説明

アトピーにおけるANGE遺伝子

【課題】新規のANGE、CLLD8、及びCLLD7の単離された核酸配列、又はこれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はそれらの断片及び該核酸配列のアトピー関連への使用方法を提供する。
【解決手段】2以上の前記遺伝子から得られるハイブリッド核酸配列を備えた配列。核酸発現ベクター、ポリペプチド、該ポリペプチドに対する抗体、ヒト以外のトランスジェニック動物、及び薬学的組成物、及び物質。医療及び研究における前記核酸配列及び/又はタンパク質の使用、疾病に対する素因又は疾病の重篤度を診断又は決定する方法、疾病を予防又は治療する方法、前記方法で使用するためのキット、IgE媒介性疾患及び非アトピー性喘息を治療又は予防する上での前記核酸配列及びタンパク質の使用、前記方法で使用するための新規物質を同定するためのスクリーニングにおける前記核酸配列及びタンパク質の使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、ANGE、CLLD8、及びCLLD7の単離された核酸配列、又はそれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はそれらの断片に関する。2以上の前記遺伝子から得られるハイブリッド核酸配列を含む配列も提供される。核酸発現ベクター、ポリペプチド、該ポリペプチドに対する抗体、宿主細胞、ヒト以外のトランスジェニック動物、及び薬学的組成物、及び物質も提供される。医療及び研究における前記核酸配列及び/又はタンパク質の使用、疾病に対する素因若しくは疾病の重篤度を診断若しくは測定する方法、疾病を予防又は治療する方法、前記方法で使用するためのキット、IgE媒介性疾患及び非アトピー性喘息の治療若しくは予防における前記核酸及びタンパク質の使用並びに前記方法で使用するための新規物質を同定するためのスクリーニングにおける使用も提供される。
【0002】
アトピー性疾患又は免疫グロブリンE(IgE)媒介性疾患には、喘息、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、及びアレルギー性鼻炎などがある。これらの疾患は、児童及び青年の主な病因である(Jarvis,D. & Bureney,P.British Medical Journal 316,607-10(1998)[BMJ 1998 Apr 4;316(7137):1078に、正誤表が掲載されている。]、及びCookson,W. Nature 402、B5-11(1999))。
【0003】
アトピーや喘息は、強い環境因子と遺伝因子の相互作用によって生じる(Cookson,W.Nature 402,B5-11(1999))。喘息は、標準的な症状調査票によって疫学的に、又は医師の診断によって、認められるのが一般的である(O’Connor,G. T. & Weiss, S.T. Am J Respir Crit Care Med 149,S21-8;discussion S29-30(1994))。
【0004】
アトピーは、皮膚穿刺試験、又はRAST若しくはELISA技術を用いたアレルゲンに対する特異的血清IgE力価の測定によって、又は総血清IgEの定量によって検出される。量的形質を調べることは、連鎖解析や関連分析一般に多大な利点を与えるとともに(Risch,N.J. & Zhang, H. Am J Hum Genet 58,836-43(1996))、喘息症例の連鎖解析や関連分析に対しても多大な利点を与える(Cookson, W. & Palmer,L. Clin Exp Allergy 28 Suppl 1,(1996))。喘息及びアトピーの基礎には、総血清IgE濃度、皮膚検査指標(STI、Skin Test Index)、RST指標、及びメタコリンに対する気管支の反応性の用量反応勾配(DRS)を含む数多くの量的形質が存在する(Daniels,S.E. et al. Nature(383,247-50(1996)。総血清IgEは対数正規分布を示し、高い遺伝性を有する(Gerrard, J., Rao, D. & Morton, N. Am J Hum Genet 30, p46-58 (1978)) and Palmer, L. J. et al.Am J Respir Crit Care Med 161,1836-43 (2000))。総血清IgEは、DRS及びSTIと不完全に重なり合う遺伝的効果によって影響を受ける。
【0005】
医師が診断した喘息の遺伝度は60−70%であり、(対数正規)総血清IgE濃度の遺伝度は40−50%である8,9。STIの遺伝度はこれより低く、約30%である。分類形質より量的形質(categorical trait)を調べる方が、連鎖解析や関連分析一般に対しても10、また喘息症例の連鎖解析や関連分析に対しても、多大な利点がある11。総血清IgEは、標準化された測定プロトコールを用いると、対数正規分布を示し、年齢と性別の影響も十分に確定されている12。このために、本発明者らは、アトピーと喘息の原因遺伝子をマッピングするための量的形質として、総血清IgEを用いてきた。
【0006】
同じ家族でも、異なるアトピーの指標が上昇することがあり得る(Cookson,W. O. C. M. & Hopkin, J. M. Lancet 1,86-88 (1988) and Young, R.P., Lynch, J., Sharp, P. A. & et al. Journal of Medical Genetics 29,236-238(1992))。RASTと皮膚検査の反応は、総血清IgEより遅い幼児期にピークに達し、その後は、総血清IgEに比べて遅い速度で減少する(Cline,M.G.&Burrows,B.B.Thorax 44,425-431(1989))。かかる表現型の不均一性(多面作用)を補償するために、「アトピー」の分類形質は、STI、RAST指標、及び総血清IgEの組み合わせに基づいている(Daniels,S.E. et al. Nature 383,247-50(1996) and Cookson,W.O.C.M & Hopkin,J.M. Lancet 1.86-88(1988))。
【0007】
アトピーは、遺伝的因子と環境的因子の相互作用によって生じる。遺伝的因子は、喘息への素因をもたらす遺伝子の発現又は機能レベルを変化させるDNA構造のバリアント(「多型(polymorphism)」)であると考えられている。ある特定の部位(「遺伝子座(locus)」)に位置するDNA配列のバリアントは、「対立遺伝子(allele)」として知られている。アトピー及び喘息関連表現型への連鎖のスキャンがゲノム全域にわたって実施されている(Daniels,S.E. et al. Nature 383.247-50(1996))。本発明者らの最初のゲノムスクリーニングの時に、別の家族群にアトピー表現型の染色体13q14への強い連鎖が観察、確認された。これ以前の研究によって、染色体13q14上のエステラーゼD(ESD)タンパク質多型への総血清IgEの連鎖が見出されていた(Eiberg,H., et al. Cytogenetics. And Cell Genetics 40,622(1985))。
【0008】
該領域への連鎖は、日本の家族の単一遺伝子座研究によっても確認されている(Kimura,K. et al. Hum Mol Genet 8,1487-90(1999))。米国のハッテライト家族での2段階スクリーニングによって、第2段階の家族に13q21への喘息の連鎖が見出された(Ober, C. et al. The Collaborative Study on the Genetics of Asthma. Hum Mol Genet 7,1393-8 (1998))が、第2段階の家族では見出されなかった。13q14への連鎖は、喘息を有する子供でイエダニアレルギーに対しても観察され(Hizawa,N. et al. Collaborative Study on the Genetics of Asthma (CSGA). J Allergy Clin Immunol 102, p436-42 (1998))、アトピー性皮膚炎の子供に対しても観察された(Beyer K, W. U et al J Allergy Clin Immunol 101, 152 (1998))。これらの結果は、13番染色体に重要なアトピー遺伝子座が含まれていることを示唆している。最近、染色体13−13q14の同じ領域に、アトピー性皮膚炎の遺伝子座がマッピングされた。「Susceptibility loci for atopic dermatitis on chromosomes 3,13,15,17 and 18 in a Swedish population: Bradley M, Soderhall C, Luthman H, Wahlgren CF, Kockum I, Nordenskjold M Hum Mol Genet 2002 JUN 15;11(13): 1539-48」。
【0009】
ある対立遺伝子と疾病の表現型の関連を検出することによって、発症遺伝子の位置を詳細に決定し得る。短いDNAの区画の中では、特定の多型を有する特殊な対立遺伝子が、隣接する多型を有する対立遺伝子と非偶発的な関連を示すことがある。「連鎖不均衡」として知られるこの現象は、典型的には、50−500キロ塩基(Kb)のDNAにわたって起こる(Jorde,L.B. Am J Hum Genet 54, 884-98(1994);Collins,A.,Lonjou,C.& Morton, N.E.Proc Natl Acad Sci USA 96,15173-7(1999) and Abecasis,G.R. et al. Am J Hum Genet 68,191-197(2001))、多型と疾病の関連は、500Kb超に及ぶことは一般に少ない。連鎖不均衡は、個体の研究と家族の研究とによって検出することができる。
【0010】
発症対立遺伝子は、同じ染色体のセグメントから得られる非機能的多型と連鎖不均衡にあるであろう。従って、病状の基礎を成す正確な多型と遺伝子を特定せずに、ある染色体セグメントから、疾病と対立遺伝子との関連を検出することが可能である。
【0011】
従って、対立遺伝子関連の検出によって、ある個体における疾病への感受性についての情報を与えることができる。さらに、対立遺伝子関連は、対立遺伝子の何れかの方向から限られた距離のDNA中に、発症遺伝子が存在することの指標となる。
【0012】
発症遺伝子を同定すれば、発症前に(例えば、生後直後に)アトピーのリスクがある子供を特定して、疾病を予防できる可能性がある。遺伝子とその活性を知ることができれば、疾病のタイプ(すなわち、喘息、皮膚炎、又はアレルギー)、疾病の臨床経過(例えば、軽症ではなく重症)、又は特定の治療への応答に関して予測を行うことが可能となるだろう。この診断情報は、保健医療、医薬、及び保険産業にとって有用であろう。
【発明の開示】
【0013】
本発明の第1の側面によれば、図5に示されている配列、又は図3aに記載されたエキソンを1以上除去した配列、又はこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片を具備する単離された核酸配列又は組換え核酸配列が提供される。図5の配列には、ヒトANGE、CLLD7、及びCLLD8ヌクレオチド配列が含まれている。図5a(i)は、2つの選択的な第1エキソンを含むANGE遺伝子のエキソン配列を示し、図5a(ii)は、ANGE mRNAの配列を示し、図5a(iii)は翻訳されたタンパク質配列を示している。NY−RNE−34 mRNA配列は、図5b(i)に示されており、NY−REN−34のタンパク質配列が図5b(ii)に、選択的NY−REN−34タンパク質配列が図5b(iii)に示されている。
【0014】
本発明において、ANGE遺伝子は、従来技術においてNY−REN−34として知られていた遺伝子であり、BAC bA103J18.03548のヌクレオチド313649−346509として示されている(図5)。本出願においてANGE遺伝子という場合には、図5のANGE遺伝子と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、915、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の相同性を示し、且つ好ましくはANGE遺伝子と1以上の機能的特性を共有するバリアント配列が含まれる。
【0015】
ANGE核酸配列は、図3a、5a(i)、及び表5のエキソンを1以上任意に組み合わせたもの又はこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片を備えることができる。これらの組み合わせは、ヒト及びマウスを含む全てのANGE配列に対して当てはまる。
【0016】
本発明の全ての配列は単離されるか、あるいは組換えることができる。
【0017】
単離されたとは、精製されており、且つ他のタンパク質及び核酸が実質的に存在しない核酸又はポリペプチド配列を意味する。このような配列は、PCR増幅、クローニング技術、又は合成機での合成によって取得することができる。組換え(recombinant)とは、人の手で組み換えられた核酸配列を意味する。
【0018】
本発明のポリヌクレオチド配列は、ゲノムDNA若しくはcDNA、又はRNA、好ましくはmRNA、又はPNA又は当業者に公知の他の核酸類縁体であり得る。本発明において、遺伝子産物には、ポリヌクレオチド配列とタンパク質が含まれる。ポリペプチド配列という場合には、タンパク質とペプチドが含まれる。
【0019】
CLLD7、CLLD8、及びNY−REN−34のmRNA配列に対する公開ドメインのREFSEQエントリーは、それぞれ、NM_018191.2、NM_031915.1、及びNM_016119.1である。これらは、上記した配列に対するヌクレオチドレベルでの僅かな差異を示している。しかしながら、NY−REN−34の場合、これらの変化は、以下に示されている本発明者らの配列に比べて、末端切断されたタンパク質をもたらすものと予想される。
【0020】
本出願において、相補的な配列又は実質的に相同な配列とは、ストリンジェントな条件下で、所定の配列又はその遺伝子産物にハイブリダイズする配列である。このように、例えば、基準となる核酸に対して実質的に相同な核酸配列は、ストリンジェントな条件下で、基準となる核酸の遺伝子産物(すなわち、mRNA)にハイブリダイズすることができるであろう。相補的な配列とは、ストリンジェントな条件下で、核酸配列自体にハイブリダイズすることができる配列である。本発明では、実質的に相同な配列の相補物(complement)も提供される。実質的に相同な配列は、好ましくは、所定の配列と、少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は100%の配列同一性を有する。実質的に相同であるというこの定義は、核酸配列とポリペプチド配列の両方に対して適用される。このように、構造又は機能に影響を与えない保存的なアミノ酸置換を有するポリペプチド配列も含まれる。全てのDNA配列について、相補的な配列という場合には、対応するmRNA配列及びこのようなRNA配列に由来する任意のcDNA配列が含まれる。
【0021】
「%同一性」とは、2つの核酸又はポリペプチド配列を比較することによって求められる、2つの核酸又はポリペプチド配列の関連性の指標である。一般的には、配列間に最大の相関を与えるように、比較すべき2つの配列を併置する。2つの配列を併置して調べ、アミノ酸又はヌクレオチドが正確に一致している位置の数を求めて、併置した配列の全長で除し、その結果に100を乗ずることによって、%同一性が得られる。%同一性は、比較すべき配列の全長にわたって調べてもよいし(同じ若しくは似通った長さの配列、又は高い相同性の配列の場合に特に適している)、これより短い所定の長さにわたって調べてもよい(長さが等しくない配列及び相同性が低い配列の場合に適している)。
【0022】
2以上の配列の同一性を比較する方法は、本分野において公知である。例えば、Wisconsin Sequence Analysis Package version 9.1(Devereux J et al., Nucl Acid Res 12 387-395 (1984), available from Genetics Computer Group, Madison, Wisconsin, USA)で入手できるBESTFITやGAPなどのプログラムを用いることができる。
【0023】
BESTFITは、SmithとWatermanの「局所的相同性」アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics、2:482-489、1981)を用いており、2つの配列の間で最も類似性の高い領域を1つ見出す。BESTFITは、長さが異なる2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド配列を比較するのにより適している(本プログラムは、短い方の配列が、長い方の配列の一部を成していると仮定している)。これに比べて、GAPは、2つの配列を並列させて、NeddlemanとWunsch(J.Mol.Biol.48:443-354、1970)のアルゴリズムに従って、「最大の類似性」を見出す。GAPは、概ね長さが同じ配列を比較するのに適しており、全長にわたってアライメントを行うことを想定している。各プログラムで使用するパラメータ「Gap Weight」と「Length Weight」は、ポリヌクレオチド配列の場合、それぞれ50と3、ポリペプチド配列の場合12と4であることが好ましい。好ましくは、%同一性と類似性は、比較する二つの配列を最適に並列して決定する。
【0024】
配列間の同一性及び/又は類似性を決定するためのその他のプログラム、例えば、BLAST類のプログラム(Altschul et al, J.Mol.Biol.,215:403-410、(1990)、Altschul et al, Nuc Acids Res.,25:289-3402(1997)、National Center for Biotechnology Information(NCB)、Bethesda、Maryland、USAから入手可能、NCBIのホームページ(www.ncbi.nlm.nih.gov)からアクセスできる)やFASTA(Pearson W.R. and Lipman D.J., Proc. Nat. Acac. Sci.,USA,85:2444-2448(1988)、Wisconsin Sequence Analysis Packageの一部として入手可能)も本分野において公知である。好ましくは、BLOSUM62アミノ酸置換マトリックス(Henikoff S. and Henikoff J.G.,Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,89:10915-10919,(1992))は、ポリペプチド配列の比較(比較の前に、ヌクレオチド配列をまずアミノ酸配列に翻訳する場合を含む)で使用される。
【0025】
好ましくは、プログラムBESTFITは、本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列配列に対する被検ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の%同一性を決定するために使用し、被検配列と基準配列を最適に並列して、プログラムのパラメータは初期値に設定する。
【0026】
本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのプロトコールで用いられる洗浄条件を意味する。一般に、洗浄条件は、研究対象たる核酸のTmの計算値を変性温度が約5−20℃下回るように、温度と塩濃度を組み合わせなければならない。20塩基以下の核酸プローブのTmは、短いオリゴヌクレオチドについてのWallace則に従って、標準条件(1M NaCl)下で、[4℃x(G+C)+2℃x(A+T)]と計算される。これより長いDNA断片の場合、Breslauerら、PNAS 83:3746−3750(1986)に記載されている法則に従って、固体熱力学と実験データを組み合わせた直近隣接法(nearest neighbor method)を用いることができる。ハイブリダイゼーション用の最適な塩及び温度条件は、フィルター上に固定化されたDNA試料を目的のプローブにハイブリダイズさせた後に、様々なストリンジェンシーの条件下で洗浄する予備実験で容易に決定することができる。PCR用の条件は標準条件と異なってもよく、プライマーの予測相対安定度の指標としてTmを使用し得る。約14ヌクレオチドの短いプライマーの場合、44℃−50℃前後の低いアニーリング温度が用いられる。前記温度は、使用するプライマー配列の塩基組成に応じてさらに高くしてもよい。好適には、ストリンジェントな条件は、(例えば、DPP10コード配列でない配列への)非特異的ハイブリダイゼーションが回避される条件である。21マーのオリゴヌクレオチドプローブの場合、好適なストリンジェント条件は、0.5×SSC/1%SDS/58℃/30分である。
【0027】
本発明の前記相補的配列(本明細書では、「アンチセンス」と表記することもある)は、プローブ若しくはプライマーとして、又はANGE発現の制御において有用であり得る。好ましくは、前記プライマー配列は、ANGE遺伝子の全部又は一部を増幅することができる。好ましいプライマー配列は、実施例と表4に開示されている。遺伝子、又はその対立遺伝子、又はそれらのバリアントの全部又は一部を増幅するためのプライマー対は、本発明の別の側面を構成する。同様に、ANGEプローブは、被験体(subject)から得た試料内での、ANGE、又はそのバリアント形態の存在又は発現レベルを検出するのに有用であろう。前記プローブは、被験体におけるANGEの発現パターンを解析するのにも有用であろう。
【0028】
本出願において、断片とは、連続する任意の10残基の配列、又はこれより大きな20、30、40、若しくは50残基等の配列である。好ましくは、核酸又はポリペプチド配列の断片は、ANGE若しくはその遺伝子と1以上の機能的特徴を共有するか、又はこのような機能的特徴をモジュレート(すなわち、阻害又は増強)することができる。本実施態様に係る断片の新規性は、該断片のヌクレオチド又はポリペプチド配列を、優先日にGenebank等のデータベースに掲載されている配列と比較することによって、又はDNASIS(Hitachi Engineering Inc)若しくはGenetic Computer Group(Madison、USA)のWord Search若しくはFASTA等のコンピュータプログラムを使用することによって容易に確認することができる。
【0029】
前記断片は、様々な診断法、予後診断法、又は治療法において使用することができ、又は(例えば、スクリーニングにおける)研究用のツールとして有用であり得る。前記第1の側面の配列又はそれらの相補配列の断片は、上述のように、プライマー配列として使用することができる。
【0030】
本発明の第2の側面では、図5に示されている配列、又は図5d(i)及び表5に記載されたエキソン配列を1以上除去した図5に示されている配列、又はこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片を具備する単離された核酸配列又は組換え核酸配列が提供される。CLLD8のmRNA配列は図5d(ii)に、CLLD8のタンパク質配列は図5d(iii)に示されている。図5のヌクレオチド294727−309803は、ヒトCLLD8核酸配列である。
【0031】
本発明の第3の側面では、図5に示されている配列、又は図5c(i)及び表に記載されたエキソン配列を1以上除去した図5に示されている配列を具備する単離された核酸配列又は組換え核酸配列が提供される。CLLD7のmRNA配列は図5c(ii)に、CLLD7のタンパク質配列は図5c(iii)に示されている。図5のヌクレオチド349634−410846は、ヒトCLLD7核酸配列である。
【0032】
本発明の第4の側面では、図5に示されている配列を備えた請求項2に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(ヌクレオチド294727−309803)(CLLD8)と隣接する、図5に示されている配列を備えた請求項1に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(ヌクレオチド313649−346509)(ANGE)、又はこれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はこれらの断片が提供される。
【0033】
あるいは、CLLD8遺伝子とANGE遺伝子を備える単離されたポリヌクレオチド配列又は組換えポリヌクレオチド配列であって、両遺伝子が単一の制御要素の調節下にあるポリヌクレオチド配列が提供される。好ましくは、前記制御要素はプロモーターである。より好ましくは、前記制御要素はCLLD8プロモーターである。
【0034】
あるいは、ドメイン構造、プレ−SET−SET−ポスト−SET−PHD−PHDを有するタンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチド配列又は組換えポリヌクレオチド配列が提供される。好ましくは、前記ドメイン構造は、CpGBD−プレ−SET−SET−ポスト−SET−PHD−PHDである。SETとPHDドメインは、当業者に公知であろう。
【0035】
好ましくは、前記第4の側面のポリヌクレオチド配列は、CLLD8とANGEの両方を備えた単一の遺伝子産物をコードする。この複合遺伝子産物は、CLLD8プロモーターの制御下で、CLLD8遺伝子のスプライシング産物として産生され、ANGE遺伝子産物を備える。この複合CLLD8−ANGE遺伝子産物は、CLLD8とANGE遺伝子を共にスプライシングすることによって得られ、アトピーに関与していることが示されている。
【0036】
本発明の第5の側面では、図5に示されている配列(ヌクレオチド349634−410846)を備えた請求項3に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(CLLD7)と隣接する、図5に示されている配列(ヌクレオチド313649−346509)を備えた請求項1に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(ANGE)、又はこれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はこれらの断片が提供される。
【0037】
あるいは、ANGE遺伝子とCLLD7遺伝子を備える単離されたポリヌクレオチド配列又は組換えポリヌクレオチド配列であって、両遺伝子が単一の制御要素の調節下にあるポリヌクレオチド配列が提供される。好ましくは、前記制御要素はプロモーターである。より好ましくは、前記制御要素はANGEプロモーターである。
【0038】
好ましくは、前記第5の側面のポリヌクレオチド配列は、ANGEとCLLD7の両方を備えた単一の遺伝子産物をコードする。この複合遺伝子産物は、ANGEプロモーターの制御下で、ANGE遺伝子のスプライシング産物として産生され、CLLD7遺伝子産物を備える。この複合CLLD7−ANGE遺伝子産物は、CLLD7とANGE遺伝子を共にスプライシングすることによって得られ、アトピーに関与していることが示されている。
【0039】
本発明の第6の側面では、図5に示されている配列(ヌクレオチド349634−410846)を備えた請求項3に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(CLLD7)と隣接する、図5に示されている配列を備えた請求項1に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(ヌクレオチド294727−309803)(CLLD8)、又はこれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はこれらの断片が提供される。
【0040】
あるいは、CLLD8遺伝子とCLLD7遺伝子を備える単離されたポリヌクレオチド配列又は組換えポリヌクレオチド配列であって、両遺伝子が単一の制御要素の調節下にあるポリヌクレオチド配列が提供される。好ましくは、前記制御要素はプロモーターである。より好ましくは、前記制御要素はCLLD7プロモーターである。
【0041】
好ましくは、前記第6の側面のポリヌクレオチド配列は、CLLD8とCLLD7の両方を備えた単一の遺伝子産物をコードする。この複合遺伝子産物は、CLLD8プロモーターの制御下で、CLLD8遺伝子のスプライシング産物として産生され、CLLD7遺伝子産物を備える。この複合CLLD8−CLLD7遺伝子産物は、CLLD8とCLLD7遺伝子を共にスプライシングすることによって得られ、アトピーに関与していることが示されている。
【0042】
本発明の第7の側面では、図5に示されている配列(ヌクレオチド294727−309803)を備えた請求項2に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(CLLD8)と隣接し且つ図5に示されている配列(ヌクレオチド349634−410846)を備えた請求項3に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(CLLD7)と隣接する、図5に示されている配列(ヌクレオチド313649−346509)を備えた請求項1に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列(ANGE)、又はこれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はこれらの断片が提供される。
【0043】
あるいは、ANGE遺伝子とCLLD8遺伝子とCLLD7遺伝子とを備える単離されたポリヌクレオチド配列又は組換えポリヌクレオチド配列であって、全遺伝子が単一の制御要素の調節下にあるポリヌクレオチド配列が提供される。好ましくは、前記制御要素はプロモーターである。より好ましくは、前記制御要素はCLLD8プロモーターである。
【0044】
好ましくは、前記第7の側面のポリヌクレオチド配列は、CLLD8、ANGE、及びCLLD7を備えた単一の遺伝子産物をコードする。この複合遺伝子産物は、CLLD8プロモーターの制御下で、CLLD8遺伝子のスプライシング産物として産生され、ANGE及びCLLD7遺伝子産物を備える。この複合CLLD8−ANGE−CLLD7遺伝子産物は、CLLD8、ANGE、及びCLLD7遺伝子を共にスプライシングすることによって得られ、アトピーに関与していることが示されている。
【0045】
「ANGE」、「CLLD7」、及び「CLLD8」という用語は、完全な遺伝子産物、又はそれらの1若しくは複数の一部の何れかを意味する。前記遺伝子産物の一部は、好ましくは、スプライスバリアントであり、好ましくは、少なくとも1つのエキソン、又は少なくとも1つのエキソンから産生される又は転写物が含まれる。このように、前記第4乃至第7の側面の遺伝子産物には、CLLD7、CLLD8、及びANGEの少なくとも1つのエキソン又はエキソンの一部が含まれる。
【0046】
本発明の第8の側面では、図5の配列の少なくとも一部を有し且つ表1に列記されている図5の位置に対応する位置にSNPを1以上有する、単離された核酸配列又は組換え核酸配列が提供される。
【0047】
具体的な単離された核酸分子には、表2cに示されているように、
図5の185752b4_2位に対応する位置にSNPを有する核酸分子、
図5の185752b5_3位に対応する位置にSNPを有する核酸分子、
図5の4321017b38 位に対応する位置にSNPを有する核酸分子
が含まれる。
【0048】
本発明の第8の側面の単離された核酸分子又は組換え核酸分子は、図5の「野生型」又は「基準」配列とは異なる。
【0049】
本発明の該側面は、アンチセンス配列も提供する。このような配列は、典型的には、一本鎖であって、ストリンジェントな条件下で、本発明の上記核酸配列又は図5の配列にハイブリダイズすることが可能である。好ましいアンチセンス配列は、本発明の多型を有する対立遺伝子にハイブリダイズすることができるアンチセンス配列であり、最も好ましくは、(表1の)多型を有する対立遺伝子を識別することができるアンチセンス配列である。ストリンジェントな条件は、以下に定義されている。前記アンチセンス配列は、合成によって調製してもよいし、あるいはニック翻訳によって調製してもよく、好ましくは単離されるか又は組換えられる。
【0050】
前記アンチセンス配列には、例えば、本発明の前記方法に使用するためのプライマー及びプローブが含まれる。プライマー配列は、当業者に公知であると思われる適切な条件下において、テンプレートで誘導される核酸合成用の開始部位として作用することができる。プローブは、ある核酸配列の検出、同定、及び単離において有用である。プローブ及びプライマーの長さは、好ましくは15乃至30ヌクレオチドである。
【0051】
増幅を行う場合には、ペアとプライマーを準備する。これらには、増幅すべき核酸配列の5’末端にハイブリダイズする5’プライマーと、増幅すべき核酸の3’末端の相補鎖にハイブリダイズする3’プライマーとが含まれる。
【0052】
好ましいプライマーは、表4に記載されているプライマー配列。
【0053】
例えば、検出を可能にするために、プローブとプライマーには、標識を施してもよい。適切な標識には、例えば、引き続きサザンブロット操作において可視化するための、例えば、放射標識、酵素標識、蛍光標識、ビオチン−アビジン標識が含まれる。標識されたプローブ又はプライマーは、試料のDNA又はRNAと反応して、相補的な配列を有するDNA又はRNAの領域がプローブとハイブリダイズして、DNA又はRNA自体が標識されることになるであろう。標識された領域は、例えば、オートラジオグラフィーによって可視化することができる。
【0054】
前記プローブ及び/又はプライマーは、「ストリンジェントな条件」下でハイブリダイズするのが好ましく、ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーションのプロトコールで用いられる洗浄条件を意味する。プローブ用のハイブリダイゼーション条件は、プローブの結合時に、多型を有する別の対立遺伝子を識別できるように十分ストリンジェントであることが好ましい。一般に、洗浄条件は、研究対象となっている核酸のTmの計算値を変性温度が約5−20℃下回るように、温度と塩濃度を組み合わせなければならない。20塩基以下の核酸プローブのTmは、短いオリゴヌクレオチドに関するWallace則に従って、標準条件(1M NaCl)下で、[4℃x(G+C)+2℃x(A+T)]と計算される。これより長いDNA断片の場合、Breslauerら、PNAS 83:3746−3750(1986)に記載されている法則に従って、固体熱力学と実験データを組み合わせた直近隣接法を用いることができる。ハイブリダイゼーション用の最適な塩及び温度条件は、フィルター上に固定化されたDNA試料を目的のプローブにハイブリダイズさせた後に、様々なストリンジェンシーの条件下で洗浄する予備実験で容易に決定することができる。PCR用の条件は標準条件と異なってもよく、プライマーの予測相対安定度の指標としてTmを使用し得る。約14ヌクレオチドの短いプライマーの場合、44℃−50℃前後の低いアニーリング温度が用いられる。前記温度は、使用するプライマー配列の塩基組成に応じてさらに高くしてもよい。典型的には、塩濃度は1Mにすぎず、温度は少なくとも25℃である。適切な条件は、5×SSPE(750mM NaCI、50mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA pH7.4)、25−30℃の温度である。
【0055】
IgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息に影響を与える遺伝子又は遺伝的要素の同定における表1の1以上のSNPマーカーの使用も含まれる。IgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息の診断、予防、又は治療に使用するための医薬における又はIgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息の診断、予防、又は治療に使用するための物質の同定における、前記1以上のSNPマーカーの使用などである。
【0056】
好ましい実施態様では、前記SNPマーカーは、表2cに示されているもの、又は185752b4_2、185752b5_3、432103b43_1、若しくは4321017b38_1、又は表1から選択されるSNPマーカーと連鎖不均衡にある任意のSNPである。前記第1乃至第8の側面のポリヌクレオチドは、IgE媒介性疾患若しくは非アトピー性喘息を有する個体の診断、又はこのような疾病を有する個体の治療において使用される。前記ポリヌクレオチドは、IgE媒介性疾患若しくは非アトピー性喘息を有する個体を診断するための診断薬(diagnostic)の製造において、又はこのような疾病を有する個体の治療においても使用することができる。
【0057】
本発明の第9の側面では、本発明の単離された核酸配列は、前記第1乃至第8の何れかの側面に係る単離された核酸配列をインビトロ又はインビボで発現させることができるようにするために、ベクターの形態で提供することができる。ベクターには、プラスミド、染色体、人工染色体、及びウイルスが含まれ、核酸配列をインビトロ又はインビボで発現させることができる発現ベクター、核酸配列をある環境から別の環境へ移行させることができる形質転換ベクターであり得る。本発明の前記核酸分子は、プロモーターを含む1以上の制御要素に作用可能に連結させてもよい。
【0058】
制御要素(regulatory element)という用語には、反応要素、コンセンサス部位、メチル化部位、遺伝子座制御領域、翻訳後修飾、スプライスバリアント、ホメオボックス、誘導性因子、DNA結合ドメイン、エンハンサー配列、開始コドン、分泌シグナル、及びポリA配列が含まれる。プロモーターの活性を制御する、プロモーターの上流又は下流の領域(エンハンサーなど)も制御要素である。
【0059】
前記ベクターは、複製起点、ポリヌクレオチド分子に隣接してインサートをクローニングできるようにするための適切な制限部位、マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位と転写終結領域、ポリメライゼーション部位、又は前記ポリヌクレオチド分子のクローニング及び/又は発現を促進することができる分泌シグナル等の他のあらゆる要素も備えることができる。
【0060】
ベクターの中で、前記遺伝子は、ヒスチジンタグ、V5エピトープタグ、緑色蛍光タンパク質タグ、MHCタグ、又は当業者に公知である他のこのようなタグ等の発現タンパク質タグの上流又は下流に発現させ得る。このようなタグの使用により、タグ部分に対する抗体を用いて、融合タンパク質の容易な位置決定、アフィニティー精製、及び検出が可能となる。
【0061】
本発明の核酸分子を2つ以上同一のベクターに導入する場合には、固有の制御配列によって各々を制御してもよいし、同一の制御配列によって全ての分子を制御してもよい。同様に、各分子が3’ポリアデニル化部位を備えてもよい。適切なベクターの例は、当業者に公知であり、pBluescript II、lambdaZap、及びpCMV-Script(Stratagene Cloning Systems、La Jolla、USA)が含まれるであろう。
【0062】
適切な制御要素、とりわけプロモーターは、通常、発現ベクターを挿入すべき宿主細胞に応じて変わるであろう。微生物の宿主細胞を使用する場合には、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(Trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、又はファージλプロモーター系等のプロモーターが適切である。酵母細胞を使用する場合には、好ましいプロモーターにはアルコール脱水素酵素I又は解糖プロモーターが含まれる。哺乳類の宿主細胞では、好ましいプロモーターは、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス等に由来するプロモーターである。様々な宿主細胞での使用に適したプロモーターは、当業者であれば自明であろう(例えば、Ausubelら編、Wiley刊、Current Protocols in Molecular Biologyを参照)。さらに、所望の発現パターンを実現するために、前記制御要素は、例えば、制御要素をさらに加えることによって改変してもよい。
【0063】
作用可能に連結(operably linked)とは、ベクター又は配列の成分が、所期の機能を発揮する関係にあることを意味する。
【0064】
これらのベクターは、宿主細胞(例えば、原核細胞又は真核細胞)を形質転換するために使用できる。これらの細胞は、前記第1乃至第8の側面に係る単離された核酸配列から産生される組換え遺伝子産物の生成、又は前記第1乃至第8の側面に係る核酸配列の制御若しくは解析に使用することができる。形質転換された宿主細胞は、本発明の一部を成す。好ましい細胞には、E.coli、酵母、糸状菌、昆虫細胞、哺乳類細胞、好ましくは、不死化したマウス、CHO、HeLa、ミエローマ、又はジャーカット細胞株、ヒト及びサル等の細胞株、及びそれらの誘導物が含まれる。
【0065】
本発明の第10の側面によれば、本発明の前記第1乃至第8の側面に係る核酸配列によってコードされるポリペプチド配列を備えたポリペプチド配列が提供される。好ましくは、前記ポリペプチド配列は、図5の核酸配列によってコードされる。
【0066】
本発明の第10の側面には、図5a(iii)、5a(v)、5b(ii)、5b(iii)、5c(iii)、5d(iii)の何れか1つに示されているポリペプチド配列、若しくはこれらに相同な配列、又はこれらの断片を備えたポリペプチド配列が含まれる。図5a(iii)、5a(v)、5b(ii)、5b(iii)、5c(iii)、5d(iii)の配列は、それぞれ、予想されるヒトANGE、CLLD7、及びCLLD8ポリペプチド配列である。
【0067】
ANGE、CLLD7、及びCLLD8ポリペプチド又はこれらに実質的に相同な配列又はこれらの断片に、翻訳後修飾を施すこともできる。本明細書において、翻訳後修飾(PTM)は、タンパク分解による切断(例えば、シグナル配列の除去又はチモーゲンの活性化によるプレタンパク質、プロタンパク質、又はプレプロタンパク質の切断)によって翻訳後にタンパク質を修飾することを含むものとして定義される。PTMには、炭水化物をタンパク質に付着させることも含まれ、付着させる主な糖には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、GalNAC、GlcNAC、及びNANAが含まれる。前記炭水化物は、O−グリコシド結合又はN−グリコシド結合の何れかによってタンパク質に連結させることができる(例えば、グリコシル化)。アシル化、メチル化、リン酸化、硫酸化、及びプレニル化も含まれる。プロリンやリジンの水酸化等のビタミンC依存性修飾、カルボキシ末端のアミド化、グルタミン残基のカルボキシル化等のビタミンK依存性修飾や、セレノシステインとしてタンパク質中にセレンを添加することも含まれる。
【0068】
ゴルジ装置から細胞の別の部分への分泌を補助するために、ANGE、CLLD7、及びCLLD8ポリペプチドを分泌シグナルに作用可能に連結してもよい。適切な分泌シグナルは、pSecTag2(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)等の組換えベクターによって供与することができる。このようなベクターから発現されたタンパク質は、マウスIgκ鎖リーダー配列のN末端に融合される。前記分泌シグナルは、組換えDNA技術を含む本分野で利用可能な技術を用いて、可溶性ANGE、CLLD7、及びCLLD8ポリペプチド配列に連結してもよい。前記ポリペプチドは、ヒスチジンタグ、V5エピトープタグ、緑色蛍光タンパク質タグ、MHCタグ、若しくは当業者に公知である他のタグ、又は当業者に公知の担体分子に連結してもよい。
【0069】
前記第10の側面のポリペプチド配列は、好ましくは機能的であり、薬物スクリーニング、診断、又は治療において有用であってもよい。ANGE、CLLD7、又はCLLD8の機能的断片とは、完全長の膜結合型又は可溶型ANGE、CLLD7、又はCLLD8と免疫学的又は機能的な特徴を共有する断片である。断片は、断片は少なくとも10アミノ酸長であり、好ましくは15、20、25、30、35、40又は50アミノ酸長であり得る。好ましくは、前記ポリペプチド配列は単離される。
【0070】
本発明の第11の側面では、前記第10の側面に係るポリペプチド配列の抗原若しくは前記第1乃至第8の側面に係る単離された核酸の抗原、若しくは何れかの側面の断片に対して特異的である抗体、又は前記第10の側面に係るポリペプチド配列若しくは前記第1乃至第8の側面に係る単離された核酸の抗原、若しくは何れかの側面の断片と反応する抗体が提供される。本明細書において、「反応する」という用語は、抗体がポリペプチド又は単離された核酸と相互作用することができることを意味する。「に対して特異的である」という用語は、抗体がポリペプチド又は単離された核酸と特異的に反応することを意味する。
【0071】
抗体は、標準的な操作(Harlow and Lane,“Antibodies;A Laboratory manual” Cold Spring Harbour Laboratory,Cold Spring Harbour,New York,1998)に記されている操作によって作製することができる。要約すると、免疫反応を惹起するのに十分な量と間隔で、精製された抗原を動物に注入することができる。抗体は直接精製することもできるし、あるいは、脾臓細胞を動物から取得することもできる。次いで、前記細胞を不死化した細胞株と融合し、抗体の分泌をスクリーニングする。抗体は、抗原を分泌する細胞をDNAクローンライブラリーからスクリーニングするために使用することができる。次いで、例えば、Kellyら、Bio/Technology 10:163/167(1992)及びBebbingtonら、Bio/Technology 10:169/175(1992)に記載されているように、これらの陽性クローンを配列決定することができる。好ましくは、検出される抗原及び/又はある抗体を得るために使用される抗原は、第10の側面に記載のポリペプチド配列又は第1乃至第8の側面に記載の単離された核酸配列を含むであろう。抗体は、ポリクローナル若しくはモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体若しくは二種特異性抗体、又は上述した全てのものの断片であり得る。二種特異性抗体(bifunctional antibody)とは、2つの異なる抗原に結合することができる抗体であり、これらの抗原はANGE、CLLD7、又はCLLD8ポリペプチド若しくは単離された核酸中に存在する、異なる抗原であってもよいし、あるいは、例えば、細胞の抗原と組み合わせたANGE,CLLD7、又はCLLD8の抗原であってもよい。
【0072】
好ましい実施態様では、表5に示されているペプチド断片に対してポリクローナル抗体が作製される。
【0073】
とりわけ、前記抗体は、ANGE、CLLD7、又はCLLD8の特定のドメインに対して生じさせることができる。このような抗体は、本発明の診断及び治療的な側面において有用であろう。とりわけ、該抗体は、試料中のANGE、CLLD7、又はCLLD8を個別に又はスプライシングされたハイブリッドとして検出又は測定するためのアッセイを開発する上で有用であろう。
【0074】
本発明の第12の側面では、上述した核酸配列を調製する方法であって、連続するヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド残基を互いに連結することを備えた方法が提供される。このような方法は、化学的な合成法を用いて、又は酵素的な触媒を用いることによって実施することができる。あるいは、適切なDNA又はRNA配列を適切な宿主細胞にトランスフェクトして、宿主細胞中に所望の配列を産生させてもよい。
【0075】
本発明の第13の側面では、上述したポリペプチドを調製する方法であって、連続するアミノ酸及び/又はオリゴヌクレオチドを互いに連結することを備えた方法が提供される。このような方法は、化学的な合成法を用いて、又は酵素的な触媒を用いることによって実施することができる。あるいは、適切なDNA又はRNA配列を適切な宿主細胞にトランスフェクトして、宿主細胞中に所望の配列を産生させてもよい。前記ポリペプチドは、無細胞系中で産生させることもできる。
【0076】
第14の側面では、上述した側面に記載のベクター又は単離された核酸分子若しくは組換え核酸分子を備えた宿主細胞が提供される。該宿主細胞は、発現ベクターを備えてもよいし、又は本発明の核酸分子をコードする裸のDNAを備えてもよい。種々の適切な宿主細胞(真核細胞と原核細胞の両方)を使用することができる。例として、E.coliなどの細菌、酵母、糸状菌、昆虫細胞、哺乳類細胞、好ましくは、不死化したマウス、CHO、HeLa、ミエローマ、又はジャーカット細胞株、ヒト及びサル等の細胞株、及びそれらの誘導物が含まれる。前記宿主細胞は、好ましくは、前記核酸配列を発現させて遺伝子産物(すなわち、RNA又はタンパク質)を与えることが可能である。このような宿主細胞は、前記第10の側面のポリペプチドを制御若しくは分析するための薬物スクリーニング系、又は疾患を有する個体若しくは疾患に感受性がある個体の診断若しくは治療に使用するための物質を同定するための薬物スクリーニング系において有用である。
【0077】
前記核酸分子を宿主細胞中に導入する方法は、ベクター/DNAと標的細胞の両方の性質に依存するのが通常であり、当業者に公知の方法が含まれるであろう。適切な公知の方法には、Sambrookらに記載されているような、融合、抱合、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、トランスフェクション、トランスダクション、電気穿孔、又は注入などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
本発明の第15の側面では、本発明の上述した側面の核酸配列を含むヒト以外のトランスジェニック動物が提供される。このようなヒト以外のトランスジェニック動物は、一塩基多型及びそれらの表現型効果の解析に有用であり、従って、ANGE、CLLD7、及びCLLD8遺伝子クラスターとその表現型効果の解析に有用である。ヒト以外のトランスジェニック動物での本発明のポリヌクレオチド配列の発現は、通常、前記ポリヌクレオチドをプロモーター及び/又はエンハンサー配列に作用可能に連結して、好ましくは、上述した側面のベクターを作製し、マイクロインジェクション技術により宿主動物の胚性幹細胞中にこれを導入することによって行う(Hogan et al.,A Laboratory Manual,Cold Spring harbour and Capecchi Science (1989) 244:1288-1292)。次いで、導入遺伝子構築物は、宿主の内在性遺伝子との相同的組換えを行うことになるはずである。所望の核酸配列を含んだ胚性幹細胞は、通常、マーカー遺伝子の発現をモニターすることによって選択することができ、ヒト以外のトランスジェニック動物を作製するために使用し得る。好ましい宿主動物には、マウス、ウサギ、及びその他の齧歯類が含まれる。
【0079】
導入される核酸配列は、宿主動物にとって本来存在するものでなくてもよい(すなわち、外来のものであってもよい)。このようなトランスジェニック動物は、本分野で公知の方法を用いてトランスジェニック動物ではない固有の動物と区別することができる。例えば、トランスジェニック動物から得た核酸試料を固有の動物から得た核酸試料と比較すればよく、トランスジェニック動物は、外来プロモーター、マーカー遺伝子等の核酸配列を有しているであろう。あるいは、動物の表現型を比較することもできる。
【0080】
疾病を研究するために前記第15の側面に係るヒト以外のトランスジェニック動物を使用することが望ましい場合には、動物に導入される核酸は、喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎をもたらすANGE、CLLD7、又はCLLD8のバリアントをコードすることが望ましいであろう。固有のANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子の任意の組み合わせ、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントを全く発現しない、ヒト以外のトランスジェニック動物を産生することもできる。これらの動物は、「ノックアウト」と称されることがある(Manipulating The Mouse Embryo-A Laboratory Manual,Hogan et al 1986)。ある場合には、外来核酸及び/又は固有の遺伝子の発現を時間又は空間的にモジュレートすることが望ましいであろう。固有の遺伝子の発現が全組織で停止されれば、このアプローチによって、生存性(viability)の問題は取り除かれる。
【0081】
最も好ましい実施態様では、バリアント形態のANGE、CLLD7、若しくはCLLD8をコードする核酸、又はこれらの遺伝子の任意の組み合わせ、又は喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎若しくはアレルギー性鼻炎、又は非アトピー性喘息を引き起こす前記遺伝子の任意のスプライスバリアントを具備するトランスジェニックマウスが提供される。最も好ましくは、前記核酸分子は、表2cに示されている1以上の位置に、又は図5の18572b4_2位、185752b5_3位、及び/又は4321017b38_1位に対応する位置にSNPを有する。
【0082】
好ましくは、相同的組換え技術を用いて時間的及び/又は空間的に適切な態様で、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は2以上の該遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントを発現しないか、あるいは、トランスジェニック操作の結果、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は2以上の該遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントを過剰発現させてタンパク質を産生するように、前記マウスをモジュレートする。
【0083】
表4cに示されているように、ANGE(例えば、ANGE1X3C148T)、CLLD7(例えば、CL0703)、若しくはCLLD8遺伝子の中に、又は該遺伝子を2以上任意に組み合わせたものの中に、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの中に機能的な多型(すなわち、「突然変異(mutation)」)が同定されれば、この多型を含有する構築物をマウスの生殖系列に導入して(すなわち、ノックイン)、タンパク質をノックアウトするのではなく、タンパク質の病理的バリアントを作製することができる。あるいは、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は該遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの病理的バリアントは、過剰発現させてもよい。
【0084】
本発明において、アトピー性疾患には、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は該遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの過剰発現に起因する疾患、又はバリアント型のANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は該バリアント遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記バリアント遺伝子の任意のスプライスバリアントの存在に起因する疾患が含まれる。具体的には、このような疾患には、喘息(アトピー性及び非アトピー性)、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアトピー性鼻炎が含まれる。
【0085】
本発明の第16の側面では、アトピーに対する被験体の素因若しくは感受性を診断若しくは測定する方法、又は個体の疾病の重篤度を予測する方法が提供される。前記方法は、病状と関連することが知られているバリアント型のANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は該遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの存在を測定すること、又はANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又は該遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントのレベルを測定することを備え得る。バリアント型のANGE、CLLD7、若しくはCLLD8、又はこれらの遺伝子のうち少なくとも2つを任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントには、核酸バリアントとアミノ酸バリアントの両方が含まれる。バリアントには、(例えば、ヒトの)野生型からの変化をもたらす任意のSNP(図5/表1)又は野生型から生じたその他の突然変異若しくは変化が含まれる。
【0086】
例えば、上述したプローブ又はプライマーは、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8、又はこれらの遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子若しくはそれらのバリアントの任意のスプライスバリアントをコードする核酸を検出する上で有用であろう。存在するANGE、CLLD7、若しくはCLLD8、又はこれらの遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの発現パターン又は型に関する情報は、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8、又はこれらの遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの発現が変化することによって生じる疾患に対して個体が感受性を有しているかどうかを決定する上で有用であると思われる。
【0087】
好ましい実施態様では、前記方法は、これに加えて又はこれに代えて、表1のSNPマーカーのうち1以上と関連するリスク対立遺伝子の有無を測定することを備えることができ、リスク対立遺伝子が存在すれば、疾病に罹患していること又は疾病に対して素因があること又は疾病の重篤度の指標となる。前記方法は、公知の多型の遺伝子型を1以上決定することを備えてもよい。このような多型の任意の組み合わせについて遺伝子型を決定してもよい。必要に応じて、前記方法では、連鎖不均衡にある任意のSNPを1以上使用することができる。
【0088】
本発明のSNPは、表1に列記されており、多型の性質が野生型対立遺伝子/バリアント対立遺伝子の形式で記載されている。SNPは図5に基づいて位置が決められており、ヌクレオチド位置1が図5では最初のヌクレオチドである。
【0089】
本発明で同定された残りのSNPに関する対立遺伝子は、表1に記載されている。
【0090】
上記方法では、当業者に公知の技術を含む任意の技術を使用することができる。これらには、例えばELISAアッセイ又は免疫局在性における、上述したプローブ若しくはプライマーの使用又は第11の側面に係る抗体の使用が含まれ得る。好ましくは、前記方法は、まず被験体から試料を採取することを備える。より好ましくは、前記方法は、試料から核酸又はポリペプチド配列を単離することを備える。
【0091】
とりわけ、この側面で使用する方法には、核酸配列間の相違を同定するための当業者に公知の方法、例えば、直接のプロービング、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、パイロシークエンシング法(Ahmadian A,Gharizadeh B,Gustafsson AC,Sterky F,Nyren P,Uhlen M,Lundeberg J.Single-nucleotide polymorphism analysis by pyrosequencing, Anal Biochem.2000 Apr 10;280(1):103-10;Nordstrom T,Ronaghi M,Forsberg L,de Faire U,Morgenstern R,Nyren P. Direct analysis of single-nucleotide polymorhpism on double-stranded DNA by pyrosequencing.Biotechnol Appl Biochem.2000 Apr;31(Pt 2):107-12)、対立遺伝子特異的増幅(ASA、Allele Specific Amplification)(WO93/22456)、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、一塩基伸長法(米国特許第4,656,127号)、ARMS-PCR、TaqmanTM(米国4683202号、4683195号、及び4965188号)、オリゴライゲーションアッセイ、一本鎖DNA高次構造解析((SSCP)Orita et al PNAS 86 2766-2770(1989))、Genetic Bit Analysis(WO 92/15712)、及びRFLPによる直接配列決定を含むPCR手法、質量分析(MALDI-TOF)、及びDNAアレイが含まれる。適切な制限酵素は、もちろん、多型と制限部位に依存し、当業者に公知のものが含まれるであろう。消化された断片の分析は、本分野における任意の方法(例えば、ゲル分析、又はサザンブロット)を用いて行うことができる。
【0092】
疾病に対する素因又は疾病の重篤度を診断又は測定する方法であって、例えば、表2cに示されている位置に、又は図5の185752b4_2、185752b5_2、若しくは4321017b38_1位にSNPを有する対立遺伝子の有無を明らかにすることを備え、リスク対立遺伝子の存在によって、疾病であること又は疾病に対する素因があること又は疾病の重篤度が診断される方法が提供される。
【0093】
本発明は、疾病の正確な診断、又は疾病に対する素因若しくは疾病の重篤度の判定を容易にする点で有利である。このように、遺伝子型を決定することによって、個体が疾病を有しているか又は疾病に対して素因を有しているかを明らかにし、疾病の重篤度を明らかにすることができる。これは、ある治療又は予防策が奏功する可能性が高い個体を同定するのに役立つ。このようにして、より効果的な治療又は予防策を与えることが可能となる。
【0094】
本発明の多型と関連する前記疾病には、喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎等のアトピー性疾患と非アトピー性喘息が含まれる。本発明において、疾病に対する素因とは、これらの個体が前記疾病、又はより重い型の前記疾病、又は特定の型の前記疾病を発症するリスクが高いことを意味する。
【0095】
本発明において、リスク対立遺伝子とは、疾病と関連する又は疾病への素因と関連する多型を有する対立遺伝子である。リスク対立遺伝子は、以下に記載されているように、野生型であってもよいし、バリアント対立遺伝子であってもよい。
【0096】
「多型」という用語は、複数の形態の配列が共存することを意味する。このため、多型部位とは、配列の多様性が生じる位置のことである。多型の存在によって生じる、異なった型の配列は、「対立遺伝子」と称される。多型部位を包含する領域は、多型領域と称されることがある。
【0097】
多型を明らかとする手段の例には、制限断片長多型(Botstein et al Am J Hum Genet 32 314-331(1980))、可変的なタンデムリピート数、超可変領域、ミニサテライト、2又は多ヌクレオチドリピート、挿入要素の数の変動、及びヌクレオチド又はアミノ酸の欠失、付加、若しくは置換が含まれる。多型部位の大きさは、一塩基対にすぎないこともあり、これによって、コドンが変化して、コードされるアミノ酸配列に変化が生じ得る。
【0098】
一塩基多型は、多型部位におけるヌクレオチド残基の置換、欠失、又は挿入によって生じる。このような変化(variation)をSNPと称している。SNPは、タンパク質コーディング領域に生じる場合があり、この場合には、異なる多型形態の配列はバリアントタンパク質配列をもたらすことがある。他のSNPは、非コード領域に生じ得る。いずれの場合でも、SNPによって、タンパク質の欠陥又は遺伝子制御の欠陥がもたらされて、病気を引き起こすことがある。他のSNPは、表現型効果を有していないが、病状に連鎖していることがあり、このため、疾病のマーカーとしての役割を果たし得る。SNPは、典型的には、前述した他の形態の多型に比べて、ゲノム全体により頻繁に発生し、従って、ある病状と関連するSNPを見出す確率が高くなる。
【0099】
連鎖不均衡とは、2つの対立遺伝子が同時に遺伝する頻度が、各対立遺伝子の個別の頻度から予想される頻度より大きいことをいう。逆に、対立遺伝子が同時に現れるのであれば、対立遺伝子は連鎖均衡にあるといわれる。2つの対立遺伝子が同時に遺伝する予想頻度は、各対立遺伝子の頻度の積である。
【0100】
異常な血清IgEレベルを有する個体を診断する方法であって、SNPマーカー185752b4_2と関連する対立遺伝子の前記個体における有無を明らかにすることを備え、且つ前記マーカーと連鎖不均衡にある他の任意のSNPの前記個体における有無を必要に応じて明らかにすることを備えた方法、並びに、5mmを超えるSTIを有する個体を診断する方法であって、SNPマーカー4321017b38_1と関連する対立遺伝子の前記個体における有無を明らかにすることを備え、且つ前記マーカーと連鎖不均衡にある他の任意のSNPの前記個体における有無を明らかにすることを必要に応じて備えた方法も提供される。
【0101】
2以上の多型の遺伝子型が決定されている場合には、前記方法によって、疾病の指標又は疾病に対する素因の指標となるハプロタイプの有無を判定することが好ましい。本明細書においてハプロタイプとは、集団に受け継がれる、ある配列中に存在する多型部位の集合体(すなわち、互いに連鎖不均衡である)と定義される。疾病の診断でハプロタイプを同定することは、偽陽性の確率を減らすのに役立つ。前記ハプロタイプは、表1の多型を任意に組み合わせたものであり得、必要に応じて1以上の公知の多型と組み合わせてもよい。好ましいハプロタイプは、表2cに示されているSNP、又は図5の185752b4_2、185752b5_3、若しくは4321017b38_1位のSNPの組み合わせである。
【0102】
個体がアトピー状態であると診断する方法であって、表2に示されているハプロタイプと関連する対立遺伝子又はハプロタイプ185752b4_2、185752b5_3、若しくは4321031b43_1と関連する対立遺伝子の個体における有無を明らかにすることを備え、且つこれらのマーカーのうち任意の1つと連鎖不均衡にある他の任意のSNPの個体における有無を明らかにすることを必要に応じて備えた方法も提供される。
【0103】
第16の側面の方法は、被験体から採取した試料に対して実施することが好ましい。この目的に関しては、核酸、好ましくは図5の核酸を含有する細胞を含む任意の生物試料が適している。適切な試料の例には、全血、白血球、精液、唾液、涙、口腔(buccal)、皮膚、又は毛が含まれる。DNA、mRNA、又はタンパク質を分析するためには、前記試料は、目的の配列が発現している組織に由来するものでなければならない。血液は、直ちに入手できる試料である。このように、前記第16の側面の方法は、好ましくは、個体から試料を取得する工程と、該試料から核酸及び/又はタンパク質を調製する工程と、目的の対立遺伝子又は遺伝子若しくは遺伝子の組み合わせ又は特定のスプライスバリアントの有無について前記核酸又はタンパク質試料を分析する工程とを含む。核酸を分析すべき場合には、分析の前に増幅工程を実施することが好ましい。好ましい増幅技術はPCRであるが、他のあらゆる適切な方法を利用することができる。好ましくは、前記方法は、ストリンジェントな条件下で、SNPの何れかの側の領域にハイブリダイズするプライマーの対を使用する。前記プライマーには、表4に示されているオリゴヌクレオチド配列が含まれ得る。
【0104】
前記被験体は、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトである。前記被験体は、乳幼児、子供、又は成体であり得る。あるいは、前記試料は、例えば、羊水穿刺によって、分娩前の受診者から取得してもよい。
【0105】
疾病に対する被験体のリスク因子は、他の公知の遺伝因子、及び/又は臨床、生理、又は食事因子を参照することによっても決定することができる。
【0106】
上記の方法には、被験体から得たDNA試料の増幅が必要とされることがあり、これは、PCR等の本分野において公知の技術によって行うことができる(PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(ed.H.A.Erlich,Freeman Press,NY 1992;PCR Protocols:A Guide to methods and Applications(eds. Innis et al.,Academic press,San Diego,CA 1990);Mattila et al.,Nucleic Acids Res. 19 4967(1991);Eckert et al.,PCR Methods and Applications 117(1991)、及び米国特許第4,683,202号を参照)。他の適切な増幅法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu et al.,Genomics 4 560(1989);Landegran et al.,Science 241 1077(1988))、転写増幅(Kwoh et al.,Proc Natl Acad Sci USA 86 1173(1989))持続的自己配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli et al., Proc Natl Acad Sci USA 87 1874(1990))、及び核酸ベース配列増幅(NASBA)が含まれる。後の2つの方法では、増幅産物として一本鎖RNAと二本鎖DNAの両者を、それぞれ30又は100対1の比率で生成する等温性転写に基づく等温反応が用いられる。
【0107】
複数の試料を同時に分析することが望ましい場合には、WO95/11995号に記載されているようなアレイを用いることが好ましいかもしれない。アレイは、多数のプローブを含有することができ、各プローブは、試料由来のANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子のバリアント、これらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントを同定するようにデザインされている。
【0108】
制限酵素が必要とされる場合には、多型と制限部位の性質に従って制限酵素を選択することができる。適切な酵素は、当業者に公知であろう。消化された断片の分析は、本分野のあらゆる方法、例えば、ゲル分析、又はサザンブロットを用いて実施することができる。
【0109】
上記方法を用いた多型を有する対立遺伝子の判定では、通例、アンチセンス配列、すなわち目的の核酸配列に相補的である配列(図5の配列の一部を含むものでもよい)が用いられる。このような配列は、本発明の第1乃至第8の側面に記載されている。
【0110】
被験体から得た試料中に複数の一塩基多型、すなわちハプロタイプの存在を同定することが望ましい場合には、アレイを使用することが好ましいかもしれない。アレイは、多数のプローブを含有することができ、各プローブは、本発明の上記一塩基多型を一以上同定するようにデザインされる。
【0111】
前記第16の側面の方法では、先述したような、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子の任意の組み合わせ、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの有無に対する抗体を用いてもよい。試料中の抗原に抗体が結合したことの検出は、一次抗体に結合する二次抗体、又はリガンドの使用等の本分野において公知の方法によって容易となるであろう。免疫蛍光アッセイ(IFA)や酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)やイムノブロッティングを含むイムノアッセイを用いて、抗原の存在を検出することもできる。例えば、ELISAを使用する場合、前記方法は、前記抗体を基質に結合させることと、抗原を含有する試料に前記結合した抗体を接触させることと、検出可能部分(典型的には、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ等の酵素)に結合された二次抗体にこれを接触させることと、前記酵素の基質にこれを接触させることと、最後に、前記試料中に前記抗原が存在することの指標となる色の変化を観察することとを備え得る。
【0112】
この目的に関しては、核酸、核酸又はタンパク質を含有する細胞を含む任意の生物試料が適している。適切な試料の例には、全血、精液、唾液、涙、口腔、皮膚、又は毛が含まれる。cDNA、mRNA、又はタンパク質を分析するためには、前記試料は、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントが発現されている組織から得られた試料でなければならない。末梢血白血球は、直ちに入手できる試料である。
【0113】
本発明の第17の側面では、IgE媒介性疾患、アトピー、アトピー性疾患の一形態、若しくは非アトピー性喘息を診断する方法、又は疾病の重篤度若しくは疾病に対する素因を予測する方法において使用するためのANGE、CLLD8、又はCLLD7のスプライスバリアントが提供される。
【0114】
前記スプライスバリアントは、好ましくはANGE又はCLLD8又はCLLD7の配列の全体又は一部によってコードされるRNAであり、より好ましくはmRNA配列である。前記ANGE遺伝子の転写物及びANGE遺伝子のスプライスバリアントは、本発明のさらなる側面に含まれる。前記第17の側面のスプライスバリアントには、ANGE、CLLD8、若しくはCLLD7の少なくとも1つのエキソン若しくはエキソンの断片、又はANGE、CLLD8、及びCLLD7遺伝子のうち少なくとも2つから得られる少なくとも1つのエキソン若しくはエキソンの断片の組み合わせが含まれる。特に、ANGEのスプライスバリアントには、AB011031エキソン1若しくはAF155105エキソン1を有する転写物、又は少なくともエキソン2を備えた転写物、エキソン2を欠いた転写物、エキソン5と6の間に存在するエキソンVa又はVbを少なくとも備えた転写物(図4G)、エキソンVa又はVbを欠いた転写物、少なくともエキソン4、5、6、7、及び/又は8を備えた転写物が含まれ得る。ANGEのイントロン/エキソンマップは、図3に示されている。
【0115】
第18の側面では、アトピー若しくはアトピー性疾患の一形態を診断する方法、又は疾病の重篤度若しくは疾病に対する素因を予測する方法において使用するための診断剤の製造における、ANGE及び/又はCLLD8及び/又はCLLD7のスプライスバリアントの使用が提供される。あるいは、前記スプライスバリアントは、疾病を治療するための医薬の製造で使用するために又は疾病を治療する方法で使用するために提供される。
【0116】
第19の側面では、前記第16の側面に係る方法で使用するための前記第17の側面に係るスプライスバリアントを備えたキットが提供される。好ましくは、2以上のスプライスバリアントは、アレイの形態で又はチップ上に与えられる。
【0117】
第20の側面では、ANGE、CLLD8、若しくはCLLD7遺伝子を備えたポリヌクレオチド配列、又は該配列によってコードされるポリペプチド、又はこれらの断片であって、ANGE、CLLD8、又はCLLD7の活性を阻害又は増大する物質のスクリーニングで使用するためのポリヌクレオチド配列、ポリペプチド、又は断片が提供される。このような物質をスクリーニングするための方法も提供される。
【0118】
本発明の第21の側面では、表1のSNPを有する対立遺伝子の有無を測定する手段を備えた疾病又は疾病に対する素因を診断するためのキットであって、前記対立遺伝子が疾病若しくは疾病に対する素因又は疾病の重篤度の診断指標となるキットが提供される。
好ましい実施態様では、前記キットは、第8の側面の多型を有する1以上のリスク対立遺伝子の有無を測定するための手段を備える。特に、前記キットは、表2cに示されているSNP、又は図5の185752b4_2位、185752b5_3位、及び/又は4321017b38_1位のSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を測定するための手段を備える。
【0119】
前記キットは、本発明の第16の側面に従って、第8の側面のリスク対立遺伝子の有無を測定するために必要な成分を備えるのが好ましいであろう。このような成分には、PCRプライマー及び/又はプローブ(例えば、上述したもの)、PCR酵素、制限酵素、及びDNA又はRNA精製手段が含まれる。好ましくは、前記キットは、少なくとも一対のプライマー、又はプローブ、好ましくは、本発明の第8の側面に上記したものを含有するであろう。前記プライマーは、好ましくは、対立遺伝子特異的なプライマーである。他の成分には、標識手段、反応用の緩衝液が含まれる。さらに、野生型又は上述のバリアント核酸配列、又はそのPCR産物を含む対照核酸試料を含めてもよい。前記キットは、通常、前記診断法を実施するための指示書と、前記結果と疾病の可能性の相関を詳細に示した手がかり(key)とを備えるであろう。前記キットは、疾病の予防又は治療用物質を備えてもよい。
【0120】
本発明の第21の側面では、疾病を治療するための化合物を同定する方法であって、(a)表1に列記されている図5の位置に対応する位置に1以上のSNPを有する核酸分子を含む組織に化合物を投与することと、(b)前記物質が前記SNPの効果をモジュレートするかどうかを測定することを備えた方法が提供される。
【0121】
好ましい実施態様では、前記単離された核酸分子は本発明の第8の側面に係る核酸分子であり、最も好ましくは、表2cに示されているSNP、すなわち図5の185752b4_2位、及び/又は185752b5_3、及び/又は4321017b38_1位に対応する位置にSNPを有する。
【0122】
この側面では、SNPの効果をモジュレートすることができる物質をスクリーニングするために、本発明の核酸分子、及び/又は上述した側面に係る細胞株を使用し得る。
【0123】
候補となり得る物質は、リスク対立遺伝子及び非リスク対立遺伝子との反応が異なる物質である。候補物質には、当業者に公知の物質が含まれ、化学的又は生物的化合物、例えば上述したようなセンス核酸配列又はアンチセンス核酸配列、結合タンパク質、キナーゼ、及び他の任意の遺伝子又は遺伝子産物、アゴニスト又はアンタゴニストが含まれる。前記物質は、発病対立遺伝子の効果をモジュレートできることが好ましいであろう。最も好ましくは、前記物質は、リスク対立遺伝子の有害な効果を軽減することができる物質である。
【0124】
このような物質は、予防的な投与にも、又は疾病であると診断された後の投与にも適しているかもしれない。投与経路は、治療すべき疾病又は症状に応じて適切に選択されるが、本発明の物質を投与する典型的な経路には、経口、直腸、静脈内、非経口、筋肉内、皮内経路が含まれる(これらに限定されるものではない)。本発明は、DNA又はRNAの何れかとして(従って、遺伝子治療の形態として)投与すべき物質も提供する。前記物質は、リポソーム、ウイルスベクター、及び被覆粒子(遺伝子銃)等の手段によって直接細胞中に送達することができるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
本発明の第23の側面では、喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎若しくはアトピー性鼻炎、又は非アトピー性喘息等のIgE媒介性疾患を予防又は治療するのに使用するための上述した本発明の物質又は抗体が提供される。
【0126】
ANGE、及び/又はCLLD8、及び/又はCLLD7遺伝子の発現に影響を与えることができる物質であって、個体のIgE媒介性疾患、例えばアトピー性又は非アトピー性喘息を治療する方法において使用するための物質も提供される。好ましくは、前記物質(agent)は、ANGE及び/又はCLLD8及び/又はCLLD7遺伝子プロモーターの活性に影響を与えることができ、及び/又はANGE及び/又はCLLD8及び/又はCLLD7又はANGEとCLLD7遺伝子又は前記2以上の前記遺伝子の任意の組み合わせ又は任意のスプライスバリアントのRNAスプライシングに影響を与えることができる。活性に影響を与えること又は活性をモジュレートすることには、阻害若しくは増強すること、又は活性のパターンを変化させることが含まれ得る。前記第23の側面に係る物質の例には、ANGE/CLLD8プロモーター又はスプライス部位に結合し得るタンパク質(転写因子等)、抗体又は結合対、リボザイム、及びポリヌクレオチド配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
前記遺伝子の発現に影響を与える好ましい物質には、図5の当該ポリヌクレオチド配列に相補的であるポリヌクレオチド配列が含まれる。配列相補性は、本分野で利用可能な従来技術を用いて測定することができる。好ましい相補的(又はアンチセンス)配列は、ストリンジェントな条件下で、前記遺伝子にハイブリダイズする配列である。好適には、ストリンジェントな条件とは、(例えば、ANGE以外の配列への)非特異的なハイブリダイゼーションが回避される条件である。
【0128】
本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのプロトコールで用いられる洗浄条件を意味する。一般に、洗浄条件は、研究対象となっている核酸のTmの計算値を変性温度が約5−20℃下回るように、温度と塩濃度を組み合わせなければならない。20塩基以下の核酸プローブのTmは、短いオリゴヌクレオチドに関するWallace則に従って、標準条件(1M NaCl)下で、[4℃x(G+C)+2℃x(A+T)]と計算される。これより長いDNA断片の場合、Breslauerら、PNAS 83:3746−3750(1986)に記載されている法則に従って、固体熱力学と実験データを組み合わせた直近隣接法を用いることができる。ハイブリダイゼーション用の最適な塩及び温度条件は、フィルター上に固定化されたDNA試料を目的のプローブにハイブリダイズさせた後に、様々なストリンジェンシーの条件下で洗浄する予備実験で容易に決定することができる。PCR用の条件は標準条件と異なってもよく、プライマーの予測相対安定度の指標としてTmを使用し得る。約14ヌクレオチドの短いプライマーの場合、44℃−50℃前後の低いアニーリング温度が用いられる。前記温度は、使用するプライマー配列の塩基組成に応じてさらに高くしてもよい。 ストリンジェントな条件下で、ANGE又はCLLD8又はCLLD7遺伝子にハイブリダイズするアンチセンス配列は、本発明のあらゆる側面においてプライマーとして有用であろう。ANGE、CLLD8若しくはCLLD7遺伝子、若しくは対立遺伝子、若しくはそれらのバリアントの全部又は一部を増幅するためのプライマーの対は、本発明の別の側面を構成する。
【0129】
喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎又は非アトピー性喘息等のIgE媒介性疾患の予防又は治療に使用するための医薬の製造における上記物質又は抗体の使用も提供される。上記側面の物質、特にアンチセンス配列は、アトピーを有する個体を診断する上でも有用であろう。
【0130】
本発明の第24の側面によれば、上述した本発明の核酸配列又はポリペプチド配列を含む薬学的組成物又は医薬が提供される。あるいは、前記薬学的組成物は、上記側面に関して明記した物質又は本発明の第11の側面に係る抗体を含んでもよい。
【0131】
薬学的組成物の投与は、任意の効果的な経路(例えば、経口又は非経口)によって行われる。非経口送達法には、局所、動脈内、皮下、髄内、静脈内、又は鼻腔内投与が含まれる。投与は、羊水穿刺関連技術によっても実施することができる。皮下注射に引き続いて経口投与するのが、好ましい取り込みの経路であろう。長期作用する固定化も使用されるであろう。活性成分に加えて、これらの薬学的組成物は、活性な化合物を薬学的に使用可能な調製物に加工することを容易にする賦形剤やその他の化合物を具備する薬学的に許容される適切な担体を含有してもよい。調剤と投与のための技術についてさらに詳しく知るには、「REMINGTON‘S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Maack Publishing Co,Easton PA)」の最新版を参照されたい。
【0132】
経口投与用の薬学的組成物は、本分野において周知の薬学的に許容される担体を用いて、経口投与に適した製剤に調合することができる。このような担体によって、前記薬学的組成物は、患者の摂取に適した錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として調合することが可能となる。 本発明での使用に適した薬学的組成物には、前記活性成分が意図する目的を達するのに有効な量で含有される組成物が含まれる。このように、治療的有効量とは、治療されている疾病の症状を改善又は根絶するのに十分な量のことである。実際に投与される量は、治療を施すべき個体に応じて変動し、重大な副作用を生じずに所望の効果が実現される最適化された量であることが好ましいであろう。治療的有効量の決定は、明らかに当業者の能力の範疇に属する。もちろん、当業者であれば、分割投与や部分投与も本発明の範囲に属することは理解できるであろう。
【0133】
何れの化合物の場合でも、治療的有効量は、まず、細胞培養アッセイ又は任意の適切な動物モデルの何れかで推定することができる。これらのアッセイは、下流のプロセシング活性の他に、受容体活性を考慮に入れなければならない。動物モデルは、望ましい濃度範囲や投与経路を達成するためにも使用される。次いで、このような情報は、ヒトでの投与に有用な用量と経路を決定するために使用することができる。
【0134】
治療的有効量とは、症候又は症状を改善する物質の量を指す。このような化合物の治療的な有効性と毒性は、細胞培養又は実験動物での標準的な薬学的手技によって決定することができる(例えば、ED50、集団の50%で治療的に有効な用量、LD50、集団の50%に対して致死的な用量)。治療効果と毒性効果の用量比が治療指数であり、ED50/LD50比で表すことができる。大きな治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。細胞培養アッセイと動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量の範囲を策定する際に使用される。このような化合物の投薬量は、毒性をほとんど又は全く示さずにED50を包含される循環濃度域中に収まることが好ましい。投薬量は、用いる投薬形態、患者の感受性、及び投与経路に応じてこの範囲内を変動する。
【0135】
正確な投薬量は、治療を受ける患者を顧慮して、各医師が選択する。投薬量と投与は、十分なレベルの活性部分を与えるように、又は所望の効果を維持するように調節される。考慮に入れなければならないことがあるその他の要素には、病状の重さが含まれる。長期にわたって作用する薬学的組成物は、当該剤形の半減期やクリアランス速度に応じて、3乃至4日毎、1週間毎、又は2週間毎に1度の投与でもよい。投薬量や送達法についての手引きは、文献に記載されている(米国特許第4,657,760号、5,206,344号、及び5,225,212号を参照、本明細書に参考文献として援用される)。
【0136】
本発明の第25の側面によれば、被験体の疾病を予防又は治療する方法であって、ANGE及び/又はCLLD7及び/又はCLLD8又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの又は前記遺伝子のあらゆるスプライスバリアントの前記被験体における活性、発現、半減期、又は翻訳後修飾をモジュレートすることを備えた方法が提供される。
【0137】
さらに、IgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息を有する個体の治療には、アトピーの予防、並びに予防的及び治療的措置が含まれる。
【0138】
前記方法は、喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎又はアレルギー性鼻炎又は非アトピー性喘息等のIgE媒介性疾患に罹患している又は感受性があると診断された被験体に実施するのが好ましい。
【0139】
好ましくは、前記方法は、IgE媒介性疾患と関連を有するSNP(例えば、図5の185752b4_2、185752b5_3、及び/又は4321017b38_1)、又は(例えば、表2cに示されているような)喘息、アトピー、又はそれらの組み合わせと関連を有するSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を測定することと、リスク対立遺伝子が存在すれば、疾病を予防、遅延、又は軽減するために治療を施すこととを備える。
【0140】
リスク対立遺伝子の有無を決定する前記工程は、前記第16の側面に従って実施することが好ましく、それ故、表1のSNPを有するリスク対立遺伝子、又は、例えば上記されているようなそれらの任意の組み合わせの有無を決定することも備える。
【0141】
個体のIgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息を予防又は治療する方法であって、CLLD8及び/又はANGE及び/又はCLLD7遺伝子又は該遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの発現をモジュレートすることを備えた方法も提供される。好ましくは、前記方法は、本発明の前記第1乃至第8の側面に係る遺伝子産物の産生をモジュレートする。特に、前記第25の側面は、CLLD8プロモーターの活性をモジュレートすることによって、又はCLLD8及び/又はANGE遺伝子のスプライシングをモジュレートすることによって行うことができる。
【0142】
モジュレートする又は影響を与えるとは、発現を阻害すること、増大すること、又はその他の方法で変化させることを意味する。
【0143】
第25の側面に従って疾病を予防又は治療することには、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又はこれらの遺伝子の断片、前記遺伝子若しくは疾病と関連を有する対立遺伝子の任意のスプライスバリアントの効果をモジュレートすることができる任意の物質を投与することが含まれ得る。好ましくは、前記物質は、リスク対立遺伝子の有害な効果を改善することができる物質である。前記方法には、遺伝子治療技術が含まれるが、これに限定されない。遺伝子治療技術では、通例、リスク対立遺伝子を包含する核酸配列を置換するか、あるいは、リスク対立遺伝子の効果をダウンレギュレートする。前記第1乃至第8の側面の核酸配列又はこれにアンチセンスな配列が、遺伝子治療において有用であろう。
【0144】
モジュレートするとは、遺伝子又は遺伝子産物の活性を阻害又は増加させることを意味する。活性は阻害されることが好ましい。前記遺伝子又は遺伝子産物の活性には、核酸配列の転写と翻訳、タンパク質の集合、タンパク質の翻訳後修飾、他の因子との下流での相互作用を含むその産生又は機能に関する全ての側面が含まれる。
【0145】
ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性は、多くの態様でモジュレートすることができる。例えば、前記遺伝子の発現は、本発明の第1乃至第8の側面のアンチセンス配列の使用を通じて、又はアンチセンスRNA配列の産生によって阻害することができる。このような配列は、遺伝子治療によって被験体に導入されると、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子に、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたものである転写物に、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントに、又は1若しくは複数の前記遺伝子から転写されたRNAにハイブリダイズし、その転写又は翻訳を阻害するであろう。他のバリアントに影響を与えることなく、ANGE、CLLD、若しくはCLLD8のスプライスバリアント、又はこれらの遺伝子の組み合わせのうち一定のものの機能又は発現をモジュレートすることが望ましい場合に、この方法は特に有用であり得る。
【0146】
核酸配列の導入には、本分野で公知の方法を含む遺伝子治療法を用いることができる。一般的に、核酸配列は、通常はベクターの形態で、好ましくは薬学的に許容される担体の形態で被験体の標的細胞中に導入されるであろう。組換えゲノムをパッケージングすることができるレトロウイルスベクター系等のウイルスベクターを含む任意の適切な送達媒体を使用し得る。レトロウイルスは、次いで、標的細胞に前記ポリヌクレオチドを感染させ、送達するために使用することもできる。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、レンチウイルスベクター、偽型レトロウイルスベクター、及びポックス又はワクシニアウイルスベクターの使用を含む、他の送達技術も広く使用できる。Lipofectin(R)、Lipofectamine(R)、(GIBCO-BRL、Inc.Gaitherburg、MD)、Superfect(R)(Qiagen Inc,Hilden,Germany)、及びTransfectam(R)(Promega Biotec Inc,Madison WI)等の市販のリポソーム調製物を含むリポソームを用いてもよい。 ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの生物活性をモジュレートするための他の手段には、それらが相互作用する下流の因子とANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントとの相互作用に影響を与え得る物質を使用することも含まれる。
【0147】
ANGE、CLLD8、又はCLLD7遺伝子の発現に影響を与えることができる物質であって、個体のIgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息を予防又は治療する方法において使用するための物質も提供される。該物質は、ANGE、CLLD8、若しくはCLLD7遺伝子プロモーター、又は該遺伝子プロモーターのうち2以上を任意に組み合わせたものの活性に影響を与えることができるのが好ましい。該物質は、ANGE、CLLD8、若しくはCLLD7遺伝子、又は前記遺伝子の転写物のうち2以上を任意に組み合わせたもののRNAスプライシングに影響を与えることができるのが好ましい。物質には、前記第1乃至第8の側面の核酸配列、前記第10の側面のポリペプチド配列、前記第11の側面の抗体、本明細書に記載した他の任意の物質が含まれ、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートすることができるものが好ましい。
【0148】
前記被験体は、任意の動物であることができ、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトである。
【0149】
被験体の上述したIgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息を予防又は治療する上で使用するための医薬の製造における上述の物質の使用も提供される。
【0150】
本発明の第26の側面によれば、数多くのスクリーニングが提供される。第1のスクリーニングは、ANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するスクリーニングであって、
本発明の前記第10の側面に記載されたポリペプチド配列を準備することと、
基質を準備することと、検査すべき物質を準備することと、
前記基質の加工を測定することによって前記検査すべき物質が前記ポリペプチドの活性をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0151】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合され、2以上の基質又はポリペプチドをアッセイの中に含めてもよい。
【0152】
前記スクリーニングアッセイでは、前記ポリペプチドは、本発明の第10の側面に係る任意のポリペプチドであり得る。ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの断片を使用してもよい。1以上のSNPを有するANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアント、前記第1乃至第8の側面に記載されているもののような本発明の核酸配列を使用してもよい。前記ポリペプチドは、精製されていてもよいし、精製されていなくてもよい。前記ポリペプチドは可溶性であり得る。前記ポリペプチドは、ドメインを1以上備え得る。
【0153】
検査されている前記物質は、IgE媒介性の疾病若しくは疾患又は非アトピー性喘息の予防又は治療で使用するために、同定されている。IgE媒介性の疾病若しくは疾患には、喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎又はアレルギー性鼻炎が含まれる。
【0154】
前記基質は、本発明の第10の側面に係るポリペプチドによって加工される任意の基質であり得る。加工される(processed)とは、測定可能なあらゆる変化を意味する。これらの基質は、加工を容易に検出できるようにするために、蛍光標識又は蛍光修飾し得る。このような標識又は修飾は、当業者に公知である。
【0155】
好ましい実施態様では、前記アッセイは、当業者に公知のヒストンメチルトランスフェラーゼの活性又はヌクレオチド交換因子の活性を測定する任意の手段である。例えば、「Hama et al J. Biol. Chem., 274:15284-15291 1999」。
【0156】
本発明は、さらに、ANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するスクリーニングであって、
本発明の第10の側面に係るポリペプチドを準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
細胞を準備することと、
前記細胞の表面への接着を測定することによって前記検査すべき物質が前記ポリペプチドの活性をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0157】
このようなスクリーニングは、細胞接着スクリーニング(又はアッセイ)と称することができる。前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0158】
典型的には、細胞接着アッセイで使用される細胞は、懸濁液中に維持することができ、懸濁液の中で、細胞間接着分子の相互作用に起因する細胞の凝集により接着が測定される。あるいは、表面への接着を測定してもよい。表面は、非生物分子(例えば、組織培養プラスチック)であってもよく、あるいは、細胞性又は非細胞性である生物分子であってもよい。非細胞性分子の例には、フィブロネクチン、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分が含まれる。1以上の細胞又はその他の非細胞生物分子を組織培養表面又は細胞外マトリックス成分被覆表面等の表面に付着させてもよい。接着は、表面への細胞の接着を測定することによって判定される。細胞接着のモジュレーションは、細胞接着の増加又は細胞接着の減少の何れかであり得る。ある物質が第10の側面のポリペプチドの活性又は発現に影響を及ぼせば、その物質は前記ポリペプチドのモジュレーターであると考えられ、これは、ANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの発現のレベルであってもよいし、あるいは、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8 mRNA又はポリペプチド分子又は前記遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの半減期を変化させることによるか、あるいは、ANGE、CLLD7、又はCLLD8ポリペプチド、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたものによってコードされるポリペプチド、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントによってコードされるポリペプチドの翻訳後修飾の状態に影響を及ぼすことによるものであり得る。
【0159】
前記細胞は、前記第9の側面のベクターを備えた本発明の第14の側面に係る宿主細胞であり得る。前記第26の側面には、物質を同定するためのスクリーニングにおける前記宿主細胞の使用も含まれる。
【0160】
本発明のさらなる側面は、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子の活性、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたものの活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
本発明の前記第10の側面に記載のポリペプチドを準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
細胞を準備することと、
前記細胞の分化又は増殖の変化を測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0161】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
典型的には、分化は、当業者に公知の任意の手段によって測定することができ、例えば、Bリンパ球の場合、分化の変化はB細胞活性化であり得る。前記細胞は、第10の側面のポリペプチド又は第14の側面の宿主細胞を1以上発現してもよい。他の細胞種の場合には、免疫調節物質(例えば、サイトカイン又は増殖因子)等の細胞シグナル伝達因子の産生の誘導又は抑制であり得る。前記細胞シグナル伝達因子は、分泌されてもよい。免疫調節物質はペプチド制御因子であり得るし、あるいは、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントをモジュレートする物質によって発現が変化を受ける他の任意の生物物質でもあり得る。典型的には、このアッセイは、インビトロで、例えば組織又は臓器培養中で行われ、前記細胞は、患者又は動物又は前記第15の側面のトランスジェニック動物から採取した後に培養してもよい。
【0162】
表現型の変化は任意の変化であり得る。これには、B細胞表現型の変化が含まれ得る。
【0163】
このようなスクリーニングは、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子の活性、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたものの活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのインビトロモデルを提供する。 本発明のさらなる側面は、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子の活性、又はこれらの遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたものの活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
本発明の第15の側面に記載のトランスジェニック動物を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
検査すべき前記物質に前記トランスジェニック動物を接触させることと、
前記トランスジェニック動物の表現型の変化を検出することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0164】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0165】
前記物質を検査すべき細胞は、懸濁液中に、組織培養中に、臓器の一部として、又は動物の一部として存在することができる。好ましくは、前記動物は、ラット、ウサギ、マウス、又はその他の齧歯類等の実験動物である。
【0166】
表現型の変化には、遺伝子発現の変化、又はRNA若しくはタンパク質の産生の変化、又は細胞の形態若しくは挙動の変化が含まれる。
【0167】
本発明のさらなる側面は、ANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子、又は該遺伝子のうち2以上を任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質の使用に伴う副作用を検出するためのスクリーニングであって、
本発明の第1乃至第8の側面に係る核酸配列又は本発明の第10の側面に係るポリペプチドを実質的に発現していない細胞を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記検査すべき物質を前記細胞と接触させることと、
前記物質によって前記細胞にもたらされた何らかの副作用を測定することと、を備えた方法を提供する。
【0168】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0169】
測定すべき前記副作用は任意の副作用であり得、細胞がこれより大きな組織又は動物の一部であるかどうかに依存するであろう。副作用は、細胞分化、又は細胞増殖の変化を伴ってもよい。前記副作用は、臓器又は動物の表現型の変化の指標であり得る。
【0170】
本発明のさらなる側面は、本発明の前記第1乃至第8の側面に記載のポリペプチド、又は本発明の前記第10の側面に記載のポリペプチドの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
本発明の前記第1乃至第8の側面に記載の単離された核酸又は本発明の前記第10の側面に記載されたポリペプチドを準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記物質と前記核酸又はポリペプチドの試料との相互作用を測定することによって、前記検査すべき物質が前記単離された核酸又はポリペプチドの活性をモジュレートするかを測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0171】
好ましくは、このスクリーニングは、ANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたもの、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの転写を測定するインビトロ転写アッセイである。
【0172】
あるいは、ANGE、CLLD7、又はCLLD8遺伝子、又はこれらの遺伝子のうち2以上を組み合わせたものによって産生される転写物、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの理論的又はモデル特性を使用することによって、物質を同定してもよい。機能的又は構造的特性は、タンパク質自体の特性であってもよいし、あるいはコンピュータで作製したモデル、物理的二次元若しくは三次元モデル、又は電気的(例えばコンピュータ)に作製した一次構造、二次構造、若しくは三次構造の特性、並びにファルマコフォア(三次元電子密度マップ)若しくはそのX線結晶構造の特性であり得る。
【0173】
物質の候補としては、当業者に公知のもの又は新規物質が含まれ、アンチセンスヌクレオチド配列、前記第10の側面のポリペプチド配列に結合するポリクローナル又はモノクローナル抗体等の化学的又は生物的化合物が含まれる。
【0174】
本発明の第27の側面によれば、ANGE、CLLD7、若しくはCLLD8遺伝子の活性、又はこれらの遺伝子を2以上任意に組み合わせたものの活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質のスクリーニングにおける、上述した核酸配列又はポリペプチド配列の使用が提供される。
【0175】
前記方法は、好ましくは、本発明の先述した側面に記載の核酸又はポリペプチド配列に物質の候補を接触させることと、前記ヌクレオチド又はポリペプチド配列の発現及び/又は活性をモニタリングすることとを備える。物質の候補は、該物質の不存在下での活性又は発現に比べて、前記ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の活性又は発現を変化させる物質である。本方法は、本発明のヌクレオチド又はポリペプチドを備えた宿主細胞、組織培養、又はヒト以外のトランスジェニック動物に物質の候補を接触させることと、炎症性疾患を呈示する(display)こととによって実施し得る。
【0176】
前記第26の側面の方法によって同定された物質も提供される。
【0177】
前記第2の側面以降の側面の好ましい特徴は、第1の側面と同様である。
【実験の詳細】
【0178】
<表の説明>
表1は、LnIgEとBAC bA103J18.03548、BAC bA101d11.01116、及びBAC bA236m15.00303中に同定されたSNPとの関連を示している。位置は、BAC/PACコンティグから得られた基準配列の先頭からの塩基対で表されている。
【表1】

【0179】

【0180】

【0181】

【0182】
表2は、被験者群で、共通のb4_2.b5_3.b43_1ハプロタイプが総IgEに関連していることを示している。
【0183】
a)総血清IgEとのSNP/マーカー関連
b)被験者群における、共通のb42.b5_3.b43_1ハプロタイプの総IgEへの関連
c)分類的形質(喘息とアトピー)との関連。
【表2A】

【表2B】

【表2C】


表3は、図5の1mb領域から単離された完全長のcDNAを示している。
【表3】

【0184】
表4は、SNPの同定で用いたプライマー対を示している。
【0185】
a)領域中に同定されたSNPS
b)RFLPアッセイで用いたプライマー対を示している
c)SNP配列
CLLD8のエキソンXIIとANGEのエキソンIIIの間でのPCR増幅。3つのバンドが観察されており(A、B、及びC)それらのスプライス構造が挿入図の中に描かれている。ANGEエキソンIIを欠如するバンドBは、CLLD8からANGEへと続くオープンリーディングフレームを有している。最も大きな分子量のバンドは、IgGFc遺伝子座内の相同配列からのプライミングによって生じる。
【表4A】






【表4B】


【表4C】



















表5は、抗体を作製するために使用したペプチド配列を示している。
【表5】

【0186】
表6は、EMSAによって調べた機能的プロモーターSNPの候補を示している。
【表6】

【実験例1】
【0187】
被験体
ウエスタンオーストラリアの田舎町Busseltonの230家族からなる母集団試料から選択した80核家族の364人の被験体について1次のマッピングを実施した3、51(AUS1パネル)。このパネルの家族には、アトピーと非アトピーの両方の構成員が含まれ、3つ以上の同胞群では、アトピーと非アトピーが混在していた。AUS2パネルは、母集団試料の残りの150核家族からなった。UK2パネルは、Oxford地域における喘息クリニックに出席した子供を通して採用した87核家族からなった。この家族には、216人の子孫(148の同胞対)が含まれていた。ECZパネルは、既報30のように、進行中のADに罹っている子供を通して、Great Ormond Street Hospital for Childrenでの皮膚科学クリニックにおいて採用した150核家族からなった。
【0188】
表現型
ハウスダストダニ(HDM)及び花粉混合物に対する(負の対照の応答を除いた)皮膚試験、HDM及びオオアワガエリに対する特異的IgE力価、及び血清総IgEを既報(Hill,M.R.、James,A.L.、Faux,J.A.等 British Medical Journal 311、776〜9(1995))のとおり測定した。HDM及び草混合物に対する皮膚穿刺試験結果(HDM又は花粉又はその両方に対してアトピー反応を示した母集団のうち95%の個体)の合計として「皮膚試験インデックス(STI)」を計算した。メタコリンに対する気管支反応性を既報のとおり測定した:投与した最大用量は12μmolであった。用量−応答曲線の傾斜を、(投与前の一秒量(FEV1)−最後のFEV1)のメタコリン累積用量として計算した。傾きが0のときには、定数0.01を各測定値に加えてlog変換ができるようにした。末梢血中の好酸球をCoulterカウンターで数え、log値を分析前に変換した。
【0189】
「アトピー」を、STI>5mm、HDM及びオオアワガエリに対するRASTスコア>2、又は血清総IgE>年齢補正した母集団の7/10として定義した。「正常」を、STIが0、RASTインデックスが0、及び血清総IgE<年齢及び性別が同じ母集団の7/10として定義した。中間の表現型を、未知として分類した。
【0190】
既報のように、内容を変更したBritish MRCアンケートを被験体に対して実施した。「あなたは今までに喘息の発作を起こしたことがありますか?」、「発作を起こしたことがある場合、それは2回以上ですか?」という質問に対して肯定した場合を「喘息」と定義した。
【0191】
SNPの発見及び分類
1000Bpよりも長い非反復DNA断片の配列を直接決定してSNPを発見した。各配列反応に対して、500〜600bpのゲノム配列をカバーするようにプライマーを設計した。5つの個体試料及び32の個体についてプールした1枚のDNAパネルの配列を決定した。Polyphred/Phrapプログラムによるトレースのアセンブルを行った。ランダムにSNPを発見した後、DNA前後の250bpを含むすべてのエキソン配列を、その領域にあるすべての遺伝子候補に対して決定した。
【0192】
PCR及び制限消化によりSNPを分類した。天然の制限酵素切断部位がない場合、1つのプライマーを改変して制限酵素切断部位を作製した。1)10ng/μl個体DNA5μlと、2)フォワードプライマー及びリバースプライマー5pmolと、3)TaqGold0.08uと、4)Mg2+1.5〜3mMとを含む反応物10μl中でPCRを実施した。PCRは、94℃15分、次いで1)94℃30秒、2)50〜60℃30秒、3)72℃45秒を35サイクル実施した。PCR終了後、このプレートを試験してPCRが成功したかどうかを確認し、次いで制限酵素1〜2uを含有する消化溶液5μlを各反応物に添加した。試料を3〜5時間消化した後、2〜4%アガロースゲルにかけた。Busselton及びUK1の組の家族において合計40個のSNPが分類された。
【0193】
関連性の統計分析
Mendelian誤差に対する試験、及び高密度のSNPマップから起こりそうにない組換え現象を同定するMERLINコンピュータプログラム(http://bioinformatics.well.ox.ac.uk/Merlin)によって、SNP分類の誤差を検出した。MERLINによりSNPハプロタイプを作製し、個々の対立遺伝子として再コード(recode)した。
【0194】
分析における共変動としてマーカー及び表現型が使用可能なQTDTプログラムによって、量的形質に対する関連性の試験を実施した29。喘息と分類形質の関連性を、QTDTのMonksテストルーチンにより調べた29、31
【0195】
配列解析
改変HPREP(G.Micklem、未発表)を用いてゲノム配列を解析した;REPEATMASKER(Smit,A.F.及びGreen,P. http://repeatmasker.genome.washington.edu)を用いてRepBase52中の反復領域をスクリーニングした;ヒト、げっ歯類、EST、STS及び他のDNAデータベースに適合させるために、SWISSPROT、TREMBL及びTREMBLNEWペプチドデータベース、CPG53を用いたCpG島、転写因子領域及びPROMOTORSCAN54を用いた推定プロモーター領域、並びにGRAIL55、GENSCAN56、GENEPARSER57及びMZEF58を用いたエキソンの予測を使用した。ACeDB(http://www.acedb.org/)を用いてアノテーションを照合した。BLASTN59を用いてEMBL DNAデータベースに対して既知の遺伝子を同定した。機能が未知である転写物の相同体について、ペプチドデータベースSWISSPROT、TREMBL及びTREMBLNEWをBLASTX59を用いて検索した。PSI−BLAST59及びSMART60を用いて、残りの転写物の役割を推定した。
【0196】
IMAGEクローン配列及び伸長
領域をマッピングしたIMAGEクローンをResearch Geneticsから入手し、377 DNAシーケンサーでABI Prism Big Dye Terminator(PE Applied Biosystems)を用いてその配列を決定した。各IMAGEクローンのコンセンサス配列をGCGプログラムにより整列させた。IMAGEクローンの5’及び3’cDNA末端を伸長させるために、CLONTECHからMarathon-Ready(商標)cDNA RACEライブラリを入手した。各コンセンサス配列に対し各方向に2つの遺伝子特異的プライマー(GSP)を設計した。RACE PCRからの異なるバンドをゲルから切断し精製した。InvitrogenのZERO Blunt(商標)PCR Cloningキットを用いてこれらのバンドをクローン化した。Big Dye Terminatorを用いて挿入断片の配列を決定し、GCGによりコンセンサス配列に組み込んだ。
【0197】
組織発現
Human Multiple Tissue Northern(MTN(商標))Blots及びHuman Immune System MTNブロットをCLONTECHから入手した。CLONTECHのHuman Multiple Tissue、Human Immune System及びHuman Blood Fractions Multiple Tissues cDNA Panelsを、標的配列のPCR増幅による発現解析に使用した。
【0198】
選択的PCR、産物のゲル分離、ZERO Blunt(商標)PCR Cloningキットを用いたクローニング、及びBig Dye Terminatorシークエンシングにより、ANGEのスプライスバリアントのエキソン及びイントロン構造を系統的に調べた。
【実験例2】
【0199】
染色体13q14の飽和遺伝子地図(saturation genetic map)によって、D13S161を中心とした7.5cM領域内にあるアトピー遺伝子座の位置に対してロッドサポートユニット(lod support unit)が1つ同定された17。1.5MbのBAC及びPACコンティグがD13S273を中心として構築された。2つの家族のパネルにおいて、血清総IgEとミクロサテライトUSAT24G1の対立遺伝子とに正の関連性があることが判明した。
【0200】
疾患とマーカーの連鎖不平衡(LD)の検出限界から得られる本発明者らの試料サイズは100Kb未満である可能性が高く18、19、アトピー遺伝子がUSAT24G1の両方向100Kbの範囲内にあることが示唆された。一般に、B細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL)では、染色体13q14のこの領域が欠失している20
【0201】
次いで、遺伝子座中央にある1Mbのゲノム配列の決定を優先させるために、本発明者らのBAC/PACコンティグからの骨格配列タグ部位(STS)を用いた。これらのSTSは、Hind III消化フィンガープリント法とSTS含量の組み合わせによって構築されたBACコンティグ上にマップされた23、24。階層的なショットガン配列決定戦略26を用いて、RPCI−11 BACライブラリ25からの一組の重複するクローンの配列を決定した。この領域の(3BACの形の)配列を図5、6及び7に示す。
【0202】
連鎖不平衡マッピング
5人の無関係なアトピー患者及び5人の無関係な対照における1.5Kb長の反復のないコンティグを、32の無関係な個体からプールしたDNAと共に配列決定することによってSNPを検出した
量的形質に対する関連性
小さな対立遺伝子の出現頻度が$20%である、47のSNP及び15bpの欠失−挿入多型が同定された。80核家族中364人の個体からなる本発明者らによる1次のパネルにおいてこれらの遺伝子型が決定された3、4。エラー検査及びハプロタイプの生成をMERLINコンピュータプログラム27により実施した。マーカー間の連鎖不平衡(LD)を、親のハプロタイプからD’を推定することによって評価しl8、GOLDプログラム28によって描出した。LDは、3つの主要な島及び1つの副次的な島(A、Aii、B及びC)(図la)に概略分散し、疾患との関連性を局在化し得る領域を画成した。
【0203】
Log(IgE濃度)(LnIgE)とSNPの関連性を分散成分分析29により求めた(表1)。
【0204】
LnIgEの関連性は、185752b4_2 SNP付近に集中し、LDのA及びAii島内で約100Kbに及んだ(表1)。STIとの関連性はこれよりも不明確に規定されているが、4321017b38_1付近に集中し、150kbに及ぶと考えられた。2つのピーク間の距離は約160kbであった。
【0205】
これらのピークが異なるQTLに対応するのかどうかを試験するために、STIを共変動としてLnIgEとの関連性を試験し、また、LnIgEを共変動としてSTIとの関連性を試験した(表1)。185752b4_2についても共変動として同様に関連性を試験した。各場合において、LnIgE/185752b4_2複合体はSTI/4321017b38_1複合体とは異なって出現した。
【0206】
LnIgEとの関連領域は3遺伝子に及んだ(表1)(図1b)。これらの遺伝子の同定について以下に示す。第1又は第3の遺伝子にマーカーを共変動(bd_1又は44593_15)として入れても、中央の遺伝子内の関連性が消失しなかったのに対し、この遺伝子にマーカーを共変動(b4_2)として用いると、外側領域における関連性の形跡が消失した。これらの結果から、LnIgEとの関連性を示すマーカーの中央にQTLが含まれると示唆される。
【0207】
複製に対する検査をするために、他の被験体パネルにおいて6つのマーカー(b11_2、b4_2、b5_3、b43_1、b38_1及びb28_2)を分類した。比較する数を最小化するために、これらのマーカーから3マーカーのハプロタイプを構築し、複対立の関連性試験を実施してから個々のハプロタイプを試験した。b4_2、b5_3、b43_1ハプロタイプは、試験したパネルの各々においてLnIgEに対し一貫した関連性を示した(表2)。b4_22及びb5_31対立遺伝子を含む2つのハプロタイプ(A及びD、表2)は、LnIgEに対して負の関連性を示したが、b43_1遺伝子座が異なった。アトピー性皮膚炎に罹った家族のパネルにおいて、(b4_21及びb5_32を含む)Cハプロタイプに対して正の関連性が認められた30。これらの結果から、IgEレベルに影響を及ぼす多型は、b4_2及びb5_3の直近にあることがさらに示唆される。
【0208】
Busseltonの家族(AUS1及びAUS2)の混合パネルは、一般的な母集団の代表と考えることができる。伝達不平衡テストにより、これらの被験体において喘息とb4_2及びb5_3の各マーカーとに関連性が認められた(それぞれ、p=0.024及びp=0.017)31
【0209】
分類形質との関連性
遺伝子の同定及びドメインの相同性
この領域にある未完成BAC配列を集め、アノテーションをつけた。ESTデータベースを調べ、cDNA選択実験から、発現した配列を系統的に同定した。これらのソースからの部分配列をcDNAコンティグに統合し、3’及び5’RACEによってさらに伸長し、ノーザンブロッティングを実施して転写物の大きさを決定し、遺伝子の組織発現について調べた。
【0210】
ゲノム配列の1Mb領域から6つの完全長cDNAを同定した(表3)。4つの他の配列をESTデータベース中に見出したが、それらはオープンリーディングフレーム(ORF)又はスプライス構造を持たず、ゲノムきょう雑物(UniGeneクラスターHs.58452、Hs.268773及びHs.212161)である可能性が高かった。
【0211】
最近、染色体13q14BCLL遺伝子座セル(locus cell)の物理的マッピングによって、これらの遺伝子のうち5つが同定された22。3つは白血病を誘発する新規な遺伝子候補と考えられ、CLLD6、CLLD7及びCLLD8と命名された。他の遺伝子は、カリオフェリン−3(KPNA3)及びNY−REN−34抗原(ANGE)に対応する遺伝子である。第6の遺伝子は、Emopamil結合関連タンパク質(EBRP)である。
【0212】
3つの末端遺伝子に対する配列相同性からは、アトピー又は喘息における明確な役割は示唆されない。すなわち、EBRPは、おそらくコレステロールの生合成においてD8−D7ステロールイソメラーゼとして作用し、KPNA3の配列からはそれが核輸送システムに関与すると示唆され32、CLLD6はSPRYドメインを含み微小管結合の可能性が示唆される。残り3つの遺伝子は、LnIgEレベルに関連する領域を含む密なクラスターを形成する(表1)(図1b)。
【0213】
CLLD8
最も近位にある遺伝子のCLLD8は、メチル−CpG結合ドメイン(MBD)とSETドメインの両方を含む22(図8)。MBDは、メチル化CpGを結合するのに必要なアミノ酸を欠いていると考えられるが33、34、依然としてDNAを結合している可能性が高い。SETドメインは、ヒストンH3のメチル化によって遺伝子発現を後成的に調節する。CLLD8は、活性部位と触媒活性に重要である隣接システイン残基の両方を含むことから、H3メチルトランスフェラーゼである可能性が高い37
【0214】
ヒストンメチルトランスフェラーゼ
真核生物における遺伝子の発現は、DNAを利用できるかどうかで決まる。DNAは、その自然な状態で、1セットのヒストンH2A、H2B、H3及びH4の周囲にまとまっている。H1ヒストン及び他の非ヒストンタンパク質との相互作用によって、さらに高密度に圧縮が進行する。この凝縮状態において、クロマチンは転写機構に関与せず、したがってその中に含まれる遺伝子はサイレントである。ヒストンメチルトランスフェラーゼは、遺伝子発現の制御において極めて重要な役割を果たす。哺乳動物細胞において、これらの酵素は、特異的リジン残基においてヒストンH3及びH4をメチル化することが知られている。このタンパク質ファミリーのうち最も広範に研究されている構成員はSLTV39H1であり、これは、リジン残基9(K9)においてヒストンH3を選択的にメチル化する。この酵素の触媒作用ドメインは、SETドメインとして知られる高度の保存配列内に含まれている。この配列は、2つの隣接システインリッチ配列(プレSET及びポストSET)と組み合わさってヒストンのメチル化を促進するのに必要とされる。したがって、プレSET−SET−ポストSETドメインは、ヒストンメチルトランスフェラーゼタンパク質の特徴的なサインと見なせる。CLLD8は、拡張SETドメイン及びメチル結合ドメイン、メチル化DNAを認識可能な構造を含む。
【0215】
参考文献:Kouzarides,T.「Histone Methylation in transcriptional control」(2002) Curr Opin Genet and Devel 12:198〜209。
【0216】
ANGE(NY−REN−34)
次の遺伝子は、CLLD8の3’末端から約4Kb遠位にあり、同じ方向に転写される。この遺伝子は、腎細胞癌に罹った4人の患者からのcDNA産物の血清学的解析によって同定されたNY−REN−34抗原をコードする38。この遺伝子の転写物は、胃、扁桃及びB細胞においても高度に発現される(UniGeneクラスター279799)。この遺伝子産物は、2つのPHD(植物ホメオドメイン)ジンクフィンガーを含み、クロマチンによって媒介される転写調節に関与していることが示唆される39(図8)。PHDフィンガーは、通常、システイン残基及びヒスチジン残基を含む2つのZn2+配位基を有する。しかし、NY−REN−34フィンガー対のN−末端(5’)は、この2つの配位基のうち1つを欠いている。
【0217】
NY−REN−34におけるPHDフィンガーの配列は、急性リンパ芽球白血病のいくつかの症例においてその遺伝子が融合しているALL−1、AF10などのヒトタンパク質に特徴的である40(図8)。AF1041及びALL42PHDフィンガーとの類似性から、NY−REN−34 PHDフィンガー対は、ホモ二量化又はタンパク質結合機能又はその両方を有する可能性が高いことが示唆される。NY−REN−34は、BCAP(BRCA1−C末端関連タンパク質)(EMBL受託番号AB011031)とも呼ばれ、BRCA1のBRCTドメインと相互作用する可能性が高い。これらのドメインは、転写を刺激し、クロマチンを再構築し、ヒストンアセチルトランスフェラーゼp300、ヒトヒストンデアセチラーゼHDACなどのヒストン修飾酵素と相互作用することができる43
【0218】
CLLD7
CLLD7はANGEの末端からわずか3Kbの位置にあるが、逆方向に転写される。CLLD7は、RLG及びRCC1(クロマチン凝縮1の制御因子)に極めて類似したタンパク質配列を示す。RCC1は、DNA及びヒストンH2A及びH2Bに結合する44。CLLD7は、一般に特異親和性及び異好性の二量体を形成するBTB/POZドメインを含む。
【0219】
クロマチン構造の再構築は、IgEの生成に影響を及ぼす遺伝子の転写調節に重要であり45、CLLD8、ANGE及びCLLD7すべてがアトピープロセスに影響を及ぼす候補と考えられる。しかし、CLLD8及びANGEは共に、IL−5プロモーターREII領域結合タンパク質(RE−IIBP)46、並びに白血病(ALL)40及び多発性骨髄腫(MMSET)46、47において見られる遺伝子に相同なドメインを含む(図8)。これは、免疫調節及び免疫グロブリン生成におけるある役割を示唆するものである。
【0220】
CLLD8及びANGE(NY−REN−34)の共発現
CLLD8とANGEのゲノムが近似していることから、両方の遺伝子の発現又はRE−IIBP46に類似した複合遺伝子産物の発現を調整できる可能性がある。CLLD8のエキソンXIIとANGEのエキソンIIIとのPCRによって、ほとんどの組織において発現される3つのバンド(A、B及びC)が同定された(図10)。各バンドは、特異的スプライス構造(図3)を含むが、本発明者らの配列からは、これらのバンドのいずれにおいても拡張オープンリーディングフレームが認められなかった。オープンリーディングフレームがないにもかかわらず、非ランダムスプライス構造から、調節し得る特定の機能が示唆される。
【0221】
組織発現及びスプライスの変動
本発明者らは、CLLD8、ANGE及びCLLD7のノーザンブロットを調べた。ANGEのノーザンブロットから、多型の高分子量バンドが示された(図10)。高分子量バンドはCLLD8でも見られたが、ANGEにおいて類似のバンドが見られた組織にこれらは適合しなかった(図2)。CLLD6及びコンティグのその他の遺伝子は、組織に均一かつ広範に分布する予想サイズのバンドを示した。
【0222】
ANGE遺伝子は、10個のエキソンを含んでいる。公開データベースを検討することによって、タンパク質翻訳のためのオルターナティブな開始メチオニンを含むオルターナティブな第1のエキソンがいくつか同定された(EMBL:AF155105、AL552215、B1463029、BG759124)。本発明者らは、cDNAパネルから特異的PCR産物の配列を決定することによってこれらのバリアントすべてを同定することができた(データ示さず)。また、数種類のcDNAではエキソンIIの読み飛ばしが起こることが判明した(ESTHUM:BF662927及びBE787177、EMBL:AL552215)。AL552215バリアントは、不完全な第1のPHDドメインとなったが、これが機能することは期待できなかった。
【0223】
複数の組織パネルからのcDNAのエキソン特異的PCRによって、エキソンII読み飛ばしバリアントが、すべての組織においてほぼ同じ濃度で存在することが確認された(図4a)。
【0224】
エキソンVとVIの間の(エキソンVa及びVbと称する)別のエキソンを含む極めて組織特異的なスプライスバリアントが見出された。これらのバリアントは、54bpだけ異なり、肺及び末梢血白血球(PBL)中に存在した(図4b)。PBL画分を調べて、スプライスバリアントが、失活したCD4+、CD8+及びCD19+細胞中に存在するが、活性な細胞中には存在しないことがわかった。両方のエキソンは、プリマチュア終止コドン(premature stop codon)となる。プリマチュア終止コドンを含む選択的スプライシングは、転写の負の対照に対する機序として以前に確認されており48、これらのバリアントのネガティブな役割は、不活性なT細胞及びB細胞におけるそれらの発現と一致する。
【0225】
エキソンVIIとVIIIの間にイントロンVIIが保持され、活性なCD4+及びCD8+白血球において最も強く発現されるスプライスバリアント(ESTHUM:BE141730)が認められた(図4c)。このバリアントもプリマチュア終止コドンになる。
【0226】
ANGE
位置クローニングによるANGE(NY−REN−34)の同定は、3つの証拠、すなわち、遺伝子の局在、組織発現、及び推測又は実証された遺伝子機能に基づく。今回のケースでは、血清総IgE濃度に関連する領域は3つの遺伝子に及ぶが、本発明者らの分析から、これがANGE遺伝子内の多型に起因し得ることが示唆される(図1、表1及び表2)。CLLD8及びANGE由来のドメインは、既知のB細胞転写因子と相同性を有する。1つの遺伝子ANGEのみが、免疫細胞及び組織における発現が異なり、この遺伝子座においてアトピーの原因となっている可能性が高い。
【0227】
本発明者らは、さらに、5’領域に対するANGE及びCLLD8、すべてのエキソン、及びイントロンの非反復領域の配列を決定した。1つの保存コード(Glu−Gly)バリアントがCLLD8に見出されたが、IgEとわずかな関連性しか示さなかった(p<0.01)。1つの非保存的な(Pro−Ser)バリアントがANGE(ANGE1x3C148T)に見出された。非保存コード(Val−Ala)バリアントがCLLD7(CLD703)に見出された。
【0228】
LDのA島内のSNPは、不平衡が大きかった。遺伝子の制御領域は100Kbに及ぶことがあり49、本発明者らは、血清IgE濃度に対する影響が異なる少なくとも2つのハプロタイプを認めた。本発明者らの結果は、複雑な形質を生じる遺伝子座が、異なる機能的結果となるいくつかの多型を含んでいることを示している。
【実験例3】
【0229】
配列解析
BLASTNを用いた系統的な比較・拡張ツールであるコンティグウォークを用いて、重複未完成BACからDNA配列を集めてより大きなコンティグを形成した(S.J.Broxholme、未発表)。Genebridge4 Radiation Hybridハ゜ネル及びRadiation HybridマッピングソフトウエアRHMAPPER(Stein,L.、Kruglyak,L.、Slonim,D.、Lander,E.(1995)http://www.genome.wi.mit.edu/ftp/pub/software/rhmapper)における臨海領域(critical region)からのSTSマーカーのベクタースコアを用いて、目的領域のフレームワーク地図を作製した。次いで、RHMAPPERを用いて、このフレームワーク内に位置し得るRHDB中のマーカーを見出した(Rodriguez-Tome,P.及びLijnzaad,P Nucleic Acids Res 29、165〜6(2001))。
【0230】
フレームワーク内に位置する各RHDBエントリーについて、その注記から受託番号を見つけ、次のステージのためにESTを選択した。TIGR Assembler(Sutton G.G.、White O.、Adams,M.D.及びKerlavage,A.R.(1995)Genome Science & Technology、1、9〜19)を用いて、非重複性の配列セットを作製した。
【0231】
hprep(G.Micklem、未発表)を改変して用いてゲノム配列を解析した;RepeatMasker(Smit,A.F.A.及びGreen,P. http://repeatmasker.genome.washington.edu)を用いて、RepBase(Jurka,J. Trends Genet 16、418〜20(2000))中の反復領域をスクリーニングした;ヒト、げっ歯類、EST、STS及び他のDNAデータベースに適合させるために、SWISSPROT、TREMBL及びTREMBLNEWペプチドデータベース、cpg(Larsen,F.、Gundersen,G.、Lopez,R.及びPrydz,H. Genomics 13、1095〜107(1992))を用いたCPG島、転写因子領域及びプロモータースキャン(Prestridge,D.S J Mol Biol 249、923〜32(1995))を用いた推定プロモーター領域、並びにGRAIL(Xu,Y.、Mural,R.J.及びUberbacher,E.C. Comput Appl Biosci 10、613〜23(1994))、GENSCAN(Burge,C.及びKarlin,S.,J Mol Biol 268、78〜94(1997))、geneparser(Snyder,E.E.及びStormo,G.D. Nucleic Acids Res 21、607〜13(1993))及びMZEF(Zhang,M.Q. Proc Natl Acad Sci U S A 94、565〜8(1997))を用いたエキソンの予測を使用した。ACeDB(http://www.acedb.org/)を用いてアノテーションを照合した。
【0232】
BLASTN(Altschul,S.F.等 Nucleic Acids Res 25、3389〜402(1997))を用いてEMBL DNAデータベースに対して既知の遺伝子を同定した。機能が未知である転写物の相同体について、ペプチドデータベースSWISSPROT、TREMBL及びTREMBLNEWをBLASTX(Altschul等、同上)を用いて検索した。PSI−BLAST(Altschul等、同上)及びSMART(Schultz,J.、Copley,R.R.、Doerks,T.、Ponting,C.P.及びBork,P Nucleic Acids Res 28、231〜4(2000))を用いて、残りの転写物の役割を推定した。
【0233】
IMAGEクローン配列及び伸長
領域をマッピングしたIMAGEクローンをResearch Geneticsから入手し、377 DNAシーケンサーでABI Prism Big Dye Terminator(PE Applied Biosystems)を用いてその配列を決定した。反応物には、Bigdye2μl、Half Bigdye2μl、プライマー(5pmol/μl)1μl、プラスミドDNA(400ng)1〜4μl及びdsH20 1 4〜1μlが含まれていた。MJサーマルサイクラー中で配列反応を実施した。1)95℃1分、2)95℃15秒、3)50℃10秒、4)60℃4分、5)ステップ2〜4を24サイクル繰り返し(合計25サイクル)、6)15℃保持。各IMAGEクローンに対するコンセンサス配列をGCGプログラムによって整列させた。
【0234】
IMAGEクローン配列の5’及び3’cDNA末端を伸長させるために、CLONTECHからMarathon−Ready(商標)cDNA RACEライブラリを入手した。各コンセンサス配列に対し各方向に2つの遺伝子特異的プライマー(GSP)を設計した。2つのGSPプライマー間で約150〜200bpの重複配列があった。25〜28bp、50〜70%GC及びTm65℃であるようにGSPプライマーを設計した。タッチダウンPCRをRACE末端に用いた。1)94℃30秒、2)94℃5秒、68〜72℃4分を25〜30サイクル。
【0235】
RACE PCRからの異なるバンドをゲルから切断し精製した。InvitrogenのZERO Blunt(商標)PCR Cloningキットを用いてこれらのバンドをクローン化した。Big Dye Terminatorを用いて挿入断片の配列を決定し、GCGによりコンセンサス配列に組み込んだ。
【0236】
ノーザンブロット分析
Human Multiple Tissue Northern(MTN(商標))Blots及びHuman Immune System MTNブロットをCLONTECHから入手した。Human MTN Blotは、心臓、脳(全体)、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓及びすい臓からのRNAを含んでいた。Human Immune System MTNは、ひ臓、リンパ節、胸腺、末梢血白血球、骨髄及び胎児の肝臓を含んでいた。cDNA結腸又は組織cDNA溶液から作製したプローブを用いてBlotsをハイブリッド化した。プローブの平均サイズは、500〜1000bpであった。遺伝子il54016の場合、プローブは、エキソン1からエキソン10までの1180bpであった。このプローブを、ランダムプライマー法により、[32P]dATPで放射能標識した。すべてのプローブを、ハイブリダイゼーション溶液(10%硫酸デキストラン;4xSSC;50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2;1mM EDTA pH8.0;10Xデンハート液;50mg/ml超音波処理ニシンDNA;1%SDS)中42℃で終夜ハイブリッド化した。
【0237】
MTCパネルのPCRスクリーニング
CLONTECHのHuman Multiple Tissue cDNA Panels及びHuman Immune System Multiple Tissues cDNA Panelsを発現解析に使用した。Human Multiple Tissues cDNAパネルは、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓及びすい臓からのcDNAを含んでいた。Human Immune System Multiple Tissuesは、ひ臓、リンパ節、胸腺、扁桃、白血球、髄及び胎児の肝臓からのcDNAを含んでいた。5つのBACゲノム配列にわたるすべてのcDNAコンセンサス配列において、MTCパネルを調べた。1)脱イオンHO 36μl、2)PCR緩衝液5μl、3)advanTaq Plus 1μl、4)8mM dNTP 5μl、及び5)5pmolフォワードプライマー及びリバースプライマー4μlを含む50μl中でPCRを実施した。1)94℃30秒、2)94℃30秒、68℃2分を22〜38サイクル、3)68℃5分でPCRを実施した。特定の標的の存在量を観察するため、22、26、30、34及び38サイクル目に毎回全量5μlの試料を反応物から採取した。
【0238】
ANGE(NY-REN-34)の場合、CLONETECH Human Blood Fractions MTCパネルも上述のように試験した。
【0239】
選択的PCR、産物のゲル分離、ZERO Blunt(商標)PCR Cloningキットを用いたクローニング、及びBig Dye Terminatorシークエンシングにより、ANGEのスプライスバリアントのエキソン及びイントロン構造を系統的に調べた。
【0240】
結果
次いで、本発明者らは、関連領域内の遺伝子を調べた。この領域の未完成BAC配列を集め、アノテーションをつけた。ESTデータベースを調べ、cDNA選択実験から、発現した配列を体系的に同定した(G.Anderson.DPhil Thesis、Oxford University 2001)。これらのソースからの部分配列をcDNAコンティグに統合し、3’及び5’RACEによってさらに伸長した。ノーザンブロッティングを実施して転写物の大きさを決定し、遺伝子の組織発現を調べた。
【0241】
ゲノム配列の1Mb領域から6つの完全長cDNAを最終的に同定した(表3)。5つの他の配列をESTデータベース中に見出したが、それらはオープンリーディングフレーム(ORF)又はスプライス構造を持たず、ゲノムきょう雑物(i274117、i46536、i513822、il43317及びi447262)である可能性が高かった。最近、染色体13q14BCLL遺伝子座セルの物理的マッピングによって、本発明者らが見出した遺伝子のうち3つが同定され、CLLD6(i2350400)、CLLD7(i44593)及びCLLD8(i626548)(Mabuchi,H.等 Cancer Res 61、2870〜7(2001))と命名された。これらの遺伝子は白血病を誘発する新規な遺伝子候補と考えられる。これらの遺伝子のドメイン含量に関する本発明者らの分析結果は、CLLD7がクロマチン再構築による細胞サイクル調節に関与している可能性があり、SETドメインを含むCLLD8がメチル化によって媒介される転写抑制に関連している可能性があるというMabuchi等の評価と一致している。本発明者らは、微小管結合に関与している可能性があるCLLD6においてSPRYドメインを認めた。CLLD6は、LnIgE又はSTIに関連する領域の範囲外にあると考えられる。
【0242】
イメージクローンil54016に対応する遺伝子は、腎細胞癌に罹った4人の患者に由来するcDNAの血清学的解析によって同定されたNY−REN−34抗原をコードすることがすでに認められている(Scanlan,M.J.等 Int J Cancer 83、456〜64(1999))。この遺伝子の転写物は、乳癌および扁桃においても常に見出された。この遺伝子は、2つのPHDドメインを含み、その1つは完全であり、もう一方はそのN末端(5’)側にあり、その2つの亜鉛配位残基(ほとんどがCys)の1つが欠失している。これら2つのPHDドメインは、ショウジョウバエ/ヒトトリソラックス及びヒトALL−1中のPHDドメイン対に極めて類似しており、クロマチンによって媒介される転写調節にNY−REN−34抗原の遺伝子が関与していることが示唆される(Aasland,R.、Gibson,T.J.及びStewart,A.F. Trends Biochem Sci 20、56〜9(1995))。
【0243】
イメージクローンil895799は、D8−D7ステロールイソメラーゼとして働くEmopamil結合関連タンパク質である。イメージクローンi626789は、カリオフェリンアルファ3であり、核輸送システムに関与している可能性があることを示唆する相同性を有する(Takeda,S.等 Cytogenet Cell Genet 76、87〜93(1997))。
【0244】
クロマチン構造は、IgEの生成に影響を及ぼす遺伝子の転写調節に重要であり(Lavender,P.、Cousins,D.、Smith,P.及びLee,T Presentation at the National Athma Campaign International Congress、June 1999、Clin Exp Allergy 30、1697〜708(2000))、SETドメイン及びPHDドメインを含むタンパク質(CLLD8及びNY−REN−34)は、アトピープロセスに影響を及ぼす第1候補である。
【0245】
転写配列をSNP/LDマップ上にマッピングし直すことによって、3つの遺伝子がLnIgE及びSTIに関連するピーク下に含まれることが判明した(図1)。これらの遺伝子は、NY−REN−34、CLLD7及びD8−D7ステロールイソメラーゼであった。
【0246】
組織発現に基づいてこれらの遺伝子をさらに検討した。CLLD8及びCLLD7及びカリオフェリンのノーザンブロットから、先に記載したように、単一サイズの転写物が広範に発現することがわかった。しかし、NY−REN−34は、スプライシングが異なり、より高分子量のバンドが免疫組織に存在した(図2)。
【0247】
そこで、この遺伝子をさらに詳細に調べた。この遺伝子は10エキソンからなり、オルターナティブなエキソン1がW組織中に見られた(図3)。これらのエキソンのうち1つのみにプロモーターが存在した(図3)。本発明者らは、複数のcDNA(MTC)パネルからプロモーター関連エキソンを含むPCR産物のみを同定することができた。このパネル由来のcDNAのさらなるエキソン特異的PCR増幅によって、いくつかの予期せぬバンド(図4)が組織中に見られた。オルターナティブなエキソンがエキソン2の内外で見られ、それはすべての組織にほぼ同じ濃度で存在した(図4a)。本発明者らは、エキソン4〜6を増幅したときに、さらに別のバンドを認めた。これらのバンドは、高度に組織特異的であり、肺及び末梢血白血球中に存在した(PBL)(図4b)。PBL画分を調べることによって、スプライスバリアントが不活性なCD4+、CD8+及びCD19+細胞中に存在するが、活性細胞中には存在しないことが判明した。スプライスバリアントバンドの配列を決定することによって、エキソン5と6の間に別のエキソンが存在することが明らかになった。これはプリマチュア終止コドンになった。エキソン7〜8の増幅によって、さらに、白血球に特異的なスプライスバリアントが見られた(図4c)。
【0248】
したがって、この証拠から、NY−REN−34の遺伝子がこの遺伝子座においてアトピーの原因になることが示された。この遺伝子は、LnIgE及びSTIに関連するピーク位置にあり、その配列相同性から、この遺伝子が調節因子として働き、IgE及びアレルギー応答の調節に関与することが知られている特定の組織において示差的にスプライスされることが示唆される。したがって、本発明者らは、NY−REN−34遺伝子をANGE(新アトピー遺伝子(atopy new gene))と命名した。
【0249】
細胞−細胞相互作用、炎症細胞の補充、炎症の化学伝達物質の放出、及びエフェクター機能を含めた疾患表現型に対するこれらの遺伝子の寄与を評価するために測定可能である多数の細胞タイプ及び表現型の読み出し(readout)がある。本発明者らは、細胞ベースのアッセイに対するモデル系としてB細胞系を主に用い、B細胞機能の主要な読み出しとしてIgEプロモーター活性を用いた。
【実験例4】
【0250】
CLLD8がANGEの近傍(約4Kb)にあり、ANGEがプロモーターのない選択的な第1のエキソンを有し、ANGEのノーザンブロットにおいて高分子量バンドが認められたことは興味深い。CLLD8−ANGEが単一の遺伝子産物を形成し得るかどうかを確認するために、胎盤のcDNA中のCLLD8エキソンとANGEエキソンのPCRを実施した。あるバンドが認められ、ドメイン構造CpGBD−PreSET−SET−PostSET−PHD−PHDを含む遺伝子の存在が示唆された。IL−5プロモーターREII領域結合タンパク質においても類似のドメイン構造が認められた(Garlisi,C.G.等 Am J Respir Cell Mol Biol 24、90〜98(2001))。
【0251】
13q14に関連する突然変異は、この遺伝子座にマップされた遺伝子のいずれにおいても確認されなかった。しかし、CLLD8/ANGEが選択的スプライシングによって単一の転写物を形成することが認められた(図9)ことから、この遺伝子がアトピーを引き起こしている可能性が示唆される。
【実験例5】
【0252】
哺乳動物細胞のエレクトロポレーション
以下は、IgEルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて用いられるエレクトロポレーションによるB細胞のトランスフェクションのためのプロトコルである。pcDNA4/HisMax−LacZをトランスフェクションした後にβ−ガラクトシダーゼ活性を測定することによって、これらのエレクトロポレーション条件をB細胞に対して最適化した。最適化実験に用いた諸条件を結果の項に示す。
【0253】
トランスフェクション前に、10%FCSを添加した新鮮なRPMI中でヒトバーキットリンパ腫細胞系DG−75(DSMZ)を24時間培養した。この細胞を、1000rpmで10分間遠心分離して回収し、冷RPMIで1回洗浄した。5×10個の細胞を冷RPMI400μlに再懸濁し、データを規格化してトランスフェクション効率の差を説明するために、pGL2レポーターベクター10μg、pcDNA4/HisMax発現ベクター10μg及びpRL−TK(Promega)1μgを含む0.4cm間隔のエレクトロポレーションキュベット(BioRad)に移した。Gene Pulser II Electroporator(Bio−Rad)を用いて室温で1000μF、250Vでパルスをかけた。トランスフェクション直後に、6ウェルプレート中の10%FCSを含む暖かいRPMI1mlに移した細胞に、10%FCSを含む暖かいRPMI600μlを添加した。この細胞を、ヒト組換えIL−4(Sigma)の存在下又は非存在下、37℃で最高24時間培養した。
【0254】
pcDNA4His/MaxLacZをトランスフェクトした細胞におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の測定
エレクトロポレーションから24時間後に、細胞溶解物におけるβ−ガラクトシダーゼ活性を測定することによって、B細胞のトランスフェクションをモニターした。細胞を遠心分離により回収し、PBSで2回洗浄し、レポーター溶解緩衝液(Promega)に再懸濁した。室温で15分間インキュベートした後、この溶解物を14,000rpmで10分間遠心分離し、その上清を、等体積の2X β−ガラクトシダーゼアッセイ緩衝液(200mMリン酸ナトリウムpH7.3、2mM MgCl、100mMβ−メルカプトエタノール、1.33mg/ml ONPG)に添加した。この反応物を、室温又は37℃で黄色になるまでインキュベートした。1M NaCO 1mlを添加し、すぐに420nmの吸光度を読んだ。
【0255】
pcDNA4His/MaxLacZトランスフェクト細胞のX−gal染色
遠心分離によりトランスフェクト細胞を回収し、PBS中で2回洗浄し、PBS希釈3.7%ホルムアルデヒドで室温で15分間固定した。PBSで3回洗浄後、この細胞を、X−gal溶液(0.2%X−gal、2mM MgCl、5mM KFe(CN)3HO、5mM KFe(CN))中、37℃で2〜16時間インキュベートした。
【0256】
二重ルシフェラーゼ(Dual Luciferase)アッセイ
トランスフェクト細胞懸濁液800μlを3000rpmで10分間遠心分離し、PBS 1mlで洗浄した。細胞沈殿物を受動溶解緩衝液50μlに再懸濁し、回転ホイール上で室温で20分間インキュベートした。この溶解物を14,000rpmで短時間遠心分離し、Dual−Luciferase Reporter System(Promega)を用いて製造者の指示に従って上清20μlにおける二重ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0257】
WST−1増殖アッセイ
U20S細胞を、ウェル当たり3×10個の細胞数で96ウェルプレートに播き、10%FCSを添加したDMEM中、37℃で24時間培養した。a項に記載したように、CLLD7、CLLD8、REN34又はANGEを発現するpcDNA4/HisMax300ng、及びOptimem20μ1に混合したFuGENE 6トランスフェクション試薬0.2μlを用いて、トランスフェクションを3回実施した。この細胞を24、48又は72時間培養した後、ウェル当たり10μlのWST−1細胞増殖試薬を添加した。37℃で1時間インキュベーションした後、450/690nmで吸光度を測定した。
【0258】
ヒストンメチルトランスフェラーゼアッセイ
SUV39H1(82−412)−GSTタンパク質(1mg/ml)10μgを、MAB(Regulation of chromatin structure by site specific Histone H3 methyltransferases、Rea等 Nature 406、593〜599、2000に記載のメチル化活性緩衝液。ただしTris−Cl pH8.0を使用)及び水中のビオチン化H3ペプチド(Upstate BiotechnologyのCOH末端上のビオチン標識を含むヒストンH3の始めの21アミノ酸)5μgに添加して最終体積を100μlとし、放射性基質として14C s−アデノシルメチオニン600nCi(22000Bq)を添加して、反応を開始した。これを30℃で90分間インキュベートした。PBSで洗浄したストレプトアビジンアガロースビーズ(Sigma)30〜50μlを、静かに撹拌しながら室温で30分間添加して、すべてのビオチン化H3ペプチドを結合させた。少なくとも10体積のPBSでビーズを洗浄し、低速(約5000rpm)で回転させ、アガロースビーズを除去しないように注意しながら上清を除去して水性廃液とすることによって、結合していない反応成分を除去した。次いで、このビーズをPBS100μlに再懸濁し、シンチレーション流体3mlに添加して、l4C標識メチル化H3ペプチドを数えた。
【0259】
Screening Methods for Modulators of Methyltransferase Activityが国際公開第01/94621号に開示されている。この特許のスクリーニング方法は、ネズミSUV39H2メチルトランスフェラーゼのモジュレーターに関係する。
【0260】
(国際公開第01/94621号の)Suv39h2 Mtase活性モジュレーターのスクリーニング
すべてのステップは自動化されており、試験した様々な化合物の位置は、後で参照するためにコンピュータに登録されている。活性調節用の試験化合物を、2組の384ウェルプレートに等分する。次いで、MAB緩衝液中の組換えGSTタグ付きヒトSUV39H2 20〜200nmolを反応物に添加する。次いで、ユーロピウムで標識した分枝ペプチド([TARKST]−K−K−cys)20nmolを添加し、その後S−アデノシルメチオニン100nmolを添加した。この反応物を室温で40分間放置し、次いでα−methH3−K9抗体をコートした第2のプレート上に移す。次いで、この反応物を室温で40分間放置して、抗体をメチル化基質に結合させる。メチル化基質を捕捉後、結合していない非メチル化基質を50mMトリスpH8.5で洗い流す。次いで、ユーロピウム標識を、pH4.5の促進溶液50μl中で25分間ペプチドから切断する。次いで、キレート化ユーロピウム分子を360nmで励起し、次いで、放射された蛍光の620nmにおけるレベルを、PolarStarプレートリーダーを用いて時間分解蛍光により計算する。この結果はその後自動的にグラフ化される。
【0261】
蛍光レベルは、MTase活性レベルと直接関係している。MTase活性に対する様々な化合物の効果は、化合物を添加していない又は酵素を添加していない対照の反応と比較して、グラフ上で明白に見ることができる。スクリーニング方法の原理は以下のとおりである。すなわち、
a)S−アデノシルメチオニン(SAM)及び発色標識した未変性ペプチド基質(例えば、分枝ペプチド[TARKST]4−K2−K−cys)とともにSuv39h2をインキュベートする。この基質は、メチル化された後、マイクロタイタープレート上に固定されたLys9メチル特異的抗体に対するエピトープになる。次いで、結合ペプチド量を発色標識からの蛍光レベルによって定量化することができる。
【0262】
b)モジュレーター(例えば、阻害剤、I)の存在下で、MTaseによるメチル基の移動が影響を受け(減少し)、これにより蛍光レベルによって定量される固定抗体に捕捉された基質の量が影響を受ける。阻害効果を有する化合物は蛍光シグナルの減少をもたらすが、阻害効果を有する化合物は蛍光シグナルの減少をもたらすが、促進効果を有する化合物は蛍光シグナルを増加させる。
【0263】
クロモドメインのない短縮されたSUV39H1(82−412)を、Jurkat cDNAライブラリからのPCRで増幅し、pGEX−2Tにクローン化した。短縮したタンパク質のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を放射アッセイによって確認した。
【0264】
細菌発現プラスミドへのcDNAのクローニング
遺伝子CLLD7、CLLD8及びANGEのすべてが、I.M.A.G.E.コンソーシアムクローン(consortium clone)から正常に増幅され、適切なベクターpET28a、pGEx4T及びpGEx6Pにクローン化された。
【0265】
哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現
CLLD7、CLLD8及びANGE 1の完全長cDNAを、B細胞における過剰発現の研究に使用するためにpcDNA4His/Maxプラスミド(Invitrogen)にクローン化した。トランスフェクションから24時間後に全細胞溶解物を調製し、抗ポリヒスチジンモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティングによって発現したタンパク質を検出した。ウェスタンブロットにおいて検出されたバンドは、組換えタンパク質に対してほぼ予想されたサイズ、すなわち、CLLD7、58kDa;CLLD8、82kDa;REN34、22kDa;ANGE、37kDaで泳動した(図11)。これは、pcDNA4His/Max構築物が機能的に働き、目的遺伝子を発現することを示している。ANGEを検出するためのExpress Epitope(Invitrogen)に対する抗体、並びにCLLD8及びANGEに対する特異的抗体を用いて、トランスフェクトCos−7細胞溶解物をプローブして、これらの結果を確認した。
【0266】
IgEレポーターアッセイ
ヒト生殖細胞系IgEプロモーターを、ルシフェラーゼレポーターベクターpGL−2 Basic(Promega)のフォワード及びリバースの両方向にクローン化した。ルシフェラーゼ遺伝子がSV40プロモーターの制御下にあるpGL−2 Control(Promega)を、ルシフェラーゼ活性の正の対照として用いた。トランスフェクション効率の差のためにデータを規格化する場合、pRL−TK(Promega)を細胞に同時トランスフェクトした。
【0267】
IgEプロモーター活性に対するCLLD7の過剰発現の効果を測定した。IgEレポーター構築物+/−pcDNA4−CLLD7を細胞に同時トランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後にルシフェラーゼ活性を測定し、IgEプロモーター活性をホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼ活性の比として表した。
【0268】
ヒストンメチルトランスフェラーゼアッセイ
ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)は、主に核において機能するが細胞質区画においてもある役割を有し得るクロマチン改変酵素である。したがって、HMTアッセイに使用するために、核及び細胞質抽出物をトランスフェクトCos7細胞から精製した。(アッセイにおいて正の対照として使用する)ヒトSUV39H1は、ヒストンH3のリジン9を特異的にメチル化するリジン特異的ヒストンメチルトランスフェラーゼである。H3のメチル化は、HP1タンパク質を補充してヘテロクロマチンを形成し、したがって、遺伝子制御/遺伝子サイレンシングに関与し得ることが示された(Rea等)。
【0269】
pcDNA CLLD8をトランスフェクトしたCos7細胞からの核抽出物のHMT活性を試験した。実験では、トランスフェクトされたCos細胞によって、トランスフェクトしていない対照よりもHMT活性が増加することが示された(図12参照)。
【実験例6】
【0270】
遺伝子の機能を変えるSNPを同定することは、疾患に関連することが知られているゲノム領域にSNPがあるときには重要である。この実施例では、プロモーター又はエンハンサーなどの推定遺伝子調節領域におけるSNPを機能的に有効にする一手法を記述する。これらのゲノム領域の正常機能が変わることによって、タンパク質レベルに影響を及ぼす可能性がある遺伝子の転写レベルが影響を受け、その結果、疾患状態に陥る。タンパク質が、SNPを含むDNAや含まないDNAに結合し得ることが、エレクトロモビリティーシフトアッセイ(EMSA)によって実証された。野生型及び突然変異DNAと比較したときのシフトパターン又は強度の変化は、転写因子の結合性が異なることを示している。この異なる効果によって、遺伝子の発現パターンが異なる可能性がある。
【0271】
試験されたSNP
CLLD7、CLLD8及びANGE遺伝子プロモーターの予測領域内にあるDB及びCelera SNPデータベースを使用したコンピュータ解析によって、4つのSNPが同定された。SNP、オリゴヌクレオチドプローブ及び転写因子結合部位候補を表7に示す。
【0272】
オリゴの標識
DNA標的を、SNPを含む相補オリゴ又はSNPを含まない相補オリゴの3’ビオチン末端標識によって産生し、次いで、ともにインキュベートし、アニーリングして二本鎖標的DNAを形成した。
【0273】
EMSA
表に示すように、二本鎖オリゴプローブ及び核抽出物の最適化を実施した。室温でインキュベーションした後、試料を5%ポリアクリルアミドゲルにかけ、バイオダインを充填したメンブレン上でエレクトロブロッティングし、LightShift化学発光EMSAキット(Pierce)を用いて製造者の指示に記載されたとおりにビオチン標識オリゴの位置を特定し、フィルム又はCCDカメラに暴露して視覚化した。
【0274】
結果
NR1オリゴ、hcv9873896、図13a
その結果、NR1の野生型及び突然変異オリゴに結合しているタンパク質に違いがあることが示された。突然変異オリゴとのDNA−タンパク質複合体の移動距離が増加した。これは、おそらく、突然変異オリゴに対する親和性が減少したためであり、タンパク質が解離し、核抽出物からの異なるタンパク質がDNAに結合することが可能である。
【0275】
NR2オリゴ、clld7x1a295t、図13b
野生型と突然変異の両方のオリゴに対してタンパク質−DNA複合体が形成されるが、両者にいかなる差異も見られなかった。
【0276】
NR3オリゴ、clld7prom1a351g、図13c
タンパク質がNR3野生型オリゴと結合した形跡はあったが、突然変異オリゴとの結合は検出されなかった。
【0277】
NR4オリゴ、clld8x1a384g、図13d
タンパク質に対して、野生型と突然変異の両方のオリゴによる極めて強い親和性があった。野生型オリゴと突然変異オリゴの親和性にいかなる差異も見られなかった。
【実験例6a】
【0278】
CLLD7、CLLD8及びANGEタンパク質が細胞に局在することを確認するために、本発明者らは、細胞にトランスフェクトされると組換えタンパク質を発現し得る哺乳動物の発現構築物を作製した。目的タンパク質とインフレームで融合したエピトープタグに特異的な抗体を用いることによって、細胞内のタンパク質の視覚化が可能になる。
【0279】
発現クローニング
完全長ESTクローンを用いたPCRによって、CLLD7(1590bp)、CLLD8(2157bp)及びANGE(993bp)のオープンリーディングフレームを作製し、そのPCR産物をpCDNA−His.Max−TOPO(Invitrogen)にクローン化した。
【0280】
orfのフレーム及び完全性を、挿入断片の二本鎖配列決定により確認した。プラスミド発現構築物をバルクで増殖させ、COS−7細胞のトランスフェクションができるように精製した。
【0281】
トランスフェクション及び分析
次いで、Fugeneトランスフェクション試薬(Roche)を用いて、各精製プラスミドクローンをCOS−7細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション前に、COS−7細胞を、24ウェルプレートにおいてウェル当たり0.5×10にてカバーガラス上で終夜培養した。次いで、カバーガラスを固定し、Xpress抗体(Invitrogen)で標識し、抗マウスCy3抗体を用いて検出した。免疫蛍光顕微鏡法(図14a、b、c)によりイメージを得た。
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【図面の簡単な説明】
【0283】
【図1】図1は、アトピー遺伝子座の連鎖不均衡マップを示している。
【0284】
a)アトピー遺伝子座の連鎖不均衡マップ
マーカー間の色でコードされた対応のある不均衡統計値(D’)をGOLDプロット28したものが示されている。遺伝子座は、図の左下から右上へと広がっている。赤と黄色は、強いLDの領域を表している。LDは、概ね、4つの領域に分割される。下のスケールバーは、200Kbの距離を表している。
【0285】
b)ANGE(NY−REN−34)遺伝子複合体周囲のLDの詳細
IgEレベルへの関連が、図の上に示されている。遺伝子は、転写の方向を向いた黒の矢印として示されている。下のスケールバーは、100Kbの距離を表している。
【図2】図2は、染色体13q14上に存在するSNP間の連鎖不均衡の程度を示している。
【図3a】図3aは、遺伝子ANGEの模式的構造を示している。
【図3b】図3bは、ANGEプロモーターと代替的エキソンの構造の詳細。
【図3c】図3cは、選択的エキソンIとエキソンIIIの間での増幅による転写物の堆積。
【図3c−1】図3cは、選択的エキソンIとエキソンIIIの間での増幅による転写物の堆積。
【図3c−2】図3cは、選択的エキソンIとエキソンIIIの間での増幅による転写物の堆積。
【図3c−3】図3cは、選択的エキソンIとエキソンIIIの間での増幅による転写物の堆積。
【図3c−4】図3cは、選択的エキソンIとエキソンIIIの間での増幅による転写物の堆積。
【図3d】図3dは、代替的エキソン1から免疫組織へのANGEの転写を示している。
【図4】図4は、ANGEにおけるスプライス変異を示している。
【0286】
a)複数の組織cDNA群におけるエキソン1−3のPCR増幅。エキソン2が存在しないことを示す小さめのバンドの存在が、全ての組織で観察される。
【0287】
b)多数の組織cDNA群におけるエキソン4−6のPCR増幅
さらなるエキソン(VaとVb)が保持されていることを示すバンドがさらに存在することが、肺及び免疫組織中で観察される。バンドは、非活性化リンパ球由来のcDNA中に存在し、活性化リンパ球中には存在しない。
【0288】
c)複数の組織cDNA群におけるエキソン7−8のPCR増幅
エキソン7の保持を示すバンドがさらに存在することが、肺、肝臓、腎臓、及び膵臓、及び免疫組織中に観察される。バンドは、休止しているT細胞とB細胞由来のcDNA中に最も高度に発現されている。
【図5−1】図5は、ヌクレオチド313649-346509としてANGE 1遺伝子(NY-REN-34)のヌクレオチド配列を、ヌクレオチド249727-309803としてCLLD8のヌクレオチド配列を、BAC bA103J18.03548のヌクレオチト゛349634-410846としてCLLDの配列を示している。
【図5−2】図5−1に同じ。
【図5−3】図5−1に同じ。
【図5−4】図5−1に同じ。
【図5−5】図5−1に同じ。
【図5−6】図5−1に同じ。
【図5−7】図5−1に同じ。
【図5−8】図5−1に同じ。
【図5−9】図5−1に同じ。
【図5−10】図5−1に同じ。
【図5−11】図5−1に同じ。
【図5−12】図5−1に同じ。
【図5−13】図5−1に同じ。
【図5−14】図5−1に同じ。
【図5−15】図5−1に同じ。
【図5−16】図5−1に同じ。
【図5−17】図5−1に同じ。
【図5−18】図5−1に同じ。
【図5−19】図5−1に同じ。
【図5−20】図5−1に同じ。
【図5−21】図5−1に同じ。
【図5−22】図5−1に同じ。
【図5−23】図5−1に同じ。
【図5−24】図5−1に同じ。
【図5−25】図5−1に同じ。
【図5−26】図5−1に同じ。
【図5−27】図5−1に同じ。
【図5−28】図5−1に同じ。
【図5−29】図5−1に同じ。
【図5−30】図5−1に同じ。
【図5−31】図5−1に同じ。
【図5−32】図5−1に同じ。
【図5−33】図5−1に同じ。
【図5−34】図5−1に同じ。
【図5−35】図5−1に同じ。
【図5−36】図5−1に同じ。
【図5−37】図5−1に同じ。
【図5−38】図5−1に同じ。
【図5−39】図5−1に同じ。
【図5−40】図5−1に同じ。
【図5−41】図5−1に同じ。
【図5−42】図5−1に同じ。
【図5−43】図5−1に同じ。
【図5−44】図5−1に同じ。
【図5−45】図5−1に同じ。
【図5−46】図5−1に同じ。
【図5−47】図5−1に同じ。
【図5−48】図5−1に同じ。
【図5−49】図5−1に同じ。
【図5−50】図5−1に同じ。
【図5−51】図5−1に同じ。
【図5−52】図5−1に同じ。
【図5−53】図5−1に同じ。
【図5−54】図5−1に同じ。
【図5−55】図5−1に同じ。
【図5−56】図5−1に同じ。
【図5−57】図5−1に同じ。
【図5−58】図5−1に同じ。
【図5−59】図5−1に同じ。
【図5−60】図5−1に同じ。
【図5−61】図5−1に同じ。
【図5−62】図5−1に同じ。
【図5−63】図5−1に同じ。
【図5−64】図5−1に同じ。
【図5−65】図5−1に同じ。
【図5−66】図5−1に同じ。
【図5−67】図5−1に同じ。
【図5−68】図5−1に同じ。
【図5−69】図5−1に同じ。
【図5−70】図5−1に同じ。
【図5−71】図5−1に同じ。
【図5−72】図5−1に同じ。
【図5−73】図5−1に同じ。
【図5−74】図5−1に同じ。
【図5−75】図5−1に同じ。
【図5−76】図5−1に同じ。
【図5−77】図5−1に同じ。
【図5−78】図5−1に同じ。
【図5−79】図5−1に同じ。
【図5−80】図5−1に同じ。
【図5−81】図5−1に同じ。
【図5−82】図5−1に同じ。
【図5−83】図5−1に同じ。
【図5−84】図5−1に同じ。
【図5−85】図5−1に同じ。
【図5−86】図5−1に同じ。
【図5−87】図5−1に同じ。
【図5−88】図5−1に同じ。
【図5−89】図5−1に同じ。
【図5−90】図5−1に同じ。
【図5−91】図5−1に同じ。
【図5−92】図5−1に同じ。
【図5−93】図5−1に同じ。
【図5−94】図5−1に同じ。
【図5−95】図5−1に同じ。
【図5−96】図5−1に同じ。
【図5−97】図5−1に同じ。
【図5−98】図5−1に同じ。
【図5−99】図5−1に同じ。
【図5−100】図5−1に同じ。
【図5−101】図5−1に同じ。
【図5−102】図5−1に同じ。
【図5−103】図5−1に同じ。
【図5−104】図5−1に同じ。
【図5−105】図5−1に同じ。
【図5−106】図5−1に同じ。
【図5−107】図5−1に同じ。
【図5−108】図5−1に同じ。
【図5−109】図5−1に同じ。
【図5−110】図5−1に同じ。
【図5−111】図5−1に同じ。
【図5−112】図5−1に同じ。
【図5−113】図5−1に同じ。
【図5−114】図5−1に同じ。
【図5−115】図5−1に同じ。
【図5−116】図5−1に同じ。
【図5−117】図5−1に同じ。
【図5−118】図5−1に同じ。
【図5−119】図5−1に同じ。
【図5−120】図5−1に同じ。
【図5−121】図5−1に同じ。
【図5−122】図5−1に同じ。
【図5−123】図5−1に同じ。
【図5−124】図5−1に同じ。
【図5−125】図5−1に同じ。
【図5−126】図5−1に同じ。
【図5−127】図5−1に同じ。
【図5−128】図5−1に同じ。
【図5−129】図5−1に同じ。
【図5−130】図5−1に同じ。
【図5−131】図5−1に同じ。
【図5−132】図5−1に同じ。
【図5−133】図5−1に同じ。
【図5−134】図5−1に同じ。
【図5−135】図5−1に同じ。
【図5−136】図5−1に同じ。
【図5−137】図5−1に同じ。
【図5−138】図5−1に同じ。
【図5−139】図5−1に同じ。
【図5−140】図5−1に同じ。
【図5−141】図5−1に同じ。
【図5−142】図5−1に同じ。
【図5a(i)】図5a(i)は、ANGE遺伝子について、エキソン配列を示している。
【図5a(ii)】図5a(ii)は、ANGE遺伝子について、タンパク質配列を示している。
【図5b(i)】図5b(i)は、NY−REN−34遺伝子について、mRNA配列を示している。
【図5b(ii)】図5b(ii)は、NY−REN−34遺伝子について、タンパク質配列を示している。
【図5b(iii)】図5b(iii)は、NY−REN−34遺伝子について、選択的タンパク質配列を示している。
【図5c(i)−1】図5c(i)CLLD7遺伝子について、エキソン配列を示している。
【図5c(i)−2】図5c(i)CLLD7遺伝子について、エキソン配列を示している。
【図5c(ii)】図5c(ii)CLLD7遺伝子について、タンパク質配列を示している。
【図5d(i)−1】図5d(i)は、CLLD8遺伝子について、エキソン構造と核酸配列を示している。
【図5d(i)−2】図5d(i)は、CLLD8遺伝子について、エキソン構造と核酸配列を示している。
【図5d(ii)】図5d(ii)は、CLLD8遺伝子について、タンパク質配列を示している。
【図6】図6は、BAC bA101d11.01116のヌクレオチド配列を示している。
【図7−1】図7は、BAC bA236m15.00303のヌクレオチド配列を示している。
【図7−2】図7−1に同じ。
【図7−3】図7−1に同じ。
【図7−4】図7−1に同じ。
【図7−5】図7−1に同じ。
【図7−6】図7−1に同じ。
【図7−7】図7−1に同じ。
【図7−8】図7−1に同じ。
【図7−9】図7−1に同じ。
【図7−10】図7−1に同じ。
【図7−11】図7−1に同じ。
【図7−12】図7−1に同じ。
【図7−13】図7−1に同じ。
【図7−14】図7−1に同じ。
【図7−15】図7−1に同じ。
【図7−16】図7−1に同じ。
【図7−17】図7−1に同じ。
【図7−18】図7−1に同じ。
【図7−19】図7−1に同じ。
【図7−20】図7−1に同じ。
【図7−21】図7−1に同じ。
【図7−22】図7−1に同じ。
【図7−23】図7−1に同じ。
【図7−24】図7−1に同じ。
【図7−25】図7−1に同じ。
【図7−26】図7−1に同じ。
【図7−27】図7−1に同じ。
【図7−28】図7−1に同じ。
【図7−29】図7−1に同じ。
【図7−30】図7−1に同じ。
【図7−31】図7−1に同じ。
【図7−32】図7−1に同じ。
【図7−33】図7−1に同じ。
【図7−34】図7−1に同じ。
【図7−35】図7−1に同じ。
【図7−36】図7−1に同じ。
【図7−37】図7−1に同じ。
【図7−38】図7−1に同じ。
【図7−39】図7−1に同じ。
【図7−40】図7−1に同じ。
【図7−41】図7−1に同じ。
【図7−42】図7−1に同じ。
【図7−43】図7−1に同じ。
【図7−44】図7−1に同じ。
【図7−45】図7−1に同じ。
【図7−46】図7−1に同じ。
【図7−47】図7−1に同じ。
【図7−48】図7−1に同じ。
【図7−49】図7−1に同じ。
【図7−50】図7−1に同じ。
【図7−51】図7−1に同じ。
【図7−52】図7−1に同じ。
【図7−53】図7−1に同じ。
【図7−54】図7−1に同じ。
【図7−55】図7−1に同じ。
【図7−56】図7−1に同じ。
【図7−57】図7−1に同じ。
【図7−58】図7−1に同じ。
【図7−59】図7−1に同じ。
【図7−60】図7−1に同じ。
【図7−61】図7−1に同じ。
【図7−62】図7−1に同じ。
【図7−63】図7−1に同じ。
【図7−64】図7−1に同じ。
【図7−65】図7−1に同じ。
【図7−66】図7−1に同じ。
【図7−67】図7−1に同じ。
【図7−68】図7−1に同じ。
【図7−69】図7−1に同じ。
【図7−70】図7−1に同じ。
【図7−71】図7−1に同じ。
【図7−72】図7−1に同じ。
【図7−73】図7−1に同じ。
【図7−74】図7−1に同じ。
【図7−75】図7−1に同じ。
【図7−76】図7−1に同じ。
【図7−77】図7−1に同じ。
【図7−78】図7−1に同じ。
【図7−79】図7−1に同じ。
【図7−80】図7−1に同じ。
【図7−81】図7−1に同じ。
【図7−82】図7−1に同じ。
【図7−83】図7−1に同じ。
【図7−84】図7−1に同じ。
【図7−85】図7−1に同じ。
【図7−86】図7−1に同じ。
【図7−87】図7−1に同じ。
【図7−88】図7−1に同じ。
【図7−89】図7−1に同じ。
【図7−90】図7−1に同じ。
【図7−91】図7−1に同じ。
【図7−92】図7−1に同じ。
【図7−93】図7−1に同じ。
【図7−94】図7−1に同じ。
【図7−95】図7−1に同じ。
【図7−96】図7−1に同じ。
【図7−97】図7−1に同じ。
【図7−98】図7−1に同じ。
【図7−99】図7−1に同じ。
【図7−100】図7−1に同じ。
【図7−101】図7−1に同じ。
【図7−102】図7−1に同じ。
【図7−103】図7−1に同じ。
【図7−104】図7−1に同じ。
【図7−105】図7−1に同じ。
【図7−106】図7−1に同じ。
【図7−107】図7−1に同じ。
【図7−108】図7−1に同じ。
【図7−109】図7−1に同じ。
【図7−110】図7−1に同じ。
【図7−111】図7−1に同じ。
【図7−112】図7−1に同じ。
【図7−113】図7−1に同じ。
【図7−114】図7−1に同じ。
【図7−115】図7−1に同じ。
【図7−116】図7−1に同じ。
【図7−117】図7−1に同じ。
【図7−118】図7−1に同じ。
【図7−119】図7−1に同じ。
【図7−120】図7−1に同じ。
【図7−121】図7−1に同じ。
【図7−122】図7−1に同じ。
【図7−123】図7−1に同じ。
【図7−124】図7−1に同じ。
【図7−125】図7−1に同じ。
【図7−126】図7−1に同じ。
【図7−127】図7−1に同じ。
【図7−128】図7−1に同じ。
【図7−129】図7−1に同じ。
【図7−130】図7−1に同じ。
【図7−131】図7−1に同じ。
【図8】図8は、概ね実物どおりに描かれたCLLD8、ANGE、及び関連タンパク質のドメイン構造を示している。
【0289】
タンパク質は、本文中に記載されている。CLLD8のSETドメインとESETは、大きな交差が存在するために、二股に分岐している。WHSC1/MMSET遺伝子46の中間イントロン内から始まるmRNAから生じるIL−5プロモーターREII領域結合タンパク質が示されている。
【0290】
ドメインの符号:AT、AT−フックDNA結合モチーフ;B、ブロモドメイン;C(黒地に白)、SETドメインに隣接するシステインに富む領域;C、FYRCドメイン;CHCH、ジンクフィンガードメイン;CpG、メチル−CpG結合ドメイン;CXXC、CXXC型ジンクフィンガー;HMG、高移動グループドメイン;N、FYRNドメイン;P、2つ(青い長方形)と1つ(黄色の長方形)のZn2+配位基を有するPHDドメイン;PW、PWWPドメイン;SET、Su(var)3−9、ゼストのエンハンサー、トリソラックスメチルトランスフェラーゼドメイン;T、tudorドメイン。
【図9】図9は、CLLD8/ANGE遺伝子複合体の同時発現を示している。
【図10】図10は、ANGE(NY−REN−34)及びCLLD8に対する遺伝子のノーザンブロットを示している。大きなバンドの存在とPBMC中での差異的スプライシングが明らかである。
【0291】
図は、同一ノーザンブロットの選択的プロービングを示している。ANGEについて予測される約1.6Kbの転写サイズが全ての組織中に見られる。3.0Kbのバンドが、リンパ節と胸腺に顕著であり、免疫組織中には、6.0と8.0Kbの間に、これより大きな多型性の分子量のバンドが見られる。CLLD8では、予想された4.0Kbのバンドが全ての組織に見られる。これより大きな分子量のバンドもさらに見ることができるが、それらの分布はANGEの場合と一致していない。
【図11】pcDNA4発現ベクターを一過性トランスフェクトした後のCos−7細胞溶離液のウェスタンブロット。
【0292】
1μgのpcDNA4His/MaxLacZのみ(レーン1)、又は1μgのpcDNA4His/MaxLacZと6μgのpcDNA4His/Max−CLLD7(レーン2)、6μgのpcDNA4His/Max−CLLD8(レーン3)、6μgのpcDNA4His/Max−REN34(レーン4)、及び6μgのpcDNA4His/Max−ANGE(レーン5)を3×10の細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトの24時間後に細胞を採集し、細胞全体の溶離液を10%のポリアクリルアミドゲル上に展開した。タンパク質をPVDF膜に転写し、抗ポリヒスチジン抗体でプローブした。
【図12】pcDNA CLLD8をトランスフェクトしたCos7細胞から得た核抽出物を用いたHMT放射能アッセイ。
【0293】
トランスフェクションの24又は48時間後に細胞を採集し、核抽出物のHMT活性を調べた。対照抽出物は、Fugeneのみで処理した。全てのCos7抽出物は、11μg総タンパク質に相当する。陽性対照=細菌のSUV39H1(82−412)10μg;陰性対照=タンパク質なし。
【図13−1】図13は、機能を有する可能性があるSNPを含有するそれぞれのDNAプローブを用いて得られた結果の例を示している。
【図13−2】図13は、機能を有する可能性があるSNPを含有するそれぞれのDNAプローブを用いて得られた結果の例を示している。
【図14】図14は、このような免疫分布実験の結果を示している。CLLD7(a)とANGE(b)は、細胞質に点状に分布しているのに対して、CLLD8(c)は、COS−7細胞の核に限局しているようである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ANGE mRNA配列を含む単離された核酸配列若しくは組換え核酸配列、若しくはそれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はそれらの断片。
【請求項2】
CLLD7 mRNA配列を含む単離された核酸配列若しくは組換え核酸配列、若しくはそれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はそれらの断片。
【請求項3】
CLLD8 mRNA配列およびANGE mRNA配列を含む単離された組換えハイブリッドmRNA配列、若しくはそれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列、又はそれらの断片。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の単離された核酸配列若しくは組換え核酸配列であって、前記配列がヒトポリペプチド若しくはそれに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列又はそれらの断片をコードする、核酸配列。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の単離された核酸配列若しくは組換え核酸配列であって、前記配列がマウスポリペプチド若しくはそれに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列又はそれらの断片をコードする、核酸配列。
【請求項6】
ANGE1のエキソンを1以上備えた、請求項1又は3に記載の単離された核酸配列若しくは組換え核酸配列、若しくはそれらに相補的な配列若しくは実質的に相同な配列又はそれらの断片。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の核酸配列中に単ヌクレオチド多型を有する単離された核酸配列又は組換え核酸配列。
【請求項8】
図5の配列1の一部を有し、且つ表1に列記されている図5の位置に対応する位置にSNPを1以上有する、請求項7に記載されている単離された核酸配列又は組換え核酸配列。
【請求項9】
図5の185752b4_2、185752b5_3、4321017b38_1位に対応する位置に、又は図5の4321031b43_1位に対応する位置に、SNPを有する単離された核酸配列又は組換え核酸配列。
【請求項10】
ストリンジェントな条件下で、請求項1乃至9の何れか1項の配列にハイブリダイズする単離された核酸配列又は組換え核酸配列。
【請求項11】
表1のSNPを有する対立遺伝子を識別することが可能である、請求項10に記載の単離された核酸配列又は組換え核酸配列。
【請求項12】
表4に記載されているプライマー配列。
【請求項13】
請求項1乃至11のうち何れか1項の単離された核酸配列を備えたベクターであって、請求項1乃至11の何れか1項の単離された核酸配列又は組換え核酸配列をインビトロ又はインビボで発現させることができるベクター。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか1項の単離された核酸配列又は組換え核酸配列によってコードされるポリペプチド配列若しくはそれらと実質的に相同な配列又はそれらの断片。
【請求項15】
前記ポリペプチドが翻訳後に修飾される、請求項14に記載のポリペプチド配列。
【請求項16】
前記ポリペプチドが分泌シグナルに作用可能に連結されている、請求項14又は請求項15に記載のポリペプチド配列。
【請求項17】
請求項14、15、又は16の何れか1項に記載のポリペプチド配列であって、前記ポリペプチドがヒスチジンタグを有するポリペプチド。
【請求項18】
前記ポリペプチドが担体に連結されている、請求項14乃至17の何れか1項に記載のポリペプチド。
【請求項19】
請求項14乃至18の何れか1項のポリペプチド又は請求項1乃至11の何れか1項の単離された核酸配列に対して特異的な抗体。
【請求項20】
前記抗体がキメラ抗体であるか、又はヒト化されており若しくは二機能性である、請求項19に記載の抗体。
【請求項21】
試料中に存在する請求項14乃至18の何れか1項のポリペプチドを検出又は測定するためのアッセイにおける、請求項19または20の抗体の使用。
【請求項22】
請求項1乃至11の何れか1項に記載された核酸配列を調製するための方法であって、連続するヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド残基を互いに連結することを備えた方法。
【請求項23】
請求項14乃至18の何れか1項に記載されたポリペプチドを調製するための方法であって、連続するアミノ酸及び/又はオリゴペプチド残基を互いに連結することを備えた方法。
【請求項24】
前記ポリペプチドが無細胞系で産生される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項13のベクターを備えた宿主細胞。
【請求項26】
請求項23のベクターを備えた宿主細胞であって、請求項14乃至18に記載されたポリペプチドを作製するための宿主細胞又は請求項14乃至18のポリペプチドの制御若しくは分析において使用するための宿主細胞。
【請求項27】
請求項13のベクターを備えたヒト以外のトランスジェニック動物。
【請求項28】
疾病をもたらす請求項1乃至11の何れか1項の単離された核酸配列を備える、ヒト以外のトランスジェニック動物。
【請求項29】
請求項1乃至11の何れか1項の単離された核酸配列を実質的に発現しない、ヒト以外のトランスジェニック動物。
【請求項30】
アトピーに対する被験体の素因若しくは感受性を診断若しくは測定する方法又は個体における疾病の重篤度を予測する方法であって、バリアント型のANGE若しくはCLLD7遺伝子、又はCLLD8およびANGE遺伝子、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの存在を測定することを備えた方法。
【請求項31】
ある個体がアトピー性であることを診断する方法であって、表1のSNPマーカーの1以上と関連し且つ前記マーカーと連鎖不均衡にある他の任意のSNPと必要に応じて関連する対立遺伝子の個体における有無を明らかにすることを備えた方法。
【請求項32】
疾病に対する素因を診断し、又は測定する方法であって、185752b4_2、185752b5_3、又は4321017b38_1位のSNPマーカーを有する対立遺伝子の有無を明らかにすることを備え、前記対立遺伝子が存在すれば、疾病又は疾病に対する素因があると診断される方法。
【請求項33】
異常な血清IgEレベルを有する個体を診断する方法であって、SNPマーカー185752b4_2と関連し且つ前記マーカーと連鎖不均衡にある他の任意のSNPと必要に応じて関連する対立遺伝子の個体における有無を明らかにすることを備えた方法。
【請求項34】
5mmを超えるSTIを個体が有することを診断する方法であって、SNPマーカー4321017b38_1と関連し且つ前記マーカーと連鎖不均衡にある他の任意のSNPと必要に応じて関連する対立遺伝子の個体における有無を明らかにすることを備えた方法。
【請求項35】
個体がアトピー性であると診断する方法であって、ハプロタイプ185752b4_2、185752b5_3、4321031b43_1と関連し且つこれらのマーカーのうち任意の1つと連鎖不均衡にある他の任意のSNPと必要に応じて関連する対立遺伝子の個体における有無を明らかにすることを備えた方法。
【請求項36】
請求項30乃至35の何れか1項に記載の方法であって、
(1)前記個体から適切な試料を準備することと、
(2)前記試料から核酸を調製することと、
(3)前記対立遺伝子の有無について前記核酸試料を分析することと、
を備えた方法。
【請求項37】
分析に先立って、前記SNPマーカーを含む領域を増幅する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項36又は37に記載の方法であって、前記SNPの何れかの側の領域に、ストリンジェントな条件下で、各々がハイブリダイズするプライマーの対を使用することを備えた方法。
【請求項39】
前記プライマーが表4に示されているオリゴヌクレオチド配列を含んでいる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
IgE媒介性疾患、アトピー、アトピー性疾患の一形態、若しくは非アトピー性喘息を診断する方法、又は疾病の重篤度若しくは疾病に対する素因を予測する方法において使用するための前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子のスプライスバリアント。
【請求項41】
アトピー、アトピー性疾患の一形態を診断する方法又は疾病の重篤度若しくは疾病に対する素因を予測する方法において使用するための診断剤の製造における、前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子のスプライスバリアントの使用。
【請求項42】
IgE媒介性疾患、アトピー、アトピー性疾患の一形態、若しくは非アトピー性喘息を診断する方法、又は疾病の重篤度を予測する方法において使用するための請求項41のスプライスバリアントを備えたキットであって、個体における前記スプライスバリアントの有無を測定することを備えたキット。
【請求項43】
2以上のスプライスバリアントをアレーの形態で又はチップ上に備えた、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8及びANGE遺伝子の活性を阻害又は増強する物質のスクリーニングにおける、図5に示されているポリヌクレオチド配列の使用。
【請求項45】
表1のリスク対立遺伝子の有無を測定する手段を備えた疾病又は疾病に対する素因を診断するためのキットであって、前記リスク対立遺伝子が疾病若しくは疾病に対する素因又は疾病の重篤度の診断指標となるキット。
【請求項46】
請求項7乃至11の何れか1項に記載の多型を有する1以上のリスク対立遺伝子の有無を測定するための手段を備えた請求項45に記載のキット。
【請求項47】
疾病を治療するための化合物を同定する方法であって、(a)表1に列記されている位置にSNPを有する単離された核酸分子を含む組織に化合物を投与することと、(b)前記化合物が前記SNPの下流効果をモジュレートするかどうかを測定することを備えた方法。
【請求項48】
喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎又は非アトピー性喘息等のIgE媒介性疾患の予防又は治療に使用するための物質又は抗体。
【請求項49】
喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎又は非アトピー性喘息等のIgE媒介性疾患の予防又は治療に使用するための医薬の製造における物質の使用。
【請求項50】
請求項1乃至11の何れか1項に記載された核酸又は請求項14乃至18の何れか1項に記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項51】
請求項19又は20の何れか1項に記載された抗体を含む薬学的組成物。
【請求項52】
被験体の疾病を予防又は治療する方法であって、前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの前記被験体における活性、発現、半減期、又は翻訳後修飾をモジュレートすることを備えた方法。
【請求項53】
前記疾病が、喘息、アトピー、花粉症、湿疹、アトピー性皮膚炎、又はアレルギー性鼻炎又は非アトピー性喘息等のIgE媒介性疾患である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
請求項52又は53に記載された疾病を治療又は予防する方法であって、185752b4_2、18575b5_3、43210b43_1位、又は4321017b38_1位にSNPマーカーを有するリスク対立遺伝子の有無を測定することを備え、リスク対立遺伝子が存在すれば、前記疾病を予防、遅延、又は軽減させるために治療を施す方法。
【請求項55】
前記発病対立遺伝子の効果をモジュレートすることができる物質を被験体に投与することを備えた、請求項52乃至54の何れか1項に記載された方法。
【請求項56】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子の発現に影響を与えることができる物質であって、個体のIgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息を予防又は治療する方法において使用するための物質。
【請求項57】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子プロモータ又は前記CLLD8およびANGE遺伝子プロモーターの活性に影響を与えることができる請求項56に記載の物質。
【請求項58】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子のRNAスプライシングに影響を与えることができる、請求項56又は57に記載の物質。
【請求項59】
IgE媒介性疾患又は非アトピー性喘息の予防又は治療で使用するための医薬の製造における、請求項56乃至58の何れか1項に記載された物質の使用。
【請求項60】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子、又は任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項14乃至18の何れか1項に記載されたポリペプチド配列を準備することと、
基質を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記基質の加工を測定することによって前記検査すべき物質が前記ポリペプチドの活性をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたスクリーニング。
【請求項61】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子又は前記CLLD8およびANGE遺伝子、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項14乃至18の何れか1項に記載されたポリペプチド配列を準備することと、
細胞を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記細胞の表面への接着を測定することによって前記検査すべき物質が前記ポリペプチドの活性をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたスクリーニング。
【請求項62】
前記表面がさらに別の細胞の表面である、請求項61に記載のスクリーニング。
【請求項63】
請求項61又は62の何れか1項に記載のスクリーニングであって、前記表面が非生物分子であるスクリーニング。
【請求項64】
請求項61乃至63の何れか1項に記載のスクリーニングであって、前記表面が生物分子であるスクリーニング。
【請求項65】
請求項61乃至64の何れか1項に記載のスクリーニングであって、前記1以上の細胞が固定化されているスクリーニング。
【請求項66】
請求項61乃至65の何れか1項に記載のスクリーニングであって、前記1以上の細胞がB−リンパ球であるスクリーニング。
【請求項67】
前記細胞のうち1以上が、請求項13のベクターをトランスフェクトされた細胞であるか又は請求項25若しくは26の宿主細胞である、請求項61乃至66の何れか1項に記載されたスクリーニング。
【請求項68】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子の活性、又は前記CLLD8およびANGE遺伝子の活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項14乃至18の何れか1項に記載のポリペプチドを準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
細胞を準備することと、
前記細胞の分化又は増殖の変化を測定することと、
を備えたスクリーニング。
【請求項69】
前記細胞が、請求項14乃至18の何れか1項に記載のポリペプチドを1以上発現している、請求項68に記載のスクリーニング。
【請求項70】
細胞の分化の変化が細胞シグナル伝達因子の発現の変化を伴う、請求項68又は69に記載のスクリーニング。
【請求項71】
前記細胞シグナル伝達因子が免疫調節物質又はペプチド制御因子である、請求項70に記載のスクリーニング。
【請求項72】
請求項68乃至71の何れか1項に記載のスクリーニングであって、患者又は実験動物から採取された後に前記細胞が培養されるスクリーニング。
【請求項73】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子の活性、又は前記CLLD8およびANGE遺伝子の活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項25又は26に記載のトランスジェニック動物を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
検査すべき前記物質に前記トランスジェニック動物を接触させることと、
前記トランスジェニック動物の表現型の変化を検出することと、
を備えたスクリーニング。
【請求項74】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子の活性、又は前記CLLD8およびANGE遺伝子の活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質の使用に伴う副作用を検出するためのスクリーニングであって、
請求項14乃至18の何れか1項に記載されたポリペプチド配列を実質的に発現していない細胞を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記検査すべき物質を前記細胞と接触させることと、
前記物質によって前記細胞にもたらされた何らかの副作用を測定することと、を備えた方法。
【請求項75】
前記副作用が細胞分化の変化を伴う、請求項74に記載のスクリーニング。
【請求項76】
前記副作用が細胞増殖の変化を伴う、請求項74に記載のスクリーニング。
【請求項77】
請求項74乃至76の何れか1項に記載のスクリーニングであって、前記細胞がトランスジェニック動物の一部であるスクリーニング。
【請求項78】
請求項74乃至77の何れか1項に記載のスクリーニングであって、前記副作用が表現型の変化の計測であるスクリーニング。
【請求項79】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子の活性、又は前記CLLD8およびANGE遺伝子の活性、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項1乃至11の何れか1項に記載の単離された核酸配列を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記物質と前記核酸の試料との相互作用を測定することによって前記検査すべき物質が前記単離された核酸の活性をモジュレートするかを測定することと、
を備えた方法。
【請求項80】
請求項79に記載のスクリーニングであって、該スクリーニングが、前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子、又は前記CLLD8およびANGE遺伝子、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの転写を測定するインビトロ転写アッセイであるスクリーニング。
【請求項81】
前記ANGE若しくはCLLD7遺伝子、又は前記CLLD8およびANGE遺伝子、又は前記遺伝子の任意のスプライスバリアントの活性をモジュレートする物質のスクリーニングにおける、請求項1乃至11の何れか1項に記載された核酸配列又は請求項14乃至18の何れか1項に記載されたポリペプチド配列の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3c−1】
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【図3c−2】
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【図3c−3】
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【図3c−4】
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【図3d】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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【図5−8】
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【図5−9】
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【図5−10】
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【図5−11】
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【図5−12】
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【図5−13】
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【図5−14】
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【図5−15】
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【図5−16】
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【図5−17】
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【図5−18】
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【図5−19】
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【図5−20】
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【図5−21】
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【図5−22】
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【図5−23】
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【図5−24】
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【図5−25】
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【図5−26】
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【図5−27】
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【図5−28】
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【図5−29】
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【図5−30】
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【図5−31】
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【図5−32】
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【図5−33】
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【図5−34】
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【図5−35】
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【図5−36】
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【図5−37】
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【図5−38】
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【図5−39】
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【図5−40】
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【図5−41】
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【図5−42】
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【図5−43】
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【図5−44】
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【図5−45】
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【図5−46】
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【図5−47】
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【図5−48】
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【図5−49】
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【図5−50】
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【図5−51】
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【図5−52】
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【図5−53】
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【図5−55】
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【図5−56】
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【図5−57】
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【図5−60】
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【図5−61】
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【図5−62】
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【図5−63】
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【図5−64】
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【図5−65】
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【図5−66】
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【図5−67】
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【図5−68】
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【図5−69】
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【図5−70】
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【図5−71】
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【図5−72】
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【図5−73】
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【図5−74】
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【図5−75】
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【図5−76】
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【図5−80】
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【図5−81】
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【図5−82】
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【図5−83】
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【図5−84】
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【図5−85】
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【図5−88】
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【図5−89】
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【図5−90】
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【図5−91】
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【図5−92】
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【図5−93】
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【図5−94】
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【図5−95】
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【図5−96】
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【図5−97】
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【図5−98】
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【図5−99】
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【図5−100】
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【図5−101】
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【図5−102】
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【図5−103】
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【図5−104】
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【図5−105】
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【図5−106】
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【図5−107】
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【図5−108】
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【図5−109】
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【図5−110】
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【図5−111】
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【図5−112】
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【図5−113】
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【図5−114】
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【図5−115】
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【図5−116】
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【図5−117】
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【図5−118】
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【図5−119】
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【図5−120】
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【図5−121】
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【図5−122】
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【図5−123】
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【図5−124】
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【図5−125】
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【図5−126】
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【図5−127】
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【図5−128】
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【図5−129】
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【図5−130】
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【図5−132】
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【図5−133】
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【図5−136】
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【図5−137】
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【図5−140】
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【図5−141】
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【図5−142】
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【図5a(i)】
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【図5a(ii)】
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【図5b(i)】
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【図5b(ii)】
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【図5b(iii)】
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【図5c(i)−1】
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【図5c(i)−2】
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【図5c(ii)】
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【図5d(i)−1】
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【図5d(i)−2】
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【図5d(ii)】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図7−7】
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【図7−8】
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【図7−9】
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【図7−10】
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【図7−15】
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【図7−20】
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【図7−22】
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【図7−23】
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【図7−24】
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【図7−25】
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【図7−26】
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【図7−30】
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【図7−31】
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【図7−34】
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【図7−37】
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【図7−40】
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【図7−50】
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【図7−53】
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【図7−55】
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【図7−56】
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【図7−57】
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【図7−58】
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【図7−59】
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【図7−60】
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【図7−61】
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【図7−64】
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【図7−65】
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【図7−66】
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【図7−70】
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【図7−74】
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【図7−75】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−81547(P2006−81547A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259177(P2005−259177)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【分割の表示】特願2003−507130(P2003−507130)の分割
【原出願日】平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願人】(591182787)イシス・イノベイション・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ISIS INNOVATION LIMITED
【Fターム(参考)】