説明

アミドメチル置換1−(カルボキシアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ−ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体、これらを製造するための方法および中間生成物およびこれら化合物を含有する医薬

式I(式中、置換基R、R、RおよびRは明細書中に記載の意味を有する)の、中性エンドペプチダーゼ(NEP)および/またはヒト可溶性エンドペプチダーゼ(hSEP)阻害活性を有する新規化合物およびこの化合物を含有する医薬に関し、この場合、この医薬は特に心臓血管障害、性的機能不全および/またはアポトーシスと関連する悪状態の予防および/または治療に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アミドメチル−置換1−(カルボキシアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ−ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体に関し、この場合、これらは、たとえば、心臓血管系症状または疾病、たとえば心不全、特に鬱血性心疾患、高血圧、この場合、これは、高血圧の二次的形態、たとえば本態性高血圧、腎性高血圧および/または肺性高血圧を含む、の予防および/または治療、性機能障害の予防および/または治療、および/またはアポトーシスと関連する負の作用の予防および/または治療に有用であり、さらにこれらを含有する医薬に関する。加えて、本発明は、新規アミドメチル−置換ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体の製造方法およびこの方法の中間生成物に関する。
【0002】
性機能障害(SD)は、男性および女性の双方において影響しうる極めて臨床的な問題である。SDの原因は、身体的および心理的原因の双方でありうる。SDの身体的要因としては、典型的には、血管障害、たとえば高血圧または糖尿病に伴う血管障害、薬物療法および/または精神疾病、たとえばうつ病に起因して生じうる。心理的要因としては、不安、機能的懸念および個人間の問題を含む。SDは、性的能力を損ない、自尊心を低下させ、かつ、人間関係を破壊することにより個人的苦痛を誘導する。
【0003】
アポトーシスは、発生過程における形態発生および組織形成、恒常性の維持および生体防御と密接に関連するものであって、個々の生命維持における重要な役割を有する細胞死である。遺伝子により調整される死のプロセスが、先天的または後天的に阻害される場合には、アポトーシスは排他的に誘導または阻害され、種々の器官における機能疾患を生じさせ、それによる疾病が生じる。アポトーシス阻害活性を示す薬剤は、アポトーシス促進による介在が考えられる疾病の予防および治療のための薬剤として使用することができる。
【0004】
酵素中性エンドペプチダーゼ(=NEP)の顕著な阻害活性を有する心臓血管活性ベンズアゼピン−、ベンズオキサゼピン−およびベンゾチアゼピン−N−酢酸誘導体は、すでに、EP0733642A1(=US5677297)から公知である。さらに、ここで記載された化合物も、エンドセリン−変換酵素(=ECE)を阻害するより性質をわずかに有している。EP0733642A1の範囲内に包含される化合物の、他の好ましい製薬学的性質については、EP0830863A1(=US578353)、WO00/48601A1(=US6482820)およびWO01/03699A1(=US−2003−0040512−A1)から公知である。
【0005】
NEPとECE上の組み合わされた阻害作用を有する、リン酸置換ベンズアゼピノン−N−酢酸誘導体は、EP0916679A1(=US5952327)に記載されている。
【0006】
医薬製剤は、WO02/094176A2から公知であり、この場合、これらは、メタロプロテアーゼ酵素NEPおよびIGS5を阻害する遊離な組合せ作用を有する化合物を含むものであって、かつ特に、心臓血管活性作用を有するものである。このような組合せ製剤のための適した化合物は、さらにEP0733642A1およびEP0916679A1に包含される化合物である。この発明の内容から理解されるように酵素IGS5およびその心臓血管疾病と関連する生理学的役割は、WO01/36610A1から当業者に公知である。前記酵素IGS5は、「ヒト可溶性エンドペプチダーゼ(=hSEP)」としても公知である。
【0007】
WO99/55726A1から、ECEの一定のチオール阻害は、特に、勃起不全の治療または抑制のために有用であることが知られている。
【0008】
EP1097719A1は、女性の性的機能不全(=FSD)を治療するためのNEPインヒビターの使用を開示している。
【0009】
刊行物WO02/06492A1は、特に可溶性分泌エンドペプチダーゼ(=SEP)活性を有する特定のポリペプチドに対する抗体およびインヒビターを開示している。
【0010】
特許出願US20030045449では、マトリックス−メタロプロテアーゼインヒビターが、神経変性障害の治療に有用であることが記載されている。この発明に付随する問題点は、第1に、マトリックス−メタロプロテアーゼインヒビターが、プロテアーゼインヒビターの広範囲の群を含むこと、第2には、この出願によれば、このメタロプロテアーゼは、さらにN−NOSインヒビターを含有する製薬学的組成物中で使用されるべきであることである。
【0011】
公開された特許出願US2002/0013307では、認知機能障害を治療するかまたはその進行を遅延させるため、および痴呆を治療および/または予防するための、バソペプチダーゼ(vasopeptidase)の使用を教示している。
【0012】
M.Sumitomo ら(Clinical Cancer Research 10 (2004) 260-266)では、NEPでのアンドロゲン−非依存型前立腺ガンの化学的感受性が記載されている。
【0013】
本発明の対象は、酵素NEP、hSEPおよびECEを阻害する組み合わされた作用プロフィールを有する新規活性物質を提供することであり、この場合、これらは、特に、心臓血管症状または疾病、特に心不全、特に鬱血性心不全、高血圧、この場合、これらは高血圧の二次的形態、たとえば本態性高血圧、腎性高血圧および/または肺性高血圧を含む、の予防および/または治療、性的機能不全の治療および/または予防、および/または、アポトーシスに関連する負の作用の予防および/また治療に適している。
【0014】
驚くべきことに、新規アミドメチル−置換1−(カルボキシアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ−ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体の本発明による群が、酵素NEPおよびhSEPならびに一定の範囲でさらにECEを阻害する作用プロフィールによって特徴付けられ、したがって、心臓血管疾病または症状、特に心不全、特に鬱血性心不全、高血圧、この場合、これらは、高血圧の二次的形態、たとえば本態性高血圧、腎性高圧血および/または肺性高血圧を含む、の予防および/または治療、性的機能不全の予防および/または治療、および/または、アポトーシスに関連する負の作用の予防および/または治療に適していることが見いだされた。
【0015】
本発明の対象は、一般式I
【0016】
【化1】

[式中、Rは水素または生体反応活性(biolabile)エステルを形成する群であり、Rは、水素、C〜C−アルキルまたはC〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基でエステル化されており、かつ、
はC〜C−アルキル;C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、これは、場合によっては、第2のヒドロキシル基により置換されており、かつ、このヒドロキシル基はそれぞれ、場合によってはC−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されているものであって;(C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル;C〜C−シクロアルキル;C−シクロアルキル−C〜C−アルキル;フェニル−C−アルキル、この場合、このフェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって;ナフチル−C〜C−アルキル;C〜C−オキソアルキル;フェニルカルボニルメチル、この場合、このフェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって、あるいは、2−オキソアゼパニルであるか、あるいは、
およびRは一緒になって、C〜C−アルキレンであり、この場合、このメチレン基は、場合によってはカルボニル、窒素、酸素および/または硫黄によって1〜2回置換されており、かつ、場合によってはヒドロキシによって1回置換されており、この場合、これは、場合によっては、C〜C−アルカノニルまたはアミノ酸基によってエステル化されており;C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、このヒドロキシル基は、場合によっては、C〜C−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されており;フェニルまたはベンジルであり、かつ、
は水素または生体反応活性エステルを形成する基である]の新規アミドメチル−置換1−(カルボキシアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ−ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体および式Iの酸の生理学的認容性の塩および式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩である。さらに、本発明の対象は、式Iの化合物を含有する医薬である。さらに、本発明は式Iの化合物を製造するための方法およびこの方法の中間生成物である。
【0017】
本発明の内容の範囲内で記載された式Iの化合物または他の化合物において、置換基がC〜C−アルキルであるか、あるいはこれを含む場合には、これらはそれぞれ直鎖または分枝であってもよい。その際、式Iの化合物の置換基は、水素、フッ素、塩素または臭素が適している。好ましくは塩素である。置換基がC〜C−アルカノイルを含有する場合には、これは直鎖または分枝であってもよい。C〜C−アルカノイルとしてはアセチルが好ましい。
【0018】
式Iの化合物中において、ヒドロキシル基がアミノ酸残基でエステル化されている場合には、これらのアミノ酸残基は、天然または非天然由来のものであってもよく、α−またはβ−アミノ酸であってもよい。使用可能な適したアミノ酸は、たとえば、アラニン、22−アミノヘキサン酸(=ノルロイシン)、2−アミノペンタン酸(=ノルバリン)、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン(=ドーパ)、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン(=2,5−ジアミノ吉草酸)、5−オキソ−2−ピロリジンカルボン酸(=ピログルタミン酸)、フェニルアラミン、プロリン、セリン、トレオニン、トリロニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンから成る群から選択されるものであってもよい。好ましくは、アラニン、アスパラギン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリンおよびバリンから誘導されるアミノ酸である。
【0019】
式Iの化合物は、場合により、生体反応活性エステルを形成する基でエステル化されたジカルボン酸誘導体を示す。式Iの生体反応活性のエステルは、一般に、遊離酸の投与可能な前駆体(=プロドラック)を示す。その後に、式Iの化合物のモノエステルまたはジエステルが生じてもよい。投与形に依存して、生体反応活性エステルまたは遊離酸が好ましく、その際、遊離酸は、特に静脈内投与(=i.v.)に適している。
【0020】
in vivoでの生理学的条件下で分離(cleaved)され、式Iの化合物の生物学的認容性の誘導体を放出する基が、生体反応活性エステルを形成する基RおよびRとして適している。この適した例は、C〜C−アルキル基、特にメチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルであり;C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル基、特にメチルエトキシメチル;C〜C−シクロアルキル基、特にシクロヘキシル;C〜C−シクロアルキル−C〜C−アルキル基、特にシクロプロピルメチル;N,N−ジ−(C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル基;フェニルまたはフェニル−C〜C−アルキル基であり、この場合、これらは、場合によってはフェニル環中で、ハロゲン、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルコキシまたは2個の隣接する炭素原子と結合したC〜C−アルキレン鎖によって1回または2回置換されていてもよく;ジオキソラニルメチル基、この場合、これらは、場合によってはジオキソラン環中で、C〜C−アルキルによって置換されていてもよく;C〜C−アルカノイルオキシ−C〜C−アルキル基、この場合、これらは、場合によってはオキシ−C〜C−アルキル基で、C〜C−アルキルによって置換されていてもよく;二重エステル、たとえば1−[[(C〜C−アルキル)カルボニル]オキシ]C〜C−アルキルエステル、たとえば、(RS)−1−[[(イソプロピル)カルボニル]オキシ]エチルまたは(RS)−1−[[(エチル)カルボニル]オキシ]−2−メチルプロピル(たとえば、製造に関しては、F.W. Sum et al., Bioorg. Med. Chem. Lett 9 (1999)1921-1926またはY.Yoshimura et al., The Journal of Antibiotics 39/9 (1986) 1329-1342);カルボネートエステル、たとえば1−[[(C〜C−シクロアルキルオキシ)カルボニル]オキシ]C〜C−アルキルエステル、好ましくは(RS)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチル(=cliexetil;たとえば、K.Kubo et al., J. Med Chem. 36 (1993)2343-2349, 以下、「Kuboら」とする)または2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル−C〜C−アルキルエステル、この場合、これらは、場合によってはジオキソラン環中に二重結合を含有し、好ましくは5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル−メチル(=medoxomil、製造に関しては、Kuboら参照)または2−オキソ−1、3−ジオキソラン−4−イル−メチル(=(メチル)エチレン−カルボネート)である。生体反応活性エステルを形成する基が、場合により置換されたフェニル−C〜C−アルキル基である場合には、これは1〜3個、好ましくは1個の炭素原子を有するアルキレン鎖を含有していてもよく、かつ好ましくは、場合によっては置換されたベンジル、特に2−クロロベンジルまたは4−クロロベンジルを示す。生体反応活性エステルを形成する基が、場合によっては置換されたフェニル基である場合には、このフェニル環は、低級アルキレン鎖によって置換されており、この場合、これらは3〜4個、好ましくは3個の炭素原子を有していてもよく、かつ特にインダニルであってもよい。生体反応活性エステルを形成する基が、場合によっては置換されたC〜C−アルカノイルオキシ−C〜C−アルキル基を示す場合には、C〜C−アルカノイル基は、直鎖または分枝であってもよい。
【0021】
は好ましくは水素、エチル、メトキシエトキシメチル、(RS)−1−[[(イソプロピル)カルボニル]オキシ]エチル、(RS)−1−[[(エチル)カルボニル]オキシ]−2−メチルプロピル、(RS)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチル、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオソレン−4−イル−メチル、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルまたは(RS)−1−[[(エトキシ)カルボニル]オキシ]エチルの意味を有する。
【0022】
は好ましくは水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたは3−ヒドロキシプロピルを意味し、この場合、それぞれのヒドロキシル基は、場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基でエステル化されている。
【0023】
が(C〜C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキルの意味を有する場合には、1個または2個のC〜C−アルキル基は互いに別個に存在していてもよい。より好ましくは、“(C〜C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル”は、“(C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル”、“(C)(C〜C)−アルキル−アミノ−C〜C−アルキル”および“(C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル”の意味を含む。“(C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル”は、C〜C−アルキ(レン)と結合した非置換の第1(=NH)アミノ基を呼称するものとされ;“(C)(C〜C)−アルキルアミノ−C〜C−アルキル”は、C〜C−アルキルによってモノ置換され、かつC〜C−アルキル(レン)と結合する第二級アミノ基を示すものとされ;“(C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル”は、(C〜C)−アルキルによってジ−置換され、かつC〜C−アルキル(−アルキレン)と結合する第3級アミノ基を示すものとされる。Rは好ましくはイソプロピル;メトキシエチル;2−ヒドロキシエチルまたは3−ヒドロキシプロピルの意味を有し、この場合、それぞれヒドロキシ基は、場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されており;3−アセチルオキシ−n−プロピル;シクロプロピルメチル;2−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル;4−メトキシフェニルエチル;2,4−ジメトキシベンジル;1−ナフチルメチル;3−オキソ−1,1−ジメチルブチル;フェニル−2−オキソエチル;2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル;3−(2−オキソアゼパニル);(C〜C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル、特にジメチルアミノ−n−プロピル、(メチル)アミノ−エチル、アミノ−n−プロピル、アミノ−n−ブチルまたはアミノ−n−ペンチルである。
【0024】
およびRが一緒になって、C〜C−アルキレンである場合には、これらのメチレン基は、場合によっては代えられた(replace)かまたは場合によっては置換され、場合によってはそれぞれの場合においてモルホリン;ピペリジン;4−ケトピペリジン;4−ヒドロキシピペリジン、この場合、場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ残基によってヒドロキシル基でエステル化されているものであって;ピペラジンまたはピロリジンが好ましい。
【0025】
は好ましくは、水素、C〜C−アルキル、p−メトキシベンジル、N,N−ジ−(C〜C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル、(RS)−1−[[(イソプロピル)カルボニル]オキシ]エチル、(RS)−1−[[(エチル)カルボニル]オキシ]−2−メチルプロピル、(RS)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチル、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル−メチル、2−オキソ−1,3−ジオキシラン−4−イル−メチルまたは(RS)−1−[[(エトキシ)カルボニル]オキシ]−エチルの意味を有する。
【0026】
式Iの特に好ましい化合物が、以下の群から選択される。
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸(32);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(ジメチルアミノ)−4−オキソ酪酸(54);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(ジエチルアミノ)−4−オキソ酪酸(55);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸(43);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸(56);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−4−オキソ酪酸(57);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ−4−[4−(L−バリルオキシ)ピペリジン−1−イル)−酪酸(68);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ酪酸(66);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)酪酸(45);
4−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸(58);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−{エチル[3−(エチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−オキソ酪酸(52);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸(59);
4−[(3−アミノプロピル)(エチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸(67)、
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−{メチル[2−(メチルアミノ)エチル]アミノ}−4−オキソ酪酸(68);
4−[(4−アミノブチル)(メチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸(75);
4−[(4−アミノブチル)(エチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸(76);
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−オキソ酪酸(77)および
4−[(5−アミノペンチル)(メチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸(78)、
ならびにこれらの生体反応活性エステルおよび式Iの化合物の酸の生理学的認容性の塩および/または式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩である。
【0027】
本発明によれば、式Iの新規化合物およびその塩は、一般式II
【0028】
【化2】

[式中、R101およびR401は、それぞれ互いに独立して、それぞれ酸保護基である]の化合物と、一般式III
【0029】
【化3】

[式中、RおよびRは前記意味を有し、
および/またはRは遊離ヒドロキシル基を含有する]の化合物を反応させ、好ましい場合には、これらを一般式IV
【0030】
【化4】

[式中、Xが脱離基である]と反応させるか、あるいは適した保護基によって保護されたアミノ酸誘導体と反応させることによって得られ、
その際、R101および/またはR401が、生体反応活性エステルを形成する好ましい基を示さないか、および/またはRおよび/またはRが、保護基を任意の存在するアミノ酸残基中に含有する場合には、これらを得られた化合物中で引き続いて同時にかまたは別個に任意の順序で分離除去し、かつ望ましい場合には、それぞれの場合において分離された酸画分を生体反応活性エステル基に変換し、かつ、好ましい場合には得られた式Iの酸を、これらの生理学的認容性の塩に変換するか、あるいは、式Iの酸の塩を式Iの遊離酸に変換するか、および/または、式Iの塩基をその酸付加塩に変換するか、あるいは、酸付加塩を式Iの遊離塩基に変換する。
【0031】
式Iの酸の適した生理学的認容性の塩は、それぞれの場合において、これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩、たとえばこれらのナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩、生理学的認容性の、薬理学的に中性の、アミン、たとえばアンモニア、ジエチルアミン、tert.ブチルアミン、N−メチルグルカミン、コリンまたはアミノ酸、たとえばアルギニンとの有機性の塩である。式Iの化合物において、置換基Rおよび/またはRは、塩基性基、特に窒素を含有し、さらに式Iの化合物は酸付加塩の形で生じてもよい。式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩は、無機酸、たとえば硫酸、リン酸またはハロゲン水素酸、好ましくは塩酸との通常の塩であるか、あるいは有機酸、たとえば低級脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸、たとえばマレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸またはスルホン酸、たとえば、低級アルカンスルホン酸、たとえばメタンスルホン酸との通常の塩である。
【0032】
カルボン酸画分を保護するための通常の保護基は、酸保護基R101およびR401として選択されてもよく、この場合、これらはその後に、再度、公知方法を用いて再度分離除去することができる。カルボン酸のための適した保護基は、たとえばMcOmie、“Protective Groups in Organic Chemistry”Plenum Press (以下、McOmieとする)およびGreene, Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”、Wiley Interscience Publication(以下“Greene”とする)のそれぞれ最近の版から公知である。さらに、生体反応活性エステルを形成する基を、酸保護基として使用することもできる。これらの場合において、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られる化合物は、すでに本発明による式Iのエステルを示す。
【0033】
適した酸保護基R101およびR401は、特に、それぞれ別個に、選択的に分離除去されるかまたは選択的に導入されていてもよい。種々の条件下で分離可能な酸保護基の例、この場合、さらに生体反応活性エステルを形成する基を示すものであってもよく;非分枝の低級アルキル基、たとえば、塩基条件下でかなり容易に分離可能なエチル;分枝の低級アルキル基、たとえばtert.−ブチルであり、この場合、これは酸、たとえばトリフルオロ酢酸によって容易に分離除去することができるものであって;場合によってはフェニル環中で置換されたフェニルメチル基、たとえばベンジル、この場合、これは、加水分解または二者択一的に塩基条件下で、容易に切断することができるものであって;フェニル環中で低級アルコキシによって1回または2回置換されているフェニルメチル基、たとえばp−メトキシベンジル、この場合、これは、酸化条件下、たとえば2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(=DDQ)または硝酸セリウムアンモニウムの作用下でかなり容易に切断されるものであって;あるいは、フッ化物イオンによって容易に切断することができる公知のケイ素含有保護基である。当業者は、好ましい置換パターンを得るために適した保護基を選択することができる。
【0034】
式Iの化合物は、2個のキラル炭素原子を含有し、すなわち、アミド側鎖をベンズアゼピン骨格の3位に有する炭素原子(=C)および基“−COOR”(=C)を有する炭素原子である。したがって、化合物は、全部で4個の立体異性の形で存在していてもよい。本発明は、立体異性体および鏡像異性体の双方の混合物を包含し、さらに異性体的に純粋な式Iの化合物を包含する。式Iの異性体的に純粋な化合物が好ましい。特に好ましくは、ベンズアゼピン骨格の第3位でアミド側鎖を有する炭素原子が“S”配置である式Iの化合物である。基“−COOR”を有するキラル炭素原子“”に関して、本発明の範囲内において本発明による好ましい式Iの化合物の配置は、暫定的に指定された配置名称“rel1”である(実施例参照)。これは、キラル中心“”での好ましい配置が、おそらく同様に“S”配置である公知の配置の適した化合物の同様の報告に基づいて誘導することができる。
【0035】
式IIの酸と式IIIのアミンとの反応は、アミノアシル化によるアミド基の形成のための通常の方法によって実施することができる。式IIのカルボン酸またはその反応性誘導体は、アシル化剤として使用することができる。特に、混合酸無水物および酸ハロゲン化物は適した反応性誘導体である。したがって、式IIの酸の酸塩化物または酸臭化物または式IIの酸と有機スルホン酸、たとえば、場合によってはハロゲンにより置換されていてもよい低級−アルカンスルホン酸、たとえばメタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸、あるいは、芳香族スルホン酸、たとえばベンゼンスルホン酸、または低級アルキルまたはハロゲンによって置換されたベンゼンスルホン酸、たとえばトルエンスルホン酸またはブロモベンゼンスルホン酸との混合エステルを使用することができる。アシル化は、−20℃と室温(=RT)との間の温度で、反応条件下で不活性の有機溶剤中で実施することができる。適した溶剤はハロゲン化炭化水素、たとえばジクロロメタンまたは芳香族炭化水素、たとえばベンゼンまたはトルエンまたは環状エステル、たとえばテトラヒドロフラン(=THF)またはジオキサンまたはこれらの溶剤の混合物である。
【0036】
アシル化は、式IIの酸とスルホン酸との混合無水物がアシル化剤として使用する場合には、酸結合剤の存在下で実施することが有利であってもよい。適した酸結合剤は、たとえば有機塩基、この場合、これらは反応混合物中で可溶であり、たとえば第3級窒素塩基、たとえばtert.−低級アルキルアミンおよびピリジン、たとえばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピリジンである。過剰量で使用される有機塩基は、さらに同時に溶剤としても使用可能である。
【0037】
式IIの酸自体がアシル化剤として使用される場合には、式IIIのアミノ化合物と式IIのカルボン酸との反応は、有利には、ペプチド化学からアミド形成のために適しているとして公知のカップリング剤の存在下で実施することができる。酸とのin situでの反応によって遊離酸とのアミド形成を促進し、反応性酸誘導体を形成するカップリング剤の例は、特にエチルクロロホルメート、アルキルカルボジイミド、たとえばシクロアルキルカルボジイミド、たとえばジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(=EDC)、カルボニルジイミダゾールおよびN−低級アルキル−2−ハロピリジニウム塩、特にハロゲン化物またはトルエンスルホネートである。カップリング剤の存在下での反応は、有利には−30℃〜+50℃の温度で、溶剤、たとえばハロゲン化炭化水素および/または芳香族溶剤中で、および場合によっては前記の酸結合アミンの存在下で実施することができる。
【0038】
および/またはRが遊離ヒドロキシル基を含有する、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られる化合物において、これらは好ましい場合には公知方法で、式IVの化合物と反応させることができる。式IVの化合物において、脱離基Xは、たとえばハロゲン、好ましくは塩素を意味する。
【0039】
および/またはRが遊離ヒドロキシル基を含有する、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られた化合物において、これらは好ましい場合には公知方法で、適した保護基によって保護されたアミノ酸誘導体と反応させることができる。アミノ酸のための適した保護基ならびにこれらを導入する方法またはこれらを選択的に切断する方法は、たとえばMcOmieまたはGreeneから公知である。適した保護アミノ酸誘導体は、商業的に入手可能であるかまたは公知方法で製造することができる。
【0040】
保護基R101およびR401、但し、これらは生体反応活性エステルを形成する任意の望ましい基を示さないもの、および/またはRおよび/またはRで任意に存在するアミノ酸部分中で存在していてもよい保護基は、公知方法および好ましい場合には、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られる化合物から選択的に、切断することができる。
【0041】
式Iの化合物は反応混合物から分離され、かつ必要である場合には公知方法で、たとえば高性能液体カラムクロマトグラフィー(=HPLC)によって精製される。
【0042】
式IIの出発化合物は、新規活性物質、たとえば式Iの化合物を製造するための中間生成物として適した新規化合物である。式IIの化合物は、一般式V
【0043】
【化5】

[式中、Rは酸保護基であり、かつR101は前記意味を有する]の化合物と、一般式VI
【0044】
【化6】

[式中、R401は前記意味を有する]の化合物を反応させることによって製造することができ、かつその後に、酸保護基Rを再度公知方法で分離除去する。反応は、アミノアシル化のための公知方法で実施することができ、この場合、これは、たとえば、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応に関して前記に示した相当する方法で実施することができる。好ましくない副次的反応を回避するために、酸保護基Rを、アルカリ媒体中で操作しない方法によって切断し、引き続いて相当する、適した酸保護基Rを選択することは有利であってもよい。
【0045】
式IIIのアミンは当業者に公知であるか、あるいは、公知化合物から公知方法で製造することができる。
【0046】
式IVの反応性酸誘導体は当業者に公知であるか、あるいは、公知化合物から公知方法で製造することができる。これらは、直鎖または分枝のC〜C−カルボン酸誘導体である。
【0047】
式Vの化合物は、一般式VII
【0048】
【化7】

[式中、R101およびRは前記意味を有する]のアクリル酸エステル誘導体と、シクロペンタンカルボン酸との反応によって製造することができる。反応は公知方法で、反応条件下で不活性の有機溶剤中でミハエル縮合の条件下で、シクロペンタンカルボン酸と、シクロペンタンカルボン酸のジアニオン(dianion)を形成しうる強塩基とを反応させ、かつその後に式VIIのアクリル酸エステル誘導体と反応させることによって実施することができる。適した溶剤はエーテル、特に環状エーテル、たとえばTHFである。適した強塩基は、非求核性有機金属アミドまたはアルカリ金属低級アルキル、たとえばリチウムジイソプロピルアミドまたはn−ブチルリチウムである。有利には、シクロペンタンカルボン酸は、THF中でn−ブチルリチウムの2当量と反応させ、かつ、その後に反応混合物をさらに式VIIの化合物と反応させる。反応温度は−80℃〜0℃であってもよい。
【0049】
式VIの化合物は、たとえば、EP0733642A1から公知であり、かつそのラセミ体の形でかまたは二者択一的に、前記方法またはこれに類似する方法によって異性体的に純粋な形で製造することができる。
【0050】
式VIIの化合物は、一般式VIII
【0051】
【化8】

[式中、Rは酸保護基を示す]の化合物を、好ましいアルコールを用いて公知の方法でエステル化することによって製造することができる。
【0052】
式VIIIの化合物は、たとえば、イタコン酸無水物を、無水物基を開放する公知条件下で、酸保護基Rを形成可能な試薬、たとえば相当する、適したアルコールと反応させることによって得ることが可能である。
【0053】
前記反応において、式Vおよび式VIの出発化合物中でのキラル中心は変化することなく、したがって出発化合物の型に依存して、最終的には異性体的に純粋な式Iの化合物または異性体混合物を得ることができる。立体化学的に均一な式Iの化合物を製造するために、有利には、式Vの立体化学的に均一な化合物を式VIの立体化学的に均一な化合物と反応させる。式Vの鏡像異性的に純粋な化合物を式VIのラセミ化合物と反応させるか、あるいは、式Vのラセミ化合物を式VIの鏡像異性的に純粋な化合物と反応させる場合には、それぞれの場合において、2種のジアステレオマーの混合物が得られ、この場合、好ましい場合には、式IIの化合物の工程の段階でかまたは式Iの化合物の段階で、公知方法で分離することができる。式Vのラセミ化合物と式VIのラセミ化合物との反応は、4個の異性体の相当する混合物を生じ、この場合、これらは望ましい場合には公知方法で、たとえば考えられうるキラル分離材料上でのHPLCによる分離によって、分離することができる。
【0054】
式Vの化合物は、基“−COOR101”を有する炭素原子でキラル中心を有し、かつ式VIIの化合物のアクリル酸エステル誘導体からの合成によって、そのラセミ体の形で得られる。光学的活性化合物は、原則としてラセミ体混合物から、自体公知の方法で、たとえばキラル分離材料上でのクロマトグラフィー分離によって得ることができるか、あるいは、適した光学的活性塩基、たとえばα−メチルベンジルアミン、シンコニジン(cinchonidine)またはシュードエフェドリン(pseudoephedrine)と反応させ、かつ引き続いて、得られた塩の分別結晶によって光学的対掌体に分離することによって得ることができる。
【0055】
式Iの化合物およびその製薬学的に許容性の塩は、有利な製薬学的性質によって特徴付けられる。特に、物質は酵素NEPを阻害する。NEPは、内因性ナトリウム排出増加ペプチド、たとえば心房性ナトリウム排出増加ペプチド(=ANP)を分解する酵素である。NEP活性上のその阻害活性に基づいて、物質はNEP、特にANPによって攻撃されうるナトリウム排出増加ペプチドの生物学的活性および有効寿命を改善させる能力を有し、したがって、このようなホルモンの作用によって影響を受ける病理学的症状、特に心臓血管系疾病、特に心不全、特に鬱血性心不全の治療に適している。
【0056】
鬱血性心不全において、反射作用によって増強される末梢血管耐性は、心臓の疾病により誘導され減少した駆出分画によって生じる。これは、心筋が、増加した後負荷に対してポンピングを開始しなければならないことを意味する。これは、悪循環で心臓における増加したひずみを招き、かつそれどころか状態をより悪くするものである。末梢血管耐性の増加は、特に血管作用性ペプチドエンドセリン(=ET−1)により介在される。エンドセリンは、最も力のある従来知られた内因性血管収縮性物質であり、かつ前駆体big−エンドセリン(=Big-ET-1)から製造される。従来公知の方法によれば、種々の酵素が、Big−ET−1からET−1への変換において共同的に作用し、特に酵素ECEおよびhSEPである(これに関しては、WO02/094176参照)。
【0057】
鬱血性心不全において、減少した心臓血管搬出量および増加した末梢血管耐性の結果として、血管の逆圧現象が、肺循環および心臓自体において生じる。結果として、心筋の増加した壁張力が心耳および房室の領域において生じる。このような状態において、心臓は内分泌器官として機能し、かつ特にANPを血流中に分泌する。その顕著な血管拡張活性およびナトリウム排泄増加活性/利尿活性に依存して、ANPは末梢血管耐性の減少および循環血液量の減少の双方を導く。この結果として、顕著に前負荷および後負荷が減少する。これは、内因性の心臓血管保護機序に寄与する。このポジティブな内因性機序はANPが専ら血漿中において極めて短い半減期を有することで制限される。これは、このホルモンがNEPにより極めて急速に分解されることを理由とする。
【0058】
本発明による化合物は、ECE活性を阻害し、かつ付加的にhSEP活性を阻害することによってエンドセリン生成を減少させ、これによって、末端血管耐性増加に拮抗的に作用し、この場合、これらは結果として、心筋張力を緩和させる。この結果は、物質が、本発明によれば、NEP活性を阻害することにより、高いANPレベルを生じ、かつANPの作用の延長した持続時間を生じることを示唆するものである。これは、心臓血管保護作用のANP−介在型内因性機序の増強を生じ、かつ、式Iの物質が、ナトリウム排泄増加活性/利尿活性ANP−誘導活性の増強に関して高い効果を与えることを示す。
【0059】
NEPは、ANPの分解のみならず、さらにエンドセリンの分解を伴う。これにより、ANPレベルの好ましい増加に加えて純粋なNEP阻害が、エンドセリンレベルの好ましくない増加を導きうる。この理由から、NEP、hSEPおよび一定割合のECE阻害の混合プロフィールが特に有利であるとされ、それというのも、これはナトリウム排泄増加活性/利尿活性ANPの双方の分解(NEP遮断による)を回避し、かつ同時にエンドセリンの形成を阻害する(hSEPおよびECE阻害による)ためである。結果として、ポジティブな影響は、純粋なNEP阻害剤の付随する副作用を招きうる(すなわち、エンドセリンレベルの望ましくない増加)。
【0060】
NEP、hSEPおよびわずかではあるがさらにECEの阻害剤としての、式Iの化合物の組み合わされた作用プロフィールは、本発明による化合物が、特に症状または疾病のような病理学的状態、たとえば心臓血管症状または疾病、特に心不全、この場合、これらは急性心不全および慢性心不全を含む、および特に鬱血性心不全の予防および/または治療に適しているが、さらに高血圧、この場合、これらは高血圧の二次的症状、たとえば本態的高血圧、腎性高血圧および/または肺性高血圧を含む、心不全、狭心症、心不整脈、心筋梗塞、術中の心筋梗塞、予後不良心筋梗塞、心肥大、鬱血性心筋症、肥大性閉塞性心筋障害、肥大性非閉塞性心筋障害、特発性心筋障害、心筋炎、心膜炎および/または大型動物、特にヒトの心内膜炎の予防および/または治療に適していることを示す。さらに式Iの化合物は、医薬、特に細胞増殖阻害剤、好ましくは細胞増殖阻害抗生物質または薬剤の心臓毒性投与量によって誘発された心臓、特に心筋に対する損傷、腹部狭心症、大脳虚血、末梢血管疾病、クモ膜下出血、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、腎疾患(腎不全)、アテローム硬化症および大型動物、特にヒトにおける結腸直腸または前立腺癌の際の痛みの予防または治療のために使用することができる。
【0061】
式Iの化合物の驚異的に良好な効果は、静脈投与後に、血圧調整作用、特にその降圧作用において顕著であった。
【0062】
薬理試験方法
例の番号は、以下に記載する製造例の番号に相当する。
【0063】
1.物質のNEP阻害作用のin vitro試験
本発明による基質のNEP上での阻害作用を試験するために、NEPの酵素活性の結果として生じる、ポリペプチドMca−Asp−IIe−Ala−Trp−Phe−Dpa−Thr−Pro−Glu−His−Val−Val−Pro−Tyr−Gly−Leu−Gly−COOHの加水分解における物質の阻害作用を、in vitroでの標準的試験中で試験した。この試験において、定められた物質の阻害活性の尺度は、IC50値である。酵素阻害活性を有する試験物質のIC50値は、NEPの酵素活性の50%がブロックされた試験基質の濃度である。
試験バッファー:100mMトリス pH7.0 250mMNaCl
酵素:可溶性のヒト組換NEP(Prof. Crine, University of Montreal, Canada、ストック溶液:100μg/ml 20mM トリスpH7.0、ワーキング溶液:ストック溶液を、試験緩衝液で2μg/mlに希釈したもの)
基質:Mca−Asp−IIe−Ala−Trp−Phe−Dpa**−Thr−Pro−Glu−His−Val−Val−Pro−Tyr−Gly−Leu−Gly−COOH;蛍光−消失Big−ET−1類似体、特に蛍光シグナルにより検出可能なメタロプロテアーゼ、特にNEPおよびECE−1の基質。MCA蛍光体の蛍光は、最初に「消光物質」Dpaの存在下で消失させる。
Mca=(7−メトキシクマリン−4−イル)
**Dpa=(3−[2,4−ジニトロフェニル]−L−2,3−ジアミノプロピオニル)(Polypeptide Laboratories, Wolfenbuettel, Germany)
ストック溶液:試験緩衝液中100μM
試験物質:すべての基質を、DMSO(10mM)中に溶解させ、かつ試験緩衝液を用いて試験すべき濃度に希釈した。
【0064】
70μlの試験緩衝液、10μlの酵素ワーキング溶液および10μlの試験基質溶液を、エッペンドルフチューブ中で混合し、かつ37℃で15分間に亘って予めインキュベートした。その後に、10μlの基質ストック溶液を添加し、かつ試験バッチを37℃で60分に亘ってインキュベートした。その後に酵素反応を95℃まで、5分間の加熱により停止させた。遠心分離(Heraerus Biofuge B 3分)後に、液体上清を、以下の指示にしたがってHPLCにより試験した。
【0065】
基質を、分解生成物から逆相HLPC(CC125/4 Nucleosil 300/5 C18RP カラム、この場合、これらは、CC8/4Nucleosil 100/5 C18プレカラムを備えたもの、Macherey-Nagel, Dueren, Germany)を用いて分離した。これに関しては、試験混合物60μlをHPLC試料注入点に注入し、かつその後にカラムを1ml/分の流速で、以下の勾配で溶離した。
移動相A:100%HO+0.5M HPO pH2.0
移動相B:100%アセトニトリル+0.5M HPO
0〜2分 20%B 8〜10分 60〜90%B
2〜6分 20〜60%B 10〜13分 90%B
6〜8分 60%B 13〜15分 90〜20%B
すべてのペプチドを、214nmでの吸光および328nmの励起波長および393nmでの発光波長での蛍光により検出した。
【0066】
ペプチドの酵素的分解に関しては、蛍光体(=Mca)および消光物質が、種々のペプチドフラグメントにおいて終わり、これにより消光効果が減少する。これは、結果として蛍光増加を生じた。非−消光Mca蛍光体での、ペプチドのHPLCピークの増加した蛍光シグナル(表面、Aに相当する)を、さらに算定のために使用した。このシグナルについて、式Iの試験基質を有する(=A阻害剤)および有しない(=Aコントロール)試料を比較し、かつ値%阻害を、以下の式によるそれぞれのピーク面積に基づいて算定した:
%阻害=100(1−A阻害剤/Aコントロール
すべての試料を、二重に測定し、かつそれから平均値を算定した。標準的阻害剤(10nmチオルファン)および溶剤コントロール(0.1%DMSO)を同様にそれぞれのラン上で、質的コントロールとして測定した。
【0067】
この試験モデルにおいて、以下第1表に挙げた式Iの試験物質は、以下のIC50値を示した:
【0068】
【表1】

2.物質のhSEP阻害作用のin vitro試験
本発明による物質のhSEP上での阻害作用を試験するために、hSEPの酵素活性の結果として生じるポリペプチドMca−Asp−IIe−Ala−Trp−Phe−Dpa−Thr−Pro−Glu−His−Val−Val−Pro−Tyr−Gly−Leu−Gly−COOHの加水分解における物質の阻害作用を、標準的in vitro試験中で試験した。この試験において、定められた物質の阻害活性の尺度はIC50値である。酵素阻害活性を有する試験物質のIC50値は、hSEPの酵素活性50%が阻害された、試験物質の濃度である。
試験バッファー:100mMトリスpH7.0、250mMNaCl
酵素:His6−tagged−hSEP エクトドメイン(Innogenetics, Ghent, Belgium、ストック溶液:53mg/ml 20mM HEPES pH7.2、5%グリセロール、0.005% Tween20、100mM NaCl、純度>99%、ワーキング溶液;試験バッファーを用いて、ストック溶液を10mg/mlに希釈する)
基質:Mca−Asp−IIe−Ala−Trp−Phe−Dpa−Thr−Pro−Glu−His−Val−Val−Pro−Tyr−Gly−Leu−Gly−COOH;蛍光−消光Big−ET−1類似体。
ストック溶液:試験バッファー中100μM(Polypeptide Laboratories, Wolfenbuettel, Germany)
試験物質:すべての物質は、DMSO(10mM)中で溶解し、かつ試験バッファーを用いて試験すべき濃度に希釈した。
【0069】
試験およびHPLC方法は、前記方法と同様の方法で、NEP上での試験物質のin vitro阻害作用を測定するために実施した。10nMホスホアミドンは、HPLC法における標準的阻害剤として使用する。
【0070】
この試験モデルにおいて、以下の第2表に挙げられた式Iの試験物質は、以下のIC50値を有していた:
【0071】
【表2】

3.ラット中のBig−ET−1からのET−1の形成における、物質の阻害活性のin vivo試験
本発明による物質のBig−ET−1からのET−1の形成における阻害作用を試験するために、ECEおよび関連する酵素、たとえばhSEPの酵素活性の結果として生じるBig−ET−1からET−1への加水分解上での試験物の阻害作用を、標準的なin vivo試験で試験した。ET−1は、内在性の強い血管収縮物質である。ET−1レベルの増加は、結果として血圧を上昇させる。Big−ET−1の注入時の血圧の上昇は、ET−1がそれからBig−ET−1の酵素触媒的分解によって生成される程度で生じた。物質の酵素阻害作用の尺度として、Big−ET−1の注入により誘導される、血圧上昇における阻害作用を測定した。
【0072】
ラット(Sprague-Dawley, CRLD=Charles River)を、1ml/kgのロンパン(Rompun)/ケタベート(ketavet)1:1で麻酔した。圧力変換器(Statham)を頸動脈に挿入した。一つの頸静脈は、物質を投与するためのカニューレを挿入し、かつ他の頸静脈はBig−ET−1の投与のためのカニューレを挿入した。20分の静止時間の後に、ラットに相当する式Iの試験物質を一般に10μモル/kgの濃度で投与するか、あるいはビヒクルを投与した。5分後に、0.5nmol/kgのBig−ET−1を1分間以上に亘って注入した。心収縮期(SAP=心収縮動脈圧)および心拡張期(DAP=心拡張動脈圧)の血圧および心拍をそれぞれ、物質およびBig−ET−1の投与前に、かつそれぞれの場合において5分毎に、Big−ET−1の投与後30分に亘って、圧力変換器を用いて公知の方法で測定した。Big−ET−誘導性の血圧上昇の最大値および心拍数低下の最大値を、Big−ET作用の最大改善挙動(典型的には5分後)で測定された値とBig−ET−注入前に測定された値との間の差として測定された値から算定した。さらに、Big−ET−1の影響下での血圧曲線の積分を30分に亘って測定した(AUC=曲線下の面積)。AUC値は、Big−ET作用の全程度および持続時間または物質によるこれらの減少に関する情報を提供する;したがって、AUC値は、さらに、Big−ET最大作用に加えて、物質の効果についての付加的な情報、たとえば、物質が、たとえば最大のBig−ET作用に影響を与えないかまたはわずかにのみ与える場合であっても、しかしながらこの作用の減退を顕著に促進するという情報を提供する。
【0073】
心収縮動脈圧(SAP)上における、試験物質の投与後の最大Big−ET−1作用の阻害率(%)は、ビヒクル投与のものと比較して以下第3表に示す:
【0074】
【表3】

【0075】
式Iの化合物はさらに一定の範囲で、ECE−阻害特性を示す。式Iの物質のECE−阻害特性は、in vitroでの標準的試験中で、試験することができる。
【0076】
式Iの化合物は、NEPおよびhSEP阻害能を有する二重の作用を有する化合物であり、さらにSDの予防および/または治療に適している。
【0077】
臨床的には、SD疾患は、女性性的機能不全(FSD)と男性性的機能不全(MSD)とに区別される(Melman, A. & Gingell, J. C. (1999)参照、勃起機能不全の疫学および病理学については、以下、“Melman et al. 1999”として引用する)。NEPおよびhSEPを阻害する能力を有する本発明による二重の作用を有する化合物、特に式Iの化合物は、特にMSD(たとえば、男性勃起機能不全−MED)の予防および/または治療のために特に有用である。式Iの化合物の他の利点は、その作用プロフィールでの一定のECE阻害部分である。
【0078】
MSDは、一般には勃起機能不全と関連し、男性勃起機能不全として知られている(=MED)(Benet, A. E. ら(1994)、男性勃起機能不全評価および治療オプション、C07Sp. TheY. 20: 669-673)とし、以下“Benet et al. 1994”と呼称する)。MEDは、「・・・満足のいく性的パフォーマンスのための陰茎勃起を達成および/または維持するのが不可能であること(NIH Consensus Development Panel on Impotence (1993),
NIH Consensus Conference Impotence, JA. M. A. 270; 83参照)・・・」と定められる。すべての程度(軽度、中程度および完全なインポテンツ)の勃起機能不全(=ED)の羅漢率は、男性40〜70代で52%であり、この場合、これらは70以上の場合よりも高い割合である(Melman et al. 1999)。症状は、患者の生活の質にかなりネガティブな影響を与え、かつこれら患者は、しばしば、増加した不安および緊張を生じ、うつ病および自尊心の低下を招く。にもかかわらず、20年前には、NEDは当初、心理学的疾病であると考えられていたが(Benet at al. 1994)、現在においては、ほとんどの患者において根本的な身体的要因があることが知られている。結果として、正常な陰茎勃起の機序およびMEDの病理学を同定することには大きな進歩があった。
【0079】
本発明のNEPおよびhSEPを阻害する能力を有する二重に作用する化合物、特に式Iの化合物が、FSDの治療に使用される場合には、女性の性的喚起障害(=FSAD)の治療に使用されることが好ましい。
【0080】
FSDは、女性の性的表現における満足感を見いだすことが困難または不可能であるものと定義される。FSDは、いくつかの多様な女性の性的障害のための総合的用語である(Leiblum, S. R. (1998), Definition and classification of female sexual disorders. Int.J. Impotence Res., 10, S104-S106: Berman, J. R., Berman, L. & Goldstein, I. (1999). Female sexual dysfunction: Incidence, pathophysiology, evalutions and treatment options. Urology, 54, 385-391.)。女性は、性欲に欠け、喚起またはオーガスムにおいて困難性を有し、性交時に痛みがあるか、あるいは、これらの問題が組み合わさって生じる。疾病のいくつかの型、薬物療法、外傷または心理的問題が、FSDを引き起こしうる。改善のための治療は、FSDの特異的サブタイプ、主に性欲および喚起障害の治療をターゲットとする。FSDのカテゴリーは、正常な女性の性的応答と性欲、喚起およびオーガスムのフェーズで比較するものである(Leiblum, S. R. (1998). Definition and classification of female sexual disorders. Int. J. Impotence Res., 10, S104-S106)。
【0081】
性欲およびリビドーは性的表現の基本的衝動である。その顕在化はしばしば、興味あるパートナーの前であるか、あるいは、他の性的刺激にさらされた場合における性的思想を含む。
【0082】
喚起は性的刺激に対する血管応答であり、その重要な構成要素は性器の充血であり、かつ、増加した膣の潤沢、膣部の隆起および増加した性器の感覚/感受性である。
【0083】
オーガスムは、喚起中において生じる性的緊張の放出である。よってFSDは、女性が、通常は欲望、喚起またはオーガスムを有するこれらの任意の段階における不適切であるかまたは不満足な応答を有する場合に生じる。
【0084】
FSDカテゴリーは、性欲減少障害、性的喚起障害、オーガスム障害および性的痛みに係る障害を含む。
【0085】
本発明による化合物は、性的刺激に対して性器応答を改善しうる(女性の性的喚起障害として)が、さらに性交に伴う痛み、苦痛および不快感を改善することもでき、したがって、他の女性の性的機能障害を治療することができる。したがって、本発明の他の態様によれば、性欲減少疾患、性的喚起障害、オーガスム障害および性的痛みにかかる障害の治療または予防のための医薬の製造において本発明による化合物を使用し、より好ましくは、性的喚起障害、オーガスム障害および性的痛みにかかる障害の治療または予防、および特に好ましくは性的喚起障害の治療または予防において使用する。性欲減少障害は、女性が、性欲が全く有しないかまたは有していてもわずかであり、かつ性的思想またはファンタジーを全く有しないかまたは有していてもわずかである場合に存在する。FSDのこの型は、低いテストステロンレベルにより生じうるものであって、自然な閉経期または外科的閉経期に依存する。他には疾病、薬物療法、疲労、うつ症状および不安によっても生じうる。
【0086】
FSADは、性的刺激に対する不適切な性器応答として特徴付けられる。生殖器は、正常な性的喚起を特徴付ける充血を生じない。膣壁はあまり潤沢することなく、したがって性交は痛みを伴う。オーガスムは妨げられる。喚起障害は、減少したエストロゲンによって、閉経期または出産後および授乳中、ならびにたとえば糖尿病およびアテローム性動脈硬化症のような血管的要素を含む疾病により引き起こされうる。他の原因としては利尿剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ剤、たとえば選択的セロトニン再取り込み阻害剤(=SSRIs)または抗高血圧剤での治療により生じる。
【0087】
性的痛みに係る障害(性交疼痛および膣痙を含む)は、挿入により生じる痛みにより特徴付けられ、かつ潤沢を減少させる医薬、子宮内膜症の医薬、骨盤内炎症性疾患の医薬、炎症性腸疾患または尿管障害の医薬によって生じうる。FSDの羅漢率は算定するのが困難であり、それというのも、用語はいくつかの型の問題を集約したものであって、そのいくつかは測定が困難なものであり、また、FSDの治療の重要性についてはかなり近年になって知られるようになったためである。
【0088】
多くの女性の性的問題は、直接的に女性の加齢プロセスまたは慢性疾患、たとえば糖尿病および高血圧と関連する。それというのも、FSDの治療は、いくつかのサブタイプからなっており、この場合、これらは、性的応答サイクルの個々の相における症状を示すものであって、単一の治療法は存在しないためである。
【0089】
FSDの最近の治療法は、主に心理学問題または関係学的問題に焦点があてられている。FSDの治療は、段階的に、より臨床的かつ基礎化学的研究として発展しており、この医学的問題の研究に供された。女性の性的不満はすべてが心理的なものではなく、病理学的なものでもあって、特に、すべての女性の性的不満に寄与する血管的機能不全(たとえばFSAD)の要素を有する個人に関しては特に病理的なものでもある。現在においてはFSDの治療に関して認可された医薬は存在しない。経験的な薬物治療は、エストロゲン投与(局所的またはホルモン代替療法)、アンドロジェンまたは気分高揚剤、たとえばブスピロン(buspirone)またはトラゾドン(trazodone)を含む。これらの治療オプションは、しばしば低い効率により満足のいくものではないか、副作用により認容されるものではない。近年になって、FSD治療において薬理学的な、以下から方法から構成される治療が注目されている:心理学的カウンセリング、オーバー・ザ・カウンター(over -the -counter)性的潤滑剤、および試験的候補薬物、この場合、これは、他の症状に関してアプローチされた薬剤を含む。これらの薬物療法は、ホルモン剤、この場合、これらはテストステロンまたはエストロジェンとテストステロンとの組み合わせ物および最近では血管系薬剤から成り、この場合、これらはMEDにおいて効果が確立されているものである。これらの薬剤はいまだFSDの治療において効果的であることが証明されていない。
【0090】
米国精神医学協会(American Psychiatric Association)の診断および統計的マニュアル(DSM)IVでは、FSADを、「・・・持続的または再現的に、性的興奮の適切な潤滑−隆起応答を得るかまたは性的活動が完了するまで維持することが困難である。障害は、顕著な苦痛または個人間における困難性を生じる」と定義されている。喚起応答は、骨盤、膣潤滑および膨張および外生殖器の隆起における血管収縮から成る。障害は、顕著な苦痛および/または個人間の困難性を生じさせる。カップルにおける性的機能不全を試験する研究は、女性の76%までが、性的機能不全の悩みを有し、かつ米国では女性の30〜50%が、FSDの経験があることを示した(Berman, J. R., Berman, L. A., Werbin, T. J. et al. (1999) Female sexual dysfunction: Anatomy, physiology, evalution and treatment options, Curr Opin Urology, 9563-568)。FSADは、前閉経期、閉経期および後閉経期の女性(ホルモン代替療法(HRT))における高い羅患率の性的障害である。これは、随伴疾病、たとえばうつ症状、心臓血管系疾病、糖尿病および尿生殖器系障害と関連する。FSADの主な症状は、充血/隆起の欠如、潤沢の欠如および快楽的な生殖器感覚の欠如である。FSADの二次的症状としては、減少した性欲、性交時疼痛およびオーガスム到達の困難性である。近年は、FSADの症状を有する患者の少なくとも一部に関しては、血管的原因が存在するといった仮説がされており(Goldstein et al., Int. J. Impot. Res., 10, S84-S90, 1998)、この場合、これは動物実験データにより支持されている(Park et al., Int.J. Impot. Res., 9, 27-37, 1997)。
【0091】
SEPインヒビターが、骨盤神経−刺激し、かつ、血管作動性腸管ペプチド(=VIP)−誘導された、膣および陰核の血流の増加を強化することは知られている。さらに、SEPインヒビターが、単離された膣壁のVIPおよび神経−介在型弛緩を増強させるものも知られている。したがって、本発明は、膣、陰核および陰唇の充血を導く、正常な性的喚起応答−すなわち、増加した生殖器血流を回復させるための方法を提供するのに役立つ。これは、結果として、血漿トランスダクションを介しての増加した膣の潤沢、増加した膣コンプライアンスおよび増加した生殖器の感受性を生じうる。したがって、本発明は、正常な性的喚起応答を回復させるかまたは強化させる手段を提供する。女性の生殖器に関しては、「生殖器官は、内的および外的群から構成される」と意味するものとされる。内的器官は骨盤中に位置し、かつ卵巣、子宮管、子宮および膣から構成される。外的器官は、尿生殖器隔膜の外面に、かつ骨盤アーチ下に存在する。これらは、恥丘、大陰唇および小陰唇、陰核、前庭、前庭球および前庭腺((Gray's Anatomy, C. D. Clemente, 13th American Edition)を含む。R.J.Levinは「・・・それというのも、男性および女性の生殖器は、胚発生学的に共通の組織原基から発達し、したがって、男性および女性の生殖器構造が、互いに相同的であると主張する。それというのも陰核は陰茎と相同的であり、かつ陰嚢の陰唇相同性は、・・・」と教示している(Levin, R. J. (1991), Exp. Clin. Efzdocrinol., 98,6169)。
【0092】
MSD、特にMEDに関しては、陰茎勃起が血液動的減少であり、この場合、これらは、陰茎海綿体平滑筋と、陰茎の脈管構造の収縮および弛緩のバランスに依存する(Lerner, S.E. et al (1993). A review of erectile dysfunction: new insights and more questions.J. Urology 149: 1246-1255)。陰茎海綿体平滑筋はさらに本明細書中では、corporal smooth muscleおよびcorpus cavernosa(複数形)とする。陰茎海綿体平滑筋の弛緩は、陰茎海綿体中の小柱への血流の増加を導き、これによって外膜周囲に対して、排出静脈(draining veins)を圧迫する。これは、結果として勃起を生じる陰茎血流圧(Carvernosal blod pressure)の顕著な増大が生じる(Neylor, A. M. (1998). Endogenous neurotransmitters mediating penile erection. Br. J. Urology 81: 424-431参照、以下、Neylor, 1998とする)。勃起プロセス中で生じるこの変化は複雑であり、かつ周縁および中枢神経系ならびに末端神経系を含む同等のコントロールの高い割合を必要とする(Neylor, 1998)。陰茎海綿体平滑筋収縮は、シナプス後のα−アドレノセプターの活性化を介しての交感神経系ノルアドレナリン神経支配によって調節される。MEDは、陰茎海綿体の内因性平滑筋緊張を増加させる。しかしながら、陰茎海綿体平滑筋弛緩は、非アドレナリン作動性の、非コリン作動性の(=NANC)神経伝達によって部分的に介在される。陰茎において、酸化窒素(=NO)以外の多くの他のNANC神経伝達が見いだされており、たとえばカルシトニン遺伝子関連ペプチド(=CGRP)およびVIPである。この弛緩を介在する要因となる主な弛緩因子はNOであり、この場合、これらはL−アルギニンから酸化窒素シンターゼ(=NOS)により合成されるものである(たとえば、Taub, H. C. et al (1993). Relatiopnship between contraction and relaxation in human and rabbit corpus cavernosum. Urology 42:698-704)。陰茎海綿体平滑筋の緊張の減少は、陰茎海綿体の弛緩を導くNOにより促進しうることが考えられる。男性における性的喚起中において、NOは神経細胞から放出され、かつエンドセリンに結合し、平滑筋細胞中に位置する可溶性グアニル酸環化酵素(sGC)を活性化し、細胞内の環状グアノシン3’,5’−モノホスフェート(cGMP)レベルの上昇を導く。cGMPレベルの上昇は、細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)の減少に依存して、プロテインキナーゼG活性化を含む未知の機序を介して、陰茎海綿体の弛緩を導くものである(おそらくはCa2+ポンプおよびCa2+−活性化K+−チャンネルの活性化による)。
【0093】
近年、c−型ナトリウム排泄増加ペプチド(=CNP)が、さらにMED中で、ヒト陰茎海綿体組織中で発現する膜結合型グアニリルシクラーゼB(=GC−B)で作用する役割を生じることが示された。GC−B刺激は、細胞内cGMPの上昇を導き、引き続いて平滑筋弛緩を導く。PDE−5インヒビター、たとえばシルデナフィル(Sildenafil)は、陰茎海綿体組織中の細胞内cGMPを、その分解を阻害することによって増加させる。PDE5−インヒビターは、cGMP形成の刺激物質、たとえばNOの不在下で不活性である。この発見は、陰茎海綿体中でのcGMP形成の基準速度(非刺激)がむしろ低く、したがって、PDE5インヒビターによるcGMP破壊の阻害は、グアニリルシクラーゼの同時刺激なしでは、勃起応答に対して十分なものでない。CNP濃度の増加は、cGMP形成の増加によって、上昇したcGMP濃度を導く。引き続いて、陰茎海綿体中のCNP濃度の上昇は、おそらくここではPDE5の阻害と同様の効果であってもよい。作用の異なる機序によって、すなわち、cGMP形成の増加とその分解阻害との異なる作用機序によって、PDE5の阻害アプローチまたはCNPの分解アプローチをそれぞれ混合することが要求され、それというのも、これら2種の作用機序の組み合わせは、PDE5インヒビター単独投与に応答しない患者において、特に効果的であるとの仮説がされるためである。
【0094】
VIP陽性の神経繊維は、陰茎海綿体の小柱網中で見いだされ、この場合、これは、陰茎勃起中でのVIP放出の役割を支持するものである。VIPの効果は、cAMP中での増加により介在されるものと考えられ、したがって、cGMP−上昇剤の効果に対して補填的なものである。ED患者において、VIPの海綿体洞内注射(α−アドレノセプター拮抗物質フェントラミンとの組み合わせ)が、安全かつ効果的な治療方法であることが見いだされ、この場合、これは67%の応答率を有する(性交時における十分な勃起)。
【0095】
エンドペプチダーゼNEPおよびhSEPは、CNPおよびVIPの双方を分解させ、それによって、陰茎海綿体平滑筋上のCNPおよびVIPの効果を制限する。CNPおよびVIP分解の阻害は、血管弛緩因子の増加した利用性を導き、それによって陰茎海綿体への血流が増加し、最終的には改善された勃起機能を生じさせる。これはウサギでの試験データにより証明されており、この場合、このデータは、陰茎内圧の顕著な上昇およびNEP阻害剤適用後の女性の生殖器血流量の増加を示す(WO02/079143)。さらに、内因性NEP−阻害剤であるシアロルフィンのプロ−ペプチドをコードする遺伝子(SMR1)が見いだされ(User H.M., Zelner D.J., Mckenna K.E., McVary K.T. (2003). Microarray analysis and description of SMR1 gene in rat penis in a post-radial prostatectomy model of erectile dysfunction. J Urol.; 170(1):298-301)、この場合、これは、神経的勃起機能不全のラットモデルにおいて、顕著なダウンレギュレーション(>80倍)が生じ、この場合、これは、この疾病中で、NEP活性が増強され、かつ勃起不全の改善に寄与することが支持された。
薬理学的試験
引用された実施例番号は、以下の製造例に関する。
【0096】
本発明で使用された化合物によるCNPおよびVIPの酵素的分解の阻害は、酵素的に、以下のプロトコールにしたがうin vitroアッセイ中で酵素的に測定された:
酵素:a)hSEP(sol hu)(his)6;またはHis6-tagged hSEPエクトドメイン
ストック溶液:53μg/ml 20mM HEPES(pH7.2)、5%グリセロール、0.005%Tween20、100mM NaCl、純度>99%
ワーキング溶液:ストック溶液をアッセイバッファーで5μg/mlに希釈したもの、供給元:Innogenetics, Ghent, Belgium、タンパク質の製造および精製は、WO02/094176に記載されたようにしておこなった。
b)NEP(ブタ腎皮質から製造されたもの)
ストック溶液:120μg/ml 20mM ビストリス、純度>95%
ワーキング溶液;ストック溶液をアッセイバッファーで5μg/mlに希釈したもの、供給元:Dr. Philippe Crine, Univ. of montreal, Canada、
基質:a)VIP
b)CNP(32−53)
ストック溶液:100μM/アッセイバッファー、供給元:Bachem, Weil am Rhein, Germany
アッセイバッファー:100mMトリス(pH7.0)、250mM NaCl
すべての試験化合物は、DMSO中10mMで溶解し、かつさらにアッセイバッファーで希釈した。
【0097】
活性アッセイ方法
アッセイバッファー80μl、酵素ワーキング溶液(NEPまたはhSEP)10μlおよびペプチドストック溶液(VIPまたはCIP)10μlを、エッペンドルフチューブ中で混合し、かつ37℃で120分に亘ってインキュベートした。酵素反応をその後に、95℃で、5分間加熱することによって停止させた。遠心分離の後に(Heraus Biofuge B, 3分)上清をHPLCに提供した。
【0098】
阻害アッセイ方法
アッセイバッファー70μl、酵素ワーキング溶液(NEPまたはhSEP)10μlおよび試験化合物溶液10μlを、エッペンドルフチューブ中で混合し、かつ37℃で15分に亘ってプレインキュベートした。その後に、ペプチドストック溶液(VIPまたはCNP)10μlを添加し、かつ反応混合物を37℃で60分に亘ってインキュベートすることにより酵素的に加水分解させた。酵素反応をその後に95℃に5分間に亘って加熱することによって停止させた。遠心分離後に(Heraus Biofuge B, 3分)上清をHPLCに提供した。
【0099】
残存する基質を分解生成物から分離するために、逆相クロマトグラフィー技術で、CC125/4Nucleosil300/5C18 RPカラムおよびCC8/4Nucleosil100/5C18プレカラム(Macherey-Nagel, Dueren, Germany)を使用した。反応試料60μlをHPLCに導入し、かつカラムを1ml/分の流速で、以下の勾配で溶出させた:
溶液A:100%HO+0.5M HPO pH2.0
溶液B:100%アセトニトリル+0.5M HPO
0〜2分:5%B、
2〜7分:5〜50%B、
7〜8分:50〜90%B、
8〜10分:90%B、
10〜12分:90〜5%B
すべてのペプチドを、214nmでの吸光により検出した(UV吸光計)。
【0100】
加水分解率(=%)を、酵素含有試料Yに関する分解されていないペプチドのピーク面積に基づいて、酵素を有しない同濃度のペプチドを含有する試料(ブランク)との相関を以下の方程式を用いて算定した:
%加水分解率=100(ブランク−Y)
阻害率%の算定に基づいて、阻害剤含有試料Xに関する分解されていないペプチド(VIPまたはCNP)のピーク面積を、ペプチドのみ含有するか(ブランク)または、阻害剤を含有することなくペプチドおよび酵素を含有する(対照)試料との相関を、以下の方程式を用いて算定した:
%阻害率=100(X−対照群)/(ブランク−対照群)
すべての試料を二重に試験し、かつ平均値を使用した。溶剤対照群(0.1%DMSO)をそれぞれのアッセイランに加えた。
【0101】
CNPおよびVIPを、NEPおよびhSEPによりin vitroで分解した。双方のペプチドの分解は、NEPの場合よりもhSEPの場合の方が早く、この場合、これらは第4表に示した:
【0102】
【表4】

【0103】
本発明による試験化合物は、CNPおよびVIPを、NEPおよびSEPの双方による分解から保護することを可能にした。この試験モデルにおいて、以下の第5表に挙げられた式Iの試験物質は、以下のIC50値を有していた:
【0104】
【表5】

【0105】
さらに式Iの化合物は、アポトーシスに関連する負の作用の予防および/または治療のために適している。
【0106】
前記症状は、たとえば:神経変性障害、たとえば、虚血性発作、大脳虚血、外傷性脳疾患、急性散在性脳脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、色素性網膜炎、軽度の認知障害、アルツハイマー氏病、ピック病、老人性痴呆、進行性核上麻痺、皮質下痴呆、ウィルソン病、多発性梗塞障害、動脈硬化性痴呆、AIDS随伴性痴呆、小脳変性症候群、脊髄小脳変性症候群、フリードライヒ失調症、毛細血管拡張性運動失調症、てんかん関連脳損傷、脊髄損傷、レストレスレッグス症候群、ハンチントン病およびパーキンソン氏病、線条体黒質変性症、脳血管障害、糸粒体脳心筋炎、ニューロンセロイド脂褐素沈着症、棘筋萎縮症、中枢神経系波及型リソソーム貯蔵障害、白質ジストロフィー、尿素回路血管障害、肝性脳障害、腎性脳障害、代謝性脳障害、神経毒化合物による神経障害、ポルフィリン症、細菌またはウイルス性髄膜炎および髄膜脳症、プリオン病、神経毒化合物での中毒、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性ニューロパシー、多発性筋炎、皮膚真菌症、放射線誘導性脳損傷;胃腸障害、たとえば、過敏性腸症候群および炎症性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎、小児脂肪便症、ヘリコバクターピロリ胃炎および他の伝染性胃炎、壊死性小腸大腸炎、偽膜性小腸大腸炎、放射線誘導性小腸大腸炎、リンパ球性胃炎、移植臓器体個体反応疾患、急性および慢性膵炎、肝臓障害、たとえばアルコール性肝炎、ウイルス性肝炎、代謝性肝炎、自己免疫性肝炎、放射線誘導性肝炎、肝硬変、溶血尿毒症候群、腎炎、ループス腎炎、ウイルス性疾患、たとえば、劇症肝炎:関節病、たとえば外傷および変形性関節炎;免疫阻害または免疫不全障害、特に自己免疫疾患、たとえば特発性炎症性筋疾患、慢性好中球減少症、血栓球減少性紫斑病、リウマチ様動脈炎、特発性血栓球減少性紫斑病、自己免疫溶血症候群、抗リン脂質抗体症候群、心筋炎、多発性硬化症およびその診断学的亜分類である再発性弛緩性多発性硬化症、続発性進行性多発性硬化症、原発性進行性多発性硬化症、進行性再発性多発性硬化症、急性多発性硬化症、良性再発性多発性硬化症、無症状多発性硬化症、視神経脊髄炎(デビック病)、リンパ球下垂体炎、ブレーブス病、アジソン病、副甲状腺機能低下症、I型糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、乾癬性関節炎、子宮内膜症、自己免疫精巣炎、自己免疫性勃起機能不全、サルコイド症、ヴェグナー肉芽腫症、自己免疫性難聴、シェーグレン病、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、間質性膀胱炎、グッドパスチャー症候群および繊維性筋肉痛:異形成脊髄症、たとえば再生不良性貧血;尋常性天疱瘡を含む外皮的疾患、皮膚筋炎、アトピー性皮膚炎、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、座瘡、全身性硬化症、脂漏性角化症、皮膚肥満細胞症、慢性増殖性皮膚炎、異常角化症、硬皮症、間質性肉芽腺症、乾癬、皮膚の細菌感染、皮膚糸状菌症、ライ病、皮膚リーシュマニア症、白斑、中毒性表皮壊死症、スティーブンズジョンソン症候群、脂腺腺腫、脱毛症、皮膚の光による損傷、硬化性苔癬、急性皮膚創傷、色素失調症、皮膚の熱による損傷、発疹性膿疱症、苔癬様皮膚疾患、皮膚のアレルギー性血管炎、細胞毒性皮膚炎;内耳疾患、たとえば音響外傷誘発性聴覚毛細胞死および難聴、アミノグリコシド誘発性聴覚毛細胞死および難聴、耳毒性薬剤誘発性難聴、外リンパ異常導管症、コレステリン腫、うずまき管または前庭虚血、メニエル氏病、放射線誘発性難聴、細菌またはウイルス性感染によって誘導された難聴および特発性難聴;移植:移植臓器体個体反応疾患、心臓、腎臓、皮膚、角膜、骨髄または肝臓−移植による急性または慢性拒絶反応;創傷治癒および組織拒絶反応である。
【0107】
アポトーシスに関連する前記の負の状態の予防または治療のための、式Iのアミドメチル−置換1−(カルボアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ−ベンズアゼピン−N−酢酸誘導体の有用性については、抗−アポトーシス活性の適した動物モデル中で試験することができる。
【0108】
薬理試験
引用された例の番号については、以下に記載する製造例と対応する。
1.外傷性脳障害:遅延したアポトーシス神経細胞死
打撲装置:打撲装置は、ステンレススチール管、40cmの長さ、1cmの間隔で、管中の空気圧縮を回避するために穿孔されている。成体Wistar−ラット、230〜270gをクロラール水和物で、400mg/kg(i.p.)で麻酔し、右の脳半球を開頭し、硬膜表面を据えた踏み台上に落下する重りを導く装置を、頭骨表面と垂直に配置し、かつ、20gの重りにより生じた380g×cmの力を、脳の損傷を生じさせるために選択した。脳表面の最大2.5mmの陥没が、硬膜の機械的穿刺を避けるために許容された。踏み台の中心は、定位的にブレグマに対して1.5mmの後方および2.5mm側方に配置した。ラットは、脳障害の3日後にリン酸バッファー中4%パラホルムアルデヒドを含有する溶液を用いて、灌流固定した。
【0109】
脳室内注射:化合物を脳室内的に(=i.c.v)、ハミルトンシリンジを用いて5〜15μlの容量で投与した。注入は5分間、15分〜8時間に亘って、外傷後に、以下の位置的座標を用いておこなった:ブレグナに対してAP=−0.5mm、L=−2mmおよびV=−5.5(Swanson, L. W. (1992 )Brain Maps: Structure of the Rat brain, Elsevier, Amstertdam)。
【0110】
海馬中の形態分析:海馬CA3下領域(subfield)中での損傷を、外傷的障害の3日後に、10.21〜11.21mmの範囲の5個の異なる尾部レベル(rosteocaudal level)で、(Swanson, L. W. (1992) Brain Maps: Sturucture of the Rat Brain, Elsevier, Amsterdam)およびその正中側面軸に亘って立体的に測定した。海綿体中の神経細胞損失を量的に評価するために、立体的ディセクター法(stereological disector technique)(Cruz-Orive, L. M.& Weibel, E. R. (1990)Am. J. Physiol. 258, L148-L156)を使用し、錐体神経細胞の数的濃度(Nv)を推定した。不偏計数フレーム(0.55mm×0.05mm;ディセクター高0.01mm)および高口径対象物(×40)をサンプリングのために使用した。正常な神経細胞は、ニッスル物質を含有する細胞質によって包囲された、明りょうな核質および明りょうな核小体を有する典型的な核の存在によって同定された。CA2とCA3下部領域との間の境界線は、大きい錐体細胞のルーズな配置が、下部領域CA3の錐体細胞の密な配置になる位置であるとする。歯状顆粒細胞相の外側末端部に連結する任意のラインは、下部領域CA3とCA4との間の接合部であるとする。
【0111】
この試験動物において、例3の試験物質は、投与量依存型の神経保護作用を惹起した。神経保護作用はなおも例3の試験物質が、外傷後8時間までの投与される(i.c.v.)場合においては顕著である:
例3の試験物質の神経保護作用の投与応答は、成体Wisterラットに対して、外傷の15分後に投与(i.c.v)した場合において測定した。神経細胞密度は、方法において記載したようにCA3海綿体下部領域中で測定した。ビヒクル投与されたラットの左の非外傷側およびビヒクル投与されたラットの外傷を受けた右側において、6個の定位レベルで、CA3神経細胞±測定の標準エラー(=SEM)の密度を測定し、かつ結果を以下の第6表に示した。
【0112】
以下の表において、数(“n”)は、その際、適用された、グループあたりのラットの数を示す。
【0113】
【表6】

【0114】
ビヒクルの投与は、CA3海綿体中の神経細胞密度の減少を、コントロール値の35%まで生じる一方で、例3の試験物質の3、10または30μgの注入は、部分的に海綿体の神経細胞損失を回避し、その際、投与量は10μgで最も効果的であった。分散の分析(“ANOVA”)は、例3の試験物質の全部で3個の試験した投与量に関して、CA3海綿体中での神経細胞損失状での治療の顕著な保護効果を示した(P<0.001;n=10/グループ)。さらにANOVAは、10μgの投与量が、3μgまたは30μgの用量よりも、顕著に良好な神経保護作用を付与することを示した。
【0115】
例3の試験物質の神経保護作用の時間窓(time window)は、外傷後に生体のWisterラットに対して、2、4または8時間後に投与(i.c.v)した場合に測定した。神経細胞密度は、方法で記載したようにCA3海綿体下部領域中で測定した。ビヒクルまたは例3の試験化合物で処理されたラットの、外傷を受けた右側における6個の定位レベル中での、CA3神経細胞±SEMの密度を測定し、かつ結果として以下の第7表に示した。
【0116】
【表7】

【0117】
ビヒクルの注入は、CA3中での海綿体中で神経細胞密度の減少を、コントロール値の35%まで生じた。例3の試験物質10μgの脳室内注入は、部分的に海綿体神経損失を回避する。ANOVAは、全3個のポイントにおいて、CA3海綿体中の神経細胞損失上での例3の試験物質での処理の顕著な効果を示した(P<0.01、2および4時間、P<0.01、8時間)。
【0118】
2.アドリアマイシン毒性:抗アポトーシス活性の測定
200〜250gの体重のWisterラットを、クロラール水和物400mg/kgで麻酔し、かつAlzet 浸透ミニポンプ(2ML1)を皮下にインプラントした(=s.c)。ポンプについてはビヒクル又は本発明の化合物を含有する溶液で、適切な濃度で充填し、かつインプラント前に準備した。その後に動物は、アドリアマイシンを3回とも同じ投与量5mg/kgで、第1日目、2日目および3日目に投与された。ラットをアドリアマイシンの最初の注入後5日目に安楽死させ、かつリン酸バッファー中4%のパラホルムアルデヒドを含有する溶液で、心臓内灌流した。心臓、肝臓および腎臓をその後に取り出し、かつパラフィン包埋した。
【0119】
TUNEL染色:末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ−介在型dUTPニック末端−ラベル(TUNEL)に基づく組織学的分析のために、器官を5日間に亘って4℃で後固定し、かつパラフィン包埋した。TUNEL染色を、10μmの厚さのパラフィン片上で、ApopTag ペルオキシダーゼキット(S7100, Oncor Aooligene, Heidelberg Germany)を用いて、指示書にしたがって実施した。簡単に説明すると、プロテアーゼKでの前処理後に、内在性ペルオキシダーゼを消光させ、片を平衡化バッファー中で、インキュベートし、その後に、強いTdT酵素(ジゴキシジンラベルdUTPヌクレオチドを遊離3’−OH DNA末端に導入する)により処理した(1時間、37℃)。片を停止/洗浄バッファー中でインキュベートし(30分、37℃)、その後に、抗−ジゴキシゲニン−オエルオキシダーゼ複合体でインキュベートし(30分)、その後にDAB基質(Sigma, Desenhofen, Germany)と一緒にインキュベートし、メチルグリーンで軽く対比染色した。
【0120】
この試験モデル中で、例4の試験物質は、アドリアマイシン毒性に対して心臓、肝臓および腎臓において顕著な保護作用を付与し、この場合、これらは3個の器官においてTUNEL陽性細胞の密度の顕著な減少を示す。この効果は投与量依存的であって、その際、100mg/kg/日の投与量が最も効果的であった:
Wisterラットは、アドリアマイシンを15mg/kg(i.p.)の累加用量で投与した。例4の試験物質は、20、50または100mg/kg/日の投与量で、Alzet 浸透ミニポンプを用いて5日間に亘って投与した(s.c.)。動物を安楽死させ、かつ心臓内にアドリアマイシンの最初の注入後5日間に亘って灌流させ、かつ心臓、腎臓および肝臓についてTUNEL染色をおこなった。TUNEL陽性細胞の密度を方法に記載したように測定した。それぞれの器官(心臓、肝臓、腎臓)の結果は、TUNEL陽性細胞±SEMの平均密度として、コントロール群および種々の試験群(例4の試験化合物20、50または100mg/kg/日)に関して測定し、かつ以下の第8表に示した。
【0121】
【表8】

【0122】
例4の試験物質は、投与量依存的に、全3個の器官におけるアドリアマイシンの細胞毒性作用を減少させた。グループ間の比較は、スチューデントt試験を用いて実施した(**P<0.01、***P<0.001、ビヒクル処理されたラットとの比較)。
【0123】
さらに本発明は、ほ乳類およびヒトにおいて、血管障害または疾病の処置または予防のための方法を提供するか、および/またはアポトーシスに関連する悪状態の治療のための方法を提供し、この場合、この方法は、式Iの化合物の効果的な量を、これを必要とする患者に投与することを含む。
【0124】
さらに本発明は、ほ乳類およびヒトにおける性的機能不全を治療するかまたは予防するための方法を提供し、この場合、この方法は、NEPおよびhSEPを阻害する能力を有する二重の作用を有する化合物、特に本発明による式Iの化合物の効果的な量を、これを必要とする患者に投与することを含む。
【0125】
式Iの化合物は、通常の医薬組成物の形で投与することができる。使用すべき用量は、別個に可変であってもよく、かつ治療すべき状態および使用された物質の方にしたがって通常は可変であってもよい。しかしながら、一般に、個々の投与量あたり、活性物質を0.2〜500mg、特に10〜200mgを有する医薬形が、ヒトおよび大型ほ乳類の治療のために適している。さらに本発明の薬剤は、静脈注入によって投与すべきであり、その際、有利には0.001〜10mg/kg/時間の範囲の投与量である。前記投与量は平均かつ典型的な場合の投与量である。化合物は、本発明によれば常用の製薬学的助剤および/または賦形剤と一緒に、固体または液体の製薬学的組成物の形で含有されていてもよい。固体医薬組成物の例は、経口的に、たとえば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、粉末または顆粒剤として、あるいは二者択一的に坐剤として投与されてもよい。これらの医薬組成物は、常用の製薬学的無機および/または有機賦形剤、たとえばタルク、ラクトースまたはデンプンを、常用の製薬学的助剤、たとえば滑剤または錠剤崩壊剤に加えて含有していてもよい。活性物質の懸濁液またはエマルションとしての液体医薬組成物は、通常の希釈剤、たとえば水、油および/または懸濁剤、たとえばポリエチレングリコール等を含有していてもよい。他の助剤は付加的に、たとえば保存剤、矯味補正剤等を添加してもよい。
【0126】
活性物質は、製薬学的助剤および/または賦形剤と一緒に、公知方法で、混合および配合することができる。固体医薬形の製造に関して、活性物質は、たとえば、助剤および/または賦形剤と一緒に通常の方法で混合することができ、かつ湿式または乾式造粒することができる。顆粒または粉末は、常用の方法で、直接的にカプセル剤中に注ぎ入れてもよいかまたは錠剤コア中に圧縮されていてもよい。これらは、好ましい場合には公知方法で被覆することができる。
【0127】
以下の例は、さらに本発明を説明するものであって、なんら本発明の範囲を制限するものではない。
【0128】
質量スペクトルは以下の方法を用いて測定された:
HPLC−MS API100 Quadrupol質量スペクトロメーター(PE Applied Biosystems)、この場合、これはLC200ポンプ(PE)と連結されたものである。エレクトロスプレーイオン化、ポジティブモード。スキャン幅m/z100〜1000。ソフトウエアMassChrom1.2 Xterra (R)カラム(4.6mm×50mm、2.5μm)
溶剤系:水(10mM酢酸アンモニウム、pH5)およびアセトニトリル、直線勾配5%アセトニトリル〜95%/10分
【0129】
実施例
例1
エチル−2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチレート
【0130】
【化9】

【0131】
A)ベンジルアルコール91.9mlを、イタコン酸無水物99.07gに添加し、かつ混合物を65℃で8時間に亘って撹拌した。冷却時に生じた結晶を、n−ヘキサン/ジエチルエーテル2:1(v/v)の混合物35mlと一緒にスラリーにし、これを溶剤から濾別した。得られた粗生成物をジエチルエーテル150ml中に、加熱条件下で溶解し、n−ヘキサン80mlを添加することにより再度結晶化させた。組み合わされた母アルカリ液(mother lyes)を還元し、前記方法に相応して再結晶化し、かつ得られた結晶を最終的に主要量に添加した。2−[(2−ベンジルオキシ)−2−オキソエチル]アクリル酸120gが得られ、この場合、これらは次の反応のためにさらに精製をおこなうことなく直接使用した。
【0132】
B)前記で得られた2−[(2−ベンジルオキシ)−2−オキソエチル]酢酸100gを、メチル−tert.−ブチルエーテル100ml(=MTBE)に懸濁し、かつピリジン0.5mlをこれに添加した。塩化チオニル47mlをこれに滴加し、かつ得られた混合物を還流冷却下で、沸騰するまで1.5時間に亘って加熱した。RTに冷却した後に、減圧下でほぼ乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物をジクロロメタン50ml中に溶解し、かつ0〜5℃で、ジクロロメタン150ml中のエタノール16mlおよびトリエチルアミン36.5mlから成る、レシービング溶液に添加した。添加が終了するやいなや、撹拌を1時間に亘って約0℃にした。その後に、連続して2回に亘ってそれぞれ水250mlで洗浄し、1回、希釈された重炭酸ナトリウム水溶液100mlで洗浄し、かつ最終的に飽和された共通の(common)塩溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、かつ可能な限り減圧下で蒸発させた。得られた残留物の0.015mバールおよび150℃での蒸留により、2−メチレンコハク酸−4−ベンジルエステル−1−エチルエステル 56.3gを生じ、この場合、これらはさらに精製または特性付けすることなく、次の反応に直接的に使用した。
【0133】
C)ジイソプロピルアミン118mlを、乾燥テトラヒドロフラン3l(=THF)中に窒素雰囲気下で溶解し、かつ溶液を0℃に冷却した。n−ヘキサン中のn−ブチルリチウム2.5M溶液340mlをこのレシービング溶液に添加し、かつ撹拌を、添加が完了するやいなや0℃でさらに45分に亘っておこなった。その後に、100mlの乾燥THF中のシクロペンタンカルボン酸45gの溶液を、得られた混合物中に0〜5℃で滴加し、かつ混合物をその後に0℃で2時間に亘って撹拌した。これを−80℃に冷却し、かつTHF100ml中の前記2−メチレンコハク酸−4−ベンジルエステル−1−エチルエステル 72.6gの溶液(いくつかのバッチからの全量)をこれに滴加した。−75℃で2時間に亘って撹拌し、その後に2N塩化水素酸水溶液1.5lを添加した。融解および相分離の後に、水相を2回に亘って酢酸エチル(=EA)で抽出し、かつ有機相を組み合わせ、かつ硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を減圧下で蒸発させ、かつ揮発性物質を蒸留により0.02mバールおよび140℃で分離除去した。蒸留後に残存する残留物のシリカゲル上でのクロマトグラフィー(移動相:EA/n−ヘキサン1:6〜1:7v/v)によって、1−[4−(ベンジルオキシ)−2−(エトキシカルボニル)−4−オキソブチル]シクロペンタンカルボン酸22.8gが得られた;
H−NMR(CDCl):7.33,m,[5]:5.10,s,[2];4.04,m,[2];2.88,m,[1];2.80−2.48,AB−Q.,[2];2.2−2.1,m,[2];1.7−1.4,m,[6];1.20,tr,[3]。
【0134】
D)前記1−[4−(ベンジルオキシ)−2−(エトキシカルボニル)−4−オキソブチル]シクロペンタンカルボン酸 49.5g(いくつかのバッチからの全量)を、ジクロロメタン435ml中に溶解した。tert.−ブチル[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ]−1H−ベンズアゼピン−1−イル]アセテート(製造に関しては、EP0733642A1参照)39.5g、ヒドロキシベンゾトリアゾール18.3gおよびモルホリン60mlをこのレシービング溶液に添加した。その後に、EDC×Hcl 52gを得られた混合物に一度に添加し、かつ撹拌をRTで一晩に亘っておこなった。その後に、溶剤を減圧下で蒸発させ、かつ得られた残留物をEA750ml中に入れた。有機相を連続して、2N塩化水素水溶液100mlでそれぞれ2回に亘って洗浄し、かつ水100mlでそれぞれ2回に亘って洗浄し、かつ、飽和した共通の塩水溶液100mlで1回洗浄し、かつ硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶剤を減圧下で蒸発させ、かつ得られた残留物を、オイルポンプバキューム中で乾燥(5×10−2mバール)させることによって、2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}コハク酸−4−ベンジル−エステル−1−エチルエスエル 87.9gが黄色の油として得られ、この場合、これはさらに精製または特性付けすることなく、次の工程に使用した。
【0135】
E)前記2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}コハク酸−4−ベンジルエステル−1−エチルエステルを、酢酸エチル600ml(=EA)中に溶解し、かつ、活性体上のパラジウム(=Pc/C)20gをこれに添加した。これを1バールの水素圧で2時間に亘って水素化し、かつその後に反応混合物をセライト(Cellite)上で濾過した。濾過ケークをその後に、1.5lのEAで洗浄し、かつ組み合わされた有機相を極めて多量に減圧下で蒸発させた。残留物を500mlのEA/シクロヘキサン(1:1、v/v)中に入れ、かつそれぞれ飽和したNaCO溶液200mlでそれぞれ2回に亘って抽出した。水相を濃縮されたKHSO溶液で酸性化し、それぞれ200mlのEAで3回に亘って抽出した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後に、減圧下で蒸発させた。オイルポンプバキューム中での残存する残留物の乾燥によって、3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−メトキシ−4−オキソ酪酸71gが白色の発泡体として得られた。
H−NMR(CDCl):7.31−7.17,m,[3]:7.11,d,[0.5];7.08,d,[0.5];6.81,d,[0.5];6.73,d[0.5]。
【0136】
この場合に得られた中間生成物は、好ましい場合にはそのジアステレオマー的に純粋な構成成分に、分取高性能液体クロマトグラフィー(=HPLC)により分離することができる。前記中間生成物70gは、以下の方法で分離された:
カラム:LC−80−1、23.4×8cm、固定相:740gChiralpakAD、20μ;移動相:ヘプタン/イソプロパノール(85:15);UV検出:サイクル時間:45分;
分析:固定相:ChiralpakAD 20μ;移動相:ヘプタン/イソプロパノール9:1(v/v)、流速:2ml/分:サイクル時間:15分
11.6分の滞留時間で、第1の立体異性体30gが得られ、この場合、これらは基−COORを有するキラル中心“”に対して“rel1”と表記された、(3“rel1”)−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル−4−エトキシ−4−オキソ酪酸}として示された。
H−NMR(CDCl):7.31−7.18,m,[3]:7.09,d,[1];6.74,d,[1];4.53,4.48,4.37,4.32,AB−Q.,[2];4.48,m[1];4.11,m,[1]。
【0137】
6.5分の滞留時間で、第2の立体異性体33gが得られ、この場合、これらは、基“−COOR”を有するキラル中心“”に対して“rel2”と表記され、(3“rel2”)−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル−4−エトキシ−4−オキソ酪酸}として示された。
H−NMR(CDCl):7.31−7.17,m,[3]:7.11,d,[2];6.81,d,[1];4.60,4.56,4.35,4.31,AB−Q.,[2];4.48,m[1];4.10,m,[1];[α]=−136゜(1%メタノール中)。
【0138】
F)前記3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル−4−エトキシ−4−オキソ酪酸}4gを、ジクロロメタン15ml中に溶解した。このレシービング溶液を0℃に冷却した後に、トリエチルアミン1.12mlおよびエチルクロロホルメート0.77mlをゆっくりと、これに連続的に滴加し、かつ混合物を0℃で30分に亘って撹拌した。その後に、イソプロピルアミン0.94mlをこれに添加し、かつ撹拌をさらに0℃で3時間に亘っておこなった。溶剤を多量に減圧下で蒸発させ、かつ残存する残留物を100mlのEA中に入れた。有機相を引き続いて飽和KHSO水溶液で、かつ飽和された共通の塩水溶液で、それぞれ1回50mlで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、かつ溶液を多量に減圧下で蒸発させた。残留する残留物をオイルポンプバキューム中で乾燥させることによって、標題化合物4.29gが黄色がかった油として得られた。
MS:[M+H]:586;m/z:530;484;425。
【0139】
例2:
2−{[(3S)−1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ2,3,4,5−−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソ酪酸
【0140】
【化10】

前記1E)のエチル−2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチレート9.97gを、水/エタノール混合物(1:1v/v)200ml中に溶解し、かつ固体NaOH6.64gをこれに撹拌しながら添加した。撹拌を一晩に亘っておこない、その後に溶剤を、減圧下でかなり多量に蒸発させ、かつ残存する残留物をEA100ml中に入れた。水相を飽和KHSO水溶液で中和し、かつEAで3回に亘って抽出した。組み合わされた有機相を100mlの飽和された共通の塩溶液で洗浄し、かつ硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での溶剤の蒸発およびオイルポンプバキューム中での残存する残留物の乾燥によって、標題化合物5.59gが得られた。
【0141】
例3:
(2”rel1”)−2−{[(3S)−1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソ酪酸
【0142】
【化11】

前記例2)で得られたジアステレオマー混合物400mgを、以下の方法にしたがってHPLCにより分離した:
カラム:LC−80−1、25×8cm、固定相:ChiralpakAD、20μ;移動相:ヘプタン/イソプロパノール(85:15)(v/v)+0.1%トリフルオロ酢酸(=TFA);UV検出:流速:1ml/分;サイクル時間:15分;
分析:カラム:DAICEL ChiralpakAD;長さ:250mm;直径:4.6mm;移動相:n−ヘプタン800ml、2−プロパノール200ml、TFA2ml;流速:0.8ml/分:分析時間:30分
13.5分の滞留時間で、この条件下で、第1の立体異性体(=標題化合物)130mgが得られ、この場合、これらは基−COORを有するキラル中心“”に対して“rel1”と表記されたものであって、白色の固体として、EEから沈澱された;
H−NMR(メタノール):7.37−7.2,m,[4]:4.76,4.71,4.43,4.38,AB−Q.;4.4,m,[1];3.90,m[1];3.40,m,[1];2.22−2.60,m,[2];2.48−2.0,m,[12];1.10,d,[6];[α]=−90゜(1%メタノール中);Mp.:145℃。
【0143】
16.2分の滞留時間で、この条件下で、第2の立体異性体が得られ、この場合、これらは基−COORを有するキラル中心“”に対して“rel2”と表記された。
【0144】
例4:
(3S)−3−({[1−[(2“rel”1)−2−エトキシカルボニル)−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチル]シクロペンチル}−カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル]酢酸
【0145】
【化12】

【0146】
エチル(2“rel”1)−2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチレート4.29g(この場合、これらは例1と同様の方法によって製造されたものであるが、しかしながら、HPLC分離により得られた(3“rel1”)−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−エトキシ−4−オキソ酪酸を工程1E)の中間生成物として使用した)を、ジクロロメタン30ml中に溶解し、かつTEA17mlを添加した。混合物を一晩に亘って放置し、かつ溶剤および過剰量のTFAを減圧下で蒸発させた。残存する残留物をEA100ml中に入れ、かつ有機相を水で、pHが中性になるまで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、その後に溶剤を減圧下で極めて多量に蒸発させた。それぞれの場合において30mlのトルエンを2回に亘って残留物に添加し、かつ混合物を再度減圧下で蒸発させた。残存する残留物を、オイルポンプバキューム中で乾燥させることによって、白色の発泡体として標題化合物2.8gが得られた;
H−NMR(CDCl):7.33,m,[4]:6.82,d,[1];5.86,d,[1];4.64,m,[1];4.54,4.50,4.46,4.42,AB−Q.;3.20,m,[1]1.23,[3];1.09,[6];[α]=−155゜(1%メタノール中)。
【0147】
例5:
エチル(2“rel”1)−2−{[1−({[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキシブチレート
【0148】
【化13】

【0149】
(3“rel1”)−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−エトキシ−4−オキソ酪酸(例1E)によるジアステレオマー混合物の製造および引き続いてのHPLC)によるジアステレオマー分離により製造された)4.2gを、ジクロロメタン30ml中に溶解した。3−アミノ−1−プロパノール1.17ml、ジメチルアミノピリジン235mgおよびEDC1.61gをこのレシービング溶液に撹拌しながら添加した。1時間後に、混合物を減圧下で多量に蒸発させ、残存する残留物を100mlEA中に入れ、かつ有機相を2回に亘って30mlの希釈したKHSO水溶液でそれぞれ2回に亘って振盪させた。有機相を30mlの飽和された共通の塩水溶液でそれぞれ2回に亘って洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、その後に溶剤を多量に減圧下で蒸発させた。オイルポンプバキューム中での残存する残留物の乾燥によって、標題化合物4gが白色の発泡樹脂として得られた。
MS:[M+H]:602;m/z:546,500,425;H−NMR(CDCl):7.32−7.18,m,[3];7.12,d,[2];6.63,d,[1],6.49,tr,[1];4.57,4.63,4.34、4.30,AB−Q.[2];4.51,m,[1];4.11,m,[2];3.57,tr,[2]。
【0150】
例6:
エチル(2“rel1”)−4−{[3−(アセトキシ)プロピル]アミノ}−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソブチレート
【0151】
【化14】

【0152】
前記例5中で得られたエチル(2“rel1”)−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ]}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)−アミノ−4−オキソブチレート 1gを、ジクロロメタン20ml中に溶解し、かつ塩化アセチル340μlをこれに添加した。90分後に、溶剤を減圧下で多量に蒸発させ、かつ残存する残留物を20mlのEA中に入れ、かつ希釈された重炭酸ナトリウム水溶液10mlを用いて洗浄した。その後に、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶剤を減圧下で多量に蒸発させ、かつ残存する残留物についてシリカゲル上でクロマトグラフィーをおこなった(移動相:EA/n−ヘキサン7:3v/v)。オイルポンプバキューム中で生成物画分を乾燥(5×10−2mバール)させることによって、標題化合物920gが無色の油として得られた。
MS[M+H]:644;m/z:588,542,482,425。
【0153】
例7:
{(3“rel1”)−3−[({1−[(2S)−4−{[3−(アセチルオキシ)プロピル]アミノ}−2−(エトキシカルボニル)−4−オキソブチル]シクロペンチル}カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル}酢酸
【0154】
【化15】

【0155】
前記例6中で得られたエチル(2“rel1”)−4−{[3−(アセチルオキシ)プロピル]アミノ}−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)−シクロペンチル]メチル}−4−オキソブチレート929mgを、10mlのジクロロメタン中で溶解し、かつTFA2.2mlをこれに添加した。混合物を一晩に亘って放置し、その後に溶剤減圧下で多量に蒸発させ、かつ残存する残留物を30mlEA中に入れた。有機相を水でpHが中性になるまで洗浄し、かつ再度減圧下で多量に蒸発させ、かつ残存する残留物を、それぞれ10mlのトルエンを用いて2回に亘って洗浄(fumed off)した。標題化合物750gが白色の発泡樹脂として得られた。
MH:[M+H]:588;m/z:542,482,425;H−NMR(CDCl):7.33−7.14,m,[4];6.67,d,[1];6.59,tr,[1];4.69,4.64,4.35,4.30,AB−Q.,[2];4.63,m,[1];4.17,m,[1];4.09,q,[2];3.33,m,[1];3.15,m,[2]。
【0156】
例8:
((3S)−3−{[(1−{(2“rel1”)−2−エトキシカルボニル)−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル}−カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル}酢酸
【0157】
【化16】

【0158】
エチル(2“rel1”)−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ]}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ−4−オキソブチレート(製造に関して、例5参照)580mgを、TFAと、前記例4に記載の方法にしたがって反応させた。得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製した後に(固定相:シリカゲル:移動相:EA/メタノール9:1(v/v))、標題化合物240mgを無色の樹脂として得られた。
H−NMR(CDCl):7.34−7.15,m,[4];6.76,tr,[1];6.61,d,[1];4.75,4.71,4.20,4.16,AB−Q.,[2];4.57,m,[1];4.09,q,[2];MS:[M+H]:546;[α]=−112.5゜(1%メタノール中)。
【0159】
例9:
2−{[1−({[(3S)−1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドトキシプロピル)アミノ]−4−オキソ酪酸
【0160】
【化17】

【0161】
エチル(2S)−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキソ−ブチレート(製造に関しては、例5参照)6.43gを、水とエタノールとの混合物1:1(v/v)140ml中に溶解し、かつ固体NaOH4.28gをこれに撹拌しながら添加した。15時間後に、溶剤を減圧下で蒸発させ、残留物をEA100ml中に入れ、かつKHSO水溶液50mlで1回洗浄した。水相をEA30mlでそれぞれ2回に亘って抽出した。組み合わされた有機相を共通の塩水溶液30mlでそれぞれ2回に亘って洗浄し、かつ硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶剤の蒸発によって標題化合物5.41gが得られた。
【0162】
例10:
(2“rel1”)−2−{[1−({[(3S)−1−(カルボニルメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキソ酪酸
【0163】
【化18】

【0164】
前記例9で得られた異性体混合物800mgを、以下の方法にしたがって分取HPLCによって分離した:
固定相:Nucleosil 100-10; カラム:250mm長、20mm直径;流速:8ml/分;移動相:n−ヘプタン(800ml)、2−プロパノール(200ml)、TFA(1ml)
分析:固定相:EC250/4Nucleosil 100-10;カラム250ml長、4mm直径、流速:1.5ml/分;移動相:n−ヘプタン(800ml)、2−プロパノール(200ml)、TFA(1ml)
7.89分の滞留時間で、この条件下で、第1の立体異性体(=標題化合物)200mgが得られ、この場合、これらは基−COORを有するキラル中心“”に対して“rel1”と表記された。
H−NMR(CDOD):7.38,m、[4];4.78,4.73,4.43,4.38,AB−Q.,[2]:4.41,m,[1];3.93,m,[1];3.56,tr[2];3.40,m,[1];3.31,m,[1];3.22,m,[2],2.78,m,[1];2.65,m,[1]。
【0165】
4.47分の滞留時間で、この条件下で、第2の立体異性体が得られ、この場合、これらは基−COORを有するキラル中心“”に対して“rel2”と表記された。
【0166】
例11:
2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキソ酪酸
【0167】
【化19】

【0168】
前記例9で得られた2−{[1−({[(3S)−1−(カルボニルメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキソ酪酸(異性体混合物800mgを、ジメチルホルムアミド(=DMF)15ml中に溶解した。CsCO3 302.5mgおよび臭化エチル169mgをこのレシービング溶液にRTで撹拌しながら添加した。一晩撹拌した後に、水42mlおよびジクロロメタン21mlを用いて希釈し、かつ水相をジクロロメタンで抽出した。溶剤を減圧下で多量に蒸発させ、かつ残存する残留物についてクロマトグラフィーをおこなった(固定相:シリカゲル、移動相:EA(100%)、この場合、これらはEE/MeOH7:1(v/v))。オイルポンプバキューム中で、生成物画分を乾燥(5×10−2mバール)させることによって、標題化合物241gが発泡体樹脂として得られた。
MS:[M+H]+:546;m/z,453,425,379;1H−NMR(CDCl):7.34−7.1,m,[4];4.82,4.77,4.34,4.29,AB−Q−.[2];3.62,m,[2];3.37,m,[3]。
【0169】
例12:
2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソ酪酸
【0170】
【化20】

【0171】
エチル2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチレート(製造に関して、例1参照)2.6gを、エタノール52ml中に溶解した。水52ml中の固体NaOH710mgの溶液をこのレシービング溶液に添加した。30分後に、希釈されたKHSO水溶液で約pH2に酸性化し、かつ水相を50mlEAでそれぞれ3回に亘って抽出した。組み合わされた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶剤を減圧下で多量に蒸発し、かつ残存する残留物について、シリカゲル上でクロマトグラフィーをおこなった(移動相:EA/シクロヘキサン2:1v/v)。オイルポンプバキューム(5×10−2mバール)で、生成物画分を乾燥させることによって標題化合物2.2gが白色の発泡樹脂として得られた。
MS:[M+H]:558;m/z:502,425,397,323。
【0172】
例13:
4−クロロベンジル−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチレート
【0173】
【化21】

【0174】
前記2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソ酪酸300mgを、ジクロロメタン5ml中に溶解した。4−ジメチルアミノピリジン(=DMAP)33mg、4−クロロベンジルアルコール85mgおよびEDC×HCl 124mgをこれに添加し、その後に撹拌を一晩に亘っておこなった。混合物は5mlのジクロロメタンで希釈し、かつ有機相を連続的に希釈された水性KHSO溶液および飽和された通常の塩水溶液それぞれ2mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶剤を減圧下で多量に蒸発させることで乾燥させ、かつ残存する残留物について、シリカゲル上でクロマトグラフィーをおこなった(移動相:EA/シクロヘキサン3:2v/v)。オイルポンプバキューム(5×10−2mバール)中で生成物画分を乾燥させ、標題化合物320mgが白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]:682/684;m/z:626/628,576,484,425。
【0175】
例14:
{(3S)−3−[({1−[2−{[(4−クロロベンジル)オキシ]カルボニル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチル]シクロペンチル}カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル}酢酸
【0176】
【化22】

【0177】
前記で得られた4−クロロベンジル−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチレート318gを、ジクロロメタン11ml中に溶解した。TFA1.08mlをこれに添加し、かつ混合物を一晩に亘って撹拌した。その後に溶剤を、減圧下で多量に蒸発させ、残存する残留物をEA10ml中に入れ、かつ有機相をpH値が中性になるまで洗浄した。その後に溶剤を、減圧下で再度蒸発させ、かつ残存する残留物を、トルエン5mlで1回洗浄した。標題化合物305mgが白色の発泡樹脂として得られた。
MS:[M+H]:626/628;m/z:657,484,425。
【0178】
例15:
(2−メトキシエトキシ)メチル−2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソ酪酸
【0179】
【化23】

【0180】
2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソ酪酸(製造に関しては、例12参照)300mgを、ジクロロメタン5ml中に溶解した。DMAP33mg、メトキシエトキシメチルクロリド74μlおよびジエチルアミン90μlを、このレシービング溶液に添加した。反応混合物を一晩に亘って撹拌し、その後に5mlのジクロロメタンで希釈し、かつ有機相を連続的に、希釈されたKHSO水溶液および飽和された共通の塩溶液それぞれ3mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶剤を減圧下で蒸発させ、かつ残存する残留物についてシリカゲル上でクロマトグラフィーをおこなった(移動相:EA/シクロヘキサン2:1v/v)。オイルポンプバキューム中での生成物画分の乾燥によって、標題化合物191gが得られた。
MS:[M+H]:646;m/z:590,540,484,425。
【0181】
例44:
エチル(2“rel1”)−2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−オキソブチレート
【0182】
【化24】

【0183】
{(3S)−3−[({1−[(2“rel1”)−2−エトキシカルボニル)−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチル]シクロペンチル}−カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル}酢酸(製造に関して、例4参照)140mgを、3mlのエタノール中で溶解し、濃縮された硫酸5滴をこれに添加し、かつ混合物をRTで2日間に亘って撹拌した。その後に溶剤を減圧下で多量に除去し、かつ残存する残留物を5mlEA中に入れた。有機相を2mlのNaHSO水溶液で、2回に亘って洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥した後に、溶剤を減圧下で蒸発させ、かつ残留物についてシリカゲル上でクロマトグラフィーをおこなった(移動相:EA/シクロヘキサン8:2(v/v))。標題化合物46mgが、白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]:574;m/z;528,323,H−NMR(CDCl):7.33−7.11,m,[4];6.69,m,[1];6.44,m,[1],4.79、4.75,4.34,4.30,AB−Q−.[2];4.48,m,[1]。
【0184】
以下の第9表で挙げられた式Iの化合物は、前記実施例中で記載された方法によって製造することができるか、あるいは、本発明と同様の方法によって製造することができる。
【0185】
【表9】

【0186】
【表10】

【0187】
例69:
Tert.ブチル2−{[1−([(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル)アミノ]カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−4−オキソブタノエート
【0188】
【化25】

【0189】
A)2−[(2−ベンジルオキシ)−2−オキソエチル]酢酸100g(製造方法に関して、例1A参照)を、塩化チオニル47ml、tert.ブタノール43mlおよびピリジン110mlと一緒に、例1B)で記載された方法にしたがって反応させ、2−メチレンコハク酸−4−ベンジルエステル−tert.−ブチルエステル69.8gを得た。
[M+H]:227。
【0190】
B)前記2−メチレンコハク酸−4−ベンジルエステル−1−tert.−ブチルエステル29.6gを、ジイソプロピルアミン41.4ml、n−ヘキサン中1.6Mのn−ブチルリチウム溶液200mlおよびシクロペンタンカルボン酸12mlと、例1C)に記載した方法にしたがって反応させ、1−[4−(ベンジルオキシ)−2−(tert.ブトキシカルボニル)−4−オキソブチル]シクロペンタンカルボン酸24.5gを得た。
【0191】
C)前記1−[4−(ベンジルオキシ)−2−(tert.−ブトキシカルボニル)−4−オキソブチル]シクロペンカルボン酸15.8gを、tert.ブチル−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ)−1H−ベンズアゼピン−1−イル]アセテート(製造に関しては、EP0733642A1参照)11.75gと、例1D)に記載された方法にしたがって反応させ、2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}コハク酸−4−ベンジルエステル−1−tert.ブチルエステル21gを得た。
【0192】
D)前記2−{[(3S)−1−({[1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}コハク酸−4−ベンジルエステル−1−tert.ブチルエステル21gを、活性炭上6gのパラジウムで処理し、かつ例1E中に記載された方法にしたがって、12時間に亘って、水素圧1.3バールで水素化し、4−tert.ブトキシ−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸10gを得た。
MS:[M+H]:573;m/z:517,461;H−NMR(CDCl):7.31−7.17,m,[3];7.10,m,[1];6.80,d,[0.5];6.72,d[0.5];4.60−4.30,m,[3];3.30,m,[0.5];3.17,m,[0.5]。
【0193】
E)前記4−tert.ブトキシ−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸 1.11gを、ジクロロメタン7.8ml中に溶解し、かつ、トリエチルアミン300μlを添加した。氷浴中で0℃に冷却した後に、エチルクロロホルメート222μlをこのレシービング溶液に滴加した。混合物を30分に亘って撹拌し、その後に4−ヒドロキシピペリジン216mgを添加し、かつ混合物を一晩に亘って撹拌した。混合物をEAで希釈し、かつKHSO水溶液および塩水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、かつシリカゲル上でクロマトグラフィーをおこなう(液相:EA/シクロヘキサン1:1(v/v)、純粋なEA、EA/メタノール4:1(v/v)に変更)ことによって、標題化合物550mgが白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]:656;m/z:425,397,323。
【0194】
例70
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ−4−[4−(L−バリルオキシ)ピペリジン−1−イル]酪酸
【0195】
【化26】

【0196】
A)例67で得られたtert.ブチル2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−4−オキソブタノエート548mgを、ジクロロメタン3ml中に溶解した。その後にDMAP51mg、BOC−L−バリン182mgおよびEDC176mgを添加した。3時間に亘って撹拌した後に、混合物をEAで希釈し、かつ連続してKHSO水溶液および塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、かつシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーをおこなう(液相:EA/シクロヘキサン1:1(v/v)を純粋なEAに変更する)ことによって、1−(4−tert.ブトキシ−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソブタノイル)ピペリジン−4−イル−N−4−イル−N−(tert.−ブトキシカルボニル)−L−バリネート551mgが得られた。
MS:[M+H]:855;m/z:699,625,425,397,323,235。
【0197】
B)前記1−(4−tert.−ブトキシ−3−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソブタノイル)ピペリジン−4−イル−N−(tert.−ブトキシカルボニル)−L−バリネート551mgを、ジクロロメタン14ml中に溶解し、トリフルオロ酢酸1.49mlをこのレシービング溶液に添加した。一晩撹拌した後に、溶剤および過剰量の酸を、減圧下で蒸発させた。EAを残存する残留物に添加し、かつ有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で、pHが4になるまで洗浄した。その後に水相をEAで2回に亘って抽出し、かつ組み合わされた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下での溶剤の蒸発および引き続いてのオイルポンプバキューム中での残存する残留物の乾燥によって、標題化合物310mgが白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]:643;m/z:425,397,323。
【0198】
例71
Tert.ブチル2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ−ブタノエート
【0199】
【化27】

【0200】
A)1−[4−(ベンジルオキシ)−2−(tert.ブトキシカルボニル)−4−オキソブチル]シクロペンタンカルボン酸20g(製造に関しては、例69B参照)を、エチル−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ)−1H−ベンズアゼピン−1−イル]アセテート(EP0733642A1に記載された方法と同様の方法で製造した)13.4gと、例1D)に記載した方法にしたがって反応させ、4−ベンジル−1−tert.ブチル−2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)−シクロペンチル]メチル}スクシネート28.6gが得られた。
【0201】
B)前記4−ベンジル−1−tert.−ブチル−2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}スクシネート28.6gを、活性炭上のパラジウム5gで処理し、かつ4.5時間に亘って、2.3バールの水素圧で、例1E)に記載された方法にしたがって処理することによって、4−tert.−ブトキシ−3−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸16gが得られた。
[M+H];545;m/z:489。
【0202】
C)前記4−tert.ブトキシ−3−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸3gを、メチルイソプロピルアミン859μlと、例1F)に記載の方法にしたがって反応させ、標題化合物1.6gが白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]:600;m/z:544。
【0203】
例72
2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]−アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸
【0204】
【化28】

【0205】
例69で得られたtert.ブチル2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ−ブタノエートを、ジクロロメタン18ml中に溶解し、かつトリフルオロ酢酸1.95mlをこのレシービング溶液に添加した。一晩に亘っての撹拌後に、溶剤および過剰量の酸を、減圧下で蒸発させた。EAを残存する残留物に添加し、かつ有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で、水相のpHが5になるまで洗浄した。その後に有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウム上での有機相の乾燥およびシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって(液相:EA/シクロヘキサン1:1(v/v)純粋なEAに変換)、標題化合物430mgが白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]:544。
【0206】
例73
1−[(エトキシカルボニル)オキシ]エチル2−{1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)−アミノ]−4−オキソブタノエート
【0207】
【化29】

2−{[1−({[(3S)−1−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸(製造に関しては、例72参照)107mgを、DMF1ml中に溶解した。その後に、トリエチルアミン83μl、固体KCO 20mgおよびクロロエチルエチルカルボネート85μlを添加した。一晩に亘って撹拌した後に、混合物をEAで希釈し、かつ連続的にKHSO水溶液および塩水で洗浄した。硫酸マグネシウム上での有機相の乾燥およびシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(液相:EA/シクロヘキサン1:1(v/v))によって、標題化合物41mgが白色の発泡体として得られた。
MS:[M+H]+:660;m/z:526,449,310,253。
【0208】
例74
1−[(エトキシカルボニル)オキシ]エチル2−{[1−({[(3S)−1−(2−{1−[(エトキシカルボニル)オキシ]エトキシ)}−2−オキソ−エチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]−メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソブタノエート
【0209】
【化30】

【0210】
エチル2−{[1−({[(3S)−1−(2−tert.−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ−ブタノエート(例32参照、例2と同様の合成)500mgを、DMF10ml中に溶解した。その後に、クロロエチルエチルカルボネート312μl、固体CsCO 758mgおよび固体沃化カリウム80mgを添加した。60℃で5時間に亘って撹拌した後に、混合物をEAで希釈し、その後に2回に亘って水で洗浄した。硫酸マグネシウム上での有機相の乾燥およびシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって(液相:シクロヘキサン、EA/シクロヘキサン1:1(v/v)への変換)、標題化合物360mgが白色の油として得られた。
MS:[M+H]:748;m/z:614、480。
【0211】
例I:
{(3S)−3−[({1−[(2“rel1”−2−エトキシカルボニル)−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチル]シクロペンチル}−カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル}酢酸を含有するカプセル:
1カプセル当たり、以下の組成を有するカプセルを製造した:
{(3S)−3−[({1−[(2“rel1”−2−エトキシカルボニル)−4−(イソプロピルアミノ)−4−オキソブチル]シクロペンチル}−カルボニル)アミノ]−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−1−イル}酢酸 20mg、コーンスターチ60mg、ラクトース300mg、EA適量。
【0212】
活性物質、コーンスターチおよびラクトースは、均質なペースト状混合物に、EAを用いて加工した。ペーストを粉砕し、かつ得られた顆粒物を適したトレイ上に置き、かつ45℃で溶剤を除去するために乾燥させた。乾燥した顆粒は、クラッシャーを通過させ、かつミキサー中さらに以下の助剤と混合させた:
タルク5mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、コーンスターチ9mg。
【0213】
その後に400mgのカプセル中に注ぎ入れた(=カプセルサイズ0)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、Rは水素または生体反応活性エステルを形成する群であり、
は、水素、C〜C−アルキルまたはC〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基でエステル化されており、かつ、
はC〜C−アルキル;C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、これは、場合によっては、第2のヒドロキシル基により置換されており、かつ、このヒドロキシル基はそれぞれ、場合によってはC−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されているものであって;(C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル;C〜C−シクロアルキル;C−シクロアルキル−C〜C−アルキル;フェニル−C−アルキル、この場合、フェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって;ナフチル−C〜C−アルキル;C〜C−オキソアルキル;フェニルカルボニルメチル、この場合、フェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって、あるいは、2−オキソアゼパニルであるか、あるいは、
およびRは一緒になって、C〜C−アルキレンであり、この場合、メチレン基は、場合によってはカルボニル、窒素、酸素および/または硫黄によって1〜2回置換され、および/または、場合によってはヒドロキシによって1回置換されており、この場合、これは、場合によっては、C〜C−アルカノニルまたはアミノ酸基によってエステル化されており;C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によっては、C〜C−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されており;フェニルまたはベンジルであり、かつ、
は水素または生体反応活性エステルを形成する基である]の化合物および式Iの酸の生理学的認容性の塩および/または式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩。
【請求項2】
式中、Rは水素または生体反応活性エステルを形成する群であり、
は、水素、C〜C−アルキルまたはC〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によってはC〜C−アルカノイルで置換されており、かつ、
はC〜C−アルキル;C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、これは、場合によっては、第2のヒドロキシル基により置換されており、かつ、ヒドロキシル基は、場合によってはC−アルカノイルで置換されているものであり;C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル;C〜C−シクロアルキル;C−シクロアルキル−C〜C−アルキル;フェニル−C−アルキル、この場合、フェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって;ナフチル−C〜C−アルキル;C〜C−オキソアルキル;フェニルカルボニルメチル、この場合、フェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって、あるいは、2−オキソアゼパニルであるか、あるいは、
およびRは一緒になって、C〜C−アルキレンであり、この場合、メチレン基は、場合によってはカルボニル、窒素、酸素および/または硫黄によって1〜2回置換されており、かつ、場合によってはC〜C−アルキルによって1回置換されており;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によっては、C〜C−アルカノイルで置換されており;酸素;フェニルまたはベンジルであり、かつ、
は水素または生体反応活性エステルを形成する基である、請求項1に記載の式Iの化合物および式Iの酸の生理学的認容性の塩および/または式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩。
【請求項3】
が水素、エチル、メトキシエトキシメチル、(RS)−1−[[(イソプロピル)カルボニル]オキシ]エチル、(RS)−1−[[(エチル)カルボニル]−オキシ]−2−メチルプロピル、(RS)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチル、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル−メチル、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルまたは(RS)−1−[[(エトキシ)カルボニル]オキシ]−エチルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
が水素、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチルまたは3−ヒドロキシプロピルであり、その際、それぞれヒドロキシル基は場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基によってエステル化されている、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
がイソプロピル;メトキシエチル;2−ヒドロキシエチルまたは3−ヒドロキシプロピルであり、その際、それぞれヒドロキシル基は場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基によってエステル化されており;3−アセチルオキシ−n−プロピル;シクロプロピルメチル;2−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルエチル、2,4−ジメトキシベンジル;1−ナフチルメチル;3−オキソ−1,1−ジメチルブチル;フェニル−2−オキソエチル、2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−エチル、3−(2−オキソアゼパニル)、ジメチルアミノ−n−プロピル、(メチル)アミノエチル、アミノ−n−プロピル、アミノ−n−ブチルまたはアミノ−n−ペンチルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
およびRが一緒になってモルホリン;ピペリジン;4−ケトピペリジン;4−ヒドロキシピペリジン、この場合、これらは場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基により、ヒドロキシ基でエステル化されており;ピペラジンまたはピロリジンである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
が水素、C〜C−アルキル、p−メトキシベンジル、N,N−ジ−(C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル、(RS)−1−[[(イソプロピル)カルボニル]−オキシ]エチル、(RS)−1−[[(エチル)カルボニル]オキシ]−2−メチルプロピル、(RS)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]−オキシ]エチル、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル−メチル、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルまたは(RS)−1−[[(エトキシ)カルボニル]オキシ]エチルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[イソプロピル(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(ジメチルアミノ)−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(ジエチルアミノ)−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[(3−ヒドロキシプロピル)(メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ−4−[4−(L−バリルオキシ)ピペリジン−1−イル)−酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)酪酸;
4−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−{エチル[3−(エチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]−4−オキソ酪酸;
4−[(3−アミノプロピル)(エチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−{メチル[2−(メチルアミノ)エチル]アミノ}−4−オキソ酪酸;
4−[(4−アミノブチル)(メチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸;
4−[(4−アミノブチル)(エチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸;
2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}−カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−オキソ酪酸および
4−[(5−アミノペンチル)(メチル)アミノ]−2−{[1−({[1−(カルボキシメチル)−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−3−イル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−オキソ酪酸から成る群から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物および式Iの化合物の酸の生理学的認容性の塩および/または式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩。
【請求項9】
ベンズアゼピン骨格の3位でアミド側鎖を有するキラル炭素原子が、“S”配置である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の式Iの化合物の薬理学的有効量および常用の製薬学的助剤および/または賦形剤を含有する、医薬組成物。
【請求項11】
心臓血管障害または疾病を予防および/または治療するための医薬を製造するための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項12】
心臓血管障害または疾病が、鬱血性心不全;高血圧、この場合、これらは高血圧の二次的形態、たとえば本態性高血圧、腎性高血圧および/または肺性高血圧を含む、から成る群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
性的機能不全を予防および/または治療するための医薬を製造するための、中性エンドペプチダーゼおよびヒト可溶性エンドペプチダーゼを阻害可能な、二重の作用を有する化合物の使用。
【請求項14】
請求項1に記載の式Iの化合物の請求項13に記載の使用。
【請求項15】
性的機能不全が、女性の性的機能不全および男性の性的機能不全から成る群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
性的機能不全が男性の性的機能不全である、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
性的機能不全が、勃起機能不全、射精障害および性欲障害から成る群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
性的機能不全が、勃起機能不全である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
アポトーシスと関連する悪状態の予防および/または治療のための医薬を製造するための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項20】
アポトーシスと関連する悪状態が神経変性障害、たとえば、虚血性発作、大脳虚血、外傷性脳疾患、急性散在性脳脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、色素性網膜炎、軽度の認知障害、アルツハイマー氏病、ピック病、老人性痴呆、進行性核上麻痺、皮質下痴呆、ウィルソン病、多発性梗塞障害、動脈硬化性痴呆、AIDS随伴性痴呆、小脳変性症候群、脊髄小脳変性症候群、フリードライヒ失調症、毛細血管拡張性運動失調症、てんかん関連脳損傷、脊髄損傷、レストレスレッグス症候群、ハンチントン病およびパーキンソン氏病、線条体黒質変性症、脳血管障害、糸粒体脳心筋炎、ニューロンセロイド脂褐素沈着症、棘筋萎縮症、中枢神経系波及型リソソーム貯蔵障害、白質ジストロフィー、尿素回路血管障害、肝性脳障害、腎性脳障害、代謝性脳障害、ポルフィリン症、細菌またはウイルス性髄膜炎および髄膜脳症、プリオン病、神経毒化合物での中毒、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性ニューロパシー、多発性筋炎、皮膚真菌症、放射線誘導性脳損傷;胃腸障害、たとえば、過敏性腸症候群および炎症性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎、小児脂肪便症、ヘリコバクターピロリ胃炎および他の伝染性胃炎、壊死性小腸大腸炎、偽膜性小腸大腸炎、放射線誘導性小腸大腸炎、リンパ球性胃炎、移植臓器体個体反応疾患、急性および慢性膵炎、肝臓障害、たとえばアルコール性肝炎、ウイルス性肝炎、代謝性肝炎、自己免疫性肝炎、放射線誘導性肝炎、肝硬変、溶血尿毒症候群、腎炎、ループス腎炎、ウイルス性疾患、たとえば、劇症肝炎:関節疾患、たとえば外傷および変形性関節炎;免疫阻害または免疫不全障害、特に自己免疫疾患、たとえば特発性炎症性筋疾患、慢性好中球減少症、血栓球減少性紫斑病、リウマチ様動脈炎、特発性血栓球減少性紫斑病、自己免疫溶血症候群、抗リン脂質抗体症候群、心筋炎、多発性硬化症およびその診断学的亜分類である再発性弛緩性多発性硬化症、続発性進行性多発性硬化症、原発性進行性多発性硬化症、進行性再発性多発性硬化症、急性多発性硬化症、良性再発性多発性硬化症または無症状多発性硬化症、視神経脊髄炎(デビック病)、リンパ球下垂体炎、ブレーブス病、アジソン病、副甲状腺機能低下症、I型糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、乾癬性関節炎、子宮内膜症、自己免疫精巣炎、自己免疫性勃起機能不全、サルコイド症、ヴェグナー肉芽腫症、自己免疫性難聴、シェーグレン病、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、間質性膀胱炎、グッドパスチャー症候群および繊維性筋肉痛:異形成脊髄症、たとえば再生不良性貧血;尋常性天疱瘡を含む外皮的疾患、皮膚筋炎、アトピー性皮膚炎、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、座瘡、全身性硬化症、脂漏性角化症、皮膚肥満細胞症、慢性増殖性皮膚炎、異常角化症、硬皮症、間質性肉芽腺症、乾癬、皮膚の細菌感染、皮膚糸状菌症、ライ病、皮膚リーシュマニア症、白斑、中毒性表皮壊死症、スティーブンズジョンソン症候群、脂腺腺腫、脱毛症、皮膚の光による損傷、硬化性苔癬、急性皮膚創傷、色素失調症、皮膚の熱による損傷、発疹性膿疱症、苔癬様皮膚疾患、皮膚のアレルギー性血管炎、細胞毒性皮膚炎;内耳疾患、たとえば音響外傷誘発性聴覚毛細胞死および難聴、アミノグリコシド誘発性聴覚毛細胞死および難聴、耳毒性薬剤誘発性難聴、外リンパ異常導管症、コレステリン腫、うずまき管または前庭虚血、メニエル氏病、放射線誘発性難聴、細菌またはウイルス性感染によって誘導された難聴および特発性難聴;移植:移植臓器体個体反応疾患、心臓、腎臓、皮膚、角膜、骨髄または肝臓−移植による急性または慢性拒絶反応;創傷治癒および組織拒絶反応である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
アポトーシスと関連する悪状態が神経変性障害、たとえば虚血性発作、大脳虚血、外傷性脳疾患、急性散在性脳脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、色素性網膜炎、軽度の認知障害、アルツハイマー氏病、ピック病、老人性痴呆、進行性核上麻痺、皮質下痴呆、ウィルソン病、多発性梗塞障害、動脈硬化性痴呆、AIDS随伴性痴呆、小脳変性症候群、脊髄小脳変性症候群、フリードライヒ失調症、毛細血管拡張性運動失調症、てんかん関連脳損傷、脊髄損傷、レストレスレッグス症候群、ハンチントン病およびパーキンソン氏病、線条体黒質変性症、脳血管障害、糸粒体脳心筋炎、ニューロンセロイド脂褐素沈着症、棘筋萎縮症、中枢神経系波及型リソソーム貯蔵障害、白質ジストロフィー、尿素回路血管障害、肝性脳障害、腎性脳障害、代謝性脳障害、神経毒化合物による神経障害、ポルフィリン症、細菌またはウイルス性髄膜炎および髄膜脳症、プリオン病、神経毒化合物での中毒、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性ニューロパシー、多発性筋炎、皮膚真菌症、放射線誘導性脳損傷である、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
アポトーシスと関連する悪状態が過敏性腸症候群および炎症性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎、小児脂肪便症、ヘリコバクターピロリ胃炎および他の伝染性胃炎、壊死性小腸大腸炎、偽膜性小腸大腸炎、放射線誘導性小腸大腸炎、リンパ球性胃炎、移植臓器体個体反応疾患、急性および慢性膵炎である、請求項19に記載の使用。
【請求項23】
アポトーシスと関連する悪状態が肝臓障害、たとえばアルコール性肝炎、ウイルス性肝炎、代謝性肝炎、自己免疫性肝炎、放射線誘導性肝炎、肝硬変、溶血尿毒症候群、腎炎、ループス腎炎である、請求項19に記載の使用。
【請求項24】
アポトーシスと関連する悪状態がウイルス性疾患、たとえばたとえば、劇症肝炎である、請求項19に記載の使用。
【請求項25】
アポトーシスと関連する悪状態が関節疾患、たとえば外傷および変形性関節炎である、請求項19に記載の使用。
【請求項26】
アポトーシスと関連する悪状態が免疫阻害または免疫不全障害、特に自己免疫疾患、たとえば特発性炎症性筋疾患、慢性好中球減少症、血栓球減少性紫斑病、リウマチ様動脈炎、特発性血栓球減少性紫斑病、自己免疫溶血症候群、抗リン脂質抗体症候群、心筋炎、多発性硬化症およびその診断学的亜分類である再発性弛緩性多発性硬化症、続発性進行性多発性硬化症、原発性進行性多発性硬化症、進行性再発性多発性硬化症、急性多発性硬化症、良性再発性多発性硬化症、無症状多発性硬化症、視神経脊髄炎(デビック病)、リンパ球下垂体炎、ブレーブス病、アジソン病、副甲状腺機能低下症、I型糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、乾癬性関節炎、子宮内膜症、自己免疫精巣炎、自己免疫性勃起機能不全、サルコイド症、ヴェグナー肉芽腫症、自己免疫性難聴、シェーグレン病、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、間質性膀胱炎、グッドパスチャー症候群および繊維性筋肉痛である、請求項19に記載の使用。
【請求項27】
アポトーシスと関連する悪状態が異形成脊髄症、たとえば再生不良性貧血である、請求項19に記載の使用。
【請求項28】
アポトーシスと関連する悪状態が尋常性天疱瘡を含む外皮的疾患、皮膚筋炎、アトピー性皮膚炎、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、座瘡、全身性硬化症、脂漏性角化症、皮膚肥満細胞症、慢性増殖性皮膚炎、異常角化症、硬皮症、間質性肉芽腺症、乾癬、皮膚の細菌感染、皮膚糸状菌症、ライ病、皮膚リーシュマニア症、白斑、中毒性表皮壊死症、スティーブンズジョンソン症候群、脂腺腺腫、脱毛症、皮膚の光による損傷、硬化性苔癬、急性皮膚創傷、色素失調症、皮膚の熱による損傷、発疹性膿疱症、苔癬様皮膚疾患、皮膚のアレルギー性血管炎、細胞毒性皮膚炎である、請求項19に記載の使用。
【請求項29】
アポトーシスと関連する悪状態が内耳疾患、たとえば音響外傷誘発性聴覚毛細胞死および難聴、アミノグリコシド誘発性聴覚毛細胞死および難聴、耳毒性薬剤誘発性難聴、外リンパ異常導管症、コレステリン腫、うずまき管または前庭虚血、メニエル氏病、放射線誘発性難聴、細菌またはウイルス性感染によって誘導された難聴および特発性難聴である、請求項19に記載の使用。
【請求項30】
アポトーシスと関連する悪状態が移植:移植臓器体個体反応疾患、心臓、腎臓、皮膚、角膜、骨髄または肝臓−移植による急性または慢性拒絶反応である、請求項19に記載の使用。;
【請求項31】
アポトーシスと関連する悪状態が創傷治癒および組織拒絶反応である、請求項19に記載の使用。
【請求項32】
請求項1に記載の式Iの化合物の有効量を、これを必要とする患者に投与することを含む、ほ乳類およびヒトにおける心臓血管障害または疾病を治療または予防するための方法。
【請求項33】
請求項1に記載の式Iの化合物の有効量を、これを必要とする患者に投与することを含む、ほ乳類およびヒトの性的機能不全を予防または治療するための方法。
【請求項34】
請求項1に記載の式Iの化合物の有効量を、これを必要とする患者に投与することを含む、ほ乳類およびヒトのアポトーシスと関連する悪状態を治療または予防するための方法。
【請求項35】
式I
【化2】

[式中、Rは水素または生体反応活性エステルを形成する群であり、
は、水素、C〜C−アルキルまたはC〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によってはC〜C−アルカノイルまたはアミノ酸残基でエステル化されており、かつ、
はC〜C−アルキル;C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、これは、場合によっては、第2のヒドロキシル基により置換されており、かつ、このヒドロキシル基はそれぞれ、場合によってはC−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されているものであって;(C−アルキル)アミノ−C〜C−アルキル;C〜C−シクロアルキル;C−シクロアルキル−C〜C−アルキル;フェニル−C−アルキル、この場合、フェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって;ナフチル−C〜C−アルキル;C〜C−オキソアルキル;フェニルカルボニルメチル、この場合、フェニル基は、場合によってはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはハロゲンによって1〜2回置換されているものであって、あるいは、2−オキソアゼパニルであるか、あるいは、
およびRは一緒になって、C〜C−アルキレンであり、この場合、メチレン基は、場合によってはカルボニル、窒素、酸素および/または硫黄によって1〜2回置換されており、かつ、場合によってはヒドロキシによって1回置換されており、この場合、これは、場合によっては、C〜C−アルカノニルまたはアミノ酸基によってエステル化されており;C〜C−アルキル;C〜C−ヒドロキシアルキル、この場合、ヒドロキシル基は、場合によっては、C〜C−アルカノイルまたはアミノ酸基でエステル化されており;フェニルまたはベンジルであり、かつ、
は水素または生体反応活性エステルを形成する基である]の化合物および式Iの酸の生理学的認容性の塩および/または式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩を製造するための方法において、一般式II
【化3】

[式中、R101およびR401は、それぞれ互いに独立して、それぞれ酸保護基である]の化合物と、一般式III
【化4】

[式中、RおよびRは前記意味を有し、
および/またはRは遊離ヒドロキシル基を含有する]の化合物を反応させ、好ましい場合には、これらを一般式IV
【化5】

[式中、Xが脱離基である]と反応させるか、あるいは適した保護基によって保護されたアミノ酸誘導体と反応させ、
その際、R101および/またはR401が、生体反応活性エステルを形成する好ましい基を示さないか、および/またはRおよび/またはRが、保護基を任意の存在するアミノ酸残基中に含有する場合には、これらを得られた化合物中で引き続いて同時にかまたは別個に任意の順序で分離除去し、かつ望ましい場合には、それぞれの場合において分離された酸画分を生体反応活性エステル基に変換し、かつ、好ましい場合には得られた式Iの酸を、これらの生理学的認容性の塩に変換するか、あるいは、式Iの酸の塩を式Iの遊離酸に変換するか、および/または、式Iの塩基をその酸付加塩に変換するか、あるいは、酸付加塩を式Iの遊離塩基に変換する、ことを特徴とする、式Iの化合物および式Iの酸の生理学的認容性の塩および/または式Iの化合物の生理学的認容性の酸付加塩を製造するための方法。
【請求項36】
式II
【化6】

[式中、R101は酸保護基であり、かつ、R401は酸保護基である]の化合物。

【公表番号】特表2007−535482(P2007−535482A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527420(P2006−527420)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052289
【国際公開番号】WO2005/030795
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20, D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】