説明

アスパラギン−10−置換ノナデプシペプチド

本発明は、ノナデプシペプチドおよびそれらの製造方法、並びに疾患、特に細菌感染疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノナデプシペプチド(nonadepsipeptide)およびそれらの製造方法、並びに疾患、特に細菌感染疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌の細胞壁は、数々の酵素により合成され(細胞壁生合成)、微生物の生存および生殖に必須である。この巨大分子の構造およびその合成に関与するタンパク質は、細菌類内で高度に保存されている。その本質的な性質および均一性のために、細胞壁生合成は新規抗生物質の理想的な攻撃点である(D.W.Green, The bacterial cell wall as a source of antibacterial targets, Expert Opin. Ther. Targets, 2002, 6, 1-19)。
【0003】
バンコマイシンおよびペニシリン類は、細菌の細胞壁生合成の阻害剤であり、この作用原理による抗菌力の成功例である。それらは、特にグラム陽性病原体による細菌感染の処置のために、数十年間臨床的に用いられてきた。例えばメチシリン耐性ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌(F. Baquero, Gram-positive resistance: challenge for the development of new antibiotics, J. Antimicrob. Chemother., 1997, 39, Suppl A: 1-6; A.P. Johnson, D.M. Livermore, G.S. Tillotson, Antimicrobial susceptibility of Gram-positive bacteria: what's current, what's anticipated ?, J. Hosp. Infect., 2001, (49), Suppl A: 3-11)、並びに、最近初めてのバンコマイシン耐性ブドウ球菌(B. Goldrick, First reported case of VRSA in the United States, Am. J. Nurs., 2002, 102, 17)などの耐性微生物の発生が増えているために、これらの物質はそれらの治療効力を次第に失いつつある。
【0004】
本発明は、既知のクラスの抗生物質と交差耐性のない、新規のクラスの細胞壁生合成阻害剤、並びにそれらの製造方法に関する。
【0005】
複雑な保護基の操作は、しばしば、複雑な天然産物の半合成的誘導体化の前提条件である(Haebich et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 5072)。誘導体化位置の領域的および化学選択的な決定(addressing)は、この方法でのみ可能である。本発明では、驚くべきことに、保護基操作を用いずに複雑なデプシペプチドであるリソバクチン(lysobactin)の高度に位置および化学選択的な誘導体化を可能にする方法が見出された。
【0006】
天然産物のリソバクチンおよびいくつかの誘導体は、抗菌活性を有するとUS4,754,018に記載されている。リソバクチンの単離および抗菌活性は、EP−A−196042およびJP01132600にも記載されている。WO04/099239は、抗菌活性を有するリソバクチンの誘導体を記載している。
【0007】
リソバクチンおよびカタノシン(katanosin)Aの抗菌活性は、O'Sullivan, J. et al., J. Antibiot. 1988, 41, 1740 - 1744, Bonner, D. P. et al., J. Antibiot. 1988, 41, 1745 - 1751, Shoji, J. et al., J. Antibiot. 1988, 41, 713 - 718 および Tymiak, A. A. et al., J. Org. Chem. 1989, 54, 1149 - 1157 にさらに記載されている。
【0008】
本発明の1つの目的は、ヒトおよび動物の細菌性疾患の処置用の、同等か、または改良された抗菌活性、より良好な溶解性、血清中でのより高い遊離比率(free fraction)、およびより良好な耐性、例えば低い腎毒性を有する、代替的化合物を提供することである。
【0009】
本発明は、式
【化1】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
は、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、5員または6員の複素環、5員または6員のヘテロアリール、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
は、水素、C−C−アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す]
の化合物、並びに、それらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0010】
本発明の化合物は、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物、塩の溶媒和物およびプロドラッグ、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)に包含され、後述の式のものである化合物およびそれらの塩、溶媒和物、塩の溶媒和物およびプロドラッグ、並びに、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)に包含され、例示的実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物、塩の溶媒和物およびプロドラッグ(式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)に包含され、後述する化合物が既に塩、溶媒和物、塩の溶媒和物およびプロドラッグでない場合に)である。
【0011】
本発明の化合物は、それらの構造に依存して、立体異性体で存在し得る(エナンチオマー、ジアステレオマー)。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマー、およびそれらの各々の混合物に関する。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に純粋な成分を既知方法で単離できる。
本発明の化合物が互変異性体で存在できるならば、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0012】
本発明の目的上、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明の化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。用語「塩」には、また、例えばメシレートトリフルオロアセテート塩などの本発明による化合物の混合塩も含まれる。
【0013】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0014】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、通常の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩も含まれる。
【0015】
本発明の目的上、溶媒和物は、溶媒分子との配位により固体または液体状態で錯体を形成する本発明の化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。
【0016】
本発明の目的上、断りの無い限り、置換基は以下の意味を有する:
アルキルは、一般的には1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカル、例えば、そして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを表す。
【0017】
複素環は、5個または6個の環原子、および、N、O、S、SO、SOの系列から3個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有する、単環式複素環式ラジカルを表す。複素環ラジカルは、飽和または部分不飽和であり得る。言及し得る好ましい例は、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリニル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、テトラヒドロピラン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル、モルホリン−2−イル、モルホリン−3−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−2−イル、チオモルホリン−3−イルおよびチオモルホリン−4−イルである。
【0018】
ヘテロアリールは、5個または6個の環原子、およびS、OおよびNの系列から4個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子を有する芳香族性単環式ラジカル、例えば、そして好ましくは、チエン−2−イル、チエン−3−イル、フラ−2−イル、フラ−3−イル、ピロール−1−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ピリミド−2−イル、ピリミド−4−イル、ピリミド−5−イル、ピラジン−2−イル、ピラジン−3−イル、ピリダジン−3−イルおよびピリダジン−4−イルを表す。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくはフッ素および塩素を表す。
【0019】
好ましいのは、式
【化2】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
は、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、5員または6員の複素環、5員または6員のヘテロアリール、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
は、水素、C−C−アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルを表す]
に相当する式(Ia)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0020】
好ましいのは、また、式中、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
が、水素またはメチルを表す、
式(Ia)および(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0021】
好ましいのは、また、式中、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す、
式(Ia)および(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0022】
好ましいのは、また、式中、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す、
式(Ia)および(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0023】
本発明は、さらに、式
【化3】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す]
に相当する化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0024】
好ましいのは、式
【化4】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表す]
に相当する式(IIa)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0025】
好ましいのは、また、式中、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表す、
式(IIa)および(II)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0026】
好ましいのは、また、式中、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表す、
式(IIa)および(II)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0027】
好ましいのは、また、式中、Rが2−メチルプロプ−1−イルを表す、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rが2−メチルプロプ−1−イルを表す、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、RおよびRが、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表す、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rが1−トリメチルシリルメチルを表し、Rが3−ピリジルメチルを表す、式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rが水素を表す、式(Ia)および(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rがメチルを表す、式(Ia)および(IIa)の化合物である。
【0028】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せにおいて特別に示したラジカルの定義は、それらのラジカルについて示した特定の組合せと関係なく、また、所望により他の組合せのラジカルの定義により置き換えられる。
上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せは、ことさら特に好ましい。
【0029】
本発明はさらに、式(Ia)の化合物の製造方法に関し、それは、式
【化5】

(式中、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化6】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることによる。
【0030】
ラジカルHN(CHR)−中の遊離アミノ基を、反応の前に、当業者に知られている方法に従い、例えばBoc保護基またはベンジルオキシカルボニル保護基で保護し、それを、反応後に再度除去する。
【0031】
反応は、一般的に、不活性溶媒中、脱水剤の存在下、必要に応じて塩基の存在下、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で行う。
【0032】
不活性溶媒の例は、ジクロロメタンもしくはトリクロロメタンなどのハロ炭化水素類、ベンゼンなどの炭化水素、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。これらの溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0033】
塩基の例は、アルカリ金属炭素塩、例えば、炭酸ナトリウムまたはカリウム、または、重炭素塩、有機塩基、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンもしくはジイソプロピルエチルアミンである。
【0034】
これに関連して、適する脱水剤の例は、カルボジイミド類、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N'−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−カルボジイミド)、またはカルボニル化合物、例えばカルボニルジイミダゾール、または、1,2−オキサゾリウム化合物、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェート、または2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレート、または、アシルアミノ化合物、例えば2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、またはプロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリド、または、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、N−ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの塩基との混合物である。
縮合は、好ましくは、HATUおよびN−メチルモルホリンを用いて実施する。
【0035】
好ましい方法は、式中、Rがメチルを表すものである。
好ましい方法は、また、式中、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
が、水素またはメチルを表す、
ものである。
【0036】
好ましい方法は、また、式中、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す、
ものである。
【0037】
好ましい方法は、また、式中、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す、
ものである。
【0038】
塩の形態である式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物は、例えば、塩酸またはメタンスルホン酸との反応により、異なる対イオンを有する塩に変換できる。
塩の形態である式(Ia)、(I)、(IIa)および(II)の化合物は、塩基との反応により、遊離塩基に変換できる。
【0039】
式(III)の化合物は、知られているか、または、既知方法により、対応する出発物質から合成できる。
【0040】
驚くべきことに、式(IIa)の化合物は、式
【化7】

(式中、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物の、酸による適当な溶媒中での選択的加水分解により製造できることが見出された。
【0041】
この反応は、一般的に、溶媒中、好ましくは室温ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で行う。
溶媒の例は、ジオキサンと水、または、テトラヒドロフランと水の混合物である。
酸の例は、塩酸などの鉱酸またはメタンスルホン酸などの他の強酸である;塩酸が好ましい。
【0042】
本発明は、さらに、式(IVa)の化合物の、酸による適当な溶媒中での加水分解による、式(IIa)の化合物の製造方法に関する。
【0043】
この方法は、好ましくは、室温ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で実施する。
この方法は、特に好ましくは、室温で、大気圧下で実施する。
【0044】
溶媒は、好ましくは、ジオキサン、テトラヒドロフラン、水およびこれらの混合物からなる群から選択される。
溶媒は、特に好ましくは、ジオキサンと水の混合物、および、テトラヒドロフランと水の混合物からなる群から選択される。
【0045】
酸は、好ましくは、鉱酸および他の強酸からなる群から選択される;酸は、特に鉱酸である。
酸は、好ましくは、塩酸およびメタンスルホン酸からなる群から選択される。
酸は、特に好ましくは塩酸である。
【0046】
好ましい方法は、式中、Rがメチルを表すものである。
好ましい方法は、また、式中、RおよびRが2−メチルプロプ−1−イルを表すものである。
好ましい方法は、また、RおよびRが2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表すものである。
【0047】
式(IVa)の化合物は、知られているか、または、式
【化8】

(式中、Rは上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化9】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有し、そして、
は、ハロゲン、好ましくは臭素、塩素もしくはフッ素、またはヒドロキシを表す)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0048】
がハロゲンを表すならば、反応は、一般的に、不活性溶媒中、必要に応じて塩基の存在下、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で行う。
【0049】
不活性溶媒の例は、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドである。テトラヒドロフランまたは塩化メチレンが不活性溶媒として好ましい。
【0050】
塩基の例は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンである;ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0051】
がヒドロキシを表すならば、反応は、一般的に、不活性溶媒中、脱水剤の存在下、必要に応じて塩基の存在下、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で行う。
【0052】
不活性溶媒の例は、ジクロロメタンまたはトリクロロメタンなどのハロ炭化水素類、ベンゼンなどの炭化水素、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。これらの溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0053】
これに関連して、適する脱水剤の例は、カルボジイミド類、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N'−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−カルボジイミド)、またはカルボニル化合物、例えばカルボニルジイミダゾール、または、1,2−オキサゾリウム化合物、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェート、または2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレート、または、アシルアミノ化合物、例えば2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、またはプロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリド、または、ベンゾトリアゾリルオキシトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、または、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、または、N−ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの塩基との混合物である。
【0054】
塩基の例は、アルカリ金属炭素塩、例えば、炭酸ナトリウムまたはカリウム、または、重炭素塩、または、有機塩基、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
縮合は、好ましくは、HATUを用いて、または、EDCを用いてHOBtの存在下で行う。
【0055】
式(VI)の化合物は、必要に応じて保護基を有し、この場合、式(Va)の化合物の式(VI)の化合物との反応に続き、例えばトリフルオロ酢酸を使用して、当業者に知られている方法により、保護基を除去するようにする。
【0056】
式(Va)の化合物は、リソバクチン(実施例1A)またはカタノシンAから二重のエドマン分解により合成できる。
式(VI)の化合物は、知られているか、または、既知方法により適切な出発物質から合成できる。
【0057】
本発明の化合物の製造は、以下の合成スキームにより例示説明できる。
合成スキーム:
【化10】

【0058】
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、予測し得なかった価値ある範囲の薬理的効果を示す。それらは、抗菌活性を示す。
従って、それらは、ヒトおよび動物の疾患の処置および/または予防用の医薬としての使用に適する。
【0059】
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、リソバクチンと比較して高いラットおよびヒトの血漿における遊離比率(f)により、卓越している。
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、リソバクチンと比較して低い腎毒性により、卓越している。
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、リソバクチンと比較して良好な溶解性により、卓越している。
【0060】
記載したノナデプシペプチドは、細菌の細胞壁生合成の阻害剤として作用する。
本発明の製剤は、細菌およびバクテロイド微生物に対して特に有効である。それらは、従って、ヒトの医学および獣医学におけるこれらの病原体に起因する局所および全身の感染の予防および化学療法に特に適する。
【0061】
原則として、本発明の製剤は、細菌細胞壁(ムレイン小嚢(murein sacculus))および対応する酵素系を有する全ての細菌およびバクテロイド微生物に対して、例えば以下の病原体または以下の病原体の混合物に対して使用できる:
グラム陰性球菌(淋菌)並びにグラム陰性桿菌、例えば腸内細菌科、例えば大腸菌、インフルエンザ菌、シュードモナス属、クレブシエラ属、シトロバクター属(C.フロインデイ、C.ジベルニス(divernis))、サルモネラ属および赤痢菌属;さらに、エンテロバクター属(E.アエロゲネス、E.アグロメランス(agglomerans))、ハフニア属、セラチア属(S.マルセセンス)、プロビデンシア属、エルシニア属、並びにアシネトバクター属、ブランハメラ属およびクラミジア属。加えて、抗菌範囲には、厳密に嫌気性の細菌、例えば、バクテロイデス・フラジリス、ペプトコッカス属、ペプトストレプトコッカス属およびクロストリジウム属の代表例;さらに、ミコバクテリア、例えば結核菌が含まれる。本発明の化合物は、グラム陽性球菌、例えばブドウ球菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、S.ヘモリティクス(haemolyticus)、S.カルノサス(carnosus))、腸球菌(フェカリス菌、E.フェシウム)および連鎖球菌(S.アガラクチア、肺炎連鎖球菌、化膿性連鎖球菌)に対して、特に明白な活性を示す。
【0062】
上記の病原体のリストは、単なる例示であり、決して限定的に解釈すべきではない。上述の病原体または混合感染に起因すると言える、そして本発明の製剤により予防、改善または治癒できる疾患の例は、以下のものである:
ヒトの感染性疾患、例えば、非複雑性および複雑性尿路感染、非複雑性皮膚および表在性感染、複雑性皮膚および軟部組織感染、病院で獲得される、または共同体で獲得される肺炎、院内肺炎、慢性気管支炎の急性増悪および二次的細菌感染、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、連鎖球菌性咽頭炎、細菌性髄膜炎、非複雑性淋菌性および非淋菌性尿道炎/子宮頚管炎、急性前立腺炎、心内膜炎、非複雑性および複雑性腹腔内感染、婦人科の感染、骨盤内炎症性疾患、細菌性膣炎、急性および慢性骨髄炎、急性細菌性関節炎、熱性好中球減少性患者の経験的治療、さらに菌血症、MRSA感染、急性感染性下痢、ヘリコバクター・ピロリ感染、術後感染、歯性感染、眼科の感染、術後感染(直腸周囲膿瘍、創傷感染、胆道感染、乳腺炎および急性虫垂炎を含む)、嚢胞性線維症および気管支拡張症。
【0063】
ヒトの他に、他の種でも細菌感染を処置できる。言及し得る例には、以下のものがある:
ブタ:下痢、腸毒血症、敗血症、赤痢、サルモネラ症、子宮炎−乳腺炎−アガラクチア症候群、乳腺炎;
反芻動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ):下痢、敗血症、気管支肺炎、サルモネラ症、パスツレラ症、性器感染;
ウマ:気管支肺炎、関節の病気、産褥性および産褥後感染、サルモネラ症;
イヌおよびネコ:気管支肺炎、下痢、皮膚炎、耳炎、尿路感染、前立腺炎;
家禽(ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ハト、観賞用鳥類など):大腸菌感染、慢性呼吸器疾患、サルモネラ症、パスツレラ症、オウム病。
【0064】
生産用および観賞用の魚類の飼育および維持における細菌性疾患の処置も同様に可能であり、その場合、抗菌スペクトルは前述した病原体を超えて、例えば、パスツレラ属、ブルセラ属、カンピロバクター属、リステリア属、エリシペロスリス属(Erysipelothris)、コリネバクテリウム属、ボレリア属(Borellia)、トレポネーマ属、ノカルジア属、リケッチア属、エルシニア属などのさらなる病原体に及ぶ。
【0065】
本発明の式(IIa)および(II)の化合物は、式(Ia)および(I)の化合物の合成における重要な中間体を形成する。
【0066】
本発明はさらに、疾患、特に細菌感染疾患の処置および/または予防のための、本発明の式(Ia)および(I)の化合物の使用に関する。
本発明はさらに、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防のための、本発明の式(Ia)および(I)の化合物の使用に関する。
本発明はさらに、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明の式(Ia)および(I)の化合物の使用に関する。
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、好ましくは、細菌性疾患の予防および/または処置に適する医薬の製造に使用する。
本発明はさらに、本発明の式(Ia)および(I)の化合物の抗菌的有効量を使用する、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防方法に関する。
【0067】
本発明はさらに、特に上述の疾患の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明の式(Ia)および(I)の化合物および少なくとも1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。組合せに好ましい有効成分は、抗菌活性を有し、異なる効果の範囲、特に、補足的な効果の範囲を有し、かつ/または、本発明の化合物に対して相乗的な化合物である。
【0068】
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、もしくは、耳に、または、インプラントもしくはステントとして、投与できる。
【0069】
本発明の化合物を、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明の化合物を、迅速に、かつ/または、修飾された様式で送達し、そして、本発明の化合物を結晶形および/または無定形および/または溶解形で含有する投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、遅れて溶解するか、もしくは、不溶であり、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤である。
【0070】
非経腸投与は、吸収段階を避けて(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌散剤の形態の、注射および点滴用製剤である。
【0071】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形(とりわけ、散剤吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液、スプレー;舌に、舌下に、または頬側に投与するための、錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション剤、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えばパッチなど)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0072】
本発明の式(Ia)および(I)の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に許容し得る補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えばアスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色料(例えば酸化鉄などの無機色素)および味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0073】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明の式(Ia)および(I)の化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性、医薬的に許容し得る補助剤と共に含む医薬、および上述の目的のためのそれらの使用に関する。
【0074】
静脈内投与で約0.001ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であり、経口投与では、投与量は、約0.01ないし50mg/体重kg、好ましくは0.5ないし10mg/体重kgであると一般的に明らかになった。
【0075】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別用量に分割するのが望ましいことがある。
【0076】
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0077】
A. 実施例
略号
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
参考文献
ペプチドおよびシクロデプシペプチドの命名法について、以下を参照:
1. A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds (Recommendations 1993), 1993, Blackwell Scientific publications.
2. Nomenclature and symbolism for amino acids and peptides. Recommendations 1983. IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature, UK. Biochemical Journal 1984, 219, 345-373. および引用文献。
3. アミノ酸側鎖において誘導体化されているノナデプシペプチド誘導体の命名法について、各誘導体化部位を位置指定するのに、IUPACの接頭辞系を使用する(IUPAC, Nomenclature and Symbolism for Amino Acids and Peptides, Names and Symbols for Derivative of Named Peptides, Section 3AA-22, Recommendations 1983-1992)。従って、例えば、Nω.6−アセチルリソバクチンは、アミノ酸6(デプシペプチドのN末端から、即ち、ここではD−Argから計算する)で、特に末端の窒素原子でアセチル化されたリソバクチンを表す。同様に、O3.11−メチルリソバクチンは、アミノ酸11(Ser)の側鎖の酸素原子(O)でメチル化されている誘導体を表す。
【0080】
LC−MS、HR−MS、HPLCおよびゲルクロマトグラフィーの一般法
方法1(HPLC):HPLC装置タイプ:HP 1100 シリーズ; UV DAD カラム: Zorbax Eclipse XBD-C8 (Agilent), 150 mm x 4.6 mm, 5 μm;溶離剤A:HClO5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−1分10%B、1−4分10−90%B、4−5分90%B;流速:2.0ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210および254nm。
【0081】
方法2(HPLC):カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;溶離剤A:HClO5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B、0.5分2%B、4.5分90%B、9分90%B;流速:0.75ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0082】
方法3(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分、1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分、2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0083】
方法4(HPLC):カラム:Kromasil RP-18, 250 mm x 4 mm, 5 μm;溶離剤A:HClO5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分5%B、10分95%B;流速:1ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0084】
方法5(HPLC):カラム:Kromasil RP-18, 250 mm x 4 mm, 5 μm;溶離剤A:HClO2ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;均一濃度:45%B、55%A;流速:1ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0085】
方法6(分取HPLC):装置:Gilson Abimed HPLC;バイナリポンプシステム;カラム:Nucleodur C18 Gravity, Macherey-Nagel, 5 μm; 250 mm x 21 mm;溶離剤A:水/0.05−0.1%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル/0.05−0.1%トリフルオロ酢酸;グラジエント:0−8分5%B、8−40分5−60%B、40−60分60%B、60−75分60−100%B、75−80分100%B、次いで、クロマトグラフィーカラムの再生;流速:7−15ml/分;UV検出:210nm。
【0086】
方法7(分取HPLC):装置:Gilson Abimed HPLC;バイナリポンプシステム;カラム:Kromasil-100A C18, 5 μm; 250 mm x 30 mm;溶離剤A:水/0.05−0.5%TFA、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−5分5%B、5.01−10分10%B、10.01−20分40%B、20.01−27分50%B、27.01−40分60%B、40.01−45分90%B、45.01−60分100%B;流速:15−60ml/分;UV検出器210nm。
【0087】
方法8(分取HPLC):装置:Gilson Abimed HPLC;バイナリポンプシステム;カラム:Kromasil-100A C18, 5 μm; 250 mm x 30 mm;溶離剤A:水/0.05−0.5%TFA、溶離剤B:アセトニトリル;0−10分10%B、勾配、10.01−55分100%B;流速:30ml/分;UV検出器210nm。
【0088】
方法9(Sephadex LH-20 ゲルクロマトグラフィー):ゲルクロマトグラフィーは、Sephadex LH-20 (Pharmacia)に圧力をかけずに実施する。UV活性に従い、分別を実施する(210nm用のUV検出器、Knauer)(ISCO Foxy 200フラクションコレクター)。カラム寸法:60x21cm(2500−5000μmolスケール);50x10cm(500−2500μmolスケール);30x5cm(250−500μmolスケール);25x4cm(50−250μmolスケール);40x2cm(5−50μmolスケール)。
【0089】
方法10(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795/HP 1100;カラム:Phenomenex Synergi 2 μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0090】
方法11(TOF−HR−MS):Micromass LCT 装置(キャピラリー電圧:3.2KV、コーン電圧:42V、ソース温度:120℃、脱溶媒和温度:280℃)を使用して、TOF−HR−MS−ESI+スペクトルを記録する。シリンジポンプ(Harvard Apparatus)は、ここで、サンプルを供給するために使用される。ロイシン−エンケファリン(Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu)を標準として使用する。
【0091】
方法12(HPLC):カラム:Gilson Abimed HPLC; Varian バイナリポンプシステム; Phenomenex Luna C18 5μ 250 mm x 20 mm;流速:25ml/分;オーブン:RT;UV検出:210nm;溶離剤A:水/0.2%TFA、溶離剤B:アセトニトリル;均一濃度の50%B。
【0092】
方法13(HPLC):カラム:Gilson Abimed HPLC; Varian バイナリポンプシステム; Kromasil 100 C18 5μ 250 mm x 20 mm;流速:25ml/分;オーブン:RT;UV検出:210nm;溶離剤A:水/0.2%TFA、溶離剤B:アセトニトリル;均一濃度の65%B。
【0093】
方法14(分析用HPLC):HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2 μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分、2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0094】
方法15(分析用HPLC):HPLC装置タイプ:HP 1050 Series; UV DAD;カラム:Zorbax 300 mSB-C18 3.5 μ, 4.6 mm x 150 mm;溶離剤A:水1l+0.1%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル400ml/水600ml+0.1%トリフルオロ酢酸;グラジエント:0.0分100%A、1.3分10%B、18.0分80%B、20.0分80%B、21.0分100%B、25.0分100%B、26.0分0%B、30.0分0%B、流速:1ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0095】
方法16(分析用HPLC):HPLC装置タイプ:HP 1050 Series; UV DAD;カラム:Zorbax 300 mSB-C18 3.5 μ, 4.6 mm x 150 mm;溶離剤A:水1l+0.1%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル400ml/水600ml+0.1%トリフルオロ酢酸;グラジエント:0.0分100%A、2.0分10%B、50.0分80%B、52.0分100%B、55.0分100%A、60.0分100%A。流速:1ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0096】
一般的実施方法
一般的実施方法1(TFAを使用するBoc保護基の除去)
Boc保護化合物(2−15μmol)をジクロロメタン(1ml)に懸濁し、次いで、アルゴン保護ガス雰囲気下で、ジクロロメタン(10ml)中のトリフルオロ酢酸(3ml)を添加し、HPLCクロマトグラムが完全な変換を示すまで(例えば方法14)、混合物を室温で撹拌する。次いで溶媒を真空で留去する。その間に浴温度は30℃を超えるべきではない。粗生成物をトルエン中で懸濁し、ロータリーエバポレーターで再度濃縮し、高真空下で乾燥する。この実施用法を数回繰り返す(2−5x)。
【0097】
一般的実施方法2(水素化分解的エステル切断/カルバミド切断)
ペプチド性ベンジルエステル(1−15μmol)をジオキサン(2ml)および0.1%水性トリフルオロ酢酸(3ml)に溶解し、アルゴン保護ガス雰囲気下で、10%パラジウム/炭素(10mol%)を添加する。分析的HPLC(例えば方法14)が完全な変換を示すまで(約30分)、室温で、大気圧下で、水素化を実施する。反応混合物を濾過し(例えばシリンジフィルター、珪藻土、Celite(登録商標))、分取RP−HPLCにより入念に精製する。
【0098】
一般的実施方法3(アミドカップリング)
アルゴン保護ガス雰囲気下で、最初にHATU(5−15当量)および次いでNMM(5−20当量)を、乾燥DMF中のカルボン酸シクロペプチド(1.0当量)およびアミンの溶液(5−30μmol/ml)に0℃で添加する。反応混合物をゆっくりと室温に温め、この温度で完全な変換が明らかになるまで撹拌する。反応混合物を高真空下で蒸発させ、クロマトグラフィーにより精製する。
【0099】
出発化合物
実施例1A
D−ロイシル−N−{(3S,6S,12S,15S,18R,21S,24S,27S,28R)−6−[(1S)−2−アミノ−1−ヒドロキシ−2−オキソエチル]−18−(3−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}プロピル)−12−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−3−(ヒドロキシメチル)−24−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−21−イソブチル−15−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5,8,11,14,17,20,23,26−ノナオキソ−28−フェニル−1−オキサ−4,7,10,13,16,19,22,25−オクタアザシクロオクタコサン−27−イル}−L−ロイシンアミドビストリフルオロアセテート(リソバクチン)
【化11】

【0100】
発酵:
培養培地:
YM:酵母−麦芽寒天:D−グルコース(4g/l)、酵母抽出物(4g/l)、麦芽抽出物(10g/l)、Lewatit 水1l。滅菌(20分間、121℃)前に、pHを7.2に調節する。
HPM:マンニトール(5.4g/l)、酵母抽出物(5g/l)、肉ペプトン(3g/l)。
作業用細胞バンク:凍結乾燥系統(ATCC53042)を、YM培地50ml中で増殖させる。
【0101】
フラスコ発酵:1lの三角フラスコ中のYM培地150mlまたはHPM培地100mlを、作業用細胞バンク2mlで播種し、28℃で、240rpmの振盪機上、30−48時間増殖させる。
【0102】
30l発酵:フラスコ発酵物(HPM培地)300mlを使用して、無菌の栄養培養液(1mlの消泡剤SAG5693/l)30lに播種する。この培養物を、28℃で、0.3vvmの滅菌空気による300rpmの給気で21時間増殖させる。1M塩酸を使用してpHをpH=7.2で一定に保つ。培養時間中に、全部で880mlの1M塩酸を添加する。
【0103】
主培養(200l):1lの三角フラスコ中のYM培地15x150mlを、作業用細胞バンク2mlで播種し、28℃および240rpmで、振盪機で、48時間増殖させる。この培養物2250mlを使用して、無菌の栄養培養液(YM)(1mlの消泡剤SAG5693/l)200lに播種し、それを、28℃で、0.3vvmの滅菌空気による150rpmの給気で18.5時間増殖させる。
【0104】
毎時間のサンプル(50ml)を取り、発酵の進行を確認する。この培養ブロス2mlをメタノール1ml(0.5%トリフルオロ酢酸)と混合し、0.45μmフィルターを通して濾過する。この懸濁液30μlを、HPLC(方法1および方法2)により分析する。
18.5時間後、17000rpmで主培養の培養ブロスを上清と沈降物に分離する。
【0105】
単離:
上清(183l)を濃トリフルオロ酢酸または水酸化ナトリウム溶液を使用してpH6.5−7に調節し、Lewapol カラム (OC 1064、60l容量)に負荷する。次いで、純水、水/メタノール1:1および次いで純粋なメタノール(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)で溶出を実施する。この有機相を真空で濃縮し、水性残留物11.5lを残す。
【0106】
残っている水相をシリカゲルC18に結合させ、分画する(MPLC, Biotage Flash 75, 75 x 30 cm, KP-C18-WP, 15-20 μm, 流速:30ml;溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%トリフルオロ酢酸を含む;グラジエント:10%、15%および40%アセトニトリル)。実施例1Aの大部分を含有する40%アセトニトリル相を真空で濃縮し、次いで凍結乾燥する(〜13g)。この固体の混合物を1.2gずつ、最初に分取用HPLC(方法3)により、次いで Sephadex LH-20 (5x70cm、アセトニトリル/水1:1、各場合で0.05%トリフルオロ酢酸を含む)のゲル濾過により、そしてさらに分取用HPLC(方法4)により、分離する。
この方法により、実施例1A2250mgを得る。
【0107】
沈降物を4:1アセトン/水4lに取り、Celite 2kgと混合し、トリフルオロ酢酸を使用してpH=6に調節し、撹拌し、遠心分離する。溶媒を真空で濃縮し、残渣を凍結乾燥する。得られる凍結乾燥物(89.9g)をメタノールに取り、濾過し、濃縮し、シリカゲル(方法5)で分離する。次いで、実施例1Aをゲル濾過(Sephadex LH-20、5x68cm、水/アセトニトリル9:1(0.05%トリフルオロ酢酸を含む)、流速:2.7ml/分、画分サイズ13.5ml)により精製し、純粋な物質を得る。
この方法により実施例1A447mgを得る。
【0108】
HPLC (方法 1): Rt = 6.19 分
MS (ESIpos): m/z = 1277 (M+H)+
1H NMR (500.13 MHz, d6-DMSO): δ = 0.75 (d, 3H), 0.78 (d, 6H), 0.80 (t, 3H), 0.82 (d, 3H), 0.90 (d, 3H), 0.91 (d, 3H), 0.92 (d, 3H), 0.95 (d, 3H), 0.96 (d, 3H), 1.05 (m, 1H), 1.19 (d, 3H), 1.25 (m, 2H), 1.50 (m, 4H), 1.51 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.61 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.84 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.86 (m, 1H) , 1.89 (m, 1H), 1.95 (m, 1H), 2.75 (m, 2H), 3.40 (m, 1H), 3.52 (m, 2H), 3.53 (dd, 1H), 3.64 (m, 2H), 3.66 (m, 1H), 3.68 (dd, 1H), 3.73 (m, 2H), 4.00 (dd, 1H), 4.02 (br., 1H), 4.13 (br., 1H), 4.32 (dd, 1H), 4.39 (t, 1H), 4.55 (m, 1H), 4.75 (dd, 1H), 5.19 (t, 1H), 5.29 (d, 1H), 5.30 (br., 1H), 5.58 (m, 2H), 6.68 (m, 3H), 6.89 (d, 1H), 6.93 (m, 3H), 6.94 (br., 1H), 6.98 (d, 1H), 7.12 (br., 1H), 7.20 (br., 2H), 7.23 (m, 2H), 7.42 (m, 2H), 7.54 (d, 1H), 7.58 (d, 1H), 8.32 (br., 1H), 9.18 (br., 1H), 9.20 (m, 2H), 9.50 (br., 1H).
13C-NMR (125.77 MHz, d6-DMSO): δ = 10.3, 15.3, 19.0, 19.2, 19.6, 20.0, 20.9, 22.0, 22.4, 23.0, 23.2, 24.3, 24.4, 25.0, 25.4, 26.0, 27.8, 30.9, 35.4, 39.5, 40.8, 40.9, 41.6, 44.1, 51.5, 52.7, 55.9, 56.2, 56.4, 57.9, 58.8, 60.2, 61.1, 62.6, 70.1, 71.6, 71.7, 75.5, 128.1, 128.6, 136.7, 156.8, 168.2, 170.1, 170.4, 171.2, 171.5, 171.9, 172.2, 172.4, 173.7.
シグナルの割当ては、文献に記載の割当てに従い行った (T. Kato, H. Hinoo, Y. Terui, J. Antibiot., 1988, 61, 719-725)。
【0109】
実施例2A
D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパルチル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート、[10−{(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパルテート}]リソバクチンビストリフルオロアセテート
(リソバクチン酸ビストリフルオロアセテート)
【化12】

ジオキサン/10%水(1.5ml)中のリソバクチンビストリフルオロアセテート(実施例1A、30.0mg、19.94μmol)の懸濁液を、6N塩酸(6ml)と混合し、変換が2日後に完了するまで、室温で撹拌する。反応を継続的にHPLCにより確認する。後処理に、溶媒をロータリーエバポレーターで、30℃の浴温度で除去し、残渣を、分取RP−HPLC(方法6)により、室温で精製する。生成物21mg(理論値の76%)を得る。
HPLC (方法 16): Rt = 37.46 分
LC-MS (方法 10): Rt = 1.60 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 1277 (5) [M+H]+, 639 (100) [M + 2H]2+; MS (ESIneg): m/z (%) = 1275 (60) [M - H]-, 637 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C58H97N14O18 [M + H]+ 実測値1277.7104, 計算値1277.7100.
【0110】
実施例3A
2.1−(ベンジルオキシカルボニル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパルチル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−(ベンジルオキシカルボニル)リソバクチン酸トリフルオロアセテート)
【化13】

リソバクチン酸ビストリフルオロアセテート(実施例2A、200.0mg、0.13μmol)を、THF(30ml)およびDMF(5ml)の混合物に溶解し、次いで、N−(ベンゾイルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(99.3mg、0.40mmol)およびNMM(39μl、36.3mg、0.36mmol)を0℃で添加する。反応を室温に温める。混合物を終夜撹拌する。その間に完全な変換が観察される。溶媒をロータリーエバポレーターで、30℃の浴温度で除去し、分取RP−HPLC(方法8)により精製する。凍結乾燥により、表題化合物99.0mg(理論値の49%)を得る。
HPLC (方法 15) Rt = 18.75 分
LC-MS (方法 10): Rt = 2.27 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 1411 (37) [M + H]+, 706 (100) [M + 2H]2+; MS (ESIneg): m/z (%) = 1410 (100) [M - H]-, 704 (40) [M-2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C66H103N14O20 [M + H]+ 実測値 1411.7493, 計算値 1411.7468.
【0111】
実施例4A
2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパルチル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−(tert−ブトキシカルボニル)リソバクチン酸トリフルオロアセテート)
【化14】

アルゴン保護ガス雰囲気下で、リソバクチン酸ビストリフルオロアセテート(実施例2A、200.0mg、0.13mmol)を、ジオキサン(22.4ml)、pH6のバッファー(11.2ml、Riedelde Haeun、殺真菌剤を含む)およびpH7のリン酸バッファー(11.2ml、Dr. Lang、LCX021)の混合物に溶解する。次いで、0℃で、ジ−tert−ブチルジカルボネート(34.8mg、0.16mmol、1.2当量)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(28μl、20.6mg、0.16mmol、1.2当量)を連続的に添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。ジ−tert−ブチルジカルボネート(29.0mg、0.13mmol、1当量)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(14μl、10.3mg、0.08mmol、0.6当量)を室温でさらに添加し、室温で3時間撹拌した後、完全な変換が達成される。後処理に、反応溶液を、分取RP−HPLC(方法7)に直接添加する。表題化合物147.9mg(理論値の75%)を得る。
HPLC(方法15)R=23.10分
LC-MS (方法 10): Rt = 2.28 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 1378 (34) [M + H]+, 639 (100); MS (ESIneg): m/z (%) = 1376 (73) [M - H]-, 688 (100) [M - 2H]2-.
【0112】
実施例5A
2.1−[ベンジルオキシカルボニル)]−N4.10−(2−モルホリン−4−イルエチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(2−モルホリン−4−イルエチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化15】

シクロペプチド(実施例3A、4.0mg、2.62μmol)、N−(2−アミノエチル)モルホリン(3μl、3.4mg、26.2μmol、10当量)およびHATU(11.7mg、31.46μmol、12当量)を、DMF(500μl)中で、実施方法3に従い室温で終夜反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により、表題化合物3.0mg(理論値の65%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 22.06 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.88 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 763 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1522 (50) [M - H]-, 761 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C72H115N16O20 計算値 1523.8469, 実測値 1523.8517 [M + H]+.
【0113】
実施例6A
2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(2−ヒドロキシエチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(2−ヒドロキシエチル)リソバクチントリフルオロアセテート)
【化16】

シクロペプチド(実施例3A、20.0mg、13.11μmol)、エタノールアミン(11μl、11.2mg、183.53μmol、14当量)、HATU(39.9mg、104.88μmol、8当量)およびNMM(12μl、10.8mg、104.88μmol、8当量)を、DMF(500μl)中で、実施方法3に従い、室温で終夜反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により、表題化合物15.7mg(理論値の76%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 21.82 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.07 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1455 (35) [M + H]+; 728 (100) [M + 2H]2+, ESIneg: m/z (%) = 1523 (60) [M - H]-, 726 (12) [M - 2H]2-, 672 (100).
HR-TOF-MS (方法 11): C68H108N15O20 計算値 1454.7890, 実測値 1454.7860 [M + H]+.
【0114】
実施例7A
2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−メチル−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−メチルリソバクチントリフルオロアセテート)
【化17】

シクロペプチド(実施例3A、20.0mg、13.11μmol)およびメチルアミン塩酸塩(4.4mg、65.55μmol、5当量)を、HATU(15.0mg、39.33μmol、3当量)およびNMM(20μl、18.56mg、183.54μmol、14当量)を利用して、DMF(500μl)中、実施方法3に従い、4℃で、3日間以内で反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により、表題化合物17.0mg(理論値の84%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 21.26 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.07 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1425 (35) [M + H]+, 713 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1524 (100) [M - H]-, 711 (85) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C67H105N15O19 計算値 1424.7824, 実測値 1424.7830 [M + H]+.
【0115】
実施例8A
2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(3−モルホリン−4−イルプロピル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(3−モルホリン−4−イルプロピル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化18】

シクロペプチド(実施例3A、13.0mg、8.52μmol)、3−(モルホリン−4−イル)プロピルアミン(20μl、17.2mg、119.28μmol、14当量)、HATU(25.9mg、68.16μmol、8当量)およびNMM(7μl、6.9mg、68.16μmol、8当量)を、DMF(500μl)中で、実施方法3に従い、4℃で、3日間以内で反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により、表題化合物12.0mg(理論値の80%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 22.15 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.07 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 770 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1537 (100) [M - H]-, 768 (75) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C73H117N16O20 計算値 1537.8625, 実測値 1537.8623 [M + H]+.
【0116】
実施例9A
2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(ピリジン−3−イルメチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−(ピリジン−3−イルメチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化19】

シクロペプチド(実施例3A、20.0mg、13.11μmol)、3−ピコリルアミン(19.5mg、183.5μmol、14当量)、HATU(39.9mg、104.88μmol、8当量)およびNMM(12μl、10.6mg、104.88μmol、8当量)を、DMF(500μl)中、実施方法3に従い、室温で終夜反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により、表題化合物17.0mg(理論値の84%)を得る。
HPLC (方法 14): Rt = 2.11 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.95 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1503 (5) [M + H]+, 751 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1500 (84) [M - H]-, 750 (30) [M - 2H]2-, 695 (100).
HR-TOF-MS (方法 11): C72H107N15O20 計算値 1501.7812, 実測値 1501.7819 [M + H]+.
【0117】
実施例10A
2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−ベンジル−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−[ベンジルオキシカルボニル]−N4.10−ベンジルリソバクチントリフルオロアセテート)
【化20】

シクロペプチド(実施例3A、20.0mg、13.11μmol)、ベンジルアミン(20μl、19.7mg、183.54μmol、14当量)、HATU(39.9mg、104.88μmol、8当量)およびNMM(12μl、10.6mg、104.88μmol、8当量)を、DMF(500μl)中、実施方法3に従い、室温で終夜反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により、表題化合物17.6mg(理論値の83%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 23.21 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.14 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1502 (32) [M + H]+, 751 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1500 (75) [M - H]-, 749 (20) [M - 2H]2-, 695 (100).
HR-TOF-MS (方法 11): C73H110N15O19 計算値 1500.8097, 実測値 1500.8131 [M + H]+.
【0118】
実施例11A
2.1−(tert.−ブトキシカルボニル)−N4.10,N4.10−ジメチル−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−(tert.−ブトキシカルボニル)−N4.10,N4.10−ジメチルリソバクチントリフルオロアセテート)
【化21】

シクロペプチド(実施例4A、20.0mg、13.41μmol)およびジメチルアミンの2M THF溶液(67μl、6.0mg、134.10μmol、10当量)を、HATU(25.5mg、67.05μmol、5当量)およびNMM(12μl、10.6mg、107.28μmol、8当量)を利用して、DMF(500μl)中、実施方法3に従い、0℃で終夜反応させ、アミドを得る。分取HPLC(方法6)により分離し、表題化合物8.5mg(理論値の42%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 23.89 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.26 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1405 (9) [M + H]+, 753 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1403 (100) [M - H]-.
HR-TOF-MS (方法 11): C65H110N15O19 計算値 1404.8097, 実測値 1404.8094 [M + H]+.
【0119】
実施例12A
2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−N4.10−[2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエチル]−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−β−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−N4.10−[2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエチル]リソバクチントリフルオロアセテート)
【化22】

シクロペプチド(実施例4A、20.0mg、13.41μmol)、グリシンベンジルエステル塩酸塩(21.6mg、107.28μmol、8当量)、HATU(25.5mg、67.05μmol、5当量)およびNMM(29μl、27.1mg、268.2μmol、20当量)を、DMF(500μl)中、実施方法3に従い、室温で終夜反応させ、アミドを得る。クロマトグラフィー(方法6)により精製し、表題化合物21.5mg(理論値の98%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 23.60 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.32 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1525 (40) [M + H]+, 763 (38) [M + 2H]2+, 713 (100); ESIneg: m/z = 1523 (60) [M - H]-, 761 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C72H114N15O21 計算値 1524.8309, 実測値 1524.8311 [M + H]+.
【0120】
実施例13A
2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−N4.10−(2−{[ベンジルオキシカルボニル]アミノ}エチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N2.1(tert−ブトキシカルボニル)−N4.10−(2−{[ベンジルオキシカルボニル]アミノ}エチル)リソバクチントリフルオロアセテート)
【化23】

シクロペプチド(実施例4A、40.0mg、26.82μmol)、ベンジル(2−アミノエチル)カルバメート塩酸塩(49.5mg、214.53μmol、8当量)を、実施方法3に従い、HATU(50.982mg、134.08μmol、5当量)およびNMM(59μl、54.2mg、536.31μmol、20当量)を利用して、DMF(500μl)中、室温で終夜反応させ、アミドを得る。クロマトグラフィー(方法6)により精製し、表題化合物40.2mg(理論値の90%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 23.64 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.30 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1554 (100) [M + H]+, 777 (53) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1552 (19) [M - H]-, 775 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C73H117N16O21 計算値 1553.8574, 実測値 1553.8595 [M + H]+.
【0121】
実施例14A
4.10−(2−アミノ−2−オキソエチル)−N2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトントリフルオロアセテート
(N4.10(2−アミノ−2−オキソエチル)−N2.1−(tert−ブトキシカルボニル)リソバクチントリフルオロアセテート)
【化24】

シクロペプチド(実施例4A、20.0mg、13.41μmol)およびグリシンアミン塩酸塩(11.9mg、107.28μmol、8当量)を、実施方法3に従い、HATU(25.5mg、67.05μmol、5当量)およびNMM(29μl、10.6mg、268.20μmol、20当量)を利用して、DMF(500μl)中、室温で終夜反応させ、アミドを得る。クロマトグラフィー(方法6)により精製し、表題化合物12.8mg(理論値の60%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 21.97 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.19 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1435 (23) [M + H]+, 718 (18) [M + 2H]2+, 667 (100); ESIneg: m/z (%) = 1433 (13) [M - H]-, 716 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C65H109N16O20 計算値 1433.7999, 実測値 1433.8000 [M + H]+.
【0122】
実施例15A
2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−N4.10−[2−(2−{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ)エチル]−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−N4.10−[2−(2−{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ)エチル]リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化25】

シクロペプチド(実施例4A、20.0mg、13.41μmol)および2,2'−オキシジエチルアミン塩酸塩(1.4mg、8.05μmol、0.6当量)を、実施方法3に従い、HATU(15.3mg、40.23μmol、3当量)およびNMM(12μl、10.9mg、107.28μmol、8当量)を利用して、DMF(500μl)中、室温で終夜反応させ、アミドを得る。クロマトグラフィー(方法6)により精製し、表題化合物5.3mg(理論値の22%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 21.81 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 2.02 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 782 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1560 (83) [M - H]-, 780 (28) [M - 2H]2-, 1606 (100).
HR-TOF-MS (方法 11): C72H125N18O20 計算値 1561.9313, 実測値 1561.9352 [M + H]+.
【0123】
実施例16A
4.10−(2−アミノエチル)−N2.1−(tert−ブトキシカルボニル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−(2−アミノエチル)−N2.1(tert−ブトキシカルボニル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化26】

Cbz保護基を、実施例13Aの化合物(19.0mg、11.39μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。分取HPLC(方法6)により入念に精製し、表題化合物14.8mg(理論値の78.9%)を得る。
HPLC (方法 15): Rt = 21.13 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.91 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1420 (5) [M + H]+, 710 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1418 (55) [M - H]-, 709 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C65H111N16O19 計算値 1419.8206, 実測値 1419.8221 [M + H]+.
【0124】
実施例17A
[3−tert−ブチル−D−アラニル]−[3−tert−ブチル−L−アラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル)]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパルチル]−L−セリンC1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(C4.1,C4.2−ジメチルリソバクチン酸ビストリフルオロアセテート)
【化27】

ジオキサン/50%水(3ml)中の[3−tert−ブチル−D−アラニル]−[3−tert−ブチル−L−アラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル)]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート(150.0mg、98μmol)の懸濁液を、6N塩酸(9ml)と混合し、変換が5日間で完了するまで撹拌する。反応を継続的にHPLCにより確認する。後処理に、溶媒をロータリーエバポレーターで、30℃の浴温度で除去し、残渣を分取RP−HPLC(方法6)により精製する。表題化合物92.8mg(理論値の67%)を得る。
HPLC (方法 3) Rt = 1.85 分
LC-MS (方法 10): Rt = 1.74 分, MS (ESIpos.): m/z (%) = 653.7 (100) [M+2H]2+, 1306.0 (10) [M+H]+; MS (ESIneg): m/z (%) = 651.7 (100) [M-H]-, 1339.9 (90) [M-H] -.
HR-TOF-MS (方法 11): C60H101N14O18 [M+H]+ 計算値: 1305.7413, 実測値: 1305.7433.
【0125】
例示的実施態様
実施例1
4.10−(3−モルホリン−4−イルプロピル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトントリストリフルオロアセテート
(N4.10−(3−モルホリン−4−イルプロピル)リソバクチントリストリフルオロアセテート)
【化28】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例5Aの化合物(2.5mg、1.43μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(2.0mg、理論値の81%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 14): Rt = 1.57 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.91 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1390 (3) [M + H]+, 695 (94) [M + 2H]2+, 464 (100); ESIneg: m/z (%) = 1388 (88) [M - H]-, 693 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C64H109N16O18 計算値 1389.8101, 実測値 1389.8116 [M + H]+.
【0126】
実施例2
4.10−(2−ヒドロキシエチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−(2−ヒドロキシエチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化29】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例6Aの化合物(14.5mg、9.24μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(9.4mg、理論値の66%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.70 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.50 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1321 (8) [M + H]+, 661 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1318 (72) [M - H]-, 659 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C60H102N15O18 計算値 1320.7522, 実測値 1320.7504 [M + H]+.
【0127】
実施例3
4.10−メチル−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−メチルリソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化30】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例7Aの化合物(16.0mg、10.40μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(10.9mg、理論値の69%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.79 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.50 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1291 (12) [M + H]+, 646 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1289 (100) [M - H]-, 644 (37) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C59H100N15O17 計算値 1290.7417, 実測値 1290.7404 [M + H]+.
【0128】
実施例4
4.10−(3−モルホリン−4−イル−プロピル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトントリストリフルオロアセテート
(N4.10−(3−モルホリン−4−イル−プロピル)リソバクチントリストリフルオロアセテート)
【化31】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例8Aの化合物(11.0mg、6.23μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(9.2mg、理論値の85%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.61 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.38 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 702 (58) [M + 2H]2+, 469 (100); ESIneg: m/z (%) = 1402 (22) [M - H]-, 701 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C65H111N16O18 計算値 1403.8257, 実測値 1403.8289 [M + H]+.
【0129】
実施例5
4.10−(ピリジン−3−イル−メチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトントリストリフルオロアセテート
(N4.10−(ピリジン−3−イル−メチル)リソバクチントリストリフルオロアセテート)
【化32】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例9Aの化合物(8.5mg、4.91μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(7.5mg、理論値の89%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.56 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.45 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1368 (5) [M + H]+, 684 (72) [M + 2H]2+, 456 (100); ESIneg: m/z (%) = 1366 (72) [M - H]-, 682 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C64H103N16O17 計算値 1367.7682, 実測値 1367.7684 [M + H]+.
【0130】
実施例6
4.10−ベンジル−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−ベンジルリソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化33】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例10Aの化合物(16.0mg、9.91μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(12.7mg、理論値の80%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 17.09 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.60 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1366 (15) [M + H]+, 684 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1364 (100) [M - H]-, 682 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C65H104N15O17 計算値 1366.7730, 実測値 1366.7698 [M + H]+.
【0131】
実施例7
4.10,N4.10−ジメチル−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10,N4.10−ジメチルリソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化34】

Boc保護基を、実施例11Aの化合物(7.0mg、4.61μmol)から、実施方法1に従い除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(3.6mg、理論値の51%)を、無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 16.13 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.50 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1305 (15) [M + H]+, 653 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1303 (100) [M - H]-, 651 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C60H102N15O17 計算値 1304.7573, 実測値 1304.7615 [M + H]+.
【0132】
実施例8
4.10−(2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−β−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−(2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化35】

Boc保護基を、実施例12Aの化合物(19.0mg、11.59μmol)から、実施方法1に従い除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(16.0mg、理論値の84%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 17.81 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.64 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1425 (3) [M + H]+, 613 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1423 (18) [M - H]-, 711 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C67H106N15O19 計算値 1424.7784, 実測値 1424.7782 [M + H]+.
【0133】
実施例9
4.10−(2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−(2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}エチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化36】

Boc保護基を、実施例13Aの化合物(10.0mg、6.00μmol)から、実施方法1に従い除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(10.0mg、理論値の99%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 18.07 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.64 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1455 (5) [M + H]+, 728 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1453 (15) [M - H]-, 726 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C68H109N16O19 計算値 1453.8050, 実測値 1453.8058 [M + H]+.
【0134】
実施例10
4.10−(2−アミノ−2−オキソエチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)3ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10(2アミノ−2オキソエチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化37】

Boc保護基を、実施例14Aの化合物(11.0mg、7.11μmol)から、実施方法1に従い除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(7.2mg、理論値の65%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.60 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.48 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1334 (6) [M + H]+, 667 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z (%) = 1332 (20) [M - H]-, 665 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C60H101N16O18 計算値 1333.7475, 実測値 1333.7477 [M + H]+.
【0135】
実施例11
4.10−[2−(2−{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ)エチル]−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトントリストリフルオロアセテート
(N4.10−[2−(2−{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ)エチル]リソバクチントリストリフルオロアセテート)
【化38】

Boc保護基を、実施例15Aの化合物(4.0mg、2.22μmol)から、実施方法1に従い除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(2.7mg、理論値の67%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 16.00 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.40 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 732 (48) [M + 2H]2+, 488 (100); ESIneg: m/z (%) = 1462 (20) [M - H]-, 1506 (100).
HR-TOF-MS (方法 11): C67H117N18O18 計算値 1461.8788, 実測値 1461.8805 [M + H]+.
【0136】
実施例12
4.10−(2−アミノエチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトントリストリフルオロアセテート
(N4.10−(2−アミノエチル)リソバクチントリストリフルオロアセテート)
【化39】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例9の化合物(8.0mg、4.76μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(5.3mg、理論値の67%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.43 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.48 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1320 (3) [M + H]+, 660 (60) [M + 2H]2+, 440 (100); ESIneg: m/z (%) = 1318 (78) [M - H]-, 658 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C60H103N16O17 計算値 1319.7682, 実測値 1319.7725 [M + H]+.
【0137】
実施例13
4.10−(カルボキシメチル)−D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−フェニルアラニル]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニルグリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−Lβ−アスパラギニル]−L−セリンC1,11−O3,3−ラクトンビストリフルオロアセテート
(N4.10−(カルボキシメチル)リソバクチンビストリフルオロアセテート)
【化40】

ベンジルオキシカルボニル保護基を、実施例8の化合物(4.0mg、2.42μmol)から、実施方法2に従う水素化分解により除去する。入念に精製し(方法6)、凍結乾燥し、表題化合物(1.7mg、理論値の45%)を無定形固体として得る。
HPLC (方法 15): Rt = 15.88 分.
LC-MS (方法 10): Rt = 1.66 分; MS (ESIpos.): m/z (%) = 1335 (4) [M + H]+, 668 (100) [M + 2H]2+; ESIneg: m/z = 1333 (32) [M - H]-, 666 (100) [M - 2H]2-.
HR-TOF-MS (方法 11): C60H100N15O19 計算値 1334.7315, 実測値 1334.7316 [M + H]+.
【0138】
B. 生理活性の評価
本発明の化合物のインビトロの活性は、以下のアッセイで示すことができる:
最低阻害濃度(MIC)の決定:
NCCLSのガイドラインに準じる液体希釈試験でMICを決定する。黄色ブドウ球菌133、エンテロコッカス・フェカリス27159、E.フェシウム4147および肺炎連鎖球菌G9aの終夜培養物を、1:2希釈系列の記載した試験物質と共に培養する。MICの決定は、Isosensitest 培地 (Difco, Irvine/USA)中、1ml当たり微生物10個の細胞数で実施し、肺炎連鎖球菌は例外とし、これは10%ウシ血清を含むBHIブロス (Difco, Irvine/USA) 中、微生物10個の細胞数で試験する。培養物を37℃で18−24時間、肺炎連鎖球菌は10%COの存在下で、インキュベートする。
MICは、もはや視認できる細菌の増殖が起こらない各物質の最低濃度と定義される。MIC値は、μg/mlで報告する。
【0139】
本発明の化合物の代表的インビトロ活性データを表Aに示す:
表A
【表3】

【0140】
細菌感染の処置に対する本発明の化合物の適合性は、以下の動物モデルで示すことができる:
黄色ブドウ球菌133による全身感染:
黄色ブドウ球菌133の細胞を、BHIブロス(Oxoid, New York/USA)中で終夜増殖させる。終夜培養物を新鮮なBHIブロス中で1:100に希釈し、3時間インキュベートする。そのとき対数増殖期にある細胞を、遠心分離し、緩衝生理塩水で2回洗浄する。次いで、塩水中の細胞の懸濁液を、測光法で吸光度50ユニットに調節する。希釈段階(1:15)の後、この懸濁液を10%ムチン溶液と1:1で混合する。マウス20gにつき、この感染溶液0.25mlを腹腔内投与する(微生物1x10個/マウスに相当する)。感染の30分後に、腹腔内または静脈内で治療を行う。雌のCFW1マウスを感染実験に使用する。動物の生存を6日間にわたり記録する。
【0141】
腎耐性に関する本発明の化合物の特性は、以下の動物モデルで示すことができる:
腎毒性作用の決定のためのマウスモデル:
ノナデプシペプチドの腎毒性の副作用を、特定用量の複数回投与後のマウスおよび/またはラットの腎臓の組織病理学的調査により分析する。この目的で、5−6匹の動物を、静脈内(i.v.)または腹腔内(i.p.)で、水性溶液に溶解した、または Solutol を添加した物質により毎日処置する。腎臓のヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色パラフィン切片の光学顕微鏡による評価で腎毒性作用を決定する。糖タンパク質をより良好に可視化するために、過ヨウ素酸シッフ(PAS)反応を実施することもある。各動物について腎毒性作用を、尿細管の好塩基球増加症および変性/再生の発生の重篤度(重篤度:0=作用なし;1=最小の作用;2=僅かな作用;3=中度の作用;4=重篤な病変)として、準定量的に特定する。尿細管の変性/再生の平均重篤度および発生率(罹患した動物の数)を各動物群または誘導体について算出する。尿細管の拡張並びに壊死および壊死性物質の蓄積など、これを超えて進行する腎臓の変化を同様に列挙する。
【0142】
Transil による遊離比率の決定の原理:
ここで説明する試験物質の遊離比率(f)の決定方法は、2部に分けられる:
a)試験物質を Transil(登録商標)−バッファー(pH7.4)分散物中でインキュベートし、続いて分散物中およびバッファー上清中の濃度を決定することによる、Transil(登録商標)/バッファー分布比(MAバッファー)の決定。
b)試験物質を Transil(登録商標)−血漿分散物中でインキュベートし、続いて分散物中および血漿中の濃度を決定することによる、Transil(登録商標)/血漿分布比(MA血漿)の決定。
これらの2つの分布比の比率が、fとなる。
【0143】
タンパク質結合が多い物質の場合、血漿を、通常、等張リン酸バッファー(pH7.4)で希釈し、次いで Transil(登録商標)で懸濁する。この希釈タンパク質溶液におけるf'(希釈血漿中での遊離比率)の決定は、fの決定と同様に行う。未希釈血漿における遊離比率は、f'および希釈率から算出する。
【0144】
この方法に関し、Schuhmacher, Joachim; Kohlsdorfer, Christian; Buehner, Klaus; Brandenburger, Tim; Kruk, Renate, "High-throughput determination of the free fraction of drugs strongly bound to plasma proteins." Journal of Pharmaceutical Sciences 2004, 93, 816-830 も参照。
【0145】
本発明の化合物の遊離比率の決定の代表的データを、表Bに示す:
表B
【表4】

【0146】
Transil(登録商標)とバッファー(MAバッファー)とに分布した後の試験物質の膜親和性の測定:
全てのインキュベーションは、適するガラス容器、例えばガラスバイアル、受け口をすりガラスにした(ground-socket)試験管の中で実施する。一般に、総量は0.5−5mlであり、Transil(登録商標)の量は10−100μlである。膜親和性が高いと予測される場合には、Transil(登録商標)分散物をpH7.4のリン酸バッファー、例えばダルベッコのPBSで、20倍まで希釈できる。pH7.4のリン酸バッファーをインキュベーション容器に加え、徹底的に混合した後にTransil(登録商標)をピペットで加える。例えば200ng/mLの濃度で、n=6で、試験物質をピペットで加える。有機溶媒の割合は、2%であるべきである。混合物を、室温で30分間、例えば小型シェーカー上で、約45°の角度で、約400rpmでインキュベートする。100%値を決定するために、例えば100μlの少なくとも1個のアリコートを取り出し、残りの混合物を約1800gで約10分間遠心分離する。濃度の測定のために、上清の少なくとも2個のアリコート(例えば100μl)を各サンプルから取り出す。
【0147】
非希釈または希釈血漿におけるMA血漿の測定:
総インキュベーション量および Transil(登録商標)の添加量 は、予測される遊離比率に依存する。一般に、総量は0.5−1mlであり、Transil(登録商標)の量は10−100μlである。遊離比率が非常に低い場合、調査すべき種の血漿を、等張バッファー溶液、pH7.4で、例えば10−400倍に希釈し、次いで Transil(登録商標)を添加する。後続の手順は、MAバッファー値の測定について上記した通りに行う。
【0148】
限外濾過による遊離比率の測定の原理:
調査すべき種の血漿を、半透膜を通して濾過する。濾液の物質濃度を測定し、そこから遊離比率fを算出する。Millipore/Amicon の Centrifree 微小分配システムを使用する。限外濾過膜は、30000Daのカットオフを有する。血漿1mlに約1μg/mlの濃度で物質を加える。溶媒の割合は、<2%であるべきである。室温で30分間インキュベートした後、血漿を限外濾過システムにピペットで加え、1800gで10分間遠心分離する。限外濾液中の物質濃度(C;非結合物質濃度)および遠心分離前の血漿中の物質濃度(C;総物質濃度)を測定する。式:f(%)=C/C*100により遊離比率を算出する。
【0149】
化合物の溶解性は、当業者に知られている方法により測定する。
【0150】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
実施例1の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
有効成分、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥し、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機を使用して打錠する(錠剤の形状は上記参照)。打錠力15kNを、打錠のガイドラインとして使用する。
【0151】
経口投与できる懸濁液:
組成:
実施例1の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel (FMC, Pennsylvania, USA のキサンタンゴム)400mgおよび水99g。
経口懸濁液10mlは、本発明の化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、有効成分を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。混合物を約6時間、Rhodigel の膨張が完了するまで撹拌する。
【0152】
静脈内投与できる液剤:
組成:
実施例1の化合物100−200mg、ポリエチレングリコール400 15gおよび注射用の水250g。
製造:
実施例1の化合物をポリエチレングリコール400と共に水に撹拌しながら溶解する。溶液を濾過滅菌し(孔の直径0.22μm)、無菌条件下で加熱滅菌した点滴瓶に分配する。後者を点滴ストッパーおよびクリンプキャップで閉じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
は、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、5員または6員の複素環、5員または6員のヘテロアリール、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
は、水素、C−C−アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す]
の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項2】

【化2】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
は、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、5員または6員の複素環、5員または6員のヘテロアリール、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
は、水素、C−C−アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルを表す]
に相当することを特徴とする、請求項1に記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項3】
式中、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
が、水素またはメチルを表す
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項4】
式中、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項5】
式中、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項6】
請求項1に記載の式(Ia)の化合物の製造方法であって、式
【化3】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物を、式
【化4】

(式中、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項7】
がメチルを表すことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式中、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
が、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個ないし2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から相互に独立して選択され、
が、水素またはメチルを表す
ことを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式中、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す
ことを特徴とする、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
式中、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、C−C−アルキルを表し、
ここで、アルキルは、1個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、{[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}エトキシ、フェニル、モルホリン−4−イル、ピリド−3−イル、ベンジルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され、
が、水素またはメチルを表す
ことを特徴とする、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】

【化5】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す]
の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項12】

【化6】

[式中、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、1−トリメチルシリルメチルまたは3−ピリジルメチルを表し、
ここで、3−ピリジルメチルは、トリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく、
は、2−メチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、2,2−ジメチルブト−1−イル、2−エチル−2−メチルブト−1−イル、2,2−ジエチルブト−1−イル、2,2−ジメチルペント−1−イルまたは1−トリメチルシリルメチルを表す]
に相当することを特徴とする、請求項11に記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項13】
式中、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表し、
が、2−メチルプロプ−1−イルを表す
ことを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項14】
式中、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表し、
が、2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表す、
ことを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の化合物、または、それらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の1つ。
【請求項15】
請求項11に記載の式(IIa)の化合物の製造方法であって、式
【化7】

(式中、R、RおよびRは、請求項11に記載の意味を有する)
の化合物を、適当な溶媒中で、酸により加水分解することを特徴とする、方法。
【請求項16】
加水分解を、室温ないし50℃の温度範囲で、大気圧下で実施することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
加水分解を、室温で、大気圧下で実施することを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
溶媒が、ジオキサン、テトラヒドロフラン、水およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15ないし請求項17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
溶媒が、ジオキサンと水の混合物およびテトラヒドロフランと水の混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
酸が、鉱酸および他の強酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15ないし請求項19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
酸が鉱酸であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
酸が、塩酸およびメタンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
酸が塩酸であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
がメチルを表すことを特徴とする、請求項15ないし請求項23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
およびRが2−メチルプロプ−1−イルを表すことを特徴とする、請求項15ないし請求項24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
およびRが2,2−ジメチルプロプ−1−イルを表すことを特徴とする、請求項15ないし請求項24のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物。
【請求項28】
疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項29】
細菌感染の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項30】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に許容し得る補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項31】
細菌感染の処置および/または予防用の請求項30に記載の医薬。
【請求項32】
抗菌的に有効な量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物、請求項30に記載の医薬、または請求項28もしくは請求項29に従って得られる医薬を投与することによる、ヒトおよび動物における細菌感染の制御方法。

【公表番号】特表2009−524613(P2009−524613A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551727(P2008−551727)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000645
【国際公開番号】WO2007/085456
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(506207901)アイキュリス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】AiCuris GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】