説明

アルケン分離方法

【課題】アルケン、アルカン及び酸素からなる混合ガスからのアルケンを分離する改良された方法を得る。
【解決手段】対応するアルケン及びカルボン酸を生成するC乃至Cアルカンの酸化方法であって、本方法はアルケン、アルカン及び酸素の混合物からアルケンを金属塩溶液中での吸収により分離し、アルケンの豊富な流れを金属塩溶液から回収することからなる。アルキルカルボキシレート及びアルケニルカルボキシレート生成のための統合的方法であって、本方法はC乃至Cアルカンを酸化して対応するアルケン及びカルボン酸を生成し、アルケン、アルカン及び酸素の混合物からアルケンを金属塩溶液中での吸収により分離し、そしてアルケンの豊富な流れをアルキルカルボキシレート又はアルケニルカルボキシレートの生成において使用される金属塩溶液から回収することからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルケン、アルカン及び酸素からなる混合ガスからのアルケンの分離に関し、特にエチレン、エタン及び酸素の混合物からの金属塩溶液中での吸収によるエチレンの分離に関する。
【0002】
本発明はまた、(a)対応するアルケン及びカルボン酸を生成するC乃至Cアルカンの酸化のような炭化水素酸化方法、そして(b)炭化水素酸化方法から生成されるアルケン及びカルボン酸が反応体として更に使用される統合的方法における分離方法の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレン及び酢酸はエタンの触媒酸化によって生成され得る。エチレン及び酢酸を生成する典型的な酸化方法において、エタン、酸素及び状況に応じてエチレン及び/又は水が反応器中へ導入される。反応体はモリブデン/ニオブ/バナジウム含有触媒のような酸化触媒と接触してエチレン(生成物として又は未反応供給原料としての何れか)、酢酸、未反応エタン及び未反応酸素からなる出口流を生成するために反応させる。出口流は、反応器から除去され、凝結され、そしてガス状流及び液状流に分離される。エタン、エチレン及び酸素からなるガス状流は更に精製され得、そこからエチレンを得る。酢酸及び水からなる液状流は更に精製され得る。
【0004】
エタンのような炭化水素からのエチレンの分離が極低温蒸留のような蒸留プロセス及び圧力スイング吸収及び反応性吸収のような吸着技術によって実行され得ることは知られている。加えて、例えば欧州特許出願公開第0262264号明細書に記載されているようなエタンのエチレンへのオキシ脱水素化(oxydehydrogenation)によって生成される混合ガスのように、アルカン/アルケンガス混合物が酸素を包含する場合、酸素はアルカンからのアルケンの分離の前に伝統的に除去される。酸素が炭化水素の分離の前に除去されていないと、分離方法は酸素を濃縮する可能性がありその結果酸素−含有流が可燃性又は爆発性になってしまう。
【0005】
欧州特許出願公開第0943595号明細書には、置換性ナトリウム及びカリウムイオンを有するA型ゼオライトに混合ガスを通過させて、ゼオライトを再生処理してアルケン−強化ガスを生成するステップからなる圧力スイング吸収プロセスによって、アルケン及びアルカン例えばエタンからなる混合ガスからアルケン例えばエチレンを分離する方法が記載されている。そのような圧力スイング吸収システムは機械的に複雑であり、単一の吸収サイクルはエチレン濃度の少々の増加しか生じさせない。アルケン、アルカン及び酸素からなる混合ガスからアルケンを分離することは言及されていない。
【0006】
国際公開第00/37399号パンフレットには、酸素によるパラフィン系炭化水素のオートサーマルクラッキング法が記載されており、該方法では生成物流はエチレン、プロペン、ブテン及び一酸化炭素からなる。選択的にエチレン及びプロペンを吸収して、金属塩からエチレン及び/又はプロペンを回収することができる金属塩の溶液に生成物流を接触させることによって、エチレン及びプロペンは生成物流から分離される。金属塩溶液での処理の前に、生成物流は酸素及び二酸化炭素のような成分を除去するため処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0262264号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0943595号明細書
【特許文献3】国際公開第00/37399号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エタン、エチレン及び酢酸の触媒的酸化の生成物は、下流のプロセスにおいて反応し得、アルキルカルボキシレート例えば酢酸エチル、又はアルケニルカルボキシレート例えば酢酸ビニルを生成する。
【0009】
上記を考慮しても、アルケン、アルカン及び酸素からなる混合ガスからのアルケンを分離する代替となる及び/又は改良された方法の必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
我々は、従来の酸素除去を必要とすることなくアルケン、アルカン及び酸素からなる混合ガスからアルケンが分離され得ることをここに見出した。
【0011】
加えて、我々は、アルケン、アルカン及び酸素からなる混合ガスからのアルケンの分離が従来技術によって必要とされるより少ない処理段階にて実行され得ることを見出した。
【0012】
従って、本発明はアルケン、アルカン及び少なくとも0.1モル%の酸素からなる混合ガスからアルケンを分離する方法を提供するものであり、本方法は:
(a)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記混合ガスを接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(b)金属塩溶液からアルケンを回収するステップからなる。
【0013】
都合の良いことに、本発明の方法では高価でエネルギー集約的な蒸留分離装置の必要性がなくなる。
【0014】
更に、本発明の方法は費用のかかる冷凍設備の必要性を排斥するか又は少なくとも軽減する。
【0015】
より都合の良いことに、本発明の方法は酸素の存在下におけるアルカンからのアルケンの安全な分離を可能とする。
【0016】
本発明の方法は特に、分離されるアルケンとアルカンとが同じ炭素原子数を含む場合の、アルカンからのアルケンの分離に有効である。
【0017】
本発明の方法はとりわけ、エチレン、エタン及び酸素を含む混合ガスからエチレンを分離することに有効である。
【0018】
本発明の方法において、アルカンは望ましくはC乃至Cアルカン又はそれらの混合物例えばエタン、プロパン、ブタン及びそれらの混合物である。
【0019】
望ましくは、アルケンはC乃至Cアルケン又はそれらの混合物例えばエチレン、プロペン、ブテン及びそれらの混合物である。
【0020】
混合ガス中に存在する酸素の濃縮は少なくとも0.1モル%、例えば少なくとも0.2モル%である。好適には、混合ガス中の酸素の濃度は0.1モル%から混合ガスが燃焼範囲より低い濃度までの範囲である。混合物中の酸素濃度は、アルカンの豊富な生成物流も不燃性であるようなものでなければならない。燃焼範囲の限界が混合物の圧力及び温度にある程度依存することは、当業者に知られている。本発明の方法における混合ガスは、その方法の如何なる段階においても燃焼範囲に入るべきではない。混合ガスが可燃性範囲にできるだけ近いように、しかし不燃性のままの場合、ガス分離方法は都合よく稼動され得る。
【0021】
好適には、混合ガスにおける酸素の濃度は0.1乃至10モル%、例えば0.2乃至8モル%のような、例えば0.2乃至6モル%である。
【0022】
本発明の分離方法はとりわけ化学的方法の生成物流に適用できる。従って、本発明の方法は特にC乃至Cアルカンの酸化において生成されるアルケン、アルカン及び酸素の混合ガスからアルケンを分離することに有効である。
【0023】
従って、本発明は対応するアルケン及びカルボン酸を生成するC乃至Cアルカンの酸化方法を提供するものであり、本方法は
(a)アルカンの対応するアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、前記アルカン、分子酸素−含有ガス、必要に応じて対応するアルケン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、アルケン、カルボン酸、アルカン、酸素及び水からなる第一生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をアルケン、アルカン及び酸素からなるガス状流とカルボン酸からなる液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流を接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からアルケンの豊富な流れを回収するステップからなる。
【0024】
本発明の方法はまた、酸化方法のアルケン及び/又はカルボン酸生成物が統合的方法の下流において少なくとも一部使用される場合、例えば(a)カルボン酸をアルケン又はアルコールと反応させることによるエステルの生成や、(b)酸素−含有ガスのカルボン酸及びアルケンとの反応によるアルケニルカルボキシレートの生成に、特に有効である。アルケン及び/又はカルボン酸は酸化反応域の生成物から回収され得、及び/又は付加的なアルケン及び/又はカルボン酸は下流の方法において使用され得る。
【0025】
従って、本発明はアルキルカルボキシレートの統合的生成方法を提供するものであり、本方法は:
(a)アルカンの対応するアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、アルカン、分子酸素−含有ガス、必要に応じて対応するアルケン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、アルケン、カルボン酸、アルカン、酸素及び水からなる第一不燃性生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をアルケン、アルカン及び酸素からなるガス状流とカルボン酸からなる液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流の少なくとも一部を接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からアルケンの豊富な流れを回収しそして;
(e)アルキルカルボキシレートの生成に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、ステップ(d)からの前記アルケンの豊富な流れの少なくとも一部とカルボン酸とを第二反応域にて接触させ、前記アルキルカルボキシレートを生成するステップからなる。
【0026】
また、別の実施の形態において、本発明はアルケニルカルボキシレートの統合的生成方法を提供するものであり、本方法は:
(a)アルカンの対応するアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、アルカン、分子酸素−含有ガス、必要に応じて対応するアルケン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、アルケン、カルボン酸、アルカン、酸素及び水からなる第一不燃性生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をアルケン、アルカン及び酸素からなるガス状流とカルボン酸からなる液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流の少なくとも一部を接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からアルケンの豊富な流れを回収しそして;
(e)アルケニルカルボキシレートの生成に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、ステップ(d)にて得られた前記アルケンの豊富な流れの少なくとも一部とカルボン酸と分子酸素−含有ガスとを第二反応域にて接触させ、前記アルケニルカルボキシレートを生成するステップからなる。
【0027】
本発明の分離方法については、対応するアルケン、アルカン及び酸素からなる生成物流を生成するC乃至Cアルカンの酸化及びその統合的方法に関してここに記載される。
【0028】
酸化反応において、C乃至Cアルカンは望ましくはエタンであり、対応するアルケンはエチレンであり、そして対応するカルボン酸は酢酸である。これらの生成物は下流の方法において反応し得酢酸エチルを生成するか、或いは分子酸素−含有ガスと反応し得酢酸ビニルを生成する。
【0029】
典型的には、酸化反応は流体相において固体触媒及び反応体と不均一に実行される。この場合、任意のアルケン及び任意の水の濃度は酸化反応域の分圧として制御され得る。
【0030】
アルカンのアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する触媒は、例えば米国特許第4596787号明細書,欧州特許出願公開第0407091号明細書,ドイツ国特許出願公開第19620542号明細書,国際公開第99/20592号パンフレット,ドイツ国特許出願公開第19630832号明細書,国際公開第98/47850号パンフレット,国際公開第99/51339号パンフレット,欧州特許出願公開第01043064号明細書,国際公開第99/13980号パンフレット,米国特許第5300682号明細書及び米国特許第5300684号明細書に記載されているようなエタンのエチレン及び酢酸への酸化のため当技術分野において知られている如何なる好適な触媒をも包含し得、その内容は参照のためここに組み込まれる。
【0031】
米国特許第4596787号明細書は、そこに定義されているような実験式MoNbSbを有し元素が酸素と結合して存在する触媒を使用した、エタンのエチレンへの低温での酸素脱水素化(oxydehydrogenation)方法に関する。
【0032】
欧州特許出願公開第0407091号明細書は、モリブデン、レニウム及びタングステンからなる酸化触媒の存在下での、エタン及び/又はエチレンの酸化によるエチレン及び/又は酢酸の生成方法及び触媒に関する。
【0033】
ドイツ国特許出願公開第19620542号明細書は、エタン及び/又はエチレンから酢酸を生成するための、モリブデン、パラジウム、レニウムベースの酸化触媒に関する。
【0034】
国際公開第99/20592号パンフレットは、式MoPd、ここにおいてXはCr,Mn,Nb,Ta,Ti,V,Te及びWの一つ又はいくつかを表し;YはB,Al,Ga,In,Pt,Zn,Cd,Bi,Ce,Co,Rh,Ir,Cu,Ag,Au,Fe,Ru,Os,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Nb,Zr,Hf,Ni,P,Pb,Sb,Si,Sn,Tl及びUの一つ又はいくつかを表しそしてa=1、b=0.0001乃至0.01、c=0.4乃至1及びd=0.005乃至1を有する触媒の存在下、エタン、エチレン又はそれらの混合物及び酸素から高温にて選択的に酢酸を生成する方法に関する。
【0035】
ドイツ国特許出願公開第19630832号明細書は同様な触媒組成物に関し、ここにおいてa=1、b>0、c>0及びd=0乃至2である。望ましくはa=1、b=0.0001乃至0.5、c=0.1乃至1.0及びd=0乃至1.0である。
【0036】
国際公開第98/47850号パンフレットは、エタン、エチレン又はそれらの混合物から酢酸を生成する方法及び式W、ここにおいてXはPd,Pt,Ag及びAuの一つ又はいくつかを表し、YはV,Nb,Cr,Mn,Fe,Sn,Sb,Cu,Zn,U,Ni及びBiの一つ又はいくつかを表し、ZはLi,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Ti,Zr,Hf,Ru,Os,Co,Rh,Ir,B,Al,Ga,In,Tl,Si,Ge,Pb,P,As及びTeの一つ又はいくつかを表し、a=1,b>0,c>0及びdは0乃至2の触媒に関する。
【0037】
国際公開第99/51339号パンフレットは、エタン及び/又はエチレンの酢酸への選択的酸化のための触媒組成物に関し、該組成物は酸素と結合した元素、MoAgIrからなり、ここにおいてXは元素Nb及びVであり、YはCr,Mn,Ta,Ti,B,Al,Ga,In,Pt,Zn,Cd,Bi,Ce,Co,Rh,Cu,Au,Fe,Ru,Os,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Zr,Hf,Ni,P,Pb,Sb,Si,Sn,Tl,U,Re及びPdからなる群より選択される一つ以上の元素であり;a,b,c,d,e及びfは元素のグラム原子比率を0<a≦1;0≦b<1及びa+b=1;0<(c+d)≦0.1;0<e≦2;並びに0≦f≦2といったように表す。
【0038】
欧州特許出願公開第1043064号明細書は、エタンのエチレン及び/又は酢酸への酸化、及び/又はエチレンの酢酸への酸化のための触媒組成物に関し、該組成物は酸素と結合して元素モリブデン、バナジウム、ニオブ及び金からなりパラジウムは存在せず、実験式MoAuNbによって表され、ここにおいてYはCr,Mn,Ta,Ti,B,Al,Ga,In,Pt,Zn,Cd,Bi,Ce,Co,Rh,Ir,Cu,Ag,Fe,Ru,Os,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Zr,Hf,Ni,P,Pb,Sb,Si,Sn,Tl,U,Re,Te及びLaから構成される群より選択される一つ以上の元素であり;a,b,c,d,e及びfは元素のグラム原子比率を0<a≦1;0≦b<1及びa+b=1;10−5<c≦0.02;0<d≦2;0<e≦1;並びに0≦f≦2といったように表す。
【0039】
国際公開第99/13980号パンフレットは、式MoNbのエタンの酢酸への選択的酸化のための触媒に関し、ここにおいてXはP,B,Hf,Te及びAsから構成される群より選択される少なくとも一つの促進剤成分であり;aは約1乃至約5の範囲の数字;bは1;cは約0.01乃至約0.5の範囲の数;及びdは0より大きく約0.1までの範囲の数である。
【0040】
米国特許5300682号明細書は実験式VPの酸化触媒の使用に関し、ここにおいてMはCo,Cu,Re,Fe,Ni,Nb,Cr,W,U,Ta,Ti,Zr,Hf,Mn,Pt,Pd,Sn,Sb,Bi,Ce,As,Ag及びAuの一つ以上であり、aは0.5乃至3、bは01及びxは要求される価数を満たす。
【0041】
米国特許5300684号明細書は例えばMo0.37Re0.250.26Nb0.07Sb0.03Ca0.02を用いた流動床酸化反応に関する。
【0042】
本発明において使用されるその他の好適な酸化触媒は以下の公報に記載されており、国際公開第99/13980号パンフレット、これはMoNbここにおいてX=P,B,Hf,Te又はAsの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関し;米国特許6030920号明細書、これはMoNbPdの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関し;国際公開第00/00284号パンフレット、これはMoNbPd及び/又はMoLaPdの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関し;米国特許6087297号明細書、これはMoPdLaの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関し;国際公開第00/09260号パンフレット、これはMoLaPdNbの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関しここにおいてX=Cu又はCrであり、e及びfはゼロであり得;国際公開第00/29106号パンフレット及び国際公開第00/29105号パンフレット、これらはMoGaPdNbの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関しここにおいてX=La,Te,Ge,Zn,Si,In又はWであり;そして国際公開第00/38833号パンフレット、これはMoLaPdNbの相対グラム原子比率の酸素と結合した元素を備えた触媒の使用に関しここにおいてX=Al,Ga,Ge又はSiであり、その内容は参照のためここに組み込まれる。
【0043】
乃至Cアルカンの酸化に活性を有する固体触媒は担持されていても良く、或いは担持されてなくても良い。好適な担体の例としてはシリカ、珪藻土、モンノリロナイト、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、チタン、炭化ケイ素、活性炭及びそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
乃至Cアルカンの酸化に活性を有する固体触媒は固定床又は流動床の形態にて使用され得る。
【0045】
酸化触媒は酸化反応域へ供給される如何なるアルケンの少なくとも一部を例えば対応するカルボン酸へと酸化すると見込まれるであろう。
【0046】
酸化反応域にて使用される分子酸素−含有ガスは空気又は空気より分子酸素の豊富又は不足したガスであってよい。好適なガスは、例えば、好適な希釈剤例えば窒素、アルゴン又は二酸化炭素で希釈された酸素であってよい。望ましくは、分子酸素−含有ガスは酸素である。分子−酸素含有ガスはアルカン供給物からなる単一の供給流として酸化反応域へ供給され得る。そのようなアルカン/分子−酸素ガス流はアルケンのアルケン/アルカン/分子酸素ガス混合物からの分離によって得られ得る。
【0047】
望ましくは、分子酸素−含有ガスの少なくとも一部はアルカン、及び任意のアルケン供給物並びに再循環流から酸化反応域へ個別に供給される。
【0048】
好適には、(新規の供給及び/又は再循環としての)分子−酸素含有ガスの濃度は再循環を含めて酸化反応域への総供給の0より大きく20モル%までであり、望ましくは2−15モル%である。
【0049】
酸化反応域中へ供給されるアルカン及びアルケンは実質的には純粋又は、例えば窒素、アルゴン、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素、水素及び低濃度の別のC乃至Cアルケン/アルカンの一つ以上との混合物であってよい。
【0050】
好ましくは、(新規の供給及び/又は再循環としての)アルケンの濃度は再循環を含めて酸化反応域への総供給の0から50モル%までであり、望ましくは1乃至20モル%、より望ましくは1乃至15モル%である。
【0051】
好ましくは、(新規の供給及び/又は再循環としての)水の濃度は再循環を含めて酸化反応域への総供給を含めて0から50モル%までであり、望ましくは0乃至25モル%である。本発明のある実施の形態において、エチレンのようなアルケン及び水は酸化反応域中へ共−供給される。
【0052】
好適には、アルケン、例えばエチレン及び水は重量で1:0.1−250、例えば1:0.1−100又は1:0.1−50の比率にて、しかしながら望ましくは重量で1:0.1−10の比率にて使用され得る。
【0053】
固体触媒が酸化反応域にて使用される場合、アルカン、対応するアルケン、分子−酸素含有ガス、任意の水及び如何なる再循環ガスも望ましくは酸化反応域を複合ガス空間速度(GHSV)が500−10,000hr−1に対応する滞留時間で通過し;GHSVは反応器を通過するガスの体積(STPとして計算される)を固定された触媒のかさ体積で割った値として規定される。
【0054】
酸化反応は好適には100乃至400℃の範囲、典型的には140乃至350℃の範囲の温度にて実施され得る。
【0055】
酸化反応は好適には大気圧又は超大気圧、例えば5乃至27bargの範囲にて実施され得る。
【0056】
典型的には、1乃至99%の範囲のアルカン変換が本発明の酸化反応にて達成され得る。
【0057】
典型的には30乃至99.99%の範囲の酸素変換が本発明の酸化反応にて達成され得る。
【0058】
生成物流における酸素濃度はアルカン変換の程度及び生成物への選択性の程度にある程度依存する。高アルカン変換は生成物流中に存在する酸素を低濃度にする。生成物アルケンへの高選択性は生成物流中の酸素濃度を高濃度にする。
【0059】
生成物流における酸素の最高(安全)濃度は、アルケンのそこからの分離の後の、酸素のアルカンに対する濃度の可燃性範囲によって決定される。
【0060】
従って、酸化反応域からの生成物流中に存在する酸素濃度は0.1モル%未満であり得るが、典型的には少なくとも0.1モル%、例えば少なくとも0.2モル%である。好適には、生成物流が不燃性である場合、生成物流中の酸素の濃度は0.1モル%から10モル%まで、例えば0.2乃至8モル%、例えば0.2乃至6モル%の範囲である。
【0061】
酸化反応において、触媒は好適には1時間当たり触媒1kg当たり10乃至10000グラムの範囲のカルボン酸、例えば酢酸の生産性を有する。
【0062】
酸化反応において、触媒は好適には1時間当たり触媒1kg当たり5乃至5000グラムの範囲のアルケン、例えばエチレンの生産性を有する。
【0063】
一酸化炭素は酢酸ビニルの生成において使用されるいくつかの触媒に悪影響を及ぼす可能性がある。従って、採用される触媒の本質にもよるが、第一生成物流は副産物である一酸化炭素の濃度を低濃度とすることが望ましい。
【0064】
従って、ごくわずかの副産物一酸化炭素を生じる酸化反応域において触媒を使用することも望ましい。酸化反応域における付加的な触媒成分が一酸化炭素を二酸化炭素に酸化するために使用され得る。更なる触媒成分が酸化触媒中又は第二反応域中に存在し得、すなわち酸化反応域中の分離触媒として存在し得る。
【0065】
エタンが酸化反応の反応体として使用される場合、生成物流は酢酸、エチレン、未反応エタン、酸素及び水からなり、アルゴン及び窒素のような不活性ガス成分及び副産物、アセトアルデヒド、一酸化炭素及び二酸化炭素も含み得る。アセトアルデヒド及び一酸化炭素は分子酸素−含有ガスにより変換され得、下流の方法又は再循環後酸化反応域中の何れかにて酢酸及び二酸化炭素を夫々生成する。
【0066】
エチレンは酸化反応の生成物流中に供給物からの未変換反応体エチレンとして及び/又はエタン反応物の酸化生成物として存在する。
【0067】
酸化反応域からの生成物流は第一分離手段においてアルケン、未反応アルカン及び酸素からなるガス状流とカルボン酸からなる液状流とに分離される。膜分離ユニット、凝縮ユニット又は蒸留ユニットといった当技術分野において知られている如何なる好適な分離手段も採用し得る。望ましくは、採用される分離手段はコンデンサである。
【0068】
酸化反応からの生成物流が酢酸、エチレン、エタン、酸素及び水からなる場合、生成物流は濃縮によりエチレン、エタン及び酸素からなるオーバヘッドガス状流と酢酸及び水からなる底部液状流とに分離され得、そして望ましくは分離される。一般的に、ガス状流はまた酸化炭素、例えば二酸化炭素からなる。
【0069】
状況に応じて、カルボン酸及び/又はアルケンは酸化反応の生成物流から回収され得る。
【0070】
第一分離手段からのガス状流はアルケンを選択的且つ化学的に吸収することが可能な金属塩の溶液と接触され化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成する。
【0071】
好適な金属塩はアルケンとの複合体を形成することが可能なものである。
【0072】
アルケンがエチレンである場合、好適な金属塩はクロム、銅(I),マンガン、ニッケル、鉄、水銀、銀、金、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、モリブデン、タングステン及びレニウムからなる。
【0073】
望ましくは、金属塩は銀又は銅(I)からなり、最も望ましくは銀からなる。
【0074】
金属塩が銀塩である場合、銀塩は望ましくは硝酸銀又はフルオロホウ酸銀(silver fluoroborate)である。
【0075】
金属塩が銅(I)塩の場合、銅(I)塩は望ましくは酢酸銅(I),硝酸銅(I)又は硫酸銅(I)であり、最も望ましくは硝酸銅(I)である。
【0076】
金属溶液は水性であり得るか或いは有機窒素−含有化合物、例えばピリジン、ピペリジン、ヒドロキシ−プロピオニトリル、ジエチレントリアミン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトアミド及びそれらの誘導体からなり得る。
【0077】
望ましくは、金属塩溶液は水溶性溶液である。
【0078】
金属塩が銅(I)である場合、金属塩の窒素−含有化合物に対する濃度は好適には1:1乃至1:6の範囲、望ましくは1:2である。
【0079】
溶液中の金属塩の濃度は好適には溶媒1リットル当たり少なくとも0.5モルの金属、溶媒11リットルあたり2モルの金属である。
【0080】
ガス状流中に存在するアルカンも酸素も有効な程度金属塩溶液と複合体を形成しない。
【0081】
ガス状流の金属塩溶液との接触は如何なる好適な手法例えば吸収カラムによって実施され得る。吸収カラムはトレイ又はパッキング、例えばラシヒリング又は構造化パッキングが取り付けられていてよい。望ましくは吸収カラムはパッキングが取り付けられている。
【0082】
アルケンの純度を改良するために、吸収カラムは好適にはリボイラに装着される。
【0083】
望ましくは、吸収カラムはガス及び金属塩溶液の向流で操作される。
【0084】
好適には、接触は−10乃至300℃、望ましくは0乃至100℃の範囲の温度にて実施され得る。
【0085】
好適には、接触は1乃至70barg、望ましくは3乃至30bargの範囲の圧力にて実施され得る。
【0086】
接触が吸収カラム中にて実施される場合、金属塩/アルケン複合体からなる金属塩溶液は吸着装置の底部から除去され得る。
【0087】
アルカン及び酸素は有効な程度金属塩溶液と複合体を形成しないので、吸収カラムからオーバーヘッド流として除去される。
【0088】
金属塩溶液中の微量酸素及び/アルカンはたいていアルケンと共に溶液から除去される。
【0089】
アルケンの豊富な流れは金属塩溶液から熱、減圧又はそれらの組み合わせにより回収され得る。望ましくは、溶液は複合体が分解しアルケンを放出するように減圧にされる。
【0090】
アルケンの豊富な流れの金属塩溶液からの回収に使用される圧力は金属塩/アルケン複合体を形成するために使用される絶対圧力の2乃至98%、望ましくは複合体を形成するために使用される絶対圧力の10乃至80%であり得る。
【0091】
別の方法として、アルケンの豊富な流れは、複合体の形成温度より0乃至80℃高い範囲、望ましくは15乃至35℃高い範囲の温度にて脱ガスすることにより金属塩溶液から回収され得る。
【0092】
アルケンの豊富な流れはまた減圧及び昇温の組み合わせを使用して溶液から回収され得る。
【0093】
減圧は一つ以上の段階、例えば一つ以上のフラッシング装置にて実施され得る。
【0094】
一つ以上のフラッシング装置が採用される場合、アルケンの豊富な流れはそこからオーバーヘッド流として除去される。オーバーヘッド流は状況に応じて乾燥される前に圧縮され得る。別の方法として、オーバーヘッド流は圧縮される前に乾燥され得る。アルケンの豊富な流れが圧縮される場合、第二反応域へ供給するために好適な圧力に圧縮され得る。好適には、第二反応域へ供給された追加のアルケンの圧力に圧縮され得る。
【0095】
アルケン−なしの複合体は吸収装置にて再利用されるために再循環され得る。
【0096】
アルケンの豊富な流れはアルケンからなり、低濃度のアルカン及び酸素並びに別の不純物例えば二酸化炭素からなり得る。
【0097】
好適には、アルケンの豊富な流れ、例えばエチレンの豊富な流れは少なくとも50%のアルケン、例えば少なくとも80%のアルケンからなる。望ましくはアルケンの豊富な流れは少なくとも90%のアルケン、より望ましくは95%のアルケン、そして最も望ましくは少なくとも99%のアルケンからなる。
【0098】
アルケンの豊富な流れは一つ以上の吸収/脱離段階、例えば1つの吸収及び2つの脱離段階かにて金属塩溶液から回収され得る。
【0099】
有利には、低濃度の不純物を有する第二反応域へのアルケン供給の使用は第二反応域から放出されるべきパージガスの量を減らし、そしてそれ故第二反応域からのアルケンの喪失も減少される。
【0100】
アルカン及び酸素流(アルカンの豊富な流れ)は低濃度のアルケン及び別の不純物例えば二酸化炭素を包含し得る。アルカンの豊富な流れは不燃性でなくてはならない。可燃性の範囲は例えばアルカンの豊富な流れの温度及び圧力に依存し、しかしながら典型的には、アルカンの豊富な流れにおける酸素の濃度は0.1乃至10モル%であり得る。
【0101】
本発明の方法の望ましい実施の形態において、アルケン/アルカン/酸素ガス状流(第一分離手段からのガス状流)は、金属塩溶液と接触させる前に二酸化炭素のような成分及びアセトアルデヒドのような酸化物(oxygenates)を除去するために処理される。
【0102】
アルカン及び酸素含有ガス流は酸化反応域へ追加のアルカンと共に一つ以上の流れとして供給され得る。
【0103】
状況に応じて、酸化反応域中へ供給される前に、アルカン及び酸素含有流は分離アルカンと酸素ガス流とに分離され得る。
【0104】
追加のアルカンは新規のアルカンであり得及び/又は酸化反応域からの未反応アルカンであり得、これは第一分離手段後酸化反応域へ再循環される。
【0105】
アルカン/酸素流及び追加のアルカンは酸化反応域中へアルカン/酸素及び追加のアルカンの両者からなる単一の供給流として又は分離供給流としての何れかで導入され得る。
【0106】
アルケンの豊富な流れは一つ以上の流れとして、追加の分子酸素−含有ガス、任意追加のアルケン及びカルボン酸とともに第二反応域へ供給され、アルケニルカルボキシレート例えば酢酸ビニルを生成する。
【0107】
アルケンの豊富な流れ及び追加のアルケンは第二反応域中へ分離供給流として又はアルケンの豊富な流れと追加のアルケンとの両方からなる単一の供給流として導入され得る。
【0108】
更なるアルケンは第二反応域からの新規アルケン及び/又は再循環アルケン、及び/又は酸化反応域からのアルカン/アルケン流の一部であってよい。
【0109】
第二反応域中へアルケニルカルボキシレートの生成のために導入された追加のアルケンは実質的に純粋であり得、又は例えば一つ以上の窒素、アルゴン、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素、水素及び低濃度の別のC乃至Cアルケン/アルカンと混合され得る。
【0110】
好適には、第二反応域へ供給されたアルケン(任意追加のアルケン供給及びアルケンの豊富な流れの供給)例えばエチレンの濃度は、第二反応域への総供給の少なくとも50モル%、望ましくは少なくとも55モル%、より望ましくは少なくとも60モル%である。好適には、アルケンの濃度は第二反応域への総供給の85モル%まで、望ましくは少なくとも50モル%乃至80モル%の範囲、例えば少なくとも55モル%乃至80モル%である。
【0111】
アルケニルカルボキシレート生成の技術分野において知られている触媒は、本発明の方法において使用し得る。従って、酢酸ビニルの生成に活性を有する触媒は、本発明の第二反応域にて使用され得、例えば英国特許出願公開第1559540号明細書;米国特許第5185308号明細書及び欧州特許出願公開第0672453号明細書に記載されているような触媒を包含し得、その内容は参照のためここに組み込まれる。
【0112】
英国特許出願公開第1559540号明細書は、エチレン、酢酸及び酸素の反応により酢酸ビニルの調整に活性を有する触媒が記載されており、該触媒は本質的に:(1)粒子直径3乃至7mmで細孔容積0.2乃至1.5ml/gの触媒担体、pH3.0乃至9.0の触媒担体の水懸濁物10重量%、(2)触媒担体の表面層に分布したパラジウム−金の合金であって、表面層は担体の表面から0.5mm未満に広がっており、合金中のパラジウムは触媒の1.5乃至5.0グラム/リットルの量で存在し、そして金は触媒の0.5乃至2.25グラム/リットルの量で存在し、そして(3)5乃至60グラム/リットルのアルカリメタルアセテートの触媒、より構成されている。
【0113】
米国特許第5185308号明細書は、エチレン、酢酸及び酸素含有ガスからの酢酸ビニルの調製に活性を有するシェル含浸触媒について記載されており、該触媒は本質的に:(1)約3乃至約7mmの粒子直径及び0.2乃至1.5ml/gの細孔容積を有する触媒担体、(2)触媒担体粒子の1.0mmの厚さの最外層に分布したパラジウム及び金、及び(3)約3.5乃至約9.5重量%の酢酸カリウムであって、前記触媒におけるパラジウムに対する金の重量比率は0.6乃至1.25の範囲である、より構成されている。
【0114】
欧州特許出願公開第0672453号明細書は、パラジウム含有触媒及び流動床酢酸ビニル法のためのそれらの調製について記載されている。
【0115】
典型的には、第二反応域におけるアルケニルカルボキシレート例えば酢酸ビニルの生成は気相に存在する反応体と不均一に実施される。
【0116】
アルケニルカルボキシレート生成のための第二反応域にて使用された分子酸素−含有ガスはステップ(a)からの未反応分子酸素−含有ガス及び/又は追加の分子酸素−含有ガスを包含し得る。
【0117】
追加の分子酸素−含有ガスが使用される場合、空気又は空気より分子酸素の多い又は少ないガスであって良い。好適な追加の分子酸素−含有ガスは例えば、好適な希釈剤例えば窒素、アルゴン又は二酸化炭素で希釈された酸素であって良い。望ましくは、追加の分子酸素−含有ガスは酸素である。望ましくは、分子酸素−含有ガスの少なくとも一部は第二反応域へ個別にアルケン及びカルボン酸反応体から供給される。
【0118】
アルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域へ供給されたカルボン酸は新規及び/又は再循環の酸を包含し得る。望ましくは、第二反応域中へ導入されたカルボン酸の少なくとも一部は酸化反応域から生成されたカルボン酸からなる。
【0119】
新規及び再循環のカルボン酸は分離供給流として又は新規及び再循環の酸の両者からなる単一の供給流としての何れかで第二反応域中へ導入され得る。
【0120】
アルケニルカルボキシレート生成のための第二反応域へ供給されたカルボン酸は下流の工程から例えば酸/アルケニルカルボキシレート/水の混合物からの酸の分離から得られた酸の少なくとも一部を包含し得る。
【0121】
第二反応域へ供給されるカルボン酸の少なくとも一部は液体であり得る。
【0122】
固体触媒がアルケニルカルボキシレート生成のため第二反応域にて使用される場合、第二分離手段からのアルケン、酸化反応域からのカルボン酸、如何なる追加のアルケン又はカルボン酸反応物、如何なる再循環流及び分子酸素−含有ガスが望ましくは第二反応域を複合ガス時間空間速度(GHSV)500−10,000hr−1にて通過する。
【0123】
アルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域は好適には140乃至200℃の範囲の温度にて操作され得る。
【0124】
アルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域は好適には50乃至300psigの範囲の圧力にて操作され得る。
【0125】
アルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域は好適には固定床又は流動床法の何れかとして操作され得る。
【0126】
5乃至80%の範囲のカルボン酸変換がアルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域にて達成され得る。
【0127】
20乃至100%の範囲の酸素変換がアルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域にて達成され得る。
【0128】
3乃至100%の範囲のアルケン変換がアルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域にて達成され得る。
【0129】
アルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域において、触媒は1時間当たり触媒1kg当たり10乃至10000グラムの範囲のアルケニルカルボキシレート生産性を有する。
【0130】
本発明の方法において使用されるアルカンがエタンの場合、アルケニルカルボキシレート生成のための第二反応域からの生成物流は酢酸ビニル、水及び酢酸、状況に応じて未反応エチレン、エタン、酸素、アセトアルデヒド、窒素、アルゴン、一酸化炭素及び二酸化炭素からなり得る。そのような生成物流は共沸性蒸留により酢酸ビニル及び水からなるオーバヘッドフラクションと酢酸及び水からなるベースフラクションとに分離され得る。ベースフラクションは蒸留カラムから液体としてカラムの底部より除去される。加えて、一つ以上の段階からの蒸気も、カラムの底部の上部より除去され得る。そのような蒸留ステップの前に、エチレン、エタン、アセトアルデヒド、一酸化炭素及び二酸化炭素がもし存在すれば第二生成物流から、好ましくは洗浄カラムからのオーバヘッドガス状フラクションとして除去され得、ここにおいて酢酸ビニル、水及び酢酸からなる液体フラクションは底部から除去される。エチレン及び/又はエタンは酸化反応域及び/又は第二反応域及び/又は第二分離手段へ再循環され得る。
【0131】
アルケニルカルボキシレート、例えば酢酸ビニルはオーバヘッドフラクションから好適には例えばデカンテーションによって回収される。回収されたアルケニルカルボキシレート、例えば酢酸ビニルは、必要に応じて公知の方法にて更に精製され得る。
【0132】
カルボン酸例えば酢酸及び水からなるベースフラクションは、更に精製して又は望ましくは更なる精製なしで、第二反応域へ再循環され得る。別の方法として、カルボン酸はベースフラクションから回収され、必要に応じて、公知の方法にて、例えば蒸留によって更に精製され得る。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の方法における使用に好適な装置の略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
本発明はここに図を参照して例示する。
【0135】
本装置は、エタン及び状況に応じてエチレンの供給部(3)、分子酸素−含有ガスの供給部(4)、エタン及びエチレンからなる再循環ガスの供給部(5)、エチレン/エタン/酸素吸収カラム(21)からのエタン及び酸素の供給部(19)、及び第一生成物流のための排出口(18)を備えた酸化反応域(1)を包含する。本方法の規模に応じて、酸化反応域(1)は単一反応器又は並列か直列の状態のいくつかの反応器の何れかを包含し得る。
【0136】
本装置はまた、第一生成物流をエチレン、エタン及び酸化炭素からなるガス状流と酢酸及び水からなる液状流とに分離するための洗浄機(6)を包含し得る。状況に応じて、本装置は酢酸から水を除去する手段(図示せず)例えば蒸留ユニットを包含する。
【0137】
本装置はまた、ベースフラクションとして吸収カラム(21)から得られたエチレン/金属塩複合体を減圧にするための一連のフラッシング装置(フラッシングバルブ及びドラム)(22,23)及びフラッシング装置(22,23)からのエチレンの豊富なオーバーヘッド流を圧縮するための任意圧縮機(24)を包含する。
【0138】
本装置はまた、エチレンを酢酸ビニルへアセトキシル化するための第二反応域(2)を包含し、この反応域は酢酸の少なくとも一部を洗浄機(6)から第二反応域中へ状況に応じて水を液状流から水を除去する手段を介して搬送するための手段(17)、分子酸素−含有ガスの供給部(9)、再循環酢酸の供給部(10)、酢酸及び/又はエチレンの一つの任意供給部又は複数の任意供給部(8)及び任意圧縮機(24)からのエチレンの供給部(25)を備えている。本方法の規模に応じて、第二反応域(2)は単一反応器又は並列か直列の状態のいくつかの反応器の何れかを包含し得る。
【0139】
本装置は更に第二反応域からの生成物のための洗浄機(12);第二反応域の生成物から酢酸を分離する手段(13);酢酸ビニル精製手段(14);任意酢酸精製手段(15)及び洗浄機(6)より得られたガス状流からの二酸化炭素を分離し状況に応じてエチレン生成物を回収する一つ以上の分離手段(16)を包含する。
【0140】
使用において、酸化反応域(1)は、酢酸及びエチレンを形成するエタンの酸化に各々活性を有する少なくとも一つの触媒を備えている。好適には、酸化触媒は固体触媒である。分子酸素−含有ガスは酸化反応域(1)へ供給部(4)から一つ又はそれ以上の注入口を介して供給される。エタン及びエチレンからなるガス状供給原料は酸化反応域(1)へ供給部(3)から供給される。エタン及びエチレンからなる再循環ガスも酸化反応域(1)へ供給部(5)から供給される。吸収カラム(21)からのエタン及び酸素は酸化反応域(1)へ供給部(19)から供給される。
【0141】
分子酸素−含有ガス、エタン、エチレン及び再循環ガスは酸化反応域(1)中へ一つ以上の注入口を介して個別に又は部分的に又は完全に一体化して導入される。状況に応じて、酸化反応器へ供給される流れの少なくとも一部は水からなる。
【0142】
酸化反応器中にて、第一生成物流が生成され、これは(生成物及び/又は未反応供給物としての)エチレン、酢酸、水、状況に応じて未消費分子酸素−含有ガス、未反応エタン及び副産物例えば一酸化炭素、二酸化炭素、不活性物及びアセトアルデヒドからなる。本生成物流の少なくとも一部は洗浄機(6)を通過し、ここからエチレン、エタン、酸素及び酸化炭素からなるガス状流と酢酸及び水からなる液状流が除去される。分離手段(16)にて二酸化炭素のような副産物を分離し、状況に応じてエチレン生成物の一部を当技術分野において知られている方法によって回収した後、少なくともガス状流の一部が高圧吸収カラム(21)へ供給される。分離手段(16)からのエチレン及びエタンからなるガス状流の少なくとも一部は、供給部(5)を介して酸化反応域(1)へ再循環される。エチレン、エタン及び酸素からなるガス状流は吸収カラム(21)へ供給され、これは硝酸銀溶液を含んでおり、エチレンが硝酸銀/エチレン複合体を形成するよう反応する。エタン及び酸素は複合体を形成せず、カラムからオーバーヘッド流として除去される。硝酸銀/エチレン複合体を含む溶液は吸収カラムの底部から除去される。溶液は一連のフラッシュ−ドラム(22,23)を通過して、ここで減圧される。そのような条件で、硝酸銀/エチレン複合体は分解しエチレンを放出する。エチレンはオーバーヘッド流として回収される。オーバーヘッドエチレン流は、供給部(25)を介して第二反応域(2)へ供給される前に圧縮機(24)へ供給される。吸収カラムからのエタン/酸素流は酸化反応域(1)へ供給部(19)を介して供給される。
【0143】
酢酸は洗浄器(6)の液状流から例えば蒸留によって回収し得る。
【0144】
液状流からの酢酸の少なくとも一部は手段(17)によって、状況に応じて水除去手段(図示せず)を介して第二反応域(2)中へ供給され、これはアセトキシル化触媒、好ましくは固体触媒を備えている。分子酸素−含有ガスは第二反応域へ供給部(9)から供給される。酢酸は第二反応域へ再循環供給部(10)から供給される。状況に応じて、更なるエチレン及び/又は酢酸は第二反応域へ一つの供給部又は複数の供給部(8)から供給され得る。エチレンは分離手段(21)から第二反応域へ供給部(22)より供給される。液体洗浄流からの酢酸、分子酸素−含有ガス、再循環酢酸、エチレン及び/又は酢酸の任意追加の供給物及び分離手段(21)からのエチレンは第二反応域中へ一つ以上の注入口を介して個別に又は部分的に又は完全に一体化して供給される。
【0145】
第二反応域において、エチレン、酢酸及び分子酸素は反応し、酢酸ビニルからなる第二生成物流を生成する。
【0146】
第二反応生成物は洗浄機(12)を通過してここからガス及び液体が分離される。二酸化炭素はガス及び状況に応じて回収されたエチレン生成物から一つ以上の分離段階(図示せず)において当技術分野において知られている方法によって分離される。残りのエチレン及びエタンは第一及び/又は第二反応域へ再循環され得る。酢酸は分離手段(13)にて洗浄液から分離され、第二反応域へ再循環供給部(10)を介して再循環される。状況に応じて、酢酸生成物は再循環流から手段(15)例えば蒸留によって回収され得る。酢酸ビニル生成物は洗浄液から手段(14)例えば蒸留によって回収される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応するアルケン及びカルボン酸を生成するC乃至Cアルカンの酸化方法であって、本方法は、
(a)アルカンの対応するアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、アルカン、分子酸素−含有ガス、必要に応じて対応するアルケン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、アルケン、カルボン酸、アルカン、酸素及び水を含む第一生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をアルケン、アルカン及び酸素を含むガス状流とカルボン酸を含む液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流を接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からアルケンの豊富な流れを回収するステップを含む酸化方法。
【請求項2】
アルキルカルボキシレートの統合的生成方法であって、本方法は:
(a)アルカンの対応するアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、アルカン、分子酸素−含有ガス、必要に応じて対応するアルケン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、アルケン、カルボン酸、アルカン、酸素及び水を含む第一不燃性生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をアルケン、アルカン及び酸素を含むガス状流とカルボン酸を含む液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流の少なくとも一部を接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からアルケンの豊富な流れを回収し、そして;
(e)アルキルカルボキシレートの生成に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、ステップ(d)からの前記アルケンの豊富な流れの少なくとも一部とカルボン酸とを第二反応域にて接触させ、前記アルキルカルボキシレートを生成するステップを含むアルキルカルボキシレートの統合的生成方法。
【請求項3】
アルケニルカルボキシレートの統合的生成方法であり、本方法は:
(a)アルカンの対応するアルケン及びカルボン酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、アルカン、分子酸素−含有ガス、必要に応じて対応するアルケン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、アルケン、カルボン酸、アルカン、酸素及び水を含む第一不燃性生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をアルケン、アルカン及び酸素を含むガス状流とカルボン酸を含む液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流の少なくとも一部を接触させ、化学的に吸収されたアルケンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からアルケンの豊富な流れを回収しそして;
(e)アルケニルカルボキシレートの生成に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、ステップ(d)にて得られた前記アルケンの豊富な流れの少なくとも一部とカルボン酸と分子酸素−含有ガスとを第二反応域にて接触させ、前記アルケニルカルボキシレートを生成するステップを含むアルケニルカルボキシレートの統合的生成方法。
【請求項4】
ステップ(e)において、前記アルケンの豊富な流れが第二反応域へ一つ以上の流れとして任意追加のアルケンと共に供給される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
追加のアルケンが新規のアルケン及び/又は第二反応域からの再循環アルケン及び/又は酸化反応域からのアルカン/アルケン流の一部であり得る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第二反応域へ供給されるアルケンの濃度(任意追加のアルケン供給及びアルケンの豊富な流れの供給)が第二反応域への総供給の少なくとも50モル%である請求項3乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
アルケンの濃度が第二反応域への総供給の少なくとも60モル%である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アルケンの濃度が第二反応域への総供給85モル%までである請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
アルケニルカルボキシレートの生成のための第二反応域中にて使用される分子酸素−含有ガスがステップ(a)からの未反応分子酸素−含有ガス及び/又は追加の分子酸素−含有ガスを含む請求項3乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
追加の分子酸素含有ガスが酸素である請求項9記載の方法。
【請求項11】
分子酸素含有ガスの少なくとも一部が個別に第二反応域へアルケン及びカルボン酸反応体から供給される請求項3乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
第二反応域中へ導入されるカルボン酸が酸化反応域から生成されたカルボン酸を含む請求項3乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
アルカンがC乃至Cアルカン及びそれらの混合物からなる群より選択される請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
アルカンがエタンであり、対応するアルケンがエチレンであり、そして対応するカルボン酸が酢酸である請求項1乃至13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)における分子酸素−含有ガスが酸素である請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
(新規の供給及び/又は再循環としての)分子酸素−含有ガスの濃度が再循環を含めて酸化反応域への総供給の0乃至20モル%である請求項1乃至15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
(新規の供給及び/又は再循環成分としての)アルケンの濃度が再循環を含めて酸化反応域への総供給の0乃至50モル%である請求項1乃至16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
アルケンの濃度が酸化反応域への総供給の0乃至20モル%である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(新規の供給及び/又は再循環成分としての)水の濃度が再循環を含めて酸化反応域への総供給の0乃至50モル%である請求項1乃至18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
水の濃度が酸化反応域への総供給の0乃至25モル%である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アルケン及び水が酸化反応域中へ共−供給される請求項1乃至20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
アルケン及び水が重量で1:0.1−250の割合にて使用される請求項1乃至21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
第一分離手段からのガス状流中に存在する酸素の濃度が少なくとも0.1モル%である請求項1乃至22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
第一分離手段からのガス状流中に存在する酸素の濃度が少なくとも0.2モル%である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第一分離手段からのガス状流中に存在する酸素の濃度が0.1乃至10モル%である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第一分離手段が膜分離ユニット、凝縮ユニット又は蒸留ユニットである請求項1乃至25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
採用された第一分離手段がコンデンサである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アルケンがエチレンであり、選択的且つ化学的にアルケンを吸収する能力を有する金属塩がクロム、銅(I),マンガン、ニッケル、鉄、水銀、銀、金、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、モリブデン、タングステン及びレニウムを含む請求項1乃至27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
金属塩が銀又は銅(I)を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
金属塩が銀塩である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
銀塩が硝酸銀又はフルオロホウ酸銀(silver fluoroborate)である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
金属塩が酢酸銅(I),硝酸銅(I)又は硫酸銅(I)である請求項29に記載の方法。
【請求項33】
金属溶液が水性であり有機窒素−含有化合物を包含する請求項1乃至32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
第一分離手段からのガス状流の金属塩溶液との接触が吸収カラム中にて実施される請求項1乃至33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
金属塩/アルケン複合体を含む金属塩溶液が吸収カラムの底部から除去され、アルカン及び酸素が吸収カラムからオーバーヘッド流として除去される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
アルカン及び酸素含有ガス流が一つ以上の流れとして酸化反応域へ追加のアルカンと共に供給される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
酸化反応域へ供給される前に、アルカン及び酸素含有流が分離アルカンと酸素ガス流とに分離される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
追加のアルカンが新規のアルカン及び/又は酸化反応域からの未反応アルカンであり、これは第一分離手段の後酸化反応域へ再循環される請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
アルカン/酸素及び追加のアルカンの両者を含む単一供給流として又は分離供給流としての何れかでアルカン/酸素流及び追加のアルカンが酸化反応域中へ共に導入される請求項36乃至38の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
アルケンの豊富な流れが金属塩溶液複合体から熱、減圧又はそれらを組み合わせることにより回収される請求項1乃至39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
溶液が減圧にされ、複合体が分解しアルケンを放出する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
アルケンの豊富な流れが少なくとも50%のアルケンを含む請求項1乃至41の何れか一項に記載の方法。
【請求項43】
アルケンの豊富な流れが少なくとも90%のアルケンを含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第一分離手段からのガス状流が、金属塩溶液と接触される前に、二酸化炭素及び含酸素化合物(oxygenates)から構成される群より選択される成分を除去するよう処理される請求項1乃至43の何れか一項に記載の方法。
【請求項45】
酢酸ビニルの統合的生成方法であって、本方法は:
(a)エタンのエチレン及び酢酸への酸化に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、エタン、分子酸素−含有ガス、必要に応じてエチレン及び必要に応じて水を酸化反応域にて接触させ、エチレン、酢酸、エタン、酸素及び水を含む第一不燃性生成物流を生成し;
(b)第一分離手段にて、第一生成物流の少なくとも一部をエチレン、エタン及び酸素を含むガス状流と酢酸を含む液状流とに分離し;
(c)選択的且つ化学的にエチレンを吸収する能力を有する金属塩の溶液と前記ガス状流の少なくとも一部を接触させ、化学的に吸収されたエチレンの豊富な液状流を生成し;
(d)金属塩溶液からエチレンの豊富な流れを回収しそして;
(e)酢酸ビニルの生成に活性を有する少なくとも一つの触媒の存在下、ステップ(d)にて得られた前記エチレンの豊富な流れの少なくとも一部と酢酸と分子酸素−含有ガスとを第二反応域にて接触させ、前記酢酸ビニルを生成するステップを含む酢酸ビニルの統合的生成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−116789(P2011−116789A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59908(P2011−59908)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【分割の表示】特願2003−572928(P2003−572928)の分割
【原出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(591001798)ビーピー ケミカルズ リミテッド  (66)
【氏名又は名称原語表記】BP CHEMICALS LIMITED
【Fターム(参考)】