説明

はんだ付け方法及びはんだ付け装置

【課題】
バンプリペアや局所リフローにおいては、はんだ接続部の微細化に伴い、はんだ付け時に発生するボイドがはんだ内に残留による接続強度を著しく低下し、はんだ接続部とはんだペーストが溶融しても互いが融合し合わない未接現象が発生する。
【解決手段】
はんだが溶融している間に対象部品をクランプし、その対象部品だけを直接超音波加振する。また、超音波加振しながら、振動子の電気的インピーダンス変化によりはんだ接続部の凝固開始を検知し、基板が反る前にクランプを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毒性が少ないが、一般的にぬれ性が悪い鉛フリーはんだ合金を用いたリフローはんだ付け方法、及びこれを実現するリフローはんだ付け装置に関するものである。この鉛フリーはんだ合金は、有機基板等の回路基板への電子部品などの対象部品の接続に適用でき、220℃付近でのはんだ付けに用いられているSn−37Pb(単位:質量%)はんだの代替品である。
【背景技術】
【0002】
しかしながら、鉛鉛フリーはんだ合金は一般的に従来のSn−37Pbはんだと比較してぬれ性が悪く、特にSn−Zn系はんだの場合、はんだが接続部材に対しぬれの広がりにくく、結果としての広がりが比較的少なくなった場所に応力集中し、そこが亀裂の早期発生点となることで接続信頼性が低下してしまう場合がある。
【0003】
そこで、ぬれ性を向上させるためには、はんだの流動性を高めて、はんだの溶融物性をを改善する、すなわち、溶融時のはんだの表面張力や動粘度を低くすればよい。
【0004】
先願である特許文献1では、上記の問題を解決する方法として回路基板を介して超音波振動を与え、間接的に溶融はんだに微小振幅ではあるが高エネルギーで揺さぶりをかけることで、基板単位ではんだ接続部のフラックスアウトガス(フラックスの供給量が多いとはんだ内にガスが残留)基因のボイド排出、あるいは溶融したはんだバンプと溶融したはんだペーストの未接防止を行なう方法を提案している
また、本発明の主題である、はんだ接続部のみあるいはその周辺部を局所的に加熱しはんだ付けを行なう方法として、BGA(ボール・グリッド・アレイ)などのはんだバンプを有する電子部品をリフローはんだ付けで接続する際に接続不良が発生した場合、該電子部品のはんだ接続部を熱風などで加熱しはんだを溶融させて該電子部品を取り外し、電子部品を再度はんだ接続するバンプリペアという方法がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の提案又は方法では、以下の点が考慮されていなかった。
まず、特許文献1では、回路基板を介して超音波振動を与える間接的な方法では振動エネルギーがはんだ接続部に届くまでに減衰してしまい効果が小さい。また、場合によってはプリント基板にダメージを与えることもあるため、常時使用可能な手法ではない。
【0006】
また、上記のバンプリペア方法においては、はんだ接続部の微細化に伴い、はんだ付け時に発生したフラックスアウトガス起因のボイドがはんだ内に残留し、接続強度を著しく低下させたり、はんだバンプとはんだペーストが溶融しても互いが融合し合わない未接現象が発生し、外観でははんだバンプとはんだペーストが接続されているように見えるものの、電気的に接続がなされていない場合がある。
【0007】
さらに、上記局所リフロー方法においても、バンプリペア方法と同様、はんだ内のボイド残留や、はんだ接続部の未接現象が発生する場合がある。
【0008】
これらの対策としては、はんだ接続部の長時間加熱を実施することで、ボイド排出確率、あるいは溶融はんだ同士が融合する確率を高めるしか方法がない状況となっている。
【0009】
ただし、長時間加熱しても、対象部品側の電極と基板側の電極が近接し接続面積が広いこと等により、接続に関るはんだの形状が薄板状になる接続部の場合、はんだ内に発生したボイドは、排除されにくくなる。
そのため、特にBGA(ボールグリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等の接続部においては、はんだ内のボイド残留が発生しやすくなっている。
【0010】
また。長時間加熱すると、塑性変形等によりその後の熱疲労寿命が低下したり、応力緩和が困難な形状に変形して低疲労寿命化してしまう接続部が発生する場合がある。
【0011】
本発明の第一の目的は、従来のSn−Pb系はんだと比較して表面張力が大きく、フラックスアウトガス起因のボイドや溶融はんだバンプと溶融はんだペーストとの融合が起きにくい鉛フリーはんだを使用しても、局所リフロー時、リペアされる対象部品のはんだ接続或いは微細バンプ接続、特にBGAやLGA等の接続においてバンプ内のボイド排出或いは残留又は未接続を抑止することにある。
【0012】
本発明の第二の目的は、接続後の熱疲労にも強いはんだ接続部の形成が可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記第一の目的を達成するために、本発明は、対象部品の基板とのはんだ接続部に熱エネルギーを与えてはんだ付けする際に、前記対象部品を保持し、はんだが溶融している間に前記対象部品を直接超音波加振することを特徴とする。
【0014】
また、前記第一の目的を達成するために、本発明は、対象部品を保持する手段と、前記対象部品の基板とのはんだ接続部に熱エネルギーを与える手段と、前記はんだが溶融している間に前記対象部品を直接超音波加振する手段とを有することを特徴とする。
【0015】
更に、第二の目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載のはんだ付け方法において、前記はんだの凝固が始まること検知し、前記検知結果に基づいて前記対象部品の保持を解除することを特徴とする。
【0016】
また、第二の目的を達成するために、本発明は請求項9に記載のはんだ付け装置において、更に、前記はんだの凝固が始まること検知する検知手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来のSn−Pb系はんだと比較して表面張力が大きく、フラックスアウトガス起因のボイドや溶融はんだバンプと溶融はんだペーストとの融合が起きにくい鉛フリーはんだを使用した接続や微細バンプ接続を実施しても、局所リフロー時或いはリペアされた対象部品のはんだバンプ内のボイド排出或いは残留を又は未接続を抑止すことができる。
【0018】
また、本発明によれば、接続後の熱疲労にも強いはんだ接続部の形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1から図4を用いて詳細に説明する。
図1に本発明の局所リフロー装置を示す。本発明は、図1に示すように回路基板1を介して加振するのではなく、はんだが溶融している間に、前述のBGAやLGA等のような一部の対象部品に直接超音波加振する。
【0020】
図1に第1の実施形態を示す装置は、バンプ接続部品BGA10を直接超音波加振し、回路基板1に接続するため、超音波発振器200により振動子170を振動させ、その振動が音極171を介してBGA10をホールドしているクランプ100に超音波振動を伝える。BGA10は加熱用熱風ノズル50の中に存在し、熱風55によりはんだを溶融しはんだ接続される。一方、超音波を発生する振動子170は、周囲の温度変化により、発生する超音波の周波数、振動子自体の絶縁抵抗や静電容量などが変化したりするため、加熱用熱風ノズル50の外に設け、振動子170は熱から保護される。クランプ10は、アクチュエータ160の動力が伝達ケーブル161を介して伝達され、アクチュエータ160に内臓されている制御器(図示せず)でクランプ100の爪部153が開閉し、BGA10を保持する。また、振動子170を熱から保護するため、加熱用熱風ノズル10には音極171及び伝達ケーブル161が通るだけの必要最小限度の穴がある。クランプ100を所望の位置に移動させるために、左右、奥行き、上下方向に対して移動できるように左右移動部61、奥行き移動部62、上下移動部63を有する移動機構60がる。
【0021】
図2は、図1の熱風55の代わりにキセノンランプや赤外線ランプのビームをはんだ接続部に照射し、加熱してはんだを溶融し、電気部品11を回路基板にはんだ接続をする局所リフロー設備に適用した例を示す。
【0022】
次に、図1、図2の各構成要素について説明する。
【0023】
まず、超音波発振器200に関しては発振周波数が数10kHzの程度のものが、はんだの中に局所的な速度差を作り出すことができると同時に、接続部周辺に波動が回折しやすく、振動エネルギーを周囲に伝えやすくでき、エネルギーの伝達むらを小さくできる。
【0024】
超音波発信器200から出力、すなわち振動子への印加電力は概ね100W以上必要で、これより少ないと、部品パッケージなどの中で振動エネルギーが減衰してしまい、接続部の溶融はんだ部分に十分なエネルギーを伝えることができず、十分な効果を発揮することができない。
【0025】
超音波発生器の音極171と、音極171に接続される用クランプ100は音響インピーダンスをできるだけそろえるよう設計し、音極171とクランプ100の接続部で振動エネルギーが反射されにくくする。
【0026】
また、対象部品10,11をホールドするクランプ100へ対象部品解除の信号を伝達するケーブル161は機械的に動力を伝達する方式のものが構造が複雑にならなくて良い。
【0027】
また、クランプ100により対象部品10,11をホールドする際、ホールドする力は、概ね100〜150N程度の力が必要で、この力が弱いと超音波振動エネルギーが対象部品に伝わらない、あるいは対象部品10,11がクランプ100から外れてしまう場合がある。そのため、磁力や真空吸着などの方法は使用できない。
【0028】
そのため、クランプ100は、図3のようにアクチュエータ160からの動力が伝達ケーブル161を介して伝わる部分を力点150とし、対象部品01,11に接触する爪部153を作用点152、その間に支点151を設けて、てこの構造を構成し、力を倍化する必要がある。
【0029】
こうすることにより、力点と支点の間の距離を、支点と作用点の間の距離よりも十分長くすれば、力の弱いアクチュエータであってもクランプは強い力で対象部品をホールドできる。
【0030】
このことは、対象部品に超音波振動のエネルギーを大きなロスなく伝えることができることを意味する。
【0031】
または、図4のように、ネジ120やウォームギア121を使用したクランプを使用して伝達ケーブル161から伝わる小さな力を倍化して対象部品をホールドしても良い。
【0032】
力を倍化する機構を付加することのメリットはそれだけでなく、伝達ケーブルに加える力を小さくでき、ケーブルの強度を大きくする必要がなくなるため、ケーブル自体を細くできる。
【0033】
これにより、アクチュエータや伝達ケーブルをリペア装置などの対象部品のサイズと同等の熱風ノズルと干渉しない大きさにまで小型化できる。また、ケーブルの熱容量を小さくできるため、対象部品の加熱を短時間で実施できる。
【0034】
さらに、長時間加熱による、接続部の熱疲労寿命が低下したり、低疲労寿命化に対処するため、超音波発振器200には、出力調整のために出力をモニターする出力変化検知手段が備わっている。それは、接続部のはんだが凝固し始めると、超音波発振器200から見た振動子170の電気的インピーダンスが変化するので、それを超音波発振器200の出力で監視する。
【0035】
なぜ、対処できるかを以下に説明する。BGAなどの接続する場合、接続部サイズが微細化すると(概ね0.5mm以下になると)、溶融はんだの表面の曲率半径が小さくなることで、はんだの表面エネルギーが大きくなる。
【0036】
このことで、ボイドがはんだ外に脱出するための障壁がはんだ表面にでき、脱出確率が小さくなるため、ある一定以上の時間(望ましくは20秒以上)の超音波加振をはんだ溶融状態で実施することが必要となる。
【0037】
しかし、はんだの溶融時間を長くなると、はんだ体積が小さいことにより、はんだ溶融時に銅などの基板電極成分がはんだに溶け込み飽和しやすくなるため、はんだ/電極界面に脆いCu-Sn系金属間化合物層が厚く形成されやすい。
【0038】
これは接続強度の低下を引き起こすため、接続部サイズが0.5mmの場合、長くても40秒程度しか溶融時間を設けられず、この時間を利用して超音波加振をしなければならない。
【0039】
さらに、基板加熱により接続部はんだの温度が上昇している間は、フラックスからアウトガスが発生し続ける。そのため、はんだ温度がピークに達し、下降を始める頃を待って超音波加振を始める必要がある。
【0040】
このとき、はんだの冷却速度のバラツキが大きいと、所望の超音波加振時間に到達する前に、凝固を開始するはんだ接続部が出現する。
【0041】
また、その凝固を開始する直後、冷えてガラス転移点に近づいた基板に反りが発生しはじめるため、クランプでホールドされた被接続部品の部分的にはんだが凝固している場所には大きな負荷がかかる。
【0042】
その結果、ボイドは排除できたものの、塑性変形の経験によりその後の熱疲労寿命が低下したり、応力緩和が困難な形状に変形して低疲労寿命化してしまう接続部が発生する場合がある。
【0043】
そこで、これを防止するために、超音波加振しながら、はんだの凝固が始まることによってはんだへの超音波エネルギーの伝わり方(音響インピーダンス)が変化するのを、振動子170の電気的なインピーダンス変化として発信器に検知させる。これは、振動子170の等価回路が抵抗成分、容量成分を並列させたものとして記述でき、超音波エネルギーの伝わり方の変化により、抵抗成分が著しく変化するからである。振動子170の音響インピーダンスが変化すれば、超音波発振器200の出力が変化する。
【0044】
そしてこのような出力変化検知手段によって、基板が反る前にクランプ100を解除し、被接続部品が反りを開始した基板に倣うようにする。
【0045】
本実施形態においては、はんだ溶融時の初期出力をモニタリングさせ、その後、振動子の電気的インピーダンスが概ね5%変化するのを検知して、アクチュエータ160内の制御器にクランプ解除信号を与える。これによって、電子部品接続部のはんだの凝固を初期段階で検出でき、接続後の熱疲労にも強いはんだ接続部の形成が可能となる。
【0046】
ただし、上記5%は実施例であり、その閾値は、はんだや回路基板1、あるいは、電子部品10,11などの接続部材はそれぞれ音速や密度に依存し、それぞれの値の積をとる音響インピーダンスの大きさが部材によって決まり、異種部材界面における超音波の反射あるいは透過率は各部材の音響インピーダンスの値や差によって異なる。
【0047】
よって、はんだが凝固を開始したとき、超音波の反射率は大きくなる方向に変化する場合や小さくなる方向に変化する場合がある。そのため、出力値の変化は増減の両方の場合を検知できるようにする必要がある。
【実施例1】
【0048】
BGAなどの微細バンプ接続部品のリペア装置として、はんだが溶融している間に対象部品をクランプ付きの振動子に接続して、直接的に出力100Wの超音波加振をする仕様のものを用い、接続不良の起きた1.27mmピッチ4列ペリフェラル配置のフルグリッド256バンプ数のBGAを取り外した。
【0049】
本BGAの接続はSn-9Znはんだのバンプと同組成のはんだペーストによって接続されたものであるため、新たに交換するBGAも同じSn-9Znはんだのバンプを持ち、さらにSn-9Znのはんだペーストによって再接続を行なうことにした。
【0050】
再接続の際、はんだバンプやはんだペーストが溶融するのは加熱後30秒後で、そのさらに20秒後に熱風供給の停止による接続部冷却と10秒間の超音波加振を開始した。超音波加振をするタイミングとしては、はんだが溶融状態であればよいが、ボイドが排出しきったとき、すなわち熱風供給の停止ときに行うと効率がよい。以下の実施例でも同様である。
【0051】
超音波加振については、本装置振動子を介して直接クランプしたBGAに行なうこととした。
【0052】
また、このクランプは、圧縮空気で動作するアクチュエータ(力の大きさ=約15N)からの動力が伝達ケーブルを介して伝わる部分を力点とし、対象部品に接触する爪部分を作用点、その間に支点を設けている。
【0053】
さらに、力点と支点の間の距離を、支点と作用点の間の距離の10倍にし、リペア装置の中に据え付けられるほど小型のアクチュエータであってもクランプは強い力でBGAをホールドできるようにしている。
【0054】
また、比較のために、本装置の振動子を作動させずにプリント基板上のBGAから10
cm離れた位置においてプリント基板を介して別に用意した振動子を用いて出力1kWの超音波加振を10秒実施した基板も用意した。
【0055】
両方法によって、基板を100枚ずつ作製後、BGA接続部の電気的な導通チェックを行なった結果、直接的に出力100Wの超音波加振をした場合は導通不良は出現しなかったものの、回路基板を介して超音波加振をした場合は出力1kWにもかかわらず、5枚の基板で導通不良が確認できた。
【実施例2】
【0056】
コネクタなどの表面接続部品の局所リフロー装置として、はんだが溶融している間に電子部品をクランプ付きの振動子に接続して、直接的に出力100Wの超音波加振をする仕様のものを用い、0.5mmピッチ50リードのコネクタをSn-3Ag-0.5Cuはんだペーストによって0.8mm厚の薄型回路基板に接続した。
【0057】
接続の際、はんだペーストが溶融するのは加熱後25秒後で、そのさらに20秒後に熱風供給の停止による接続部冷却と10秒間の超音波加振を開始した。
【0058】
超音波加振については、本装置振動子を介して直接クランプした0.5mmピッチ50リードのコネクタに行なうこととした。
【0059】
また、このクランプは、制御器が付属し圧縮空気で動作するアクチュエータ(力の大きさ=約15N)からの動力が伝達ケーブルを介して伝わる部分を力点とし、対象部品に接触する爪部分を作用点、その間に支点を設けている。
【0060】
さらに、力点と支点の間の距離を、支点と作用点の間の距離の10倍にし、リペア装置の中に据え付けられるほど小型のアクチュエータであってもクランプは強い力でコネクタをホールドできるようにしている。
【0061】
また、比較のために、本装置の振動子を作動させずにコネクタから5cm離れたプリント基板端部からプリント基板を介して別に用意した振動子を用いて出力1kWの超音波加振を10秒実施した基板も用意した。
【0062】
両方法によって、基板を100枚ずつ作製後、コネクタ接続部の電気的な導通チェックを行なった結果、直接的に出力100Wの超音波加振をした場合は導通不良は出現しなかったものの、回路基板を介して超音波加振をした場合は出力1kWにもかかわらず、4枚の基板で導通不良が確認できた。接続部の詳細観察により、その原因は、薄型基板の複雑な反りの発生が原因によるコネクタリードとはんだペーストのぬれ不良であることがわかった。
【実施例3】
【0063】
BGAなどの微細バンプ接続部品のリペア装置として、はんだが溶融している間に対象部品をクランプ付きの振動子に接続して、直接的に出力100Wの超音波加振をする仕様のものを用い、接続不良の起きた1.0mmピッチのフルグリッド256バンプのBGAを取り外した。
【0064】
本BGAの接続はSn-9Znはんだのバンプと同組成のはんだペーストによって接続されたものであるため、新たに実装するBGAも同じSn-9Znはんだのバンプを持ち、さらにSn-9Znのはんだペーストによって再接続を行なうことにした。
【0065】
再接続の際、はんだバンプやはんだペーストが溶融するのは加熱後30秒後で、そのさらに20秒後に熱風供給の停止による接続部冷却と最長20秒間の超音波加振を行なうことにした。
【0066】
超音波加振については、本装置振動子を介して直接クランプしたBGAに行なうこととした。
【0067】
また、このクランプは、圧縮空気で動作するアクチュエータ(力の大きさ=約15N)からの動力が伝達ケーブルを介して伝わる部分を力点とし、対象部品に接触する爪部分を作用点、その間に支点を設けている。
【0068】
さらに、力点と支点の間の距離を、支点と作用点の間の距離の10倍にし、リペア装置の中に据え付けられるほど小型のアクチュエータであってもクランプは強い力でBGAをホールドできるようにしている。
【0069】
さらに、超音波発振器が振動子の電気的インピーダンスが概ね5%変化するのを検知した際、直ちにクランプ解除と超音波加振の停止を実施する設定でリペアを開始した。
【0070】
また、比較のために、本装置の超音波発振器の出力変化検知機構のスイッチを切って、20秒間一定時間の超音波加振を実施した基板も用意した。
【0071】
両方法によって、基板を100枚ずつ作製後、BGA接続部の電気的な導通チェックを行なった結果、超音波発振器の出力変化を検知した際、直ちにクランプ解除と超音波加振の停止を実施した場合は導通不良は出現しなかったものの、20秒間一定時間の超音波加振を実施した場合は、3枚の基板で導通不良が確認できた。接続部の詳細観察により、その原因は、一旦はんだ接続はなされたものの、一部のはんだバンプが未凝固の状態で、BGAパッケージが基板の反りに追従できない状態が発生したことにより、凝固途中にはんだが二分することによって起きていることがわかった。
【実施例4】
【0072】
BGAなどの微細バンプ接続部品のリペア装置として、はんだが溶融している間に対象部品をクランプ付きの振動子に接続して、直接的に出力100Wの超音波加振をする仕様のものを用い、接続不良の起きた1.0mmピッチのフルグリッド256バンプ数のBGAを取り外した。
【0073】
本BGAの接続はSn-9Znはんだのバンプと同組成のはんだペーストによって接続されたものであるため、新たに実装するBGAも同じSn-9Znはんだのバンプを持ち、さらにSn-9Znのはんだペーストによって再接続を行なうことにした。
【0074】
再接続の際、はんだバンプやはんだペーストが溶融するのは加熱後30秒後で、そのさらに20秒後に熱風供給の停止による接続部冷却と最長20秒間の超音波加振を行なうことにした。
【0075】
超音波加振については、本装置振動子を介して直接クランプしたBGAに行なうこととした。
【0076】
また、このクランプは、圧縮空気で動作するアクチュエータからの力(大きさ=約15N)が伝達ケーブルを介して伝わる部分を力点とし、対象部品に接触する爪部分を作用点、その間に支点を設けている。
【0077】
さらに、力点と支点の間の距離を、支点と作用点の間の距離の10倍にし、リペア装置の中に据え付けられるほど小型のアクチュエータであってもクランプは強い力でBGAをホールドできるようにしている。
【0078】
さらに、超音波発振器が振動子の電気的インピーダンスが概ね5%変化するのを検知した際、直ちにクランプ解除と超音波加振の停止を実施する設定でリペアを開始した。
【0079】
この方法によって、基板を100枚作製後、BGA接続部の電気的な導通チェックを行なった結果、導通不良は出現していなかった
また、比較のために、力点と支点の間の距離を、支点と作用点の間の距離を10倍から2倍にし、BGAのホールド力を1/5に低減したクランプを使用してリペアした基板も作製しようとしたものの、超音波加振を開始した途端BGAがクランプから脱落したため、作製を断念した。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、はんだ接続部のみ、あるいはその周辺部を局所的に加熱しはんだ付けを行なう方法として、電子部品のはんだ接続部を熱風などで加熱しはんだを溶融させて該電子部品を取り外し、電子部品を再度はんだ接続するバンプリペアという現行プロセス、あるいは、赤外線ランプやキセノンランプ等のビームをはんだ接続部に照射し、加熱してはんだを溶融することによりはんだ接続をする局所リフローという現行プロセス等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】BGAなどのバンプ接続を行なう本発明の第1の実施形態を示す図である。
【図2】赤外線やキセノン光などのビームによってはんだ接続部への加熱を行なう局所リフローする発明の第2の実施形態を示す図である。
【図3】本発明クランプのクランプの第1の実施形態を示す図である。
【図4】対象部品をホールドする力を大きくするために、ネジやウォームギアを使用して伝達ケーブルから伝わる小さな力を大きくするクランプの第2の実施形態を示した図である。
【符号の説明】
【0082】
1 :回路基板 10 :バンプ接続部品 11 :電子部品
50 :加熱用熱風ノズル 51 :加熱用ランプ 55 :熱風
60 :移動機構 61 :左右移動部 62 :奥行き移動部62
63 :上下移動部63 100:クランプ 120:ネジ
121:ウォームギア 150:クランプにおける力点
151:クランプにおける支点 152:クランプにおける作用点
152:クランプにおける電子部品等と接触する爪部
160:アクチュエータ 161:動力伝達ケーブル 170:振動子
171:振動子の音極 200:超音波発振器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部品の基板とのはんだ接続部に熱エネルギーを与えてはんだ付けする際に、前記対象部品を保持し、はんだが溶融している間に前記対象部品を直接超音波加振することを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだ付け方法において、前記はんだの凝固が始まること検知し、前記検知結果に基づいて前記対象部品の保持を解除することを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項3】
請求項2に記載のはんだ付け方法において、前記検知は前記超音波を発振する振動子の電気的インピーダンス変化を検知することを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項4】
請求項2に記載のはんだ付け方法において、前記検知は前記超音波を発振する振動子への印加電力の変化を検知することを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項5】
請求項2に記載のはんだ付け方法において、前記対象部品の保持を解除すときは、前記熱エネルギーを与えることの停止に基づくことを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項6】
請求項1に記載のはんだ付け方法において、前記保持する保持力は最大150N程度の強い力で固定できるようになっていることを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項7】
対象部品を保持する第1の工程と、対象部品をはんだ付けする位置に移動させる第2の工程と、前記はんだ付けする位置に前記対象部品のはんだ接続部に熱エネルギーを与える第3の工程と、前記はんだ接続部のはんだが溶融している間に前記対象部品を直接的に超音波加振する第4の工程を有することを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項8】
請求項7に記載のはんだ付け方法において、更に前記はんだの凝固が始まること検知し、前記検知結果に基づいて前記対象部品の保持を解除する第5の工程を有していることを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項9】
対象部品を保持する手段と、前記対象部品の基板とのはんだ接続部に熱エネルギーを与える手段と、前記はんだが溶融している間に前記対象部品を直接超音波加振する手段とを有することを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項10】
請求項9に記載のはんだ付け装置において、更に、前記はんだの凝固が始まること検知する検知手段を有することを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項11】
請求項10に記載のはんだ付け装置において、前記検知手段は前記超音波を発振する振動子の電気的インピーダンス変化を検知する手段であることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項12】
請求項10に記載のはんだ付け装置において、前記検知手段は前記超音波を発振する振動子への印加電力の変化を検知する手段であることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項13】
請求項10に記載のはんだ付け装置において、対象部品を保持する手段は、前記熱エネルギーを与える手段の熱エネルギー付与の有無に基づいて、前記対象部品の保持を解除することを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項14】
請求項10に記載のはんだ付け装置において、更に、前記対象部品を前記基板のはんだ接続位置に移動する手段を有することを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項15】
請求項10に記載のはんだ付け装置において、更に、前記前記振動子を前記熱エネルギーから保護する手段を有することを特徴とするはんだ付け装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−21346(P2010−21346A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180241(P2008−180241)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】