説明

がんの診断および治療のためのVHZ

がんの診断および治療のためのVHZ
個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを治療、予防または軽減する方法で用いるためのVHZを本発明者らは提供する。そのようながんの治療、予防または軽減のための抗VHZ剤を本発明者らは提供する。抗VHZ剤は、配列番号4または配列番号5、あるいはその両方を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学、細胞生物学、分子生物学および遺伝学の分野に関する。本発明は、医学の分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんなどの疾患の治療および診断、ならびにこのような使用のための組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
VHZは、ヒトPRL−PTPと約28%のアミノ酸配列同一性を共有するホスファターゼである。VHZは、多くの組織で発現し、サイトゾルおよび核小体に局在することがこれまでに報告されている(Alonso et al.,2004a)。
【0004】
しかし、VHZは進化を通じてカエル、魚類、ハエ、および古細菌のオルソログとともに保存されているにもかかわらず、VHZの役割は大部分が不明であった。VHZは、VHRと同様に、VH1様のPTPの別個のサブグループに属する(Alonso et al,2004b)。VHRは、細胞周期の進行の制御に役割を有することが報告されている(Rahmouni et al.,2006)。
【0005】
がんは、世界中で重大な健康問題である。2007年には世界で760万人ががんで死亡したと推定される。例えば英国では、がんは年に126,000人が死亡する原因である。4人のうち1人ががんで死亡する。がんに対する公知の治療としては、外科手術、化学療法および放射線療法が挙げられる。多くのがんは十分早期に発見されれば治癒することができる。
【0006】
改良されたがんの検出および療法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様に従って、本発明者らは、個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを治療、予防または軽減する方法で用いるためのVHZを提供する。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減のための抗VHZ剤が提供され、好ましくは、抗VHZ剤は、GenBank受託番号NM_017823またはNP_060293として示されるVHZ配列、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列の発現、量または活性の任意の組合せをダウンレギュレーションすることができ、抗VHZ剤は、好ましくは、ヒトVHZのアミノ酸残基(126〜140)に相当するRRLRPGSIETYEQEKに対して産生された抗ペプチド抗体などの抗VHZ抗体、例えば、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号LS−C32281、アミノ酸35〜90、LS−C42458、LS−A6806およびLS−A6803、LS−C32281、LifeSpan Inc、Seattle、Washington、USA)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号DS−PB−00676、RayBiotech Inc、Norcross、Georgia、USA)、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号XW−7857、ProSci Incorporated、Poway、California、USA)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号F4560およびD9840−66A、United States Biological、Swampscott、Massachusetts、USA)、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号D9840−66、United States Biological、Swampscott、Massachusetts、USA)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号AHP1142、AdB Serotec、Oxford、United Kingdom)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号NB110−40452、Novus Biologicals、Littleton、Colorado、USA)、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号NB100−75328、Novus Biologicals、Littleton、Colorado、USA)などを含むか、または、RNA干渉、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、若しくは、DUSP23プレデザインキメラRNAi(カタログ番号H00054935−R01、Novus Biologicals、Littleton、Colorado、USA)などのキメラRNAiを含むものなどによりVHZをダウンレギュレーションすることができる。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、本発明者らは、個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんまたはそのようながんに対する個体の感受性を検出するためのキットであって、個体または個体から採取した試料においてVHZ発現を検出するための手段と、任意選択により使用説明書とを含み、好ましくはがんの治療、予防または軽減のための治療薬をさらに含むキットであって、好ましくは、前記検出するための手段は、VHZポリヌクレオチドまたはそのフラグメント;VHZ核酸に対して相補的なヌクレオチド配列またはそのフラグメント;VHZポリペプチドまたはそのフラグメント、あるいは請求項2に記載される抗VHZ抗体または抗VHZ剤からなる群から選択される、キットを提供する。
【0010】
本発明の第4の態様として、(a)結腸がん細胞、肺がん細胞、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌細胞、膵臓がん細胞、脳がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、腎がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞および精巣がん細胞からなる群から選択されるがん細胞を検出する方法であって、該細胞においてVHZの発現、量または活性の変化(好ましくはアップレギュレーション)を検出することを含み、好ましくはVHZの発現を、非がん性であることがわかっている対照細胞におけるVHZの発現、量または活性と比較する、方法、(b)上記(a)による方法であって、例えばGenBank受託番号NM_017823またはNP_060293として示される配列またはそのような配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を有する核酸の少なくとも一部を含むプローブなどの手段によりVHZ核酸を検出することを含むか、または、例えば、請求項2に示される抗VHZ抗体などの手段によりVHZポリペプチドを検出することを含み、好ましくは例えばElston−Ellis修正Scarff、Bloom、Richardsonの類別方式(Nottingham Grading System(NGS))を使用することなどによる組織学的類別を含む、方法、(c)結腸がん細胞、肺がん細胞、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌細胞、膵臓がん細胞、脳がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、腎がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞および精巣がん細胞からなる群から選択されるがん細胞の増殖状態を決定するか、または該がん細胞が浸潤性または侵襲性となることになる可能性を決定する方法であって、該細胞におけるVHZの発現、量または活性の変化を検出することを含む、方法、(d)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを有する個体の生存率を推定する方法であって、個体の細胞においてVHZの発現の変化を検出することを含む、方法、(e)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを有する個体のための療法を選択する方法であって、個体の細胞においてVHZの発現の変化を検出することと、該がんの侵襲性に基づいて、適切な療法、例えば抗VHZ剤などを選択することを含む、方法、(f)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを有する個体において特定の療法の成功の可能性を決定する方法であって、該療法と上記の(e)による方法により決定される療法を比較することを含む、方法、並びに、(g)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれか一つに示される特徴をさらに含む、上記(a)〜(f)のいずれかに記載の方法、からなる群から選択される方法が提供される。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、本発明者らは、結腸がん細胞、肺がん細胞、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌細胞、膵臓がん細胞、脳がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、腎がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞および精巣がん細胞を操作する方法であって、(a)好ましくは、操作の結果としてがん細胞が非がん性となるか、あるいは浸潤性または転移性がん細胞が非浸潤性または非転移性となるように、例えば、VHZに特異的に結合することができるsiRNA、shRNAまたはキメラRNAiに細胞を曝露することによるか、または細胞を請求項2に示される抗VHZ抗体に曝露することにより、細胞においてVHZの発現、量または活性を調節する(好ましくはダウンレギュレーションする)ことを含むか、または(b)(a)細胞において増加したVHZ発現、量または活性を検出するステップと、(b)細胞中のVHZのレベルを低下させるステップとを含む、方法を提供する。
【0012】
本発明は、第6の態様によれば、(a)VHZポリペプチドに結合することができる分子を同定する方法であって、VHZポリペプチドまたはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を候補分子と接触させること、および該候補分子が該VHZポリペプチドまたはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列に結合するかどうかを決定することを含む、方法、(b)VHZのモジュレーターを同定する方法であって、細胞を候補分子と接触させること、および該細胞中のVHZまたは該細胞のVHZの発現、量または活性の増加または低下を検出することを含む、方法、(c)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減に適した分子を同定する方法であって、候補分子が、VHZまたはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列のアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを、好ましくは、候補分子がそのアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定するために、候補分子をVHZポリペプチドまたはVHZポリペプチドを発現する細胞に曝露して決定することを含む、方法、並びに(d)VHZまたはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列のアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法であって、候補分子を動物に投与することおよび該動物がVHZの発現、量または活性の増加または低下を提示するかどうかを決定することを含む、方法からなる群から選択される方法を提供する。
【0013】
本発明の第7の態様では、上記に示される方法または使用により同定されるVHZポリペプチドの分子、アゴニストまたはアンタゴニストが提供される。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、本発明者らは、がんの治療、予防または軽減に用いるためのVHZの発現を調節する(例えばダウンレギュレーションする)ことのできる分子、例えば、ヒトVHZのアミノ酸残基(126〜140)に相当するRRLRPGSIETYEQEKに対して産生された抗ペプチド抗体などを提供する。
【0015】
本発明者らは、本発明の第9の態様によれば、VHZポリペプチドに結合することのできる抗体を提供し、該抗体は、抗体209、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントにより結合されるエピトープに結合することができ、好ましくは、(a)抗体209により結合されるVHZポリペプチド上のエピトープに結合することができる、(b)VHZの残基C95を含む配列、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントであるエピトープに結合することができる抗VHZ抗体を含む、(c)VHZに結合することができるモノクローナル抗体209、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントの可変領域を含む、(d)細胞内VHZポリペプチドに結合することができる、(e)細胞の形質膜を通過することができる、(f)VHZに結合し、かつVHZの生物活性を阻害することができ、(g)がん、例えば、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんなどの転移を防ぐことができる、あるいは(h)モノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体を含む。
【0016】
本発明の第10の態様によれば、VHZに結合することができる、配列番号4および配列番号5からなる群から選択される配列、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントを含むポリペプチドが提供される。
【0017】
本発明の第11の態様として、本発明者らは、VHZ結合活性を有するポリペプチドをコードすることができる、上記に示される分子をコードすることができる配列またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントを含む核酸を提供する。
【0018】
本発明者らは、本発明の第12の態様によれば、上記に示される核酸配列を含むか、またはその核酸配列で形質転換された細胞、あるいはそのような細胞の子孫を提供する。
【0019】
本発明の第13の態様によれば、本発明者らは、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの腫瘍が、個体において、浸潤性もしくは転移性腫瘍であるか、またはその可能性が高いかどうかを決定する方法を提供し、該方法は、個体の腫瘍細胞におけるVHZの発現、量または活性の変化を検出することを含む。
【0020】
本発明の第14の態様によれば、(a)個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減の方法であって、個体の細胞におけるVHZの発現、量または活性を調節することを含み、好ましくは個体のがん細胞においてVHZの発現、量または活性が低下している、方法、及び(b)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんまたは個体におけるそのようながんに対する感受性またはそのようながんを有する個体の予後の診断方法であって、個体の細胞におけるVHZの発現、量または活性の変化を検出することを含む、方法、からなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減あるいは診断の方法が提供される。
【0021】
本発明者らは、本発明の第15の態様によれば、個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減の方法を提供し、該方法は、個体の細胞におけるVHZの発現、量または活性の変化を検出すること、および腫瘍の侵襲性に基づいて適切な療法、例えば抗VHZ剤などを個体に投与することを含む。
【0022】
診断、予後または療法の選択は、腫瘍のサイズ、またはリンパ節ステージ、あるいはその両方を、所望によりその他の危険因子とともにまたは組み合わせて評価することによりさらに決定されてもよく、好ましくは診断、予後または療法の選択は、腫瘍のエストロゲン受容体(ER)の状態を評価することによりさらに決定される。
【0023】
本発明の実行は、特に断りのない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来技法を用いることになり、それらは当業者の能力の範囲内である。このような技法は文献で説明されている。例えば、J.Sambrook,E.F.Fritsch,and T.Maniatis,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Books 1−3,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995および定期的な補遺;Current Protocols in Molecular Biology,ch.9,13,and 16,John Wiley & Sons,New York,N.Y.);B.Roe,J.Crabtree,and A.Kahn,1996,DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley & Sons;J.M.Polak and James O’D.McGee,1990,In Situ Hybridization:Principles and Practice;Oxford University Press;M.J.Gait(Editor),1984,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,Irl Press;D.M.J.Lilley and J.E.Dahlberg,1992,Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology,Academic Press;Using Antibodies:A Laboratory Manual:Portable Protocol NO.I by Edward Harlow,David Lane,Ed Harlow(1999,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ISBN 0−87969−544−7);Antibodies:A Laboratory Manual by Ed Harlow(Editor),David Lane(Editor)(1988,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ISBN 0−87969−314−2),1855.Handbook of Drug Screening,edited by Ramakrishna Seethala,Prabhavathi B.Fernandes(2001,New York,NY,Marcel Dekker,ISBN 0−8247−0562−9);およびLab Ref:A Handbook of Recipes,Reagents,and Other Reference Tools for Use at the Bench,Edited Jane Roskams and Linda Rodgers,2002,Cold Spring Harbor Laboratory,ISBN 0−87969−630−3を参照されたい。これらの一般的な原文は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】外因性VHZが、中心体および細胞質全体に局在することを示す図である。間接免疫蛍光により中心体の外因性VHZが示された。
【図1A】VHZ−EGFP(緑色)は、NRK細胞にトランスフェクトされ、細胞内の位置の範囲を示す(a)。VHZの優勢な局在は中心体であり、中心体でVHZは赤色で示される中心体マーカー−ペリセントリンと同時に局在する(b)。To−pro−3ヨージドを用いて核を青色に可視化する(b)。合成した画像は、ペリセントリンと同時に局在するVHZ−EGFP(緑色)を示した(c)。バーは20μm。
【図1B】VHZ−EGFPはNRK細胞にトランスフェクトされ、様々な細胞周期ステージ、すなわち、間期(a)、前期(b)、中期(c)、および終期の細胞で可視化される(d)。ペリセントリンは赤色で示され(a’−d’)、核は青色のTo−pro−3ヨージドで示される(a’−d’)。示されるように画像は合成されている(a”−d”)。バーは10μm。
【図2】内因性VHZが中心体および細胞質に局在することを示す図である。
【図2A】内因性VHZを、NRK(a〜c、バーは10μm)細胞およびMCF−10A(d〜f、バーは20μm)細胞において、アフィニティー精製したウサギ抗VHZおよびマウス抗γチューブリン抗体、それに続いて抗ウサギ−FITC(緑色)を結合させた抗ウサギIgGおよび抗マウス−テキサスレッドを結合させた抗マウスIgGを用いる二重染色により可視化する。内因性VHZは、A431細胞(g〜i、バーは20μm)においても、マウスモノクローナル抗体抗VHZ(クローン#25)およびウサギ抗ペリセントリン抗体、それに続いて抗マウス−FITC(緑色)を結合させた抗マウスIgGおよび抗ウサギ−テキサスレッドを結合させた抗ウサギIgGを用いる二重染色により検出される。
【図2B】内因性VHZを、血清飢餓NRK(a〜c、バーは20μm)において、ウサギ抗VHZおよびマウス抗γチューブリン抗体、それに続いて抗ウサギ−FITC(緑色)を結合させた抗ウサギIgGおよび抗マウス−テキサスレッドを結合させた抗マウスIgGを用いる二重染色により可視化する。
【図3】VHZがタンパク質チロシンホスファターゼ活性を有し、細胞周期制御に関与していることを示す図である。
【図3A】本発明者らは、それぞれのタンパク質(0.675ピコモル)をそのPTPアーゼ活性について試験する。VHZのPTPアーゼ活性は、10μMオルトバナジン酸ナトリウムを反応に添加することによるか(VHZ−GST+バナジン酸塩)、またはCys95のSerへの点突然変異により[VHZ(C95S)−GST]]完全に消失する。
【図3B】a.3種類の全細胞可溶化液は、VHZ−EGFP、VHZ(C95S)−EGFP、またはEGFPベクターを発現するMCF−7細胞から得たものである。タンパク質発現レベルは抗EGFP抗体を用いるウエスタンブロットにより分析する。GAPDHをタンパク質負荷対照として使用する。b.DNA含量は、BrdU取り込みおよびFACS分析により測定する。新たに合成されたDNAへのAPC−BrdU取り込み(R1は赤色の蛍光の量に相当する)。
【図3C】同じ3種類の発現構築物を安定して発現したNRK細胞は、VHZがG1を減少させるがS集団を増加させることができたことを示した。得られるヒストグラムは、3つの集団(%表示):M1:G1期、M2:S期およびM3:G2/M期からなる。このグラフは、その個別の細胞のDNA含量をFACS分析により決定する場合に、増殖する細胞集団について得られる典型的な結果を示した。
【図4】MCF−7細胞においてVHZがG1/S移行を増強することを示す図である。
【図4A】EGFPベクター、VHZ(C95S)−EGFPまたはVHZ−EGFPを発現しているMCF−7細胞を、G1/S細胞周期制御に関与するいくつかの分子について分析する。それらは、p21 Waf1/Cip1、Cdk4、ならびに、Ser780、Ser795およびSer807/811でリン酸化されたRbである。
【図4B】VHZがG1/S期移行においてこれらの分子とどのように連係するかを説明するための提案モデルを示す。
【図5】いくつかの乳がん試料において過剰発現したVHZタンパク質が上皮腫瘍細胞の中心体または細胞質に分布していることを示す図である。ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した乳がん試料を、VHZタンパク質発現について評価する。
【図5A】同じ組織切片への間接的な二重免疫蛍光標識により、VHZは乳がんの細胞の中心体に局在するように見える。白色の矢印で示されるように、VHZ(a)とγ−チューブリン(b)は、中心体(c)に同時局在する。画像cは、aとbの合成画像を示す。バー:100μm。
【図5B】乳がん試料の2つの連続した切片を、それぞれVHZおよびγチューブリンを検出するための免疫組織化学標識用に処理する。陽性シグナルは、3,3’−ジアミノベンジジン色素原(茶色)で染色することにより検出される。VHZ(a)およびγチューブリン局在(b)の類似する中心体標識パターンを黒色の矢印で示す。全体像(a’、b’)は、2つの隣接する切片から得たものである。パネルa’〜c’中の枠で囲まれた3つの長方形の領域(拡大率630倍)をさらに拡大し(5倍)およびそれぞれパネルa〜cに示し、中心体を黒色の矢印で示す。パネルc’およびcは、VHZ陰性試料を対照として示す。元の全体像は(図8A)に示される。
【図5C】いくつかの乳がん試料において、VHZタンパク質は、分散した上皮の細胞質全体に過剰発現する。元の全体像は(図8B)に示される。異なる乳房試料から選択した切片を全体像に示す(a’およびb’)。全体像中の枠で囲まれた3つの長方形の領域(a’、b’およびc’、拡大率400倍)をさらに拡大し(5倍)、それぞれパネルa、bおよびcに示す。パネルcおよびc’は、VHZ陰性試料を対照として示す。
【図6】E−カドヘリン陰性細胞中のVHZ発現およびVHZの過剰発現が、MCF−7細胞の運動性を増強することを示す図である。
【図6A】ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した2つの隣接する乳がん試料組織切片は、VHZ陽性細胞がE−カドヘリン陰性であり(a、拡大率400倍)、VHZ陰性上皮がE−カドヘリン陽性である(b、拡大率400倍)ことを示した。
【図6B】MCF−7−VHZ−EGFPとMCF−7−VHZ(C95S)−EGFP細胞運動を評価するため、細胞を、カバーガラス上のコンフルエント単層に蒔く。次に、細胞で覆ったカバーガラスを、新鮮な培養皿の上に細胞側を下にして反転させる。MCF−7−VHZ−EGFP細胞(a、a’)およびMCF−7−VHZ(C95S)−EGFP(b、b’)の画像を0時および48時に撮影する。パネルa’は、MCF−7−VHZ−EGFP細胞が表面を覆うカバーガラスの下から出て行く(矢印で示す)ことを示した。免疫蛍光画像(a、b)。位相差画像(a’、b’、拡大率200倍)。
【図7】VHZ mRNAが組織および細胞で広範に発現していることを示す図である。 ヒトマルチプル組織アレイ(カタログ番号7776−1)は、BD Bioscience(San Jose、CA)より入手する。アレイには、65種類の異なるヒト組織および8種類のヒト細胞株に由来する73のmRNAが収容されている。
【図7A】ドットブロットを、製造業者の取扱説明書(カタログ番号1585584、Roche、Mannheim、Germany)に従って32P−dCTPで放射標識されたヒトVHZ cDNAを用いてプローブする。VHZ mRNA発現パターンが示される。VHZは主に心臓(スポット:4A、4C−4H)および多くのその他の組織、ならびに肺癌細胞株−A549(スポット−10H)で発現する。
【図7B】ヒトマルチプル組織アレイの完全なマップである。
【図8】免疫組織化学によりVHZタンパク質が乳がんの中心体および細胞質において過剰発現することを示す図である。
【図8A】VHZタンパク質の過剰発現は、乳がんの中心体で明らかである。中心体は黒色矢印で示される(拡大率400倍)。
【図8B】VHZタンパク質の過剰発現は、乳がん細胞の細胞質で見出される(拡大率200倍)。
【図9】ウサギおよびマウス抗VHZ抗体の特徴づけを示す図である。
【図9A】ウサギおよびマウス抗VHZ抗体を用いるウエスタンブロット分析。全細胞可溶化液は、A431、HaLa、NRK、およびMCF−7細胞から得たものである。MCF−7全細胞可溶化液を、2μgのVHZ−GST(レーン1)とともにプレインキュベートする。VHZバンドの検出は、VHZ−GSTにより特異的に阻止される(矢印で示す)。
【図9B】VHZ mAbは、ECL(A)、IF(B)およびIHC(図5)に使用することができる。
【図10】創傷治癒アッセイにより、VHZを発現するMCF10A細胞が、VHZ(C95S)を発現するMCF10A細胞よりも強化された遊走特性を示したことを示す図である。本発明者らは、pBABEpuroベクターを用いるレトロウイルス媒介性の形質導入によりVHZおよびVHZ(C95S)をMCF10A細胞(5×10)に発現させた。創傷治癒アッセイにより、VHZを発現するMCF10A細胞は、VHZ(C95S)を発現するMCF10A細胞よりも強化された遊走特性を示した。細胞遊走の開始時(0時間、上のパネル)と終了時(8時間、下のパネル)の明白な違いを観察することができる。
【図11】創傷治癒アッセイにより、VHZを発現するMCF10A細胞が、VHZ(C95S)を発現するMCF10A細胞と比較して強化された遊走特性を示すことが見られる。本発明者らは、pBABEpuroベクターを用いるレトロウイルス媒介性の形質導入によりVHZおよびVHZ(C95S)をMCF10A細胞(5×10)に発現させた。創傷治癒アッセイにより、VHZを発現するMCF10A細胞は、VHZ(C95S)を発現するMCF10A細胞と比較して強化された遊走特性を示した。細胞遊走の開始時(0時間、上のパネル)と終了時(8時間、下のパネル)の明白な違いを観察することができる。
【図12】ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した複数のヒトがん試料におけるVHZタンパク質発現の評価を示す図である。DAB色素原(褐色)を用いるDako EnVision(商標)Systemを用いてVHZ特異的マウスモノクローナル抗体で染色することにより、VHZタンパク質を明らかにする。
【図13A】VHZ#209キメラ抗体の構築ステップを概説する図である。
【図13B】VHZ#209キメラ抗体の可変重鎖の配列を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減の方法で用いるためのVHZ。
【請求項2】
結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択される、がんの治療、予防または軽減のための抗VHZ剤であって、
好ましくは、該抗VHZ剤が、GenBank受託番号NM_017823またはNP_060293として示されるVHZ配列、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列の発現、量または活性の任意の組合せをダウンレギュレーションすることができ、
該抗VHZ剤が、好ましくは、ヒトVHZのアミノ酸残基(126〜140)に相当するRRLRPGSIETYEQEKに対して産生された抗ペプチド抗体のような抗VHZ抗体、例えば、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号LS−C32281、アミノ酸35〜90、LS−C42458、LS−A6806およびLS−A6803、LS−C32281、LifeSpan Inc、Seattle、Washington、USA)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号DS−PB−00676、RayBiotech Inc、Norcross、Georgia、USA)、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号XW−7857、ProSci Incorporated、Poway、California、USA)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号F4560およびD9840−66A、United States Biological、Swampscott、Massachusetts、USA)、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号D9840−66、United States Biological、Swampscott、Massachusetts、USA)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号AHP1142、AdB Serotec、Oxford、United Kingdom)、ウサギ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号NB110−40452、Novus Biologicals、Littleton、Colorado、USA)、ニワトリ抗ヒトVHZ抗体(カタログ番号NB100−75328、Novus Biologicals、Littleton、Colorado、USA)などを含むか、あるいは、該抗VHZ剤が、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、または、DUSP23プレデザインキメラRNAi(カタログ番号H00054935−R01、Novus Biologicals、Littleton、Colorado、USA)などのキメラRNAiを含むものなどのようなRNA干渉によりVHZをダウンレギュレーションすることができる、
抗VHZ剤。
【請求項3】
個体において、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがん、またはそのようながんに対する該個体の感受性を検出するためのキットであって、該個体または個体から採取した試料においてVHZ発現を検出するための手段と、任意選択により使用説明書とを含み、好ましくは、該検出手段が、VHZポリヌクレオチド若しくはそのフラグメント;VHZ核酸に対して相補的なヌクレオチド配列若しくはそのフラグメント;VHZポリペプチド若しくはそのフラグメント、又は、請求項2に記載の抗VHZ抗体若しくは抗VHZ剤からなる群から選択され、好ましくは、該がんの治療、予防または軽減のための治療薬をさらに含む、キット。
【請求項4】
(a)結腸がん細胞、肺がん細胞、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌細胞、膵臓がん細胞、脳がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、腎がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞および精巣がん細胞からなる群から選択されるがん細胞を検出する方法であって、該細胞においてVHZの発現、量または活性の変化(好ましくはアップレギュレーション)を検出することを含み、好ましくは、VHZの該発現が、非がん性であることがわかっている対照細胞中のVHZの該発現、量または活性と比較される、方法、
(b)上記(a)による方法であって、例えば、GenBank受託番号NM_017823またはNP_060293として示される配列またはそのような配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を有する核酸の少なくとも一部を含むプローブなどの手段によりVHZ核酸を検出することを含むか、あるいは、例えば、請求項2に示される抗VHZ抗体などの手段によりVHZポリペプチドを検出することを含み、好ましくは組織学的類別、例えば、Elston−Ellis修正Scarff、Bloom、Richardsonの類別方式(Nottingham Grading System(NGS))を使用することによるなどを含む、方法、
(c)結腸がん細胞、肺がん細胞、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌細胞、膵臓がん細胞、脳がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、腎がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞および精巣がん細胞からなる群から選択されるがん細胞の増殖状態を決定するか、または該がん細胞が浸潤性または侵襲性となることになる可能性を決定する方法であって、該細胞中のVHZの発現、量または活性の変化を検出することを含む、方法、
(d)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを有する個体の生存率を推定する方法であって、個体の細胞においてVHZの発現の変化を検出することを含む、方法、
(e)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを有する個体のための療法を選ぶ方法であって、該個体の細胞においてVHZの発現の変化を検出することと、がんの侵襲性に基づいて、適切な療法、例えば抗VHZ剤などを選択することとを含む、方法、
(f)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんを有する個体において特定の療法の成功の可能性を決定する方法であって、該療法と上記の(e)による方法により決定される療法を比較することを含む、方法、および
(g)請求項1〜3のいずれか一項に示される特徴をさらに含む、上記(a)〜(f)のいずれか一項に記載の方法、
からなる群から選択される方法。
【請求項5】
結腸がん細胞、肺がん細胞、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌細胞、膵臓がん細胞、脳がん細胞、食道がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、腎がん細胞、皮膚がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞および精巣がん細胞を操作する方法であって、
(a)好ましくは、操作の結果としてがん細胞が非がん性となるか、あるいは浸潤性または転移性がん細胞が非浸潤性または非転移性となるように、例えば、VHZに特異的に結合することができるsiRNA、shRNAまたはキメラRNAiに細胞を曝露することによるか、または請求項2に示される抗VHZ抗体に細胞を曝露することにより、該細胞においてVHZの発現、量または活性を変化させる(好ましくはダウンレギュレーションする)ことを含む方法、または
(b)(a)細胞において増加したVHZ発現、量または活性を検出するステップと、(b)該細胞中のVHZの該レベルを低下させるステップとを含む方法。
【請求項6】
(a)VHZポリペプチドに結合することができる分子を同定する方法であって、VHZポリペプチドまたはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を候補分子に接触させることと、該候補分子が該VHZポリペプチドまたはそれと少なくとも90%の配列同一性を有する配列に結合するかどうかを決定することとを含む、方法、
(b)VHZのモジュレーターを同定する方法であって、細胞を候補分子と接触させることと、該細胞中のまたは該細胞のVHZの発現、量または活性の増加または低下を検出することとを含む、方法、
(c)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減に適した分子を同定する方法であって、候補分子がVHZのアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定するために、好ましくは、候補分子をVHZポリペプチドまたはVHZポリペプチドを発現する細胞に曝露することによって、候補分子が、VHZまたはVHZと少なくとも90%の配列同一性を有する配列のアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定することを含む、方法、および
(d)VHZまたはVHZと少なくとも90%の配列同一性を有する配列のアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法であって、候補分子を動物に投与することおよび該動物がVHZの発現、量または活性の増加または低下を提示するかどうかを決定することを含む、方法
からなる群から選択される方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法または使用により同定される、VHZポリペプチドの分子、アゴニストまたはアンタゴニスト。
【請求項8】
ヒトVHZのアミノ酸残基(126〜140)に相当するRRLRPGSIETYEQEKに対して産生された抗ペプチド抗体のような、がんの治療、予防または軽減における使用のためのVHZの発現を変化させる(例えばダウンレギュレーションする)ことができる分子。
【請求項9】
VHZポリペプチドに結合することができる抗体であって、抗体209、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントにより結合されるエピトープに結合することができ、好ましくは、
(a)抗体209により結合されているVHZポリペプチド上のエピトープに結合することができる、
(b)VHZの残基C95を含む配列、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントであるであるエピトープに結合することができる抗VHZ抗体を含む、
(c)VHZに結合することができるモノクローナル抗体209、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントの可変領域を含む、
(d)細胞内VHZポリペプチドに結合することができる、
(e)細胞の形質膜を通過することができる、
(f)VHZに結合し、かつVHZの生物活性を抑制することができる、
(g)がん、例えば、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんなどの転移を防ぐことができる、または、
(h)モノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体を含む、
抗体。
【請求項10】
VHZに結合することができる、配列番号4および配列番号5からなる群から選択される配列、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントを含む、ポリペプチド。
【請求項11】
VHZ結合活性を有するポリペプチドをコードすることができる、請求項10に記載の分子をコードすることができる配列、またはその変異体、ホモログ、誘導体もしくはフラグメントを含む、核酸。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸配列を含むか、または請求項11に記載の核酸配列により形質転換された細胞、あるいはそのような細胞の子孫。
【請求項13】
個体における、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの腫瘍が、浸潤性もしくは転移性腫瘍であるか、またはその可能性が高いかどうかを決定する方法であって、該個体の腫瘍細胞でのVHZの発現、量または活性の変化を検出することを含む、方法。
【請求項14】
(a)個体における、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択される、がんの治療、予防または軽減の方法であって、個体の細胞におけるVHZの発現、量または活性を変化させることを含み、好ましくは個体のがん細胞においてVHZの発現、量または活性が低下する、方法、および、
(b)結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがん、または個体におけるそのようながんに対する感受性、またはそのようながんの個体の予後の診断の方法であって、個体の細胞におけるVHZの発現、量または活性の変化を検出することを含む、方法
からなる群から選択される、がんの治療、予防、軽減または診断の方法。
【請求項15】
個体における、結腸がん、肺がん、口唇、喉頭、外陰部、子宮頸部および陰茎がんを含む扁平上皮癌、膵臓がん、脳がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎がん、皮膚がん、卵巣がん、前立腺がんおよび精巣がんからなる群から選択されるがんの治療、予防または軽減の方法であって、該個体の細胞におけるVHZの発現、量または活性の変化を検出すること、および該腫瘍の該侵襲性に基づいて適切な療法、例えば抗VHZ剤などを該個体に投与することを含む、方法。
【請求項16】
診断、予後または療法の選択が、腫瘍のサイズ、またはリンパ節段階、あるいはその両方を、任意選択によりその他のリスク因子とともにまたは組み合わせて評価することによりさらに決定され、好ましくは、診断、予後または療法の選択が、腫瘍のエストロゲン受容体(ER)の状態を評価することによりさらに決定される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
添付の図面の図1〜15を参照して、かつそれに示されるように、本明細書に記載される方法および物。

【公表番号】特表2011−530283(P2011−530283A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522029(P2011−522029)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/SG2009/000276
【国際公開番号】WO2010/016806
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(510095020)エイジェンシー・フォー・サイエンス,テクノロジー・アンド・リサーチ(エイ・スター) (4)
【Fターム(参考)】