説明

アゾベンゼン骨格を有する樹脂層を含む熱転写記録媒体

【課題】簡便な機構で、コスト・作成時間・廃棄物を最小限にして、セキュリティー性の良好な個人認証媒体を得る。
【解決手段】基材上に、画像層、画像層を介して基材上に形成された受像層、及び受像層上に形成され、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を有する熱転写記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融型あるいは昇華型の熱転写インクを用いた熱転写記録技術に係り、特に、熱転写インク画像を形成し得る熱転写インク受像層を備えた積層樹脂フィルム、この積層樹脂フィルムを備えた熱転写記録媒体、及び熱転写インク受像層上に熱転写インク画像を記録し、例えば紙あるいはプラスチック等の基材上に熱接着して得られる個人認証媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IDカードや有価証券、査証等高いセキュリティ性を要求される個人認証媒体に対しては、改ざんや偽造防止のための種々の技術が試みられている。
【0003】
特殊印刷を施した個人認証媒体は目視または何らかの器具等を用いることによりその印刷の有無を判別することが可能であり、印刷物の改ざん、偽変造を困難にし高いセキュリティ性を付与することが可能である。
【0004】
このような特殊印刷としては、例えば地紋印刷、マイクロ文字印刷、透かし印刷、透明ホログラム印刷、ステルス蛍光印刷等があげられる。
透明ホログラム印刷は、波長の等しい2つの光すなわち物体光と参照光を干渉させて物体光の波面を干渉縞として感光材料に記録したものである。ホログラムはそのパターンの複製が困難である特性を利用して、セキュリティー用途に使用されている。
【特許文献1】特願2002−139504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、簡便な機構で、コスト・作成時間・廃棄物を最小限にして、セキュリティー性の良好な個人認証媒体を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の積層樹脂フィルムは、受像層、及びレーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の個人認証媒体は、基材、該基材上に形成された画像層、該画像層を介して該基材上に形成された受像層、及び該受像層上に形成され、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の熱転写記録媒体は、支持シート、該支持シート上に形成された積層樹脂フィルムを含み、
該積層樹脂フィルムは、該支持シート側から、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層、及び該アゾベンゼン骨格を含む樹脂層上に形成された溶融型または昇華型熱転写インク受像層を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡便な機構で、コスト・作成時間・廃棄物を最小限にして、セキュリティー性の良好な個人認証媒体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の積層樹脂フィルムは、受像層、及びレーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を含む。
【0011】
また、本発明の個人認証媒体は、上記積層樹脂フィルムを備えた印刷物の一例であって、基材、基材上に形成された画像層、画像層を介して基材上に形成された受像層、及び受像層上に形成され、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を具備する。
【0012】
さらに、本発明の溶融型熱転写記録媒体は、支持シート、支持シート上に剥離可能に形成された上記積層樹脂フィルムを含み、積層樹脂フィルムは、支持シート側から、干渉させて物体光の波面を干渉縞として感光材料に記録、受像層の順に積層されている。
【0013】
本発明に用いられる積層樹脂フィルムは、その受像層上にセキュリティ画像例えば文字画像、及び人物画像等を形成できる。また、本発明に使用されるレーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層は、光誘起複屈折性を示し、レーザー光の照射により光誘起異性体を形成し、光誘起異性体が形成された部分は体積変化を生じることから、光誘起二色性を発現する。そのアゾベンゼン骨格を含む樹脂層に、直接偏光を照射すると、光異性化が誘起されて、直線偏光の方向に応じて屈折率の異性化を生じ、偏光方向を記録し、保存することができる。アゾベンゼン骨格を含む樹脂層に、この直接偏光(物体光)と同じ波長の参照光をその偏光方向を平行にして照射して干渉させると、直接偏光の偏光角をホログラムとして記録することができる。一方、物体光と参照光の偏光方向を直交させると、物体光をホログラムとして記録することができる。
【0014】
図1に、本発明に係る積層樹脂フィルムの一例の断面構造を表す図を示す。
【0015】
積層樹脂フィルム10は、図示するように、受像層3上に、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層2が積層されている。
【0016】
この積層樹脂フィルムは、例えば支持シート上に、受像層となる樹脂材料と、アゾベンゼン骨格を含む樹脂材料とを、各々好適な溶剤とを含む樹脂塗布液を調製し、順に塗布し、乾燥した後、支持シートを除去することにより形成することができる。この樹脂塗布液は、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、及びホットメルトコート等により塗布し得る。あるいは、受像層となる樹脂フィルム上にアゾベンゼン骨格を含む樹脂材料を塗布して形成することができる。さらには、受像層となる樹脂フィルムとアゾベンゼン骨格を含む樹脂フィルムとを接着剤層を介して接着させることにより積層することができる。
【0017】
本発明に係る熱転写記録媒体は、上記支持シートが形成された状態のものと同様でありる。
【0018】
図2に、その一例の断面構造を表す図を示す。
【0019】
図示するように、この熱転写記録媒体20は、支持シート1、支持シート1上に剥離可能に形成された積層樹脂フィルム10を含み、積層樹脂フィルム10は、支持シート1側から、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層2、及びアゾベンゼン骨格を含む樹脂層2上に形成された受像層3を含む。
【0020】
この熱転写記録媒体20は、その上に例えば溶融型熱転写インク及び昇華型熱転写インク等の熱転写インクにより画像層を形成した後、例えば紙、プラスチック等の基材に熱接着し得る。
【0021】
図3に、図2に示す熱転写記録媒体20を用いて得られた個人認証媒体の構成の一例を表す概略断面図を示す。また、図4に、図3の正面図を示す。
【0022】
図示するように、この個人認証媒体30は、例えばプラスチックからなる基材5上に形成された例えば人物画像層4及び文字画像層4’、受像層3、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層2が順に積層された構成を有する。
【0023】
人物画像及び文字画像等の画像層4,4’は、熱転写記録媒体20の受像層3表面に、例えば溶融型及び昇華型等の熱転写インクリボンを適用し、例えばサーマルヘッド等の加熱記録手段を用いて熱転写記録を行うことにより形成することができる。画像層4,4’の形成後、画像層4,4’上に基材5を配置し、例えば熱と圧力を同時に加え得るヒートローラ等に通し、受像層3を、全体に加熱することにより、または例えばホットスタンプ機等により所望のパターンで選択的に加熱することにより、受像層3を基材5上に全体或いは部分的に熱接着することができる。その後、支持シート1を剥離することにより、図3に示す個人認証媒体30が得られる。基材として接着層付き基材を用い、画像層4,4’及び受像層3を基材5と接着することもできる。
【0024】
次に、レーザー記録装置を用いて、印画転写物表面にレーザーを照射することにより、白濁した画像7を記録し、最終的な個人認証媒体が得られる。
【0025】
図5に、レーザー記録装置の一例の構成を表す概略図を示す。
【0026】
図示するように、このレーザー記録装置は、出力50mWの青色半導体レーザー101、空間光変調器102、レンズ103、及び図示しないミラー等からなる記録装置を用いて、印刷物104表面にレーザーを照射することにより、白濁した画像を記録し得る。
【0027】
本発明に使用し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂の一例の構造式を下記式(1)に示す。
【化1】

【0028】
支持シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いることができる。
【0029】
熱転写インクとしては、溶融型熱転写インクまたは昇華型熱転写インクを使用することができる。
【0030】
受像層は、溶融型熱転写インクを用いる場合は、溶融型熱転写インク受像層、昇華型熱転写インクを用いる場合は昇華型熱転写インク受像層を用いることができる。
【0031】
溶融型熱転写インク受像層としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等を用いることができる。
【0032】
昇華型熱転写インク受像層としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等を用いることができる。
【0033】
溶融型熱転写インクとしては、例えばポリエステル樹脂と着色顔料を用いることができる。
【0034】
昇華型熱転写インクとしては、例えばアクリル樹脂と着色染料を用いることができる。
【0035】
本発明に係る熱転写記録媒体において、支持シートとアゾベンゼン骨格を含む樹脂層との間に、易接着層及び剥離層のうち1つの中間層をさらに設けることができる。
【0036】
上述のように、受像層を基材上に熱接着し、その上に設けられた支持体を剥離して除去する場合には、さらに剥離層を設けることにより、支持シートとアゾベンゼン骨格を含む樹脂層との剥離をより良好にすることができる。
【0037】
また、支持シートは剥離せずに保護層として使用することができる。支持シートを保護層として使用する場合には、さらに易接着層を設けることにより、支持シートとアゾベンゼン骨格を含む樹脂層との接着をより良好にすることができる。
【0038】
なお、易接着層とは、例えばアゾベンゼン骨格を含む樹脂層形成時に、好ましくは、各層の塗布液の溶剤による溶解あるいは乾燥温度で、支持シートをアゾベンゼン骨格を含む樹脂層に十分に接着し得る層をいう。
【0039】
図6は、本発明の熱転写記録媒体の他の例の構成を表す概略断面図である。
【0040】
図示するように、この熱転写記録媒体40は、支持体1と積層樹脂フィルム10との間、この場合には、支持体1とレーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層2との間に、中間層として例えば例えば易接着層6が設けられている以外は、図2に示す熱転写記録媒体と同様の構成を有する。
【0041】
易接着層6は、例えばグラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、ホットメルトコート等により形成することができる。
【0042】
尚、易接着層6の代わりに剥離層を設けることもできる。
【0043】
図7に、図6に示す熱転写記録媒体40を用いて得られた個人認証媒体の構成の他の一例を表す概略断面図を示す。
【0044】
図示するように、この個人認証媒体50は、支持体1と積層樹脂フィルム10との間、この場合には、支持体1とレーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層2との間に、易接着層6が設けられている以外は、図3に示す個人使用媒体30と同様の構成を有する。
【0045】
なお、易接着層の代わりに剥離層を用いる場合には、この剥離層は、アゾベンゼン骨格を含む樹脂層上に部分的に残留しても、支持シートと共に剥離除去されても良い。除去される場合には、得られる印刷物は、図3に示す個人使用媒体30と同様の構成を有する。
【0046】
易接着層には、基材フィルムと、支持シートと、積層樹脂フィルムこの場合にはアゾベンゼン骨格を含む樹脂層との十分な接着力が要求される。この要求を満足する樹脂は、支持シートと、積層樹脂フィルムの支持シート側の表面層例えばアゾベンゼン骨格を含む樹脂層の材質に応じて選択され、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等が挙げられる。
【0047】
易接着層に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、三井・デュポン・ポリケミカル(株)製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー(株)製モビニール081F、住友化学工業(株)製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業(株)製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ(株)製ボンドCZ250、ボンドCV3105等のがあげられる。
【0048】
易接着層に用いられるアクリル樹脂としては、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−53、ダイヤナールBR−64、ダイヤナールBR−77、ダイヤナールBR−79、ダイヤナールBR−90、ダイヤナールBR−93、ダイヤナールBR−101、ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106、ダイヤナールBR−107、ダイヤナールBR−112、ダイヤナールBR−115、ダイヤナールBR−116、ダイヤナールBR−117、ダイヤナールBR−118等があげられる。
【0049】
易接着層に用いられるポリエステル樹脂としては、東洋紡績(株)製バイロン103、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン300、バイロン500、バイロン530、バイロン550、バイロン560、バイロン600、バイロン630、バイロン650、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380等があげられる。
【0050】
剥離層に用いる樹脂は、支持シートとの接着力が適度に調節されていることが望ましい。接着力が過度に大きいと、熱接着後に支持体を剥離しにくくなる。また、接着力が過度に小さいと、支持シートは容易に剥離できるが、積層樹脂フィルムに熱接着されない不所望な樹脂層が残る傾向がある。
【0051】
剥離層に適した適度な接着力を持つ樹脂としては、ワックス、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等があげられる。
【0052】
剥離層に用いられるワックスとしては、例えばポリエチレンワックスやカルナバワックス等が好ましく使用できる。具体的には、日本精蝋(株)製Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、PALVAX−1230、PALVAX−1330、PALVAX−1335、PALVAX−1430、BONTEX−0011、BONTEX−0100、BONTEX−2266等があげられる。
【0053】
剥離層に用いられる酢酸ビニル樹脂としては、具体的には、電気化学工業(株)製サクノールSN−04、サクノールSN−04S、サクノールSN−04D、サクノールSN−09A、サクノールSN−09T、サクノールSN−10、サクノールSN−10N、サクノールSN−17A、ASR CH−09、ASR CL−13、クラリアントポリマー(株)製モビニールDC、ダイセル化成品(株)製セビアンA530、セビアンA700、セビアンA707、セビアンA710、セビアンA712、セビアンA800等があげられる。
【0054】
剥離層に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー(株)製モビニール081F、住友化学工業(株)製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業(株)製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ(株)製ボンドCZ250、ボンドCV3105等があげられる。
【0055】
剥離層に用いられるアクリル樹脂としては、具体的には、ダイセル化成品(株)製セビアンA45000、セビアンA45610、セビアンA46777、セビアンA4635、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−80、ダイヤナールBR−83、ダイヤナールBR−85、ダイヤナールBR−87、ダイヤナールBR−101、ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106等があげられる。
【0056】
剥離層に用いられるシリコーン樹脂としては、具体的には、東芝シリコーン(株)製トスガード510等があげられる。
【0057】
剥離層に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン200、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン280、バイロン296、バイロン530、バイロン560、バイロン600、バイロナールMD1100、バイロナールMD1200、バイロナールMD1245、バイロナールMD1400、バイロナールGX−W27、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380等があげられる。
【0058】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0059】
実施例1
支持シートとして、厚さが25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品型番:ルミラーS10)を用意し、その片面に下記組成の剥離層塗布液をグラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが1μmになるように塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、剥離層を形成した。
【0060】
剥離層塗布液組成
酢酸ビニル樹脂(ダイセル化成品(株)製商品名:セビアンA800)
20重量部
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製商品名:ダイヤナールBR−87)
10重量部
メチルエチルケトン 35重量部
トルエン 35重量部
次に、この剥離層の上に、下記組成のアゾベンゼン骨格を有する樹脂層を、グラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが10μmになるよう、塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥した。
【0061】
アゾベンゼン骨格を有する樹脂層塗布液
上記構造式(1)で表されるアゾベンゼン骨格を有する樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、このアゾベンゼン骨格を有する樹脂層上に、下記組成の熱溶融性インク受像層兼接着層塗布液を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みが5μmになるよう塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、熱溶融性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0062】
熱溶融性インク受像層兼接着層塗布液1
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製商品名:エリーテルUE−3350)
20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、市販の溶融型熱転写記録用カードと、溶融型熱転写記録用インクリボンを用意し、顔画像を記録した。その後、この顔画像近傍に上記の転写型筆記層を適用し、ヒートローラー温度120℃に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱接着し、基材を剥離して印刷物を得た。
【0063】
次に、図5と同様の構成を有する印刷物表面にレーザーを照射することにより、白濁した画像を記録し、最終的な個人認証媒体を得た。
【0064】
得られた個人認証媒体は、易接着層6の代わりに剥離層を使用すること以外は図3に記載の個人認証媒体と同様である。
【0065】
この熱転写記録媒体から支持シートを剥離すると、本発明に係る積層樹脂フィルムが得られるものである。
【0066】
実施例2
支持シートとして、厚さが25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品型番:ルミラーS10)を用意し、その片面に下記組成の剥離層塗布液をグラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが1μmになるように塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、剥離層を形成した。
【0067】
剥離層塗布液組成
酢酸ビニル樹脂(ダイセル化成品(株)製商品名:セビアンA800)
20重量部
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製商品名:ダイヤナールBR−87)
10重量部
メチルエチルケトン 35重量部
トルエン 35重量部
次に、この剥離層の上に、下記組成のアゾベンゼン骨格を有する樹脂層を、グラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが10μmになるよう、塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥した。
【0068】
アゾベンゼン骨格を有する樹脂層塗布液
上記構造式(1)で表されるアゾベンゼン骨格を有する樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、このアゾベンゼン骨格を有する樹脂層上に、下記組成の熱昇華性インク受像層兼接着層塗布液を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みが5μmになるよう塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、熱昇華性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0069】
熱昇華性インク受像層兼接着層塗布液2
ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製商品名:バイロン200)
20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、市販の昇華型熱転写記録用カードと、昇華型熱転写記録用インクリボンを用意し、顔画像を記録した。その後、この顔画像近傍に上記の転写型筆記層を適用し、ヒートローラー温度120℃に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱接着し、基材を剥離して印刷物を得た。
【0070】
次に、図5と同様の構成を有する印刷物表面にレーザーを照射することにより、白濁した画像を記録し、最終的な個人認証媒体を得た。
【0071】
得られた個人認証媒体は、易接着層6の代わりに剥離層を使用すること以外は図3に記載の個人認証媒体と同様である。
【0072】
実施例3
易接着層が形成された厚さ50μmの透明ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品型番:ルミラーQ27)を用意し、カードの大きさに切断後、その片面に下記組成のアゾベンゼン骨格を有する樹脂層を、グラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが10μmになるよう、塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥した。
【0073】
アゾベンゼン骨格を有する樹脂層塗布液
上記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格を有する樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、このアゾベンゼン骨格を有する樹脂層上に、下記組成の熱溶融性インク受像層兼接着層塗布液を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みが5μmになるよう塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、熱溶融性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0074】
熱溶融性インク受像層兼接着層塗布液1
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製商品名:エリーテルUE−9800)
20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、市販の溶融型熱転写記録用カードと、溶融型熱転写記録用インクリボンを用意し、顔画像を記録した。その後、この顔画像近傍に上記の転写型筆記層を適用し、ヒートローラー温度120℃に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱接着し、基材を剥離して印刷物を得た。
【0075】
次に、図5と同様の構成を有する印刷物表面にレーザーを照射することにより、白濁した画像を記録し、最終的な個人認証媒体を得た。
【0076】
得られた個人認証媒体は、図3と同様の構成を有する。
【0077】
実施例4
易接着層が形成された厚さ50μmの透明ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品型番:ルミラーQ27)を用意し、カードの大きさに切断後、その片面に下記組成のアゾベンゼン骨格を有する樹脂層を、グラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが10μmになるよう、塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥した。
【0078】
アゾベンゼン骨格を有する樹脂層塗布液
上記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格を有する樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、このアゾベンゼン骨格を有する樹脂層上に、下記組成の熱昇華性インク受像層兼接着層塗布液を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みが5μmになるよう塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、熱昇華性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0079】
熱昇華性インク受像層兼接着層塗布液2
ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製商品名:バイロン200)
20重量部
メチルエチルケトン 40重量部
トルエン 40重量部
次に、市販の昇華型熱転写記録用カードと、昇華型熱転写記録用インクリボンを用意し、顔画像を記録した。その後、この顔画像近傍に上記の転写型筆記層を適用し、ヒートローラー温度120℃に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱接着し、基材を剥離して印刷物を得た。
【0080】
次に、図5と同様の構成を有する印刷物表面にレーザーを照射することにより、白濁した画像を記録し、最終的な個人認証媒体を得た。
【0081】
得られた個人認証媒体は、図3と同様の構成を有する。
【0082】
実施例1ないし4において得られた個人認証媒体は、いずれも、上記式(1)に示すようなアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を適用することにより、レーザ記録装置を用いてレーザ光を照射する簡単な操作で、短時間に低コストで作成でき、現像等の操作が入らないため、廃棄物が少なく、かつ複製の困難な白濁のセキュリティーパターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る積層樹脂フィルムの一例の断面構造を表す図
【図2】本発明に係る熱転写記録媒体の一例の断面構造を表す図
【図3】本発明に係る個人認証媒体の構成の一例を表す
【図4】図3の正面図
【図5】本発明に使用されるレーザー記録装置の一例の構成を表す概略図
【図6】本発明の熱転写記録媒体の他の例の構成を表す概略断面図
【図7】本発明の個人認証媒体の構成の他の一例を表す概略断面図
【符号の説明】
【0084】
1…、2…、3…受像層、4,4’…画像層、5…基材、6…易接着材、10…積層樹脂フィルム、20,40…個人認証媒体、30,50…熱転写記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受像層、及びレーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を含むことを特徴とする積層樹脂フィルム。
【請求項2】
基材、該基材上に形成された画像層、該画像層を介して該基材上に形成された受像層、及び該受像層上に形成され、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層を具備することを特徴とする個人認証媒体。
【請求項3】
支持シート、該支持シート上に形成された積層樹脂フィルムを含み、
該積層樹脂フィルムは、該支持シート側から、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層、及び該アゾベンゼン骨格を含む樹脂層上に形成された溶融型熱転写インク受像層を含むことを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項4】
支持シート、該支持シート上に形成された積層樹脂フィルムを含み、
該積層樹脂フィルムは、該支持シート側から、レーザー光を照射することにより情報を記録し得るアゾベンゼン骨格を含む樹脂層、及び該アゾベンゼン骨格を含む樹脂層上に形成された昇華型熱転写インク受像層を含むことを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項5】
前記支持シート及び前記積層樹脂フィルム間に易接着層が設けられたことを特徴とする請求項3または4に記載の熱転写記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−149537(P2008−149537A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338663(P2006−338663)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】