説明

アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチンの製造方法

本発明は、アルコキシ不純物を実質的に含有しない、パロキセチン合成に有用な中間体の製造方法、並びに、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン及び製薬上許容可能なその塩の製造方法に関する。アルコキシ不純物をエーテル開裂剤と反応させることにより、対応フェノールを発生させ、この対応フェノールを分離し、アルコキシ不純物を実質的に含有しない所期生成物を産出する。アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン中間体、例えばPMA、パロキセチン及び製薬上許容可能なその塩もまた、本発明の部分を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
パロキセチン、つまりtrans(-)-3-[(1,3-ベンゾジオキソル-5-イルオキシ)メチル]-4-(4-フルオロフェニル)ピペリジンは、セロトニン(5-ヒドロキシ-トリプトアミン;5-HT)再取込み阻害剤であり、下記式(I):
【0002】
【化1】

【0003】
を有している。
【0004】
特に鬱病、社会的不安障害、強迫障害、パニック障害、全般性不安障害及び心的外傷後ストレス障害を治療するために、パロキセチンが経口投与される。
【背景技術】
【0005】
米国特許第4,902,801号明細書、同第5,258,517号明細書、及び欧州特許出願公開第223,334号明細書(これらのそれぞれを全体的に本明細書中に引用する)は、下記図式1:
【0006】
【化2】

【0007】
に示すように、式1の桂皮酸塩を式2のアミドマロン酸アルキルと縮合させて式3のイミドを生成し、次いで、これを引き続き変形させることにより、パロキセチンを製造することを開示している。前記米国特許第4,902,801号明細書、同第5,258,517号明細書及び欧州特許出願公開第223,334号明細書は、桂皮酸塩とアミドマロン酸塩との反応を、アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムtert-ブトキシドで触媒することを開示している。
【0008】
パロキセチン合成に伴う1つの問題は、中間体の脱フッ素化である。例えば米国特許第6,326,496号明細書には、脱フッ素化量を最小化するためのパロキセチン製造方法が開示されている。
【0009】
脱フッ素化は、米国特許第5,258,517号明細書及び同第4,902,801号明細書に開示されているように、金属アルコキシドの存在において桂皮酸塩とアミドマロン酸アルキルとの縮合が行われる場合に特に問題をはらむ。この反応は下記式6:
【0010】
【化3】

【0011】
の不所望な不純物を生成するおそれがある。この式6中、フッ素置換基はアルコキシ基によって置換されている。
【0012】
式4化合物を得るために前記式3化合物が続いて還元されると、式6不純物も同様に還元される。不純物が還元されることにより、式4中間体、すなわち1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(4'-フルオロフェニル)ピペリジン(「PMA」)が、下記式7:
【0013】
【化4】

【0014】
で汚染され、そして最終パロキセチン生成物が、対応アルコキシ不純物で汚染されることになる。
【0015】
従って、パロキセチンを生じさせるプロセスの各段において、所期の中間体、又はパロキセチンに対応するアルコキシ不純物が存在するおそれがある。アルコキシ不純物は、従来の技術、例えば再結晶化によっては、パロキセチン又はその中間体から効果的に分離することはできない。アルコキシ不純物の極性及び構造がパロキセチン及びその中間体の極性及び構造と余りにも似ているので、効果的な分離は可能ではないと考えられている。従って、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチンを製造することが、当業者の間で必要である。
【発明の開示】
【0016】
発明の概要
1つの観点において、本発明は、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチンの製造方法に関する。アルコキシ基は、アルコキシ不純物をエーテル開裂剤と反応させ、次いで分離することにより、対応アルコキシ不純物を実質的に含有しない所期の中間体又はパロキセチンが得られる。本発明の好ましい実施態様を表す反応図式を下記に示す:
【0017】
【化5】

【0018】
この実施態様の場合、アルコキシ基が除去される結果、表8の対応フェノールが生じる。好ましくは抽出によって、対応フェノールから所期生成物(PMA)を効果的に分離することができ、その結果、対応アルコキシ不純物を実質的に含有しないPMAが生じる。エーテル開裂剤の好ましい一例としてはハロゲン化水素、例えばHI及びHBrが挙げられる。その他のエーテル開裂剤は、例えばLiI、BBr3(ルイス酸)、AlCl3、AlBr3、HBr/HOAc、トリメチルシリルヨージド、EtS-Na+、MeMgI(グリニャール試薬)及びCF3CO2Hを含む。
【0019】
エーテル開裂反応は、水、有機溶剤又はこれらの混合物中で行うことができる。好適な有機溶剤は例えば芳香族炭化水素(例えばトルエン及びキシレン)である。ジメチルホルムアミド(「DMF」)を溶剤として使用することもできる。この場合、エーテル開裂剤は例えばEtS-Na+又は酢酸とHBrとの組み合わせである。
【0020】
所期の中間体、例えばPMA又はパロキセチンを対応フェノール系化合物から分離するための好適な抽出溶剤は、例えばエーテル、ケトン、エステル及び塩素化炭化水素を含む。このような溶剤の具体例は、塩化メチレン、酢酸エチル、tert-ブチルメチルエーテル及びクロロホルムを含む。
【0021】
プロセスの結果として、アルコキシ不純物を実質的に含有しない式4(PMA)中間体が得られる。次いでこの中間体を、やはりアルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン塩基に変換することができる。こうして製造されたパロキセチン塩基は酸添加塩、好ましくは塩酸パロキセチンに半水和物又は無水物として変換することができる。パロキセチン塩のその他の多形体及び溶媒和物、例えば塩酸パロキセチンイソプロパノレートを製造することもできる。
【0022】
本発明はさらに、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン又は製薬上許容可能なその塩、例えば塩酸塩の製薬組成物に関する。また本発明は、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン又は製薬上許容可能なその塩を投与する方法であって、セロトニン再取込みを遮断するために、また、パロキセチン又は製薬上許容可能なその酸添加塩に関して当業者に知られているようなその他の治療上の指示のために、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン又は製薬上許容可能なその塩を投与する方法に関する。
【0023】
発明の詳細な説明
1つの観点において、本発明は、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチンの製造方法に関する。理論にとらわれることなしに考えられるのは、対応フェノールを得るためにアルコキシ不純物からアルコキシ基を除去することにより、所期化合物から不純物を効果的に分離することを可能にする程度に、不純物の物理特性が変化することである。分離は、当業者に広く知られた方法、例えばクロマトグラフィ、又は好ましくは溶剤抽出により行うことができる。
【0024】
アルコキシ不純物レベルに関して本明細書中で使用される「実質的に含有しない」という用語は、所期化合物及びアルコキシ不純物を含む混合物から得られたHPCLクロマトグラムにおいてアルコキシ不純物を表すピークのエリア百分率に関連する。
【0025】
本明細書中に使用される「アルコキシ不純物」という用語は、フェニル基の4位置におけるフッ素原子がアルコキシ基と置換されているパロキセチン、又はパロキセチン合成における中間体、例えばPMAを意味する。
【0026】
本発明の方法の好ましい実施態様を下記反応図式によって示す:
【0027】
【化6】

【0028】
式7アルコキシ不純物をエーテル開裂剤と反応させると、式8対応フェノール系化合物が形成される。
【0029】
式7アルコキシ不純物は、式6:
【0030】
【化7】

【0031】
のアルコキシ不純物で汚染された式3化合物の還元時に生じる。式6化合物も同様に還元される。当業者には明らかなように、アルコキシ基の還元及び除去の一般的な順序は結果に必ずしも影響を与えない。従って、アルコキシ基を式6化合物から除去し、次いで還元することにより、式8対応フェノールを産出することも可能である。
【0032】
本明細書中に使用する「Alk」という用語は、C1〜C7線状又は分枝状、置換型又は無置換型、飽和型又は不飽和型アルキル基を意味する。好ましくは、「Alk」は完全飽和型アルキル基である。このようなアルキル基の具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチル基、例えばt-ブチル及びイソブチルを含む。
【0033】
本明細書中に使用するRは、好適なアミン保護基であり、このアミン保護基は、金属水素化物による還元に対して不活性で、抵抗性を有しており、そして、いかなる時にもピペリジン環のアミンを保護するのに十分に安定的である。このようなアミン保護基の例は、米国特許第6,326,496号明細書に開示されている。前記明細書の全体を本明細書中に引用する。好ましくは、RはC1〜C7低級アルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0034】
本明細書中に使用するR”は、米国特許第4,902,801号明細書に開示されたような線状又は分枝状、置換型又は無置換型、飽和型又は不飽和型アルキル基である。好ましくはR”は、C1〜C7アルキル基である。完全飽和型C1〜C4アルキル基が好ましい。
【0035】
式I桂皮酸塩中のOR’は、米国特許第4,902,801号明細書に開示されたような好適な離脱基を意味する。好ましくは、R’はC1〜C7アルキル基である。完全飽和型C1〜C4アルキル基が好ましい。
【0036】
式3パロキセチン中間体は、当業者によく知られた方法、例えば、トルエン又はテトラヒドロフランのような不活性溶剤中の金属水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウム又は水素化アルミニウム)を使用する方法によって還元することができる。しかし、PMAを提供するために式3パロキセチン中間体を還元すると、式6不純物も還元され、その結果PMAは式7不純物によって汚染されてしまう。PMAから式7不純物を分離するために、アルコキシ基は不純物から開裂される。本発明によれば、式7不純物はエーテル開裂剤と反応させられる。エーテル開裂技術は当業者に良く知られており、本発明に従ってアルコキシ不純物からアルコキシ基を除去するのに適合させることができる。
【0037】
1つのエーテル開裂法は、酸性条件においてプロトン化し、求核置換を行うことである。これは、本発明に従ってアルコキシ不純物からアルコキシ基を開裂する好ましい方法である。好ましいプロトン性酸はハロゲン化水素である。好ましいハロゲン化水素は、ヨウ化水素(「HI」)及び臭化水素(「HBr」)である。その他のエーテル開裂剤は、例えばBBr3(ルイス酸)、AlCl3、AlBr3、HBr/HOAc、トリメチルシリルヨージド、EtS-Na+、MeMgI(グリニャール試薬)及びCF3CO2Hを含む。
【0038】
ハロゲン化水素は、特にアルコキシ基がエトキシ又はメトキシにおけるように非分枝状であり、そして反応がSN2メカニズムを介して進行する場合に、好ましいエーテル開裂剤である。このような強力な求核剤は、ヨウ化水素の解離の結果として存在するヨウ化物イオンであってよい。しかし、アルコキシ基が分枝状基、例えばtert-ブチル基である場合には、CF3CO2Hによって提供されるような、より弱い求核剤で十分である。このような場合には、反応はSN1メカニズムを介して進行する。
【0039】
エーテル開裂反応は、水、好適な有機溶剤又はこれらの混合物中で実施することができる。好適な有機溶剤の例は、芳香族炭化水素、例えばトルエン及びキシレンであり、トルエンが好ましい。エーテル開裂剤がEtS-Na+であるか、又は酢酸とHBrとの組み合わせである場合には、溶剤としてジメチルホルムアミド(「DMF」)を使用することができる。
【0040】
エーテル開裂反応は、当業者には広く知られている条件下で実施することができる。このような条件は、特にエーテルが概ね安定的であり且つ開裂に対して抵抗性を有するという事実に照らして、最適な結果を得るように変更することももちろん可能である。例えばハロゲン化水素を使用する場合、高い温度と相俟って高濃度のHBr及び/又はHIを使用することにより、このプロセスを促進することができる。使用されるハロゲン化水素の濃度は、好ましくは約1〜約20当量、より好ましくは10当量である。混合物は約30℃〜およそ還流温度に加熱される。この場合、還流温度が好ましい。
【0041】
例えば高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて種々の時点で反応混合物の試料を試験することによって、反応の完成をモニターすることができる。反応完成時には、反応混合物のpHを塩基で調節することができる。反応混合物のHPLCクロマトグラムにおいてアルコキシ不純物を表すピークのエリア百分率が約0.5%未満であるときに、反応は実質的に完成していると見極められる。反応混合物のpHを増大させることにより、好適な溶剤による抽出時に水性相中の対応フェノールの溶解度を増大させることが特に有利である。アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物のような当業者に知られた塩基が、この目的には有用である。このような塩基の例は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。好ましくは反応混合物のpHは、約9〜約12、より好ましくは約10〜約12に調節され、これにより対応フェノール系化合物、すなわちエーテル開裂生成物から、所期の中間体又はパロキセチン塩基を続いて分離することが容易になる。
【0042】
式7のエーテルを開裂することにより、式8対応フェノールが生じる。次いでこの対応フェノールを所期の式4中間体、すなわちPMAから抽出によって分離することができる。
【0043】
抽出のために使用される有機溶剤は、反応媒質からPMAを選択的に抽出するのに対して、式7フェノール系化合物に対する溶解度が最小であるような溶剤であるのが好ましい。このような溶剤の一般例は、エーテル、ケトン、エステル及び塩素化炭化水素を含む。このような溶剤の具体例は、塩化メチレン、酢酸エチル、クロロホルム及びtert-ブチルメチルエーテル(MTBE)を含む。塩化メチレンが好ましい。
【0044】
抽出後、エーテル開裂反応から生成された対応フェノールを含有する水性相は廃棄され、これに対して、アルコキシ不純物を実質的に含有しないPMAを含有する有機相は保持されて、さらに精製され、且つ/又は、パロキセチン又は製薬上許容可能なパロキセチン塩に変換される。有機相は好ましくは濃縮され、そして任意には乾燥剤、例えば硫酸ナトリウムで乾燥される。有機相は、乾燥剤の使用の有無に関わらず、例えば周囲圧又は減圧下で濃縮することができる。乾燥剤が使用される場合、濃縮された有機相は続いて濾過され、これにより乾燥剤が除去される。濃縮された油性有機相は続いて、PMAの結晶化を誘導するために種子付けすることができる。
【0045】
結晶をさらに精製するために、結晶は有機溶剤中でスラリー化し、続いて例えば濾過により分離することができる。好適な溶剤はC5〜C12飽和型炭化水素及び芳香族炭化水素を含む。溶剤の具体例はヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン及びベンゼンを含む。
【0046】
次いで結晶は溶剤から分離される。結晶を分離するには、当業者に知られた技術、例えば濾過を用いることができる。分離後、結晶は乾燥される。乾燥を促進するために、温度を上昇させるか、或いは圧力を低減することができる。コンベンショナルな方法、例えば約40℃〜約60℃、好ましくは約50℃の温度で炉乾燥を行うことにより、乾燥することができる。このプロセスの結果として、アルコキシ不純物を実質的に含有しない、僅かに黄味を帯びたPMA粉末が得られる。アルコキシ不純物を実質的に含有しないPMAは、本発明による重要な生成物である。それというのもこのPMAは、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチンを合成する上で有用な中間体であるからである。
【0047】
「アルコキシ不純物を実質的に含有しない」とは、本発明により製造されたPMA、パロキセチン塩、又は製薬上許容可能なパロキセチン塩、例えば(種々の多形又は溶媒和形のうちの任意の形の)パロキセチンHClを含む所期化合物のうちの任意の化合物が、HPLC及びNMRによって特徴付けして、約0.5%未満、より好ましくは約0.1%未満、及びより好ましくは約0.05%未満の対応アルコキシ不純物を含有することを意味する。これと比較して、商業的に入手可能なPMAは、約3%の式7対応アルコキシ不純物レベルを含有する。本明細書中の百分率は、所期化合物及びアルコキシ不純物を含む混合物から得られたHPLCクロマトグラムにおいて、アルコキシ不純物を表すピークのエリア百分率を意味する。
【0048】
エーテル開裂反応が非水性媒質中で行われる場合には、アルコキシ不純物を実質的に含有しない所期中間体を抽出するために、極性がより小さな溶剤が使用される。当業者には容易に明らかなように、最適な抽出溶剤は、所期パロキセチン中間体に対する親和性が高く、しかも、エーテル開裂反応から得られた対応フェノールに対する親和性がほとんど又は全くない溶剤である。
【0049】
当業者には容易に明らかなように、エーテル開裂後、溶剤抽出以外の分離技術を用いて、所期パロキセチン中間体、例えばPMAから対応フェノールを分離することができる。例えばHPLC、薄層クロマトグラフィ又はガスクロマトグラフィを使用することにより、パロキセチン中間体から対応フェノールを分離することができる。固定層は極性がより大きなフェノール化合物に対してより高い親和性を有することができるのに対し、移動相は、極性がより小さなパロキセチン中間体に対してより高い親和性を有することができる。その結果、化合物は効果的に分離される。分離後、結果として得られた材料を上述のようにスラリー化し、そして分離することができる。
【0050】
その結果得られた生成物、すなわち対応アルコキシ中間体を実質的に含有しないPMAは、例えば米国特許第4,902,801号明細書、同第5,258,517号明細書及び欧州特許第223,334号明細書に開示されているような当業者に広く知られた形式で、パロキセチンに変換することができる。1実施態様の場合、米国特許第5,258,517号明細書及び同第4,585,777号明細書に開示されているような当業者によく知られた方法によって、PMAのヒドロキシル基は先ずハロアルキル基又はスルホン酸エステル基に変換される。上記明細書のそれぞれを全体的に本明細書中に引用する。例えば、三臭化リン(PBr3)、三塩化リン(PCl3)及び塩化チオニル(SOCl2)を使用することにより、アルコールをハロゲン化アルキルに変換することができる。別の実施態様の場合、中間体をスルホン酸エステルに変換するために、スルホニル化合物を使用することができる。このようなスルホニル化合物の具体例は塩化スルホニル、例えば塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル(塩化トシル)、塩化メタンスルホニル(塩化メシル)及び塩化ベンゼンスルホニル(塩化ベシル)を含む。溶剤としてピリジンを使用することにより、形成されるいかなる塩酸をも中和することができる。次いで、結果として生じたハロゲン化アルキル又はスルホニルエステルをパロキセチンに変換することができる。
【0051】
例えば、好適な塩基溶剤、例えばナトリウムのメタノール系溶液中で、下記式:
【0052】
【化8】

【0053】
の4-(4-フルオロフェニル)-3-クロロメチル-N-メチル-ピペリジン(CIPMA)のようなハロゲン化アルキルを、下記式:
【0054】
【化9】

【0055】
の3,4-メチレンジオキシフェノール(「セサモール」)と反応させることにより、N-メチルパロキセチンを得、続いてアルカリ加水分解を行う。このプロセスは、例えば米国特許第4,007,196号明細書及び同第4,585,777号明細書に開示されている。上記明細書のそれぞれを全体的に本明細書中に引用する。
【0056】
エーテル開裂反応は好ましくは、CIPMAをセサモールと反応させる前に実施される。この順序が好ましいのは、N-メチルパロキセチン及びパロキセチン塩基がそれぞれメチレンジオキシ(アセタール)基を有しており、このメチレンジオキシ(アセタール)基は、アルコキシ不純物からアルコキシ基を除去するために利用されるエーテル開裂反応中に開裂されやすいからである。
【0057】
アルコキシ不純物を実質的に含有しない、本発明により製造されたパロキセチン塩基は、酸添加塩、好ましくは製薬上許容可能な酸添加塩、例えば塩酸塩に変換することができる。パロキセチン又は任意のその酸添加塩は、周知の多形、例えば溶媒和物、半水和物及び無水物のうちの任意の形で形成することができる。好ましい製薬上許容可能な酸添加塩はパロキセチンHClである。このパロキセチンHClは、当業者に知られた種々の多形のうちの任意の形で形成することができる。パロキセチンHClの現在好ましい多形/疑似多形の中には、米国特許第4,721,723号明細書の結晶性塩酸パロキセチン半水和物、及び、塩酸パロキセチン無水物形及び溶媒和物形のうちの任意の形、特に、米国特許第6,080,759号明細書のイソプロパノレートが含まれる。本明細書に使用する「無水物」という用語は、結合溶剤を実質的に含有しない結晶構造を意味する。「結合溶剤を実質的に含有しない」とは、結合溶剤、例えばイソプロパノールの含有率が約5重量%未満、好ましくは約2重量%未満であることを意味する。「結合溶剤」という用語は、結晶性構造部分ではない溶剤、すなわち結晶性構造と化学量論的には関連しない残留溶剤を意味するものではない。
【0058】
例えば、パロキセチン塩基の溶液又はスラリーを水性HCl又は気体状HClと接触させ、続いて適切な溶剤中で結晶化して所期の多形を得ることにより、溶液中のパロキセチン塩基をパロキセチンHClに変換することができる。所期多形が半水和物である場合、パロキセチン塩基溶液を水性HClと接触させ、続いて米国特許第4,721,723号明細書に概ね開示されているように結晶化することが好ましい。所期の多形が無水パロキセチンHCl又はパロキセチンHClイソプロパノレートである場合、パロキセチン塩基の溶剤溶液は好ましくは、乾燥塩化水素ガスと接触させられるか、或いは、塩化水素ガスが溶解された、水を実質的に含有しない溶剤と接触させられる。米国特許第6,080,759号明細書には、パロキセチンHClの無水形の製造方法が開示されている。無水物を形成するのに使用される溶剤は、水を実質的に含有しない。すなわち、結晶化時点で存在する水は、パロキセチンHClの水和形、例えば半水和物への変換を生じさせるには不十分である。コンベンショナルな乾燥剤、例えば分子篩で溶剤を乾燥させることにより、水を実質的に含有しない溶剤を得ることができる。無水溶剤を商業的に購入することもできる。
【0059】
米国特許第4,721,723号明細書に概ね開示されているように、例えばパロキセチン塩基のトルエン系溶液からは、パロキセチン塩基溶液を水性HClと接触させ、続いて適切な溶剤中で結晶化することにより、未精製塩酸パロキセチン半水和物を形成することができる。
【0060】
次いで、好適な溶剤中で未精製塩酸パロキセチン半水和物を再結晶化することによって、結晶性塩酸パロキセチン半水和物を製造することができる。好適な溶剤は、例えば低級アルカノール、例えばメタノール及びエタノール、ケトン、例えばアセトン、エステル、例えば酢酸エチル、及び前記のいずれかの混合物、例えばメタノール/アセトンを含む。
【0061】
米国特許第6,080,759号明細書に概ね開示された方法によって、塩酸パロキセチンの無水形を形成することができる。無水形は好ましくは、前述のように結合溶剤を実質的に含有しない。無水塩酸パロキセチンは例えば、乾燥N2環境内でパロキセチン塩基の有機溶剤溶液、例えばイソプロパノール溶液を乾燥塩化水素ガスと接触させることにより製造することができる。或いは、パロキセチン塩基の有機溶剤溶液を、乾燥塩化水素ガスが溶解された、水を実質的に含有しない溶剤と接触させることもできる。反応混合物は、塩酸パロキセチンの完全な溶解を保証するために加熱される。結晶化プロセスを改善するために、パロキセチンHCl無水物の種結晶を添加することができる。
【0062】
米国特許第6,080,759号明細書に開示されているように、水と一緒に共沸混合物を形成する、水を実質的に含有しない適切な溶剤中にパロキセチンHCl半水和物を溶解することにより、結合溶剤を実質的に含有しないパロキセチンHClの無水形を、パロキセチンHCl半水和物から製造することもできる。好適には、蒸留により溶剤が除去され、水全てが除去されるまで新鮮な溶剤が添加される。
【0063】
有機溶剤中、又は塩酸パロキセチンと溶媒和物を形成する溶剤の混合物中で塩酸パロキセチンを結晶化し、そして、置換剤を使用して塩酸パロキセチン溶媒和物から溶媒和溶剤を排除することにより、結合溶剤を実質的に含有しない無水形を形成することもできる。好ましくは、置換剤として気体状又は液体状の水を使用することができる。重要なのは、溶剤を排除するのには十分ではあるが、しかし、塩酸塩半水和物への変換を引き起こすには不十分な時間にわたって、塩酸パロキセチン溶媒和物が十分な水と接触させられることである。
【0064】
パロキセチンHClは、米国特許第6,080,759号明細書(全体を本明細書中に引用する)に開示されているように、種々の溶媒和物形で製造することもできる。好ましい溶媒和物形の中には、例えば米国特許第6,080,759号明細書の例1〜3に開示された塩酸パロキセチンイソプロパノレートがある。例えばトルエンとイソプロパノールとの混合物中のパロキセチンHCl半水和物から水を排除し、続いて結晶化することにより、パロキセチンHClイソプロパノレートを形成することもできる。パロキセチン塩基の乾燥イソプロパノール溶液を乾燥塩化水素ガスと接触させ、続いて結晶化することにより、パロキセチンHClイソプロパノレートを形成することもできる。米国特許第6,080,759号明細書に開示されているのと同様な方法により、イソプロパノレート以外の溶媒和物を形成することができる。このような溶媒和物の中には、溶剤、例えば(イソプロパノール以外の)アルコール(例えば1-プロパノール及びエタノール);有機酸、例えば酢酸;有機塩基、例えばピリジン;ニトリル、例えばアセトニトリル;ケトン、例えばアセトン及びブタノン;エーテル、例えばテトラヒドロフラン;塩素化炭化水素、例えばクロロホルム;及び炭化水素、例えばトルエンから誘導された溶媒和物がある。上述のように溶剤を排除するか、又は、コンベンショナルな技術、例えば真空炉乾燥によって溶剤を除去することにより、これらの溶媒和物を使用して、結合溶剤を実質的に含有しない無水形を形成することができる。
【0065】
本発明において使用される「塩酸パロキセチン」という用語は、上記及びその他の多形、及び溶媒和物形の全てを含む。
【0066】
本発明によれば、本明細書中に開示された方法によって製造されたパロキセチン又は製薬上許容可能なその塩、例えば塩酸塩の高純度形、すなわち、アルコキシ不純物を実質的に含有しないこれらの形を、投与時にセロトニン再取込みを阻害するのに特に有用な製薬組成物として調製することができる。このような組成物は、パロキセチン又は製薬上許容可能なその塩、例えば塩酸塩の種々の多形及び/又は溶媒和物形のうちの任意のものを、当業者に知られた製薬上許容可能なキャリヤ及び/又は賦形剤とともに含むことができる。
【0067】
例えば、製薬組成物は、経口、非経口、経皮、舌下又は鼻腔で投与されるように医薬品として製造することができる。経口投与に適した形は錠剤、圧縮又はコーティングされた丸薬、糖衣錠、サシェ剤、硬カプセル剤、ゼラチンカプセル剤、舌下錠、シロップ剤及び懸濁液を含む。好適な非経口投与形は、水溶液又は非水溶液又はエマルジョンを含み、これに対して、直腸投与の好ましい形は、親水性又は疎水性ビヒクルを有する座剤を含む。局所投与の場合には、当業者に知られた好適な経皮送達システムが採用され、そして鼻腔送達の場合には、当業者に知られた好適なエアロゾル送達システムが採用されてよい。
【0068】
特に好ましい単位投与形は、コーティングされた錠剤である。このような錠剤は、1又は2以上の賦形剤、例えばバインダー、充填剤、安定剤、崩壊剤、滑剤、香料添加剤及び着色剤とともに、本発明による製薬上有効な量のパロキセチン又は製薬上許容可能なその塩、例えば塩酸塩を含有している。パロキセチン塩、例えば塩酸塩の製薬上許容可能な量は、米国特許第6,080,759号明細書に開示されているように、約10mg〜約200mgの塩基当量であり、より好ましくは約10mg〜約100mg、最も好ましくは約10mg〜約50mgである。
【0069】
液体5ml当たり約10mg塩基当量の用量の製薬上許容可能な塩を含有する懸濁液として、パロキセチン又は製薬上許容可能なその塩が調製されてもよい。懸濁液の有効量は錠剤の有効量とほぼ同じである。
【0070】
使用される装置
XTERRA RP-18(3.5μm; 150x4.6mm)、リン酸二水素アンモニウム緩衝液;アセトニトリル混合物を有する逆相カラムで、高圧液体クロマトグラフィを実施する。U.V.分光法によってλ=215nmで検出する。
【0071】
実施例
1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(4'-フルオロフェニル)ピペリジン(PMA)の精製
PMA(30グラム:HPLCエリア百分率がほぼ2.6%の対応アルコキシ不純物を含有)をHBr溶液(180ml,48%)に添加した。次いで反応混合物を、反応完了まで約1.50時間にわたって強還流温度に加熱した。この反応に続いて、アルコキシ不純物を表すピークのエリア百分率が0.5%未満になるまでHPLCを実施した。次いで反応混合物を0℃まで冷却させておき、次いで、これを40%NaOH溶液でpH=11.5に塩基化し、これにより水性相中の対応フェノールの溶解度を増大させた。次いで塩化メチレン(150ml)を添加し、そして水性相を塩化メチレン(3x150ml)で3回抽出した。次いで有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で蒸発させ、約15gの塩化メチレンを残した。次いで油性混合物にPMA結晶を種子付けし、1時間後、反応混合物全体を結晶化した。これらの結晶にヘプタン(100ml)を添加し、そして混合物を15分間スラリー化した。次いで、僅かに黄味を帯びたスラリーを濾過し、そして4時間にわたって炉内で50℃で乾燥させ、これにより、対応アルコキシ不純物を実質的に含有していない僅かに黄味を帯びた粉末25.67g(85.5%)を得た。
【0072】
下記の表は、図面から得たそれぞれのピークの特徴を開示するものであり、数の上で図面に対応している。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
こうして特定の好ましい実施態様及び実施例を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば、本明細書において開示された本発明の思想及び範囲から逸脱せずに、上記本発明に対する種々の変更形が考えられる。上記実施例は本発明を理解しやすくするために本明細書中に含まれているのであって、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の理解の補助とはならないコンベンショナルな方法の説明は本明細書中には含まれていない。このような方法は、当業者によく知られており、多数の刊行物に記載されている。前記全ての参考文献の全体を本明細書中に引用する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】商業的に入手可能なPMAのHPLCクロマトグラムであって、エリア百分率2.574%を有するピークNo.1によって表されたアルコキシ不純物レベルを示している。PMAはピークNo.2として示されている。
【図2】実施例において記載されているような、還流温度で1.5時間にわたって加熱された後のPMA含有反応混合物を示すHPLCクロマトグラムである。ピークNo.1によって表されたアルコキシ不純物レベルのエリア百分率は0.688%である。
【図3】2時間にわたって加熱された後の同じ反応混合物を示すHPLCクロマトグラムである。アルコキシ不純物レベルは、ピークNo.1の不存在によって証明されるように、HPCLによっては検出することができない。(2.82分の保持時間を有するクロマトグラム内のピークは、スペクトルにおいて、ピーク近くに見られる小さな隆起部に相当する。このピークは不純物が統合したものではなく、おそらく人為的な結果である。)
【図4】PMAの結晶化及び仕上げ後の、対応アルコキシ不純物を実質的に含有しないPMAを示すHPLCクロマトグラムである。アルコキシ不純物レベルは、ピークNo.1の不存在によって証明されるように、HPCLによっては検出することができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

の化合物を、該式4化合物と下記式7:
【化2】

の化合物との混合物から分離する方法であって、
適当な溶剤中で、該混合物中の該式7化合物を下記式:
【化3】

の化合物に変換し、
そして該式8化合物から該式4化合物を分離する(上記式中、Rは適当なアミン保護基であり、そしてAlkはC1〜C7アルキル基である)ことを含むことを特徴とする、分離方法。
【請求項2】
さらに、該式4化合物をパロキセチン塩基に変換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法によって製造されることを特徴とするパロキセチン塩基。
【請求項4】
さらに、該パロキセチン塩基を塩酸パロキセチンに変換することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法によって製造されることを特徴とする塩酸パロキセチン。
【請求項6】
該式7化合物が、該混合物をエーテル開裂剤と接触させることにより、該式8化合物に変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該エーテル開裂剤が、ハロゲン化水素、ルイス酸及びグリニャール試薬から成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該エーテル開裂剤が、HBr、HI、LiI、BBr3、AlCl3、AlBr3、HBr/HOAc、トリメチルシリルヨージド、EtS-Na+、MeMgI及びCF3CO2Hから成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
さらに、抽出によって該式8化合物から該式4化合物を分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記分離が:
a) 該式4化合物と該式8化合物との混合物を第1有機溶剤と接触させることにより、有機相及び水性相を得る工程と;
b) 該式8化合物を含有する該水性相から、該式4化合物を含有する該有機相を分離する工程と;
c) 該有機相から該式4化合物を結晶化することにより、結晶を得る工程と;
d) 該結晶を第2有機溶剤中でスラリー化する工程と;さらに、
e) 該第2有機溶剤から該結晶を分離する工程と
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法によって製造されることを特徴とする該式4化合物。
【請求項12】
請求項10に記載の方法によって製造されることを特徴とする該式4化合物。
【請求項13】
アルコキシド触媒の存在において、適当な溶剤中で下記式:
【化4】

の化合物を下記式:
【化5】

の化合物と反応させ(上記式中、Rは適当なアミン保護基であり、そしてR’、R”及びAlkは同じ又は異なるC1〜C7アルキル基を表す)、続いて還元することにより、該混合物が製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
PMAの精製方法であって、PMAとその対応アルコキシ不純物との混合物をエーテル開裂剤と反応させることにより対応フェノールを得、続いてPMAから該対応フェノールを分離し、これにより対応アルコキシ不純物を実質的に含有しないPMAを得ることを含むことを特徴とする、PMAの精製方法。
【請求項15】
さらに、アルコキシ不純物を実質的に含有しないPMAを、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチンに変換することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって製造されることを特徴とする、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン塩基。
【請求項17】
さらに、アルコキシ不純物を実質的に含有しないパロキセチン塩基を、アルコキシ不純物を実質的に含有しない塩酸パロキセチンに変換することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法によって製造されることを特徴とする、アルコキシ不純物を実質的に含有しない塩酸パロキセチン。
【請求項19】
該エーテル開裂剤が、ハロゲン化水素、ルイス酸及びグリニャール試薬から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
該エーテル開裂剤が、HBr、HI、LiI、BBr3、AlCl3、AlBr3、HBr/HOAc、トリメチルシリルヨージド、EtS-Na+、MeMgI及びCF3CO2Hから成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
抽出によって該PMAを該対応フェノールから分離することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記分離が:
a) 該PMAとその対応フェノールとの混合物を第1有機溶剤と接触させることにより、有機相及び水性相を得る工程と;
b) 該対応フェノールを含有する該水性相から、該PMAを含有する該有機相を分離する工程と;
c) 該有機相からPMAを結晶化することにより、結晶を得る工程と;
d) 該結晶を第2有機溶剤中でスラリー化する工程と;さらに、
e) 該第2有機溶剤から該結晶を分離する工程と
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
PMA、パロキセチン塩基及び製薬上許容可能なパロキセチン塩から成る群から選択された化合物であって、前記化合物の対応アルコキシ不純物含有率が、HPLCによって測定して、約0.5%未満であることを特徴とする、化合物。
【請求項24】
該製薬上許容可能な塩が、塩酸パロキセチンである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
該製薬上許容可能な塩が、塩酸パロキセチンイソプロパノレートである、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物の対応アルコキシ不純物含有率が、HPLCによって測定して、約0.1%未満である、請求項23に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物の対応アルコキシ不純物含有率が、HPLCによって測定して、約0.05%未満である、請求項23に記載の化合物。
【請求項28】
PMA、パロキセチン塩基、及び製薬上許容可能なパロキセチン塩から成る群から選択された有効量の化合物を含む製薬組成物であって、該化合物が、HPLCによって測定して約0.5%未満の対応アルコキシ不純物と、製薬上許容可能な賦形剤とを含有することを特徴とする、製薬組成物。
【請求項29】
該製薬上許容可能な塩が、塩酸パロキセチンである、請求項28に記載の製薬組成物。
【請求項30】
該製薬上許容可能な塩が、塩酸パロキセチンイソプロパノレートである、請求項28に記載の製薬組成物。
【請求項31】
セロトニン再取込みの阻害を必要とする患者に対して行うセロトニン再取込み阻害方法であって、該患者に請求項23に記載の化合物を投与することを含むことを特徴とする、セロトニン再取込み阻害方法。
【請求項32】
セロトニン再取込みの阻害を必要とする患者に対して行うセロトニン再取込み阻害方法であって、該患者に請求項28に記載の製薬組成物を投与することを含むことを特徴とする、セロトニン再取込み阻害方法。
【請求項33】
アルコキシ不純物を実質的に含有しないことを特徴とする、パロキセチン又は製薬上許容可能なその塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−512278(P2006−512278A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−503598(P2003−503598)
【出願日】平成14年6月13日(2002.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2002/021106
【国際公開番号】WO2002/100829
【国際公開日】平成14年12月19日(2002.12.19)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】