説明

アルカリ不安定ドラッグを含む安定化された組成物

アルカリ不安定ドラッグを含む安定化された生体接着性組成物と、その調製のための方法が提供される。態様の一つでは、上記組成物は、酸性成分及びアルカリ性熱可塑性マトリックス形成材料、例えば、ポリマーを含む予備生成された賦形剤混合物を含むホットメルト押出し(HME)組成物である。上記賦形剤混合物は、アルカリ不安定ドラッグとブレンド化する前に、形成される。次いで、上記ブレンドをホットメルト押出しして、上記HME組成物を形成する。そのようにすることにより、上記酸性成分は、上記賦形剤混合物を中和するか、穏やかな酸性とすることができる。この特定の方法は、ホットメルト押出しの際、アルカリ不安定ドラッグの分解を実質的に減らすことが示された。上記賦形剤混合物は、ホットメルト押出しの際に、軟化するか又は溶融する。それは、押出しの際に、ドラッグ含有粒子を溶解してもよいし、又は溶解しなくてもよい。種々の機能性賦形剤が、キャリアシステムに含まれ、工程を改良し、そして/又は上記HME組成物の化学的性質若しくは物理的性質を改良することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ不安定ドラッグ及びアルカリ性熱可塑性ポリマーを含むホットメルト押出し(hot−melt extruded,HME)組成物に関する。本発明はまた、改良されたドラッグ安定性を有するHME医薬組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療薬の頬へのデリバリーは、経口で投与された場合にかなりの量の初回通過代謝を受けるドラッグに関する非常に望ましい別の投与の様式である。ステロイド、特にテストステロンでは、経皮的又は経粘膜的デリバリーシステムを利用できる。
テストステロンを、経皮的に、経粘膜的に、又は剤形、例えば、パッチ、インプラント、フィルム、ゲル、クリーム、軟膏、又は坐薬を用いて体腔内に投与することができる。ANDRODERM(商標)(Watson Labs)及びTESTODERM(商標)(Alza Corp.)は、例示的な徐放経皮フィルムである。そのPDR包装挿入物に従うと、ANDRODERMのドラッグリザーバ層には、テストステロン、アルコール、グリセリン、グリセロールモノオレエート、メチルラウレート、アクリル酸コポリマー及び水が含まれる。
【0003】
多くの研究者は、種々の形態の医薬調製物を製造するために、ホットメルト押出し技法を利用している。Zhang及びMcGinityは、ホットメルト押出しを利用して、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及びポリビニルアセテートを有する持続放出マトリックスタブレット、そしてさらに一般的には、PEOを有する非フィルム調製物を製造し、ホットメルト押出しにより、ビニルラクタムコポリマーバインダー内の有効成分の固形剤形を製造する方法を実証した(Zhang,F.and J.W.McGinity,Properties of Sustained−Release Tablets Prepared by Hot−Melt Extrusion.Pharmaceutical Development and Technology,1999.4(2):p.241−250;Zhang,F.and J.W.McGinity,Properties of Hot−Melt Extruded Theophylline Tablets Containing Poly(Vinyl Acetate).Drug Development and Industrial Pharmacy,2000.26(9):p.931−942;Robinson,J.R.,J.W.McGinity,and P.Delmas,Effervevescent granules and methods for their preparation.June 2000 and November 2003,Ethypharm:米国特許第6071539号明細書及び同第6649186号明細書)。Aitken−Nicholら(Aitken−Nichol,C,F.Zhang,and J.W.McGinity,Hot Melt Extrusion of Acrylic Films.Pharmaceutical Research,1996.13(5):p.804−808)は、ホットメルト押出し法を用いて、活性なリドカインHClを含むアクリルポリマーフィルムを製造した。Grabowskiら(Grabowski,S.ら.、Solid active extrusion compound preparations containing low−substituted hydroxypropylcellulose.1999:米国特許第5939099号明細書、国際公開第9625151号パンフレット、ドイツ国特許第19504832号明細書、欧州特許第0809488号明細書)は、ホットメルト押出し技法を用いて、低置換化ヒドロキシプロピルセルロース内で活性な固体医薬調製物を製造した。
【0004】
Drug Delivery Technology,2004.4(7):p.40,42,44−47)は、ホットメルト押出し法を用いて、種々の粘膜部位への制御されたドラッグデリバリーのための局所及び粘膜接着用途のための生体接着性フィルムを製造した(Repka,M.A.,S.L.Repka及びJ.W.McGinity,Bioadhesive hot−melt extruded film for topical and mucosal adhesion applications and drug delivery and process for preparation thereof.April 23,2002:米国特許第6,375,963号明細書;Breitenbach,J.and H.D.Zettler,Method for producing solid sphereical materials containing a biologically active substance.2000:国際公開第0024382号パンフレット)。Robinsonらは、ホットメルト押出し技法を用いた、制御された発泡の速度を有する発泡性顆粒を製造した。Breitenbach及びZettler(Breitenbach,J.及びH.D.Zettler,Method for producing solid sphereical materials containing a biologically active substance.2000:国際公開第0024382号パンフレット)は、ホットメルト押出しを経由して、生理活性物質を含む球形の固体材料を製造した。De Brabanderら(de Brabander,C,C.Vervaet,and J.P.Remon,Development and evaluation of sustained release mini−matrices prepared via hot melt extrusion.Journal of Controlled Release,2003.89(2):p.235−247;de Brabander,C.ら,Bioavailability of ibuprofen from hot−melt extruded mini−matrices.International Journal of Pharmaceutics,2004.271(1−2):p.77−84)は、ホットメルト押出し技法を利用することにより、持続放出ミニマトリックスを実証した。
【0005】
種々のドラッグが、HME組成物に含まれている。所与の環境下において、安定なHME組成物を製造することができる。しかし、上記HME組成物のマトリックス内に含まれるドラッグの化学安定性は、他のマトリックス形成材料、ドラッグ、賦形剤の組み合わせ及び処理条件と比較して、非常に変化しやすい。
【0006】
種々の熱可塑性プラスチック材料が、HME組成物中のマトリックス形成材料として用いられている。これらの材料は、一般的に高分子量であるが、必ずしもそうではない。この用途に関してさらに望ましいポリマーの一つはPEOである。というのは、PEO系HME組成物は、生体接着性を有するからである。それらは、粘膜組織と接して置かれた場合に粘膜組織に接着する。従って、PEO系HME組成物を、治療薬の経粘膜的デリバリーに関して用いることができる。
【0007】
米国特許第6,072,100号明細書(Mooneyら)は、「ヒドロキシプロピルセルロース及びポリエチレンオキシドから成る群から選択される熱可塑性水溶性ポリマー;アクリル酸に由来する水溶性ポリマー;薬剤;及び可塑剤」を含む押出された組成物を開示する。
【0008】
米国特許第6,375,963号明細書(Repkaら)は、水膨潤性又は水溶性熱可塑性ポリマー(例えば、HPC又はPEO)及び生体接着性ポリマー(例えば、ポリカルボフィル、CARBOPOL、メチルビニルエーテル及びマレイン酸又は無水物のコポリマー、1種又は2種以上のアクリルポリマー、1種又は2種以上のポリアクリル酸、これらのポリマーのコポリマー、メチルビニルエーテル及びマレイン酸又は無水物のコポリマーの水溶性塩、それらの組み合わせ及びそれらの塩)を含む生体接着性ホットメルト押出しフィルム組成物を開示する。いくつかの実施形態では、上記フィルムは、有機酸、超崩壊剤、超吸収及び/又は抗酸化物質を含む。
【0009】
’963特許により、当業界に大きな進歩が提供されたが、PEOは、当該PEOが暴露されるホットメルト押出し条件に従って、分解を受ける場合がある。POLYOX(商標)(Dow Chemicalから販売されるポリエチレンオキシドに関する商標)に関する製品文献には、BHT及びビタミン−E(D−α−トコフェロール)が、PEOに基づくホットメルト押出し組成物を安定化するために好適な抗酸化物質であることが示されている。Huangら(Chinese Pharmaceutical Journal,(2003)55/6(463−472))には、PEOから製造されたホットメルト押出しフィルム内のパラベン及びBHTの有利な使用が開示されている。Repkaら(International Journal of Pharmaceutics,(20 JuI 2000)202/1−2,63−70)には、PEOから製造されたホットメルト押出しフィルム内のビタミン E TPGSの有利な使用が開示されている。
【0010】
Crowleyら(Dissertation Abstracts International,(2003)Vol.65,No.1B,p.178.Order No.:AAI3119662.264 pages;Biomaterials,(NOV 2002)Vol.23,No.21,pp.4241−4248)には、ビタミン−E−TPGS及びビタミン−E−スクシネートを包含することによる熱可塑性マトリックスとしてのPEOを含むホットメルト押出しフィルムの安定化が開示されている。高分子量PEOのための加工助剤として低分子量PEOを用いることが開示されている。彼らはまた、アスコルビン酸(0.5〜1.0%)がホットメルト押出しの際にPEOを分解するので、アスコルビン酸を、PEO含有処方に含ませるべきではないことを示唆している。Crowleyらは、上記フィルム内にテストステロン又は別のステロイドを用いることは開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さらに、HME組成物に含まれるドラッグはまた、分解を受けやすい場合がある。例えば、テストステロンは、アルカリ性条件において分解を受けやすい。その主要な分解生成物(degradant)には、6−β−ヒドロキシテストステロン、4−アンドロステン−16−α−オール−3,17−ジオン、アンドロステンジオン、エピ−テストステロンが含まれる。テストステロン又は他のアルカリ不安定ドラッグがHME組成物に含まれる場合、上記組成物は、必ずしもアルカリ性材料を除外するものではない。アルカリ性材料は、所望の物理的又は臨床特性を有することが多い。従って、それらを、HME組成物から除外することは望ましくない。
【0012】
アルカリ性マトリックス形成材料及びアルカリ不安定ドラッグを含むHME組成物を製造する方法を改良することは、当業界の進歩となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の組成物及び方法における固有の欠点の一部又は全部を克服することを探索している。本発明は、本願発明者が、アルカリ性又は中性の熱可塑性マトリックスを用いたホットメルト押出しの際に観察したアルカリ不安定ドラッグの不安定性の課題を解決する。アルカリ性であるPEOが、処理の際にテストステロンの分解を速めることが見出された。上記テストステロンと混合する前に、PEOを中和することにより、ホットメルト押出しの際に形成する不純物の量が減ることが見出された。
【0014】
本願発明者は、アルカリ不安定ドラッグを添加する前に、賦形剤混合物を形成するため、酸性成分及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤と、PEOを湿式造粒又は乾式造粒すると、PEOを上記マトリックス形成熱可塑性プラスチックとして用いることができることを見出した。次いで、上記賦形剤混合物を、上記処方に含まれうるテストステロン及び他の賦形剤と混合し、次いで、押出す。従って、本発明は、アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性熱可塑性水溶性又は膨潤性ポリマー(所望により生体接着性を有する)、及び酸性成分を含む治療安定化生体接着性ホットメルト押出し組成物を調製するための方法を提供し、当該方法は、次のステップ;賦形剤混合物を形成するために、上記酸性成分を、上記アルカリ性熱可塑性水溶性又は膨潤性ポリマーと混合するステップ、次いで、上記賦形剤混合物を、上記アルカリ不安定ドラッグとブレンド化するステップ。上記混合するステップは、湿式造粒ステップであることができる。
【0015】
本発明のキーとなる態様は、酸性成分を用いて、上記アルカリ性熱可塑性ポリマー(例えば、PEO)を、中和又は穏やかな酸性にすることを要求する。上記ポリマーは、上記マトリックスに含まれうる他の材料、例えば、Poloxamer及び上記酸性成分、例えば、クエン酸及び/又は酸性ポリマー、例えば、CARBOPOL(商標)と、それを湿式造粒又は乾式造粒することにより中和される。湿式造粒は、水(又は緩衝剤)又は水性アルコール溶液を用いて実施される。この賦形剤混合物を調製した後、それを所望により乾燥し、次いで、上記活性薬剤(例えば、テストステロン)と混合し、混合物全体のホットメルト押出しが続く。
【0016】
上記賦形剤混合物を調製するために湿式造粒が用いられる場合、水性媒体が用いられる。例示的な水性媒体には、水、緩衝剤、又は水(又は緩衝剤)含有有機溶媒が含まれる。実施形態の一つでは、上記有機溶媒は、水混和性である。好適な水混和性溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、シクロメチコーン、グリセリン、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、シメチコン、及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0017】
上記酸性成分を、液体又は固体として、上記アルカリ性ポリマーと混合することができる。例えば、上記酸性成分を、湿式造粒のために用いられる上記水性媒体を用いて、溶解、懸濁又は湿潤させることができる。あるいは、上記酸性成分を、固体で添加することができる。
【0018】
実施形態の一つでは、上記酸性成分は、上記湿式造粒ステップの際に溶解するであろう。別の実施形態では、上記酸性成分は、上記湿式造粒ステップの際に溶解しないであろう。例えば、上記酸性成分が酸性ポリマーである場合、当該酸性成分は、湿式造粒の際に溶解してもよいし、又は溶解しなくてもよい。上記酸性成分が、上記水性媒体と少なくとも水和する(又は湿潤する)ことが好ましい。別の実施形態では、湿式造粒又は乾式造粒ステップの際に均一になるまで、上記酸性成分を上記アルカリ性ポリマーと混合することができる。
【0019】
実施形態の一つでは、第2のマトリックス形成材料、例えば、Poloxamer、ビタミンE系抗酸化物質、及び酸性成分を、上記アルカリ性熱可塑性ポリマー、例えば、PEOと湿式造粒して、中和された賦形剤混合物を形成させる。この混合物を(所望により)乾燥させ、ドラッグと混合し、次いでホットメルト押出しする。あるいは、上記第2のマトリックス形成材料、抗酸化物質及びアルカリ性熱可塑性ポリマーを湿式造粒し、次いで、上記酸性成分を混入させて、上述の用に処理される中和された賦形剤混合物を形成させる。
【0020】
上記アルカリ不安定ドラッグ、例えば、テストステロン(Ts)の、加熱するための暴露時間を長くすると、より顕著な分解が生ずることが見出された。従って、本発明の別の態様は、処理の際に、その分解生成物の形成を最小化するように、テストステロンの熱暴露を最小化することが要求される。これは、押出し温度及び押出しの持続時間を最小化し且つ上記マトリックス粘度を下げるように選択することによりなされる。
【0021】
本発明の組成物は、フィルム、複層化(multi−layered)フィルム(ラミネート)、ロッド、ペレット、ビーズ、タブレット、ピル、造粒物、粉末、カプセル、チューブ、ストランド、又はシリンダーであることができ、そして種々の基材上に適用するために、粉末、ペレット又は粉末コーティングにさらに処理することができる。ラミネートは、少なくとも2層:生体接着性ドラッグリザーバ層及びバッキング層を含むであろう。実施形態の一つでは、上記ラミネートのバッキング層はまた、上記リザーバ層及びバッキング層の界面のところで生じうる界面の劣化を最小化するように酸性成分を含む。
【0022】
本発明の実施形態の一つは、アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とを含む安定化された生体接着性ホットメルト押出しラミネートを調製するための方法を提供し、当該方法は、次の各ステップを含む;
約7以下又は上記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成するために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性ポリマー、抗酸化物質、少なくとも1種の生体接着性ポリマー、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の疎水性ポリマー、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒又は乾式造粒するステップ;
生体接着性熱可塑性親水性第1組成物を形成するために、上記賦形剤混合物を、アルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;
少なくとも1種の疎水性ポリマー、可塑剤、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による少なくとも1種の酸性成分を含む熱可塑性疎水性第2組成物を提供するステップ;
生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とのそれぞれを含む生体接着性二層化ホットメルト共押出しラミネートを形成するために、上記第1組成物及び上記第2組成物を共押出しするステップ。
【0023】
本発明の別の態様は、アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とを含む安定化された生体接着性ホットメルト押出しラミネートを調製するための方法を提供し、当該方法は、次の各ステップを含む;
約7以下又は上記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成するために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性ポリマー、抗酸化物質、少なくとも1種の生体接着性ポリマー、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の疎水性ポリマー、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒又は乾式造粒するステップ;
少なくとも1種の疎水性ポリマー、可塑剤、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による少なくとも1種の酸性成分を含む熱可塑性疎水性第2組成物を提供するステップ;
生体接着性熱可塑性親水性第1組成物を形成するために、上記賦形剤混合物をアルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;
生体接着性親水性リザーバ層を形成するために、上記第1組成物を押出すステップ;
疎水性低透過性バッキング層を形成するために、上記第2組成物を押出すステップ;そして
上記ラミネートを形成するために、上記リザーバ層を、上記バッキング層に積層するステップ。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とを含む安定化された生体接着性二層化ラミネートを調製するための方法を提供し、当該方法は、次の各ステップを含む;
約7以下又は上記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成するために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性ポリマー、抗酸化物質、少なくとも1種の生体接着性ポリマー、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の疎水性ポリマー、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒又は乾式造粒するステップ;
生体接着性熱可塑性親水性第1組成物を形成するために、上記賦形剤混合物をアルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;
生体接着性親水性リザーバ層を形成するために、上記第1組成物を押出すステップ;
少なくとも1種の疎水性ポリマー、可塑剤、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による少なくとも1種の酸性成分を含む熱可塑性疎水性第2組成物を提供するステップ;そして下記のいずれか
生体接着性二層化ラミネートを形成するために、上記第2組成物を、上記リザーバ層上にホットメルト押出しするステップ;
疎水性低透過性バッキング層を形成するために、上記第2組成物をホットメルト押出しし、続いて、生体接着性二層化ラミネートを形成するために、上記リザーバ層及びバッキング層を合わせて積層するステップ;又は
生体接着性二層化ラミネートを形成するために、上記第2組成物を、上記リザーバ層上に注入成形するステップ。
【0025】
本発明の別の態様は、アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む安定化された生体接着性ホットメルト押出し組成物を調製するための方法を提供し、当該方法は、次のステップを含む;
約7以下又は上記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成するために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性ポリマー、抗酸化物質、少なくとも1種の生体接着性ポリマー、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の疎水性ポリマー、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒又は乾式造粒するステップ;
生体接着性熱可塑性親水性組成物を形成するために、上記賦形剤混合物をアルカリ不安定ドラッグと混合するステップ:そして
上記生体接着性ホットメルト押出し組成物を形成するために、上記親水性組成物をホットメルト押出しするステップ。
【0026】
上記アルカリ不安定ドラッグの添加の前及び/又は押出しの前のどちらかに、必要に応じて、上記組成物を所望により乾燥することができる。例えば、上記賦形剤混合物を、アルカリ性ドラッグと混合する前に乾燥することができ、又は上記生体接着性熱可塑性親水性組成物を、ホットメルト押出しの前に乾燥することができる。
【0027】
上記湿式造粒を、水、緩衝剤、又は水性アルコールを用いて実施することができる。造粒流体には、所望により酸性成分が含まれる。
上記酸性成分は、酸性ポリマー(例えば、生体接着性ポリマー)、無機酸、鉱酸若しくは有機酸又はそれらの混合物であることができる。例えば、上記生体接着性ポリマーは、上記酸性成分であることができる。
【0028】
上記湿式造粒ステップを、種々の方式で実施することができる。例えば、上記湿式造粒ステップは、Poloxamer、抗酸化物質、PEO及び有機酸を最初に湿式造粒し、次いで、生体接着性ポリマーを添加することにより実施することができる。あるいは、上記湿式造粒ステップを、有機酸及び親水性ポリマーの水性溶液を最初に混合し、次いで、PEOを添加し、次いで、生体接着性ポリマーを添加することにより実施することができる。
【0029】
上記生体接着性熱可塑性親水性組成物の組成は変わりうる。例えば、上記組成は、2種又は3種以上の熱可塑性及び水膨潤性、水溶性又は水侵食性のポリマーを含むことができ、そして/又は上記組成は、2種又は3種以上の水膨潤性、水侵食性又は水溶性のアルカリ性熱可塑性ポリマーを含むことができる。PEOは、例示的な生体接着性アルカリ性熱可塑性であって、水溶性又は水侵食性であるポリマーである。いくつかの実施形態では、上記水膨潤性又は水溶性のアルカリ性熱可塑性ポリマーは、生体接着性ポリマーである。
【0030】
上記賦形剤混合物の組成は変わりうる。例えば、親水性ポリマーが、上記賦形剤混合物中に存在することができ、別の疎水性ポリマーが、上記賦形剤混合物中に存在することができる。
上記バッキング層の組成は変わりうる。例えば、上記組成は、2種又は3種以上の異なる疎水性ポリマーを含むことができる。
いくつかの実施形態では、積層ステップは、加熱触媒化ラミネーションであり、そして/又は積層ステップは、上記リザーバ層及びバッキング層の間に接着剤を置くステップ、続いて、当該2層を共にプレスするステップを含む。
【0031】
上記ラミネートの上記リザーバ及びバッキング層を共押出しするか、又は個々に(連続又は同時に)押出し、続いて積層する場合、上記層は、少なくとも1種の共通ポリマーを含むことが好ましいが、しかし、上記層は、疎水性及び親水性の個々の特徴を保持することができる。上記リザーバ及びバッキング層は、それらのメルトフローインデックスが、個々の事前規定された範囲内にあること、そしてそれらの範囲が、少なくともいくつかの事前規定された範囲でオーバーラップすることを意味する、ほぼ同一のメルトフローインデックス(メルトフローレート、メルトインデックス)を有することが望ましい。
【0032】
上記HME組成物がテストステロンを含む場合、当該HME組成物は、テストステロン欠乏症、例えば、性機能低下症、ペーロニー病、持続勃起症、インポテンス、勃起不全、性欲減退、筋肉量の低下等に関連する1種又は2種以上の疾患を治療するために用いられうる。使用の方法には、制御放出形態における、テストステロンを含む生体接着性ホットメルト押出し組成物の、経皮的な、好ましくは頬からの投与が含まれる。使用の際、上記生体接着性層は、唾液から水を吸収し、そして制御様式において、テストストロンを放出し始める。
上記HME組成物を、投与の大部分の位置に種々のドラッグ放出プロファイルを供給するように処方することができる。
【0033】
本発明はまた、ホットメルト押出し技法により製造される、1種又は2種以上の高分子量キャリア内に、微細に且つ均一に分散された活性化合物を含んで成る医薬処方を含む。上記調製物は、固体分散物、ガラス溶液、分子分散物、及び固溶体を含むことができる。本発明はまた、上記活性薬剤(活性化合物)ニート工程(賦形剤を含まないことを意味する)において供給され、続いて、本明細書に列挙される方法が用いられる医薬処方を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記医薬組成物は、それらの中のドラッグが、押出しの際に溶解されることができるように処方される。
公知の方法により製造されたドラッグの微粒子を、特許請求の範囲に記載される医薬組成物に導入することができる。例には、マイクロナイゼーション及び微粉砕方法が含まれる。ドラッグ含有粒子が、ホットメルト押出しを経由して、上記マトリックス内に分散される。
【0035】
いくつかの実施形態では、上記熱可塑性マトリックス形成材料は、ポリエチレンオキシド;ポリプロピレンオキシド;ポリビニルピロリドン;ポリビニルピロリドン−co−ビニルアセテート;PLA、PLGA、アクリレート及びメタクリレートコポリマー;ポリエチレン;ポリカプロラクトン;ポリエチレン−co−ポリプロピレン;アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;でん粉、ペクチン;多糖類、例えば、トラガカントガム、アラビアゴム、グアールガム、サッカロースステアレート、キサンタンガム、脂質、ワックス、モノ、ジ、及びトリグリセリド、セチルアルコール、ステリルアルコール、パラフィンワックス等、水素化植物性油脂及びヒマシ油、グリセロールモノステアレート、腸溶性ポリマー、例えば、CAP、HPMCAS、シェラック、並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0036】
上記HME組成物からのドラッグの放出は、変化することができる。いくつかの実施形態では、上記組成物(又は剤形)は、使用の環境に暴露された後、治療化合物の即放(immediate release)又は速放(rapid release)を提供する。他の実施形態では、上記医薬組成物(又は剤形)は、使用の環境に暴露された後、治療化合物の遅延放出(delayed release)を提供する。
【0037】
本明細書に記載される医薬剤形又は組成物は、経皮的な、経粘膜的な、頬の、直腸の、肺の、鼻の、膣の、眼の、経口的な、口の、腸管の又は耳のドラッグデリバリーのために、又は埋め込むことができるドラッグデリバリーデバイスとして処方されうる。
本発明はまた、本明細書に開示される種々の実施形態の2種又は3種以上の組み合わせを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、アルカリ性不安定ドラッグ、熱可塑性生体接着性マトリックス、酸性成分及び所望による1種又は2種以上の賦形剤を含む安定化されたHME組成物を提供する。上記マトリックスは、1種又は2種以上のアルカリ性熱可塑性ポリマー、1種又は2種以上の生体接着性ポリマー、あるいはそれらの組み合わせを含む。上記HME組成物は、アルカリ性熱可塑性生体接着性高分子量マトリックス、酸性成分及び所望による1種又は2種以上の賦形剤を含む生体接着性ホットメルト押出し可能な賦形剤組成物を含み、ここで上記賦形剤組成物は、水中に入れた場合に、7.0以下の溶液pHを有する。アルカリ性熱可塑性生体接着性マトリックスを酸性成分と混合すると、当該アルカリ性熱可塑性生体接着性マトリックスは、上記マトリックスが水中に入れた場合に7以下のpHを有するであろうことを意味する非アルカリ性熱可塑性生体接着性マトリックスを形成するであろう。上記賦形剤組成物は、中性から穏やかな酸性のpH(2〜7)を有する。アルカリ不安定ドラッグ、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を、上記賦形剤組成物と混合し、そして当該混合物を、ホットメルト押出しして、安定化されたHME組成物を形成させる。
【0039】
用語「ホットメルト押出し」又は「ホットメルト押出しされた」は、組成物が、溶融された(又は軟化された)状態まで加熱及び/又は圧縮され、続いて押出された製品(押出物)が、その最終形状に形成される(それは、冷却の際に固化する)オリフィスにより押し付けられる方法を記載するために本明細書で用いられる。上記ブレンドを、典型的にはスクリュー機構により、加熱領域を介して輸送する。上記一又は複数のスクリューを、シリンダーバレル内の可変スピードモーターにより回転させ、そこでは、当該スクリューの外径及び上記バレルの内径の間に小さなギャップのみが存在する。この構造において、高シェアが、バレル壁のところ又はスクリューファイトの間で作り出され、それにより粉末ブレンドの種々の成分が良好に混合され、そして成分に分かれる。上記ダイは、デュアルマニホルド、マルチマニホルド又は供給ブロック型ダイであることができる。本明細書において、用語「押出物」は、HME組成物を指す。用語「共押出し」は、少なくとも2種の異なる溶融された組成物が、ラミネートのそれぞれの第1の及び第2の層を形成するようにデュアルコンファイニングオリフィス(confining orifice)を介して実質的に同時に押出され、それにより上記2層の横断面積が押出しダイのオリフィス出口の断面積に実質的に相当する押出し法を意味することを採用する。用語「ラミネーション」は、少なくとも2つの異なる層が、ホットメルト押出しされ、そして押出しオリフィスから排出された後に組み合わされ、そして一式の向かい合わせのローラーにより結合される押出し法を意味することを採用する。
【0040】
用語「ホットメルト押出可能な」は、材料又は組成物を、重大な熱劣化なしで、例えば、5重量%未満又は10重量%未満の分解と共にホットメルト押出しすることができることを意味するように選択される。
【0041】
図1は、本発明に従う、ドラッグリザーバ(2)を含む例示的なモノリシックなホットメルト押出し組成物(1)の概念的な断面正面図を描写する。本明細書に詳述されるように調製された押出物は、アルカリ性熱可塑性ポリマーを含むマトリックス内で、アルカリ不安定ドラッグの改良された安定性を提供する。上記ドラッグリザーバには、アルカリ不安定ドラッグ及び生体接着性熱可塑性マトリックスが含まれ、ここで上記マトリックスは、酸性成分(又は酸性化剤)、アルカリ性ポリマー、生体接着性ポリマー、熱可塑性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を含む。言い換えれば、上記マトリックスは、アルカリ性熱可塑性及び/又は生体接着性マトリックス形成材料、酸性成分及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を含む。
【0042】
本発明医薬組成物のマトリックスは、マトリックス形成材料、例えば、熱バインダー、圧力軟化性バインダー、又はそれらの組み合わせを含む。上記マトリックス内の少なくとも1種の高分子量バインダーは、生体接着性ポリマーである。上記マトリックス内の少なくとも1種のポリマーは、酸性成分を用いて処理する前に、アルカリ性のポリマーである。
【0043】
例示的な熱バインダーには、ポリエチレンオキシド;ポリプロピレンオキシド;ポリビニルピロリドン;ポリビニルピロリドン−co−ビニルアセテート;アクリレート及びメタクリレートコポリマー;ポリエチレン;ポリカプロラクトン;ポリエチレン−co−ポリプロピレン;アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;でん粉、ペクチン;PLA及びPLGA、ポリエステル(シェラック)、ワックス、例えば、カルナウバワックス、蜜ろう;多糖類、例えば、セルロース、トラガカントガム、アラビアゴム、グアールガム及びキサンタンガム:が含まれる。
【0044】
上記バインダーの特定の実施形態は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)であり、Dow Chemical Company及びSumitomo Seika等の企業から購入することができ、約100,000〜約8,000,000の平均分子量を有するPEOの例示的なグレードが販売されている。本発明において用いるために好適なPEOのグレードのいくつかが、以下の表に記載されており、それらは、それらのおおよその分子量及び溶液粘度に従ってグレードを区別している。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
一般に、本明細書に記載されるPEO材料又は本明細書に記載されるようなPEO材料の特徴を有する公知のPEOを用いることができる。
実施形態の一つでは、用語「PEOグレード1」は、5%溶液において25℃で12〜8800mPa・sの範囲の溶液粘度を有するか、又は100,000〜600,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドを意味するように選択される。グレード1PEOの例が上記表に列挙され、そしてPOLYOX WSR N−10,WSR N−80,WSR N−750,WSR N−3000,WSR N−205又はそれらの均等物が含まれる。
【0048】
実施形態の一つでは、用語「PEOグレード2」は、5%溶液(25℃)における8800mPa・s〜2%溶液(25℃)における4000mPa・sの範囲の溶液温度を有するか、又は900,000〜2,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドを意味するように選択される。PEOグレード2の例が上記表に列挙され、そしてPOLYOX WSR N−1105,WSR N−12K,WSR N−60、又はそれらの均等物が含まれる。
【0049】
実施形態の一つでは、用語「PEOグレード3」は、1%溶液において25℃で1650〜15,000mPa・sの範囲の溶液粘度を有するか、又は4,000,000〜8,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドを意味するように選択される。グレード1PEOの例が上記表に列挙され、そしてPOLYOX WSR 301,WSR Coagulant,WSR 303,WSR 308、又はそれらの均等物が含まれる。
【0050】
PEOグレード1、PEOグレード2及び/又はPEOグレード3が、上記ドラッグリザーバ層、不活性なバッキング層又は両方の層に生じうる。特定のグレードのPEOが、上記リザーバ層及び不活性なバッキング層内に見出される実施形態では、PEOのグレードは、そのそれぞれの規定から各存在において独立して選択される。言い換えれば、PEOグレード1が、上記リザーバ層及びバッキング層に見出される場合には、当該PEOグレード1は、PEOグレード1に関する上述の規定の群から、各存在において選択されうる。PEOグレード2及びPEOグレード3に関しても同様である。
【0051】
PEOの3グレードが同一の層に含まれる場合には、PEOグレード3は、PEOグレード1よりも高粘度を有するPEOグレード2よりも高粘度を有する。PEOの2グレードが同一の処方に含まれる場合には、いくつかの可能な組み合わせが存在する;a)PEOグレード3+PEOグレード2、ここで、PEOグレード3は、PEOグレード2よりも高粘度を有する;b)PEOグレード3+PEOグレード1、ここで、PEOグレード3は、PEOグレード1よりも高粘度を有する;及びc)PEOグレード2+PEOグレード1、ここで、PEOグレード2は、PEOグレード1よりも高粘度を有する。
【0052】
3つの異なるグレードのPEOが存在する場合には、その量は、上記層の5〜50重量%の範囲にわたる。存在するPEOの総量は、上記リザーバ層の約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、又は約40%〜約70重量%の範囲にわたるのが一般的である。上記リザーバ層のいくつかの実施形態には、PEOの総量が、上記リザーバ層の約64%、43.64%、61.5%、59%、62.5%、63%、65.82%、60.82重量%であるものが含まれる。
【0053】
存在するPEOの総量は、上記バッキング層の0%〜約60%、約10%〜約60%、約20%〜約60%又は約40%〜約60重量%の範囲にわたるのが一般的である。上記バッキング層のいくつかの実施形態には、PEOの総量が、上記バッキング層の約10%、35%、50%、54%、56%、58重量であるものが含まれる。
【0054】
いくつかの実施形態では、PEOグレード1の量は、上記層の5〜50重量%の範囲にわたり、例えば、上記層の5%、10%、26.85%、27.9%、23.67%、32.9%、36.01%、34%、38.16%、33.86%であり;PEOグレード2の量は、上記層の5〜50重量%の範囲にわたり、例えば、上記層の5%、22.18%、21.16%、26.16%、20.36%、28.64%、27%、30.35%、14.96%、15.91%、18.36%、18.86%、19.36%、7.5%であり;そしてPEOグレード3の量は、上記層の5〜50重量%の範囲にわたり、例えば、上記層の13.79%、16.29%、16.79%、17.44%、19.1%、18%、20.24%、29.93%、31.83%、36.5%、45重量%である。
【0055】
任意の型又は種類の材料が、上記リザーバ層及びバッキング層の両方に存在する場合、当該材料は、本明細書に記載されるか、又は薬剤学の分野における当業者に公知の好適な材料のリストから、各存在において、独立して選択されうる。例えば、PEOが、上記リザーバ層及びバッキング層の両方に存在する場合、リザーバ層内で用いられるPEOの一又は複数のグレードは、上記バッキング層内で用いられるPEOの一又は複数のグレードから、各存在において、選択されるであろう。
【0056】
可塑剤を要求してもよく、又は要求しなくてもよい好適な熱バインダーには、例えば、Eudragit(商標)RS PO、Eudragit(商標)S100、Kollidon SR(ポリビニルアセテート)−co−ポリ(ビニルピロリドン)コポリマー)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸エステルコポリマー、エチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー(GA−MMA)、C−5又は60 SH−50(Shin−Etsu Chemical Corp.)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ポリエステル(シェラック)、ワックス(カルナウバワックス、蜜ろう)、ポリ(ビニルアセテート)フタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリ(メタクリレートエチルアクリレート)(1:1)コポリマー(MA−EA)、ポリ(メタクリレートメチルメタクリレート)(1:1)コポリマー(MA−MMA)、ポリ(メタクリレートメチルメタクリレート)(1:2)コポリマー、Eudragit(商標)L100(MA−EA、1:1)、Eudragit(商標)L−100−55(MA−EA、1:1)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、Coateric(商標)(PVAP)、ポリカプロラクトン、でん粉、ペクチン;多糖類、例えば、セルロース、トラガカントガム、アラビアゴム、グアールガム、糖及びキサンタンガムが含まれる。
【0057】
上述のいくつかのバインダーは、生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーである。本発明のマトリックスは、材料の組み合わせを含むことができ、当該材料のいくつかは、アルカリ性ではなく、生体接着性ではなく、又は熱可塑性ではない。上記マトリックス(例えば、上記賦形剤混合物)が、ホットメルト押出しの前にその生体接着性熱可塑性の性質を保持し、且つホットメルト押出しの後に、その生体接着性の性質を保持することのみが重要である。
【0058】
上記マトリックスに含まれうる他の高分子量材料には、セルロース系ポリマー、例えば、HPMC、HPC、メチルセルロース;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−co−ビニルアセテート及び当業者に医薬用途向けに承認されている他のポリマーが含まれる。
【0059】
上記アルカリ性生体接着性熱可塑性マトリックスは、他の材料、特に他のポリマー、例えば、KLUCEL(ヒドロキシプロピルセルロース)、CARBOPOL、ポリカルボフィル、GANTREZ、Poloxamer、及びそれらの組み合わせをさらに含むことができる。CARBOPOL(商標)に関する製品の文献には、当該CARBOPOLを含む水性溶液が、2.5〜4.0の範囲のpH(酸性ポリマーであり、アルカリ性ポリマーであるとみなされないことを意味する)を有し、当該CARBOPOL(商標)が生体接着性ポリマーであることが示されている。GANTREZ(商標)は、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマーであり、そしてその溶液pHは、それが提供される形態によって変わる。GANTREZ(商標)MSは、5.5〜7.0の溶液pHを有する、上記ポリマーのカルシウム及びナトリウム塩の混合物である。GANTREZ(商標)は、生体接着性ポリマーであるが、熱可塑性ポリマーではない。ポリカルボフィル(商標)、高分子量、架橋された、アクリル酸系ポリマーに関する製品の文献には、当該ポリマーを含む水性溶液は、4.0未満のpH(酸性ポリマーであり、アルカリ性ポリマーではないことを意味する)を有するが、当該ポリマーは生体接着性ポリマーであることが示されている。Poloxamer(商標)407は、エチレングリコール及びプロピレングリコールのブロックコポリマーであり、そして製品の文献に従うと、Poloxamer 407は、6.0〜7.4の溶液pHを有する。Poloxamerは、生体接着性ポリマーであるとみなされず、熱可塑性ポリマーではない。
【0060】
PEO及びPoloxamerから構成される押出物は、100℃で溶融押出しされると、均一のポリマーマトリックスを形成することができる。HPMC、PVA又はSLSをさらに含む組成物を製造することができる。
【0061】
上記マトリックス又は賦形剤混合物は、1種又は2種以上の生体接着性ポリマー、1種又は2種以上の熱可塑性ポリマー及び/あるいは1種又は2種以上のアルカリ性ポリマーを含むことができる。実施形態の一つでは、上記アルカリ性ポリマーはまた、上記生体接着性ポリマーである。別の実施形態では、上記アルカリ性ポリマーはまた、上記熱可塑性ポリマーである。さらに別の実施形態では、上記生体接着性ポリマーは、上記熱可塑性ポリマーである。さらに別の実施形態は、生体接着性ポリマー及び熱可塑性ポリマーであるアルカリ性ポリマーを含み、言い換えれば、単一のポリマーが、ホットメルト押出しの前に、生体接着性、熱可塑性及びアルカリ性を有する。上記ポリマーの例には、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0062】
ホットメルト押出し機器は、シングル又はツインスクリュー装置であるのが典型的であるが、2つ超のスクリュー要素から構成されうる。典型的なホットメルト押出し装置は、最大でオリフィスまで連続して、混合/運搬領域、加熱/溶融領域、及びポンピング領域を含む。上記混合/運搬領域では、粉末ブレンドを混合し、そして凝集体を、上記スクリュー要素及びバレルの間のせん断力により一次粒子まで小さくする。上記加熱/溶融領域では、運搬する固体が当該領域を通過すると、当該固体が溶融し始めるように、温度は、ブレンド内の熱バインダー又はバインダーの融点又はガラス転移温度のところ、又はそれ超である。これに関連して、熱バインダーは、不活性な賦形剤、典型的には、室温で十分に固体であるが、高温又は高圧にさらされると、溶融するか、軟化するか又は半液体となるポリマーを記載する。上記熱バインダーは、上記マトリックス(その中に、一又は複数の活性薬剤又は他の機能性成分が分散される)、又は上記接着剤(連続的な複合材料が、アウトレットオリフィスのところで形成されるように、それらが接着される)としてはたらく。一度、溶融された状態に至ると、均一化されたブレンドが、当該ブレンドの溶融状態を維持する別の加熱領域を介して、オリフィスにポンピングされる。上記オリフィスのところで、溶融されたブレンドが、ストランド、シリンダー又はフィルムに形成されうる。次いで、排出される押出物を、典型的には、空冷法により固化させる。上記押出物は単一層であることができ、又は上記押出物は、2つ又は3つ以上の層を合わせて積層させることにより形成された共押出しラミネート又は二層化、三層化若しくは複層化ラミネートであることができる。一度固化させたら、次いで、上記押出物を、ペレット、スフェア、微粉、タブレット等を形成するように、さらに加工することができる。上記記載と同様のシングルスクリュー装置の例は、Randcastle Taskmaster,model 1 inch,36:1である。
【0063】
温度は、ホットメルト押出しの場合に、考慮に入れるための重要な工程変数である。上記組成物は、上記組成物又はその任意の成分の過度の劣化を生じさせない条件で、所望の温度におけるHMEでありうる。
【0064】
他の工程変数、例えば、供給速度及びスクリュースピードが、十分なせん断及び混合を提供するために最適化される。上記エクストルーダー内部のせん断及び混合の水準としての従属変数に対する供給速度及びスクリュースピードの効果は、機器の設計、すなわち上記スクリュー要素に大きく依存する。一般的に、上記スクリュースピードが速くなると、上記スクリュー要素及びバレル壁の間のせん断力が増加し、それにより、さらに激しい混合及びさらに大きな範囲の粒子解離が可能となる。供給速度が遅くなる(ノンフロード(non−flood)供給)と、上記エクストルーダー内の材料の量の減少により、一般的には、さらに完全な混合及び粒子解離が可能となるであろう。材料の量を減らすと、同様に、せん断力が高くなるので、上記材料は、効果的なチャネル深さの減少により、減少する。
【0065】
処方物の成分を上記エクストルーダーに供給する順序又は方式を、考慮に入れることがまた重要である。一つの方法は、上記エクストルーダーに供給する前に、全ての成分を事前ブレンドすることである。これは、従来の混合又はブレンド化技法によりなされうる。あるいは、同時になされ、そして上記エクストルーダーの混合/運搬領域において処方成分が十分に混合される場合には、処方成分を個々に供給することができる。例えば、上記ドラッグを、賦形剤組成物の形成後に、賦形剤組成物と混合する。次いで、上記ブレンドをホットメルト押出しする。さらに、最終混合領域の前又はその間に上記処方成分が十分に混合される場合には、上記エクストルーダー内のベースポリマー以外の成分の滞留時間を減らすために、初期供給ポートのダウンストリームにベースポリマー以外の成分を供給することができる。例えば、熱暴露の時間を最小化するために、賦形剤ブレンドを、初期供給ポートのところに供給することができ、そして感熱性成分を最終領域の前に供給することができる。さらに、溶融粘度を有意に高くする固体非溶融成分を、上記エクストルーダースクリューを回転させるために必要なエネルギーの量を減らすために、ダウンストリームに供給することができる。
【0066】
本発明の賦形剤混合物を、種々の方法により調製することができる。その調製のキーとなる態様は、上記酸性成分を、上記生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーと接触させることである。特定の方法の一つは、湿式造粒又は乾式造粒である。実施形態の一つでは、上記賦形剤混合物は、水性媒体の存在下で、生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマー及び上記酸性成分、並びに所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒することにより調製される。上記賦形剤混合物を、湿式造粒後に所望により乾燥する。次いで、乾燥した又は湿潤した賦形剤混合物を、ドラッグ及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤と混合し、ブレンドを形成させ、次いでホットメルト押出しする。上記水性媒体を、部分的に又は全体的に添加することができる。実施形態の一つでは、上記アルカリ性ポリマー及び上記酸性ポリマーを湿式造粒し、次いで、第2の生体接着性ポリマーを、上記造粒物に添加し、上記賦形剤混合物を調製する。
【0067】
本発明の実施形態の一つでは、上記アルカリ不安定ドラッグと混合する前に、上記賦形剤混合物を事前形成させることが要求される。他の実施形態では、水性液体を用いた湿式造粒による賦形剤組成物の形成が要求され、上記水性液体は、所望によりアルコールを含む。
【0068】
本発明のHME組成物を、本明細書に記載される方法に従って製造する。それらの調製に関する例示的な処方及び方法を、以下の例に列挙する。
図1のモノリシックマトリックスは、賦形剤組成物及びアルカリ不安定ドラッグを含むブレンドをホットメルト押出しすることにより製造される。ホットメルト押出しに関する一般的な方法を、本明細書及び例1に列挙する。
【0069】
本発明の方法の優位性は、例示的なアルカリ不安定ドラッグとして、テストステロンを含むホットメルト押出し組成物を評価することにより例証されうる。上記組成物を、本明細書に記載されるように調製した。ホットメルト押出し条件への上記ドラッグの安定性に対する種々の処理変数の影響を決定するために、当該種々の処理変数を評価した。
【0070】
市販のテストステロン(例えば、Diosynth a Division of akzo Nobel,Arnhem、The Netherland)は、種々の不純物、例えば、6−β−ヒドロキシテストステロン、4−アンドロステン−16−α−オール−3,17−ジオン、アンドロステンジオン、エピ−テストステロンを既に含んでいるか、又はそれらを含む場合があり、ここで、不純物は、種々の量で存在する。これらの不純物のいくつかは、テストステロンを調製するための合成方法の効力により形成され、そしてその他は、上記テストステロンの分解により形成される。テストステロンを含むホットメルト押出可能なアルカリ性熱可塑性マトリックスのHMEの際、上記ドラッグが分解を受け、それにより新しい分解生成物を生成させるか、又はすでに存在する分解生成物の量を増加させる場合がある。
【0071】
HMEの際の分解に関するテストステロンの安定性に対する処方成分の混合の順序の影響を評価した。ロットAでは、全ての処方成分を、乾燥形態で混合(ブレンド化、造粒化又はスラグ化(slug))してブレンドを形成させ、続いて押出した。ロットBでは、全ての処方成分を、液体の存在下で混合して、HMEの前に所望により乾燥される湿式造粒物を形成させた。
【0072】
しかし、本発明の方法に従って製造された処方は、HMEの際に生ずるテストステロン分解の程度が大きく減少することを実証した。酸性成分を添加する前に、上記熱可塑性生体接着性マトリックス(又はポリマー)は、7超、又はpH約8〜pH約10の範囲にわたる溶液pHを有する。上記酸性成分を上記マトリックスに添加することに続いて、上記賦形剤混合物は、7以下又はpH約2.5〜pH7の溶液pHを有する。上記賦形剤混合物の例示的なロットを、本発明に従って製造した。上記賦形剤混合物のロットを、本発明に従って製造した。ロットCでは、上記アルカリ性熱可塑性マトリックス形成材料を、上記酸性成分及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤と湿式造粒し、約7以下か、又はHMEの際にテストステロンが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成させた(例1を参照せよ)。次いで、上記賦形剤混合物を、テストステロン及び所望による他の賦形剤と混合し、ホットメルト押出しされる均一なブレンドを形成させた(例2を参照せよ)。ロットDでは、上記アルカリ性熱可塑性マトリックス形成材料を、上記酸性成分、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤と湿式造粒し、7以下か、又はHMEの際にテストステロンが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成させた(例1を参照せよ)。次いで、上記賦形剤混合物を、テストステロン及び所望による他の賦形剤と混合して、ホットメルト押出しされる均一なブレンドを形成させた(例2を参照せよ)。従って、本発明に従って調製されたHME組成物は、同一の成分を含む類似組成物よりも少ない量の不純物を含むが、賦形剤混合物の予備生成なしで製造された。
【0073】
【表3】

【0074】
bエピ−テストステロン(cis−テストステロン)は、テストステロンの付随成分である(USP<1086>)。付随成分は、多くのバルク医薬化学物質の特徴であり、そして分解生成物であるとみなされない。
【0075】
HMEの際、分解に関するテストステロンの安定性に対して、1種超の酸性成分を有する影響を評価した。ロット56は、第2の酸性化剤としてのクエン酸と、ビタミンEスクシネートの代わりの抗酸化物質としてのブチル化ヒドロキシトルエンとを組込む。上記ロットを、高せん断の下、5%の水を有するPoloxamer及びPolyOxを湿式造粒することにより調製した。CARBOPOLを添加し、そして均一になるまで添加した。テストステロン及び残りの成分を添加し、そして高せん断の下で混合した。135℃及び145℃におけるRandcastleを用いて、単層フィルムとして上記ブレンドを押出した。押出し前の上記ブレンドの含水率は、3.1%であった。押出しに続き、上記フィルムを、単位用量にカットした。10用量の複合材料を、二重反復試験(duplicate)において、不純物に関して分析した。下記の表は結果を含む。
【0076】
【表4】

【0077】
NDは、本明細書に詳述されるHPLC方法を用いて、定量限界未満であることを意味する。このケースでは、NDは、0.1重量%未満を意味する。
ロット61では、抗酸化物質含有率を4重量%に上げ、そしてPoloxamer含有率を6重量%に上げた。上記ブレンドを、5%の水を用いて湿式造粒し、そして135℃でRandcastleを用いて押出した。分解生成物濃度を、HPLCにより測定し、そして結果を上記表に示す。上記Poloxamer含有率を、ロット62では7.5%に上げ、そしてロット63では9%に上げた。上記ブレンドを、5%の水を用いて湿式造粒し、そして135℃でRandcastleを用いて押出した。
【0078】
テストステロンの分解に対するHME温度の影響を評価した。HME組成物を、高せん断の下、水を用いてPolyOx及びPoloxamerを湿式造粒することにより調製した。CARBOPOLを添加し、そして均一になるまで混合した。テストステロン及び残りの成分を添加し、そして高せん断の下で混合した。これらのブレンドを、135℃又は145℃において、Randcastleを用いて単層フィルムとして押出した。押出し前の上記ブレンドの含水率は、3.1%であった。得られた押出物の純度プロファイルを測定した。結果を以下の表に示す。
【0079】
【表5】

【0080】
テストステロン安定性に対する湿式造粒技法(水添加速度、酸性化時間及び含水率)の影響を調査した。水添加の速度を、「ボーラス」充填対「シリアル」添加(一部の一連の添加)を適用することにより検討した。あるロットを、全体の水充填量(固体に基づいて5%)を、1ステップで、高せん断の下、PolyOx、Poloxamer及びCARBOPOLポリマーに添加するボーラス技法を用いて調製した。別のロットを、水及びCARBOPOL充填量を、4つの別個のステップにおいて、PolyOx及びPoloxamerポリマーに導入するシリアル技法により調製した。結果は、造粒液体をボーラス充填として添加した場合に、若干低い程度の分解生成物の形成を示した。
【0081】
湿式造粒の際に液体媒体として用いられる水の量の、ドラッグ安定性に対する影響を調査した。あるロットは、より高い水充填率である、7.5%の水充填率を用いたボーラス技法を用いて調製された。より高い水充填率を用いたところ、主要な不純物に減少が見られた。高い含水率を有する供給混合物を用いて形成された多量の水蒸気を取り扱うためのエクストルーダーを備えている場合には、最大98%の水充填率を用いることができる。
【0082】
造粒の際に水性アルコール造粒溶液を用いることの、ドラッグ安定性に対する影響を検討した。あるロットでは、50:50の水/エタノール溶液(固体に基づいて10%)を用いて、上記ポリマーを湿式造粒した。得られた顆粒を、さらに処理する前に、3.1%未満のLOD(乾燥減量)まで60℃で乾燥させた。造粒溶液として水のみを用いる場合と比較して、水性アルコール造粒溶液を用いた場合には、低濃度の分解生成物が存在した。上記造粒溶液中の水:水混和性溶媒の比は、5:95〜95:5の範囲にわたることができる。
【0083】
【表6】

【0084】
ドラッグの徐放を提供する処方を製造することができる。より高いCARBOPOL充填率を用いて、2種の処方を調製し、そこでは、ターゲット膜厚は1.50mmであった。これらの処方を、水性アルコール湿式造粒技法により調製し、そこでは、ビタミンE及びビタミンEスクシネートを、Poloxamerと共に乳化した。in vitro溶解プロファイルを、図4a及び図4bに提示する。上記処方は、存在するCARBOPOLポリマーの量が異なる:12.5%(図4a);15%(図4b)。
用量厚さを厚くすること(上記ドラッグ含有組成物又は層の厚さを厚くすること)及び上記処方中のCARBOPOL含有率を高くすることにより、in vitro溶出速度が妨げられるとの結論に達することができる。上記リザーバ層の厚さは、約0.01〜約20mmの範囲にわたることができ、又は特定の用途のために適合させたサイズに製造することができる。
【0085】
上記アルカリ性熱可塑性マトリックスの中和剤としての酸性成分の影響は、変わることができる。結果として、アルカリ不安定ドラッグの安定化におけるその性能は、上記酸性成分及び類似の全ての他の成分の量を変化させることを含む、本明細書に記載される手順を用いて、ホットメルト押出し組成物を調製することにより評価されるべきである。次いで、上記HME組成物を、例えば、HPLCにより解析し、それらの純度プロファイルの相違を測定する。最低の比較上の量の不純物を含むHME組成物は、より良好な組成物である。同様の様式では、種々の酸性成分を同一量で含む種々のHME組成物を、本明細書に記載されるように調製し、そして分析することができる。最少量の不純物を有するHME組成物を生じさせる酸性成分は、より良好な酸性成分である。例えば、POLYOX(PEO)ポリマーは、合成の際に、触媒に由来する残余のカルシウム塩を含む。一連の実験を、これらのアルカリ性材料を中和する塩酸及びリン酸を用いて実施した。上記酸性成分を、液体で、上記造粒塊又は造粒液体媒体に添加した。本明細書に記載されるような処方物を調製したが、50mMの塩酸又は100mMのリン酸のどちらかを用いて湿式造粒した。20の用量を、押出しランの初期、中期及び終期の各ロットからサンプリングした。10用量の複合材料を、二重反復試験において、不純物に関して分析した。主要な不純物は、塩酸で中和された試料では同定されなかった。少量の6B−ヒドロキシ−テストステロンが、上記リン酸試料において検出された。HClは、H3PO4よりもテストステロンの良好な安定化を提供した(評価基準の下、HCl及びH3PO4の両方は、許容可能である)ことが測定された。
【0086】
全ての酸性成分は、上記マトリックス内に存在するアルカリ性種を中和するために十分な量で存在する。言い換えれば、上記酸性成分は、所望の範囲内のpH(例えば、7以下又はアルカリ不安定種の分解を生じさせるpH未満)を得るために十分な量で添加される。実施形態の一つでは、酸性成分(又は総酸性基)の総モル濃度は、上記賦形剤組成物中に存在する総アルカリ性基のモル濃度に等しいか、又はそれを上回る。酸性成分は、酸性成分1モル当たり、1,2又は3モル以上の酸性基を有することができる。
【0087】
所望により、湿式造粒は要求されない。この実施形態では、処方物に添加されるべき全ての材料を混合し、次いでホットメルト押出しする。しかし、この方法は、水溶性酸性成分が用いられる場合にのみ好適であり、非水溶性酸性成分として、例えば、CARBOPOL(商標)は、この種の方法と同様に、上記フィルムを安定化しない。これは、CARBOPOL(商標)が、その酸性の特性を付与するために、水和のための水を要求するからである。この欠点を克服するための手段の一つは、上記生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーを用いる造粒前に上記非水溶性酸性成分を湿潤させ、そして上記生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーと、上記非水溶性酸性成分の相互作用を可能とする十分な造粒時間を延ばし、中性又は穏やかな酸性の賦形剤混合物を形成させることである。
【0088】
本明細書において、用語「酸性成分」又は「酸性化剤」は、1種又は2種以上の酸性ポリマー(例えば、CARBOPOL(商標)、ポリカルボフィル、ポリアクリル酸)、1種又は2種以上の無機酸(例えば、鉱酸(リン酸、ホウ酸、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸)、1種又は2種以上の有機酸(非高分子量カルボン酸、例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、ターメリック(turmeric)酸、コハク酸、アミノ酸、α−ヒドロキシ酸(alpha−hydroxyl acid)、アスコルビン酸又はアジピン酸)、あるいはそれらの組み合わせを意味する。酸性成分はまた、酸の塩形態又は緩衝剤を含み、当該塩は、水に溶解すると、7未満又は6未満の溶液pHを有する。上記列挙の酸性成分は、単に実例であり、そして非限定的である。7未満又は6未満のpKaを有する任意の酸性成分が、本発明で用いるために好適である。特定の実施形態には、上記酸性成分が、塩酸、リン酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものが含まれる。
【0089】
酸性成分は、酸性ポリマー及び有機酸、酸性ポリマー及び無機酸、又は無機酸及び有機酸の組み合わせでありうる。酸性成分はまた、2種又は3種以上の酸性ポリマー、2種又は3種以上の無機酸、あるいは2種又は3種以上の有機酸の組み合わせでありうる。
【0090】
いくつかのロットでは、抗酸化物質なしで、第2の酸性化剤としてクエン酸が導入された。上記ブレンドを5%の水を用いて湿式造粒し、そして135℃でRandcastleを用いて押出した。*分解生成物は、上記試料中で検出されなかったが、ピーク(クエン酸と思われる)が、主要な不純物の間に溶出した。
【0091】
【表7】

【0092】
本発明の固体用量剤形は、任意の形態又は医薬科学の業界に公知の形態を想定することができる。上記剤形は、スフェア、タブレット、バー、プレート、回転放物面、回転楕円面又は当業者に公知の他のものでありうる。上記固体剤形はまた、装飾、識別及び/又は他の目的のために、表面マーキング、カッティング、溝、文字及び/又は数字を含むことができる。
【0093】
上記マトリックス及び/又は追加の機能性賦形剤を、所定の条件の下で所定のおおよその放出プロファイルを提供するように処方することができる。上記ドラッグを、即放、速放、持続放出、制御放出、スローリリース、又は徐放、そして所望により遅延放出、又は標的化放出の放出プロファイルに従って放出させることができる。
【0094】
上記医薬組成物は、徐放様式において1種又は2種以上の活性薬剤を供給することができ、そして上記デリバリーのために用いられるメカニズムは、pH−依存型又はpH−独立型;拡散又は溶融制御型;侵食制御型;擬0次(おおよそ0次放出)、0次、擬1次(おおよそ1次放出)、又は1次;又はスローリリース、遅延放出、時機を定めた(time)放出あるいは持続放出又はさもなければ制御放出である活性薬剤の放出を含むことができる。上記活性薬剤に関するin vitro放出プロファイルはまた、S字の形状であることができ、そこでは、放出プロファイルには、活性薬剤の初期のスローリリース速度、続く中期のより速い放出速度、及び終期のスローリリース速度が含まれる。
【0095】
本明細書において、用語「徐放」プロファイルは、医薬科学の業界に広く認められた定義を想定する。徐放投与形態は、長期間にわたり実質的に一定の速度でドラッグを放出するか、又は実質的に一定の量のドラッグを、長期間にわたり緩やかに増加して放出する。徐放タブレットは、一般的な剤形(例えば、溶液又は速放性の一般的な固体剤形)に提示される上記ドラッグと比較して投薬頻度に少なくとも2倍の減少をもたらすのが一般的である。
【0096】
「制御放出」は、約8時間から最大約12時間、16時間、18時間、20時間、1日、又は1日超の一定期間にわたって、環境に活性薬剤を放出することを意味する。「持続放出」は、デバイスが投与される患者の血液又はターゲット組織内の一定のドラッグ濃度を保持するために、活性薬剤を徐放することを意味する。ドラッグ放出に関する用語「制御放出」は、「徐放」、「持続放出(prolonged release)」、「持続放出(sustained release)」、又は「スローリリース」の用語を、これらの用語が医薬科学で用いられるように含む。制御放出は、投与後、又は投与後の遅延時間(ラグタイム)の満了の後、数分内で開始しうる。
【0097】
スローリリース剤形は、ドラッグが、例えば、3時間、6時間、12時間、18時間、1日、2日又は3日以上、1週間、又は2週間又は3週間以上の一定期間にわたって、ゆっくり及びおおよそ連続的に放出されるように、ドラッグの遅い速度の放出を提供するものである。
時機を定めた放出剤形は、使用の環境に初期暴露された瞬間から測定されるように、所定の期間の後ドラッグを放出し始める剤形である。
【0098】
標的化放出剤形は、患者の真皮又は粘膜の特定の部分にドラッグを供給するために設計された剤形を指すのが一般的である。
「遅延放出」は、おおよその遅延(又はラグ)期間の満了の後、ドラッグの初期放出が始まることを意味する。例えば、徐放組成物からのドラッグの放出が2時間遅延すると、上記組成物又は剤形を患者に投与した後、約2時間のところでドラッグの放出が始まる。一般に、遅延放出は、投与後数分以内の後に、ドラッグの放出が始まる即放と正反対である。従って、特定の組成物からの上記ドラッグ放出プロファイルは、遅延された除放でありうる。「遅延延長型(delayed−extended)」放出プロファイルは、ドラッグの徐放が、初期遅延時間の満了の後開始するものである。
【0099】
擬1次放出プロファイルは、1次放出プロファイルに近似するものである。1次放出プロファイルは、単位時間当たりに初期ドラッグ充填量の一定のパーセンテージを放出する剤形の放出プロファイルを特徴とする。
擬0次放出プロファイルは、0次放出プロファイルに近似するものである。0次放出プロファイルは、単位時間当たり、一定量のドラッグを放出する剤形の放出プロファイルを特徴とする。
【0100】
図2は、ドラッグリザーバ層(2)及びバッキング層(4)を含む例示的な二層化ホットメルト押出し組成物(3)(ラミネート)の概念的な断面の正面図を描写する。上記ドラッグリザーバは、アルカリ不安定ドラッグ、酸性成分、及び生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーを含む生体接着性層である。上記バッキング層は非生体接着性であり、そして上記リザーバ層よりも疎水性であるのが一般的である。
【0101】
上記バッキング層の疎水性組成物は、疎水性の非生体接着性熱可塑性マトリックスを含むのが一般的である。上記バッキング層のマトリックスを調製するために用いられうる好適な材料には、例としてそして限定なく、EUDRAGIT、エチルセルロース、ポリエチレン、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、ワックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエステル、シェラック、同様の物理的性質を有する科学の当業者に認められた他の材料、又はそれらの組み合わせが含まれる。上記バッキング層は、本明細書に記載するように押出されることができ、又は上記バッキング層は、上記リザーバ層に続いて積層される事前加工された層であることができる。あるいは、上記バッキング層を、上記ドラッグ含有層上にキャストすることができる。実施形態の一つでは、上記バッキング層は、水性媒体及びドラッグに不透過性である。この種のバッキング層に好適な非限定的な例示材料には、エチルセルロース、EUDRAGIT RS、ワックス、同様の物理的性質を有する科学の当業者に認められた他の材料、又はそれらの組み合わせが含まれる。別の実施形態では、上記バッキング層は、上記バッキング層がドラッグに不透過性であり且つ水性媒体に透過性であることを意味する半透性である。この種のバッキング層に好適な非限定的な例示材料には、PEO及びエチルセルロース、PEO及びEUDRAGIT RS、セルロースアセテート及びその誘導体、同様の物理的性質を有する科学の当業者に認められた他の材料、又はそれらの組み合わせが含まれる。さらに別の実施形態では、それは、水性媒体及びドラッグに透過性である。この種のバッキング層に好適な非限定的な例示材料には、PEO及びEUGRAGIT E、同様の物理的性質を有する科学の当業者に認められた他の材料、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0102】
上記バッキング層は、上記バッキング層が治療活性薬剤を含まないことを意味する不活性であるのが一般的である。しかし、上記バッキング層は、所望により治療活性薬剤を含むことができ、そしてその活性薬剤は、上記リザーバ層内のものと同一又は異なることができる。
【0103】
例示的なバッキング層を、以下の例に従って製造した。実施形態の一つでは、上記バッキング層の疎水性組成物を、上記リザーバ層の親水性組成物から分離して押出す。別の実施形態では、上記バッキング層の疎水性組成物を、上記リザーバ層の親水性組成物と共押出しする。実施形態の一つでは、製造の際に、上記バッキング層及びリザーバ層を押出し、そしてその後すぐに共に加熱積層するか、溶媒積層するか、又は接着剤積層する。別の実施形態では、上記バッキング層及びリザーバ層を分離して押出し、そして続いて共に加熱積層するか、溶媒積層するか又は接着剤積層する。別の実施形態では、ある層を他の層(予備生成、例えば、押出し又は注入成形された)の上に押出す。
【0104】
加熱触媒化ラミネーションのステップは、向かい合う層に圧力及び所望により熱を適用するラミネータによりお互いに同時に接触させて上記バッキング層及びリザーバ層を通過させることにより実施する。上記層が、ラミネーション前に十分に熱い場合には、それらは、上記ラミネータ内に置く場合にさらに加熱する必要はない。上記層が、好適なラミネーションを可能とするように、ラミネーション前に十分に熱くない場合には、それらをラミネーションのすぐ前及び/又はその際に加熱する。熱源を、上記ラミネータの内部又は外部に配置することができる。ラミネーションの前及び/又はその際、上記層を約100〜170℃又は少なくとも約60℃に加熱するのが一般的である。ラミネーションに関する温度は、層が分解する温度未満であろう。
【0105】
ラミネーションはまた、加圧下で組み合わせる前に、向かい合う層の一面又は両面に、水若しくは他の好適な溶媒又は可塑剤の微細な霧を迅速に適用することにより、加熱なしで達成されうる。この溶媒ラミネーション方法は、上記リザーバ層及びバッキング層のそれぞれが、溶媒により活性化される又は可塑剤により活性化される接着材料、例えば、PEOを含む場合に好適である。
【0106】
上記ラミネータは、1つ又は2つのモーターにより駆動される一式の向かい合わせのローラーでありうる。上記ラミネータは、上記ラミネーション段階の際に、両層に圧力を適用する。接触圧力は、インチ長さ(linear inch)あたり少なくとも40ポンド、又はインチ長さ(linear inch)あたり約40〜600ポンドの範囲であるのが一般的であろう。上記ラミネータローラーは、十分に剛直、すなわち、与えられる力に耐える。上記ローラーは、熱伝導流体の使用を可能とするように、中空であり且つ内部で流量が調節されうる。上記ローラーは、好適な硬度を提供する複数の金属及び/又は合金を含むことができ、そして加熱されたポリマーを十分に剥離することができる好適なコーティングを含むことができる。上記ローラーに関する好適なコーティングには、例えば、テフロン(登録商標)、窒化チタン、クロム、及び加熱ラミネータのコーティングに関するポリマー産業で用いられる一又は複数の他の材料が含まれる。
【0107】
上記リザーバ層が、上記基剤層に接着剤積層される場合、当該接着剤は、2つの層を共に接着するために好適であるとして、ポリマーの分野に公知の材料である。特定の接着剤は、上記リザーバ層及びバッキング層の化学組成、化学的特性及び物理的性質によって変わることができる。非限定的な例示的な接着剤には、KLUCEL及びEUDRAGIT E100が含まれる。例えば、親水性のHMEマトリックスを含む生体接着性リザーバ層を、疎水性のHMEマトリックスを含む非生体接着性バッキング層に、2つの層の間の界面のところに接着材料を適用し、続いて当該2つの層を共にプレスすることにより接着することができる。重量又は圧力を上記層に適用し、所望により、存在する場合には、上記接着剤から溶媒を除去するために乾燥することができる。
【0108】
上記バッキング層は、上記リザーバ層と緊密に接することができるので、上記バッキング層のpHは、上記リザーバ層内のドラッグの安定性に影響を与える場合がある。ラミネート組成物内の上記バッキング層及びリザーバ層の間の界面におけるドラッグの分解の可能性を排除するため、上記バッキング層のpH(溶液内に置かれた場合)を調査するための検討を行った。上記分解は、加熱触媒化ラミネーションの際又は上記ラミネートの貯蔵の際に生じうる。上記バッキング層(下記例の一つに従って製造された)のpHを、100mLの精製水に2gを分散させた後に、9.0であることを測定した。クエン酸一水和物のアリコートを添加した後に、懸濁液のpHを測定した。クエン酸を10mg添加することにより上記懸濁液のpHが4.6に下がり、そして50mgを添加することにより、上記懸濁液のpHが3.4に下がった。1.0%のクエン酸を含むバッキングフィルム処方物を調製した。上記クエン酸一水和物を、水(固体に基づいて5%)に溶解させ、そしてPolyOxポリマーと湿式造粒した。残りの材料を、高せん断の下で混合し、続いて、ジブチルセバケートを用いて造粒した。結果は、上記バッキング層が、約7未満又は上記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満のバッキングフィルムの溶液pHを可能とする十分な量で酸性成分を含む場合に、上記リザーバ層内のドラッグの分解が減ることを示した。
【0109】
上記リザーバ層の厚さ:上記バッキング層の厚さの比は、上記ラミネートに必要である性能によって、必要に応じて変化しうる。実施形態の一つでは、上記比は、約0.1:1〜約5:1又は約1:1〜4:1の範囲にわたる。
上記バッキング層及びリザーバ層を、加熱触媒化ラミネーションにより共に積層する場合、上記バッキング層及びリザーバ層は、少なくとも1種の共通ポリマーを有することが好ましい。例えば、上記リザーバ層がPEOを含む場合、上記バッキング層はPEOを含むことができる。
【0110】
上記リザーバ層及びバッキング層は、当該層が、当該層の間の接着剤を除外して加熱触媒化ラミネーションにより積層されるべき場合には、異なりすぎないメルトフローインデックスを有するのが一般的である。これは、それらのメルトフローインデックスが、個々の事前規定された範囲内にあり、そしてそれらの範囲が少なくともいくつかの事前規定された範囲までオーバーラップすることを意味する。例えば、上記リザーバ層のメルトフローインデックスは、上記バッキング層のメルトフローインデックスの75%以下又は50%以下でありうる。本明細書において、用語「メルトフローインデックス」は、所与の温度及び力において、10分以内で、プラストメータ又はレオメータ(ASTM D 1238に記載)により押し通されうる樹脂の量(g)を意味するように選択される。
【0111】
図3は、ドラッグリザーバ層(2)、バッキング層(4)及び剥離ライナー層(6)を含む例示的な三層化ホットメルト押出し組成物(5)の概念的な断面の正面図を描写する。上記ドラッグリザーバは、アルカリ不安定ドラッグ、酸性成分、及び生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーを含む生体接着性層である。上記バッキング層は非生体接着性であり、そして上記リザーバ層よりも疎水性であるのが一般的である。
【0112】
上記剥離ライナー層は、HME組成物の貯蔵の際に、生体接着性層に一時的に接着し、そして当該HME組成物を患者に投与する前に手で取り外すことができる。当該剥離層を、他の2つの層と共押出ししてもよく、又はしなくてもよい。
【0113】
上記リザーバ層に一時的に接着することができる任意の剥離ライナー層は、本発明に従って用いるために好適である。市販の供給源から購入することができる例示的且つ非限定的な好適な剥離層には、DOW SARANEX(商標),BLF,3M CoTran and SCOTCHPAK,Delstar Stratex and Delnetが含まれる。
【0114】
上記剥離層を、上記剥離層及びバッキング層がお互いに向かい合うように、上記バッキング層と反対側の上記リザーバ層の面に取り付ける。言い換えれば、上記リザーバ層は、上記剥離層及び上記バッキング層の間にある。上記剥離層の接触表面積は、上記リザーバ層の対応する接触表面と同一のサイズであるか、又はそれよりも大きいことができる。
【0115】
本発明のマトリックスはまた、種々の機能性賦形剤、例えば、親水性ポリマー、抗酸化物質、超崩壊剤(super−disintegrant)、両親媒性分子を含む界面活性剤、湿潤剤、安定剤、遅延剤、熱潤滑剤、着色剤、可溶化剤、キレート剤、類似の機能性の賦形剤、又はそれらの組み合わせ、及び可塑剤、例えば、シトレートエステル、ポリエチレングリコール、PG、トリアセチン、ジエチルフタレート、ヒマシ油、及び当業者に公知の他のものを含むことができる。押出された材料はまた、酸性化剤、吸着剤、アルカリ化剤、緩衝剤、着色剤、フレーバー剤(flavorant)、甘味剤、希釈剤、不透明化剤(opaquant)、錯化剤、芳香剤、防腐剤、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0116】
本明細書において、用語「吸着剤」は、物理的又は化学的手段により、他の分子を表面に保持することができる薬剤を意味することを意図する。上記化合物には、例としてそして限定なく、粉末化され且つ活性化された木炭及び当業者に公知の他の材料が含まれる。
【0117】
緩衝剤は、希釈の際、又は酸若しくはアルカリの添加の際、pHの変化を抑えるために用いられる。上記化合物には、例としてそして限定なく、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基酸の酢酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム無水物及び二水和物、無機又は有機酸の塩、無機又は有機塩基の塩、及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0118】
本明細書において、用語「アルカリ化剤」は、生成物の安定性のためにアルカリ媒体を供給するために用いられる化合物を意味することを意図する。上記化合物には、例としてそして限定なく、アンモニア溶液、アンモニウムカーボネート、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、及びトロラミン及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0119】
本明細書において、用語「着色剤」は、固形(例えば、タブレット)医薬調製物にカラーを付与するために用いられる化合物を意味することを目的とする。上記化合物には、例としてそして限定なく、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、D&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメル、及び酸化鉄、レッド、他のF.D.&C.染料及び天然の着色剤、例えば、ぶどう外皮抽出物、ビートレッド粉末、β−カロチン、アンナットー(annato)、カルミン、ターメリック、パプリカ、及び当業者に公知の他の材料が含まれる。用いられる着色剤の量は、所望により変わりうる。
【0120】
例示的なキレート剤には、EDTA、ポリカルボン酸、ポリアミン、それらの誘導体、及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
上記組成物に含まれうる第1又は第2の高分子量キャリアでありうる例示的な親水性ポリマーには、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール(例えば、Poloxamer)、カルボマー、ポリカルボフィル、又はキトサンが含まれる。本発明の「親水性ポリマー」には、1種又は2種以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、天然ゴム、例えば、ガーゴム、アラビアガム、トラガカントガム、又はキサンタンガム及びポビドンが含まれる。「親水性ポリマー」にはまた、ポリエチレンオキシド、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、ポリエチレングリコール、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリホスファジン、ポリオキサゾリジン、ポリ(ヒドロキシアルキルカルボン酸)、カラゲエネート(carrageenate)アルギネート、カルボマー、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、又はそれらの混合物が含まれる。
【0121】
例示的な疎水性ポリマーには、アルキルセルロース、エチルセルロース、EUDRAGIT RS、ワックス、ポリエステル、それらの組み合わせ、及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
熱潤滑剤には、グリセリルモノステアレート、ビタミンEスクシネート、グリセロールモノオレエート、それらの組み合わせ、及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
可溶化剤には、シクロデキストリン、ポビドン、それらの組み合わせ、及び当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0122】
本明細書において、用語「抗酸化物質」は、酸化を抑制し、ひいては、上記組成物中の遊離の金属又は酸素フリーラジカルの存在のため、酸化により調製物の劣化を防ぐために用いられる薬剤を意味することを意図する。上記化合物には、例としてそして限定なく、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、アスコルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウム及び当業者に公知のその他のものが含まれる。他の好適な抗酸化物質には、例えば、ビタミンC、BHT、BHA、亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンE及びその誘導体、没食子酸プロピル又はスルファイト誘導体が含まれる。
【0123】
本明細書において、用語「崩壊剤」は、固体塊(層)を、さらに簡易に分散又は溶解する、より小さな粒子に崩壊することを促進する固形剤形内で用いられる化合物を意味することを意図する。例示的な崩壊剤には、例としてそして限定なく、でん粉、例えば、トウモロコシでん粉、ジャガイモでん粉、それらの事前ゼラチン化及び改良化でん粉、甘味料、粘土、ベントナイト、微結晶性セルロース(例えば、Avicel(商標))、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロースポリアクリリンカリウム(polyacrilin potassium)(例えば、Amberlite(商標))、アルギネート、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ(karaya)、ペクチン、トラガカントガム、クロスポビドン(crospovidone)及び当業者に公知の他の材料が含まれる。超崩壊剤は、迅速に作用する崩壊剤である。例示的な超崩壊剤は、クロスポビドン及び低置換化HPCである。
【0124】
好適な界面活性剤には、ポリソルベート80、ソルビタンモノオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム又はその他が含まれる。界面活性剤として、石けん及び合成洗浄剤が用いられうる。好適な石けんには、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩が含まれる。好適な洗浄剤には、カチオン性洗浄剤、例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライド、及びアルキルアミンアセテート;アニオン性洗浄剤、例えば、アルキル、アリール及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリドスルフェート、及びスルホスクシネート;非イオン性洗浄剤、例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリ(オキシエチレン)−block−ポリ(オキシプロピレン)コポリマー;及び両性の洗浄剤、例えば、アルキルβ−アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第4級アンモニウム塩;及びそれらの混合物が含まれる。
【0125】
湿潤剤は、液体の表面張力を下げる薬剤である。湿潤剤には、アルコール、グリセリン、たんぱく質、ペプチド、水混和性溶媒、例えば、グリコール、親水性ポリマー、ポリソルベート80、ソルビタンモノオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライド、及びアルキルアミンアセテート;アニオン性洗浄剤、例えば、アルキル、アリール及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリドスルフェート、及びスルホスクシネート;非イオン性洗浄剤、例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリ(オキシエチレン)−block−ポリ(オキシプロピレン)コポリマー;及び両性の洗浄剤、例えば、アルキルβ−アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第4級アンモニウム塩;及びそれらの混合物が含まれうる。
【0126】
遅延剤は、処理の前に他のポリマー及び他の賦形剤を含む上記処方において、他の薬剤により可塑化される前に、45℃超、さらに好ましくは50℃超のTgを有する不溶性又は若干可溶性であるポリマーである薬剤である。上記賦形剤には、ワックス、アクリル樹脂、セルロース、脂質、たんぱく質、グリコール等が含まれる。
【0127】
乾燥剤は、本発明に従う処方物の貯蔵を補助するために用いられうる。好適な乾燥剤には、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、粘土、バーミキュライト、紙、活性化されたアルミナ、ゼオライト、塩化カルシウム、モレキュラーシーブ、又は無水の化学物質が含まれる。ある場合において、上記マトリックス材料又はドラッグが吸湿性である場合には、乾燥剤が必要である。というのは、湿気は、それらの中のHME組成物及び/又はドラッグの安定性に影響を与えるからである。
【0128】
本明細書において、用語「不透明化剤」は、組成物を不透明にするために用いられる化合物を意味することを意図する。不透明化剤は、単体で又は着色剤と組み合わせて用いられうる。上記化合物には、例としてそして限定なく、二酸化チタン及び当業者に公知の他の材料が含まれる。
【0129】
本明細書に列挙される上記材料のいくつかは、非常にもろいか、又は一般的に高すぎるTgを有し、押出すのが非常に難しい場合がある。可塑剤を添加すると、ガラス転移温度が下がる。本明細書において、ガラス転移温度は、固形物が軟化するか又は溶融する温度を意味する(又は、ガラス転移温度(Tg)は、加熱の際に、ポリマーが、もろい物質(ガラス)からゴム状塊に変化する温度である)ように選択される。上記材料を、1種又は2種以上の可塑剤と混合して、それらを熱形成可能とすることができる。可塑剤、例えば、低分子量PEGは、それらが含まれるポリマーの平均分子量を広くするのが一般的であり、それにより当該ポリマーのガラス転移温度又は軟化点が下がる。可塑剤はまた、ポリマーの粘度を下げるのが一般的である。上記可塑剤が、本発明のフィルムに、いくつかの特に有利な物理的性質を与えることができる。
【0130】
本発明で有用な可塑剤には、例としてそして限定なく、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、オイル、小有機分子、脂肪族ヒドロキシル基を有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、低分子量ポリ(エチレングリコール)、シトレートエステル型可塑剤、トリアセチン、プロピレングリコール及びグリセリンが含まれうる。上記可塑剤にはまた、エチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、テトラエチレングリコール及び他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、エチルグリコレート、ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート及びアリルグリコレートが含まれうる。全ての上記可塑剤は、供給源、例えば、Aldrich又はSigma Chemical Coから市販されている。可塑剤の組み合わせを本発明の処方に用いることができることがまた企図され、そして本発明の範囲内である。PEG系可塑剤は、購入することができ、又は種々の方法、例えば、Poly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications(J.M.Harris,Ed.;Plenum Press,NY)に開示される方法(当該公表を参照により本明細書に組み入れる)より製造することができる。
【0131】
防腐剤は、微生物の成長を防ぐために用いられる化合物を含む。好適な防腐剤には、例としてそして限定なく、ベンズアルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ベンジルアルコール、セチルピリジニウムクロリド、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀及びチメロサール並びに当業者に公知のその他のものが含まれる。
【0132】
本明細書において、用語「フレーバー剤」は、医薬調製物に、気持ちのよいフレーバー、しばしば芳香を与えるために用いられる化合物を意味することを意図する。例示的なフレーバー薬剤又はフレーバー剤には、合成フレーバーオイル及び香味芳香薬及び/又は天然油、植物、葉、花、フルーツからの抽出物等、及びそれらの組み合わせが含まれる。これらはまた、桂皮オイル、ウィンターグリーンのオイル、ペパーミントオイル、クローブオイル、ベイオイル、アニスオイル、ユーカリ、タイムオイル、ニオイヒバオイル、ナツメグのオイル、セージのオイル、苦扁桃のオイル及びカッシアオイルを含むことができる。他の有用なフレーバーには、バニラ、レモン、オレンジ、ぶどう、ライム及びグレープフルーツを含むかんきつ類オイル、及びフルーツエッセンス、リンゴ、西洋ナシ、ピーチ、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット等が含まれる。特に有用であることが見出されているフレーバーには、市販のオレンジ、ぶどう、チェリー及び風船ガムフレーバー及びそれらの混合物が含まれる。フレーバーの量は、所望の感覚刺激性の効果を含むたくさんの要因によって決まりうる。フレーバーは、当業者により望まれる任意の量で存在することができる。特に好ましいフレーバーは、ぶどう及びチェリーフレーバー並びにかんきつ類フレーバー、例えば、オレンジである。
【0133】
医薬処方の業界で用いられる化合物は、一般的に種々の機能又は目的に役立つことが理解されるべきである。従って、本明細書に記載される化合物が、一度のみ言及されるか、又は本明細書内の用語を一度以上規定するために用いられた場合には、その目的又は機能は、記載される一又は複数のその目的又は機能を単に制限するものとして解釈されるべきではない。
【0134】
本発明のHME組成物は、剤形に含まれる場合には、少なくとも1種の活性薬剤を含むことができる。一般的に、有効量の活性薬剤が含まれる。用語「有効量」は、例えば、医薬に関して、治療有効量が企図されることが理解される。治療有効量は、要求される又は所望の治療薬の応答を顕在化させるために十分な量又は数量、又は言い換えると、患者に投与した場合に、評価できる生物的な応答を顕在化させるために十分な量である。
【0135】
上記活性薬剤は、その遊離酸、遊離塩基、又は医薬的に許容可能な塩形態で存在することができる。本明細書において、「医薬的に許容可能な塩」は、開示された化合物の誘導体を指し、当該活性薬剤は、それらの酸又は塩基の塩を製造することにより変性される。医薬的に許容可能な塩の例には、上記ドラッグの無機酸又は有機酸塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。上記医薬的に許容可能な塩には、例えば、無毒の無機酸又は有機酸からの一般的な無毒の塩が含まれる。例えば、上記一般的な無毒の塩には、無機酸、例えば、塩化水素酸、塩化臭素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミド酸、リン酸、硝酸等に由来するもの;及び有機酸、例えば、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及び医薬科学の当業者に公知のものから調製されたものが含まれる。好適な塩のリストは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(Alfonso R.Gennaro,ed.;Mack Publishing Company,Easton,PA,1990);Remington:the Science and Practice of Pharmacy 19th Ed.(Lippincott,Williams&Wilkins,1995);Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Ed.(Arthur H.Kibbe,ed.;Amer.Pharmaceutical Assoc,1999);the Pharmaceutical Codex:Principles and Practice of Pharmaceutics 12th Ed.(Walter Lund ed.;Pharmaceutical Press,London,1994);The United States Pharmacopeia:The National Formulary(United States Pharmacopeial Convention);and Goodman and Gilman’s:the Pharmacological Basis of Therapeutics(Louis S.Goodman and Lee E.Limbird,eds.;McGraw Hill,1992)(当該公表を参照により本明細書に組み入れる)に見出される。
【0136】
句「医薬的に許容可能な」は、妥当な利益/リスク比が釣り合った、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、若しくは他の課題又は合併症のない人間及び動物の組織と接触して用いるために好適な、サウンドメディカルジャッジメントの範囲内にある、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すように本明細書内で用いられている。
【0137】
上記アルカリ不安定ドラッグは、結晶形又は非晶形において上記HME組成物に含まれうる。上記アルカリ不安定ドラッグは、塩、遊離塩基、又は遊離酸でありうる。上記アルカリ不安定ドラッグは、非イオン性、極性、非極性、カチオン性又はアニオン性でありうる。上記アルカリ不安定ドラッグは、水和形態又は無水形態で存在しうる。上記活性薬剤は、そのジアステレオマー、異性体、エナンチオマー的に純粋な、ラセミ体、水和、キレート、誘導体、類似体、又は他の一般の形態で存在しうる。
【0138】
活性薬剤には、医薬用途、例えば、人間又は獣医学用途のための化合物(治療化合物)が含まれる。
本明細書において、用語「治療化合物」、「治療薬」、「活性薬剤」及び「ドラッグ」は、他に規定がない限り、交換可能に用いられる。本発明の方法は、1種又は2種以上の活性薬剤を本質的に含む組成物及び剤形を調製するために用いられうる。活性薬剤は、動物及び人間に対して全身又は局所的な一又は複数の効果を生じさせる生理的物質又は薬理学的活性物質を含む。
【0139】
本発明の特定の態様には、1種又は2種以上のアルカリ不安定活性薬剤が含まれる。アルカリ不安定活性薬剤は、処理及び/又は貯蔵の際、アルカリ性条件の下で分解するものである。アルカリ性は、7超のpHとして規定される。例えば、試験すべき材料が水に溶解又は分散された場合、溶液(水)は、7超のpHを有することができる。アルカリ性ポリマーは、当該ポリマーが。水中に置かれた、溶解されたそして/又は分散された場合に、7超のpHを有する溶液を形成するポリマーである。例示的なアルカリ不安定活性薬剤には、エステル、アミド、ウレア、アセタール、ケタール、カルバメート、カーボネート、ラクトン、ラクタム、ハライド、ニトレート、ホスフェート、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、イミデート(imidate)、イミン、スルフィド、ヒドロキシド反応性(ヒドロキシド不安定)官能基及びアミン反応性(アミン不安定)官能基から成る群から選択される1種又は2種以上の官能基が含まれる。「ヒドロキシド−反応性」又は「ヒドロキシド不安定」官能基は、アルカリ媒体に置かれた場合に、ヒドロキシド部分と反応する官能基を意味する。「アミン反応性」又は「アミン不安定」官能基は、アルカリ媒体におかれた場合に、第1級、第2級又は第3級アミン部分と反応する官能基を意味する。
【0140】
特定のアルカリ不安定ドラッグには、例としてそして限定なく、テストステロン、オキシブチニン、モルフィン、フェンタニル、アスピリン、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール(rabeprazole)、ナルトレキソン、ベンゾカイン、ペニシリンG、ノルアドレナリン、イソプレナリン、チアミン及びアトラクリウムが含まれる。
【0141】
本発明は、アルカリ不安定ドラッグに特に好適であるが、アルカリ性条件下で安定なドラッグがまた、本発明の方法及びHME組成物に用いられうる。活性薬剤には、医薬用途、例えば、人間又は獣医学用途のための化合物(治療化合物)が含まれる。上記活性薬剤は、その中性、イオン性、塩、塩基、酸性、天然、合成、ジアステレオマー、異性体、エナンチオマー的に純粋な、ラセミ体、水和、キレート、誘導体、類似体、又は他の一般形態で存在しうる。
【0142】
本発明の組成物中に処方されうるさらなる治療化合物にはまた、抗菌性物質、抗ヒスタミン薬(ヒスタミン受容体インヒビター)、うっ血除去薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、局部麻酔薬、抗菌薬、殺アメーバ剤、殺トリコモナス(trichomonocidal)剤、鎮痛剤、抗関節炎薬、抗ぜんそく薬、抗凝固剤、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗糖尿病剤、抗がん薬、抗精神病薬、神経弛緩薬、抗高血圧症薬、筋弛緩剤、抑制薬、睡眠薬、鎮静剤、精神賦活剤、精神安定薬、抗パーキンソン病薬、筋肉収縮薬(muscle contractant)、抗微生物薬、抗マラリア薬、ホルモン剤、避妊薬、交感神経興奮薬、利尿剤、血糖降下薬、眼病用薬、高コレステロール症治療薬、低コレステロール血症治療薬、電解質、診断薬、心臓血管用ドラッグ、ビタミン、栄養素、栄養の薬剤、血液作用薬、内分泌系薬剤、代謝系薬剤、腎臓用薬剤、尿生殖器用薬剤、呼吸系薬剤、中枢神経系薬剤、胃腸薬、抗感染症薬、生物系薬剤、免疫系薬剤、皮膚病薬、眼病用薬剤、医療科学の当業者に公知の他の種類の治療化合物、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0143】
例示的な栄養素及び栄養の薬剤には、ミネラル、微量元素、アミノ酸、脂肪親和性薬剤、酵素及びキレート剤が含まれる。例示的な血液作用薬には、造血薬、抗血小板薬、抗凝固剤、クマリン及びインダンジオン誘導体、凝血薬、血栓溶解剤、抗鎌状化薬、ヘモレオロジー薬剤(hemorrheologic agent)、抗血友病薬、止血薬、血しょう増量剤及びヘミンが含まれる。例示的な内分泌系及び代謝系薬剤には、性ホルモン、子宮活性薬剤、ビスホスホネート、抗糖尿病剤、グルコース上昇薬剤、副じん皮質ステロイド、副甲状腺ホルモン、甲状腺用ドラッグ、成長ホルモン、下垂体後葉ホルモン、酢酸オクトレオチド、イミグルセラーゼ(imiglucerase)、サケカルシトニン、フェニル酪酸ナトリウム、ベタイン無水物、システアミンビタートレート(cysteamine bitartrate)、安息香酸ナトリウム及びフェニル酢酸ナトリウム、ブロモクリプチンメシレート、カベルゴリン、通風用薬、及び解毒薬が含まれる。
【0144】
例示的な心臓血管用薬剤には、向知性薬、抗不整脈薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張剤、抗アドレナリン作動薬/交感神経遮断薬、レニン−アンギオテンシン系アンタゴニスト、抗高血圧症化合物、褐色細胞腫のための薬剤、高血圧性緊急症のための薬剤、抗高脂血症薬、抗高脂血症化合物の生成物、ショックの際に用いられる昇圧剤、カリウム除去樹脂、エデト酸二ナトリウム、心筋保護液(cardioplegic solution)、動脈管開存症のための薬剤、及び硬化薬が含まれる。例示的な腎臓部用及び尿生殖器用薬剤には、間質性膀胱炎薬、セルロースリン酸ナトリウム、抗インポテンス薬、アセトヒドロキサム酸(aha)、尿生殖器イリガント(irrigant)、シスチン−除去剤、尿アルカリ性化剤、尿酸性化剤、抗コリン作動薬、泌尿器系コリン作用薬、高分子量ホスフェートバインダー、膣用調製物、及び利尿剤が含まれる。
【0145】
例示的な呼吸系薬剤には、気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ロイコトリエン形成インヒビター、鼻用うっ血除去薬、呼吸酵素、肺界面活性剤、抗ヒスタミン薬、非催眠性鎮咳薬、及び去痰薬が含まれる。例示的な中枢神経系薬剤には、中枢神経系刺激薬、催眠性アゴニスト鎮痛薬、催眠性アゴニスト−アンタゴニスト鎮痛薬、中枢性鎮痛薬、アセトアミノフェン、サリチレート、非催眠性鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症性薬、片頭痛用薬、制吐薬/抗めまい薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、コリンエステラーゼインヒビター、非バルビツール酸系鎮静剤及び睡眠薬、処方せんなしで買える睡眠補助薬、バルビツレート系鎮静剤及び睡眠薬、一般的な麻酔薬、抗けいれん薬、筋弛緩剤、抗パーキンソン病薬、アデノシンホスフェート、コリン作用性筋肉興奮剤、ジスルフィラム(disulfuram)、喫煙抑制物質、リルゾール、ヒアルロン酸誘導体、並びにボツリヌス毒素が含まれる。
【0146】
例示的な胃腸薬には、Hピロリ用薬剤、ヒスタミンH2拮抗薬、プロトンポンプインヒビター、スクラルファート、プロスタグランジン、制酸剤、胃腸用抗コリン作動薬/鎮痙薬、メサラミン、オルサラジンナトリウム、バルサラジドジナトリウム、スルファサラジン、セレコキシブ、インフリキシマブ、エソメプラゾール(esomeprazole)、ファモチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール(rabeprazole)、テガセロッド(tegaserod)マレエート、緩下薬、止瀉薬、整腸剤、リパーゼインヒビター、胃腸刺激薬、消化酵素、胃の酸性化剤、ヒドロ胆汁分泌促進薬、胆石可溶化剤、口及び喉用製品、全身系デオドライザー、及び肛門直腸系調製物が含まれる。例示的な抗感染症薬には、ペニシリン、例えば、アモキシリン(amoxicilin)、セファロスポリン及び関連する抗生物質、カルバペネム、モノバクタム、クロラムフェニコール、キノロン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、マクロライド、例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン等、スペクチノマイシン、ストレプトグラミン、バンコマイシン、オキサゾリジノン(oxalodinone)、リンコサミド(lincosamide)、経口及び非経口用アミノグリコシド、コリスチンメタナトリウム、ポリミキシンBスルフェート、バシトラシン、メトロニダゾル、スルホンアミド、ニトロフラン、メテナミン、葉酸拮抗薬、抗菌薬、例えば、フルコナゾール、ボリコナゾール(voriconazole)等、抗マラリア性調製物、抗結核薬、抗アメーバ薬、抗ウイルス薬、抗レトロウイルス薬、抗らい菌薬、抗原虫薬、駆虫薬、及びCDC抗感染症薬が含まれる。
【0147】
例示的な生物系及び免疫系薬剤には、免疫のグロブリン、モノクローナル抗体薬剤、抗蛇毒素、能動免疫化のための薬剤、アレルゲン抽出物、免疫薬、及び抗リウマチ薬が含まれる。例示的な抗がん薬には、アルキル化剤、代謝拮抗物質薬、抗分裂剤、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)、抗生物質、ホルモン、酵素、放射性医薬、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換されたウレア、メチルヒドラジン誘導体、イミダゾテトラジン誘導体、細胞保護剤、DNAトポイソメラーゼインヒビター、生物系応答調整剤、レチノイド、レキシノイド(rexinoid)、モノクローナル抗体、たんぱく質−チロシンキナーゼインヒビター、ポルファマー(porfimer)ナトリウム、ミトーテン(o,p’−ddd)、及び三酸化ヒ素が含まれる。例示的な診断薬には、in vivo診断補助薬、in vivo診断生物系物質、及び放射線不透過性薬剤が含まれる。
【0148】
典型的な抗菌性物質は、β−ラクタム抗生物質、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド、アミノグリコシド抗生物質、トブラマイシン、ニトロフラゾン、ナリジクス酸、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、エリスロマイシン、セファロスポリン及び類似体並びにフルダラニン(fludalanine)/ペンチジドン(pentizidone)の抗微生物性化合物である。他の典型的な抗菌薬には、貧水溶性ピリドン(pyrridone)−カルボン酸タイプ、例えば、ベノフロキサシン、ナリジクス酸、エノキサシン、オフロキサシン、アミフロキサシン、フルメキン(flumequine)、トスフロキサシン(tosfloxacin)、ピロミド酸、ピペミド酸、ミロキサシン(miloxacin)、オキソリン酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、ロメフロキサシ、エンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ビンフロキサシン(binfloxacin)、サラフロキサシン、イバフロキサシン(ibafloxacin)、ジフロキサシン及びそれらの塩が含まれる。
【0149】
典型的な駆虫性化合物は、イベルメクチン、ベフェニウム、ヒドロキシナフトエート、プラジカンテル、ニフルティモックス(nifurtimox)、ベンズニダソル(benznidasol)、ジクロロフェン及びダプソーンである。典型的な抗マラリア性化合物は、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン及びピリメタミンである。
典型的な抗ウイルス性化合物は、プロテアーゼインヒビター、ネウラミジナーゼ(neuramidinase)インヒビター、市販の化合物、アシクロビル及びインターフェロンである。
【0150】
典型的な抗炎症性ドラッグには、特定の又は選択的なCOX−2受容体インヒビター、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ピロキシカム、スプロフェン、トルメチン、ジレウトン、ステロイド、シクロオキシゲナーゼインヒビター、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、プレドニゾロン、フェニルブタゾン、トリアムシノロン、スリンダク、インドメタシン、サリチルアミド、ナプロキセン、コルヒチン、フェノプロフェン、ジクロフェナク、インドプロフェン、デキサメタゾン、アロプリノール、オキシフェンブタゾン、プロベネシド及びサリチルアミドナトリウムが含まれる。
【0151】
典型的な鎮痛性ドラッグは、ジフルニサル、アスピリン、イブプロフェン、プロフェン(profen)型化合物、モルフィン、コデイン、レボルファノール、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、オキシコドン、ヒドロコドン、ナロキセン(naloxene)、レバロルファン、エトルフィン、フェンタニル、ブレマゾシン(bremazocine)、メペリジン、ナロルフィン、トラマドール、及びアセトアミノフェンである。
【0152】
典型的な抗ヒスタミン薬及びうっ血除去薬は、アクリバスチン(acrivastine)、アステミゾール、ノルアステミゾール(norastemizole)、ブロムフェニラミン、セチリジン(cetirizine)、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、エバスチン(ebastine)、ファモチジン、フェキソフェナジン、メクリジン、ニザチジン、ピリラミン(perilamine)、プロメタジン、ラニチジン、テルフェナジン、クロルフェニラミン、シメチジン、テトラヒドロゾリン、トリポリジン(tripolidine)、ロラタジン、デスロラタジン、アンタゾリン、及びプソイドエフェドリンである。
【0153】
典型的な抗ぜんそくドラッグは、テオフィリン、エフェドリン、ベクロメタゾンジプロピオネート及びエピネフリンである。
典型的な抗凝固剤は、ヘパリン、ビスヒドロキシクマリン及びワルファリンである。
典型的な精神賦活剤は、イソコボキサジド(isocoboxazid)、ニアルアミド、フェネルジン、イミプラミン、トランシプロミン(tranycypromine)、及びパルグリエン(parglyene)である。
【0154】
典型的な抗けいれん薬は、クロナゼパム、フェノバルビタール、メホバルビタール(mephobarbital)、プリミドン、エニタバス(enitabas)、ジフェニルヒダントイン(diphenylhydantion)、エスルション(ethltion)、フェネツリッド、エトスクシミド、ジアゼパム、フェニトインカルバマゼピン、ラモトリジン、ロラゼパム、レベチラセタム(levetiracetam)、オキサカルバゼピン、トピラメート(topiramate)、バルプロ酸、クロラゼペート(chlorazepate)、ガバペンチン、フェルバメート(felbamate)、チアガビン(tiagabine)及びゾニサミドである。
【0155】
典型的な抗うつ薬は、アミトリプチリン、クロルジアゼポキシドパーフェナジン、プロトリプチリン、イミプラミン、ドクサピン、ベンラファクシン、o−デスメチルベンラファクシン、シタロプラム、エスシタロプラム、ブプロピオン、クロミプラミン、デシプラミン、ネファゾドン、フルオキセチン、フルボキサミン、マプロチリン、ミルタザピン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フェネルジン、トラニルシプロミン、セルトラリン、トラゾドン、トリミプラミン、及びアモクサピンである。
【0156】
典型的な抗糖尿病剤は、スルホニルウレア、例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリベンクラミド、グリクラジド、1−ブチル−3−メタニリルウレア、カルブタミド、グリボヌリド(glibonuride)、グリピジド(glipizide)、グリブリド、グリキドン(gliquidone)、グリソキシピド(glisoxepid)、グリブチアゾール(glybuthiazole)、グリブゾール(glibuzole)、グリヘキサミド(glyhexamide)、グリミジン(glymidine)、グリピンアミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、及びトリルシクラミド(tolylcyclamide)、チアゾリジンジオン(グリタゾン(glitazone))、例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、及びトログリタゾン;ビグアニジン、例えば、メトホルミン;及び他の抗糖尿病剤、例えば、ナテグリニド、レパグリニド、インスリン、ソマトスタチン及びその類似体、クロルプロパミド、イソフェンインスリン、プロタミン亜鉛インスリン懸濁液、グロビン亜鉛インスリン、及び延長型インスリン亜鉛懸濁液である。
【0157】
典型的な抗腫瘍薬は、クロラムブシル、シクロホスファミド、トリエチレンメラミン、チオテパ、ヘキサメチル−メラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ダカルバジン、アラビノシドシトシン、メルカプトプリン、アザチオプリン(azathiprine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タクソール、エトポシド、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン;シスプラチン;ヒドロキシウレア、プロカルバジン、アミノグルテチミド、タモキシフェン、アドリアマイシン、フルオロウラシル、メトトレキサート、メクロレタミン、ウラシルマスタード、5−フルオロウラシル、6−6−チオグアニン及びプロカルバジンアスパラギナーゼである。
【0158】
典型的なステロイド性ドラッグは、プレドニゾン、プレドニゾロン、コルチゾン、コルチゾール及びトリアムシノロン;アンドロゲン性ステロイド、例えば、メチルテストステロン、テストステロン、及びフルオキシメステロン;エストロゲン様ステロイド、例えば、17β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、α−エストラジオール3ベンゾエート、及び17−エチニルエストラジオール−3−メチルエーテル;プロゲステロン性ステロイド、例えば、プロゲステロン、19−ノル−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、17−ヒドロキシ−19−ノル−17−α−プレグナ−5(10)−エン−20−イン−3−オン、17α−エチニル−17−ヒドロキシ−5(10)−エストレン−3−オン、及び9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンである。
典型的なエストロゲンアンタゴニスト−アゴニストドラッグは、クエン酸クロミフェン及び塩酸ラロキシフェンである。
【0159】
典型的な抗精神病薬は、プロクロルペラジン、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、チオリダジン、モリンドン、フルフェナジン、トリフルオペラジン、パーフェナジン、アミトリプチリン、トリフルプロマジン(trifluopromazine)、クロルプロマジン、クロザピン、ハロペリドール、ロクサピン、メソリダジン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、リスペリドン、ピモジド、メソリダジンベシレート、クロルプロチキセン、及びチオチキセンである。
【0160】
典型的な睡眠薬及び鎮静剤は、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタール、チオペンタール、複素環式睡眠薬、ジオキソピペリジン、イミダゾピリジン、例えば、酒石酸ゾルピデム、グルタルイミド、ジエチルイソバレラマイド(diethylisovaleramide)、α−ブロモイソバレリルウレア、ウレタン、ジスルファンである。
【0161】
典型的な抗高血圧症薬は、ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、フェロジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ニモジピン、ベプリジル、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、エナラプリラト(enalaprilat)、エスピラプリル(espirapril)、フォシノプリル(fosinopril)、モエキシプリル(moexipril)、キナプリル、ラミプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド(torsemide)、ムゾリミド(muzolimide)、アゾセミド、ピレタニド(piretanide)、トリパミド、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトザロン(metozalone)、シクロペンチアジド、キシパミド(xipamide)、メフルシド、ドルゾラミド、アセタゾールアミド、メタゾルアミド、エトキシゾラミド(ethoxzolamid)、シクロチアジド、クロパミド、ジクロロフェナミド、ヒドロフルメチアジド、トリクロルメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチアジド、スピロノラクトン、メチルドパ、ヒドララジン、クロニジン、クロロチアジド、デセルピジン、チモロール、プロプラノロール、メトプロロール、ピンドロール、アセブトロール、塩酸プラゾシン、メチルドパ(L−β−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)、α−塩酸メチルドパ二水和物のピバロイルオキシエチルエステル、カンデサルタン・シレキセチル、エプロサルタンメシレート、ロサルタンカリウム、オルメルサルタン・メドキソミル(olmersartan medoxomil)、テルミサルタン、バルサルタン、及びレセルピンである。
【0162】
典型的な抗失禁剤には、オキシブチニンが含まれる。
典型的な精神安定薬は、クロルプロマジン(chloropromazine)、プロマジン、フルフェナジン、レセルピン、デセルピジン、メプロバメート、及びベンゾジアゼピン(benezodiazepine)(アンキシイオリティック(anxyiolitic)、鎮静剤及び睡眠薬)、例えば、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム及びトリアゾラムである。
【0163】
典型的な鎮痙薬及び筋肉収縮薬は、アトロピン、スコポラミン、メトスコポラミン、オキシフェノニウム、パパベリン、及びプロスタグランジン、例えば、PGE1 PGE2 PGF PGF及びPGAである。
典型的な局部麻酔薬は、ベンゾカイン、プロカイン、リドカイン、マエパイン(maepaine)、ピペロカイン、テトラカイン及びジブカインである。
【0164】
典型的な筋弛緩剤は、アルクロニウム、アロセトロン(alosetron)、アミノフィリン、バクロフェン、カリソプロドール、クロルフェネシン、カルバミン酸クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、クロルメザノン、ダントロレン、デカメトニウム、ダイフィリン(dyphylline)、エペリゾン(eperisione)、エタベリン、ガラミントリエチオダイド、ヘキサフルオレニウム、メタキサロン、ヨウ化メトクリン、オルフェナドリン、パンクロニウム、パパベリン、ピペクロニウム、テオフィリン、チザニジン、トルペリゾン、ツボクラリン、ベクロニウム、イドロシルアミド(idrocilamide)、リグスチリド(ligustilide)、クニジリド(cnidilide)、センキュノリド(senkyunolide)、スクシニルコリン−クロリド、ダントロレン(danbrolene)、シクロベンザプリン、メトカルバモール、ジアゼパム、メフェネシン、メトカルバモール(methocarbomal)、トリヘキシルフェニジル(trihexylphenidyl)、プリジノール(プリジノラム(pridinolum))、及びビペリデンである。
【0165】
典型的な抗パーキンソン病薬は、カルビドパ、レボドーパ、ロピニロール、メシル酸ペルゴリド、ラサジリン(rasagiline)、プラミペキソール、エンタカポン、ベンザシド(benzacide)、ブロモクリプチン、セレギリン、アマンタジン、トリヘキシルフェニジル、ビペリデン、メシル酸プリジノール、及びトルカポン(tolcapone)である。
典型的な抗認知症及び抗アルツハイマー疾患用薬剤は、メマンチン、ドネペジル(donepexil)、ガランタミン、リバスチグミン及びタクリンである。
【0166】
典型的な交感神経興奮薬は、アルブテロール、エピネフリン、アンフェタミンエフェドリン及びノルエピネフリンである。
典型的な心臓血管用ドラッグは、プロカインアミド、塩酸プロタインアミド、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、ジピリダモール(dipyredamole)、硝酸ナトリウム及び硝酸マンニトールである。
典型的な利尿剤は、クロロチアジド、アセタゾールアミド、メタゾルアミド、トリアムテレン、フロセミド、インダパミド、及びフルメチアジドである。
【0167】
典型的なβ−ブロッカーは、カルベジロール(caravedilol)、ピンドロール、プロプラノロール、プラクトロール、メトプロロール、エスモロール、オクスプレノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール及びアセブトロールである。
典型的なホスホジエステラーゼインヒビターは、バルデナフィルHCl及びクエン酸シルディナフィルである。
典型的な抗脂血症薬は、アトルバスタチン、セリバスタチン、クロフィブレート、フルバスタチン、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、メビノリニックアシッド(mevinolinic acid)、ナイアシン、プラバスタチン、及びシンバスタチンである。
【0168】
典型的な抗通風ドラッグは、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、及びベンズブロマロン(benzbromadone)である。
典型的な栄養の薬剤は、アスコルビン酸、ナイアシン、ニコチンアミド、葉酸、コリンビオチン、パントテン酸及びビタミンB12、必須アミノ酸;必須脂肪である。
典型的な電解質は、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、フッ化カリウム、乳酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄、フマル酸第一鉄及び乳酸ナトリウムである。
【0169】
α−アドレナリン受容体としてはたらく典型的なドラッグは、塩酸クロニジン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン及びドキサゾシンである。
典型的な軽い中枢神経系刺激薬は、カフェイン、モダフィニル、及び塩酸メチルフェニデートである。
本発明の処方はまた、未分類の治療薬、例えば、クロピドロゲル(clopidrogel)(最近の発作、最近の心筋梗塞、又は確立された末梢動脈障害によりアテローム性動脈硬化症であると立証された患者において、アテローム性動脈硬化症の事象(心筋梗塞、発作、及びバスキュラーデス(vascular death)の減少を示す)と共に用いることができる。
【0170】
本明細書に列挙される活性薬剤(ドラッグ)は、網羅的であるとみなされるべきではなく、そして本発明の範囲内とみなされる複数の実施形態の単なる例示である。本発明の処方物に、複数の他の活性薬剤を投与することができる。好適なドラッグは、本明細書に含まれるドラッグの列挙、並びにU.S.F.D.A.により受け入れられた他のドラッグ、又は人間又は動物に投与するために好適であるとして、カナダ(Health Canada)、メキシコ(Mexico Department of Health)、ヨーロッパ(European Medicines Agency(EMEA))、南アメリカ(特に、アルゼンチン(Administracion Nacional de Medicamentos,Alimentos y Tecnologia Medica (ANMAT)及びブラジル(Ministerio da Saude))、オーストラリア(Department of Health and Ageing)、アフリカ(特に、南アフリカ(Department of Health)及びジンバブエ(Ministry of Health and Child Welfare),)又はアジア(特に、日本(Ministry of Health,Labour and Welfare)、台湾(Executive Yuans Department of Health)、及び中華人民共和国(Ministry of Health People’s Republic of China))において認められた他のドラッグから選択される。本発明の好ましい実施形態は、上記活性物質が、薬理学的に若しくは生物学的に活性であるか、又は使用の環境が、哺乳動物の胃腸管であるものを含む。
【0171】
各剤形に組みこまれる治療化合物の量は、少なくとも1種又は2種以上の単位用量であり、そして薬学の公知の原理に従って選択することができる。治療化合物の有効量が、特に企図される。用語「有効量」は、例えば、医薬に関して、医薬有効量が企図される。有効量は、要求された又は所望の治療薬応答を顕在化させるために十分なドラッグ又は医薬活性物質の量、又は言い換えると、患者に投与した際に、評価できる程度の生物応答を顕在化させるために十分な量である。評価できる程度の生物応答は、活性物質の単一又は複数の単位用量の投与の結果として生ずる。2種又は3種以上の活性薬剤を含む、本発明に従う剤形は、当該剤形により、改良された相加又は相乗的な臨床の利益が提供されるような、治療量以下の量の1種又は2種以上のそれらの活性薬剤を含むことができる。「治療量以下の量」は、上記剤形が投与される患者内で、そのままで治療薬であると概して認められるよりも少ない量を意味する。従って、剤形は、治療量以下の量の第1のドラッグと、治療量の第2のドラッグとを含むことができる。あるいは、剤形は、治療量以下の量の第1のドラッグと、治療量以下の量の第2のドラッグとを含むことができる。
【0172】
用語「単位用量」は、一定量の治療化合物を含む剤形を意味するように本明細書において用いられ、当該量は、1種又は2種以上の所定の単位が、単一の治療薬投与として供給されうるようである。
上記活性薬剤は、ホットメルト押出しに好適な任意の粒径で存在することができる。微細粒径及びより大きな粒径を用いることができる。液体、固体、エマルション、又は他の好適な形態として、それを添加することができる。
【0173】
マイクロメートル又はナノメートルサイズ範囲における微細なドラッグ粒子を製造するためのいくつかの方法が、医薬文献に周知である。これらの方法を、3つの主要な範疇に分けることができる:(1)機械的なマイクロナイゼーション(micronization)(2)溶液系相分離及び(3)急速凍結技法。これらの技法に従って製造されたドラッグ粒子は、本発明の医薬組成物内で用いるために好適でありうる。
【0174】
上記方法には、ボールミル、ジェットミル、又は他の同様のグラインディング方法による機械的微粉砕;溶液系相分離技法、例えば、スプレードライ、乳化/エバポレーション、乳化/溶媒抽出、複合コアセルベーション、ガスアンチソルベント析出(gas antisolvent precipitation,GAS)、加圧化アンチソルベントを用いた析出(precipitation with a compressed antisolvent,PCA)、エアロゾル溶媒抽出システム(aerosol solvent extraction system,ASES)、水性溶液内への蒸発析出(evaporative precipitation into aqueous solution,EPAS)、超臨界アンチソルベント(supercritical antisolvent,SAS)、超臨海流体による溶液強化型分散(solution−enhanced dispersion by supercritical fluids,SEDS)、超臨海から水性溶液への急速膨張(rapid expansion from supercritical to aqueous solutions,RESAS)、圧力誘起相分離(pressure induced phase separation,PIPS);又は凍結技法、例えば、液体内へのスプレー凍結(spray freezing into liquid,SFL)及び超急速冷凍(ultra rapid freezing,URF)が含まれる。これらの方法の詳細な説明は、本明細書に引用される参考文献に含まれる(公表全体を参照により本明細書に組み入れる)。
【0175】
機械的なマイクロナイゼーションが、1〜20μmの範囲の粒子を製造することができる微粉砕技法により最も一般的になされる。この種の機械的な小粒径化のために利用される最も一般的な方法は、ボールミル又はジェットミルである。
【0176】
マイクロ及びナノサイズのドラッグ粒子を製造するための複数の溶液系相分離方法が、医薬文献に記載されている。さらに公知の方法のいくつかは、スプレードライ、乳化/エバポレーション、乳化/溶媒抽出、及び複合コアセルベーションである。あまり知られていない方法のいくつかは、簡潔性を考慮し、それぞれ、それらの具体的な参考文献と共に、以下に列挙する:a)ガスアンチソルベント析出(GAS)−国際公開第9003782号パンフレット、欧州特許第0437451号明細書、デンマーク国特許第59091号明細書;b)加圧化アンチソルベントを用いた析出(PCA)−米国特許第5,874,029号明細書;c)エアロゾル溶媒抽出システム(ASES);d)水性溶液内への蒸発析出(EPAS)−米国特許出願2004/0067251号明細書;e)超臨界アンチソルベント(SAS);f)超臨海流体による溶液強化型分散(SEDS);及びg)超臨界から水性溶液への急速膨張(RESAS)。
【0177】
マイクロ又はナノサイズのドラッグ粒子を製造するための凍結技法を、それぞれ、それらの具体的な参考文献と共に、いかに列挙する:a)液体内へのスプレー凍結(SFL)−国際公開第02060411号パンフレット、米国特許出願公開第2003/054042号明細書、及び同第2003/024424号明細書;及びb)超急速冷凍(URF)。
【0178】
ドラッグ含有粒子は、ホットメルト押出しの際に実質的な凝集若しくは凝集を受けてもよいし若しくは受けなくともよく、そして/又は上記方法の際に生じる激しい混合及び攪拌のためにホットメルト押出しの際に本質的に一次粒子に解離してもよい。ある場合では、上記押出物は、所望の程度の解離を提供するために、上記エクストルーダーにより一回を超えて処理されるべき必要がある場合がある。本明細書において、上記ドラッグ含有粒子に関して用いられるように、用語「解離する」は、ゆるく結合した凝集体を本質的にその一次成分粒子にすることを意味する。本明細書において、上記ドラッグ含有粒子に関して用いられるように、用語「凝集すること」又は「凝集」は、個々の粒子がより大きな粒子を形成することを意味する。
【0179】
上述の明細書及び下記の例を考慮して、当業者は、過度の実験を行うことなく、特許請求の範囲に記載される本発明を実施することができるであろう。本発明に従う処方物の調製に関して、一定の手順を列挙する下記例に関連して、上述の記載をより良好に理解することができるであろう。これらの例に対して行われた全ての参照は、具体的な説明の目的のためである。下記例は、網羅的であるとみなされるべきではなく、本発明により企図される複数の実施形態のいくつかのみの単なる実例である。
【実施例】
【0180】
例1
上記賦形剤混合物の調製
方法A.水を用いた湿式造粒
生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマーを、水及び酸性成分と、当該成分が均一に混合されるまで、高せん断の下、湿式造粒した。1種又は2種以上の他の生体接着性ポリマーが、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の他の熱可塑性ポリマーが、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の他のアルカリ性ポリマーが、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の抗酸化物質が、上記造粒に含まれる。1種又は2種以上の可塑剤が、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の賦形剤が、上記造粒に所望により含まれる。造粒の後、造粒物を所望により乾燥する。
【0181】
方法B.緩衝剤を用いた湿式造粒
造粒に用いられる液体媒体として、水の代わりに緩衝剤を用いた以外は、方法Aの工程を続けた。
【0182】
方法C.水性有機溶媒を用いた湿式造粒
造粒に用いられる液体媒体内に、水混和性有機溶媒が含まれる以外は、方法A又は方法Bの工程を続けた。上記液体媒体は、大部分の水(又は緩衝剤)又は有機溶媒を含むことができる。上記液体媒体は、少なくとも5%の水(又は緩衝剤)を含むのが一般的である。
【0183】
方法D.水性鉱酸溶液を用いた湿式造粒
液体造粒媒体として鉱酸含有水性溶液が用いられる以外は、方法A又は方法Bの工程を続けた。
【0184】
方法E.鉱酸を用いた水性アルコール湿式造粒
造粒用の鉱酸液体媒体内に水混和性有機溶媒が含まれる以外は、方法A又は方法Bの工程を続けた。上記液体媒体は、大部分の水、鉱酸又は有機溶媒を含むことができる。上記液状造粒媒体は、少なくとも5%の水(又は緩衝剤)を含むのが一般的である。
【0185】
方法F.アルカリ不安定ドラッグの存在下で鉱酸を用いた湿式造粒
液体造粒媒体として鉱酸が用いられ、そして酸不安定ドラッグが、造粒ステップの際に存在することを除いて、方法A又は方法Bの工程を続けた。
【0186】
方法G.アルカリ不安定ドラッグの存在下で、鉱酸を用いた水性アルコール湿式造粒
水混和性有機溶媒が造粒用の鉱酸液体媒体に含まれ、そして上記酸不安定ドラッグが造粒ステップの際に存在することを除いて、方法A又は方法Bの工程を続けた。上記液体媒体は、大部分の水、鉱酸又は有機溶媒を含むことができる。上記液状造粒媒体は、少なくとも5%の水(又は緩衝剤)を含むのが一般的である。
【0187】
方法H.乾式造粒
生体接着性アルカリ性熱可塑性ポリマー及び酸性成分を、当該成分が均一に混合されるまで、高せん断の下で乾式造粒した。1種又は2種以上の他の生体接着性ポリマーが、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の他の熱可塑性ポリマーが、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の他のアルカリ性ポリマーが、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の抗酸化物質が、上記造粒に含まれる。1種又は2種以上の可塑剤が、上記造粒に所望により含まれる。1種又は2種以上の賦形剤が、上記造粒に所望により含まれる。
【0188】
例2
次の方法を用いて、本発明のホットメルト押出し組成物を調製した。示される量における次の成分を、ホットメルト押出しされた対照及び上記活性薬剤としてテストステロン(Ts)を含む試料組成物を調製するために用いた。
【0189】
方法A
例1に従って調製された賦形剤混合物を、アルカリ不安定ドラッグと混合し、そして高せん断の下でブレンド化し、均一なブレンドを形成させた。上記ブレンドを、フィルム(シート)ダイを備えるエクストルーダーを用いてホットメルト押出しした。
【0190】
方法B
次の例外を用いて、方法Aを続けた。6インチのフラットダイを備えるRandcastle Taskmasterホットメルトエクストルーダーを、約65〜135℃の押出し温度を用いて、60〜90RPM、6〜9Drive Ampsにおいて操作し、上記組成物を調製した。全ての粉末を、押出し前に、v−shellブレンダー内で混合した。温度領域を、次の通りにセットした:領域1:65℃、領域2:120℃、領域3:125℃、領域4:135℃、ダイ温度135℃。上記材料が1.5kg/時間で操作される質量流コントローラによりスターブフィードされるように、上記粉末ブレンドを、水平スクリューのヘッドのところに配置されている供給ホッパー内に置いた。上記エクストルーダー内の材料の滞留時間は、約3〜5分であった。上記ダイから排出した後、上記押出物を、約1フィートの部分にカットし、そしてアルミニウムシート上に置き、そして周囲条件において冷却させた。実施形態の一つでは、造粒した湿潤塊を、供給ホッパー内に置いた。
【0191】
例3
方法A
例1及び例2の併用工程を用いて、本発明に従うホットメルト押出し組成物を調製する。示される量における次の成分を、ホットメルト押出しされた対照及び上記活性薬剤としてテストステロン(Ts)を含む試料組成物を調製するのに用いた。
【0192】
【表8】

【0193】
テストステロン及び他の成分を、例1に従って調製された湿式造粒された賦形剤混合物に添加した。135℃のバレル温度を用いて、上記ブレンドを単層フィルムとして押出した。押出し前の上記ブレンドの含水率は、3.1%であった。次いで、上記HME組成物を、例4に従うHPLCにより分析し、存在する分解生成物の量を測定する。
PEOは、単一のPEOグレードであることができ、又はPEOは、2,3又は4種以上の異なるグレードのPEO、例えばPEOグレード1、PEOグレード2、PEOグレード3を含むことができる。個々のグレードのそれぞれの量は、本明細書に開示される量から選択されうる。
方法B.2種の酸性成分(酸性有機酸、酸性ポリマー)及び抗酸化物質の使用
【0194】
【表9】

【0195】
クエン酸を第2の酸性化剤として添加し、そしてブチル化ヒドロキシトルエンを、ビタミンEスクシネートの代わりの抗酸化物質として添加したことを除いて、例1の手順を続けた。上述のように、上記賦形剤混合物を、高せん断の下、5%の水と共に、PolyOx及びPoloxamerを湿式造粒することにより調製した。CARBOPOLを添加し、そして均一になるまで混合した。
個々のグレードのそれぞれの量は、本明細書に開示される量から選択されうる。
【0196】
方法C.抗酸化物質なしで、2種の酸性成分(非高分子量有機酸、酸性ポリマー)の使用
クエン酸を第2の酸性化剤として添加した以外は、例1の手順を続けた。上述のように、当該ロットを、高せん断の下、5%の水と共に、PolyOx及びPoloxamerを湿式造粒することにより調製した。CARBOPOLを添加し、そして均一になるまで混合した。上記リザーバ層内に存在するPEOの総量は、上記層の64重量%である。
【0197】
【表10】

【0198】
方法D
この方法は、次の例外を除いて、この方法の例1及び例2並びに方法Cと同様であった。
【0199】
【表11】

【0200】
方法E
この方法は、次の例外を除いて、例1及び例2と同様であった。
【0201】
【表12】

【0202】
上記リザーバ層内に存在するPEOの総量は、上記層の62.5重量%であった。
方法F
この方法は、次の例外を除いて、例1及び例2の方法と同様であった。
【0203】
【表13】

【0204】
上記リザーバ層内に存在するPEOの総量は、上記層の63重量%であった。
方法G
この方法は次の例外を除き、この例の例1及び例2並びに方法Fと同様であった。この例では、上記液体媒体を、ボーラスとして、又は一連の部分において、造粒成分に添加した。
【0205】
【表14】

【0206】
方法H
水及びアルコール(エタノール)(50:50)を造粒用の液体媒体として用いた以外は、同一の手順又は方法Gを続けた。
【0207】
例4
ドラッグ安定性の測定
20の用量を、押出しラン処方物の初期、中期及び終期のところで、HME組成物からサンプリングした。10用量の複合材料を、二重反復試験において、各時点におけるHPLCにより不純物に関して分析した。各分解生成物の重量%を測定した。分析された特定の分解生成物は、下記を含んでいた:6B−ヒドロキシ−テストステロン、4−アンドロステン−16−α−オール−3,17−ジオン、エピ−テストステロン及び同定されていない分解生成物。上記HPLC方法は、医薬産業におけるHPLC(編集,Godwin W.Fong,Stanley K.Lam,New York:M.Dekker,1991)又は医薬分析に関するHPLC法(George Lunn及びNorman R.Schmuff.New York:John Wiley&Sons,1997)において見出される(参照により本明細書に組み入れる)。
【0208】
ドラッグ放出の測定
押出しラミネート(テストステロンを含むリザーバ層及びドラッグを含まないバッキング層)のロットの初期、中期及び終期の試料をサンプリングし、溶解検討を、パドルを用いて100rpmで、1000mLのシミュレートされた唾液溶液(pH6.75における0.1%ラウリル硫酸ナトリウム)の中で実施した。試料を、1、2、4、6、8、12及び24時間のところで取り出し、そしてHPLCによりテストステロン含有率に関して分析した。
【0209】
例5
バッキングフィルムの調製
方法A
例示的なバッキングフィルムを、次の成分を規定量含む疎水性組成物をホットメルト押出しすることにより調製した。
【0210】
【表15】

【0211】
上記バッキング層内に存在するPEOの総量は、上記層の62.5重量であった。上記バッキング層処方を、上記バッキング層及びリザーバ層の界面のところにおけるアルカリ不安定ドラッグ、例えば、テストステロンの分解を最小化するように改良した。上記バッキング層処方はクエン酸を含み、そして当該ブレンド物を、水を用いて湿式造粒し、上記ポリマーを酸性にした。これらのブレンド物を、135℃の最高処理温度において、3:1のドラッグ層:バッキング層比及び1.20mmの総ターゲット厚さにおいて、二層フィルムとして押出した。上記エクストルーダーは、デュアルマニホルドフラット(シート型)押出しダイを備えていた。押出し前の上記ブレンドの水分は、2.4%であった。
【0212】
例6
二層化ラミネートの調製
バッキング層及びリザーバ層を含む例示的な二層化ラミネートを、規定量の次の成分をそれぞれ含む、疎水性組成物(例5に記載)及び親水性組成物のホットメルト共押出しにより調製した。
【0213】
【表16】

【0214】
上記フィルムを、上述のように、酸性化されたバッキングフィルム処方と共に押出した。上記ドラッグ層の厚さは1.10mmであり、そしてバッキング膜厚は0.40mmであった。5.0、7.5、10.0、12.5及び15mgのテストステロン用量を提供するように容量をカットした。リザーバ層ロット1内に存在するPEOの総量は、上記層の61.5重量%であり、リザーバ層ロット2内に存在するPEOの総量は、上記層の59重量%であった。
【0215】
例7
二層化ラミネートの調製
臨床処方を、より遅い溶解プロファイルを達成するように改良した。上記テストステロン濃度を、15%から8.18%に下げ、そしてCARBOPOL濃度を、10%から15%に上げた。Dysoynthから供給されたテストステロンを用いて、5%、50mM塩酸及び5%エタノールを用いた湿式造粒酸性化により、バッチを調製した。造粒物を酸性化されたバッキングフィルムと共に共押出しした。135℃の最高処理温度において、Randcastle共押出しラインを用いて、2.75:1のドラッグ層:バッキング層比及び1.50mmのターゲット全体厚さにおける二層化ラミネートとして、これらのブレンドを共押出しした。押出し前の上記ブレンドの含水率は、2.0%であった。
【0216】
例8
二層化ラミネートの調製
例5及び例6の方法を続けて、次の成分を規定量含む二層化ラミネートを調製した。上記リザーバ層内に存在するPEOの総量は、上記層の65.82重量%であり、そして上記バッキング層内に存在するPEOの総量は、上記層の54重量%である。
【0217】
【表17】

【0218】
【表18】

【0219】
例9
二層化ラミネートの調製
例5及び例6の方法を続けて、次の成分を規定量含む二層化ラミネートを調製した。
【0220】
【表19】

【0221】
上記処方の溶融粘度は、CARBOPOLの少ない別の処方と比較して、非常に高い。処理条件を改良して、上記エクストルーダーを過度に加圧することを避けた。上記スクリュースピードを22%高くし、そして供給速度を46%遅くして、上記アダプターのところで許容可能な圧力を達成した。上記リザーバ層内に存在するPEOの総量は、上記層の60.82重量%であった。
【0222】
例10
リザーバ層のホットメルト押出しに関する例示的な方法
6インチのフラットダイを備えるRandcastle Taskmasterホットメルトエクストルーダーを、約65〜135℃の押出し温度を用いて、60〜90RPM、6〜9Drive Ampにおいて操作し、上記組成物を調製した。全ての粉末を、押出し前に、v−shellブレンダー内で混合した。温度領域を、次の通りにセットした:領域1:65℃、領域2:120℃、領域3:125℃、領域4:135℃、ダイ温度135℃。上記材料が1.5kg/時間で操作される質量流コントローラによりスターブフィードされるように、上記粉末ブレンドを、水平スクリューのヘッドのところに配置されている供給ホッパー内に置いた。上記エクストルーダー内の材料の滞留時間は、約3〜5分であった。上記ダイから排出した後、上記押出物を、約1フィートの部分にカットし、そしてアルミニウムシート上に置き、そして周囲条件で冷却させた。
【0223】
例11
バッキング層のホットメルト押出しに関する例示的な方法
6インチのフラットダイを備えるRandcastle Taskmasterホットメルトエクストルーダーを、約65〜135℃の押出し温度を用いて、60〜90RPM、6〜9Drive Ampにおいて操作し、上記組成物を調製した。全ての粉末を、押出し前に、v−shellブレンダー内で混合した。温度領域を、次の通りにセットした:領域1:65℃、領域2:120℃、領域3:130℃、領域4:130℃、アダプター:135℃、トランスファーチューブ:135℃、ダイ温度:140℃。上記材料が0.5kg/時間で操作される質量流コントローラによりスターブフィードされるように、上記粉末ブレンドを、水平スクリューのヘッドのところに配置されている供給ホッパー内に置いた。上記エクストルーダー内の材料の滞留時間は、約5分であった。上記ダイから排出した後、上記押出物を、約1フィートの部分にカットし、そしてアルミニウムシート上に置き、そして周囲条件において冷却させた。
【0224】
例12
本発明の安定化された組成物に関する例示的な処方
【0225】
【表20】

【0226】
【表21】

【0227】
【表22】

【0228】
1種又は両方の酸性成分が、上記処方内に存在する。
【0229】
【表23】

【0230】
異なるグレードのPEOが、上記処方内に存在する。1種又は両方の酸性成分が、上記処方内に存在する。
【0231】
【表24】

【0232】
上記処方は、3種の異なるグレードのPEO、高分子量酸性成分、非高分子量有機酸、親水性ポリマー、アルカリ不安定ドラッグ、及び所望による1種又は2種以上の上記表に列挙される他の成分を含む。
【0233】
例13
本発明のバッキング層に関する例示的な処方
【0234】
【表25】

【0235】
【表26】

【0236】
【表27】

【0237】
3種の異なるグレードのPEOが存在し、そして上記疎水性ポリマーがまた、存在する。
【0238】
【表28】

【0239】
3種の異なるグレードのPEOが存在する。
【0240】
上記は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明である。具体的な説明の目的で、本発明の特定の実施形態を、本明細書に記載してきたが、本発明の範囲及び精神から外れることなく、種々の改良をなすことができることが正しく評価されるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲から除外されるものとして制限されない。本明細書に開示され、そして特許請求の範囲に記載される全ての実施形態を、本開示の観点から、過度の実験を行うことなく行い、そして果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0241】
次の図は、本明細書の一部、及び特許請求の範囲に記載される発明の例示的な実施形態を形成する。これらの図及び本明細書の記載の観点から、当業者は、過度の実験を行うことなく本発明を実施することができるであろう。
【図1】図1は、本発明に従う、単層化ホットメルト押出し組成物の例示的な実施形態の横断面の正面図を描写する。
【0242】
【図2】図2は、本発明に従う、二層化ホットメルト押出し組成物の例示的な実施形態の横断面の正面図を描写する。
【図3】図3は、本発明に従う、三層化ホットメルト押出し組成物の例示的な実施形態の横断面の正面図を描写する。
【図4a】図4aは、本発明に従って製造された種々の徐放性HME組成物に関する放出プロファイルを描写する。
【図4b】図4bは、本発明に従って製造された種々の徐放性HME組成物に関する放出プロファイルを描写する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又は2種以上のアルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とを含んでなる安定化された生体接着性ホットメルト押出しラミネートの調製方法であって、次のステップ;
a)7以下の溶液pHを有する賦形剤混合物を形成するために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性及び/又は生体接着性マトリックス形成材料、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の抗酸化物質、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び他の賦形剤、あるいはそれらの組み合わせを造粒するステップ;
b)生体接着性熱可塑性親水性第1組成物を形成させるために、前記賦形剤混合物をアルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;
c)少なくとも1種の疎水性ポリマー、所望による可塑剤、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による少なくとも1種の酸性成分を含む熱可塑性疎水性第2組成物を準備するステップ、ここで前記第2組成物は、ドラッグを含まない;
d)生体接着性親水性リザーバ層及び疎水性低透過性バッキング層のそれぞれを含む生体接着性二層化ホットメルト共押出しラミネートを形成するために、前記第1組成物及び前記第2組成物を共押出しするステップ:
を含む方法。
【請求項2】
前記造粒するステップが、湿式造粒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湿式造粒が、水、緩衝剤又は水性有機溶媒を用いて実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記湿式造粒が、水性アルコールを用いて実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1組成物を、ステップc)の前に乾燥させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マトリックス形成材料がPEOである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸性成分が、有機酸、無機酸、酸性ポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性成分が生体接着性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸性成分が、非高分子量有機酸及び生体接着性ポリマーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記賦形剤混合物が親水性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記賦形剤混合物が疎水性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記湿式造粒するステップが、Poloxamer、抗酸化物質、PEO及び無機酸又は有機酸を最初に湿式造粒し、次いで生体接着性ポリマーを添加することにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記湿式造粒するステップが、単一の有機酸及び親水性ポリマーの水性溶液を、抗酸化物質のアルコール溶液と最初に混合し、次いで、PEOを添加し、次いで、生体接着性ポリマーを添加することにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1組成物が、2種又は3種以上の、熱可塑性であって、水膨潤性、水溶性又は水侵食性であるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2組成物が、2種又は3種以上の異なる疎水性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
積層するステップが、加熱触媒化ラミネーションである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
積層するステップが、前記リザーバ層及びバッキング層の間に接着剤を置くステップ、続いて、当該2層を共にプレスするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記マトリックス形成材料が生体接着性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記1種又は2種以上の親水性ポリマーが、1種又は2種以上の生体接着性ポリマー、1種又は2種以上の熱可塑性ポリマー、及び/あるいはそれらの組み合わせからなる群から、各存在において、独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記酸性成分が、鉱酸又はそれらの水性溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性熱可塑性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む安定化された生体接着性ホットメルト押出し組成物の調製方法であって、次のステップ;
a)7以下の溶液pHを有する賦形剤混合物を形成するために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性及び/又は生体接着性マトリックス形成材料、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の抗酸化物質、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び1種又は2種以上の他の賦形剤、あるいはそれらの組み合わせを湿式造粒するステップ;
b)生体接着性熱可塑性親水性組成物を形成するために、前記賦形剤混合物をアルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;そして
c)前記生体接着性ホットメルト押出し組成物を形成するために、前記親水性組成物をホットメルト押出しするステップ:
を含む方法。
【請求項22】
前記マトリックス形成材料が、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、セルロースポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ホットメルト押出し組成物が、即放又は速放の治療組成物である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ホットメルト押出し組成物が遅延放出の治療組成物である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ホットメルト押出し組成物が、制御放出、持続放出、スローリリース、徐放、又は標的化放出の治療組成物である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ホットメルト押出し組成物が、経皮、経粘膜、直腸、肺、鼻、膣、眼もしくは耳のドラッグデリバリー用に適合された、又は埋め込むことができるドラッグデリバリーデバイスとして適合された剤形である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
下記;
原材料 %w/w;
アルカリ不安定ドラッグ 0.001〜50.00;
非アルカリ性熱可塑性生体接着性マトリックス 50.00 〜99.999:
を含む安定化されたホットメルト押出し医薬組成物であって、
前記マトリックスが、アルカリ性熱可塑性生体接着性ポリマー及び酸性成分を含む予備生成された賦形剤混合物を含み、
当該賦形剤混合物は、続いて、前記アルカリ不安定ドラッグ及び所望による1種又は2種以上の他の成分と混合され、次いで、前記安定化されたホットメルト押出し医薬組成物にホットメルト押出しされる、
前記医薬組成物。
【請求項28】
前記アルカリ性熱可塑性生体接着性ポリマーがPEOである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記PEOが、2種又は3種の異なるグレードのPEOの組み合わせである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記酸性成分が、高分子量有機酸、非高分子量有機酸、無機酸、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記酸性成分が、一方が高分子量有機酸である少なくとも2種の異なる酸を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記PEOが、PEOグレード1、PEOグレード2及びPEOグレード3から成る群から選択され、
PEOグレード1が、5%溶液において、25℃で、12〜8800mPa・sの範囲における溶液粘度か、又は100,000〜600,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドであり;
PEOグレード2が、8800mPa・s(5%溶液、25℃)〜4000mPa・s(2%溶液、25℃)の範囲における溶液粘度か、又は900,000〜2,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドであり;そして
PEOグレード3が、1%溶液において、25℃で、1650〜15,000mPa・sの範囲における溶液粘度か、又は4,000,000〜8,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドである、
請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
不透明化剤をさらに含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項34】
前記賦形剤混合物が、造粒された混合物である、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
前記アルカリ不安定ドラッグが、テストステロン、オキシブチニン、モルフィン、フェンタニル、アスピリン、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール及びナルトレキソンから成る群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
前記酸性成分が、高分子量有機酸、非高分子量有機酸、無機酸、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項37】
前記酸性成分が、一方が高分子量有機酸である少なくとも2種の異なる酸を含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
下記;
原材料 %w/w;
アルカリ不安定ドラッグ 0.001〜50.00;
PEOグレード1 5.00 〜50.00;
PEOグレード2 5.00 〜50.00;
PEOグレード3 5.00 〜50.00;
CARBOPOL 0.25 〜35.00;
非高分子量酸性成分 0.001〜10.00;
Poloxamer 0.25 〜20.00:
を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項39】
PEOグレード1が、5%溶液において、25℃で、12〜8800mPa・sの範囲における溶液粘度か、又は100,000〜600,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドであり;
PEOグレード2が、8800mPa・s(5%溶液、25℃)〜4000mPa・s(2%溶液、25℃)の範囲における溶液粘度か、又は900,000〜2,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドであり;そして
PEOグレード3が、1%溶液において、25℃で、1650〜15,000mPa・sの範囲における溶液粘度か、又は4,000,000〜8,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドである、
請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記アルカリ性熱可塑性生体接着性ポリマーが、PEO、ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され;
前記酸性成分が、高分子量有機酸、非高分子量有機酸、無機酸、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され;そして
さらに下記の少なくとも1種;
Poloxamer、ポリエチレンオキシド、ポリ(ビニルアルコール)、カルボマー、ポリカルボフィル、キトサン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、カルボキシポリメチレン、ポリエチレングリコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリホスファジン、ポリオキサゾリジン、ポリ(ヒドロキシアルキルカルボン酸)、カラゲエネートアルギネート、カルボマー、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、天然ゴム、グアールガム、アラビアゴム、トラガカントガム、キサンタンガム、ゼラチン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される親水性ポリマー;
GANTREZ、ポリアクリレートポリマー、アルキルセルロース、エチルセルロース、ワックス、ポリエステル、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される疎水性ポリマー;
ポリエチレンオキシド、カルボマー、ポリカルボフィル、メチルビニルエーテル及びマレイン酸又は無水物のコポリマー、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、1種又は2種以上のアクリルポリマー、1種又は2種以上のポリアクリル酸、これらのポリマーのコポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される生体接着性ポリマー;
ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−co−ビニルアセテート、PLA、PLGA、アクリレート及びメタクリレートコポリマー、ポリエチレン、ポリカプロラクトン、ポリエチレン−co−ポリプロピレン、アルキルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、でん粉、ペクチン、多糖類、トラガカントガム、アラビアゴム、グアールガム、サッカロースステアレート、キサンタンガム、脂質、ワックス、モノ−グリセリド、ジ−グリセリド、及びトリ−グリセリド、セチルアルコール、ステリルアルコール、パラフィルムワックス、水素化植物性油脂、ヒマシ油、グリセロールモノステアレート、ポリオール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、α−ヒドロキシ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、腸溶性ポリマー、セルロースアセテートフタレート、AS、シェラック、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるマトリックス形成材料;
グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、多水酸基アルコール、グリセリン、ソルビトール、グリセロールエステル、グリセロールトリアセテート、脂肪酸トリグリセリド、鉱物油、ジエチルフタレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、植物性油脂、ヒマシ油、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される可塑剤;
ビタミンE、ビタミンEスクシネート、ビタミンE TPGS、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される抗酸化物質;
二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される不透明化剤;及び
脂肪エステル、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、ワックス、カルナウバワックス、蜜ろう、ビタミンEスクシネート、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される熱潤滑剤:
を含む請求項27に記載の組成物。
【請求項41】
前記PEOが、3種の異なるグレードのPEOの組み合わせである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
PEOグレード3が、PEOグレード1よりも高粘度を有するPEOグレード2よりも高粘度を有する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
PEOグレード1が、5%溶液において、25℃で、12〜8800mPa・sの範囲における溶液粘度か、又は100,000〜600,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドであり;
PEOグレード2が、8800mPa・s(5%溶液、25℃)〜4000mPa・s(2%溶液、25℃)の範囲における溶液粘度か、又は900,000〜2,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドであり;そして
PEOグレード3が、1%溶液において、25℃で、1650〜15,000mPa・sの範囲における溶液粘度か、又は4,000,000〜8,000,000のおおよその分子量範囲を有するポリエチレンオキシドである、
請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記予備生成された賦形剤混合物が、前記アルカリ不安定ドラッグと混合される前に湿式造粒調製された、請求項27に記載の組成物。
【請求項45】
前記湿式造粒するステップが、Poloxamer、抗酸化物質、PEO及び無機酸又は有機酸を最初に湿式造粒し、次いで、生体接着性ポリマーを添加することにより実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項46】
前記湿式造粒するステップが、単一の有機酸及び親水性ポリマーの水性溶液を、抗酸化物質のアルコール溶液と最初に混合し、次いで、PEOを添加し、次いで、生体接着性ポリマーを添加することにより実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項47】
前記酸性成分が、有機酸、無機酸、酸性ポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項48】
前記湿式造粒が、水、緩衝剤又は水性有機溶媒を用いて実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項49】
下記;
原材料 %w/w;
アルカリ不安定ドラッグ 0.001〜50;
アルカリ性熱可塑性生体接着性ポリマー 10 〜99.9;
酸性成分 0.001〜10:
を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項50】
前記アルカリ性熱可塑性生体接着性ポリマーがPEOである、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
下記;
原材料 %w/w;
アルカリ不安定ドラッグ 0.001〜50;
PEO 10 〜99.9;
高分子量酸性成分 0.25 〜35;
非高分子量酸性成分 0.001〜10:
を含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
下記;
原材料 %w/w;
アルカリ不安定ドラッグ 0.001〜50;
PEOグレード1 5 〜50;
PEOグレード2 5 〜50;
PEOグレード3 5 〜50;
高分子量酸性成分 0.25 〜35;
非高分子量酸性成分 0.001〜10:
を含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
下記;
原材料 %w/w;
アルカリ不安定ドラッグ 0.001〜50;
PEOグレード1 5 〜50;
PEOグレード2 5 〜50;
PEOグレード3 5 〜50;
CARBOPOL 0.25 〜35;
非高分子量酸性成分 0.001〜10;
Poloxamer 0.25 〜20:
を含む、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
バッキング層をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項55】
前記バッキング層が、下記;
原材料 %w/w;
熱可塑性ポリマー 10.00〜99.9;
疎水性ポリマー 0.1 〜99.9:
を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記バッキング層が、下記;
原材料 %w/w;
ポリエチレンオキシド 5 〜99.9;
疎水性ポリマー 0.1〜99.9:
を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記バッキング層が、下記;
原材料 %w/w;
PEOグレード1 5 〜50;
PEOグレード2 5 〜50;
PEOグレード3 5 〜50;
疎水性ポリマー 0.1〜99.9:
を含む、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記バッキング層が、下記;
原材料 %w/w;
PEOグレード1 5〜50;
PEOグレード2 5〜50;
PEOグレード3 5〜50;
ポリアクリレートポリマー 10〜85;
エチルセルロース 1〜85:
を含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記バッキング層が、酸性成分をさらに含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項60】
アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とを含んで成る安定化された生体接着性ホットメルト押出しラミネートの調製方法であって、次のステップ;
約7以下か、又は前記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成させるために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性ポリマー、抗酸化物質、少なくとも1種の生体接着性ポリマー、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の疎水性ポリマー、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒又は乾式造粒するステップ;
生体接着性熱可塑性親水性第1組成物を形成するために、前記賦形剤混合物を、アルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;
少なくとも1種の疎水性ポリマー、可塑剤、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による少なくとも1種の酸性成分を含む熱可塑性疎水性第2組成物を準備するステップ;
生体接着性親水性リザーバ層を形成するために、前記第1組成物を押出すステップ;
疎水性低透過性バッキング層を形成するために、前記第2組成物を押出すステップ;そして
前記ラミネートを形成するために、前記リザーバ層を、前記バッキング層に積層するステップ:
を含む調製方法。
【請求項61】
アルカリ不安定ドラッグ、アルカリ性マトリックス形成ポリマー及び酸性成分を含む生体接着性親水性リザーバ層と、疎水性低透過性バッキング層とを含んで成る安定化された生体接着性二層化ラミネートの調製方法であって、次のステップ;
約7以下か、又は前記アルカリ不安定ドラッグが分解するpH未満の溶液pH(溶解した場合)を有する賦形剤混合物を形成させるために、少なくとも1種の水膨潤性又は水溶性アルカリ性熱可塑性ポリマー、抗酸化物質、少なくとも1種の生体接着性ポリマー、少なくとも1種の酸性成分、所望による1種又は2種以上の疎水性ポリマー、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による1種又は2種以上の他の賦形剤を湿式造粒又は乾式造粒するステップ;
生体接着性熱可塑性親水性第1組成物を形成するために、前記賦形剤混合物を、アルカリ不安定ドラッグと混合するステップ;
生体接着性親水性リザーバ層を形成するために、前記第1組成物を押出すステップ;
少なくとも1種の疎水性ポリマー、可塑剤、所望による1種又は2種以上の親水性ポリマー、及び所望による少なくとも1種の酸性成分を含む熱可塑性疎水性第2組成物を準備するステップ;そして下記のいずれか
生体接着性二層化ラミネートを形成するために、前記第2組成物を、前記リザーバ層上にホットメルト押出しするステップ;
疎水性低透過性バッキング層を形成するために、前記第2組成物をホットメルト押出しし、続いて、生体接着性二層化ラミネートを形成するために、前記リザーバ層及びバッキング層を共に積層するステップ;又は
生体接着性二層化ラミネートを形成するために、前記第2組成物を、前記リザーバ層上に注入成形するステップ:
を含む調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2009−531453(P2009−531453A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503173(P2009−503173)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/064714
【国際公開番号】WO2007/112286
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508287334)オクシリウム インターナショナル ホールディングス,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】