説明

アデノシン受容体リガンドとして有用なトリアゾロ−キノリン誘導体

【課題】トリアゾロキノリン構造を有する、A3アデノシン受容体に対して高い選択性を示すリガンドの提供。
【解決手段】一般式(I)


で表される特定のトリアゾロキノリン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)のアデノシンA受容体リガンド(好ましくは拮抗薬の範囲に入るもの)ならびにそれらの塩、溶媒和物および異性体、およびそれらを含有する医薬組成物;一般式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および異性体の使用;一般式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および異性体の調製;さらに、一般式(II)の新規中間体ならびにそれらの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
アデノシンは、幾つかの内在性分子(ATP、NAD、核酸)のよく知られた成分である。加えて、多数の生理プロセスにおいて重要な調節的役割を果たす。心臓機能に対するアデノシンの作用は、1929年に既に発見されている(DruryおよびSzentgyorgyi,J Physiol 68:213,1929)。アデノシンの媒介により、生理機能の同定数が増加し、新しいアデノシン受容体の発見により、特異的リガンドを治療に適用する可能性が生じた(Poulse,S.A.およびQuinn,R.J.Bioorganic and Medicinal Chemistry 6:619,1998)。
【0003】
今日までに、アデノシンの受容体は、A、AおよびAという三つの主クラスに分類されている。Aサブタイプは、G膜蛋白に結合することにより、アデニル酸シクラーゼを阻害する役割を一部果たしており、他の第二メッセンジャーシステムに一部影響を及ぼす。A受容体サブタイプは、A2aおよびA2bという二つのさらなるサブタイプに分けることができ、これらの受容体は、アデニル酸シクラーゼの活性を刺激する。アデノシンA受容体の配列は、ラット精巣cDNAライブラリから最近同定された。その後、それが新規機能性アデノシン受容体に応答することが証明された。A受容体の活性化は、幾つかの第二メッセンジャーシステム:例えば、アデニル酸シクラーゼの阻害ならびにホスホリパーゼCおよびDの刺激にも関連している。
【0004】
アデノシン受容体は、幾つかの器官内で見出され、それらの機能を調節する。A受容体およびA2a受容体は、両方とも、中枢神経系および心臓血管系において重要な役割を果たしている。CNSにおいて、アデノシンは、シナプス伝達物質の放出を抑制し、その作用は、A受容体によって媒介される。心臓においても、A受容体が、アデノシンの陰性の変力、変時および変伝導作用を媒介している。相対的に、より大量に線条に位置するアデノシンA2a受容体は、シナプス伝達を調節する際にドーパミン受容体との官能性相互作用を示す。内皮細胞および平滑筋細胞上のA2aアデノシン受容体は、アデノシン誘発性血管拡張の要因である。
【0005】
mRNAの同定を根拠に、A2bアデノシン受容体は、異なる組織に広く分布している。それらは、ほぼすべての細胞タイプにおいて確認されているが、その発現は、腸および膀胱において最も高い。このサブタイプは、おそらく、血管拡張の調節において重要な調節機能も有し、肥満細胞の機能に関しても一定の役割を果たす。
【0006】
組織分布が蛋白質レベルで検出されたAおよびA2a受容体に反して、A2bおよびA受容体の存在は、それらのmRNAレベルで検出された。Aアデノシン受容体の発現レベルは、他のサブタイプと比較して相当低く、非常に種依存性である。Aアデノシン受容体は、主として、中枢神経系、精巣、免疫系において発現され、また、即時過敏症反応における肥満細胞からの媒介物質放出のモジュレーションに関与しているようである。
【0007】
これまで文献で発表されたA拮抗薬は、フラボノイド、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、トリアゾロキナゾリン、チアゾロナフチリジンおよびチアゾロピリミジンの群に属する。本発明は、イミダゾキノリン構造を有する新規タイプの、有効なA拮抗薬に関する。
【0008】
治療上の使用については、分子が、A、A2aおよびA2bサブタイプのアデノシン受容体に結合しないか、非常に高濃度の場合のみ結合しないことを確実にすることが、必須である。本発明者らの本発明は、Aサブタイプのアデノシン受容体に対して際立った選択性を有する一般式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および異性体に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らの目的は、まず第一にトリアゾロキノリン構造を有するAリガンドであって、強力な拮抗作用を有し、A受容体に対して高い選択性を示す、すなわち、A、A2aおよびA2b受容体を阻害するよりずっと低い濃度でA受容体を阻害する、拮抗薬の範囲に好ましくは入るAリガンドを調製することであった。さらなる目的は、新規化合物を開発して薬物にすることを可能にする安定性、バイオアベイラビリティ、治療インデックスおよび毒性データを有すること、ならびに好適な経腸吸収のためにそれらの化合物が経口適用できることであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、
は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、またはC3〜6シクロアルキル基;または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているフェニル基、チエニル基またはフリル基;一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されている、窒素原子を1、2もしくは3個含有する5もしくは6員へテロ芳香族環、または窒素原子を1個と酸素原子を1個、もしくは窒素原子を1個と硫黄原子を1個含有する5員へテロ芳香族環を表し;
およびRは、互いに無関係に、水素原子を表すか、RとRとが一緒に、メチレンジオキシ基または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子で場合によっては置換されている1,3−ブタジエニル基を形成しており;
は、水素原子またはシアノ基、アミノカルボニル基、C1〜4アルコキシカルボニル基またはカルボキシ基を表し;
は、水素原子;または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基;またはフェニル基により場合によっては置換されているC1〜4アルキレン基;またはメチレンジオキシ基または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ基により場合によっては置換されている、フェニル基、ベンジル基、チエニル基もしくはフリル基;または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されている、窒素原子を1、2または3個含有する5もしくは6員へテロ芳香族環または窒素原子を1個と酸素原子を1個もしくは窒素原子を1個と硫黄原子を1個含有する5員へテロ芳香族環を表し;
Xは、−CH−基、−NH−基、−NR12−基(この場合、R12は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基もしくはC3〜6シクロアルキル基を表す)、または硫黄原子または酸素原子またはスルホ基またはスルホキシ基を表し;
nは、0、1または2を表す、
一般式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物およびそれらの光学活性異性体、前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物が、上記の基準を満たすことを見出した。
【0011】
上に挙げた置換基の詳細な意味は次のとおりである:
直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル基に関して言えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、好ましくは、エチル基またはメチル基を意味する。
【0012】
直鎖または分枝鎖C1〜4アルコキシ基に関して言えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、好ましくは、エトキシ基またはメトキシ基を意味する。
【0013】
窒素原子を1、2または3個含有するヘテロ芳香族環は、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンおよび1,3,4−トリアジン環を意味する。この環は、C1〜4アルキルにより、場合によっては置換されている。
【0014】
窒素原子を1個と、酸素原子または硫黄原子を1個含有するヘテロ芳香族環は、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール環を意味する。この環は、C1〜4アルキルにより、場合によっては置換されている。
【0015】
一般式(I)の化合物の塩は、無機酸、有機酸、無機塩基および有機塩基を用いて得られた塩を意味する。好ましい塩は、例えば、塩酸、硫酸、エタンスルホン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸のような医薬適合性の酸を用いて得られたものである。
【0016】
溶媒和物は、例えば、水またはエタノールのような様々な溶媒を用いて得られた溶媒和物を意味する。
【0017】
一般式(I)の化合物は、幾何および光学異性を示し、従って、本発明は、幾何異性体の混合物、ラセミまたは光学活性幾何異性体、ならびにそれらの塩および溶媒和物にも関する。
【0018】
一般式(I)の化合物の好適な群は、
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、水素原子またはメチル基を表し;
、R、R10およびR11が、互いに無関係に、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を表し;
およびR11が、水素原子を表し、且つ、RとR10が一緒に、メチレンジオキシ基を形成しており;
が、水素原子またはシアノ基を表し;
が、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−チエニル基、3−ピリジル基、3−ヒドロキシフェニル基または3−フリル基を表し;
Xが、−NH−基、または酸素原子を表し;
nが、1を表す、
一般式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および光学活性異性体、前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物により構成される。
【0019】
上記基準に適合する以下の化合物:
2−(4−メトキシフェニル)−9−ベンジルアミノ−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(2−フリル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(3−ピリジル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(3−ヒドロキシフェニル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
ならびにそれらの塩、溶媒和物および光学活性異性体、前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物は、特に好ましい。
【0020】
もう一つのその側面によると、本発明は、有効成分として一般式(I)の化合物またはそれらの異性体、塩および溶媒和物を含有する医薬組成物にも関し、これは、好ましくは、経口用組成物であるが、吸入用配合物、非経口用配合物および経皮用配合物も本発明の主題である。上記医薬組成物は、錠剤、ペレット、カプセル、パッチ、溶液、懸濁液またはエマルジョンなど、固体または液体であることができる。固体組成物、まず第一に錠剤およびカプセルは、好ましい剤形である。
【0021】
上記医薬組成物は、通常の医薬用賦形剤の適用および標準的な方法の使用により調製される。
【0022】
一般式(I)の化合物は、その進展にA受容体が役割を果たす病状の治療に使用することができる。
【0023】
受容体に対して選択的活性を有する本発明の化合物は、心臓、腎臓、呼吸系、中枢神経系の機能不全の治療的および/または予防的治療に使用することができる。それらは、増殖腫瘍細胞のアデノシンの保護作用を阻害し、肥満細胞脱顆粒を防止し、サイトカインの生産を抑制し、眼圧を低下させ、TNFαの放出の抑制し、好酸球、好中球および他の免疫細胞の移行を阻害し、気管支収縮および血漿滲出を抑制する。
【0024】
これらの作用に基づき、本発明のアデノシンA受容体拮抗薬は、抗炎症薬、抗喘息薬、抗虚血薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、腎臓保護薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬および認識強化薬として治療に有用でありうる。それらは、心筋再潅流障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および成人呼吸促迫症候群(ARDS)(慢性気管支炎、肺気腫または肺性呼吸困難を含む)、アレルギー反応(例えば、鼻炎、ツタウルシ誘発反応、じんま疹、強皮症、関節炎)、他の自己免疫疾患、炎症性腸疾患、アジソン病、クローン病、乾癬、リウマチ、高血圧、神経機能障害、緑内障および糖尿病の治療または予防にも有用でありうる(K.N.Klotz,Naunyn−Schmiedberg’s Arch.Pharmacol.362:382,2000;P.G.Baraldi es P.A.Borea,TiPS 21:456,2000)。
【0025】
本発明の化合物は、喘息、COPDおよびARDS、緑内障、腫瘍、アレルギー性および炎症性疾患、虚血、低酸素症、不整脈および腎疾患などの疾病の治療に好適に使用することができる。
【0026】
もうひとつの側面によると、本発明は、上記の症状の治療における一般式(I)の化合物の使用に関する。推奨日用量は、疾病の性質および重症度ならびに患者の性別、体重などに依存して、有効成分0.1mgから1000mgである。
【0027】
本発明のさらなる主題は、一般式(I)の化合物、ならびに一般式(II)、(III)および(IV)の中間体の調製である。
一般式(II)の中間体は、新規である。一般式(II)、(III)および(IV)の置換基は、上で定義したとおりの意味を有する。
【0028】
本発明の方法では、一般式(II)の1,2−ジアミノ−アジニウム塩を、一般式(VII)(式中、Rは、上で定義されており、Yは、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜4アルコキシ基を表す)の化合物、好ましくは、その適する酸ハロゲン化物またはエステルと反応させ(D.W.Robertson,J.Med.Chem.,28,717,(1985))、こうした得られた一般式(I)の化合物を、所望される場合には、その塩、溶媒和物に変換するか、その塩、溶媒和物から遊離させ、その幾何または光学異性体に分離する。
【0029】
この閉環は、ジメチルホルムアミド中のトリエチルアミン、または類似のタイプの閉環用触媒として知られている他の化合物の存在下で、行うことができる。
【0030】
この閉環は、広い温度範囲内、好ましくは20℃と150℃の間で行うことができる。
【0031】
一般式(I)の化合物の置換基は、公知の方法により互いに変換することができる。
【0032】
一般式(II)(式中、R、R、R、R、R、R、Xおよびnの意味は、上で定義したとおりである)の化合物は、幾つかの公知の方法により得ることができ、それらの中で、有機化学では公知のN−アミノ化法(E.E.Glover,R.T.Rowbotton,J.Chem.Soc.Perkin.Trans.I.,376,(1976),G.Timari,Gy.Hajos,S.Batori es A.Messmer,Chem.Ber.,125,929(1992))を使用して、式(III)の化合物をN−アミノ化する、一つの方法を図式1に示す。N−アミノ化剤には、好ましくは、o−トシル−ヒドロキシアミンを適用することができるが、N−アミノ化用として知られている他の物質も使用できる。
【0033】
一般式(III)(式中、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、上で定義したとおりである)の化合物は、それ自体公知の方法(Nan Zhang,Biorg.and Med.Chem.Lett.,10,2825,(2000))を使用して、式(IV)の化合物から調製することができる。
【0034】
一般式(IV)(式中、R、R、Rの意味は、上で定義したとおりである)の化合物は、それ自体公知の方法(D.L.Leysen,J.Heterocyclic Chem..,24,1611,(1987))を使用して、式(V)の化合物から調製することができる。
【0035】
一般式(V)(式中、R、R、Rの意味は、上で定義したとおりである)の化合物は、それ自体公知の方法(Pfizer(Inc)の米国特許第4,175,193号)を使用して、調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】式(I)の化合物を示す。
【図2】式(Ia)の化合物を示す。
【図3】式(II)の化合物を示す。
【図4】式(III)の化合物を示す。
【図5】式(IV)の化合物を示す。
【図6】式(V)の化合物を示す。
【図7】式(VI)の化合物を示す。
【図8】式(VII)の化合物を示す。
【図9】式Iの化合物を調製するための反応図式の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
一般式(I)、(II)、(III)および(IV)の本発明の化合物、それらの調製および生物学的活性は、後続の実施例において示すが、特許請求の範囲がそれらの実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
2−(4−メトキシフェニル)−9−ベンジルアミノ−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
この一般式(I)では、RおよびRは、水素原子を表し、Rは、フェニル基を表し、RとRが一緒に、1,3−ブタジエニル基を形成しており、Rは、シアノ基を表し、Rは、4−メトキシフェニル基を表し、Xの意味は、−NH基であり、nは、1である。
【0039】
a.)2−アミノ−3−シアノ−4−クロロキノリン:
10gの2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシキノリンと15mLの塩化ホスホリルの混合物を攪拌しながら110℃で加熱する。その反応混合物を冷却し、100mLの氷水に注入して、10%の水酸化ナトリウム溶液60mLで中和する。得られた黄色の沈殿を濾過して除去し、50mLの水で洗浄する。乾燥後、7.5gの表題化合物を得る。融点:210℃。
【0040】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):7.21ppm,(s,2H,NH),7.35−7.40ppm,(dd,1H,6−H),7.53−7.57ppm,(d,1H,5−H),7.70−7.75ppm,(dd,1H,7−H),7.93−7.98ppm(d,1H,8−H)。
【0041】
b.)2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノキノリン
5gの2−アミノ−3−シアノ−4−クロロキノリンと11mLのベンジルアミンを攪拌しながら130℃で加熱する。その反応混合物を50mLの水に注入し、得られた沈殿を濾過して除去し、50mLの水で洗浄する。その薄黄色の沈殿をジメチルホルムアミドから再結晶して、5.2gの表題化合物を得る。融点:206℃。
【0042】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):5.02−5.03ppm,(d,2H,N−CH),6.22ppm,(s,2H,NH),7.14−7.16ppm,(dd,1H,6−H),7.24−7.26ppm,(dd,1H,5−H),7.30ppm,(s,5H,Ph),7.50−7.52ppm,(dd,1H,7−H),8.16−8.19ppm,(s,1H,8−H),8.30−8.33ppm,(t,1H,NH)。
【0043】
c.)トシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−キノリニウム
ジメチルホルムアミド(30mL)中、2.0gの2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノキノリンの溶液に、20℃で15分以内に、ジクロロメタン(20mL)中、1.78gのo−トシル−ヒドロキシルアミンを滴下する。その反応混合物を5時間攪拌し、その後、沈殿を濾過して除去する。得られた白色の結晶質材料をアセトニトリルから再結晶して、3.1gの表題化合物を得る。融点:207℃。
【0044】
d. 2−(4−メトキシフェニル)−9−ベンジルアミノ−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
2.0gのトシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−キノリニウムと15mLのピリジンの混合物に、2gのアニス酸塩化物を添加する。その反応混合物を8時間、100℃で攪拌する。その混合物を50mLの水に注入し、沈殿した結晶を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、1.1gの表題化合物を得る。融点:237℃。
【0045】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):8.78ppm(t,1H),8.58(d,1H),8,38(d,1H),8.10(d,2H),7.98(t,1H),7.39(m,5H),7.07(d,2H),5.14(d,2H),3.82(s,3H)。
【0046】
(実施例2)
2−(2−フリル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
この一般式(I)では、RおよびRの意味は、水素原子であり、Rは、2−フリル基であり、RとRが一緒に、1,3−ブタジエニル基を形成しており、Rは、シアノ基を表し、Rは、2−フリル基を表し、Xは、−NH基を意味し、nは、1である。
【0047】
a.)2−アミノ−3−シアノ−4−(2−フリルメチルアミノ)−キノリン
5gの2−アミノ−3−シアノ−4−クロロキノリンおよび1mLのフリルメチルアミン(フルフリルアミン)を攪拌しながら130℃で加熱する。その反応混合物を50mLの水に注入し、生じた沈殿を濾過して除去し、50mLの水で洗浄する。その薄黄色の沈殿を20mLのエタノールから再結晶して、4.8gの表題化合物を得る。融点:208℃。
【0048】
b.)トシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−(2−フリルメチルアミノ)−キノリニウム
ジメチルホルムアミド(30mL)中、2.0gの2−アミノ−3−シアノ−4−(2−フリルメチルアミノ)−キノリンの溶液に、20℃で15分以内に、ジクロロメタン(20mL)中、1.78gのo−トシル−ヒドロキシルアミンを滴下する。その反応混合物を5時間攪拌し、その後、沈殿した白色の結晶質材料を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、2.1gの表題化合物を得る。融点:211℃。
【0049】
c.)2−(2−フリル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
2.0gのトシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−(2−フリルメチルアミノ)−キノリニウムと15mLのピリジンの混合物に、2gのフラン−2−カルボン酸塩化物を添加する。その反応混合物を8時間、100℃で攪拌する。その混合物を50mLの水に注入し、沈殿した結晶を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、1.1gの表題化合物を得る。融点:203℃。
【0050】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):8.74ppm(t,1H),8.52(d,1H),8.32(d,1H),7.90(m,3H),7.63(m,2H),7.14(m,1H),6.68(m,1H),6.44(m,2H),5.11(d,2H)。
【0051】
(実施例3)
2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
この一般式(I)では、RおよびRの意味は、水素原子であり、Rは、フリル基であり、RとRが一緒に、1,3−ブタジエニル基を形成しており、Rは、シアノ基を表し、Rは、3,4−メチレンジオキシフェニル基を表し、Xは、−NH基を意味し、nは、1である。
【0052】
a.)2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
2.0gのトシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−(2−フリルメチルアミノ)−キノリニウムと15mLのピリジンの混合物に、2gの3,4−メチレンジオキシ−安息香酸塩化物を添加する。その反応混合物を8時間、100℃で攪拌する。その混合物を50mLの水に注入し、沈殿した結晶を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、1.4gの表題化合物を得る。融点:185℃。
【0053】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):8.55ppm(m,1H),8.51(d,1H),8.31(d,1H),7.93(t,1H),7.57−7.70(m,3H),7.05(d,1H),6.44(m,2H),6.11(s,2H),5.08(d,2H)。
【0054】
(実施例4)
2−(3−ピリジル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
この一般式(I)では、RおよびRの意味は、水素原子であり、Rは、2−チエニル基であり、RとRが一緒に、1,3−ブタジエニル基を形成しており、Rは、シアノ基を表し、Rは、3−ピリジル基を表し、Xは、−NH基を意味し、nは、1である。
【0055】
a.)2−アミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチルアミノ)−キノリン
5gの2−アミノ−3−シアノ−4−クロロキノリンおよび11mLのチエニルメチルアミンを攪拌しながら130℃で加熱する。その反応混合物を50mLの水に注入し、生じた沈殿を濾過して除去し、50mLの水で洗浄する。その薄黄色の沈殿を25mLのエタノールから再結晶して、5.2gの表題化合物を得る。融点:208℃。
【0056】
b.)トシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチルアミノ)−キノリニウム
ジメチルホルムアミド(30mL)中、2.0gの2−アミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチルアミノ)−キノリンの溶液に、20℃で15分以内に、ジクロロメタン(20mL)中、1.78gのo−トシル−ヒドロキシルアミンを滴下する。その反応混合物を5時間攪拌し、その後、沈殿した白色の結晶質材料を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、2.1gの表題化合物を得る。融点:198℃。
【0057】
c.)2−(3−ピリジル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
2.0gのトシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチルアミノ)−キノリニウムと20mLのジメチルホルムアミドの混合物に、4mLのトリエチルアミンおよび4gのピリジン−3−カルボキシアルデヒドを添加する。その反応混合物を8時間、100℃で攪拌する。その混合物を50mLの水に注入し、沈殿した結晶を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、0.8gの表題化合物を得る。融点:249℃。
【0058】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):9.25ppm(s,1H),8.71(m,2H),8,35(m,3H),7.86(m,1H),7.51(m,3H),7.17(m,1H),6.98(m,1H),5.25(d,2H)。
【0059】
(実施例5)
2−(3−ヒドロキシフェニル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
この一般式(I)では、RおよびRの意味は、水素原子であり、Rは、2−チエニル基であり、RとRが一緒に、1,3−ブタジエニル基を形成しており、Rは、シアノ基を表し、Rは、3−ヒドロキシフェニル基を表し、Xは、−NH基を意味し、nは、1である。
【0060】
a.)2−(3−ヒドロキシフェニル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
2.0gのトシル酸1,2−ジアミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチルアミノ)−キノリニウムと20mLのジメチルホルムアミドの混合物に、4mLのトリエチルアミンおよび4gの3−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドを添加する。その反応混合物を8時間、100℃で攪拌する。その混合物を50mLの水に注入し、沈殿した結晶を濾過して除去し、アセトニトリルから再結晶して、0.9gの表題化合物を得る。融点:248℃。
【0061】
NMR,δ(400MHz,DMSO−d):9.66ppm(s,1H),8.81(m,1H),8.52(m,1H),8.52(m,1H),8.35(m,1H),7.96(m,1H),7.62(m,3H),7.44(m,1H),7.32(m,1H),7.18(m,1H),7.01(m,1H),6.88(m,1H),5.29(d,2H)。
【0062】
実施例1に記載した方法により調製した一般式(I)のさらなる化合物の構造および物理特性を表Iに示す。
【0063】
【表1】






【0064】
実施例1に記載した方法により調製した一般式(III)の中間体の構造および物理特性を表(II)に示す。
【0065】
【表2】



【0066】
実施例1に記載した方法により調製した一般式(IV)の中間体の構造および物理特性を表(III)に示す。
【0067】
【表3】


【0068】
(実施例74)
製薬業界で使用されている公知の方法により、次の組成の錠剤を製造する。
【0069】
有効成分 25mg
ラクトース 50mg
アビセル 21mg
クロスポビドン 3mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
生物学
方法
ヒトアデノシンA受容体結合
膜懸濁液の調製:氷冷PBSで3回洗浄することにより、hA3受容体を発現しているCHO細胞を収集し、10分間、1000×gで遠心分離して、15秒間、バッファ(50mM Tris、10mM MgCl、1mM EDTA、pH8.0)中で均質化し、10分間、43.000×gで遠心分離(Sigma、3K30)して、その膜調製物を上述のバッファに懸濁させ、−80℃でそのアリコートを保管する。
【0070】
結合プロトコル:CHO−hA膜調製物(蛋白質含量2μg)を、0.5nMの[125I]AB−MECA(p−アミノ−ベンジル−メチルカルボキサミド−アデノシン)(100.000cpm)および100μMのR−PIA(N−[L−2−フェニルイソプロピル]アデノシン)の存在下、インキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、1mM EDTA、3U/mL アデノシン・デアミナーゼ、pH8.0)中、全量50μLで、1時間、室温でインキュベートして、非特異的結合または試験化合物を規定する。Whatman GF/Bガラス線維フィルタ(事前に、3時間、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で濾過し、96−ウエルBrandel Cell Harvesterを用いて、1mLの氷冷50mM Tris、10mM MgCl、1mM EDTA(pH8.0)で4回洗浄する。活性の検出:ガンマー・カウンタ(1470 Wizard,Wallac)にて。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性 − 非特異的結合)/(全活性 − 非特異的活性)*100。
【0071】
ヒトアデノシンA受容体結合
膜懸濁液の調製:氷冷PBSで3回洗浄することにより、hA受容体を発現しているCHO細胞を収集し、10分間、1000×gで遠心分離して、15秒間、バッファ(50mM Tris、pH7.4)中で均質化し、10分間、43.000×gで遠心分離(Sigma、3K30)して、その膜調製物を上述のバッファに懸濁させ、−80℃でそのアリコートを保管する。
【0072】
結合プロトコル:CHO−hA膜調製物(蛋白質含量50μg)を、インキュベーションバッファ(50mM Tris、3U/mL アデノシン・デアミナーゼ、pH7.4)、10nMの[H]CCPA(2−クロロ−N−シクロペンチル−アデノシン)(80.000dpm)および10μMのR−PIA(N−[L−2−フェニルイソプロピル]アデノシン)中、全量100μLで、3時間、室温でインキュベートして、非特異的結合または試験化合物を規定する。Whatman GF/Bガラス線維フィルタ(事前に、3時間、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で濾過し、96−ウエルBrandel Cell Harvesterを用いて、1mLの氷冷50mM Tris(pH7.4)で4回洗浄する。活性の検出:ベータ・カウンタ(1450 Microbeta,Wallac)にて、HiSafe−3カクテルの存在下、96ウエルプレートで。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性 − 非特異的結合)/(全活性 − 非特異的活性)*100。
【0073】
ヒトアデノシンA2a受容体結合
結合プロトコル:7μgの膜(HEK−293細胞にトランスフェクトしたヒトA2aアデノシン受容体、供給源:Receptor Biology,Inc.)、バッファ(50mM Tris−HCl、10mM MgCl、1mM EDTA、2U/mL アデノシン・デアミナーゼ、pH7.4)、20nMの[H]CGS−21680(2−[p−(2−カルボニルエチル)フェニルエチルアミノ]−5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)(200.000dpm)および50μM NECA(5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、全量100μLで、90分間、室温でインキュベートして、非特異的結合または試験化合物を規定する。Whatman GF/Bガラス線維フィルタ(事前に、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で濾過し、96−ウエルBrandel Cell Harvesterを用いて、1mLの氷冷50mM Tris、10mM MgCl、1mM EDTA、0.9% NaCl(pH7.4)で4回洗浄する。活性の検出:ベータ・カウンタ(1450 Microbeta,Wallac)にて、HiSafe−3カクテルの存在下、96ウエルプレートで。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性 − 非特異的結合)/(全活性 − 非特異的活性)*100。
【0074】
ヒトアデノシンA2b受容体結合
結合プロトコル:20.8μgの膜(HEK−293細胞にトランスフェクトしたヒトA2bアデノシン受容体、供給源:Receptor Biology,Inc.)、バッファ(50mM Tris−HCl、10mM MgCl、1mM EDTA、0.1mM ベンズアミド、2U/mL アデノシン・デアミナーゼ、pH6.5)、32.4nMの[H]DPCPX(8−シクロペンチル−1,3−ジプロピルキサンチン)(800.000dpm)および100μM NECA(5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、全量100μLで、30分間、室温でインキュベートして、非特異的結合または試験化合物を規定する。Whatman GF/Bガラス線維フィルタ(事前に、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で濾過し、96−ウエルBrandel Cell Harvesterを用いて、1mLの氷冷50mM Tris−HCL(pH6.5)で4回洗浄する。活性の検出:ベータ・カウンタ(1450 Microbeta,Wallac)にて、HiSafe−3カクテルの存在下、96ウエルプレートで。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性 − 非特異的結合)/(全活性 − 非特異的活性)*100。
【0075】
結論
本発明者らは、化合物が、本発明者らの実験条件下、1μMで、80%より大きな活性をもってヒトアデノシンA受容体に対する放射リガンドの結合を阻害する場合、その化合物を生物学的に活性とみなす。
【0076】
スキャッチャード分析(G.Scatchard,Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660,1949)を利用して、アイソトープ飽和試験により、CHO−hA膜調製物に対する[125I]AB−MECAの解離定数(K)を決定する。Cheng−Prusoff方程式(Y.J.ChengおよびW.H.Prusoff,Biochem.Pharmacol.22:3099,1973)を適用することにより、IC50を親和定数(K)に変換する。
【0077】
一般式(I)、(II)、(III)および(IV)の幾つかの化合物は、顕著な生物学的効果を示す。請求項1において定義されている一般式(I)のサブグループとして請求項2において定義されている一般式(IA)の化合物が、最も重要な活性を発揮する。9つの化合物を除き、それらのK値は、20nM以下である。実施例として与えた化合物は、特に有利である。ヒトアデノシンA受容体結合試験におけるそれらのK値は、3.5nMと0.78nMの間である。最も有利な化合物のK値は、0.82nMと0.78nMである。
【0078】
本化合物は、適正なバイオアベイラビリティを有し、且つ、ヒトアデノシンA、A2aおよびA2b受容体サブタイプと比較して少なくとも1,000倍の選択性を発揮する。
【0079】
さらに、静脈内投与および経口投与時のそれらの作用の持続は、充分長く、それらのED50値は、低く、それらの毒物学的プロフィールおよび副作用プロフィールは、有利である。
【0080】
上のデータから、一般式(I)の化合物は、治療適用に有望である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基;または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているフェニル基、チエニル基またはフリル基;一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されている、窒素原子を1、2もしくは3個含有する5もしくは6員へテロ芳香族環、または窒素原子を1個と酸素原子を1個、もしくは窒素原子を1個と硫黄原子を1個含有する5員へテロ芳香族環を表し;
およびRは、互いに無関係に、水素原子を表すか、RとRとが一緒に、メチレンジオキシ基または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子で場合によっては置換されている1,3−ブタジエニル基を形成しており;
は、水素原子またはシアノ基、アミノカルボニル基、C1〜4アルコキシカルボニル基またはカルボキシ基を表し;
は、水素原子;または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基;またはフェニル基により場合によっては置換されているC1〜4アルキレン基;またはメチレンジオキシ基または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ基により場合によっては置換されている、フェニル基、ベンジル基、チエニル基もしくはフリル基;または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されている、窒素原子を1、2または3個含有する5もしくは6員へテロ芳香族環または窒素原子を1個と酸素原子を1個もしくは窒素原子を1個と硫黄原子を1個含有する5員へテロ芳香族環を表し;
Xは、−CH−基、−NH−基、−NR12−基(この場合、R12は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基もしくはC3〜6シクロアルキル基を表す)、または硫黄原子または酸素原子またはスルホ基またはスルホキシ基を表し;
nは、0、1または2を表す、
一般式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および光学活性異性体、前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物。
【請求項2】
が、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基を表し;
が、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基を表し;
が、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基;または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されているフェニル基、チエニル基またはフリル基;一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されている、窒素原子を1、2もしくは3個含有する5もしくは6員へテロ芳香族環、または窒素原子を1個と酸素原子を1個、もしくは窒素原子を1個と硫黄原子を1個含有する5員へテロ芳香族環を表し;
、R、R10およびR11が、互いに無関係に、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を表し;
およびR11が、水素原子を表し、および、RとR10が一緒に、メチレンジオキシ基を形成しており;
が、水素原子またはシアノ基、アミノカルボニル基、C1〜4アルコキシカルボニル基またはカルボキシ基を表し;
が、水素原子;または直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基;またはフェニル基により場合によっては置換されているC1〜4アルキレン基;またはメチレンジオキシ基または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ基により場合によっては置換されている、フェニル基、ベンジル基、チエニル基もしくはフリル基;または一つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子により場合によっては置換されている、窒素原子を1、2または3個含有する5もしくは6員へテロ芳香族環または窒素原子を1個と酸素原子を1個もしくは窒素原子を1個と硫黄原子を1個含有する5員へテロ芳香族環を表し;
Xが、−CH−基、−NH−基、−NR12−基(この場合、R12は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基もしくはC3〜6シクロアルキル基を表す)、または硫黄原子または酸素原子またはスルホ基またはスルホキシ基を表し;
nが、0、1または2を表す、
請求項1に記載の一般式(Ia)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および光学活性異性体、前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物。
【請求項3】
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、フェニル基、チエニル基またはフリル基を表し;
、R、R10およびR11が、互いに無関係に、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を表し;
およびR11が、水素原子を表し、且つ、RとR10が一緒に、メチレンジオキシ基を形成しており;
が、水素原子またはシアノ基を表し;
が、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−チエニル基、3−ピリジル基、3−ヒドロキシフェニル基または3−フリル基を表し;
Xが、−NH−基または酸素原子を表し;および
nが、1を表す、
請求項2に記載の一般式(IA)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および光学活性異性体、ならびに前記光学活性異性体の塩および溶媒和物。
【請求項4】
下記:
2−(4−メトキシフェニル)−9−ベンジルアミノ−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(2−フリル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−9−(2−フリルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(3−ピリジル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン、
2−(3−ヒドロキシフェニル)−9−(2−チエニルメチルアミノ)−10−シアノ−s−トリアゾロ[1,5−α]キノリン
である、請求項1から3に記載の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物、光学活性異性体および前記光学異性体の塩、それらの溶媒和物。
【請求項5】
一般式(VII)(式中、Rは、請求項1において定義されている)の化合物を用いて、一般式(II)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の1,2−ジアミノ−ピリジニウム塩を閉環すること、および所望される場合には、こうして得られた一般式(I)の化合物の置換基を、それ自体公知の方法により、互いに変換すること、および/またはこうして得られた一般式(I)の化合物をその塩もしくは溶媒和物に変換すること、またはその塩もしくは溶媒和物からそれを遊離させること、および/またはそれをその光学活性異性形に分離すること、またはその光学活性形をラセミ形に変換することを特徴とする、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の化合物、その塩、溶媒和物、光学活性異性体ならびに前記光学活性異性体の塩および溶媒和物の調製方法。
【請求項6】
Yが水素原子を表す式(VII)の化合物の場合、トリエチルアミンの存在下、ジメチルホルムアミド中で前記閉環を行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Yがハロゲン原子を表す式(VII)の化合物の場合、ピリジン中で前記閉環を行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
製薬業界で使用されている一つ以上の賦形剤との混合物として、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の一つ以上の化合物またはそれらの塩、溶媒和物もしくは光学活性異性体および前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項9】
製薬業界で使用されている一つ以上の賦形剤との混合物として、一般式(Ia)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項2において定義されているものと同じ意味を有する)の一つ以上の化合物またはそれらの塩、溶媒和物もしくは光学活性異性体および前記光学活性異性体の塩、それらの溶媒和物を有効成分として含有する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項4に記載の化合物一つ以上を有効成分として含有する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
その進展において受容体Aが役割を果たす疾病の治療における、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の化合物の使用。
【請求項12】
心臓、腎臓、呼吸器官および中枢神経系の疾病の場合に、増殖腫瘍細胞によるアデノシンの保護の阻害、肥満細胞脱顆粒の防止、サイトカイン生産の抑制、眼圧の低下、TNFα放出の抑制、好酸球、好中球および他の免疫細胞の移行の阻害、気管支収縮および血漿滲出の抑制のための、Aリガンドとしての、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の化合物の、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
抗炎症、抗喘息、抗虚血、抗うつ、抗不整脈、腎臓保護、抗腫瘍、抗パーキンソン病および認識強化用医薬組成物、ならびに心筋再潅流障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および成人呼吸促迫症候群(ARDS)(慢性気管支炎、肺気腫または肺性呼吸困難を含む)、アレルギー反応(例えば、鼻炎、ツタウルシ誘発反応、じんま疹、強皮症、関節炎)、他の自己免疫疾患、炎症性腸疾患、アジソン病、クローン病、乾癬、リウマチ、高血圧、神経機能障害、緑内障および糖尿病の治療または予防用の組成物における有効成分としての、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の化合物の、A受容体拮抗薬としての、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
喘息、COPDおよびARDS、緑内障、腫瘍、アレルギー性および炎症性疾患、虚血、低酸素症、不整脈および腎疾患などの疾病を治療するための有効成分としての、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の化合物の、A受容体拮抗薬としての、請求項11、12または13に記載の使用。
【請求項15】
一般式(II)(式中、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは、請求項1において定義されているものと同じ意味を有する)の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−42653(P2011−42653A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−200550(P2010−200550)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【分割の表示】特願2003−554684(P2003−554684)の分割
【原出願日】平成14年12月17日(2002.12.17)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】