説明

アディポネクチン産生強化剤

【課題】安全性が高く、しかも、アディポネクチン産生増強作用の十分に強い新規な薬剤を開発する。
【課題を解決するための手段】
抗糖尿病薬であるチアゾリジンジオンに、以下の一般式(1)で示されるフェノール性化合物、あるいはさらに、カフェイン等のキサンチン誘導体を配合して、アディポネクチン産生を極めて顕著に増強又は促進する薬剤を得る。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品及び健康食品において有用な、アディポネクチン産生を増強もしくは促進する薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
最近我が国では2型糖尿病等生活習慣病が急増し社会問題にもなっている。ところで、これら生活習慣病の多くはアディポネクチンというホルモンの不足が密接に関係しており、これを増加させれば改善できることが医学的に示された(非特許文献1)。アディポネクチンは主として脂肪組織の脂肪細胞により産生され、脂肪細胞は中胚葉由来の前駆脂肪細胞からさまざまなホルモンの影響下で分化して生じる。従って、前駆脂肪細胞の分化誘導剤や成熟脂肪細胞のアディポネクチン産生促進剤は生体においても血中アディポネクチンレベルの維持、向上に有効である。このような薬剤としてピオグリタゾン等の合成チアゾリジンジオン類がある(特許文献1、非特許文献2)。しかし、この薬剤は副作用も強いため予防や軽い段階の治療に簡単に用いることはできない。この他、サルポグレラート(特許文献2)、プラバスタチン誘導体(特許文献3,4)、キナーゼ阻害剤IMD-0354(非特許文献3)等もアディポネクチン産生促進作用を有するが同様の問題がある。一方、天然化合物やその誘導体では発酵茶(特許文献5)、エルゴステロール、オリザノールエステル(特許文献6)、大豆蛋白(非特許文献4)、アントシアニン(非特許文献5)、ピリミジンヌクレオシド誘導体(非特許文献6)、共役リノール酸(非特許文献7)等にアディポネクチン産生増強作用のあることが知られているがピオグリタゾン等に比べて十分に強い活性ではない。
【0003】
本発明者等は最近、ショウガ科植物根茎に含まれるクルクミンやジンゲロール、それらに類似の部分構造を有するN-フェルロイルトリプタミンやβ-フェネチルフェルレート等フェルラ酸誘導体、さらにホモバニリン酸やバニリン酸のアミドやエステル、カプサイシンやバニリルアミンの3-フェニル-2-プロペンアミド等が培養脂肪細胞のアディポネクチン産生を促進・増強し、2型糖尿病のモデルマウスを用いた実験においても血糖降下に有効であることを見出した(特許文献7、8、特願2004-201827号、特願2004-345134号、特願2005-61659号、特願2005-194160号、特願2005-218519号)。当該活性は4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル核ともう1つの芳香核が原子数4〜6の直鎖のアミドもしくはエステルで連結された構造の化合物において最も顕著である。しかし、そればかりでなく4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸n-ブチルエステルのように芳香核が1つの場合や、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミドのようにフェノール性水酸基に隣接するメトキシ基を欠く場合も弱い当該活性を示す。従って、当該活性を持つ化合物は一般式1としてまとめられる。式1に包括される化合物がアディポネクチン産生増強作用を持つことは本発明者らの前述の特許出願以外今まで全く知られていなかった。ところで、これらの化合物のうちクルクミンはカレー粉に含まれ、N-フェルロイルトリプタミンやβ-フェネチルフェルレート等はトウモロコシ(非特許文献8)、プロポリス(非特許文献9)、漢方薬用植物(非特許文献10)等に、カプサイシンは唐辛子に、バニリン酸やp-クマル酸の低級アルキルエステルはワイン(非特許文献11)、オリーブ油(非特許文献12)、ブルーベリー(非特許文献13)、プロポリス(非特許文献14)等に、また高級アルキルエステルも漢方薬用植物等に含まれ (非特許文献15、16)、さらにp-クマル酸のチラミンアミドやベンジルエステルなど芳香核を持つアミン、アルコールの誘導体も漢方薬(非特許文献17)やプロポリス(非特許文献9)に含まれ、従来からヒトにおいて経口摂取されている。従って、本発明の化合物の安全性は高く日常的に利用可能と考えられる。アディポネクチン産生増強活性も上述のように動物試験で有効性が示される程度に強い。しかし、実用化を念頭においた場合この活性がさらに強いことが望まれた。
【特許文献1】米国特許第6153432号明細書;
【特許文献2】特開2005-53890号公報
【特許文献3】国際公開 WO2004096278号パンフレット
【特許文献4】特開2005-232150号公報
【特許文献5】特開2004-315379号公報
【特許文献6】特開2005-68132号公報
【特許文献7】特開2005-60308号公報
【特許文献8】特開2005-225872号公報
【非特許文献1】前田法一他、モレキュラー・メディシン、Vol. 42, No.1, 11 - 21 (2005)
【非特許文献2】N. Maeda et al., Diabetes, 50, 2094 - 2099 (2001)
【非特許文献3】Kamon et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 323, 242 - 248 (2004)
【非特許文献4】Nagasawa et al., Horm. Metab.Res., 34, 635-639 (2002)
【非特許文献5】Tsuda et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 316, 149-157 (2004)
【非特許文献6】Lihn et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 316, 853-858 (2004)
【非特許文献7】Nagao et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 310, 562 - 566 (2003)
【非特許文献8】A. Ehmann, Phytochem., 13, 1979-1983 (1974)
【非特許文献9】P. Georgieva et al., Z. Naturforsch., 52c, 60 - 64 (1997)
【非特許文献10】S. Zschocke et al., Planta Med., 63, 203 - 206 (1997)
【非特許文献11】R. Schneider et al., J. Agric. Food Chem., 46(8), 3230 - 3237 (1998)
【非特許文献12】M. Esti et al., Riv. Ital. Sostanze Grasse, 73(4), 147 - 150 (1996)
【非特許文献13】F. Kader et al., Food Chem.,Volume Date 1996, 55(1), 35 - 40 (1995)
【非特許文献14】W. Greenaway et al., Proc. R. Soc. London, B, 232(1268), 249 - 272 (1987)
【非特許文献15】U. Koetter et al., Planta Med., 59(3), 279 - 280 (1993);
【非特許文献16】M. Li et al., Zhongcaoyao, 23(5), 227 - 228 (1992)
【非特許文献17】T. Okuyama et al., Planta Med., (3), 171 - 175 (1986)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全性が高く、しかも、アディポネクチン産生増強作用の十分に強い新規な薬剤を開発する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる状況において、本発明者らは鋭意検討の結果、上記フェノール性化合物の一部が転写因子RXRαを活性化することを示唆する知見を得て、さらに、RXRαと結合してアディポネクチンの転写開始に機能する他の転写因子PPARγを活性化する目的で、そのリガンドであるピオグリタゾンを本フェノール性化合物と同時に投与したところ、前駆脂肪細胞におけるアディポネクチンの産生がそれぞれ単独での投与に比べて著しく増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
ピオグリタゾンは抗糖尿病チアゾリジンジオンの一種で臨床に使用されている。ピオグリタゾンは上述のごとくPPARγを活性化し、アディポネクチンを初めとする多くの糖・脂質代謝関連遺伝子の発現に機能し、全体として高血糖など糖尿病の症状を改善する。本発明によれば前記したフェノール性化合物をピオグリタゾンと併用することによりピオグリタゾンの低濃度においても強いアディポネクチン産生促進効果が得られるが、このことは安全な本フェノール性化合物の添加でピオグリタゾンの必要量を減少させることができ、その結果ピオグリタゾンの副作用も減少し、より安全になることを意味する。一方、ピオグリタゾン等のチアゾリジンジオンに配合してPPARγの作用増強をはかるためのRXRα活性化リガンドはすでに多数開発されているが[Tontonoz et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 94, 237 - 241 (1997); Schulman et al., Mol. Cell Biol., 18, 3483 - 3494 (1998); Koch et al., J. Med. Chem., 42, 742 - 750 (1999); Cesario et al., Mol. Endocrinol., 15, 1360 - 1369 (2001); Sato et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 280, 646 - 651 (2001); Sewter et al., Diabetes, 51, 718 - 723 (2002)]、これらはすべて合成化合物であるため、チアゾリジンジオンと同様の毒性、副作用の問題を抱えている。また、これらの化合物の併用によりチアゾリジンジオンによるPPARγ機能の強化は脂肪細胞の分化促進等の諸データから明らかであるが、アディポネクチンの産生増強については直接的には何ら報告されていない。これに対し、本発明におけるフェノール性化合物は後述するように天然由来のものが多く、より安全であると考えられ、しかも、今回アディポネクチンの産生を増強することが実証された。従って、本発明によれば、2型糖尿病ばかりでなく動脈硬化等多くの生活習慣病の予防、治療に有用な薬剤を提供することが可能である。
【0007】
このように、本フェノール性化合物と抗糖尿病チアゾリジンジオン類の混合組成物が強力なアディポネクチン産生増強作用を持つことを明らかにしたが、これをさらに向上、改善すべく検討を重ねた結果、上記2者にテオフィリン、カフェイン、テオブロミン等、茶やコーヒーに通常含まれるキサンチン誘導体を併用することにより一層活性が増大することを見出した。これはキサンチン誘導体が生体内のホスホジエステラーゼを阻害しセカンドメッセンジャーであるcAMPのレベルを上昇させるためと考えられるが、カフェイン等も広く飲用され安全性が高いため、それと本発明の混合組成物との併用はさらなる薬効増強と用量節減の両面において実用上有意義である。また、本発明に関わるフェノール性化合物として、上述のフェルラ酸誘導体やクルクミン、ジンゲロール等の他、構造的に近い関係にある4’-ヒドロキシカルコン誘導体もそれ自体で、あるいはチアゾリジンジオン類との組合せでアディポネクチン産生増進作用を有することを見出した。これらのカルコン類も明日葉や甘草の成分として従来から経口摂取されてきたものであるため安全性が高い。
【0008】
すなわち本発明は以下の発明を包含する。
1)下記一般式(1)で示されるフェノール性化合物及びチアゾリジンジオン類を活性成分として含むことを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生を増強もしくは促進する薬剤。
【化1】

(ただし、式1中においてR1、R2、R3、Rは水素原子(H)、水酸基、アルコキシ基、又は炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基を表し、Xは単結合又は炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基を表し、Yはアミド基(-CO-NH‐もしくは‐NH-CO-)、エステル基(−CO-O-もしくは-O-CO-)、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Zは、水酸基、アルコキシ基、オキソ基、カルボキシル基又はアミノ基により置換されているかあるいは非置換の炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基を表し、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基、オキソ基、アルコキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基により置換されているかあるいは非置換の芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)

2)チアゾリジンジオン類がピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾンのいずれか1つ又は2つ以上であることを特徴とする上記1)に記載の薬剤。

3)さらに、カフェイン、テオフィリン、又はテオブロミンの中から選ばれる1又は2以上のキサンチン誘導体を含有することを特徴とする、上記1)又は2)に記載の薬剤

4)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(2)で示されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化2】

(ただし、式2においてR1は水酸基またはメトキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【0009】
5)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(3)で示されるバニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化3】

(ただし、式3においてR1は水酸基またはメトキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基で置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)

6)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(4)で示されるホモバニリン酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化4】

(ただし、式4においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。)

7)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(5)で示されるp−クマル酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化5】

(ただし、式5においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)

8)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(6)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化6】

(ただし、式6においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【0010】
9)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(7)で示されるバニリルアミン誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化7】

(ただし、式7においてR1は水酸基又はメトキシ基であり、Y1は炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基であり、Zは炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)

10)一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(8)で示されるジンゲロールもしくはその類縁体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化8】

(ただし、式8において、Zは炭素数1〜11の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)

11)一般式(1)で示されるフェノール性化合物がさらに下記一般式(9)で示されるクルクミンもしくはその誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化9】

(ただし、式9においてR1とR2は水素原子又はメトキシ基を表す。)

12)一般式(2)で表される化合物が、N-(β-フェネチル)フェルラミド、フェルロイルトリプタミン、フェルロイルチラミン、β-フェネチルフェルレート、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド、カフェイン酸フェネチルエステル、フェルラ酸2-(3-インドリル)エチル、N-ベンジルフェルラミド、及びN-(3-フェニルプロピル)フェルラミドから選ばれたものであることを特徴とする、上記4)に記載の薬剤。

13)一般式(3)で表される化合物が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(3-フェニルプロピル)-3,4-ジヒドロキシベンズアミド、N-(4-フェニルブチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドから選ばれたものであることを特徴とする、上記5)に記載の薬剤

14)一般式(4)で表される化合物がN-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミドであることを特徴とする、上記6)に記載の薬剤

15)一般式(5)で表される化合物が、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペンアミド又は3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、上記7)に記載の薬剤

16)一般式(6)で表される化合物がN-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴とする、上記8)に記載の薬剤
【0011】
17)一般式(7)で表される化合物が、カプサイシン、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド、N-(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペンアミドから選ばれた化合物であることを特徴とする、上記9)に記載の薬剤

18)一般式(8)で表される化合物が[6]−ジンゲロールであることを特徴とする、上記10)に記載の薬剤

19)一般式(9)で表される化合物がクルクミンであることを特徴とする、上記11)に記載の薬剤

20)一般式(1)で表されるフェノール性化合物が、下記一般式(1b)で示される4’−ヒドロキシカルコン誘導体であることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。
【化10】

(ただし、式1b中においてR1、R2、R3、R4、R、R6、R7、R8、R9 は水素原子(H)、水酸基、アルコキシ基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、このアルキル基は分岐と不飽和結合を含んでいてもよい。)
21)一般式(1b)で表される化合物が、4’−ヒドロキシカルコン、イソリキリチゲニン、リコカルコンA、キサントフモール、及びキサントアンゲロールから選ばれたものであることを特徴とする、上記1)〜3)のいずれかに記載の薬剤。

本発明に係る薬剤は2型糖尿病血糖降下剤又は高脂血症治療剤としても有用である。

【発明の効果】
【0012】
本発明のフェノール性化合物(一般式(1)で表される化合物)は、動物脂肪細胞におけるアディポネクチンの産生を増進するチアゾリジンジオン類の作用をさらに強化し、それらの必要濃度を低減させる効果を有する。さらに、カフェイン等キサンチン誘導体は、上記作用をさらに増大させる。その結果、個体レベルではより低ドースでのチアゾリジンジオンの投与により副作用を減少させつつ所期のアディポネクチンレベルの上昇を達成し、2型糖尿病における高血糖値を低下させたり血中の中性脂肪濃度を減少させる作用を有する。すなわち、本発明に係る薬剤は2型糖尿病血糖降下剤又は高脂血症治療剤としても有用である。
【0013】
一方、チアゾリジンジオンは、高ドースにおいて安全性、副作用の問題を抱えているのに対し、本発明のフェルラ酸等の誘導体や4'-ヒドロキシカルコン類は、従来から、園芸作物や漢方薬、プロポリス等健康増進剤の成分として、喫食あるいは服用されていたものが多く、さらにカフェイン等のキサンチン誘導体も茶やコーヒー等から摂取されてきたものであるため、これらを併用することによりチアゾリジンジオン類の必要量を減じた本発明の薬剤は安全性が高いものといえる。
【0014】
さらに、上記したように、アディポネクチンは、インスリンが産生されているにもかかわらず血糖値が低下しないいわゆる生活習慣病の2型糖尿病を予防、治療する効果を有するが、これのみでなく動脈硬化につながる血管病変の抑制、肥満改善、抗炎症、単球系細胞の増殖抑制、肝繊維化抑制等、多くの重要な生理作用を有するものであり、本発明により提供される薬剤は、これらの疾患の予防又は治療のための薬剤として安全で極めて有用な薬剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において使用する薬剤組成物は、以下の一般式(1)で表される化合物とピオグリタゾン等の抗糖尿病薬チアゾリジンジオンを配合することにより得られ、また、必要によりこれらにさらにカフェイン等のキサンチン誘導体を配合する。
【化1】

(ただし、式1中においてR1、R2、R3、Rは水素原子(H)、水酸基、アルコキシ基、又は炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基を表し、Xは単結合又は炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基を表し、Yはアミド基(-CO-NH‐もしくは‐NH-CO-)、エステル基(−CO-O-もしくは-O-CO-)、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Zは、水酸基、アルコキシ基、オキソ基、カルボキシル基又はアミノ基により置換されているかあるいは非置換の炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基を表し、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基、オキソ基、アルコキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基により置換されているかあるいは非置換の芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【0016】
本発明のフェノール性化合物をさらに具体的に示すと以下のとおりである。
a)下記一般式(2)で示されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体
【化2】

(ただし、式2においてR1は水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
上記置換基の定義中、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソペンテニルオキシ基等、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ビニレン基等のアルキレン基またはアルケニレン基、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等、複素環基としては、3−インドリル基、2−インドリル基、5−イミダゾリル基等がそれぞれ例示される。
【0017】
b)下記一般式(3)で示されるバニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体
【化3】

(ただし、式3においてR1は水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基で置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
これら置換基の定義中、アルコキシ基、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基の具体例は上記a)と同様である。
【0018】
c)下記一般式(4)で示されるホモバニリン酸の誘導体
【化4】

(ただし、式4においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。)
これら置換基の定義中、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基の具体例は上記a)と同様である。
【0019】
d)下記一般式(5)で示されるp−クマル酸の誘導体
【化5】

(ただし、式5においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
これら置換基の定義中、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基の具体例は上記a)と同様である。
【0020】
e)下記一般式(6)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸の誘導体
【化6】

(ただし、式6においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
これら置換基の定義中、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基の具体例は上記a)と同様である。
【0021】
f)下記一般式(7)で示されるバニリルアミン誘導体
【化7】

(ただし、式7においてR1は水酸基又はアルコキシ基であり、Y1は炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基であり、Zは炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
これら置換基の定義中、炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基等が挙げられ、アルコキシ基、芳香族炭化水素基及び複素環基の具体例は上記a)と同様である。
【0022】
g)ジンゲロールもしくはその類縁体。
【化8】

(ただし、式8において、Zは炭素数1〜11の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
これら置換基の定義中、炭素数1〜11の2価脂肪族炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、芳香族炭化水素基及び複素環基の具体例は上記a)と同様である。
【0023】
h)下記一般式(9)で示されるクルクミンもしくはその誘導体
【化9】

(ただし、式9においてR1とR2は水素原子又はメトキシ基を表す。)
【0024】
i)下記一般式(1b)で示される4’−ヒドロキシカルコン誘導体
【化10】

(ただし、式1b中においてR1、R2、R3、R4、R、R6、R7、R8、R9 は水素原子(H)、水酸基、アルコキシ基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、このアルキル基は分岐と不飽和結合を含んでいてもよい。)
【0025】
本発明に使用される抗糖尿病薬チアゾリジンジオンとしては、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン等が挙げられるが、これらのうちでは、ピオグリタゾンが最も好ましく用いられる。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0026】
また、本発明に使用するフェノール性化合物のうち、好ましいものの化学構造を具体的に例示すると、以下の10〜39の化合物が挙げられる。
【化11】

これら化合物の置換基を、一般式(1)中の置換基に対応させて以下に説明する。なお括弧内は、より具体的な一般式(2)〜(9)及び(1b)の中の該当する式の置換基と対応させたものである。
10の化合物(N-(β-フェネチル)フェルラミド);一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =- CH=CH, Y=-CO-NH-基、Z=-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, Y1 =-NH, Z=-CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
11の化合物(フェルロイルトリプタミン); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=-CH=CH-, Y =-CO-NH-基、Z=-CH2CH2-, Q = 3-インドリル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe,Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2-, Q = 3-インドリル基である化合物)。
12の化合物(フェルロイルチラミン); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH=CH-, Y=-CO-NH-基, Z =-CH2CH2-, Q = p-ヒドロキシフェニル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2-, Q = p-ヒドロキシフェニル基である化合物)。
13の化合物(β-フェネチルフェルレート); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z =-CH2CH2-, Q =フェニル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, Y1 =-O-, Z =-CH2CH2-, Q =フェニル基である化合物)。
14の化合物(フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z =-CH2CH=CH-, Q=フェニル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe,Y1 =-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =フェニル基である化合物)。
15の化合物(N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド);一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=-CH=CH-, Y =-CO-NH-基,Z =-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1 =-OH, Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
16の化合物(カフェイン酸フェネチルエステル); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =-OH, X =-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z = -CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1 =-OH, Y1 =-O-, Z =-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
17の化合物(N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=単結合, Y=-CO-NH-基, Z=-CH2CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 =-OMe, Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
18の化合物(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =単結合, Y =-CO-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 =-OMe, Y1 =-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物)。
19の化合物(N-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセタミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH2-, Y =-CO-NH-基, Z =-CH2CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物(一般式(4)中、Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
【0027】
20の化合物(N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペナミド); 一般式(1)中、R1 = R2 = R3 = R4 = H, X =-CH=CH-, Y =-CO-NH-基, Z =-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物(一般式(5)中、Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
21の化合物(3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン酸3-フェニル-2-プロペニル);一般式(1)中、R1 = R2 = R3 = R4 = H, X =-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(5)中、Y1 =-O-, Z=-CH2CH=CH-, Q=-C6H5である化合物)。
22の化合物(N-(3-フェニル)-4-ヒドロキシベンザミド); 一般式(1)中、R1= R2= R3 = R4 = H, X=単結合, Y=-CO-NH-基, Z=-CH2CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(6)中、Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
23の化合物(カプサイシン); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=-CH2-, Y=-NH-CO-基, Z =-(CH2)4CH=C(CH3)CH2-, Q=Hである化合物(一般式(7)中、R1=-OMe, Z =-(CH2)4CH=C(CH3)CH2-, Q =Hである化合物)。
24の化合物 (N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH2-, Y =-NH-CO-基, Z =-CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(7)中、R1=-OMe, Y1=-CH2-, Z =-CH=CH-, Q =-C6H5である化合物)。
25の化合物([6]-ジンゲロール); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=-CH2CH2-, Y=-CO-基, Z=-CH2CH(OH)(CH2)4CH2-, Q=Hである化合物(一般式(8)中、Z=-(CH2)3CH-, Q=Hである化合物)。
26の化合物(クルクミン); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=-CH=CH-, Y=-CO-基, Z=-CH2COCH=CH-, Q=3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル基である化合物(一般式(9)中、R1 = R2 =-OMeである化合物)。
27の化合物(フェルラ酸2-(3-インドリル)エチル);一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z =-CH2CH2-, Q =3-インドリル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, Y1 =-O-, Z =-CH2CH2-, Q =3-インドリル基である化合物)。
28の化合物 (N-(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OH, X =-CH2-, Y =-NH-CO-基, Z =-CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(7)中、R1=-OH, Y1=-CH2- ,Z =-CH=CH-, Q =-C6H5である化合物)。
29の化合物(N-(3-フェニルプロピル)-3,4-ジヒドロキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OH、 X=単結合, Y=-CO-NH-基, Z=-CH2CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 =-OH, Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
【0028】
30の化合物(N-ベンジルフェルラミド);一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH=CH-, Y =-CO-NH-基, Z=-CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, Y1 =-NH-, Z=-CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
31の化合物(N-(3-フェニルプロピル)フェルラミド);一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH=CH-, Y =-CO-NH-基, Z=-CH2CH2CH2 -, Q =-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
32の化合物(N-(4-フェニルブチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X=単結合, Y=-CO-NH-基, Z=-CH2CH2CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 =-OMe, Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
33の化合物 (N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペンアミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OMe, X =-CH2CH2-, Y =-NH-CO-基, Z =-CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(7)中、R1=-OMe, Y1=-CH2CH-, Z =-CH=CH-, Q=-C6H5である化合物)。
34の化合物(N-[2-(3-インドリル)エチル]カフェイン酸アミド); 一般式(1)中、R1 = R3 = R4 = H, R2 =- OH、 X =-CH=CH-, Y =-CO-NH-基, Z=-CH2CH2-, Q = 3-インドリル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OH, Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2-, Q = 3-インドリル基である化合物)。
35の化合物(4’-ヒドロキシカルコン);一般式(1)中、R1 = R2 = R3 =R4 = H, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-C6H5である化合物(一般式(1b)中、R1 = R2 = R3 =R4 = R5 = R6 = R7 =R8 = R9 =Hである化合物)。
36の化合物(イソリキリチゲニン);一般式(1)中、R1 = R2 = R3 = H, R4 = -OH, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-p-OH-C6H4である化合物(一般式(1b)中、R1 = R2 = R3 = R5 = R6 = R8 = R9 =H, R4 = R7 = -OH である化合物)。
37の化合物(キサントフモール);一般式(1)中、R1 = -OMe, R2 = H, R4 = -OH, R3 = -CH2CH=C(CH3)2, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-p-OH-C6H4である化合物(一般式(1b)中、R1 = -OMe, R2 = R5 = R6 = R8 = R9 =H, R4 = R7 = -OH, R3 = -CH2CH=C(CH3)2)。
38の化合物(キサントアンゲロール);一般式(1)中、R1 = R2 = H, R4 = -OH, R3 = -CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)2, X=単結合,Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-p-OH-C6H4である化合物(一般式(1b)中、R1 = R2 = R5 = R6 = R8 = R9 =H, R4 = R7 = -OH, R3 = -CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)2,である化合物)。
39の化合物(リコカルコンA);一般式(1)中、R1 = R2 = R3 = R4 =H, X=単結合,Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-2-OCH3-4-OH-5-(C(CH3)2CH=CH2)C6H2である化合物(一般式(1b)中、R1 = R2 = R3 = R4 = R6 = R9 =H, R5 = OCH3, R7 = -OH, R8 = - C(CH3)2CH=CH2,である化合物)。
【0029】
本発明の原料となるチアゾリジンジオン類は公知の方法で合成される。また、一般式1で示される化合物も対応するカルボン酸とアミンまたはアルコールをジシクロヘキシルカルボジイミド等でカップリングさせる公知の方法で合成される。また、水酸基をアセチル基等で保護すれば酸クロライド等を経由する公知の方法で合成できる。この場合、保護基はヒドラジン処理など温和な条件で除去できる。以下の実施例で用いたN-(β-フェネチル)フェルラミド(FAPA)等のフェノール性化合物の合成法は特開2005-225872、特願2005-61659、特願2005-218519、特願2006-337119に記載したところと同様である。さらに、上述したように通常の作物、香辛料植物等に含まれている場合には、そこから製取することもできる。この場合、不都合な夾雑物がない限り、粗抽出物や部分精製品として用いることもできる。抽出は水やエタノールで容易に行なえる。一方、これらの式1で示される化合物やチアゾリジンジオン類と組み合わせてアディポネクチンの産生をさらに増強するために使用するキサンチン誘導体はテオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つまたは2つ以上の混合物である。これらは茶葉やコーヒー豆、カカオ豆等から抽出できるし、公知の方法で容易に合成もできる。本発明に用いる場合、これらは純品として、あるいは茶・コーヒー等の粗抽出物の形で式1の化合物とチアゾリジンジオン類に混合してもよい。本発明に用いる場合、式1の化合物の添加量は化合物の種類、精製の方法や程度、求められる効果の程度により、生理的に安全な範囲で加減する。例えば式2の化合物の添加量は飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり数mg以下とする。また、チアゾリジンジオン類の添加量は現に医薬品として用いられている量を基準にして適宜決定するが、先に詳述したように、本発明のフェノール性化合物と混合して使用するので大幅に減量することが可能である。また、キサンチン誘導体の添加量については常用されるコーヒーや緑茶に含まれる濃度に準ずるものとする。すなわち、カフェインは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.1mgから0.5mg(約3 mM)、テオフィリンは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.01mgから0.05mg(約0.3 mM)、テオブロミンは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.1mgから2mg(約10mM)等を目安にするが、総摂取量や摂取形態に応じて、生理的に安全な範囲内で適宜増減する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
マウス3T3-L1前駆脂肪細胞株(大日本製薬株式会社より購入)を10%の牛胎仔血清(FBS)を含むDMEM培地で3日間前培養後、EDTA-トリプシン液で回収し、6 x 104 cells/mlの懸濁液とし、あらかじめコラーゲンコーティングを施した96-wellのマルチウェルプレートに1ウェルあたり0.2 ml植え込んだ。3日間培養後、培地(10%の牛胎仔血清を含むDMEM培地)を0.001、0.01、又は0.1μM のピオグリタゾン(Cayman社製、PGZと略称)を含む又は含まない0.2mlの新鮮培地に交換し、次いでN-(β-フェネチル)フェルラミド(FAPA)のエタノール溶液(0.01、0.1、1 mM)を2 μlづつ添加した。コントロールには純エタノールを同量添加した。9日間培養後、位相差顕微鏡でサンプル添加ウェルにおける細胞内脂肪球の蓄積を確認してから培地を回収し、ELISA(大塚製薬 マウス/ラットアディポネクチンELISAキット)により培地中のアディポネクチン濃度を定量した。結果を図1に示すが、FAPAと0.1μM のPGZを同時に添加すると、それぞれ単独でのアディポネクチン産生量の和以上に多量のアディポネクチンが産生されることがわかる。
【実施例2】
【0031】
実施例1と同様の実験をFAPAの代わりに各種のフェノール性化合物を用いて行なった。結果を図2に示すが、いずれの場合にも、PGZとフェノール性化合物の同時添加によって、それぞれ単独で用いた場合よりも多量のアディポネクチンが産生されることが確認された。
【実施例3】
【0032】
正常ヒト前駆脂肪細胞(三光純薬製)を10 %のFBSと2 mMグルタミンを添加したPBM培地(PBM増殖培地、PBMは三光純薬製)で4日間前培養後、細胞をEDTA-トリプシン液で回収し、PBM増殖培地に7.5 x 104 cells/mlの割合で懸濁し、あらかじめコラーゲンでコートした96-wellプレートに0.2 mlづつ植え込んだ。5%のCO2存在下、37℃で3日間培養後、培地をPBM基本分化培地[PBM増殖培地にインスリン(10μg/ml)とデキサメタソン(0.1μM)を添加したもの]にさらに1μM のPGZを添加、もしくは添加していない培地に交換した(0.2 ml/well)。これらの各ウェルに各種のフェノール性化合物のエタノール溶液を2μlづつ添加した。コントロールには2μlのエタノールのみを添加した。12日間インキュベート後、培地を回収し、ELISA(大塚製薬、ヒトアディポネクチン用ELISAキット)でアディポネクチンを定量した。結果を図3に示す。この結果から、ヒト前駆脂肪細胞の場合にも、FAPAやFer-Tyr等のフェノール性化合物とPGZの同時添加により、それぞれ単独の場合よりも多量のアディポネクチン産生が誘導されることが確認された。
【実施例4】
【0033】
正常ヒト前駆脂肪細胞を実施例3と同様に96-wellプレートで3日間培養後、培地を新鮮な上記PBM基本分化培地、もしくは1μMのPGZと500μMのカフェインのいずれか一方、もしくは両者を含むPBM基本分化培地に交換した(0.2ml/well)。次いで、これらの各ウェルにFAPA又はFer-Tyr(化合物12)のエタノール溶液を2μlづつ添加し、13日間インキュベート後、培地を回収し、ELISAでアディポネクチンを定量した。結果を図4に示す。この結果から、PGZのアディポネクチン産生増強作用はFAPAあるいはカフェインのいずれかが存在すると強化されるが、FAPA濃度が10ないし30μMの比較的低い場合は、両者が存在すると(すなわちPGZ、FAPA、カフェインの3者共存において)さらに強化されることがわかる。同様の3者共存の効果は10μMのFer-Tyrを用いた場合についても認められた。
【実施例5】
【0034】
実施例1と同様に3T3-L1細胞に対してキサントフモール (略号Xhum、Alexis社製)、4’−ヒドロキシカルコン(4’-OH-Chal、和光純薬製)、キサントアンゲロール[Xang、明日葉の茎、根から文献(小澤 貢ら、薬学雑誌、98、210-214、1978)の方法で抽出、精製、結晶化したもの]、リコカルコンA(LicoA、CALBIOCHEM社製)、又はイソリキリチゲニン(Isoliq、Extrasynthese社製)(いずれも10μM)を単独で、もしくはピオグリタゾン(PGZ、0.1μM)と同時に添加、培養しアディポネクチン産生量を調べた。Control(1)、4’-OH-Chal、LicoA、及びIsoliqの添加培地は培養11日目に回収し、また、Control(2)、Xhum、及びXangの添加培地は12日目に回収した。結果を図5Aに示す。また、実施例3の方法に従って正常ヒト前駆脂肪細胞を用いて同様の実験を行なった結果を図5Bに示す。ただし、培養日数は16日であり、PGZは0.1μM、各化合物の濃度は図の横軸に記載した値(μM)とした。図に示すように、用いたカルコン類単独でアディポネチンの産生を増強するが、PGZと同時に添加した場合には、濃度によればそれぞれ単独の場合よりも多量のアディポネクチンが産生された。すなわち、これらのカルコン類はPGZのアディポネクチン産生増強作用を強化することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】マウス3T3-L1前駆脂肪細胞にピオグリタゾン(PGZ)とβ-フェネチルフェルラミド(FAPA、化合物10)をそれぞれ単独または同時に添加して培養した時に培地中に分泌されたアディポネクチンの濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)を示すグラフである。PGZとFAPAの濃度は図中に表示した。
【図2】マウス3T3-L1前駆脂肪細胞にPGZと各種のフェノール性化合物をそれぞれ単独または同時に添加して培養した時に培地中に分泌されたアディポネクチンの濃度(3又は2ウェルの平均と標準偏差)を示すグラフである。化合物の濃度は図中に表示したが、単位のuMはμMと同義である。化合物17、20、22、24、18、27、21、14、15はそれぞれN-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペナミド、N-(3-フェニル)-4-ヒドロキシベンザミド、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル、フェルラ酸2-(3-インドリル)エチル、3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン酸3-フェニル-2-プロペニル、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミドである。また、化合物12、28、29、34、19、30、31、32、33はそれぞれフェルロイルチラミン、N-(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド、N-(3-フェニルプロピル)-3,4-ジヒドロキシベンズアミド、N-[2-(3-インドリル)エチル]カフェイン酸アミド、N-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセタミド、N-ベンジルフェルラミド、N-(3-フェニルプロピル)フェルラミド、N-(4-フェニルブチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペンアミドである。
【図3】ヒト前駆脂肪細胞に1μMのPGZと各種のフェノール性化合物(化合物10の濃度は図中に表示、化合物11、12、13の濃度はいずれも100μM)をそれぞれ単独または同時に添加して培養した時に培地中に分泌されたアディポネクチンの濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)を示すグラフである。化合物11、12、13はそれぞれフェルロイルトリプタミン、フェルロイルチラミン、β-フェネチルフェルレートである。
【図4】(a)はヒト前駆脂肪細胞に化合物10(FAPA)、ピオグリタゾン(PGZ)、カフェインのいずれか1つ、又は2つ、もしくは3つを添加、培養した時に培地中に分泌されたアディポネクチンの濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)を示すグラフである。各化合物の濃度は図中に記載してあるが、単位のuMはμMと同義である。(b)は化合物12(Fer-Tyr)を用いて(a)と同様の実験を行ない、アディポネクチン濃度を測定した結果を示すグラフである。
【図5】(A)は3T3-L1細胞にカルコン類(10μM)をピオグリタゾン(PGZ、0.1μM)と同時、又は別々に添加、培養したときに培地中に分泌されたアディポネクチンの濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)を示すグラフである。(B)はヒト前駆脂肪細胞を用いて同様の実験を行なったときの培地中アディポネクチン濃度(3つのウェルの平均と標準偏差)を示すグラフである。PGZは0.1μMであり、カルコン類の濃度(μM)は横軸に記載。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるフェノール性化合物及びチアゾリジンジオン類を活性成分として含むことを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生を増強もしくは促進する薬剤。
【化1】

(ただし、式1中においてR1、R2、R3、Rは水素原子(H)、水酸基、アルコキシ基、又は炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基を表し、Xは単結合又は炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基を表し、Yはアミド基(-CO-NH‐もしくは‐NH-CO-)、エステル基(−CO-O-もしくは-O-CO-)、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Zは、水酸基、アルコキシ基、オキソ基、カルボキシル基又はアミノ基により置換されているかあるいは非置換の炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基を表し、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基、オキソ基、アルコキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基により置換されているかあるいは非置換の芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項2】
チアゾリジンジオン類がピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾンのいずれか1つ又は2つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
さらに、カフェイン、テオフィリン、又はテオブロミンの中から選ばれる1又は2以上のキサンチン誘導体を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の薬剤
【請求項4】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(2)で示されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化2】

(ただし、式2においてR1は水酸基またはメトキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項5】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(3)で示されるバニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化3】

(ただし、式3においてR1は水酸基またはメトキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基で置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項6】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(4)で示されるホモバニリン酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化4】

(ただし、式4においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。)
【請求項7】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(5)で示されるp−クマル酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化5】

(ただし、式5においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項8】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(6)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化6】

(ただし、式6においてY1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項9】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(7)で示されるバニリルアミン誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化7】

(ただし、式7においてR1は水酸基又はメトキシ基であり、Y1は炭素数1〜6の2価脂肪族炭化水素基であり、Zは炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項10】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物が下記一般式(8)で示されるジンゲロールもしくはその類縁体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化8】

(ただし、式8において、Zは炭素数1〜11の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基又はアミノ基により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項11】
一般式(1)で示されるフェノール性化合物がさらに下記一般式(9)で示されるクルクミンもしくはその誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化9】

(ただし、式9においてR1とR2は水素原子又はメトキシ基を表す。)
【請求項12】
一般式(2)で表される化合物が、N-(β-フェネチル)フェルラミド、フェルロイルトリプタミン、フェルロイルチラミン、β-フェネチルフェルレート、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド、カフェイン酸フェネチルエステル、フェルラ酸2-(3-インドリル)エチル、N-ベンジルフェルラミド、及びN-(3-フェニルプロピル)フェルラミドから選ばれたものであることを特徴とする、請求項4に記載の薬剤。
【請求項13】
一般式(3)で表される化合物が、N-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミド、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(3-フェニルプロピル)-3,4-ジヒドロキシベンズアミド、N-(4-フェニルブチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアミドから選ばれたものであることを特徴とする、請求項5に記載の薬剤
【請求項14】
一般式(4)で表される化合物がN-(3-フェニルプロピル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミドであることを特徴とする、請求項6に記載の薬剤
【請求項15】
一般式(5)で表される化合物が、N-(β-フェネチル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペンアミド又は3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン酸3-フェニル-2-プロペニルであることを特徴とする、請求項7に記載の薬剤
【請求項16】
一般式(6)で表される化合物がN-(3-フェニルプロピル)-4-ヒドロキシベンズアミドであることを特徴とする、請求項8に記載の薬剤
【請求項17】
一般式(7)で表される化合物が、カプサイシン、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド、N-(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチル-3-フェニル-2-プロペンアミド、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-3-フェニル-2-プロペンアミドから選ばれた化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の薬剤
【請求項18】
一般式(8)で表される化合物が[6]−ジンゲロールであることを特徴とする、請求項10に記載の薬剤
【請求項19】
一般式(9)で表される化合物がクルクミンであることを特徴とする、請求項11に記載の薬剤
【請求項20】
一般式(1)で表されるフェノール性化合物が、下記一般式(1b)で示される4’−ヒドロキシカルコン誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【化10】

(ただし、式1b中においてR1、R2、R3、R4、R、R6、R7、R8、R9 は水素原子(H)、水酸基、アルコキシ基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、このアルキル基は分岐と不飽和結合を含んでいてもよい。)
【請求項21】
一般式(1b)で表される化合物が、4’−ヒドロキシカルコン、イソリキリチゲニン、リコカルコンA、キサントフモール、及びキサントアンゲロールから選ばれたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−197427(P2007−197427A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347284(P2006−347284)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】