説明

アルギン酸ベースの建設材料

本開示は、建設業及び建築業用の種々建設材料、これら種々建設材料で建築する建設物又は物体、及びこれら建設材料を製造する方法を説明する。建設材料は、アルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムなどのポリマー材料を有し、ポリマー材料によって顕著な難燃性、耐火性及び耐熱性又は不浸透性がその材料に与えられる。他の物質が、架橋性を改善するため及び/又は菌分解に対する耐性を生み出すため材料に加えられてもよい。本発明のアルギン酸ポリマーを用いて製造、加工、又は処理可能な建設材料は、木造製品;石造製品;壁、屋根板、床板及び羽目板製品;並びに塗料製品を含むが、これらに限定されない。さらに、ゲルの形態にあるアルギン酸ナトリウムは、野火、森林火災、及び山火事の進行を効果的に阻止するための防火材として用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)本出願は、米国特許法119条(e)項の下で2009年5月21日出願の米国仮出願61/180,280号の優先権の利益を主張し、この全体を本明細書に援用する。
【0002】
(連邦政府委託研究開発に関する主張)適用せず
【背景技術】
【0003】
森林火災は避けられない。森林火災は全国的規模で生じ、それらの年間破壊は、カリフォルニアの森林火災シーズンの総括を見るとよく分かる。2003年の10月と11月に発生したサンディエゴ郡のシーダー火災を考えてみよう。その恐ろしい火災により消防士1人を含む15人が亡くなり、28万エーカー以上が焼失し、2232軒の民家と22軒の商業ビルが破壊された。この火災は幾つかの壊滅的な火災のたった1つにすぎなかったが、建設物損失に関しては、この壊滅的な火災はそれまでその州を襲った最悪の森林火災包囲攻撃では非常に重要なものであった。さらに、カリフォルニア州保険局は、1カ月間だけで2億73万7117件の請求が申請され、そのうち1531件が全損であり、保険会社は20億2600万ドルを超える保険金を支払ったと発表した。これらすべては、10月その月の南カリフォルニアにおける森林火災発生から生じたものである。
【0004】
カリフォルニア州知事シュワルツェネッガーの気候顧問は、地球温暖化のため森林火災による資産損失が2050年までに年間420億ドルほどになり得ると試算する。その数字は、州の消防費用を加えるとおそらく600億ドルほどまでに急増するであろう。
【0005】
家庭及び商業の資産損失に加えて、カリフォルニア州は、現在、森林火災で連邦政府所有の森林を年間3万700エーカーを超える割合で失っている。これは、サンフランシスコ市の規模より少し大きい森林を失っていることに相当する。もしこの割合が次の100年に亘って続くとするならば、300万エーカーの森林地を失うこともあり得、低木茂みの荒地に変わってしまうであろう。
【0006】
カリフォルニア州の土地、家屋や商業ビルの年間損失は憂慮すべきものであるが、これは、森林火災による国家規模の資産損失を考慮し始めてさえいない。もし評価を公述する状況となり、森林火災による資産及び財政の全損失を合計すると、その数字は衝撃的なものとなろう。さらに、家屋や商業ビルの火災による国家規模の年間資産損失及び財政負担に森林火災に起因する資産損失及び財政負担を含むとすると、財政的影響は想像を絶し、人命損失及び我々国民家庭に残すそれらの財政的、精神的負担は言うまでもないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この世界の敬虔な科学者及び責任ある市民として、我々は、火災による人命及び資産の恐るべき損失を無視してはならない。むしろ我々は、「その課題を解決するために何ができるのか?」と自身に問いかけなくてはならない。本請求及び開示の発明概念はそのような解決法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、建設業及び建築業用の種々建設材料、これら種々建設材料で建築する建設物又は物体、及びこれら建設材料を製造する方法を説明する。本請求及び開示の発明概念のアルギン酸ポリマーを用いて製造、加工、又は処理可能な建設材料は、木造製品;石造製品;壁、屋根板、床板及び羽目板製品;並びに塗料製品を含むが、これらに限定されない。さらに、ゲルの形態にあるアルギン酸ナトリウムは、野火、森林火災、及び山火事の進行を効果的に阻止するための防火材として用いてもよい。
【0009】
より詳しくは、本明細書で開示の種々建設材料はポリマー材料成分を有し、ポリマー材料成分によって顕著な難燃性、耐火性及び耐熱性又は不浸透性がその材料に与えられる。特に、好適実施形態では、ポリマー成分は、建設又は建築材料基質と組み合わされたアルギン酸ナトリウムを有する。アルギン酸ナトリウムは、カルシウム溶液にさらすことで、或いはアルギン酸ナトリウムを付加した材料基質に内在するカルシウムにさらすことでアルギン酸カルシウムに変化する。あるいは、アルギン酸ポリマー成分は、前もってアルギン酸カルシウムの形態で与えられたアルギン酸の形態を有していてもよい。他の物質が、架橋性を改善するため及び/又は菌分解に対する耐性を生み出すため材料に加えられてもよい。
【0010】
本請求及び開示の発明概念のアルギン酸ポリマーを用いて製造、加工、又は処理可能な建設材料は、木造製品;石造製品;壁及び屋根板材料;床板材料;電気材料;絶縁材料;台所カウンター材料;配管材料;塗料材料;並びにガラス、プラスチック、及びゴム材料を含むが、これらに限定されない。木造製品は、ひきくず、木くず、撚り木材及び/又は木材チップを含む圧縮板、そのような圧縮板から製造した合板、製材品、板材、梁、トラス、間柱、及び切断又は挽き出された木材の他の形態、積層板、並びに他のセルロース系材料(例えば、竹、コルク、及び他の木質材料)を含むが、これらに限定されない。石造製品は、コンクリート、セメント、グラウト及びモルタル、すべてのタイプのコンクリートブロック、石造顔料、スラブ用コンクリート、壁、フーチング、及び道路、すべてのタイプのプレキャストコンクリート、プレキャスト建築土台、笠石、装飾品(features)、円形模様及びキャップ、建築人造石及び擬石、すべての種類の石膏、すべての種類のスタッコ、すべてのタイプのれんが、コンクリート又は粘土の屋根ユニット、すべての石造又はコンクリートベースの製品を含むが、これらに限定されない。壁及び屋根板材料は、アスファルトシングル、木材シングル、及び合成繊維シングル、石膏及びすべての石膏ベースの製品、乾式壁、すべての種類の羽目板素材、ガラス繊維及びすべてのガラス繊維ベースの製品を含むが、これらに限定されない。床板材料は、ビニール、カーペット、木材、木材積層板、石、合成石造タイル、コンクリート、及びコンクリート又はセメントベースの床板材料を含むが、これらに限定されない。電気材料は、電気デバイス、電線被覆及びスイッチを含むが、これらに限定されない。絶縁材料は、すべてのタイプのガラス繊維製詰め綿などを含むが、これらに限定されない。台所カウンター材料は、加熱硬化性合成樹脂、複合材料、石、人工石、砕石若しくは鉱物、又はコンクリートを含むが、これらに限定されない。配管材料は、屈曲管及び管絶縁材を含むが、これらに限定されない。塗料材料は、塗料、塗料用顔料、及び塗料用化合物を含むが、これらに限定されない。さらに、ゲルの形態にあるアルギン酸ナトリウムは、野火、森林火災、及び山火事の進行を効果的に阻止するための防火材として用いてもよい。本請求及び開示の発明概念の他の使用は、以下の説明を見直すことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】木材粒子を成形するように押し込むために用いた成形機の模式図である。
【図2】本請求及び開示の発明概念に係り製造した板の写真である。
【図3】粒子状材料を封入するアルギン酸ナトリウムポリマーゲルの模式図である。
【図4】分子粒子状材料を封入した多重らせん‐らせんアルギン酸ポリマー凝集体の模式図である。
【図5】図4の多重らせん‐らせん凝集体を有する主要なアルギン酸カルシウムの大規模封入体である。
【図6】アルギン酸で処理した従来の板の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、建設業及び建築業用の種々建設材料、これら種々建設材料で建築する建設物又は物体、及びこれら建設材料を製造する方法を説明する。建設材料は、アルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムなどのポリマー材料を有し、ポリマー材料によって顕著な難燃性、耐火性及び耐熱性又は不浸透性がその材料に与えられる。他の物質が、架橋性を改善するため及び/又は菌分解に対する耐性を生み出すため材料に加えられてもよい。本発明のアルギン酸ポリマーを用いて製造、加工、又は処理可能な建設材料は、木造製品;石造製品;壁、屋根板、床板及び羽目板製品;並びに塗料製品を含むが、これらに限定されない。さらに、ゲルの形態にあるアルギン酸ナトリウムは、野火、森林火災、及び山火事の進行を効果的に阻止するための防火材として用いてもよい。
【0013】
本開示の特定の実施形態及び実施例をこれから述べる。特定の処理及び組成の実施例は、例示的目的ためにのみ本明細書で与えられ、限定することを意図するものでない。特に、1つの実施形態に関連して述べる作用、要素及び特徴は、他の実施形態でも類似の役割を果たすことを意図する。以下の発明を実施するための形態では、数多くの特定の実施形態が本開示の更なる十分な理解を与えるために述べられている。しかしながら、これら特定の実施形態無しに本開示を実施してもよいことが当業者には明らかであろう。他の実施例では、当業者に周知の特徴、方法、及び他の手段を、不必要に説明が複雑化するのを避けるために詳細には述べなかった。また、本明細書で用いる語法及び用語は説明を目的とするものであって限定とみなすべきでない。「including」、「comprising」、「having」、「containing」、「involving」及びここでのその変形例の使用は、広義を意図するとともに、説明しない追加的主題と同様に以降で説明する要素及びその均等物を包含する。さらに、この明細書及びこれに添付する任意の請求項において、単一形態「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に単一形態を定める以外は、複数個の参照を含む。他の方法で定義されない限り、本明細書で用いるすべての科学技術用語は、本請求及び開示の発明概念が属する当業者にとってよく理解される意味と同一の意味を有する。
【0014】
本請求及び開示の発明概念は、様々な好適かつ非限定的実施形態において、建築業で用いる種々建設材料、これらの種々建設材料で建築する物体、及びこれら建設材料を製造する方法を対象とする。建設材料はポリマー材料を有し、ポリマー材料によって顕著な難燃性、耐火性及び耐熱性又は不浸透性がその材料に与えられる。特に、好適実施形態では、アルギン酸ナトリウムは、建築又は建設業で用いる材料基質と組み合わされ、かつカルシウム溶液(例えば、飽和溶液以下の任意の溶液、及び飽和溶液を含む任意の溶液)にさらすことで、或いはアルギン酸ナトリウムを付加した材料に内在するカルシウムにさらすことでアルギン酸カルシウムに変化する。あるいは、アルギン酸ポリマー成分としてのアルギン酸カルシウムは建築材料基質と直接組み合わされてもよい。他の物質が、かび又は菌分解に対する耐性を生み出すため基質‐ポリマー混合材に加えられてもよい。
【0015】
本請求及び開示の発明概念のアルギン酸ポリマーを用いて製造、加工、又は処理可能な建設材料は、木造製品;石造製品;壁及び屋根板材料;床板材料;電気材料;絶縁材料;台所カウンター材料;配管材料;塗料材料;並びにガラス、プラスチック、及びゴム材料を含むが、これらに限定されない。木造製品は、ひきくず、木くず、撚り木材及び/又は木材チップを含む圧縮板、そのような圧縮板から製造した合板、製材品、板材、梁、トラス、間柱、及び切断又は挽き出された木材の他の形態、積層板、並びに他のセルロース系材料(例えば、竹、コルク、及び他の木質材料)を含むが、これらに限定されない。石造製品は、コンクリート、セメント、グラウト及びモルタル、すべてのタイプのコンクリートブロック、石造顔料、スラブ用コンクリート、壁、フーチング、及び道路、すべてのタイプのプレキャストコンクリート、プレキャスト建築土台、笠石、装飾物(features)、円形模様及びキャップ、建築人造石及び擬石、すべての種類の石膏、すべての種類のスタッコ、すべてのタイプのれんが、コンクリート又は粘土の屋根ユニット、すべての石造又はコンクリートベースの製品を含むが、これらに限定されない。壁及び屋根板材料は、アスファルトシングル、木材シングル、及び合成繊維シングル、石膏及びすべての石膏ベースの製品、乾式壁、すべての種類の羽目板基質、ガラス繊維及びすべてのガラス繊維ベースの製品を含むが、これらに限定されない。床板材料は、ビニール、カーペット、木材、木材積層板、石、合成石造タイル、コンクリート、及びコンクリート又はセメントベースの床板材料を含むが、これらに限定されない。電気材料は、電気デバイス、電線被覆及びスイッチを含むが、これらに限定されない。絶縁材料は、すべてのタイプのガラス繊維製詰め綿などを含むが、これらに限定されない。台所カウンター材料は、加熱硬化性合成樹脂、複合材料、石、人工石、砕石若しくは鉱物、又はコンクリートを含むが、これらに限定されない。配管材料は、屈曲管及び管絶縁材を含むが、これらに限定されない。塗料材料は、塗料、塗料用顔料、及び塗料用化合物を含むが、これらに限定されない。さらに、ゲルの形態にあるアルギン酸ナトリウムは、野火、森林火災、及び山火事の進行を効果的に阻止するための防火材として用いてもよい。本請求及び開示の発明概念の他の使用は、以下の発明の説明を見直すことで明らかとなろう。アルギン酸ナトリウムは、多様なタイプの褐藻類の細胞壁から抽出された材料であって、乳化剤として食品業界内で広く用いられている。この天然ポリマーは水中で撹拌することでゲルを形成する特異な能力を有し、このゲルは放置した状態で凝固しない。さらに、このように形成されたゲルは、非特異的な高い封入親和性を示す。言い換えると、理論による束縛を望まなくても、アルギン酸高分子は、分子骨格内の引き合う原子電荷によって、他の分子周りをその高分子自体が取り囲んで巻き付く能力を有する。アルギン酸骨格内に効果的に封入可能な分子の種類のリストは多数ある。
【0016】
アルギン酸ナトリウムの別の特異的な特徴は、アルギン酸ポリマーであるアルギン酸カルシウムの非水溶性形態を生成するようにカルシウムとイオン交換を通して反応する能力である。アルギン酸カルシウムは親水性でも新油性でもない固体ポリマーである。実際にアルギン酸カルシウムは水、水分及び有機溶剤溶解に対して十分に耐性がある。長年の研究の後、アルギン酸カルシウムは酵素的にのみ消化可能であることを我々は見出した。土壌菌類、哺乳類の両方ともアルギン酸カルシウム骨格を消化するに必要な天然酵素を有している。しかし、これより興味深いのは、アルギン酸ポリマーが熱、炎の両方に対して耐性があることである。1000℃を超える温度の燃え盛る炎の下でさえも、そのポリマーは溶けることも燃え出すこともない。アルギン酸ポリマーは熱、炎の両方を屈折させ或いは反射させる分子能力を有し、この耐熱性、難燃性は、トーチの炎を一片のアルギン酸ポリマーの表面に当てることで簡単に見ることができる。本明細書で用いる箇所では、「アルギン酸ポリマー」という単語は、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カルシウムのいずれか又は両方のことを言う。
【0017】
アルギン酸ナトリウム自体は非常に効果的な分子封入活性を有するが、さらに高い封入親和性は、アルギン酸ナトリウムに加え、架橋剤などの追加的ポリマー剤から得ることができ、架橋剤は、近似比0.1%‐5.0%から95.0%‐99.9%のアルギン酸ナトリウム中のカラギーナン、キサンタンガム、及び/又は寒天を含むが、これらに限定されない。このようにして、二重らせんがポリマー鎖の接合点を形成する3次元網状組織が構築され、これにより、最適な分子化合物周りを巻回する多重らせん‐らせん凝集体が形成できる(例えば、以下に記載の図4参照)。このように、ポリマー成分は架橋剤を含む物質の群の少なくとも1つを有していてもよく、架橋剤は、セルロースガム、ペクチン、ペクチン樹脂、ローカストビーンガム、ローカストビーン樹脂、キサンタンガム、キサンタンガム樹脂、カラギーナン、カラギーナンのナトリウム塩、ジェランガム、ジェランガム樹脂、乳漿タンパクガム、乳漿タンパク樹脂、寒天、プロピレングリコール、アラビアガム、アラビアガム樹脂、グアーガム、グアーガム樹脂、トラガカントガム、及びガティガムを有する。
【0018】
このように形成されたらせん‐らせんアルギン酸凝集体は、分子化合物を十分に封入し保護する能力においては非常に効果的であるが、可撓性、結合強度、水分及び耐菌性の最適特性をまだ提供できていない。これは、以下の図4に示すように、ゲルの状態では、ポリマー‐化合物複合体が水の影響を受けやすい形態にあるためである。粒子状化合物をしっかり保持するらせん‐らせん凝集体は、次に耐水性のある状態に変化する必要がある。これはイオン交換によりなされる。たとえば、塩化カルシウムの5%から30%の水溶液(より好適には20%から25%、又は塩化カルシウム若しくはハロゲン化カルシウムの任意の飽和溶液)中に凝集体を単にさらすと、凝集体のナトリウムはカルシウムに置換する。この反応は室温で急速に起こるか或いは、以下に示すように、らせん‐らせん状に装着した凝集体の形態となり、この凝集体は前もって配置した固体基質の形態にある水媒体から急速に分離する。凝集体基質を乾燥させて水分に対する基質の比率を5%未満、好適には1%未満、或いは無水状態にすると、100%の耐水性が得られるとともに、先の部分で述べたすべての特性に加え、優れた結合強度、耐熱性、難燃性、発泡性、高い可撓度を有する無限に続く棚状の均質性を有して成形される。装着した凝集体が耐水性形態に変化するのに加えて、アルギン酸で封入した基質の分子形態ではカルシウムが別の重要な役割を果たす。すなわち、カルシウムは隣接するポリマー同士を架橋構造にする。カルシウムの架橋性により、最終基質が3次元らせん構造内に安定的に配置され(例えば、以下に記載の図5参照)、これにより、封入化合物がよりしっかりと保持されるのみならず、酸性劣化、紫外線劣化、及び水分劣化が、これら以外の莫大な数の環境ストレスに加えて防止される。
【0019】
以下の研究では、難燃性、耐熱性、耐水性、及び耐菌性を有する商業用及び家庭用建設材料を製造するための建築材料基質にアルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムを如何に組み込むことができるかを明示する。アルギン酸ポリマーを内部又は上部に組み込むことが可能な建築材料基質の種類は実質的には制限がない。たとえば、ポリマーは、耐熱性、難燃性及び耐水性のある圧縮板を形成するようにひきくず、撚り木材及び/又は木材チップを有する基質と組み合わせできる。あるいは、木材を有する基質がポリマーとともに処理できる。たとえば、ポリマーは、本明細書の他の箇所でより詳細に述べた材料のほんの数例をリストアップしたところのセメント、コンクリート、塗料材料、乾式壁材、シングル材、屋根板材、羽目板材、床板材、ガラス及び/又は石造製品を有する基質に付加できる。また、本明細書では、ゲル形態のアルギン酸ナトリウムが、森林火災を効果的に阻止し抑制するための防火材として如何に使用可能かを明示する。
【0020】
実施例
【0021】
実施例1:木造製品
【0022】
A:圧縮板
【0023】
工程:難燃性ポリマー形成の最適化
【0024】
最も耐熱性、難燃性及び耐水性のある板材を製造するために、木くず、撚り木材又は木材チップに対する乾燥ポリマーの最適レベルが求められた。そのため、次の工程に係り表1で与えられたポリマー試料を用いた3重の圧縮板を製造した。
【0025】
5ガロンのバケツ内で、500mlの湿ったアルギン酸ポリマー試料が木くず、撚り木材及び/又は木材チップを有する0.1kgの建築材料基質とともに混合された。この混合材は60秒間に亘って均質化され、その後図1の押し出し成形機を用いて板材内に押し込まれた。成形機にアルギン酸ポリマーと木材の混合材を付加するに先立って、成形機に23%の塩化カルシウム水溶液が噴霧された。いったん混合材を装填すると、300mlの追加的な塩化カルシウム溶液が混合材の表面上に均等に注がれた。ツーバイフォー板材を用いて、ワンバイフォー板材、木製ねじ及び木製押し出し成形機を図1に示すように製造した。この成形機は、圧縮板を形成するようにひきくず、撚り木材及び木材チップを有する基質とポリマーの混合材を押し出すように用いられた。成形機はポリマーと木材の混合材で満たされ、工業用取付万力を用いて圧縮された。いったん圧縮すると、板材を成形機から除去し100℃で一晩乾燥した。圧縮板の最終製品は次の寸法:3.5インチ×9.5インチ×7/8インチ厚みがあった。各試料の板材は3重にして製造した。
【0026】
乾燥工程が完了すると、各試料を用いて製造した圧縮板をプロパントーチの炎にさらし(この炎と試験用板材との間隔は0.25インチであった)、耐熱性及び難燃性が評価された。結果を表2に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
非限定的な好適実施形態で示した木材に対するポリマーの比率の分析結果によると、木くず、撚り木材又は木材チップに対する乾燥ポリマーの最適レベル(すべてのコストを考慮する)は91.53%の木材に対して8.47%のアルギン酸ポリマーである(この混合材は本明細書の他の箇所で4番の試料として言及している)。4番の試料は、均質ゲルが得られるまで10Lの冷水中の252gのアルギン酸ナトリウムを均質化することで高品質に製造する。好適実施形態では、ポリマーと木材の混合材内のポリマー成分(又は本請求及び開示の発明概念の任意の建築材料基質)の重量パーセントは、ポリマー/基質混合材の1%から2%から3%から4%から5%から10%から15%から20%から25%から30%から40%から50%から60%から70%から80%から90%から95%の範囲に亘る。試験した各試料は難燃性も耐熱性もあったが、最適なものが木材基質内への火炎侵入度合いの評価により選ばれた。たとえば、ポリマーと木材の混合材から製造した圧縮板は「炎を捕らえる」ことはないであろう。しかしながら、トーチの炎が長期間その製造板の表面に保持されると、炎は小さな穴があいた圧縮板の表面にゆっくり侵入するであろう。その小さな穴は、直径が約1/4インチであって、付加したアルギン酸ポリマーの濃度に依存して深さが変化している。4番の試料は火炎侵入の量が最も少なかったことで、最適であると判定された。しかしながら、コストも考慮に入れた最適な試料を選んだ上で、混合材内の最も高いポリマー濃度によって火炎侵入しにくい最終基質を得ることを注記すべきある。実際、100%のアルギン酸ポリマーでできた木材がない模擬木材は100%の耐熱性及び難燃性があるのみならず、火炎侵入に対しても100%の耐性がある。しかしながら、現時点でそのような模擬木材をアルギン酸ポリマーから製造するコストは高すぎて、広く使用するには至っていない。アルギン酸ポリマーの発酵、抽出及び精製のコストが工程最適化によって減少しているので、アルギン酸模擬木材は商業上現実的で市場性が高くなるであろうし、商業用及び家庭用構造建築物で広く使用されることになろう。
【0030】
上で述べた工程により製造し、アルギン酸を大規模に封入した典型的な圧縮板の写真を図2に示す。その製造した圧縮板の外観は、従来の圧縮材の外観と大きくは変わらない。しかしながら、アルギン酸圧縮板の物理的及び化学的特性は、従来の圧縮材の物理的及び化学的特性よりはるかに優れている。
【0031】
第1に、アルギン酸圧縮板は難燃性であった。最終木材製品を燃焼させるすべての試みが、プロパントーチの炎と1000℃をはるかに超える温度に数時間その材料を直接さらした後にも行われた。実際、上述したように、トーチの炎を木材の表面から1/4インチの距離に保持したとき、直径1/4インチ領域のいくらか黒くなった部分を有する非常に小さな直径部分が板に形成された視認効果だけがあり、その部分は数分から数時間、炎がその表面と直接接触していた。いったん炎を除去すると、表面にはほんの小さな残り火さえも見られなかった。実際、熱せられた表面はすぐに触ることができ、その表面温度は室温をほんの少し超えるだけであり、触ることで比較的容易に冷えた。
【0032】
第2に、アルギン酸圧縮板は、従来の圧縮板と最終材料重量の差がわずかであっても従来の圧縮板以上の強度を示した。たとえば、従来の圧縮板の2インチ×4インチ片の2.5インチ長さの重量が23.37gであるのに対して、アルギン酸圧縮板の同一長さ、幅及び厚みの重量は11.74gしかない。
【0033】
第3に、アルギン酸圧縮板は絶縁材として機能した。たとえば、プロパントーチの炎を数分から数時間、圧縮板の表面から1/4インチの距離に保持したとき、圧縮板の内部温度は62°Fを決して超えない。加熱以前の初期0時の内部温度が61°Fであったことを考えると、アルギン酸圧縮板は顕著な絶縁特性を有することで、熱伝達に対して耐性があった。
【0034】
第4に、アルギン酸圧縮板はシトロバイオ(CitroBio)(商標)又は他の抗菌成分などのすべての天然シトラスエッセンスを含んでいてもよく、これにより、雑菌汚染に対する耐性が得られる。たとえば、主成分の乾燥重量上、ちょうど160ppmのシトラスエッセンスの濃度によって雑菌増殖が抑制された。板材内に直接組み込まれた耐菌性により、板材の耐用年限が延びる。
【0035】
第5に、アルギン酸圧縮板は耐湿性があった。カルシウムの架橋性でもってアルギン酸ポリマーと木くず、撚り木材又は木材チップとで製造した3次元分子基質は、水を実際にはじく分子封入体を構築した。これもまた板材の寿命特性である。
【0036】
第6に、圧縮板の製造では現在、結合剤を必要としているが、アルギン酸圧縮板では外部からの結合剤が必要なかった。アルギン酸カルシウムで封入した分子基質は板材結合には十分すぎるほどであって、このアルギン酸カルシウムで封入した分子基質は、従来の接着剤又は結合剤、工程及び実施の親和性の何倍もの親和性を有していた。
【0037】
B:処理された製材品
【0038】
従来の製材品は、基質材料として供給されて真空下で24時間にわたってアルギン酸ナトリウムポリマー(4番の試料)のタンク内に浸され、その後、真空下で塩化カルシウム溶液を用いて処理された。最初の試験では、「2×4(ツーバイフォー)」及び「1×4(ワンバイフォー)」の板材が3重にして処理され、耐熱試験及び耐火試験が実施された。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
上で述べた処理で製造し、アルギン酸で処理した典型的な板材の写真を図6に示す。その製造した板材の外観は、従来の製材品の外観と大きくは変わらない。しかしながら、アルギン酸で処理した製材品の物理的及び化学的特性は、従来の板材の物理的及び化学的特性よりはるかに優れている。第1に、アルギン酸で処理した製材品は難燃性であった。最終木材製品を燃焼させるすべての試みが、プロパントーチの炎と1000℃をはるかに超える温度に数時間その材料を直接さらした後にも行われた。実際、上述したように、トーチの炎を木材の表面から1/4インチの距離に保持したとき、直径1/4インチ領域のいくらか黒くなった部分を有する非常に小さな直径部分が板に形成された視認効果だけがあり、その部分は数分から数時間、炎がその表面と直接接触していた。いったん炎を除去すると、表面にはほんの小さな残り火さえも見られなかった。実際、熱せられた表面はすぐに触ることができ、その表面温度は室温をほんの少し超えるだけであり、触ることで比較的容易に冷えた。
【0041】
第2に、アルギン酸で処理した製材品は、従来の製材品と重量の差が無視できるほどの追加的なものであっても従来の製材品以上の強度を示した。
【0042】
第3に、アルギン酸で処理した製材品は絶縁材として機能した。たとえば、プロパントーチの炎を数分から数時間、製材品の表面から1/4インチの距離に保持したとき、製材品の内部温度は62°Fを決して超えない。加熱以前の初期0時の内部温度が61°Fであったことを考えると、アルギン酸で処理した製材品は顕著な絶縁特性を有することで、熱伝達に対して耐性があった。
【0043】
第4に、アルギン酸で処理した製材品はすべての天然シトラスエッセンス、シトロバイオ(CitroBio)(商標)などの抗菌添加剤で特に形成されていてもよく、これにより、雑菌汚染に対する耐性が得られる。たとえば、主成分の乾燥重量上、ちょうど160ppmのシトラスエッセンスの濃度によって雑菌増殖が抑制された。板材内に直接組み込まれた耐菌性により、板材の耐用年限が延びてきた。
【0044】
第5に、アルギン酸で処理した製材品は耐湿性があった。カルシウムの架橋性でもってアルギン酸ポリマーと木材構造体とで製造した3次元分子基質は、水を実際にはじく分子封入体を構築した。これもまた寿命特性である。
【0045】
第6に、アルギン酸で処理した製材品では外部からの結合剤が必要なかった。アルギン酸カルシウムで封入した分子基質は大規模封入処理には十分すぎるほどであった。
【0046】
実施例2:石造製品
【0047】
さらに、本請求及び開示の発明概念は、上述の特性と同一の特性を有し、石材ベースの構造体の建築に使用する石造製品の製造および使用を考慮する。たとえば、処理されている石造建築材料基質のタイプにかかわらず、次のような最終製品が製造される。すなわち、最終製品は難燃性があり、耐熱性があり、絶縁材として機能し、従来の材料の結合強度の何倍もの強度を有し、水分浸透性に対し耐性があり、可撓性を示し、かつ、従来の石造製品の強度よりはるかに優れた1平方インチあたりのポンド(psi)の強度を示す。さらに、実際には、本請求及び開示の発明概念のアルギン酸ポリマー成分を有し得る石造製品に制限はない。たとえば、すべてのタイプのモルタル混合材及びすべてのタイプのセメントベースの製品は、次の材料及び基質:すべてのタイプのコンクリートブロック;すべてのタイプの石造製品用の着色顔料;スラブ、壁、フーチング及び道路用のコンクリート;浄化槽及びマンホールなどのプレキャストコンクリート;プレキャスト建築土台、笠石、装飾品(features)、円形模様及びキャップ;土台用の建築人造石、笠石、装飾品(features);ドア及び壁周り、円形模様、キャップ及び雨押さえ台、湿り気を帯びて注入するか乾いた状態で押し込むかして製造し、かつセメントベースか砂ベースで製造するすべての種類の擬石;セメントベースか合成物質ベースのすべての種類の石膏;セメントベースか合成物質ベースのすべての種類のスタッコ、セメントベースか粘土ベースのすべてのタイプのれんが;並びに、2〜3例を挙げると、頁岩製の屋根タイルユニットを含むコンクリート又は粘土の屋根タイルユニットを含むが、これらに限定されない。
【0048】
次に、実施例として従来のモルタル混合材を用いたアルギン酸処理の石造製品の有効性を示す。ここで示す実施例では、石造材料基質と混合したアルギン酸はアルギン酸ナトリウムであり、アルギン酸ナトリウムは、そのアルギン酸水溶液をモルタル混合材に内在するカルシウムにいったんさらすと、アルギン酸カルシウムに化学的に変化する。
【0049】
モルタル混合材の3つの異なるタイプ及びグラウト混合材の1つのタイプを材料基質として試験した。従来の混合法を用いて調整がなされ、分析試料は、カルシウム・ナトリウム・ポリマーを同一の混合法を用いて同一の混合材に加えることで製造した。調整材及び分析試料は加工性、難燃性、耐熱性、結合強度、耐水性、可撓性、及びpsi強度が試験された。
【0050】
モルタル混合材設計1:アルギン酸処理
75ポンドのモルタル標準タイプSの組積造
242ポンドのASTM144規格のサンドモルタル
5ガロンの水
1クオートの10%アルギン酸ナトリウムポリマー、又は
1クオートの20%アルギン酸ナトリウムポリマー
【0051】
2つの分析混合材を製造し、一方は1クオートの10%アルギン酸(90%の水)を付加し、他方は1クオートの20%アルギン酸(80%の水)を付加した。1つの調整混合材をアルギン酸なしに製造した。
【0052】
混合工程は次の通りであった。すなわち、
1.水を機械的混合機に加え、
2.砂の半分を加え、
3.アルギン酸を加え、
4.75ポンドのモルタルを加え、
5.残りの砂を加えた。
【0053】
調整材は、アルギン酸の付加を除いて同一の工程で混合した。アルギン酸の付加を除いて上述の工程は広く工業的に使用する標準的な混合設計であり、砂に対するモルタルの比率は砂が3.23の部分に対してモルタルが1の部分である。
【0054】
考察
【0055】
比較分析すると、調整試料と比較して2つのアルギン酸分析試料では使い易さや加工性が増したことが体験された。20%アルギン酸で処理の試料は、調整材の結合強度の2倍を超える結合強度を示した。アルギン酸で処理の両方の試料は耐水性を示し、防水性を維持したのに対し、アルギン酸がない調整材は耐水性を示さず、防水性を維持しなかった。アルギン酸で処理の両方の試料は調整材と比較して難燃性を示した。そして最後に、20%アルギン酸で処理の分析試料は1/2インチのスラブで試験したときに約1/8インチの撓みを示し、アルギン酸処理の結果としてモルタルの可撓性が示された。
【0056】
モルタル混合材設計2:アルギン酸処理
75ポンドのタイプSのPLCモルタル(組積造添加剤がないセメント石灰混合材)
242ポンドのASTM144規格のサンドモルタル
5ガロンの水
1クオートの10%アルギン酸ナトリウムポリマー、又は
1クオートの20%アルギン酸ナトリウムポリマー
【0057】
2つの分析混合材を製造し、一方は1クオートの10%アルギン酸を付加し、他方は1クオートの20%アルギン酸を付加した。1つの調整混合材を製造した。
【0058】
次の混合工程を用いた。すなわち、
1.水を機械的混合機に加え、
2.砂の半分を加え、
3.PLCモルタルを加え、
4.残りの砂を加え、
5.アルギン酸ポリマーを加えた。
【0059】
調整材は、アルギン酸の付加を除いて同一の工程で混合した。
【0060】
考察
【0061】
比較分析すると、調整試料と比較して2つのアルギン酸分析試料では使い易さや加工性が増したことが示された。20%アルギン酸で処理の試料は、調整材の結合強度の2倍を超える結合強度を示した。アルギン酸で処理の両方の試料は耐水性及び防水性を示したのに対し、調整材は耐水性も防水性も示さなかった。アルギン酸で処理の両方の分析試料は調整材と比較して難燃性を示した。そして最後に、20%アルギン酸で処理の試料は1/2インチのスラブで試験したときに約1/8インチの撓みを示し、アルギン酸処理の結果としてモルタルの可撓性が示された。
【0062】
PSI試験
【0063】
4つすべての混合分析材の試料及び2つのモルタル混合調整材の試料は、S&Mマテリアルズ・テスティング・カンパニーにて3日、及び7日の中断に関して試験した。結果は次の通りであった。
1.3日の中断により、調整材に比較して10%アルギン酸で処理の分析材の圧縮強度は2倍を示した。
2.3日の中断により、調整材に比較して20%アルギン酸で処理の試料は3日後に要求される強度の3倍を示した(タイプSのPLCの設計強度は28日後で1800psiであり、アルギン酸で処理の試料は3日の中断で1760psiに達し破断した)。
【0064】
地元の建設材料供給者から求められるように、上の試験と同様の工程構成及び試験パラメーターを、アルギン酸処理及び未処理のモルタル及びグラウト(商標名Lacticrete)を試験するために用いた。得られたすべての試験結果は上で得られた試験結果と同一であった。
【0065】
実施例3:塗料製品
【0066】
A:水及びオイルベースの塗料
【0067】
本請求及び開示の発明概念は、耐熱性及び難燃性の屋内及び屋外の塗料を製造するための水ベース及びオイルベース両方の塗料材料基質内のアルギン酸カルシウム及び/又はナトリウムの使用も考慮する。水ベース及びオイルベース両方の塗料へのポリマーの付加は、耐熱性及び難燃性の屋内及び屋外の塗料を製造するために再び最適化された。本実施例の分析材として先のポリマー形態、4番の試料を再び用いた。いったんアルギン酸ナトリウムと塗料の混合材を製造すると、混合材は木材、乾式壁、金属又はコンクリートの表面上に噴霧され、その直後、本実施形態のアルギン酸カルシウムへの変化用の塩化カルシウム溶液(例えば、濃度23%)が噴霧された。試験の結果を表4から6に示す。
【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
B:すべて天然成分の塗料
【0072】
本請求及び開示の発明概念の別の実施形態は、すべて天然の「環境に優しい」材料基質に塗料を全体的として再形成することで塗料産業を大きく変える。たとえば、現在、塗料産業は2つの主要な塗料の種類「水ベース」及び「オイルベース」を有する。両方とも、哺乳類が摂取すると発癌性、可燃性及び毒性があると知られた化学物質を用いて形成されている。我々は人生のある時期に部屋を塗装し、塗装実施や材料乾燥の過程を通して放出された有害な蒸気を潜在的に直接経験してきた。実際、その蒸気は何日もとどまる。有害な蒸気を放出する溶媒添加剤がなく100%毒性のないすべて天然の成分でできた塗料、すなわち「無香」塗料を想像してみよう。本発明は、自然のすべて天然の顔料(例えば、リコピン、アスタキサンチン、ルテイン、ベータカロチン、クロロフィル及び任意の他のカロチノイド又はアントシアニン顔料)で形成された毒性のない塗料を考慮し、この顔料により、顔料の量が少ない従来の塗料の何倍もの鮮明さが得られる。また、この塗料は、100%の難燃性があり、絶縁材として機能し、耐湿性、耐菌性があり、従来の結合強度の何倍もの結合強度を有し、瞬間乾燥特性を有し、顔料分離なしに5年の保存寿命を有し(最初の混合後、撹拌が必要ない)、顔料存続寿命が長く、切断や剥離に対して耐性があり、可撓性を有し、かつ、屋内であろうと屋外であろうと如何なるタイプの表面も塗装できる。次の試験は、そのような塗料が非限定的な実施形態で如何に形成できるかを示している。
【0073】
工程:すべて天然の「瞬間乾燥」難燃性塗料
【0074】
均質ゲルを得るまで冷温又は室温の水中でポリマーを均質化することで、3%のアルギン酸基剤を製造する。次に、3%のアルギン酸基剤225mlに500mgのベータカロチンと500mgのカーマインを加える。これにより、従来の赤色塗料が作られる。均質ゲルになるまでその混合材を均質化し、例えば、木材、乾式壁、金属及び/又はコンクリート表面に塗布する。そのペイント塗料で塗った後、塩化カルシウム水溶液(例えば、5%から30%、好適には23%)の蒸気をその表面に噴霧する。すぐにその蒸気を乾いた布で表面から拭き取り、上で特定したパラメーターについて試験する。
【0075】
考察
【0076】
任意の天然顔料を、幅広い色のスペクトルを得るように単独で又は他の顔料との任意の組み合わせで用いてもよい。その顔料を試験した後、バルスパー製の従来の水ベースの赤色塗料調整材と比較すると、本発明の新規の塗料は次の特性を有することが分かった:
1.基剤(水/アルギン酸)がすべて天然成分である。
2.顔料がすべて天然成分である。
3.塗料の顔料が少なく、塗料がより鮮明である。
4.保存する際に顔料の分離がない。
5.発癌性物質の添加剤がない。
6.溶媒がない。
7.臭いがない。
8.耐湿性がある。
9.瞬間乾燥できる。
10.耐火性がある。
11.耐熱性がある。
12.絶縁材として機能する。
13.結合強度が2倍である。
14.塗料存続寿命が長い。
15.切断や剥離に対して耐性がある。
16.耐水性/耐湿性がある。
17.耐菌性がある。
18.屋内であろうと屋外であろうと如何なるタイプの表面も塗装できる。
19.可撓性がある。
【0077】
実施例4:防火ポリマーとしてのアルギン酸ゲルの使用
【0078】
本請求及び開示の発明概念の別の実施形態では、冷水中でのアルギン酸ナトリウム(例えば、252mg)をゲル状態まで均質化することで湿った「防火」ポリマーゲルを製造した。このゲルは、森林火災を阻止する能力が完全であり、かつ完全に防火境界線を形成する。たとえば、10kgの牧草をガソリン中に浸した後、厚い層に広げて配置した。次に、ガソリンに浸かった牧草の層の中心を横切って直線状にアルギン酸ポリマーの細かい霧を噴霧した。アルギン酸ポリマーを噴霧した部分以外はすべて燃焼し、その噴霧部分は全く燃焼せず、緑の牧草はそのままの状態であった。同様の試験がシーダー木材についても実施され、同一の結果となった。また、布をガソリン中に浸し、アルギン酸ナトリウムを用いて布上に画像をペイントした。画像部分以外は完全にすべて布が燃焼し、その画像部分は火の影響を全く受けなかった。布の画像部分の外観は、布に着火する前の外観と全く同じであった。
【0079】
結論として、好適実施形態では、本請求及び開示の発明概念は建築用の建設材料製品を対象とし、建設材料製品は、建築材料基質成分と、建築材料基質成分の上又はその内部に分散されたアルギン酸ポリマー成分とを有する。建設材料製品は、アルギン酸ポリマー成分はアルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムを有していてもよい。建設材料製品のアルギン酸ポリマー成分は更に架橋剤を有していてもよく、架橋剤は、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、及び寒天の少なくとも1つであってもよい。建設材料製品のアルギン酸ポリマー成分は更に防かび剤又は抗菌剤を有していてもよい。建設材料製品のアルギン酸ポリマー成分は、例えば、重量で建設材料製品の1%から25%を有していてもよい。建設材料製品は、例えば、木造製品、石造製品、塗料製品、羽目板製品、床板製品、又は屋根板製品を有していてもよい。本請求及び開示の発明概念は、本明細書で述べた建設材料製品を有する建築物又は建築部材及び/又はフェンス又はフェンス部材も対象とする。
【0080】
また、好適実施形態では、本請求及び開示の発明概念は建設材料製品を製造する方法を対象とし、その方法は、建設材料基質成分を供給し、アルギン酸ポリマー成分を供給し、建設材料基質成分とアルギン酸ポリマー成分を組み合わせ、建設材料製品を形成するように建設材料基質成分とアルギン酸ポリマー成分とが組み合わされたものを処理するステップを有する。上で述べたように、アルギン酸ポリマー成分はアルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムを有していてもよい。アルギン酸ポリマー成分は更に架橋剤を有していてもよい。架橋剤はキサンタンガム、カラギーナン、及び寒天の少なくとも1つであってもよい。アルギン酸ポリマー成分は更に防かび剤又は抗菌剤を有していてもよい。 アルギン酸ポリマー成分は、例えば、重量で建設材料製品の1%から25%を有していてもよい。その方法で製造された建設材料製品は、例えば、木造製品、石造製品、塗料製品、羽目板製品、床板製品、及び屋根板製品の少なくとも1つを有していてもよい。
【0081】
本請求及び開示の発明概念は本明細書で述べた特定の実施形態によって範囲が限定されない。なぜなら、このような実施形態は、これら本請求及び開示の発明概念の多様な態様の単一の例示としてだけ意図されたものであり、かつ、任意の機能的に均等な実施形態がこれら本請求及び開示の発明概念内にあるからである。実際、本請求及び開示の発明概念の方法の多様な修正例が、本明細書で示し述べた方法に加えて、先の説明から当業者には明白となろう。
【0082】
本明細書で引用した引用文献、特許又は刊行物の各々の全体は、援用して本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用の建設材料製品であって、
建築材料基質成分と、
該建築材料基質成分の上又はその内部に分散されたアルギン酸ポリマー成分と、
を有する建設材料製品。
【請求項2】
前記アルギン酸ポリマー成分はアルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムを有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項3】
前記アルギン酸ポリマー成分は更に架橋剤を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項4】
前記架橋剤はキサンタンガム、カラギーナン、及び寒天の少なくとも1つである、請求項3に記載の建設材料製品。
【請求項5】
前記アルギン酸ポリマー成分は更に防かび剤又は抗菌剤を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項6】
前記アルギン酸ポリマー成分は、重量で前記建設材料製品の1%から25%を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項7】
木造製品を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項8】
石造製品を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項9】
塗料製品を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項10】
羽目板製品を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項11】
床板製品を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項12】
屋根板製品を有する、請求項1に記載の建設材料製品。
【請求項13】
請求項1に記載の建設材料製品を有する建築物又は建築部材。
【請求項14】
請求項1に記載の建設材料製品を有するフェンス又はフェンス部材。
【請求項15】
建設材料製品を製造する方法であって、
建設材料基質成分を供給することと、
アルギン酸ポリマー成分を供給することと、
前記建設材料基質成分と前記アルギン酸ポリマー成分を組み合わせることと、
前記建設材料製品を形成するように前記建設材料基質成分と前記アルギン酸ポリマー成分とが組み合わされたものを処理することと、
を有する方法。
【請求項16】
前記アルギン酸ポリマー成分はアルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アルギン酸ポリマー成分は更に架橋剤を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記架橋剤はキサンタンガム、カラギーナン、及び寒天の少なくとも1つである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アルギン酸ポリマー成分は更に防かび剤又は抗菌剤を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記アルギン酸ポリマー成分は、重量で前記建設材料製品の1%から25%を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記建設材料製品は木造製品、石造製品、塗料製品、羽目板製品、床板製品、及び屋根板製品の少なくとも1つを有する、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527398(P2012−527398A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512016(P2012−512016)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/035518
【国際公開番号】WO2010/135494
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511281523)タマリスク テクノロジーズ, エル.エル.シー. (1)
【Fターム(参考)】