説明

アクティブマトリクス基板、液晶表示パネル、アクティブマトリクス基板の検査方法

【課題】 画素構成が微細化されたアクティブマトリクス基板であっても、基板に形成された配線や表示用スイッチング素子などの電気特性の検査を、基板単体の状態でも効率的に行うことができるアクティブマトリクス基板を得ること。
【解決手段】 表示領域8に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極5と、画素電極5の配列の行方向に伸延する複数の走査線2と、画素電極5の配列の列方向に伸延する複数のデータ線3と、走査線2とデータ線3とに印加された信号に基づいて、画素電極5に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子4とを備え、走査線2およびデータ線3の少なくともいずれか一方は、複数本が検査用スイッチング素子19を介して一つの検査用パッド11、14に接続されていて、検査用スイッチング素子19のオン/オフを制御する、光が照射されることにより動作する光電素子17を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板、液晶表示パネル、およびアクティブマトリクス基板の検査方法に関し、特に、小型でかつ高精細な画像表示を行うために、画素構成を微細化された基板であっても、基板に形成された配線や画像表示用スイッチング素子などの電気特性の検査を、基板単体で効率的に行うことができるアクティブマトリクス基板、液晶表示パネル、およびアクティブマトリクス基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルなどのいわゆる平板型ディスプレイでの画像表示を行うためのアクティブマトリクス基板は、画像表示を行う表示領域に、マトリクス状に形成された画素電極と、この画素電極の配列に対応して行方向に形成された複数の走査線と、列方向に形成された複数のデータ線、さらに、個々の画素電極に対応して設けられ、走査線およびデータ線に接続されて、走査線およびデータ線に印加された信号に基づいて画素電極に所定の電圧を与える表示用スイッチング素子とが形成されている。
【0003】
このようなアクティブマトリクス基板を例えば液晶表示パネルに用いる場合は、アクティブマトリクス基板は、対向電極やカラーフィルタなどが形成された対向基板と所定間隔を置いて対向配置され、周囲をシール材により貼り合わされるとともに、二枚の基板間に液晶が封入される。さらに、両基板の外側には偏光板が貼着され、アクティブマトリクス基板上には、画像表示のための駆動回路が形成された駆動用半導体素子や、外部の回路基板と接続するためのFPCなどが接続される。ここで、形成された走査線やデータ線などの配線電極に断線や短絡があったり、表示用スイッチング素子であるTFTがリーク電流を生じたりするような、不良なアクティブマトリクス基板は、このアクティブマトリクス基板を対向基板と組み合わせる組み立て工程の前、例えば複数のアクティブマトリクス基板が形成されたマザーガラスから切り離すスクライブ工程の前に発見し、レーザ修正を行うなどして不良箇所を解消し、正常な動作状態に復元して次の工程に持ち込まないことが、製造コスト低減の上で好ましい。
【0004】
アクティブマトリクス基板の表示領域に形成された表示用スイッチング素子であるTFTが、正常に動作するか否かを検査する方法として、アクティブマトリクス基板の表示領域外の周辺領域に形成された検査パッドから、走査線、データ線を介してTFTとこれに接続された画素電極に書き込み電圧を印加して電荷を与え、一定時間経過後に画素電極に読み出し電圧を印加してこの電荷を測定するという方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、画素電極のコンデンサ機能を利用することで、アクティブマトリクス基板単体の状態で、それぞれの画素電極とこれに接続されたTFTにリーク電流が生じていないことと、測定対象の画素電極とTFTに至るまでの走査線とデータ線とに、断線や短絡が無いことを、比較的短時間で正確に検査することができる。
【0005】
また、アクティブマトリクス基板の表示領域外の周辺領域において、複数本の走査線やデータ線を、スイッチング素子としての検査用TFTを介して一つの検査用パッドに接続し、この検査用TFTのゲートに接続された検査用ゲート配線に通電することで、検査用パッドと走査線やデータ線を導通させる構成が提案されている(特許文献2参照)。この方法により、走査線またはデータ線それぞれに検査用パッドを設ける場合と比べて検査用パッドの個数を減らすことができ、一つ一つの検査用パッドの面積や検査用パッド間のピッチを大きくすることができる。
【特許文献1】特開平3−200121号公報
【特許文献2】特開2005−241988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した、表示領域の各画素電極に所定の電荷を与え、一定時間経過後にこれを読み出すという従来のアクティブマトリクス基板の検査方法では、複数の走査線およびデータ線それぞれに対して、電荷を書き込むための書き込み電圧と電荷を読み取るための読み出し電圧とを印加しなくてはならないため、走査線とデータ線それぞれに対して検査用パッドを設ける必要がある。しかし、小型化高解像度化された表示領域に配置される走査線とデータ線は、その幅が狭く、且つ、そのピッチが小さくなっている。特に、周辺領域に画像表示のための駆動用半導体素子を搭載する、いわゆるCOG(Chip On Glass)タイプのアクティブマトリクス基板では、周辺領域における検査用パッドを配置するスペースが狭くなるため、検査用パッドの面積も配置ピッチも、ともに小さくせざるを得ない。
【0007】
このような、面積とピッチが狭い検査用パッドでの検査を行うためには、検査用プローブとして先端部の細いものを用いなくてはならず、プローブピン自体が高価となり、また、必然的に強度が低下するため検査用プローブの寿命が短くなり、コスト高を招く。さらに、検査用パッドに正確に位置決めしてプローブピンを当てなくてはならず、また、検査用パッドと、プローブピンとの間に接触抵抗が生じないように所定の押圧力も必要となるため、検査効率も低下する。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の方法では、走査線やデータ線のグループごとに共通な検査用ゲート配線を用いて、検査用TFTのON/OFFを制御しているため、測定対象の走査線やゲート線を個別に特定することはできない。検査用パッドと測定対象の走査線やデータ線との接続を個別に制御するためには、それぞれの走査線やデータ線に接続された検査用TFTの数と同じ数の検査用ゲート配線が必要となるなど、スイッチング素子である検査用TFTを個別に制御できる制御回路が必要となる。
【0009】
検査用TFTを個別に制御するために、配線の数を増やしたり、制御回路を形成したりするとなると、アクティブマトリクス基板上の回路構成が複雑となるとともに、検査回路や配線の配置のための所定の面積が必要となる。検査回路や検査のための配線が形成される周辺領域の面積が大きくなることは、アクティブマトリクス基板の面積に対する表示領域の面積の比率を低下させることとなり、いわゆる挟額縁化の要請に反することになる。また、検査用のスイッチング素子としての検査用TFTを、検査用ゲート配線に通電することで電気的に切り替える場合には、回路特性上の遅延や電圧降下を招き、検査効率や検査精度の低下に繋がる恐れもある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題に鑑み、小型化、高解像度化などによって画素構成が微細化されたアクティブマトリクス基板であっても、基板に形成された配線や表示用スイッチング素子などの電気特性の検査を、基板単体の状態でも効率的に行うことができるアクティブマトリクス基板、液晶表示パネル、およびアクティブマトリクス基板の検査方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のアクティブマトリクス基板は、表示領域に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極と、前記画素電極の配列の行方向に伸延する複数の走査線と、前記画素電極の配列の列方向に伸延する複数のデータ線と、前記画素電極にそれぞれ接続され、前記走査線と前記データ線とに印加された信号に基づいて、前記画素電極に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子とを備え、前記走査線および前記データ線の少なくともいずれか一方は、前記表示領域外の周辺領域において、複数本が検査用スイッチング素子を介して一つの検査用パッドに接続されていて、前記周辺領域に、前記検査用スイッチング素子のオン/オフを制御する、光が照射されることにより動作する光電素子を有していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる液晶表示パネルは、本発明にかかるアクティブマトリクス基板と、対向基板との間に液晶層を備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のアクティブマトリクス基板の検査方法は、表示領域に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極と、前記画素電極の配列の行方向に伸延する複数の走査線と、前記画素電極の配列の列方向に伸延する複数のデータ線と、前記画素電極にそれぞれ接続され、前記走査線と前記データ線とに印加された信号に基づいて、前記画素電極に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子とを備え、前記表示領域外の周辺領域に形成された検査用パッドに、複数本の前記走査線または前記データ線が検査用スイッチング素子を介して接続されているアクティブマトリクス基板において、前記周辺領域に形成された光電素子に光を照射して前記検査用スイッチング素子のオン/オフを制御し、前記検査用パッドに接続される測定対象の前記表示用スイッチング素子を順次切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画素構成が微細化された基板であっても、基板に形成された配線や画像表示用スイッチング素子などの電気特性の検査を、基板単体で効率的に行うことができるアクティブマトリクス基板、液晶表示パネル、およびアクティブマトリクス基板の検査方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかるアクティブマトリクス基板は、表示領域に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極と、前記画素電極の配列の行方向に伸延する複数の走査線と、前記画素電極の配列の列方向に伸延する複数のデータ線と、前記画素電極にそれぞれ接続され、前記走査線と前記データ線とに印加された信号に基づいて、前記画素電極に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子とを備え、前記走査線および前記データ線の少なくともいずれか一方は、前記表示領域外の周辺領域において、複数本が検査用スイッチング素子を介して一つの検査用パッドに接続されていて、前記周辺領域に、前記検査用スイッチング素子のオン/オフを制御する、光が照射されることにより動作する光電素子を有している。
【0016】
この構成によれば、走査線および前記データ線の少なくともいずれか一方が、複数本が検査用スイッチング素子を介して一つの検査用パッドに接続されているため、測定対象の走査線またはデータ線の本数よりも検査用パッドの個数が少なくなる。このため、検査用パッドの面積とピッチとを大きくすることによって、検査用プローブのプローブピンを太くすることができ、検査用パッドと検査用プローブとのアライメントの精度が緩和される。また、検査用スイッチング素子のON/OFFの制御を、光が照射されることにより動作する光電素子を用いて行うため、配線の引き回しを含めた回路構成が簡素化でき、また、回路特性上の遅延や電圧降下などの影響を回避することができる。
【0017】
上記構成において、光が照射された際に前記光電素子が生成する出力電圧を、前記検査用スイッチング素子を導通させるためのオン電圧として用いることが好ましい。このようにすることで、オン電圧を供給するための電源を別途設ける必要が無くなり、回路構成の簡素化や検査回路に必要な面積を低減することができる。
【0018】
また、光が照射された際に前記光電素子が導通することで、前記検査用スイッチング素子に制御用電源電圧をオン電圧として印加することが好ましい。このようにすることで、光の照射による検査用スイッチング素子のON/OFF制御を、簡易かつ確実に行うことができる。
【0019】
さらに、前記周辺領域に、前記表示領域で表示を行うための駆動用半導体素子を搭載する素子搭載領域を有し、前記光電素子が前記素子搭載領域に形成されていることが好ましい。このようにすることで、非表示領域である周辺領域での回路配置上の無駄をなくすことができる。
【0020】
また、本発明にかかる液晶表示パネルは、本発明にかかるアクティブマトリクス基板と、対向基板との間に液晶層を備える。
【0021】
この構成とすることで、基板状態での検査が容易に実施できるアクティブマトリクス基板を用いて、不良を早期に発見できる製造効率の高い液晶表示パネルを得ることができる。
【0022】
さらに、本発明のアクティブマトリクス基板の検査方法は、表示領域に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極と、前記画素電極の配列の行方向に伸延する複数の走査線と、前記画素電極の配列の列方向に伸延する複数のデータ線と、前記画素電極にそれぞれ接続され、前記走査線と前記データ線とに印加された信号に基づいて、前記画素電極に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子とを備え、前記表示領域外の周辺領域に形成された検査用パッドに、複数本の前記走査線または前記データ線が検査用スイッチング素子を介して接続されているアクティブマトリクス基板において、 前記周辺領域に形成された光電素子に光を照射して前記検査用スイッチング素子のオン/オフを制御し、前記検査用パッドに接続される測定対象の前記表示用スイッチング素子を順次切り替える。
【0023】
このようにすることで、画素構成が微細化された基板であっても、基板に形成された配線や画像表示用スイッチング素子などの電気特性の検査を、基板単体で効率的に行うことのできるアクティブマトリクス基板の検査方法を実現できる。
【0024】
この場合において、光が照射された際に前記光電素子が生成する出力電圧を、前記検査用スイッチング素子を導通させるためのオン電圧として用いることができ、また、光が照射された際に、前記光電素子が導通することで、前記検査用スイッチング素子に制御用電源電圧をオン電圧として印加することができる。
【0025】
さらに、前記光電素子への光の照射が、光ファイバを介して行われることが好ましい。光ファイバを用いることで、アクティブマトリクス基板上の所定の場所に、正確に光照射をすることができ、検査用スイッチング素子のON/OFF制御を確実に行うことができる。
【0026】
このとき、前記光ファイバの前記光電素子側の先端部が、凸の曲面形状であることが好ましい。先端部を凸の曲面形状とすることでレンズ効果が生まれ、光ファイバから射出される光を集光することができるので、照射光を正確に所定の光電素子に当てることができる。
【0027】
以下、本発明のアクティブマトリクス基板と液晶表示パネル、アクティブマトリクス基板の検査方法の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明にかかるアクティブマトリクス基板を、表示用スイッチング素子と検査用スイッチング素子をともに薄膜トランジスタ(TFT)で構成した例について、説明する。しかし、これは本発明の構成を限定するものではなく、スイッチング素子としては、TFT以外にもメタルインシュレーターメタル(MIM)構造とするなど、他のスイッチング素子の構造を用いることができる。また、以下の説明に用いる全図面について、図面を見やすくするために各構成要素の寸法の比率などは適宜異ならせて示している。
【0028】
図1は、本発明の実施形態にかかるアクティブマトリクス基板の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、本実施形態にかかるアクティブマトリクス基板1は、画像表示のための電圧が印加される複数の画素電極5が、行方向および列方向のマトリクス状に配列されていて、表示領域8が形成されている。
【0029】
また、表示領域8には、画素電極5の形成する行の数に見合った数の走査線2(「ゲート線」とも称される。)が、画素電極5の行方向に伸延して配置され、画素電極5の形成する列の数に見合った数のデータ線3(「ソース線」とも称される。)が、画素電極5の列方向に伸延して配置されている。これら複数の走査線2と複数のデータ線3とは、それぞれ直交して配置されていることになる。
【0030】
それぞれの走査線2とデータ線3とのそれぞれの交点には、表示用スイッチング素子としての表示用TFT4が配置され、この表示用TFT4は、それぞれ対応する画素電極5に接続されるとともに、対応する走査線2とデータ線3に接続されている。
【0031】
アクティブマトリクス基板1では、走査線2が順次選択走査されるとともに、データ線3から対応する画素電極5の電位が与えられ、このように走査線2とデータ線3とに印加された信号に基づいて、画素電極5が所定の電位となることで画像表示が行われる。例えば液晶表示パネルの場合であれば、アクティブマトリクス基板に対向して配置される対向基板上に通常設けられる対向電極の電位と、アクティブマトリクス基板1上の画素電極5に与えられた電位との電位差によって、これらの電極に挟まれている液晶分子の配向を変化させて、液晶層を透過する透過光量を変化させる。このため、走査線とデータ線とに囲まれた、画素電極5と表示用スイッチング素子としての表示用TFT4とが配置されている領域が、表示画像における一つの画素7を形成することとなる。
【0032】
なお、アクティブマトリクス基板1が、液晶表示パネルに用いられる場合を含め、表示用スイッチング素子としての表示用TFT4を安定して動作させ、また、画素電極5の電位を安定させるために、それぞれの画素7には、画素電極5に接続された付加容量6が形成される。
【0033】
走査線2およびデータ線3は、図1に示すように、表示領域8の外側の周辺領域15に引き出されている。周辺領域15に引き出された走査線2は、周辺領域15に形成された走査回路9を介して、走査線2用の引出し配線10を経て走査線2の制御用パッド11に接続されている。また、周辺領域15に引き出されたデータ線3は、周辺領域15に形成された検査用スイッチング部12を介して、データ線3用の検査用配線13を経てデータ線3の検査用パッド14に接続されている。
【0034】
データ線3用の検査用スイッチング部12は、複数本毎、例えば8本から16本程度のデータ線3を、切換制御できるスイッチング回路を介して、対応する検査用パッド14と接続するものである。例えば、対角画面サイズが5〜10cm程度の携帯電話用VGAモニタの場合、画面の水平(横)方向、すなわち表示領域を形成する画素7の行方向には、480画素、カラー表示のためのRGBの各サブピクセルでカウントすると、1440個の微細な画素7が整列しており、この画素7に相応する数のデータ線3が設けられている。このため、データ線3の配列ピッチは50μm程度と極めて狭いが、本実施形態のように例えば8〜16本毎に、データ線3を検査用スイッチング部12のスイッチング回路で束ね、データ線3の数の8〜16分の1の数の検査用パッド14に集約した形で接続することにより、検査用パッド14の配列ピッチとして0.5mm程度が確保できるので、検査用パッド14に接触させる検査用プローブのプローブピンの太さが十分に確保できる。
【0035】
なお、アクティブマトリクス基板1上には、アクティブマトリクス基板1が例えば液晶表示パネルとして完成した後に、これを動作させる際に用いられる駆動用の配線や、駆動用論理回路などの回路素子が搭載される回路端子、さらには、アクティブマトリクス基板1と外部の回路基板とを接続するための、電極端子部などが形成されるが、図1では全てを図示してはいない。また、アクティブマトリクス基板1における表示領域8の大きさや位置についても、正確に示されたものではない。
【0036】
次に、図1に示した、データ線3の検査用スイッチング部12についての詳細な説明を図2にて行う。なお、本実施形態において、走査線2を走査する走査回路9は、論理回路により自動走査するものであるため、走査線2にはデータ線3に対して設けた、検査用スイッチング部12を設けた構成とはしていない。しかし、例えば走査線2の走査回路9が自動走査機能を有さない場合などにおいて、走査線2の検査用に、データ線3用として下記に示す、検査用スイッチング部12を同様に設ける構成としても構わない。
【0037】
図2に示すように、データ線3用の検査用スイッチング部12では、図中左端部に斜線部として示す表示領域8から引き出された複数のデータ線3が、それぞれ検査用スイッチング素子である検査用TFT19を介して接続されて束ねられ、一本のデータ線3用の検査用配線13を経て1つのデータ線3用の検査用パッド14に接続される。なお、図2では図面が煩雑となることを避けるために、検査用TFT19として、19−1,19−2,19−3,19−4の4つのみが示されているが、上記したように本実施形態に示す検査用スイッチング部12では、8〜16本のデータ線3が一つの検査用パッド14に接続されるものであるから、検査用TFT19の個数も8〜16個となる。なお、一つの検査用パッド14に検査用スイッチング素子を介して束ねられるデータ線3の本数は、画素のピッチに相当するデータ線3の配線のピッチと全体の本数に応じて、適宜定められる。
【0038】
検査用スイッチング回路12で用いられる検査用スイッチング素子としては、表示用スイッチング素子の形成と同時に同じ工程で形成できることから、表示用スイッチング素子である表示用TFT4と同じ構成の検査用TFT19が用いられることが多い。しかし、本発明における検査用スイッチング素子はこれに限られるものではなく、光電素子に光を照射することでその接続/非接続が切り替えることができるスイッチング素子であれば、他のスイッチング素子を使用することができる。
【0039】
データ線3用の検査用スイッチング部12の光電素子形成部16には、検査用TFT19のオン/オフを制御する光電素子17が配置されている。図2に示すように、それぞれの検査用TFT19−1〜19−4に対応して、光電素子17−1〜17−4が設けられていて、光電素子17−1〜17−4の出力端が、制御配線18を介してそれぞれの検査用TFT19−1〜19−4のゲートに接続されている。検査用スイッチング部12において、1つの検査用パッド14に接続される複数本(例えば16本)のデータ線3それぞれの検査用TFT19のオン/オフを、光電素子17を個別に制御して切り替えるため、一つの検査用パッド14に接続される検査用TFT19の個数(例えば16個)と、同じ数(例えば16個)の光電素子17が設けられることになる。なお、図2においては、検査用TFT19と同じく、光電素子17も4個のみを例示している。
【0040】
このように、検査用スイッチング部12において、複数本のデータ線3のひとまとまりのグループが、検査用TFT19を介して1つの検査用パッド14に束ねられることになるため、本実施形態において、アクティブマトリクス基板1に配置されるデータ線3の検査用パッド14の数は、例えば、データ線3の総数を、検査用スイッチング部12に設けられた光電素子17の数で割った商の数とすると効率がよい。なお、図2の説明では、一つの検査パッド14に束ねられる検査用TFT19として、連続して配置されたデータ線3に対応するもので構成される例を示したが、配線の仕方を工夫することで数個跳びの位置関係の検査用TFT19を、一つの検査用パッド14に束ねる構成にしても構わない。
【0041】
なお、光電素子17としては、表示用または検査用のスイッチング素子であるTFTと同じ半導体工程で形成することができる半導体素子としてのフォトダイオードや、太陽電池などを用いることが好ましい。但し、本発明の光電素子17がこれら半導体素子としての光電素子に限定されるものではない。
【0042】
制御用電源20は、それぞれの光電素子17に光照射口から光22が照射されることにより、制御用TFT19のゲートに所定の電圧が印加されるための電源である。なお、制御用電源20は、回路素子としての電圧源が設けられる必要はなく、検査時に所定の制御用電圧が印加されればよい。このため、制御用電源20を電圧印加用のパッドとして形成し、検査時に電圧印加用のプローブを接触させることにより所定の電圧を与える方法や、検査時に制御用電圧以外の必要のために印加される電圧を、アクティブマトリクス基板1上に形成された接続配線を用いて印加する方法などが適用できる。
【0043】
なお、各データ線3の、表示領域8と検査用TFT19との間には、駆動用半導体素子としてのICを搭載するためのCOGパッド21が形成されている。後述するように、アクティブマトリクス基板1上の周辺領域15の面積をなるべく小さくすることや、検査用スイッチング部12を搭載される半導体素子で覆い隠すことができるなどの観点から、検査用スイッチング部12は駆動用半導体が搭載される領域である素子搭載領域に形成することが好ましい。この場合には、図2に示すように、データ線3のCOGパッド21に対して表示領域8とは反対側の延長される部分に、検査用TFT19が配置される。
【0044】
次に、光電素子17を用いて、検査用TFT19のオン/オフを制御する具体的方法について図3および図4を用いて説明する。
【0045】
図3は、光電素子17を用いて検査用TFT19のゲートに、所定のゲート電圧を印加するための第1の具体例を示す図である。図3に示す第1の具体例では、光電素子17として、太陽電池などの、光が照射されたときに一定の起電力で電圧を生じる素子を用いている。
【0046】
図3(a)は、光電素子17として光起電力機能を有するデバイス(例えば、太陽電池)を用いた場合の、検査用スイッチング部12での回路構成を示すブロック図である。図3(a)に示すように、データ線3のCOGパッド21とデータ線3の検査用パッド14との間に設けられた検査用TFT19のゲートに、光電素子17の出力端が接続され、光電素子17に光照射口から光22が照射されたとき、検査用TFT19のゲートには、光電素子17が生じた起電力と、制御用電源20の電位E0との合計の電位が印加される。
【0047】
検査用TFT19のゲートと、グランド電位との間には、検査をするために表示領域8内の各画素電極5に与えた電荷を除去する際の、電荷抜き回路23が設けられている。
【0048】
図3(b)は、光電素子17における起電力を合成する際のイメージを示している。図3(a)に示すように、図3に示す第1の具体例では、検査用TFT19のゲートのオン電圧を、光電素子17の起電力により得ている。このため、光電素子17の起電力は、検査用TFT19のオン電圧とオフ電圧との電圧差以上の一定以上の値が必要となる。光電素子17の、1つのPN接合部での光電変換では検査用TFT19のオン電圧とオフ電圧との差以上の起電力が得られない場合には、図3(b)に示すように複数のPN接合を光電素子17内に形成することにより、光電素子17の起電力を一定以上のものとすることができる。図3(b)で示すのは、一つのPN接合での起電力がEsである場合に、これを3つ直列にして用いた場合の例である。
【0049】
図3(c)に、検査用TFT19のオン電圧特性を示す。図3(c)に示すように、検査用TFT19のゲートに制御電源20の電位E0が印加されている場合、検査用TFT19はオフとなる。また、光電素子17に光が照射されている場合には、制御電源20の電位E0に加えて、光電素子17のPN接合による起電力Esの個数n分の起電力nEsが検査用TFT19のゲートに印加される。この合成電位「E0+nEs」が検査用TFT19のオン電圧より高いとなる。
【0050】
図4は、光電素子17を用いて、検査用TFT19のオン/オフを制御する具体的方法として、光電素子17を用いて検査用TFT19のゲートに所定のゲート電圧を印加するための第2の具体例を示す図である。
【0051】
図4に示す第2の具体例では、光電素子17は光スイッチング機能を持った回路素子であり、光が照射されることにより自体の導通と非導通の状態が変化する。そして、光を照射して光電素子17を導通させることで、異なる電圧を供給する複数の制御用電源20からの電位が検査用TFT19のゲートに印加され、これによって検査用TFT19のオン/オフが制御される。
【0052】
図4(a)は、第2の具体例として、光電素子17としてバイポーラ型の光スイッチング回路を用いた場合の回路構成図を示す。図4(a)に示すように、検査用TFT19のゲートは、第1の抵抗R0を介して第1の制御電圧20aと、第2の抵抗R1を介して第2の制御電圧20bと接続されている。この場合に光電素子17a、17bは、バイポーラ型の動作をなすよう配設されたフォトダイオードであり、光22が照射されると、R0と並列に接続されたフォトダイオード17bが非導通、R1と並列に接続されたフォトダイオード17aが導通となり、光22が照射されない状態では、フォトダイオード17aが導通して、フォトダイオード17bが非導通となる。このようにすることで、R0とR1との値が十分高い場合には、光電素子17に光22が照射されている場合には、検査用TFT19のゲート電位はE1となり、光電素子17に光22が照射されていない場合には、検査用TFT19のゲート電位はE0となる。
【0053】
図4(c)に検査用TFTのオン電圧特性を示すように、ゲート電位がE1のとき、検査用TFT19がオンとなり、ゲート電位がE0の時、検査用TFT19がオフとなるようにすることで、光電素子17への光の照射によって、検査用TFT19のオン/オフを制御することができる。
【0054】
なお、図4(b)は、光電素子17であるフォトダイオードが、図4(a)に示したようなバイポーラ型ではなくモノタイプの回路構成をなすように用いた場合の回路構成を示す。光電素子17としてのフォトダイオードを、モノタイプの回路構成をなすように用いた場合には、フォトダイオード17aのみが第2の抵抗R1と並列に接続されることになるため、フォトダイオード17aに光22が照射された場合には、第2の抵抗R1の両端が導通してR1=0Ωとなったのと等価となる。この場合には、検査用TFT19のゲートにはオン電圧であるE1が印加されるため、検査用TFT19が導通する。
【0055】
一方、フォトダイオード17aに光22が照射されていない場合には、検査用TFT19のゲートに印加される電圧は、オン電圧であるE1から、R1/(R1+R0)*E0だけ低下することとなる。従って、この時の検査用TFT19のゲート電位、[E1−(R1/(R1+R0)*E0)]が検査用TFT19の閾値電圧よりも低くなるように設定することで、光電素子17に光22が照射されない場合には、検査用TFT19をオフにすることができる。
【0056】
なお、上記したとおり、制御電源20は、スイッチング制御部内に回路素子としての電圧源を設けることを必須とするものではない。したがって、図4で示した第2の実施例の場合にように、2つの制御電位E0およびE1を用いる場合にも、それぞれの電圧を供給するためのパッドを形成して供給することや、アクティブマトリクス基板の検査時に制御電位として印加される以外の所定の電位を、回路配線によって供給することができる。
【0057】
次に、本発明のアクティブマトリクス基板の検査方法の一例について説明する。
【0058】
本発明のアクティブマトリクス基板の検査方法は、表示領域外の周辺領域に形成された光電素子に光を照射することにより、データ線や走査線などの計測対象の配線に形成された検査用スイッチング素子のオン/オフを制御して、検査用パッドと接続される表示領域の各画素に形成された表示用スイッチング素子を順次切り替えることに特徴を有する。
【0059】
このため、それぞれの配線に検査用パッドを設けることなく、それぞれの配線に検査用スイッチング素子を介して束ねられた共通の検査用パッドを用いながら、検査目的とする画素を動作させる走査線とデータ線を選択することができ、選択された走査線とデータ線が接続された画素に形成された表示用スイッチング素子を動作させることができる。その結果として、所定の画素に形成された表示用スイッチング素子と画素電極、その所定の画素に至る走査線とデータ線に、断線や短絡、その他の電気特性不良となる欠陥が生じていないかを、検査パットを通じて判断することができる。
【0060】
より具体的に、検査方法としてたとえば、走査線2、データ線3を介して表示用スイッチング素子4とこれに接続された画素電極5、および、付加容量6に書き込み電圧を印加して電荷を蓄え、一定時間経過後に画素電極に読み出し電圧を印加してこの電荷を測定するという方法を行う場合について説明する。
【0061】
この方法を用いる場合、測定対象の画素7の表示用スイッチング素子4に所定のタイミングで所定の電位が印加されるよう、走査線2の制御用パッド11、データ線3の検査用パッド14に測定用プローブを接触させて、所定の走査線2が動作するよう走査回路9を操作すると共に、データ線3に印加する電圧をそれぞれ印加すると同時に、図1および図2に示した検査用スイッチング部12の光電素子形成部16に形成された光電素子17のうち、測定対象である画素7の表示用スイッチング素子4に接続されているデータ線3と検査用パッド14の接続を制御する光電素子17に光を照射する。
【0062】
このように、所定の光電素子17に光を照射することで、検査用パッド14に印加された検査用の電圧が、測定対象の画素7に接続されたデータ線3に印加され、測定対象の画素7の表示用スイッチング素子4を介して画素電極5、および、付加容量6にその測定電圧が印加される。このようにして、制御用パッド11、および、検査用パッド14と測定対象の画素7の表示用スイッチング素子4や画素電極5、付加容量6との接続を確保した状態で、所定電圧の印加と、一定時間経過後に残留している電荷を測定することができる。このため、測定対象の画素7の表示用スイッチング素子4と画素電極5と付加容量6、および、測定対象の画素7に接続される走査線2とデータ線3との検査を、検査用パッド14の数に相当する数の画素7について、同時に行うことができる。
【0063】
最初に同時に検査する、一まとまりの測定対象の画素7についての検査が終了した場合には、光を照射していた光電素子17への光照射を停止し、引き続き、光電素子形成部16に形成された他の光電素子17に光を照射することで、次の測定対象の画素7に接続された他のデータ線3と検査用パッド14との接続を確保し、この画素7についても同じ測定手順を繰り返すことで、その電気的特性の検査を行うことができる。この操作を繰り返すことで、すなわち、光電素子形成部16における光を照射する光電素子17を順次切り替えることで、測定対象の画素7を順次切り替えることができ、最終的には表示領域8のすべての画素7についての検査を行うことができる。
【0064】
なお、上記したとおり、一つの検査用パッド14には、たとえば8〜16本のデータ線3が検査用スイッチング素子19を介して束ねられ、接続されている。また、一つのアクティブマトリクス基板1は、たとえばデータ線3の検査用パッド14を30個程度にまで集約された形で備えられている。このため、30本の検査用プローブピンが形成された検査用プローブを用いて、これを一枚のアクティブマトリクス基板1のすべてのデータ線3の検査用パッド14に同時に押し当て、その状態で、それぞれの検査用パッド14に接続されたデータ線3を切り替えるための光電素子17に順次光を照射することで検査用パッド14とデータ線3との接続を検査用スイッチング素子19によって切換えながら、すべてのデータ線3に対する検査をおこなうことができる。
【0065】
上記した、画素7に形成された表示用スイッチング素子4と画素電極5、および、付加容量6に所定の電圧を印加し、一定時間経過後に蓄えられた電荷を測定する方法によれば、対向基板などを貼り合わせる前のアクティブマトリクス基板1単体での検査が行える。このため、複数のアクティブマトリクス基板1がパターンとして形成されたマザーガラスに対して、スクライブ工程前の検査を行うことができ、不良の基板を早期に発見、修正できることで歩留まりを向上でき、製造コストを低減するという点で良好である。
【0066】
なお、本発明のアクティブマトリクス基板の検査方法は、データ線側、或いは、走査線およびデータ線の両側に形成された検査用スイッチング素子のオン/オフを、光電素子への光の照射によって切り替え制御する。このため、アクティブマトリクス基板上の回路配線や回路素子の良否判定は、上記例示した方法に限られるものではなく、また、アクティブマトリクス基板単体での検査方法に限定されるものではない。このため、たとえばアクティブマトリクス基板が液晶表示パネルに用いる場合であり、対向基板を貼り合わせた後に対向基板に形成された対向電極との静電容量を測定する検査方法においても、本発明のアクティブマトリクス基板の検査方法を適用することができる。
【0067】
検査用スイッチング部9,12の光電素子形成部16に形成された光電素子17に光を照射する場合には、光ファイバを用いることが好適である。光ファイバを用いることで、光源からの光を、効率よく、正確に照射すべき光電素子17に伝達させることができるからである。また、図2にも示したように、光電素子形成部16に光電素子17が並んで形成されている場合には、形成された光電素子17と同じ数の光ファイバを束ねて、かつ、光ファイバの光照射部と光電素子形成部の光電素子17の配置とを対応させて、同じ形状とすることで、光ファイバの束を測定プローブのようにアライメントさせることで、それぞれの光電素子17に正確に光を照射する準備を整えることができる。その上で、順次光ファイバの入力端に対向させた光源をオンにして、光ファイバに光を照射することで、光電素子17に順次光を照射することができる。
【0068】
なお、隣り合う光電素子17同士が近接して配置されている場合には、光ファイバからの照射光を正確に所望する光電素子17にのみ照射することが重要となる。このため、たとえば、光ファイバの光源素子17に対向する側の端部を適切な凸の曲面形状とすることでレンズ効果を得て、光ファイバからの照射光を狭い範囲に集光することが好ましい。また、上記したように、複数本の光ファイバを束にして一度に複数の光電素子17と対向配置させる場合には、光ファイバの周囲を筒状に囲み、その筒状部の先端を光電素子17の周囲のアクティブマトリクス基板1に押しつけることができるようにすることで、光ファイバからの照射光が、所望する光電素子17以外の光電素子17に照射されて誤動作が生じることを防止することができる。
【0069】
なお、光電素子17に照射する光の光源としては、半導体レーザなどの光源を用いることが好ましい。レーザ光は照射光の拡散が少ないため、所望の光電素子により正確に光を照射することができるからである。もちろん、レーザ光と光ファイバとの組み合わせであれば、いっそう照射光の拡散を押さえることができる。
【0070】
また、照射光の波長については特に制限はなく、光源としての実現のしやすさと、光が照射される側の光電素子の特性を考慮した上で、適宜選択されればよい。たとえば、フォトダイオードとしての感度は長波長側の赤色光の方が短波長側の青色光よりも高いが、太陽電池として用いる場合の起電力の高さ、すなわち光電変換率を考慮すれば、短波長の青色光の方が赤色光よりも好ましい。或いは、アクティブマトリクス基板1に組み込む光電素子を、感光デバイスとして長波長側でよりよく反応するデバイスと短波長側でよりよく反応するデバイスを随意取り混ぜて配置して、照射する光の波長を切換ることで、検査制御用回路の動作を制御してもよい。したがって、図3および図4を用いて説明したような、光電素子への光照射によって検査用TFTのオン/オフを制御する具体的方法に応じて、照射光の色を検討することになる。
【0071】
次に、本発明のアクティブマトリクス基板における、具体的な基板上の配置構成の例について、図5および図6を用いて説明する。なお、図5および図6は、あくまでも具体的な配置例を示すものに過ぎず、本発明のアクティブマトリクス基板上の配置構成を限定するものではない。
【0072】
図5は、アクティブマトリクス基板1上に駆動回路としての駆動用半導体素子を搭載するいわゆるCOG(Chip On Glass)タイプのアクティブマトリクス基板での配置構成を示す概略図である。
【0073】
図5に示すように、アクティブマトリクス基板1の周辺領域15のうちの一方の基板端部部分、すなわち図5における上側部分には、駆動用半導体素子が搭載される素子搭載領域32が配置される。この素子搭載領域32と表示領域8との間には、駆動用半導体素子の各端子をそれぞれのデータ線3に接続するための、COGパット21が形成されている。素子搭載領域32のさらに外側のアクティブマトリクス基板の端部には、図示しない外部の回路基板との接続のための電極端子部33が形成される。実駆動時には、電極端子部33から入力された画像信号は、図示しない駆動用の半導体素子を介して、COGパッド21へ伝達され、画素7に書き込まれる。表示領域8は、素子搭載領域32を除くアクティブマトリクス基板1のほぼ中央部分に配置される。走査線2を順次選択駆動するための回路素子が配置される走査回路9が、走査線2の制御用パッド11から入力される信号によって制御される。また、アクティブマトリクス基板1が、液晶表示パネルとして完成した後、駆動用の半導体が実装される前段階での点灯検査を行う際の検査電源用パッド34が、接続用の電極端子部33の横に引き出されて形成されている。
【0074】
このようなCOGタイプのアクティブマトリクス基板1では、図5に示すように、データ線3用の検査用スイッチング部12、検査用パッド14を素子搭載領域32に形成することで、データ線3の本数に対する検査用パッド14のパッド数が削減される。このため、データ線3の本数と同数形成されるCOGパッド21と比較して、検査用パッド14の個数が減ったことに対応して、検査に用いられるプローブのピン数の削減に加え、端子間ピッチの広い検査用プローブを用いることができ、曲げ強度と耐摩耗性のより優れたプローブ用針の使用が可能となる。
【0075】
また、アクティブマトリクス基板1に、駆動用半導体素子が実装された後には、検査用スイッチング部12に形成された光電素子17が駆動用半導体素子やこれを固着するためのシリコン樹脂等によって覆われるため、光電素子17に不所望な光が入射してしまって誤動作するような事態を効果的に回避できる。
【0076】
次に、図6は、データ線3の検査用パッド14、検査電源用パッド34、検査用スイッチング回路12を、駆動用の半導体素子搭載領域32とは反対側の基板上位置に設置した場合の例を示した。この場合には、駆動用の半導体を搭載して表示させるCOG型表示装置への適用以外に、アクティブマトリクス基板1にデジタル信号が直接印加されて画像表示を行うデジタル信号入力タイプのアクティブマトリクス基板1における検査への適用も可能である。また、図6に示した例の配置とすることで、データ線3の検査用配線や検査用の回路構成を、アクティブマトリクス基板1の実駆動表示に直接関係しない配線系とすることができ、マザーガラスからアクティブマトリクス基板1を分断する工程時に、検査用パッド14、検査電源用パッド34、検査用スイッチング回路12を切り離しても構わない。
【0077】
以上、本発明のアクティブマトリクス基板についての実施の形態について、アクティブマトリクス基板を液晶表示パネルに用いる場合を例示して説明してきた。
【0078】
この説明において、検査時の電圧印加時の制御方法を、走査線側については、論理回路による制御する構成を示し、データ線側については、検査用スイッチング部を設けて複数のデータ線を検査用スイッチング素子を介して一つの検査用パッドに接続し、これを光電素子により切り替えて制御するという構成について示した。しかし、本発明のアクティブマトリクス基板はこれに限られるものではなく、走査線側にのみ、検査用スイッチング部を設ける構成や、走査線とデータ線の双方に検査用スイッチング部を設ける構成とすることも可能である。
【0079】
また、本発明のアクティブマトリクス基板の用途は液晶表示パネルに限られるものではなく、有機、無機のELディスプレイやプラズマディスプレイ、冷陰極ディスプレイ、平面電解型陰極を用いた電界放射型ディスプレイなど、平板状の表示ディスプレイの基板を効率的に検査する手段として広く用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、画素構成が微細化されたアクティブマトリクス基板であっても、基板に形成された配線や表示用スイッチング素子などの電気特性の検査を、基板単体の状態でも効率的に行うことができるアクティブマトリクス基板、およびその検査方法として、また、特にこのアクティブマトリクス基板を用いた液晶表示パネルとして、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態としてのアクティブマトリクス基板の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態としてのアクティブマトリクス基板におけるデータ線用の検査用スイッチ部の構成を示す概略構成図である。
【図3】光電素子を用いて、検査用TFTのオン/オフを制御する第1の具体例を示す図である。(a)は回路構成の例を、(b)は光電素子の起電力を向上させる構成例を、(c)は検査用TFTのオン電圧特性を示す。
【図4】光電素子を用いて、検査用TFTのオン/オフを制御する第2の具体例を示す図である。(a)は回路構成の第1の例を、(b)は回路構成の第1の例を、(c)は検査用TFTのオン電圧特性を示す。
【図5】本発明のアクティブマトリクス基板上の配置例を示す図である。
【図6】本発明のアクティブマトリクス基板上の他の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
1 アクティブマトリクス基板
2 走査線
3 データ線
4 表示用スイッチング素子(表示用TFT)
5 画素電極
7 画素
8 表示領域
11、14 検査用パッド
17 光電素子
19 検査用スイッチング素子(検査用TFT)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極と、
前記画素電極の配列の行方向に伸延する複数の走査線と、
前記画素電極の配列の列方向に伸延する複数のデータ線と、
前記画素電極にそれぞれ接続され、前記走査線と前記データ線とに印加された信号に基づいて、前記画素電極に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子とを備え、
前記走査線および前記データ線の少なくともいずれか一方は、前記表示領域外の周辺領域において、複数本が検査用スイッチング素子を介して一つの検査用パッドに接続されていて、
前記周辺領域に、前記検査用スイッチング素子のオン/オフを制御する、光が照射されることにより動作する光電素子を有していることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項2】
光が照射された際に前記光電素子が生成する出力電圧を、前記検査用スイッチング素子を導通させるためのオン電圧として用いる請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
光が照射された際に前記光電素子が導通することで、前記検査用スイッチング素子に制御用電源電圧をオン電圧として印加する請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記周辺領域に、前記表示領域で表示を行うための駆動用半導体素子を搭載する素子搭載領域を有し、前記光電素子が前記素子搭載領域に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板と、対向基板との間に液晶層を備えたことを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項6】
表示領域に、行方向および列方向のマトリクス状に配列された複数の画素電極と、
前記画素電極の配列の行方向に伸延する複数の走査線と、
前記画素電極の配列の列方向に伸延する複数のデータ線と、
前記画素電極にそれぞれ接続され、前記走査線と前記データ線とに印加された信号に基づいて、前記画素電極に所定の電位を与える複数の表示用スイッチング素子とを備え、
前記表示領域外の周辺領域に形成された検査用パッドに、複数本の前記走査線または前記データ線が検査用スイッチング素子を介して接続されているアクティブマトリクス基板の検査方法において、
前記周辺領域に形成された光電素子に光を照射して前記検査用スイッチング素子のオン/オフを制御し、前記検査用パッドに接続される測定対象の前記表示用スイッチング素子を順次切り替えることを特徴とするアクティブマトリクス基板の検査方法。
【請求項7】
光が照射された際に前記光電素子が生成する出力電圧を、前記検査用スイッチング素子を導通させるためのオン電圧として用いる請求項6に記載のアクティブマトリクス基板の検査方法。
【請求項8】
光が照射された際に、前記光電素子が導通することで、前記検査用スイッチング素子に制御用電源電圧をオン電圧として印加する請求項6に記載のアクティブマトリクス基板の検査方法。
【請求項9】
前記光電素子への光の照射が、光ファイバを介して行われる請求項6〜8のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板の検査方法。
【請求項10】
前記光ファイバの前記光電素子側の先端部が、凸の曲面形状である請求項9に記載のアクティブマトリクス基板の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−32800(P2010−32800A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195299(P2008−195299)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】