説明

アウターリング交換セット、アウターリング取り外し治具およびアウターリング取り外し方法

【課題】ワイヤソーの駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーからのアウターリングの取り外しが容易で、衝撃を加えなくて簡単に取り外せるようにする。
【解決手段】最小内径部位にネジ部を設けたアウターリング11と、アウターリングの最小内径部位のネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材12、アウターリング11を支持部材12との間に挟み込んで保持する挟持部材13、ローラーの端面にあてがってアウターリングを引き抜くための突っ張りとする突っ張り部材14、ボルト17、ナットおよびスラストベアリング15からなるアウターリング取り外し治具とを、セット(アウターリング交換セット)にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤソーの駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーからのアウターリングの取り外しを容易にするアウターリング交換セット、アウターリング取り外し治具およびアウターリング取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体インゴット等から薄い平板状素材を切り出すのに使用する硬質材料切断用の研削装置として、細い鋼線等のワイヤー(ソーワイヤー)を、複数のローラー(メインローラー)の間に巻き掛け、ローラーを回転駆動してローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒を含有する加工液(砥粒スラリ)を注いで被切断物を切断するようにしたワイヤーソーが従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなワイヤーソーにおいて、ワイヤーを巻き掛けて走行させるローラー(メインローラー)は、その内の一つが、モータ駆動力を伝達する駆動軸上の連結部により軸方向の両側から挟み込まれて回転駆動される。図4は、その回転駆動されるローラーの一般的な断面構造の一例を示している。
【0004】
図4において、1はローラーである。ローラー1の軸芯部には、軸方向に貫通する軸孔2が設けられている。また、後述する駆動軸上の連結部との当接部位であるローラー1の両端部には、軸孔2と同心で軸孔2より径が大きく、軸孔2の周りに段差をなしてリング状に窪んだ形状のリング装着穴3が設けられている。そして、それらリング装着穴3の底部には、径方向内寄りの、軸孔2に近接した相互に180度対称な位置に、それぞれ一対のピン穴4が設けられている。
【0005】
ローラー1の両端部のリング装着穴3には、環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリング11が、最小内径部位がローラー1軸方向の内側となる向きに装着される。アウターリング11は冷やしばめにより嵌合装着する。
【0006】
ローラー1は、軸孔2に、駆動モータ(図示せず)の駆動力(モータ駆動力)を伝達するワイヤーソーの駆動軸5が挿入され、駆動軸5上に装着され駆動軸5と一体に回転する一対の連結部6によって軸方向の両側から挟み込まれる。その際、ローラー1のピン穴4に、連結部6に立設されたピン7が挿し込まれ、それにより、ローラー1と駆動軸2とが位置決めされ、回転方向に一体化される。
【0007】
駆動軸5上に装着される連結部6には、ローラー1に当接する側の先端部に、環状で外周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するインナーリング10が嵌合固定されていて、ローラー1が連結部6により軸方向の両側から挟み込まれた状態で、ローラー1側のアウターリング11と、連結部6側のインナーリング10とが球面接触する。このようにアウターリング11とインナーリング10とが球面接触することで、振動等による駆動軸5とローラー1との間の微小変位が吸収され、ローラー1の回転が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−205551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ワイヤーソーの駆動軸により回転駆動される上記ローラー(メインローラー)は、駆動軸上の連結部により両側から挟み込まれて廻されることにより、繰り返し使用するうちにアウターリングが磨耗する。そのため、アウターリングは時々交換する必要がある。しかし、アウターリングは、冷やしばめ(嵌合)によりローラーに装着されるので、簡単には取り外せない。そのため、従来は、例えば、ローターに装着されているアウターリングに外側から鉄板を溶接し、ローターの軸孔に通した鉄の丸棒で反対側から鉄板ごとアウターリングを叩き出すといった方法でアウターリングを取り外している。
【0010】
しかし、上記従来の方法は、溶接等の作業が必要で手間がかかるばかりでなく、アウターリングに大きな衝撃がかかり、しかも、衝撃の方向が安定しないため、アウターリングがスムーズに抜けないで、ローラーのリング装着穴を損傷あるいは変形させてしまうおそれがある。
【0011】
したがって、ワイヤソーの駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーからのアウターリングの取り外しが容易で、衝撃を加えなくて簡単に取り外せるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ワイヤソーの駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーからのアウターリングの取り外しが容易で、衝撃を加えなくても簡単に取り外せるようにするための手段である、アウターリング交換セット、アウターリング取り外し治具およびアウターリング取り外し方法を提供する。
【0013】
請求項1〜3に係る発明のアウターリング交換セットは、駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、駆動軸により回転駆動されるローラーの駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングの交換セットであって、アウターリングの最小内径部位にネジ部を設けてなる交換セット用のアウターリングと、アウターリングの最小内径部のネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材と、アウターリングを支持部材との間に挟み込んで保持する挟持部材と、ローラーの端面にあてがってアウターリングを引き抜くための突っ張りとする突っ張り部材とからなるものである。
【0014】
このアウターリング交換セットは、最小内径部位にネジ部を設けてなる交換セット用のアウターリングと、支持部材と挟持部材と突っ張り部材とからなるアウターリング取り外し治具とが予めセットになったもので、そのセットになったアウターリングあるいはそれと同じ仕様のアウターリングをローラーに装着する。そして、アウターリングを交換のためにローラーから取り外すには、支持部材をアウターリングにねじ込み、その支持部材をねじ込んだアウターリングを挟持部材により支持部材との間に挟み込んで保持し、そのようにアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜く。こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要がないようにすることができる。
【0015】
そして、このアウターリング交換セットは、さらに、アウターリングが支持部材と挟持部材との間に挟み込まれた状態で突っ張り部材を支えとしてアウターリングをローターから抜き取るためのボルトを備え、支持部材は、略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周にアウターリングの最小内径部位のネジ部と嵌り合うネジ部を有し、挟持部材は、略円板状で前記支持部材より径方向に大きくて中心部に支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有し、突っ張り部材は、筒部と底部からなる有底円筒状で筒部の内径が挟持部材の外径より大きく底部の中心部にボルトを挿し込み可能なよう支持部材および挟持部材のそれぞれのネジ孔よりも径の大きい貫通孔を有し、ボルトは、支持部材および挟持部材のそれぞれのネジ孔と嵌り合うネジ部を有するものとすることができる。
【0016】
このアウターリング交換セットは、最小内径部位にネジ部を設けてなる交換セット用のアウターリングと、支持部材と挟持部材と突っ張り部材とボルトとからなるアウターリング取り外し治具とが予めセットになったもので、そのセットになったアウターリングあるいはそれと同じ仕様のアウターリングをローラーに装着する。そして、アウターリングを交換のためにローラーから取り外すには、支持部材をアウターリングにねじ込み、その支持部材をアウターリングにねじ込み、ボルトを突っ張り部材の貫通孔に底部側から挿し込み、その突っ張り部材に挿し込んだボルトを挟持部材にねじ込み、その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を支持部材にねじ込み、次いで、挟持部材を支持部材に近づける方向に廻し挟持部材の外縁部をアウターリングに押し当ててアウターリングを支持部材との間に挟み込み、こうしてアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって、支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜く。こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要がないようにすることができる。
【0017】
また、このアウターリング交換セットは、さらに、アウターリングをローターから取り外す際に突っ張り部材とボルトヘッドとの間で廻すことにより突っ張り部材と突っ張りあってボルトを突っ張り部材から引き出す方向へ移動させるようボルトに装着可能なナットと、ナットと突っ張り部材との間に介在させてナットの廻動を滑らかにするようボルトに装着可能なスラストベアリングを備えるものとすることができる。
【0018】
このアウターリング交換セットは、最小内径部位にネジ部を設けてなる交換セット用のアウターリングと、支持部材と挟持部材と突っ張り部材とボルトとナットとからなるアウターリング取り外し治具とが予めセットになったもので、そのセットになったアウターリングあるいはそれと同じ仕様のアウターリングをローラーに装着する。そして、アウターリングを交換のためにローラーから取り外すには、支持部材をアウターリングにねじ込み、ボルトにナットを嵌め、さらにスラストベアリングを嵌めて、そのボルトを突っ張り部材の貫通孔に底部側から挿し込み、その突っ張り部材に挿し込んだボルトを挟持部材にねじ込み、その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を支持部材にねじ込み、次いで、挟持部材を支持部材に近づける方向に廻し挟持部材の外縁部をアウターリングに押し当ててアウターリングを支持部材との間に挟み込み、こうしてアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって、ナットをボルトから外す方向へ廻す。それにより、ナットが突っ張り部材と突っ張り合ってボルトを突っ張り部材から引き出す方向へ移動させ、支持部材および挟持部材ともどもアウターリングをローラーから引き抜く。こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、その際、衝撃を加えなくて簡単に取り外せる。ナットは、突っ張り部材との間にスラストベアリングが挟まれるため滑らかに廻すことができる。
【0019】
請求項4〜6に係る発明のアウターリング取り外し治具は、駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、駆動軸により回転駆動されるローラーの駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈し最小内径部位にネジ部を設けてなるアウターリングをローラーから取り外すのに使用する治具であって、アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材と、アウターリングを支持部材との間に挟み込んで保持する挟持部材と、ローラーの端面にあてがってアウターリングを引き抜くための突っ張りとする突っ張り部材とからなるものである。
【0020】
このアウターリング取り外し治具は、最小内径部位に支持部材のネジ部と嵌り合うネジ部が設けられているアウターリングを交換のためにローラーから取り外すのに使用するもので、支持部材をアウターリングにねじ込み、その支持部材をねじ込んだアウターリングを挟持部材により支持部材との間に挟み込んで保持し、そのようにアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜く。こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要がないようにすることができる。
【0021】
そして、このアウターリング取り外し治具は、さらに、アウターリングが支持部材と挟持部材との間に挟み込まれた状態で突っ張り部材を支えとしてアウターリングをローターから抜き取るためのボルトを備え、支持部材は、略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周にアウターリングの最小内径部位のネジ部と嵌り合うネジ部を有し、挟持部材は、略円板状で支持部材より径方向に大きくて中心部に支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有し、突っ張り部材は、筒部と底部からなる有底円筒状で筒部の内径が挟持部材の外径より大きく底部の中心部にボルトを挿し込み可能なよう支持部材および挟持部材のそれぞれのネジ孔よりも径の大きい貫通孔を有し、ボルトは、支持部材および挟持部材のそれぞれのネジ孔と嵌り合うネジ部を有するものとすることができる。
【0022】
このアウターリング取り外し治具は、最小内径部位に支持部材のネジ部と嵌り合うネジ部が設けられているアウターリングを交換のためにローラーから取り外すのに使用するもので、支持部材をアウターリングにねじ込み、その支持部材をアウターリングにねじ込み、ボルトを突っ張り部材の貫通孔に底部側から挿し込み、その突っ張り部材に挿し込んだボルトを挟持部材にねじ込み、その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を支持部材にねじ込み、次いで、挟持部材を支持部材に近づける方向に廻し挟持部材の外縁部をアウターリングに押し当ててアウターリングを支持部材との間に挟み込み、こうしてアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜く。こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要がないようにすることができる。
【0023】
また、このアウターリング取り外し治具は、さらに、アウターリングをローターから取り外す際に突っ張り部材とボルトヘッドとの間で廻すことにより突っ張り部材と突っ張り合ってボルトを突っ張り部材から引き出す方向へ移動させるようボルトに装着可能なナットと、ナットと突っ張り部材との間に介在させてナットの廻動を滑らかにするようボルトに装着可能なスラストベアリングを備えるものとすることができる。
【0024】
このアウターリング取り外し治具は、最小内径部位に支持部材のネジ部と嵌り合うネジ部が設けられているアウターリングを交換のためにローラーから取り外すのに使用するもので、支持部材をアウターリングにねじ込み、その支持部材をアウターリングにねじ込み、ボルトにナットを嵌め、さらにスラストベアリングを嵌めて、そのボルトを突っ張り部材の貫通孔に底部側から挿し込み、その突っ張り部材に挿し込んだボルトを挟持部材にねじ込み、その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を支持部材にねじ込み、次いで、挟持部材を支持部材に近づける方向に廻し挟持部材の外縁部をアウターリングに押し当ててアウターリングを支持部材との間に挟み込み、こうしてアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって、ナットをボルトから外す方向へ廻す。それにより、ナットが突っ張り部材と突っ張り合ってボルトを突っ張り部材から引き出す方向へ移動させ、支持部材および挟持部材ともどもアウターリングをローラーから引き抜く。こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要もなくなる。ナットは、突っ張り部材との間にスラストベアリングが挟まれるため滑らかに廻すことができる。
【0025】
請求項7に係る発明のアウターリング取り外し方法は、駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、駆動軸により回転駆動されるローラーの駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングをローラーから取り外す方法であって、アウターリングの最小内径部位にネジ部を設け、アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材をアウターリングにねじ込み、支持部材をねじ込んだアウターリングを挟持部材により支持部材との間に挟み込んで保持し、アウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって支持部材および挟持部材ともども前記アウターリングを引き抜くことを特徴とする。
【0026】
この方法により、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要がないようにすることができる。
【0027】
また、請求項8に係る発明のアウターリング取り外し方法は、駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、駆動軸により回転駆動されるローラーの駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングをローラーから取り外す方法であって、アウターリングの最小内径部位にネジ部を設け、略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周にアウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材をアウターリングにねじ込み、支持部材のネジ孔と嵌り合うネジ部を有するボルトを、筒部と底部からなる有底円筒状で底部の中心部に貫通孔を有する突っ張り部材の貫通孔に底部側から挿し込み、その突っ張り部材に挿し込んだボルトを、略円板状で支持部材より径方向に大きくて中心部に支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有する挟持部材にねじ込み、その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を支持部材にねじ込み、次いで、挟持部材を支持部材に近づける方向に廻し挟持部材の外縁部をアウターリングに押し当ててアウターリングを支持部材との間に挟み込み、こうしてアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜くことを特徴とする。
【0028】
この方法により、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要がないようにすることができる。
【0029】
また、請求項9に係る発明のアウターリング取り外し方法は、駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、駆動軸により回転駆動されるローラーの駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングをローラーから取り外す方法であって、アウターリングの最小内径部位にネジ部を設け、略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周に前記アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材をアウターリングにねじ込み、支持部材のネジ孔と嵌り合うネジ部を有するボルトにナットを嵌め、さらにスラストベアリングを嵌めて、そのボルトを筒部と底部からなる有底円筒状で底部の中心部に貫通孔を有する突っ張り部材の貫通孔に底部側から挿し込み、その突っ張り部材に挿し込んだボルトを、略円板状で支持部材より径方向に大きくて中心部に支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有する挟持部材にねじ込み、その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を支持部材にねじ込み、次いで、挟持部材を支持部材に近づける方向に廻し挟持部材の外縁部をアウターリングに押し当ててアウターリングを支持部材との間に挟み込み、こうしてアウターリングを支持部材と挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材をローラーの端面にあてがって、ナットをボルトから外す方向へ廻すことにより、ナットが突っ張り部材と突っ張り合ってボルトを突っ張り部材から引き出す方向へ移動させ、支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜くようにしたことを特徴とする。
【0030】
この方法により、こうすることで、アウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加える必要もなくなる。ナットは、突っ張り部材との間にスラストベアリングが挟まれるため滑らかに廻すことができる。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、ワイヤソーの駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーからアウターリングを容易に取り外すことができ、衝撃を加えなくて簡単に取り外せるようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係るアウターリング、アウターリング取り外し治具、およびアウターリング交換セットの構成を仮組み付け状態で示す図である。
【図2】図1に示すアウターリング、アウターリング取り外し治具、およびアウターリング交換セットの構成を単品状態で示す図で、(a)はアウターリングの断面図、(b)は支持部材の断面図、(c)は挟持部材の断面図、(d)は突っ張り部材の断面図、(e)はスラストベアリングの側面図、(f)はナットの側面図、(g)はボルトの側面図である。
【図3】本発明の実施形態のアウターリング取り外し方法の説明図(a)、(b)、(c)である。
【図4】ワイヤーソーにおいて回転駆動されるローラーの一般的な断面構造の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜図3は本発明の実施形態の一例におけるアウターリング、アウターリング取り外し治具、およびアウターリング交換セットの構成を示し(図1、図2)、また、この実施形態におけるアウターリング取り外し方法を示している(図3)。この実施形態は、例えば図4に示すローラーからアウターリングを取り外すものである。以下、図1〜図3に係る実施形態を、図4に示すローラーからのアウターリング取り外しを例にとって説明する。
【0034】
図において、11はアウターリング、12は支持部材、13は挟持部材、14は突っ張り部材、15はスラストベアリング、16はナット、17はボルトである。
【0035】
アウターリング11は、例えば半導体インゴット等から薄い平板状素材を切り出すために使用する硬質材料切断用の研削装置であるワイヤーソー、すなわち、細い鋼線等のワイヤー(ソーワイヤー)を、モータ駆動力を伝達する駆動軸上の連結部により軸方向の両側から挟み込まれて駆動軸により回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラー(メインローラー)に順次巻き掛けて、ローラーを回転駆動してローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒を含有する加工液(砥粒スラリ)を注いで被切断物を切断するようにしたワイヤーソーにおいて、
ワイヤー(ソーワイヤー)を巻き掛けて走行させるローラー(メインローラー)の内の、駆動軸上の連結部により軸方向の両側から挟み込まれて駆動軸により回転駆動されるローラーの駆動軸上の連結部との当接部位に装着されるものである。
【0036】
駆動軸により回転駆動されるローラーは、例えば図4に示すローラー1である。このローラー1の構造および回転駆動のための連結構造は、先に説明したとおりであって、ローラー1の両端部のリング装着穴3にアウターリング11が装着される。
【0037】
アウターリング11は、環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈し、その最小内径部位がねじ切りされてネジ部21が設けられたものである。アウターリング11は最小内径部位のネジ部21がローラー1軸方向の内側となる向きに装着される。アウターリング11は、冷やしばめによりリング装着穴3に嵌合装着される。
【0038】
支持部材12は、略円板状で、中心部に軸方向に貫通したネジ孔22が設けられ、径の大きい部分と径の小さい部分が軸方向に段差をなしていて、径の大きい部分の外周に、アウターリング11の最小内径部位のネジ部21と嵌り合うネジ部23が設けられ、径の小さい部分の端面の180度対称な位置に、一対の軸方向に延びるネジ穴24が設けられている。
【0039】
挟持部材13は、略円板状で、支持部材12より径方向に大きくて、中心部に支持部材12の中心部のネジ孔22と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔25が設けられ、外周寄りの180度対称な位置に、軸方向に貫通する一対のけりピン孔26が設けられている。
【0040】
突っ張り部材14は、筒部27と底部28からなる有底円筒状で、筒部27の内径が挟持部材13の外径より大きく、底部28の中心部に、ボルト17を挿し込み可能で支持部材12および挟持部材13のそれぞれのネジ孔22,25よりも径の大きい貫通孔29が設けられている。
【0041】
ボルト17およびナット16は、支持部材12および挟持部材13のそれぞれのネジ孔22,25と嵌り合うネジ部30を有する長尺の全ネジボルトと、そのボルト17に嵌合装着可能な六角ナットであり、スラストベアリング15は、ナット16の動きを滑らかにするようボルト17に装着されるスラスト荷重用の環状平軸受である。
【0042】
これら支持部材12と、挟持部材13と、突っ張り部材14と、ボルト17と、ナット16およびスラストベアリング15は、アウターリング取り外し治具を構成する。また、最小内径部位にネジ部21を設けてなるローラー1に装着する前の交換用のアウターリング11は、支持部材12、挟持部材13、突っ張り部材14、ボルト17、ナット16およびスラストベアリング15からなるアウターリング取り外し治具とセットとなって、アウターリング交換セットを構成する。ローラー1には、このセットになったアウターリング11あるいはそれと同じ仕様のアウターリング11を装着する。そして、そのアウターリング11は、磨耗すると、次の手順でローラー1から取り外し、同じ仕様の新たなアウターリング11に交換する。
【0043】
アウターリング11をローラー1から取り外すには、支持部材12をアウターリング11にねじ込み、ボルト17にナット16を嵌め、さらにスラストベアリング15を嵌めて、そのボルト17を突っ張り部材14の貫通孔29に底部28側から挿し込み、その突っ張り部材14に挿し込んだボルト17を挟持部材13にねじ込み、さらに、挟持部材13にねじ込んだボルト17の先端部を支持部材12にねじ込んで、図3の(a)に示す状態とする。
【0044】
そして、挟持部材13を支持部材12に近づける方向に廻して、図3の(b)に示すように、挟持部材13の外縁部をアウターリングに押し当てて、アウターリングを支持部材との間に挟み込む。
【0045】
そして、このようにアウターリング11を支持部材12と挟持部材13との間に挟み込んだ状態で、突っ張り部材14をローラー1の端面にあてがって、ナット16をボルトから外す方向へ廻し、ナット16と突っ張り部材14とが突っ張り合ってボルト17を突っ張り部材14から引き出す方向へ移動させる。そうすることで、図3の(c)に示すように、支持部材12および挟持部材13ともどもアウターリング11をローラー1から引き抜く。
【0046】
以上、支持部材12、挟持部材13、突っ張り部材14、ボルト17、ナット16およびスラストベアリング15とでアウターリング取り外し治具が構成され、アウターリング11と、支持部材12、挟持部材13、突っ張り部材14、ボルト17、ナット16およびスラストベアリング15からなるアウターリング取り外し治具とでアウターリング交換セットが構成される実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0047】
スラストベアリング15は必ずしも使用しなくてもよい。また、ナット16を使用せず、例えば、ボルト17の頭部と突っ張り部材14との間を油圧シリンダーで広げることで、支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜くようにすることもできる。この場合、ボルト17は、通常より頭部を径方向に大きくするのがよい。
【0048】
また、ボルト17の代わりに、所謂ボルトではないが、頭部に張り出し部を有するネジ棒を使用することもできる。
【0049】
また、ボルト17やネジ棒を使用しなくても、例えば、頭部に張り出し部を有する引き抜き棒を支持部材12に一体形成あるいは連結固定し、その引き抜き棒の張り出し部が挟持部材13および突っ張り部材14を通して外に出るようにして、張り出し部にレバー等を引っ掛け、突っ張り部材を支えとして梃子の原理で引き抜くことで、支持部材および挟持部材ともどもアウターリングを引き抜くようにすることもできる。その他、本発明は、様々な形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
11 アウターリング
12 支持部材
13 挟持部材
14 突っ張り部材
15 スラストベアリング
16 ナット
17 ボルト
21 ネジ部
22 ネジ孔
23 ネジ部
25 ネジ孔
29 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、前記駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、前記駆動軸により回転駆動されるローラーの前記駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングの交換セットであって、
前記アウターリングの最小内径部位にネジ部を設けてなる交換セット用のアウターリングと、前記アウターリングの最小内径部のネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材と、前記アウターリングを前記支持部材との間に挟み込んで保持する挟持部材と、前記ローラーの端面にあてがってアウターリングを引き抜くための突っ張りとする突っ張り部材とからなることを特徴とするアウターリング交換セット。
【請求項2】
前記アウターリングが前記支持部材と前記挟持部材との間に挟み込まれた状態で前記突っ張り部材を支えとして前記アウターリングを前記ローターから抜き取るためのボルトを備え、
前記支持部材は、略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周に前記アウターリングの最小内径部位のネジ部と嵌り合うネジ部を有し、
前記挟持部材は、略円板状で前記支持部材より径方向に大きくて中心部に前記支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有し、
前記突っ張り部材は、筒部と底部からなる有底円筒状で前記筒部の内径が前記挟持部材の外径より大きく前記底部の中心部に前記ボルトを挿し込み可能なよう前記支持部材および前記挟持部材のそれぞれのネジ孔よりも径の大きい貫通孔を有し、
前記ボルトは、前記支持部材および前記挟持部材のそれぞれのネジ孔と嵌り合うネジ部を有することを特徴とする請求項1記載のアウターリング交換セット。
【請求項3】
前記アウターリングを前記ローターから取り外す際に前記突っ張り部材とボルトヘッドとの間で廻すことにより前記突っ張り部材と突っ張りあって前記ボルトを前記突っ張り部材から引き出す方向へ移動させるよう前記ボルトに装着可能なナットと、前記ナットと前記突っ張り部材との間に介在させて前記ナットの廻動を滑らかにするよう前記ボルトに装着可能なスラストベアリングを備えることを特徴とする請求項2記載のアウターリング交換セット。
【請求項4】
駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、前記駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、前記駆動軸により回転駆動されるローラーの前記駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈し最小内径部位にネジ部を設けてなるアウターリングを前記ローラーから取り外すのに使用する治具であって、
前記アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材と、前記アウターリングを前記支持部材との間に挟み込んで保持する挟持部材と、前記ローラーの端面にあてがってアウターリングを引き抜くための突っ張りとする突っ張り部材とからなることを特徴とするアウターリング取り外し治具。
【請求項5】
前記アウターリングが前記支持部材と前記挟持部材との間に挟み込まれた状態で前記突っ張り部材を支えとして前記アウターリングを前記ローターから抜き取るためのボルトを備え、
前記支持部材は、略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周に前記アウターリングの最小内径部位のネジ部と嵌り合うネジ部を有し、
前記挟持部材は、略円板状で前記支持部材より径方向に大きくて中心部に前記支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有し、
前記突っ張り部材は、筒部と底部からなる有底円筒状で前記筒部の内径が前記挟持部材の外径より大きく前記底部の中心部に前記ボルトを挿し込み可能なよう前記支持部材および前記挟持部材のそれぞれのネジ孔よりも径の大きい貫通孔を有し、
前記ボルトは、前記支持部材および前記挟持部材のそれぞれのネジ孔と嵌り合うネジ部を有することを特徴とする請求項4記載のアウターリング取り外し治具。
【請求項6】
前記アウターリングを前記ローターから取り外す際に前記突っ張り部材とボルトヘッドとの間で廻すことにより前記突っ張り部材と突っ張り合って前記ボルトを前記突っ張り部材から引き出す方向へ移動させるよう前記ボルトに装着可能なナットと、
前記ナットと前記突っ張り部材との間に介在させて前記ナットの廻動を滑らかにするよう前記ボルトに装着可能なスラストベアリングを備えることを特徴とする請求項5記載のアウターリング取り外し治具。
【請求項7】
駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、前記駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、前記駆動軸により回転駆動されるローラーの前記駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングを前記ローラーから取り外す方法であって、
前記アウターリングの最小内径部位にネジ部を設け、
前記アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材を前記アウターリングにねじ込み、
前記支持部材をねじ込んだアウターリングを挟持部材により前記支持部材との間に挟み込んで保持し、
前記アウターリングを前記支持部材と前記挟持部材との間に挟み込んだ状態で突っ張り部材を前記ローラーの端面にあてがって前記支持部材および前記挟持部材ともども前記アウターリングを引き抜くことを特徴とするアウターリング取り外し方法。
【請求項8】
駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、前記駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、前記駆動軸により回転駆動されるローラーの前記駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングを前記ローラーから取り外す方法であって、
前記アウターリングの最小内径部位にネジ部を設け、
略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周に前記アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材を前記アウターリングにねじ込み、
前記支持部材のネジ孔と嵌り合うネジ部を有するボルトを、筒部と底部からなる有底円筒状で前記底部の中心部に貫通孔を有する突っ張り部材の前記貫通孔に底部側から挿し込み、
その突っ張り部材に挿し込んだボルトを、略円板状で前記支持部材より径方向に大きくて中心部に前記支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有する挟持部材にねじ込み、
その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を前記支持部材にねじ込み、
次いで、前記挟持部材を前記支持部材に近づける方向に廻し該挟持部材の外縁部を前記アウターリングに押し当てて該アウターリングを前記支持部材との間に挟み込み、
こうして前記アウターリングを前記支持部材と前記挟持部材との間に挟み込んだ状態で前記突っ張り部材を前記ローラーの端面にあてがって前記支持部材および前記挟持部材ともども前記アウターリングを引き抜くことを特徴とするアウターリング取り外し方法。
【請求項9】
駆動軸上の連結部に挟み込まれて回転駆動されるローラーを含む互いに平行な複数のローラーにワイヤーを順次巻き掛けて、前記駆動軸の回転によりローラー間でワイヤーを走行させ、その走行するワイヤーに被切断物を圧し付けつつワイヤーと被切断物との接触部に砥粒スラリを供給して被切断物を切断するよう構成されたワイヤソーの、前記駆動軸により回転駆動されるローラーの前記駆動軸上の連結部との当接部位に装着される環状で内周面が軸方向に非対称な部分球面状を呈するアウターリングを前記ローラーから取り外す方法であって、
前記アウターリングの最小内径部位にネジ部を設け、
略円板状で中心部に軸方向のネジ孔を有するとともに外周に前記アウターリングの最小内径部位に設けたネジ部と嵌り合うネジ部を有する支持部材を前記アウターリングにねじ込み、
前記支持部材のネジ孔と嵌り合うネジ部を有するボルトにナットを嵌め、さらにスラストベアリングを嵌めて、そのボルトを筒部と底部からなる有底円筒状で前記底部の中心部に貫通孔を有する突っ張り部材の前記貫通孔に底部側から挿し込み、
その突っ張り部材に挿し込んだボルトを、略円板状で前記支持部材より径方向に大きくて中心部に前記支持部材のネジ孔と同種類で同径且つ同ピッチの軸方向に貫通したネジ孔を有する挟持部材にねじ込み、
その挟持部材にねじ込んだボルトの先端部を前記支持部材にねじ込み、
次いで、前記挟持部材を前記支持部材に近づける方向に廻し該挟持部材の外縁部を前記アウターリングに押し当てて該アウターリングを前記支持部材との間に挟み込み、
こうして前記アウターリングを前記支持部材と前記挟持部材との間に挟み込んだ状態で前記突っ張り部材を前記ローラーの端面にあてがって、前記ナットを前記ボルトから外す方向へ廻すことにより、前記ナットが前記突っ張り部材と突っ張り合って前記ボルトを前記突っ張り部材から引き出す方向へ移動させ、前記支持部材および前記挟持部材ともども前記アウターリングを引き抜くようにしたことを特徴とするアウターリング取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−111708(P2013−111708A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260470(P2011−260470)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(394010506)
【Fターム(参考)】