)とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクリル環は、約5個〜約6個の環原子を含有する。そのヘテロシクリル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語とは、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。このヘテロシクリルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」(これは、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである)で置換できる。このヘテロシクリルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適当な一環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0059】
「アリールシクロアルケニル」とは、縮合したアリールおよびシクロアルケニルから誘導された基を意味し、ここで、そのアリールおよびシクロアルケニル環は、2個の環炭素原子を共有している。好ましいアリールシクロアルケニルには、アリールがフェニルでありシクロアルケニルが約5個〜約6個の環原子からなるものがある。このアリールシクロアルケニルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環系置換基で置換でき、ここで、「環系置換基」は、上で定義されている。適当なアリールシクロアルケニルの非限定的な例には、1,2−ジヒドロナフタレン、インデンなどが挙げられる。その親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介している。
【0060】
「シクロアルケニルアリール」とは、縮合したアリールシクロアルケニル(これは、上で定義した)から誘導された基を意味する。適当なシクロアルケニルアリールの非限定的な例は、その親部分への結合が芳香族炭素原子を介していること以外は、アリールシクロアルケニルについて本明細書中で記述したとおりである。
【0061】
「アリールシクロアルキル」とは、縮合したアリールおよびシクロアルキルから誘導された基を意味し、ここで、そのアリールおよびシクロアルキル環は、2個の環炭素原子を共有している。好ましいアリールシクロアルキルには、アリールがフェニルでありシクロアルキルが約5個〜約6個の環原子からなるものがある。アリールシクロアルキルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環系置換基で置換でき、ここで、「環系置換基」は、上で定義されている。適当なアリールシクロアルキルの非限定的な例には、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなどが挙げられる。その親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介している。
【0062】
「シクロアルキルアリール」とは、縮合したアリールシクロアルキル(これは、上で定義した)から誘導された基を意味する。適当なシクロアルキルアリールの非限定的な例には、その親部分への結合が芳香族炭素原子を介していること以外は、アリールシクロアルキル基について本明細書中で記述したとおりである。
【0063】
「ヘテロアリールシクロアルキル」とは、縮合したヘテロアリールおよびシクロアルキルから誘導された基を意味し、ここで、そのヘテロアリールおよびシクロアルキルは、2個の環炭素原子を共有している。共有された環原子は、両方共に炭素であり得、または共有された環原子の1個は、少なくとも3個の他の原子(例えば、窒素)に結合できるヘテロ原子であり得る。好ましいヘテロアリールシクロアルキルには、それらのヘテロアリールが約5個〜約6個の環原子からなりシクロアルキルが約5個〜約6個の環原子からなるものがある。このヘテロアリールの前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子が存在していることを意味している。このヘテロアリールシクロアルキルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環系置換基で置換でき、ここで、「環系置換基」は、上で定義されている。このヘテロアリールシクロアルキルのヘテロアリール部分の窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化できる。適当なヘテロアリールシクロアルキルの非限定的な例には、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾキサゾリル、1H−4−オキサ−1,5−ジアザナフタレン−2−オニル、1,3−ジヒドロイミダゾール−[4,5]−ピリジン−2−オニルなどが挙げられる。その親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介している。
【0064】
「シクロアルキルヘテロアリール」とは、縮合したヘテロアリールシクロアルキル(これは、上で定義した)から誘導された基を意味する。適当なシクロアルキルヘテロアリールの非限定的な例は、その親部分への結合が芳香族炭素原子を介していること以外は、ヘテロアリールシクロアルキルについて本明細書中で記述したとおりである。
【0065】
「アラルケニル」とは、アリール−アルケニル基を意味し、ここで、このアリールおよびアルケニルは、先に定義したとおりである。好ましいアラルケニルは、低級アルケニル基を含有する。適当なアラルケニル基の非限定的な例には、2−フェネテニルおよび2−ナフチルエテニルが挙げられる。その親部分への結合は、このアルケニルを介している。
【0066】
「アラルキニル」とは、アリール−アルキニル基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキニルは、先に定義したとおりである。好ましいアラルキニルは、低級アルキニル基を含有する。その親部分への結合は、このアルキニルを介している。適当なアラルキニル基の非限定的な例には、フェナセチレニルおよびナフチルアセチレニルが挙げられる。
【0067】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適当なアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、このアルキルを介している。
【0068】
「ヘテロアラルケニル」とは、ヘテロアリール−アルケニル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルケニルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルケニルは、低級アルケニル基を含有する。適当なヘテロアラルケニル基の非限定的な例には、2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。その親部分への結合は、このアルケニルを介している。
【0069】
「ヘテロアラルキニル」とは、ヘテロアリール−アルキニル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルキニルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルキニル基は、低級アルキニル基を含有する。適当なヘテロアラルキニル基の非限定的な例には、ピリド−3−イルアセチレニルおよびキノリン−3−イルアセチレニルが挙げられる。その親部分への結合は、このアルキニルを介している。
【0070】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル基を意味し、ここで、アルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適当なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0071】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0072】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0073】
「ヘテロアロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0074】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0075】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0076】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0077】
「アルキルアミノ」は、その窒素上の水素原子の1個またはそれ以上を上で定義したアルキル基で置き換えた−NH基または−NH基を意味する。
【0078】
「アリールアミノ」は、その窒素上の水素原子の1個またはそれ以上を上で定義したアリール基で置き換えた−NH基または−NH基を意味する。
【0079】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0080】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0081】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0082】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0083】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0084】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0085】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0086】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルフィニルを介してである。
【0087】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0088】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルフィニルを介してである。
【0089】
用語「必要に応じて置換された」は、利用可能な位置における特定の基、遊離基または部分での任意の置換を意味する。
【0090】
化合物中の部分(例えば、置換基、基または環)の数に関して、他に定義されない限り、用語「一つ以上」および「少なくとも一つ」は、化学的に許容される限り多くの部分が存在し得ることを意味し、そしてこのような部分の最大数の決定は、当業者の知識の範囲内である。
【0091】
当業者は、「神経変性疾患」との用語が、その一般的に受け入れられた医学的な意味を有し、そして神経の異常な機能(神経細胞の死、および神経伝達物質または神経毒性物質の異常な放出)から生じる疾患および病気を記述することを理解する。この場合、それはまた、異常なレベルのβ−アミロイドタンパク質から生じる全ての疾患を含む。このような疾患の例には、アルツハイマー病、年齢関連痴呆、大脳または全身のアミロイド症、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、およびダウン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
環系の中へと引かれた線は、指定した結合が置換可能環炭素原子のいずれにも結合できることを意味する。
【0093】
当該技術分野で周知であるように、特定の原子から引き出された結合(ここで、その結合の末端の部分は、描写されていない)は、その原子への結合を介して結合されたメチル基を示す。例えば:
【0094】
【化29】

当業者は、二環式の環構造を理解しており、それらの2つの例は、以下で示す図により、表わされる。便宜上および説明のために、炭素原子は、それ相応に番号を付けることができる。
【0095】
【化30】

環構造内の点線(その一例は、以下の図で示されている)は、任意の結合または任意の二重結合を表わす。例えば、任意の結合と共に、
【0096】
【化31】

上記構造は、以下の化合物を表わすことができる:
【0097】
【化32】

さらに、この二重結合または三重結合は、その構造内の任意の環上の任意の2個の利用可能な元素間で、結合を形成し得る。例えば、形成される二重結合と共に、
【0098】
【化33】

上記構造は、以下の構造を表わすことができる:
【0099】
【化34】

本明細書中で使用する場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組成物から直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0100】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式Iの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)Volume 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0101】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、固相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0102】
「有効量」または「治療的有効量」は、γ−セクレターゼを阻害するのに有効であり、従って、所望の治療効果を生じる、本発明の化合物または組成物の量を意味する。
【0103】
式Iの化合物は、これもまた本発明の範囲内にある塩を形成する。本明細書中の式Iの化合物に対する言及は、他に示さない限り、その塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成された塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「内部の塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する場合の用語「塩」の範囲に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中、または後に凍結乾燥される水性媒体中)で、式Iの化合物をある量(例えば、等量)の酸または塩基と反応させることによって形成され得る。
【0104】
例示的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパラテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート(benzenesulforiate)、ビスルフェート、ボレエート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オキサレート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、スルホネート(例えば、本明細書中で言及されるもの)、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)、ウンデカノエートなど。さらに、塩基性の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般にみなされる酸は、例えば、以下によって考察される:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences (1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(ウェブサイト上))。これらの開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0105】
例示的な塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ベンザチン(benzathine)、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル(dehydroabietyl))エチレンジアミンによって形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジブチルスルフェートおよびジアミルスルフェート)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤を用いて四級化され得る。
【0106】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0107】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0108】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0109】
式Iの化合物、および式Iの化合物の塩、溶媒和物および/またはプロドラッグの多形形状は、本発明に含まれると解釈される。
【0110】
本発明はまた、および式Iの少なくとも1種の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物と少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含有する医薬組成物に関する。医薬組成物は、式Iの1種またはそれ以上の化合物を含有できる。
【0111】
本発明で記述した化合物から製薬組成物を調製するためには、不活性で薬学的に受容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシュ剤および座剤が挙げられる。これらの粉末および錠剤は、約5%〜約95%の活性化合物から構成され得る。適当な固体担体は、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトースがある。錠剤、粉末、カシュ剤およびカプセル剤は、経口投与に適当な固体投薬形状として使用できる。薬学的に受容可能な担体の例は、A.Gennaro(著),Remington‘s Pharmaceutical Sciences,18版(1990)(Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania)で見られる。
【0112】
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一例としては、非経口注入用に、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得、また、経口溶液、懸濁液および乳濁液用に、甘味料および乳白剤の添加が言及され得る。液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0113】
吸入に適当なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形状固体が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能な担体(例えば、不活性圧縮気体(例えば、窒素))と組み合わせられ得る。
【0114】
また、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれか用の液状製剤に転化するように向けられた固形製剤も含まれる。このような液体形状には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0115】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形状をとり得、この目的のために当該技術分野で通常のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0116】
好ましくは、この製薬製剤は、単位投薬形状である。このような形状では、この製剤は、適当な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性化合物を含有する適当なサイズの単位用量に細分される。
【0117】
単位用量の製剤中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約0.01mg〜約1000mg、好ましくは、約0.01mg〜約750mg、さらに好ましくは、約0.01mg〜約500mg、最も好ましくは、約0.01mg〜約250mgで変えられるか調整され得る。
【0118】
使用する実際の投薬量は、患者の要件および治療する病気の重症度に依存して、変わり得る。特定の状況に適当な投薬量の決定は、当該技術の範囲内である。便宜上、全毎日投薬量は、必要に応じて、その日に、分割して少しずつ投与され得る。
【0119】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および体格だけでなく治療する症状の重症度のような要因を考慮して、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に典型的な推奨毎日投薬レジメンは、1回〜4回の分割用量で、約0.04mg/日〜約4000mg/日の範囲であり得る。
【0120】
本発明の他の局面は、式Iの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の治療有効量と、薬学的に受容可能な担体、賦形剤または希釈剤とを含有するキットである。
【実施例】
【0121】
本明細書中で開示した発明は、以下の調製例および実施例で例示されるが、これらは、本開示の範囲を限定するとは解釈すべきではない。代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかであり得る。
【0122】
NMRデータを提示する場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、1H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得、括弧で示したヘルツにおいて、プロトン数、多重度および結合定数と共に、MeSiからのppmダウンフィールドとして報告される。LC/MSを提示する場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラムを使用して、実行した:Altech白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配流れ:0分−水中で10%CHCN、5分−水中で95%CHCN、7分−水中で95%CHCN、7.5分−水中で10%CHCN、9分。保持時間および観測した親イオンを示す。
【0123】
以下の溶媒および試薬は、それらの括弧内の略語で呼ばれ得る:
AcOEt:酢酸エチルを表わす;
AcOH:酢酸を表わす;
AIBNは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを表わす;
DCM:ジクロロメタンを表わす;
DCE:ジクロロエチレンを表わす;
DIBAH:水素化ジイソブチルアルミニウムを表わす;
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチルを表わす;
DMF:ジメチルホルムアミドを表わす;
EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを表わす;
EtO:ジエチルエーテルを表わす;
EtOAc:酢酸エチルを表わす;
HOBTは、以下を表わす:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
LDAは、以下を表わす:リチウムジイソプロピルアミド;
MS:質量分析法を表わす;
Me:メチルを表わす;
MeOH:メタノールを表わす;
NMOは、以下を表わす:N−メチルモルホリンN−オキシドを表わす;
NaOH:水酸化ナトリウムを表わす;
NMR:核磁気共鳴を表わす;
HRMS:高分解能質量スペクトルを表わす;
OTBDMS:t−ブチルジメチルシリルオキシ(またはt−ブチルジメチルシリルエーテル)を表わす;
OTBDPS:t−ブチルジフェニルシリルオキシ(またはt−ブチルジフェニルシリルエーテル)を表わす;
P:保護基を表わす;
Ph:フェニルを表わす;
RT:室温を表わす。
【0124】
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウムを表わす;
TBDMS:t−ブチルジメチルシリルを表わす;
TBDMSCI:塩化t−ブチルジメチルシリルを表わす;
TBDPSCI:塩化t−ブチルジフェニルシリルを表わす;
TBS:t−ブチルシリルを表わす;
TFA:トリフルオロ酢酸を表わす;
THF:テトラヒドロフランを表わす;
TMS:トリメチルトランを表わす;
TMSCIは、以下を表わす:塩化トリメチルシリル。
【0125】
式Iの化合物は、当業者に周知の種々の方法により、また、下記の方法により、調製できる。以下の方法は、典型的である:
(方法1)
方法1では、構造Aを有するIの化合物を調製する。
【0126】
【化35】

アルコール1中の保護基は、標準的な条件に従って除去されて、アミンが生じ、これは、ハロゲン化スルホニルとの反応により、アルコール2に変換される。アルコール2は、当業者に周知の方法を使用して、A型の種々の化合物に変換できる。例えば、カーバメートは、2とクロロギ酸4−ニトロフェニルとを反応させることに続いて、得られたカーボネートを第一級または第二級アミンと反応させることにより、調製できる。あるいは、エステルは、適当なカップリング試薬(例えば、EDClおよびHOBT)の存在下にて、カルボン酸のいずれかの酸ハロゲン化物と反応させることにより、調製できる。
【0127】
(方法2)
方法2では、構造Bを有する式Iの化合物が調製される。
【0128】
【化36】

環状アミン3は、ハロゲン化スルホニルとの反応によりスルホンアミドに変換され、次いで、標準的な条件(例えば、LDAを使う脱保護に続いて、TMSClとの反応)を使用して、エノールエーテル4に変換される。適当な試薬混合物(例えば、四酸化オスミウムおよびNMO)を使ってエノールエーテル4を酸化し、続いて、このアルコールを典型的な保護基(例えば、塩化第三級ブチルジメチルシリル)で保護し、次いで、ケトン5を得る。ケトン5は、当業者に公知の種々の方法(これには、Wolf−Kishner型反応およびラジカル脱酸素化反応が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して、アルケン7に脱酸素化できる。例えば、ケトン5と適当な還元剤(例えば、ホウ水素化ナトリウム)とを反応させると、アルコールが得られ、これは、次いで、クロロチオギ酸フェニルを使用して、チオカーボネート6に変換される。次いで、チオカーボネート6は、ラジカルで誘発した還元条件(例えば、AIBNと水素化トリブチルスズ)を使って、アルキレン7に還元される。次いで、アルキレン7中のアルコール保護基は、除去され、このアルコールは、方法1で記述した方法に従って、B型の化合物に変換される。
【0129】
(方法3)
方法3では、構造Cを有する式Iの化合物が調製される。
【0130】
【化37】

方法3では、2−(ヒドロキシメチル)−6−ピリジンカルボン酸メチル8のアルコール官能基は、典型的な保護基(例えば、塩化第三級ブチルジメチルシリル)を使用して保護され、次いで、このピリジンは、好ましくは、酢酸の存在下にて、適当な触媒(例えば、酸化白金)を使用して水素化されて、アミン9が得られる。環状アミン9は、さらに、ハロゲン化スルホニルとの反応により、スルホンアミドに変換され、次いで、水素化物試薬(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム)で還元されて、アルデヒド10が得られる。次いで、アルデヒド10にて、ウィッティヒ反応が実行され、このアルコール保護基は、標準的な条件(例えば、TBAF)下にて除去されて、アルコール11が得られる。次いで、アルコール11は、酸化試薬(例えば、Dess−Martinペルヨージナン)を使用してアルデヒドに酸化され、この中間体アルデヒドは、金属−アルケン(例えば、グリニャールアルケン)と反応されて、ビス−アルケン12が得られる。次いで、ビス−アルケン12に対して、試薬(例えば、RuCl(CHPh)[PCy(Grubbsの第二世代触媒)を使う閉環メタセシスが実行されて、二環式アルコール13が得られる。最後に、アルコール13は、方法1で記述された方法に従って、C型の化合物に変換される。
【0131】
(方法4)
方法4では、構造Dを有する式Iの化合物が調製される。
【0132】
【化38】

アルケンアルコール13は、適当な試薬(例えば、酸化白金)を使用して水素化され、得られたアルキルアルコールは、方法1で記述された方法を使用して、D型の化合物に変換される。
【0133】
(調製実施例1)
【0134】
【化39−1】

工程1:
2−(ヒドロキシメチル)−6−ピリジンカルボン酸メチル(44.5g、0.26mol)のDCE(500mL)溶液に、トリエチルアミン(44mL、0.31mol)を加え、続いて、TBDMSCl(44g、0.29mol)を加え、次いで、この反応物を、70℃で、2日間加熱した。濃縮後、その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 90:10〜50:50で溶出する)で精製して、68.5gのTBS−保護ピリジンエステルを得た。
【0135】
工程2:
工程1のTBS−保護ピリジンエステル(68g、0.24mmol)および酸化白金(IV)(6g、0.026mmol)のMeOH(500mL)およびAcOH(50mL)溶液を、40psiで、一晩水素化した。その混合物をセライトで濾過し、そして濃縮した。その残留物を1N NaOH水溶液で希釈し、DCMおよびAcOEtで希釈し、NaSOで乾燥し、そして濃縮して、66gのTBS−保護ピペリジンエステルを得た。
【0136】
工程3:
工程2のTBS−保護ピペリジンエステル(63g、0.22mol)、トリエチルアミン(100mL、0.66mol)および塩化4−クロロベンゼンスルホニル(93g、0.44mol)のDCE(500mL)溶液を、40℃で、一晩加熱した。濃縮後、その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 97:3〜90:10に次いで、DCM/AcOEt 90:10で溶出する)で精製して、89gのTBS−保護ピペリジンスルホンアミドエステルを得た。
【0137】
工程4:
工程3のTBS−保護ピペリジンスルホンアミドエステル(23.5g、50.9mmol)の無水DCM(250mL)溶液に、−78℃で、トルエン中の1N DIBAH(55mL、55mmol)をゆっくりと加え、その反応混合物を、この温度で、1時間撹拌した。次いで、その最終混合物を、−78℃で、15%ロシェル塩溶液(300mL)でクエンチした。次いで、この反応物をDCMで希釈し、セライトを加え、その混合物を、室温で、1時間撹拌し、次いで、濾過し、DCM、AcOEtで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 95:5〜80:20で溶出する)で精製して、16.37gのTBS−保護ピペリジンスルホンアミドアルデヒドを得た。
【0138】
工程5:
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(14.65g、41mmol)のTHF(150mL)溶液に、−78℃で、ヘキサン中の2.5N n−BuLi(16.4mL、41mmol)を加え、次いで、その反応物を0℃まで温めた。次いで、それを−78℃まで冷却し、そして工程4のTBS−保護ピペリジンスルホンアミドアルデヒド(16.35g、37.8mmol)のTHF(100mL)溶液にカニューレ挿入した。その反応物を、−78℃で、30分間撹拌し、次いで、室温で、30分間撹拌した。その最終混合物を濃縮し、5%NaHCO水溶液およびDCMで希釈し、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。シリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 95:5〜80:20で溶出する)で精製すると、9.81gのTBS−保護アルケンが得られた。
【0139】
工程6:
工程5のTBS−保護アルケン(9.81g、22.8mmol)およびTBAF(THF(45mL、45mmol)中で1N)のTHF(50mL)溶液を、50℃で、1時間撹拌し、次いで、濃縮した。その残留物を水に吸収させ、DCM、AcOEtで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 80:20〜60:40で溶出する)で精製して、7.00gのアルケンアルデヒドを得た。
【0140】
工程7:
工程6のアルケンアルコール(7.00g、22.2mmol)のDCM(100mL)溶液に、Dess−Martinペルヨージナン(18.8g、44.4mmol)およびNaHCO(5.59g、66.6mmol)を加えた。その溶液を、室温で、3時間撹拌し、次いで、5%Na(400mL)で希釈し、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 95:5〜80:20で溶出する)で精製して、4.78gのアルケンアルデヒドを得た。
【0141】
工程8:
工程7のアルケンアルデヒド(3.68g、11.73mmol)のTHF(60mL)溶液に、−40℃で、臭化ビニルマグネシウム(ヘキサン(14mL、14mmol)中で1N)を加え、その反応物を−20℃まで温めた。この温度で30分後、この反応物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、DCM、AcOEtで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 93:7〜50:50で溶出する)で精製して、溶出順序で、540mgの出発アルケンアルデヒド、675mgのビス−アルケンアルコール異性体A(12a)および2.63gのビス−アルケンアルコール異性体B(12b)を得た。
【0142】
工程9:
工程8のビス−アルケンアルコール異性体B(2.55g、7.46mmol)のDCM(350mL)溶液を真空中で脱気し、次いで、窒素下に置いた。次いで、二塩化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)(930mg、1.11mmol)を加え、その反応物を、50℃で、一晩撹拌した。次いで、その最終溶液を濃縮し、そしてシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 85:15〜40:60で溶出する)で精製して、溶出順序で、435mgの出発物質および1.31gのアザビシクロ[3.3.1]ノナンアルケンアルデヒドを得た。
【0143】
工程10:
工程9のアザビシクロ[3.3.1]ノナンアルケンアルコール(1.40g、4.46mmol)および酸化白金(IV)(215mg)のAcOEt(30mL)溶液を、大気圧で、2時間水素化した。その最終混合物をセライトで濾過し、そして濃縮した。次いで、その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 90:10〜60:40で溶出する)で精製して、1.24gのアザビシクロ[3.3.1]ノナンアルコールを得た。
【0144】
工程11:
工程10のアザビシクロ[3.3.1]ノナンアルコール(170mg、0.54mmol)のDCE(2.7mL)溶液に、クロロギ酸p−ニトロフェニル(217mg、1.10mmol)を加え、続いて、トリエチルアミン(0.4mL)を加え、その反応物を、室温で、一晩撹拌した。濃縮後、その残留物をシリカゲル(これは、DCMで溶出する)で精製して、192mgの炭酸アザビシクロ[3.3.1]ノナンを得た。
【0145】
工程12:
炭酸アザビシクロ[3.3.1]ノナン(200mg、0.40mmol)のDCE溶液に、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(0.1mL、0.80mmol)を加え、その反応物を、50℃で、一晩加熱した。その混合物を0.5 NaOH水溶液で希釈し、DCMおよびAcOEtで抽出し、そしてNaSOで乾燥した。濃縮後に得られた残留物をシリカゲル(これは、DCM/MeOH 9:1で溶出する)で精製して、40mgの式14の生成物を得た。
【0146】
【化39−2】

調製実施例1の手順と類似の手順に従って、この合成において、ビス−アルケンアルコール異性体Aまたはビス−アルケンアルコール異性体B(工程8)を使用して、表1を調製した:
【0147】
【化40】

【0148】
【化41】

【0149】
【化42】

【0150】
【化43】

【0151】
【化44】

【0152】
【化45】

(調製実施例2)
【0153】
【化46−1】

最後の工程でN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンに代えて4−ピペリジノピペリジンを使用して、上記調製実施例1、工程9のアルコールを調製実施例1、工程11および工程12で記述された条件と類似の条件にかけて、式33の所望生成物を得た。
【0154】
【化46−2】

調製実施例2の手順と類似の手順に従って、この合成におけるビス−アルケンアルコール異性体Aを使用して、表2の以下の化合物を調製した:
【0155】
【化47】

(調製実施例3)
【0156】
【化48−1】

工程1:
MeOH(20mL)中のエキソ−7−ベンジル−7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(1.86g、9.1mmol)、ギ酸アンモニウム(3.47g、55mmol)およびPd/C 10%(200mg)の混合物を、60℃で、2時間撹拌した。その溶液をセライトで濾過し、MeOHでリンスし、次いで、pH1が得られるまで、1N HClでリンスした。次いで、その溶液を水で希釈し、EtOで洗浄し、そして濃縮した。残留している固形物(4.8g)を1N NaOH(100mL)に吸収させ、そしてDCM(40mL)中の塩化4−クロロベンゼンスルホニル(10.55g、50mmol)で一晩処理した。その混合物を水およびDCMで希釈し、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。シリカゲル(これは、DCM/AcOEt 90:10〜80:20で溶出する)にかけると、1.87gのスルホンアミドアルコールが得られた。
【0157】
工程2:
最後の工程で4−ピペリジノピペリジンを使用して、工程1の生成物を、上記調製実施例1、工程11および工程12の条件と類似の条件にかけて、式35の所望生成物を得た。
【0158】
【化48−2】

調製実施例3の手順と類似の手順に従って、表3の化合物を調製した:
【0159】
【化49】

【0160】
【化50】

(調製実施例4)
【0161】
【化51−1】

工程1:
ノルトロピノン臭化水素酸塩(6.05g、29.5mmol)、塩化4−クロロベンゼンスルホニル(6.65g、31.5mmol)、KCO(9.70g、70mmol)および臭化テトラブチルアンモニウム(200mg)のDCM(70mL)および水(70mL)溶液を、室温で、一晩撹拌した。その混合物をDCMで抽出し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、そしてシリカゲル(これは、DCM/AcOEt 95:5で溶出する)で精製して、9.04gのスルホンアミドを得た。
【0162】
工程2:
LDA(ヘプタン(16.1mL、32.2mmol)中で2N)のTHF(120mL)溶液に、10分間にわたって、工程1のノルトロピノンスルホンアミド(8.06g、26.9mmol)のTHF(160mL)溶液をゆっくりと加えた。−78℃で35分後、クロロトリメチルシラン(6.8mL)を加え、その反応物を、−78℃で、20分間撹拌し、NaHCO飽和水溶液を加え、その混合物を室温まで温めた。EtOで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した後、その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/DCM 1:1〜DCMで溶出する)で精製して、3.88gのノルトロピノンスルホンアミドエノールエーテルを得た。
【0163】
工程3:
工程2のノルトロピノンスルホンアミドエノールエーテル(3.88g、10.43mmol)およびNMO(1.51g、12.9mmol)のTHF(40mL)および水(15mL)溶液に、0℃で、OsO(100mg、0.40mmol)を加え、次いで、その反応物を、室温で、一晩撹拌した。濃縮後、この溶液をAcOEtおよび10%NaSO水溶液で希釈し、そしてAcOEtで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、DCM/AcOEt 90:10〜80:20で溶出する)で精製して、1.51gのα−ヒドロキシケトンスルホンアミドを得た。
【0164】
工程4:
工程3のα−ヒドロキシケトンスルホンアミド(1.50g、4.75mmol)、TBDMSCl(860mg、5.70mmol)およびイミダゾール(390mg、5.70mmol)のDMF(6mL)溶液を、40℃で、一晩撹拌した。冷却した溶液を水およびEtOで希釈し、EtOで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/DCM 1:1〜DCMで溶出する)で精製して、1.53gのO−TBSケトンスルホンアミドを得た。
【0165】
工程5:
工程4のO−TBSケトンスルホンアミド(1.53g、3.56mmol)のMeOH(10mL)溶液に、0℃で、NaBH(135mg、3.56mmol)をゆっくりと加え、その溶液を、この温度で、2時間撹拌した。その最終混合物を濃縮し、水で希釈し、DCMおよびAcOEtで抽出し、そしてNa2SO4で乾燥した。濃縮後に得られた残留物をシリカゲル(これは、DCM〜DCM/AcOEt 9:1)で精製して、1.51gのO−TBSアルコールスルホンアミドを得た。
【0166】
工程6:
工程5のO−TBSアルコールスルホンアミド(1.10g、2.55mmol)のTHF(10mL)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン(1.10mL、2.80mmol)中で2.5N)を加え、続いて、1分後、フェニルチオノクロロホルメート(460μL、3.32mmol)を加えた。その反応混合物を、−78℃で、30分間撹拌し、次いで、室温まで温め、そして1時間撹拌した。その最終溶液を5%NaHCOで処理し、DCM(3×)、AcOEt(1×)で抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/DCM 60:40〜DCMで溶出する)で精製して、1.34gのO−TBSチオカーボネートスルホンアミドを得た。
【0167】
工程7:
工程6のO−TBSチオカーボネートスルホンアミド(1.34g、2.36mmol)、水素化トリブチルスズ(1.35mL、5.Ommol)およびAIBN(107mg、0.65mmol)の溶液を、還流下にて、6時間撹拌し、次いで、濃縮した。その粗製物をシリカゲル(これは、ヘキサン/DCM 60:40〜DCMで溶出する)で精製すると、他の成分と共に、514mgのO−TBSスルホンアミドが得られた。
【0168】
工程8:
工程7のO−TBSスルホンアミド(514mg、1.23mmol)およびTBAF(THF(2mL、2.0mmol)中で1N)のTHF(3mL)溶液を、40℃で、2時間撹拌し、次いで、濃縮した。NH4Cl飽和水溶液、DCMおよびAcOEtでワークアップすると、残留物が得られ、これを、シリカゲル(これは、DCM/AcOEt 88:12〜85:15で溶出する)で精製して、105mgのアルコールスルホンアミドを得た。
【0169】
工程9:最後の工程でN−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンを使用して、工程8の生成物を、実施例1、工程11および工程12で記述された条件と類似の条件にかけて、式42の所望生成物を得た。
【0170】
【化51−2】

調製実施例4の手順と類似の手順に従って、表4の化合物を調製した:
【0171】
【化52】

(調製実施例5)
【0172】
【化53−1】

工程1:
調製実施例1、工程10の生成物アルコール(450mg、1.42mmol)およびDess−Martinペルヨージナン(DCM中で15%、4.80g、1.70mmol)のDCM(5mL)溶液を、室温で、3時間撹拌した。その混合物を5%チオ硫酸ナトリウムで処理し、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 90:10〜60:40で溶出する)で精製して、460mgのケトンを得た。
【0173】
工程2:
工程1のケトン(150mg、0.48mmol)のTHF(3mL)溶液に、−20℃で、MeMgBr 3N(190μL、0.56mmol)を加え、次いで、その反応物を0℃まで温めた。1時間後、その最終溶液を飽和NHClに注ぎ、DCM、AcOEtで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残留物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 90:10〜60:40で溶出する)で精製して、125mgのアルコールを得た。
【0174】
工程3:
最後の工程のN−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンを使用して、工程2の生成物を、調製実施例1、工程11および工程12で記述された条件と類似の条件にかけて、式44の所望生成物を得た。
【0175】
【化53−2】

調製実施例5の手順と類似の手順に従って、表5の化合物を調製した:
【0176】
【化54】

(調製実施例6)
【0177】
【化55−1】

工程1:
ジエチル亜鉛(ヘキサン中で1N、5mL、5mmol)のDCE(20mL)溶液に、−20℃で、クロロヨードメタン(370μL、5mmol)をゆっくりと加え、その反応物を、この温度で、5分間撹拌した。次いで、調製実施例1、工程9の生成物(アルコール)(740mg、2.36mmol)のDCE(3mL)を加え、その反応物を、−10℃で、1時間、そして室温で、1時間撹拌した。その最終混合物を飽和NHClでクエンチし、DCMで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その粗生成物をシリカゲル(これは、ヘキサン/AcOEt 80:20〜50:50で溶出する)で精製して、512mgのシクロプロピルアルコールを得た。
【0178】
工程2:
最後の工程でN−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンを使用して、工程1の生成物を、調製実施例1、工程11および工程12で記述された条件にかけて、式46の所望生成物を得た。
【0179】
【化55−2】

調製実施例6の手順と類似の手順に従って、表6の化合物を調製した:
【0180】
【化56】

(アッセイ)
本発明の化合物の薬理学的な性質は、多数の薬理学的アッセイによって確認され得る。後述される例示的な薬理学的アッセイを、本発明による化合物およびそれらの塩と共に実施した。
【0181】
γ−セクレターゼ活性を、Zhangら(Biochemistry,40(16),5049−5055,2001、本明細書中に参照として援用される)によって記載されるように決定した。活性を、阻害率としてか、または酵素活性の50%阻害を生じる化合物の濃度としてかのいずれかで表した。
【0182】
試薬
抗体W02、G2−10およびG2−11を、Dr.Konrad Beyreuther(University of Heidelberg,Heidelberg,Germany)から入手した。W02は、Aβペプチドの残基5〜8を認識し、一方、G2−10およびG2−11は、Aβ40およびAβ42の特異的C末端構造をそれぞれ認識する。ビオチン−4G8を、Senetec(St.Louis,MO)から購入した。他に明記されない限り、本研究に用いた全ての組織培養試薬をLife Technologies,Inc.から得た。ペプスタチンAを、Roche Molecular Biochemicalsから購入し;DFK167をEnzyme Systems Products(Livermore,CA)から得た。
【0183】
cDNA構築、組織培養および細胞株構築
London変異を引き起こす、APPの最初の18残基およびC末端の99アミノ酸を含む、SPC99−Lonの構築が記載されている(Zhang,L.,Song,L.,およびParker,E.(1999)J.Biol.Chem.274,8966−8972)。膜中に挿入される際に、この17アミノ酸のシグナルペプチドが処理され、さらなるロイシンをN末端に残したAβ SPC99−lonをpcDNA4/TOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてpcDNA6/TR(T−RExシステム(Invitrogen)において提供される)で安定にトランスフェクトされた293細胞中にトランスフェクトした。このトランスフェクトされた細胞を、10%ウシ胎仔血清、100ユニット/mLペニシリン、100g/mLストレプトマイシン、250g/mLゼオシン(zeocin)および5g/mLブラスシチジン(Invitrogen)が追加されたDulbeccoの改変Eagle’s培地(DMEM)において選択した。コロニーを、16〜20時間、0.1g/mLテトラサイクリンを用いてC99発現を誘導することによって、Aβ生成についてスクリーニングし、そしてサンドイッチイムノアッセイ(以下参照)で条件培地を分析した。pTRE.15として設計されたクローンの一つを、これらの研究において使用した。
【0184】
膜調製
細胞中のC99発現を、0.1g/mLテトラサイクリンで20時間誘導した。細胞を、1Mホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)および1MブレフェルジンA(BFA)で、5〜6時間、37Cで、回収前に前処理した。細胞を、冷たいリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、そして20mM Hepes(pH7.5)、250mMスクロース、50mM KCl、2mM EDTA、2mM EGTAおよび完全プロテアーゼインヒビタータブレット(Complete protease inhibitor tablet、Roche Molecular Biochemicals)を含む緩衝液A中で回収した。細胞ペレットを、液体窒素中で瞬間凍結し、使用時まで−70Cで保存した。
【0185】
膜を作製するために、細胞を緩衝液A中に再懸濁し、そして600psiで窒素ボンベ(nitrogen bomb)中に溶解した。細胞溶解物を、1500gで10分間遠心分離し、核および大きな細胞片を除去した。この上清を100000gで1時間遠心分離した。膜ペレットを、0.5M NaClを加えた緩衝液Aに再懸濁し、そして膜を200000gでの1時間の遠心分離によって回収した。この塩洗浄した膜ペレットを、再度緩衝液Aにおいて洗浄し、そして100000gで1時間遠心分離した。最終の膜ペレットを、Teflon−glassホモジナイザーを用いて少量の緩衝液Aに再懸濁した。タンパク質濃度を決定し、そして膜アリコートを液体窒素中で瞬間凍結し、−70℃で保存した。
【0186】
γ−セクレターゼ反応およびAβ分析
γ−セクレターゼ活性を測定するために、20mM Hepes(pH7.0)および2mM EDTAを含む緩衝液50μLにおいて、37℃で1時間、膜をインキュベートした。インキュベーションの終わりに、Aβ40およびAβ42を、電気化学発光(ECL)ベースのイムノアッセイを用いて測定した。Aβ40を、TAG−G2−10およびビオチン−W02の抗体対と同一であるとし、一方、Aβ42を、TAG−G2−11およびビオチン−4G8と同一であるとした。ECLシグナルを、製造者の指示書に従ってECL−M8機器(IGEN International,Inc.)を用いて測定した。示したデータは、各実験における2連または3連の測定の平均であった。記載されるγ−セクレターゼ活性の特徴を、5回より多い独立した膜調製により確認した。
【0187】
実施例16の化合物は、約16nMのIC50を有した。実施例18、19、20、33および48の化合物は、約50nM〜約0.1μMの範囲内のIC50を有した。実施例14、17、21、23、24、25、26、27、28、29、34および43の化合物は、約0.1μM〜約1.0μMの範囲内のIC50を有した。実施例15、35、36、37および40の化合物は、約1μM〜約10μMの範囲内のIC50を有した。
【0188】
本発明は、上で述べた特定の実施態様に関連して記述されているものの、その多くの代替、改良および変更は、当業者に明らかである。このような全ての代替、改良および変更は、本発明の精神および範囲内に入ると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、該化合物は、式Iで示された一般構造を有する:
【化1】

ここで:
Arは、アリールまたはヘテロアリールである;
Xは、O、NHまたはNRである;
mは、0、1、2または3であるが、但し、m=0のとき、二重結合は存在せず、m>0のとき、二重結合は、存在し得るか存在し得ず、または三重結合は、存在し得るか存在し得ない;
nは、0、1、2または3である;
は、1個〜3個の置換基であり、該置換基は、以下からなる群から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、−CF、−OCF、−NR、−CN、−NO、−NH、−アルキレン−NR、−アルキレン−O−アルキル、−C(O)O−アルキル、−C(O)NR、−N(R)C(O)アルキル、−N(R)C(O)シクロアルキル、−N(R)C(O)アリール、−N(R)C(O)ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−アルキル、−N(R)C(O)NR、−N(R)S(O)アルキル、−OH、−O−アルキルおよび−O−シクロアルキル;
は、水素、−アルキル、−シクロアルキル、−アルキレン−シクロアルキル、−シクロアルキル、−NR、−アルキレン−NR、−アルキレン−O−アルキル、−O−アルキル、−ヘテロアリールまたは−アリールである;
は、1個〜6個の置換基であり、該置換基は、同一または異なり得、各々は、別個に、水素、ハロゲン、−アルキル、−シクロアルキル、−OH、−OCF、−CF、−O−アルキル、−O−シクロアルキルまたは−NRから選択される;
は、水素、−アルキル、−シクロアルキル、−アリールまたは−ヘテロアリールである;または
およびRは、一緒に結合して、3〜6員環を形成できる;
は、−NR、−N(R)−アルキレン−NR、−アルキル、−シクロアルキル、−アリール、−ヘテロアリール、−シクロアルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−シクロアルキレン−アリール、−シクロアルキレン−ヘテロアリール、−ヘテロシクロアルキル−アリールまたは−ヘテロシクロアルキル−ヘテロアリールである;または
は、以下からなる群から選択される:
【化2】

およびRは、同一または異なり得、各々は、以下からなる群から別個に選択される:水素、−アリール、ヘテロアリール、−アルキル、−シクロアルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、
【化3】

rは、0、1、2、3または4である;
sは、0、1、2または3である;
は、水素、−OH、アルキル、−C(O)NR、−C(O)O−アルキルまたはアリールであり、ここで、該アルキル部分は、非置換であり得るか、または1個〜4個の水酸基で置換され得、該アリール基は、非置換であり得るか、または少なくとも1個の置換基で置換され得、該置換基は、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、−CF、−OCF、−NR、−CN、−NO、−NH、−アルキレン−NR、−アルキレン−O−アルキル、−C(O)O−アルキル、−C(O)NR、−N(R)C(O)アルキル、−N(R)C(O)シクロアルキル、−N(R)C(O)アリール、−N(R)C(O)ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−アルキル、−N(R)C(O)NR、−N(R)S(O)アルキル、−OH、−O−アルキルおよび−O−シクロアルキルからなる群から選択される;
は、以下からなる群から選択される:水素、アルキル、−シクロアルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキル−シクロアルキル、−C(O)O−アルキル、−アルキレン−O−アルキレン−OH、−アリールおよび−ヘテロアリールであって、ここで、各該アルキルおよびシクロアルキル部分は、別個に、置換または非置換であり得、もし、置換されているなら、1個〜4個の水酸基または少なくとも1個の−NR基で置換されている;
各R10は、別個に、水素またはアルキルから選択され、ここで、該アルキル基は、置換または非置換であり得、もし、置換されているなら、R10は、1個〜4個の水酸基で置換されている;
各R11およびR12は、それぞれ別個に、水素、アルキルまたはアリールから選択される;または
11およびR12は、それらが式Iにおいて結合していると見える環炭素原子と一緒になって、シクロアルキル環を形成し、ここで、それにより形成された該シクロアルキル環は、非置換であり得るか、またはアルキル、アルコキシ、アリールまたはハロゲンで置換できる;
pは、0、1、2、3または4である;そして
qは、0、1または2である、
化合物。
【請求項2】
Arが、アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X=Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、ハロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、以下である、請求項1に記載の化合物:NR、−NR−アルキレン−NR
【化4】

【請求項9】
mが、0または1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
nが、1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、フェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
が、−CHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
が、4−クロロである、請求項4に記載の化合物。
【請求項14】
が、以下である、請求項8に記載の化合物:
【化5】

【請求項15】
請求項1に記載の化合物であって、ここで:
Arは、アリールである;
X=Oである;
は、ハロである;
は、Hである;
は、Hである;
は、Hである;そして
は、以下である:
【化6】

【請求項16】
式Iで表わされる構造内の二環式の環内に、1個の二重結合が存在している、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
m=1であり、そしてn=2である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
m=1であり、そしてn=1である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
m=0であり、そしてn=1である、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
が、以下である、請求項15に記載の化合物:
【化7】

【請求項21】
以下からなる群から選択される、化合物:
【化8】

【化9】

【化10】

【請求項22】
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、ここで、該化合物は、以下の構造を有する:
【化11】

【請求項23】
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、ここで、該化合物は、以下の構造を有する:
【化12】

【請求項24】
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、ここで、該化合物は、以下の構造を有する:
【化13】

【請求項25】
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、ここで、該化合物は、以下の構造を有する:
【化14】

【請求項26】
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、ここで、該化合物は、以下の構造を有する:
【化15】

【請求項27】
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/または溶媒和物であって、ここで、該化合物は、以下の構造を有する:
【化16】

【請求項28】
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含有する、医薬組成物。
【請求項29】
そのような治療を必要とする患者において、γ−セクレターゼを阻害する方法であって、該患者に、請求項1に記載の1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
そのような治療を必要とする患者において、1種またはそれ以上の神経変性疾患を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項31】
そのような阻害を必要とする患者において、β−アミロイドタンパク質を阻害する方法であって、該患者に、請求項1に記載の1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項32】
そのような治療を必要とする患者において、アルツハイマー病を治療する方法であって、該患者に、請求項1に記載の1種またはそれ以上の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2007−501859(P2007−501859A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532943(P2006−532943)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/014671
【国際公開番号】WO2004/101562
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】